(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記調湿部に供給され、前記再生部により再生される前記吸放湿溶液に、二酸化炭素を吸収する液体を含めることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気処理装置。
請求項1乃至4のいずれかに記載の空気処理装置の調湿部の下流に設けられた温度センサにより検出される温度に基づいて、前記比エンタルピーが所定の値となるように、前記調温部の温度を決定する温度決定部と、
前記空気処理装置の調湿部の下流に設けられた湿度センサにより検出される湿度に基づいて、設定湿度となるように、前記調湿部の湿度を決定する湿度決定部及び前記吸放湿溶液の濃度を決定する濃度決定部と、
を有することを特徴とする空気処理装置の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[1.構成]
以下、本発明に係る空気処理システムの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、空気処理システムは、本実施形態では、建物内の空間(以下、「空調空間」という)Rに導入される外気の温度及び湿度を調整し制御するものである。つまり、本実施形態の処理対象となる空気は、外気である。なお、空調空間Rには、顕熱処理用の室内用エアコンAあるいは放射空調用パネルなどが設置され、これらによって空調空間Rの顕熱負荷に対する加熱及び冷却が適宜行われる。
【0022】
空気処理システムは、空気処理装置10、制御装置90を有する。空気処理装置10は、空調空間Rに接続された給気路100と排気路200を備えている。給気路100は、図中、外気口101から給気口102を結ぶ細い実線で示すように、外気を空調空間Rへ給気する流路である。本実施形態の給気路100はダクトであり、一端は屋外の外気口101に接続され、他端は空調空間Rの給気口102に接続される。以下、給気路100の外気口101側を上流、給気口102側を下流として説明する。
【0023】
排気路200は、空調空間Rから外気導入分の還気を排気する流路である。本実施形態の排気路200はダクトであり、一端は空調空間Rの室内排気口103に接続され、他端は屋外排気口104に接続される。給気路100及び排気路200には、それぞれに流量制御のためのファン106、107が設置されている。
【0024】
調湿部23の下流の給気路100には、空調空間Rに給気される外気の温度を計測する温度センサT、空調空間Rに給気される外気の湿度を計測する湿度センサHが設置されている。これらのセンサは、後述する制御装置90に接続されている。なお、温度センサT、湿度センサHは給気口102に配置しても良いし、空調空間R内に配置してもよい。
【0025】
また、空気処理装置
10は、空気処理部2、再生部3を有する。以下、各部の構成を説明する。
【0026】
[空気処理部]
空気処理部2は、給気路100に設けられ、吸放湿溶液により空調空間Rの調温調湿を行う処理機である。空気処理部2は、図示は省略しているが、複数の空調空間Rに対応して複数設けられている。空気処理部2は、再生部3と1対1で設置されていてもよい。各空気処理部2は、調温部20、調湿部23を有する。
【0027】
(調温部)
調温部20は、給気路100に設置され、外気の比エンタルピーが所定の値となるように、外気の温度を調整する装置である。
【0028】
本実施形態の調温部20は、熱媒との熱交換により外気の温度の調整を行う。調温部20は、例えば、冷却コイル21、加熱コイル22を有する。冷却コイル21は、熱媒として冷水を用いて外気を冷却する装置である。加熱コイル22は、熱媒として温水を用いて外気を加熱する装置である。
【0029】
冷水及び温水は、後述する冷温水供給装置70から供給される。冷却コイル21には、配管21a、21bを介して、冷温水供給装置70からの冷水が循環供給される。冷却コイル21への供給側の配管21aには、バルブ21cが設けられている。バルブ21cは、冷却コイル21へ供給される熱媒の流量を調整する第1の熱媒調整部を構成する。
【0030】
冷却コイル21には、排出部21dが設けられている。排出部21dは、冷却コイル21による冷却により生じた水分を排出する。つまり、例えば、夏季の除湿負荷が多い冷却時には外気の比エンタルピーが所定の値となるように外気の温度調整するに伴い、冷却コイル21に結露することにより除湿が行われるが、この結露により生じた水分が、排出部21dにより排出される。排出部21dは、ドレンパンと排水管を有し、冷却コイル21からドレンパンに滴下した水分は、排水管を介して吸放湿溶液系統とは別の系統によって外部に排出される。
【0031】
加熱コイル22には、配管22a、22bを介して、冷温水供給装置70からの温水が循環供給される。加熱コイル22への供給側の配管22aには、バルブ22cが設けられている。バルブ22cは、加熱コイル22へ供給される熱媒の流量を調整する第2の熱媒調整部を構成する。
【0032】
冷温水供給装置70は、冷水供給部71、温水供給部72を有する。冷温水供給装置70としては、例えば、空気を熱源として冷媒の気化熱及び凝縮熱を利用して、冷水供給部71において水を冷却し、温水供給部72において水を加熱することができる空冷ヒートポンプを用いる。
【0033】
冷水供給部71の冷水の供給側の配管73は、配管21aに接続され、冷水の復帰側の配管74は、配管21bに接続されている。冷水供給部71からの冷水は、配管73及び配管21aを介して、冷却コイル21に供給される。外気は、冷水が流通する冷却コイル21を通過することにより冷却される。冷却コイル21を通過した冷水は、配管21b及び配管74を介して、冷水供給部71に戻る。配管74には、送水用のポンプ74aが設けられている。バルブ21cの開度の調整により、冷却コイル21に供給される冷水の流量が調整され、結果として外気の冷却温度が調整される。
【0034】
温水供給部72の温水の供給側の配管75は、配管22aに接続され、復帰側の配管76は、配管22bに接続されている。温水供給部72からの温水は、配管75及び配管22aを介して、加熱コイル22に供給される。外気は、温水が流通する加熱コイル22を通過することにより加熱される。加熱コイル22を通過した温水や蒸気の凝縮水は、配管22b及び配管76を介して、温水供給部72に戻る。配管76には、送水用のポンプ76aが設けられている。バルブ22cの開度の調整により、加熱コイル22に供給される温水の流量が調整され、結果として外気の加熱温度が調整される。
【0035】
さらに、配管75、76には、双方の経路を開閉するバルブ78が設けられ、配管73、74には、配管75、76との連通を開閉するバルブ77が設けられている。これらのバルブ77、78によって、熱交換器82に冷水を供給するか、温水を供給するかを切り替える第1の切替部が構成されている。つまり、第1の切替部は、空気処理部2へ供給する吸放湿溶液を熱交換器82により冷却するか、加熱するかを切り替える。
【0036】
(調湿部)
調湿部23は、調温部20の下流側に設置され、吸放湿溶液が供給されて流通する気液接触部材を有し、調温部20により温度が調整され、所定の比エンタルピーとなった外気を通過させることにより、外気の湿度を調整する装置である。本実施形態の調湿部23は、気液接触部材として膜23aを用いる。膜23aは、複数枚が隙間を空けて配置されており、襞状の皺が形成されることにより、除湿及び加湿に十分な気液接触面積を有する、例えば気化式加湿膜である。
【0037】
膜23aには、後述する再生部3との間で、吸放湿溶液である塩化リチウム水溶液が循環する。再生部3に接続され、調湿部23に吸放湿溶液を供給する供給路4は、各空気処理部2における調湿部23に分岐している。供給路4には、送液用のポンプ41が設けられている。各空気処理部2へ分岐した供給路4には、バルブ42が設けられている。バルブ42は、各調湿部23に供給する吸放湿溶液の液量を調整する液量調整部である。つまり、バルブ42の開度の調整により、吸放湿溶液の流量が調整され、結果として外気の湿度が調整される。
【0038】
各調湿部23において、供給路4からの吸放湿溶液は、膜23aの上部に設けられた散液部23bを介して滴下されるように構成されている。散液部23bから滴下された吸放湿溶液は、膜23aの上部から下部へと流通する。例えば、夏季の除湿時には、調温部20において冷却された外気は、調湿部23を通過することにより、吸放湿溶液に接触して除湿される。冬季の加湿時には、調温部20において加熱された外気は、調湿部23を通過することにより吸放湿溶液に接触して加湿される。
【0039】
膜23aの下部には、膜23aから落下した吸放湿溶液を受ける受液部23cが設けられている。受液部23cに落下した吸放湿溶液は、復帰路5によりタンク6に合流する。ここの復帰路5は、吸放湿溶液がタンク6に重力により流入する自然復帰路である。タンク6は、各調湿部23からの吸放湿溶液が合流して、一時的に貯留される容器である。タンク6から再生部3へ向かう復帰路5には、タンク6に貯留された吸放湿溶液を再生部3へ戻すポンプ51が設けられている。このため、膜23aから受液部23cに落下した吸放湿溶液は、タンク6及び復帰路5を介して再生部3に復帰する。ここの復帰路5は、タンク6内の吸放湿溶液がポンプ51により送り出されて、
再生部3に流入する動力復帰路である。
【0040】
なお、空気処理部2内での吸放湿溶液は、非循環である。つまり、供給路4から膜23aに供給された吸放湿溶液は、空気処理部2内で膜23aに戻されることなく、復帰路5に排出されて、再生部3から供給路4を介して膜23aに戻って来る。
【0041】
[再生部]
再生部3は、供給路4に接続され、設定湿度が維持されるように、吸放湿溶液の濃度を再生する処理機である。再生部3は、図中、外気が取り込まれる外気口33から、外気を排出する排気口34へと抜ける細い実線の矢印で示す流路に配設された、加熱部31、濃縮部32を有する。
【0042】
(加熱部)
加熱部31は、外気口33の下流側に設置され、熱媒との熱交換により、外気を加熱する装置である。加熱部31は、熱媒として冷温水供給装置70の温水供給部72からの温水を用いて、外気を加熱するコイルである。
【0043】
加熱部31には、温水供給部72からの温水が、配管35及び配管36を介して、循環供給される。配管35は、温水供給部72の供給側の配管75に接続されている。配管36は、温水供給部72の復帰側の配管76に接続されている。外気は、温水が流通する加熱部31を通過することにより加熱される。加熱部31を通過した温水は、配管36、配管76を経て温水供給部72に戻る。配管35には、バルブ35aが設けられている。バルブ35aは、加熱部31へ供給される温水の流量を調整する第3の熱媒調整部を構成する。つまり、バルブ35aの開度の調整により、温水の流量が調整され、結果として外気の加熱温度が調整される。
【0044】
(濃縮部)
濃縮部32は、空気処理部2からの吸放湿溶液が供給されて流通する膜32aを有し、膜32aを流通する吸放湿溶液から水分を気化することにより、吸放湿溶液を濃縮する。濃縮部32は、加熱部31の下流側に設置され、加熱部31により加熱された外気を通過させることにより、吸放湿溶液から水分を追い出す。膜32aは、調湿部23の膜
23aと同様に、複数枚が隙間を空けて配置されており、襞状の皺が形成されることにより、十分な気液接触面積を有する、例えば気化式加湿膜である。
【0045】
膜32aには、調湿部23との間で、吸放湿溶液である塩化リチウム水溶液が循環する。各空気処理部2の調湿部23において吸湿した吸放湿溶液は、タンク6に収集されて、復帰路5を介して、膜32aの上部に設けられた散液部32bから滴下されるように構成されている。散液部32bから滴下された吸放湿溶液は、膜32aの上部から下部へと流通する。例えば、夏季の除湿時に、加熱部31において加熱された外気は、濃縮部32を通過することにより吸放湿溶液に接触して加湿され、結果として吸放湿溶液は水分が減少して濃縮される。
【0046】
膜32aの下部には、膜32aから落下した吸放湿溶液が一時的に貯留される容器である貯液部32cが設けられている。貯液部32cには、吸放湿溶液の濃度を計測する濃度センサCが設けられている。また、貯液部32cには、吸放湿溶液を水により希釈する希釈部321が接続されている。希釈部321は、図示しない給水源に接続された給水管321aを有する。
【0047】
給水管321aには、バルブ321bが設けられている。バルブ321bは、希釈部321の給水量を調整する水量調整部である。つまり、バルブ321bの開度の調整により、吸放湿溶液を希釈する水の量が調整される。これにより、調湿部23に供給される吸放湿溶液の濃度が調整される。貯液部32cには、供給路4が接続され、貯液部32cにおいて濃度が調整された吸放湿溶液は、各空気処理部2の調湿部23に分岐して供給される。
【0048】
さらに、散液部32bに接続された復帰路5には、バルブ53、バイパス部54が設けられている。バルブ53は、膜32aへの吸放湿溶液の滴下の有無を切り替える。バイパス部54は、配管54aとバルブ54bによって構成される。配管54aは、バルブ53の手前で復帰路5から分岐して、貯液部32cに接続される。バルブ54bは、配管54aに設けられ、貯液部32cへの吸放湿溶液の流入の有無を切り替える。
【0049】
バルブ53、54bは、調湿部23が加湿を行う場合に、復帰路5からの吸放湿溶液の復帰先を、膜32aから貯液部32cに切り替える第2の切替部を構成する。つまり、バルブ53を閉じて、バルブ54bを開くことによって、吸放湿溶液を、膜32aを介さずに、貯液部32cに供給することができる。
【0050】
なお、再生部3内での吸放湿溶液は、定常運転においては非循環である。つまり、復帰路5から膜32aに供給された吸放湿溶液は、再生部3内で膜32aに戻されることなく、供給路4に供給されて、調湿部23から復帰路5を介して膜32aに戻って来る。
【0051】
但し、再生部3は、吸放湿溶液を循環させるための還流経路も有している。この還流経路は、供給路4から分岐して、散液部32bの手前の復帰路5に接続される配管43を有する。この配管43は、加湿モードから除湿モードへの変更時、あるいは、除湿運転時期における一定時間の停止後の運転開始時に、吸放湿溶液を循環させて加熱により水分を放出させることにより濃度を高めるバイパスとなる。配管43にはバルブ43aが設けられ、供給路4にはバルブ43bが設けられている。バルブ43a、43bは、吸放湿溶液を配管43を介して循環させるか否かを切り替える第3の切替部である。
【0052】
また、供給路4には、熱交換器82が設けられている。配管75には、熱交換器82への温水又は冷水の供給の有無を切り替えるバルブ75aが設けられている。また、熱交換器82へ供給する水は、吸放湿溶液で除湿する場合には冷水、加湿する場合には温水となるように切り替える。これは、バルブ77及びバルブ78を切り替えることによって行う。特に除湿時には、吸放湿溶液を冷却することで、ほぼ等エンタルピー線上を除湿、昇温方向に向かう空気状態を等エンタルピー線上よりも低く、すなわち、温度をあまり上げずに除湿することができる。この効果により、吹き出し温度を低くして、所定の除湿量を得るのに、吸放湿溶液濃度をより低くすることが可能である。これにより、再生部3での加熱温度、すなわち加熱源の温度を低くすることが可能となり、熱源をより広く選択することが可能となる。但し、熱交換器
82は、必ずしも必要ではなく、省略してもよい。
【0053】
本実施形態の空気処理システムは、設定湿度に応じて除湿モードと加湿モードを切り替える。除湿モードでは外気の冷却あるいは加熱を行った後、除湿を行う。この場合、再生部3においては、加熱部31により加熱した外気を、濃縮部32において吸放湿溶液に接触させることにより、吸放湿溶液から水分を追い出して濃縮する。濃縮された吸放湿溶液は、貯液部32cに落下して、調湿部23に供給される。
【0054】
一方、加湿モードでは外気の加熱あるいは冷却を行った後、加湿を行う。この場合、再生部3においては、加熱部31による外気の加熱は行わず、バルブ53を閉じて、膜32aへの吸放湿溶液の滴下を停止する。また、バイパス部54のバルブ54bを開き、調湿部23からの吸放湿溶液を、膜32aを経由させずに貯液部32cに戻す。このため、濃縮部32においては、吸放湿溶液の濃縮は行わず、希釈部321により水を供給することにより、加湿により減少した水分を補充して、調湿部23に供給する。
【0055】
なお、本実施形態では、外気の状態に応じて、冷却及び除湿を行う冷却除湿、加熱及び除湿を行う加熱除湿、加熱及び加湿を行う加熱加湿、冷却及び加湿を行う冷却加湿を行うことができる。
【0056】
空気処理システムは、また、制御装置90を備えている。制御装置90は、
図2に示す入力部Iや出力部Oが接続された、CPUやメモリを含み所定のプログラムで動作するコンピューターや専用の電子回路で構成されている。以下に説明する制御装置90及びこの制御装置90により空気処理装置10を制御する方法も本発明の一態様である。制御装置90は、温度センサT、湿度センサH及び濃度センサCに接続されている。
【0057】
制御装置90は、温度センサT及び湿度センサHの計測結果を利用して、空調空間Rに供給される外気が設定温度及び設定湿度になるように、空気処理装置10の各部の制御を行う。そのために、制御装置90は、
図2に示す機能構成を備えている。すなわち、制御装置90は、記憶部91、指示信号出力部92、モード選択部93、温度決定部94、湿度決定部95、濃度決定部96を含む。
【0058】
記憶部91には、空気処理装置10の各部の制御に必要なデータが記憶されている。そのようなデータとして、例えば、設定温度、設定湿度、設定濃度、目標となる所定の比エンタルピー及び特定の湿度から所定の比エンタルピーとする温度を求めるための演算式、各種の判断処理の閾値、テーブル等を記憶している。設定温度、設定湿度、設定濃度、所定の比エンタルピー等は、空調空間Rの管理者が、予め所望の値を入力部Iを介して入力することができる。所望の値として記憶部91に記憶される各種の設定値、所定値は、時季に応じて予め設定されたものであっても良く、あるいは温度センサT、湿度センサH、濃度センサCの計測結果から、所定のアルゴリズムに従って決定したものであっても良い。また、記憶部91には、温度センサT、湿度センサH、濃度センサCから受信した計測結果が一時的に保存される。
【0059】
指示信号出力部92は、空気処理装置10の各部の機構を制御する指示信号を出力する。特に、本実施形態では、モード選択部93、温度決定部94、湿度決定部95、濃度決定部96での処理結果に基づいて、指示信号出力部92が指示信号を出力する。
【0060】
モード選択部93は、湿度センサHで計測された空調空間Rの湿度に応じて、空気処理装置10を、除湿モードで運転するか、加湿モードで運転するかを選択する。選択の具体的な態様としては、例えば、計測湿度を記憶部91に記憶された所定の閾値と比較し、閾値以下であれば加湿モードを選択し、閾値を超えた場合は除湿モードを選択する。モード選択部93は、入力部Iからの入力に応じて、除湿モードとするか、加湿モードとするかを選択してもよい。
【0061】
モード選択部93による除湿モードの選択に従って、指示信号出力部92が出力する指示信号に従って、第1の切替部であるバルブ77、バルブ78のうち、バルブ78が閉じて、バルブ77が開く。そして、バルブ35aが開くことにより、加熱部31に温水供給部72からの温水が供給され、
濃縮部32の膜32aに加熱された外気が通過する。さらに、指示信号出力部92が出力する指示信号に従って、第2の切替部であるバルブ53、54bのうち、バルブ53を開き、バルブ54bを閉じることにより、復帰路5の吸放湿溶液が膜32aに滴下されるようにする。なお、除湿モードとして吸放湿溶液の濃度が、設定濃度より低い場合には、第3の切替部であるバルブ43aを開き、バルブ43bを閉じることにより、配管43を介して吸放湿溶液を循環させて、加熱された外気に接触させることにより、所定の濃度に濃縮を行ってから、バルブ43aを閉じ、バルブ43bを開くことにより、除湿運転に移行するものとする。
【0062】
また、モード選択部93で加湿モードが選択された場合は、指示信号出力部92が出力する指示信号に従って、第1の切替部であるバルブ77、バルブ78のうち、バルブ77が閉じて、バルブ78が開く。そして、バルブ35aは閉じることにより、加熱部31への温水供給は停止する。さらに、指示信号出力部92が出力する指示信号に従って、第2の切替部であるバルブ53、54bのうち、バルブ53を閉じ、バルブ54bを開くことにより、吸放湿溶液が膜32aに滴下されずに、貯液部32cに直接供給されるようにする。つまり、濃縮部32は機能させず、希釈部321による希釈のみが行われる。
【0063】
温度決定部94は、温度センサTにより計測される温度及び湿度センサHにより計測される湿度に基づいて、当該湿度で所定の比エンタルピーが達成できるように、調温部20による冷却又は加熱の温度を決定する。つまり、計測される温度と湿度により求められる比エンタルピーが、所望の値となるように温度を上昇又は下降させる。
【0064】
除湿モード又は加湿モードにおいて冷却する場合には、指示信号出力部92が出力する指示信号に従って、調温部20のバルブ21cが開き、冷却コイル21に冷水供給部71からの冷水が供給される。また、除湿モード又は加湿モードにおいて、加熱する場合には、指示信号出力部92が出力する指示信号に従って、調温部20のバルブ22aが開き、加熱コイル22に温水供給部72からの温水が供給される。
【0065】
比エンタルピーh[kJ/kg’]は、温度t[℃]と湿度x[kg/kg’]から、以下の式1によって求めることができる。ここで、温度tは、乾球温度であり、湿度xは絶対湿度である。
h=1.006t+(1.86t+2501)x 式1
【0066】
このような式1から、湿度センサHにより計測される現在の湿度に応じて、所望の比エンタルピーhを得るための温度を決定することができる。現在の温度は、温度センサTにより計測されるため、その温度をどの程度上昇又は下降させれば、所望の比エンタルピーhが得られるかが決まる。このような設定温度と設定湿度の組み合わせをあらかじめテーブルで用意しておき、湿度に応じていずれかの温度を選択し、その温度にするには、どの程度温度を上昇又は下降すればよいかを求めるようにしてもよい。
【0067】
つまり、温度決定部94は、温度を下降させる場合には、外気の比エンタルピーが所定の値となるまで、外気が冷却されるように冷却コイル21による冷却温度を決定する。温度決定部94が決定した冷却温度に従って、指示信号出力部92が指示信号を出力するので、第1の熱媒調整部であるバルブ21cが開度を調整し、冷却コイル21の冷水の流量が調整される。
【0068】
また、温度決定部94は、温度を上昇させる場合には、外気の比エンタルピーが所定の値となるまで、外気が加熱されるように加熱コイル22の加熱温度を決定する。温度決定部94が決定した加熱温度に従って、指示信号出力部92が指示信号を出力するので、第2の熱媒調整部であるバルブ22aが開度を調整し、加熱コイル21の温水の流量を調整する。
【0069】
湿度決定部95は、湿度センサHにより計測される湿度に基づいて外気の湿度が、設定された値となるように、調湿部23による除湿又は加湿の量を決定する。湿度決定部95が決定した除湿又は加湿量に従って、指示信号出力部92が指示信号を出力するので、液量調整部であるバルブ42が開度を調整し、膜23aへの吸放湿溶液の滴下量が調整される。
【0070】
濃度決定部96は、除湿モード又は加湿モードに応じて、吸放湿溶液による除湿あるいは加湿が行われるように、吸放湿溶液の濃度を決定する。つまり、計測される吸放湿溶液の濃度が、設定値となるように濃度を上昇又は下降させる。これにより、調温部20が所定の比エンタルピーとした外気は、調湿部23が湿度を調整することにより、設定された温度と湿度が維持される。
【0071】
より具体的には、モード選択部93で除湿モードが選択された場合、濃度決定部96は、外気を調温部20で冷却後、調湿部23への吸放湿溶液の設定最大量において、設定湿度まで除湿できるように、吸放湿溶液の濃度を決定する。濃度決定部96が決定した濃度に従って、指示信号出力部92が指示信号を出力するので、第3の熱媒調整部であるバルブ35aが開度を調整し、加熱部31の温水の流量が調整され、吸放湿溶液の濃度が調整される。
【0072】
モード選択部93で加湿モードが選択された場合、濃度決定部96は、調湿部23への吸放湿溶液の設定最大量において設定湿度まで加湿できるように、吸放湿溶液の濃度を決定する。濃度決定部96が決定した濃度に従って、指示信号出力部92が指示信号を出力するので、水量調整部であるバルブ321bが開度を調整し、貯液部32cに供給する水量が調整される。加湿モードでは、上記のように、濃縮部32は機能させない。
【0073】
吸放湿溶液の濃度は、濃度センサCにより計測される。濃度決定部96は、濃度センサCにより計測される濃度が、除湿モード又は加湿モードにおいて、設定濃度となるように、計測される濃度を上昇又は下降させる。
【0074】
例えば、空調空間Rに供給される外気の湿度と吸放湿溶液の濃度との相関データを予め試験等を行って作成して記憶部91に記憶させる。この相関データに基づいて、所望の湿度に応じた吸放湿溶液の濃度を決定するとよい。
【0075】
[2.動作]
本実施形態の空気処理システムの動作を、除湿モードの運転、加湿モードの運転に分けて説明する。なお、以降はそれぞれを除湿運転、加湿運転として説明する。
【0076】
[除湿運転]
モード選択部93が除湿モードを選択した場合、空気処理システムは除湿運転を行う。この動作を、
図3及び
図4に示す。
図4は空気処理部2、再生部3を示している。外気の流れは、給気を白塗りの太い矢印で示す。吸放湿溶液の流れは太い実線、温水又は冷水の流れは太い点線、希釈水の流れは二点鎖線で示す。
図3及び
図4では、冷却コイル21に冷水が供給されている状態及び加熱コイル22に温水が供給されている状態が示されているが、調温部20において、いずれの状態を選択して外気を冷却するか、加熱するかは、バルブ21c、バルブ22cの開閉を切り替えることにより行う。なお、吸放湿溶液であるLiCl溶液の比重、比熱は、本説明では、水と同じ比重=1.0(g/cm
3)、比熱=4.187kJ/(kg・k)として計算した。
【0077】
(冷却除湿)
まず、夏季などに、外気を冷却して除湿する冷却除湿運転の場合、
図4に示すように、調温部20の冷却コイル21が外気を冷却し([1]点→[2]点)、調湿部23が外気の除湿を行う([2]点→[4]点)。再生部3では、加熱部31による外気の加熱([5]点→[6]点)、濃縮部32による吸放湿溶液の濃縮([6]点→[7]点)が行われる。濃縮された吸放湿溶液は、調湿部23に供給されて除湿に使用され、再生部3に復帰する([A]点→[B]点)。
【0078】
空気処理システムの冷却除湿運転時の作用をシミュレーションした結果を、
図5の空気線図を用いて説明する。設定値(SP)は、乾球温度22℃、相対湿度40%、絶対湿度6.6g/kg’、比エンタルピー38.8kJ/kg’、露点温度7.8℃とし、給気路100に取り込む外気量は、1kg’/h(=0.84m
3/h)として計算している。
【0079】
図5の空気線図の[1]〜[7]点は、
図4の[1]〜[7]点に対応している。つまり、[1]点は空気処理部2の外気入口、[2]点は冷却コイル21の出口=調温部20の出口、[4]点は調湿部23の出口である。[4]点は、熱交換器82がない場合、[4’]点は、熱交換器82による冷却を行う場合である。[5]点は再生部3の外気入口、[6]点は加熱部31を通過した点、[7]点は濃縮部32を通過した点である。[6]、[7]点は、熱交換器82がない場合、[6’]、[7’]点は、熱交換器82による冷却を行う場合である。各点において記載した数字は、(乾球温度[℃]/相対湿度[%]/絶対湿度[g/kg’]/比エンタルピー[kJ/kg’]、露点温度[℃])である。
【0080】
外気口101から給気路100に、高温多湿の外気が導入される([1]点:33/62/19.8/83.9/24.7)。外気は調温部20の冷却コイル21によって冷却されることにより、所定の比エンタルピーとなる([2]点:14.3/95/9.7/38.8/13.6)。続いて、外気は調温部20の加熱コイル22を通過した後([2]点と同じ)、調湿部23によって除湿されてSPとなり([4]点:22/40/6.6/38.8/7.8)、給気口102から空調空間Rに供給される。
【0081】
[1]の処理対象となる外気の1kg’(=0.84m
3)が[2]へ推移した場合、冷却コイル21により所定の比エンタルピー(38.8kJ/kg’)とするための除湿を含む冷却熱量とその除湿量(1)、また調湿部23により、設定された湿度値とするための除湿量(2)は、以下の通りである。
冷却熱量:83.9−38.8=45.1kJ/kg’
除湿量(1):19.8−9.7=10.1g/kg’
除湿量(2): 9.7−6.6=3.1g/kg’
【0082】
吸放湿溶液であるLiClの滴下量を外気量に対して12.5g/1000g’=0.0125(L/G)として、濃度40wt%とすると、LiClの濃度変化は、以下の通りとなる。
LiCl 5.0g+H
2O 7.5g=12.5g (40wt%)
→LiCl 5.0g+H
2O 10.6g=15.6g (32wt%)
【0083】
LiClの滴下量を0.0125(L/G)として、濃度35wt%とすると、LiClの濃度変化は、以下の通りとなる。
LiCl 4.4g+H
2O 8.1g=12.5g (35wt%)
→LiCl 4.4g+H
2O 11.2g=15.6g (28wt%)
【0084】
なお、滴下量を増やすと、LiClの濃度変化は小さくなる。例えば、L/G=25g/1000=0.025とすると、LiCl濃度35wt%の場合の変化は、以下の通りとなる。
LiCl 8.8g+H
2O 16.2g=25.0g (35wt%)
→LiCl 8.8g+H
2O 19.3g=28.1g (31wt%)
【0085】
以上のように滴下量が多いほど、LiCl濃度を低くしても所定の除湿量を維持できる。LiCl濃度を低くすることは、再生部3での加熱温度を低くすることができるため、エネルギー効率及び加熱源選択の上でメリットが大きい。一方で、冬季の加湿においては、通常の塩化リチウムを含まない水道水など加湿水は、L/G=0.02程度以下としているため、本実施形態の吸放湿溶液であるLiCl溶液でも、L/Gは多くても0.03以下程度とすることが望ましい。また、気化式加湿の飽和効率にあたる数値も、LiCl濃度により変化することから、外気と気化式加湿装置の気液接触面積により決まる飽和効率は、通常の水道水でのη=0.7以上が望ましい。
【0086】
なお、[6]点と[6’]点の比較、[7]点と[7’]点の比較からわかるように、熱交換器82による冷却を行う場合には、温度を上げずに除湿することができ、再生部3での加熱温度を低くすることができる。
【0087】
(加熱除湿)
次に、外気を加熱して除湿する加熱除湿運転の場合を説明する。加熱除湿運転が必要となる場合とは、例えば、
図5の[1’]で示すように、外気の比エンタルピーがSPよりも低く、絶対湿度がSPよりも高い場合である。
図4に示すように、調温部20が外気を加熱し([1’]点→[3]点)、調湿部23が外気の除湿を行う([3]点→[4]点)。再生部3では、加熱部31による外気の加熱([5]点→[6]点)、濃縮部32による吸放湿溶液の濃縮([6]点→[7]点)が行われる。濃縮により濃度調整された吸放湿溶液は、調湿部23に供給されて除湿に使用され、再生部3に復帰する([A]点→[B]点)。
【0088】
空気処理システムの加熱除湿運転時の作用をシミュレーションした結果を、
図5の空気線図を用いて説明する。設定値(SP)は、上記冷却除湿の時と同様に、乾球温度22℃、相対湿度40%、絶対湿度6.6g/kg’、比エンタルピー38.8kJ/kg’、露点温度7.8℃とし、給気路100に取り込む外気量は、1kg’/h(=0.84m
3/h)として計算している。
【0089】
図5の空気線図の[1’]、[3]、[4]は、
図4の[1]、[3]、[4]点に対応している。各点において記載した数字は、(乾球温度[℃]/相対湿度[%]/絶対湿度[g/kg’]/比エンタルピー[kJ/kg’]、露点温度[℃])である。
【0090】
外気口101から給気路100に、低温多湿の外気が導入される([1’]点:14.0/80/8.0/34.2/10.6)。外気は調温部20の加熱コイル22を通過することにより加熱されて所定の比エンタルピーとなり([3]点:18.4/60.8/8.0/38.8/10.7)、調湿部23によって除湿され([4]点:22/40/6.6/38.8/7.8)、給気口102から空調空間Rに供給される。
【0091】
対象処理空気の湿度制御は、湿度センサHによる値が設定値の湿度よりも高くなった場合には滴下量を多くし、低くなった場合には絞るように制御する。
【0092】
なお、上記の除湿運転において、調温部20が上流側、調湿部23が下流側にあるため、空気状態の設定及び実際の変化は、所定の比エンタルピーへの変化の後、設定湿度への変化となる。設定湿度への変化は、吸放湿溶液の外気水分の溶解熱により、等エンタルピー線上とはわずかに異なる温度変化を伴うが、最終的に設定湿度へ収束するように調温部20により、冷却、加熱が行われる。
【0093】
[加湿運転]
モード選択部93が加湿モードを選択した場合、空気処理システムは加湿運転を行う。この動作を、
図6及び
図7に示す。
図7は空気処理部2、再生部3を示している。外気の流れは、給気を白塗りの太い矢印で示す。吸放湿溶液の流れは太い実線、温水の流れは太い点線、希釈水の流れは二点鎖線で示す。
図6及び
図7では、冷却コイル21に冷水が供給されている状態及び加熱コイル22に温水が供給されている状態が示されているが、調温部20において、いずれの状態を選択して外気を冷却するか、加熱するかは、バルブ21c、バルブ22cの開閉を切り替えることにより行う。
【0094】
(加熱加湿)
まず、冬季などに、外気を加熱して加湿する加熱加湿運転の場合、
図7に示すように、調温部20が外気を加熱し([1]点→[3]点)、調湿部23が外気の加湿を行う([3]点→[4]点)。再生部3では、加熱部31による外気の加熱、濃縮部32による吸放湿溶液の濃縮は行わず、希釈部321による吸放湿溶液の希釈のみが行われる。希釈により濃度調整された吸放湿溶液は、調湿部23に供給されて加湿に使用され、再生部3に復帰する([A]点→[B]点)。
【0095】
空気処理システムの加熱加湿運転時の作用をシミュレーションした結果を、
図8の空気線図を用いて説明する。設定値(SP)は、乾球温度22℃、相対湿度40%、絶対湿度6.6g/kg’、比エンタルピー38.8kJ/kg’、露点温度7.8℃とし、給気路100に取り込む外気量は、1kg’/h(=0.84m
3/h)として計算している。
【0096】
図8の空気線図の[1]、[3]、[4]点は、
図7の[1]、[3]、[4]点に対応している。つまり、[1]点は外気入口、[2]点は冷却コイル21の出口、[3]点は加熱コイル22の調温部20の出口、[4]点は調湿部23の出口である。各点において記載した数字は、(乾球温度[℃]/相対湿度[%]/絶対湿度[g/kg’]/比エンタルピー[kJ/kg’]、露点温度[℃])である。
【0097】
外気口101から給気路100に、低温低湿の外気が導入される([1]点:0/34/1.3/3.2/−12.5)。外気は、調温部20の加熱コイル22によって加熱されることにより、所定の比エンタルピーとなる([3]点:35.3/3.7/1.3/38.8/−12.5)。続いて、調湿部23によって加湿され([4]点:22/40/6.6/38.8/7.8)、給気口102から空調空間Rに供給される。
【0098】
[1]の処理対象となる外気の1kg’(=0.84m
3)が[3]へ推移した場合、加熱コイル22が所定の比エンタルピー(38.8kJ/kg’)とするための加熱熱量と、調湿部23が設定値とするための加湿量は、以下の通りである。
加熱熱量:38.8−3.2=35.6kJ/kg’
加湿量:6.6−1.3=5.3g/kg’
【0099】
滴下式気化式加湿を用いたシステムでは、上記条件での加湿量を得るためには、飽和効率η=63%程度の気化式加湿膜で良い。また、吸放湿溶液の滴下量は、加湿に必要な量の2倍程度とし、塵埃や水中の析出部を防止するのが一般的である。上記の例では、5.3g/kg’×2=10.6g/kg’が水分だけの滴下量となる。LiCl溶液を濃度15wt%とすると、吸放湿溶液としては、
10.6÷0.85=12.5g/kg(LiCl 15%=1.9g,H
2O 85%=10.6g)
12.5g/1000g’=0.0125(L/G)
の滴下量となる。
このときのLiClの濃度変化は、以下の通りとなる。
LiCl 1.9g+H
2O 10.6g=12.5g (15wt%)
→LiCl 1.9g+H
2O 5.3g=7.2g (26wt%)
【0100】
(冷却加湿)
次に、外気を冷却して加湿する冷却加湿運転の場合を説明する。冷却加湿が必要となる場合とは、例えば、
図8の[1’]で示したように、外気の比エンタルピーがSPよりも高く、絶対湿度がSPよりも低い場合である。
図7に示すように、調温部20が外気を冷却し([1]点→[2]点)、調湿部23が外気の加湿を行う([2]点→[4]点)。再生部3では、加熱部31による外気の加熱、濃縮部32による吸放湿溶液の凝縮は行わず、希釈部321による吸放湿溶液の希釈のみが行われる。希釈により濃度調整された吸放湿溶液は、調湿部23に供給されて加湿に使用され、再生部3に復帰する([A]点→[B]点)。
【0101】
空気処理システムの加湿運転時の作用をシミュレーションした結果を、
図8の空気線図を用いて説明する。設定値(SP)は、乾球温度22℃、相対湿度40%、絶対湿度6.6g/kg’、比エンタルピー38.8kJ/kg’、露点温度7.8℃とし、給気路100に取り込む外気量は、1kg’/h(=0.84m
3/h)として計算している。
【0102】
図8の空気線図の[1’]、[2]、[4]は、
図5の[1]、[2]、[4]点に対応している。各点において記載した数字は、(乾球温度[℃]/相対湿度[%]/絶対湿度[g/kg’]/比エンタルピー[kJ/kg’]、露点温度[℃])である。
【0103】
外気口101から給気路100に、高温低湿の外気が導入される([1’]点:26/30/6.3/42.1/7.1)。外気は調温部20の冷却コイル21を通過することにより冷却されて所定の比エンタルピーとなり([2]点:22.6/36.9/6.3/38.8/7.1)、調湿部23によって加湿されて([4]点:22/40/6.6/38.8/7.8)、給気口102から空調空間Rに供給される。
【0104】
なお、対象処理空気の湿度制御は、湿度センサHによる測定値が、設定値の湿度よりも高くなった場合には滴下量を絞り、低くなった場合には滴下量を多くするように制御する。
【0105】
上記の加湿運転においても、調温部20が上流側、調湿部23が下流側にあるため、空気状態の設定及び実際の変化は、所定の比エンタルピーへの変化の後、設定湿度への変化となる。設定湿度への変化は、等エンタルピー線上とはわずかに異なる温度変化を伴うが、最終的に設定湿度へ収束するように調温部20により、冷却、加熱が行われる。
【0106】
[本実施形態と比較例との比較]
本実施形態では、上記の冷却除湿のように、除湿負荷が大きい場合において、外気の除湿は、冷却コイル21により冷却される際の除湿と、調湿部23の吸放湿溶液による除湿の2段階でなされる。冷却コイル21により除湿された水分は、このまま排出部21dにより排出され、調湿部23の吸放湿溶液により除湿された水分だけが、吸放湿溶液が加熱されることにより気化蒸発する。例えば、本実施形態では、対象となる処理空気から除湿すべき水分13.2g/kg’のうち、排出部21dにより10.1g/kg’を排出できる。つまり、排出すべき水分の77%を、そのまま外部に排出できる。しかし、特許文献1に示したように、熱交換コイルと吸放湿溶液の溶液再生機が一体となっている場合には、除湿すべき水分の全てを溶液再生機によって気化蒸発させる必要がある。すなわち、除湿すべき全水分量の13.2g/kg’を気化蒸発させるエネルギーが必要となる。これに対して、本実施形態では、再生部3を構成する装置を小型化することが可能であり、さらに加熱エネルギーの消費量が小さくて済むという利点がある。なお、吸放湿溶液による除湿量としては、気化式加湿装置との大きさを含む性能の整合から、3g/kg’以内、多くても4g/kg’以内とすることが望ましい。
図5に示した例では、[2]点の絶対湿度9.7g/kg’−[4]点の絶対湿度6.6g/kg’=除湿量3.1g/kg’となっている。
【0107】
[3.作用効果]
以上のような本実施形態の作用効果は、以下の通りである。
(1)本実施形態の空気処理装置10は、処理対象となる空気である外気を空調空間Rへ給気する給気路100と、給気路100に設置され、外気の比エンタルピーが所定の値となるように、外気の温度を調整する調温部20と、給気路100における調温部20の下流側に設置され、吸放湿溶液が供給されて流通する気液接触部材を有し、調温部20により温度が調整された外気を通過させることにより、外気の湿度を調整する調湿部23と、外気が所定の湿度となるように、吸放湿溶液の濃度を再生する再生部3と、を有する。
【0108】
このため、あらかじめ所定の比エンタルピーとなるように外気の温度を調整してから、吸放湿溶液によるほぼ等エンタルピー線上での湿度の調整を行って、設定された温度、湿度を維持させるので、外気の温度及び湿度調整のための吸放湿溶液の負荷が少なく、吸放湿溶液の流量を少なくして、さらに、除湿時における吸放湿溶液濃度を低く抑えることができる。
【0109】
より具体的には、調湿部23において除湿を行う前に、空気処理部2に設けた調温部20によって冷却を行うことにより、除湿量の一部を除去することで、調湿部23が除湿に使用する吸放湿溶液の濃度を低くする、あるいは液量を少なくすることができる。このため、吸放湿溶液の再生温度を低くする、あるいは吸放湿溶液による除湿装置部分を小さくすることができ、低エクセルギーの熱源、さらには加湿装置と同サイズとして気化式加湿装置との兼用が可能となるので、省エネルギーとなると同時に装置コストを低減できる。吸放湿溶液の流量については、冷却除湿、加熱除湿を行う場合でも、加熱加湿、冷却加湿を行う場合でも、滴下式気化式加湿器への供給液量程度で済む。このため、空気処理部2の腐食範囲、腐食の速度も遅くなり、劣化の進行も遅くなるので、耐久性が向上する。また、吸放湿溶液の流量が少なくて済むため、ポンプ等の機器も小型化、低コスト化できる。さらに、吸放湿溶液が低濃度で流量が少ないため、複数の空調空間Rに対応して設けられた多数の空気処理部2に対して、共通のタンク6、ポンプ51、再生部3などを使用することができ、低コストでシステムを構築できる。
【0110】
そもそも、従来の吸放湿溶液を用いる外気処理システムでは、上述のように必要な除湿量の全量を吸放湿溶液に吸収させるため、吸放湿溶液の濃度低下が大きく、また凝縮潜熱により温度上昇が大きい。この変化を仮想的に示した簡略空気線図が、
図9[1]→[2]である。従来の吸放湿溶液を用いる外気処理システムでは、高濃度の吸放湿溶液を大量に流通させ、さらに、吸放湿溶液を冷却することにより、温度の上昇を抑えていた。この変化を、
図9[2]→[3]に示す。つまり、結果的に、[1]→[3]の変化をさせていた。本実施形態の空気処理装置10は、
図5における[1]→[2]
(図9の[1]→[2´])のように、外気をあらかじめ冷却除湿することにより、低濃度、少量の吸放湿溶液によって、温度上昇を抑えることができる。すなわち、
図9で全体除湿量ΔX
1+2のうち、冷却除湿によりΔX
1は外部に排出されΔX
2のみが吸放湿溶液に吸収されるので、再生部3での加熱量が減少する。
【0111】
(2)再生部3に接続され、調湿部23に吸放湿溶液を供給する供給路4と、再生部3からの吸放湿溶液を、調湿部23へ復帰させる復帰路5と、を有し、調温部20は、熱媒との熱交換により外気を冷却する冷却コイル21と、熱媒との熱交換により外気を加熱する加熱コイル22と、冷却コイル21に設けられ、冷却により生じた水分を排出する排出部21dと、を有する。
【0112】
このため、外気から除湿される水分の大半を、冷却コイル21の排出部21dにより排出させることができるので、吸放湿溶液の加熱によって気化蒸発させる水分を低減できる。したがって、加熱エネルギーの消費量を低減できる。
【0113】
冷却コイル21により排出される水分は、設定値での露点温度よりも高い部分での結露水のため、設定湿度まで冷却除湿する場合の冷水温度に比べて高く維持できるため、通常の冷却除湿方式に比べて空冷ヒートポンプ等の冷凍機を含む冷温水供給装置70の効率が高く維持できる。
【0114】
(3)空気処理部2内での吸放湿溶液は、非循環である。また、再生部3内での吸放湿溶液も、定常運転においては、非循環である。つまり、吸放湿溶液の流量は少なく、低濃度でよいため、非循環とすることができる。このため、各空気処理部2及び再生部3において、循環用のポンプが不要となり、コストを低減できる。但し、上記のように、再生部3においては、冷却除湿、加熱除湿時における停止時に周囲からの水分吸収及び加湿モードから除湿モードへの変更時に吸放湿溶液の濃度を高めるために、バイパス管を設けている。
【0115】
[4.他の実施の形態]
本発明は、上記のような実施形態に限定されるものではない。例えば、
図10に示すように、空気処理装置10の調湿部23の上流に、つまり加熱コイル22と調湿部23との間に上流側湿度センサH2を設ける。また、制御装置90は、上流側
湿度センサH2により検出される湿度と、湿度センサHにより検出される湿度の差分を求める差分演算部を有する。そして、差分演算部により求めた湿度の差分に応じて、濃度決定部96が吸放湿溶液の濃度を決定する。その他の構成は、上記の実施形態と同様である。
【0116】
これにより、外気の風量変化が大きい場合や複数台の空気処理部2を有する場合にも、加湿、除湿の制御を適切に行うことができる。通常、外気を処理する空気処理装置10は省エネ効率を高めるために室内の二酸化炭素濃度に応じて、外気の導入量を変化させる。外気量が減れば装置としての除湿量が減り、吸放湿溶液が薄められる度合、すなわち濃度低下が少なくなるため溶液濃度を低く抑えることができる。また、これにより吸放湿溶液量を極端に微量にすることがなくなるので制御性も良くなる。
【0117】
なお、空気処理部2と再生部3が、1対1の関係であれば、吸放湿溶液の量を一定として、設定する湿度となるように、吸放湿溶液の濃度を制御することで設定湿度を維持することも可能である。
【0118】
濃度調整部は、上記の再生部3内で高濃度として、吸放湿溶液の供給路4において希釈水により希釈する構成としてもよい。例えば、
図11に示すように、供給路4のバルブ42の手前にバルブ42aを設け、バルブ42とバルブ42aの間の供給路4に、希釈水の流路を接続し、バルブ42bを設ける。これにより、再生部3の構造や処理を簡素化できる。また、吸放湿溶液の量は少なく、凝縮熱による温度変化が主体となるため、熱交換器82を省略してシステムを簡素化しても良い。室内からの還気は、外部に排気する前に処理部2に入る前の外気との全熱交換あるいは顕熱交換を行うことで、処理部にかかる負荷を減らしてもよい。また、さらに再生部3の加熱コイル31の加熱源は、温水には限定されない。例えば、蒸気熱源を用いることにより再生部3をさらに小型化することも可能である。
【0119】
吸放湿溶液としては、塩化リチウムには限定されず、塩、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、その他の吸湿性を有する液体を用いてもよい。また、温水及び冷水の熱源としての冷温水供給装置70としては、水冷式のヒートポンプでもよく、温水の熱源、冷水の熱源が別個に構成されたものでもよい。気液接触部材としては、空気と溶液が直接接触しない透湿膜を採用してもよい。
【0120】
さらに、吸放湿溶液として、二酸化炭素を吸収する液体を含めてもよい。このような液体としては、例えば、NaOH、Ca(OH)
2の水溶液があげられる。この場合、再生部3において二酸化炭素を除去するシステム、あるいは調湿部23での吸収液体と二酸化炭素反応物を定期的に清掃、除去するシステムとして構成できる。例えば、夏及び冬の外気負荷の大きいときに、二酸化炭素を吸収する液体を追加する。外気のCO
2は、一般的には400ppmであるが、都心では、700ppmになる場合もある。室内は、1000ppm以下に抑えることが求められているため、一般的な外気との差は600ppm、都心との差は300ppmとなる。吸放湿溶液として、二酸化炭素を吸収する液体を含めることにより、外気のCO
2濃度を一般的なレベルに抑えることができる。
【0121】
本発明の処理対象としての空気は、外気には限定されない。共通の室内で循環させる空気、別個の室内の間で流通させる空気を処理対象としてもよい。
【0122】
本発明は上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を適宜変形することができる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせても良い。例えば、上述の実施形態に示される構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよく、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。