(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記透明部材の前記第2の面に対する前記光源からの光の入射角は、前記光源から前記透明部材に入射する光のうち、光の入射面内で光の進行方向と垂直な方向に振動するp偏光成分の前記第2の面での反射率が最小となる角度に設定されている
請求項1又は請求項2に記載の紙葉類処理装置。
前記光源と前記透明部材との間に設けられ、前記光源から前記透明部材に入射する光のうち、光の入射面と垂直な方向であって光の進行方向と垂直な方向に振動するs偏光成分を選択的に遮蔽する偏光板を更に備える
請求項3に記載の紙葉類処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紙葉類処理装置では、紙葉類から発生する紙粉や汚れを内部に進入させないように、照明装置及び受光センサは防塵性の筐体に収容されることが多く、通常は、この筐体の紙葉類を検知する面に透明部材が設けられる。この場合、受光センサは、透明部材の表面から反射した光を受光した光をノイズとして受光するため、紙葉類からの反射光に基づき検知対象を的確に検知することが困難となるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、紙葉類の表面に位置する検知対象を的確に検知することのできる反射型光学センサ及び紙葉類処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、紙葉類の表面に位置する検知対象を光学的に検知する紙葉類処理装置であって、前記紙葉類に対して光を照射する光源と、前記光源と前記紙葉類との間の光路上に配置される透明部材と、前記紙葉類から反射した光を前記透明部材を介して受光する受光部と、を備え、前記透明部材は、前記紙葉類の搬送経路に対向する面である第1の面と、前記第1の面とは反対側の面であって、前記光源と前記紙葉類との間の光路上に位置する面部位が前記光源から前記透明部材への光の入射角を大きくするように前記紙葉類の搬送方向に対して傾斜している第2の面とを有することを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、透明部材において光源側に位置する第2の面は、光源と紙葉類との間の光路上に位置する面部位が光源から透明部材の第2の面への光の入射角を大きくするように紙葉類の搬送方向に対して傾斜している。そのため、透明部材の第2の面が紙葉類の搬送方向に対して平行な場合と比較して、光源から透明部材の第2の面にて反射した光の進行方向が大きく変化する。その結果、光源から透明部材の第2の面にて反射した光の進行方向と、紙葉類から反射して透明部材の第2の面から射出される光の進行方向とが大きく乖離する。したがって、こうした反射光が受光部によりノイズとして受光されにくくなる。これにより、紙葉類の表面に位置する検知対象を的確に検知することが可能となる。
【0008】
また、上記課題を解決するため、本発明は、紙葉類の表面に位置する検知対象を光学的に検知する紙葉類処理装置であって、前記紙葉類に対して光を照射する光源と、前記光源と前記紙葉類との間の光路上に配置される透明部材と、前記紙葉類から反射した光を前記透明部材を介して受光する受光部と、を備え、前記透明部材は、前記紙葉類の搬送経路に対向する面である第1の面と、前記第1の面とは反対側の面であって、前記光源と前記紙葉類との間の光路上に位置する第1の面部位が前記光源から前記透明部材への光の入射角を小さくするように前記紙葉類の搬送方向に対して傾斜するとともに、前記紙葉類と前記受光部との光路上に位置する第2の面部位が前記第1の面部位と同一の傾斜方向に前記紙葉類の搬送方向に対して前記第1の面部位よりも小さな角度で傾斜するか、又は、前記第1の面部位とは異なる傾斜方向に前記紙葉類の搬送方向に対して傾斜する第2の面とを有し、前記受光部は、前記透明部材の前記第1の面部位の傾斜方向に沿う延長面上よりも前記光源からの光の照射方向の前方側に位置することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、透明部材において光源側に位置する第2の面は、光源と紙葉類との間の光路上に位置する第1の面部位が光源から透明部材への光の入射角を小さくするように紙葉類の搬送経路に沿う方向に対して傾斜しており、当該第1の面部位の傾斜方向に沿う延長面上よりも光源の照射方向の前方側に受光部が位置する。そのため、光源から透明部材の第2の面にて反射した光は、受光部によりノイズとして受光されない。これにより、紙葉類の表面に位置する検知対象を的確に検知することが可能となる。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記透明部材の前記第2の面に対する前記光源からの光の入射角は、前記光源から前記透明部材に入射する光のうち、光の入射面内で光の進行方向と垂直な方向に振動するp偏光成分の前記第2の面での反射率が最小となる角度に設定されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、光源から透明部材の第2の面に入射する光のうち、光の入射面に対して平行な偏光成分の反射が好適に抑えられることから、こうした偏光成分が受光部によりノイズとして受光されにくくなる。これにより、紙葉類の表面に位置する検知対象をより一層好適に検知することが可能となる。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記光源と前記透明部材との間に設けられ、前記光源から前記透明部材に入射する光のうち、光の入射面と垂直な方向であって光の進行方向と垂直な方向に振動するs偏光成分を選択的に遮蔽する偏光板を更に備えることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、光源から透明部材の第2の面に入射する光のうち、光の入射面と垂直な偏光成分が偏光板によって遮蔽されることから、こうした偏光成分が透明部材の第2の面にて反射することが抑えられる。その結果、こうした反射光が受光部によりノイズとして受光されにくくなる。これにより、紙葉類の表面に位置する検知対象をより一層好適に検知することが可能となる。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記第1の面は、前記光源と前記紙葉類との間の光路上に位置する面部位が、前記紙葉類の搬送経路から離間するように前記紙葉類の搬送方向に対して傾斜していることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、光源から透明部材に入射した光のうち、透明部材の第1の面において反射する光の進行方向は、透明部材の第1の面が紙葉類の搬送方向と平行な場合と比較して、透明部材の第2の面のうち、光源と紙葉類との光路上に位置する面部位に沿う方向において受光部から離れるようになる。そのため、透明部材の第1の面において反射した光は、受光部によりノイズとして受光され難くなる。これにより、紙葉類の表面に位置する検知対象をより一層的確に検知することが可能となる。
【0016】
また、上記課題を解決するため、本発明は、対象物に対して光を照射する光源と、前記光源と前記対象物との間の光路上に配置される透明部材と、前記対象物から反射した光を前記透明部材を介して受光する受光部とを備え、前記透明部材は、前記対象物に対向する第1の面と、前記第1の面とは反対側となる第2の面とを有し、前記第2の面は、前記光源と前記対象物との間の光路上に位置する面部位が前記第1の面に対して前記光源から前記透明部材への光の入射角を大きくするように傾斜していることを特徴とする。
【0017】
また、上記課題を解決するため、本発明は、対象物に対して光を照射する光源と、前記光源と前記対象物との間の光路上に配置される透明部材と、前記対象物から反射した光を前記透明部材を介して受光する受光部とを備え、前記透明部材は、前記対象物に対向する第1の面と、前記第1の面とは反対側となる第2の面とを有し、前記第2の面は、前記光源と前記対象物との間の光路上に位置する第1の面部位が、前記第1の面に対して前記光源から前記透明部材への光の入射角を小さくするように傾斜するとともに、前記対象物と前記受光部との光路上に位置する第2の面部位が、前記第1の面に対して前記第1の面部位と同一の傾斜方向に前記第1の面部位よりも小さな角度で傾斜するか、又は、前記第1の面に対して前記第1の面部位とは異なる傾斜方向に傾斜することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、紙葉類の表面に位置する検知対象を的確に検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
以下、紙葉類処理装置の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態の紙葉類処理装置は、紙葉類の一例としての紙幣に対して光源から光を照射し、紙幣からの反射光を受光センサにより受光することにより、紙幣の種類を識別する装置である。また、この装置では、紙幣の種類の識別に加え、例えば紙幣に貼着されたテープ片等、紙幣の表面に位置する検知対象も併せて検知することが可能である。なお、この装置では、光源及び受光センサは防塵性の筐体に収容されており、この筐体には、光源と紙幣との間の光路上、及び、紙幣と受光センサとの間の光路上には透光性を有する透明部材の一例としての透明カバーが設けられている。透明カバーは、光源に対向する面において光源から照射された光が反射することがあり、こうして反射された光は受光センサにノイズとして入射してしまう。そこで、本実施の形態では、透明部材から反射された光と、紙幣から反射した光との入射角度の差分を拡大し、これらの光のうち、紙幣から反射した光を受光センサにて選択的に受光しやすくしている。これにより、受光センサに入射する光のS/N比を増大させて、紙幣の表面に位置する検知対象に対する検知精度を高めている。
【0021】
具体的には、
図1に示すように、紙葉類処理装置100の筐体110の内部には、紙幣10の搬送経路の上流側から下流側に向かって第1のタイミングセンサ120、反射型光学センサ130,140、蛍光センサ150、厚みセンサ160、磁気センサ170、第2のタイミングセンサ180が設けられている。
【0022】
第1のタイミングセンサ120は、紙幣10の第1の面10A側に設けられ、紙幣10の厚み方向に赤外光を照射する光源120Aと、紙幣10の第2の面10B側に設けられ、光源120Aから照射された赤外光を受光する受光部120Bとを有している。そして、第1のタイミングセンサ120は、光源120Aから照射された赤外光が紙幣10によって遮られて受光部120Bが赤外光を受光しなくなった時点で、紙幣10の先端が第1のタイミングセンサ120を通過したことを検知する。
【0023】
反射型光学センサ130,140は、紙幣10の厚み方向の両側に対をなして設けられている。紙幣10の第1の面10A側に設けられた反射型光学センサ130は、光源131から紙幣10の第1の面10Aに緑光や赤外光等を照射し、紙幣10の第1の面10Aからの反射光を受光部132により受光する。一方、紙幣10の第2の面10Bに設けられた反射型光学センサ140は、光源141から紙幣10の第2の面10Bに緑光や赤外光等を照射し、紙幣10の第2の面10Bからの反射光を受光部142により受光する。なお、受光部142は、光源131から照射された光のうち紙幣10を透過した光も併せて受光する。
【0024】
蛍光センサ150は、紙幣10の第1の面10Aに対して紫外光を照射し、紙幣10の第1の面10Aから発光した光を検知することにより、紙幣10の表面に位置する蛍光成分を検知する。
【0025】
厚みセンサ160は、紙幣10の幅方向に延びる固定軸160A及び可動軸160Bを有し、これら固定軸及び可動軸により紙幣10の両面を挟み込んだときの可動軸160Bの変位量に基づき、紙幣10の厚みを検知する。
【0026】
磁気センサ170は、紙幣10の第1の面10A側に設けられ、磁界の大きさや方向を検知する磁気ヘッド170Aと、紙幣10の第2の面10B側に設けられ、紙幣10を磁気ヘッド170Aへ押し付けるローラ170Bとを備える。そして、磁気センサ170は、紙幣10が通過するときに磁気ヘッド170Aにより検出された磁気分布と、紙幣10の種類ごとに予め記憶した磁気分布とを比較することにより、紙幣10の種類を識別する。
【0027】
第2のタイミングセンサ180は、紙幣10の第1の面10A側に設けられ、紙幣10の厚み方向に赤外光を照射する光源180Aと、紙幣10の第2の面10B側に設けられ、光源180Aから照射された赤外光を受光する受光部180Bとを有している。そして、第1のタイミングセンサ120は、光源180Aから照射された赤外光が紙幣10によって遮られて受光部180Bが赤外光を受光しなくなった時点で、紙幣10の先端が第2のタイミングセンサ180を通過したことを検知する。
【0028】
次に、反射型光学センサ130の構成について図面を参照して説明する。
図2に示すように、反射型光学センサ130は、防塵性の筐体130Sを有しており、筐体130Sには光源131と受光部132とが収容されている。筐体130Sにおける光源131と受光部132との間となる位置には、光源131から照射された光が受光部132に対して直接入射することを防止するための遮蔽部材134が設けられている。また、筐体130Sにおける光源131と紙幣10との間の光路上に位置する部位には、透明カバー133が設けられている。
【0029】
透明カバー133は、紙幣10の搬送経路に対向する第1の面S1と、第1の面S1とは反対側の面であって光源131に対向する面である第2の面S2とを有している。第1の面S1は、紙幣10の搬送方向と平行に延びる平坦面となっている。第2の面S2は、第1の面S1と斜めに交差する平坦面となっており、光源131からの光の入射角を大きくするように紙幣10の搬送方向に対して傾斜している。
【0030】
なお、光源131から照射される光は、透明カバー133の第2の面S2に垂直で入射光及び反射光を含む面を入射面としたとき、光の進行方向と垂直な方向に電界が振動する偏光成分として、入射面と平行な方向に電界が振動する偏光成分であるp偏光と、入射面と垂直な方向に電界が振動する偏光成分であるs偏光とが含まれる。そして、光源131と透明カバー133との間の光路上には、上述したp偏光及びs偏光のうち、s偏光を選択的に遮蔽する偏光板135が設けられている。
【0031】
図3は、上述したp偏光及びs偏光の各々について、入射角と反射率との関係性を示すグラフである。同図からも明らかなように、s偏光については、入射角が大きくなるにつれて反射率が次第に大きくなる傾向を示す。その一方で、p偏光については、入射角が比較的小さい角度領域では入射角が大きくなるに連れて反射率が次第に小さくなる傾向を示すものの、入射角が比較的大きい角度領域では入射角が大きくなるに連れて反射率が次第に大きくなる傾向を示す。この場合、p偏光について反射率が0となる入射角が一般にブリュースター角θbと称される。そして、第2の面S2の傾斜角度は、光源131からの光の入射角をブリュースター角θbと一致させるように設定されている。そのため、光源131から光軸方向に照射された光は、透明カバー133の第2の面S2においてほとんど反射されない。
【0032】
次に、本実施の形態の紙葉類処理装置の作用について、特に反射型光学センサ130が紙幣10の表面に位置する検知対象を検知する際の作用に着目して以下説明する。
図4(a)は、本実施の形態の反射型光学センサ130における透明カバー133の構成を実線で示すとともに、比較例の反射型光学センサ130Aにおける透明カバー133Aの構成を二点鎖線で示している。また、同図は、各々の反射型光学センサ130,130Aについて、光源131,131Aの光軸方向に入射した後に紙幣10を経由して受光部132に至る光路を各対応する線種で併せて示している。この比較例の反射型光学センサ130Aは、透明カバー133Aの第1の面S1Aだけでなく第2の面S2Aも併せて紙幣10の搬送方向と平行に延びる平坦面となっている点で本実施の形態の反射型光学センサ130とはその構成が異なる。
【0033】
そして、同図に示すように、これら反射型光学センサ130,130Aにおいて、光源131,131Aから透明カバー133,133Aに対して共通の方向に光を入射させたときには、透明カバー133,133Aの第2の面S2,S2Aにおいて光の進行方向が変化する点では共通するものの、その変化量は互いに異なる。また同様に、これら反射型光学センサ130,130Aにおいて、透明カバー133,133Aの第2の面S2,S2Aにおいて紙幣10から反射した光の進行方向が変化する点では共通するものの、その変化量は互いに異なる。
【0034】
図4(b)は、これら反射型光学センサ130,130Aについて、透明カバー133,133Aの第2の面S2,S2Aに対する光源131,131Aからの光の入射位置を重ね合わせたときの光の進行方向の変化量を比較して示している。同図からも明らかなように、本実施の形態の透明カバー133の第2の面S2に対する光の入射角度をθ1とし、比較例の透明カバー133Aの第2の面S2Aに対する光の入射角度をθ1Aとしたとき、θ1>θ1Aの関係性を満たす。そのため、本実施の形態では、比較例に対して、透明カバー133の第2の面S2における光の進行方向の変化量が相対的に大きい。
【0035】
図4(c)は、これら反射型光学センサ130,130Aについて、透明カバー133,133Aの第2の面S2,S2Aに対する紙幣10から反射した光の入射位置を重ね合わせたときの光の進行方向の変化量を比較して示している。同図からも明らかなように、本実施の形態の透明カバー133の第2の面S2に対する反射光の入射角度をθ2とし、比較例の透明カバー133Aの第2の面S2Aに対する反射光の入射角度をθ2Aとしたとき、θ2<θ2Aの関係を満たす。そのため、本実施の形態では、比較例に対して、透明カバー133の第2の面S2における反射光の進行方向の変化量が相対的に小さい。
【0036】
図5(a)は、
図4(a)と同様、本実施の形態の反射型光学センサ130における透明カバー133の構成を実線で示すとともに、比較例の反射型光学センサ130Aにおける透明カバー133Aの構成を二点鎖線で示している。また、同図は、各々の反射型光学センサ130,130Aについて、光源131の光軸AXから外れた方向に入射した後に透明カバー133,133Aの第2の面S2,S2Aにて反射して受光部132に至る光路を各対応する線種で併せて示している。
【0037】
そして、同図に示すように、これら反射型光学センサ130,130Aにおいて、透明カバー133,133Aの第2の面S2,S2Aにて反射した光が受光部132に入射するとき、その光の進行方向は互いに異なる。
【0038】
図5(b)は、これら反射型光学センサ130,130Aについて、透明カバー133,133の第2の面S2,S2Aに対する光源131からの光の入射位置を重ね合わせたときの光の進行方向を比較して示している。同図からも明らかなように、本実施の形態の透明カバー133の第2の面S2に対する光源131からの光の入射角度をθ3とし、比較例の透明カバー133Aの第2の面S2Aに対する光源131からの光の入射角度をθ3Aとしたとき、θ3>θ3Aの関係を満たす。そのため、本実施の形態では、比較例に対して、透明カバー133の第2の面S2における反射光の進行方向の変化量が相対的に小さい。
【0039】
図6は、先の
図4(a)に示した本実施の形態及び比較例の反射型光学センサ130,130Aについて、紙幣10から反射した光の受光部132への入射方向を各対応する線種で重ねて示している。また、同図は、先の
図5(a)に示した本実施の形態及び比較例の反射型光学センサ130,130Aについて、透明カバー133,133Aの第2の面S2,S2Aから反射した光の受光部132への入射方向を各対応する線種で重ねて示している。同図に実線で示す矢印からも明らかなように、本実施の形態の反射型光学センサ130では、紙幣10から反射した光の入射方向と、透明カバー133の第2の面S2から反射した光の入射方向との間には角度差Δθがある。また、同図に一点鎖線で示す矢印からも明らかなように、比較例の反射型光学センサ130Aでも、紙幣10から反射した光の入射方向と、透明カバー133Aの第2の面S2Aから反射した光の入射方向との間には角度差ΔθAがある。ただし、光の入射方向の角度差Δθ,ΔθAは、本実施の形態の方が比較例よりも相対的に大きい傾向にある。すなわち、本実施の形態では、透明カバー133の第2の面S2が紙幣10の搬送方向に対して傾斜することにより、透明カバー133Aの第2の面S2Aが紙幣10の搬送方向と平行に延びる場合と比較して、光の入射方向の角度差を拡大している。これにより、これらの光のうち、紙幣10から反射した光を受光部132にて選択的に受光しやすくなる。その結果、受光部132に入射する光のS/N比が増大することにより、紙幣10の表面に位置する検知対象に対する検知精度が高められる。
【0040】
特に、本実施の形態では、光源131から照射された光のうち、s偏光の偏光成分が偏光板135により選択的に遮蔽される。また、偏光板135によって遮蔽されないp偏光の偏光成分については、透明カバー133の第2の面S2に対する光の入射角をブリュースター角θbと一致させることにより、受光部132に向けた反射を抑えている。これにより、受光部132に入射する光のS/N比が更に増大し、紙幣10の表面に位置する検知対象に対する検知精度がより一層高められる。
【0041】
以上説明したように、上記第1の実施の形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)透明カバー133において光源131側に位置する第2の面S2は、光源131と紙幣10との間の光路上に位置する面部位が光源131から透明カバー133の第2の面S2への光の入射角を大きくするように紙幣10の搬送方向に対して傾斜している。そのため、透明カバー133の第2の面S2が紙幣10の搬送方向に対して平行な場合と比較して、光源131から透明カバー133の第2の面S2にて反射した光の進行方向が大きく変化する。その結果、光源131から透明カバー133の第2の面S2にて反射した光の進行方向と、紙幣10から反射して透明カバー133の第2の面S2から射出される光の進行方向とが大きく乖離する。したがって、こうした反射光が受光部132によりノイズとして受光されにくくなる。これにより、紙幣10の表面に位置する検知対象を的確に検知することが可能となる。
【0042】
(2)透明カバー133の第2の面S2に対する光源131からの光の入射角は、光源131から透明カバー133に入射する光のうち、光の入射面に対して平行な偏光成分であるp偏光に対する反射率が最小となる角度に設定されている。そのため、光源131から透明カバー133の第2の面S2に入射する光のうち、p偏光の反射が好適に抑えられるため、受光部132によりノイズとして受光されにくくなる。これにより、紙幣10の表面に位置する検知対象をより一層好適に検知することが可能となる。
【0043】
(3)光源131と透明カバー133との間には、光源131から透明カバー133への光の入射面と垂直な偏光成分であるs偏光を選択的に遮蔽する偏光板135が設けられている。そのため、光源131から透明カバー133の第2の面S2に入射する光のうちs偏光が偏光板135によって遮蔽されることから、こうしたs偏光が透明カバー133の第2の面S2にて反射することが抑えられる。その結果、こうしたs偏光が受光部132によりノイズとして受光されにくくなる。これにより、紙幣10の表面に位置する検知対象をより一層好適に検知することが可能となる。
【0044】
(4)透明カバー133において紙幣10の搬送経路に対向する第1の面S1は、紙幣10の搬送経路に沿う平面状に構成されている。これにより、紙幣10の搬送が透明カバー133の第1の面S1によって妨げられることを抑制できる。
【0045】
(第2の実施の形態)
次に、紙葉類処理装置の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、第2の実施の形態は、反射型光学センサにおける透明部材の構成が第1の実施の形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1の実施の形態と相違する構成について主に説明し、第1の実施の形態と同一の又は相当する構成については重複する説明を省略する。
【0046】
図7に示すように、本実施の形態の反射型光学センサ230では、透明カバー233は、正面視で山型の形状を有しており、透明カバー233の第2の面S2は、光源131に対して対向する第1の面部位S2αと、受光部132に対して対向する第2の面部位S2βとが連続して構成されている。第1の面部位S2αは、光源131と紙幣10との間の光路上に位置しており、光源131から透明カバー233への光の入射角を小さくするように紙幣10の搬送方向に対して傾斜している。また、第2の面部位S2βは、紙幣10と受光部132との光路上に位置しており、第1の面部位S2αとは異なる傾斜方向に紙幣10の搬送方向に対して傾斜している。また、第1の面部位S2αと第2の面部位S2βとの境界部分に対して透明カバー233の厚み方向において対向する位置には、光源131から照射された光が受光部132に対して直接入射することを防止するための遮蔽部材134が設けられている。
【0047】
なお、受光部132は、透明カバー233の第2の面S2における第1の面部位S2αの延長面SX上よりも光源131からの光の照射方向の前方側(同図に示す例では、左斜め下方)に位置している。このとき、光源131から照射された光のうち、透明カバー233の第2の面S2の第1の面部位S2αにて反射した光は、第1の面部位S2αの延長面SX上よりも光源131からの光の照射方向の前方側には進行しないため、受光部132によっては受光されない。すなわち、光源131から照射された光のうち、透明カバー233を透過して紙幣10から反射した光については、受光部132によって受光される。その一方で、光源131から照射された光のうち、透明カバー233の第2の面S2にて反射した光が受光部132によって受光されることが抑えられる。その結果、受光部132に入射する光のS/N比が増大する。そのため、紙幣10の表面に位置する検知対象に対する検知精度が高められる。
【0048】
以上説明したように、上記第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果(1)〜(3)に代えて、以下に列挙する効果を得ることができる。
(5)透明カバー233の第2の面S2は、光源131と紙幣10との間の光路上に位置する第1の面部位S2αが光源131から透明カバー233への光の入射角を小さくするように紙幣10の搬送方向に対して傾斜している。そして、この第1の面部位S2αの延長面SX上よりも光源131の照射方向の前方側に受光部132が位置する。そのため、光源131から透明カバー233の第2の面S2にて反射した光は、受光部132によりノイズとして受光されない。これにより、紙幣10の表面に位置する検知対象を的確に検知することが可能となる。
【0049】
(その他の実施の形態)
なお、上記各実施の形態は、以下のような形態にて実施することもできる。
・上記各実施の形態においては、透明カバー133,233の第1の面S1が紙幣10の搬送方向と平行に延びる平坦面をなすように構成されていた。これに代えて、
図8に示すように、透明カバー333の第1の面S1が紙幣10の搬送方向の上流側から下流側に向けて紙幣10の搬送経路から離間するように傾斜した面部位S1αと紙幣10の搬送経路に近接するように傾斜した面部位S1βとが連続して構成されてもよい。この場合、透明カバー333の第1の面S1のうち、光源131と紙幣10との間の光路上に位置する面部位S1βは、紙幣10の搬送経路から離間するように傾斜している。この構成では、先の
図7に示した透明カバー333の第1の面S1が紙幣10の搬送方向と平行な構成と比較して、光源131から透明カバー333に入射して第1の面S1において反射する光の進行方向が、透明カバー333の第2の面S2の第1の面部位S2αに沿う方向において受光部132から離れるようになる。そのため、透明カバー333の第1の面S1において反射した光は、受光部132によりノイズとして受光され難くなる。これにより、紙幣10の表面に位置する検知対象をより一層的確に検知することが可能となる。
【0050】
・上記第2の実施の形態においては、透明カバー233の第2の面S2のうち、光源131に対向する第1の面部位S2α、及び、受光部132に対向する第2の面部位S2βが紙幣10の搬送方向に対して互いに異なる方向に傾斜する構成とした。これに代えて、透明カバー233の第2の面S2のうち、第1の面部位S2α及び第2の面部位S2βが紙幣10の搬送方向に対して同一の方向に傾斜する構成としてもよい。この場合、透明カバー233の第2の面S2のうち、第2の面部位S2βの方が第1の面部位S2αよりも紙幣10の搬送方向に対して相対的に小さな角度で傾斜するようにすればよい。そして、第1の面部位S2αの延長面SX上よりも光源131からの光の照射方向の前方側に受光部132を配置すればよい。
【0051】
・上記第1の実施の形態においては、透明カバー133の第2の面S2が紙幣10の搬送方向に対して傾斜した平坦面をなすように構成されていた。これに代えて、透明カバー133の第2の面S2が凸状又は凹状の湾曲面をなすように構成されていてもよい。この場合、透明カバー133の第2の面S2のうち、光源131と紙幣10との間の光路上に位置する面部位における接平面に沿う方向が光源131から透明カバー133への光の入射角を大きくするように紙幣10の搬送方向に対して傾斜していればよい。このとき、透明カバー133の第1の面S1は、光源131と紙幣10との間の光路上に位置する面部位が紙幣10の搬送経路から離間するように紙幣10の搬送方向に対して傾斜することが好ましい。この構成では、透明カバー133の第1の面S1が紙幣10の搬送方向と平行な構成と比較して、光源131から透明カバー133に入射して第1の面S1において反射する光の進行方向が、透明カバー133の第2の面S2に沿う方向において受光部132から離れるようになる。そのため、透明カバー133の第1の面S1において反射した光は、受光部132によりノイズとして受光され難くなる。これにより、紙幣10の表面に位置する検知対象をより一層的確に検知することが可能となる。
【0052】
・上記第2の実施の形態においては、透明カバー233の第2の面S2のうち、光源131に対向する第1の面部位S2α、及び、受光部132に対向する第2の面部位S2βが平坦面をなすように構成されていた。これに代えて、
図9及び
図10に示すように、透明カバー433,533の第2の面S2γが凸状の湾曲面をなすように構成されていてもよい。これら構成では、透明カバー433,533の第2の面S2γのうち、光源131と紙幣10との間の光路上に位置する面部位における接平面の延長面SXに沿う方向が光源131から透明カバー433,533への光の入射角を小さくするように紙幣10の搬送方向に対して傾斜することとなる。そして、この接平面の延長面SXよりも光源131からの光の照射方向の前方側(同図に示す例では、左斜め下方)に受光部132を配置すればよい。なお、
図9及び
図10に示す例では、透明カバー433,533の第2の面S2γのうち、光源131と紙幣10との間の光路上に位置する面部位、及び、紙幣10と受光部132との間の光路上に位置する面部位の双方が凸状の湾曲面をなす構成を例に挙げて説明した。ただし、透明カバー433,533の第2の面S2γのうち、少なくとも光源131と紙幣10との間の光路上に位置する面部位が凸状の湾曲面をなす構成であればよい。このとき、
図9に示すように、透明カバー433の第1の面S1は、紙幣10の搬送経路に沿う平坦面をなすように構成してもよい。ただし、
図10に示すように、透明カバー533の第1の面S1γは、例えば凹状の湾曲面をなすように構成する等、光源131と紙幣10との間の光路上に位置する面部位が紙幣10の搬送経路から離間するように紙幣10の搬送方向に対して傾斜することが好ましい。この構成では、先の
図9に示した透明カバー433の第1の面S1が紙幣10の搬送方向と平行な構成と比較して、光源131から透明カバー533に入射して第1の面S1γにおいて反射する光の進行方向が、透明カバー533の第2の面S2γのうち、光源131と紙幣10との間の光路上に位置する面部位における接平面の延長面SXに沿う方向において受光部132から離れるようになる。そのため、透明カバー533の第1の面S1γにおいて反射した光は、受光部132によりノイズとして受光され難くなる。これにより、紙幣10の表面に位置する検知対象をより一層的確に検知することが可能となる。
【0053】
・上記第1の実施の形態においては、光源131と透明カバー133との間の光路上に偏光板135を設けるようにした。ただし、光源131から透明カバー133を介して紙幣10に照射される光量を確保する等の目的で、偏光板135を省略してもよい。
【0054】
・上記第1の実施の形態においては、透明カバー133の第2の面S2に対する光源131からの光の入射角は、光源131から透明カバー133に入射する光のうち、光の入射面に対して平行な偏光成分であるp偏光に対する反射率が最小となるブリュースター角θbに設定されるようにした。ただし、必ずしも、透明カバー133の第2の面S2の傾斜角度が上述した条件を満たす必要はなく、少なくとも光源131からの光の入射角を大きくするように紙幣10の搬送方向に対して傾斜していればよい。
【0055】
・上記第2の実施の形態において、透明カバー233の第2の面S2に対する光源131からの光の入射角は、光源131から透明カバー233に入射する光のうち、光の入射面に対して平行な偏光成分であるp偏光に対する反射率が最小となるブリュースター角に設定されるようにしてもよい。この場合、光源131と透明カバー233との間の光路上に、光源131から透明カバー233への光の入射面と垂直な偏光成分であるs偏光を選択的に遮蔽する偏光板を設けることが好ましい。この構成では、光源131から透明カバー233の第2の面S2に入射する光のうちs偏光が偏光板によって遮蔽されることから、こうしたs偏光が透明カバー233の第2の面S2にて反射することが抑えられる。その結果、こうしたs偏光が受光部132によりノイズとして受光されにくくなる。これにより、紙幣10の表面に位置する検知対象をより一層好適に検知することが可能となる。
【0056】
・上記各実施の形態においては、透明カバー133,233の第2の面S2の全体が紙幣10の搬送方向に対して傾斜するように構成した。ただし、透明カバー133,233の第2の面S2のうち、少なくとも光源131と紙幣10との間の光路上に位置する面部位が紙幣10の搬送方向に対して傾斜する構成であればよい。
【0057】
・上記各実施の形態においては、紙幣10の表面に位置する検知対象が紙幣10に貼着されたテープ片である場合を例に挙げて説明した。ただし、検知対象としてはその他にも、ホログラム、潜像模様、マイクロ文字、光学的変化インキやパールインキにより印刷された画像等、紙幣10の偽造防止に用いられるマークを適用してもよい。要は、紙幣10の表面に位置するものであって、光学的に検知できるものであれば、検知対象として適用することは可能である。