【実施例】
【0068】
<実施例1>
本実施例では、44歳男性、78歳男性並びに74歳女性の実際の被験者を対象として、
図5に示すように、各被験者の右足、右下腿、右大腿、左足、左下腿、左大腿および胴体の7つの身体部位に係る7リンクモデルを想定し、椅子に座っている状態から立ち上がるという日常生活における身体動作についてシミュレーションを行い、各被験者の右股関節、左股関節、右膝関節、左膝関節および胴体の関節トルクを算出した。
【0069】
また、 本シミュレーションでは、動作解析ソフトOpenSimを用い、Delp, S.L., Loan, J.P., Hoy, M.G., Zajac, F.E., Topp E.L., Rosen, J.M.: An inter active graphics-based model of the lower extremity to study orthopaedic surgical procedures, IEEE Transactions on Biomedical Engineering, vol. 37, pp. 757-767, 1990.、Yamaguchi G.T., Zajac F.E.: A planar model of the knee joint to characterize the knee extensor mechanism, Journal of Biomechanics, vol. 22. pp. 1-10, 1989.、Anderson F.C., Pandy M.G.: A dynamic optimization solution for vertical jumping in three dimensions, Computer Methods in Biomechanics and Biomedical Engineerin g, vol. 2, pp. 201-231, 1999.、Anderson F.C., Pandy M.G.: Dynamic optimization of human walking, Journal of Bio mechanical Engineering, vol. 123, pp. 381-390, 2001.、Delp S.L., Anderson F.C., Arnold A.S., Loan P., Habib A., John C.T., Guendelman E., Thelen D.G.: OpenSim: Open-source Software to Create and Analyze Dynamic Sim ulations of Movement, IEEE Transactions on Biomedical Engineering, vol. 54, No. 11, pp. 1940-1950, 2007.等に記載されているDelpらによって、開発された筋骨格モデルを基にして、7リンクモデルを構築し、シミュレーションを行った。
【0070】
なお、本実施例のその他の設定事項については、下記のとおりである。
・床や椅子からの反力はないものとした。
・被験者の身体部位の筋肉情報、脂肪情報、骨情報、体水分情報に基づき得られた質量はDEXAによる測定から得た。
・仮想人体モデルの身体部位のリンク長やリンク径を被験者ごとに測定した。
・仮想人体モデルの身体部位の足部は直方体として近似するとともに、足部以外は円柱として近似して体積を算出した。
・質量重心位置を仮想人体モデルの身体部位のリンク長の半分と定義した。
【0071】
而して、シミュレーションの結果、各被験者の立ち上がり動作における右股関節および左股関節の関節トルクは、
図6に示すように推移した。また、各被験者の立ち上がり動作における右膝関節および左膝関節の関節トルクは、
図7に示すように推移した。また、各被験者の立ち上がり動作における胴体の関節トルクは、
図8に示すように推移した。なお、
図6〜
図8に示す関節トルクはカットオフ周波数3Hzのローパスフィルタ処理を行っている。
【0072】
また、各被験者の立ち上がり動作における右股関節および左股関節の最大関節トルクは、
図9(a)に示すとおりとなった。また、各被験者の立ち上がり動作における右膝関節および左膝関節の最大関節トルクは、
図9(b)に示すとおりとなった。また、各被験者の立ち上がり動作における胴体の最大関節トルクは、
図9(c)に示すとおりとなった。
【0073】
また、各被験者の立ち上がり動作における右股関節および左股関節の最大関節トルクを各被験者の体重により正規化すると、
図10(a)に示すとおりとなった。また、各被験者の立ち上がり動作における右膝関節および左膝関節の最大関節トルクを各被験者の体重により正規化すると、
図10(b)に示すとおりとなった。また、各被験者の立ち上がり動作における胴体の最大関節トルクを各被験者の体重により正規化すると、
図10(c)に示すとおりとなった。
【0074】
<実施例2>
本実施例では、44歳男性、78歳男性並びに74歳女性の実際の被験者を対象として、
図11に示すように、各被験者の胴体、右大腿、右下腿の身体部位に係る3リンクモデルを想定し、椅子に座っている状態から立ち上がるという日常生活における身体動作についてシミュレーションを行い、各被験者の右股関節の関節トルクτを算出した。
【0075】
また、本シミュレーションでは、Nacy S.M., Hassan S.S., Hanna M.Y.: A MODIFIED DYNAMIC MODEL OF THE HUMAN LOWER LIMB DURING COMPLETE GAIT CYCLE, International Journal of Mechanical Engineering and Robotics Research, vol. 2, No. 2, pp. 8-19, 2013.に記載されているモデルを参考として、シミュレーションを行った。
【0076】
なお、本実施例のその他の設定事項については、下記のとおりである。
・床や椅子からの反力はないものとした。
・被験者の身体部位の筋肉情報、脂肪情報、骨情報、体水分情報に基づき得られた質量はDEXAによる測定から得た。
・仮想人体モデルの身体部位のリンク長やリンク径を被験者ごとに測定した。
・仮想人体モデルの身体部位の足部は直方体として近似するとともに、足部以外は円柱として近似して体積を算出した。
・質量重心位置を仮想人体モデルの身体部位のリンク長の半分と定義した。
【0077】
なお、本実施例における関節トルクτの算出に用いた慣性項M(q)、コリオリ・遠心力項C(q、q’)、重力項G(q)、外力項E(q、q’)並びに各記号の定義を
図15〜
図18に示す。
【0078】
而して、シミュレーションの結果、各被験者の立ち上がり動作における右股関節の関節トルクτは、
図12の実線に示すように推移した。また、各被験者の立ち上がり動作における右股関節の関節トルクτの重力項G(q)は、
図12の点線に示すように推移した。なお、
図12に示す関節トルクτはカットオフ周波数3Hzのローパスフィルタ処理を行っている。
【0079】
また、各被験者の立ち上がり動作における右股関節の関節トルクτの絶対値は、
図13の実線に示すように推移した。なお、
図13では、関節トルクτの重力項G(q)も併せた状態で表示している。
【0080】
また、各被験者の立ち上がり動作における右股関節の関節トルクτの絶対値と重力項G(q)の差分は、
図14の実線に示すように推移した。
【0081】
<実施例3>
本実施例では、実施例1、実施例2のような方法で算出した評価結果をより直感的に把握しやすくするために、
図19に示すように、例えば、仮想人体モデルの各部位に円などを描画し、被験者が発揮した力(関節トルクなど)の大きさに応じて色を変更する。これによれば、被験者の身体部位がどの程度の大きさの力を発揮したかを一目で確認でき、どの身体部位が弱ってきているかなどを容易に発見できる。
また、実施例2で示したように重力項Gを被験者が動作を行うのに最低限必要なトルクを「最低必要発揮力」とし、被験者が発揮した関節トルク「あなたの発揮力」とともに表示する。これによれば、個々の被験者の体格に基づく最低限日常生活に必要な力(関節トルクなど)をどの程度上回っているかを確認でき、被験者が日常生活の動作をどの程度余裕を持って行うことができているかをより直感的に理解することができる。
さらに、得られた「あなたの発揮力」が「最低必要発揮力」を上回った度合いなどの発揮力に関する情報を得点に換算することで、身体能力の度合いをより理解しやすくできる。
【0082】
<実施例4>
本実施例では、44歳男性、78歳男性並びに74歳女性の実際の被験者を対象として、
図20に示すように、DEXAによる実測から得られた各被験者の筋肉情報、脂肪情報、骨情報、体水分情報に基づき得られた脚の質量と特許文献3で用いられている体重と身体寸法データから推定する手法によって得られた脚の重さとの比較を行った。体重と身体寸法データからの推定では、「岡田ら;「日本人高齢者の身体部分慣性特性」、バイオメカニズム13」の質量比を用いて体重から脚の重さの推定を行った。
図20(a)のようにDEXAによる実測から得られた各被験者の筋肉情報、脂肪情報、骨情報、体水分情報に基づき得られた脚の質量においては、左脚と右脚の質量の左右差がみられる。それに対して、特許文献3で用いられている体重と質量比のデータから推定する手法を用いた場合には、脚の質量に左右差があらわれず、
図20(b)のとおりである。
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。