(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
図1はトランクリッド駆動装置を搭載した車両の概要図(閉塞状態)を、
図2はトランクリッド駆動装置を搭載した車両の概要図(開口状態)を、
図3はトランクリッド駆動装置を単体で示す平面図を、
図4はトランクリッド駆動装置の内部構造を示す断面図を、
図5(a)は
図4のA−A線に沿う断面図、(b)は
図4のB−B線に沿う断面図を、
図6(a),(b),(c)はトランクリッド駆動装置の動作説明図をそれぞれ示している。
【0021】
図1および
図2は、所謂セダンタイプ(3ボックス)の車両10の後方側を示している。この車両10には、当該車両10の前方側(図中左側)から後方側(図中右側)に向けて、エンジンルーム(図示せず)、車室(図示せず)およびトランク11がこの順番で設けられている。これらのエンジンルーム,車室,トランク11は、それぞれ独立した空間となっている。
【0022】
トランク11の開口部(図示せず)は、開閉体としてのトランクリッド12により開閉自在となっている。トランクリッド12の車幅方向に沿う両側には、一対のリンク機構20(図示では1つのみ示す)が設けられている。これらのリンク機構20は、トランクリッド12の車両前方側を支持しており、リンク機構20の動作により、
図1に示されたトランクリッド12の閉塞状態から、
図2に示されたトランクリッド12の開口状態とされる。
【0023】
そして、
図2に示されるように、トランクリッド12の開口状態では、車両10を形成する車体13に対して、トランクリッド12の車両後方側が大きく開口された状態となる。これにより、大きな荷物等の出し入れを容易に行うことができる。
【0024】
リンク機構20のトランクリッド12側とは反対側には、リンク機構20を駆動してトランクリッド12を開閉させるトランクリッド駆動装置(開閉体駆動装置)30が設けられている。このトランクリッド駆動装置30は、一対のリンク機構20のうちのいずれか一方に設けられ、本実施の形態では、車幅方向に沿う運転席側に設けられている。
【0025】
ここで、トランクリッド12は、ミニバン等の後方に設けられるリヤゲートとは異なり軽量であるため、1つのトランクリッド駆動装置30で十分に開閉可能である。ただし、トランクリッド12の重量が嵩む場合には、一対のリンク機構20のそれぞれに対応させて、トランクリッド駆動装置30をそれぞれ設けることもできる。
【0026】
そして、リンク機構20およびトランクリッド駆動装置30は、トランクリッド12を閉塞した状態において、車両10のリヤクウォーターパネル(図示せず)の内側で、かつタイヤハウス干渉領域ARを避けた幅狭の搭載スペースに収容される。
【0027】
リンク機構20は、トランクリッド駆動装置30により揺動される駆動リンク21と、当該駆動リンク21の揺動運動に連動して揺動される従動リンク22と、駆動リンク21と従動リンク22との間に設けられる中間リンク23と、を備えている。
【0028】
駆動リンク21の長手方向に沿う略中間部は、車体13に設けられた第1固定関節部F1に回動自在に支持されている。また、駆動リンク21の長手方向基端部には、第1ボール部21aが設けられ、この第1ボール部21aは、トランクリッド駆動装置30の移動ナット41に取り付けられた第1ソケット43に回動自在に連結されている。つまり、駆動リンク21と移動ナット41との継手構造は、ボールジョイント(玉継手)となっている。さらに、駆動リンク21の長手方向先端部は、中間リンク23の長手方向基端部に対して、第1可動関節部K1を介して回動自在に支持されている。
【0029】
従動リンク22の長さ寸法は、駆動リンク21の長さ寸法と略同じ長さ寸法となっている。そして、従動リンク22の長手方向基端部は、車体13に設けられた第2固定関節部F2に回動自在に支持されている。ここで、第2固定関節部F2は、第1固定関節部F1よりも車両10の後方側に配置され、かつ第1固定関節部F1よりも車両10の上方側(図中上側)に配置されている。
【0030】
そして、第1固定関節部F1と第2固定関節部F2との間の車体13の部分は、リンク機構20の固定リンク(図示せず)として機能している。すなわち、本実施の形態におけるリンク機構20には、駆動リンク21,従動リンク22,中間リンク23および固定リンクよりなる「4節リンク機構」を採用している。
【0031】
また、従動リンク22の長手方向先端部は、中間リンク23の長手方向に沿う略中間部に対して、第2可動関節部K2を介して回動自在に支持されている。これにより、駆動リンク21の揺動運動に連動して従動リンク22も揺動運動されて、ひいては中間リンク23が起立したり横になったりするように駆動される。
【0032】
したがって、中間リンク23の長手方向先端部に設けられたトランクリッド12が開閉動作される(
図1および
図2の状態参照)。なお、中間リンク23の長手方向先端部は、2つの締結部材Sによりトランクリッド12の車両前方側に強固に固定されている。ここで、トランクリッド駆動装置30に連結される駆動リンク21は、本発明におけるアームを構成している。つまり、駆動リンク21は、トランクリッド駆動装置30の駆動に伴って、トランクリッド12を開閉させるように作動する。
【0033】
図1ないし
図4に示されるように、トランクリッド駆動装置30は、ねじ軸40およびモータ部50を同一の軸線C上に配置して構成され、長尺の棒状に形成されている。このように、トランクリッド駆動装置30は、所謂「1軸構造」のアクチュエータとなっている。そして、ねじ軸40の軸方向に沿う長さ寸法L1は、モータ部50の軸方向に沿う長さ寸法L2の略2倍の長さ寸法となっている(L1≒2×L2)。
【0034】
そして、モータ部50の軸方向基端側は、第2ソケット52を介して、車体13に設けられた第3固定関節部F3に回動自在に支持されている。ここで、第3固定関節部F3は、第2ソケット52に回動自在に連結される第2ボール部13aとなっている。すなわち、トランクリッド駆動装置30と第3固定関節部F3との継手構造は、ボールジョイント(玉継手)となっている。
【0035】
また、ねじ軸40には移動ナット41が螺合されており、この移動ナット41に取り付けられた第1ソケット43が、駆動リンク21の第1ボール部21aに回動自在に連結されている。これにより、トランクリッド駆動装置30を駆動して、ねじ軸40上で移動ナット41を往復移動させることで、第1ボール部21aと第2ボール部13a(第3固定関節部F3)との間の距離L3が伸縮されて、駆動リンク21が揺動される。
【0036】
ここで、第3固定関節部F3(第2ボール部13a)は、第1固定関節部F1よりも車両10の後方側に配置され、かつ第1固定関節部F1よりも車両10の下方側(図中下側)に配置されている。これにより、トランクリッド駆動装置30は、タイヤハウス干渉領域ARを避けた状態で、ねじ軸40側が車両10の前方側かつ上方側に向けられ、かつモータ部50側が車両10の後方側かつ下方側に向けられる。
【0037】
すなわち、トランクリッド駆動装置30は、タイヤハウス干渉領域ARを避けつつも、スペース的に余裕のある車両10の前後方向に延びるように設置されている。また、上述のようにリンク機構20(4節リンク機構)を用いた配置構造を採用することで、トランクリッド駆動装置30の軸方向に沿うモータ部50(アーマチュア軸56)側を、ねじ軸40よりも車両10の後方側に配置している。したがって、モータ部50のコネクタ配線等のメンテナンス作業を、トランク11の開口部分から容易に行えるようになっている。
【0038】
図3ないし
図5に示されるように、トランクリッド駆動装置30は、電動モータを用いた送りねじ式のリニアアクチュエータとなっている。そして、トランクリッド駆動装置30は、トランクリッド12(
図1および
図2参照)の近傍に設けられた操作スイッチ(図示せず)を操作することにより、「開駆動」または「閉駆動」される。
【0039】
トランクリッド駆動装置30は、鋼材製の丸棒よりなるねじ軸40と、このねじ軸40を正逆方向に回転させるモータ部50と、を備えている。
【0040】
ねじ軸40の軸方向基端側(
図4中右側)は、モータ部50を形成するハウジング51の軸方向先端側からその内部に入り込んでいる。ねじ軸40の軸方向基端側には、ねじ軸40よりも若干小径となった軸受支持部40aが設けられている。軸受支持部40aは、ハウジング51の軸方向先端側に装着された第1ボールベアリングB1によって回動自在に支持されている。より具体的には、ねじ軸40の軸方向基端側は、第1ボールベアリングB1によって、その軸方向への移動が規制された状態で回動自在に支持されている。これに対し、ねじ軸40の軸方向先端側(
図3中左側)は自由端となっている。
【0041】
ねじ軸40には、プラスチック等の樹脂材料よりなる移動ナット41が螺合されている。そして、移動ナット41には、鋼板をプレス加工等することで略L字形状に形成されたブラケット部材42が固定されている。具体的には、ブラケット部材42は、移動ナット41の軸方向中央部に固定された固定片42aと、この固定片42aに対して直角に折り曲げられた固定腕42bと、を備えている。そして、ブラケット部材42の固定腕42bの先端側は、ねじ軸40の径方向外側において、ねじ軸40の軸方向先端側に向けられている。
【0042】
また、固定腕42bの先端側には、プラスチック等の樹脂材料よりなる第1ソケット43が固定されている。第1ソケット43には、ねじ軸40の径方向外側に向けて開口された第1球状凹部43aが設けられ、この第1球状凹部43aに、駆動リンク21の第1ボール部21a(
図1および
図2参照)が回動自在に連結されている。ここで、第1ソケット43は、本発明における連結部を構成している。
【0043】
なお、トランクリッド駆動装置30を駆動して、ねじ軸40を時計回り方向に回転させると、移動ナット41はねじ軸40の軸方向に移動して、ハウジング51に近付いていく。つまり、トランクリッド駆動装置30は「閉駆動」されて、
図2に示される状態から
図1に示される状態となり、開いているトランクリッド12が閉じられる(CLOSE)。
【0044】
一方、トランクリッド駆動装置30を駆動して、ねじ軸40を反時計回り方向に回転させると、移動ナット41はねじ軸40の軸方向に移動して、ハウジング51から遠ざかる(
図3中破線参照)。つまり、トランクリッド駆動装置30は「開駆動」されて、
図1に示される状態から
図2に示される状態となり、閉じているトランクリッド12が開かれる(OPEN)。
【0045】
このように、第1ボール部21aが連結される第1球状凹部43aを備えた第1ソケット43が、ねじ軸40の径方向外側に設けられ、当該部分においてねじ軸40の軸方向に往復移動される。そのため、リンク機構20の仕様(各リンクの長さ等)に応じて、ねじ軸40の長さを設定することができる。具体的には、移動ナット41の少ない移動量でトランクリッド12を大きく開口できるリンク機構20を採用すれば、ねじ軸40を短く設定して、トランクリッド駆動装置30の小型軽量化が実現される。この場合、ねじ軸40の長さを所望の長さに設定するだけなので、当該設計変更に容易に対応可能となっている。
【0046】
モータ部(モータ)50は、鋼材等の磁性材料により略円筒形状に形成されたハウジング(モータケース)51を備えている。このハウジング51の外側でかつ軸方向基端側には、第2ソケット52が一体に設けられている。そして、第2ソケット52には、第1ソケット43の第1球状凹部43aと同じ方向に開口された第2球状凹部52aが設けられている。そして、第2球状凹部52aには、車体13に設けられた第2ボール部13a(第3固定関節部F3)が回動自在に連結されている。
【0047】
ハウジング51の軸方向基端側の内壁には、断面が略円弧形状に形成された一対の永久磁石53が固定されている。また、一対の永久磁石53の径方向内側には、所定の隙間を介して、コイル54が巻装されたアーマチュア(回転子)55が回転自在に設けられている。そして、アーマチュア55の回転中心には、アーマチュア軸(回転軸)56が固定されている。このように、ハウジング51の内部には、アーマチュア55およびアーマチュア軸56が回転自在に収容されている。ここで、アーマチュア軸56は、モータ部50の軸心に配置され、したがって、ねじ軸40およびアーマチュア軸56は、それぞれ同一の軸線C上に設けられている。
【0048】
アーマチュア軸56の軸方向に沿うアーマチュア55よりも第2ソケット52寄りの部分には、一対のブラシ57が摺接する整流子58が設けられている。また、整流子58には、コイル54の端部が電気的に接続されている。これにより、ブラシ57および整流子58を介して、アーマチュア55のコイル54に駆動電流が供給される。よって、アーマチュア55に電磁力が発生して、アーマチュア55はアーマチュア軸56とともに、所定の回転方向および回転数で回転される。
【0049】
ここで、ハウジング51には、車両10側の外部コネクタ(図示せず)が接続されるコネクタ接続部(図示せず)が設けられている。そして、操作スイッチの操作に基づいて、外部コネクタからコネクタ接続部に対して駆動電流が供給される。
【0050】
アーマチュア軸56の軸方向基端側(
図4中右側)は、第2ボールベアリングB2によって回動自在に支持されている。第2ボールベアリングB2は、ハウジング51の軸方向基端側の底部に固定されている。これにより、アーマチュア軸56の軸方向基端側は、ハウジング51の内部でがたつくこと無くスムーズに回転することができる。
【0051】
一方、アーマチュア軸56の軸方向先端側(
図4中左側)には、第1遊星歯車減速機60を構成する第1サンギヤ61が固定され、この第1サンギヤ61は、ハウジング51の軸方向に沿う略中央部に固定された第3ボールベアリングB3により回動自在に支持されている。つまり、アーマチュア軸56の軸方向先端側は、第1サンギヤ61を介して、第3ボールベアリングB3により回動自在に支持されている。よって、アーマチュア軸56の軸方向先端側は、ハウジング51の内部でがたつくこと無くスムーズに回転することができる。
【0052】
ハウジング51の軸方向先端側の内部には、減速装置としての第1遊星歯車減速機60および第2遊星歯車減速機70が、回動自在に収容されている。ここで、本実施の形態では、所定の減速比に設定された第1遊星歯車減速機60および第2遊星歯車減速機70を、ハウジング51の軸方向に「2段」に重ねることにより、減速装置全体の径方向への大型化を抑えつつ、大きな減速比が得られるようにしている。
【0053】
これにより、トランクリッド駆動装置30の径方向への大型化が抑制されて、当該トランクリッド駆動装置30の全体形状が、段差の無い略ストレート形状に形成されている。
【0054】
図4および
図5(a)に示されるように、第1遊星歯車減速機60は、アーマチュア軸56の軸方向先端側に固定された第1サンギヤ61と、第1サンギヤ61に噛み合わされて第1サンギヤ61の周囲を転動する3つの第1プラネタリギヤ62と、これらの第1プラネタリギヤ62を回転自在に支持する第1キャリア63と、ハウジング51の内壁に形成され、各第1プラネタリギヤ62が噛み合わされる第1リングギヤ64と、を備えている。
【0055】
これにより、アーマチュア軸56の回転が減速されるとともに高トルク化され、この高トルク化された回転力が、第1キャリア63から第2遊星歯車減速機70に向けて出力される。
【0056】
また、
図4および
図5(b)に示されるように、第2遊星歯車減速機70は、第1遊星歯車減速機60の第1キャリア63に一体に設けられた第2サンギヤ71と、第2サンギヤ71に噛み合わされて第2サンギヤ71の周囲を転動する3つの第2プラネタリギヤ72と、これらの第2プラネタリギヤ72を回転自在に支持する第2キャリア73と、ハウジング51の内壁に形成され、各第2プラネタリギヤ72が噛み合わされる第2リングギヤ74と、を備えている。
【0057】
これにより、第1遊星歯車減速機60の第1キャリア63の回転が減速されるとともに高トルク化され、この高トルク化された回転力が、第2キャリア73からねじ軸40に向けて出力される。
【0058】
そして、第2キャリア73は、第4ボールベアリングB4を介して、ハウジング51に回動自在に支持されている。これにより、第1,第2遊星歯車減速機60,70を重ねてなる減速装置の軸方向両側が、第3,第4ボールベアリングB3,B4によりそれぞれ回動自在に支持される。よって、第1,第2遊星歯車減速機60,70は、ハウジング51の内部でがたつくこと無くスムーズに回転することができる。
【0059】
また、第2キャリア73の回転中心には、ねじ軸40の軸方向基端側に設けられたセレーション部40bが一体回転可能に差し込まれている。すなわち、ねじ軸40の軸方向基端側は、第1,第4ボールベアリングB1,B4の双方に回転自在に支持されている。これにより、ねじ軸40の軸方向基端側の剛性が十分に確保され、ねじ軸40の片持ち状態を実現している。
【0060】
このように、アーマチュア軸56とねじ軸40との間には、第1,第2遊星歯車減速機60,70が設けられ、これらはそれぞれ同じ軸線C上に配置されている。そして、第1,第2遊星歯車減速機60,70は、アーマチュア軸56の回転を減速してねじ軸40に伝達しており、言い換えれば、アーマチュア軸56は、第1,第2遊星歯車減速機60,70を介してねじ軸40を回転させている。これにより、トランクリッド駆動装置30の軸方向と交差する方向に沿う幅寸法の増大が抑えられて、トランクリッド駆動装置30のスリムなストレート形状を実現している。
【0061】
次に、以上のように形成されたトランクリッド駆動装置30の動作について、図面を用いて詳細に説明する。
【0062】
図6(a)に示されるように、トランクリッド12が閉じている閉塞時においては、移動ナット41は、ねじ軸40の軸方向に沿うアーマチュア軸56(モータ部50)寄りの第1位置P1に配置されている。このとき、駆動リンク21は略垂直に起立された状態であり、第1可動関節部K1と第2可動関節部K2とを結ぶ線分は、略水平方向に延在された状態となっている。これにより、中間リンク23においても略水平方向に延在された状態とされ、トランクリッド12は閉塞状態(CLOSE)とされる。
【0063】
操作スイッチ(図示せず)を「開操作」して、モータ部50のアーマチュア軸56(
図4参照)を一方向(反時計回り方向)に回転させると、矢印M1に示されるように、移動ナット41がねじ軸40の軸方向先端側に移動していく。つまり、移動ナット41は、ねじ軸40上を移動してアーマチュア軸56(モータ部50)から離れていく。
【0064】
これにより、
図6(b)に示されるように、駆動リンク21が第1固定関節部F1を中心に揺動して、第1可動関節部K1が矢印R1の方向に移動し、駆動リンク21が徐々に傾斜されていく。これに伴い、第2可動関節部K2においても矢印R2の方向に移動して、従動リンク22が第2固定関節部F2を中心に若干揺動される。
【0065】
したがって、第1可動関節部K1と第2可動関節部K2とを結ぶ線分が徐々に起立状態に近付いていき、中間リンク23においても起立状態に近付いていく。これにより、トランクリッド12が、矢印M2に示されるように開いていく。
【0066】
その後、モータ部50のアーマチュア軸56を継続して回転させることで、矢印M3に示されるように、移動ナット41がねじ軸40の軸方向先端側にさらに移動していく。これにより、
図6(c)に示されるように、駆動リンク21がさらに揺動されて略水平方向に延在された状態となる。そして、移動ナット41がねじ軸40の軸方向に沿う略中間部分で停止される(STOP)。ここで、移動ナット41のねじ軸40上での停止動作は、例えば、車載コントローラ(図示せず)により、ねじ軸40の回転数の積算値を監視することで実行される。
【0067】
そして、第1可動関節部K1と第2可動関節部K2とを結ぶ線分が略起立状態となり、これに伴い中間リンク23も略起立状態となる。これにより、トランクリッド12が開口状態となる(OPEN)。このように、トランクリッド12が開いている開口時においては、移動ナット41は、ねじ軸40の軸方向に沿う第1位置P1よりもアーマチュア軸56(モータ部50)から離れた第2位置P2に配置されている。
【0068】
ただし、
図6(c)に示されるようなトランクリッド12が開けられた状態から、
図6(a)に示されるようなトランクリッドが閉められた状態にするには、上述とは逆に、操作スイッチを「閉操作」して、モータ部50のアーマチュア軸56(
図4参照)を他方向(時計回り方向)に回転させるようにすれば良い。
【0069】
以上詳述したように、本実施の形態に係るトランクリッド駆動装置30によれば、アーマチュア軸56およびねじ軸40が、それぞれ同一の軸線C上に設けられ、第1ソケット43が、ねじ軸40の径方向外側に設けられているので、所謂「1軸構造」のトランクリッド駆動装置30を実現できる。
【0070】
これにより、トランクリッド駆動装置30を略棒状にしてその幅方向寸法を小さくすることができ、従前に比してトランク11の容量を大きくできる。そして、トランクリッド駆動装置30は、略棒状であるため、スペース的に余裕のある車両10の前後方向に延びるように設置することができ、車両10側のデザイン自由度を低下させずに済む。
【0071】
また、本実施の形態に係るトランクリッド駆動装置30によれば、アーマチュア軸56とねじ軸40との間に、アーマチュア軸56の回転を減速してねじ軸40に伝達する第1,第2遊星歯車減速機60,70が設けられている。
【0072】
これにより、第1,第2遊星歯車減速機60,70を、アーマチュア軸56およびねじ軸40の双方に対して同軸に設けることができるため、従前のように剛性が高められたハウジングが不要となる。よって、トランクリッド駆動装置30の軽量化を図ることができる。
【0073】
さらに、本実施の形態に係るトランクリッド駆動装置30によれば、駆動対象物が車両10の後方に設けられたトランクリッド12であり、アーマチュア軸56が、ねじ軸40よりも車両10の後方側に設けられている。
【0074】
これにより、モータ部50のコネクタ配線等のメンテナンス作業を、トランク11の開口部分から容易に行うことができる。
【0075】
また、本実施の形態に係るトランクリッド駆動装置30によれば、トランクリッド12の閉塞時は、移動ナット41はねじ軸40の軸方向に沿うアーマチュア軸56寄りの第1位置P1に配置され、トランクリッド12の開口時は、移動ナット41はねじ軸40の軸方向に沿う第1位置P1よりもアーマチュア軸56から離れた第2位置P2に配置される。
【0076】
これにより、トランクリッド12の閉塞時に、片持ちのねじ軸40の基端側に移動ナット41を配置することができる。したがって、トランクリッド12の閉塞時、つまり車両10の走行時等において、移動ナット41やリンク機構20のがたつきが効果的に抑えられる。よって、車両10の走行時における静粛性を向上させることが可能となり、特に、静粛性が求められるEV等に適用して好適となる。
【0077】
次に、本発明の実施の形態2に係るトランクリッド駆動装置について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0078】
図7は実施の形態2のトランクリッド駆動装置を単体で示す平面図を示している。
【0079】
図7に示されるように、実施の形態2においては、実施の形態1に比して、トランクリッド駆動装置(開閉体駆動装置)80の周囲に、弾性部材としてのコイルスプリング81を設けた点が異なっている。
【0080】
具体的には、モータ部50を形成するハウジング51の軸方向に沿う第2ソケット52側に、一方のばね支持部としての第1スプリングシート82が設けられている。そして、この第1スプリングシート82は、ハウジング51の径方向外側に突出するよう略円板状に形成され、コイルスプリング81の軸方向基端側(図中右側)を支持している。
【0081】
これに対し、移動ナット41には、他方のばね支持部としての第2スプリングシート83が設けられている。そして、この第2スプリングシート83は、移動ナット41の径方向外側に突出するよう略円板状に形成され、コイルスプリング81の軸方向先端側(図中左側)を支持している。
【0082】
コイルスプリング81は、
図1に示される「トランクリッド閉塞状態」および
図2に示される「トランクリッド開口状態」の双方において、第1スプリングシート82と第2スプリングシート83との間で、がたつかないように保持されている。すなわち、コイルスプリング81は、ハウジング51と移動ナット41との間に設けられ、かつ移動ナット41をハウジング51から離す方向に付勢している。また、コイルスプリング81は、「トランクリッド開口状態」(
図2参照)において、所定の初期荷重が与えられた状態となるように、第1,第2スプリングシート82,83の間に装着されている。
【0083】
以上のように形成した実施の形態2のトランクリッド駆動装置80においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。
【0084】
これに加えて、実施の形態2のトランクリッド駆動装置80では、コイルスプリング81のばね力により、モータ部50から離れる方向への移動ナット41の移動を補助することができる。よって、リンク機構20(
図1参照)に作用する比較的大きな反力に対して、モータ部50の軽い出力でトランクリッド12を開けることができる。すなわち、モータ部50の小型化および省電力化を図ることができる。また、トランクリッド12の自重による意図しない閉塞動作を防止することができる。
【0085】
次に、本発明の実施の形態3に係るトランクリッド駆動装置の他の配置構造について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0086】
図8(a),(b)はトランクリッド駆動装置の他の配置構造(実施の形態3)の動作説明図を示している。
【0087】
図8に示されるように、実施の形態3においては、実施の形態1に比して、トランクリッド12とトランクリッド駆動装置30との間に設けられる「アーム」の形状が異なっている。すなわち、実施の形態1では、トランクリッド12とトランクリッド駆動装置30との間にリンク機構20(
図1参照)を設けていたが、実施の形態2では、トランクリッド12とトランクリッド駆動装置30との間に、略V字形状に形成された送りヒンジ90を設けている。
【0088】
ここで、
図8においては、トランクリッド12および送りヒンジ90を、模式的に示しており、送りヒンジ90は、本発明におけるアームを構成している。また、実施の形態3では、実施の形態1のリンク機構20に比して、単純な形状の送りヒンジ90を用いているため、これに伴い、トランクリッド駆動装置30の前後の配置関係が、実施の形態1に比して逆となっている。
【0089】
具体的には、送りヒンジ90は、第1腕部91と、第1腕部91よりも長い第2腕部92とを備え、第1腕部91の長手方向先端部が、車体13の第4固定関節部F4に回動自在に支持されている。これに対し、第2腕部92の長手方向先端部には、トランクリッド12の車両前方側が固定されている。そして、第1,第2腕部91,92の長手方向基端部は、第3ボール部93に溶接等により強固に固定されている。また、第3ボール部93は、第1ソケット43に回動自在に連結されている。
【0090】
ここで、モータ部50のハウジング51に設けられた第2ソケット52は、第4固定関節部F4よりも車両10の前方側に配置された、車体13の第5固定関節部F5に回動自在に連結されている。より具体的には、第5固定関節部F5は、第4固定関節部F4よりも車両10の前方側で、かつ車両10の下方側(図中下側)に配置されている。また、第3ボール部93は、第5固定関節部F5よりも車両10の後方側で、かつ第4固定関節部F4よりも車両10の下方側で、振り子のように揺動される。
【0091】
そして、トランクリッド12を、
図8(a)に示された閉じた状態(CLOSE)から開ける場合には、モータ部50のアーマチュア軸56(
図4参照)を一方向(反時計回り方向)に回転させる。すると、矢印M4に示されるように、移動ナット41がねじ軸40の軸方向先端側に移動していく。これにより、送りヒンジ90が第4固定関節部F4を中心に揺動されて、矢印M5に示されるように、トランクリッド12が開けられていく。
【0092】
具体的には、
図8(b)に示されるように、第3ボール部93が、第4固定関節部F4の下方側で振り子のように移動されて、第4固定関節部F4よりも車両10の後方側に移動される。これにより、
図8(b)に示されるように、トランクリッド12が開けられた状態(OPEN)となる。そして、移動ナット41がねじ軸40の軸方向に沿う略先端部分で停止される(STOP)。
【0093】
以上のように形成した実施の形態3のトランクリッド駆動装置30の配置構造では、トランクリッド駆動装置30の前後の配置関係が、実施の形態1に比して逆となっている。そのため、実施の形態1の方が、実施の形態3に比して、トランクリッド駆動装置30のメンテナンス性に優れ、かつタイヤハウス干渉領域AR(
図1参照)を気にせずに配置することができる。
【0094】
その一方で、実施の形態3では、以下に示されるようなメリットがある。つまり、複雑なリンク機構20を駆動せずに、単純な形状の送りヒンジ90を駆動するだけなので、車両10側の構造を簡素化することができ、さらには車両10の走行中におけるトランクリッド12のがたつきの発生を、より効果的に抑えることができる。
【0095】
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、セダンタイプの車両10のトランクリッド12を開閉させるトランクリッド駆動装置30,80に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、ミニバン等のリヤゲート(開閉体)を開閉させる開閉体駆動装置等にも適用することができる。
【0096】
その他、上記各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記各実施の形態に限定されない。