【実施例】
【0019】
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0020】
[実施例1]
9−エチル−6,6−ジメチル−8−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−11−オキソ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[b]カルバゾール−3−カルボニトリル一塩酸塩のI型結晶
9−エチル−6,6−ジメチル−8−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−11−オキソ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[b]カルバゾール−3−カルボニトリル400gをメチルエチルケトン4.8L、酢酸1.44Lおよび蒸留水1.68Lの混合溶媒に室温にて溶解しこの溶液をエタノール12Lおよび2N塩酸0.8Lの混合物中に60℃で滴下した。析出した固体を濾取しエタノール2Lで洗浄乾燥し標題の化合物の一塩酸塩のI型結晶357gを得た。
【0021】
[実施例2]
9−エチル−6,6−ジメチル−8−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−11−オキソ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[b]カルバゾール−3−カルボニトリル一塩酸塩のIII型結晶
9−エチル−6,6−ジメチル−8−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−11−オキソ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[b]カルバゾール−3−カルボニトリル(9.00g)をメチルエチルケトン(90ml)、蒸留水(31.5ml),および酢酸(27.0ml)の混合溶媒に溶解した。この溶液を、15℃にて撹拌したエタノール(90ml),および2N塩酸(18.00ml)の混合液へ、混合液温度を15℃に保ちながら滴下した。つづいて,メチルエチルケトン(18.00ml)、蒸留水(6.30ml),および酢酸(5.40ml)の混合溶媒にて洗いこみをした後,15℃にて攪拌した。析出した固体を濾取し,標題の化合物の一塩酸塩のIII型結晶を得た。
【0022】
[実施例3]
9−エチル−6,6−ジメチル−8−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−11−オキソ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[b]カルバゾール−3−カルボニトリル一塩酸塩のII型結晶
実施例2にて得られたIII型結晶を,エタノール(90ml)で洗浄した後に,40℃で約16時間減圧乾燥し、標題の化合物の一塩酸塩のII型結晶を得た。
【0023】
[実施例4]
9−エチル−6,6−ジメチル−8−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−11−オキソ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[b]カルバゾール−3−カルボニトリル一塩酸塩のII型結晶
9−エチル−6,6−ジメチル−8−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−11−オキソ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[b]カルバゾール−3−カルボニトリル(4.00g)をメチルエチルケトン(40ml)、蒸留水(14ml),および酢酸(12ml)の混合溶媒に加え,35℃にて溶解した。この溶液を、エタノール(40ml),および2N塩酸(8.00ml)の混合液(15℃にて撹拌)へ、混合液温度を15℃に保ちながら滴下した。この混合液に、さらにメチルエチルケトン(8.00ml)、蒸留水(2.80ml),および酢酸(2.40ml)の混合溶媒を,混合液温度を15℃に保ちながら滴下した。つづいて,混合液を15℃にて攪拌した。析出した固体を濾取し,エタノール(40ml)で洗浄した後に,40℃で減圧乾燥し、標題の化合物の一塩酸塩のII型結晶(2.4805g)を得た。
【0024】
[実施例5]
9−エチル−6,6−ジメチル−8−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−11−オキソ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[b]カルバゾール−3−カルボニトリル一塩酸塩のIII型結晶
9−エチル−6,6−ジメチル−8−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−11−オキソ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[b]カルバゾール−3−カルボニトリル(4.00g)をメチルエチルケトン(40ml)、蒸留水(14ml),および酢酸(12ml)の混合溶媒に加え,35℃にて溶解した。この溶液を、エタノール(40ml),および2N塩酸(8.00ml)の混合液(15℃にて撹拌)へ、混合液温度を15℃に保ちながら滴下した。メチルエチルケトン(8.00ml)、蒸留水(2.80ml),および酢酸(2.40ml)の混合溶媒を,混合液温度を15℃に保ちながら滴下した。つづいて,混合液を15℃にて攪拌した。析出した固体を濾取し,標題の化合物の一塩酸塩のIII型結晶(7.8435g)を得た。
【0025】
[試験例1]粉末X線回折分析
9−エチル−6,6−ジメチル−8−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−11−オキソ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[b]カルバゾール−3−カルボニトリル一塩酸塩のI型、II型、III型結晶について粉末X線回折を以下の条件により測定した。II型結晶、III型結晶、I型結晶の測定結果を
図1、2、3に示す。
測定装置:X’Pert−Pro MPD(PANalytical製)
対陰極:Cu
管電圧:45kV
管電流:40mA
ステップ幅:0.02
走査軸:2θ
ステップあたりのサンプリング時間:43秒
走査範囲:3〜40°
【0026】
[試験例2]II型結晶の湿度による結晶形転移の確認
9−エチル−6,6−ジメチル−8−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−11−オキソ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[b]カルバゾール−3−カルボニトリル一塩酸塩のII型結晶について湿度による結晶形転移の確認のために以下の湿度条件に試料を設置し、粉末X線回折を用いて結晶形の変化を確認した。
【0027】
試験条件1(II型結晶の低湿度下での結晶形の転移確認)
試料量:約17mg
温度:25℃付近の一定温度
雰囲気ガス:乾燥窒素
雰囲気ガスの流量:200sccm(mL/min)
質量変化率:0.002dm/dt(%/min)
相対湿度:0%RHの相対湿度下に試料を設置した。
最小待ち時間:10min
最大待ち時間:1200min
【0028】
試験条件2(II型結晶の高湿度下での結晶形の転移確認)
試料量:約16mg
温度:25℃付近の一定温度
雰囲気ガス:乾燥窒素
雰囲気ガスの流量:200sccm(mL/min)
質量変化率:0.002dm/dt(%/min)
相対湿度:70%RHの相対湿度下に試料を設置した。
最小待ち時間:10min
最大待ち時間:1200min
【0029】
粉末X線回折の結果により、II型結晶を低湿度下に保管すると別の結晶形へ転移することが明らかになった(
図4)。空気中に放置すると1時間以内に、急速に元のII型結晶の結晶形へ戻った。このことから、II型結晶は低湿度環境(相対湿度15%RH以下)では脱水し、無水和物になる可能性が考えられる。また、II型結晶は結晶水を持つことが明らかになった。
II型結晶を70%RHで保管したところ、II型結晶の粉末X線回折パターンとは異なる粉末X線回折パターン(
図5)を示したことから、II型結晶を高湿度下に保管すると別の結晶形へ転移することが明らかとなった。この結晶を空気中に放置し、経時的に粉末X線回折を測定したところ、4時間後の測定では元のII型結晶へ戻った。このことから、II型結晶は高湿度環境(相対湿度65%RH以上)では吸湿し、結晶水を持つ別の結晶形になると考える。
【0030】
[試験例3]II型結晶の水分吸着等温線の測定
9−エチル−6,6−ジメチル−8−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−11−オキソ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[b]カルバゾール−3−カルボニトリル一塩酸塩のII型結晶(約5mg)について、動的水分吸着等温装置:DVS−1(Surface Mesurement Systems)を用いて水分吸着等温線を以下の条件で測定した。
試験条件
温度:25℃付近の一定温度
雰囲気ガス:乾燥窒素
雰囲気ガスの流量:200sccm(mL/min)
最小待ち時間:10min
最大待ち時間:1200min
質量変化率:0.002dm/dt(%
/min)、ただし、5,10,15,55,60,65%RHでは0.001dm/dt(%
/min)
【0031】
相対湿度:0,5,10,15,20,30,40,50,55,60,65,70,80,90,80,70,65,60,55,50,40,30,20,15,10,5,0%RHの順に相対湿度を変化させた。これを1サイクルとし3サイクル行った。測定結果を
図6に示す。II型結晶の重量変化率(%)は、25℃付近において相対湿度0%RHから90%RHまで温度環境を変化させたとき、相対湿度0%RHから15%RHの範囲で3.7%、相対湿度15%RHから55%RHの範囲で0.05%、相対湿度55%RHから65%RHの範囲で11%、相対湿度65%RHから90%RHの範囲で0.04%であった。
II型結晶を式(I)の化合物の1塩酸塩1水和物と仮定すると、分子量は537.0928となる。分子量及び質量変化率(%)から、II型結晶は1塩酸塩1水和物であり、0%RH雰囲気下に保存すると脱水し1塩酸塩に転移すると考える。また、II型結晶は、湿度65%RH以上の高湿度環境では吸湿し、1塩酸塩4水和物に転移すると考える。