(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回路切換部は、前記第1回路状態及び前記第2回路状態の各々において、前記第1走行モータに供給される前記作動油の流量が前記第2走行モータに供給される前記作動油の流量と等しくなるように前記油圧回路を変更する請求項1に記載の油圧システム。
前記第1走行モータ、前記第2走行モータ、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータの駆動状態に応じて、前記走行切換弁を前記第1切換状態と前記第2切換状態との間で切り換えるためのロジックシステムを更に備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の油圧システム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。以下に説明する油圧システムは、2つの油圧ポンプによって、2つの走行モータ及びドーザシリンダ(すなわち第1アクチュエータ)を駆動するためのシステムであり、コストを抑えつつ、切換ショック等の操作時の不快感を低減して快適な操作性を実現することができる。
【0021】
まず、本発明の実施形態と比較される「走行切換弁を用いた典型的な油圧システム」について説明する。
【0022】
図1は、走行切換弁42を用いた典型的な油圧システム10の回路構成を示す概略図であり、ドーザを駆動するためのドーザシリンダによって構成される第1アクチュエータ31に作動油を供給する前の状態を示す。
図2は、走行切換弁42を用いた典型的な油圧システム10の回路構成を示す概略図であり、第1アクチュエータ31に作動油を供給している状態を示す。
【0023】
図1及び
図2に示す油圧システム10は第1油圧ポンプ11及び第2油圧ポンプ12を備える。第1油圧ポンプ11からの油路は2つの油路に分岐し、一方の油路が第2タンデム通路25につながっている。また第2油圧ポンプ12からの油路は2つの油路に分岐し、一方の油路が第1パラレル通路26につながっている。
【0024】
第1油圧ポンプ11から延びる他方の油路及び第2油圧ポンプ12から延びる他方の油路は、走行切換弁42に接続され、走行切換弁42の切換状態に応じて接続される油路が変更される。すなわち、走行切換弁42は第1切換状態42a及び第2切換状態42bのいずれかに切り換え可能であり、油圧回路13を変更する。走行切換弁42が第2切換状態42bに置かれている場合、第1油圧ポンプ11から延びる他方の油路は走行切換弁42を介して第1タンデム通路24につながり、第2油圧ポンプ12から延びる他方の油路は走行切換弁42を介して第2パラレル通路27につながる。一方、走行切換弁42が第1切換状態42aに置かれている場合、第1油圧ポンプ11から延びる他方の油路は走行切換弁42を介して第2パラレル通路27につながり、第2油圧ポンプ12から延びる他方の油路は走行切換弁42を介して第1タンデム通路24につながる。
【0025】
第1走行モータ21及び第2走行モータ22が駆動され、且つ、油圧回路13を介して第1油圧ポンプ11及び第2油圧ポンプ12に接続されている第1アクチュエータ31及び他のアクチュエータの少なくともいずれかが駆動される場合、走行切換弁42は、第2切換状態42bに置かれる。この場合、第1油圧ポンプ11からの作動油が第1タンデム通路24を介して第1走行モータ21に供給され、第1油圧ポンプ11からの作動油が第2タンデム通路25を介して第2走行モータ22に供給される。また第2油圧ポンプ12からの作動油が第2パラレル通路27を介して第1アクチュエータ31に供給され、第2油圧ポンプ12からの作動油が第1パラレル通路26及び/又は第2パラレル通路27を介して他のアクチュエータに供給される。
【0026】
一方、第1走行モータ21及び第2走行モータ22が駆動され、且つ、油圧回路13を介して第1油圧ポンプ11及び第2油圧ポンプ12に接続されている第1アクチュエータ31及び他のアクチュエータがいずれも駆動されない場合、走行切換弁42は、第1切換状態42aに置かれる。この場合、第2油圧ポンプ12からの作動油が第1タンデム通路24を介して第1走行モータ21に供給され、第1油圧ポンプ11からの作動油が第2タンデム通路25を介して第2走行モータ22に供給される。
【0027】
また第1走行モータ21、第2走行モータ22、第1アクチュエータ31及び他のアクチュエータの各々に対しては、方向切換弁41a、41b、41cが割り当てられている。各方向切換弁41a、41b、41cは、割り当てられたアクチュエータ(すなわち第1走行モータ21、第2走行モータ22、第1アクチュエータ31又は他のアクチュエータ)に対する作動油の供給の有無及び作動油の供給方向を切り換えたり、作動油の供給路を絞って作動油の供給量を調整したりすることができる。
【0028】
図1及び
図2に示す方向切換弁41a、41b、41cの各々は、8個のポートを持ち3つの位置をとることができる8ポート3位置油圧パイロット作動弁として構成され、真ん中位置が作動油の供給を停止する中立位置(すなわち非駆動位置)を示し、両端位置が作動油の供給を行う駆動位置を示す。
図1及び
図2では右側端位置が順方向駆動位置を示し、左側端位置が逆方向駆動位置を示す。したがって
図1には、第1走行モータ21に割り当てられる方向切換弁41a及び第2走行モータ22に割り当てられる方向切換弁41bが順方向駆動位置に置かれ、第1アクチュエータ31に割り当てられる方向切換弁41cが中立位置に置かれている状態が示されている。一方、
図2には、第1走行モータ21に割り当てられる方向切換弁41a、第2走行モータ22に割り当てられる方向切換弁41b及び第1アクチュエータ31に割り当てられる方向切換弁41cが、順方向駆動位置に置かれている状態が示されている。なお
図1及び
図2において、他のアクチュエータに割り当てられている方向切換弁の図示は省略されている。
【0029】
第1走行モータ21、第2走行モータ22、第1アクチュエータ31及び他のアクチュエータから排出される作動油は、方向切換弁41a、41b、41cを介してタンク通路29に流入し、タンク通路29から排出タンク30に排出される。また第1タンデム通路24、第2タンデム通路25、第1パラレル通路26及び第2パラレル通路27の各々は、最下流位置においてタンク通路29に接続されている。
【0030】
このように、上述の走行切換弁42を用いた典型的な油圧システム10では、走行しながらドーザを上下駆動する際には、1つの油圧ポンプ(
図1及び
図2では第1油圧ポンプ11)から第1走行モータ21及び第2走行モータ22に作動油が供給される。一方、第1アクチュエータ31及び他のアクチュエータを駆動せず第1走行モータ21及び第2走行モータ22のみを駆動する際には、2つの油圧ポンプから第1走行モータ21及び第2走行モータ22に作動油が供給される。そのため、ドーザの駆動及び非駆動を細かく切り換える場合には、走行切換弁42の状態も細かく切り換えられ、ドーザの駆動及び非駆動を切り換えるたびに切換ショックが発生し、操作性が非常に悪い。
【0031】
一方、下記の本発明の一実施形態に係る油圧システム10によれば、2つの油圧ポンプによって2つの走行モータ及びドーザシリンダを駆動され、そのような切換ショックの発生が低減されており、低コスト化と快適な操作性の実現とを両立させることができる。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態に係る油圧システム10の回路構成を示す概略図であり、ドーザシリンダによって構成される第1アクチュエータ31が駆動されない状態を示す。
図4は、本発明の一実施形態に係る油圧システム10の回路構成を示す概略図であり、ドーザシリンダによって構成される第1アクチュエータ31が駆動される状態を示す。なお
図3及び
図4は、第1走行モータ21、第2走行モータ22及び第1アクチュエータ31以外の他のアクチュエータ(すなわち後述の「第2アクチュエータ」)が駆動されない場合の回路構成を示す図である。第1走行モータ21、第2走行モータ22及び第1アクチュエータ31以外の他のアクチュエータが駆動される場合については、後述する(
図5等参照)。
【0033】
図3及び
図4に示す油圧システム10も、作動油を供給する第1油圧ポンプ11及び第2油圧ポンプ12と、供給される作動油に応じて駆動される第1走行モータ21及び第2走行モータ22と、供給される作動油に応じてドーザを駆動する第1アクチュエータ31と、油圧回路を変更して、第1油圧ポンプ11及び第2油圧ポンプ12からの作動油の供給先を切り換える回路切換部40とを備える。第1油圧ポンプ11及び第2油圧ポンプ12は、同じ出力を有し、第1油圧ポンプ11及び第2油圧ポンプ12から同じ流量の作動油が油路に供給される。回路切換部40は、各アクチュエータ(すなわち第1走行モータ21、第2走行モータ22、第1アクチュエータ31及び他のアクチュエータの各々)に割り当てられる方向切換弁41a、41b、41c(8ポート3位置油圧パイロット作動弁)と、走行切換弁42とを有する。
【0034】
なお、他のアクチュエータは、
図3及び
図4において図示が省略されているが、第1アクチュエータ31よりも下流側において第1タンデム通路24、第2タンデム通路25、第1パラレル通路26及び第2パラレル通路27に連通可能に設けられており、1又は複数のアクチュエータ(例えば油圧モータ又は油圧シリンダ等)によって構成されている。以下、他のアクチュエータ(すなわち1又は複数のアクチュエータ)を総称して「第2アクチュエータ」とも呼ぶ。すなわち第2アクチュエータは、第1走行モータ21、第2走行モータ22及び第1アクチュエータ31とは異なる1又は複数のアクチュエータであって、供給される作動油に応じて駆動される。
【0035】
方向切換弁41aは、第1走行モータ21用の方向切換弁であり、第1走行モータ21に対する作動油の供給の有無及び作動油の供給方向を切り換える。方向切換弁41bは、第2走行モータ22用の方向切換弁であり、第2走行モータ22に対する作動油の供給の有無及び作動油の供給方向を切り換える。方向切換弁41cは、第1アクチュエータ31用の方向切換弁であり、第1アクチュエータ31に対する作動油の供給の有無及び作動油の供給方向を切り換える。第2アクチュエータ(すなわち他のアクチュエータ)に対しても、専用の方向切換弁が設けられている。なお方向切換弁は、割り当てられたアクチュエータに対する作動油の供給の有無及び作動油の供給方向を切り換えることができるだけではなく、油路を絞って割り当てられたアクチュエータに対する作動油の供給量を調整することもできる。
【0036】
油圧システム10は、第1タンデム通路24、第2タンデム通路25、第1パラレル通路26及び第2パラレル通路27を含む。第1タンデム通路24及び第2タンデム通路25の各々には、方向切換弁41a、41b、41cが直列的に設けられている。これにより、第1タンデム通路24及び第2タンデム通路25の各々を流れる作動油は、方向切換弁41a、41b、41cによって、上流側(すなわち第1油圧ポンプ11及び第2油圧ポンプ12に近い側)のアクチュエータに優先的に供給可能となっている。
【0037】
例えば、
図3及び
図4に示す油圧システム10では、方向切換弁41aが駆動位置(すなわち
図3の右側の順方向駆動位置又は
図3の左側の逆方向駆動位置)に置かれた場合、第1タンデム通路24から第1走行モータ21に作動油が供給される。そのため、第1タンデム通路24を流れる作動油は、第1走行モータ21よりも下流側に設けられるアクチュエータ(すなわち第2走行モータ22、第1アクチュエータ31及び他のアクチュエータ)には供給されない。また方向切換弁41bが駆動位置(すなわち
図3の右側の順方向駆動位置又は
図3の左側の逆方向駆動位置)に置かれた場合、第2タンデム通路25から第2走行モータ22に作動油が供給される。そのため、第2タンデム通路25を流れる作動油は、第2走行モータ22よりも下流側に設けられるアクチュエータ(すなわち第1アクチュエータ31及び他のアクチュエータ)には供給されない。
【0038】
方向切換弁41bと方向切換弁41cとの間において、第1タンデム通路24及び第2タンデム通路25の各々には途中で分岐路が形成されている。当該分岐路は、下流側から上流側への作動油の逆流を防ぐ逆止弁が設けられており、方向切換弁41cを介して第1アクチュエータ31に連通可能に設けられている。また第1パラレル通路26及び第2パラレル通路27の各々にも途中で分岐路が形成され、当該分岐路は、絞り及び逆止弁が設けられており、方向切換弁41cを介して第1アクチュエータ31に連通可能に設けられている。第1タンデム通路24、第2タンデム通路25、第1パラレル通路26及び第2パラレル通路27の各々に設けられるこれらの分岐路は、相互に合流した後に方向切換弁41cに接続されている。
【0039】
第1タンデム通路24、第2タンデム通路25、第1パラレル通路26及び第2パラレル通路27は、最下流部においてタンク通路29につながっている。油圧回路13に接続されるいずれのアクチュエータにも供給されなかった作動油は、最終的にはこれらの通路からタンク通路29に流れ込んで、タンク通路29から排出タンク30に排出される。また各方向切換弁41a、41b、41cもタンク通路29に接続されている。油圧回路13につながっているアクチュエータ(すなわち第1走行モータ21、第2走行モータ22、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ)から排出された作動油は、方向切換弁41a、41b、41cを介してタンク通路29に流れ込み、タンク通路29から排出タンク30に排出される。
【0040】
走行切換弁42は、パイロット圧(油圧)によって状態が切り換えられる油圧パイロット作動弁として構成されている。パイロット圧が走行切換弁42に作用していない場合には走行切換弁42は第1切換状態42aに置かれ、パイロット圧が走行切換弁42に作用している場合には走行切換弁42は第2切換状態42bに置かれる。
【0041】
走行切換弁42が第1切換状態42aに置かれる場合、走行切換弁42は、第1油圧ポンプ11から走行切換弁42に接続される油路を第1タンデム通路24に接続するとともに、第2油圧ポンプ12から走行切換弁42に接続される油路を第2パラレル通路27に接続する。したがって走行切換弁42が第1切換状態42aに置かれる場合、第1油圧ポンプ11は第1タンデム通路24及び第1パラレル通路26に作動油を供給し、第2油圧ポンプ12は第2タンデム通路25及び第2パラレル通路27に作動油を供給する。これにより、第1油圧ポンプ11から少なくとも第1走行モータ21に作動油を供給することが可能となり、また第2油圧ポンプ12から少なくとも第2走行モータ22に作動油を供給することが可能になる。
【0042】
一方、走行切換弁42が第2切換状態42bに置かれる場合、走行切換弁42は、第1油圧ポンプ11から走行切換弁42に接続される油路を第2パラレル通路27に接続するとともに、第2油圧ポンプ12から走行切換弁42に接続される油路を第1タンデム通路24に接続する。なお、第2切換状態42bの走行切換弁42が有する「第2パラレル通路27への油路」と「第1タンデム通路24への油路」とは連絡油路を介して相互に接続されている。当該連絡油路には絞り及び逆止弁が設けられ、「第2パラレル通路27への油路」から「第1タンデム通路24への油路」への作動油の流入が可能となっている。したがって走行切換弁42が第2切換状態42bに置かれる場合、第1油圧ポンプ11は主として第1パラレル通路26及び第2パラレル通路27に作動油を供給し、第2油圧ポンプ12は第1タンデム通路24及び第2タンデム通路25に作動油を供給する。これにより、第2油圧ポンプ12から第1走行モータ21及び第2走行モータ22に作動油を供給しつつ、第1油圧ポンプ11から少なくとも第2アクチュエータ(すなわち第1アクチュエータ31よりも下流側に設けられる他のアクチュエータ)に作動油を供給することが可能になる。
【0043】
本実施形態の回路切換部40(すなわち方向切換弁41a、41b、41c及び走行切換弁42)は、以下の第1回路状態と第2回路状態とに、油圧システム10の油圧回路13を変更する。なお、以下に説明する第1回路状態及び第2回路状態は、「第1走行モータ21及び第2走行モータ22が駆動され、第1アクチュエータ31が駆動されず、他のアクチュエータが駆動される場合」以外の場合に実現される。
【0044】
すなわち、油圧回路13を第1回路状態(
図4参照)及び第2回路状態(
図3参照)のいずれかにする場合には、走行切換弁42は第1切換状態42aに置かれる。これにより、第1油圧ポンプ11からの油路が第1タンデム通路24及び第1パラレル通路26の各々につながり、第2油圧ポンプ12からの油路が第2タンデム通路25及び第2パラレル通路27の各々につながる。ただし、第1アクチュエータ31に割り当てられた方向切換弁41cは、第1回路状態では駆動位置(
図4に示す例では右端側の順方向駆動位置)に置かれ、第2回路状態では中立位置(
図3に示す例では真ん中位置)に置かれる。
【0045】
したがって第1回路状態では、第1油圧ポンプ11から第1走行モータ21及び第1アクチュエータ31に作動油を供給し、第2油圧ポンプ12から第2走行モータ22及び第1アクチュエータ31に作動油を供給する(
図4参照)。また第2回路状態では、第1油圧ポンプ11から第1走行モータ21に作動油を供給し、第2油圧ポンプ12から第2走行モータ22に作動油を供給し、第1油圧ポンプ11及び第2油圧ポンプ12から第1アクチュエータ31に作動油は供給されない(
図3参照)。
【0046】
なお回路切換部40は、上述の第1回路状態及び第2回路状態の各々において、第1走行モータ21に供給される作動油の流量が第2走行モータ22に供給される作動油の流量と等しくなるように油圧回路を変更することができる。
【0047】
また第1走行モータ21、第2走行モータ22及び第1アクチュエータ31以外の他のアクチュエータ(すなわち第2アクチュエータ)が油圧回路13に接続されない場合、走行切換弁42が設けられていなくてもよい。この場合、第1油圧ポンプ11及び第2油圧ポンプ12から延びる油路は、走行切換弁42の第1切換状態42aの場合の油路と同様に構成することができる。すなわち、第1油圧ポンプ11からの油路を第1タンデム通路24及び第1パラレル通路26に接続し、第2油圧ポンプ12からの油路を第2タンデム通路25及び第2パラレル通路27に接続することができる。
【0048】
図5は、本発明の一実施形態に係る油圧システム10の回路構成を示す概略図であり、第1走行モータ21及び第2走行モータ22が駆動され、第1アクチュエータ31が駆動されず、他のアクチュエータが駆動される状態を示す。
【0049】
第1走行モータ21及び第2走行モータ22が駆動され、第1アクチュエータ31が駆動されず、油圧回路13に接続される他のアクチュエータ(すなわち第2アクチュエータ)が駆動される場合、走行切換弁42は第2切換状態42bに置かれる。これにより、第1走行モータ21には第2油圧ポンプ12からの作動油が第1タンデム通路24を介して供給され、第2走行モータ22には第2油圧ポンプ12からの作動油が第2タンデム通路25を介して供給され、第2アクチュエータには第1油圧ポンプからの作動油が第1パラレル通路26及び/又は第2パラレル通路27を介して供給される。このように走行切換弁42が第2切換状態42bに置かれると油圧回路13は第3回路状態に置かれ、第2油圧ポンプ12から第1走行モータ21及び第2走行モータ22に作動油が供給され、第1アクチュエータ31に作動油が供給されず、第1油圧ポンプ11から第2アクチュエータ(すなわち第1アクチュエータ31よりも下流側に設けられる他のアクチュエータ)に作動油が供給される。
【0050】
図6は、指示受付部50、方向切換弁41a及び各種アクチュエータの関係を示すブロック図である。
【0051】
油圧システム10は、操作者からの操作指示を受け付ける指示受付部50を備える。この指示受付部50は、各アクチュエータ(すなわち第1走行モータ21、第2走行モータ22、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32の各々)に関連づけられて設けられている。指示受付部50の具体的な形態は特に限定されないが、典型的には、操作者によって操作可能なレバー、ボタン或いはペダル等によって指示受付部50を構成することができる。本実施形態の指示受付部50は、第1走行モータ21に関連づけられた第1走行ペダル51と、第2走行モータ22に関連づけられた第2走行ペダル52と、第1アクチュエータ31に関連づけられた第1操作レバー53と、第2アクチュエータ32に関連づけられた第2操作レバー54とを含む。なお、上述のように第2アクチュエータ32は1又は複数のアクチュエータを集合的に表しているため、第2操作レバー54も1又は複数のレバー等を集合的に表している。
【0052】
例えば、操作者は、第1走行ペダル51を操作することによって、方向切換弁41aをコントロールし、第1走行モータ21の駆動及び非駆動の切り換えや第1走行モータ21の駆動状態をコントロールできる。同様に、操作者は、第2走行ペダル52を操作することによって方向切換弁41bをコントロールし、第1操作レバー53を操作することによって方向切換弁41cをコントロールし、第2操作レバー54を操作することによって方向切換弁41dをコントロールし、第2走行モータ22、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32の駆動及び非駆動の切り換えや駆動状態をコントロールすることができる。したがって、ドーザ33を上下動させる場合には、操作者は、第1操作レバー53を操作すればよい。
【0053】
図7は、第1回路状態(
図4参照)及び第2回路状態(
図3参照)の決定フローの概略を示すフローチャートである。理解を容易にするために、
図7は、走行駆動の有無及びドーザ駆動の有無に基づく回路状態の決定フローが示されている。したがって
図7に示されるフローチャートは、第2アクチュエータ32(すなわち第1アクチュエータ31よりも下流側に設けられる他のアクチュエータ)が駆動されていないことが前提となっている。なお、第2アクチュエータ32の駆動の有無も考慮した回路状態の決定フローについては、
図8及び
図9を参照して後述する。
【0054】
油圧システム10の駆動モードが走行駆動を行うモードの場合(
図7のS11のY)、
図7に示す後段のステップ(S12〜S14)が行われる。一方、油圧システム10の駆動モードが走行駆動を行うモードではない場合(S11のN)、
図7に示す後段のステップが行われない。
【0055】
油圧システム10の駆動モードが、走行駆動を行うモードであり、且つ、第1アクチュエータ31によってドーザを駆動するモードである場合(S12のY)、回路切換部40は油圧回路13を第1回路状態にする(S13)。一方、油圧システム10の駆動モードが、走行駆動を行うモードではあるが、第1アクチュエータ31によってドーザを駆動するモードではない場合(S12のN)、回路切換部40は油圧回路13を第2回路状態にする(S14)。
【0056】
具体的には、指示受付部50(
図6参照)が受け付けた操作指示に基づいて回路切換部40が油圧回路13を変更し、第1回路状態及び第2回路状態を実現する。例えば指示受付部50(
図6参照)が受け付けた操作指示が、第1走行モータ21及び第2走行モータ22を駆動しつつ第1アクチュエータ31を駆動するモードに対応する場合には、回路切換部40は油圧回路13を第1回路状態とする。一方、指示受付部50が受け付けた操作指示が、第1走行モータ21及び第2走行モータ22を駆動するが第1アクチュエータ31を駆動しないモードに対応する場合には、回路切換部40は油圧回路13を第2回路状態とする。
【0057】
図8は、走行切換弁42の切換状態の決定フローの概略を示すフローチャートである。
【0058】
油圧システム10の駆動モードが走行駆動を行うモードの場合(
図8のS21のY)、後段のステップS22が行われる。一方、油圧システム10の駆動モードが走行駆動を行うモードではない場合(S21のN)、走行切換弁42は第1切換状態42aに置かれる(S25)
【0059】
油圧システム10の駆動モードが、走行駆動を行うモードであり、且つ、第1アクチュエータ31によってドーザを駆動するモードである場合(S22のY)、第2アクチュエータ32の駆動の有無にかかわらず、走行切換弁42は第1切換状態42aに置かれる(S25)。一方、油圧システム10の駆動モードが、走行駆動を行うモードではあるが、第1アクチュエータ31によってドーザを駆動するモードではない場合(S22のN)、第2アクチュエータ32の駆動の有無に応じて以下のように走行切換弁42の切換状態が決められる。すなわち、油圧システム10の駆動モードが第2アクチュエータ32を駆動するモードではない場合(S23のN)、走行切換弁42は第1切換状態42aに置かれる(S25)。一方、油圧システム10の駆動モードが第2アクチュエータ32を駆動するモードの場合(S23のY)、走行切換弁42は第2切換状態42bに置かれる(S24)。
【0060】
具体的には、指示受付部50(
図6参照)が受け付けた操作指示に基づいて、走行切換弁42の切換状態が決められ、各方向切換弁41a、41b、41cの状態が決められ、油圧回路13が変更され、第1回路状態、第2回路状態及び第3回路状態が実現される。例えば指示受付部50が受け付けた操作指示が、第1走行モータ21及び第2走行モータ22を駆動し、第1アクチュエータ31を駆動し、第2アクチュエータ32を駆動し又は駆動しない第1駆動モードに対応する場合には、走行切換弁42は第1切換状態42aに置かれ、回路切換部40は油圧回路13を第1回路状態とする。また指示受付部50が受け付けた操作指示が、第1走行モータ21及び第2走行モータ22を駆動し、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32を駆動しない第2駆動モードに対応する場合には、走行切換弁42は第1切換状態42aに置かれ、回路切換部40は油圧回路13を第2回路状態とする。また指示受付部50が受け付けた操作指示が、第1走行モータ21及び第2走行モータ22を駆動し、第1アクチュエータ31を駆動せず、第2アクチュエータ32を駆動する第3駆動モードに対応する場合には、走行切換弁42は第2切換状態42bに置かれ、回路切換部40は油圧回路13を第3回路状態とする。
【0061】
図9は、第1駆動モード、第2駆動モード及び第3駆動モードにおける、各種アクチュエータの駆動状態と、走行切換弁の状態と、油圧回路の状態とを示す表である。
【0062】
上述のように第1駆動モードでは、第1走行モータ21及び第2走行モータ22が駆動され、第1アクチュエータ31(すなわちドーザシリンダ)が駆動され、第2アクチュエータ32(すなわち他のアクチュエータ)が駆動され又は駆動されず、走行切換弁42が第1切換状態42aに置かれ、油圧回路13が第1回路状態に置かれる。また第2駆動モードでは、第1走行モータ21及び第2走行モータ22が駆動され、第1アクチュエータ31が駆動されず、第2アクチュエータ32が駆動されず、走行切換弁42が第1切換状態42aに置かれ、油圧回路13が第2回路状態に置かれる。また第3駆動モードでは、第1走行モータ21及び第2走行モータ22が駆動され、第1アクチュエータ31が駆動されず、第2アクチュエータ32が駆動され、走行切換弁42が第2切換状態42bに置かれ、油圧回路13が第3回路状態に置かれる。
【0063】
次に、走行切換弁42の切り換えを行うロジックシステムについて説明する。
【0064】
図10は、ロジックシステム60及び走行切換弁42の関係を示すブロック図である。走行切換弁42は、ロジックシステム60によって第1切換状態42a又は第2切換状態42bに切り換えられる。このロジックシステム60は、指示受付部50(
図6参照)が受け付けた操作指示に応じて、走行切換弁42の切り換えコントロールを行う。
【0065】
このように油圧システム10が備えるロジックシステム60は、第1走行モータ21、第2走行モータ22、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32の駆動状態に応じて、走行切換弁42を第1切換状態42aと第2切換状態42bとの間で切り換えることができる。ただし、ロジックシステム60の具体的な構成は特に限定されない。典型的には、油圧ロジックを利用したシステム又は電気信号ロジックを利用したシステムによってロジックシステム60を構成することが可能である。
【0066】
図11は、油圧ロジックを利用したロジックシステム60の油圧ロジック回路61の一例を示す図である。
【0067】
図11の油圧ロジック回路61は、油圧ロジック回路61用の油圧源64(すなわちパイロット油圧源)を備える。油圧源64から延びる油路は、絞りを介して第1走行モータ用ロジック弁66、第2走行モータ用ロジック弁67、第2アクチュエータ用ロジック弁68及びドーザ用ロジック弁69に接続されている。第1走行モータ用ロジック弁66、第2走行モータ用ロジック弁67、第2アクチュエータ用ロジック弁68及びドーザ用ロジック弁69は、油圧源64からの油路に対して並列的に設けられており、それぞれ油路を遮断するモードと油路を排出タンク70に連通するモードとを有する。
【0068】
第1走行モータ用ロジック弁66は第1走行モータ21の駆動モードに連動し、第2走行モータ用ロジック弁67は第2走行モータ22の駆動モードに連動し、第2アクチュエータ用ロジック弁68は第2アクチュエータ32の駆動モードに連動し、ドーザ用ロジック弁69は第1アクチュエータ31の駆動モードに連動する。
図11の符合「66a」、「67a」、「68a」及び「69a」は対応のアクチュエータが順方向駆動される場合の状態を表し、符合「66c」、「67c」、「68c」及び「69c」は対応のアクチュエータが逆方向駆動される場合の状態を表し、符合「66b」、「67b」、「68b」及び「69b」は対応のアクチュエータが中立位置(すなわち非駆動の場合)の状態を表す。
【0069】
したがって、第1走行モータ21、第2走行モータ22及び第2アクチュエータ32のいずれかが駆動されない場合や、ドーザ用ロジック弁69が駆動されている場合には、油圧源64から油路に供給される圧油は排出タンク70に排出され、
図11の符合「A」で示される位置の油路にはパイロット圧は発生しない。そのため走行切換弁42にはパイロット圧が作用せず、走行切換弁42は第1切換状態42aの状態に置かれる。
【0070】
一方、第1走行モータ21、第2走行モータ22及び第2アクチュエータ32が駆動され且つ第1アクチュエータ31が駆動されない場合には、油圧源64からの油路が第1走行モータ用ロジック弁66、第2走行モータ用ロジック弁67、第2アクチュエータ用ロジック弁68及びドーザ用ロジック弁69によって閉じられる。そのため、
図11の符合「A」で示される位置の油路にはパイロット圧が発生し、走行切換弁42にパイロット圧が作用して、走行切換弁42は第2切換状態42bの状態に置かれる。
【0071】
このように油圧ロジック回路61内の圧油の圧力は、第1走行モータ21、第2走行モータ22、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32の駆動状態に応じて変化する。ロジックシステム60は、油圧ロジック回路61内の圧油の圧力(すなわち油圧)に基づいて、走行切換弁42を第1切換状態42aと第2切換状態42bとの間で切り換える。
【0072】
図12は、電気信号ロジックを利用したロジックシステム60の電気信号ロジック回路62の一例を示す図である。
【0073】
図12のロジックシステム60が有する電気信号ロジック回路62は、指示受付部50の第1走行ペダル51、第2走行ペダル52、第1操作レバー53及び第2操作レバー54に接続されている。第1走行ペダル51、第2走行ペダル52、第1操作レバー53及び第2操作レバー54の各々は、操作者の操作状態に応じた電気信号を電気信号ロジック回路62に送る。なお、ここでいう第1走行ペダル51、第2走行ペダル52、第1操作レバー53及び第2操作レバー54の各々は、操作者によって直接的に操作される操作部分だけでなく、当該操作部分の操作に応じた電気信号を電気信号ロジック回路62に送る信号生成部も含む。
【0074】
電気信号ロジック回路62は、第1走行ペダル51、第2走行ペダル52、第1操作レバー53及び第2操作レバー54から送られてくる電気信号に応じて、走行切換弁42を上述のように第1切換状態42a及び第2切換状態42bのいずれかに切り換える。
【0075】
このように電気信号ロジック回路62を流れる信号は、第1走行モータ21、第2走行モータ22、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32の駆動状態に応じて変化する。ロジックシステム60は、電気信号ロジック回路62を流されるこれらの信号に基づいて、走行切換弁42を第1切換状態42aと第2切換状態42bとの間で切り換える。
【0076】
図13は、本発明の上述の実施形態に係る油圧システム10を、ドーザを備える油圧ショベルに応用した例を示す回路図である。油圧ショベルは、一般に、クローラを具備する下部フレームと、下部フレームに対して旋回可能に設けられる上部フレームと、上部フレームに取り付けられるブームと、ブームに取り付けられるアームと、アームに取り付けられるバケットとを備える。本実施形態に係る油圧ショベルは、更に、土砂や雪等の堆積物を押し出すためのドーザを備える。
【0077】
図13に示す油圧システム10は、上述の
図3〜
図5に示す油圧システム10とは構成が厳密には異なるが、
図3〜
図5に示す油圧システム10と同様に、第1油圧ポンプ11、第2油圧ポンプ12、第1タンデム通路24、第2タンデム通路25、第1パラレル通路26、第2パラレル通路27、タンク通路29、走行切換弁42、方向切換弁41a、41b、41c、41d、第1走行モータ21、第2走行モータ22及び第1アクチュエータ31を備える。また
図13には、下部フレームに対して上部フレームを旋回させるための油圧モータが、第2アクチュエータ32として例示されている。なお
図13では省略されているが、ブーム、アーム及びバケットを駆動するためのアクチュエータ(例えば油圧シリンダ)が、旋回用油圧モータよりも下流側において第2アクチュエータ32として設けられている。また、ブームスイング用のアクチュエータやその他のサービス用のアクチュエータが設けられていてもよい。
【0078】
図13には、各種のアクチュエータを駆動するための作動油を流すためのメイン系油圧回路13a(実線参照)と、弁の状態操作やその他の状態等を操作するための圧油を流すための操作系油圧回路13b(点線参照)とが図示されている。
【0079】
例えば、操作系油圧回路13bに接続されている
図13の符合「Pa1」及び「Pb1」は、第1走行モータ21用の方向切換弁41aの状態(位置)を変えるために利用されるパイロット圧を方向切換弁41aに付与する圧油の流入/流出ポートを示す。同様に、符合「Pa2」及び「Pb2」は第2走行モータ22用の方向切換弁41bの状態を変えるために利用されるパイロット圧油の流入/流出ポートを示し、符合「Pa3」及び「Pb3」は第1アクチュエータ31用の方向切換弁41cの状態を変えるために利用されるパイロット圧油の流入/流出ポートを示し、符合「Pa4」及び「Pb4」は第2アクチュエータ32用の方向切換弁41dの状態を変えるために利用されるパイロット圧油の流入/流出ポートを示す。
【0080】
また
図13の符合「Pp」は、パイロット圧をもたらす圧油(すなわちパイロット圧油)を操作系油圧回路13bに供給するためのパイロット圧油の流入ポートを示し、符合「Dr1」は、操作系油圧回路13bからパイロット圧油を排出するためのドレーンポートを示す。
【0081】
また操作系油圧回路13bには、オートアイドルシステム80、パーキングブレーキシステム81及びロジックシステム60(
図10〜
図12参照)が接続されている。オートアイドルシステム80は、パイロット圧を発生させるためのシステムであり、例えばいずれかのアクチュエータが操作されることによって操作系油圧回路13bにおいてパイロット圧をもたらすことが可能である。パーキングブレーキシステム81は、旋回動作を制動するパーキングブレーキ(図示省略)のオン/オフをコントロールするためのシステムである。例えば、複数のアクチュエータを含む第2アクチュエータ32のいずれか又は第1アクチュエータ31が操作された場合、パーキングブレーキシステム81は、パーキングブレーキをオフにして、旋回動作の制動を解除することが可能である。
【0082】
図13に示す方向切換弁41a、41b、41c、41dは、メイン系油圧回路13aの油路だけではなく操作系油圧回路13bの油路にも接続されており、メイン系油圧回路13aを流れる作動油及び操作系油圧回路13bを流れる圧油の流れ、及びこれらの作動油及び圧油のための供給油路をコントロールする。方向切換弁41a、41b、41c、41dのうち、メイン系油圧回路13aの作動油をコントロールする部分と操作系油圧回路13bの圧油をコントロールする部分とは相互に連動する。そのため、第1走行モータ21、第2走行モータ22、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32等の駆動状態に応じて、操作系油圧回路13bの状態が変化し、操作系油圧回路13bに接続されるオートアイドルシステム80、パーキングブレーキシステム81及びロジックシステム60等の各種システムの制御状態も変化する。
【0083】
なお方向切換弁41a、41b、41c、41dは、任意の弁デバイスによって実現可能であり、典型的にはスプール弁によって方向切換弁41a、41b、41c、41dを構成することが可能である。また走行切換弁42も、任意の弁デバイスによって実現可能であり、典型的にはスプール弁によって走行切換弁42を構成することが可能である。スプールに形成するランド部、切欠部及びノッチ等を工夫することによって、
図3〜5や
図13において記号的に示されている機能を持つ方向切換弁41a、41b、41c、41d及び走行切換弁42を実現することが可能である。したがって、
図13に示す油圧回路13(すなわちメイン系油圧回路13a及び操作系油圧回路13b)は、通常の知識を有する当業者であれば、例えば複数のスプール弁を含むモノブロックタイプの弁体によって構成することが可能である。
【0084】
上述の
図13に示す油圧システム10においても、回路切換部40(すなわち方向切換弁41a、41b、41c、41d及び走行切換弁42)を切り替えることによって、
図3〜
図5に示す油圧システム10と同様に、
図9に示す「各種のアクチュエータの挙動に応じた回路状態」を実現することができる。
【0085】
以上説明したように本実施形態の油圧システム10によれば、2つの走行モータ及びドーザシリンダを含む3以上のアクチュエータ(上述の実施形態では第1走行モータ21、第2走行モータ22、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32)を2つの油圧ポンプのみによって適切に駆動制御することができる。
【0086】
また、第1走行モータ21及び第2走行モータ22のみが駆動されて走行のみが行われる場合には、走行切換弁42が第1切換状態42aに置かれて油圧回路13が第1回路状態に置かれ、1つの油圧ポンプから1つの走行モータにのみ作動油が供給される。一方、ドーザを操作するために第1アクチュエータ31を駆動する際にも、他のアクチュエータの駆動の有無にかかわらず、走行切換弁42が第1切換状態42aに置かれて油圧回路13が第1回路状態に置かれ、1つの油圧ポンプから1つの走行モータにのみ作動油が供給される。このように、走行時にドーザを操作する場合もドーザを操作しない場合にも、1つの油圧ポンプから1つの走行モータにのみ作動油が供給されるため、ドーザの駆動及び非駆動の切り換えに伴う切換ショックは発生せず、操作性が良好である。
【0087】
このように本実施形態の油圧システム10によれば、油圧ポンプの数を2つに抑えてコストの低減を図りつつ、快適な操作性を実現することができる。
【0088】
本発明は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。また、上述の構成要素以外の構成要素を含む形態も、本発明の実施形態に含まれる。また、上述の構成要素のうちの一部の要素が含まれない形態も、本発明の実施形態に含まれる。また、本発明のある実施形態に含まれる一部の構成要素と、本発明の他の実施形態に含まれる一部の構成要素とを含む形態も、本発明の実施形態に含まれる。したがって、上述の実施形態及び変形例、及び上述以外の本発明の実施形態の各々に含まれる構成要素同士が組み合わされてもよく、そのような組み合わせに係る形態も本発明の実施形態に含まれる。また、本発明によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本発明の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書、要約書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。