(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記照明制御部は、前記第1モードにおいて前記第1位置に前記レンズを形成するための第1電圧を供給し、前記第2モードにおいて前記第2位置に前記レンズを形成するための第2電圧を供給する、請求項1に記載の表示装置。
前記照明制御部は、前記第1モードにおいて前記第1位置に前記遮光体を形成するための第3電圧、及び、前記第2モードにおいて前記第2位置に前記遮光体を形成するための第4電圧を制御する、請求項2に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
図1は、本実施形態の表示装置DSPの一構成例を示す図である。なお、図中の第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zは、表示装置DSPを構成する光学素子の並び方向に相当する。
【0011】
表示装置DSPは、表示パネル1と、表示パネル1を照明する照明装置2とを備えている。表示パネル1の詳細については後述するが、一例では、表示パネル1は、液晶表示パネルである。
【0012】
照明装置2は、光源部3と、遮光体4と、レンズ5と、コントローラ6とを備えている。光源部3は、表示パネル1に向けて光を出射する。光源部3の詳細については省略するが、例えば、光源部3は、表示パネル1の直下に配置された平板状の導光板及び導光板のエッジに沿って配置された光源を備えたエッジライト型であってもよいし、表示パネル1の直下に配置された光源を備えた直下型であってもよい。光源部3から出射される光は、必ずしも特定方向に指向性を有していなくてもよい。図示した例では、光源部3から出射された光は、図中に複数の矢印で示したように発散性を有している。
【0013】
遮光体4及びレンズ5は、光源部3と表示パネル1との間に位置している。図示した例では、遮光体4は、光源部3とレンズ5との間に位置しているが、レンズ5と表示パネル1との間に位置していてもよい。遮光体4は、光源部3から出射された光の一部を遮光する。複数の遮光体4は、例えば、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。遮光体4の各々は、第1方向Xに幅W4を有し、第2方向Yに延出している。レンズ5は、光源部3から出射された光を屈折する。複数のレンズ5は、例えば、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。レンズ5の各々は、第1方向Xに幅W5を有し、第2方向Yに延出している。遮光体4の並ぶ方向は、レンズ5の並ぶ方向と同一である。遮光体4のピッチP4は、レンズ5のピッチP5と同等以下である。これらの遮光体4及びレンズ5は、いずれも光の出射角を制御する光制御体の一例である。なお、遮光体4は、所定の位置に固定されてもよいし、後に詳述する液晶素子40に備えられてもよい。また、レンズ5は、所定の位置に固定されてもよいし、後に詳述する液晶素子50に備えられてもよい。
【0014】
コントローラ6は、表示制御部7及び照明制御部8を備えている。表示制御部7は、表示パネル1を制御する。照明制御部8は、照明装置2を制御する。
【0015】
図2は、照明制御部8による制御例を説明するための図である。
図2の(a)は照明制御部8によって制御された第1モードを説明するための図であり、
図2の(b)は照明制御部8によって制御された第2モードを説明するための図である。
【0016】
図2の(a)に示す第1モードでは、遮光体4A及び4B、及び、レンズ5は、それぞれ第1位置P1に配置されている。図示した例では、遮光体4A及び4Bは、間隙G4をおいて第1方向Xに並んでいる。レンズ5は、その中心5Oと間隙G4の中心GOとが光源部3の法線Nに位置するように配置されている。
このような第1モードにおいては、光源部3からの出射光のうち、法線Nと平行な方向に進行する出射光、及び、法線Nに対して僅かに傾いた方向に進行する出射光が間隙G4を通過する一方で、法線Nに対して大きく傾いた方向に進行する出射光が遮光体4A及び4Bによって遮光される。つまり、遮光体4A及び4Bは、発散性の光のうち、法線Nに近い出射方向の光のみを通過させる。レンズ5は、間隙G4を通過した光を屈折する。第1モードの照明装置2からの出射光の出射方向は、法線Nに対して対称な範囲内の方向となる。出射方向の範囲を法線Nに対して±θ1の範囲としたとき、一例では、θ1は30°である。ここでは、法線Nに対して図の右側に傾斜した角度を正(+)とし、法線Nに対して図の左側に傾斜した角度を負(−)とする。このような第1モードでは、第3方向Zを示す矢印とは反対側に照明装置2を観察した場合、法線Nを中心として対称な角度範囲に亘って出射光を観察することができる。一例では、間隙G4の第1方向Xに沿った幅を小さくする(あるいは、遮光体4A及び4Bのピッチをレンズ5のピッチよりも小さくする)ことにより、出射方向の範囲をより小さい角度範囲にすることができる。
【0017】
図2の(b)に示す第2モードでは、遮光体4A及び4Bは第1位置P1に配置される一方で、レンズ5は第2位置P2に配置されている。ここでの第2位置は、
図2の(a)に示した第1位置P1よりも第1方向Xに沿って図の右側にずれた位置である。なお、第2モードでは、レンズ5が第1位置P1に配置される一方で遮光体4A及び4Bが第2位置P2に配置されてもよいし、遮光体4A及び4B、及び、レンズ5の双方が第1位置P1とは異なる第2位置に配置されてもよい。遮光体4A及び4Bは、第1モードと同様に間隙G4をおいて第1方向Xに並んでいる。レンズ5は、その中心5Oが間隙G4の中心GOとずれた位置に配置されている。
このような第2モードにおいて、遮光体4A及び4Bは、第1モードと同様に、法線Nに近い出射方向の光のみを通過させる。レンズ5は、間隙G4を通過した光を屈折する。第2モードの照明装置2からの出射光の出射方向は、法線Nに対して非対称な範囲内の方向となる。出射方向の範囲を法線Nに対して+θ2及び−θ3の範囲としたとき、θ2はθ3より大きい。一例では、θ2は60°であり、θ3は0°である。このような第2モードでは、照明装置2を観察した場合、法線Nを中心として第1方向Xに非対称な角度範囲に亘って出射光を観察することができる。このように、遮光体4A及び4Bの位置あるいは間隙G4と、レンズ5との相対的な位置関係を第1方向Xに沿って変更することにより、第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX−Z平面内で、出射方向の角度範囲を制御することができる。
【0018】
図3は、照明装置2の他の構成例における制御例を説明するための図である。
図3の(a)は第1モードを説明するための図であり、
図3の(b)は第2モードを説明するための図である。
図3に示した他の構成例は、
図2に示した構成例と比較して、レンズ5が光源部3と遮光体4A及び4Bとの間に位置している点で相違している。
【0019】
図3の(a)に示す第1モードでは、遮光体4A及び4B、及び、レンズ5は、それぞれ第1位置P1に配置されている。光源部3からの出射光は、レンズ5によって屈折される。レンズ5によって屈折された光のうち、一部の光は遮光体4A及び4Bによって遮光される。第1モードの照明装置2からの出射光の出射方向は、法線Nに対して対称な範囲内の方向となる。
【0020】
図3の(b)に示す第2モードでは、遮光体4A及び4Bは第1位置P1に配置される一方で、レンズ5は第2位置P2に配置されている。なお、第2モードでは、遮光体4A及び4B、及び、レンズ5の少なくとも一方が第1位置P1とは異なる第2位置に配置されていればよい。第2モードにおいては、第1モードと同様に、光源部3からの出射光はレンズ5によって屈折され、屈折された一部の光は遮光体4A及び4Bによって遮光される。第2モードの照明装置2からの出射光の出射方向は、法線Nに対して非対称な範囲内の方向となる。
【0021】
本実施形態によれば、遮光体4A及び4Bの位置あるいは間隙G4と、レンズ5との相対的な位置関係を変更することにより、光源部3から出射された光の出射方向を制御することができる。また、たとえ光源部3からの出射光が大きな発散性を有していたとしても、出射方向を所定の角度範囲に絞ることができ、指向性を付与することができる。
【0022】
次に、レンズ5を備えた液晶素子50について説明する。液晶素子50は、第1液晶素子に相当する。
【0023】
図4は、液晶素子50の構成例を示す断面図である。
液晶素子50は、第1基板51と、第2基板52と、第1液晶層53と、第1制御電極E1と、第2制御電極E2とを備えている。図示した例では、第1制御電極E1は第1基板51に設けられ、第2制御電極E2は第2基板52に設けられているが、第1制御電極E1及び第2制御電極E2がいずれも同一基板、つまり第1基板51または第2基板52に設けられてもよい。
【0024】
第1基板51は、絶縁基板511と、第1制御電極E1と、配向膜512と、給電線513とを備えている。第1制御電極E1は、絶縁基板511と第1液晶層53との間に位置している。複数の第1制御電極E1は、有効領域50Aにおいて、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。一例では、第1制御電極E1の第1方向Xに沿った幅は、隣り合う第1制御電極E1の第1方向Xに沿った間隔と同等以下である。配向膜512は、第1制御電極E1を覆い、第1液晶層53に接触している。給電線513は、有効領域50Aの外側の非有効領域50Bに位置している。
【0025】
第2基板52は、絶縁基板521と、第2制御電極E2と、配向膜522とを備えている。第2制御電極E2は、絶縁基板521と第1液晶層53との間に位置している。第2制御電極E2は、例えば、有効領域50Aの略全面に位置するとともに非有効領域50Bにも延在した単一の平板電極である。第2制御電極E2は、有効領域50Aにおいて、第1液晶層53を介して第1制御電極E1と対向している。第2制御電極E2は、非有効領域50Bにおいて給電線513と対向している。配向膜522は、第2制御電極E2を覆い、第1液晶層53に接触している。
【0026】
絶縁基板511及び521は、例えばガラス基板または樹脂基板である。第1制御電極E1及び第2制御電極E2は、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成されている。配向膜512及び522は、例えば、水平配向膜であり、いずれも第1方向Xに沿って配向処理されている。
第1基板51及び第2基板52は、非有効領域50Bにおいて、シール54によって接着されている。シール54は、導通材55を備えている。導通材55は、給電線513と第2制御電極E2との間に介在し、給電線513と第2制御電極E2とを電気的に接続している。
【0027】
第1液晶層53は、第1基板51と第2基板52との間に保持されている。第1液晶層53は、例えば、正の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成されている。第1制御電極E1及び第2制御電極E2は、第1液晶層53にレンズ5を形成するための電圧を印加する。
【0028】
照明制御部8は、第1液晶層53に印加する電圧を制御する。照明制御部8は、第1制御電極E1及び第2制御電極E2にそれぞれ供給する電圧を制御することにより、第1液晶層53にレンズ5を形成したモードと、第1液晶層53にレンズを形成しないモードとを切り替えることができる。また、照明制御部8は、第1制御電極E1の各々に供給する電圧を制御することにより、レンズ5の形成位置を制御することができ、
図2及び
図3を参照して説明したように、第1位置P1及び第2位置P2にそれぞれレンズ5を形成することができる。また、照明制御部8は、第1制御電極E1の各々に供給する電圧を制御することにより、レンズ5の大きさや形状も自在に制御することができる。
【0029】
図5は、液晶素子50の構成例を示す平面図である。
図5の(a)は第1基板51の平面図を示し、
図5の(b)は第2基板52の平面図を示している。
図5の(a)に示す第1基板51において、シール54は、枠状に形成されている。複数の第1制御電極E1は、シール54によって囲まれた内側に位置し、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。第1制御電極E1の各々は、例えば、第2方向Yに延出した帯状電極である。なお、第1制御電極E1は、第1方向Xに延出した帯状電極であってもよいし、第1方向X及び第2方向Yにそれぞれ並んだ島状電極であってもよい。島状電極の形状は、四角形や六角形などの多角形、あるいは、円形などである。給電線513は、シール54と重なる位置において、第2方向Yに延出している。シール54に含まれる導通材55の少なくとも一部は、給電線513の上に重なっている。配線基板9は、第1基板51に接続され、第1制御電極E1及び給電線513の各々と照明制御部8とを電気的に接続している。
【0030】
図5の(b)に示す第2基板52において、第2制御電極E2は、四角形状に形成され、第2方向Yに沿って延出する端部E2Eを有している。端部E2Eは、給電線513及び導通材55と重なっている。つまり、第2制御電極E2は、導通材55及び給電線513を介して、照明制御部8と電気的に接続されている。
【0031】
図6は、第1液晶層53に形成されるレンズ5を説明するための図である。
図6においては、説明に必要な構成のみを図示している。ここでは、隣り合う第1制御電極E11及びE12には同一の電圧が供給され、第2制御電極E2には第1制御電極E11及びE12とは異なる電圧が供給される場合について説明する。
【0032】
一例では、第1液晶層53は、上記の通り、正の誘電率異方性を有している。第1液晶層53に含まれる液晶分子53Mは、電界が形成されない状態ではその長軸が第1方向Xに沿うように初期配向しており、また、電界が形成された状態ではその長軸が電界に沿うように配向される。
【0033】
一例では、第1制御電極E11及びE12には6Vの電圧が供給され、第2制御電極E2には0Vの電圧が供給される。第1制御電極E11及びE12の各々と第2制御電極E2とが対向する領域には、第3方向Zに沿った電界が形成されるため、液晶分子53Mはその長軸が第3方向Zに沿うように配向する。第1制御電極E11と第1制御電極E12との間の領域には、第3方向Zに対して傾斜した電界が形成されるため、液晶分子53Mはその長軸が第3方向Zに対して傾斜するように配向する。第1制御電極E11と第1制御電極E12との中間領域においては、ほとんど電界が形成されない、あるいは、第1方向Xに沿った電界が形成されるため、液晶分子53Mはその長軸が第1方向Xに沿うように配向する。液晶分子53Mは、屈折率異方性Δnを有している。このため、第1液晶層53は、液晶分子53Mの配向状態に応じた屈折率分布を有する。あるいは、第1液晶層53は、第1液晶層53の第3方向Zに沿った厚さをdとしたとき、Δn・dで表されるリタデーションの分布、または、位相分布を有する。なお、厚さdは、一例では、10μm〜100μmである。図中に点線で示したレンズ5は、このような屈折率分布、リタデーションの分布、または、位相分布によって形成されるものである。図示したレンズ5は、凸レンズとして機能する。
【0034】
なお、本実施形態では、レンズ5を備える液晶素子50の一例として、基板主面に沿ってほぼ水平に初期配向する第1液晶層53と、基板主面と交差する方向に沿った電界とを組み合わせた方式について説明したが、これに限らない。例えば、基板主面とほぼ垂直に初期配向する液晶層が組み合わされてもよいし、基板主面に沿った電界と組み合わせてもよく、液晶層に印加される電界に応じて屈折率分布を可変する方式であれば、レンズ5を備える液晶素子が実現できる。ここでの基板主面とは、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX−Y平面である。
【0035】
図7は、
図6に示したレンズ5の作用を説明するための図である。
ここでは、光の進行方向が第3方向Zに沿う場合に、第1方向Xに沿った振動面を有する直線偏光を第1偏光POL1と称し、第2方向Yに沿った振動面を有する直線偏光を第2偏光POL2と称する。第1偏光POL1は図中に横ストライプの矢印で示し、第2偏光POL2は図中に斜めストライプの矢印で示している。光Lは、例えば、ランダムな振動面を有する自然光であり、絶縁基板511の外面511Aから入射し、第1基板51から第2基板52に向かって進行するものとする。
レンズ5は、第1偏光POL1及び第2偏光POL2に対してそれぞれ異なる作用を有する。すなわち、レンズ5は、自然光Lのうち、第2偏光POL2をほとんど屈折することなく透過し、第1偏光POL1を屈折する。つまり、レンズ5は、主として第1偏光POL1に対して集束作用を発揮する。
【0036】
図8は、液晶素子50に備えられるレンズ5の形成例を説明するための図である。
第1基板51は、第1方向Xにほぼ等間隔で並んだ第1制御電極E11乃至E19を備えている。第2制御電極E2は、第1液晶層53を挟んで、第1制御電極E11乃至E19と対向している。
図8の(a)に示すように、主に第1制御電極E11、E14、E17に対して、第2制御電極E2と異なる電圧が供給された状態では、第1制御電極E11乃至E14に亘るレンズ5Aが形成されるとともに、第1制御電極E14乃至E17に亘るレンズ5Bが形成される。
図8の(b)に示すように、主に第1制御電極E12、E15、E18に対して、第2制御電極E2と異なる電圧が供給された状態では、第1制御電極E12乃至E15に亘るレンズ5Cが形成されるとともに、第1制御電極E15乃至E18に亘るレンズ5Dが形成される。
図8の(c)に示すように、主に第1制御電極E13、E16、E19に対して、第2制御電極E2と異なる電圧が供給された状態では、第1制御電極E13乃至E16に亘るレンズ5Eが形成されるとともに、第1制御電極E16乃至E19に亘るレンズ5Fが形成される。
図示した例において、例えば、レンズ5Aが
図2の(a)に示した第1位置P1のレンズ5に相当する場合、第1制御電極E11、E14、及び、第2制御電極E2に供給される電圧は、第1モードにおいて第1位置P1にレンズ5を形成するための第1電圧に相当する。また、レンズ5Cが
図2の(b)に示した第2位置P2のレンズ5に相当する場合、第1制御電極E12、E15、及び、第2制御電極E2に供給される電圧は、第2モードにおいて第2位置P2にレンズ5を形成するための第2電圧に相当する。
【0037】
図9は、遮光体4及びレンズ5の構成例を示す図である。なお、ここでは、レンズ5を備える液晶素子及び第2制御電極の図示を省略している。
一例では、複数の第1制御電極E1は第1方向Xに並び、第1制御電極E1の各々は第2方向Yに延出し、レンズ5は第2方向Yに延出し第3方向Zに突出した凸レンズ(シリンドリカルレンズ)である。遮光体4は、第2方向Yに延出している。遮光体4は、第1制御電極E1と重畳する位置に配置されるが、遮光体4の第1方向Xに沿った幅と第1制御電極E1の第1方向Xに沿った幅とが一致している必要はなく、1つの遮光体4が複数の第1制御電極E1と重畳していてもよい。このように、遮光体4及びレンズ5が第2方向Yに延出する構成例では、
図2などを参照して説明したように、出射方向を、X−Y平面において遮光体4及びレンズ5の延出方向と直交する方向、つまり、第1方向Xに制御することができる。なお、図示していないが、遮光体4及びレンズ5が第1方向Xに延出する構成例では、遮光体4及びレンズ5の相対的な位置関係を第2方向Yに沿って変更することにより、出射方向を第2方向Yに制御することができる。
【0038】
図10は、遮光体4の配置例を示す図である。ここでは、遮光体4が液晶素子50に設けられた配置例について説明する。
図10の(a)は、遮光体4が第1基板51の第1外面51Aに設けられた配置例に相当する。
図10の(b)は、遮光体4が第1基板51の第1内面51Bに設けられた配置例に相当する。
図10の(c)は、遮光体4が第2基板52の第2内面52Aに設けられた配置例に相当する。
図10の(d)は、遮光体4が第2基板52の第2外面52Bに設けられた配置例に相当する。
遮光体4は、いずれの配置例においても、所定の位置に固定され、いずれのモードにおいても配置位置が変化することはない。このような遮光体4は、例えば黒色などに着色された樹脂材料、または、不透明な金属材料によって形成されている。また、遮光体4は、入射光を吸収する材料によって形成されてもよいし、入射光を反射する材料によって形成されてもよい。遮光体4が反射性材料によって形成されている場合、入射光をリサイクルすることができ、光の利用効率を改善することができる。また、遮光体4の延出方向は、
図9を参照して説明したように、第1制御電極E1の延出方向と平行である。このため、遮光体4が金属材料あるいは導電材料によって形成されている場合、遮光体4を第1制御電極E1として利用することもできる。
【0039】
次に、液晶素子50のバリエーションについて説明する。
【0040】
図11は、液晶素子50の第1バリエーションを示す図である。
図11の(a)に示すように、主に第1制御電極E11、E13、E15、E17、E19に対して、第2制御電極E2と異なる電圧が供給された状態では、第1制御電極E11乃至E13に亘るレンズ5A、第1制御電極E13乃至E15に亘るレンズ5B、第1制御電極E15乃至E17に亘るレンズ5C、及び、第1制御電極E17乃至E19に亘るレンズ5Dがそれぞれ形成される。レンズ5A乃至5Dは、いずれも第1方向Xに沿って第1幅W51を有する第1レンズに相当する。第1幅W51は、例えば、第1制御電極E11及びE13の第1方向Xに沿ったピッチに相当する。
図11の(b)に示すように、主に第1制御電極E11、E15、E19に対して、第2制御電極E2と異なる電圧が供給された状態では、第1制御電極E11乃至E15に亘るレンズ5E、及び、第1制御電極E15乃至E19に亘るレンズ5Fがそれぞれ形成される。レンズ5E及び5Fは、いずれも第1方向Xに沿って第2幅W52を有する第2レンズに相当する。第2幅W52は第1幅W51とは異なり、図示した例では、第2幅W52は第1幅W51より大きい。第2幅W52は、例えば、第1制御電極E11及びE15の第1方向Xに沿ったピッチに相当する。
上記の通り、第1制御電極及び第2制御電極に供給される電圧は、照明制御部によって制御される。
図11の(a)に示した例において、第1制御電極E11、E13、及び、第2制御電極E2に供給される電圧は、第1レンズ5Aを形成するための第1電圧に相当する。また、
図11の(b)に示した例において、第1制御電極E11、E15、及び、第2制御電極E2に供給される電圧は、第2レンズ5Eを形成するための第2電圧に相当する。
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。加えて、幅の異なる第1レンズ及び第2レンズを選択的に切り替えることにより、出射方向の範囲や出射光の集束位置を制御することができる。
【0041】
図12は、液晶素子50の第2バリエーションを示す図である。
図12の(a)に示すように、第1制御電極E11乃至E17に対して、第2制御電極E2と異なる電圧が供給された状態では、第1制御電極E11乃至E17に亘るレンズ5Lが形成される。レンズ5Lは、法線Nに対して非対称なレンズである。レンズ5Lは、図の左側つまり第1制御電極E11乃至E13に亘る第1領域531と、図の右側つまり第1制御電極E14乃至E16に亘る第2領域532とでは、異なる屈折率分布を有している。このようなレンズ5Lは、例えば、第1制御電極E11乃至E17のそれぞれの電圧を6V、5V、4V、3V、2V、1V、6Vに設定し、第2制御電極E2の電圧を0Vに設定することで形成可能である。レンズ5Lは、光源部3からの出射光を屈折する。出射光の出射方向は、法線Nに対して非対称な範囲内の方向となる。出射方向の範囲を法線Nに対して+θ2及び−θ3の範囲としたとき、θ2はθ3より小さい。
図12の(b)に示すように、第1制御電極E11乃至E17に対して、第2制御電極E2と異なる電圧が供給された状態では、第1制御電極E11乃至E17に亘るレンズ5Rが形成される。レンズ5Rは、法線Nに対して非対称なレンズである。このようなレンズ5Rは、例えば、第1制御電極E11乃至E17のそれぞれの電圧を6V、1V、2V、3V、4V、5V、6Vに設定し、第2制御電極E2の電圧を0Vに設定することで形成可能である。レンズ5Rは、光源部3からの出射光を屈折する。出射光の出射方向は、法線Nに対して非対称な範囲内の方向となる。出射方向の範囲を法線Nに対して+θ2及び−θ3の範囲としたとき、θ2はθ3より大きい。
【0042】
図13は、
図12に示したレンズ5L及び5Rの形成例を説明するための図である。
図13の(a)に示すように、第2制御電極E2の電圧に対して、第1方向Xに並んだ第1制御電極E11乃至E17のそれぞれの電圧が順に小さくなるように設定された状態では、第1制御電極E11乃至E17に亘る非対称なレンズ5Rが形成される。
図13の(b)に示すように、主に第1制御電極E11及びE17のそれぞれの電圧が同一に設定され、且つ、第1制御電極E12乃至E16のそれぞれの電圧が0Vあるいは第1制御電極E11より小さく設定された状態では、第1制御電極E11乃至E17に亘る対称なレンズ5Mが形成される。
図13の(c)に示すように、第2制御電極E2の電圧に対して、第1制御電極E11乃至E17のそれぞれの電圧が順に大きくなるように設定された状態では、第1制御電極E11乃至E17に亘る非対称なレンズ5Rが形成される。
図示した例において、
図13の(b)に示したレンズ5Mは対称な形状の第1レンズに相当し、第1制御電極E11乃至E17、及び、第2制御電極E2に供給される電圧は第1レンズ5Mを形成するための第1電圧に相当する。
図13の(a)に示したレンズ5L、及び、
図13の(c)に示したレンズ5Rは非対称な形状の第2レンズに相当し、第1制御電極E11乃至E17、及び、第2制御電極E2に供給される電圧は第2レンズ5L及び5Rを形成するための第2電圧に相当する。
このような構成例においても、上記の構成例と同様に、非対称形状のレンズ5L及びレンズ5Rにより、X−Y平面において、出射方向を第1方向Xに制御することができる。加えて、液晶素子50が非対称形状のレンズを形成可能な第2バリエーションにおいては、遮光体を用いることなく、出射方向を制御することができる。
【0043】
図14は、液晶素子50の第3バリエーションを示す図である。
図14に示した構成例は、上記の構成例と比較して、複数の第2制御電極E21乃至E23が第1方向Xに間隔をおいて並び、第2制御電極E21乃至E23の各々が第2方向Yに延出した帯状電極である点で相違している。つまり、第2制御電極E21乃至E23の延出方向は、第1制御電極E11乃至E13の延出方向と平行である。
このような構成例において、主として第1制御電極E11乃至E13にそれぞれ所定の電圧が供給されることによりレンズ5A及び5Bが形成され、また、主として第2制御電極E21乃至E23にそれぞれ所定の電圧が供給されることによりレンズ5C及び5Dが形成される。レンズ5A及び5Bは、いずれも第2方向Yに延出し、第3方向Zに沿って上向きに突出した凸レンズである。また、レンズ5C及び5Dは、いずれも第2方向Yに延出し、第3方向Zに沿って下向きに突出した凸レンズである。
例えば、第2制御電極E21乃至E23のそれぞれの電圧を0Vに設定し、第1制御電極E11乃至E13のそれぞれの電圧を6Vに設定することで、レンズ5C及び5Dが形成されることなく、レンズ5A及び5Bを形成することができる。同様に、第1制御電極E11乃至E13のそれぞれの電圧を0Vに設定し、第2制御電極E21乃至E23のそれぞれの電圧を6Vに設定することで、レンズ5A及び5Bが形成されることなく、レンズ5C及び5Dを形成することができる。また、第1制御電極E11及びE13のそれぞれの電圧を−6Vに設定するとともに第1制御電極E12の電圧を+6Vに設定し、且つ、第2制御電極E21及びE23のそれぞれの電圧を−6Vに設定するとともに第2制御電極E22の電圧を+6Vに設定することで、レンズ5A及び5Bと、レンズ5C及び5Dとを同時に形成することができる。
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。
【0044】
図15は、液晶素子50の第4バリエーションを示す図である。
図15に示した構成例は、上記の構成例と比較して、複数の第2制御電極E21乃至E23が第2方向Yに間隔をおいて並び、第2制御電極E21乃至E23の各々が第1方向Xに延出した帯状電極である点で相違している。つまり、第2制御電極E21乃至E23の延出方向は、第1制御電極E11乃至E13の延出方向に対して交差している。
このような構成例において、主として第1制御電極E11乃至E13にそれぞれ所定の電圧が供給されることによりレンズ5A及び5Bが形成され、また、主として第2制御電極E21乃至E23にそれぞれ所定の電圧が供給されることによりレンズ5E及び5Fが形成される。レンズ5A及び5Bは、いずれも第2方向Yに延出し、第3方向Zに沿って上向きに突出した凸レンズである。また、レンズ5E及び5Fは、いずれも第1方向Xに延出し、第3方向Zに沿って下向きに突出した凸レンズである。
例えば、第2制御電極E21乃至E23のそれぞれの電圧を0Vに設定し、第1制御電極E11乃至E13のそれぞれの電圧を6Vに設定することで、レンズ5E及び5Fが形成されることなく、レンズ5A及び5Bを形成することができる。同様に、第1制御電極E11乃至E13のそれぞれの電圧を0Vに設定し、第2制御電極E21乃至E23のそれぞれの電圧を6Vに設定することで、レンズ5A及び5Bが形成されることなく、レンズ5E及び5Fを形成することができる。
このような構成例においても、レンズ5E及び5Fが形成されることなく、レンズ5A及び5Bを形成することにより、上記の構成例と同様に、X−Y平面において出射方向を第1方向Xに制御することができる。加えて、レンズ5A及び5Bが形成されることなく、レンズ5E及び5Fを形成することにより、X−Y平面において出射方向を第2方向Yに制御することができる。
【0045】
次に、遮光体4を備えた液晶素子40について説明する。液晶素子40は、第2液晶素子に相当する。
【0046】
図16は、液晶素子40の構成例を示す断面図である。
液晶素子40は、第3基板41と、第4基板42と、第2液晶層43と、第3制御電極E3と、第4制御電極E4と、第1偏光板46と、第2偏光板47とを備えている。図示した例では、第3制御電極E3は第3基板41に設けられ、第4制御電極E4は第4基板42に設けられているが、第3制御電極E3及び第4制御電極E4がいずれも同一基板、つまり第3基板41または第4基板42に設けられてもよい。
【0047】
第3基板41は、絶縁基板411と、第3制御電極E3と、配向膜412と、給電線413とを備えている。第3制御電極E3は、絶縁基板411と第2液晶層43との間に位置している。複数の第3制御電極E3は、有効領域40Aにおいて、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。一例では、第3制御電極E3の第1方向Xに沿った幅は、隣り合う第3制御電極E3の第1方向Xに沿った間隔より大きい。配向膜412は、第3制御電極E3を覆い、第2液晶層43に接触している。給電線413は、有効領域40Aの外側の非有効領域40Bに位置している。
【0048】
第4基板42は、絶縁基板421と、第4制御電極E4と、配向膜422とを備えている。第4制御電極E4は、絶縁基板421と第2液晶層43との間に位置している。第4制御電極E4は、例えば、有効領域40Aの略全面に位置するとともに非有効領域40Bにも延在した単一の平板電極である。第4制御電極E4は、有効領域40Aにおいて、第2液晶層43を介して第3制御電極E3と対向している。第4制御電極E4は、非有効領域40Bにおいて給電線413と対向している。配向膜422は、第4制御電極E4を覆い、第2液晶層43に接触している。
【0049】
第1偏光板46は、第3基板41の第3外面41Aに配置されている。第2偏光板47は、第4基板42の第4外面42Bに配置されている。
【0050】
絶縁基板411及び421は、例えばガラス基板または樹脂基板である。第3制御電極E3及び第4制御電極E4は、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成されている。第3制御電極E3は、
図5に示した第1制御電極E1と同様に、第2方向Yに延出した帯状電極である。第4制御電極E4は、
図5に示した第2制御電極E2と同様に、四角形状の平板電極である。配向膜412及び422は、例えば、水平配向膜である。一例では、配向膜412は第1方向Xに沿って配向処理され、配向膜422は第2方向Yに沿って配向処理されている。
第3基板41及び第4基板42は、非有効領域40Bにおいて、シール44によって接着されている。シール44は、導通材45を備えている。導通材45は、給電線413と第4制御電極E4との間に介在し、給電線413と第4制御電極E4とを電気的に接続している。
【0051】
第2液晶層43は、第3基板41と第4基板42との間に保持されている。第2液晶層43は、例えば、正の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成されている。第3制御電極E3及び第4制御電極E4は、第2液晶層43に遮光体4を形成するための電圧を印加する。
【0052】
照明制御部8は、第2液晶層43に印加する電圧を制御する。照明制御部8は、第3制御電極E3及び第4制御電極E4にそれぞれ供給する電圧を制御することにより、第2液晶層43に遮光体を形成したモードと、第2液晶層43に遮光体を形成しないモードとを切り替えることができる。また、照明制御部8は、第3制御電極E3の各々に供給する電圧を制御することにより、遮光体の形成位置を制御することができ、
図2及び
図3を参照して説明したレンズ5と同様に、第1位置P1及び第2位置P2にそれぞれ遮光体4を形成することができる。また、照明制御部8は、第3制御電極E3の各々に供給する電圧を制御することにより、遮光体4の大きさを自在に制御することができる。
【0053】
図17は、液晶素子40に形成される遮光体4を説明するための図である。
図17においては、説明に必要な構成のみを図示している。ここでは、第1方向Xに並んだ複数の第3制御電極E31乃至E35のうち、第3制御電極E31、E33、E35には第4制御電極E4とは異なる電圧が供給される場合について説明する。
【0054】
一例では、第3制御電極E31、E33、E35の電圧が6Vであり、第3制御電極E32及びE34と第4制御電極E4の電圧が0Vである。また、第2液晶層43は、上記の通り、正の誘電率異方性を有している。第2液晶層43に含まれる液晶分子43Mは、電界が形成されない状態では90°ツイスト配向している。つまり、配向膜412の近傍における液晶分子43Mは、その長軸が第1方向Xに沿うように初期配向しており、配向膜422の近傍における液晶分子43Mは、その長軸が第2方向Yに沿うように初期配向している。また、液晶分子43Mは、電界が形成された状態ではその長軸が電界に沿うように配向される。
【0055】
第3制御電極E31、E33、E35の各々と第4制御電極E4とが対向する領域には、第3方向Zに沿った電界が形成されるため、液晶分子43Mはその長軸が第3方向Zに沿うように垂直配向している。第3制御電極E32及びE34の各々と第4制御電極E4とが対向する領域には、電界が形成されないため、液晶分子43Mは、初期配向状態に維持され、ツイスト配向している。
【0056】
図示した例では、第1偏光板46の透過軸46Tは第1方向Xに設定され、第2偏光板47の透過軸47Tは第2方向Yに設定されている。このため、第1偏光板46を透過して第3基板41に入射する光は、第1方向Xに沿った振動面を有する直線偏光L1となる。第3制御電極E32と第4制御電極E4とが対向する領域に入射した直線偏光L1は、ツイスト配向した液晶分子43Mの影響を受けて、その偏光軸が回転し、第2液晶層43を透過した後に、第2方向Yに沿った振動面を有する直線偏光L2となる。直線偏光L2は、第2偏光板47を透過する。第3制御電極E34と第4制御電極E4とが対向する領域についても同様に直線偏光L2を透過する。一方で、第3制御電極E33と第4制御電極E4とが対向する領域に入射した直線偏光L1は、垂直配向した液晶分子43Mの影響をほとんど受けず、その偏光軸が維持され、第2液晶層43を透過する。このような直線偏光L1は、第2偏光板47によって吸収される。第3制御電極E31及びE35と第4制御電極E4とが対向する領域についても同様に直線偏光L1が吸収される。
つまり、第3制御電極E31、E33、E35の各々と第4制御電極E4とが対向する領域は、
図2に示した光を遮光する遮光体4Aなどに相当し、第3制御電極E32及びE34の各々と第4制御電極E4とが対向する領域は、
図2に示した光を透過する間隙G4に相当する。第3制御電極E3の各々が第2方向Yに延出した帯状電極である場合、遮光体4も第2方向Yに延出した帯状に形成される。
【0057】
なお、本実施形態では、遮光体4を備える液晶素子40の一例として、初期配向状態でツイスト配向する第2液晶層43と、基板主面と交差する方向に沿った電界とを組み合わせた方式について説明したが、これに限らない。第2液晶層43に印加される電圧に応じて光を遮光する状態と光を透過する状態とを選択的に可変する方式であれば、遮光体4を備える液晶素子が実現できる。
【0058】
図18は、液晶素子40に備えられる遮光体4の形成例を説明するための図である。
第3基板41は、第1方向Xにほぼ等間隔で並んだ第3制御電極E31乃至E37を備えている。第4制御電極E4は、第2液晶層43を挟んで、第3制御電極E31乃至E37と対向している。
図18の(a)に示すように、主に第3制御電極E31、E32、E35、E36に対して、第4制御電極E4と異なる電圧が供給された状態では、第3制御電極E31及びE32に亘る遮光体4Aが形成されるとともに、第3制御電極E35及びE36に亘る遮光体4Bが形成される。また、第3制御電極E33及びE34に亘る間隙G41が形成される。
図18の(b)に示すように、主に第3制御電極E32、E33、E36、E37に対して、第4制御電極E4と異なる電圧が供給された状態では、第3制御電極E32及びE33に亘る遮光体4Cが形成されるとともに、第3制御電極E36及びE37に亘る遮光体4Dが形成される。また、第3制御電極E34及びE35に亘る間隙G42が形成される。
図示した例において、例えば、遮光体4A及び4Bが
図2の(a)に示した第1位置P1の遮光体に相当する場合、第3制御電極E31、E32、E35、E36、及び、第4制御電極E4に供給される電圧は、第1モードにおいて第1位置P1に遮光体を形成するための第3電圧に相当する。また、遮光体4C及び4Dが
図2の(b)に示した第2位置P2の遮光体に相当する場合、第3制御電極E32、E33、E36、E37、及び、第4制御電極E4に供給される電圧は、第2モードにおいて第2位置P2に遮光体を形成するための第4電圧に相当する。
【0059】
図19は、レンズ5の配置例を示す図である。ここでは、レンズ5が液晶素子40に設けられた配置例について説明する。
図19の(a)は、レンズ5が第2偏光板47に設けられた配置例に相当する。
図19の(b)は、レンズ5が第1偏光板46に設けられた配置例に相当する。なお、レンズ5が形成されたレンズシートを、第3基板41、第4基板42、第1偏光板46、及び、第2偏光板47のいずれかに貼り合せてもよい。
レンズ5は、いずれの配置例においても、所定の位置に固定され、いずれのモードにおいても配置位置が変化することはない。このようなレンズ5は、例えば透明な樹脂材料やガラスによって形成されている。
【0060】
次に、液晶素子40のバリエーションについて説明する。
【0061】
図20は、液晶素子40のバリエーションを示す図である。
図20の(a)に示すように、主に第3制御電極E31、E32、E35、E36に対して、第4制御電極E4と異なる電圧が供給された状態では、第3制御電極E31及びE32に亘る遮光体4A、及び、第3制御電極E35及びE36に亘る遮光体4Bがそれぞれ形成される。遮光体4A及び4Bは、いずれも第1方向Xに沿って第3幅W43を有する第1遮光体に相当する。第3幅W43は、例えば、概ね第3制御電極E31及びE32の第1方向Xに沿った幅に相当する。また、間隙G41は、概ね第3制御電極E33及びE34の第1方向Xに沿った幅に相当する。図示した例では、第3幅W43と間隙G41とが同等の大きさであるが、異なっていてもよい。電圧が供給される第3制御電極の個数に応じて第3幅W43及び間隙G41を制御することができる。
図20の(b)に示すように、主に第3制御電極E31乃至E33、E35乃至E37に対して、第4制御電極E4と異なる電圧が供給された状態では、第3制御電極E31乃至E33に亘る遮光体4C、及び、第3制御電極E35乃至E37に亘る遮光体4Dがそれぞれ形成される。遮光体4C及び4Dは、いずれも第1方向Xに沿って第4幅W44を有する第2遮光体に相当する。第3幅W43は第4幅W44とは異なり、図示した例では、第4幅W44は第3幅W43より大きい。第4幅W44は、例えば、概ね第3制御電極E31乃至E33の第1方向Xに沿った幅に相当する。また、間隙G42は、概ね第3制御電極E34の第1方向Xに沿った幅に相当する。図示した例では、第4幅W44は間隙G42より大きいが、同等であってもよい。電圧が供給される第3制御電極の個数に応じて第4幅W44及び間隙G42を制御することができる。
上記の通り、第3制御電極及び第4制御電極に供給される電圧は、照明制御部によって制御される。
図20の(a)に示した例において、第3制御電極E31及びE32、及び、第4制御電極E4に供給される電圧は、第3幅W43の第1遮光体4Aを形成するための第3電圧に相当する。また、
図20の(b)に示した例において、第3制御電極E31乃至E33、及び、第4制御電極E4に供給される電圧は、第4幅W44の第2遮光体4Cを形成するための第4電圧に相当する。
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。加えて、幅の異なる第1遮光体及び第2遮光体を選択的に切り替えることにより、出射方向の範囲や出射光の集束位置を制御することができる。
【0062】
次に、表示装置DSPの実施例について説明する。
【0063】
図21は、表示装置DSPの第1実施例を示す図である。すなわち、表示装置DSPは、表示パネル1、光源部3、遮光体4、及び、レンズ5を形成可能な液晶素子50を備えている。図示した例では、遮光体4は、第1基板51の第1外面51Aに設けられているが、表示パネル1と光源部3との間のいずれの位置に設けられてもよい。表示パネル1は、アレイ基板11、対向基板12、液晶層13、シール14、偏光板15及び16などを備えている。遮光体4及び液晶素子50は、光源部3と偏光板15との間に位置している。液晶素子50に備えられるレンズ5が
図7を参照して説明したように第1偏光POL1を屈折する作用を有している場合、偏光板15の透過軸は、第1偏光POL1を透過可能とするべく、第1方向Xと平行に設定される。
【0064】
図22は、
図21に示した表示パネル1の基本構成及び等価回路を示す図である。
表示パネル1は、画像を表示する表示エリアDAと、表示エリアDAを囲む非表示エリアNDAと、を備えている。表示エリアDAは、複数の画素PXを備えている。ここで、画素とは、画素信号に応じて個別に制御することができる最小単位を示し、例えば、後述する走査線と信号線とが交差する位置に配置されたスイッチング素子を含む領域に存在する。複数の画素PXは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配置されている。また、表示パネル1は、表示エリアDAにおいて、複数本の走査線(ゲート線ともいう)G(G1〜Gn)、複数本の信号線(データ配線あるいはソース線ともいう)S(S1〜Sm)、共通電極CEなどを備えている。走査線Gは、各々第1方向Xに延出し、第2方向Yに並んでいる。信号線Sは、各々第2方向Yに延出し、第1方向Xに並んでいる。なお、走査線G及び信号線Sは、必ずしも直線的に延出していなくても良く、それらの一部が屈曲していてもよい。共通電極CEは、複数の画素PXに亘って配置されている。走査線Gは走査線駆動回路GDに接続され、信号線Sは信号線駆動回路SDに接続され、共通電極CEは共通電極駆動回路CDに接続されている。走査線駆動回路GD、信号線駆動回路SD、及び、共通電極駆動回路CDは、表示制御部7によって制御される。
各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶層13等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線G及び信号線Sと電気的に接続されている。より具体的には、スイッチング素子SWは、ゲート電極WG、ソース電極WS、及び、ドレイン電極WDを備えている。ゲート電極WGは、走査線Gと電気的に接続されている。図示した例では、信号線Sと電気的に接続された電極をソース電極WSと称し、画素電極PEと電気的に接続された電極をドレイン電極WDと称する。走査線Gは、第1方向Xに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと接続されている。信号線Sは、第2方向Yに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと接続されている。
画素電極PEは、スイッチング素子SWに電気的に接続されている。共通電極CEは、複数の画素電極PEと対向している。これらの画素電極PE及び共通電極CEは、液晶層13を駆動する駆動電極として機能する。画素電極PE及び共通電極CEは、ITOやIZOなどの透明導電材料によって形成されている。保持容量CSは、例えば、共通電極CEと画素電極PEとの間に形成される。
なお、ここでは表示パネル1の詳細な構成については説明を省略するが、表示パネル1は、TN(Twisted Nematic)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、VA(Vertical Aligned)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、IPS(In-Plane Switching)モードなどの各種モードのいずれかに対応した構成を有している。また、各画素PXがアクティブ方式で駆動される場合について説明したが、各画素PXがパッシブ方式で駆動されてもよい。
【0065】
図23は、
図22に示した表示パネル1の一構成例を示す断面図である。ここでは、横電界を利用する表示モードの一つであるFFSモードを適用した表示パネル1の断面構造について簡単に説明する。図示した例では、表示パネル1は、表示エリアDAに、赤色を表示する赤画素PXR、緑色を表示する緑画素PXG、及び、青色を表示する青画素PXBを備えているが、その他の色を表示する画素を含んでいてもよい。例えば、表示パネル1の透過率を向上する観点では、表示パネル1は、白色を表示する画素または透明の画素を含んでいることが望ましい。
【0066】
アレイ基板11は、第1絶縁基板100、第1絶縁膜110、共通電極CE、第2絶縁膜120、画素電極PE1乃至PE3、第1配向膜AL1などを備えている。共通電極CEは、赤画素PXR、緑画素PXG、及び、青画素PXBに亘って延在している。赤画素PXRの画素電極PE1、緑画素PXGの画素電極PE2、青画素PXBの画素電極PE3のそれぞれは、共通電極CEと対向し、それぞれスリットSLAを有している。図示した例では、共通電極CEは第1絶縁膜110と第2絶縁膜120との間に位置し、画素電極PE1乃至PE3は第2絶縁膜120と第1配向膜AL1との間に位置している。なお、画素電極PE1乃至PE3が第1絶縁膜110と第2絶縁膜120との間に位置し、共通電極CEが第2絶縁膜120と第1配向膜AL1との間に位置していても良い。この場合、スリットSLAは、共通電極CEに形成される。
対向基板12は、第2絶縁基板200、遮光層BM、カラーフィルタCFR、CFG、CFB、オーバーコート層OC、第2配向膜AL2などを備えている。カラーフィルタCFR、CFG、CFBは、それぞれ液晶層13を挟んで画素電極PE1乃至PE3と対向している。カラーフィルタCFRは赤色のカラーフィルタであり、カラーフィルタCFGは緑色のカラーフィルタであり、カラーフィルタCFBは青色のカラーフィルタである。
なお、図示した例では、カラーフィルタCFR、CFG、CFBは、対向基板12に形成されたが、アレイ基板11に形成されても良い。遮光層BMは、隣接するカラーフィルタ間に位置しているが、表示パネル1の透過率を向上する観点で省略してもよい。カラー表示が不要の場合には、カラーフィルタは省略される。
液晶層13は、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に封入されている。第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、水平配向膜である。
画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成されていないオフ状態では、液晶層13に含まれる液晶分子LMは、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の配向規制力により、X−Y平面と略平行な方向に初期配向している。画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成されたオン状態では、液晶分子LMは、X−Y平面内において、初期配向方向とは異なる方向に配向する。
【0067】
上述した第1実施例の表示装置DSPによれば、遮光体4の位置は変化しないものの、レンズ5の位置を自在に変化させることができる。遮光体4とレンズ5との相対的な位置関係を選択的に変更することにより、表示装置DSPから出射される光の出射方向を制御することができる。つまり、表示装置DSPを観察する観察者に対して視野角を自在に制御することができる。例えば、第1角度範囲の狭視野角モードと、第1角度範囲よりも大きな第2角度範囲の広視野角との切り替えが可能である。また、主として表示装置DSPの法線方向で観察可能な視角を含む第1視野角モードと、表示装置DSPの法線に対して傾斜した方向で観察可能な視角を含む第2視野角モードとの切り替えが可能である。
【0068】
図24は、表示パネル1の画素開口部OPとレンズ5との位置関係の一例を説明するための図である。ここでの画素開口部OPとは、
図23を参照して説明した赤画素PXR、緑画素PXG、及び、青画素PXBの各々において光を透過可能な領域に相当し、あるいは、遮光層BMで囲まれた領域に相当する。
一例では、レンズ5のピッチP5は、画素開口部OPのピッチPOPと同等以下である。これにより、レンズ5の各々で屈折された光がそれぞれ画素開口部OPに導かれる。それぞれの画素開口部OPを透過した光は、一様な方向に向かい、同一の観察位置で観察される。例えば、第1画素開口部を透過した光が第1観察位置で観察され、且つ、第2画素開口部を透過した光が第1観察位置とは異なる第2観察位置で観察される場合と比較して、第1画素開口部及び第2画素開口部を透過したいずれの光も第1観察位置で観察される場合には、解像度の劣化を抑制することができる。
【0069】
また、図示したようなレンズ5の集束位置5Pが画素開口部OPに位置することにより、光の利用効率を向上することができ、輝度の向上を図ることができる。
【0070】
図25は、表示装置DSPの第2実施例を示す図である。すなわち、表示装置DSPは、表示パネル1、光源部3、遮光体4を形成可能な液晶素子40、及び、レンズ5を備えている。図示した例では、レンズ5は、表示パネル1と液晶素子40との間に設けられているが、表示パネル1と光源部3との間のいずれの位置に設けられてもよい。表示パネル1及び液晶素子40の構成については、上記の通りであり、説明を省略する。
上述した第2実施例の表示装置DSPによれば、レンズ5の位置は変化しないものの、遮光体4の位置を自在に変化させることができる。遮光体4とレンズ5との相対的な位置関係を選択的に変更することにより、第1実施例と同様の効果が得られる。
【0071】
図26は、表示装置DSPの第3実施例を示す図である。すなわち、表示装置DSPは、表示パネル1、光源部3、遮光体4を形成可能な液晶素子40、及び、レンズ5を形成可能な液晶素子50を備えている。図示した例では、液晶素子50は、表示パネル1と液晶素子40との間に設けられているが、光源部3と液晶素子40との間に設けられてもよい。表示パネル1、液晶素子40、及び、液晶素子50の構成については、上記の通りであり、説明を省略する。
上述した第3実施例の表示装置DSPによれば、レンズ5の位置は変化しないものの、遮光体4の位置を自在に変化させることができる。遮光体4とレンズ5との相対的な位置関係を選択的に変更することにより、第1実施例と同様の効果が得られる。加えて、遮光体4及びレンズ5の配置位置を観察者の位置に応じて変化させることにより、移動する観察者の観察位置に合わせて出射方向を追従させることができる。また、遮光体4を視差バリアとして利用することができ、遮光体4及びレンズ5の組み合わせにより、二次元画像表示モードと、三次元画像表示モードとの切り替えが可能である。
【0072】
図27は、表示装置DSPの第4実施例を示す図である。すなわち、表示装置DSPは、表示パネル1、光源部3、遮光体4aを形成可能な液晶素子40a、及び、遮光体4bを形成可能な液晶素子40bを備えている。液晶素子40a及び40bは、上記の液晶素子40と同一構成である。遮光体4aは、光源部3から出射された出射光の出射角を制御する第1光制御体に相当する。遮光体4bは、液晶素子40aから出射された出射光の出射角を制御する第2光制御体に相当する。
【0073】
第4実施例では、レンズを形成可能な液晶素子を備えていないが、出射角を制御する遮光体4a及び4bが第3方向Zに沿って配置されることにより、出射方向を制御することができ、第1実施例と同様の効果が得られる。
【0074】
以上説明したように、本実施形態によれば、光の出射方向を制御することが可能な表示装置及び照明装置を提供することができる。
【0075】
なお、この発明は、上記実施形態そのものに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。