(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
円筒型で通風路を有するリテーナ内に、円筒フレームと固定フィンを有したバレルが傾動可能に配設され、該バレル内中央にノブ軸支部が設けられ、該ノブ軸支部の前部に操作ノブが回動可能に支持され、該バレルの上流側の該通風路内にダンパ装置が取り付けられ、該操作ノブの回動操作により回動伝達機構を介して該ダンパ装置が該通風路を開閉するレジスタにおいて、
該操作ノブの該回動伝達機構は、該操作ノブの背面部に連結され、ボールを先端に有するボールジョイントのボールシャフト部材と、該ボールに嵌合するソケット部材と、該ソケット部材を該リテーナの中央軸支部上で回動可能に支持し、先端に合成樹脂製のベベルギヤを取り付けたソケット支持部材と、を備え、
該ボールシャフト部材は、該バレル内の送風方向と平行な該バレルの中心線上で、該バレルの該ノブ軸支部により回動可能に支持され、
該ダンパ装置は、直線部に軸部を各々設けた1対の半円形ダンパを有し、該各軸部に該ベベルギヤと噛合するベベルギヤ片を設け、該各半円形ダンパの直線部の軸部を中心に相反方向に回動させて、該通風路を開閉するように構成され、
該ソケット支持部材の中心軸位置にはギヤ取付軸が突設され、該中央軸支部には該ギヤ取付軸を貫通させて支持するギヤ支持部が設けられるとともに、該ギヤ支持部の端部に円環状の支持面が設けられ、
前記ベベルギヤが、該ギヤ支持部を貫通して該ダンパ装置側に突出した該ギヤ取付軸に、ギヤ軸部を嵌合して連結され、該ギヤ軸部の外周部に複数の弾性アームが一体成形され、該弾性アームが該ギヤ支持部の該支持面と接触することを特徴とするレジスタ。
前記1対の半円形ダンパの軸部は、軸部の軸方向に沿って直線状に配置されるとともに、相互に回転可能に連結され、該軸部の連結部分の一方の当接面に、複数の点状凸部が設けられ、該点状凸部が該他方の当接面に当接することを特徴とする請求項1記載のレジスタ。
前記ソケット部材は、2分割された1対の半割ソケット部材から構成され、該半割ソケット部材の当接面には相互に嵌合して係止される係止孔と係止ピンが設けられ、1対の該半割ソケット部材が、内側のボール穴に前記ボールを挿入した状態で、該係止孔と係止ピンの嵌合により該当接面を合せて嵌着されることを特徴とする請求項1記載のレジスタ。
前記1対の半割ソケット部材は、軟質合成樹脂により荷重付与部材として成形され、該半割ソケット部材の内側に設けた半割状のボール穴は、前記ボールの半球部分より広い表面積を覆うように形成されたことを特徴とする請求項6記載のレジスタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このために、上記レジスタのダンパ装置には、自在継手のボールの外周部に高分子エラストマーなどの軟質摩擦部材が被覆形成され、さらに、自在継手のボールをソケット側に付勢するコイルばねが、中央回動軸の外周部に外嵌される。このレジスタは、コイルばねとボールへの摩擦抵抗部材の被覆により、操作ノブの回動伝達機構におけるガタツキや異音(ゴリゴリ感)の発生を防止し、また操作ノブに操作荷重を付与するようにしている。
【0009】
しかしながら、自在継手のボールにエラストマーを被覆形成する場合、ボールの成形時に二色成形を行うこととなり、さらに、小形のコイルばねを別部品で中央回動軸に組み付ける必要があり、部品数の増大や組み付け工数の増大により、製造コストが高くなる課題があった。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、ダンパ装置を回動操作する回動伝達機構のガタツキや異音の発生を、低コストで防止することができるレジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のレジスタは、
円筒型で通風路を有するリテーナ内に、円筒フレームと固定フィンを有したバレルが傾動可能に配設され、該バレル内中央にノブ軸支部が設けられ、該ノブ軸支部の前部に操作ノブが回動可能に支持され、該バレルの上流側の該通風路内にダンパ装置が取り付けられ、該操作ノブの回動操作により回動伝達機構を介して該ダンパ装置が該通風路を開閉するレジスタにおいて、
該操作ノブの該回動伝達機構は、該操作ノブの背面部に連結され、ボールを先端に有するボールジョイントのボールシャフト部材と、該ボールに嵌合するソケット部材と、該ソケット部材を該リテーナの中央軸支部上で回動可能に支持し、先端に合成樹脂製のベベルギヤを取り付けたソケット支持部材と、を備え、
該ボールシャフト部材は、該
バレル内の送風方向と平行な
該バレルの中心線上で、該バレルの該ノブ軸支部により回動可能に支持され、
該ダンパ装置は、直線部に軸部を各々設けた1対の半円形ダンパを有し、該各軸部に該ベベルギヤと噛合するベベルギヤ片を設け、該各半円形ダンパの直線部の軸部を中心に相反方向に回動させて、該通風路を開閉するように構成され、
該ソケット支持部材の中心軸位置にはギヤ取付軸が突設され、該中央軸支部には該ギヤ取付軸を
貫通させて支持するギヤ支持部が設けられるとともに、該ギヤ支持部の端部に円環状の支持面が設けられ、
前記ベベルギヤが
、該ギヤ支持部を貫通して該ダンパ装置側に突出した該ギヤ取付軸に
、ギヤ軸部を嵌合して連結され、該ギヤ軸部の外周部に複数の弾性アームが一体成形され、該弾性アームが該ギヤ支持部の該支持面と接触することを特徴とする。
【0012】
ここで、この明細書において、レジスタの前部、後部、下流側、上流側は、その前部が通風路の下流側、後部が上流側である。
【0013】
この発明のレジスタによれば、バレル中央の操作ノブを回すと、操作ノブの回動力が回動伝達機構のボールジョイント、ソケット部材、ベベルギヤ、ベベルギヤ片を介してダンパ装置に伝達され、1対の半円形ダンパが開方向にまたは閉方向に軸部の回りで回動し、通風路が開閉される。
【0014】
このとき、ベベルギヤのギヤ軸部に設けた弾性アームが、ギヤ支持部の支持面に弾性的に接して摺動するため、回動操作時のガタツキをなくし、適度な操作荷重を生じさせ、スムーズな操作フィーリングでダンパの開閉を行うことができる。
【0015】
また、ベベルギヤは常時、弾性アームの付勢力によってベベルギヤ片側に付勢されるため、ベベルギヤとベベルギヤ片間の隙間をなくし、これにより、バックラッシュ及びバックラッシュによる異音の発生を防止することができる。このため、ベベルギヤの異音発生を防止するグリスの塗布は不要となり、グリスの塗布工程をなくして、製造コストを下げることができる。
【0016】
さらに、従来のようにボールジョイントやベベルギヤの軸部にコイルばねを外嵌させる必要がなく、部品数を削減するとともに、小形のコイルばねを組み付ける作業がなくなり、低コストでレジスタを製造することができる。
【0017】
ここで、上記弾性アームの先端に半球凸部を設け、上記ギヤ支持部の支持面に半球凸部を当接させるように構成することが好ましい。これによれば、ダンパ開閉操作時に生じる弾性アームとギヤ支持部との摺動摩擦抵抗を少なくし、異音やゴリゴリ感の発生を防止することができる。
【0018】
またここで、上記弾性アームの形状は、先端部近傍の太さを元部の太さより相対的に細く形成することが好ましい。これによれば、弾性アームに適度な弾性力を発生させることができる。
【0019】
またここで、上記1対の半円形ダンパの軸部は、軸部の軸方向に沿って直線状に配置されるとともに、相互に回転可能に連結され、軸部の連結部分の一方の当接面に、複数の点状凸部を設け、該軸部の連結部分の一方の当接面に、複数の点状凸部が設けられ、該点状凸部が該他方の当接面に当接するように構成することが好ましい。これによれば、軸部の連結部分の当接面の摺動摩擦抵抗が低減され、ダンパの開閉操作時、1対の半円形ダンパの軸部に生じやすい、異音やゴリゴリ感が防止され、スムーズにダンパ装置の開閉を行うことができる。
【0020】
またここで、上記1対の半円形ダンパの円弧状縁部に、小凹凸部を連続して設けることが好ましい。これにより、リテーナの内周壁面と半円形ダンパの縁部間の狭い隙間を通して空気流が通過した際に発生しやすい渦流を防止し、笛吹き音などの異音の発生を防止することができる。
【0021】
またここで、上記ソケット部材は、2分割された1対の半割ソケット部材から構成され、該半割ソケット部材の当接面には相互に嵌合して係止される係止孔と係止ピンが設けられ、1対の該半割ソケット部材が、内側のボール穴に前記ボールを挿入した状態で、該係止孔と係止ピンの嵌合により該当接面を合せて嵌着される構成とすることができる。また、1対の半割ソケット部材は、軟質合成樹脂により荷重付与部材として成形され、該半割ソケット部材の内側に設けた半割状のボール穴は、前記ボールの半球部分より広い表面積を覆うように形成することが好ましい。
【0022】
これによれば、バレルの傾動操作時に適度な操作荷重を、ソケット部材により良好に付与することができ、さらに、ボールジョイントを含む各部品の組み付けを容易に行うことが可能となり、ボールとソケット部材の嵌合状態を、別の弾性付勢手段などを設けることなく、確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のレジスタによれば、操作ノブを回してダンパ装置を開閉操作する際、回動伝達機構に生じるガタツキや異音の発生を、少ない部品数の機構によって防止し、低コストでレジスタを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜
図6は自動車の車室内に取り付けられる空調用の丸型レジスタを示している。図示のレジスタは、円筒型のリテーナ1内の中央部に、中央軸支部2が設けられ、この中央軸支部2によりバレル3が上下左右に傾動可能に支持される。バレル3の前部中央に略円筒状のノブ軸支部5が設けられ、ノブ軸支部5の前部に操作ノブ6が回動可能に支持される。バレル3の前部に円形の空気吹出口29が形成される。
図6に示す如く、リテーナ1の前端部には円環状のベゼル7がその係止爪をリテーナ1側の係止部に係止させて嵌着される。
【0026】
図10,11に示すように、バレル3は、外周部に円筒状の円筒フレーム3aを有し、円筒フレーム3aは球面の一部を形成するように軸方向に湾曲して形成される。
図24に示す如く、リテーナ1内の前部内周面は、円筒フレーム3aに対応して、球面の一部を形成するように湾曲して形成される。また、
図6,7に示すように、リテーナ1内の上部からベゼル7内の上部にかけて、円弧状の係合溝部1dが前後に形成され、バレル3の上部には係合凸部3cが突設される。
【0027】
バレル3は係合凸部3cをリテーナ1側の係合溝部1dに傾動可能に係合させて組み付けられる。バレル3中央に設けたノブ軸支部5は、リテーナ1の中央軸支部2に、ボールジョイント(自在継手)8を介して上下左右に傾動可能に取り付けられるので、例えば、
図25に示すように、バレル3を上側に傾動させた状態で、バレル3を左右に傾動操作すると、バレル3は係合凸部3cとボール111を結ぶ線を軸に、左右に傾動する。
【0028】
図23に示すように、リテーナ1内に通風路9が形成され、通風路9内の後部上流側に、1対の半円形ダンパ21,22を備えたダンパ装置20が配設される。ダンパ装置20は、操作ノブ6の回動操作時、その回動力が、回動伝達機構10を介して入力され、通風路9を開閉動作するように設けられる。
図9に示す如く、リテーナ1の側壁部両側に、ダンパ装置20の軸受孔1aが設けられ、ダンパ装置20における半円形ダンパ21,22の軸部23,24の先端部が、回動可能に両側の軸受孔1aに嵌合される。ダンパ装置20の1対の半円形ダンパ21,22は、例えば
図26に示すように、操作ノブ6の回動操作により開方向の回動力を受けたとき、その先端部を両側に開くように回動し、通風路9を閉鎖するように構成される。
【0029】
リテーナ1の通風路9内には、大径の円環フレーム1cが放射状フレーム1bを介して設けられ、円環フレーム1cの内側中心位置に、円筒状の中央軸支部2が配置される。中央軸支部2は、バレル3の中央部のノブ軸支部5を傾動可能に支持し、且つダンパ装置20の回動伝達機構10をその内側で軸支するように、構成される。
【0030】
図9に示す如く、中央軸支部2は円筒の内側にフランジ部を設け形成され、このフランジ部内に、ベベルギヤ15を回動可能に支持するギヤ支持部2aが設けられる。また、
図9(b)に示す如く、フランジ部の背面側のギヤ支持部2aに、ベベルギヤ15の弾性アーム17が当接する支持面2bが形成される。さらに、中央軸支部2には、ボールジョイント8のソケット支持部材13に設けた係合爪13aが係合する係合溝2cが設けられる。
【0031】
ダンパ装置20に回動力を伝達する回動伝達機構10は、
図12に示すように、ボールジョイント8のボールシャフト部材11、ソケット部材12及びソケット支持部材13、ベベルギヤ15及びベベルギヤ片25,26から構成され、操作ノブ6の回動操作時、その回動力をダンパ装置20に伝達する。
【0032】
ボールジョイント8のソケット支持部材13は、中央軸支部2内に回動可能に嵌合されたとき、ソケット支持部材13に設けた係合爪13aが、所定の角度範囲で回動可能に係合溝2c(
図9)に係合される。このとき、ソケット支持部材13の先端に設けた、異形断面のギヤ取付軸14は、ギヤ支持部2aの中央穴を貫通し、背面側つまりダンパ装置20の側に突出する。そして、ギヤ取付軸14の先端に、ベベルギヤ15のギヤ軸部16が嵌着される。
【0033】
図20に示す如く、ギヤ軸部16には異形孔が形成され、異形断面のギヤ取付軸14がギヤ軸部16の異形孔に挿通されて、ベベルギヤ15はギヤ取付軸14と一体に回動するように嵌着される。ギヤ取付軸14は、
図14に示す如く、径方向に弾性変形可能な中空形状に形成され、ベベルギヤ15のギヤ軸部16を、ギヤ取付軸14上に容易に嵌入することができる。
【0034】
一方、
図20に示す如く、ベベルギヤ15のギヤ取付軸14の外周部には、3本の弾性アーム17が120°の間隔で、軸方向に弾性変形可能に、湾曲して突設される。3本の弾性アーム17の先端には、小径の半球凸部17aが設けられ、これらの半球凸部17aが、組み付け状態において、中央軸支部2のギヤ支持部2aの支持面2bに当接し、これにより、ベベルギヤ15は、弾性力を持って、反中央軸支部2側つまりダンパ装置20のベベルギヤ片25,26側に付勢される。
【0035】
また、各弾性アーム17の形状は、
図20(d)に示すように、湾曲されて、より長く形成され、且つその先端部の幅寸法L2が、その元部の幅寸法L1より短く形成される。これにより、弾性アーム17の先端側が、撓みやすく形成される。この弾性アーム17の弾性撓み作用によって、ベベルギヤ15がベベルギヤ片25,26側にばね状弾性をもって付勢される。このため、ベベルギヤ15とベベルギヤ片25,26間の隙間をなくし、ベベルギヤ15のバックラッシュを防止する。
【0036】
バレル3は、
図10,11に示す如く、円筒フレーム3aの内側に、中央のノブ軸支部5との間に、複数の固定フィン4が放射状に配置され、放射状の固定フィン4は、その中間部を円環フィン4aにより相互に連結され、保持される。ノブ軸支部5は、その前部から嵌入される操作ノブ6を、その軸の回りで且つ所定の角度範囲で、回転可能に支持するように形成される。
【0037】
図18(c)に示すように、操作ノブ6の背面側には1対の係止爪6aが突設され、操作ノブ6は、その係止爪6aを、ノブ軸支部5の円弧状開口部5aに挿通させて取り付けられる。操作ノブ6の係止爪6aは、ノブ軸支部5の背面側に突出し、背面側に取り付けられるボールシャフト部材11の円盤部114の係止孔118に係止される。これにより、操作ノブ6は、バレル3のノブ軸支部5に対し所定の角度範囲(円弧状開口部5aの角度範囲)で回動可能に支持され、操作ノブ6の回動力は、ボールジョイント8のボールシャフト部材11に伝達される。
【0038】
図12,13に示すように、ボールジョイント8は、ボールシャフト部材11と、ボールシャフト部材11の先端のボール111に嵌合するソケット部材12、及びソケット部材12を支持するソケット支持部材13とを備えて構成され、ソケット支持部材13の先端に突設されたギヤ取付軸14に、ベベルギヤ15が取り付けられる。ソケット支持部材13は、
図7,8に示す如く、リテーナ内の中央軸支部2内に、所定の角度範囲で回動可能に挿入され、支持される。
【0039】
ボールジョイント8のボールシャフト部材11は、
図15〜
図18に示す如く、シャフト部115の先端にボール111を設け、シャフト部115の末端に円盤部114を設けて、合成樹脂により一体成形される。ボール111には2本の係合ピン112が突設され、ソケット部材12内に設けた係合溝に係合ピン112が係合することにより、ボールシャフト部材11をソケット部材12内で傾動可能としつつ、ボールシャフト部材11の軸の回りでの回動力をソケット部材12に伝達する構造である。
【0040】
また、
図18に示すように、ボール111の外周部に複数の小形の円形凹部113が形成される。これらの円形凹部113により、ボール111とソケット部材12のボール穴12aとの摩擦抵抗を調整している。一方、ボールシャフト部材11末端の円盤部114には、
図14、
図15(c)のように、操作ノブ6の係止爪6aが挿入係止される係止孔118が設けられ、さらに、弾性保持部116が円盤部114の外周部に設けられ、弾性保持部116の先端に突起部117が突設される。
【0041】
ボールジョイント8のボールシャフト部材11は、
図11に示すように、バレル3のノブ軸支部5内に、背面側から挿入され、このとき、円盤部114の弾性保持部116がノブ軸支部5内に位置する。円盤部114の弾性保持部116の先端に突起部117が、クリック感(節度感)発生用に設けられ、組み付け状態で、ノブ軸支部5の内周面に接触し摺接する。ノブ軸支部5の内周面には、ボールシャフト部材11がダンパ閉鎖位置に達した位置に、凸部5b(
図10b)が突設される。これにより、操作ノブ6を回してダンパ装置20を閉鎖したとき、弾性保持部116の先端に突起部117が内周面の凸部5bを乗り越え、クリック感を発生させるようになっている。また、
図18(b)に示す如く、円盤部114の外周部に、扇状凹部119が形成され、ボールシャフト部材11の回動角度範囲を規制する。
【0042】
図15に示すように、ボールシャフト部材11のボール111の外側に、ソケット部材12のボール穴12aが、所定の角度範囲で傾動可能に外嵌される。ソケット部材12は、
図15(c)に示す如く、2分割された1対の半割ソケット部材12b、12cから構成され、半割ソケット部材12b、12cの当接面には相互に嵌合して係止される係止孔12eと係止ピン12dが設けられる。1対の半割ソケット部材12b、12cの内側には、各々、半球状のボール穴が形成され、これが重ね合わされてボール穴12aが形成される。
【0043】
また、ボールジョイント8は、
図15(c)に示すように、ボール穴12a内に、ボール111の係合ピン112が係合する係合溝12fが設けられ、ボールシャフト部材11の上下左右方向への傾動を可能としつつ、ボールシャフト部材11をその軸の回りで回したとき、その回動力がソケット部材12側に伝達される。
【0044】
図15に示す如く、1対の半割ソケット部材12b、12cは、内側にボールシャフト部材11のボール111を配置した状態で、ボール穴12aにボール111を位置させた状態で、係止孔12eと係止ピン12dを嵌合させながら、半割ソケット部材12b、12cの当接面を合せて嵌着される。
【0045】
さらに、1対の半割ソケット部材12b、12cは、熱可塑性エラストマー(ポレオレフィン、ポリウレタン、スチレン、エチレン、ブチレン、コポリマー)などの軟質合成樹脂により荷重付与部材として成形される。これにより、ボール111とボール穴12a内周面との間に適度な摩擦抵抗を生じさせ、バレル3の傾動操作時に、適度な操作荷重を、ソケット部材12により付与し、ゴリゴリ感を生じさせない構造とされる。
【0046】
また、半割ソケット部材12b、12cの内側に設けた半割状のボール穴12aは、
図15(b)に示すように、ボール111の半球部分より広い表面積を覆うように形成される。これにより、1対の半割ソケット部材12b、12cを、ボールシャフト部材11のボール111の外周部に、両半割ソケット部材12b、12cを相互に嵌着させ嵌合させた状態で、ソケット部材12のボール穴12a内に、ボール111を確実に保持し外れを防止する。
【0047】
このようなボールジョイント8は、各部品の組み付けを容易に行うことが可能となり、また、ボール111とソケット部材12の嵌合状態を、別の弾性付勢手段、例えばコイルばねなどでボールシャフト部材をソケット部材側に押し付けるなどの付勢手段を設けることなく、確実に保持することができる。
【0048】
図16に示すように、ボールジョイント8のソケット部材12の外側に、硬質合成樹脂製のソケット支持部材13が嵌着される。ソケット支持部材13は、ソケット部材12の外側を覆って嵌合するように略カップ状に形成され、背面側の先端には、ギヤ取付軸14が突設され、ギヤ取付軸14にベベルギヤ15のギヤ軸部16が嵌着される。
【0049】
図16に示す如く、ソケット部材12の外面に複数の係止爪が突設され、ソケット支持部材13の内側には、ソケット部材12の外面の係止爪を係止させる複数の係止部が所定の角度位置に形成される。これにより、ソケット部材12の外周部にソケット支持部材13を嵌合させたとき、一定の角度位置で係止爪と係止部が嵌合し、これにより、ボールシャフト部材11に対しソケット支持部材13が一定の角度位置で保持されるようになっている。
【0050】
ギヤ取付軸14の横断面は、長方形などの異形断面で形成され、
図20に示す如く、異形孔を有するベベルギヤ15のギヤ軸部16内に、ギヤ取付軸14を挿入するのみで、嵌着可能な構造としている。また、
図14に示すように、ギヤ取付軸14は、内部を中空状に形成して、弾性撓み部を有して形成されており、これによりベベルギヤ15の嵌着を容易にしている。
【0051】
上記ソケット支持部材13は、
図7に示すように、リテーナ1の中央軸支部2内に所定の角度範囲で回動可能に嵌着され、このために、ソケット支持部材13の背面側に1対の係合爪13aが突設される。中央軸支部2内には、
図9(a)に示す如く、係合爪13aに対応する位置に、係合溝2cが設けられ、ソケット支持部材13を中央軸支部2内に挿入したとき、ソケット支持部材13の1対の係合爪13aが係合溝2cに係合し、係合爪13aが縁部に係合する。これにより、ソケット支持部材13と中央軸支部2との嵌合が保持され、中央軸支部2に対しソケット支持部材13が所定の角度範囲で回動可能に保持される。
【0052】
図9(b)に示す如く、リテーナ1の中央軸支部2の背面部に、フランジ状のギヤ支持部2aが形成され、ギヤ支持部2aの背面に、ベベルギヤ15用の支持面2bが形成される。この支持面2bには、上記の如く、ベベルギヤ15のギヤ軸部16に設けた弾性アーム17の半球凸部17aが接触し、これにより、ベベルギヤ15は、背面側につまりダンパ装置20の半円形ダンパ21,22のベベルギヤ片25,26側に付勢され、ベベルギヤ15のバックラッシュが防止される。
【0053】
操作ノブ6は、
図18(c)、
図19に示す如く、回動操作可能なダイヤルノブ状に形成され、背面側に1対の係止爪6aが突設され、バレル3の円筒フレーム3aの中央に設けたノブ軸支部5に、所定の角度範囲で回動可能に取り付けられる。
【0054】
図10に示す如く、ノブ軸支部5のフランジ部に円弧状開口部5aが形成され、操作ノブ6の係止爪6aはこの円弧状開口部5aに挿入される。さらに、操作ノブ6の係止爪6aは、
図19に示す如く、バレル3の背面側からノブ軸支部5内に挿入される、ボールジョイント8の円盤部114に設けた係止孔118に、差し込まれ、係止される。なお、操作ノブ6の組み付け時、
図19に示すように、操作ノブ6とノブ軸支部5のフランジ部との間に、円環状で熱可塑性エラストマーなどの軟質合成樹脂からなる荷重付与部材19が介挿され、操作ノブ6の回動操作時、その摩擦抵抗により、適度な操作荷重を付与する。
【0055】
図22,23に示すように、リテーナ1の通風路9内のバレル3の上流側に、ダンパ装置20が配設される。ダンパ装置20は、
図21に示す如く、直線部に軸部23,24を各々設けた1対の半円形ダンパ21,22を、回動可能に有して構成される。各半円形ダンパ21,22の直線部の軸部23,24には、ベベルギヤ15と噛合するベベルギヤ片25,26が一体成形される。
【0056】
1対の半円形ダンパ21,22の直線部に設けた軸部23,24は、
図21に示す如く、一方の軸部24の軸心位置に連結軸24dが突設され、他方の軸部23の軸支位置に、連結孔23bが設けられ、その連結孔23bに連結軸24bが挿入され連結される。1対の半円形ダンパ21,22は、軸部23,24を中心に、相反方向に約90°の角度範囲で回動し、通風路9を開放或いは閉鎖するように構成される。
【0057】
ダンパ装置20の1対の半円形ダンパ21,22は、その軸部23,24の末端部が、リテーナ1の側壁に設けた軸受孔1a(
図9)に嵌入され、回動可能に軸支される。これにより、ダンパ装置20は、
図24に示す如く、1対の半円形ダンパ21,22が通風方向と平行状態まで回動したとき、通風路9を開放し、
図26に示すように、半円形ダンパ21,22がその間の角度を増す方向に回動し、半円形ダンパ21,22の外周縁部がリテーナ1内の壁面に接触するまで回動したとき、通風路9は閉鎖される。
【0058】
また、
図22に示すように、1対の半円形ダンパ21,22の軸部23,24は、上記の如く、軸部の軸方向に沿って直線状に配置されるとともに、相互に回転可能に連結される。
図21に示す如く、半円形ダンパ21,22の円弧周縁部に、小凹凸部21a、22aが設けられる。さらに、半円形ダンパ22の軸部24上に凹凸部24cが設けられ、対応する半円形ダンパ21の直線部に凹凸部21bが設けられる。小凹凸部21a、22a及び凹凸部21b、24cは、空気流が、リテーナ1の内周壁面と半円形ダンパ21,22の縁部間の狭い隙間を通して流れるとき、発生しやすい渦流の発生を防止し、これにより、笛吹き音などの異音の発生を防止する。
【0059】
さらに、一方の軸部24の連結部分に当接面23aが設けられ、他方の軸部23に複数の点状凸部23cが設けられる。これにより、
図22に示すように、ダンパ装置20をリテーナ1内に組み付けたとき、一方の軸部23の点状凸部23cが他方の軸部24の当接面24aに当接または接触する。これにより、軸部23,24の間の摺動摩擦抵抗を減少させ、ダンパの開閉操作時、1対の半円形ダンパの軸部23,24に生じやすい、ガタツキ、異音、ゴリゴリ感を防止し、ダンパ装置20の開閉をスムーズに行うようになっている。
【0060】
上記構成のレジスタを組み立てる場合、先ず
図15に示すように、ボールシャフト部材11のボール111に対し、上下からソケット部材12の半割ソケット部材12b、12cを嵌め込むようにし、それらの係止孔12eに係止ピン12dを嵌入して、ボールシャフト部材11とソケット部材12を嵌合させる。
【0061】
さらに、
図16に示すように、ソケット部材12の外側に、ソケット支持部材13を嵌合させ、ボールジョイント8を組み付ける。この状態で、ボールシャフト部材11は、ソケット部材12及びソケット支持部材13に対し、上下左右に傾動可能に組み付けられる。
【0062】
次に、上記ボールジョイント8を、リテーナ1内の中央軸支部2の前部に差し込み、中央軸支部2の後部側に、ボールジョイント8のギヤ取付軸14を突出させる。この状態で、中央軸支部2の後部側から、ベベルギヤ15のギヤ軸部16を、ボールジョイント8のギヤ取付軸14に嵌め込む。これにより、中央軸支部2内にボールジョイント8がボール111を中心に傾動可能に保持され、ボールシャフト部材11を回動させたとき、ベベルギヤ15がソケット支持部材13のギヤ取付軸14とともに、所定の角度範囲で回動可能に軸支される。
【0063】
また、このとき、ギヤ軸部16の弾性アーム17の半球凸部17aが、ギヤ支持部2aの支持面2bに当接し、ベベルギヤ15がダンパ装置20のベベルギヤ片25,26に噛合したとき、弾性付勢力を付与して、ギヤ間の隙間をなくすように作用する。
【0064】
次に、ダンパ装置20の半円形ダンパ21,22が、
図21のように、連結軸24dと連結孔23bを嵌合させて相互に回動可能に連結し状態で、リテーナ1内後部の側壁に設けた軸受孔1aに、軸部23,24の端部を嵌入させ、通風路9内に組み付けられる。
【0065】
このとき、1対の半円形ダンパ21,22は、そのベベルギヤ片25,26が中央軸支部2の後部に位置するベベルギヤ15と噛合するように組み付けられ、ベベルギヤ15の弾性アーム17がギヤ支持部2aの支持面2bに当接し、ベベルギヤ15がベベルギヤ片25,26側に付勢される。
【0066】
これにより、ベベルギヤ15はベベルギヤ片25,26に確実に噛合し、ギヤ間の隙間は発生せず、ボールジョイント8のボールシャフト部材11を回動操作したとき、その回動力がバックラッシュを生じずにダンパ装置20の半円形ダンパ21,22に伝達され、半円形ダンパ21,22は開閉回動する状態となる。
【0067】
次に、
図19に示すように、バレル3のノブ軸支部5の前部に、荷重付与部材19を介して、操作ノブ6を嵌入させ、操作ノブ6の係止爪6aをノブ軸支部5の円弧状開口部5aに挿入した状態で、バレル3をリテーナ1の前部内に挿入する。
【0068】
このとき、バレル3の係合凸部3cはリテーナ1側の係合溝部1d内に挿入され、操作ノブ6の係止爪6aは、ボールシャフト部材11の円盤部114の係止孔118(
図7)に差し込まれ、その内側で係止される。
【0069】
これにより、操作ノブ6は、バレル3のノブ軸支部5に組み付けられ、操作ノブ6を把持して上下左右に傾動操作すると、バレル3がリテーナ1内で
図25のように傾動可能な情態となる。
【0070】
また、この状態で、操作ノブ6を時計方向または反時計方向に回すと、ボールジョイント8、ベベルギヤ15、ベベルギヤ片25,26を介して、操作ノブ6の回動力がダンパ装置20の半円形ダンパ21,22に伝達され、半円形ダンパ21,22が通風路9を開閉するように回動する。最後に、ベゼル7をリテーナ1の前部に嵌め込み、その周縁部に設けた係止爪と係止部を嵌合係止させ、レジスタの組み立てが完了する。
【0071】
上記構成のレジスタは、例えば自動車のインストルメントパネルに設けられた空調装置の空気吹出口等に装着して使用される。
【0072】
図23に示すように、ダンパ装置20が開放され、バレル3がレジスタの正面前方に真直ぐな状態にあるとき、つまり、バレル3の中心線S2が通風路9の軸方向に沿った中心線S1と平行な状態にあるとき、空気流はバレル3の固定フィン4などにガイドされて前方に真直ぐ送風される。
【0073】
レジスタの送風方向を変える場合、操作ノブ6を持ってバレル3を上下或いは左右に傾動操作する。例えば、
図25に示すように、操作ノブ6を上側に傾動させると、バレル3は、その上端部の係合凸部3cが係合溝部1d内を上に移動し、ボールジョイント8はそのボールシャフト部材11がソケット部材12内で上側にボール111を介して傾動する。これにより、バレル3は、リテーナ1の中心線S1に対しその中心線S2が上側に傾斜し、斜め上方に向けられ、送風方向が斜め上方に変えられる。操作ノブ6を下側に傾動させた場合、同様にバレル3が傾動し、送風方向は斜め下方に変えられる。
【0074】
また、その状態で、操作ノブ6を右または左に傾動させると、バレル3は、係合凸部3cとボールジョイント8のボール111を結ぶ軸を中心に、右または左に傾動し、送風方向が斜め上側の右または左方向に変えられる。
【0075】
一方、送風を遮断する場合には、操作ノブ6を右または左に回動端まで回す。これにより、バレル3の回動力は、回動伝達機構10のボールジョイント8、ベベルギヤ15、ベベルギヤ片25,26を介して、ダンパ装置20の半円形ダンパ21,22に伝達される。これにより、半円形ダンパ21,22が、
図26に示すように相反方向(前後から見たとき開方向)に回動し、半円形ダンパ21,22の周縁部がリテーナ1内の側壁に当接し、通風路9を閉鎖する。
【0076】
このような操作ノブ6の操作に伴う回動伝達機構10の回動伝達は、ボールジョイント8を介して行われるので、バレル3が何れの方向に傾動した状態でも、ダンパ装置20を閉鎖状態として、通風路9を完全に閉じ、送風を停止することができる。
【0077】
一方、送風を再開する場合、操作ノブ6を上記と逆方向に回せば、その回動力が、ボールジョイント8、ベベルギヤ15、ベベルギヤ片25,26を介して、ダンパ装置20の半円形ダンパ21,22に伝達され、半円形ダンパ21,22が開放側に回動し、通風路9は開放され、送風が再開される。
【0078】
このように、操作ノブ6をその軸の回りで回動操作することにより、その回動力が、回動伝達機構10のボールジョイント8、ベベルギヤ15、ベベルギヤ片25,26を介して、ダンパ装置20の半円形ダンパ21,22に伝達され、ダンパが開閉するように動作し、このとき、ベベルギヤ15のギヤ軸部16に設けた弾性アーム17が、ギヤ支持部2aの支持面2bに弾性的に接して摺動するため、回動操作時のガタツキをなくし、適度な操作荷重を生じさせ、スムーズな操作フィーリングでダンパの開閉を行うことができる。
【0079】
また、ベベルギヤ15は常時、弾性アーム17の付勢力によってベベルギヤ片25,26側に付勢されるため、ベベルギヤ15とベベルギヤ片25,26間の隙間をなくし、これにより、バックラッシュ及びバックラッシュによる異音の発生を防止することができる。このため、ベベルギヤ15の異音発生を防止するグリスの塗布は不要となり、グリスの塗布工程をなくして、製造コストを下げることができる。
【0080】
さらに、従来のようにボールジョイントやベベルギヤの軸部にコイルばねを外嵌させる必要がなく、部品数を削減するとともに、小形のコイルばねを組み付ける作業がなくなり、低コストでレジスタを製造することができる。
【0081】
また、操作ノブ6を持ってバレル3を上下に傾動操作すると、バレル3はボールジョイント8のボール111を中心に上下に傾動し、バレル3を左右に傾動操作すると、バレル3は上部の係合凸部3cとボール111を結ぶ線を軸に左右に傾動し、このとき、ボールジョイント8のボール111は、荷重付与部材を兼ねるソケット部材12により適度な操作荷重が付与され、ガタツキなくスムーズにバレル3を傾動させることができる。