特許第6873846号(P6873846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873846
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20210510BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   G16H50/20
   H04M11/00 301
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-131420(P2017-131420)
(22)【出願日】2017年7月4日
(65)【公開番号】特開2019-16060(P2019-16060A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寛司 久人
【審査官】 相澤 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−282992(JP,A)
【文献】 特開2016−071897(JP,A)
【文献】 特許第6151518(JP,B2)
【文献】 特開2015−138488(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0140825(US,A1)
【文献】 特開2016−032501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 − 80/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人同士の連絡を補助する機能を有する第1端末の当該機能を用いて対象ユーザに動作を指示する動作指示部と、
人の動作を示す動作情報を検出する機能を有する第2端末から、前記指示を受けて動作を行った前記対象ユーザについての前記動作情報を取得する動作取得部と、
前記指示の内容と取得された前記動作情報とを比較して前記対象ユーザに関する判定を行う判定部と
周辺音を録音する機能を有する第3端末が録音した周辺音を取得する音取得部と、
取得された前記周辺音に含まれる人の声からユーザを識別する識別部と、
取得された前記周辺音に含まれる生活音と、当該周辺音から識別されたユーザとを対応付けて記憶する記憶部とを備え、
前記動作指示部は、前記対象ユーザに対応付けて記憶された前記生活音に類似する生活音が取得された場合に、前記指示を行う情報処理装置。
【請求項2】
記第3端末は、音を出力する機能を有し、
ユーザの発話を促す音を前記第3端末に出力させる指示を行う出力指示部を備え、
前記識別部は、前記発話を促す音の出力後に録音された前記周辺音に含まれる人の声から前記識別を行う
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
特定の位置に設置され、人同士の連絡を補助する機能を有し、前記連絡を開始させる際に呼び出し音を鳴らす第1端末の当該機能を用いて対象ユーザに動作を指示する動作指示部と、
人の動作を示す動作情報を検出する機能を有する第2端末から、前記指示を受けて動作を行った前記対象ユーザについての前記動作情報を取得する動作取得部と、
前記指示の内容と取得された前記動作情報とを比較して前記対象ユーザに関する判定を行う判定部と、
前記第1端末から所定の距離離れた位置に設置された第4端末から取得する情報に基づいて前記対象ユーザの前記第4端末への接近を検知する検知部と、
前記接近が検知されると前記第1端末の前記呼び出し音を鳴らす指示を行う呼出指示部と、
前記第1端末の呼び出し音が鳴っている期間を特定する期間特定部とを備え、
前記判定部は、前記所定の距離及び特定された前記期間が表す前記対象ユーザの移動速度に基づく判定を行う情報処理装置。
【請求項4】
記第4端末は、周辺音を録音する機能を有し、
前記第4端末が録音した周辺音を取得する音取得部を備え、
前記期間特定部は、取得された前記周辺音に含まれる前記呼び出し音に基づいて前記期間を特定する
請求項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの動作に基づく判定を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、副端末装置のタッチパネルが足の形を算出してユーザ認証を行い、主端末装置がドップラーセンサの出力波形から生体情報(呼吸、脈拍、体動)を算出して疲労指標等を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再表2015/107710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、副端末装置に乗った後に寝ることで判定が行われるが、そのような動作によって判定が行われることをユーザが知っていなければ、適切な判定が行われない。
そこで、本発明は、ユーザの動作結果に基づく判定が行われる場合に、判定のために行うべき動作をユーザが知らなくても判定が行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、人同士の連絡を補助する機能を有する第1端末の当該機能を用いて対象ユーザに動作を指示する動作指示部と、人の動作を示す動作情報を検出する機能を有する第2端末から、前記指示を受けて動作を行った前記対象ユーザについての前記動作情報を取得する動作取得部と、前記指示の内容と取得された前記動作情報とを比較して前記対象ユーザに関する判定を行う判定部と、周辺音を録音する機能を有する第3端末が録音した周辺音を取得する音取得部と、取得された前記周辺音に含まれる人の声からユーザを識別する識別部と、取得された前記周辺音に含まれる生活音と、当該周辺音から識別されたユーザとを対応付けて記憶する記憶部とを備え、前記動作指示部は、前記対象ユーザに対応付けて記憶された前記生活音に類似する生活音が取得された場合に、前記指示を行う情報処理装置を提供する。
【0006】
前記第3端末は、音を出力する機能を有し、ユーザの発話を促す音を前記第3端末に出力させる指示を行う出力指示部を備え、前記識別部は、前記発話を促す音の出力後に録音された前記周辺音に含まれる人の声から前記識別を行うようにしてもよい。
【0007】
また、本発明は、特定の位置に設置され、人同士の連絡を補助する機能を有し、前記連絡を開始させる際に呼び出し音を鳴らす第1端末の当該機能を用いて対象ユーザに動作を指示する動作指示部と、人の動作を示す動作情報を検出する機能を有する第2端末から、前記指示を受けて動作を行った前記対象ユーザについての前記動作情報を取得する動作取得部と、前記指示の内容と取得された前記動作情報とを比較して前記対象ユーザに関する判定を行う判定部と、前記第1端末から所定の距離離れた位置に設置された第4端末から取得する情報に基づいて前記対象ユーザの前記第4端末への接近を検知する検知部と、前記接近が検知されると前記第1端末の前記呼び出し音を鳴らす指示を行う呼出指示部と、前記第1端末の呼び出し音が鳴っている期間を特定する期間特定部とを備え、前記判定部は、前記所定の距離及び特定された前記期間が表す前記対象ユーザの移動速度に基づく判定を行う情報処理装置を提供する。
【0008】
前記第4端末は、周辺音を録音する機能を有し、前記第4端末が録音した周辺音を取得する音取得部を備え、前記期間特定部は、取得された前記周辺音に含まれる前記呼び出し音に基づいて前記期間を特定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザの動作結果に基づく判定が行われる場合に、判定のために行うべき動作をユーザが知らなくても判定が行えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例に係る認知症予防システムの全体構成を表す図
図2】サーバ装置等のハードウェア構成を表す図
図3】認知症予防システムが実現する機能構成を表す図
図4】第1判定テーブルの一例を表す図
図5】第2判定テーブルの一例を表す図
図6】判定結果が表示された統合UIの一例を表す図
図7】記憶された固有情報の一例を表す図
図8】判定処理における各装置の動作手順の一例を表す図
図9】第1在宅判断処理における各装置の動作手順の一例を表す図
図10】第2在宅判断処理における各装置の動作手順の一例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1]実施例
図1は実施例に係る認知症予防システム1の全体構成を表す。認知症予防システム1は、認知症の予防を支援するシステムである。認知症予防システム1は、例えば、認知症を予防する対象となるユーザ(年配の方など。以下「対象ユーザ」という)と、対象ユーザを見守りながら予防に関する活動を支援するユーザ(対象ユーザの家族など。以下「支援ユーザ」という)によって利用される。
【0012】
対象ユーザには、認知症の発症前の者と認知症を発症した者との両方が含まれる。認知症の予防には、認知症の発症を防ぐことだけでなく、発症した認知症の進行を食い止めること及び症状を改善させることも含まれるからである。認知症予防システム1は、ネットワーク2と、固定電話機3と、サーバ装置10と、ホームルータ20と、第1ユーザ端末30と、第2ユーザ端末40とを備える。
【0013】
ネットワーク2は、移動体通信網及びインターネット等を含む通信システムであり、自システムにアクセスする装置同士のデータのやり取りを中継する。ネットワーク2には、サーバ装置10及びホームルータ20が有線通信でアクセスしており、第1ユーザ端末30及び第2ユーザ端末40が無線通信でアクセスしている。なお、ネットワーク2とのアクセスは有線通信及び無線通信のどちらでもよい。
【0014】
サーバ装置10は、認知症予防に関する処理を行う情報処理装置である。ホームルータ20は、ネットワーク2との通信機能と、無線LAN(Local Area Network)の規格に準拠した通信機能と、固定電話回線による通話を中継する機能とを有し、固定電話機3が接続されている。固定電話機3は、人同士の連絡を補助する補助機能である電話機能(音声で連絡を補助する機能)を有する連絡用端末であり、本発明の「第1端末」の一例である。ホームルータ20及び固定電話機3は、どちらも対象ユーザが居住する家の中に設置されているものとする。
【0015】
第1ユーザ端末30は、対象ユーザが利用する端末であり、例えばスマートフォン、スマートフォン以外の携帯電話機、タブレット端末等の情報処理装置である。第1ユーザ端末30は、通信機能及び表示機能等を有していれば何でもよいが、本実施例ではスマートフォンであるものとして説明する。第1ユーザ端末30は、サーバ装置10との通信を、ネットワーク2を介して又はネットワーク2及びホームルータ20を介して行う。第2ユーザ端末40は、支援ユーザが利用する、第1ユーザ端末30と同様の情報処理装置であり、例えばスマートフォンである。
【0016】
図2はサーバ装置10等のハードウェア構成を表す。サーバ装置10等(サーバ装置10、ホームルータ20、第1ユーザ端末30、第2ユーザ端末40)は、いずれも、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、入力装置15と、出力装置16と、バス17という各装置を備えるコンピュータである。なお、ここでいう「装置」という文言は、回路、デバイス及びユニット等に読み替えることができる。また、各装置は、1つ又は複数含まれていてもよいし、一部の装置が含まれていなくてもよい。
【0017】
プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。また、プロセッサ11は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール及びデータ等を、ストレージ13及び/又は通信装置14からメモリ12に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。
【0018】
各種処理を実行するプロセッサ11は1つでもよいし、2以上であってもよく、2以上のプロセッサ11は、同時又は逐次に各種処理を実行してもよい。また、プロセッサ11は、1以上のチップで実装されてもよい。プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0019】
メモリ12は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)及びRAM(Random Access Memory)等の少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ12は、レジスタ、キャッシュ及びメインメモリ(主記憶装置)等と呼ばれてもよい。メモリ12は、前述したプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール及びデータ等を保存することができる。
【0020】
ストレージ13は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ13は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ12及び/又はストレージ13を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0021】
通信装置14は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。入力装置15は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。例えばホームルータ20及び第1ユーザ端末30は、周辺で発生した音(周辺音)を収集するマイクロフォンを入力デバイスとして備えている。また、第1ユーザ端末30は、自装置の加速度又は角速度を測定するセンサを入力デバイスとして備えている。
【0022】
出力装置16は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカ、LEDランプなど)である。例えばホームルータ20は、音を出力するスピーカを出力デバイスとして備えている。なお、入力装置15及び出力装置16は、一体となった構成(例えば、タッチスクリーン)であってもよい。また、プロセッサ11及びメモリ12等の各装置は、情報を通信するためのバス17を介して互いにアクセス可能となっている。バス17は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0023】
また、サーバ装置10等は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、及び、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ11は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0024】
認知症予防システム1が備えるサーバ装置10、ホームルータ20、第1ユーザ端末30及び第2ユーザ端末40には、本システムで提供されるプログラムが記憶されており、各装置のプロセッサがプログラムを実行して各部を制御することで以下に述べる機能群が実現される。
【0025】
図3は認知症予防システム1が実現する機能構成を表す。サーバ装置10は、動作指示部101と、動作情報取得部102と、認知症関連判定部103と、周辺音取得部104と、ユーザ識別部105と、固有情報記憶部106と、音出力指示部107とを備える。ホームルータ20は、音出力部201と、周辺音録音部202と、周辺音送信部203とを備える。第1ユーザ端末30は、動作情報検出部301と、動作情報送信部302とを備える。第2ユーザ端末40は、判定結果要求部401と、判定結果表示部402とを備える。
【0026】
サーバ装置10の動作指示部101は、上述した補助機能(人同士の連絡を補助する機能)を有する端末のその補助機能を用いて対象ユーザに動作を指示する。動作指示部101は本発明の「動作指示部」の一例である。
【0027】
動作指示部101は、例えば動作の指示を示す指示音声を電話機能(補助機能の一例)で出力可能なフォーマットで示す指示情報を予め記憶しておき、その指示情報を、電話機能を有する固定電話機3に出力する。出力のタイミングは何通りかあるので、後ほど詳しく説明する。固定電話機3は、出力されてきた指示情報が示す動作の指示音声を出力(放音)する。動作指示部101はこのように指示情報を出力することで動作の指示を行う。
【0028】
サーバ装置10は、認知症予防システム1において登録された対象ユーザに割り当てられたユーザID(以下「登録ID」という)と、その対象ユーザに対応付けて登録された出力先の情報(本実施例では固定電話機3の電話番号)とを対応付けて記憶している。動作指示部101は、それらの登録された出力先に対して指示情報を出力する。対象ユーザ及び出力先の登録は例えば支援ユーザ又は対象ユーザ等によって行われる。
【0029】
動作指示部101は、本実施例では、所定の間隔で手拍子を行う第1動作と、所定の歌を歌わせる第2動作と、所定の回数だけ第1ユーザ端末30を振る第3動作のうちのいずれかの動作を指示する。第1動作が指示された場合、例えば「1秒間隔で10回手拍子をしてください」という指示音声が出力される。対象ユーザがこの指示に従い第1動作を行うと、手拍子の音が発せられることになる。
【0030】
また、第2動作が指示された場合、例えば「『春が来た』を歌ってください」という指示音声が出力される。対象ユーザがこの指示に従い第2動作を行うと、「春が来た」の歌唱音声が発せられることになる。また、第3動作が指示された場合、例えば「スマートフォンを1秒間隔で10回振ってください」という指示音声が出力される。対象ユーザがこの指示に従い第3動作を行うと、スマートフォンである第1ユーザ端末30が振られることになる。
【0031】
第1ユーザ端末30の動作情報検出部301は、人の動作を示す動作情報を検出する機能である。第1ユーザ端末30は、このように動作情報を検出する検出用端末であり、本発明の「第2端末」の一例である。例えば対象ユーザが第1動作を行った場合、動作情報検出部301は、所定の間隔で発せられる手拍子の音をマイクロフォンで収集し、その音を示す情報を動作情報として検出する。また、対象ユーザが第2動作を行った場合、動作情報検出部301は、対象ユーザの歌唱音声をマイクロフォンで収集し、その歌唱音声を示す情報を動作情報として検出する。
【0032】
また、対象ユーザが第3動作を行った場合、動作情報検出部301は、自装置の加速度又は角速度をセンサで検知し、その検知結果を示す情報を動作情報として検出する。例えば対象ユーザが第3動作としてスマートフォンを10回振る動作を行った場合、加速方向又は角速度の方向が19回反対向きに切り替わる検知結果を示す情報が動作情報として検出される。
【0033】
本実施例では、第1ユーザ端末30が常に上記プログラムを実行しており、動作情報検出部301が常に実現されているものとする。そのため、動作情報検出部301は、上記動作がいつ行われても動作情報を検出する。なお、それに限らず、例えば対象ユーザが所定の操作を行った場合に動作情報検出部301が実現されて動作情報が検出されるようにしてもよい。
【0034】
また、動作情報の検出開始をサーバ装置10の動作指示部101が指示してもよい。その場合、動作指示部101は、指示情報を固定電話機3に出力するとともに、動作情報の検出開始を指示する指示情報を第1ユーザ端末30に出力する。第1ユーザ端末30は、この指示を受け取ったときに上記プログラムを実行していなければそのプログラムを実行して動作情報検出部301を実現し、動作情報の検出を開始する。
【0035】
動作情報検出部301は、検出した動作情報を動作情報送信部302に供給する。動作情報送信部302は、供給されてきた動作情報をサーバ装置10に送信する。動作情報送信部302は、自装置を利用する対象ユーザの登録IDを記憶しており、動作情報と共に登録IDも送信する。
【0036】
サーバ装置10の動作情報取得部102は、動作情報検出部301を備える第1ユーザ端末30から送信されてきた動作情報及び登録IDを、その登録IDが示す対象ユーザ、すなわち動作指示部101からの指示を受けて動作を行った対象ユーザについての動作情報として取得する。動作情報取得部102は本発明の「動作取得部」の一例である。
【0037】
動作情報取得部102は、取得した動作情報及び登録IDを認知症関連判定部103に供給する。認知症関連判定部103には、動作指示部101からも、対象ユーザへの動作の指示内容と、対象ユーザの登録IDとが供給される。認知症関連判定部103は、動作指示部101による動作の指示の内容と、動作情報取得部102により取得された動作情報とを比較して、対象ユーザについての認知症に関連する判定を行う。
【0038】
認知症関連判定部103は、本実施例では、対象ユーザの認知症に関連する症状の状況について判定する。「認知症に関連する症状」としてあるのは、認知症の発症者に見られる症状だけでなく、認知症が発症していない者に現れる認知症の予兆とみられる症状も含むからである。この認知症に関連する判定は本発明の「ユーザに関する判定」の一例であり、認知症関連判定部103は本発明の「判定部」の一例である。
【0039】
認知症関連判定部103は、具体的には、指示された動作と動作情報が示す動作の結果との差分に基づいて上記判定を行う。認知症関連判定部103は、第1動作(所定の間隔での手拍子)が行われた場合であれば、対象ユーザによって行われた手拍子の間隔と所定の間隔との差分を合計した時間に応じて判定を行う。認知症関連判定部103は、例えば差分の合計時間と症状の状況とを次のように対応付けた第1判定テーブルを記憶しておき、それを用いて判定を行う。
【0040】
図4は第1判定テーブルの例を表す。図4(a)の第1判定テーブルでは、「T1未満」、「T1以上T2未満」及び「T2以上」(T1<T2)という差分の合計時間に、「なし」、「軽微」及び「要注意」という症状の度合い(症状の状況の一例)が対応付けられている。認知症関連判定部103は、指示の内容と動作情報とを比較して差分の合計時間を算出し、算出した合計時間に第1判定テーブルで対応付けられている症状の度合いを、対象ユーザの症状の度合いとして判定する。
【0041】
認知症関連判定部103は、第2動作(所定の歌の歌唱)が行われた場合であれば、例えばカラオケの採点技術を用いて、対象ユーザの歌唱音声の音高及び歌唱タイミングと所定の歌の音高及び歌唱すべきタイミングとのずれの大きさを示す値の合計値(「歌唱ずれ値」という)に応じて判定を行う。認知症関連判定部103は、例えば歌唱ずれ値と症状の状況とを次のように対応付けた第2判定テーブルを記憶しておき、それを用いて判定を行う。
【0042】
図5は第2判定テーブルの例を表す。図5(a)の第2判定テーブルでは、「C1未満」、「C1以上C2未満」及び「C2以上」(C1<C2)という歌唱ずれ値に、「なし」、「軽微」及び「要注意」という症状の度合いが対応付けられている。認知症関連判定部103は、指示の内容と動作情報とを比較して歌唱ずれ値を算出し、算出した歌唱ずれ値に第2判定テーブルで対応付けられている症状の度合いを、対象ユーザの症状の度合いとして判定する。
【0043】
認知症関連判定部103は、第3動作(スマートフォンを所定の間隔で振る動作)が行われた場合であれば、対象ユーザがスマートフォンを振った間隔と所定の間隔との差分を合計した時間に応じて判定を行う。認知症関連判定部103は、例えば図4(a)に表す第1判定テーブルを用いて、第1動作と同様に対象ユーザの症状の度合いを判定する。
【0044】
なお、認知症関連判定部103は、供給された動作の指示の内容及び動作情報を供給された日時情報とともに記憶しておき、過去の比較結果にも基づいて判定を行ってもよい。例えば第1動作が行われた場合であれば、認知症関連判定部103は、過去の所定の期間(例えば1年間)に行われた手拍子の間隔と所定の間隔との差分を合計した時間の平均値を算出し、算出した平均値及び新たに行われた第1動作による差分の合計時間の関係と、症状の進み具合(症状の状況の一例)とを対応付けた判定テーブルを用いて判定を行う。
【0045】
例えば図4(b)の第1判定テーブルでは、「平均値×0.95未満」、「平均値×0.95以上且つ平均値×1.05未満」及び「平均値×1.05以上」という新たな差分の合計時間と平均値との関係に、「改善傾向」、「変動なし」及び「悪化傾向」という症状の進み具合が対応付けられている。認知症関連判定部103は、第1動作が行われた場合にこの第1判定テーブルを用いて対象ユーザの症状の進み具合を判定する(例えば新たな差分の合計時間が平均値より10%少なければ、「平均値×0.95未満」に対応付けられている「改善傾向」と判定する)。また、認知症関連判定部103は、第3動作が行われた場合にも、この第1判定テーブルを用いて対象ユーザの症状の進み具合を判定する。
【0046】
図5(b)の第2判定テーブルでは「平均値×0.95未満」、「平均値×0.95以上且つ平均値×1.05未満」及び「平均値×1.05以上」という新たな歌唱ずれ値と平均値との関係に、「改善傾向」、「変動なし」及び「悪化傾向」という症状の進み具合が対応付けられている。認知症関連判定部103は、第2動作が行われた場合には、この第2判定テーブルを用いて対象ユーザの症状の進み具合を判定する。なお、図4図5の例で平均値に乗じた値(0.95及び1.05)は一例であり、この値を変更したり、平均値に所定の値を加減算したりして、各症状の進み具合の出やすさを変化させてもよい。
【0047】
同様に、認知症関連判定部103は、第2動作及び第3動作の過去の比較結果にも基づいて判定を行う。認知症関連判定部103は、以上のとおり行った判定の結果を対象ユーザの登録IDに対応付けて記憶しておき、例えば第2ユーザ端末40から要求された場合に第2ユーザ端末40に送信する。
【0048】
第2ユーザ端末40の判定結果要求部401は、対象ユーザについての認知症に関する判定をサーバ装置10に対して要求する。判定結果要求部401は、支援ユーザが自装置に対して判定を要求するための定められた操作を行った場合に、例えば対象ユーザの登録IDと判定を要求する旨とを示す要求データをサーバ装置10に送信することでこの要求を行う。
【0049】
サーバ装置10の認知症関連判定部103は、要求データを受け取ると、要求データが示す登録IDに対応付けて記憶している判定結果を要求元の端末(この例では第2ユーザ端末40)に送信する。第2ユーザ端末40の判定結果表示部402は、対象ユーザについて認知症関連判定部103が判定した結果を表示する。判定結果表示部402は、例えば、認知症予防システム1に関する情報を提供する統合UI(User Interface)に判定結果を表示する。
【0050】
図6は判定結果が表示された統合UIの一例を表す。判定結果表示部402は、認知症予防システム画面に、支援ユーザである「Bさん」の人物画像G1と、対象ユーザである「Aさん」の判定を行ったサーバ装置10を擬人化した人物画像G2とを表示している。また、判定結果表示部402は、人物画像G1が話す「Aさんの症状の度合いを教えて。」というセリフを含む吹き出し画像F1を表示している。
【0051】
判定結果表示部402は、支援ユーザが上記の要求操作を行った場合に吹き出し画像F1を表示する。また、判定結果表示部402は、人物画像G2が話す「Aさんの症状の度合いをお知らせします。」というセリフを表す吹き出し画像F2と、「本日のAさんの動作から、症状はないと判定しました。」というセリフを表す吹き出し画像F3とを表示している。
【0052】
なお、過去の比較結果にも基づいた判定が行われた場合、判定結果表示部402は、最新の動作情報に基づく比較結果をスコア(例えば第1動作であれば手拍子の間隔と所定の間隔との差分の合計時間が小さいほど高くなるスコア)として表示し、それに加えて判定結果を表示してもよい。判定結果表示部402は、例えば「本日のAさんの動作は80点でした。過去1年間の動作から、改善傾向にあると判定しました。」等のセリフを表す吹き出し画像を表示する。
【0053】
このようにして支援ユーザに対象ユーザの判定結果が伝えられることで、支援ユーザによる認知症予防の判断を支援することができる。例えば「要注意」又は「悪化傾向」が何回も続くようなら、支援ユーザは対象ユーザに対して病院で検査を受けるよう指示することができる。また、例えば対象ユーザが認知症予防の活動を行っていて且つ「なし」又は「改善傾向」が続くようなら、その活動が効果を奏しているからそのまま続けるよう指示することができる。
【0054】
例えば固定電話機3が設置された家に対象ユーザ以外の者が住んでいる場合、固定電話機3の呼び出し音が鳴ったときに対象ユーザが電話に出るとは限らない。以下では対象ユーザに電話に出てもらうため、対象ユーザの音声の特徴量と、対象ユーザに特有の生活音という、対象ユーザの固有情報を記憶する機能について説明する。生活音とは、足音、ドアの開閉音及びスイッチの操作音等の日常生活で人の動作に基づいて発生する音のことである。
【0055】
ホームルータ20の音出力部201は、自装置のスピーカから音を出力する機能であり、例えばサーバ装置10から指示された音を出力する。また、ホームルータ20の周辺音録音部202は、自装置のマイクロフォンが収集する周辺の音(周辺音)を録音する機能である。ホームルータ20は、このように音を出力する機能と周辺音を録音する機能とを有する音処理用の端末であり、本発明の「第3端末」の一例である。
【0056】
周辺音録音部202は、周辺音を録音すると、録音した周辺音を示す周辺音データを周辺音送信部203に供給する。周辺音送信部203は、供給された周辺音データをサーバ装置10に送信する。サーバ装置10の周辺音取得部104は、送信されてきた周辺音データを受け取ることで、ホームルータ20が録音した周辺音を取得する。周辺音取得部104は本発明の「音取得部」の一例である。周辺音取得部104は、受け取った周辺音データをユーザ識別部105に供給する。
【0057】
ユーザ識別部105は、周辺音取得部104により取得された周辺音に人の声(音声)が含まれていれば、その音声からユーザを識別する。ユーザ識別部105は本発明の「識別部」の一例である。ユーザ識別部105は、例えば、周辺音から人の音声の周波数帯域の音を人の音声として抽出し、それ以外の周波数帯域の音を生活音(足音等)として抽出する。
【0058】
なお、ユーザ識別部105は、例えば生活音のパターン音を記憶しておき、人の音声の周波数帯域の音に含まれているパターン音に類似する音も生活音として抽出し、その生活音を除いた音を人の音声として抽出してもよい。ユーザ識別部105は、抽出した音声の周波数帯域の音から、例えば周知の音声認識で用いられる特徴量をさらに抽出し、抽出した特徴量の共通する(特徴量の類似度が閾値以上となる)ユーザを同一ユーザとして識別する。
【0059】
ユーザ識別部105は、抽出した音声から新たなユーザを識別した場合、その音声を発したユーザを識別するため、上記の登録IDとは異なるユーザIDである識別IDを発行する。また、ユーザ識別部105は、抽出した音声が既に識別IDを発行したユーザの音声と同一だと識別した場合、その音声を発したユーザにもその発行済みの識別IDを割り当てる。
【0060】
ユーザ識別部105は、以上のとおり周辺音に含まれる音声からユーザの識別を行うと、そのユーザについて発行した識別IDと、その音声から抽出した特徴量と、その音声と共に抽出した生活音(詳細には生活音を示す音データ)とを固有情報記憶部106に供給する。
【0061】
固有情報記憶部106は、供給されたこれらの情報を互いに対応付けて記憶することで、周辺音取得部104により取得された周辺音に含まれる特定の生活音と、その周辺音からユーザ識別部105により識別されたユーザとを対応付けて記憶する。固有情報記憶部106は本発明の「記憶部」の一例である。
【0062】
図7は記憶された固有情報の一例を表す。図7(a)の例では、固有情報記憶部106は、識別IDと、特徴量と、生活音と、登録IDとを対応付けて記憶している。例えば「ID001」という識別IDには、「特徴量1−1」及び「特徴量1−2」等と、「生活音1−1」及び「生活音1−2」等が対応付けられており、「ID002」という識別IDには、「特徴量2−1」等と、「生活音2−1」等が対応付けられている。
【0063】
「特徴量1−1」及び「特徴量1−2」等のように、同じ識別IDに対応付けられている特徴量は、ユーザ識別部105により共通する特徴量と判断された特徴量であることを表している。「生活音1−1」、「生活音1−2」及び「生活音2−1」等はそれぞれが特定の生活音の一例である。この時点では登録IDはいずれも「該当なし」となっている。
【0064】
サーバ装置10の音出力指示部107は、ユーザの発話を促す音をホームルータ20に出力させる指示を行う。音出力指示部107は本発明の「出力指示部」の一例である。ユーザの発話を促す音とは、例えば「近くにAさんはいますか?」というように対象ユーザがホームルータ20の近くにいるか否かを問い合わせる在宅確認の音声である。上述したようにホームルータ20は対象ユーザが居住する家に設置されているので、ホームルータ20が出力する音は対象ユーザが在宅していれば聞こえるものとする。
【0065】
音出力指示部107は、対象ユーザ毎に上記のとおり登録された出力先に対して、設定されたタイミング(例えば毎日の決まった時刻等)で音の出力を指示する。出力のタイミングの設定は、例えば支援ユーザ又は対象ユーザ等によって行われる。音出力指示部107は、この音をホームルータ20で出力(放音)可能なフォーマットで示す音データ(例えばサーバ装置10に予め記憶されている)とともにその音の出力を指示する指示データをホームルータ20に送信することでこの指示を行う。
【0066】
ホームルータ20の音出力部201は、送信されてきた音データ及び指示データを受け取ると、指示データが示す指示に従い、音データが示す音を出力(放音)する。音出力部201は、そうしてユーザの発話を促す音を出力すると、その旨を周辺音録音部202に通知する。周辺音録音部202は、この通知を受け取ると、周辺音の録音を一定期間行う。
【0067】
周辺音取得部104は、この一定期間に録音された周辺音、すなわち発話を促す音の出力後に録音された周辺音を取得し、ユーザ識別部105は、そうして取得された周辺音に含まれる人の声からユーザの識別を行う。これにより、ホームルータ20が常時録音していなくても、ホームルータ20の近くにいるユーザを識別することができる。
【0068】
また、ホームルータ20が常時録音する場合に比べて、ホームルータ20及びサーバ装置10の間の通信の負荷を小さくすることができ、サーバ装置10によるユーザ識別の処理の負荷も小さくすることができる。また、ユーザの音声が周辺音に含まれていなければユーザの識別が行えないが、発話を促す音を出力することで、この音が出力されない場合に比べて、ユーザの音声が周辺音に含まれやすくなり、ユーザの識別が行われやすいようにすることができる。
【0069】
音出力指示部107は、在宅確認の音声の出力を指示すると、対象ユーザの登録IDと、その対象ユーザに対応付けられた出力先に在宅確認の音声の出力を指示したことをユーザ識別部105に通知する。音出力部201から出力された在宅確認の音声を対象ユーザが聞いた場合は「はい」等の問い合わせを肯定する回答が周辺音録音部202により録音され、その音声を対象ユーザ以外の者が聞いた場合は「いいえ」等の問い合わせを否定する回答が周辺音録音部202により録音される。
【0070】
ユーザ識別部105は、音出力指示部107からの上記通知を受け取った後に周辺音が供給されると、例えば周知の音声認識技術を用いて、供給された周辺音に含まれる人の音声を認識する。ユーザ識別部105は、問い合わせを肯定する回答を認識した場合、識別ID、特徴量及び生活音と共に、通知された登録IDを固有情報記憶部106に供給し、動作指示部101に在宅確認の音声に対して対象ユーザが回答した旨を通知する。
【0071】
動作指示部101は、ユーザ識別部105からの通知を受け取ると、通知された対象ユーザに上述したように動作の指示を行う。固有情報記憶部106は、ユーザ識別部105から登録IDが供給されると、共に供給された識別IDに対応付けてその登録IDを記憶する(図7(b)の例では、「ID001」という識別IDに「UserA」という登録IDを対応付けて記憶している)。
【0072】
ユーザ識別部105は、人の音声が認識されない又は問い合わせを否定する回答を認識した場合は、識別ID、特徴量及び生活音だけを固有情報記憶部106に供給する。従ってこの場合は識別IDと登録IDの対応付けが行われない。また、この場合、ユーザ識別部105は動作指示部101への通知を行わない。そのため、動作指示部101による動作の指示も行われない。
【0073】
なお、周辺音から人の音声が認識されなくても、周辺音に生活音が含まれていて、且つ、固有情報記憶部106に図7(b)の例のように識別ID、生活音及び登録IDが記憶されている場合には、動作指示部101は、その生活音に基づいて動作の指示を行うタイミングを判断してもよい。
【0074】
具体的には、動作指示部101は、対象ユーザに対応付けて固有情報記憶部106に記憶された特定の生活音に類似する生活音が取得された場合に、対象ユーザに対する動作指示を行う。その場合、ユーザ識別部105は、上記のとおり周辺音から抽出した生活音を、ホームルータ20に対応付けられている対象ユーザのユーザID(登録ID)と共に動作指示部101に供給する。
【0075】
動作指示部101は、ユーザ識別部105から供給された登録IDに対応付けて固有情報記憶部106に記憶されている特定の生活音(図7(b)の例であれば「UserA」に対応付けられている「生活音1−1」及び「生活音1−2」等)を読み出す。動作指示部101は、例えば周知の音声のマッチング技術を用いて、読み出した特定の生活音とユーザ識別部105から供給された生活音との類似度をそれぞれ算出する。
【0076】
動作指示部101は、例えば特定の生活音のうちのいずれかについて算出した類似度が閾値以上である場合、対象ユーザがその生活音を発生させた、すなわち対象ユーザが在宅していると判断して、その対象ユーザに対する動作指示(固定電話機3への指示情報の出力等)を行う。
【0077】
これにより、対象ユーザが発話しなくても、対象ユーザが連絡用端末を利用可能な場所(例えば家の中)にいることが見込まれるときに動作指示を行うことができる。また、対象ユーザが発生させる生活音と類似する場合のみ動作指示を行うので、それ以外の者に対しては、偶然生活音が似ていて類似すると判断される場合を除き、動作指示が行われないようにすることができる。
【0078】
なお、生活音同士の類似の判断方法はこれに限らない。動作指示部101は、例えば記憶されている複数の生活音のうち所定の割合の生活音との類似度が閾値以上である場合に、供給された生活音が類似すると判断してもよい。また、動作指示部101は、例えば記憶されている生活音を予め生活音の種類(足音、ドアの開閉音、スイッチの操作音等)毎にグループ分けして、同じグループの生活音のうち所定の割合の生活音との類似度が閾値以上となるグループが存在する場合に、供給された生活音が類似すると判断してもよい。
【0079】
認知症予防システム1が備える各装置は、上記の構成に基づいて、対象ユーザの認知症に関連する判定処理と、対象ユーザの在宅の有無の判断を音声で行う第1在宅判断処理と、その判断を生活音で行う第2在宅判断処理とを行う。
図8は判定処理における各装置の動作手順の一例を表す。この動作手順は、対象ユーザへの動作指示のタイミングが訪れたことを契機に開始される。
【0080】
まず、サーバ装置10(動作指示部101)は、動作の指示を音声で示す指示情報を読み出し(ステップS11)、この例では固定電話機3に対して出力する(ステップS12)。固定電話機3は、出力されてきた指示情報が示す指示音声を出力する(ステップS13)。この指示音声を聞いた対象ユーザが指示された動作を行うと、第1ユーザ端末30(動作情報検出部301)は、人の動作を示す動作情報を検出する(ステップS21)。
【0081】
次に、第1ユーザ端末30(動作情報送信部302)は、検出した動作情報をサーバ装置10に送信する(ステップS22)。サーバ装置10(動作情報取得部102)は、送信されてきた対象ユーザについての動作情報を取得する(ステップS23)。そして、サーバ装置10(認知症関連判定部103)は、動作の指示の内容と、取得された動作情報とを比較して、対象ユーザについての認知症に関連する判定を行う(ステップS24)。
【0082】
図9は第1在宅判断処理における各装置の動作手順の一例を表す。この動作手順は、発話を促す音の出力タイミングとして設定された時刻になることを契機に開始される。まず、サーバ装置10(音出力指示部107)は、ユーザの発話を促す音を示す音データを読み出して(ステップS31)、読み出した音データが示す音をホームルータ20に出力させる指示を示す指示データをホームルータ20に送信する(ステップS32)。
【0083】
ホームルータ20(音出力部201)は、送信されてきた指示データの指示に従い発話を促す音を出力する(ステップS33)。次に、ホームルータ20(周辺音録音部202)は、周辺音の録音を一定期間行う(ステップS34)。続いて、ホームルータ20(周辺音送信部203)は、録音した周辺音を示す周辺音データをサーバ装置10に送信する(ステップS35)。
【0084】
サーバ装置10(周辺音取得部104)は、送信されてきた周辺音データが示す周辺音を取得する(ステップS36)。次に、サーバ装置10(ユーザ識別部105)は、取得された周辺音から音声及び生活音を抽出し(ステップS41)、抽出した音声からユーザを識別する(ステップS42)。続いて、サーバ装置10(固有情報記憶部106)は、抽出された生活音と、識別されたユーザとを対応付けて、固有情報として記憶する(ステップS43)。
【0085】
次に、サーバ装置10(ユーザ識別部105)は、抽出した音声を認識し(ステップS44)、対象ユーザが在宅しているか否かを判断する(ステップS45)。サーバ装置10がステップS45で対象ユーザが在宅していると判断すると、以降は図8に表す判定処理における動作手順が行われる。
【0086】
図10は第2在宅判断処理における各装置の動作手順の一例を表す。この動作手順は、ステップS31(音データの読み出し)からS36(周辺音の取得)までは図9に表す第2在宅判断処理と同じ動作手順が行われる。次に、サーバ装置10(ユーザ識別部105)は、取得された周辺音から生活音を抽出する(ステップS51)。続いて、サーバ装置10(動作指示部101)は、図9のステップS43で記憶された生活音と抽出された生活音との類似度を算出する(ステップS52)。
【0087】
そして、サーバ装置10(動作指示部101)は、算出した類似度に基づいて、これらの生活音が類似しているか否かを判断する(ステップS53)。サーバ装置10がステップS53で類似していると判断すると、対象ユーザが在宅しているとみなし、以降は図8に表す判定処理における動作手順が行われる。
【0088】
本実施例では、サーバ装置10から指示された動作を対象ユーザが行い、対象ユーザが行った動作と指示された動作との比較による判定、すなわち対象ユーザの動作結果に基づく判定が行われる。この判定の際には、必ず動作の指示が行われるので、判定のために行うべき動作を対象ユーザが知らなくても判定が行えるようにすることができる。
【0089】
また、この動作の指示が、電話機能という人同士の連絡を補助する機能を用いて行われるので、それらの機能を普段から利用している者であれば、特別な操作を覚えなくても動作の指示を受け取ることができる。また、本実施例では、動作の指示に用いる連絡用端末(本実施例では固定電話機3)と、動作情報を検出する検出用端末(本実施例では第1ユーザ端末30)が別々の端末である。
【0090】
仮に動作の指示と動作情報の検出とが同じ端末で行われるとしたら、例えば上記の第3動作のように端末を振るという動作が指示された場合に、動作情報の検出中は動作の指示を聞くことができないといった制限が生じることになる。本実施例では、別々の端末を用いることで、例えば連絡用端末から指示を聞きながら検出用端末を振る動作を行うというように、そのような制限を受けることなく動作の指示と動作情報の検出とを行うことができる。
【0091】
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。
【0092】
[2−1]連絡用端末(第1端末)
実施例では、固定電話機3が補助機能(人同士の連絡を補助する機能)を有する連絡用端末(本発明の第1端末)の一例であったが、これに限らない。例えば第1ユーザ端末30も電話機能を有するので、固定電話機3の代わりに又は共に連絡用端末として用いられてもよい。また、第1ユーザ端末30が電子メール機能又はSNS(Social Networking Service)機能を有する場合、これらも補助機能とし利用できるので、動作の指示にこれらの機能が用いられてもよい。
【0093】
その場合、動作指示部101は、動作の指示をテキストで示す指示情報を予め記憶しておき、その指示情報を対象ユーザの電子メールのアドレス又はSNSのアカウントに対して出力する。対象ユーザは、第1ユーザ端末30に表示された指示を見て動作を行う。このように、人同士の連絡を補助する機能を有する端末であれば、どのような端末が連絡用端末として用いられてもよい。
【0094】
[2−2]検出用端末(第2端末)
実施例では、第1ユーザ端末30が動作情報を検出する機能を有する検出用端末(本発明の第2端末)の一例であったが、これに限らない。例えばホームルータ20も周辺音録音部202により対象ユーザの手拍子の音又は歌唱を動作情報として取得することができるので、検出用端末として用いられてもよい。
【0095】
[2−3]動作情報
動作情報は、実施例で述べたもの(手拍子の音を示す情報、歌唱音声を示す情報、加速度又は角速度を示す情報)に限らない。例えば所定の場所に行って帰ってくるという動作の指示が行われた場合であれば、動作情報検出部301は、自装置の位置情報を動作情報として検出する。
【0096】
また、所定の質問に回答するという動作の指示が行われた場合であれば、動作情報検出部301は、対象ユーザの回答音声を示す情報を動作情報として検出する。この質問としては、日付、曜日及び時刻等を問う質問の他、漢字、歴史、地理及び算数等の知識を問う質問、登録された対象ユーザの属性情報(生年月日、出身地及び出身校等)を問う質問などが用いられる。
【0097】
また、所定の料理を作るという動作の指示が行われた場合であれば、動作情報検出部301は、料理の音を示す情報又は料理を撮影した画像を動作情報として検出する。また、電車等の交通機関を利用して所定の場所に移動する動作の指示が行われた場合であれば、動作情報検出部301は、交通機関の料金を電子マネーで支払ったときの履歴を動作情報として検出する。このように、検出用端末が検出可能な情報であれば、どのような情報が動作情報として検出されてもよい。
【0098】
[2−4]音処理用の端末(第3端末)
実施例では、ホームルータ20が音処理用の端末(本発明の第3端末)の一例であったが、これに限らない。例えば第1ユーザ端末30も周辺音の録音及び音の出力が可能なので、ホームルータ20の代わりに又は共に音処理用の端末として用いられてもよい。また、テレビ、ゲーム機又はIoT家電製品等が音処理用の端末として用いられてもよい。要するに、録音機能、音の出力機能及び通信機能を有する端末であれば、どのような端末が音処理用の端末として用いられてもよい。
【0099】
[2−5]呼び出し期間
動作の指示に固定電話機3が用いられる場合、対象ユーザが電話に出るまでの期間が判定に用いられてもよい。固定電話機3は、人同士の連絡を開始させる際に呼び出し音を鳴らす機能を有する。サーバ装置10の動作指示部101が動作の指示を行う際は、まず固定電話機3の電話番号に電話をかけて呼び出し音を鳴らさせる。呼び出し音が鳴ってから対象ユーザが受話器を取るまでの期間を呼び出し期間とし、この呼び出し期間が短いほど対象ユーザの行動が素早かったことになる。
【0100】
本変形例では、ホームルータ20が固定電話機3から所定の距離離れた位置に設置されており、支援ユーザ又は対象ユーザによってその端末間の距離が認知症予防システム1に登録されているものとする。本変形例のホームルータ20は本発明の「第4端末」の一例である。なお、ホームルータ20は、実施例では本発明の「第3端末」の一例でもあった。本発明では、このホームルータ20のように同一の端末が「第3端末」及び「第4端末」として用いられてもよいし、別々の端末が「第3端末」及び「第4端末」として用いられても(例えばホームルータ20の他に「第4端末」として機能する専用の端末を設けても)よい。登録された端末間の距離は、例えばサーバ装置10の認知症関連判定部103が記憶する。
【0101】
本変形例では、ホームルータ20の周辺音録音部202が常時周辺音の録音を行って、周辺音取得部104が周辺音を継続的に取得する。周辺音取得部104は本発明の「音取得部」の一例である。ユーザ識別部105はそうして取得された周辺音から、音声が含まれている場合にはその音声の特徴量を抽出し、音声が含まれていない場合には生活音を抽出して、抽出したそれらの情報を動作指示部101に供給する。
【0102】
動作指示部101は、ユーザ識別部105から供給された情報(音声の特徴量又は生活音)に基づいて、対象ユーザのホームルータ20への接近を検知する。本変形例の動作指示部101は本発明の「検知部」の一例である。動作指示部101は、音声の特徴量が供給された場合は、固有情報記憶部106に対象ユーザの登録IDに対応付けて記憶されている特徴量と比較し、類似度が閾値以上であれば対象ユーザがホームルータ20に接近したことを検知する。
【0103】
また、動作指示部101は、生活音が供給された場合は、実施例と同様に対象ユーザがその生活音を発生させたと判断した場合に、対象ユーザがホームルータ20に接近したことを検知する。動作指示部101は、この接近を検知すると、固定電話機3の電話番号に電話をかけることで、固定電話機3の呼び出し音を鳴らす呼び出し指示を行う。この場合の動作指示部101は本発明の「呼出指示部」の一例である。
【0104】
固定電話機3は、呼び出し指示を受け取ると呼び出し音を鳴らす。ホームルータ20の近くに来ていた対象ユーザは、この呼び出し音を聞くと、さらに固定電話機3のところまで移動して受話器を取る。この後、動作指示部101は実施例のように動作の指示を行う。呼び出し音が鳴ってから受話器が取られるまでの間は、ホームルータ20の周辺音録音部202が呼び出し音を含む周辺音を録音するので、周辺音取得部104がその呼び出し音を含む周辺音を取得する。
【0105】
本変形例では、動作指示部101は、呼び出し指示を行うとその旨を周辺音取得部104に通知する。周辺音取得部104は、その通知を受け取ると、その後に取得した周辺音を認知症関連判定部103に供給する。認知症関連判定部103は、供給された周辺音に含まれる呼び出し音に基づいて、固定電話機3の呼び出し音が鳴っている期間を特定する。本変形例の認知症関連判定部103は本発明の「期間特定部」の一例でもある。
【0106】
認知症関連判定部103は、例えば呼び出し音のパターン音を記憶しておき、供給された周辺音にそのパターン音に一致する音が含まれている期間を、呼び出し音期間(呼び出し音が鳴っている期間)として特定する。上記の例では、固定電話機3の呼び出し音をホームルータ20が録音することで呼び出し期間が特定されている。これにより、連絡用端末である固定電話機3に特別な機能(例えば呼び出し音を鳴らしていることを外部装置に通知する機能等)がなくても、呼び出し期間を特定することができる。
【0107】
なお、期間の特定方法はこれに限らない。例えば、固定電話機3がIP(Internet Protocol)電話であり、ホームルータ20を介して信号のやり取りが行われる場合、ホームルータ20が中継する信号を監視して、固定電話機3の呼び出し音が鳴っていることを表す信号を抽出してサーバ装置10に送信してもよい。また、第1ユーザ端末30が連絡用端末として用いられた場合、第1ユーザ端末30自身が呼び出し音を鳴らしている期間を記憶しておき、鳴らし終わったらその期間を示す期間情報をサーバ装置10に送信することで呼び出し期間が特定されてもよい。
【0108】
認知症関連判定部103は、こうして特定した呼び出し期間と前述したように記憶しておいた端末間の距離とが表す対象ユーザの移動速度に基づく判定を行う。認知症関連判定部103は、例えば呼び出し指示が行われる度に呼び出し期間及び端末間の距離から対象ユーザの移動速度を算出して記憶しておき、記憶した移動速度の所定の期間毎(例えば1カ月毎)の平均値を算出する。
【0109】
認知症関連判定部103は、例えば前月よりも平均値が一定の割合よりも上がった場合は認知症に関する症状の進み具合が「改善傾向」にあると判定し、一定の割合よりも下がった場合はその進み具合が「悪化傾向」にあると判定し、上下が一定の割合に収まっている場合はその進み具合が「変動なし」であると判定する。
【0110】
なお、移動速度に基づく判定方法はこれに限らない。認知症関連判定部103は、例えば指示の内容と動作情報とを比較して行う判定結果を、移動速度に基づいて補正したもの(例えば移動速度が遅いほど判定結果を悪く補正する)を統合的な判定結果としてもよい。また、認知症関連判定部103は、移動速度に加えて呼び出しを行った日を記憶しておき、過去の所定の数の移動速度の変化傾向を示す一次近似式を算出し、その傾きが正であれば「改善傾向」、負であれば「悪化傾向」と判定してもよい。
【0111】
なお、対象ユーザのホームルータ20への接近の検知、呼び出し指示、呼び出し期間の特定及び対象ユーザの移動速度に基づく判定は、上記とは異なる機能が行ってもよい。例えば接近の検知を動作指示部101ではなく周辺音取得部104又はユーザ識別部105が行ってもよい。また、図3に表す各部ではない新たな機能を設けて、その機能がそれらの動作を行ってもよい。
【0112】
実施例のように動作の指示が行われた場合、対象ユーザは、指示された動作を忠実に行うよう意識して動作に臨むことになる。一方、呼び出し音が鳴ってから受話器を取るという日常的な動作の場合、指示された動作に比べてそのような意識が生じにくく、いわば自然な動作が行われることになる。本変形例では、そのように対象ユーザの自然な動作に基づいて判定を行うことができる。
【0113】
[2−6]動作情報の確認
検出用端末は、対象ユーザの動作を示す動作情報を検出するが、対象ユーザ以外の者が動作の指示を聞いてしまい、その者が行った動作を示す動作情報が検出されることも起こり得る。その場合を想定し、検出された動作情報が対象ユーザの行った動作を示すか否かを確認してもよい。
【0114】
本変形例では、動作情報取得部102が動作情報及び登録IDを取得すると、それらを動作指示部101に供給する。動作指示部101は、供給された登録IDに対応付けられている出力先(例えば固定電話機3)に対して先に出力した指示情報が示す指示を、供給された動作情報が示す動作の指示であると判断する。
【0115】
動作指示部101は、その登録IDが示す対象ユーザに、その指示に基づいて動作を行ったか否かを問い合わせる音声(例えば「Aさん、さきほど手拍子を10回行いましたか?」という音声)を示す問合せ情報を生成して出力する。このようにして、動作指示部101は、動作情報取得部102により取得された動作情報が示す動作を行ったか否かを対象ユーザに問い合わせる。動作指示部101は本発明の「問合せ部」の一例である。
【0116】
固定電話機3は、出力されてきた問合せ情報が示す音声を出力する。この音声を聞いたのが対象ユーザであれば、「ええ、しましたよ」等の肯定的な回答がなされ、他の者であれば、「いいえ、私はAさんではありませんよ」等の否定的な回答がなされることになる。これらの回答を含む周辺音がホームルータ20の周辺音録音部202により録音されて周辺音取得部104により取得される。
【0117】
動作指示部101は、問合せ情報を出力するとその旨を周辺音取得部104に通知する。周辺音取得部104は、その通知を受け取ると、その後に取得した周辺音を認知症関連判定部103に供給する。認知症関連判定部103は、動作指示部101からの問い合わせに否と回答された動作(つまり対象ユーザは行っていないと回答された動作)を示す動作情報は用いずに認知症に関する判定を行う。
【0118】
認知症関連判定部103は、例えば、「はい」、「ええ」、「しました」等の肯定的な回答のパターン音声と、「いいえ」、「いえ」、「していない」等の否定的な回答のパターン音声とを記憶しておき、供給された周辺音に含まれる音声がどちらのパターン音声を含んでいるかによって、対象ユーザの回答が肯定的及び否定的のいずれであるかを判断する。なお、この判断は、他の周知の音声認識技術を用いて行われてもよい。
【0119】
認知症関連判定部103は、肯定的な回答であると判断した場合は、取得された動作情報を用いて認知症に関する判定を行い、否定的な回答であると判断した場合は、取得された動作情報を用いないで、それ以外の肯定的な回答が得られた動作情報を用いて認知症に関する判定を行う。これにより、対象ユーザについての判定を、他の者が行った動作に基づいて行われることを防ぐことができる。
【0120】
[2−7]発話を促す情報
実施例では、発話を促す情報として在宅確認の音声を示す音声データが用いられたが、これに限らない。例えば挨拶、質問(クイズ)、ペットの鳴き声等を示す音声データが用いられてもよい。また、音声データではなく、テキストデータ、画像データ又は動画データ等が用いられてもよい。いずれのデータが用いられる場合でも、要するに、その情報が対象ユーザに伝達されて、その対象ユーザの発話が促されるようになっていればよい。
【0121】
[2−8]ユーザ端末
第1ユーザ端末30及び第2ユーザ端末40は、実施例ではいずれもスマートフォンであったが、これに限らず、例えばスマートフォン以外の携帯電話機であってもよいし、タブレット端末又はノートパソコン等であってもよい。要するに図3等に表す機能を実現可能な端末であればよい。
【0122】
[2−9]各部を実現する装置
図3に表す各機能を実現する装置は、図3に表された装置に限らない。例えばサーバ装置10が備える機能をホームルータ20等の対象ユーザの家に設置される装置が実現してもよい。また、サーバ装置10が備える各機能を2以上の装置がそれぞれ実現してもよい。要するに、認知症予防システム全体としてこれらの機能が実現されていれば、認知症予防システムが何台の装置を備えていてもよい。
【0123】
[2−10]システム
上記の各例では、認知症の予防を支援するシステム(認知症予防システム)について説明したが、本発明は、他のシステムにも適用可能である。例えば、認知症の予防ではなく、指示された動作を的確に行えるか否かによって健康の度合い又は体調の良さ等を調査するシステムに適用してもよい。
【0124】
[2−11]発明のカテゴリ
本発明は、ホームルータ、第1ユーザ端末、第2ユーザ端末及びサーバ装置等の情報処理装置の他、それらの装置を備える認知症予防システム等の情報処理システムとしても捉えられる。また、本発明は、各装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、各装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
【0125】
[2−12]処理手順等
本明細書で説明した各実施例の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾がない限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0126】
[2−13]入出力された情報等の扱い
入出力された情報等は特定の場所(例えばメモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0127】
[2−14]ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0128】
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0129】
[2−15]情報、信号
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0130】
[2−16]システム、ネットワーク
本明細書で使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0131】
[2−17]「に基づいて」の意味
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0132】
[2−18]「及び」、「又は」
本明細書において、「A及びB」でも「A又はB」でも実施可能な構成については、一方の表現で記載された構成を、他方の表現で記載された構成として用いてもよい。例えば「A及びB」と記載されている場合、他の記載との不整合が生じず実施可能であれば、「A又はB」として用いてもよい。
【0133】
[2−19]態様のバリエーション等
本明細書で説明した各実施例は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0134】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施例に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0135】
1…認知症予防システム、3…固定電話機、10…サーバ装置、20…ホームルータ、30…第1ユーザ端末、40…第2ユーザ端末、101…動作指示部、102…動作情報取得部、103…認知症関連判定部、104…周辺音取得部、105…ユーザ識別部、106…固有情報記憶部、107…音出力指示部、201…音出力部、202…周辺音録音部、203…周辺音送信部、301…動作情報検出部、302…動作情報送信部、401…判定結果要求部、402…判定結果表示部。
図1
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