(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のコネクタが実装された基板と、前記基板を収納した筐体とを備え、前記複数のコネクタに設けられた取付部が前記筐体に設けられた被取付部に取り付けられている電子回路ユニットの製造方法であって、
前記複数のコネクタの前記取付部同士の相対位置を前記被取付部に取り付けた後の位置に位置合わせするための治具を前記取付部に取り付けることにより、前記コネクタ同士の位置決めを行う取付工程と、
前記治具を取り付けた前記複数のコネクタを前記基板に実装する実装工程と、
前記実装工程後に前記複数のコネクタから前記治具を取り外す取外工程と、
前記取外工程後に前記複数のコネクタの前記取付部を前記筐体の前記被取付部に取り付けて前記基板を前記筐体に収納する収納工程とを含む電子回路ユニットの製造方法。
複数のコネクタが実装された基板と、前記基板を収納した筐体と、前記複数のコネクタに取り付けられて前記コネクタ同士の位置決めを行う治具とを備え、前記治具は前記複数のコネクタに設けられた取付部に取り付けられており、前記治具が前記筐体に設けられた被取付部に取り付けられている電子回路ユニットの製造方法であって、
前記複数のコネクタの前記取付部に前記治具を取り付けることにより、前記コネクタ同士の位置決めを行う取付工程と、
前記治具を取り付けた前記複数のコネクタを前記基板に実装する実装工程と、
前記実装工程後に前記治具を前記筐体に取り付けて前記基板を前記筐体に収納する収納工程とを含み、
前記取付部は、互いに所定間隔を隔てて対向配置された複数の板状部材を有し、
前記筐体は、前記被取付部として、前記所定間隔に対応する溝幅を有する係合溝を有し、
前記取付工程では、前記板状部材同士の間に前記治具を嵌め込むことにより、前記治具を前記コネクタに取り付け、
前記収納工程では、対向配置された前記板状部材及び前記治具を、前記筐体に形成された前記係合溝に挿入することにより前記取付部を前記被取付部に取り付け、前記治具が前記筐体の一部を構成する電子回路ユニットの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図9は、本実施形態に係る電子回路ユニット1の全体を示す斜視図である。
本実施形態においては、電子回路ユニット1が有するコネクタ30の接続部32a,32bの開口方向(
図8、
図9の矢印A1方向)を前方として説明する。また、当該コネクタ30の端子37a,37b側(
図8、
図9の矢印A2方向)を後方として説明する。
図8、
図9の矢印A3方向を右方、
図8、
図9の矢印A4方向を左方として説明する。
図9の上側を上方として説明する。
【0010】
電子回路ユニット1は、例えば、バックホー、コンパクトトラックローダ(CTL)、スキッドステアローダ(SSL)等の建設機械や、トラクタやコンバイン等の農業機械などの作業機(搭載機器)に搭載される。
電子回路ユニット1は、基板10を有する。基板10は、第1電装品と第2電装品と第3電装品とを制御する制御部を有する。
【0011】
第1電装品は、作業機が有する操縦装置を含む機器であって、操縦装置の操作量を検出して電子回路ユニット(制御部)1に出力する機器である。この実施形態では、第1電装品は、例えば、操作スイッチ,操作センサ等である。
第2電装品は、コントロールバルブ等の油圧装置に含まれる機器であって、電子回路ユニット1が操作量に基づいて演算した制御信号に基づいて油圧装置を作動させる機器である。この実施形態では、第2電装品は、ソレノイドである。
【0012】
第3電装品は、作業機に設けられた表示部を含む。詳しく説明すると、表示部は、作業機の運転席の周りに設けられたディスプレイであって、作業機の各種情報を表示する。表示部は、例えば、作業機が有する原動機の回転数や、作業機の走行装置の車速等を表示することができる。
電子回路ユニット1は、基板10本体に実装された複数の電子部品11を有する。この複数の電子部品11は、例えば、CPU(中央演算処理ユニット)やメモリやソレノイドを駆動する電子回路(ドライバ)等である。
【0013】
基板10と第1電装品、第2電装品、及び第3電装品は、それぞれケーブルによって接続されている。詳しく説明すると、操作センサ及び操作スイッチ等の第1電装品には、第1ケーブルが接続され、この第1ケーブルを介して操作センサ及び操作スイッチが電子回路ユニット1に接続されている。各比例ソレノイド等の第2電装品には、第2ケーブルが接続され、この第2ケーブルを介して各比例ソレノイドが電子回路ユニット1に接続されている。表示部等の第3電装品には、第3ケーブルが接続され、この第3ケーブルを介して表示部等が電子回路ユニット1に接続されている。
【0014】
図9に示すように、電子回路ユニット1は、基板10を収容する筐体20を有する。筐体20は、一面が開放した矩形の箱状に形成されている。本実施形態では、筐体20は、上面が開放している。また、筐体20は、上下の方向である縦方向に対して、当該縦方向に直交する横方向(前後方向および左右方向)の寸法が長い矩形状である。なお、筐体20は、基板10を収納することができ、コネクタ30の接続部32a,32bが筐体20から露出していればよく、筐体20の形状は矩形状に限らない。また、作業機への電子回路ユニット1の取り付け方向は限定されず、例えば、筐体20の開放した一面が作業機の前進する方向、後退する方向、或いは側方に向かって配置されていてもよい。
【0015】
図7や
図9等に示すように、筐体20は、底板21と、外壁22とを有する。底板21は、筐体20の下部を構成する。外壁22は、底板21から上方向に向かって突出している。外壁22について、詳しく説明すると、外壁22は、第1壁部22aと、第2壁部22bと、第3壁部22cと、第4壁部22dと、有する。第1壁部22aは、筐体20の前部を構成し、第2壁部22bは、筐体20の後部を構成する。第1壁部22aと第2壁
部22bとは、前後方向で対向する。第3壁部22cは、筐体20の右部を構成し、第1壁部22aと第2壁部22bの右部同士と連結している。第4壁部22dは、筐体20の左部を構成し、第1壁部22aと第2壁部22bの左部同士を連結している。第3壁部22cと第4壁部22dとは、横方向で対向する。
【0016】
第1壁部22aには、当該第1壁部22aに取り付けられるコネクタ30の個数に応じた数(本実施形態では2つ)の複数の開口部24が形成されている。各開口部24は、上方から下方に向けて凹設されていて、正面視で矩形状の形状を有している。開口部24は、当該筐体20に収納されたコネクタ30の接続部32a,32bが外部に露出する部分である。開口部24の縁部25には、当該縁部25の長手方向に沿って係合溝26が形成されている。なお、開口部24は、第1壁部22aに限らず、筐体20に開口部24が形成されていればよく、例えば、第2壁部22bに開口部24が形成されている構成であってもよい。さらに、コネクタ30の接続部32a,32bは、当該筐体20から外部に露出していればよく、同一の開口部24から、接続部32a,32bが露出しているような構成であってもよい。
【0017】
図9に示すように、第1壁部22aには、複数のコネクタ30が取り付けられる。複数のコネクタ30は、第1コネクタ30aと、第2コネクタ30bとを含む。即ち、第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bは、筐体20の前部に取り付けられている。
第1コネクタ30aには、第1ケーブル及び第2ケーブルの接続コネクタが接続される。言い換えると、第1コネクタ30aは、作業機の情報を伝送する接続コネクタを接続可能なコネクタ30である。第1コネクタ30aについて詳しく説明すると、
図8に示すように、第1コネクタ30aは、コネクタハウジング31aと、端子37aとを有する。コネクタハウジング31aは、接続部32aと、基板取付部33aと、取付部34aと、固定部35aを有する。本実施形態において、第1コネクタ30aは、2つの接続部32aを有する。
【0018】
接続部32aは、第1ケーブルの接続コネクタ及び第2ケーブルの接続コネクタと嵌合する部分である。この接続部32aは、夫々、第1ケーブルの接続コネクタ及び第2ケーブルの接続コネクタに挿入される。なお、接続部32aは、接続コネクタと嵌合できればよく、例えば、第1ケーブルの接続コネクタ及び第2ケーブルの接続コネクタを接続部32aに挿入するような構成であってもよい。なお、第1コネクタ30aの接続部32aの数は2つに限定されない。つまり、コネクタハウジング31aは、当該コネクタ30に接続されるケーブルの本数に対応する数の接続部32aを有する。また、
図8や
図9に示すように、第1コネクタ30aが実装された基板10が筐体20に収納されている場合、接続部32aは、第1壁部22aから前方に突出している。コネクタハウジング31aの後部は、筐体20内に位置している。コネクタハウジング31aの後部には、
図4,
図5,
図8に示すように、基板取付部33aが後方突出状に設けられている。
【0019】
基板取付部33aは、端子37aを保持するための部分である。具体的に説明すると、
図8に示すように、基板取付部33aは、接続部32aから延設された端子37aが挿入される孔33a1を複数有する。接続部32aから延設された端子37aは、基板取付部33aの孔33a1に挿入されることで保持される。つまり、
図3,
図4に示すように、接続部32a側から延設された端子37aは、当該孔33a1を介して、基板10のスルーホール12に挿入される。
【0020】
取付部34aは、筐体20の係合溝26に圧入されることで、当該第1コネクタ30aを筐体20に固定する部分である。取付部34aについて具体的に説明すると、取付部34aは、例えば、コネクタハウジング31aの外方に張り出していている鍔部である。取付部34aは、複数の板状部材34a1を含む。本実施形態では、複数の板状部材34a1は、2つの離間した板状部材34a1である。これら2つの板部材34a1は、コネクタハウジング31aの周囲に亘って突出し、且つ、前後方向に向かって並列に並んでいる。言い換えれば、2つの板状部材34a1のうち一方の板状部材34a1は、他方の板状部材34a1と前後方向で対向している。なお、取付部34aが有する板状部材34a1の数は、2つに限定されず、少なくとも離間した2以上の板状部材34a1を有していれ
ばよい。
【0021】
固定部35aは、第1コネクタ30aを基板10に仮止めする部材である。具体的に説明すると、
図2の上図に示すように、固定部35aは、基板取付部33aの左、中央、右に設けられている。固定部35aは、上下方向に沿って、貫通孔35a1が貫通されている。第1コネクタ30aは、ネジ35a2又はボルト等を基板10に形成された第1固定孔13及び貫通孔35a1に挿入して、基板10に固定される。なお、固定部35aは、第1コネクタ30aと基板10とを固定できればよく、固定部35aの数は限定されないし、固定方法も限定されない。つまり、固定部35aの数は、1つであってもよいし、2つであってもよい。また、第1コネクタ30aと基板10との固定方法は、例えば、固定部35aから下方に向かって突出した爪を、第1固定孔13に挿入するような構成であってもよい。
【0022】
図4に示すように、端子37aは、接続部32aから基板取付部33aに亘って設けられた導入ピンである。言い換えれば、端子37aは、コネクタハウジング31aに設けられている。つまり、当該端子37aは、第1コネクタ30aが挿入された接続コネクタから電子回路ユニット1へ伝送される信号や、電子回路ユニット1から当該接続コネクタへ伝送される信号を伝送する。端子37aは、複数の接続端子37a1を含む。当該複数の接続端子37a1は、基板10に設けられた孔であるスルーホール12に挿入される。
【0023】
第2コネクタ30bには、第3ケーブルの接続コネクタが接続される。言い換えると、第2コネクタ30bは、映像信号を含む信号を伝送する接続コネクタを接続可能なコネクタ30である。第2コネクタ30bについて詳しく説明すると、
図8に示すように、第2コネクタ30bは、コネクタハウジング31bと、端子37bとを有する。コネクタハウジング31bは、接続部32bと、基板取付部33bと、取付部34bと、固定部35bを有する。
【0024】
接続部32bは、第3ケーブルの接続コネクタと嵌合する。この接続部32bは、第3ケーブルの接続コネクタが挿入される。なお、接続部32bは、接続コネクタと嵌合できればよく、例えば、第3ケーブルの接続コネクタに接続部32aを挿入するような構成であってもよい。また、第2コネクタ30bが有する接続部32bの数は1つに限定されず、コネクタハウジング31bは、当該接続されるケーブルの本数に対応する数の接続部32bを有する。また、
図9に示すように、第2コネクタ30bが実装された基板10が筐体20に収納されている場合、接続部32bは、第1壁部22aから前方に突出している。コネクタハウジング31bの後部は、筐体20内に位置している。コネクタハウジング31bの後部には、基板取付部33bが後方突出状に設けられている。
【0025】
図2の上図に示すように、基板取付部33bは、端子37bが貫通する孔33b1を複数有する。具体的に説明すると、当該孔33b1は、接続部32bからコネクタハウジング31b内部に延設された端子37bが下方に向かって突出する。つまり、
図3に示すように、接続部32b側から延設された端子37bは、当該孔33b1を介して、基板10のスルーホール12に挿入される。
【0026】
取付部34bは、筐体20の係合溝26に圧入されることで、当該第2コネクタ30bを筐体20に固定する部分である。取付部34bについて具体的に説明すると、取付部34bは、例えば、コネクタハウジング31bの外方に張り出していている鍔部である。取付部34bは、複数の板状部材34b1を含む。例えば、複数の板状部材34b1は、2つの離間した板状部材34b1である。板部材34b1は、コネクタハウジング31bの周囲に亘って突出し、且つ、前後方向に向かって並列に並んでいる。言い換えれば、2つの板状部材34b1のうち一方の板状部材34b1は、他方の板状部材34b1と前後方向で対向している。なお、取付部34bが有する板状部材34b1の数は、2つに限定されず、少なくとも離間した2以上の板状部材34b1を有していればよい。
【0027】
固定部35bは、第2コネクタ30bを基板10に仮止めする部材である。固定部35bは、基板取付部33bの下部から下方に向かって突出している。具体的に説明すると、例えば、固定部35bは、基板取付部33bの下部の左右一対に突出した爪部35b1を含む。当該爪部35b1は、基板10に開口された第2固定孔14に挿入され、第2コネ
クタ30bを基板10に固定する。なお、第2コネクタ30bと基板10との固定方法は特に限定されるものではなく、例えば、基板取付部33bに開口された孔と、当該孔にネジやボルトを挿入するような構成であってもよい。
【0028】
図5に示すように、端子37bは、接続部32bからコネクタハウジング31b内部を通り、且つ、基板取付部33bから下方に突出した導入ピンである。言い換えれば、端子37bは、コネクタハウジング31bに設けられている。つまり、当該端子37bは、第2コネクタ30bが挿入された接続コネクタから電子回路ユニット1へ伝送される信号や、電子回路ユニット1から当該接続コネクタへ伝送される信号を伝送する。具体的に説明すると、例えば、端子37bは、複数の接続端子37b1を含む。当該複数の接続端子37b1は、左右の爪部35b1の間から下方に向かって突出している。複数の接続端子37b1は、基板10に設けられた孔であるスルーホール12に挿入される。
【0029】
基板10は、ポッティング(樹脂ポッティング)によって筐体20に固定されている。ポッティングは、基板10を収容した筐体20内にポッティング材(2液性ウレタン樹脂)8を注入し、注入後、恒温槽にてポッティング材8を硬化させることにより行われる。
さて、以下において、上述したような電子回路ユニット1の製造方法について説明する。
図10に示すように、電子回路ユニット1の製造方法は、取付工程S1と、実装工程S2と、取外工程S3と、収納工程S4と、樹脂工程S5と、を含む。
【0030】
図1Aに示すように、取付工程S1は、第1コネクタ30aと、第2コネクタ30bとに治具50を取り付ける工程である。言い換えれば、取付工程S1は、複数のコネクタ30を基板10に実装する前に、複数のコネクタ30のそれぞれの取付部34a,34bに
治具50を取り付けることで当該複数のコネクタ30の位置決めを行う工程である。治具50は、第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bと係合する複数の切欠き部51が形成されている。例えば、治具50は、櫛形状に形成された板部材である。第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bの治具50への取り付け方法について、詳しく説明すると、
図1Aに示すように、第1コネクタ30aの取付部34aが有する2つの板状部材34a1の間に、
治具50の切欠き部51に嵌め込んで、第1コネクタ30aに治具50を取り付ける。第2コネクタ30bの取付部34bが有する板状部材34b1の間に、
治具50の切欠き部51を嵌め込んで、第2コネクタ30bに治具50を取り付ける。つまり、
図2の上図に示すように、第1コネクタ30aの取付部34aと、第2コネクタ30bの取付部34bとは直線状に並ぶ。これによって、
図2の下図や、
図4及び
図5に示すように、第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bを、実装位置にずれを生じさせることなく、設計通りの位置に配置することができる。なお、本実施形態において、複数のコネクタ30は、第1コネクタ30aと第2コネクタ30bの2つであるため、治具50は2つの切欠き部51が形成されているが、複数のコネクタ30が3つのコネクタを含む場合は、当該切欠き部51は、3つとなる。また、複数のコネクタ30が4つコネクタを含む場合は、当該切欠き部51は、4つとなる。また、当該治具50の形状は、本実施形態において櫛形状に形成された板部材であるが、複数のコネクタ30を設計通りの実装位置に配置することができればよく、どんな形状であってもよい。例えば、第1コネクタ30aが、基板10の前部に配置され、第2コネクタ30bが基板10の後部に配置される場合にあっては、
図1Bに示すように、治具50の形状は、Uの字形状となる。
【0031】
図2〜
図6、
図10に示すように、実装工程S2は、治具50に取り付けた第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bを基板10に実装する工程である。言い換えれば、実装工程S2は、治具50によって位置決めされた複数のコネクタ30を基板10に実装する工程である。詳しくは、実装工程S2は、コネクタ30の端子37a,37bを基板10のスルーホール12に挿入し、挿入した反対側のスルーホール12から突出した当該端子37a,37bに対して半田付けを行う。
【0032】
実装工程S2について、具体的に説明すると、実装工程S2は、仮止工程S2aと、半田工程S2bと、除去工程S2cを含む。
図3に示すように、仮止工程S2aは、治具50に取り付けた第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bを、基板10に仮止めする工程である。具体的に説明すると、第1コ
ネクタ30aの固定部35の貫通孔35a1に対応して基板10上に形成された第1固定孔13と、当該貫通孔35a1とを位置合わせする。第2コネクタ30bの爪部35b1を第2固定孔14に挿入して、第2コネクタ30bを基板10に固定する。係る場合、第1コネクタ30aの接続端子37a1及び第2コネクタ30bの接続端子37b1が、基板10に設けられたスルーホール12に挿入される。基板10の下面から第1固定孔13にネジ35a2を挿入して、第1コネクタ30aを基板10に固定する。
【0033】
第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bの配置について詳しく説明すると、
図2の下図に示すように、第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bとは、基板10の外周よりも内側に配置される。なお、第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bの前側は、基板10の前側よりも内側に配置されていればよく、当該位置は限定されない。
半田工程S2bは、仮止工程S2aで基板10に仮止めされた第1コネクタ30aの端子37a及び第2コネクタ30bの端子37bを、基板10に半田付けする工程である。具体的に説明すると、例えば、端子37a,37bの半田付けは、噴流半田槽を用いて行う。なお、半田付けの方法は、噴流半田槽に限定されず、例えば、スポットフロー、或いはその他の方法であってもよい。
【0034】
半田付けを噴流半田槽で行う場合、
図4及び
図5に示すように、第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bが仮止めされた基板10をコンベアーで槽内へ送り、槽内で溶かした半田を噴き上げる。詳しく説明すると、噴流半田槽では、一次噴流と、二次噴流とで、端子37a,37bに半田付けがされる。一次噴流は、複数の噴出穴を有するノズルから噴き上げられた半田である。当該一次噴流は、端子37a,37bの凹凸部に半田付けする。二次噴流は、一次噴流よりも緩やかに噴出された半田である。当該二次噴流は、端子37a,37bとスルーホール12の中に充填する。これによって、一次噴流及び二次噴流は、端子37a,37bと基板10とに半田付けを行う。つまり、噴流半田槽を使用して、半田付けを行う場合、
図4及び
図5に示すように、溶けた半田が下から噴き上げられる。係る場合、第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bは、基板10の端部よりも内側に配置されている。これによって、第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bへの半田の付着を軽減することができる。このため、溶けた半田がコネクタ30に付着して、半田が当該コネクタ30を変質や変形させることを軽減できる。
【0035】
図6に示すように、除去工程S2cは、第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bが半田付けされた基板10から、当該基板10の一部を取り外す工程である。具体的に説明すると、除去工程S2cでは、少なくとも第1コネクタ30aの取付部34a及び第2コネクタ30bの取付部34bと基板10とが重畳する部分よりも外側の部分を折り取る。また、以下の説明において、基板10のうち、当該取り外す一部を重畳部(外縁部)17という。言い換えれば、重畳部17は、噴流半田槽での半田付けにおいて、溶けた半田が第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bに付着することを軽減する部分である。基板10には、例えば、当該重畳部17との境界に、予め溝18が彫られており、重畳部17を基板10から簡単に折り取ることができる。つまり、余剰部分である重畳部17を簡単に除去することができる。なお、基板10から重畳部17を取り外すことができればよく、重畳部17を取り外す方法は、折り取る方法でなくともよい。例えば、ディスクカッターを用いて重畳部17を切断するような方法であってもよい。
【0036】
取外工程S3は、少なくとも第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bを基板10に実装したあと、当該第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bから治具50を取り外す工程である。具体的に説明すると、取外工程S3は、第1コネクタ30aの取付部34a、及び第2コネクタ30bの取付部34bから治具50を取り外す工程である。言い換えれば、取外工程S3は、収納工程S4の前に、取付工程S1で取り付けられた
治具50を、複数のコネクタ30の取付部34a,34bから取り外す工程である。
【0037】
図7に示すように、収納工程S4は、第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bが実装された基板10を筐体20に収納する工程である。言い換えれば、収納工程S4は、実装工程S2で複数のコネクタ30を実装した基板10を筐体20に収納する工程である。収納工程S4では、第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bの取付部34a,34b
を第1壁部22aに圧入する。具体的に説明すると、収納工程S4では、第1コネクタ30aの各板状部材34a1の外周側、及び第2コネクタ30bの各板状部材34b1の外周側を、筐体20に形成された係合溝26に圧入し、且つ基板10を筐体20に収納する。係る場合、第1コネクタ30aの取付部34aの上部と、第2コネクタ30bの取付部34bの上部と、筐体20の第1壁部22aの上部と、が面一となる。また、
図8に示すように、第1コネクタ30aの取付部34aと、第2コネクタ30bの取付部34bとの位置は直線状に並んでいる。このため、第1コネクタ30aの取付部34a及び第2コネクタ30bの取付部34bを係合溝26に容易に圧入することができる。また、本実施形態では、治具50を用いて、第1コネクタ30aと第2コネクタ30bとの相対位置を正確に位置合わせした状態で第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bを基板10に実装している。このため、第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bを筐体20に圧入したときに接続端子37a1,37b1及び半田にストレスがかからない。これにより、作業機の長期間の使用期間中に、作業機の振動や、温度変化(温度サイクル)に起因する応力が繰り返し作用した場合であっても、コネクタ30の接続端子37a1,37b1及び半田にかかる負担を軽減し、クラックの発生や端子の接続不良等の不具合を防止することができる。
【0038】
図9に示すように、樹脂工程S5は、ポッティング(樹脂ポッティング)によって基板10を筐体20に固定する工程である。樹脂工程S5では、基板10を収容した筐体20内にポッティング材(2液性ウレタン樹脂)8を注入する。そして、ポッティング材8の注入後、恒温槽にてポッティング材8を硬化させる。つまり、樹脂工程S5は、基板10が収納された筐体20にポッティング材8を注入して、基板10及び複数のコネクタ30をポッティング材8で覆う工程である。なお、樹脂工程S5を、ポッティング工程S5ということがある。
【0039】
以上のように、本実施形態にかかる電子回路ユニット1の製造方法は、複数のコネクタ30の取付部34a,34bに治具50を取り付けることにより、コネクタ30同士の位置決めを行う取付工程S1と、治具50を取り付けた複数のコネクタ30を基板10に実装する実装工程S2と、実装工程S2後に複数のコネクタ30から治具50を取り外す取外工程S3と、取外工程S3後に複数のコネクタ30の取付部34a,34bを筐体20の被取付部(係合溝26)に取り付けて基板10を筐体20に収納する収納工程S4と、を含む。
【0040】
上記の方法によれば、複数のコネクタ30を筐体20に取り付けるための取付部34a,34bを利用して治具50を取り付けることでコネクタ30同士の位置決めを行うとともに、コネクタ30同士を位置決めした状態で各コネクタ30を基板10に実装できる。これにより、複数のコネクタ30を正確な実装位置に容易に組み付けることができる。このため、複数のコネクタ30の取付部34a,34bを筐体20の被取付部(係合溝26)に取り付ける際、各コネクタ30の端子37a,37bに加わるストレスを低減させることができる。その結果、電子回路ユニット1を搭載した搭載機器(作業機)の振動や、長期間の使用中に生じる温度サイクルなどによってコネクタ30の接続端子37a1,37b1及びその周辺にかかるストレスを低減し、クラックの発生等の不具合が生じることを抑制できる。また、複数のコネクタ30を筐体20に取り付けるための取付部34a,34bを、治具50の取り付けに利用することができる。したがって、治具50を取り付けるための部材を別途設ける必要がないので、コネクタ30同士の位置決めを低コストで行うことができる。
【0041】
また、取付部34a,34bは、互いに所定間隔を隔てて対向配置された複数の板状部材34a1,34b1を有し、取付工程S1では、板状部材34a1,34b1同士の間に
治具50を嵌め込むことにより、治具50をコネクタ30に取り付ける。これにより、治具50を板状部材34a1,34b1に容易に取り付けることができる。
また、筐体20は、被取付部として、前記所定間隔に対応する溝幅を有する係合溝26を備え、収納工程S4では、対向配置された板状部材34a1,34b1を、筐体20に形成された係合溝26に挿入することにより取付部34a,34bを被取付部に取り付ける。これにより、コネクタ30を筐体20に容易に取り付けることができる。
【0042】
また、実装工程S2では、複数のコネクタ30に設けられた端子37a,37bを基板10に半田付けする。これにより、電子回路ユニット1を搭載した搭載機器(作業機)の振動や、長期間の使用中に生じる温度サイクルなどによってコネクタ30の接続端子37a1,37b1及び半田にかかるストレスを低減し、クラックの発生等の不具合が生じることを抑制できる。
【0043】
また、実装工程S2は、複数のコネクタ30を基板10の外縁部(重畳部17)よりも内側に配置して半田付けを行う半田工程S2bと、半田工程S2bの後、基板10の外縁部(重畳部17)を除去することにより、取付部34a,34bを含むコネクタ30の一部を基板10の基板面上の領域の外側に配置する除去工程S2cとを含む。これにより、半田付けを行う際に、溶けた半田がコネクタ30に付着するなどしてコネクタ30の変質や変形が生じることを防止できる。
【0044】
また、電子回路ユニット1を、複数のコネクタ30の取付部34a,34bに治具50を取り付けることにより、コネクタ30同士の位置決めを行う取付工程S1と、治具50を取り付けた複数のコネクタ30を基板10に実装する実装工程S2と、実装工程S2後に治具50を筐体20に取り付けて基板10を筐体20に収納する収納工程S4とを含む方法により製造してもよい。
【0045】
この方法でも、複数のコネクタ30を正確な実装位置に容易に組み付けることができる。また、複数のコネクタ30の取付部34a,34bを筐体20の被取付部(係合溝26)に取り付ける際、各コネクタ30の端子37a,37bに加わるストレスを低減させることができる。
また、電子回路ユニット1は、作業機に搭載される電子回路ユニットであって、複数のコネクタ30は、作業機の情報を伝送する接続コネクタを接続可能な第1コネクタ30aと、映像信号を含む信号を伝送する接続コネクタを接続可能な第2コネクタ30bとを含む。これにより、過酷な環境下で使用される作業機に用いられる場合であっても、クラックの発生等に起因する作業機の情報伝達機能の低下や映像品位の低下などを抑制できる。
【0046】
また、収納工程S4は、筐体20に収容された基板10を樹脂で覆うポッティング工程(樹脂工程)S5を含んでいる。これにより、電子回路ユニット1の防水性、強度、及び耐久性を向上させることができる。
なお、上述した実施形態では、取付工程S1において、第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bの全てのコネクタ30を治具50に取り付けたが、これに限るものではない。例えば、取付工程S1では複数のコネクタ30のうちの一部のコネクタを治具50に取り付け、
仮止工程S2aにおいて複数のコネクタ30のうちの他のコネクタを基板10に仮止し、基板10に仮止した前記他のコネクタに、前記一部のコネクタが取り付けられた治具50を取り付けるようにしてもよい。或いは、取付工程S1において複数のコネクタ30のうちの一部のコネクタを治具50に取り付け、仮止工程S2aにおいて治具50が取り付けられたコネクタを基板10に仮止し、基板10に仮止されているコネクタに取り付けられている治具50に複数のコネクタ30のうちの他のコネクタを取り付けて基板10に仮止するようにしてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態においては、
治具50に形成された複数の切欠き部51を、コネクタ30が有する互いに離間した板状部材34a1,34b1の間に嵌め込むが、コネクタ30に対する治具50の取付方法はこれに限るものではない。例えば、
図1Cに示すように、治具50にスリット52を形成しておき、このスリット52にコネクタ30が有する板状部材34a1,34b1を嵌め込む(圧入する)ような構成であってもよい。なお、当該スリット52は、コネクタ30が有する互いに離間した板状部材34a1,34b1の両方を嵌め込む構成に限るものではなく、例えば、離間した板状部材34a1,34b1のうち、一の板状部材34a1,34b1を嵌め込む構成であってもよい。また、本実施形態では、コネクタ30a,30bがそれぞれ2枚の板状部材34a1,34b1を備えている構成について説明しているが、これに限らず、コネクタ30a,30bに備えられる板状部材34a1,34b1はそれぞれ1枚であってもよく、3枚以上であってもよい。
【0048】
また、上述した実施形態においては、コネクタ30の取付部34a,34bに治具50を取り付けて、コネクタ30を直線状に並べるが、筐体20の係合溝26を用いてコネクタ30を直線状に並べるような構成であってもよい。言い換えれば、筐体20を治具50として用いる構成であってもよい。具体的に説明すると、筐体20の開口部24に形成されている係合溝26に、複数のコネクタ30の取付部34a,34bを夫々圧入して、当該複数のコネクタ30を直線状に並べる。その後、筐体20の係合溝26に圧入された各コネクタ30に基板10の仮止、及び半田付けを行う。
【0049】
また、
図1Dに示すように、コネクタ30が取り付けられた治具50を第1壁部22aの係合溝26に圧入するような構成であってもよい。言い換えれば、治具50が第1壁部22aの一部を構成とするようなものであってもよい。つまり、筐体20の開口部24が有する係合溝26に治具50及び取付部34a,34bを圧入する。係る場合においては、開口部24の隣接する係合溝26が各々連結される。これによって、第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bを直線状に並べる治具50を、第1壁部22aの一部として用いることができる。
【0050】
また、上述した実施形態においては、第1コネクタ30a及び第2コネクタ30bを夫々、治具50に取り付けて、コネクタ30を直線状に並べる構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、
図1Eの上図に示すように、複数のコネクタ30のうち一のコネクタ30の取付部34a,34bを治具として、一のコネクタ30と他のコネクタ30とを予め結合し、当該複数のコネクタ30を直線状に並べるような構成であってもよい。言い換えれば、当該一のコネクタ30と他のコネクタ30は、コネクタアセンブリ39を構成する。詳しく説明すると、
図1Eの上図に示すように、第1コネクタ30aの取付部34aの左部から左側に向かって第2コネクタ30bの取付部34bの右部と接続する嵌合部39aが突出している。つまり、取付工程S1において、第1コネクタ30aの嵌合部39aを、第2コネクタ30bの離間した板状部材34b1の間に嵌め込む。これによって、複数のコネクタ30のうち一のコネクタ30の取付部34を治具として、一のコネクタ30と他のコネクタ30とを予め結合し、当該複数のコネクタ30を直線状に並べて位置決めすることができる。なお、一のコネクタ30と他のコネクタ30とを予め結合する場合であっても、コネクタアセンブリ39を治具50に取り付けるような構成であってもよい。係る場合、
図1Eの下図に示すように治具50の切欠き部51は一つであってもよい。なお、複数のコネクタ30を夫々結合し、複数のコネクタアセンブリ39とする場合、治具50は、コネクタアセンブリ39の数に対応した数の切欠き部51が形成される。
【0051】
なお、本実施形態では、電子回路ユニット1を建設機械や農業機械などの作業機(搭載機器)に搭載する構成について説明したが、電子回路ユニット1が搭載される搭載機器はこれに限るものではない。
また、本実施形態では、電子回路ユニット1が作業機の電装品の制御を行う制御部である構成について説明したが、これに限らず、例えば、各種信号を中継する中継部、各種情報を記録する記録部、各種情報の通信を行う通信部等であってもよい。
【0052】
また、本実施形態では、第1コネクタ30aが作業機の情報を伝送する接続コネクタであり、第2コネクタ30bが映像信号を含む信号を伝送する接続コネクタである構成について説明したが、各コネクタ30の用途はこれに限るものではない。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。