(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、合成樹脂からなるハウジングと、前記ハウジング内に配置された合成樹脂からなる棒状発射体と、前記ハウジング内において前記棒状発射体の一方の先端部の正面に配置された並列電気回路と、前記ハウジング内において前記棒状発射体の他方の先端部に対向して配置され、前記棒状発射体を前記並列電気回路に向けて発射する圧力を生成する点火器とを含む電気回路遮断装置を提供する。前記並列電気回路は、互いに並列に接続された複数の導体板を含み、前記複数の導体板の各々は、前記棒状発射体の前記一方の先端部の正面を横切って延びるように配置される。
【0009】
前記ハウジングは、前記ハウジングの第1端部側から反対側の第2端部側に向かって前記ハウジングの中程まで延びる筒状空間を内部に有する場合がある。前記筒状空間は、その中心軸に対して垂直な断面において円形の断面形状を有する場合がある。
【0010】
前記点火器は、点火薬を含む点火部と、前記点火部に接続された導電ピンとを含む点火器本体を含む場合がある。前記点火器本体の一部は、樹脂で包囲されている場合がある。
【0011】
前記金属シリンダーは、前記ハウジングの前記筒状空間の中に圧入される場合がある。
【0012】
前記棒状発射体は、前記ハウジング内に前記筒状空間に沿って摺動可能に配置される場合がある。
【0013】
前記並列電気回路は、外部電気回路と直列に接続される場合がある。
【0014】
前記点火器は、前記導電ピンに接続された外部電源から通電を受け、前記点火部内の点火薬を燃焼させ、燃焼ガスや火炎などの燃焼生成物を前記筒状空間内に生成する場合がある。前記筒状空間内に生成された燃焼生成物の圧力により、前記棒状発射体は、前記筒状空間の端部から前記並列電気回路に向けて発射される場合がある。
【0015】
前記電気回路遮断装置は、絶縁性材料からなるストッパをさらに含む場合がある。前記ストッパは、前記並列電気回路の導体板が切断されたときに発生する導体板の切断片を受け止めるように構成される場合がある。前記ストッパは、前記並列電気回路に向かって開口する凹部を有する場合がある。前記棒状発射体の先端部は、前記並列電気回路の導体板を切断した後、前記ストッパの前記凹部の中まで入り込み、前記並列電気回路の複数の導体板の各々の切断片を前記ストッパの前記凹部の中に閉じ込めるように構成される場合がある。前記ストッパは、箱形の形状を有する場合がある。
【0016】
前記電気回路遮断装置は、前記ハウジングを補強するための金属フレームをさらに含む場合がある。前記金属フレームは、前記並列電気回路が通過する箇所に切欠き部を有するU字形に湾曲した金属板からなる場合がある。
【0017】
前記複数の導体板は、前記棒状発射体の前記一方の先端部の正面を横切って互いに平行に延びるように配置される場合がある。前記複数の導体板は、各導体板の表面が前記棒状発射体の発射方向に対して垂直になるように配置される場合がある。前記複数の導体板は、各導体板の表面が前記棒状発射体の発射方向に対して垂直から僅かな角度を成して配置される場合がある。
【0018】
前記複数の導体板は、各導体板の少なくとも一方の面に導体板の切断を容易にするための溝を有する場合がある。前記複数の導体板は、各導体板の少なくとも一方の面に2本の溝を有する場合がある。前記2本の溝は、互いに平行に配置される場合がある。前記2本の溝は、前記棒状発射体の前記一方の先端部が、前記2本の溝の間の領域において各導体板と衝突するような位置に形成される場合がある。
【0019】
前記並列電気回路は、外部電気回路と接続するための導体板からなるリード端子部をさらに含む場合がある。前記複数の導体板の各々の厚みは、前記リード端子部の各々の導体板の厚みよりも小さい場合がある。前記複数の導体板の合計断面積は、前記リード端子部の各々の導体板の断面積よりも大きい場合がある。
【0020】
前記棒状発射体は、ロッド部と、前記ロッド部の先に形成された先端拡径部とを含む場合がある。前記ロッド部は、前記棒状発射体の中心軸に対して垂直な断面において円形の断面形状を有する場合がある。前記ロッド部は、前記ハウジングの前記筒状空間、またはその中に圧入された前記金属シリンダーに挿入される場合がある。前記ロッド部は、その長手方向における中間部に、低減された外径を有するくびれ部を有する場合がある。前記くびれ部には、ゴムまたは合成樹脂からなるOリングが嵌め込まれる場合がある。前記先端拡径部は、前記棒状発射体の中心軸に対して垂直な断面において正方形または円形の断面形状を有する場合がある。前記先端拡径部の前記断面における直径または一辺の長さは、前記ロッド部の直径よりも長い場合がある。前記棒状発射体は、前記先端拡径部の先端に正方形または円形の単一の打撃面を有する場合がある。前記打撃面は、前記並列電気回路の片側に配置される場合がある。
【0021】
前記棒状発射体は、一回の発射により、前記並列電気回路の全ての導体板を貫通して移動し、前記並列電気回路の全ての導体板を切断するように構成される場合がある。
【0022】
前記電気回路遮断装置は、前記打撃面の正面の領域において隣り合う前記導体板の各々の間に配置された合成樹脂からなるスペーサ部材をさらに含む場合がある。前記電気回路遮断装置は、前記スペーサ部材の各々の両側において隣り合う前記導体板間の空間を封鎖するように配置された合成樹脂からなる障壁部材をさらに含む場合がある。隣り合う導体板の間に配置された前記スペーサ部材の各々は、射出成形によって前記隣り合う導体板と一体に形成される場合がある。隣り合う導体板の間に配置された前記スペーサ部材の各々は、前記隣り合う導体板とは別個に形成され、溶接または接着剤によって前記隣り合う導体板の各々に結合される場合がある。隣り合う導体板の間に配置された前記障壁部材の各々は、射出成形によって前記隣り合う導体板と一体に形成される場合がある。隣り合う導体板の間に配置された前記障壁部材の各々は、前記隣り合う導体板とは別個に形成され、溶接または接着剤によって前記隣り合う導体板の各々に結合される場合がある。前記スペーサ部材の各々は、その両側に配置された前記障壁部材と結合されていない場合がある。前記スペーサ部材の各々は、その両側に配置された前記障壁部材と結合されている場合がある。
【0023】
前記複数の導体板は、所定の間隔を空けて平行に配置される場合がある。前記ストッパの前記凹部の深さは、前記所定の間隔よりも短い場合がある。前記ストッパの前記凹部の深さは、前記所定の間隔の半分である場合がある。
【0024】
前記棒状発射体は、前記並列電気回路の前記複数の導体板の各々の片側に配置された複数の打撃面を有する場合がある。前記棒状発射体の前記一方の先端部は、くし型の断面形状を有する場合がある。前記棒状発射体の前記一方の先端部は、はしご型の断面形状を有する場合がある。前記棒状発射体は、前記並列電気回路と一体的に形成される場合がある。
【0025】
前記棒状発射体は、一回の発射により、前記並列電気回路の全ての導体板を同時に貫通して移動し、前記並列電気回路の全ての導体板を同時に切断するように構成される場合がある。
【0026】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態による電気回路遮断装置の分解斜視図である。電気回路遮断装置は、合成樹脂からなるハウジング10と、ハウジング10内に配置された点火器20、金属シリンダー30、合成樹脂からなる棒状発射体40、並列電気回路50、及び絶縁性材料からなるストッパ60とを含む。金属シリンダー30は、ハウジング10の底部に設けられた開口部を通してハウジング10に取り付けられる。点火器20、及び棒状発射体40は、ハウジング10の底部に設けられた開口部を通して、金属シリンダー30に挿入される。並列電気回路50、及びストッパ60は、ハウジング10の正面からハウジング10に取り付けられる。
【0028】
図2は、
図1に示した構成部品を組み立ててなる電気回路遮断装置1をx軸方向における中央位置においてY−Z平面で切断して見たときの断面図である。
【0029】
ハウジング10は、ハウジング10の第1端部11側から反対側の第2端部12側に向かってハウジング10内の中程まで延びる筒状空間13を内部に有している。筒状空間13は、その中心軸に対して垂直な断面において円形の断面形状を有している。ハウジング10の外形は、電気回路遮断装置1の取り付け部位の形状に応じて適宜決定されてよい。
【0030】
点火器20は、筒状空間13の一端において、棒状発射体40の先端部45に対向して近接して配置され、棒状発射体40を並列電気回路50に向けて発射する圧力を生成する。点火器20は、点火薬を含む点火部21と、点火部21に接続された導電ピン23とを含む点火器本体を含む。点火器本体の一部22は、樹脂で包囲されている。
【0031】
金属シリンダー30は、ハウジング10の筒状空間13の中に圧入等によって配置される。ただし、金属シリンダー30は、ハウジング10を補強するためのものであり、ハウジング10に十分な強度があれば、省略されてもよい。
【0032】
棒状発射体40は、ハウジング10内に筒状空間13に沿って摺動可能に配置される。棒状発射体40の詳細については、
図4を参照して後で説明される。
【0033】
並列電気回路50は、棒状発射体40の先端部42の正面に近接して配置されている。すなわち、並列電気回路50は、棒状発射体40の先端部42から棒状発射体40の軸方向における近接した距離に配置されている。並列電気回路50は、電気回路遮断装置1の使用時に外部電気回路(図示せず)と直列に接続され、電気回路遮断装置1の作動時に、外部電気回路を遮断する働きをする。並列電気回路50の詳細については、
図3を参照して後で説明される。
【0034】
外部電気回路に異常が発生すると、点火器20は、導電ピン23に接続された外部電源(図示せず)から通電を受け、点火部21内の点火薬を燃焼させ、燃焼ガスや火炎などの燃焼生成物を筒状空間13内に生成する。筒状空間13内に生成された燃焼生成物の圧力により、棒状発射体40は、筒状空間13の端部から並列電気回路50に向けて発射される。発射された棒状発射体40の先端部42は、並列電気回路50と衝突し、
図5に示されるように並列電気回路50の全ての導体板を切断する。
【0035】
ストッパ60は、並列電気回路50の導体板が切断されたときに発生する導体板の切断片を受け止める働きをする。ストッパ60は、絶縁性材料から形成され、並列電気回路50に向かって開口する凹部61を有している。凹部61の深さは、受け止める導体板の数、及び厚みに応じて適宜変更されてよい。棒状発射体40の先端部42は、並列電気回路50の導体板を切断した後、ストッパ60の凹部61の中まで入り込み、並列電気回路50の複数の導体板の各々の切断片をストッパ60の凹部61の中に閉じ込める。これによって、切断片による意図しない回路の短絡やアークの発生が防止される。一例において、ストッパ60は箱形である。ただし、ストッパ60の外形は、取り付け部位の形状に応じて適宜決定されてよい。
【0036】
電気回路遮断装置1は、ハウジング10を補強するための金属フレーム70をさらに含む場合がある。一例において、金属フレーム70は、並列電気回路の50が通過する箇所に切欠き部を有するU字形に湾曲した金属板からなる。ただし、金属フレーム70の形状は、電気回路遮断装置1の他の構成要素の機能を阻害することなくハウジング10の強度を向上させることが可能な範囲内で適宜変更されてよい。また、ハウジング10に十分な強度があれば、金属フレーム70は省略されてよい。
【0037】
図3は、並列電気回路50の一例を示している。並列電気回路50は、互いに並列に接続された複数(この例では3枚)の導体板53a、53b、53cを含む。導体板の枚数は、発明の目的に適合する範囲内で適宜決定されることができ、2枚であってもよいし、3枚より多くてもよい。導体板53a、53b、53cの各々は、棒状発射体40の先端部42の正面を横切って延びるように配置される。導体板53a、53b、53cは、棒状発射体40の先端部42の正面を横切って互いに平行に延びている。導体板53a、53b、53cは、各導体板の表面が棒状発射体40の発射方向に対して垂直になるように配置されることが好ましい。ただし、導体板53a、53b、53cは、棒状発射体40によって導体板を切断することが可能な範囲内で、各導体板の表面が棒状発射体40の発射方向に対して垂直から僅かな角度を成して配置されてもよい。
【0038】
導体板53a、53b、53cは、各導体板の一方の面に、導体板の切断を容易にするための2本の溝54a、54bを有している。ただし、導体板の切断をさらに容易にするために、溝54a、54bは、各導体板の両面に設けられてもよい。また、導体板53a、53b、53cの切断に支障がなければ、溝54a、54bは、省略されてもよい。溝54a、54bは、互いに平行に配置される場合がある。溝54a、54bは、棒状発射体40の先端部42が、溝54a、54bの間の領域において各導体板53a、53b、53cと衝突するような位置に形成される。
【0039】
並列電気回路50は、外部電気回路(図示せず)と接続するための導体板からなるリード端子部51、52をさらに含む。図示したリード端子部51、52は、ハウジング10への取り付けの都合上、湾曲した導体板からなるが、リード端子部51、52の形状は、このような湾曲した形状のものに限られない。他の例において、リード端子部51、52は各々、平らな導体板からなる場合がある。一例において、並列電気回路50の導体板53a、53b、53cの各々の厚みは、リード端子部51、52の各々の導体板の厚みよりも小さい場合がある。他の例において、並列電気回路50の導体板53a、53b、53cの合計断面積は、リード端子部51、52の各々の断面積よりも大きい場合がある。
【0040】
図4は、棒状発射体40の一例を示している。棒状発射体40は、ロッド部41と、ロッド部41の先に形成された先端拡径部42とを含む。ロッド部41は、棒状発射体40の中心軸に対して垂直な断面において円形の断面形状を有している。ロッド部41は、ハウジング10の筒状空間13、またはその中に配置された金属シリンダー30に挿入される。ロッド部41は、その長手方向における中間部に、低減された外径を有するくびれ部43を有する場合がある。密閉のために、くびれ部43には、ゴム(例えばシリコーンゴム)や合成樹脂からなるOリング44が嵌め込まれる場合がある。先端拡径部42は、棒状発射体40の中心軸に対して垂直な断面において正方形または円形の断面形状を有している。先端拡径部42の前記断面における直径または一辺の長さは、ロッド部41の直径よりも長い。棒状発射体40は、先端拡径部42の先端に正方形または円形の単一の打撃面42aを有している。打撃面42aは、正方形であることが好ましい。打撃面42aは、並列電気回路50の片側(すなわち、並列に配置された導体板53a、53b、53cの外側)に配置される。
【0041】
棒状発射体40は、一回の発射により、並列電気回路50の全ての導体板53a、53b、53cを貫通して移動し、
図5に示されるように、並列電気回路50の全ての導体板53a、53b、53cを切断する。これによって、電気回路遮断装置1は、外部電気回路(図示せず)を遮断する。電気回路遮断装置1によれば、電流を導体板53a、53b、53cに分散させることにより、導体板を切断したときのアークの発生を抑えることができ、また、複数の電気回路遮断装置を設けたり、回路を並列化したりするためのコストを抑えることができる。
【0042】
図6は、本発明の他の実施形態による電気回路遮断装置1’を示している。電気回路遮断装置1’は、
図2に示した電気回路遮断装置1に比べて、棒状発射体40’の形状が変更され、これに合わせてストッパ60’の凹部61’の深さが拡大され、ハウジング10’及び金属フレーム70’の高さが僅かに拡大されている。他の構成要素については、
図2に示した電気回路遮断装置1のものと同様であるから、対応する部材に同じ符号を付すことによって、説明を省略する。
【0043】
図7は、
図6の電気回路遮断装置1’に使用される、他の例による棒状発射体40’を示している。
図7(b)に示されるように、棒状発射体40’は、くし型の断面形状を有する先端拡径部42’を有している。先端拡径部42’は、並列電気回路50の導体板53a、53b、53cの各々の片側にそれぞれ配置された打撃面42a’、42a’、42a’を有している。打撃面の数は、並列電気回路の導体板の数に応じて変更されてよい。先端拡径部42’は、電気回路遮断装置1’の製造時に、並列電気回路50の導体板53a、53b、53cの間に、片側から挿入される。
【0044】
図8は、
図6の電気回路遮断装置1’に使用される、さらに別の例による棒状発射体40''を示している。
図8(b)に示されるように、棒状発射体40''は、はしご型の断面形状を有する先端拡径部42''を有している。
図7に示した棒状発射体40’の場合と同様に、先端拡径部42''は、並列電気回路50の導体板53a、53b、53cの各々の片側にそれぞれ配置された打撃面42a''、42a''、42a''を有している。打撃面の数は、並列電気回路の導体板の数に応じて変更されてよい。
図8(a)に示されるように、前記棒状発射体40''は、電気回路遮断装置1’の製造時に、並列電気回路50’と一体的に形成される。
【0045】
棒状発射体40’、40''は、一回の発射により、並列電気回路50の全ての導体板53a、53b、53cを同時に貫通して移動し、
図9に示されるように、並列電気回路50の全ての導体板53a、53b、53cを同時に切断する。これによって、電気回路遮断装置1’は、外部電気回路(図示せず)を遮断する。電気回路遮断装置1’によれば、電流を複数の導体板53a、53b、53cに分散させることにより、導体板を切断したときのアークの発生を抑えるとができ、また、複数の電気回路遮断装置を設けたり、回路を並列化したりするためのコストを抑えることができる。
【0046】
図10は、本発明のさらに別の実施形態による電気回路遮断装置1''を示している。電気回路遮断装置1''は、
図2に示した電気回路遮断装置1に比べて、スペーサ部材55a、55b及び障壁部材56a、56b、57a、57bをさらに含み、ストッパ60''の凹部61''の深さが縮小されている。また、ストッパ60''の凹部61''の深さの変更に合わせて、ハウジング10''及び金属フレーム70''の高さも僅かに縮小されている。他の構成要素については、
図2に示した電気回路遮断装置1のものと同様であるから、対応する部材に同じ符号を付すことによって、説明を省略する。
図11は、並列電気回路50の導体板間に配置されたスペーサ部材55a、55b、及び障壁部材56a、56b、57a、57bを示している。
【0047】
図10、及び
図11に示されるように、棒状発射体40の打撃面42aの正面の領域において、スペーサ部材55aは、並列電気回路50の隣り合う導体板53aと53bの間に配置され、スペーサ部材55bは、並列電気回路50の隣り合う導体板53bと53cの間に配置されている。一例において、スペーサ部材55a、55bは、棒状発射体40に使用されるものと同じ合成樹脂から形成される。他の例において、スペーサ部材55a、55bは、棒状発射体40に使用されるものとは異なる合成樹脂から形成される。障壁部材56a、57aは、スペーサ部材55aの両側において隣り合う導体板53a、53b間の空間を封鎖するように配置され、障壁部材56b、57bは、スペーサ部材55bの両側において隣り合う導体板53b、53c間の空間を封鎖するように配置されている。一例において、障壁部材56a、56b、57a、57bは、棒状発射体40に使用されるものと同じ合成樹脂から形成される。他の例において、障壁部材56a、56b、57a、57bは、棒状発射体40に使用されるものとは異なる合成樹脂から形成される。スペーサ部材55aは、導体板53a、53bの各々と結合されており、スペーサ部材55bは、導体板53b、53cと結合されている。障壁部材56a、57aは、導体板53a、53bの各々と結合されており、障壁部材56b、57bは、導体板53b、53cの各々と結合されている。一例において、スペーサ部材55a、55bは、射出成型によって導体板と一体に形成される。他の例において、スペーサ部材55a、55bは、導体板とは別個に形成され、溶接または接着剤によって導体板に結合される。一例において、障壁部材56a、56b、57a、57bは、射出成形によって導体板と一体に形成される。他の例において、障壁部材56a、56b、57a、57bは、導体板とは別個に形成され、溶接または接着剤によって導体板に結合される。装置1''の作動時の負荷を低減するために、スペーサ部材55aと障壁部材56a、56bは、互いに結合されていないことが好ましく、スペーサ部材55bと障壁部材56b、57bは、互いに結合されていないことが好ましい。ただし、他の例において、これらは、装置1''の作動を大きく妨げない範囲内で互いに結合されていてもよい。
【0048】
棒状発射体40の打撃面42aが導体板53aに衝突すると、その力はスペーサ部材55aを介して導体板53bにも伝達され、さらにスペーサ部材55bを介して導体板53cにも伝達される。その結果、打撃面42aの正面に位置する導体板53a、53b、53cの部分は、互いの間隔を維持したまま、
図12に示されるように棒状発射体40の先端部42によって同時に打ち抜かれ、切断される。一実施形態において、導体板53a、53b、53cは、所定の間隔を空けて平行に配置され、ストッパ60''の凹部61''の深さは、導体板間の所定の間隔よりも短くなっている。したがって、装置1''の作動後に、導体板53aの切断片は、装置''の高さ方向において導体板53aの残りの部分と導体板53bの残りの部分との間の位置まで移動され、導体板53bの切断片は、装置''の高さ方向において導体板53bの残りの部分と導体板53cの残りの部分との間の位置まで移動される。このとき、導体板53a、53bの切断片が、導体板53a、53b又は53cの残りの部分と接触したり、残りの部分に近づいて絶縁破壊が発生することは、当然ながら望ましくない。各導体板の切断片を導体板の残りの部分から出来る限り遠ざけておくために、ストッパ60''の凹部61''の深さは、導体板間の所定の間隔の半分であることが好ましい。導体板53a、53b、53cが切断された後、障壁部材56a、57aは、導体板53aの切断片を導体板53a、53bの残りの部分から電気的に絶縁する働きをし、障壁部材56b、57bは、導体板53bの切断片を導体板53b、53cの残りの部分から電気的に絶縁する働きをする。電気回路遮断装置''は、障壁部材56a、56b、57a、57bを有することにより、
図2に示した電気回路遮断装置1に比べて、棒状発射体40の移動距離(すなわち、ストッパ60''の深さ)を縮小することができ、したがって、装置''全体のサイズを縮小することができる。ただし、絶縁破壊が発生しない程度の間隔を導体板間に確保できる場合、障壁部材56a、56b、57a、57bは省略されてもよい。
【0049】
本発明の種々の実施形態に関する上記説明は、例示を目的としたものであり、発明の範囲を制限するものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。