特許第6873899号(P6873899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873899
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】カードリーダ
(51)【国際特許分類】
   G06K 13/06 20060101AFI20210510BHJP
   G06K 7/08 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   G06K13/06 B
   G06K13/06 C
   G06K7/08 040
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-519004(P2017-519004)
(86)(22)【出願日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】JP2016078041
(87)【国際公開番号】WO2017057189
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年9月2日
(31)【優先権主張番号】特願2015-192659(P2015-192659)
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 伸也
(72)【発明者】
【氏名】見澤 守
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−140214(JP,A)
【文献】 特開2006−049038(JP,A)
【文献】 実開昭54−176398(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 13/00−13/30
G06K 7/00− 7/14
G06K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが挿入されるカード挿入口と、前記カード挿入口に挿入された前記カードが通過するカード通過路と、前記カード通過路を閉鎖するためのシャッタ部材と、前記シャッタ部材が前記カード通過路を閉鎖する閉鎖位置に向かって前記シャッタ部材を付勢するシャッタ付勢部材と、前記シャッタ部材を回動可能に支持する支持軸とを備えるとともに、
前記カード通過路を通過する前記カードの通過方向と前記カードの厚さ方向とに直交する方向を第1方向とすると、前記カード挿入口に挿入された前記カードの前記第1方向の幅が正規の幅である場合および前記カード挿入口に挿入された前記カードの厚さが正規の厚さである場合の少なくともいずれか一方の場合に前記カードが接触するカード接触部と前記閉鎖位置にある前記シャッタ部材の動作を制限する制限部とを有するレバー部材と、前記制限部が前記シャッタ部材の動作を制限する制限位置に向かって前記レバー部材を付勢するレバー付勢部材とを備え、
前記支持軸は、前記支持軸の軸方向と前記第1方向とが一致するように配置され、
前記シャッタ部材は、略円筒状に形成されるとともに前記支持軸に支持される支持部と、前記カード通過路を閉鎖する閉鎖部とを備え、前記第1方向を回動の軸方向とする回動が可能となっており、
前記支持軸は、前記支持部の内周側に挿通され、
前記支持部には、前記支持部の径方向の外側へ突出する突起部が形成され、
前記カード挿入口に挿入された前記カードが前記カード接触部に接触すると、前記制限部による前記シャッタ部材の制限状態が解除される解除位置へ前記レバー部材が動作し、その後、さらに挿入された前記カードが前記シャッタ部材に接触して前記シャッタ部材が前記カードに押されると、前記カードが通過可能となるように前記シャッタ部材が動作し、
前記閉鎖位置に前記シャッタ部材がありかつ前記制限位置に前記レバー部材がある状態で前記カード挿入口への前記カードの挿入方向に前記閉鎖部が押されると、前記突起部が前記制限部に接触して、前記閉鎖位置にある前記シャッタ部材の動作が制限されることを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
カードが挿入されるカード挿入口と、前記カード挿入口に挿入された前記カードが通過するカード通過路と、前記カード通過路を閉鎖するためのシャッタ部材と、前記シャッタ部材が前記カード通過路を閉鎖する閉鎖位置に向かって前記シャッタ部材を付勢するシャッタ付勢部材と、前記シャッタ部材を回動可能に支持する支持軸とを備えるとともに、
前記カード通過路を通過する前記カードの通過方向と前記カードの厚さ方向とに直交する方向を第1方向とすると、前記カード挿入口に挿入された前記カードの前記第1方向の幅が正規の幅である場合および前記カード挿入口に挿入された前記カードの厚さが正規の厚さである場合の少なくともいずれか一方の場合に前記カードが接触するカード接触部と前記閉鎖位置にある前記シャッタ部材の動作を制限する制限部とを有するレバー部材と、前記制限部が前記シャッタ部材の動作を制限する制限位置に向かって前記レバー部材を付勢するレバー付勢部材と、前記カードの厚さ方向における前記カード通過路の一方の面を構成するフレームとを備え、
前記支持軸は、前記支持軸の軸方向と前記第1方向とが一致するように配置され、
前記シャッタ部材は、前記第1方向を回動の軸方向とする回動が可能となっており、
前記シャッタ付勢部材は、ネジリコイルバネであり、
前記ネジリコイルバネは、前記支持軸が挿通される筒状の筒部と、前記筒部の一端の、前記カードの通過方向の一方側から前記カードの厚さ方向の一方側へ伸びる第1腕部と、前記筒部の他端の、前記カードの通過方向の他方側から前記カードの厚さ方向の一方側へ伸びる第2腕部とを備え、
前記フレームには、前記第1腕部の先端部が前記カードの通過方向の他方側から接触可能な第1接触部と、前記第2腕部の先端部が前記カードの通過方向の一方側から接触可能な第2接触部とが形成され、
前記シャッタ部材には、前記カードの通過方向の一方側から前記第1腕部に接触可能な第3接触部と、前記カードの通過方向の他方側から前記第2腕部に接触可能な第4接触部とが形成され、
前記シャッタ部材が前記閉鎖位置にあるときに、前記第1腕部の先端部は、前記第1接触部に接触し、前記第2腕部の先端部は、前記第2接触部に接触し、
前記カード挿入口に挿入された前記カードが前記カード接触部に接触すると、前記制限部による前記シャッタ部材の制限状態が解除される解除位置へ前記レバー部材が動作し、その後、さらに挿入された前記カードが前記シャッタ部材に接触して前記シャッタ部材が前記カードに押されると、前記カードが通過可能となるように前記シャッタ部材が動作することを特徴とするカードリーダ。
【請求項3】
前記カード接触部は、前記第1方向における前記カード通過路の両側のそれぞれから前記カード通過路に臨むように配置され、
前記カードの前記第1方向の幅が正規の幅である場合に、前記カード接触部に前記カードが接触して前記解除位置へ前記レバー部材が動作することを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記シャッタ部材と前記レバー部材とは、前記第1方向において隣接配置されていることを特徴とする請求項記載のカードリーダ。
【請求項5】
前記レバー部材は、前記カードの通過方向を回動の軸方向とする回動が可能となっていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項6】
前記制限部は、前記閉鎖位置に前記シャッタ部材がありかつ前記制限位置に前記レバー部材がある状態で前記カードの挿入方向に前記閉鎖部が押されたときに前記突起部が接触する側にのみ配置されていることを特徴とする請求項記載のカードリーダ。
【請求項7】
前記シャッタ部材が前記閉鎖位置にあるときに、前記第3接触部は、前記カードの通過方向の一方側から前記第1腕部に接触し、前記第4接触部は、前記カードの通過方向の他方側から前記第2腕部に接触していることを特徴とする請求項記載のカードリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに対して所定の処理を行うカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードに対して所定の処理を行うカードリーダが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカードリーダには、カードが挿入されるカード挿入口と、カード挿入口に挿入されたカードが搬送されるカード搬送路とが形成されている。また、このカードリーダは、カード搬送路を閉鎖する閉鎖位置とカード搬送路を開放する開放位置との間で移動可能なシャッタ部材と、シャッタ部材に連結されるソレノイドと、カード挿入口に挿入されるカードの幅を検知する幅検知機構と、カード挿入口に挿入されるカードの厚さを検知する厚さ検知機構とを備えている。
【0003】
特許文献1に記載のカードリーダでは、幅検知機構は、レバー部材と、レバー部材の変位を検知する光学式のセンサとを備えている。厚さ検知機構は、厚さ方向接触部材と、厚さ方向接触部材の変位を検知する光学式のセンサとを備えている。このカードリーダでは、カード挿入口にカードが挿入される前の待機時には、シャッタ部材は、カード搬送路を閉鎖する閉鎖位置にある。また、このカードリーダでは、たとえば、幅検知機構および厚さ検知機構での検知結果に基づいて正規の形状のカードがカード挿入口に挿入されたことが検知されると、ソレノイドの動力でシャッタ部材が閉鎖位置から開放位置に移動して、カードリーダの内部へのカードの取り込みが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−209981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のカードリーダでは、幅検知機構および厚さ検知機構での検知結果に基づいて正規の形状のカードがカード挿入口に挿入されたことが検知された場合に、ソレノイドの動力でシャッタ部材が閉鎖位置から開放位置に移動して、カードリーダの内部へのカードの取り込みが可能になるため、異形のカードがカードリーダの内部に取り込まれるのを防止することが可能である。
【0006】
しかしながら、このカードリーダでは、異形のカードがカードリーダの内部へ取り込まれるのを防止するための構成として、シャッタ部材を駆動するソレノイド、および、幅検知機構や厚さ検知機構を構成する光学式のセンサが必要になる。また、このカードリーダでは、センサでの検知結果に基づいてソレノイドを駆動する制御回路が必要になる。したがって、特許文献1に記載のカードリーダでは、カードリーダのコストが高くなる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、カードリーダの内部に異形のカードが取り込まれるのを防止することが可能であっても、コストを低減することが可能なカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードが挿入されるカード挿入口と、カード挿入口に挿入されたカードが通過するカード通過路と、カード通過路を閉鎖するためのシャッタ部材と、シャッタ部材がカード通過路を閉鎖する閉鎖位置に向かってシャッタ部材を付勢するシャッタ付勢部材と、シャッタ部材を回動可能に支持する支持軸とを備えるとともに、カード通過路を通過するカードの通過方向とカードの厚さ方向とに直交する方向を第1方向とすると、カード挿入口に挿入されたカードの第1方向の幅が正規の幅である場合およびカード挿入口に挿入されたカードの厚さが正規の厚さである場合の少なくともいずれか一方の場合にカードが接触するカード接触部と閉鎖位置にあるシャッタ部材の動作を制限する制限部とを有するレバー部材と、制限部がシャッタ部材の動作を制限する制限位置に向かってレバー部材を付勢するレバー付勢部材とを備え、支持軸は、支持軸の軸方向と第1方向とが一致するように配置され、シャッタ部材は、略円筒状に形成されるとともに支持軸に支持される支持部と、カード通過路を閉鎖する閉鎖部とを備え、第1方向を回動の軸方向とする回動が可能となっており、支持軸は、支持部の内周側に挿通され、支持部には、支持部の径方向の外側へ突出する突起部が形成され、カード挿入口に挿入されたカードがカード接触部に接触すると、制限部によるシャッタ部材の制限状態が解除される解除位置へレバー部材が動作し、その後、さらに挿入されたカードがシャッタ部材に接触してシャッタ部材がカードに押されると、カードが通過可能となるようにシャッタ部材が動作し、閉鎖位置にシャッタ部材がありかつ制限位置にレバー部材がある状態でカード挿入口へのカードの挿入方向に閉鎖部が押されると、突起部が制限部に接触して、閉鎖位置にあるシャッタ部材の動作が制限されることを特徴とする。
また、上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードが挿入されるカード挿入口と、カード挿入口に挿入されたカードが通過するカード通過路と、カード通過路を閉鎖するためのシャッタ部材と、シャッタ部材がカード通過路を閉鎖する閉鎖位置に向かってシャッタ部材を付勢するシャッタ付勢部材と、シャッタ部材を回動可能に支持する支持軸とを備えるとともに、カード通過路を通過するカードの通過方向とカードの厚さ方向とに直交する方向を第1方向とすると、カード挿入口に挿入されたカードの第1方向の幅が正規の幅である場合およびカード挿入口に挿入されたカードの厚さが正規の厚さである場合の少なくともいずれか一方の場合にカードが接触するカード接触部と閉鎖位置にあるシャッタ部材の動作を制限する制限部とを有するレバー部材と、制限部がシャッタ部材の動作を制限する制限位置に向かってレバー部材を付勢するレバー付勢部材と、カードの厚さ方向におけるカード通過路の一方の面を構成するフレームとを備え、支持軸は、支持軸の軸方向と第1方向とが一致するように配置され、シャッタ部材は、第1方向を回動の軸方向とする回動が可能となっており、シャッタ付勢部材は、ネジリコイルバネであり、ネジリコイルバネは、支持軸が挿通される筒状の筒部と、筒部の一端の、カードの通過方向の一方側からカードの厚さ方向の一方側へ伸びる第1腕部と、筒部の他端の、カードの通過方向の他方側からカードの厚さ方向の一方側へ伸びる第2腕部とを備え、フレームには、第1腕部の先端部がカードの通過方向の他方側から接触可能な第1接触部と、第2腕部の先端部がカードの通過方向の一方側から接触可能な第2接触部とが形成され、シャッタ部材には、カードの通過方向の一方側から第1腕部に接触可能な第3接触部と、カードの通過方向の他方側から第2腕部に接触可能な第4接触部とが形成され、シャッタ部材が閉鎖位置にあるときに、第1腕部の先端部は、第1接触部に接触し、第2腕部の先端部は、第2接触部に接触し、カード挿入口に挿入されたカードがカード接触部に接触すると、制限部によるシャッタ部材の制限状態が解除される解除位置へレバー部材が動作し、その後、さらに挿入されたカードがシャッタ部材に接触してシャッタ部材がカードに押されると、カードが通過可能となるようにシャッタ部材が動作することを特徴とする。
【0009】
本発明のカードリーダは、カード挿入口に挿入されたカードの第1方向の幅が正規の幅である場合や挿入されたカードの厚さが正規の厚さである場合にカードが接触するカード接触部と閉鎖位置にあるシャッタ部材の動作を制限する制限部とを有するレバー部材と、制限部がシャッタ部材の動作を制限する制限位置に向かってレバー部材を付勢するレバー付勢部材とを備えており、カード挿入口に挿入されたカードがカード接触部に接触すると、制限部によるシャッタ部材の制限状態が解除される解除位置へレバー部材が動作する。すなわち、本発明では、カード挿入口に挿入されたカードの第1方向の幅が正規の幅でない場合や挿入されたカードの厚さが正規の厚さでない場合には、シャッタ部材の制限状態は解除されず、シャッタ部材がカード通過路を閉鎖した状態が維持される。そのため、本発明では、カードリーダの内部に異形のカードが取り込まれるのを防止することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、シャッタ部材は、シャッタ付勢部材によって閉鎖位置に向かって付勢されており、レバー部材が解除位置へ動作した後、さらに挿入されたカードがシャッタ部材に接触してシャッタ部材がカードに押されると、カードが通過可能となるようにシャッタ部材が動作するため、シャッタ部材を駆動する駆動源が不要になる。また、本発明では、特許文献1に記載のカードリーダが有するセンサも不要になる。したがって、本発明では、カードリーダの内部に異形のカードが取り込まれるのを防止することが可能であっても、カードリーダのコストを低減することが可能になる。
また、本発明において、ネジリコイルバネは、支持軸が挿通される筒状の筒部と、筒部の一端の、カードの通過方向の一方側からカードの厚さ方向の一方側へ伸びる第1腕部と、筒部の他端の、カードの通過方向の他方側からカードの厚さ方向の一方側へ伸びる第2腕部とを備え、フレームには、第1腕部の先端部がカードの通過方向の他方側から接触可能な第1接触部と、第2腕部の先端部がカードの通過方向の一方側から接触可能な第2接触部とが形成され、シャッタ部材には、カードの通過方向の一方側から第1腕部に接触可能な第3接触部と、カードの通過方向の他方側から第2腕部に接触可能な第4接触部とが形成され、シャッタ部材が閉鎖位置にあるときに、第1腕部の先端部は、第1接触部に接触し、第2腕部の先端部は、第2接触部に接触している場合には、閉鎖位置にあるシャッタ部材が支持軸を中心にしてどちらの方向へ回動しても、共通のシャッタ付勢部材によって、シャッタ部材を閉鎖位置へ戻すことが可能になる。したがって、カードリーダの構成を簡素化することが可能になる。
【0011】
本発明において、たとえば、カード接触部は、第1方向におけるカード通過路の両側のそれぞれからカード通過路に臨むように配置され、カードの第1方向の幅が正規の幅である場合に、カード接触部にカードが接触して解除位置へレバー部材が動作する。この場合には、第1方向の幅の狭い異形のカードがカードリーダの内部に取り込まれるのを防止することが可能になる。
【0012】
本発明において、シャッタ部材とレバー部材とは、第1方向において隣接配置されていることが好ましい。すなわち、本発明において、シャッタ部材とレバー部材とは、カードの通過方向において略同じ位置に配置されていることが好ましい。このように構成すると、シャッタ部材とレバー部材とがカードの通過方向においてずれた位置に配置されている場合と比較して、カードの通過方向においてカードリーダを小型化することが可能になる。
【0013】
本発明において、レバー部材は、たとえば、カードの通過方向を回動の軸方向とする回動が可能となっている
【0014】
本発明において、制限部は、閉鎖位置にシャッタ部材がありかつ制限位置にレバー部材がある状態でカードの挿入方向に閉鎖部が押されたときに突起部が接触する側にのみ配置されていることが好ましい。このように構成すると、カードの挿入方向におけるカードの先端側の第1方向の幅は正規の幅であったり、カードの先端側の厚さは正規の厚さであるが、カードの挿入方向におけるカードの後端側(すなわち、カードの排出方向におけるカードの先端側)の第1方向の幅が正規の幅でないカードやカードの後端側の厚さが正規の厚さでないカードが、万一、カードリーダに取り込まれたとしても、カードリーダから排出されるカードの後端がシャッタ部材の閉鎖部に接触したときに、シャッタ部材がカード通過路を開放する方向へシャッタ部材を回動させることが可能になる。したがって、カードの先端側の第1方向の幅は正規の幅であったり、カードの先端側の厚さは正規の厚さであるが、カードの後端側の第1方向の幅が正規の幅でないカードやカードの後端側の厚さが正規の厚さでないカードが、万一、カードリーダに取り込まれたとしても、カードリーダに取り込まれたカードをカードリーダから排出することが可能になる。
【0016】
本発明において、シャッタ部材が閉鎖位置にあるときに、第3接触部は、カードの通過方向の一方側から第1腕部に接触し、第4接触部は、カードの通過方向の他方側から第2腕部に接触していることが好ましい。このように構成すると、閉鎖位置にあるシャッタ部材のふらつきを抑制することが可能になる。したがって、シャッタ部材が閉鎖位置にある状態でレバー部材が解除位置から制限位置へ動作するときの、シャッタ部材のふらつきに起因するレバー部材の制限部とシャッタ部材との干渉を防止することが可能になる。その結果、レバー部材を解除位置から制限位置に確実に戻すことが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明では、カードリーダの内部に異形のカードが取り込まれるのを防止することが可能であっても、カードリーダのコストを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの斜視図である。
図2図1に示すカードリーダの前端側部分の構成を説明するための斜視図であり、(A)はシャッタ部材の動作が制限されている状態を示す図、(B)はシャッタ部材の動作の制限が解除されている状態を示す図である。
図3図2に示すカードリーダの前端側部分の正面図であり、(A)はシャッタ部材の動作が制限されている状態を示す図、(B)はシャッタ部材の動作の制限が解除されている状態を示す図である。
図4図2に示すカードリーダの前端側部分の平面図であり、(A)はシャッタ部材の動作が制限されている状態を示す図、(B)はシャッタ部材の動作の制限が解除されている状態を示す図である。
図5図2に示すシャッタ部材の付勢状態を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(カードリーダの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。図2は、図1に示すカードリーダ1の前端側部分の構成を説明するための斜視図であり、(A)はシャッタ部材7の動作が制限されている状態を示す図、(B)はシャッタ部材7の動作の制限が解除されている状態を示す図である。
【0021】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録されたデータの読取りやカード2へのデータの記録を行うための装置であり、ATM(Automated Teller Machine)等の所定の上位装置に搭載されて使用される。カードリーダ1には、カード2が挿入されるカード挿入口3と、カード挿入口3に挿入されたカード2が通過するカード通過路4とが形成されている。カード通過路4は、カード挿入口3に繋がるように形成されている。
【0022】
カード2は、0.7〜0.8mm程度の塩化ビニール製のカードである。カードリーダ1で使用される正規のカード2は、国際規格(たとえば、ISO/IEC7811)やJIS規格(たとえば、JISX6302)に準拠した磁気ストライプ付きのカードであり、略長方形状に形成されている。カード2の裏面には、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。なお、カード2には、ICチップが内蔵されても良い。
【0023】
カード通過路4では、図1等に示すX方向へカード2が通過する。具体的には、カード挿入口3に、図1等に示すX2方向へカード2が挿入され、カード挿入口3から、図1等に示すX1方向へカード2が排出される。すなわち、X方向は、カード2の通過方向であり、X2方向は、カード2の挿入方向であり、X1方向は、カード2の排出方向である。また、X方向に直交する図1等のZ方向は、カード通過路4を通過するカード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交する図1等のY方向は、カード通過路4を通過するカード2の幅方向である。
【0024】
本形態では、カード2の長手方向とX方向とが一致するように(すなわち、カード2の短手方向とY方向とが一致するように)、カード2がカードリーダ1に取り込まれる。以下の説明では、X方向を「前後方向」、Y方向を「左右方向」、Z方向を「上下方向」とする。また、X1方向側を「前」側、X2方向側を「奥(後ろ)」側、Y1方向側を「右」側、Y2方向側を「左」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。本形態の左右方向(Y方向)は、第1方向である。
【0025】
カードリーダ1は、カード2に記録された磁気データの読取りやカード2への磁気データの記録を行う磁気ヘッド(図示省略)を備えている。また、カードリーダ1は、カード通過路4でカード2を搬送するカード搬送機構(図示省略)を備えている。カード搬送機構は、たとえば、カード2を搬送する搬送ローラと、搬送ローラに対向配置されるパッドローラと、搬送ローラを駆動するモータと、モータの動力を搬送ローラに伝達する動力伝達機構とを備えている。
【0026】
また、カードリーダ1は、カード通過路4を閉鎖するためのシャッタ部材7と、シャッタ部材7がカード通過路4を閉鎖する閉鎖位置7Aに配置されたシャッタ部材7の動作を制限するためのレバー部材8とを備えている。シャッタ部材7およびレバー部材8は、カードリーダ1の前端側部分に配置されている。具体的には、シャッタ部材7およびレバー部材8は、カード挿入口3のすぐ奥側に配置されている。以下、カードリーダ1の前端側部分の構成を説明する。
【0027】
(カードリーダの前端側部分の構成)
図3は、図2に示すカードリーダ1の前端側部分の正面図であり、(A)はシャッタ部材7の動作が制限されている状態を示す図、(B)はシャッタ部材7の動作の制限が解除されている状態を示す図である。図4は、図2に示すカードリーダ1の前端側部分の平面図であり、(A)はシャッタ部材7の動作が制限されている状態を示す図、(B)はシャッタ部材7の動作の制限が解除されている状態を示す図である。図5は、図2に示すシャッタ部材7の付勢状態を説明するための概略図である。
【0028】
上述のように、シャッタ部材7は、カード挿入口3のすぐ奥側に配置されており、カード通過路4の前端側部分を閉鎖するために設けられている。レバー部材8は、カード通過路4の左右方向の両側のそれぞれに配置されている。すなわち、カードリーダ1は、カード通過路4の左右の両側のそれぞれに配置される2本のレバー部材8を備えている。シャッタ部材7と2本のレバー部材8とは、前後方向において略同じ位置に配置されている。また、シャッタ部材7と2本のレバー部材8とは、左右方向において隣接配置されている。
【0029】
また、カードリーダ1は、シャッタ部材7を回動可能に支持する支持軸10と、2本のレバー部材8のそれぞれを回動可能に支持する2本の支持軸11とを備えている。支持軸10は、支持軸10の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。支持軸10の長さは、カード通過路4の左右方向の幅よりも長くなっている。また、支持軸10は、カード通過路4よりも上側に配置されている。支持軸10の両端側部分は、カードリーダ1のフレームに支持されている。支持軸11は、支持軸11の軸方向と前後方向とが一致するように配置されている。また、支持軸11は、カード通過路4よりも下側に配置されている。2本の支持軸11は、カード通過路4の左右方向の両外側のそれぞれに配置されている。
【0030】
シャッタ部材7は、全体として左右方向に細長いブロック状に形成されている。このシャッタ部材7は、カード通過路4を閉鎖する閉鎖部7aと、支持軸10に支持される2個の支持部7bとを備えている。閉鎖部7aは、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aにあるときのシャッタ部材7の下端側部分を構成している。また、閉鎖部7aは、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aにあるときに支持軸10の真下に配置されている。2個の支持部7bのそれぞれは、シャッタ部材7の左右の両端側部分のそれぞれを構成している。
【0031】
閉鎖部7aには、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aにあるときに下側へ突出する複数の突起部7cが形成されている。複数の突起部7cは、左右方向において所定の間隔をあけた状態で形成されている。カード通過路4の下面を構成するカードリーダ1の下フレーム12の上面には、突起部7cとの干渉を防止するための複数の凹部12aが形成されている。支持部7bは、略円筒状に形成されている。支持部7bの内周側には、支持軸10が挿通されており、シャッタ部材7は、左右方向を回動の軸方向とする回動が可能となっている。支持部7bには、径方向の外側へ突出する突起部7dが形成されている。突起部7dは、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aにあるときに上側に向かって突出している。
【0032】
閉鎖位置7Aにあるシャッタ部材7は、図5に示すように、右側から見たときの時計回りの方向(時計方向)および右側から見たときの反時計回りの方向(反時計方向)への回動が可能となっている。シャッタ部材7は、シャッタ付勢部材13によって閉鎖位置7Aに向かって付勢されている。具体的には、シャッタ部材7は、シャッタ付勢部材13によって、カード通過路4よりも上側に配置される支持軸10を中心に、閉鎖位置7Aに向かって、右側から見たときの時計方向および反時計方向へ付勢されており、閉鎖位置7Aにあるシャッタ部材7には、シャッタ付勢部材13の付勢力は作用していない。すなわち、閉鎖位置7Aは、シャッタ付勢部材13によって付勢されるシャッタ部材7の中立位置となっている。
【0033】
シャッタ付勢部材13は、ネジリコイルバネである。図5に示すように、シャッタ付勢部材13は、支持軸10が挿通される筒状(具体的には、円筒状)の筒部13aと、筒部13aの一端(たとえば、右端)の後ろ側から上側に向かって伸びる第1腕部13bと、筒部13aの他端(たとえば、左端)の前側から上側に向かって伸びる第2腕部13bとを備えている。本形態では、第1腕部13bは、第1腕部13bの上端が若干後ろ側へ向かうように傾斜しており、第2腕部13cは、第2腕部13cの上端が若干前側へ向かうように傾斜している。シャッタ付勢部材13は、左右方向におけるシャッタ部材7の中心の1箇所に配置されている。なお、図2図4では、シャッタ付勢部材13の図示を省略している。また、シャッタ付勢部材13は、左右方向におけるシャッタ部材7の中心からずれた箇所に配置されていても良い。また、シャッタ付勢部材13は、左右方向におけるシャッタ部材7の両端側の2箇所に配置されていても良い。
【0034】
カード通過路4の上面を構成するカードリーダ1の上フレーム16には、図5に示すように、右側から見たときの反時計方向へのシャッタ部材7の回動範囲を規制するストッパ16aと、右側から見たときの時計方向へのシャッタ部材7の回動範囲を規制するストッパ16bとが形成されている。本形態の上フレーム16は、カード2の厚さ方向におけるカード通過路4の一方の面を構成するフレームである。
【0035】
第1腕部13bの上端部(先端部)は、ストッパ16aの前面側に接触可能となっており、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aにあるときにストッパ16aの前面側に接触している。第2腕部の上端部(先端部)は、ストッパ16bの後面側に接触可能となっており、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aにあるときにストッパ16bの後面側に接触している。すなわち、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aにあるときには、図5に示すように、第1腕部13bの先端部は、ストッパ16aに前側から接触し、第2腕部の先端部は、ストッパ16bに後ろ側から接触している。本形態のストッパ16aは、第1腕部13bの先端部が前側から接触可能な第1接触部であり、ストッパ16bは、第2腕部13cの先端部が後ろ側から接触可能な第2接触部である。
【0036】
また、シャッタ部材7の上端側には、後ろ側から第1腕部13bに接触可能な第3接触部としての接触部7fと、前側から第2腕部13cに接触可能な第4接触部としての接触部7gとが形成されている。シャッタ部材7が閉鎖位置7Aにあるときには、接触部7fは、後ろ側から第1腕部13bに接触し、接触部7gは、前側から第2腕部13cに接触している。なお、シャッタ付勢部材13は、引張りコイルバネ、圧縮コイルバネあるいは板バネ等の他のバネ部材であっても良い。
【0037】
レバー部材8は、カード挿入口3に挿入されたカード2の短手方向の幅(左右方向の幅)が正規の幅である場合にカード2が接触するカード接触部8aと、閉鎖位置7Aにあるシャッタ部材7の動作を制限する制限部8bと、支持軸11に支持される2個の支持部8cとを備えている。支持部8cとカード接触部8aと制限部8bとは、下側からこの順番に配置されている。また、レバー部材8の上端側には、支持軸10が挿通される貫通孔8dが形成されている。
【0038】
支持部8cは、略円筒状に形成されている。2個の支持部8cは、前後方向において所定の間隔をあけた状態で配置されている。2個の支持部8cの内周側には、支持軸11が挿通されており、レバー部材8は、前後方向を回動の軸方向とする回動が可能となっている。貫通孔8dは、左右方向においてレバー部材8を貫通するように形成されている。また、貫通孔8dは、レバー部材8が回動したときのレバー部材8と支持軸10との干渉を防止するために、上下方向に長い長孔状に形成されている。
【0039】
上述のように、レバー部材8は、カード通過路4の左右方向の両側のそれぞれに配置されている。カード接触部8aは、カード通過路4の左右方向の両側のそれぞれからカード通過路4に臨むように配置されており、カード通過路4に対して出没可能となっている。2個のカード接触部8aのそれぞれには、カード挿入口3に挿入されたカード2の左右方向の幅が正規の幅である場合に、左右方向におけるカード2の両端面のそれぞれが接触する。制限部8bは、シャッタ部材7の突起部7dに前側から接触可能となるように、左右方向の内側へ突出するように形成されている。制限部8bの後面は、前後方向に直交する平面状に形成されている。
【0040】
レバー部材8は、レバー付勢部材14によって制限部8bがシャッタ部材7の動作を制限する制限位置8Aに向かって付勢されている(図2(A)、図3(A)、図4(A)参照)。具体的には、レバー部材8は、レバー付勢部材14によって、カード通過路4よりも下側に配置される支持軸11を中心に、レバー部材8の上端側が左右方向の内側へ向かうように付勢されている。すなわち、カード通過路4の右側に配置されるレバー部材8は、前側から見たときの反時計方向に付勢され、カード通過路4の左側に配置されるレバー部材8は、前側から見たときの時計方向に付勢されている。レバー付勢部材14は、たとえば、ネジリコイルバネであり、レバー付勢部材14には、支持軸11が挿通されている。なお、図3図4では、レバー付勢部材14の図示を省略している。また、レバー付勢部材14は、引張りコイルバネ、圧縮コイルバネあるいは板バネ等の他のバネ部材であっても良い。
【0041】
上フレーム16には、制限位置8Aにあるレバー部材8の上端側がさらに左右方向の内側へ向かうようにレバー部材8が回動するのを防止するためのストッパ(図示省略)が設けられている。そのため、レバー付勢部材14の付勢力以外の外力がレバー部材8に作用していないときには、レバー部材8は、制限位置8Aで停止する。レバー部材8が制限位置8Aにあるときには、制限部8bは、シャッタ部材7の突起部7dの前側に配置されている。そのため、レバー部材8が制限位置8Aにあるときには、シャッタ部材7は、右側から見たときの反時計方向への回動が制限されており、閉鎖部7aを奥側へ押しても、シャッタ部材7は回動しない。すなわち、レバー部材8が制限位置8Aにあるときには、閉鎖部7aを奥側へ押しても、突起部7dが制限部8bに接触するため、シャッタ部材7は回動しない。
【0042】
このように、本形態では、閉鎖位置7Aにシャッタ部材7がありかつ制限位置8Aにレバー部材8がある状態で閉鎖部7aが奥側に押されると、突起部7dが制限部8bに接触して、閉鎖位置7Aにあるシャッタ部材7の動作が制限される。また、本形態では、制限部8bは、閉鎖位置7Aにシャッタ部材7がありかつ制限位置8Aにレバー部材8がある状態で閉鎖部7aが奥側に押されたときに突起部7dが接触する側にのみ配置されている。すなわち、閉鎖位置7Aにシャッタ部材7がありかつ制限位置8Aにレバー部材8がある状態では、突起部7dの前側のみに制限部8bが配置されており、突起部7dの奥側には制限部8bは配置されていない。
【0043】
(カード挿入時のレバー部材およびシャッタ部材の動作)
カードリーダ1では、カード挿入口3にカード2が挿入される前の待機時には、シャッタ部材7は、閉鎖位置7Aにあり、レバー部材8は、制限位置8Aにある。この状態で、左右方向の幅が正規の幅であるカード2がカード挿入口3に挿入されると、2個のカード接触部8aのそれぞれに左右方向におけるカード2の両端面のそれぞれが接触して、2本のレバー部材8が支持軸11を中心にして回動する。具体的には、レバー部材8の上端側が左右方向の外側へ開くように2本のレバー部材8が回動する。
【0044】
左右方向の幅が正規の幅であるカード2がカード挿入口3に挿入されて、2本のレバー部材8が回動すると、図2(B)、図3(B)、図4(B)に示すように、シャッタ部材7の突起部7dが接触しない位置まで2個の制限部8bが移動して、制限部8bによるシャッタ部材7の制限状態が解除される。すなわち、制限部8bによるシャッタ部材7の制限状態が解除される解除位置8Bへ2本のレバー部材8が回動する。その後、さらにカード2が奥側に挿入されてカード2の奥端がシャッタ部材7の閉鎖部7aに接触し、閉鎖部7aがカード2によって奥側に押されると、カード2が通過可能となるようにシャッタ部材7が動作する。具体的には、シャッタ部材7は、右側から見たときの反時計方向へ回動する。
【0045】
また、シャッタ部材7が回動すると、カードリーダ1の内部にカード2が取り込まれる。カードリーダ1の内部にカード2が完全に取り込まれると、カード2の前端は、シャッタ部材7よりも奥側に配置される。そのため、シャッタ部材7は、シャッタ付勢部材13の付勢力で閉鎖位置7Aに戻る。また、レバー部材8は、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aに戻った後に、レバー付勢部材14の付勢力で制限位置8Aに戻る。
【0046】
カードリーダ1でのカード2の処理が終了すると、カードリーダ1からカード2が排出される。カード2の排出時には、カード2の前端がシャッタ部材7の閉鎖部7aに接触して閉鎖部7aを前側へ押す。上述のように、閉鎖位置7Aにシャッタ部材7がありかつ制限位置8Aにレバー部材8がある状態では、突起部7dの前側のみに制限部8bが配置されており、突起部7dの奥側には制限部8bは配置されていないため、閉鎖部7aがカード2によって前側に押されると、カード2が通過可能となるようにシャッタ部材7が右側から見たときの時計方向へ回動する。また、シャッタ部材7が回動すると、カードリーダ1からカード2が排出される。カードリーダ1からカード2が排出されると、シャッタ部材7は、シャッタ付勢部材13の付勢力で閉鎖位置7Aに戻る。
【0047】
なお、カード2の排出時にも、2個のカード接触部8aのそれぞれに左右方向におけるカード2の両端面のそれぞれが接触すると、レバー部材8は、制限位置8Aから解除位置8Bに移動する。また、カードリーダ1からカード2が排出されると、レバー部材8は、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aに戻った後に、レバー付勢部材14の付勢力で制限位置8Aに戻る。
【0048】
一方、左右方向の幅が正規の幅でない異形のカード2がカード挿入口3に挿入された場合には、2個のカード接触部8aのうちの少なくとも一方のカード接触部8aに、カード2の左右方向の端面が接触しない。あるいは、左右方向の幅が正規の幅でない異形のカード2がカード挿入口3に挿入された場合に2個のカード接触部8aにカード2の左右方向の端面が接触したとしても、突起部7dが接触しない位置まで2個の制限部8bが移動するほど2本のレバー部材8は回動しない。
【0049】
そのため、この場合には、2個の制限部8bのうちの少なくとも一方の制限部8bは突起部7dの前側に配置されており、制限部8bによるシャッタ部材7の制限状態は解除されない。すなわち、制限位置8Aから解除位置8Bへ少なくとも1本のレバー部材8は回動しない。したがって、その後、さらに奥側に挿入されたカード2が閉鎖部7aに接触して閉鎖部7aを奥側に向かって押しても、シャッタ部材7は回動せず、カード2はカードリーダ1の内部に取り込まれない。
【0050】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、左右方向の幅が正規の幅であるカード2がカード挿入口3に挿入されると、2個のカード接触部8aのそれぞれに左右方向におけるカード2の両端面のそれぞれが接触して、2本のレバー部材8が支持軸11を中心にして回動し、突起部7dに接触しない位置まで2個の制限部8bが移動する。すなわち、制限部8bによるシャッタ部材7の制限状態が解除される解除位置8Bへ2本のレバー部材8が回動する。一方、左右方向の幅が正規の幅でない異形のカード2がカード挿入口3に挿入された場合には、2個の制限部8bのうちの少なくとも一方の制限部8bは突起部7dの前側に配置されており、少なくとも1本のレバー部材8は解除位置8Bへ回動しない。そのため、本形態では、左右方向の幅が正規の幅でない異形のカード2がカード挿入口3に挿入された場合に、閉鎖位置7Aにあるシャッタ部材7は回動しない。したがって、本形態では、カードリーダ1の内部に異形のカード2が取り込まれるのを防止することが可能になる。
【0051】
また、本形態では、シャッタ部材7は、シャッタ付勢部材13によって閉鎖位置7Aに向かって付勢されており、制限部8bによるシャッタ部材7の制限状態が解除された後、さらに奥側に挿入されたカード2がシャッタ部材7の閉鎖部7aに接触して閉鎖部7aがカード2に押されると、カード2が通過可能となるようにシャッタ部材7が動作する。そのため、本形態では、シャッタ部材7を駆動する駆動源が不要になる。また、本形態では、特許文献1に記載のカードリーダが有するセンサも不要になる。したがって、本形態では、カードリーダ1の内部に異形のカード2が取り込まれるのを防止することが可能であっても、カードリーダ1のコストを低減することが可能になる。
【0052】
本形態では、シャッタ部材7とレバー部材8とは、左右方向において隣接配置されており、前後方向において略同じ位置に配置されている。そのため、本形態では、シャッタ部材7とレバー部材8とが前後方向においてずれた位置に配置されている場合と比較して、前後方向においてカードリーダ1を小型化することが可能になる。
【0053】
本形態では、カードリーダ1の内部にカード2が完全に取り込まれると、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aに戻るとともに、レバー部材8が制限位置8Aに戻るが、閉鎖位置7Aにシャッタ部材7がありかつ制限位置8Aにレバー部材8がある状態では、突起部7dの前側のみに制限部8bが配置されており、突起部7dの奥側には制限部8bは配置されていない。そのため、本形態では、たとえば、カード2の奥端側(すなわち、カード2の挿入方向の先端側)の左右方向の幅は正規の幅であるが、カード2の前端側(すなわち、カード2の排出方向の先端側)の左右方向の幅が正規の幅でないカード2が、万一、カードリーダ1の内部に取り込まれても、カードリーダ1から排出されるカード2の前端が閉鎖部7aに接触して閉鎖部7aが前側に押されると、シャッタ部材7がカード通過路4を開放する方向へシャッタ部材7が回動する。したがって、本形態では、カード2の奥端側の左右方向の幅は正規の幅であるが、カード2の前端側の左右方向の幅が正規の幅でないカード2が、万一、カードリーダ1の内部に取り込まれても、カードリーダ1に取り込まれたカード2をカードリーダ1から排出することが可能になる。
【0054】
本形態では、シャッタ付勢部材13は、ネジリコイルバネであり、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aにあるときに、シャッタ付勢部材13の第1腕部13bの先端部は、ストッパ16aに前側から接触し、第2腕部13cの先端部は、ストッパ16bに後ろ側から接触している。また、本形態では、シャッタ部材7の上端側に、後ろ側から第1腕部13bに接触可能な接触部7fと、前側から第2腕部13cに接触可能な接触部7gとが形成されている。そのため、本形態では、閉鎖位置7Aにあるシャッタ部材7が右側から見たときの時計方向および反時計方向のどちらの方向へ回動しても、共通のシャッタ付勢部材13によって、シャッタ部材7を閉鎖位置7Aへ戻すことが可能になる。したがって、本形態では、カードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。
【0055】
本形態では、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aにあるときに、シャッタ部材7の接触部7fが後ろ側から第1腕部13bに接触し、シャッタ部材7の接触部7gが前側から第2腕部13cに接触している。そのため、本形態では、閉鎖位置7Aにあるシャッタ部材7のふらつきを抑制することが可能になる。したがって、本形態では、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aにある状態でレバー部材8が解除位置8Bから制限位置8Aに戻るときの、シャッタ部材7のふらつきに起因する制限部8bと突起部7dとの干渉を防止することが可能になる。その結果、本形態では、レバー部材8を解除位置8Bから制限位置8Aに確実に戻すことが可能になる。
【0056】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0057】
上述した形態では、左右方向の幅が正規の幅であるカード2がカード挿入口3に挿入されたときに、制限部8bによるシャッタ部材7の制限状態が解除されるように、レバー部材8は、前後方向を回動の軸方向として回動可能となっている。この他にもたとえば、左右方向の幅が正規の幅であるカード2がカード挿入口3に挿入されたときに、制限部8bによるシャッタ部材7の制限状態が解除されるように、レバー部材8は、上下方向を回動の軸方向として回動可能となっていても良いし、左右方向を回動の軸方向として回動可能となっていても良い。また、左右方向の幅が正規の幅であるカード2がカード挿入口3に挿入されたときに、制限部8bによるシャッタ部材7の制限状態が解除されるように、レバー部材8は、左右方向へスライドしても良いし、上下方向へスライドしても良い。
【0058】
上述した形態では、左右方向の幅が正規の幅であるカード2がカード挿入口3に挿入されたときに、カード2がカード接触部8aに接触してレバー部材8が動作して、制限部8bによるシャッタ部材7の制限状態が解除される。この他にもたとえば、厚さが正規の厚さであるカード2がカード挿入口3に挿入されたときに、カード2がカード接触部8aに接触してレバー部材8が動作して、制限部8bによるシャッタ部材7の制限状態が解除されても良い。この場合には、厚さが正規の厚さであるカード2がカード挿入口3に挿入されてカード2がカード接触部8aに接触すると、制限部8bによるシャッタ部材7の制限状態が解除されるように、レバー部材8が上下方向へスライドする。この場合であっても、カードリーダ1の内部に異形のカード2が取り込まれるのを防止することが可能になる。
【0059】
なお、上下方向へスライドするレバー部材8が左右方向におけるカード通過路4の両端側のそれぞれに配置されている場合には、左右方向の幅が正規の幅であって、かつ、厚さが正規の厚さであるカード2がカード挿入口3に挿入されたときに、制限部8bによるシャッタ部材7の制限状態が解除されるように2本のレバー部材8を上下方向へスライドさせることが可能である。この場合には、左右方向の幅が正規の幅であって、かつ、厚さが正規の厚さであるカード2のみをカードリーダ1の内部へ取り込むことが可能になる。
【0060】
上述した形態では、シャッタ部材7は、左右方向を回動の軸方向とする回動が可能となっているが、シャッタ部材7は、上下方向へスライド可能となっていても良い。この場合には、カード2がシャッタ部材7の下端側部分に接触したときに、シャッタ部材7が上側へスライドするように、シャッタ部材7の下端側部分に所定の傾斜面が形成される。また、上述した形態では、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aにあるときに、閉鎖部7aは支持軸10の真下に配置されているが、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aにあるときに、閉鎖部7aと支持軸10とが前後方向においてずれていても良い。
【0061】
上述した形態では、閉鎖位置7Aにシャッタ部材7がありかつ制限位置8Aにレバー部材8がある状態において、突起部7dの前側のみに制限部8bが配置されており、突起部7dの奥側には制限部8bは配置されていない。この他にもたとえば、閉鎖位置7Aにシャッタ部材7がありかつ制限位置8Aにレバー部材8がある状態において、突起部7dの前側および奥側の両側のそれぞれに制限部8bが配置されても良い。この場合には、たとえば、カードリーダ1から排出されるカード2の前端側の左右方向の幅が正規の幅である場合にカード2が接触するカード接触部がレバー部材8に形成され、カードリーダ1から排出されるカード2の前端側がこのカード接触部に接触すると、制限位置8Aにあるレバー部材8が解除位置8Bへ回動する。
【0062】
上述した形態では、シャッタ部材7は、共通のシャッタ付勢部材13によって、右側から見たときの時計方向および反時計方向へ付勢されているが、右側から見たときの時計方向へシャッタ部材7を付勢するシャッタ付勢部材と、右側から見たときの反時計方向へシャッタ部材7を付勢するシャッタ付勢部材とが個別に設けられていても良い。また、上述した形態では、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aにあるときに、接触部7fは、第1腕部13bに接触し、接触部7gは、第2腕部13cに接触しているが、シャッタ部材7が閉鎖位置7Aにあるときに、接触部7fは、第1腕部13bに接触していなくても良いし、接触部7gは、第2腕部13cに接触していなくても良い。
【0063】
上述した形態では、シャッタ部材7とレバー部材8とは、前後方向において略同じ位置に配置されているが、シャッタ部材7とレバー部材8とは、前後方向においてずれていても良い。また、上述した形態では、カード2は、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードであるが、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。また、上述した形態では、カードリーダ1は、カード搬送機構を備えるカード搬送式のカードリーダであるが、カードリーダ1は、カード2の挿入および引抜きを手動で行う手動式のカードリーダであっても良い。
【符号の説明】
【0064】
1 カードリーダ
2 カード
3 カード挿入口
4 カード通過路
7 シャッタ部材
7A 閉鎖位置
7a 閉鎖部
7b 支持部
7d 突起部
7f 接触部(第3接触部)
7g 接触部(第4接触部)
8 レバー部材
8A 制限位置
8B 解除位置
8a カード接触部
8b 制限部
10 支持軸
13 シャッタ付勢部材(ネジリコイルバネ)
13a 筒部
13b 第1腕部
13c 第2腕部
14 レバー付勢部材
16 上フレーム(フレーム)
16a ストッパ(第1接触部)
16b ストッパ(第2接触部)
X カードの通過方向
X2 カードの挿入方向
Y 第1方向
Z カードの厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5