(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アニオン交換体充填部の前記陰極側にアニオン交換膜とカチオン交換膜とを貼り合わせた第1のバイポーラ膜が設けられ、前記第1のバイポーラ膜の前記アニオン交換膜が前記アニオン交換体と接している、請求項1から4のいずれか1項に記載の電気式脱イオン水製造装置。
前記カチオン交換体充填部の前記陽極側にアニオン交換膜とカチオン交換膜とを貼り合わせた第2のバイポーラ膜が設けられ、前記第2のバイポーラ膜の前記カチオン交換膜が前記カチオン交換体と接している、請求項5に記載の電気式脱イオン水製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明のEDIの第1の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るEDI4の概略構成図である。EDI4は、互いに対向する陽極室E1及び陰極室E2と、陽極室E1と陰極室E2との間に位置し、陽極室E1側の第1のアニオン交換膜a1と陰極室E2側の第1のカチオン交換膜k1とで仕切られ、アニオン交換体とカチオン交換体が充填された脱塩室Dと、第1のカチオン交換膜k1及び第1のアニオン交換膜a1を介してそれぞれ脱塩室Dに隣接する一対の濃縮室C1,C2と、を有している。以下、第1のアニオン交換膜a1を介して脱塩室Dに隣接する陽極室E1側の濃縮室を第1の濃縮室C1といい、第1のカチオン交換膜k1を介して脱塩室Dに隣接する陰極室E2側の濃縮室を第2の濃縮室C2という。陽極室E1と第1の濃縮室C1は第2のカチオン交換膜k2によって仕切られ、陰極室E2と第2の濃縮室C2は第2のアニオン交換膜a2によって仕切られている。陽極室E1及び陰極室E2には電極水が、第1及び第2の濃縮室C1,C2には濃縮水が、脱塩室Dには被処理水が流れる。これらの水はEDI4の内部を上下方向に流れる。脱塩室の数に制限はなく、2以上の脱塩室を設けることもできる。この場合、陽極室E1と陰極室E2との間に濃縮室と脱塩室が交互に配置され、複数の脱塩室が並列または直列に配置される。
【0011】
陽極室E1には陽極(図示せず)が、陰極室E2には陰極(図示せず)が収容されている。陽極と陰極はステンレスなどの金属の網状体あるいは板状体からなっている。陽極室E1と陰極室E2に供給される電極水は電極近傍での電気分解により、それぞれ水酸化物イオンと水素イオンを発生させる。EDI4の電気抵抗を抑えるため、陽極室E1と陰極室E2にはイオン交換体が充填されていることが好ましい。
【0012】
第1及び第2の濃縮室C1,C2を流れる濃縮水は、濃縮水供給管L3から供給される。脱塩室Dで除去されたイオン成分は第1及び第2の濃縮室C1,C2に移動し、濃縮水とともに濃縮水排水管L4からEDI4の外部に排出される。EDI4の電気抵抗を抑えるために、第1及び第2の濃縮室C1,C2にはイオン交換体が充填されていることが好ましい。ただし、本実施形態では、後述するように、脱塩室Dに従来よりも多くのカチオン交換体が充填され、この結果第1のカチオン交換膜k1と第1のアニオン交換膜a1が面外に張り出す。第1及び第2の濃縮室C1,C2に充填されるイオン交換体の量は、第1のカチオン交換膜k1と第1のアニオン交換膜a1が面外に張り出し、十分な量のカチオン交換体が充填できるように調整することが好ましい。
【0013】
被処理水は被処理水供給管L1を通って脱塩室Dに流入し、脱塩室Dでイオン成分(アニオン成分及びカチオン成分)を除去され、脱イオン水(処理水)として処理水排出管L2に排出される。被処理水から除去されたアニオン成分(Cl
−、CO
32−、HCO
3−、SiO
2等)は第1のアニオン交換膜a1を通って第1の濃縮室C1に移動し、被処理水から除去されたカチオン成分(Na
+、Ca
2+、Mg
2+等)は第1のカチオン交換膜k1を通って第2の濃縮室C2に移動する。
【0014】
脱塩室Dはアニオン交換体が充填されたアニオン交換体充填部Aと、カチオン交換体が充填されたカチオン交換体充填部Kとに区画されている。すなわち、脱塩室には、アニオン交換体が充填された少なくとも一つのアニオン交換体充填部Aと、カチオン交換体が充填された少なくとも一つのカチオン交換体充填部Kとが、処理水の流通経路に沿って交互に配置されている。アニオン交換体とカチオン交換体はそれぞれ粒状のアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂からなっているが、イオン交換作用を奏する限り、イオン交換繊維、モノリス状有機多孔質イオン交換体などの他のイオン交換体を用いることもできる。アニオン交換体充填部Aとカチオン交換体充填部Kの数は限定されないが、少なくとも一つのアニオン交換体充填部Aと、少なくとも一つのカチオン交換体充填部Kとが、脱塩室Dに上下方向に一列にかつ交互に配置されていればよい。本実施形態では、第1のアニオン交換体充填部A1と、第1のカチオン交換体充填部K1と、第2のアニオン交換体充填部A2とがこの順で設けられ、被処理水は第1のアニオン交換体充填部A1、第1のカチオン交換体充填部K1、第2のアニオン交換体充填部A2の順に通過する。図示は省略するが、第1のアニオン交換体充填部A1の上流側に別のカチオン交換体充填部を設けることもできる(被処理水はカチオン交換体、アニオン交換体、カチオン交換体、アニオン交換体の順に流れる)。アニオン交換体充填部A1、A2とカチオン交換体充填部Kとの間に物理的な障壁はなく、これらの充填部はアニオン交換体とカチオン交換体をそれぞれ単独で充填することで形成される(いわゆる複床形態)。
【0015】
アニオン交換膜とカチオン交換膜は薄い膜であるため、面外方向、すなわち陽極側及び陰極側に可撓性を有している。本実施形態ではカチオン交換体の充填量を増やしており、この結果第1のアニオン交換膜a1と第1のカチオン交換膜k1は面外方向、すなわち隣接する濃縮室C1,C2側に張り出す。具体的には第1のアニオン交換膜a1は第1の濃縮室C1側に張り出し、第1のカチオン交換膜k1は第2の濃縮室C2側に張り出す。
【0016】
ここで、アニオン交換体とカチオン交換体の充填率を以下のように定義する。
図2は脱塩室Dの概略斜視図であり、
図2(a)はアニオン交換体とカチオン交換体が充填されていないときの、
図2(b)はアニオン交換体とカチオン交換体が充填されているときの脱塩室Dと第1のアニオン交換膜a1及び第1のカチオン交換膜k1を示している。
図2(a)に示すように、アニオン交換体とカチオン交換体が充填されていないときは、第1のアニオン交換膜a1と第1のカチオン交換膜k1は面外方向に変形しておらず、陽極室E1の中心と陰極室E2の中心を結ぶ直線に対して概ね直交する平面内にある。
図2(b)に示すように、アニオン交換体とカチオン交換体が充填されているときは、第1のアニオン交換膜a1と第1のカチオン交換膜k1は面外方向に張り出している。
【0017】
図2(b)において符号を以下のように定義する。
Va:アニオン交換体充填部Aの総容積
Va1:第1のアニオン交換体充填部A1の容積
Va2:第2のアニオン交換体充填部A2の容積
Vk:カチオン交換体充填部Kの総容積
Vk1:第1のカチオン交換体充填部K1の容積
Ha:アニオン交換体の総充填高さ
Hk:カチオン交換体の総充填高さ
W:脱塩室Dにアニオン交換体とカチオン交換体が充填されていないときの第1のアニオン交換膜a1と第1のカチオン交換膜k1の間隔
S 脱塩室Dの奥行き
総容積は、複数のアニオン交換体充填部または複数のカチオン交換体充填部がある場合に、複数のアニオン交換体充填部の容積の合計、あるいは複数のカチオン交換体充填部の容積の合計を意味する。従って、
図2(b)の場合、Va=Va1+Va2、Vk=Vk1である。総充填高さは、複数のアニオン交換体充填部または複数のカチオン交換体充填部がある場合に、複数のアニオン交換体充填部の高さの合計、あるいは複数のカチオン交換体充填部の高さの合計を意味する。従って、
図2(b)の場合、Ha=Ha1+Ha2、Hk=Hk1である。なお、高さは被処理水の流れる方向と平行な方向に定義される。
【0018】
図2(a)において、アニオン交換体充填部Aの容積をVa0、カチオン交換体充填部Kの容積をVk0とする。Va0は、
図2(b)におけるアニオン交換体充填部Aの、アニオン交換体とカチオン交換体が充填されていないときの容積であり、Vk0は、
図2(b)におけるカチオン交換体充填部Kの、アニオン交換体とカチオン交換体が充填されていないときの容積である。第1のアニオン交換体充填部A1のアニオン交換体が充填されていないときの容積をVa01、第2のアニオン交換体充填部A2のアニオン交換体が充填されていないときの容積をVa02、第1のカチオン交換体充填部K1のアニオン交換体が充填されていないときの容積をVk01とすると、Va0=Va01+Va02、Vk=Vk01である。アニオン交換体の総充填高さHaとカチオン交換体の総充填高さHkは、
図2(a)と(b)で同じであるため、Va0=Ha×S×W、Vk0=Hk×S×Wとなる。脱塩室Dの奥行きSは、陽極室E1の中心と陰極室E2の中心を結ぶ直線と、被処理水の流れる方向の両者と直交する方向に定義され、アニオン交換体とカチオン交換体が充填されているか否かに拘らず一定である。
【0019】
以上より、アニオン交換体充填率Raとカチオン交換体充填率Rkは以下のように定義される。
アニオン交換体充填率Ra=Va/Va0=Va/(Ha×S×W)
カチオン交換体充填率Rk=Vk/Vk0=Vk/(Hk×S×W)
本実施形態ではVk>Vk0、かつVa>Va0であるが、VaについてはVa=Va0であってもよい。
【0020】
さらに、本実施形態ではRk>Raが成り立つ。Va≧Va0であることから、結局Rk>Ra≧1が成り立つ。このようにカチオン交換体とアニオン交換体を充填することで、カチオン成分をより効率的に除去することができる。アニオン交換体についても一定の充填量が確保されるため、アニオン成分を除去する能力が低下することもない。た、RkとRaは共に1以上であることが好ましく、これによってイオン交換体とイオン交換膜の密着性が確保され、イオンを効率よく濃縮室に移送することができる。なお、上述の定義から明らかなとおり、Rk>Raはカチオン交換体の充填量がアニオン交換体の充填量より多いこと(Vk>Va)を意味しない。換言すれば、Rk>Raはカチオン交換体充填部Kの幅方向寸法の平均値が、アニオン交換体充填部Aの幅方向寸法の平均値より大きいことを意味する。
【0021】
EDI4の上流側には被処理水から塩類などの不純物を除去する逆浸透膜(RO)装置2と、RO透過水を加熱する加熱手段3とが設けられている。加熱手段3は特に限定されず、ヒータ、熱交換器などであってよい。加熱手段3は例えば被処理水の熱水殺菌のために用いられる。RO装置2と加熱手段3は、EDI4とともに水処理装置1の一部を構成する。後述するように、本発明によれば、被処理水を40℃以上に加熱してもカチオン成分の除去効率の低下を抑制することができる。従って、本発明の水処理方法は、被処理水を40℃以上に加熱する工程と、40℃以上に加熱された被処理水をEDI4に供給して、被処理水をEDI4で処理する工程と、を有する。
【0022】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係るEDI4の概略構成図である。第2の実施形態はアニオン交換体充填部Aに第1のバイポーラ膜BP1が、カチオン交換体充填部Kに第2のバイポーラ膜BP2が設けられている点を除き、第1の実施形態と同じである。具体的には、アニオン交換体充填部Aの陰極側に第1のバイポーラ膜BP1が、カチオン交換体充填部Kの陽極側に第2のバイポーラ膜BP2が設けられている。第1及び第2のバイポーラ膜BP1,BP2はアニオン交換膜BPaとカチオン交換膜BPkとを貼り合わせることで形成される。第1のバイポーラ膜BP1のアニオン交換膜BPaはアニオン交換体と接しており、第2のバイポーラ膜BP2のカチオン交換膜BPkはカチオン交換体と接している。バイポーラ膜は水分解反応を促進し電流をより流しやすくする作用がある。第1及び第2のバイポーラ膜BP1,BP2を設けることで、アニオン成分とカチオン成分の除去効率が高められる。
【0023】
(第3の実施形態)
図4は、本発明の第3の実施形態に係るEDI4の概略構成図である。
図5は脱塩室Dの概略斜視図であり、
図5(a)はアニオン交換体とカチオン交換体が充填されていないときの、
図5(b)はアニオン交換体とカチオン交換体が充填されたときの脱塩室Dとアニオン交換膜及びカチオン交換膜を示している。第3の実施形態は脱塩室Dが2つの小脱塩室D1、D2に分割されている点を除き、第1の実施形態と同じである。具体的には、脱塩室Dは、第1のアニオン交換膜a1と第1のカチオン交換膜k1との間に位置する中間イオン交換膜xと、第1のアニオン交換膜a1と中間イオン交換膜xとによって仕切られた第1の小脱塩室D1と、第1のカチオン交換膜k1と中間イオン交換膜xとによって仕切られた第2の小脱塩室D2と、を有している。中間イオン交換膜xは、アニオン交換膜もしくはカチオン交換膜の単一膜、または、アニオン交換膜とカチオン交換膜の両方を備えた複合膜のいずれであってもよい。第1の小脱塩室D1と第2の小脱塩室D2は接続流路L5で直列接続されており、被処理水は第1の小脱塩室D1から第2の小脱塩室D2に流れる。
【0024】
このように脱塩室Dが2つの小脱塩室に区画された構成は、被処理水の多段処理が可能であり、脱イオン性能の向上に効果的である。しかも第1の小脱塩室D1と第2の小脱塩室D2との間に濃縮室を設ける必要がないため、陽極・陰極間の印加電圧が抑えられ、消費電力が下がり、運転費の低減を図ることが可能である。
【0025】
脱塩室Dには、少なくとも一つのアニオン交換体充填部Aと少なくとも一つのカチオン交換体充填部Kとが、被処理水の流通経路に沿って交互に配置されている。本実施形態では、第1の小脱塩室D1にアニオン交換体が充填され、第2の小脱塩室D2には被処理水の流れ方向に関して上流側にカチオン交換体が、下流側にアニオン交換体が充填されている。従って、被処理水は第1のアニオン交換体充填部A1、第2のカチオン交換体充填部K2、第2のアニオン交換体充填部A2の順に通過する。第1の小脱塩室D1の上流側にアニオン交換体を、下流側にカチオン交換体を充填し、第2の小脱塩室D2にはアニオン交換体を充填し、第1の小脱塩室D1から第2の小脱塩室D2に被処理水が流れるようにすることもできる。
【0026】
本実施形態においては、少なくとも一つのアニオン交換体充填部Aと少なくとも一つのカチオン交換体充填部Kが配置されている小脱塩室毎にRk>Ra≧1が成り立つ。すなわち、本実施形態では第1の小脱塩室D1にはアニオン交換体だけが充填され、第2の小脱塩室D2にはカチオン交換体とアニオン交換体が充填されているため、第2の小脱塩室D2でRk>Ra≧1が成り立つ。
図5(b)において符号を以下のように定義する。
Va1:第1のアニオン交換体充填部A1の容積
Va2:第2のアニオン交換体充填部A2の容積
Vk1:第1のカチオン交換体充填部K1の容積(本実施形態ではVk1=0である)
Vk2:第2のカチオン交換体充填部K2の容積
Ha1:第1の小脱塩室D1に充填されたアニオン交換体の総充填高さ
Hk1:第1の小脱塩室D1に充填されたカチオン交換体の総充填高さ(本実施形態ではHk1=0である)
Ha2:第2の小脱塩室D2に充填されたアニオン交換体の総充填高さ
Hk2:第2の小脱塩室D2に充填されたカチオン交換体の総充填高さ
W1:脱塩室Dにアニオン交換体とカチオン交換体が充填されていないときの第1のアニオン交換膜a1と中間イオン交換膜xとの間隔
W2:脱塩室Dにアニオン交換体とカチオン交換体が充填されていないときの中間イオン交換膜xと第1のカチオン交換膜k1との間隔
S:脱塩室Dの奥行き
ここで、第2の小脱塩室D2について考えると、
Va0=Ha2×S×W2
Vk0=Hk2×S×W2
であり、
アニオン交換体充填率Ra=Va2/(Ha2×S×W2)
カチオン交換体充填率Rk=Vk2/(Hk2×S×W2)となる。
【0027】
第1の小脱塩室D1にカチオン交換体とアニオン交換体が充填されている場合も同様である。第1の小脱塩室D1と第2の小脱塩室D2のそれぞれにカチオン交換体とアニオン交換体が充填されている場合は、第1の小脱塩室D1と第2の小脱塩室D2のそれぞれについてRk>Ra≧1が成り立つ。
【0028】
(第4の実施形態)
図6は、本発明の第4の実施形態に係るEDI4の概略構成図である。第4の実施形態はアニオン交換体充填部Aに第1のバイポーラ膜BP1が設けられる点を除き、第3の実施形態と同じである。具体的には、アニオン交換体充填部Aの陰極側に第1のバイポーラ膜BP1が設けられ、第1のバイポーラ膜BP1のアニオン交換膜BPaがアニオン交換体と接している。一般にアニオン交換体はカチオン交換体より電気抵抗が高く、電流が流れにくい。このため電流がカチオン交換体に流れやすくなり、この偏流の影響によりアニオン成分の除去効率が低下する可能性がある。バイポーラ膜はアニオン交換膜とカチオン交換膜の接合面における水の解離反応を促進するため、電流をより流しやすくする作用がある。このため、アニオン交換体充填部Aに第1のバイポーラ膜BP1を設けることで偏流が改善される。
【0029】
(第5の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態に係るEDI4の概略構成図である。第5の実施形態はカチオン交換体充填部Kに第2のバイポーラ膜BP2が設けられる点を除き、第4の実施形態と同じである。具体的には、カチオン交換体充填部Kの陽極側に第2のバイポーラ膜BP2が設けられ、第2のバイポーラ膜BP2のカチオン交換膜BPkがカチオン交換体と接している。第4の実施形態によって偏流が改善されるが、カチオン交換体充填部Kに流れる電流が減少する。このため、カチオン交換体充填部Kに第2のバイポーラ膜BP2を設け、カチオン交換体充填部Kに流れる電流を増加させることができる。
【0030】
(実施例)
次にいくつかの実施例について述べる。各実施例と各比較例では1段の逆浸透膜(RO膜)で処理した水をEDIに供給した。表1の左欄に示す各脱塩室の構成に対応した実施例と比較例は、アニオン交換体充填率Raとカチオン交換体充填率Rkのみが異なる。処理水の比抵抗は大きいほどイオン成分が除去されていることを示し、Naイオン量はカチオンイオンの代表例であるNaイオンの処理水における濃度を示している。
【0032】
実施例1は
図6に示すEDIにおいてアニオン交換体充填率Ra=1.05、カチオン交換体充填率Rk=1.20としたものである。比較例1は
図6に示すEDIにおいてアニオン交換体充填率Ra=1.10、カチオン交換体充填率Rk=1.10としたものである。実施例1においては、比較例1と比べて処理水の比抵抗が大きく、処理水のNaイオン量も減少しており、カチオン成分が効率的に除去されている。
【0033】
実施例2は
図7に示すEDIにおいてアニオン交換体充填率Ra=1.05、カチオン交換体充填率Rk=1.20としたものである。比較例2は
図7に示すEDIにおいてアニオン交換体充填率Ra=1.10、カチオン交換体充填率Rk=1.10としたものである。実施例2においても、比較例2と比べて処理水の比抵抗が大きく、処理水中へのNaイオン量も減少しており、カチオン成分が効率的に除去されている。
【0034】
次に、実施例3として熱水殺菌した被処理水をEDI4に導入し、熱水の温度を変えて処理水の比抵抗とNaイオン量を測定した。具体的には、実施例2と比較例2のEDI4において、被処理水を40℃、80℃に加熱したときの処理水の比抵抗とNaイオン量を測定した。熱水殺菌は各ケースで50回行い、各ケースで比抵抗とNaイオン量の平均値を求めた。被処理水の加熱を行わない場合の処理水の比抵抗とNaイオン量は実施例2、比較例2の通りである。
図8に示すように、40℃で熱水殺菌した場合は実施例と比較例で多少の差が認められ、40℃を超えると差が大きくなり、80℃ではさらに差が大きくなる。従って、本実施例より40℃以上の被処理水をEDI4に導入したときにカチオンイオンを有効に除去できることが分かった。