(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、カードに記録されたデータの読取りやカードへのデータの記録を行う手動式のカードリーダが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカードリーダは、カードリーダ本体と、カードリーダ本体が収容される筐体と、カードリーダが上位装置に取り付けられていることを検知するための取付検知機構とを備えている。カードリーダ本体は、磁気ヘッドとIC接点ブロックとを備えている。カードリーダ本体には、磁気ヘッドから引き出されるリード線が接続される第1制御基板と、IC接点ブロックから引き出されるケーブルが接続される第2制御基板とが取り付けられている。
【0003】
特許文献1に記載のカードリーダでは、筐体は、カードの挿入口が形成される前面カバーと、ケース体とから構成されている。ケース体は、左右方向に二分割される第1ケース体と第2ケース体とから構成されている。第2ケース体の内側面には、フレキシブルプリント基板が貼り付けられている。また、カードリーダ本体は、ケース体に収容される本体フレームを備えている。本体フレームには、取付検知機構が取り付けられるセンサ基板が固定されている。
【0004】
第1制御基板には、磁気データの読取り信号等を伝えるためのデータ信号回路(データ信号パターン)が形成されるデータ信号回路層(データ信号パターン層)と、自身が断線したことおよび短絡したことを検知するための破壊検知回路(破壊検知パターン)が形成される破壊検知回路層(破壊検知パターン層)とが形成されている。第2制御基板には、カードに内蔵されるICチップのデータの読取り信号等を伝えるためのデータ信号回路が形成されるデータ信号回路層が形成されている。フレキシブルプリント基板およびセンサ基板には、破壊検知回路が形成される破壊検知回路層が形成されている。
【0005】
第1制御基板は、本体フレームの右側面に固定され、第1制御基板のデータ信号回路層は、第1制御基板の破壊検知回路層よりも左側に配置されている。また、第1制御基板は、後ろ側および上下の両側から第2ケース体に覆われている。第2制御基板は、本体フレームの左側面に固定されており、左側、後ろ側および上下の両側から第2ケース体に覆われている。また、第2ケース体の内側面には、破壊検知回路層を有するフレキシブルプリント基板が貼り付けられている。さらに、破壊検知回路層を有するセンサ基板は、第1制御基板および第2制御基板よりも前側に配置されている。
【0006】
すなわち、特許文献1に記載のカードリーダでは、第1制御基板のデータ信号回路および第2制御基板のデータ信号回路は、全方向から破壊検知回路によって囲まれた保護領域の中に配置されている。そのため、第1制御基板や第2制御基板からデータを不正に取得しようとして、犯罪者が何らかの細工をカードリーダに行うと、破壊検知回路が断線したり短絡したりして、カードリーダに対して何らかの細工が行われていることが検知される。また、破壊検知回路の断線や短絡が検知されたときに、第1制御基板および第2制御基板に記憶されているデータを消去したり、第1制御基板および第2制御基板を使用不可な状態にしたりする等の所定の処理を実行することで、犯罪者によるデータの不正取得を防止することが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のカードリーダでは、フレキシブルプリント基板は、第1制御基板または第2制御基板に接続されている。ここで、特許文献1に記載のカードリーダにおいて、第1制御基板または第2制御基板とフレキシブルプリント基板との接続部分(以下、「フレキシブルプリント基板の接続部分」とする。)に対して犯罪者が何らかの細工を行うと、フレキシブルプリント基板の破壊検知回路が機能しなくなって、第1制御基板や第2制御基板からデータが不正に取得されるおそれがある。
【0009】
そのため、特許文献1に記載のカードリーダでは、フレキシブルプリント基板の接続部分が保護領域の中に配置されるように、フレキシブルプリント基板は、第1制御基板の左面または第2制御基板に接続されていることが好ましい。第1制御基板の左面または第2制御基板にフレキシブルプリント基板が接続されていれば、フレキシブルプリント基板の接続部分に対して犯罪者が不正行為を行おうとすると、第1制御基板、フレキシブルプリント基板およびセンサ基板の少なくともいずれか1つの破壊検知回路が断線したり短絡したりするため、フレキシブルプリント基板の接続部分に対して不正行為が行われようとしていることを検知することが可能になる。
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載のカードリーダでは、フレキシブルプリント基板の接続部分に対して不正行為が行われようとしていることを検知するために、破壊検知回路が形成される第1制御基板、フレキシブルプリント基板およびセンサ基板によって6方向からフレキシブルプリント基板の接続部分を囲まなければならない。したがって、このカードリーダでは、カードリーダの構成が複雑になる。
【0011】
そこで、本発明の課題は、破壊検知回路が形成される保護基板と制御基板との接続部分に対して犯罪者が不正行為を行おうとしていることを検知することが可能であっても、従来よりも構成を簡素化することが可能なカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードに記録されたデータの読取りおよびカードへのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うカードリーダにおいて、カードが移動するカード移動路が形成される本体フレームと、カードの挿入口が形成されるとともに本体フレームの前面側に配置される前面カバーと、本体フレームに固定される制御用のプリント基板である制御基板と、前面カバーが取り外されたことを検知するための検知機構と、自身が断線したことおよび短絡したことの少なくともいずれか一方を検知するための破壊検知回路が形成される
フレキシブルプリント基板である保護基板とを備え、カード移動路を移動するカードの移動方向であるカードリーダの前後方向と、カード移動路を移動するカードの厚さ方向とに直交する方向をカードの幅方向とすると、保護基板は、制御基板よりも後ろ側に配置され
るフィルム状の第1保護基板と、制御基板よりもカードの厚さ方向の一方側に配置され
るフィルム状の第2保護基板と、制御基板よりもカードの厚さ方向の他方側に配置され
るフィルム状の第3保護基板と、制御基板よりもカードの幅方向の一方側に配置され
るフィルム状の第4保護基板と、制御基板よりもカードの幅方向の他方側に配置され
るフィルム状の第5保護基板とを備え、保護基板は、制御基板に接続され、保護基板と制御基板との接続部分は、検知機構の後ろ側に配置され
、第1保護基板と第2保護基板と第3保護基板と第4保護基板と第5保護基板とが一体になっていることを特徴とする。
【0013】
本発明のカードリーダでは、破壊検知回路が形成される保護基板は、制御基板よりも後ろ側に配置される第1保護基板と、制御基板よりもカードの厚さ方向の一方側に配置される第2保護基板と、制御基板よりもカードの厚さ方向の他方側に配置される第3保護基板と、制御基板よりもカードの幅方向の一方側に配置される第4保護基板と、制御基板よりもカードの幅方向の他方側に配置される第5保護基板とを備えており、制御基板は、後ろ側、カードの厚さ方向の両側およびカードの幅方向の両側の5方向から保護基板に囲まれている。すなわち、本発明では、保護基板と制御基板との接続部分は、破壊検知回路が形成される保護基板によって、後ろ側、カードの厚さ方向の両側およびカードの幅方向の両側の5方向から囲まれている。また、本発明では、保護基板と制御基板との接続部分は、前面カバーが取り外されたことを検知するための検知機構の後ろ側に配置されている。
【0014】
そのため、本発明では、保護基板と制御基板との接続部分に対して犯罪者が不正行為を行おうとすると、保護基板の破壊検知回路が断線したり短絡したりするか、あるいは、検知機構が破壊されたりする。したがって、本発明では、保護基板の破壊検知回路の断線や短絡を検知したり、検知機構の異常を検知したりすることで、保護基板と制御基板との接続部分に対して犯罪者が不正行為を行おうとしていることを検知することが可能になる。
【0015】
また、本発明では、保護基板と制御基板との接続部分に対して犯罪者が不正行為を行おうとしていることを検知するための手段として、前面カバーが取り外されたことを検知するための検知機構が利用されている。したがって、本発明では、保護基板と制御基板との接続部分を5方向から囲むように保護基板を構成すれば良い。すなわち、本発明では、従来のように保護基板と制御基板との接続部分を6方向から囲むように保護基板を構成しなくても良い。そのため、本発明では、保護基板と制御基板との接続部分に対して犯罪者が不正行為を行おうとしていることを検知することが可能であっても、カードリーダの構成を従来よりも簡素化することが可能になる。
【0016】
また、本発明
では、保護基板は、フレキシブルプリント基板であり、第1保護基板と第2保護基板と第3保護基板と第4保護基板と第5保護基板とが一体になっている
ため、第1保護基板と第2保護基板と第3保護基板と第4保護基板と第5保護基板とが別体で形成されている場合と比較して、保護基板の取り扱いが容易になり、その結果、カードリーダの組立が容易になる。
【0017】
本発明において、たとえば、制御基板には、保護基板が接続されるコネクタが実装され、コネクタが検知機構の後ろ側に配置されている。また、本発明において、検知機構は、たとえば、接触式の検知スイッチである。
【0018】
本発明において、カードリーダは、検知機構に電力を供給するバッテリーを備えることが好ましい。このように構成すると、カードリーダの電源がオフになっているときにも、前面カバーが取り外されたことを検知機構によって検知することが可能になる。
【0019】
本発明において、カードリーダは、カードリーダが搭載される上位装置からカードリーダが取り外されたことを検知するための第2検知機構を備え、検知機構および第2検知機構は、前面カバーに取り付けられていることが好ましい。このように構成すると、検知機構の配線と第2検知機構の配線とをまとめて処理することが可能になる。したがって、検知機構が本体フレームに取り付けられている場合と比較して、検知機構および第2検知機構の配線の処理を簡素化することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明では、破壊検知回路が形成される保護基板と制御基板との接続部分に対して犯罪者が不正行為を行おうとしていることを検知することが可能であっても、カードリーダの構成を従来よりも簡素化することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
(カードリーダの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すカードリーダ1からケース本体12を取り外した状態の分解斜視図である。
図3は、
図1に示すカードリーダ1からケース体4を取り外した状態の斜視図である。
図4は、
図1に示すカードリーダ1からケース体4および保護基板14等を取り外した状態を別の方向から示す斜視図である。
【0024】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録されたデータの読取りやカード2へのデータの記録を行う装置である。具体的には、カードリーダ1は、カードリーダ1へのカード2の挿入とカードリーダ1からのカード2の抜取りとを手動で行ってデータの読取りや記録を行ういわゆるディップ式のカードリーダである。このカードリーダ1は、たとえば、無人またはセルフサービス方式のガソリンスタンドの給油装置やATM等の上位装置に搭載されて使用される。
【0025】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。カード2の一方の面には、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。また、カード2には、ICチップが内蔵されており、カード2の他方の面には、ICチップの外部接続端子が形成されている。なお、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0026】
カードリーダ1は、カードリーダ本体3と、カードリーダ本体3を覆うケース体4とを備えている。カードリーダ本体3は、カード2が移動するカード移動路5が形成される本体フレーム6と、カード2に記録された磁気データの読取りおよびカード2への磁気データの記録の少なくともいずれか一方を行う磁気ヘッド7(
図4参照)と、カード2に内蔵されるICチップとデータの通信を行うための複数のIC接点バネを有するIC接点ブロック(図示省略)とを備えている。
【0027】
ケース体4は、カード2の挿入口10が形成される前面カバー11と、ケース本体12とから構成されている。また、カードリーダ1は、制御用のプリント基板である制御基板13(
図2参照)と、制御基板13を保護するためのプリント基板である保護基板14と、前面カバー11が取り外されたこと、および、カードリーダ1が上位装置から取り外されたことを検知するためのシートスイッチ(メンブレンスイッチ)15とを備えている。
【0028】
本形態では、手動で操作されるカード2は、
図1等に示すX方向に移動する。すなわち、X方向は、カード移動路5を移動するカード2の移動方向である。また、カード2は、X1方向に挿入され、X2方向に抜き取られる。また、X方向に直交する
図1等のZ方向は、カード移動路5を移動するカード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交する
図1等のY方向は、カード移動路5を移動するカード2の幅方向(短手幅方向)である。
【0029】
以下の説明では、X方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向とする。また、カードリーダ1へのカード2の挿入方向側であるX1方向側を「後ろ」側とし、カードリーダ1からのカード2の抜取り方向側であるX2方向側を「前」側とする。また、左右方向の一方側であるY1方向側を「右」側、左右方向の他方側であるY2方向側を「左」側、上下方向の一方側であるZ1方向側を「上」側、上下方向の他方側であるZ2方向側を「下」側とする。
【0030】
本体フレーム6は、カードリーダ1に挿入されたカード2(すなわち、挿入口10から挿入されたカード2)の後端側部分が収容されるカード収容部6aと、磁気ヘッド7が配置されるヘッド配置部6bと、挿入口10から挿入されたカード2を案内するためのカード案内部6cとを備えている。ヘッド配置部6bおよびカード案内部6cは、カード収容部6aよりも前側に配置されている。ヘッド配置部6bおよびカード案内部6cと、カード収容部6aとの間には、鍔状に広がる鍔部6dが形成されている。
【0031】
鍔部6dは、カード収容部6aの前端から上下方向および左右方向に広がる略長方形の枠状に形成されている。ヘッド配置部6bおよびカード案内部6cは、鍔部6dから前側へ突出している。ヘッド配置部6bとカード案内部6cとは、左右方向において間隔をあけた状態で形成されている。本形態では、ヘッド配置部6bが右側に配置され、カード案内部6cが左側に配置されている。磁気ヘッド7は、ヘッド配置部6bの前端側に取り付けられている。また、カード収容部6aには、IC接点ブロックが取り付けられている。
【0032】
前面カバー11は、本体フレーム6の前面側に配置されており、本体フレーム6の前面側部分を覆っている。また、前面カバー11は、カードリーダ1の前面を構成している。前面カバー11の前面側には、上位装置へのカードリーダ1の取付面11aが形成されている。取付面11aは、前後方向に直交する平面となっている。また、前面カバー11の前面側には、上位装置の前面パネルに形成される開口の中に配置される露出部11bが形成されている。露出部11bは、取付面11aから前側へ突出するように形成されており、上位装置にカードリーダ1が取り付けられたときに、上位装置の前面パネルの一部を構成している。すなわち、露出部11bは、上位装置にカードリーダ1が取り付けられたときに、上位装置の外部に露出している。
【0033】
また、前面カバー11には、露出部11bの前面から後ろ側に向かって窪む指挿入部11cが形成されている。指挿入部11cは、ユーザの指が挿入可能となる大きさに形成されており、ユーザがカードリーダ1へカード2を挿入する際、および、ユーザがカードリーダ1からカード2を抜き取る際には、この指挿入部11cにユーザの指が挿入される。挿入口10は、露出部11bの前面、指挿入部11cの左右の両側面および後面に形成されている。また、前面カバー11の前面側には、取付面11aから後ろ側に向かって窪む凹部11dが形成されている。凹部11dは、露出部11bの左側に形成されている。
【0034】
ケース本体12は、前端が開口する略直方体の箱状に形成されている。前面カバー11とケース本体12とは、前面カバー11の後端とケース本体12の前端とが当接した状態で互いに固定されている。ケース体4は、カードリーダ本体3の上下の両面、左右の両面および前後の両面を覆っている。
【0035】
(制御基板、保護基板およびシートスイッチの構成)
図5は、
図2に示す保護基板14の構成を説明するための断面図である。
図6は、
図2に示すシートスイッチ15の斜視図である。
図7(A)は、
図6に示すスイッチ部15aの構成を説明するための図であり、
図7(B)は、
図6に示すスイッチ部15bの構成を説明するための図である。
【0036】
制御基板13は、略長方形の平板状に形成されたリジッド基板である。制御基板13は、カード収容部6aの上面に固定されている。すなわち、制御基板13は、本体フレーム6に固定されている。制御基板13は、制御基板13の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、制御基板13は、鍔部6dよりも後ろ側に配置されるとともに、鍔部6dの上端よりも下側に配置されている。磁気ヘッド7は、フレキシブルプリント基板19(以下、「FPC19」とする。)を介して制御基板13に電気的に接続されている。IC接点ブロックも、フレキシブルプリント基板を介して制御基板13に電気的に接続されている。
【0037】
図2に示すように、制御基板13には、FPC19が接続されるコネクタ22と、保護基板14が接続されるコネクタ23と、シートスイッチ15が接続されるコネクタ24とが実装されている。コネクタ22〜24は、制御基板13の上面に実装されている。また、制御基板13には、シートスイッチ15に電力を供給するバッテリー25が実装されている。
【0038】
制御基板13は、磁気ヘッド7によってカード2の磁気ストライプから読み取った磁気データの信号(データ信号)や磁気ヘッド7によってカード2の磁気ストライプに記録するデータ信号を伝えるためのデータ信号回路が形成されるデータ信号回路層を備えている。また、制御基板13は、IC接点バネによってカード2のICチップから読み取ったデータの信号(データ信号)やIC接点バネによってカード2のICチップに記録するデータ信号を伝えるためのデータ信号回路が形成されるデータ信号回路層を備えている。
【0039】
保護基板14は、フレキシブルプリント基板であり、柔軟性を有するフィルム状に形成されている。
図5に示すように、保護基板14は、自身が断線したことおよび短絡したことを検知するための破壊検知回路が形成される破壊検知回路層29と、破壊検知回路層29を挟むように配置される絶縁層30とを備えている。破壊検知回路は、保護基板14のほぼ全域に形成されている。また、破壊検知回路は、バッテリー25に接続されている。絶縁層30は、破壊検知回路層29の上下の両面を覆っている。
【0040】
保護基板14は、カードリーダ1の後面側に配置される後面部14aと、カードリーダ1の上面側に配置される上面部14bと、カードリーダ1の下面側に配置される下面部14cと、カードリーダ1の右側面側に配置される右側面部14dと、カードリーダ1の左側面側に配置される左側面部14eと、コネクタ23に接続される帯状の被接続部14fとから構成されている。
【0041】
保護基板14は、所定形状のフレキシブルプリント基板を折り曲げることで形成されており、後面部14aと上面部14bと下面部14cと右側面部14dと左側面部14eと被接続部14fとは一体になっている。具体的には、後面部14aの上端と上面部14bの後端とが繋がり、後面部14aの下端と下面部14cの後端とが繋がり、右側面部14dの上端側部分の上端と上面部14bの右端とが繋がり、左側面部14eの上端側部分の上端と上面部14bの左端とが繋がり、右側面部14dの下端側部分の下端と下面部14cの右端とが繋がり、左側面部14eの下端側部分の下端と下面部14cの左端とが繋がっている。また、被接続部14fは、上面部14bの前端に繋がっている。
【0042】
後面部14aは、制御基板13およびカード収容部6aよりも後ろ側に配置され、上面部14bは、制御基板13およびカード収容部6aよりも上側に配置され、下面部14cは、制御基板13およびカード収容部6aよりも下側に配置され、右側面部14dは、制御基板13およびカード収容部6aよりも右側に配置され、左側面部14eは、制御基板13およびカード収容部6aよりも左側に配置されている。すなわち、保護基板14は、上下の両側、左右の両側および後ろ側からカード収容部6aおよび制御基板13を囲むように配置されており、上下の両側、左右の両側および後ろ側からカード収容部6aおよび制御基板13を覆っている。
【0043】
具体的には、保護基板14は、
図3に示すように、カード収容部6aの、前端側かつ下端側の一部分を除いた大半部分を、上下の両側、左右の両側および後ろ側から覆っている。また、保護基板14は、制御基板13の全体を左右の両側、上側および後ろ側から覆うとともに、カード収容部6aを介して制御基板13を下側から覆っている。本形態の後面部14aは第1保護基板であり、上面部14bは第2保護基板であり、下面部14cは第3保護基板であり、右側面部14dは第4保護基板であり、左側面部14eは第5保護基板である。
【0044】
シートスイッチ15は、薄いシート状に形成されている。シートスイッチ15は、前面カバー11が取り外されたことを検知するためのスイッチ部15aと、カードリーダ1が上位装置から取り外されたことを検知するためのスイッチ部15bと、スイッチ部15a、15bを制御基板13に接続する帯状の接続部15cとから構成されている。スイッチ部15a、15bは、接点電極等を有する接触式の検知スイッチである。本形態のスイッチ部15aは、前面カバー11が取り外されたことを検知するための検知機構であり、スイッチ部15bは、上位装置からカードリーダ1が取り外されたことを検知するための第2検知機構である。
【0045】
スイッチ部15aは、前面カバー11の後面の上端側に固定されている。すなわち、スイッチ部15aは、前面カバー11に取り付けられている。本体フレーム6の鍔部6dの前面には、前側に向かって突出する凸部6eが形成されている。前面カバー11とケース本体12とが互いに固定された状態では、
図7(A)に示すように、スイッチ部15aの接点電極は、凸部6eによって前側に押されており、スイッチ部15aは、導通状態となっている。一方、前面カバー11が取り外されると、スイッチ部15aの接点電極が凸部6eに押されなくなって、スイッチ部15aが非導通状態となるため、前面カバー11が取り外されたことが検知される。
【0046】
スイッチ部15bは、前面カバー11の凹部11dの底面(後ろ側の面)に固定されている。すなわち、スイッチ部15bは、前面カバー11に取り付けられている。上位装置の前面パネルの後面には、後ろ側に向かって突出する凸部45が形成されている。カードリーダ1が上位装置に取り付けられた状態では、
図7(B)に示すように、スイッチ部15bの接点電極は、凸部45によって後ろ側に押されており、スイッチ部15bは、導通状態となっている。一方、上位装置からカードリーダ1が取り外されると、スイッチ部15bの接点電極が凸部45に押されなくなって、スイッチ部15bが非導通状態となるため、カードリーダ1が上位装置から取り外されたことが検知される。
【0047】
接続部15cの一端は、コネクタ24に接続されている。接続部15cの他端側は、スイッチ部15aに繋がる第1接続部15dと、スイッチ部15bに繋がる第2接続部15eとに分岐している。第1接続部15dおよび第2接続部15eは、鍔部6dよりも前側に配置されている。鍔部6dには、前後方向に貫通する貫通穴が形成されており、シートスイッチ15は、この貫通穴を通過するように引き回されている。
【0048】
上述のように、保護基板14の被接続部14fは、制御基板13に実装されたコネクタ23に接続されている。すなわち、保護基板14は、コネクタ23を介して制御基板13に接続されている。本形態では、保護基板14と制御基板13との接続部分であるコネクタ23は、スイッチ部15aの背後に配置されている。すなわち、コネクタ23は、スイッチ部15aの後ろ側に配置されている。具体的には、コネクタ23は、鍔部6dを介してスイッチ部15aの後ろ側に配置されている。また、コネクタ23は、上下方向および左右方向において、スイッチ部15aと略同じ位置に配置されている。すなわち、前後方向から見たときに、少なくともコネクタ23の一部とスイッチ部15aの一部とが重なるように、コネクタ23が配置されている。
【0049】
また、上述のように、保護基板14は、上下の両側、左右の両側および後ろ側からカード収容部6aおよび制御基板13を囲むように配置されているため、制御基板13に実装されるコネクタ23は、上下の両側、左右の両側および後ろ側から保護基板14に囲まれている。具体的には、制御基板13の上面に実装されるコネクタ23の全体が左右の両側、上側および後ろ側から保護基板14に覆われている。
【0050】
なお、本形態では、データを不正に取得するために犯罪者によって何らかの不正行為が行われて、保護基板14の破壊検知回路の断線や短絡が検知されたり、上位装置からカードリーダ1が取り外されたことが検知されたり、前面カバー11が取り外されたことが検知されたりすると、制御基板13に記憶されているデータを消去したり、制御基板13を使用不可な状態にしたり、上位装置に異常を通知する等の所定の処理が実行される。そのため、制御基板13からのデータの不正取得が防止される。
【0051】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、保護基板14と制御基板13との接続部分であるコネクタ23は、上下の両側、左右の両側および後ろ側から保護基板14に囲まれている。また、本形態では、コネクタ23は、スイッチ部15aの後ろ側に配置されている。そのため、本形態では、保護基板14と制御基板13との接続部分に対して犯罪者が不正行為を行おうとすると、保護基板14の破壊検知回路が断線したり短絡したりするか、あるいは、スイッチ部15aが破壊されたりする。したがって、本形態では、保護基板14の破壊検知回路の断線や短絡を検知したり、スイッチ部15aの異常を検知したりすることで、保護基板14と制御基板13との接続部分に対して犯罪者が不正行為を行おうとしていることを検知することが可能になる。
【0052】
また、本形態では、保護基板14と制御基板13との接続部分に対して犯罪者が不正行為を行おうとしていることを検知するための手段として、前面カバー11が取り外されたことを検知するためのスイッチ部15aが利用されている。したがって、本形態では、保護基板14と制御基板13との接続部分を上下の両側、左右の両側および後ろ側の5方向から囲むように保護基板14を構成すれば良い。すなわち、本形態では、従来のように保護基板14と制御基板13との接続部分を6方向から囲むように保護基板14を構成しなくても良い。そのため、本形態では、保護基板14と制御基板13との接続部分に対して犯罪者が不正行為を行おうとしていることを検知することが可能であっても、カードリーダ1の構成を従来よりも簡素化することが可能になる。
【0053】
本形態では、保護基板14は、フレキシブルプリント基板であり、後面部14aと上面部14bと下面部14cと右側面部14dと左側面部14eとが一体になっている。そのため、本形態では、後面部14aと上面部14bと下面部14cと右側面部14dと左側面部14eとが別体で形成されている場合と比較して、保護基板14の取り扱いが容易になり、その結果、カードリーダ1の組立が容易になる。
【0054】
本形態では、制御基板13に実装されるバッテリー25からシートスイッチ15に電力が供給されている。そのため、本形態では、カードリーダ1の電源がオフになっているときにも、前面カバー11が取り外されたこと、および、上位装置からカードリーダ1が取り外されたことを検知することが可能になる。
【0055】
本形態では、前面カバー11が取り外されたことを検知するためのスイッチ部15aと、カードリーダ1が上位装置から取り外されたことを検知するためのスイッチ部15bとが前面カバー11に取り付けられている。そのため、本形態では、共通の接続部15cを利用して、スイッチ部15aの配線とスイッチ部15bの配線とをまとめて処理することが可能になる。したがって、本形態では、スイッチ部15a、15bの配線の処理を簡素化することが可能になる。
【0056】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0057】
上述した形態において、保護基板14の被接続部14fは、制御基板13に半田付けされて接続されても良い。すなわち、保護基板14は、制御基板13に直接、接続されても良い。この場合であっても、保護基板14と制御基板13との接続部分は、スイッチ部15aの後ろ側に配置されている。また、保護基板14と制御基板13との接続部分は、上下の両側、左右の両側および後ろ側から保護基板14に囲まれている。
【0058】
上述した形態では、後面部14aと上面部14bと下面部14cと右側面部14dと左側面部14eとが一体になっているが、後面部14a、上面部14b、下面部14c、右側面部14dおよび左側面部14eの少なくとも1つが別体で形成されていても良い。この場合には、後面部14a、上面部14b、下面部14c、右側面部14dおよび左側面部14eの少なくとも1つが平板状のリジッド基板であっても良い。また、後面部14a、上面部14b、下面部14c、右側面部14dおよび左側面部14eの全てが別体で形成される場合には、後面部14a、上面部14b、下面部14c、右側面部14dおよび左側面部14eの全てが平板状のリジッド基板であっても良い。
【0059】
上述した形態において、スイッチ部15aを有するシートスイッチとスイッチ部15bを有するシートスイッチとが個別に設けられていても良い。また、上述した形態において、スイッチ部15aは、鍔部6dに取り付けられていても良い。すなわち、スイッチ部15aは、本体フレーム6に取り付けられていても良い。また、上述した形態では、接点電極等を有する接触式の検知スイッチであるスイッチ部15aが、前面カバー11が取り外されたことを検知するための検知機構となっているが、この検知機構は、接触式の検知スイッチ以外の機械式のスイッチであっても良いし、光学式のセンサであっても良い。
【0060】
上述した形態では、保護基板14に形成される破壊検知回路を用いて、この破壊検知回路の断線および短絡が検知されているが、保護基板14に形成される破壊検知回路を用いて、この破壊検知回路の断線または短絡の一方のみが検知されても良い。また、上述した形態において、カードリーダ本体3は、磁気ヘッド7を備えていなくても良いし、IC接点ブロックを備えていなくても良い。また、上述した形態では、カードリーダ1は、手動式のカードリーダであるが、カードリーダ1は、カード2を自動で搬送するカード搬送機構を有するカード搬送式のカードリーダであっても良い。