【文献】
社団法人 日本化学会 編,標準 化学用語辞典 第2版 ,丸善株式会社,2005年 3月31日,250頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
医薬品、生物活性化合物、吸収材料、パーソナルケア化合物、活性成分、治療助剤のうちの1つもしくは複数、またはそれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載のヒドロゲル組成物。
【発明を実施するための形態】
【0038】
発明の詳細な説明
様々な好ましい特色および実施形態が、非限定的例示により、以下に記載される。
【0039】
本明細書に記載されているヒドロゲルは、少なくとも2つのポリマー、すなわち部分中和された架橋ポリマーおよび水溶性である熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含有している溶液から調製される。「ゲル」とは、一実施形態では、粘度が、20RPMのBrookfield回転スピンドル法によって試験された場合、3,000Cps〜200,000mPa
*s、および別の実施形態では、3,000〜150,000mPa
*s、または3,000〜120,000mPa
*sであることを意味する。
【0040】
用語ポリ(アクリル)酸またはアクリル酸ポリマーは、ペンダントとなるカルボン酸基またはポリカルボン酸の無水物をその中に有する、重合可能なモノマーを高い割合で有する、様々なポリマーを包含するよう使用される。これらは、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第2,798,053号、同第3,915,921号、同第4,267,103号、同第5,288,814号および同第5,349,030号により詳細に記載されている。用語ポリアクリル酸は、様々なホモポリマー、コポリマーおよびインターポリマーを含むよう使用され、この場合、繰り返し単位の少なくとも50または75モル%が、ペンダントとなるカルボン酸基またはジカルボン酸基の無水物を有する。アクリル酸が、ポリアクリル酸を形成させるために使用される、最も一般的な主要モノマーであるが、この用語は、それには限定されず、一般に、米国特許第5,349,030号に記載されているカルボン酸ペンダント基(carboxylic pendant group)またはジカルボン酸の無水物を有する、α−β不飽和モノマーのすべてを含む。
【0041】
カルボキシル含有ポリマーは、少なくとも1つの活性化>C=C<基およびカルボキシル基を含有するモノマーから調製される。こうしたポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などの不飽和な重合可能なカルボン酸モノマーのホモポリマー、および重合可能なカルボン酸モノマーとアクリル酸エステル、アクリルアミド、オレフィン、ビニルエステル、ビニルエーテルまたはスチレン類(styrenics)とのコポリマーである。カルボキシル含有ポリマーは、約500超から数百万という高い(通常、約10,000超〜900,000またはそれ超)分子量を有する。
【0042】
コポリマーは、例えば、アクリル酸と少量のゲル様ポリマーであるポリアルケニルポリエーテル架橋剤とのコポリマーを含み、このコポリマーは、とりわけ、それらの塩の形態で、多量の水または溶媒を吸収し、その後に実質的に体積が増加する。他の有用なカルボキシル含有ポリマーは、不飽和カルボン酸と、アルキル基が10〜30個の炭素原子を含有する、アルキルアクリル酸エステルまたはアルキルメタクリル酸エステルの少なくとも1つとのポリマーを対象としている、米国特許第3,940,351号、ならびにビニルエーテルとの無水マレイン酸コポリマーを対象としている、米国特許第5,034,486号、同第5,034,487号および同第5,034,488号に記載されている。他のタイプのこうしたコポリマーは、米国特許第4,062,817号に記載されており、ここで米国特許第3,940,351号に記載されているポリマーが、さらに別のアルキルアクリル酸エステルまたはアルキルメタクリル酸エステルを含有し、アルキル基が1〜8個の炭素原子を含有する。アクリル酸およびメタクリル酸のものなどのカルボン酸ポリマーおよびコポリマーはまた、米国特許第2,340,110号、同第2,340,111号および同第2,533,635号に開示されている通り、ジビニルベンゼン、不飽和ジエステルなどとしての、多官能性物質と架橋されていてもよい。これらの米国特許のすべての開示が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0043】
カルボン酸モノマーは、少なくとも1つの活性化された炭素と炭素のオレフィン性二重結合および少なくとも1つのカルボキシル基を含有するオレフィン性不飽和カルボン酸である。すなわち、オレフィン性二重結合を含有する酸または酸に容易に変換される官能基(function)であって、該オレフィン性二重結合が、モノマー分子において、カルボキシル基に対してアルファ−ベータ位のどちらかに存在するために重合に容易に作用する、上記の酸または官能基、すなわち−C=C−COOHであるか、または末端メチレン基であるCH
2=C<の一部としてである。このクラスのオレフィン性不飽和酸には、アクリル酸自体を典型とするアクリル酸、アルファ−シアノアクリル酸、ベータメチルアクリル酸(クロトン酸)、アルファ−フェニルアクリル酸、ベータ−アクリルオキシプロピオン酸、桂皮酸、p−クロロ桂皮酸、1−カルボキシ−4−フェニルブタジエン−1,3、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸およびトリカルボキシエチレンとしてのこうした物質が含まれる。本明細書で使用する場合、用語「カルボン酸」には、ポリカルボン酸、および無水マレイン酸などのそうした酸無水物が含まれ、無水物基は、同一カルボン酸分子上に位置している2つのカルボキシル基から1つの水分子を除去することにより形成される。本明細書において有用な無水マレイン酸および他の酸無水物は、一般構造
【化2】
(式中、RおよびR’は、水素、ハロゲンおよびシアノゲン(−C≡N)基、ならびにメチル、エチル、プロピル、オクチル、デシル、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、シクロヘキシルなどのアルキル、アリール、アルカリール、アラルキルおよびシクロアルキル基からなる群から選択される)を有する。
【0044】
好ましいカルボン酸モノマーは、一般構造:
【化3】
(式中、R
2は、水素、ハロゲンおよびシアノゲン(−C≡N)基、1価のアルキルラジカル、1価のアリールラジカル、1価のアラルキルラジカル、1価のアルカリールラジカルおよび1価の脂環式ラジカルからなるクラスから選択される置換基である)を有するモノオレフィン性アクリル酸である。このクラスのなかで、アクリル酸およびメタクリル酸が最も好ましい。他の有用なカルボン酸モノマーは、マレイン酸およびその無水物である。
【0045】
このポリマーには、カルボン酸もしくはその無水物、または少なくとも1つの末端>C=CH
2基を含有する1つまたは複数の他のビニリデンモノマーと共重合する上記定義されたカルボン酸のホモポリマーのいずれも含む。他のビニリデンモノマーは、カルボン酸または無水物およびビニリデンモノマーの重量に対して、30重量%未満の量で存在している。こうしたモノマーには、例えば、式
【化4】
(式中、R
4は、1〜30個の炭素原子、好ましくは1〜20個の炭素原子を有するアルキル基であり、R
3は、水素、メチルまたはエチルである)によって表されるアクリル酸の誘導体などのそうしたアクリル酸エステルモノマーを含めた、アクリル酸エステルモノマーが含まれ、例えば、約1〜40重量%またはそれ超の量でコポリマー中に存在している。代表的なアクリル酸エステルには、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、エタクリル酸メチル(methyl ethacrylate)、メタクリル酸エチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシルなどが含まれる。より高級なアルキルアクリル酸エステルは、アクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニルおよびアクリル酸メリシルである。2つまたは3つまたはそれ超の長鎖のアクリル酸エステルの混合物が、カルボン酸モノマーの1つと首尾よく重合することができる。他のコモノマーには、アルファオレフィン、ビニルエーテル、ビニルエステルおよびそれらの混合物を含めたオレフィンが含まれる。
【0046】
このポリマーはまた、任意のポリエン、例えばデカジエンまたはトリビニルシクロヘキサン;メチレンビスアクリルアミドなどのアクリルアミド;トリメチロールプロパントリアクリレートなどの多官能性アクリレート;または例えば、ブタジエン、イソプレン、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、アクリル酸アリルなどを含めた、少なくとも2つの末端CH
2=C<基を含有する、多官能性ビニリデンモノマーと架橋され得る。コポリマーの調製に使用するために特に有用な架橋性モノマーは、1分子あたり1つ超のアルケニルエーテル基を有するポリアルケニルポリエーテルである。最も有用なものは、オレフィン性二重結合が末端メチレン基に結合して存在しているアルケニル基、すなわちCH
2=C<を有する。それらは、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも2つのヒドロキシル基を含有する多価アルコールのエーテル化によって作製される。このクラスの化合物は、塩化アリルまたは臭化アリルなどのアルケニルハライドと1つまたは複数の多価アルコールの強アルカリ性水溶液とを反応させることにより生成することができる。この生成物は、様々な数のエーテル基を有するポリエーテルの複雑な混合物であってもよい。分析により、各分子上のエーテル基の平均数が明らかになる。ポリエーテル架橋剤の効率は、分子上の潜在的に重合可能な基の数に伴い向上する。1分子あたり平均が2つまたはそれ超のアルケニルエーテル基を含有するポリエーテルを利用するのが好ましい。他の架橋性モノマーには、例えば、ジアリルエステル、ジメタアリルエーテル、アクリル酸アリルまたはアクリル酸メタアリルおよびアクリルアミド、テトラアリルスズ、テトラビニルシラン、ポリアルケニルメタン、ジアクリレートおよびジメタクリレート、ジビニル化合物(ジビニルベンゼン、ジビニルグリコールなど)、ポリアリルホスフェート、ジアリルオキシ化合物および亜リン酸エステルなどが含まれる。典型的な剤は、アリルペンタエリスリトール、アリルスクロース、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチレンジメタクリレート、エチレンジアクリレート、エチレンジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレートなどである。アリルペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンジアリルエーテルおよびアリルスクロースは優れたポリマーをもたらす。架橋剤が存在する場合、ポリマー混合物は、通常、カルボン酸モノマーおよび存在する場合、他のモノマーの合計に対して、架橋性モノマーを最大約5重量%またはそれ未満、より好ましくは約0.01〜3.0重量%含有する。
【0047】
アクリルニトリルを含めた、他のビニリデンモノマーもまた使用することができる。有用なα,β−オレフィン性不飽和ニトリルは、好ましくは、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの、3〜10個の炭素原子を有するモノオレフィン性不飽和ニトリルである。最も好ましいのは、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルである。例えば、一部のポリマーの場合、使用される量は、共重合したモノマーの合計の約1〜30重量%である。モノオレフィン性不飽和アミドを含めた、3〜35個の炭素原子を含有するアクリルアミドもまた使用することができる。代表的なアミドには、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、高級アルキルアミド(窒素上のアルキル基は、8〜32個の炭素原子を含有する)、4〜10個の炭素原子を有するものを含めた、アルファ,ベータ−オレフィン性不飽和カルボン酸のN−アルキロールアミドを含むアクリルアミド(N−メチロールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールマレイミド、N−メチロールマレアミド酸エステル、N−メチロール−p−ビニルベンズアミドなど)などが含まれる。さらに有用な物質は、当業者に公知の、2〜18個の炭素原子、より好ましくは2〜8個の炭素原子を含有するアルファ−オレフィン;4〜10個の炭素原子を含有するジエン;酢酸ビニルなどのビニルエステルおよびアリルエステル;スチレン、メチルスチレンおよびクロロスチレンなどのビニル芳香族類;ビニルメチルエーテルおよびメチルビニルケトンなどのビニルエーテルおよびアリルエーテルならびにビニルケトンおよびアリルケトン;クロロアクリレート;α−シアノメチルアクリレートならびにα−シアノプロピルアクリレート、β−シアノプロピルアクリレート、およびγ−シアノプロピルアクリレートなどのシアノアルキルアクリレート;メトキシエチルアクリレートなどのアルコキシアクリレート;クロロエチルアクリレートとしてのハロアクリレート;ハロゲン化ビニルおよび塩化ビニル、塩化ビニリデンなど;ジビニルエーテル、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレン−ビスアクリルアミド、アリルペンタエリスリトールなどのジビニル、ジアクリレートおよび他の多官能性モノマー;ならびにビス(β−クロロエチル)ビニルホスホネートなどのビス(β−ハロアルキル)アルケニルホスホネートなどである。カルボキシ含有モノマーが少量の構成物であるコポリマー、および主な構成成分として存在している他のビニリデンモノマーは、本発明のプロセスにより容易に調製される。
【0048】
立体安定剤は、接近する粒子同士を反発させる立体障壁をもたらすよう機能する。立体安定剤に要求されることは、分散剤のセグメント(すなわち、疎水部)が溶媒(非水性分散重合プロセスにおける連続相)に非常に可溶性であること、および別のセグメント(すなわち、親水部)は、成長するポリマー粒子に少なくとも強力に接着することである。すなわち、本発明の立体安定剤は、親水基および疎水基を有する。この立体安定剤は、1000を通常、十分に超える分子量(すなわち、鎖長)を有するが、余弦定理により計算した場合、50オングストロームを超える長さの疎水部を有する、可溶性のブロックおよびアンカーブロックを含むブロックコポリマーである。これらの寸法は、結合長さおよび角度に関する文献値を使用して、立体配座を伸ばして決定される。したがって、本発明の立体安定剤は、ブロックコポリマーとすることができる、従来技術の立体性界面活性剤とは区別できるが、50オングストローム未満の長さの疎水部を有する。本発明の立体安定剤は、線状ブロックまたは櫛型立体配座のどちらかを有しており、十分な立体障壁をもたらすのに十分に長い疎水部を有する。
【0049】
立体安定剤が線状ブロックコポリマー状の立体安定剤である場合、それは、以下の式:
【化5】
(式中、Aは、25℃において水に1%またはそれ超の溶解度、約200〜約50,000の分子量を有する親水性部分であり、Bブロックに共有結合するよう選択され、
Bは、約300〜約60,000の分子量、25℃において水に1%未満の溶解度を有しており、Aブロックに共有結合することが可能な、疎水性部分であり、
Dは、AまたはBとすることができる末端基であり、同一または異なる基とすることができ、それらは、ポリマーの長さを制御するため、他の官能基を付与するため、または製造プロセスの結果として存在するので、製造プロセスに依存し、
wは、0または1であり、
xは、1またはそれ超の整数であり、
yは、0または1であり、
zは、0または1である)
によって定義される。
【0050】
親水基の例は、ポリエチレンオキシド、ポリ(1,3−ジオキソラン)、ポリエチレンオキシドまたはポリ(1,3−ジオキソラン)のコポリマー、塩化ポリ(2−メチル−2−オキサゾリンポリグリシジルトリメチルアンモニウム、ポリメチレンオキシドなどであり、ポリエチレンオキシドが好ましい。疎水基の例は、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸、4−ヒドロキシフェニルピルビン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、2−ヒドロキシ吉草酸に由来するものなどのポリエステル、カプロラクトン、ブチロラクトンなどのポリラクトン、カプロラクタムに由来するものなどのポリラクタム、ポリウレタン、ポリイソブチレンであり、この場合、疎水部は、50オングストローム超、好ましくは75オングストローム超の立体障壁をもたらすべきであり、100オングストローム超などがやはり好ましく、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)などのポリヒドロキシ脂肪酸が好ましい。立体障壁は、その完全に伸びた状態における疎水部の長さである。こうした立体安定剤は、CrodaからHypermer(登録商標)という商標名で市販されている。
【0051】
立体安定剤分子は、親水性単位と疎水性単位の両方を含む。疎水性ポリマー単位または疎水性ブロックは、いくつかの周知の方法によって調製することができる。これらの方法には、ヒドロキシ酸の縮合反応、ポリオール(好ましくはジオール)とポリカルボン酸(好ましくは二酸)との縮合が含まれる。他の有用な方法には、ラクトンおよびラクタムの重合、ならびにポリオールとポリイソシアネートとの反応が含まれる。当業者に公知の通り、疎水性ブロックまたはポリマー単位は、こうした反応によって親水性単位と反応することができる。これらの反応は、例えば、縮合反応およびカップリング反応を含む。立体安定剤の調製の後に、該安定剤は、その有用性を増強するため修飾剤によりさらに反応させてもよい。Alan S.Bakerの米国特許第4,203,877号は、こうした立体安定剤の作製を教示しており、その全体の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0052】
立体安定剤がランダムコポリマーの櫛型立体安定剤である場合、それは、以下の式:
R
5−(Z)m−(Q)n−R
6
(式中、R
5およびR
6は末端基であり、同一であってもまたは異なっていてもよく、ZおよびQとは異なり、
Zは、25℃で水に1%未満の溶解度を有する疎水性部分であり、
Qは、25℃で水に1%超の溶解度を有する親水性部分であり、
mおよびnは、1またはそれ超の整数であり、このポリマーの分子量が約100〜約250,000となるよう選択される)
によって定義される。
【0053】
疎水性モノマー単位または部分の例は、ジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルなどであり、ジメチルシロキサンが好ましい。
【0054】
親水性モノマー単位または部分の例は、メチル−3−ポリエトキシプロピルシロキサン−Ω−ホスフェートまたはスルフェート、およびそれらから誘導されるアルカリ金属塩またはアンモニウム塩;1〜40モルのエチレンオキシドを含有するポリエトキシ(メタ)アクリレートに由来する単位;アクリル酸;アクリルアミド;メタクリル酸、無水マレイン酸;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート;またはその塩化メチルもしくは硫酸ジメチルとの塩;ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびその塩化メチルまたは硫酸ジメチルとの塩などであり、メチル−3−ポリエトキシプロピルシロキサン−Ω−ホスフェートが好ましい。
【0055】
停止剤の例は、モノハロシラン、メルカプタン、ハロアルカン、アルキル芳香族類、アルコールなどであり、これらは、トリアルキルシリル、アルキル、アリールアルキル、アルコレートなどの末端基を生成し、好ましい末端基はトリメチルシリルである。
【0056】
特定のタイプの架橋ポリアクリル酸は、Carbopol(登録商標)981NF;Carbopol(登録商標)980NF;Pemulen TR1;Pemulen TR2;およびカルボマーインターポリマーであるETD−2020−NF;Ultrez 10NF、アクリル酸とアクリル酸アルキルとのコポリマー;アクリル酸とアルキルビニルエーテルとのコポリマー;およびエチレンと無水マレイン酸とのコポリマーが含まれる。医薬品用途に承認を受けたポリアクリル酸は、米国ではカルボマーおよびポリカルボフィルの公定書各条において記載されている、カルボマーホモポリマー、カルボマーコポリマー、カルボマーインターポリマーまたはポリカルボフィルである。
【0057】
本明細書に記載されているTPU組成物は、a)ポリイソシアネート構成成分を使用して作製される。ポリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート構成成分は、1つまたは複数のポリイソシアネートを含む。一部の実施形態では、ポリイソシアネート構成成分は、1つまたは複数のジイソシアネートを含む。
【0058】
一部の実施形態では、ポリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート構成成分は、5〜20個の炭素原子を有するα,ω−アルキレンジイソシアネートを含む。
【0059】
適切なポリイソシアネートには、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートまたはそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、ポリイソシアネート構成成分は、1つまたは複数の芳香族ジイソシアネートを含む。一部の実施形態では、ポリイソシアネート構成成分は、脂肪族ジイソシアネートを本質的に含まないか、または完全に含まないことさえある。他の実施形態では、ポリイソシアネート構成成分は、1つまたは複数の脂肪族ジイソシアネートを含む。一部の実施形態では、ポリイソシアネート構成成分は、芳香族ジイソシアネートを本質的に含まないか、または完全に含まないことさえある。
【0060】
有用なポリイソシアネートの例には、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)、m−キシレンジイソシアネート(XDI)、フェニレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネートおよびトルエンジイソシアネート(TDI)などの芳香族ジイソシアネート、ならびにイソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、デカン−1,10−ジイソシアネート、リシンジイソシアネート(LDI)、1,4−ブタンジイソシアネート(BDI)、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート(HDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)およびジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12MDI)などの脂肪族ジイソシアネートが含まれる。2種またはそれ超のポリイソシアネートの混合物を使用してもよい。一部の実施形態では、ポリイソシアネートはMDIおよび/またはH12MDIである。一部の実施形態では、ポリイソシアネートはMDIを含む。一部の実施形態では、ポリイソシアネートはH12MDIを含む。
【0061】
一部の実施形態では、熱可塑性ポリウレタンは、H12MDIを含むポリイソシアネート構成成分を用いて調製される。一部の実施形態では、熱可塑性ポリウレタンは、H12MDIから本質的になるポリイソシアネート構成成分を用いて調製される。一部の実施形態では、熱可塑性ポリウレタンは、H12MDIからなるポリイソシアネート構成成分を用いて調製される。
【0062】
一部の実施形態では、熱可塑性ポリウレタンは、H12MDI、ならびにMDI、HDI、TDI、IPDI、LDI、BDI、PDI、CHDI、TODIおよびNDIの少なくとも1つを含む(または、これらから本質的になる、またはそれからなることさえある)ポリイソシアネート構成成分を用いて調製される。
【0063】
一部の実施形態では、本明細書に記載されているTPUおよび/またはTPU組成物を調製するために使用されるポリイソシアネートは、重量基準で、少なくとも50%の脂環式ジイソシアネートである。一部の実施形態では、ポリイソシアネートは、5〜20個の炭素原子を有するα,ω−アルキレンジイソシアネートを含む。
【0064】
一部の実施形態では、本明細書に記載されているTPUおよび/またはTPU組成物を調製するために使用されるポリイソシアネートは、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネートまたはそれらの組合せを含む。
ポリオール構成成分
【0065】
本明細書に記載されているTPU組成物は、b)ポリオール構成成分を使用して作製される。ポリオールには、ポリエーテルポリオールが含まれる。
【0066】
存在する場合、ヒドロキシル末端中間体として記載することもできる、適切なポリオールは、ヒドロキシル末端ポリエーテル、ポリエーテル/ポリエステルブロックの1つまたは複数、またはそれらの混合物を含むことができる。
【0067】
適切なヒドロキシル末端ポリエーテル中間体には、合計で2〜15個の炭素原子を有するジオールまたはポリオール、一部の実施形態では、2〜6個の炭素原子を有するアルキレンオキシド(典型的には、エチレンオキシドもしくはプロピレンオキシド、またはそれらの混合物)を含むエーテルと反応するアルキルジオールまたはグリコールに由来するポリエーテルオールが含まれる。例えば、ヒドロキシル官能性ポリエーテルは、まずプロピレングリコールをプロピレンオキシドと反応させ、次いで、エチレンオキシドとのその後の反応により生成することができる。エチレンオキシドに起因する第一級ヒドロキシル基は、第二級ヒドロキシル基よりも反応性が高く、したがって、好ましい。有用な市販のポリエーテルポリオールには、エチレンオキシドがエチレングリコールと反応したものを含むポリ(エチレングリコール)、プロピレンオキシドがプロピレングリコールと反応したものを含むポリ(プロピレングリコール)が含まれる。適切なポリエーテルポリオールは、アルキレンオキシドのポリアミド付加物も含んでおり、例えば、エチレンジアミンとプロピレンオキシドとの反応生成物を含むエチレンジアミン付加物、ジエチレントリアミンとプロピレンオキシドとの反応生成物を含むジエチレントリアミン、および類似のポリアミドタイプのポリエーテルポリオールが含まれ得る。コポリエーテルもまた、記載されている組成物中で利用することができる。典型的なコポリエーテルには、THFとエチレンオキシド、またはTHFとプロピレンオキシドとの反応生成物が含まれる。これらは、PolyTHF(登録商標)B(ブロックコポリマー)、およびPolyTHF(登録商標)R(ランダムコポリマー)としてBASFから入手可能である。様々なポリエーテル中間体は、一般に、末端官能基のアッセイにより決定した場合、約1,450〜約8,000、もしくは約1,450〜約5,500もしくは約1,450〜約3,000などの約1450超の平均分子量である、数平均分子量(Mn)を有する。一実施形態では、8000のMnを有するPEGを含む。一部の実施形態では、ポリエーテル中間体には、300のMnおよび1,450のMnのPEGのブレンド、1450のMnおよび8,000のMnのPEGのブレンドなどの、2種またはそれ超の異なる分子量のポリエーテルのブレンドを含む。
【0068】
ポリオール構成成分は、存在する場合、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(トリメチレンオキシド)、エチレンオキシドでキャップしたポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)グリコール、ポリ(ペンタメチレンカーボネート)グリコール、ポリ(トリメチレンカーボネート)グリコール、脂肪酸の二量体をベースとするポリエステルポリオールまたはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0069】
一部の実施形態では、ポリオール構成成分はポリエーテルポリオールを含む。一部の実施形態では、ポリオール構成成分は、ポリエステルポリオールを本質的に含まないか、または完全に含まないことさえある。
【0070】
一部の実施形態では、ポリオール構成成分には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)とポリ(プロピレングリコール)とのコポリマー、エピクロロヒドリンなど、またはそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、ポリオール構成成分はポリ(エチレングリコール)を含む。
【0071】
ポリオール構成成分は、一部の実施形態では、マルチブロックポリオールを含んでもよい。マルチブロックポリオールは、ポリエーテルとポリエステルとの組合せ、例えば、ポリエチレンオキシドポリエーテル(PEO)−ポリカプロラクトン(PCL)または(PCL−PEO−PCL)を含み、これは、親水性、分解および機械特性に良好な制御をもたらす。マルチブロックポリエーテル生成物PEO−PPO(Pluronics(登録商標)としてより公知であるポリプロピレンオキシド−PEO(BASF Corporationの登録商標))およびPCL−PEO−PPO−PEO−PCLなどのブロックポリエステルも使用することができる。代替的なエステルブロックおよびエーテルブロック、例えば、ブロックポリエステルと組み合わせたマルチブロックポリエーテルを使用することができることも企図される。
任意選択の鎖延長剤構成成分
【0072】
本明細書に記載されているTPU組成物には、c)鎖延長剤構成成分がさらに含まれる。鎖延長剤には、ジオール、ジアミンおよびそれらの組合せが含まれる。
【0073】
適切な鎖延長剤には、比較的小さなポリヒドロキシ化合物、例えば2〜20個、または2〜12個、または2〜10個の炭素原子を有する、低級脂肪族グリコールまたは短鎖グリコールが含まれる。適切な例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール(BDO)、1,6−ヘキサンジオール(HDO)、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン(HEPP)、ヘキサメチレンジオール、ヘプタンジオール、ノナンジオール、ドデカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチレンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよびヒドロキシエチルレゾルシノール(HER)など、ならびにそれらの混合物が含まれる。一部の実施形態では、鎖延長剤には、BDO、HDO、3−メチル−1,5−ペンタンジオールまたはそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、鎖延長剤はBDOを含む。芳香族グリコールなどの他のグリコールを使用することができるが、一部の実施形態では、本明細書に記載されているTPUは、こうした物質を本質的に含まないか、または完全に含まないことさえある。
【0074】
一部の実施形態では、TPUを調製するために使用される鎖延長剤は、1,6−ヘキサンジオールを実質的に含まないか、または完全に含まないことさえある。一部の実施形態では、TPUを調製するために使用される鎖延長剤は、環式鎖延長剤を含む。適切な例には、CHDM、HEPP、HERおよびそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、TPUを調製するために使用される鎖延長剤には、芳香族環式鎖延長剤、例えばHEPP、HERまたはそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、TPUを調製するために使用される鎖延長剤は、脂肪族環式鎖延長剤、例えばCHDMを含む。一部の実施形態では、TPUを調製するために使用される鎖延長剤は、芳香族鎖延長剤、例えば芳香族環式鎖延長剤を実質的に含まないか、または完全に含まないことさえある。一部の実施形態では、TPUを調製するために使用される鎖延長剤は、ポリシロキサンを実質的に含まないか、または完全に含まないことさえある。
【0075】
一部の実施形態では、鎖延長剤構成成分は、1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(pentanedio)、ジエチレングリコールまたはそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、鎖延長剤構成成分には、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールまたはそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、鎖延長剤構成成分には、1,4−ブタンジオールが含まれる。鎖延長剤構成成分は、存在する場合、0.4重量%〜約4.0重量%の量で利用することができる。
付加的なTPU構成成分
【0076】
一部の実施形態では、本明細書に記載されているTPUは、任意選択の連鎖停止剤をさらに含む。連鎖停止剤は周知であり、モノヒドロキシルもしくはモノ第一級アミン、またはジ−イソシアネートと反応して、ポリマー鎖の末端において逐次重合を停止する任意の他のモノ官能性化合物とすることができる。これらはポリマーの両末端が同一であってもよく、または異なっていてもよい。連鎖停止剤は、ウレタン結合またはウレア結合を介して、ポリマーに連結した100〜8000の範囲の数平均分子量を有することができる。
【0077】
連鎖停止剤の例には、モノアミン末端化またはモノアルコール末端化された、ポリアルキレンオキシド、シリコーン、アルキル、アルキルエステル、ポリアルキレンエステル、およびそれらの混合物が含まれる。一部の実施形態では、本発明によるポリウレタンコポリマーにおいて使用することができる連鎖停止基には、一官能性ポリエチレンオキシド、一官能性ポリテトラメチレンオキシド、一官能性ポリプロピレンオキシド、一官能性シロキサン、ならびにそれらの混合物および/またはコポリマーが含まれる。ドデシルアミン、アルコキシ化アルコール(cetereth−20、steareth20など)。一実施形態では、連鎖停止剤の量は、乾燥ポリウレタンコポリマーの総重量に対して、0重量%〜2重量%である。
【0078】
本明細書に記載されている組成物は、一般に、水に架橋ポリ(アクリル)酸ポリマーを分散することにより形成される。架橋ポリ(アクリル)酸ポリマーの量は、一実施形態では、各100重量部の水に対して、約0.01重量%〜約2.5重量部、別の実施形態では、約0.05重量%〜約1.5重量%、別の実施形態では、約0.1重量%〜約1.0重量%である。親水性TPUポリマーは、一実施形態では、各100重量部の水に対して、約0.01重量%〜約2.5重量%、別の実施形態では、約0.05重量%〜約1.5重量%、別の実施形態では、約0.1重量%〜約1.0重量%の量で、水混合物中に溶解する。
【0079】
ポリ(アクリル)酸ポリマーの中和の程度は、ブレンドしたポリ(アクリル)酸ポリマーおよびTPUの調製、ならびに最終ヒドロゲルの特性に、直接的な影響を及ぼすことが見いだされた。したがって、一実施形態では、2種のポリマーのブレンド前に、ポリ(アクリル)酸ポリマーは、約2.0から最大約8.0、または約2.0から最大約6.5、または約2.0から最大約4.0の初期pHから部分中和した。別の実施形態では、TPUと、ポリ(アクリル)酸ポリマーを中和するための塩基とがブレンドされる。ポリ(アクリル)酸ポリマーが、次に分散される。一実施形態では、使用される中和剤の量は、pH7のポリマー溶液を達成するために必要な理論値の25%〜50%である。別の実施形態では、中和の量はポリマーの酸含有量の10%〜75%である。さらなる実施形態では、ポリマー溶液のpHは4〜8である。中和は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、他の水酸化アルカリ、ボレート、ホスフェート、ピロホスフェートまたはポリホスフェート;アルギニンなどのアミノ酸;Angus Chemicalの製品であるAMP−95(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール)、コカミン、オレアミン、ジイソプロパノールアミン、ジイソプロピルアミン、ドデシルアミン、PEG−15ココアミン、モルホリン、テトラキス(ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリアミルアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミンまたはトロメタミン(2−アミノ2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)などの任意の都合のよい中和剤または化合物を用いて実施することができる。一部の実施形態では、中和剤は、NaOH、テトラキス(ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリエタノールアミンおよびトロメタミンを含む。
【0080】
次に、ポリ(アクリル)酸ポリマーおよび親水性TPUは一緒にブレンドされる。一実施形態では、ポリ(アクリル)酸ポリマーと親水性TPUとの重量比は、1:9〜2:1、および別の実施形態では、1:3〜1:1である。任意選択で、追加の水または他の溶媒(アルコール、ポリオールまたはポリアルコキシドなど)を加えることができる。こうした追加の水または溶媒は、個々の製剤の所望の最終量および物理的制約に依存する。
【0081】
一部の実施形態では、本明細書において開示されているヒドロゲルは殺菌されてもよい。殺菌は、微生物の生存、細菌、真菌およびウイルスを含めた、考えられる汚染物質を材料から取り除く処置プロセスである。これらの汚染物質の伝播を限定するために、医療産業には、ある種のレベルの殺菌が要求される。いくつかの殺菌方法が使用され得る。一実施形態では、殺菌は、チャンバー中でエチレンオキシドガス中に製品を浸け、次にそれを空気に曝露することにより行うことができる。別の実施形態では、製品は、真空にした殺菌チャンバーに置き、過酸化水素蒸気を満たし、次に、空気に曝露する。低い浸透度を有しており、汚染物質を除去するために高い線量率を使用する、イオン化エネルギーを含む殺菌を使用することができる。促進剤は、殺菌される製品に集中する電子ビームを生じさせる。製品を通過するイオン化エネルギーを生成するために、同位体源、通常コバルト−60を使用する殺菌もやはり使用することができる。このエネルギーにより、生物に細胞損傷が引き起こされ、製品からそれらが除去される。熱風を利用する殺菌、すなわち装置による熱伝導を使用することができる。対象物は定常温度に加熱され、材料に応じて、ある時間長、保持される。乾燥加熱殺菌は、組み立て製品の表面すべてに到達することができるので、非常に有効である。
【0082】
本明細書に記載されているゲルは、ローション剤、スプレー剤、スプレーゲル剤、圧縮液剤、液状懸濁剤などを含む、様々な形態で利用することができる。
【0083】
施用された物質は、先の段落に列挙されている物質などの、選択された基材に有益な作用を及ぼすと公知であるか、意図されたか、または考えられた任意の材料とすることができる。水可溶性活性成分が最も容易に取り込まれるが、非水性担体、乳化剤、分散した有機(炭化水素)相などの使用により、無極性化合物(例えば、脂肪族化合物および芳香族化合物などの炭化水素物質)の送達が可能になる。
【0084】
物質のクラスの1つは、以下に限定されないが、保湿剤(または、基材(皮膚)が水分を保持する一助となるもの);油(または、皮膚が油分を保持する一助となるもの);医薬剤;抗微生物剤;抗菌剤;殺真菌剤;抗炎症/鎮痛剤(例えば、刺激を低減するもの);軟化剤;強化剤;基材の弾性を増強する剤;細胞成長または細胞再産生を促進する剤;細胞成長または細胞再産生を遅らせる剤;細胞または神経の刺激薬、抗ヒスタミン薬;局所麻酔剤などを含む、治療助剤である。
【0085】
本ヒドロゲルは、1つまたは複数の以下の利点:創傷治癒、熱傷治癒、瘢痕低減など;皮膚またはケラチンの色調変化(色薄化、暗色化、着色化)、装飾イメージの施用、強調;皮膚もしくは他の基材による別の活性成分または医薬品の浸透度の増強;基材の香気または芳香の変更、または脂肪の増強、例えば、セルライトの低減;ホルモン、ステロイドまたはフェロモンの施用などのための持続送達、投与量の一貫性、送達の増強、投与量の制御、効率およびバイオアベイラビリティを有する、1つまたは複数の活性成分を含むことができる。
【0086】
活性成分は、香料、着色剤、顔料、軟膏剤などを含め、極性の低いものから高いものまでのいずれであってもよい。所望の場合、水溶解度は、他の担体、添加物などの追加によって増強することができる。多くの実施形態では、独立して、または互いに協力して作用する、2種またはそれ超の活性成分の混合物が使用される。この活性成分は下記のいずれかとすることができる:保湿剤、老化防止剤(加齢作用を除去するか、または加齢作用を修復する);収斂薬、酸(例えば、グリコール酸、クエン酸およびビタミン);皮膚刺激剤(例えば、メントール、ショウノウおよびカイエンペッパー抽出物);固化剤(firming agent);痩身剤;ラジカル捕捉剤;可溶化剤、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミンまたはクロルフェニラミンマレエート);サリチル酸メチル;サリチル酸グリコール;アロマ治療薬;潤い剤;皮膚軟化剤;フィトケミカル(草木および植物、例えば、竹、ティーツリー油などの天然抽出物)、抗酸化剤、美白剤(例えば、ヒドロキノン、過酸化物およびコウジ酸);自己日焼け剤または皮膚に色調を与えるための剤(例えば、ジヒドロキシアセトン);皮膚保護剤(例えば、保湿剤、ワックス、日焼け止め(有機物または無機物));しみ取り剤(基材は、ヒトとすることができる);ケラチン、レチノール;ビタミン;ビタミン複合体;レチノールの前駆体などの活性成分の前駆体;サリチル酸およびサリチル酸の誘導体;ペプチド;オリゴマーペプチドおよびポリマーペプチド;酵素;補酵素;タンパク質およびそれらの前駆体;アミノ酸(例えば、二量体、環式アミノ酸および脂肪族アミノ酸);グリコサミノグリカン(glycosamineoglycan);サッカライド;サッカライドの誘導体;ポリサッカライド(plysaccharide);オリゴマーサッカライド;環式オリゴマーサッカライド;炭水化物、脂肪酸トリグリセリド必須脂肪酸;脂質;レシチン;リン脂質;コンディショニング剤;ミルク誘導体;カロテン;シクロデキストリン;トコフェロール;フィトステロール;陽イオン剤;油(動物および植物などの天然物、プリムローズ油、ホホバ油、鉱物油、ヒマシ油、パーム油、ココナッツ油、トウモロコシ油、シリコーンおよびそれらの誘導形態を含めた合成物);ゼラチン、自然デンプン、加工デンプン、セルロース化合物および化学修飾したセルロース化合物、アルギン酸ナトリウム、アカシア、トウモロコシデンプン、カゼイン(cascin)、天然ガム、および/または修飾天然ガム;ワックス(植物などの天然物および合成物);四級化化合物;シリコーンおよび/またはシリコーン誘導体;タンパク質加水分解物(hydrozylate)または誘導体タンパク質;キチン;変性キチン;キトサン;海洋由来の化合物または海洋源物質(例えば、ケルプ、サンゴ、海草、海洋性保湿因子、藻類、海洋植物、植物プランクトン、ケルプおよびそれらの抽出物などのものを含めた、海洋に由来するもののいずれも);加水分解された動物および/または植物のタンパク質;収斂薬(例えば、酸化亜鉛、タンニン酸、ミョウバン、硫酸アルミニウム、ビタミン、dl−α−トコフェロール);湿潤剤;はっ水剤;抗微生物薬;脱臭剤;殺真菌剤;果実酸;堅果抽出物/油;香料;フラワーアシッド(flower acid);セラミド;フラボノイド;生物的に誘導された物質(バイオテクノロジー);ヒアルロン酸ナトリウム;ヒアルロン酸;など。
【0087】
一実施形態では、本発明のヒドロゲルの清澄度および/または外観は、調節することができる。本ヒドロゲルの清澄度は、ほとんど目視上ヘイズがない実質的に透明なものから、ビーズ、気泡、光沢剤などの不溶性構成成分である添加物が視覚的に不透明であるとはっきりと目視可能な場合まで、様々となり得る。本ヒドロゲルは、媒体中に、粒子の長期懸濁液、不溶性液体液滴、または気泡の安定化を取り込むことができる。懸濁され得る物質または化合物は、可溶性または不溶性とすることができる。一部の実施形態では、本ヒドロゲルは、その中に真珠光沢物質を意図的に取り込ませることにより不透明にして、真珠光沢として公知の魅力的な真珠様外観を達成する。他のこうした不溶性化合物の例には、顔料、ビスマスなどの無機物、銀粒子または亜鉛粒子などの抗微生物薬、染料などが含まれる。
【0088】
1つの相は濁りがなく、別の相は不透明である、視覚的に別個の複数の相の組成物もまた、考えられる。本発明の一実施形態では、互いに視覚的に別個の相を含むパターンが、濁りのない構成成分と不透明な構成成分とを混合することによって形成され得る。各相の間の視覚的な違いは、色調、質感、密度、およびその中に含有されている不溶性構成成分または有益剤のタイプとすることができる。具体的なパターンは、広範囲のパターンから選択することができる。
ゲル特性
【0089】
TPU構成成分の選択、およびポリ(アクリル)酸ポリマーとTPU構成成分との間の比、ならびにポリ(アクリル)酸ポリマーの中和の程度は、それぞれ、得られたヒドロゲルの物理特性に影響を及ぼす。これらのパラメータを使用して、得られたヒドロゲルにおける所望の特性の組合せを選択することができる。一例として、物理特性は、粘度、降伏応力、塩応答のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかのより重要な物理特性は、以下にさらに注釈する。
【0090】
粘度は、Brookfield粘度に準拠して決定することができる。一部の実施形態では、ヒドロゲルの粘度は、20RPMのBrookfield回転スピンドル法によって試験された場合、約3,000Cps〜200,000mPa
*s、別の実施形態では、3,000〜150,000mPa
*sまたは3,000〜120,000mPa
*sである。
【0091】
図1を参照すると、架橋ポリアクリル酸と高分子量ポリエチレンオキシド(PEO)との間に相乗作用が欠如していることに比べると、架橋ポリアクリル酸とTPUとの本発明のヒドロゲルを用いて得られた粘度に関して、相乗効果があることを例示している。分かる通り、本発明のヒドロゲルは、架橋ポリアクリル酸と高分子量ポリエチレンオキシド(PEO)の場合と比べて、粘度プロファイルの向上をもたらしている。
【0092】
図2は、ポリマーの合計が1.0重量%で架橋ポリアクリル酸の割合を増加させた、粘度がより高い架橋ポリアクリル酸と熱可塑性ポリウレタンとを含有している本発明のヒドロゲル(実線)、および粘度がより低い架橋ポリアクリル酸と熱可塑性ポリウレタンとを含有している本発明のヒドロゲル(点線)での、20RPMのBrookfield粘度における相乗作用をさらに例示している。高粘度および低粘度の架橋ポリアクリル酸のどちらも、熱可塑性ポリウレタンとブレンドされると、より高い粘度を示す。
【0093】
降伏応力およびせん断応答は、Cassonのレオロジーモデルまたはレオロジーへのフィッティング推定により、マイクロ粘度に従って決定することができる。一部の実施形態では、ヒドロゲルのせん断応答は、約130mPa
*s〜約1,000mPa
*s、および別の実施形態では、約215mPa
*s〜約1,000mPa
*sである。
【0094】
降伏応力およびせん断応答は、これ以降の実施例において説明されている通り、Brookfield法により決定することもできる。
【0095】
塩応答は、ヒドロゲル組成物1重量%および塩化ナトリウム1重量%において、20RPMで測定されたBrookfield粘度に従って決定することができる。一部の実施形態では、ヒドロゲルの塩応答は、約325mPa
*s〜約50,000mPa
*sである。
【0096】
べき法則流体のせん断流動化挙動は、様々な速度におけるBrookfield粘度を利用して決定することができる。粘度は、式:
y=ax
k
(べき乗項kは、Brookfield粘度によって測定される、試料のせん断流動化を表す傾きに相当し、流体挙動指数と呼ばれることがある(無次元数))の関係を示すスピンドル速度に対してプロットされる。kが1未満の場合、べき法則は、せん断速度の向上に伴って、有効粘度が低下すると予測する。
産業用途
【0097】
本発明の一部の実施形態は、パーソナルケア、ヘルスケア、家庭用、施設用および工業用の製品の用途などにおける、多機能性ポリマー成分としてのヒドロゲルの使用に関する。本ヒドロゲルは、それが含まれる製剤の、化学的および生理的活性成分および化粧品原料の有効性、沈着および送達を増強するための乳化剤、拡散助剤および担体として、ならびに感触および審美特性を改善するためのビヒクルとして使用することができる。用語「パーソナルケア製品」は、本明細書で使用する場合、非限定的に、ヒトおよび動物の皮膚、毛髪、頭皮および爪に施用される、化粧品、トイレタリー(toiletries)、薬用化粧品(cosmeceuticals)、美容助剤、個人衛生用品およびクレンジング製品が含まれる。用語「ヘルスケア製品」には、本明細書で使用する場合、非限定的に、医薬品、医薬化粧品(pharmacosmetics)、口腔ケア製品(口、歯)、眼のケア製品、耳のケア製品、ならびにパッチ剤、プラスター剤、包帯などの店頭販売製品および器具が含まれる。この用語はまた、健康に関連する状態または医療的状態を改善するため、ヒトおよび動物の身体に外部施用されるまたは内部施用される、医療用デバイスも含む。用語「身体」は、全身(顔面、体幹、四肢、手および足)の角質皮膚領域(毛髪、爪)および非角質皮膚領域、身体開口部の組織、ならびに眼を含む。用語「皮膚」は、頭皮および粘膜を含む。
【0098】
本発明のヒドロゲルは、非限定的に、クリーム製品、ローション製品およびクレンジング製品などの皮膚ケア製品(顔、身体、手、頭皮および足)、抗ざ瘡製品、アンチエージング製品(剥離剤(exfoliant)、角質溶解剤、抗セルライト剤、抗しわ剤など)、皮膚保護剤(サンスクリーン、日焼け止め、バリアクリーム、オイル、シリコーンなどのサンケア製品)、皮膚色調製品(美白剤、ライトナー、サンレス日焼け促進剤など)、風呂およびシャワー用製品(ボディークレンザー、ボディーウォッシュ、シャワーゲル、液体石鹸、コンディショニング液状バスオイル、バブルバスなど)を含めた、パーソナルケア(化粧品、トイレタリー、薬用化粧品)および局所ヘルスケア製品に適している。
【0099】
局所向け健康および美容助剤は、拡散助剤として本発明のヒドロゲルを含むことができ、フィルム形成剤は、以下に限定されないが、虫よけ剤、かゆみ軽減剤、防腐剤、消毒薬、日焼け止め、サンスクリーン、皮膚の引き締めおよび張り用乳液およびローション、疣贅除去組成物などを含めた、皮膚保護スプレー、クリーム、ローション、ゲルを含む。
【0100】
本発明のヒドロゲルは、剥離作用のあるスクラブ剤を含有する、シャワーゲル、マスクおよび皮膚クレンザーなどの、微粒子、マイクロ研磨剤および研磨剤を含有する皮膚用製品にとって、微粒子を好適なものにするための懸濁化剤としての使用を見いだすことができる。典型的な微粒子には、以下に限定されないが、外殻、種子および核の顆粒(アーモンド、アプリコット(種子、核粉末、外殻)、アボカド、ココナッツ、トウモロコシの穂軸、オリーブ、モモ、ローズヒップ種子、クルミの外殻など)、アルミニウムシリケート、ホホバ(ワックス、種子粉末)、牡蠣の殻の粉末、マツヨイグサの種子、ミル粉砕した小豆など、ポリエチレン(顆粒、球体)、ポリエチレン(および)ヒドロキシセルロース顆粒、微結晶性セルロース、ポリスチレン、ポリスチレン(および)タルク顆粒、粉砕軽石、粉砕ヘチマ、粉砕海草、コメ、オートムギのふすま、シリカ(水和物、コロイド状など)、粉砕した卵の殻、粉砕したブルーポピーシード、塩(塩化ナトリウム、死海の塩など)ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0101】
本発明のヒドロゲルは、加齢、乾燥、光線によるダメージ、ざ瘡などによって引き起こされる皮膚状態を局所改善するために使用される様々な皮膚科学的な薬用化粧品組成物(コンディショナー、保湿剤、抗酸化剤、剥離剤、角質溶解剤、ビタミン剤などを含有する)における、増粘剤およびフィルム形成剤として有用である。本発明のヒドロゲルは、アルファ−ヒドロキシ酸(AHA)、ベータ−ヒドロキシ酸(BHA)、アルファアミノ酸、アルファ−ケト酸(AKA)およびそれらの混合物などの、そのままの活性成分、アンチエージング剤、抗セルライト剤および抗ざ瘡剤を含有する、皮膚処置用ローションおよびクリーム向けの増粘剤として使用することができる。こうした薬用化粧品では、AHAは、以下に限定されないが、乳酸、グリコール酸、果実酸(リンゴ酸、クエン酸、酒石酸など)、AHAを含有する天然化合物の抽出物(リンゴ抽出物、アプリコット抽出物など)、ハチミツ抽出物、2−ヒドロキシオクタン酸、グリセリン酸(ジヒドロキシプロピオン酸)、タルトロン酸(ヒドロキシプロパン二酸)、グルコン酸、マンデル酸、ベンジル酸、アゼライン酸、酢酸、アルファ−リポ酸(lopioc acid)、サリチル酸、AHA塩および誘導体(アルギニングリコレート、乳酸アンモニウム、乳酸ナトリウムなど)、アルファ−ヒドロキシ酪酸、アルファ−ヒドロキシイソ酪酸、アルファ−ヒドロキシイソカプロン酸、アルファ−ヒドロキシイソ吉草酸、アトロ乳酸などを含むことができる。BHAは、以下に限定されないが、3−ヒドロキシプロパン酸、ベータ−ヒドロキシ酪酸、ベータ−フェニル乳酸、ベータ−フェニルピルビン酸などを含むことができる。アルファ−アミノ酸は、時として、果実酸と組み合わせて使用される、アスパラギン酸、グルタミン酸などのアルファ−アミノ二カルボン酸、およびそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。AKAは、ピルビン酸を含む。一部のアンチエージング組成物では、酸性の活性剤は、レチノイン酸、トリクロロ酢酸などのハロカルボン酸、アスコルビン酸(ビタミン剤C)などの酸性抗酸化剤、無機酸、フィチン酸、リゾホスファチジン酸などとすることができる。一部の抗ざ瘡剤は、例えば、サリチル酸、サリチル酸の誘導体(5−オクタノイルサリチル酸など)、レチノイン酸およびその誘導体を含むことができる。
【0102】
本発明のヒドロゲルの使用を見いだすことができる他のヘルスケア製品は、局所および非局所用医薬品およびデバイスなどの医療製品である。医薬品の製剤では、本発明のヒドロゲルは、それらに限定されず、結合剤、コーティング剤、制御放出剤、クリーム剤、ポマード、ゲル剤、ペースト剤、軟膏剤、ゲルカプセル剤、下剤用流体(浣腸、催吐薬、結腸洗浄剤など)、座剤、抗真菌性発泡体、眼用製品(点眼剤、人工涙、緑内障薬送達用点滴、コンタクトレンズのクリーナーなどの眼科用製品)、耳用製品(耳垢軟化剤、耳垢除去剤、耳炎薬送達用点滴など)、鼻用製品(点滴、軟膏剤、スプレー剤など)、創傷ケア(液状包帯、創傷被覆体、抗生物質のクリーム剤、軟膏剤など)、および火傷用ゲル剤などの製品における、増粘剤および/または滑沢剤として使用することができる。
【0103】
記載されている個々の化学的構成成分の量は、特に示さない限り、市販物質中に慣用的に存在し得る、いかなる溶媒も除いて、すなわち活性化学物質基準で表されている。しかし、特に示さない限り、本明細書において言及された各化学物質または組成物は、異性体、副生成物、誘導体、および市販グレード品に存在していると通常理解されている他のこうした物質を含有し得る市販グレードの物質として解釈すべきである。
【0104】
上記の物質の一部は、最終製剤中で相互作用することがあり、その結果、該最終製剤の構成成分は、最初に添加したものとは異なっていることがあることが公知である。例えば、金属イオン(例えば、洗剤の金属イオン)は、他の分子の他の酸性または陰イオン性部位に移動することができる。これにより、その使用目的において本発明の組成物を使用する際に形成された製品を含め、形成された製品は、簡単に説明できるものではない可能性がある。とはいえ、こうした改変および反応生成物のすべてが、本発明の範囲内に含まれている。本発明は、上記の構成成分を混合することによって調製される組成物を包含する。
【実施例】
【0105】
本発明は、特に有利な実施形態を説明する、以下の実施例によってさらに例示される。これらの実施例は本発明を例示するために提示されるが、それらは、本発明を限定することを意図するものでない。別段の指定がない限り、重量%(wt.%)は、組成物の合計の重量に対する、wt.%で示されている。
試験方法
【0106】
Brookfield回転スピンドル法(本明細書に報告されているほとんどの粘度測定は、Physica Rheolab MC100レオメータ法によると具体的に記載されていない限り、Brookfield法によって行われる):粘度測定は、約20〜25℃の周囲室温において、1分間あたり約20回転(rpm)で、Brookfield回転スピンドル粘度計であるモデルRVT(Brookfield Engineering Laboratories,Inc.)を使用して、センチポアズ(cPsまたはmPas)で算出する(これ以降、粘度と呼ぶ)。スピンドルサイズは、製造業者からの標準操作推奨に従い選択する。一般に、スピンドルサイズは以下の通り選択する:
【化6】
スピンドルサイズの推奨は、例示を目的とするに過ぎない。当業者は、測定すべき系に適したスピンドルサイズを選択する。Lubrizolの文書である、TDS−244 − Measurement and Understanding of Yield Value(TDS−244−降伏値の測定および理解)に報告されている、Brookfield降伏値(応力)決定法。Brookfield RVT粘度計を使用して、0.5〜100rpmの速度で液体試料によりスピンドルを回転させるのに必要なトルクを測定する。トルクの読み取り値をスピンドルおよび速度に関する適切な一定値をかけることにより、見かけ粘度が得られる。スピンドル速度は、せん断速度に相当する。降伏値は、測定された値をせん断速度0まで外挿したものである。Brookfield降伏値(Brookfield yield value:BYV)は、0.5および1rpmのスピンドル速度を使用した場合、以下により算出することができる:
【化7】
レオロジー測定
【0107】
ねじれ流向けに設定されたPhysica Rheolab MC100レオメータを以下の測定に使用した。測定温度は25Cであり、間隔は、1つの角度を有する75mmの円錐に対して、0.050mmに設定した。正方向に300秒間で0〜50sec−1の線形勾配を使用し、300秒間で50〜0sec−1の線形低下を使用した。せん断速度を制御して、トルクからせん断応力を算出した。実施例で調製したポリマーの公知の粘性液を遠心分離にかけて、いかなる気泡も除去する。試料の粘性液をプレートの底部に投入し、余分な分を除去する。流動曲線プログラムを開始し、安定したせん断のレベルが向上している状態下でデータを採集する。Cassonのモデルから得られた最後の2つの特性を含む、以下の情報が生じる:
粘度は、せん断速度の関数である。
η(γ)η=σ/γ=せん断応力/せん断速度
チキソトロピー指数:以下の式に従う、正方向の勾配曲線と逆方向の勾配曲線との間の面積:
Y
1/p=a+bX
1/p
(式中、Yはせん断応力であり、Xはせん断速度であり、pは2に等しく、
降伏応力ρ(降伏値、降伏点)は、Y切片(a)であり、
高せん断速度(マイクロ粘度、η∞b)における限界粘度は、傾きである)。
材料
【0108】
材料は一般に、化学分野の当業者に公知の化学物質供給店から、または以下に示されている供給業者から市販されている。
Carbopol(登録商標)980NF カルボマーホモポリマータイプC、The Lubrizol Corporationから入手可能
Carbopol(登録商標)981NF カルボマーホモポリマータイプA、The Lubrizol Corporationから入手可能
Carbopol(登録商標)Ultrez−10NF カルボマーインターポリマータイプA、The Lubrizol Corporationから入手可能
Carbopol(登録商標)ETD2020 カルボマーインターポリマータイプB、The Lubrizol Corporationから入手可能
Euxyl−PE9010 フェノキシエタノールおよびエチルヘキシルグリセリンをベースとする液体保存剤、Schuelke,Inc.から入手可能
Noveon(登録商標)PolyCarbophil ポリカルボフィル、The Lubrizol Corporationから入手可能
AA−1 USP
PolyOx WSR−301 分子量1×10
5〜7×10
6を有するポリエチレンオキシド、Colorconから入手可能
TPU1 脂肪族ポリエーテル熱可塑性ポリウレタン、The Lubrizol Corporationから入手可能
TPU2 脂肪族ポリエーテル熱可塑性ポリウレタン、The Lubrizol Corporationから入手可能
TPU3 脂肪族ポリエーテル熱可塑性ポリウレタン、The Lubrizol Corporationから入手可能
Carbopol980NF(0.5重量%)マスターバッチの調製
【0109】
497グラムのDI水を800mlのビーカーに入れ、3ブレードマリンインペラー(blade marine impeller)を有するLightninミキサーで、1,000rpmで撹拌する。0.5グラムのEuxyl−PEを上記の水に加えて混合する。撹拌しながら、2.5グラムのCarbopol980NFを20メッシュのふるいに通して導入し、完全に水和するまで、20分間、混合する。このpHを記録し、最終pHが6.5+/−0.2を達成するまで、水中18重量%のNaOHを加える。pH、およびBrookfield RVT−DV粘度計を使用する、20rpm.sでのBrookfield粘度。
Carbopol(登録商標)980NF、981NFおよびETD2020NFのマスターバッチの調製
【0110】
表1に説明されている指定重量%のCarbopol980NF、Carbopol981NFおよびETD2020NFのマスターバッチは、実施例1に記載されているものと同じ方法で調製する。各バッチのデータが表1に示されている。
【表1】
TPU1のマスターバッチの調製
【0111】
885.6グラムのDI水を、1lのフタ付き広口瓶に入れ、磁気撹拌器を用いて撹拌する。0.9グラムのEuxyl−PEを上記の水に加えて混合する。13.5グラムのTPU1を上記の水に加え、滑らかな溶液が達成されるまで混合する。pH、および20rpmにおけるBrookfield粘度を測定する。
【0112】
表2に説明されている指定重量%のTPU1のマスターバッチは、実施例2に記載されているものと同じ方法で調製する。
【表2】
PolyOxの調製
【0113】
885.6グラムのDI水を、1lのフタ付き広口瓶に入れ、磁気撹拌器を用いて撹拌する。0.9グラムのEuxyl−PEを上記の水に加えて混合する。13.5グラムのSentry PolyOx WSR301を上記の水に加え、滑らかな溶液が達成されるまで混合する。pH、および20rpmにおけるBrookfield粘度を測定する。
【0114】
指定重量%のPolyOx WSR301のマスターバッチは、上記と同じ方法で調製する。データが表3に示されている。
【表3】
【0115】
表1〜3中の試料の各々は、同じ濃度における100%溶液の粘度を示している。TPU1(試料番号ベースライン4〜6)およびPEO Polyox(試料番号ベースライン7〜9)のどちらも、0.5重量%および1重量%において低い粘度を有しており、1.5重量%を超えるまで、なんら有意な粘度を生じ始めない。それに比べて、Carbopol試料(ベースライン番号1〜3)は、0.5重量%および1重量%という低い濃度で粘度を生じる。
Carbopol980NFとTPU1とのブレンドの調製
【0116】
800mlのビーカー中で、マスターバッチ980−1(100グラム)およびマスターバッチTPU1(100グラム)および200グラムのDI水を、滑らかになるまでブレンドする。pH、および20rpmにおけるBrookfield粘度を測定する。
【0117】
指定重量%のCarbopol980NFとTPU1とのさらなるブレンドは、上記と同じ方法で調製する。最終ブレンドを調製するためのベースラインゲルおよび水の濃度に関するデータは表4に示されている。
【表4】
Carbopol980−1とPolyOx WSR301とのブレンド
【0118】
800mlのビーカー中で、マスターバッチ980−1(100グラム)およびマスターバッチPolyOx−1(100グラム)および200グラムのDI水を、滑らかになるまでブレンドする。pH、および20rpmにおけるBrookfield粘度を測定する。
【0119】
指定重量%のCarbopol980およびPolyOx WSR301のブレンドは、上記と同じ方法で調製する。比較例ブレンドを調製するためのベースラインゲルおよび水の濃度に関するデータが表5に示されている。
【表5】
【0120】
Carbopol981およびETD2020の同じベースラインゲルを使用する本発明のヒドロゲル組成物を、同様の方法でTPU1のベースラインゲルとブレンドする。
【表6】
【0121】
表6において分かる通り、20RPMにおけるBrookfield粘度は、粘度が向上していることを例示しており、Carbopol980とPolyOxとのブレンドに比べて、高粘度Carbopol980とTPU1との間に相乗作用があることを示している。これは
図1においてさらに例示されており、この図はポリマーの合計濃度が同じベースラインゲルおよび比較例ブレンドよりも、本発明のブレンドの粘度が高いことを示している。
【0122】
表6はまた、ベースラインポリマー4〜9について、Brookfieldにより測定された降伏値(Pas)も例示しており、これらのポリマー溶液は、懸濁する能力をほとんどまたはまったく有さないこと、および本発明のポリマー1〜5は、同じポリマー濃度の比較例およびベースラインよりも高い降伏値を示すことを示している。
【0123】
流体挙動指数とも称される、Brookfieldによって測定されるせん断応答が表6に示されている。ベースライン4、5および6の場合、数値は非常に小さく、線に対してほとんど傾きがないことを示している。ポリエチレンオキシドのベースライン7、8、9もやはり、せん断流動化しており、これは周知である。本発明のポリマーでは、Brookfieldによって測定されるせん断応答は、2種のせん断流動化ポリマーの組合せである比較例ポリマーよりも、本発明のポリマーの方が大きいことが示されている。
【表7】
【0124】
上記の表7において分かる通り、Carbopol980NFにTPU1を添加すると、20RPMにおけるBrookfield粘度が向上する一方、CarbopolにPolyoxを添加しても粘度は向上しない。さらに、比較試料1および3では、Carbopolは粘度プロファイルに主に寄与していること、およびPolyoxは、Polyoxの量を増加した場合でさえも、これらの試料の粘度は本質的に同じなので、粘度プロファイルには寄与しないことが分かる。
【0125】
表7は、本発明のポリマーのBrookfield降伏応力と同じ濃度の比較例ポリマーの比較をさらに例示している。
【表8】
【0126】
表8において分かる通り、20RPMにおけるBrookfield粘度は、粘度およびせん断応答データを例示しており、低粘度のCarbopol981NFとTPU1との間に相乗作用があることを示している。
図2は、ポリマーの合計濃度が1重量%という一定における、高粘度の架橋カルボマーおよび低粘度カルボマーとTPU1とのブレンドの場合、同様の粘度向上が認められることを示している。
ポリカルボフィルのマスターバッチの調製
【0127】
表9に説明されている指定重量%のポリカルボフィル(ベースライン1D、2Dおよび3D)のマスターバッチは、上記と同じ方法で調製する。各バッチのデータが表9に示されている。
Carbopol(登録商標)Ultrez−10NFのマスターバッチの調製
【0128】
表9に説明されている指定重量%のCarbopol Ultrez−10NF(ベースライン1E、2Eおよび3E)のマスターバッチは、上記と同じ方法で調製する。各バッチのデータが表9に示されている。
【表9】
ポリカルボフィルとTPU1とのブレンドの調製
【0129】
200gのマスターバッチ、0.5重量%のTPU1(ベースライン4)および77gの18重量%NaOHをブレンドする。0.5重量%のポリカルボフィルの酸分散物200gを加える。均一になるまでこの溶液を撹拌する。pH、および20rpmにおけるBrookfield粘度を測定する。
【0130】
指定重量%のポリカルボフィル分散物およびTPU1(ベースライン4、5および6)のさらなるブレンドは、上記と同じ方法で調製する。最終ブレンドを調製するためのベースラインゲルおよび水の濃度に関するデータが表10に示されている。
【表10】
【表11】
【0131】
上記の表11において分かる通り、ポリカルボフィルにTPU1を添加すると、20RPMにおけるBrookfield粘度または降伏応力のうちの少なくとも1つが向上することを示している。
【表12】
【0132】
上記の表12において分かる通り、Ultrez10にTPU1を添加すると、20RPMにおけるBrookfield粘度が向上し、降伏値がかなり向上する。
【表13】
【0133】
表13において分かる通り、本発明の実施例は、より大きなせん断流動化のため、20rpmにおいて、ベースラインTPUを単独で含有するゲルよりも、大きなせん断および大きな降伏値を伴う、類似したBrookfield粘度を示している。
リドカイン薬物投入(方法A)
【0134】
2グラムのCarbopol980を190グラムの水に分散する。4グラムのリドカインを8グラムの95%エタノールに溶解する。上記のリドカインエタノールをCarbopol分散物に加える。TPU溶液をCarbopol溶液に加える。最終製剤のpHは7.02であり、20rpmにおけるBrookfield粘度(the Brook field viscosity 20 rpm)は116,000mPasである。この清澄度は、30ネフェロ分析濁度ユニット(NTU)である。この実施例は、カルボマーの酸分散物と医薬活性であるリドカインアミンとをブレンドして、カルボマーを部分中和し、次に、TPU溶液とブレンドする方法によって作製された医薬品ゲル剤は、高い粘度および高い透明度を有することを示している。
リドカイン薬物投入(方法B)
【0135】
2グラムのCarbopol980を190グラムの水に分散する。4グラムのリドカインを8グラムの95%エタノールに溶解する。上記のリドカインエタノールをTPU溶液に加える。このTPU溶液をCarbopol分散物に加える。最終製剤のpHは6.93であり、20rpmにおけるBrookfield粘度は115,800mPasである。清澄度は32NTUである。この実施例は、アミン薬物であるリドカインをTPUと一緒に溶解し、次に、これをカルボマーの酸性分散物とブレンドして、高粘度および良好な清澄度のゲルを得る方法により作製される、水分含有量の高いヒドロアルコール性ゲルの医薬ゲルは、高い粘度および高い清澄度を有することを示している。
メントール/カンファー薬物を投入したヒドロアルコールの実施例の追加的なポリマーTPU−2
【0136】
5.4グラムのCarbopol980を318グラムの水に分散する。25グラムのメントールおよび1.5グラムのカンファーを37グラムのイソプロピルアルコールに溶解する。イソプロピルアルコール/水混合物(80重量%アルコール)中のTPU−2(TG−2000)の10重量%溶液30グラムを上記のメントールカンファー混合物に加え、0.26グラムのトリエタノールアミンを加える。このメントールカンファーTPU−2混合物をCarbopol分散物に加える(40重量%アルコール)。最終製剤のpHは、であり、20rpmにおけるBrookfield粘度は11,800mPasである。降伏値は106である。清澄度は30NTUである。この実施例は、メントールおよびカンファーが疼痛緩和に対する活性体である、ヒドロアルコール性医薬ゲルは、高い粘度、良好な降伏値、高いせん断応答および高い清澄度を有することを示している。
メントール/カンファー薬物を投入したヒドロアルコールの実施例の追加的なポリマーTPU−3
【0137】
1.5グラムのCarbopol980を156グラムの水に分散する。12.5グラムのメントールおよび0.75グラムのカンファーを37グラムのイソプロピルアルコールおよび43.3グラムの水に溶解する。イソプロピルアルコール/水混合物(80重量%アルコール)中のTPU−3(MPD−371D)の15重量%溶液10グラムを上記のメントールカンファー混合物に加え、0.26グラムのトリエタノールアミンを加える。このメントールカンファーTPU−3混合物をCarbopol分散物に加える。20rpmのBrookfield粘度は26,300mPasであり、この製剤は、330NTUの清澄度で曇りがある。この実施例は、メントールおよびカンファーが疼痛緩和に対する活性体である、0.5重量%のカルボマーおよび0.5重量%のTPU−3を有する27重量%のイソプロパノールヒドロアルコール性医薬ゲルは、良好な粘度を有することを示している。このゲルの清澄度は、クリーム状の外観をもたらすよう、アルコール含有量を低くすることにより調節される。
メントール/カンファー薬物を投入したヒドロアルコールの実施例の追加的なポリマーTPU−1
【0138】
1.5グラムのCarbopol980を156グラムの水に分散する。12.5グラムのメントールおよび0.75グラムのカンファーを81グラムのイソプロピルアルコールおよび10グラムの水に溶解する。このメントールカンファー混合物をCarbopol分散物に加える。水中のTPU−3(MPD−371D)の3重量%の溶液100グラムは、添加したトリエタノールアミンを0.26グラム有する。TPU−1混合物をCarbopolメントールカンファー分散物に加える。20rpmにおけるBrookfield粘度は65,800mPasであり、この製剤は941NTUの清澄度で曇りがある。この実施例は、メントールおよびカンファーが疼痛緩和に対する活性体である、0.5重量%のカルボマーおよび1重量%のTPU−1の27重量%のイソプロパノールヒドロアルコール性医薬ゲルは、高い粘度を有することを示している。このゲルの清澄度は、クリーム状の外観をもたらすよう、アルコール含有量を低くすることにより調節された。
メントール/カンファー薬物を投入したヒドロアルコールの実施例の比較−TPU不含
【0139】
2グラムのCarbopol980を256グラムの水に分散する。16.6グラムのメントールおよび1グラムのカンファーを108グラムのイソプロピルアルコールおよび14グラムの水に溶解する。このメントールカンファー混合物をCarbopol分散物に加え、次に0.58グラムのトリエタノールアミンを加える。このメントールカンファーTPU−3混合物をCarbopol分散物に加える。20rpmにおけるBrookfield粘度は12,250mPasであり、この製剤は、932NTUの清澄度で曇りがある。この実施例は、カルボマーおよびTPU−3およびTPU−1のブレンドにより作製された先の実施例と比べて、0.5重量%のカルボマーの27重量%のイソプロパノールヒドロアルコール性医薬ゲルは、低い粘度を有することを示している。清澄度は、TPUの存在によって影響を受けない。
せん断流動化
【0140】
レオロジー流動曲線は、CarbopolとTPUとのブレンドが低せん断時に高い粘度を有することを実証しており、これらの曲線から算出したデータを表14に例示している。流動曲線は、チキソトロピーの尺度をもたらす、1〜1000s
−1のせん断速度掃引を測定することにより生成される。降伏応力およびマイクロ粘度は、Cassonのレオロジーモデルにあてはめることにより、せん断応力およびせん断速度データから見積もられる。曲線のY切片により決定される降伏応力は、せん断がないかまたは低せん断時に高い粘度を有することを実証する別の方法である。降伏応力は、異なるrpm速度におけるBrookfield粘度の測定によっても決定することができる。降伏応力は、ゲルを流動化させるために、超過されなければならない付加された応力である。重力によって誘発される比較的低い応力下では、高い降伏応力ほど流動を阻止する。比較のため、マヨネーズは、典型的に、約100Paであり、毛髪用ゲルは約135Paであり、ケチャップは15Paである。
【表14】
【表15】
【0141】
表14および15に例示されている通り、レオメトリック法により測定すると、本発明の試料は、ポリマー濃度の合計が同じベースラインゲルよりも高い降伏応力を示しており(表14)、かつ同じブレンド濃度の比較例よりも高い降伏応力を示す(表14)。さらに、本発明の試料は、レオメトリック法により測定すると、同じ濃度の比較例よりも高いマイクロ粘度を示しており、このことは、せん断の施行時に、ヒドロゲルに良好な展延性(spreadability)があることを示している。
【0142】
上で言及されている文献はそれぞれ、上で具体的に一覧表示されているか否かに関わらず、いかなる先行出願を含め、参照により本明細書に組み込まれており、そこから優先権を主張する。いずれの文献の言及も、こうした文献が従来技術として認定されること、または当業者の一般知識を構成することをいかなる権利においても認めるものではない。実施例中を除き、またはその他に特に明記しない限り、物質の量、反応条件、分子量、炭素原子数などを指定している本記載中のすべての数量は、語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。本明細書において説明されている量、範囲および比の上限および下限は、独立して組み合わせることができることを理解されたい。同様に、本発明の各要素に関する範囲および量は、他の要素のいずれかに関する範囲または量と一緒に使用することができる。
【0143】
本明細書で使用する場合、「を含む(including)」、「を含有する(containing)」または「を特徴とする(characterized by)」と同義語である、移行語「を含む(comprising)」は、包括的またはオープンエンドであり、追加の、引用していない要素または方法ステップを排除するものではない。しかし、本明細書における「を含む(comprising)」の列挙の各々では、この用語はまた、代替実施形態として、句「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」も包含し、この場合、「からなる(consisting of)」は、指定しない任意の要素またはステップを排除し、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、考慮されている組成物または方法の必須のまたは基本的な、および新規の特徴に著しく影響を及ぼさない、列挙されていない追加的な要素またステップを含むことを許容することが意図されている。