特許第6873788号(P6873788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873788
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】低温ターボ冷凍機
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/053 20060101AFI20210510BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   F25B1/053 C
   F25B1/053 A
   F25B1/00 387Z
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-69886(P2017-69886)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-17498(P2018-17498A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年9月13日
(31)【優先権主張番号】特願2016-140221(P2016-140221)
(32)【優先日】2016年7月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503164502
【氏名又は名称】荏原冷熱システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】村越 将哉
(72)【発明者】
【氏名】和田 慎平
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
【審査官】 飯星 潤耶
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−124482(JP,A)
【文献】 特開平02−133758(JP,A)
【文献】 中国実用新案第204987591(CN,U)
【文献】 実開昭51−081449(JP,U)
【文献】 米国特許第03280576(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00−49/04
F04D 1/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒ガスを多段に圧縮する複数の圧縮機を備えた低温ターボ冷凍機において、
第1の圧縮機と、
前記第1の圧縮機に内蔵された第1の油タンクと、
前記第1の油タンクの下方に配設され、常に潤滑油で満たされるように構成された第2の油タンクと、
前記第2の油タンクに配設された第1の油ポンプと、
前記第1の油タンクの油排出口と前記第2の油タンクの油流入口を接続する第1の油連絡配管とを備え、
前記第1の油タンクの油排出口より下方でかつ、前記第1の油ポンプに必要な吸い込み圧力以上を確保可能な位置に前記第2の油タンクの油流入口を設け、
前記第1の油連絡配管は、油が途切れないで油の連続が確保可能な流路断面積以上であり、
前記第2の油タンクのガス排出口と前記第1の油タンクのガス流入口を接続するガス連絡配管を設けたことを特徴とする低温ターボ冷凍機。
【請求項2】
前記ガス連絡配管は、起動時に油に溶け込んだ冷媒ガスの排出が可能な流路断面積以上であることを特徴とする請求項記載の低温ターボ冷凍機。
【請求項3】
前記ガス連絡配管は、前記第1の油タンクの最高液位より上方の位置に接続することを特徴とする請求項または記載の低温ターボ冷凍機。
【請求項4】
前記第1の油連絡配管の所定の位置に前記ガス連絡配管に接続する分岐管を設けたことを特徴とする請求項または記載の低温ターボ冷凍機。
【請求項5】
第2の圧縮機と、
前記第2の圧縮機に内蔵された第3の油タンクと、
前記第2の油タンクに配設された第2の油ポンプと、
前記第3の油タンクの油排出口と前記第2の油タンクの油流入口を接続する第2の油連絡配管とをさらに備え、
前記第2の油タンクは、前記第1の油タンクと前記第3の油タンクの下方に配設されていることを特徴とする請求項1記載の低温ターボ冷凍機。
【請求項6】
前記第1の油タンクと前記第3の油タンクの運転時の油面高さが同一となるように前記第1の圧縮機と前記第2の圧縮機のそれぞれの高さ位置が設定されていることを特徴とする請求項記載の低温ターボ冷凍機。
【請求項7】
前記第1の油連絡配管と前記第2の油連絡配管を所定の位置で接続したことを特徴とする請求項または記載の低温ターボ冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒ガスを多段に圧縮する複数の圧縮機を備え、蒸発器において被冷却流体(ブライン)を低温に冷却することができる低温ターボ冷凍機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷媒ガスを多段に圧縮する複数の圧縮機を備え、蒸発器において被冷却流体(ブライン)を低温に冷却する低温ターボ冷凍機が知られている。各圧縮機は、軸受やギヤ等の摺動部を潤滑油により潤滑することが必要である。そのため、各圧縮機は潤滑油を貯留する油タンクを内蔵し、この油タンクに配設された油ポンプにより油タンク内の潤滑油を軸受やギヤ等の摺動部に圧送するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−19541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各圧縮機に内蔵されている油タンクは、系内で最も圧力が低い蒸発器と連絡配管で均圧している。被冷却流体としてブラインを使用した低温ターボ冷凍機においては、被冷却流体として水を使用した通常のターボ冷凍機に比べて、蒸発器内はより低圧になるため、油タンク内の圧力も低下してしまい、油ポンプに必要なNPSH(Net Positive Suction Head:有効吸込ヘッド)を確保できなくなる。そのため、従来の低温ターボ冷凍機においては、圧縮機の軸受やギヤ等の摺動部に送る潤滑油の油量が減少し、度々保安装置が作動するトラブルを生じていた。ここでポンプに必要なNPSHとは、キャビテーションの発生等の性能低下を起こさせないための、ポンプの吸込口で必要な絶対圧力ヘッドである。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、潤滑油を圧縮機の軸受等の摺動部に圧送するための油ポンプに必要なNPSHを確保することができ、摺動部への潤滑油の供給を安定して行うことができる低温ターボ冷凍機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の低温ターボ冷凍機は、冷媒ガスを多段に圧縮する複数の圧縮機を備えた低温ターボ冷凍機において、第1の圧縮機と、前記第1の圧縮機に内蔵された第1の油タンクと、前記第1の油タンクの下方に配設され、常に潤滑油で満たされるように構成された第2の油タンクと、前記第2の油タンクに配設された第1の油ポンプと、前記第1の油タンクの油排出口と前記第2の油タンクの油流入口を接続する第1の油連絡配管とを備え、前記第1の油タンクの油排出口より下方でかつ、前記第1の油ポンプに必要な吸い込み圧力以上を確保可能な位置に前記第2の油タンクの油流入口を設け、前記第1の油連絡配管は、油が途切れないで油の連続が確保可能な流路断面積以上であり、前記第2の油タンクのガス排出口と前記第1の油タンクのガス流入口を接続するガス連絡配管を設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明の好ましい態様によれば、前記ガス連絡配管は、起動時に油に溶け込んだ冷媒ガスの排出が可能な流路断面積以上であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記ガス連絡配管は、前記第1の油タンクの最高液位より上方の位置に接続することを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記第1の油連絡配管の所定の位置に前記ガス連絡配管に接続する分岐管を設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい態様によれば、第2の圧縮機と、前記第2の圧縮機に内蔵された第3の油タンクと、前記第2の油タンクに配設された第2の油ポンプと、前記第3の油タンクの油排出口と前記第2の油タンクの油流入口を接続する第2の油連絡配管とをさらに備え前記第2の油タンクは、前記第1の油タンクと前記第3の油タンクの下方に配設されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記第1の油タンクと前記第3の油タンクの運転時の油面高さが同一となるように前記第1の圧縮機と前記第2の圧縮機のそれぞれの高さ位置が設定されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記第1の油連絡配管と前記第2の油連絡配管を所定の位置で接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、潤滑油を圧縮機の軸受等の摺動部に圧送するための油ポンプに必要なNPSHを確保することができ、摺動部への潤滑油の供給を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明に係る低温ターボ冷凍機の一実施形態を示す模式図である。
図2図2は、第1のターボ圧縮機への給油系統のみを拡大して示す模示図である。
図3図3は、本発明に係る低温ターボ冷凍機の他の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る低温ターボ冷凍機の実施形態を図1乃至図3を参照して説明する。図1乃至図3において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明に係る低温ターボ冷凍機の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、低温ターボ冷凍機は、冷媒ガスを多段に圧縮する第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2と、圧縮された冷媒ガスを冷却水(冷却流体)で冷却して凝縮させる凝縮器2と、ブライン(被冷却流体)から熱を奪って冷媒が蒸発し冷凍効果を発揮する蒸発器3と、凝縮器2と蒸発器3との間に配置される中間冷却器であるエコノマイザ4とを備え、これら各機器を冷媒が循環する冷媒配管5によって連結して構成されている。
【0013】
冷媒ガスを多段に圧縮する第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2は、エコノマイザ4を介して直列に接続されている。すなわち、蒸発器3から排出された低温低圧の冷媒ガスを第1のターボ圧縮機1−1で圧縮し、第1のターボ圧縮機1−1から吐出された冷媒ガスをエコノマイザ4を経由させて第2のターボ圧縮機1−2に導き、第2のターボ圧縮機1−2で更に圧縮して高温高圧の冷媒ガスにしている。
【0014】
図1に示すように構成された低温ターボ冷凍機の冷凍サイクルでは、第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2と凝縮器2と蒸発器3とエコノマイザ4とを冷媒が循環し、蒸発器3でブラインが低温(−5℃〜−25℃)に冷却されて負荷に対応し、冷凍サイクル内に取り込まれた蒸発器3からの熱量および圧縮機モータから供給されるターボ圧縮機1−1,1−2の仕事に相当する熱量が凝縮器2に供給される冷却水に放出される。一方、エコノマイザ4にて分離されたガス冷媒は、第1のターボ圧縮機1−1からのガス冷媒と合流して第2のターボ圧縮機1−2により圧縮される。エコノマイザサイクルによれば、エコノマイザ4による冷凍効果部分が付加されるので、その分だけ冷凍効果が増加し、エコノマイザ4を設置しない場合に比べて冷凍効果の高効率化を図ることができる。
【0015】
図1に示すように、第1のターボ圧縮機1−1には、第1の油タンク11が内蔵されている。第1の油タンク11は連絡配管26により蒸発器3と均圧している。第1の油タンク11の下方には第2の油タンク12が配設されている。第2の油タンク12は、圧縮機に内蔵されたものではなく、圧縮機とは独立して設置されている。第1の油タンク11の油排出口11aと第2の油タンク12の油流入口12aとは、第1の油連絡配管21により接続されている。したがって、第1の油タンク11内の潤滑油は第1の油連絡配管21を介して第2の油タンク12に流入するようになっている。
【0016】
第1の油タンク11の油排出口11aより下方でかつ、第1の油ポンプ31に必要な吸い込み圧力以上を確保可能な位置に第2の油タンク12の油流入口12aを設けている。第1の油連絡配管21は、油が途切れないで油の連続が確保可能な流路断面積以上に設定されている。したがって、潤滑油は第1の油タンク11から第1の油連絡配管21を介して途中で途切れることなく第2の油タンク12にスムーズに供給される。第2の油タンク12には、第1の油ポンプ31が配設されている。第1の油ポンプ31は、第1のターボ圧縮機1−1の軸受やギヤ等の摺動部に潤滑油を圧送する。第2の油タンク12のガス排出口12bと第1の油タンク11のガス流入口11bとは、ガス連絡配管25により接続されている。ガス連絡配管25は、第1の油タンク11の最高液位より上方の位置に接続されている。したがって、潤滑油に溶け込んだ冷媒ガスは、ガス連絡配管25を介して第1の油タンク11の油貯留部の上方の空間に戻されるようになっており、第2の油タンク12は常に潤滑油で満たされるように構成されている。ガス連絡配管25は、冷凍機の起動時に油に溶け込んだ冷媒ガスの排出が可能な流路断面積以上に設定されている。
【0017】
図1に示すように、第2のターボ圧縮機1−2には、第3の油タンク13が内蔵されている。第3の油タンク13は連絡配管26により蒸発器3と均圧している。第3の油タンク13の下方には前記第2の油タンク12が配設されている。第3の油タンク13の油排出口13aと第2の油タンク12の油流入口12cとは、第2の油連絡配管22により接続されている。したがって、第3の油タンク13内の潤滑油は第2の油連絡配管22を介して第2の油タンク12に流入するようになっている。
【0018】
第3の油タンク13の油排出口13aより下方でかつ、第2の油ポンプ32に必要な吸い込み圧力以上を確保可能な位置に第2の油タンク12の油流入口12cを設けている。第2の油連絡配管22は、油が途切れないで油の連続が確保可能な流路断面積以上に設定されている。したがって、潤滑油は第3の油タンク13から第2の油連絡配管22を介して途中で途切れることなく第2の油タンク12にスムーズに供給される。第2の油タンク12には、第2の油ポンプ32が配設されている。第2の油ポンプ32は、第2のターボ圧縮機1−2の軸受やギヤ等の摺動部に潤滑油を圧送する。
【0019】
図2は、第1のターボ圧縮機1−1への給油系統のみを拡大して示す模示図である。図2に示すように、第1のターボ圧縮機1−1には、第1の油タンク11が内蔵されている。第1の油タンク11の下方には第2の油タンク12が配設されている。第1の油タンク11の油排出口11aと第2の油タンク12の油流入口12aとは、第1の油連絡配管21により接続されている。したがって、第1の油タンク11内の潤滑油は第1の油連絡配管21を介して第2の油タンク12に流入するようになっている。第2の油タンク12には、第1の油ポンプ31が配設されている。第1の油ポンプ31は、給油管30を介して第1のターボ圧縮機1−1の軸受やギヤ等の摺動部に潤滑油を圧送する。第2の油タンク12のガス排出口12bと第1の油タンク11のガス流入口11bとは、ガス連絡配管25により接続されている。ガス連絡配管25は、第1の油タンク11の最高液位より上方の位置に接続されている。なお、図2においては、図示を省略しているが、第2のターボ圧縮機1−2に内蔵された第3の油タンク13が第2の油タンク12に接続され、第2の油タンク12に第2の油ポンプ32が配設されていることは、図1に示したとおりである。
【0020】
図1および図2に示す本発明の低温ターボ冷凍機によれば、第1のターボ圧縮機1−1に内蔵する第1の油タンク11および第2のターボ圧縮機1−2に内蔵する第3の油タンク13の下方の位置に、別置きの第2の油タンク12を設置し、第1の油タンク11と第2の油タンク12とを第1の油連絡配管21で接続し、第3の油タンク13と第2の油タンク12とを第2の油連絡配管22で接続している。そして、第2の油タンク12に第1の油ポンプ31を配設し、第1の油ポンプ31により第1のターボ圧縮機1−1に潤滑油を供給し、第2の油タンク12に第2の油ポンプ32を配設し、第2の油ポンプ32により第2のターボ圧縮機1−2に潤滑油を供給する。このように、油タンク12の設置位置を下方に下げた分、潤滑油の自重による液圧が油ポンプ31,32の吸込口にかかるため、油ポンプ31,32に必要なNPSHを確保することができる。したがって、ポンプにキャビテーションの発生等の性能低下がなく、圧縮機の軸受等の摺動部へ問題なく給油できるようになる。
【0021】
低温ターボ冷凍機は、圧縮機が2台必要となるため、圧縮機の下方に設置する油タンクも2つ必要となり、これら2つの油タンクを連通管で連通させなければならない。しかしながら、図1に示すように、別置きの油タンクを1つにまとめて単一の第2の油タンク12を設け、第2の油タンク12に2つ分の容量を持たせることにより、連通管を省略することができる。
【0022】
次に、油ポンプ押込み圧の具体的数値を用いて説明する。
油ポンプ押込み圧は、21kPa以上必要であることが、試験で分かっている。
油ポンプ押込み圧=油タンク内圧+油の自重による液圧である。
空調用ターボ冷凍機の場合、油タンク内圧が約70kPaあり、特に対策なく油ポンプの安定運転が可能である。対策なしの場合、油の自重による液圧は、1.4kPaである。
低温ターボ冷凍機の場合、油タンク内圧は約14kPaのため、何も対策しなければ、油ポンプを安定して運転できない。そのため、油ポンプの必要最低押込み圧(21kPa)と、油タンク内圧の差分以上、油の自重による液圧が必要となる。
使用する油の密度は、0.961g/cmであることから、高さ1cmにつき0.961g/cmの圧力が作用すると言える。これを単位変換すると、0.961×10−3×98.0665=0.0942kPaとなる。
必要な油の自重による液圧は、21−14=7kPaであるから、この圧力をかけるために必要な油の液高さは、7÷0.0942=74.3cmとなる。安全を考慮し、実機に適用する際は、求めた必要高さに30cm以上プラスした高さを取ることが望ましい。
したがって、図2に示す必要な油の液高さH=74.3+30=104.3cm以上である。
【0023】
図3は、本発明に係る低温ターボ冷凍機の他の実施形態を示す模式図である。図3に示す実施形態においては、第1の油連絡配管21の所定の位置にガス連絡配管25に接続する分岐管21aを設けている。すなわち、第1の油連絡配管21の所定位置から分岐管21aを分岐させ、分岐管21aの先端を、第2の油タンク12のガス排出口12bと第1の油タンク11のガス流入口11bとを接続するガス連絡配管25に接続している。
第1の油連絡配管21内の潤滑油からも溶け込んでいた冷媒ガスが起動時に油から分離し、第1の油連絡配管21に冷媒ガス溜りができると、第1の油タンク11から第2の油タンク12まで油の連続を確保することが一時的に困難となる状況が生じることから、第1の油連絡配管21内の冷媒ガス溜りを除去するため、第1の油連絡配管21の所定の位置にガス連絡配管25に接続する分岐管21aを設けることで第1の油連絡配管21内に冷媒ガス溜りができる問題を解消することができる。分岐管21aの接続箇所としては、第1の油連絡配管21においてガス溜りが生じやすいエルボー部(90°折曲部)が最も好ましい。分岐管21aの一部(図示例では逆U字管状の分岐管21aの上部)は、第1の油タンク11の最高液位hmaxより高い位置にあり、分岐管21a内が油で充満してしまわないで分岐管21aから冷媒ガスが抜けやすいようになっている。
【0024】
また、図3に示す実施形態においては、第1の油タンク11と第3の油タンク13の運転時の油面高さが同一となるように第1のターボ圧縮機1−1と第2のターボ圧縮機1−2のそれぞれの高さ位置が設定されている。
図3に示すように、第1の油タンク11および第3の油タンク13には、それぞれ油ヒータ27が設けられている。第1のターボ圧縮機1−1と第2のターボ圧縮機1−2のそれぞれの運転時の油タンクの液面高さが異なっていると、液面高さが低くなってしまったほうの油タンク内に配設された油ヒータ27が油中から露出し空焚きとなる場合がある。また、液面高さが高くなってしまったほうの油タンクでは、羽根車軸28が油タンクを貫通している部分から、油が油タンク外へ溢れることがある。第1のターボ圧縮機1−1と第2のターボ圧縮機1−2の油タンク容量に応じて定まる運転時の油面高さを計算または実験等により適宜決定し、その決定した油面高さが同一となるよう圧縮機の高さ方向の取付位置をあらかじめ求め、圧縮機を設置することで、液面高さが異なることに起因して油ヒータ27が油中から露出し、油ヒータ27が空焚きとなる状況を未然に防止することができ、また羽根車軸28が油タンクを貫通している部分から油タンク外へ油が溢れることを防止することができる。
【0025】
さらに、図3に示す実施形態においては、第1の油連絡配管21と第2の油連絡配管22を所定の位置で接続している。このように、第1の油連絡配管21と第2の油連絡配管22を所定の位置で接続することで、配管数を削減することができ、コストを削減することができる。ここで、所定の位置とは、例えば、第2の油連絡配管22を水平方向に延長し、この延長した部分が第1の油連絡配管21の鉛直方向に延びる部分とぶつかる位置である。なお、所定の位置は、第2の油連絡配管22が最短距離で第1の油連絡配管21に接続できれば、どの位置であってもよい。
図3に示す低温ターボ冷凍機におけるその他の構成は、図1に示す低温ターボ冷凍機の構成と同様である。
【0026】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
1−1 第1のターボ圧縮機
1−2 第2のターボ圧縮機
2 凝縮器
3 蒸発器
4 エコノマイザ
5 冷媒配管
11 第1の油タンク
11a 油排出口
11b ガス流入口
12 第2の油タンク
12a 油流入口
12b ガス排出口
13 第3の油タンク
21 第1の油連絡配管
21a 分岐管
22 第2の油連絡配管
25 ガス連絡配管
26 連絡配管
27 油ヒータ
28 羽根車軸
30 給油管
31 第1の油ポンプ
32 第2の油ポンプ
図1
図2
図3