特許第6873728号(P6873728)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873728
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】開口部閉鎖装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 23/06 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   E02D23/06 Z
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-24287(P2017-24287)
(22)【出願日】2017年2月13日
(65)【公開番号】特開2018-131746(P2018-131746A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103769
【氏名又は名称】オリエンタル白石株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】早川 佳吾
(72)【発明者】
【氏名】近藤 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】小陽 哲也
【審査官】 高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−057267(JP,A)
【文献】 特開2003−221834(JP,A)
【文献】 特開平09−060018(JP,A)
【文献】 特開2001−317059(JP,A)
【文献】 特開2000−291017(JP,A)
【文献】 特開平06−057757(JP,A)
【文献】 特開2001−107369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧よりも高い気圧状態に保たれた圧気空間部内に開口する開口部を、蓋部材により下方側から覆って閉鎖させる装置であって、
前記蓋部材が折畳み・展開可能に構成され、
前記蓋部材を折り畳んだ状態で吊り下げて下方に移動させ、前記蓋部材を前記開口部から前記圧気空間部内に搬入する折畳み蓋搬入手段と、
前記蓋部材に取り付けられ、折り畳んだ状態の前記蓋部材を展開させる蓋展開手段と、
前記圧気空間部内において、前記蓋展開手段により展開された前記蓋部材を、前記蓋部材が前記開口部を下方側から覆う位置まで移動させる展開蓋移動手段と
前記蓋展開手段に設けられるとともに前記折畳み蓋搬入手段に保持されて、前記蓋展開手段と前記蓋部材とを結合・分離可能に連結する連結手段とを備えて構成され
前記連結手段は、作動位置と非作動位置との間で進退移動可能な作動部材と、前記作動部材を前記作動位置と前記非作動位置との間で駆動する駆動部とを有しており、
前記作動部材が前記駆動部により前記作動位置に進出移動することで前記蓋部材と前記蓋展開手段とが結合され、前記作動部材が前記駆動部により前記非作動位置に退避移動することで前記蓋部材と前記蓋展開手段とが分離されるよう構成されていることを特徴とする開口部閉鎖装置。
【請求項2】
前記蓋部材に取り付けられ、前記折畳み蓋搬入手段により折り畳んだ状態で吊り下げられた前記蓋部材の姿勢を、前記蓋部材が前記開口部を通って前記圧気空間部内に搬入されるときの姿勢から、前記蓋部材が水平に展開可能となる姿勢へと変更する蓋姿勢変更手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の開口部閉鎖装置。
【請求項3】
前記蓋展開手段及び前記蓋姿勢変更手段は、前記連結手段により前記蓋部材に結合・分離可能に連結され、前記折畳み蓋搬入手段により保持される構成であることを特徴とする請求項2に記載の開口部閉鎖装置。
【請求項4】
前記蓋展開手段及び前記蓋姿勢変更手段を駆動させるための無線信号を受信する通信手段と、前記通信手段が受信した前記無線信号に基づいて前記蓋展開手段及び前記蓋姿勢変更手段を駆動させる駆動手段と、を備えたことを特徴とする請求項2もしくは3に記載の開口部閉鎖装置。
【請求項5】
前記展開蓋移動手段は、前記連結手段により前記蓋部材から前記蓋展開手段が分離された状態であっても、当該蓋部材を展開した状態で前記開口部を下方側から覆う位置に保持可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の開口部閉鎖装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気圧よりも高い気圧状態に保たれた圧気空間部内に開口する開口部を、蓋部材により閉鎖する開口部閉鎖装置及び開口部閉鎖方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような圧気空間部の一例として、橋梁や建物の基礎、シールドトンネルの発進立坑などの地下構造物を構築する工法として知られているニューマチックケーソン工法における作業室がある。ニューマチックケーソン工法では、地上で構築した鉄筋コンクリート製の函(ケーソン)の底部に気密な作業室を設け、作業室床部の地面を掘削して出た土砂を外部に排出しながらケーソンを地中に沈下させていくことにより、橋梁等の地下構造物を構築する。地下水の侵入を防ぐために作業室内には、地下水圧に見合った圧縮空気が送り込まれるようになっており、このため作業室内は大気圧よりも高い気圧状態に保たれる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
作業室の天井部には、作業機械等を作業室内に搬入したり作業室内から地上に搬出したりするための開口部や、作業者が作業室内に出入りするための開口部が設けられている。ニューマチックケーソン工法では、地下構造物の構築工事が完了した後、作業室として構成されていた空間部分を埋めるため、作業室内にコンクリート(以下「中埋めコンクリート」と称する)を打設するが、その中埋めコンクリートの打設の際に開口部を閉鎖する作業が行われている。従来、開口部を閉鎖するための蓋部材を、分割した状態で地上から吊り下げて作業室内に搬入した後、搬入した蓋部材を組み立て、組み立てた蓋部材を作業室内側から開口部に押し当てて閉鎖する方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015‐108244号公報
【特許文献2】特開2008‐57267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓋部材を用いて開口部を閉鎖する作業は、高い気圧状態に保たれた作業室内に作業者が入り、作業工程の一部を手作業で行うのが一般的である。高気圧障害(減圧症)等のリスクがあるので、作業室内に作業者が滞在できる時間は制限されている。そのため、蓋部材により作業室の開口部を閉鎖する作業を、作業室内に作業者が入ることなく行えるようにすることが要望されている。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、圧気空間部内に作業者が入ることなく、蓋部材により開口部を閉鎖することが可能な開口部閉鎖装置及び開口部閉鎖方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る開口部閉鎖装置は、大気圧よりも高い気圧状態に保たれた圧気空間部(例えば、実施形態における作業室2)内に開口する開口部(例えば、実施形態におけるマテリアルシャフト用開口部H1、マンシャフト用開口部H2)を、蓋部材(例えば、実施形態における圧気蓋60)により下方側から覆って閉鎖させる装置であって、前記蓋部材が折畳み・展開可能に構成され、前記蓋部材を折り畳んだ状態で吊り下げて下方に移動させ、前記蓋部材を前記開口部から前記圧気空間部内に搬入する折畳み蓋搬入手段(例えば、実施形態におけるキャリア装置32)と、前記蓋部材に取り付けられ、折り畳んだ状態の前記蓋部材を展開させる蓋展開手段(例えば、実施形態における圧気蓋展開装置100)と、前記圧気空間部内において、前記蓋展開手段により展開された前記蓋部材を、前記蓋部材が前記開口部を下方側から覆う位置まで移動させる展開蓋移動手段(例えば、実施形態におけるキャリア装置32、運搬揚重装置120)と、前記蓋展開手段に設けられるとともに前記折畳み蓋搬入手段に保持されて、前記蓋展開手段と前記蓋部材とを結合・分離可能に連結する連結手段(例えば、実施形態における連結装置110)とを備えて構成され、前記連結手段は、作動位置と非作動位置との間で進退移動可能な作動部材と、前記作動部材を前記作動位置と前記非作動位置との間で駆動する駆動部とを有しており、前記作動部材が前記駆動部により前記作動位置に進出移動することで前記蓋部材と前記蓋展開手段とが結合され、前記作動部材が前記駆動部により前記非作動位置に退避移動することで前記蓋部材と前記蓋展開手段とが分離されるよう構成されている
【0008】
上記の開口部閉鎖装置において、前記蓋部材に取り付けられ、前記折畳み蓋搬入手段により折り畳んだ状態で吊り下げられた前記蓋部材の姿勢を、前記蓋部材が前記開口部を通って前記圧気空間部内に搬入されるときの姿勢から、前記蓋部材が水平に展開可能となる姿勢へと変更する蓋姿勢変更手段(例えば、実施形態における圧気蓋姿勢変更装置90)を備えることが好ましい。
【0009】
上記の開口部閉鎖装置において、前記連結手段により前記蓋展開手段及び前記蓋姿勢変更手段は、前記蓋部材に結合・分離可能に連結され、前記折畳み蓋搬入手段により保持される構成とすることが好ましい。
【0010】
上記の開口部閉鎖装置において、前記蓋展開手段及び前記蓋姿勢変更手段を駆動させるための無線信号を受信する通信手段(例えば、実施形態における動力・通信装置80)と、前記通信手段が受信した前記無線信号に基づいて前記蓋展開手段及び前記蓋姿勢変更手段を駆動させる駆動手段(例えば、実施形態における電動モータ)と、を備えることが好ましい。
【0011】
上記の開口部閉鎖装置において、前記展開蓋移動手段は、前記連結手段により前記蓋部材から前記蓋展開手段が分離された状態であっても、当該蓋部材を展開した状態で前記開口部を下方側から覆う位置に保持可能に構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る開口部閉鎖装置によれば、蓋部材を折り畳んだ状態で吊り下げて下方に移動させ、蓋部材を開口部から圧気空間部内に搬入する折畳み蓋搬入手段と、折り畳んだ状態の蓋部材を展開させる蓋展開手段と、蓋展開手段により展開された蓋部材を、蓋部材が開口部を下方側から覆う位置まで移動させる展開蓋移動手段と、を備えて構成されるので、折り畳んだ状態で圧気空間部内に搬入した蓋部材を展開して開口部を閉鎖する作業を、圧気空間部内に作業者が入ることなく行うことが可能となる。
【0013】
本発明に係る開口部閉鎖装置において、折畳み蓋搬入手段により折り畳んだ状態で吊り下げられた蓋部材の姿勢を、蓋部材が開口部を通って圧気空間部内に搬入されるときの姿勢から、蓋部材が水平に展開可能となる姿勢(以下「水平展開用姿勢」とも称する)へと変更する蓋姿勢変更手段を備えた構成とすれば、圧気空間部内に搬入した蓋部材の姿勢を水平展開用姿勢に変更してから蓋部材を展開させることができるので、折り畳まれた蓋部材の展開作業を安全にかつ効率良く行うことが可能となる。
【0014】
本発明に係る開口部閉鎖装置において、蓋展開手段及び蓋姿勢変更手段は、蓋部材に結合・分離可能に連結され、折畳み蓋搬入手段により保持される構成とすれば、蓋部材を圧
気空間部内に搬入した後、蓋展開手段及び蓋姿勢変更手段を蓋部材から分離し、その分離した蓋展開手段及び蓋姿勢変更手段を、折畳み蓋搬入手段により回収して再利用することが可能となる。
【0015】
本発明に係る開口部閉鎖装置において、蓋展開手段及び蓋姿勢変更手段を駆動させるための無線信号を受信する通信手段と、通信手段が受信した無線信号に基づいて蓋展開手段及び蓋姿勢変更手段を駆動させる駆動手段と、を備えた構成とすれば、蓋展開手段及び蓋姿勢変更手段を、通信手段及び駆動手段を介して遠隔操作することが可能となる。
【0016】
本発明に係る開口部閉鎖方法によれば、蓋部材を折り畳んだ状態で吊り下げて下方に移動させ、蓋部材を前記開口部から圧気空間部内に搬入する折畳み蓋搬入ステップと、折り畳んだ状態で吊り下げられて圧気空間部内に搬入された蓋部材を展開させる蓋展開ステップと、圧気空間部内において展開された蓋部材を、蓋部材が開口部を下方側から覆う位置まで移動させる展開蓋移動ステップと、を備えて構成されるので、圧気空間部内に搬入した蓋部材を展開して開口部を閉鎖する作業を、圧気空間部内に作業者が入ることなく行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ニューマチックケーソン工法の主要設備を示す縦断面図である。
図2】本発明に係る開口部閉鎖装置の圧気蓋展開ユニットの全体構成を示す斜視図である。
図3図2に示す圧気蓋と類似構成の圧気蓋の折畳み・展開状態を示す斜視図である。
図4】圧気蓋の搬入時の状態を示す斜視図である。
図5】圧気蓋の吊り下げ姿勢変更時の状態を示す斜視図である。
図6】圧気蓋の展開時の状態を示す斜視図である。
図7】圧気蓋から圧気蓋展開ユニットを分離した状態を示す斜視図である。
図8】圧気蓋展開ユニットの連結装置の全体構成を示す斜視図である。
図9】連結装置の結合時の状態を示す断面斜視図である。
図10】連結装置の分離時の状態を示す断面斜視図である。
図11】圧気蓋をマテリアルシャフト用開口部から搬入する状態を示す模式図である。
図12】圧気蓋の吊り下げ姿勢を変更した状態を示す模式図である。
図13】圧気蓋を展開した状態を示す模式図である。
図14】圧気蓋によりマテリアルシャフト用開口部を閉鎖した状態を示す模式図である。
図15】圧気蓋から圧気蓋展開ユニットを分離した状態を示す模式図である。
図16】圧気蓋を運搬揚重装置が保持した状態を示す模式図である。
図17】運搬揚重装置により保持された圧気蓋から圧気蓋展開ユニットを分離した状態を示す模式図である。
図18】圧気蓋を運搬揚重装置によりマンシャフト用開口部の下方に運搬した状態を示す模式図である。
図19】圧気蓋を運搬揚重装置により揚重してマンシャフト用開口部を閉鎖した状態を示す模式図である。
図20】他の圧気蓋の折畳み・展開状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。まず、本発明に係る開口部閉鎖装置を用いて圧気蓋が設置されるニューマチックケーソン工法の主要設備について図1を用いて説明する。ニューマチックケーソン工法は、掘削設備E1、艤装設備E2
、排土設備E3、送気設備E4および予備・安全設備E5を用いて、鉄筋コンクリート製のケーソン1を地中に沈下させていくことにより、地下構造物を構築するように構成されている。
【0019】
掘削設備E1は、ケーソン1の底部に設けられた作業室2内に設置される掘削機100(作業機に該当するものであり、以下、ケーソンショベル100と称する)と、ケーソンショベル100により掘削された土砂を円筒状のアースバケット31に積み込む土砂自動積込装置11と、ケーソンショベル100の作動を地上から遠隔操作する遠隔操作装置12を備える地上遠隔操作室13とを有して構成されている。掘削設備E1は、発電装置(図示せず)から電力の供給を受けて作動するようになっている。この発電装置からの電力は、艤装設備E2、排土設備E3および送気設備E4にも供給されている。
【0020】
艤装設備E2は、作業者が作業室2へ出入りするために地上と作業室2とを繋ぐ円筒状のマンシャフト21と、マンシャフト21に設けられて作業室2内の気圧低下を抑えつつ作業者を作業室2の内外に通過させるマンロック22(エアロック)と、土砂自動積込装置11により土砂が積み込まれたアースバケット31を地上に運び出すために地上と作業室2とを繋ぐ円筒状のマテリアルシャフト23と、マテリアルシャフト23に設けられ作業室2内の気圧低下を抑えつつアースバケット31作業室2の内外に通過させるマテリアルロック24(エアロック)とを有して構成されている。マンシャフト21内には、螺旋階段25が設けられており、この螺旋階段25を用いて作業者は地上と作業室2とを行き来することができるようになっている。マンロック22およびマテリアルロック24はそれぞれ二重扉構造となっており、作業室2内の気圧が変化することを抑えて作業者やアースバケット31を作業室2へ出入りさせることができるように構成されている。
【0021】
排土設備E3は、ケーソンショベル100により掘削された土砂が積み込まれるアースバケット31と、このアースバケット31をマテリアルシャフト23を介して地上まで引き上げて運び出すためのキャリア装置32と、アースバケット31およびキャリア装置32により地上に運び出された土砂を一時的に貯めておく土砂ホッパー33とを有して構成されている。
【0022】
送気設備E4は、送気管41およびケーソン1に形成された送気路3を介して作業室2内に圧縮空気を送る空気圧縮機42と、空気圧縮機42により送り込む圧縮空気を浄化する空気清浄装置43と、作業室2内の気圧が地下水圧と略等しくなるように空気圧縮機42から作業室2内へ送る圧縮空気の量(圧力)を調整する送気圧力調整装置44と、マンロック22内の気圧を減圧する自動減圧装置45とを有して構成されている。作業室内の空気を循環させるため、作業室内の空気は適宜、排気路4を介して地上へと排出されている。
【0023】
予備・安全設備E5は、空気圧縮機42の故障や点検などの時に空気圧縮機42に代わって作業室2内に圧縮空気を送ることが可能な非常用空気圧縮機51と、上記発電装置に代わって掘削設備E1、艤装設備E2、排土設備E3および送気設備E4に電力を供給することが可能な非常用発電機(図示せず)と、作業室2内で作業を行った作業者が入り、当該作業者の身体を徐々に大気圧に慣らしていくためのホスピタルロック53(減圧室)とを有して構成されている。
【0024】
次に、本発明の一実施形態に係る開口部閉鎖装置について、図2〜10を追加参照して説明する。本実施形態の開口部閉鎖装置は、作業室2内に中埋めコンクリートを打設する際に、作業室2の天井面5に設けられている開口部を閉鎖するものであり、中埋めコンクリート打設時の生コンクリートの漏出防止及び中埋めコンクリート打設後の地下水の漏出防止等を目的として設置される。この開口部閉鎖装置は、図2に示すように、折畳み・展
開可能に構成された圧気蓋60と、圧気蓋展開ユニット70と、圧気蓋60を、圧気蓋展開ユニット70を介して吊り下げて作業室2内に搬入するキャリア装置32(図1を参照)と、を備えて構成される。
【0025】
圧気蓋60は、不図示のヒンジ部材を介して互いに連結された一対の蓋構成部材61,62により構成され、蓋構成部材61,62は、それぞれ、半円板状に形成された蓋基部63と、蓋基部63の上面(図2に示すように圧気蓋60を水平に展開したときに上方を向く面)に形成された複数の補強リブ64と、蓋構成部材61,62の境界部分に設けられた板状の合わせ部65とを備えて構成されている。蓋基部63の上面外縁部には、圧気蓋60により開口部を塞ぐときに天井面に5に当接する円弧状の当接部63aが形成されており、この当接部63aには、気密性を確保するためのゴムや樹脂等で構成されるパッキン部材(不図示)が設けられている。
【0026】
補強リブ64の長さ方向外側の端部(上記当接部63a側の端部)には、上向きのテーパ部64aが形成されている。このテーパ部64aは、圧気蓋60が開口部を塞ぐときに圧気蓋60が開口部に対して偏位し、テーパ部64aが開口部の縁部に接触すると、圧気蓋60を開口部の中心部に移動させるガイド機能を有するように構成されている。蓋構成部材61側の合わせ部65と蓋構成部材62側の合わせ部65とは、圧気蓋60を展開したときに、互いに対向する面同士が接触するように構成されており、互いに接触する面には、気密性を確保するためのパッキン部材(不図示)が設けられている。また、合わせ部65の長さ方向の端部には、上記テーパ部64aと同様のガイド機能を有する上向きのテーパ部65aが形成されている。
【0027】
ここで、圧気蓋60の折畳み・展開状態について、図3を用いて説明する。図3に示す圧気蓋60Aは、圧気蓋60とは別のものであるが、折畳み・展開の仕方については、圧気蓋60と同様に構成されている。図3に示すように圧気蓋60Aは、補強リブ64が形成された上面側を山折りにして折畳み可能に構成されており、完全に折り畳んだ状態(図中最も下側の状態)では、一対の蓋構成部材61,62が、その下面側を内側にして互いに折り重なるように構成されている。これらの構成は、圧気蓋60についても同様である。
【0028】
圧気蓋展開ユニット70は、動力・通信装置80と、圧気蓋姿勢変更装置90と、圧気蓋展開装置100と、連結装置110とを備えて構成される。動力・通信装置80は、キャリア装置32から延びる吊り下げ用ワイヤ73の下端部に取付可能に構成された円筒状のケース部81の内部に、電源装置及び通信装置(いずれも不図示)を備えて構成されている。電源装置は、圧気蓋姿勢変更装置90、圧気蓋展開装置100、及び連結装置110に、これら各装置90,100,110を駆動させるための電力を供給するように構成されている。通信装置は、各装置90,100,110を駆動させるための無線信号(例えば、遠隔操作装置12から送信される)を受信し、その無線信号に基づき、各装置90,100,110の動作を制御する制御信号を各装置90,100,110の駆動部(電動モータや電磁ソレノイド、図示略)に出力するように構成されている。
【0029】
圧気蓋姿勢変更装置90は、動力・通信装置80のケース部81の下面に取り付けられた姿勢変更用ウインチ91(不図示の電動モータにより駆動される)と、姿勢変更用ウインチ91の巻き胴部(図示略)に巻回された姿勢変更用ワイヤ92とを備えて構成されている。姿勢変更用ワイヤ92は、両端部がそれぞれ二股に分岐しており、二股に分岐した姿勢変更用ワイヤ92の各先端部は、連結装置110が有する環状のワイヤ取付部111に取り付けられている。すなわち、圧気蓋姿勢変更装置90は、連結装置110を介して圧気蓋60に取り付けられている。
【0030】
この圧気蓋姿勢変更装置90は、姿勢変更用ウインチ91から2方向に延び出た姿勢変更用ワイヤ92の、姿勢変更用ワイヤ92から連結装置110までの長さを、姿勢変更用ウインチ91により調整することにより、圧気蓋60の姿勢を変更するように構成されている。具体的には、姿勢変更用ワイヤ92の、姿勢変更用ウインチ91から2方向に延び出たそれぞれの部分の長さを、図4に示すように、一方が他方よりも長くなるように調整することにより、折り畳んだ状態の圧気蓋60の姿勢を、縦吊り状態の姿勢(圧気蓋60が開口部を通過可能となる姿勢)に保持することが可能となっている。また、姿勢変更用ワイヤ92の、姿勢変更用ウインチ91から2方向に延び出たそれぞれの部分の長さを、図5に示すように、互いに等しくなるように調整することにより、折り畳んだ状態の圧気蓋60の姿勢を、横吊り状態の姿勢(圧気蓋60が水平に展開可能となる水平展開用姿勢)に保持することが可能となっている。
【0031】
圧気蓋展開装置100は、図2に示すように、蓋構成部材61側に連結される連結装置110に取り付けられた展開用ウインチ101(不図示の電動モータにより駆動される)と、展開用ウインチ101の巻き胴部(図示略)に巻回された展開用ワイヤ102と、蓋構成部材62側に連結される連結装置110に取り付けられ、展開用ウインチ101から延び出た展開用ワイヤ102の先端部が固定される展開用ワイヤ固定部103と、展開用ウインチ101から延び出た展開用ワイヤ102が架け渡される一対のガイドローラ104(一方は蓋構成部材61側の合わせ部65に、他方は蓋構成部材62側の合わせ部65に、それぞれ回転可能に取り付けられている)と、を備えて構成されている。
【0032】
この圧気蓋展開装置100は、展開用ワイヤ102の展開用ウインチ101から延び出た部分の長さを、展開用ウインチ101により調整することにより、折り畳んだ状態の圧気蓋60を展開するように構成されている。具体的には、図5に示すように、圧気蓋60が折り畳まれて横吊り状態の姿勢に保持されているときに、展開用ワイヤ102の展開用ウインチ101から延び出た部分の長さを短くする(展開用ウインチ101により展開用ワイヤ102を引き込む)ことにより、折り畳んだ状態の圧気蓋60を、図2,6に示すように、水平に展開させることが可能となっている。
【0033】
連結装置110は、図2に示すように一対(2個)設けられており、その一方は蓋構成部材61に連結され、他方は蓋構成部材62に連結可能に構成されている。具体的には、連結装置110は、図8に示すように、ワイヤ取付部111が形成された基部112と、基部112の両端部内にそれぞれ収納保持された一対の直動シリンダ113とを備えて構成されており、直動シリンダ113は、基部112内に収納固定されたロッドケース114と、ロッドケース114内に直動可能に保持された連結用ロッド115とを備えて構成されている。連結装置110は、蓋構成部材61,62の上面部側において、補強リブ64を介して蓋構成部材61,62にそれぞれ連結される。なお、連結用ロッド115は、例えば、ボールネジ、リニアガイド、電動モータ等により構成される駆動機構(図示略)によって駆動される構成とすることができるが、油圧や空気圧、電磁ソレノイド等によって駆動される構成としてもよい。
【0034】
連結装置110と連結される補強リブ64には、図9,10に示すように、連結用ロッド115の先端部が挿入・退出可能な凹部66が形成されており、連結用ロッド115がロッドケース114から進出して凹部66内に挿入することにより、連結装置110が圧気蓋60に結合され、連結用ロッド115が凹部66内から退出することにより、連結装置110と圧気蓋60との結合が解除され、連結装置110が圧気蓋60から分離可能に構成されている。上述のように、圧気蓋姿勢変更装置90は、連結装置110を介して圧気蓋60に取り付けられており、圧気蓋展開装置100は、一対のガイドローラ104を除く他の構成要素(展開用ウインチ101、展開用ワイヤ102及び展開用ワイヤ固定部103)が連結装置110により保持されている。このため、連結装置110を圧気蓋6
0から分離させると、図7に示すように、圧気蓋姿勢変更装置90及び圧気蓋展開装置100(本実施形態ではガイドローラ104は分離されないが、ガイドローラ104も分離されるように構成することも可能)も、圧気蓋60から分離されるようになっている。
【0035】
以下では、本発明の一実施形態に係る開口部閉鎖方法について、図11〜19を追加参照して説明する。本実施形態の開口部閉鎖方法は、上述した開口部閉鎖装置を遠隔操作することによって実行され、マテリアルシャフト23の下方に設けられるマテリアルシャフト用開口部H1を閉鎖する場合と、マンシャフト21の下方に設けられるマンシャフト用開口部H2を閉鎖する場合とに適用される。なお、図11〜19では、圧気蓋60や圧気蓋展開ユニット70を簡略化して模式的に示している。
【0036】
本実施形態の開口部閉鎖方法では、まず、地上等において、折り畳んだ状態の圧気蓋60を、圧気蓋展開ユニット70を介してキャリア装置32により縦吊り状態の姿勢で吊り下げ保持する(詳細は図4を参照)。そして、図11に示すように、縦吊り状態の姿勢で吊り下げた圧気蓋60を、キャリア装置32により下方に移動させてマテリアルシャフト23(図1を参照)及びマテリアルシャフト用開口部H1を通過させ、作業室2内に搬入する。なお、このとき、マテリアルシャフト用開口部H1の上部空間(例えば、マテリアルロック24からマテリアルシャフト23の用開口部H1までの空間)は、作業室2内と同等の高い気圧状態に保たれる。
【0037】
次いで、図12に示すように、作業室2内に搬入した圧気蓋60の姿勢を、圧気蓋展開ユニット70(具体的には圧気蓋姿勢変更装置90)を作動させて、縦吊り状態の姿勢から横吊り状態の姿勢に変更する(詳細は図5を参照)。圧気蓋60の姿勢を変更した後、図13に示すように、圧気蓋展開ユニット70(具体的には圧気蓋展開装置100)を作動させて、圧気蓋60を水平に展開する(詳細は図6を参照)。圧気蓋60を水平に展開した後、キャリア装置32を作動させて圧気蓋60を、図14に示すように、圧気蓋60が下方側(作業室2側)からマテリアルシャフト用開口部H1を覆う(塞ぐ)位置まで上方に移動させる。
【0038】
圧気蓋60によりマテリアルシャフト用開口部H1を覆った後、マテリアルシャフト用開口部H1の上部空間が大気圧状態となるように調整する。これにより、圧気蓋60の上部の空間と作業室2内との間に気圧差が生じ、その気圧差によって、圧気蓋60が天井面5に押し付けられ、マテリアルシャフト用開口部H1が圧気蓋60によって密閉される。内外気圧差により圧気蓋60がマテリアルシャフト用開口部H1を密閉した後、図15に示すように、圧気蓋展開ユニット70(具体的には連結装置110)を作動させて、圧気蓋60から圧気蓋展開ユニット70を分離する(詳細は図7を参照)。分離した圧気蓋展開ユニット70は、キャリア装置32により地上に搬出する。
【0039】
以上が、圧気蓋60によりマテリアルシャフト用開口部H1を閉鎖する場合の手順となる。次に、マンシャフト用開口部H2を閉鎖する場合について説明する。マンシャフト21内には螺旋階段25等の設備が設けられているため、圧気蓋60を通過させることが困難である。そのため、作業室2内への圧気蓋60の搬入は、マテリアルシャフト23及びマテリアルシャフト用開口部H1を経由して行う。したがって、マンシャフト用開口部H2を閉鎖する場合も、作業室2内へ圧気蓋60を搬入して展開するまでの手順は、マテリアルシャフト用開口部H1を閉鎖する場合と同じ(図11〜15を参照)であるので、説明は省略する。以下、作業室2内において圧気蓋60を展開した後の手順について説明する。
【0040】
マンシャフト用開口部H2を閉鎖する場合は、作業室2内において圧気蓋60を展開した後、図16に示すように、圧気蓋60の下方に運搬揚重装置120を移動させ、その荷
台121上に圧気蓋60を載置する。運搬揚重装置120は、作業室2内を走行移動可能に構成されるとともに、荷台121を上下方向に移動させることができるように構成されている。また、運搬揚重装置120の走行や揚重等の動作は遠隔操作により制御可能となっている。
【0041】
展開した圧気蓋60を運搬揚重装置120の荷台121上に載置した後、図17に示すように、圧気蓋展開ユニット70(具体的には連結装置110)を作動させて、圧気蓋展開ユニット70を、圧気蓋60から分離しキャリア装置32により地上に搬出する。圧気蓋展開ユニット70を圧気蓋60から分離した後、運搬揚重装置120を走行させて、荷台121上に載置された圧気蓋60をマンシャフト用開口部H2の下方位置に移動する。移動後、図17に示すように、運搬揚重装置120の荷台121を上昇させて、荷台121上の圧気蓋60を、圧気蓋60が下方側からマンシャフト用開口部H2を覆う位置まで移動させる。なお、圧気蓋60によりマンシャフト用開口部H2を覆うまで、マンシャフト用開口部H2の上部空間(例えば、マンロック22からマンシャフト用開口部H2までの空間)は、作業室2内と同等の高い気圧状態に保たれる。
【0042】
圧気蓋60によりマンシャフト用開口部H2を覆った後、マンシャフト用開口部H2の上部空間が大気圧状態となるように調整する。これにより、圧気蓋60の上部の空間と作業室2内との間に気圧差が生じ、その気圧差によって、圧気蓋60が天井面5に押し付けられ、マンシャフト用開口部H2が圧気蓋60によって密閉される。内外気圧差により圧気蓋60がマンシャフト用開口部H2を密閉した後は、運搬揚重装置120の荷台121を下降させて、圧気蓋60から荷台121を引き離す。なお、運搬揚重装置120は作業終了後、キャリア装置32を用いて、マテリアルシャフト用開口部H1及びマテリアルシャフト23を通って地上へと搬出することが可能である。
【0043】
以上説明した実施形態の開口部閉鎖装置及び方法によれば、キャリア装置32、圧気蓋展開ユニット70(動力・通信装置80、圧気蓋姿勢変更装置90、圧気蓋展開装置100及び連結装置110)及び運搬揚重装置120を遠隔操作することによって、折り畳んだ状態の圧気蓋60を作業室2内に搬入して展開し、展開した圧気蓋60により、マテリアルシャフト用開口部H1及びマンシャフト用開口部H2を閉鎖する作業を、作業室2内に作業者が入ることなく行うことが可能となる。また、圧気蓋展開ユニット70は、キャリア装置32によって保持されるとともに、圧気蓋60から分離可能に構成されているので、作業終了後、圧気蓋展開ユニット70を回収して再利用することが可能となる。また、ウインチ装置を用いて、蓋展開手段(圧気蓋姿勢変更装置90)及び蓋姿勢変更手段(圧気蓋展開装置100)を構成しているので、これらの手段を構成簡易に実現することが可能である。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、圧気蓋60が、補強リブ64が形成された上面側を山折りにして折畳み可能に構成されているが、図20に示す圧気蓋60Bのように、補強リブ64が形成された上面側を谷折りにして折畳み可能に構成してもよい。また、圧気蓋を3枚以上の蓋構成部材により構成してもよい。さらに、上述の実施形態では、縦吊り状態の姿勢で作業室2内に搬入した圧気蓋60を、横吊り状態の姿勢に変更してから展開しているが、縦吊り状態の姿勢に保持したままで圧気蓋60を展開(圧気蓋60が鉛直面に対し平行となるように展開)し、その後、展開した圧気蓋60の姿勢を水平となるように変更するように構成してもよい。また、上述の実施形態では、動力・通信装置80、圧気蓋姿勢変更装置90及び圧気蓋展開装置100が連結装置110と共に、圧気蓋60から分離可能に構成されているが、これらの全てまたは一部(例えば、圧気蓋姿勢変更装置90や圧気蓋展開装置100)を、圧気蓋60に固定して回収しないように構成してもよい。
【0045】
また、上述の実施形態では、ニューマチックケーソン工法の作業室内に開口する開口部を、蓋部材により閉鎖する場合の態様を例にとって説明したが、本発明は、大気圧よりも高い気圧状態に設定される種々の圧気空間部に開口する開口部を、蓋部材により閉鎖する場合に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ケーソン
2 作業室
5 天井面
13 地上遠隔操作室
21 マンシャフト
23 マテリアルシャフト
32 キャリア装置
60,60A,60B 圧気蓋
70 圧気蓋展開ユニット
80動力・通信装置
90 圧気蓋姿勢変更装置
100 圧気蓋展開装置
110 連結装置
120 運搬揚重装置
H1 マテリアルシャフト用開口部
H2 マンシャフト用開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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