(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、偏心部の重量バランスが悪い事や、揺動歯車が揺動運動を行うことは、減速機付モータの駆動時における振動や騒音の要因となる可能性があった。このため、駆動時における荷重バランスを調整するために(偏心部の偏心した質量とバランスをとるために)、バランスウェイトを設けることも考えられる。しかしながら、例えば、減速機構の細径化を図ろうとすると、バランスウェイトの設置スペースを確保するのが困難であるという課題があった。
また、偏心部には、揺動歯車と固定歯車との噛合い反力と、揺動歯車と出力歯車との噛合い反力とがかかる。これら反力によって減速機構の動力伝達効率が低下する可能性があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、バランスウェイトを設けることなく、駆動時における荷重バランスを調整でき、高効率で小型な減速機付モータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る減速機付モータは、モータ部と、前記モータ部の回転を減速して出力する減速機構と、を備え、前記減速機構は、ギヤケーシングと、前記モータ部の回転軸線に対して偏心した位置を中心とし、前記モータ部の回転を受けて回転する第1偏心部と、前記第1偏心部の中心から前記回転軸線回りに180°ずれた位置を中心とし、前記モータ部の回転を受けて前記第1偏心部と一体的に回転する第2偏心部と、前記第1偏心部に相対回転可能に嵌合され、第1外歯及び第1内歯を有する第1揺動歯車と、前記第2偏心部に相対回転可能に嵌合され、第2外歯及び第2内歯を有する第2揺動歯車と、前記ギヤケーシングに固定され、前記第1外歯及び前記第2外歯が噛合される第3内歯を有する固定歯車と、前記第1内歯及び前記第2内歯と噛合される第3外歯を有するとともに、前記回転軸線回りに回転し、外部機器に動力を出力する出力歯車と、を備え、前記第1外歯、前記第2外歯、及び前記第3内歯の歯数よりも前記第1内歯、前記第2内歯、及び前記第3外歯の歯数が少なく設定されて
おり、前記第3外歯は、前記出力歯車から前記回転軸線の方向に沿って突出形成されているとともに各々一体化されており、且つサイクロイド歯形で構成されていることを特徴とする。
【0008】
このように、第1偏心部と第2偏心部とが回転軸線回りに180°ずれているので、第1偏心部と第2偏心部とにより互いに偏心分の重量バランスをとることができる。さらに、これら第1偏心部及び第2偏心部に、それぞれ揺動歯車(第1揺動歯車、第2揺動歯車)が相対回転可能に嵌合されている。第1揺動歯車と第2揺動歯車は、回転軸線を中心に点対称に動くことになるので、第1外歯と第3内歯との噛合い反力と、第2外歯と第3内歯との噛合い反力と、を相殺させることができる。また、第1内歯と第3外歯との噛合い反力と、第2内歯と第3外歯との噛合い反力と、を相殺させることができる。したがって、従来のようにバランスウェイトを設けることなく、駆動時における荷重バランスを調整でき、高効率な減速機付モータを提供できる。
また、第1外歯、第2外歯、及び第3内歯の歯数よりも第1内歯、第2内歯、及び前第3外歯の歯数が少なく設定されているので、第1内歯、第2内歯、及び前第3外歯の歯と歯の間にスペースを確保することが可能になる。このスペースを利用して第1内歯と第3外歯とを噛合させることができるとともに、第2内歯と第3外歯とを噛合させることができる。このため、減速機付モータの小型化を図ることができる。
さらに、第3外歯の強度を強くすることができる。また、第1内歯、及び第2内歯と第3外歯との接触を滑らかに行うことができるので、これら歯の噛合い抵抗をできる限り減少させることができる。この結果、減速機構の伝達効率を向上させることができる。
【0009】
本発明に係る減速機付モータにおいて、前記第1揺動歯車は、前記第1偏心部に相対回転可能に嵌合される円板状の第1歯車本体を有し、前記第1歯車本体に前記第1外歯及び前記第1内歯が設けられており、前記第2揺動歯車は、前記第2偏心部に相対回転可能に嵌合される円板状の第2歯車本体を有し、前記第2歯車本体に前記第2外歯及び前記第2内歯が設けられており、前記第1揺動歯車及び前記第2揺動歯車は、前記第1歯車本体と前記第2歯車本体とが前記回転軸線方向で重なるように配置されており、前記第1歯車本体及び前記第2歯車本体に、それぞれ前記出力歯車の前記第3外歯を挿通可能な貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成することで、省スペースに第1揺動歯車、第2揺動歯車、固定歯車、及び出力歯車を配置できる。そして、省スペースながら第1内歯と第3外歯とを噛合させることができるとともに、第2内歯と第3外歯とを噛合させることができる。
本発明に係る減速機付モータにおいて、前記貫通孔は、前記貫通孔の内周縁の径方向外側に前記第1内歯の形状に沿って形成されている歯形弧状部と、前記貫通孔の内周縁の径方向内側に前記歯形弧状部に連なって形成されている円弧部と、を備え、前記歯形弧状部は、サイクロイド歯形で構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る減速機付モータにおいて、前記第1内歯、前記第2内歯、及び前記第3外歯の歯数は、それぞれ同数個に設定されていることを特徴とする。
【0012】
このように構成することで、第1内歯、第2内歯、及び第3外歯を、できる限り大きく形成できる。このため、第1内歯、第2内歯、及び第3外歯の強度を、できる限り強くできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1偏心部と第2偏心部とが回転軸線回りに180°ずれているので、第1偏心部と第2偏心部とにより互いに偏心分の重量バランスをとることができる。さらに、これら第1偏心部及び第2偏心部に、それぞれ揺動歯車(第1揺動歯車、第2揺動歯車)が相対回転可能に嵌合されている。第1揺動歯車と第2揺動歯車は、回転軸線を中心に点対称に動くことになるので、第1外歯と第3内歯との噛合い反力と、第2外歯と第3内歯との噛合い反力と、を相殺させることができる。また、第1内歯と第3外歯との噛合い反力と、第2内歯と第3外歯との噛合い反力と、を相殺させることができる。したがって、従来のようにバランスウェイトを設けることなく、駆動時における荷重バランスを調整でき、高効率な減速機付モータを提供できる。
また、第1外歯、第2外歯、及び第3内歯の歯数よりも第1内歯、第2内歯、及び前第3外歯の歯数が少なく設定されているので、第1内歯、第2内歯、及び前第3外歯の歯と歯の間にスペースを確保することが可能になる。このスペースを利用して第1内歯と第3外歯とを噛合させることができるとともに、第2内歯と第3外歯とを噛合させることができる。このため、減速機付モータの小型化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(減速機付モータ)
図1は、減速機付モータ1の斜視図である。
同図に示すように、減速機付モータ1は、偏平形状のモータ部2と、モータ部2の回転出力が伝達される減速機構3と、を備えている。そして、モータ部2の回転中心であるモータ軸線(回転軸線)L1は、減速機構3を構成する後述の出力部15の出力軸51の回転中心(軸線)と一致している。
【0019】
なお、以下の説明において、説明を分かり易くするために、出力軸51から出力を取り出す側を上側(
図1における上側)と称し、その反対側を下側(
図1における下側)と称する。つまり、モータ部2は下側に配置され、減速機構3は上側に配置されている。また、モータ軸線L1に沿う方向を単に軸方向、モータ軸線L1回り方向を単に周方向、モータ軸線L1に直交する方向を径方向と称して説明する。
【0020】
モータ部2は、いわゆるDCブラシレスモータで構成されている。モータ部2は、略円筒状のモータケーシング4を有している。モータケーシング4の下端には、モータケーシング4の開口を閉塞するように、カバー6が設けられている。
また、モータケーシング4の外周面には、略上半分に、複数のボルト座7が径方向外側に向かって突出形成されている。各ボルト座7は、モータケーシング4と後述のギヤケーシング10とを不図示のボルトによって締結固定するためのものである。各ボルト座7には、不図示の雌ネジ部が刻設されている。また、各ボルト座7は、周方向にほぼ等間隔に配置されている。
【0021】
さらに、モータケーシング4の内周面には、不図示のステータが固定され、さらにステータの径方向内側に不図示のロータがステータに対して回転自在に設けられている。ステータには、不図示のコイルが巻装されている。コイルは、モータケーシング4の周壁5に開口形成されている電源窓5aを介して不図示の外部電源と電気的に接続可能とされている。ステータに不図示の外部電源が電気的に接続されると、ステータに所定の磁界が形成される。そして、この磁界によりロータが回転し、さらにこの回転が減速機構3に伝達される。
【0022】
(減速機構)
図2は、減速機構3の軸方向に沿う断面図、
図3は、減速機構3の分解斜視図である。
図2、
図3に示すように、減速機構3は、いわゆるハイポサイクロイド減速機構として構成されている。減速機構3は、モータケーシング4上に配置されるギヤケーシング10と、ギヤケーシング10に回転自在に支持される偏心軸11と、ギヤケーシング10内に固定されたリングギヤ12と、リングギヤ12に噛合される第1揺動歯車13及び第2揺動歯車14と、第1揺動歯車13に噛合される出力部15と、を備えている。
【0023】
ギヤケーシング10は略有底筒状に形成されており、底壁16をモータ部2側(下側)に向けて配置されている。つまり、ギヤケーシング10の底壁16は、モータケーシング4の上端の開口を閉塞するとともに、モータ部2と減速機構3とを隔壁する役割を有している。ギヤケーシング10における周壁17の外周面の外径は、モータケーシング4における外周面の外径よりもやや小さい程度に設定されている。周壁17の外周面には、軸方向に延びる複数のボルト座18が一体成形されている。これらボルト座18は、不図示のボルトによって、ギヤケーシング10に後述のカバー70を締結固定するためのものである。ボルト座18は、周壁17の軸方向全体に渡って形成され、周方向に等間隔で配置されている。また、各ボルト座18には、軸方向に沿って雌ネジ部18aが刻設されている。
【0024】
また、周壁17のモータケーシング4側の端部には、外フランジ部19が形成されている。外フランジ部19の外径は、モータケーシング4における外周面の外径とほぼ同一に設定されている。外フランジ部19には、モータケーシング4のボルト座7に対応する位置に、それぞれボルト座20が径方向外側に向かって突出形成されている。これらボルト座7,20は、軸方向で重なり合う。ギヤケーシング10のボルト座20には、それぞれボルト挿通孔20aが形成されている。これらボルト挿通孔20aを介し、モータケーシング4のボルト座7に刻設された不図示の雌ネジ部に、不図示のボルトが螺入される。これにより、モータケーシング4とギヤケーシング10とが締結固定される。
【0025】
ギヤケーシング10の底壁16の径方向中央には、軸受ハウジング21が一体成形されている。軸受ハウジング21は、軸方向からみて略長円形状に形成されている。また、軸受ハウジング21には、底壁16の径方向中央に、軸受22が設けられている。この軸受22は、後述の偏心軸11の下部を回転自在に支持するためのものである。
【0026】
また、ギヤケーシング10の周壁17には、内周面にリングギヤ12が内嵌固定されている。リングギヤ12は、ギヤケーシング10の内面に対応するように、略有底筒状に形成されている。すなわち、リングギヤ12は、ギヤケーシング10における底壁16の内面、及び周壁17の内面をほぼ覆うように形成されている。そして、リングギヤ12の周壁27の内周面全体に、内歯27aが形成されている。
【0027】
また、リングギヤ12の底壁28には、内歯27aから所定の隙間を介して全体に、嵌合凸部28aが上側に向かって突出形成されている。換言すれば、リングギヤ12の底壁28には、径方向中央の大部分に、嵌合凸部28aが上側に向かって突出形成されている。嵌合凸部28aは、軸方向からみて略円形状に形成されている。嵌合凸部28aは、第2揺動歯車14の径方向の変位を規制するためのものである(詳細は後述する)。
さらに、リングギヤ12の底壁28には、ギヤケーシング10の軸受ハウジング21と嵌合可能な略長円形状の嵌合孔28aが形成されている。ギヤケーシング10の軸受ハウジング21に、リングギヤ12の嵌合孔28aが嵌合されることにより、リングギヤ12がモータ軸線L1を中心に回転してしまうことが規制される。
【0028】
ギヤケーシング10の軸受22に支持されている偏心軸11は、モータ軸線L1と同軸上の軸本体23を有している。この軸本体23の下端が、軸受22に回転自在に支持されている。軸本体23の下端には、軸受22を介してモータ部2側に向かって突出する連結軸24が一体成形されている。この連結軸24は、不図示のジョイントを介してモータ部2のロータ(不図示)に連結されている。これにより、ロータの回転が偏心軸11に伝達される。
【0029】
軸本体23の軸方向中央には、第1偏心部25と第2偏心部26の2つの偏心部25,26が一体成形されている。2つの偏心部25,26は、それぞれ円柱状に形成されている。そして、第1偏心部25が上側に、第2偏心部26が下側に配置されている。各偏心部25,26の各々外周面25a,26aは、モータ軸線L1に対して偏心した位置を、それぞれ中心O1,O2とする円筒面で形成されている。また、第1偏心部25の中心O1の偏心量と、第2偏心部26の中心O2の偏心量は、同一に設定されている。さらに、第1偏心部25と第2偏心部26は、各々中心O1,O2が、モータ軸線L1を中心に180°ずれて配置されている。換言すれば、第1偏心部25の中心O1と第2偏心部26の中心O2は、モータ軸線L1を中心に点対称位置にある。
【0030】
第1偏心部25には、軸受29を介して第1揺動歯車13が回転自在に支持されている。第1揺動歯車13は、略円板状の第1歯車本体31を有しており、リングギヤ12の周壁27の径方向内側に配置されている。そして、第1歯車本体31の径方向中央に、軸受29の外周面が嵌合される軸受収容孔31aが形成されている。
第1歯車本体31の外周部には、外内歯リング33が上側に向かって立設されている。この外内歯リング33の外周面に、リングギヤ12の内歯27aと噛合される外歯33aが形成されている。また、外内歯リング33の内周面に、内歯33bが形成されている。
【0031】
ここで、内歯33bの歯数は、外歯33aの歯数、及びリングギヤ12の内歯27aの歯数よりも少なく設定されている。具体的には、例えば、リングギヤ12の内歯27aの歯数は43個に設定され、第1揺動歯車13の外歯33aの歯数は42個に設定されている。これに対し、第1揺動歯車13の内歯33bの歯数は9個に設定されている。このため、この内歯33bの円ピッチは、外歯33aと比較して大きくなる。
【0032】
図4は、第1揺動歯車13を軸方向からみた一部拡大平面図である。
同図に示すように、第1揺動歯車13の第1歯車本体31には、各内歯33bの間に、厚さ方向に貫通する貫通孔32が形成されている。貫通孔32は、その内周縁の約半分が各内歯33bの間の歯底の形状に沿って形成されている歯形弧状部32aとされ、残り約半分が歯形弧状部32aに滑らかに連なる円弧部32bとされている。歯形弧状部32aは、サイクロイド歯形で構成されている。
【0033】
図5は、第2揺動歯車14の斜視図である。
図2、
図3、
図5に示すように、偏心軸11の第2偏心部26には、軸受40を介して第2揺動歯車14が回転自在に支持されている。第2揺動歯車14は、略円板状の第2歯車本体41を有しており、リングギヤ12の周壁27の径方向内側で、且つ第1歯車本体31の下面側に配置されている。そして、第2歯車本体41の径方向中央に、軸受40の外周面が嵌合される軸受収容孔41aが形成されている。
【0034】
第2歯車本体41の下面には、径方向中央の大部分に、嵌合凹部41bが形成されている。この嵌合凹部41bは、リングギヤ12の底壁28に形成されている嵌合凸部28aに遊嵌される。これにより、第2揺動歯車14の径方向の変位が規制される。
また、第2歯車本体41の外周部には、リングギヤ12の内歯27aと噛合される外歯41cが形成されている。この外歯41cの歯数は、第1揺動歯車13の外歯33aの歯数と同数個に設定されている。
【0035】
さらに、第2歯車本体41には、第1揺動歯車13の貫通孔32に対応する位置に、第2歯車本体41の上面から嵌合凹部41bに至る間に、貫通孔42が形成されている。この貫通孔42は、第1揺動歯車13の貫通孔32と同一形状に形成されている。すなわち、貫通孔42は、その内周縁の径方向外側の半分が歯形弧状部42aとされ、残りの径方向内側の半分が歯形弧状部42aに滑らかに連なる円弧部42bとされている。そして、歯形弧状部42aは、サイクロイド歯形で構成されている。
ここで、
図5に詳示するように、貫通孔42が形成されている最外周の位置は、嵌合凹部41bよりも若干径方向外側に位置している。このため、第2揺動歯車14を上側(第1揺動歯車13側)からみると、貫通孔42を介して嵌合凹部41bの周縁が一部露出した状態になる。
【0036】
図6は、ギヤケーシング10内に偏心軸11、リングギヤ12、第1揺動歯車13、及び第2揺動歯車14を収納した状態を、軸方向からみた平面図である。
前述したように、偏心軸11の第1偏心部25に第1揺動歯車13が軸受29を介して回転自在に支持され、第2偏心部26に軸受40を介して第2揺動歯車14が回転自在に支持されている。このため、
図6に示すように、第1揺動歯車13の貫通孔32と第2揺動歯車14の貫通孔42は、互いに対応する位置に形成されているが、各貫通孔32,42の位置は軸方向からみて一致しない。つまり、第1揺動歯車13の貫通孔32と第2揺動歯車14の貫通孔42は、モータ軸線L1回りに180°ずれている。
【0037】
図7は、出力部15の斜視図である。
図2、
図3、
図7に示すように、第1揺動歯車13上で、且つ第1揺動歯車13の外内歯リング33の径方向内側に、出力部15が配置されている。
出力部15は、モータ軸線L1と同軸の略円柱状に形成された出力軸51と、出力軸51の下端に設けられた出力歯車52と、により構成されている。そして、出力歯車52が、第1揺動歯車13上で、且つ第1揺動歯車13の外内歯リング33の径方向内側に、配置される。
【0038】
出力軸51の先端には、二方取り加工が施された連結軸53が出力軸51と同軸上に一体成形されている。連結軸53には、雌ネジ部53aが刻設されている。連結軸53は、不図示の外部機器に接続されることにより、減速機付モータ1の出力を不図示の外部機器に出力するためのものである。
また、出力軸51の下端には、略円板状のフランジ部54が一体成形されている。フランジ部54の下面には、軸受ハウジング55が下方に向かって突出形成されている。この軸受ハウジング55に、軸受56が内嵌固定されている。軸受56には、偏心軸11の上端部が回転自在に支持される。
【0039】
また、フランジ部54の外周部には、ボルト57を挿通可能なボルト挿通孔58が形成されている。ボルト挿通孔58の上面には、ボルト57の頭部57aを受け入れるザグリ部58aが形成されている。ザグリ部58aを形成することによって、ボルト挿通孔58にボルト57を挿入した際、フランジ部54からボルト57の頭部57aが突出してしまうことを防止できる。また、ボルト挿通孔58に挿入されたボルト57は、出力軸51と出力歯車52とを締結固定する。
【0040】
出力歯車52は、略円板状の歯車本体60を有している。歯車本体59の上面には、径方向中央の大部分に、収納凹部61が形成されている。収納凹部61の直径は、フランジ部54の直径よりも若干大きい程度に設定されている。このような収納凹部61に、出力軸51のフランジ部54が収納される。また、収納凹部61には、フランジ部54のボルト挿通孔58に対応する位置に、雌ネジ部61aが刻設されている。この雌ネジ部61aに、ボルト挿通孔58に挿入されたボルト57が螺入される。これにより、出力軸51と出力歯車52が締結固定される。
【0041】
歯車本体60の外周部には、モータ軸線L1と同心の外歯60aが形成されている。外歯60aは、サイクロイド歯形で構成されている。この外歯60aが、第1揺動歯車13の内歯33bに噛合される。
また、外歯60aは、軸方向に沿って、且つ下方に向かって突出形成された突出部62を有している。突出部62は、第1揺動歯車13の貫通孔32に挿入され、さらに、第2揺動歯車14の貫通孔42に挿入される。突出部62の外歯60aと連続する面は、外歯60aと同様にサイクロイド歯形で構成される歯形弧状面62aとされている。また、突出部62の歯形弧状面62a以外の径方向内側の面は、歯形弧状面62aに滑らかに連なる円弧面62bとされている。これにより、突出部62は、第2揺動歯車14の貫通孔42に挿入されてこの貫通孔42に噛合される。
【0042】
図1、
図2に示すように、ギヤケーシング10内に、偏心軸11、リングギヤ12、第1揺動歯車13、第2揺動歯車14、及び出力部15のフランジ部54を収納した状態で、ギヤケーシング10の上端には、カバー70が取り付けられる。
カバー70は、ギヤケーシング10の周壁17の開口を閉塞するように、略円板状に形成されたカバー本体71と、カバー本体71から上方に向かって突出形成された軸受ハウジング72と、により構成されている。
【0043】
カバー本体71の下面には、ギヤケーシング10の周壁17にインロー嵌合される円環状のインロー嵌合部73が突出形成されている。このインロー嵌合部73により、ギヤケーシング10に対するカバー70の径方向の位置決めが行われる。インロー嵌合部73の先端は、リングギヤ12の周壁27の上端に当接している。
また、カバー本体71の外周縁には、ギヤケーシング10のボルト座18に対応する位置に、それぞれボルト座74が径方向外側に向かって突出形成されている。各ボルト座74には、それぞれギヤケーシング10の雌ネジ部18a(
図3参照)に連通するボルト挿通孔74aが形成されている。これらボルト挿通孔74aを介し、ギヤケーシング10の雌ネジ部18aに不図示のボルトが螺入される。これにより、ギヤケーシング10とカバー70とが締結固定される。
【0044】
軸受ハウジング72は略円筒状に形成されており、モータ軸線L1と同軸上に配置されている。そして、軸受ハウジング72を介し、出力軸51の上端がカバー70の軸方向上側に突出されている。
軸受ハウジング72の上下方向両端には、それぞれ軸受75a,75bが設けられている。これら軸受75a,75bに出力軸51が回転自在に支持されている。また、軸受ハウジング72内には、2つの軸受75a,75bの間に、カラー76が設けられている。このカラー76は、2つの軸受75a,75bの軸方向の位置決めを行っている。
【0045】
(減速機付モータの動作)
次に、減速機付モータ1の動作について説明する。
モータ部2の不図示のロータが回転することにより、このロータに連結されている偏心軸11が回転する。偏心軸11が回転すると、その回転を受けて第1揺動歯車13及び第2揺動歯車14が回転する。ここで、第1揺動歯車13は、偏心軸11の第1偏心部25に軸受29を介して回転自在に支持されている。また、第2揺動歯車14は、偏心軸11の第2偏心部26に軸受40を介して回転自在に支持されている。このため、各揺動歯車13,14は、モータ軸線L1回りに公転し、且つ対応する偏心部25,26の中心O1,O2(
図2参照)回りに、偏心軸11に対して減速回転する(噛合い1段目)。
【0046】
また、2つの揺動歯車13,14のうち、第1揺動歯車13は、出力歯車52に噛合されている。このため、第1揺動歯車13の揺動回転により、この第1揺動歯車13に対して動力が伝達され(噛合い2段目)、出力部15が回転する。これにより、減速機付モータ1の駆動力が出力される。
【0047】
ここで、第1偏心部25と第2偏心部26は、各々中心O1,O2が、モータ軸線L1を中心に180°ずれて配置されている。換言すれば、第1偏心部25の中心O1と第2偏心部26の中心O2は、モータ軸線L1を中心に点対称位置にある。つまり、第1揺動歯車13の貫通孔32と第2揺動歯車14の貫通孔42は、モータ軸線L1回りに180°ずれている。このため、第1揺動歯車13と第2揺動歯車14は、モータ軸線L1回りに180°ずれて揺動運動する。この結果、第1揺動歯車13の内歯33bと出力部15の外歯60aとが噛合されるタイミングと、第2揺動歯車14の貫通孔42と出力部15の突出部62とが噛合されるタイミングと、がモータ軸線L1回りに180°ずれる。
【0048】
すなわち、
図8に示すように、第1揺動歯車13の内歯33bと出力部15の外歯60aとが噛合されている位置がおよそ
図8中の右側であるとしたとき、
図9に示すように、第2揺動歯車14の貫通孔42と出力部15の突出部62とが噛合されている位置は、モータ軸線L1回りに180°ずれた位置(
図9中およそ左側)になる。なお、
図8、
図9は、何れも軸方向の同じ方向からみているものとする。
【0049】
このように、上述の実施形態では、モータ軸線L1回りに180°ずれた第1偏心部25と第2偏心部26を有する偏心軸11を備えている。そして、各偏心部25,26にそれぞれ揺動歯車13,14が設けられている。このため、第1偏心部25と第2偏心部26とにより互いに偏心分の重量バランスをとることができる。さらに、第1揺動歯車13と第2揺動歯車14が、モータ軸線L1を中心に点対称に動くことになるので、第1揺動歯車13の内歯33bと出力部15の外歯60aとの噛合い反力と、第2揺動歯車14の貫通孔42と出力部15の突出部62との噛合い反力と、を相殺させることができる。また、リングギヤ12の内歯27aと第1揺動歯車13の外歯33aの噛合い反力と、リングギヤ12の内歯27aと第2揺動歯車14の外歯41cとの噛合い反力と、を相殺させることができる。したがって、従来のようにバランスウェイトを設けることなく、減速機構3の駆動時における荷重バランスを調整でき、高効率な減速機付モータ1を提供できる。
【0050】
また、第1揺動歯車13の内歯33bの歯数、第2揺動歯車14の貫通孔42の個数は、第1揺動歯車13の外歯33a、第2揺動歯車14の外歯41c、及びリングギヤ12の内歯27aの歯数よりも少なく設定されている。このため、第1揺動歯車13の内歯33bの円ピッチは、第1揺動歯車13の外歯33aと比較して大きくなる。この結果、第1揺動歯車13の内歯33b間に、スペースを確保することが可能になる。このスペースを利用して第1揺動歯車13に貫通孔32を形成し、この貫通孔32を介して出力部15の突出部62を第2揺動歯車14に噛合させることができる。このため、減速機構3(減速機付モータ1)の小型化を図ることができる。また、第1揺動歯車13の内歯33bの歯数が少ない分、この内歯33bや出力部15の外歯60aを大きく形成することできる。このため、これら内歯33bや外歯60aの強度を、できる限り強くできる。
【0051】
さらに、第1揺動歯車13と第2揺動歯車14とを軸方向に重ねて配置し、各揺動歯車13,14の貫通孔32,42を利用して、第1揺動歯車13と出力部15の外歯60aとを噛合させているとともに、第2揺動歯車14と出力部15の突出部62とを噛合させている。このように、減速機構3を構成する各部品の不要なスペースをできる限り減少させることにより、減速機構3を小型化できる。
【0052】
また、出力歯車52の外歯60a、及び突出部62の歯形弧状面62aを、それぞれサイクロイド歯形で構成している。このため、外歯60a、及び突出部62の強度を強くすることができる。
また、出力歯車52の外歯60a、及び突出部62と、第1揺動歯車13の内歯33b、及び第2揺動歯車14の貫通孔42との接触を滑らかに行うことができる。このため、外歯60a、及び突出部62と、内歯33b、及び貫通孔42との噛合い抵抗をできる限り減少させることができる。この結果、減速機構3の伝達効率を向上させることができる。
【0053】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、噛合い1段目を構成するリングギヤ12の内歯27aの歯数は、43に設定され、第1揺動歯車13、及び第2揺動歯車14の各外歯33a,41cの歯数は、42に設定されている場合について説明した。また、噛合い2段目を構成する第1揺動歯車13の内歯33bの歯数、第2揺動歯車14の貫通孔42の個数、及び出力歯車52の外歯60aの歯数は、それぞれ9に設定されている場合について説明した。しかしながら、これらに限られるものではなく、第1揺動歯車13の内歯33bの歯数、第2揺動歯車14の貫通孔42の個数、及び出力歯車52の外歯60aの歯数は、同数であればよく、任意に設定することができる。
【0054】
また、上述の実施形態では、出力部15は、モータ軸線L1と同軸の略円柱状に形成された出力軸51と、出力軸51の下端に設けられた出力歯車52と、により構成されている場合について説明した。そして、これら出力軸51と出力歯車52とが、ボルト57によって締結固定されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、出力軸51と出力歯車52とを一体成形してもよい。