(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱源の熱を回収した熱媒を蓄熱タンクに溜め、水を熱媒と熱交換して設定温度情報に基づいて湯を生成するとともに、前記蓄熱タンク内の蓄熱状態情報を発信する第1の給湯ユニットと、
接続管路を通じて前記第1の給湯ユニットから取り込んだ湯を加熱する補助熱源および入水温度を検出する温度検出手段を備え、給湯開始時または給湯再開時に、前記蓄熱状態情報に基づき、給湯要求に対して前記蓄熱タンク内の蓄熱が足りる場合に前記補助熱源を停止状態に維持させ、前記温度検出手段による検出温度が前記給湯要求の設定温度よりも閾値分だけ低い温度以上になると前記補助熱源の停止状態を解除する第2の給湯ユニットと、
を備えることを特徴とする給湯システム。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、第1の実施の形態に係る給湯システムの構成例を示している。
図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
この給湯システム2は、第1の給湯ユニット4−1や第2の給湯ユニット4−2を備えている。第1の給湯ユニット4−1は、たとえば熱源8から回収した熱を蓄熱するとともに、この蓄熱を利用して湯を加熱して給湯する給湯機能を備える。第2の給湯ユニットは、第1の給湯ユニット4−1から出湯した湯を取り込んで、設定温度になるように加熱処理などを実行する補助熱源の一例である。この第1の給湯ユニット4−1と第2の給湯ユニット4−2は、接続管路5で接続されている。この接続管路5は、一端が第1の給湯ユニットの出湯部に接続され、他端側が第2の給湯ユニット4−2の給水部側に接続される。接続管路5は、第1の給湯ユニット4−1と第2の給湯ユニット4−2の配置間隔に応じた直管でもよく、または給湯システム2の配置位置にある図示しない建物などの障害物を回避するように形状や配置長さなどが設定されればよい。この接続管路5には、たとえば給湯システム2が給湯を停止しているときに、その一部または全部に所定量の残留水RWが滞留する。
【0024】
給湯システム2の給湯処理では、たとえば給湯開始や給湯再開時に第1の給湯ユニット4−1の熱交換部10−1で熱交換処理をしていない残留水RWが外部に排出されてから第2の給湯ユニット4−2での補助加熱処理を行う。そして、この補助加熱処理では、第1の給湯ユニット4−1から供給される湯の温度を判断基準として、第2の給湯ユニット4−2での補助加熱を行うか否かを制御すればよい。
【0025】
<第1の給湯ユニット4−1>
第1の給湯ユニット4−1は、たとえば外部の熱源8から熱を回収して溜める蓄熱タンク6を備えている。また、蓄熱タンク6内の蓄熱を利用して湯を沸かす熱交換部10−1や水の給水温度や蓄熱タンク6内の蓄熱状態を監視する温度検出部12−1、給水Wの入水やその流量を検出する流量センサ13−1を備えている。
蓄熱タンク6は、たとえば熱源8との間に循環管路が形成され、その内部に熱源8から発せられる熱を回収する熱媒を溜めている。熱源8は、たとえばエンジン発電機や燃料電池、太陽熱を回収するソーラシステムなどの発熱装置である。熱媒は、たとえば水や不凍液、その他液体またはそれに近い状態の媒体である。蓄熱処理では、たとえば蓄熱タンク6から熱源8の排熱よりも低温の熱媒を管路内に流すと、熱媒が発熱部分と熱交換して加熱される。熱源8は、熱媒との熱交換によって吸熱され、冷却される。熱交換した熱媒は、蓄熱タンク6の上部側からタンク内に蓄熱される。
さらに蓄熱タンク6は、たとえば後述するように、熱交換部10−1との間に循環管路が形成され、蓄熱タンク6内の高温の熱媒を熱交換部10−1内に通過させる。このとき熱交換部10−1には、たとえば給湯要求に従って低温の給水Wが取込まれ、この給水Wを高温の熱媒と熱交換させることで給水Wを加熱して湯HWを生成する。給水Wとの熱交換によって冷却された熱媒は、再び熱源8側に送られて蓄熱する。
第1の給湯ユニット4−1には、熱源8に対する熱回収処理や蓄熱タンク6内の蓄熱状態監視処理、また監視結果から蓄熱状態情報を生成する処理、蓄熱を利用して所定温度で給湯する給湯処理などを制御する制御部14−1を備えている。この制御部14−1には、たとえば記憶部16−1を備えている。この記憶部16−1は、給湯要求で設定された設定温度情報や蓄熱タンク6内の蓄熱状態情報などを記憶する手段の一例である。そのほか、制御部14−1は、生成した蓄熱状態情報を第2の給湯ユニット4−2側に通知する。
【0026】
<第2の給湯ユニット4−2>
第2の給湯ユニット4−2は、たとえば接続管路5を通じて供給された湯を加熱するバックアップ熱源機18、第2の給湯ユニット4−2を制御する制御部14−2、供給された湯や第2の給湯ユニット4−2から出湯する湯の温度を検出する温度検出部12−2を備える。すなわち、第2の給湯ユニット4−2は、給水加熱する給湯機を用いればよい。
バックアップ熱源機18は、たとえば燃焼部20や熱交換部10−2を備える。
燃焼部20は、たとえばバーナなどの燃料ガスを燃焼して燃焼排気を生成する補助熱源の一例である。熱交換部10−2は、液体同士の熱交換または液気体間の熱交換を行う機能部の一例であり、供給された湯HWを燃焼部20の燃焼排気と熱交換させるものでもよく、または燃焼部20で発生した燃焼排気と熱交換した熱媒を介して、湯HWを加熱する構成であってもよい。
さらに、第2の給湯ユニット4−2には、接続管路5を通じて流入する残留水RWや湯HWの流れやその流量を検出する流量センサ13−2を備えてもよい。
制御部14−2は、たとえば記憶部16−2を備えており、給湯要求により指示された設定温度情報を記憶するとともに、補助加熱処理の実行判断に利用するしきい値情報が記憶される。しきい値情報は、第2の給湯ユニット4−2に流入する水または湯が残留水RWかまたは第1の給湯ユニット4−1で加熱処理された湯HWかを判断する情報の一例であり、たとえば温度情報などが含まれる。また制御部14−2は、制御部14−1から蓄熱状態情報を取得する。
制御部14−2は、温度検出部12−2で検出した湯の検出温度や蓄熱タンク6の蓄熱状態情報、しきい値情報を利用して、バックアップ熱源機18による補助加熱処理を実行する。
第1の給湯ユニット4−1の制御部14−1と第2の給湯ユニット4−2の制御部14−2は、それぞれ以下の制御を行う。
【0027】
<第1の給湯ユニット4−1の制御>
(1) 第1の給湯ユニット4−1は、給湯要求を契機に蓄熱タンク6内の蓄熱状態情報を生成し、第2の給湯ユニット4−2に通知する。
(2) そして、制御部14−1は、蓄熱が足りる場合には設定温度になるように、図示しないポンプや開閉弁の開度を調整し、蓄熱タンク6の高温の熱媒と給水Wを熱交換させて湯HWを生成する。また蓄熱が足りない場合、制御部14−1は、可能な限り設定温度に近い温度に成るように水Wを加熱させて第2の給湯ユニット4−2側に送り出す。
【0028】
<第2の給湯ユニット4−2の制御>
(1) 給湯要求に対し、第1の給湯ユニット4−1での蓄熱が足りない場合には、給湯要求時に設定された設定温度、または制御部14−2に設定された給湯温度になるように、バックアップ熱源機18を燃焼させて第1の給湯ユニット4−1からの湯HWの補助加熱を行う。
(2) 給湯要求に対し、第1の給湯ユニット4−1の蓄熱が足りる場合、第1の給湯ユニット4−1で加熱処理された湯HWが流入するまで補助加熱をせず、流入した残留水RWまたは湯HWをそのままの温度状態で給湯負荷側に流す。すなわち、制御部14−2からの指示によりバックアップ熱源機18を停止状態に維持させる。加熱処理された湯HWの流入判断として、温度検出部12−2で検出した温度情報を利用し、検出温度が設定温度Tに対して所定のしきい値Kの範囲(T−K)以上であればバックアップ熱源機18の停止状態を解除すればよい。このしきい値Kは、たとえば接続管路5の配管長さや材質、設置環境の条件などに基づいて設定されればよく、接続管路5を通すことによって低下する可能性がある温度に設定されればよい。すなわち、第1の給湯ユニット4−1で加熱処理された湯HWは、接続管路5を通過しても、しきい値Kの範囲(T−K)以上となるように設定される。
(3) バックアップ熱源機18の停止状態が解除されると、湯HWの温度が設定温度Tに対して所定のしきい値Kの範囲(T−K)に達するか否かを判断する。しきい値Kの範囲(T−K)に達しない場合、第2の給湯ユニット4−2は、給湯要求が停止されるまで、給湯要求の設定温度Tまたは記憶された給湯温度情報に基づき、バックアップ熱源機18を燃焼させて補助加熱する。そして、給湯要求が停止すると、制御部14−2は、再びバックアップ熱源機18を停止状態にすればよい。
【0029】
<給湯システム2の給湯処理>
図2は、給湯システムによる給湯処理の一例を示している。
図2に示す処理内容、処理手順は一例であり、本発明が斯かる内容に限定されない。
図2において、処理L1は第1の給湯ユニット4−1が行う処理であり、処理L2が第2の給湯ユニット4−2が行う処理を示している。
この給湯処理は、本開示の給湯プログラムの一例である。第1の給湯ユニット4−1では、給湯要求を受けると(ステップS1)、給湯処理の開始処理として、蓄熱タンク6内の蓄熱状態情報を取得し、第2の給湯ユニット4−2側に発信する(ステップS2)。なお、蓄熱状態情報の取得は、たとえば給湯要求を受けて給湯を開始するときや、蓄熱タンク6内の熱媒の温度状態に変化があったとき等を契機に行えばよい。
【0030】
次に、第2の給湯ユニット4−2では、第1の給湯ユニット4−1から蓄熱状態情報を受信し、記憶部16−2に記憶する(ステップS3)。また、制御部14−2は、蓄熱状態情報が蓄熱ありの場合、補助熱源として燃焼部20を停止状態にして、給湯処理を実行する(ステップS4)。この給湯処理の実行は、たとえば流量センサ13−2からの流量情報の取込み、温度検出部12−2からの温度情報の取込みなどを含む。制御部14−2では、第1の給湯ユニット4−1で加熱処理された湯HWの取込みを判断すると、補助熱源の停止を解除する(ステップS5)。このとき、制御部14−2では、蓄熱状態情報、検出温度が設定温度に対してしきい値の範囲以上かを判断すればよい。第2の給湯ユニット4−2は、検出温度に基づいて補助加熱処理を実行する(ステップS6)。
【0032】
斯かる構成によれば、以下の効果が得られる。
【0033】
(1) 給湯開始時または給湯再開時に、接続管路5内の少量な残留水RWの流入に対し、補助熱源を動作させないことで、燃料ガスの無駄を防止できる。
【0034】
(2) 配置環境などにより予め想定したしきい値を利用して、加熱処理された湯か否かを判断して給湯開始または給湯再開毎に補助熱源機を動作させないので、補助熱源機の損耗を減らすことができる。
【0035】
(3) 低温の残留水RWに合せて一時的に補助熱源を高燃焼させることが無く、設定温度Tに対する補助加熱の対象となる湯HWの温度変化を小さくすることで、燃料ガスの消費効率の低下を防止できる。
【0036】
(4) 蓄熱タンク6内の蓄熱状態に応じて補助加熱を行うか否かを判断することで、蓄熱した熱エネルギーを有効に利用することができる。
【0038】
図3は、第2の実施の形態に係るコージェネレーションシステムの構成例を示している。
図3において、
図1と同一部分には同一の符号を付している。
このコージェネレーションシステム30は、本開示の給湯システム、コージェネレーションシステムの一例であり、たとえば給湯システム32として第1の給湯ユニットの一例である蓄熱給湯装置34−1、第2の給湯ユニットの一例である補助加熱装置34−2を備える。またコージェネレーションシステム30には、たとえば熱源として、燃料電池ユニット36を備える。
【0039】
蓄熱給湯装置34−1は蓄熱機能と給湯機能を有する。この蓄熱給湯装置34−1には第1の熱媒HM1が貯められる蓄熱タンク6が備えられ、この蓄熱タンク6の下層部側から熱媒HM1が熱媒循環路38−1に流れ、たとえば、排熱源に循環させて加熱された高温の熱媒HM1が蓄熱タンク6の上層部に戻される。これにより階層状態の蓄熱が行われる。蓄熱タンク6はたとえば、開放式の蓄熱タンクが用いられる。熱媒HM1は排熱源側の冷却用熱媒であり、排熱源から熱を回収し、蓄熱タンク6に蓄熱させる。蓄熱タンク6にはタンク内の上層、中層および下層の熱媒温度を検出する複数の温度センサが備えられ、温度センサ40−1の検出温度T1は上層の熱媒温度を表す。この蓄熱機能により、給湯機能では熱媒HM1の熱を給水Wに熱交換し、湯HWを給湯する。
【0040】
給湯時、給水路38−2に供給される給水Wは熱交換器42−1に流入する。このとき、循環ポンプ44−1を駆動することにより、熱媒HM1が蓄熱タンク6の上層側から熱媒循環路38−3を通じて熱交換器42−1に流れる。熱交換器42−1では熱媒HM1の熱が給水Wに熱交換され、熱媒HM1の熱により、給水Wから湯HWが生成される。この湯HWが蓄熱給湯装置34−1の出湯管路の一例である給湯路38−4から給湯される。
【0041】
給水路38−2にはたとえば蓄熱給湯装置34−1の入口側に、給水温度T2を検出する温度センサ40−2が設置されている。この給水路38−2には、混合弁46−1が設置され、この混合弁46−1を介して給水Wの一部を分岐して給湯路38−4側に流すバイパス路38−5が設置されている。これにより混合弁46−1の開度比率に応じた混合比で湯HWに給水Wを混合することができる。したがって、蓄熱タンク6の熱媒HM1の熱量が設定温度Tの湯HWを得るに必要な熱量以上であれば、湯HWのみ、または湯HWと給水Wの混合水により設定温度Tの湯HWを出湯させることができるが、熱量が不足していれば、湯HWの出湯温度は設定温度T未満となる。そのほか、給水路38−2には、給水Wの流量を検出する流量センサ50−1を備えており、この検出流量を熱媒HM1と給水Wの熱交換処理に利用する。また、給湯路38−4には、熱交換後の温度を検出する温度センサ40−3や出湯時の湯HWの温度を検出する温度センサ40−4が備えられている。
【0042】
補助加熱装置34−2の給湯路38−7には、蓄熱給湯装置34−1の給湯路38−4が供給管38−6を介して接続されており、給湯路38−4は給湯路38−7と連続した通水路を構成する。この供給管38−6は接続管路5の一例であり、蓄熱給湯装置34−1と補助加熱装置34−2の配置距離や配管経路に応じて配管長さが決められ、蓄熱給湯装置34−1から出湯した湯HWが補助加熱装置34−2に供給される。給湯システム32は、たとえば給湯管38−6の長さに応じて、「長」、「短」等の情報を含む配管情報が設定される。給湯要求が無い場合、供給管38−6内には冷水や低温の湯などの残留水RWが滞留している。すなわち残留水RWは、前回の給湯処理で給湯負荷側に出湯しなかった湯HWであり、前回の給湯要求からの時間経過によって放熱されている。そして、補助加熱装置34−2には、給湯開始または給湯再開されると、今回の給湯要求に基づいて蓄熱給湯装置34−1の加熱処理がされていない残留水RWが流入する。
給湯路38−7には、たとえば熱交換器42−2よりも上流側で分岐され、混合弁46−4を介して熱交換器42−2よりも下流側に接続されたバイパス路38−8が設置されている。このとき給湯路38−7に流れる湯HWの温度が設定温度Tであれば補助加熱装置34−2による補助加熱処理は不要であり、その温度を維持させて補助加熱装置34−2から出湯させればよい。そのほか、給湯路38−7には、補助加熱装置34−2に流入する湯HWの流量を検出する流量センサ50−2を備えている。補助加熱処理では、検出流量をバーナ43の燃焼制御や循環ポンプ44−2の動作制御に利用すればよい。
【0043】
補助加熱装置34−2には、たとえばバックアップ熱源機の一例として、燃料ガスを燃焼させるバーナ43を備える。補助加熱に利用する熱源は、バーナ43の燃焼排気の熱のほか、電熱や太陽熱を利用してもよい。補助加熱装置34−2は、補助加熱を行う場合、循環ポンプ44−2を動作させて熱媒循環路38−9に第2の熱媒HM2を循環させ、バーナ43の燃焼熱を熱交換器42−3で熱媒HM2に熱交換させる。このバーナ43の燃焼熱量は、たとえば熱交換後の熱媒HM2が所定温度T9として、たとえば80〔℃〕になるように調整される。この熱媒HM2の温度は、たとえば熱交換後の熱媒HM2の温度を検出する温度センサ40−9によって検出される。これにより、熱媒HM1の熱量不足をバーナ43による熱媒HM2の加熱により補填する。そのほか、熱媒循環路38−9には、熱媒HM2の圧力を制御するためのアキュームレータ52を備えてもよい。
【0044】
補助加熱処理では、給湯開始時または給湯再開時に、供給管38−6内に滞留していた残留水RWが排出されるまでバーナ43を停止状態に維持させ、残留水RWが排出されて、蓄熱給湯装置34−1から湯HWが供給されると、バーナ43の停止状態を解除する。また補助加熱処理では、給湯路38−7の入側に設置された温度センサ40−6の検出温度T6が設定温度Tを下回った場合に、熱交換器42−2に湯HWを流入させ、熱媒HM2と湯HWとを熱交換させ、湯HWを加熱させる。熱交換器42−2の出側の湯HWの温度T7が温度センサ40−7により検出される。熱交換後の湯HWは、混合弁46−4により給湯路38−7側とバイパス路38−8側の開度比率に応じた混合比で熱交換前の湯HWを混合することが可能である。すなわち、熱交換後の湯HWの検出温度T7が設定温度Tより高ければ、バイパス路38−8から熱交換前の湯HWと所定の混合比で混合し、設定温度Tの混合水HWを出湯させる。この混合水HWの温度は給湯路38−7にある温度センサ40−8で検出され、この検出温度T8が混合水HWを設定温度Tに調整する混合弁46−4の開度調整に用いられる。
【0045】
<燃料電池ユニット36の構成>
燃料電池ユニット36は、蓄熱給湯装置34−1の排熱源の一例であり、この熱源として燃料電池48を備えている。燃料電池ユニット36には、熱交換器42−4が設置され、排気路38−10を通じて燃料電池48の排気HM3が流れる。また熱交換器42−4には、熱媒循環路38−1が設置されている。循環ポンプ44−3を動作させることで、熱媒HM1は、熱交換器42−4に対して循環し、排気路38−10に流れる高温の排気HM3の排熱によって加熱される。熱媒循環路38−1内の熱媒HM1は、熱交換器42−4の入側温度T10が温度センサ40−10により温度検出され、出側温度T11が温度センサ40−11により温度検出される。
【0046】
熱媒HM1は、蓄熱タンク6の下層側から熱媒循環路38−1に流され、熱交換器42−4で排熱との熱交換後、蓄熱タンク6の上層側に戻される。これにより、熱媒HM1の階層蓄熱が行われる。蓄熱タンク6には、上層側から下層側に向けて、高さの異なる位置に複数の温度センサを備える。温度センサ40−1は、蓄熱タンク6の最上層側の熱媒温度を検出する。温度センサ40−5は、温度センサ40−1よりも低い位置での熱媒の温度を検出する。
【0047】
そのほか、このコージェネレーションシステム30には、たとえば蓄熱給湯装置34−1を制御する蓄熱給湯装置制御部60−1、補助加熱装置34−2を制御する補助加熱装置制御部60−2、燃料電池ユニット38を制御する燃料電池ユニット制御部60−3を備えている。また各制御部と通信して指示情報のやりとりを行うリモコン装置64(
図5)を備えてもよい。
【0048】
<蓄熱タンク6内の蓄熱状態>
図4は、蓄熱タンク内の状態例を示している。蓄熱タンク6の上層にある温度センサ40−1の設置位置は、たとえば補助加熱を行う熱媒HM2の加熱能力や加熱速度に応じて設定してもよい。温度センサ40−1の位置は少なくとも、熱媒HM1の熱量が給湯に使用される前にバーナ43の立ち上げを完了する時間を確保可能な容積レベルの位置で熱媒HM1の温度を検出する位置であればよい。たとえば、規制流量24〔リットル/min〕を10〔秒〕で加熱可能である場合は、熱媒量が4〔リットル〕以上に相当する容積レベルの位置に設定し、その位置の熱媒温度を検出する。図中、破線Xは上層側の熱媒HM1と、下層側の低温の熱媒LHM1の分水嶺の仮想線を示している。
【0049】
蓄熱タンク6の蓄熱状態は、たとえば温度センサ40−1の検出温度T1が給湯要求の設定温度Tよりも所定温度βだけ高い温度か否かで蓄熱ありか蓄熱なしかを判断する。すなわち、蓄熱状態は、蓄熱タンク6に溜められた熱媒HM1が設定温度Tでの給湯が行えるか否かにより判断する。これにより検出温度T1がT1<(T+β)であれば、蓄熱なしと判断し、またT1≧(T+β)であれば、蓄熱ありと判断すればよい。
【0050】
<制御部について>
図5は、コージェネレーションシステム30の制御部の一例を示している。この制御部62には通信機能を備えるコンピュータで構成される蓄熱給湯装置制御部60−1、補助加熱装置制御部60−2、燃料電池ユニット制御部60−3およびリモコン制御部60−4が含まれる。
蓄熱給湯装置制御部60−1は、蓄熱給湯装置34−1の制御手段であり、プロセッサ66−1、メモリ部68−1、システム通信部70−1、入出力部(I/O)72−1を備え、蓄熱給湯装置34−1の給湯制御を行う。プロセッサ66−1は、メモリ部68−1にあるOS(Operating System)や給湯プログラムを実行し、システム通信部70−1を介して補助加熱装置制御部60−2、燃料電池ユニット制御部60−3およびリモコン制御部60−4と連携し、給湯制御に必要な情報処理を実行する。メモリ部68−1にはROM(Read-Only Memory)やRAM(Random-Access Memory)が含まれる。このメモリ部68−1にはデータを格納するハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶素子が用いられる。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。システム通信部70−1は、補助加熱装置制御部60−2、燃料電池ユニット制御部60−3、リモコン制御部60−4側のシステム通信部と有線または無線で通信を行い、制御に必要な情報の送受を行う。I/O72−1には蓄熱給湯装置34−1にある温度センサ40−1などの各種温度センサ、流量センサ50−1から検出信号を受け、混合弁46−1や循環ポンプ44−1の制御信号を出力する。
【0051】
補助加熱装置制御部60−2は、補助加熱装置34−2の制御手段であり、プロセッサ66−2、メモリ部68−2、システム通信部70−2、I/O72−2を備え、補助加熱装置34−2の給湯制御を行う。プロセッサ66−2は、メモリ部68−2にあるOSや給湯プログラムを実行し、システム通信部70−2を介して蓄熱給湯装置制御部60−1、燃料電池ユニット制御部60−3およびリモコン制御部60−4と連携し、給湯制御に必要な情報処理を実行する。メモリ部68−2にはROMやRAMが含まれる。このメモリ部68−2にはデータを格納するハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶素子が用いられる。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。システム通信部70−2は、蓄熱給湯装置制御部60−1、燃料電池ユニット制御部60−3、リモコン制御部60−4側のシステム通信部と有線または無線で通信を行い、制御に必要な情報の送受を行う。I/O72−2には補助加熱装置34−2にある温度センサ40−6などの各種温度センサ、流量センサ50−2から検出信号を受け、混合弁46−4、循環ポンプ44−2、バーナ43の燃焼制御部74の制御信号を出力する。バーナ燃焼制御部74への制御信号には、たとえば給湯開始または給湯再開時に、蓄熱給湯装置34−1からの湯HWが流入するまでバーナ43の燃焼を停止状態にする制御指示を含む。そのほか、補助加熱装置制御部60−2は、たとえば給湯要求からの経過時間を計時するタイマを備えてもよい。
【0052】
燃料電池ユニット制御部60−3は、燃料電池ユニット36の制御手段であり、プロセッサ66−3、メモリ部68−3、システム通信部70−3、I/O72−3を備え、燃料電池ユニット36の駆動制御を行う。プロセッサ66−3は、メモリ部68−3にあるOSや給湯プログラムを実行し、システム通信部70−3を介して蓄熱給湯装置制御部60−1、補助加熱装置制御部60−2およびリモコン制御部60−4と連携し、給湯制御に必要な情報処理を実行する。メモリ部68−3にはROMやRAMが含まれる。このメモリ部68−3にはデータを格納するハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶素子が用いられる。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。システム通信部70−3は、蓄熱給湯装置制御部60−1、補助加熱装置制御部60−2、リモコン制御部60−4側のシステム通信部と有線または無線で通信を行い、制御に必要な情報の送受を行う。I/O72−3は燃料電池ユニット36にある温度センサ40−10、40−11から検出信号を受け、循環ポンプ44−3、燃料電池制御関係のその他76の制御信号を出力する。
【0053】
リモコン制御部60−4はリモコン装置64に備えられ、独立した蓄熱給湯装置制御部60−1、補助加熱装置制御部60−2、燃料電池ユニット制御部60−3とコンピュータ通信により連携する。
【0054】
<連携制御の処理手順>
図6は、コージェネレーションシステム30を構成する各装置の連係制御の概要を示している。
図6に示す処理内容は、本開示の給湯システムの給湯プログラム、コージェネレーションシステムの制御方法の一例である。
この処理手順について、リモコン装置64では、起動時にイニシャライズを実行し(S21)、入力受付処理(S22)、表示出力処理(S23)を実行する。入力受付処理ではユーザーにより初期設定が行われる。この初期設定には、たとえば蓄熱給湯装置34−1、補助加熱装置34−2に給湯の設定温度Tの入力が行われ、燃料電池ユニット36に対する運転のON/OFFの切替えが含まれる。表示出力処理ではリモコン装置64の表示部に入力情報や出力情報が提示される。
【0055】
燃料電池ユニット36では、イニシャライズを実行し(S31)、熱回収処理(S32)を実行する。熱回収処理は、リモコン装置36からの運転ON/OFFの切替えにより、その処理の開始または終了が指示される。
【0056】
蓄熱給湯装置34−1では、イニシャライズを実行し(S41)、蓄熱給湯処理(S42)を実行する。この蓄熱給湯処理は、本開示の給湯処理の一例であり、リモコン装置64から設定情報として設定温度Tを受け、湯HWの出湯温度を設定温度Tに制御する。そして、この蓄熱給湯処理には、補助加熱装置34−2に対して蓄熱タンク6の蓄熱状態情報として、「蓄熱あり」または「蓄熱なし」を通知する。その他、蓄熱給湯装置34−1は、管理処理としてメンテナンスなどを行ってもよい。
【0057】
補助加熱装置34−2では、イニシャライズを実行し(S51)、補助加熱処理(S52)を実行する。この補助加熱処理では、リモコン装置64から設定情報として設定温度Tと、蓄熱給湯装置34−1からの蓄熱状態情報である「蓄熱あり」または「蓄熱なし」を受ける。そして、補助加熱装置34−2では、蓄熱給湯装置34−1での出湯温度を基準とし、蓄熱タンク6内に蓄熱があるか否か、入水した湯の温度が設定温度Tから所定の温度差か否かによって補助加熱処理の実行と停止を制御する。その他、補助加熱装置34−2は、管理処理としてメンテナンスなどを行ってもよい。
【0058】
<熱回収処理>
図7は、燃料電池ユニット36の熱回収処理の処理手順を示している。
燃料電池ユニット36では、運転がONであるかを判定し(S321)、運転ONであれば(S321のYES)、燃料電池48を駆動する(S322)。燃料電池48の駆動では、熱回収後の熱媒HM1の温度を検出する温度センサ40−11の検出温度T11が一定温度として、たとえば75〔℃〕になるように循環ポンプ44−3の回転を制御する(S323)。
運転ONでなければ(S321のNO)、燃料電池48の駆動を停止する、または停止状態を維持させる(S324)。燃料電池48の駆動停止では循環ポンプ44−3の回転を停止させる(S325)。
【0059】
<蓄熱給湯処理>
図8は、蓄熱給湯装置34−1の蓄熱給湯処理(S42)の一例を示している。
蓄熱給湯装置制御部60−1は、蓄熱タンク6内の検出温度状態などから蓄熱タンク6に蓄熱ありか否かを判断し(ステップS421)、蓄熱があれば(ステップS421のYES)、少なくとも補助加熱装置34−2に対して『蓄熱あり』の蓄熱状態情報を送信する(ステップS422)。また、蓄熱がなければ(ステップS421のNO)、少なくとも補助加熱装置34−2に対して『蓄熱なし』の蓄熱状態情報を送信する(ステップS423)。蓄熱状態は、既述のように、入力された設定温度Tと蓄熱タンク6内の温度センサ40−1、40−5等の検出温度などを利用して判断すればよい。
【0060】
蓄熱給湯装置制御部60−1は、流量センサ50−1の検出結果から給湯使用か否かを判断し(ステップS424)、給湯使用であれば(ステップS424のYES)、蓄熱を給水Wに熱交換させ(ステップS425)、温度センサ40−4の検出温度が設定温度Tになるように混合弁46−1の開度を制御する(ステップS426)。
【0061】
蓄熱タンク6内に蓄熱なしなど設定温度Tでの給湯ができない場合、蓄熱給湯装置34−1は、出来る限り給湯温度に近い温度で補助加熱装置34−2側に給湯すればよい。
また、蓄熱給湯装置制御部60−1は、給湯使用でなければ(ステップS424のNO)、給湯を停止させる(ステップS427)。
【0062】
なお、蓄熱タンク6の蓄熱状態情報の送信は、たとえば給湯要求が発生したときや、蓄熱タンク6内の状態が変化したとき、給湯要求の設定温度Tが変化したときなど、状態変化時を契機に行ってもよい。
【0063】
また蓄熱給湯装置34−1は、たとえば蓄熱状態情報として、温度センサ40−1、40−5等の検出温度情報のみを補助加熱装置34−2やリモコン装置64に送信してもよく、この場合、蓄熱ありか否かの判断は、補助加熱装置34−2やリモコン装置64で行ってもよい。
【0064】
<補助加熱処理>
図9は、補助加熱装置34−2の補助加熱処理の一例を示している。
補助加熱装置制御部60−2は給湯使用かを判断し(ステップS521)、給湯使用であれば(ステップS521のYES)、給湯開始時、蓄熱タンク6が『蓄熱あり』か否かを判断する(ステップS522)。この給湯使用の判断は、たとえば蓄熱給湯装置34−1から受信した情報または流量センサ50−2の検出結果を参照して判断すればよい。蓄熱ありの場合(ステップS522のYES)、補助加熱装置制御部60−2は、配管設定情報が「短」か否かを判断する(ステップS523)。配管設定情報は、供給管38−6の長さや容積情報であって、メモリ部68−2や図示しない制御回路上のスイッチ回路などで設定される。この配管設定情報は、給湯開始時または給湯再開時に供給管38−6内の残留水RWに対して補助加熱を行うか否かの設定情報の一例である。配管設定が「短」の場合(ステップS523のYES)、補助加熱装置34−2は、加熱動作を停止または停止状態を維持させ、または混合弁46−4をバイパス路38−8側へ全開状態として、残留水RWを給湯負荷側に流す(ステップS524)。補助加熱装置制御部60−2は、温度センサ40−6の検出温度を取込み、入水温度である検出温度T6が設定温度Tに対して所定のしきい値Kとして、たとえば2〔℃〕の範囲(T−K)以上か否かを判断する(ステップS525)。入水温度がしきい値Kの範囲以上である場合(ステップS525のYES)、加熱動作の停止を解除して設定温度での給湯処理に移行する(ステップS526)。すなわち、この補助加熱処理では、供給管38−6の長さ情報から配管設定が「短」の場合には滞留する残留水RWに対して補助加熱を行わない。そして、入水温度が所定のしきい値Kの範囲以上となった場合には、残留水RWが排出され、蓄熱給湯装置34−2で加熱処理された湯HWが流入したと判断し、入水した湯HWの検出温度に対し、設定温度Tに加熱する補助加熱処理を開始する。
また、蓄熱タンク6内が『蓄熱なし』の場合(ステップS522のNO)や配管設定が「長」の場合(ステップS523のNO)、給湯開始から直ちに補助加熱を開始する(ステップS526)。すなわち、『蓄熱なし』の場合には、残留水RWが排出されても高温の湯HWが流入しないため、バーナ43を停止させることが無く、残留水RWの排出まで加熱処理を待機する必要が無い。また、供給路38−6が長い場合、残留水RWの容量が多いことから、水の無駄を防止するほか、大量の残留水RWが排出されるまで設定温度での給湯が行われず、給湯応答性が低下するのを防止するためである。
【0065】
補助加熱装置34−2は、給湯使用が無くなった場合(ステップS527のNO)、補助加熱を含む給湯処理を停止させ(ステップS528)、待機状態に移行する。
【0066】
<第2の実施の形態の効果>
この実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
【0067】
(1) 蓄熱タンク6内の蓄熱状態に応じて補助加熱を行うか否かを判断することで、蓄熱した熱エネルギーを有効に利用することができる。
【0068】
(2) 蓄熱タンク6内の蓄熱状態に応じて、残留水RWに対する加熱処理を行うか否かを決めることで、給湯開始時、燃料ガスの無駄を防止するとともに給湯応答性の向上が図れる。
【0069】
(3) 残留水RWの容量に応じて、バーナの燃焼待機処理の実行を切替え可能にすることで、給湯応答性の向上が図れる。
【0070】
(4) 補助加熱装置34−2への入水温度によって蓄熱給湯装置34−1で加熱処理された湯か否かが判断でき、バーナ燃焼の切替え処理の迅速化や、処理の簡素化が図れる。
【0071】
〔実施例1〕
図10は、実施例1に係る補助加熱処理の一例を示している。
図10に示す処理内容、処理手順は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
図10に示す補助加熱処理は、給湯システム2、またはコージェネレーションシステム30で実行する給湯処理の一例であり、供給管38−6内の残留水RWの排出処理とともに、蓄熱給湯装置34−1から給湯された湯HWに対する補助加熱処理の処理例を示している。
この補助加熱処理では、補助加熱装置34−2に流入する湯HWの検出温度を基準として記憶して、補助加熱処理を行う。
この補助加熱装置では、たとえば以下の処理を行う。
<補助加熱装置34−2の制御>
(1) 蓄熱が足りる場合であって、供給管38−6が短い場合に、残留水RWが排出され、蓄熱給湯装置34−1で加熱処理された湯HWが入水するまで、バーナ43を停止状態に維持する。
(2) 蓄熱が足りる場合、供給された湯HWの温度を検出し、この検出温度が設定温度Tに対して所定のしきい値Kの範囲(T−K)以上であれば、メモリ部68−2にこのときの湯HWの検出温度を給湯温度情報として記憶する。そして、補助加熱装置34−2は、補助加熱をせず、この検出温度の状態で給湯させる。このとき、給湯温度情報には、たとえば検出温度として、設定温度Tに対する差分αを算出した差分温度情報(T−α)を記憶する。
(3) また、蓄熱が足りる場合であって、湯HWの温度が設定温度Tに対して所定のしきい値Kの範囲(T−K)に達しない場合、または蓄熱が足りない場合、補助加熱装置34−2はバーナ43を燃焼させて、給湯要求時に設定された設定温度、または記憶した給湯温度に基づいて補助加熱する。
【0072】
<補助加熱処理>
補助加熱装置制御部60−2には、たとえばメモリ部68−2に対し、給湯温度としてリモコン装置64から通知された設定温度Tが初期値として設定される(ステップS61)。この給湯温度は、補助加熱装置34−2に対する制御指示の一例であり、給湯する目標温度である。給湯使用かを判断し(ステップS62)、給湯使用であれば(ステップS62のYES)、残留水RWの排出によるバーナ43の燃焼停止処理を行う。この燃焼停止処理を示すステップS63〜ステップS65は、上記ステップS522〜ステップS524と同様に行えばよい。
【0073】
補助加熱装置制御部60−2は、温度センサ40−6の検出温度を取込み、入水温度である検出温度T6が設定温度Tに対して所定のしきい値Kとして、たとえば2〔℃〕の範囲(T−K)以上か(ステップS66)により、蓄熱給湯装置34−1から湯HWが流入したか否かを判断する。入水温度がしきい値Kの範囲以上である場合(ステップS66のYES)、メモリ部68−2の給湯設定温度として、このときの入水温度(T−α)を記憶する(ステップS67)。ここで「α」は、設定温度Tに対する検出した入水温度である検出温度T6の差分であり、α≦Kである。
【0074】
またバーナ43の停止を解除した後の補助加熱において、補助加熱装置34−2では、蓄熱タンク6の蓄熱状態情報の監視(ステップS68)、入水温度がしきい値の範囲以上かの監視(ステップS69)、入水温度を給湯温度として設定する処理(ステップS70)を行う。このステップS68〜ステップS70は、ステップS63、ステップS66、ステップS67と同様である。そして、補助加熱装置34−2は、記憶した給湯温度で補助加熱を行って給湯する(ステップS71)とともに、給湯使用状態かを監視し(ステップS72)、給湯要求が無くなった場合(ステップS72のNO)、給湯処理を停止する(ステップS73)。
【0075】
なお、補助加熱装置34−2に対する入水温度T6が給湯設定温度に満たない場合は、給湯設定温度になるように加熱動作を行う。しかし、給湯設定温度になっている場合には、加熱動作は行わず、その温度のまま給湯させる。
【0077】
(1) 給湯開始時または給湯再開時に、少量な残留水RWの流入に対し、補助熱源を動作させないことで、燃料ガスの無駄を防止できる。
【0078】
(2) 配置環境などにより予め想定したしきい値を利用して、加熱処理された湯か否かを判断して給湯開始または給湯再開毎にバーナ43等の補助熱源機を動作させないので、補助熱源機の損耗を減らすことができる。
【0079】
(3) 低温の残留水RWに合せて一時的に補助熱源を高燃焼させることが無く、設定温度Tに対する補助加熱の対象となる湯HWの温度変化を小さくすることで、燃料ガスの消費効率の低下を防止できる。
【0080】
(4) 供給管38−6において湯HWの温度が低下する場合でも、しきい値の範囲以上であればその検出温度を補助加熱装置34−2の給湯温度に設定し、バーナ燃焼による補助加熱処理を行わないように制御することで、給湯を行う度に補助加熱処理が発生するのを防止でき、燃料ガスの消費量を抑えることができる。
【0081】
(5) 蓄熱タンク6内の蓄熱状態に応じて補助加熱を行うか否かを判断することで、蓄熱した熱エネルギーを有効に利用することができる。
【0082】
(6) 補助加熱装置34−2は、入水温度がしきい値の範囲以上の場合、蓄熱給湯装置34−1から取り込んだ湯の検出温度を給湯温度に設定し、この給湯温度を基準にバーナ43の燃焼制御を行うことで、補助加熱を行う場合と、補助加熱を行わない場合とで、給湯負荷への給湯温度を変化させず、安定的な給湯処理が実行できる。
【0083】
(7) 補助加熱装置34−2から取り込んだ湯の検出温度を次の給湯温度に設定することで、蓄熱した熱エネルギーを利用する場合と同等な温度で給湯し、過剰な補助加熱を行わないので、燃料ガスの無駄を防止できる。
【0084】
〔実施例2〕
図11は、実施例2に係る補助加熱処理の一例を示している。
図11に示す処理内容、処理手順は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
図11に示す補助加熱処理は、給湯システム2、またはコージェネレーションシステム30で実行する給湯処理の一例であり、供給管38−6内の残留水RWの排出処理とともに、蓄熱給湯装置34−1から給湯された湯HWに対する補助加熱処理の処理例を示している。
補助加熱処理では、たとえば補助加熱装置34−2に流入した湯HWの入水温度情報を蓄熱給湯装置34−1側に通知する処理を含む。蓄熱給湯装置34−1では、たとえば補助加熱装置34−2側から受信した入水温度情報に基づいて給湯温度の調整などを行えばよい。蓄熱給湯装置34−1は、たとえば給湯要求時に設定された温度情報または補助加熱装置34−2から通知された入水温度情報に基づいて調整した温度で給湯処理を行う。補助加熱装置34−2は、給湯要求時に設定された設定温度になるように補助加熱を行う。
補助加熱装置34−2では、たとえば以下の処理を行う。
【0085】
<補助加熱装置34−2の制御>
(1) 蓄熱が足りる場合であって、供給管38−6が短い場合に、残留水RWが排出され、蓄熱給湯装置34−1で加熱処理された湯HWが入水するまで、バーナ43を停止状態に維持する。
(2) 給湯要求に対し、蓄熱給湯装置34−1の蓄熱状態に関わらず、給湯要求時に設定された設定温度になるように、バーナ43を燃焼させて補助加熱を行う。
(3) 給湯要求に対し、蓄熱給湯装置34−1の蓄熱が足りる場合、補助加熱装置制御部60−2は、検出して記憶した入水温度情報を蓄熱給湯装置34−1に通知する。
【0086】
<蓄熱給湯装置34−1の制御>
蓄熱給湯装置制御部60−1は、たとえば補助加熱装置34−2から受信した入水温度情報が設定温度Tよりも小さい場合、供給温度を上げる補正を行い、入水温度が設定温度Tよりも大きい場合は供給温度を下げる補正を行う。これにより、蓄熱給湯装置34−1は、補助加熱装置34−2で検出した入水温度情報に基づいて給湯処理のフィードバック制御を行い、熱交換後の出湯温度を調整することで、補助加熱装置34−2で検出される入水温度が設定温度Tとなる湯を供給可能にする。
【0087】
<補助加熱処理>
補助加熱装置制御部60−2は、たとえば
図11に示すように、メモリ部68−2に対し、入水温度記録としてリモコン装置64から通知された設定温度Tが初期値として設定される(ステップS81)。給湯使用かを判断し(ステップS82)、給湯使用であれば(ステップS82のYES)、残留水RWの排出によるバーナ43の燃焼停止処理を行う。この燃焼停止処理を示すステップS83〜ステップS86は、既述のステップS522〜ステップS525と同様に行えばよい。
【0088】
補助加熱装置制御部60−2は、温度センサ40−6の検出温度を取込み、入水温度である検出温度T6が設定温度Tに対して所定のしきい値Kとして、たとえば2〔℃〕の範囲(T−K)以上か(ステップS86)により、蓄熱給湯装置34−1から湯HWが流入したか否かを判断する。入水温度がしきい値Kの範囲以上である場合(ステップS86のYES)、バーナ43の停止状態を解除して、補助加熱処理に移行する。
【0089】
バーナ43の停止を解除した後の補助加熱において、補助加熱装置34−2では、蓄熱タンク6の蓄熱状態情報の監視(ステップS87)、入水温度がしきい値の範囲以上かを監視(ステップS88)し、入水温度が設定温度Tに対してしきい値Kの範囲以上であれば(ステップS88のYES)、検出した入水温度がメモリ部の入水温度記録に記録された温度、たとえば設定温度Tまたは前回検出した入水温度と一致するかを判断する(ステップS89)。入水温度が入水温度記録と一致しない場合(ステップS89のNO)、この入水温度をメモリ部68−2の入水温度記録として記憶させ(ステップS90)、新たな入水温情報を蓄熱給湯装置34−1に送信する(ステップS91)。
【0090】
そして、補助加熱装置34−2は、給湯要求時に設定された設定温度で補助加熱を行って給湯する(ステップS92)とともに、給湯使用状態かを監視し(ステップS93)、給湯要求が無くなった場合(ステップS93のNO)、給湯処理を停止する(ステップS94)。
【0092】
(1) 給湯開始時または給湯再開時に、少量な残留水RWの流入に対し、バーナ43等の補助熱源を動作させないことで、燃料ガスの無駄を防止できる。
【0093】
(2) 配置環境などにより予め想定したしきい値Kを利用して、加熱処理された湯か否かを判断して給湯開始または給湯再開毎に補助熱源機を動作させないので、補助熱源機の損耗を減らすことができる。
【0094】
(3) 低温の残留水RWに合せて一時的に補助熱源を高燃焼させることが無く、設定温度Tに対する補助加熱の対象となる湯HWの温度変化を小さくすることで、燃料ガスの消費効率の低下を防止できる。
【0095】
(4) 補助加熱装置34−2側の検出温度情報に基づいて蓄熱給湯装置34−1の給湯温度を補正することで、給湯ユニット間での温度低下を考慮した給湯処理ができ、補助加熱処理の実行回数を低減することができる。
【0096】
(5) 補助加熱の実行回数を低減させ、蓄熱した熱エネルギーを優先的に利用することで、燃料ガスの消費量を低減できる。
【0097】
(6) 温度の低下状態に応じて給湯温度が調整されるので、給湯システム32の設置環境や季節毎の温度変化に対応し、要求した温度での給湯処理を行うことができる。
【0099】
以上説明した実施の形態または実施例について、変形例を以下に列挙する。
(a) 上記実施の形態では、第2の給湯ユニット4−2もしくは補助加熱装置34−2に対して、第1の給湯ユニット4−1もしくは蓄熱給湯装置34−1で加熱処理された湯HWが流れ込んだか否かの判断として、入水温度を用いる場合を示したがこれに限らない。第2の給湯ユニット4−2もしくは補助加熱装置34−2は、たとえばタイマを利用し、給湯開始からの経過時間によって供給管38−6内の残留水RWが排出され、第1の給湯ユニット4−1もしくは蓄熱給湯装置34−1で加熱処理された湯HWが流れ込んだものと判断してもよい。これにより、給湯システム32やコージェネレーションシステム30の利便性の低下を防止できる。
(b) 第2の給湯ユニット4−2もしくは補助加熱装置34−2は、たとえば流量センサ13−2、50−2の検出流量に基づいて、接続管路5または供給管38−6内の残留水RWが排出され、第1の給湯ユニット4−1もしくは蓄熱給湯装置34−1で加熱処理された湯HWが流れ込んだものと判断してもよい。
(c) コージェネレーションシステム30では、たとえばリモコン装置64に、残留水RWが排出されるまでバーナ43の燃焼を停止状態にするか否かを選択可能にする切替え機能を備えてもよい。すなわち、コージェネレーションシステム30の利用者、または工事業者の設定操作により、給湯要求に応じて直ちに補助加熱処理を開始させてもよく、または燃料ガスの消費量を抑えるために、供給管38−6が長い場合でも残留水RWが排出されるまでバーナ43の燃焼を停止状態にさせてもよい。
【0100】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。