特許第6873902号(P6873902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873902
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】血流撮像
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20210510BHJP
   A61B 5/0295 20060101ALI20210510BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20210510BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   A61B6/00 350C
   A61B5/0295
   A61B6/03 375
   A61B6/03 377
   A61B5/02 310A
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-530005(P2017-530005)
(86)(22)【出願日】2015年12月14日
(65)【公表番号】特表2018-502622(P2018-502622A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】EP2015079596
(87)【国際公開番号】WO2016096729
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2018年10月26日
(31)【優先権主張番号】14198453.4
(32)【優先日】2014年12月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】グラス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】プロクサ ロラント
(72)【発明者】
【氏名】クルーヒェル サシャ
【審査官】 佐々木 龍
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−136800(JP,A)
【文献】 特表2014−507208(JP,A)
【文献】 特開平10−127596(JP,A)
【文献】 特表2012−519894(JP,A)
【文献】 特表2013−525056(JP,A)
【文献】 特表2009−519082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の関心組織を撮像するための撮像領域を有し、少なくとも前記関心組織の血流データを生成するコンピュータ断層撮影装置と、
前記関心組織の撮像中、前記関心組織の場所又は前記関心組織の近くの場所を非接触で測定して血液脈動パラメータを決定する非接触血液脈動パラメータ決定器と、
前記血流データ及び前記血液脈動パラメータに基づいて血流‐脈動パラメータを決定する血流‐脈動パラメータ決定器と、
を有し、
前記非接触血液脈動パラメータが、心位相を有する、
血流撮像装置。
【請求項2】
前記非接触血液脈動パラメータ決定器が、皮膚画像プロバイダ及び皮膚画像分析器を有する、請求項1に記載の血流撮像装置。
【請求項3】
前記皮膚画像プロバイダが、光学カメラである、請求項2に記載の血流撮像装置。
【請求項4】
前記非接触血液脈動パラメータ決定器が、変化する血流状態による皮膚色変化に基づいて、血液脈動パラメータを決定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の血流撮像装置。
【請求項5】
前記コンピュータ断層撮影装置が、ガントリを有し、前記非接触血液脈動パラメータ決定器が、前記ガントリ内に位置する対象を撮像することができるように取り付けられる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の血流撮像装置。

【請求項6】
血流‐脈動パラメータを取得する方法において、
コンピュータ断層撮影装置から患者の関心組織の医療スキャン画像を取得するステップと、
前記医療スキャン画像から前記関心組織の血流パラメータを決定するステップと、
前記関心組織の撮像中、前記関心組織の場所又は前記関心組織の近くの場所を非接触で測定して前記患者の血液脈動パラメータを非接触で取得するステップと、
前記血流パラメータ及び前記血液脈動パラメータを関連付けることにより血流‐脈動パラメータを取得するステップと、
を有し、
前記血液脈動パラメータが、心位相を有する、
方法。
【請求項7】
医療スキャン画像を取得するステップ及び非接触で血液脈動パラメータを取得するステップが、同時に実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
血液脈動パラメータを非接触で取得するステップが、前記患者の皮膚の一部の皮膚画像を取得するステップを有する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記血液脈動パラメータが、変化する血流状態による皮膚色変化に基づいて、決定される、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記血流パラメータ、前記血液脈動パラメータ又は前記血流‐脈動パラメータの少なくとも1つを表示するステップを有する、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
血流‐脈動パラメータを決定するコンピュータプログラムであって、請求項6に記載の方法の各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、血流撮像装置、血流‐脈動パラメータを取得する方法及び血流‐脈動パラメータを決定するコンピュータプログラムプロダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)及び他の撮像モダリティは、とりわけ、血流撮像に対して、使用される。一般に、血流撮像は、関心の解剖学的組織(例えば脳、筋肉又は心臓領域)を通る流体(例えば、血液、リンパ液等)の通過に対応する情報を取得し、前記組織又は他の組織の健康状態を識別することを容易化するように前記情報を数量化する撮像アプローチである。例えば、心筋血流撮像は、心臓内の筋組織の酸素供給を測定するのに使用されることができる。このように、患者の心臓は、放射線不透過性造影剤の注入の前及び間に三次元(3D)で撮像されることができ、再構成画像の差が、前記組織に流入される造影剤に起因することができる。筋組織は、この場合、造影剤摂取の度合いによって分類されることができ、病変、例えば、心筋梗塞又は冠動脈閉塞が、検出されることができる。
【0003】
プロスペクティブ心電図(ECG)同期CTは、血流撮像に対して使用されている。この技術を用いて、ある又は特定の心位相(例えば、収縮期、拡張期等)が、プロスペクティブゲーティングに対して選択される。このようにして、データ取得は、単一の脈動状態において一貫して実行されうる。これは、血流画像シーケンスの各時間フレームの時点が同じ心位相において取得されうるので、血流スキャンに対して重要である。更に、異なるセッションにおいて取得される同じ患者の繰り返されるスキャンは、より一貫したものにされることができ、これは、経時的な信号の定量分析に対して特に重要である。
【0004】
しかしながら、ECG同期CTの問題は、心周期の異なる時間フレームにおける心臓の運動状態が異なりうることである。これは、一般に、ECG同期が、実際の機械的運動ではなく、電気信号に頼るという事実による。更に、ECGプローブは、通常、関心組織の近くに配置される。結果として、ECG又は撮像データは、入ってくる(X線)放射線により影響を受けうる(例えば関心組織に向けて放射された放射線若しくは吸収された放射線によるプローブ内の電気信号の生成を物理的にブロックして誤った若しくは歪んだデータを生じる、硬化の発生又は他のアーチファクト)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、ECG同期を使用する必要のない血流撮像法の間の心位相のような血液脈動パラメータに関する一貫した情報を取得することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による実施例は、少なくとも関心組織の血流データを生成するように構成された患者の前記関心組織を撮像するための撮像領域を有する医療撮像装置と、前記患者に対する物理的接触なしで前記関心組織における又は近くの血液脈動パラメータを決定するように構成された非接触血液脈動パラメータ決定器と、前記血流データ及び前記血液脈動パラメータに基づいて血流位相パラメータを決定する血流位相パラメータ決定器とを有する血流撮像装置を対象にする。このようなシステムは、撮像ビーム内にECGプローブのような装置を配置する必要なしに信頼できる血液脈動パラメータを取得することができる。本発明の文脈において、用語「非接触」は、前記患者に対する直接的な物理的接触なしで、すなわち、前記患者に直接的に取り付け又は配置されたプローブの使用無しで血流位相パラメータを決定することを意味する。
【0007】
好ましくは、前記非接触血液脈動パラメータ決定器は、光学カメラのような皮膚画像プロバイダ及び皮膚画像分析器を有する。前記非接触血液脈動パラメータ決定器は、変化する血流状態による皮膚色変化に基づいて、好ましくは遠隔フォトプレチスモグラフィに基づいて、血液脈動パラメータを決定する。
【0008】
好ましくは、前記非接触血液脈動パラメータは、心位相を有する。
【0009】
本発明による他の実施例は、先行する請求項の何れかによる血流撮像装置を対象とし、前記医療撮像装置は、コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴撮像装置、陽電子放出型断層撮影装置又は単光子放出型コンピュータ断層撮影装置を有するグループから選択される。本発明は、特に断層撮影装置に適しているが、非断層撮影装置にも同様に適している。
【0010】
本発明による他の実施例は、血流‐脈動パラメータを取得する方法を対象とし、前記方法は、患者の関心組織の医療スキャン画像を取得するステップと、前記医療スキャンから前記関心組織の血流パラメータを決定するステップと、前記患者の又は前記関心組織の近くの血液脈動パラメータを非接触で取得するステップと、前記血流パラメータ及び前記血液脈動パラメータを関連付けることにより血流‐脈動パラメータを取得するステップとを有する。
【0011】
好ましくは、前記医療スキャン画像を取得するステップ及び前記血流パラメータを非接触で取得するステップは、同時に実行される。
【0012】
好ましくは、前記血液パラメータを非接触で取得するステップは、前記患者の皮膚の一部の皮膚画像を取得するステップを有し、及び/又は前記血液脈動パラメータは、心位相を有し、及び/又は前記血液脈動パラメータ決定器は、変化する血流状態による皮膚色‐スペクトル変化に基づいて、好ましくは遠隔フォトプレチスモグラフィに基づいて、決定される。
【0013】
前記方法は、好ましくは、更に、前記血流パラメータ、前記血液脈動パラメータ又は前記血流‐脈動パラメータの少なくとも1つを表示するステップを有する。
【0014】
好ましくは、前記医療スキャンは、コンピュータ断層撮影装置、X線撮像装置、磁気共鳴撮像装置、陽電子放出型断層撮影装置又は単光子放出型コンピュータ断層撮影装置を有するグループから選択された医療撮像装置により取得される。
【0015】
本発明による他の実施例は、血流‐脈動パラメータを決定するコンピュータプログラムプロダクトを対象とし、前記コンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータ上で実行される場合に、医療スキャンから血流パラメータを決定するステップと、前記血流パラメータを非接触で取得された血液脈動パラメータと関連付けることにより血流‐脈動パラメータを決定するステップとを実行させる命令を有する。
【0016】
他の利点及び変形例は、実施例の記載において対処される。本発明の他の態様及び実施例は、以下の詳細な記載を読み、理解すると当業者により理解される。多くの追加の利点及び利益は、好適な実施例の以下の詳細な記載を読むと当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による血流撮像装置の一実施例を示す。
図2】血液脈動決定器で取得された血液脈動信号の一例を示す。
図3】本発明による血流撮像装置のガントリの実施例を示し、(a)は、前記ガントリに取り付けられた1つの皮膚画像プロバイダを持つ実施例を示し、(b)は、前記ガントリに取り付けられた2つの皮膚画像プロバイダを持つ実施例を示す。
図4】本発明による血流‐脈動パラメータを取得する方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、様々なコンポーネント及びコンポーネントの組み合わせ、並びに様々な処理動作及び処理動作の組み合わせの形を撮りうる。図面は、好適な実施例を示す目的のみであり、本発明を限定すると解釈されるべきではない。より良く視覚化するために、特定のフィーチャは省略されてもよく、又は寸法は、正しい縮尺に従わなくてもよい。
【0019】
本発明は、一例としてCTを使用して説明されるが、本発明は、CTに限定されず、例えばX線、磁気共鳴(MR)、陽電子放出型断層撮影(PET)若しくは単光子放出型コンピュータ断層撮影(SPECT)又はこれらの組み合わせのような、他の(断層撮影及び非断層撮影)撮像モダリティに適したものに容易に適合されうる。
【0020】
図1は、本発明による血流撮像装置10の一実施例を示す。血流撮像装置10は、使用時に検査領域6の周りを回転するガントリ3を持つCT撮像システム1を有する。X線放射線は、X線源4から検出器5に向けて放射され、X線源4及び検出器5の両方が、互いの反対側で前記ガントリに取り付けられる。前記X線放射線は、線源4から前記検出器まで検査領域6を横切る。患者7のような撮像されるべき対象が、検査領域6内に配置される場合、X線画像は、角度ごとに取得されることができる。通常、前記患者は、撮像手順中に検査領域6を通って移動される患者支持台8上に横たわり、このようにして、患者7(の一部)の三次元スキャンデータが、取得されうる。このスキャンデータは、この場合、更に、表示可能な画像111に処理されうる。
【0021】
血流撮像において、関心組織71を通過する造影剤が、分析される。これは、時間依存の追跡であることができ、関心組織71は、前記造影剤が通過する間に様々な時点で撮像され、又は所定の時間(例えば造影剤の流れの開始後の特定の時間期間)に関心組織71における造影剤血流を決定することができる。前記造影剤は、通常、血液又はリンパ液のような媒体内を移動する。この媒体は、通常、一定の速度で体を流れず、例えば、心臓による脈拍で前方に推進され、したがって、心周期に従う。異なる時点で取得された血流データを適切に比較することができるために、前記データが取得された前記血液脈動パラメータを知ることが必要である。このような血液脈動パラメータは、前記血流データが取得された心周期の位相でありうるが、例えば患者の位置、活動レベル及び血液脈動に影響を与えうる他のパラメータのような患者固有の又は状況のデータでもありうる。前述のように、これは、一般に、患者7にECGプローブを使用し、ECGデータを前記血流データと関連付けることにより行われる。
【0022】
前述のように、撮像ビーム内に又は近くに配置されたECGを持つことは、信頼性に関する問題を引き起こしうる。これに対する一般的な解決法は、前記関心組織から離れた場所(例えば前記患者の腕又は脚)において前記患者に前記ECGを配置することである。しかしながら、これは、前記血液脈動パラメータが前記関心組織の場所の近くのものとは位相がずれやすいという欠点を持ち、これは、正確に補正することが難しい。更に、医師及び助手に対して、より信頼できる血流データのために前記関心組織の近くに前記ECGプローブを配置することが、他の医療処置に対する一般的な慣習である。
【0023】
本発明は、純粋なECG情報より多くの又は異なる情報が利用可能である場合に、血流データがより一貫しており、かつ信頼でき、これが、前記関心組織における又は近くの前記血液脈動パラメータを決定するが、前記医療スキャンと干渉しない非接触血液脈動パラメータ決定器を使用することにより達成されることができるという洞察に基づく。
【0024】
本発明の血流撮像装置10は、血流データを生成するように構成された医療撮像装置1を有する。これは、更に、患者7に対する物理的接触なしで患者7の血液脈動パラメータを決定する非接触血液脈動パラメータ決定器12を有する。前記血液脈動パラメータは、関心組織71の場所又はこれに近い場所72に対して決定される。用語「近い」は、本発明に関連して、例えば前記患者の体内に配置されるので、関心組織71の正確な場所において前記血液脈動パラメータを決定することが可能ではないかもしれないが、すぐ近くで(例えば前記関心組織の上又は横の皮膚において)決定されることを意味する。最も広い意味では、用語「近い」は、前記患者の身体のどこでも、検査ビーム61内である領域を含む。前記血液脈動パラメータ決定器は、コンピュータプログラムプロダクトを含む単一の装置又は異なる装置若しくは手段のアセンブリでありうる。血流‐脈動パラメータ決定器は、前記血流データ及び前記決定された血液脈動パラメータに基づいて血流‐脈動パラメータを決定する。血流‐脈動パラメータの一例は、例えば前記血流データが取得された心周期をタグ付けされた又は刻み込まれた血流データである。結果として、前記血液脈動パラメータの非接触測定により、ECGプローブ又は他の装置のような血液脈動パラメータ決定器が、検査ビーム61内に物理的に存在する必要がない。したがって、前記医療スキャンに対する前記血液脈動パラメータ決定器からの影響は、減少され又は完全に除去され、前記決定された血流データを、より正確な、信頼できる、一貫したものにする。
【0025】
本発明による前記血流撮像装置の好適な実施例において、前記血液脈動パラメータ決定器は、患者7の皮膚72の少なくとも一部の画像を提供する皮膚画像プロバイダ2と、前記皮膚画像から血液脈動パラメータを決定するように前記提供された皮膚画像を分析するように構成された皮膚画像分析器12とを有する。
【0026】
皮膚は、特に前記血液脈動パラメータの非接触決定に適している。前記患者の心臓が鼓動するたびに、新しい血流が皮膚に到達し、皮膚の色の微小な変化を生じる。これらの変化は、通常、微赤面(micro-blush)と称される。これらの微赤面が、人間の目により観察されることができないのに対し、皮膚分析器(例えば専用ソフトウェア手段)を持つ普通の光学カメラは、皮膚から反射された光を撮像することにより微赤面の検出を可能にする。経時的に皮膚画像を提供し、前記微赤面を記録することにより、心周期データが取得される。この方法は、遠隔フォトプレチスモグラフィ(遠隔PPG)と称される。図2は、人間の対象の顔における遠隔PPGにより記録された心周期のグラフ121を描く。図2のグラフの横軸は、時間(線形の任意の単位)を描き、縦軸は、皮膚色強度(任意の単位)を描く。心臓の血液脈動パラメータは、このデータから容易に決定されることができ、静止した対象のモニタリングから身体運動中のモニタリングまでの範囲の状況に対して安定光条件下で良好な精度を示した。一例として、脳の血流CT撮像において、各時間フレームは、同じ脈動状態において取得されうる。したがって、前記患者の顔の血液の脈動が、頭部、したがって脳の脈動に直接的に関連付けられることは、有利である。
【0027】
遠隔PPG測定は、前記検査ビーム又は前記患者の生理と干渉せず、可能な限り前記関心組織に近い皮膚の一部に焦点を合わせられることができる。このようにして、遠隔PPGは、本発明との関連で非接触血液脈動決定として使用するのに非常に適している。
【0028】
代替的な非接触脈動決定器は、例えば温度変化を測定することにより心拍を検出することができてもよい温度センサでありうる。
【0029】
他の代替的な非接触脈動決定器は、(例えば呼気の温度差を検出することにより)呼吸を遠隔測定するセンサのような呼吸モニタ又は深度感知を可能にするタイムオブフライトカメラでありうる。
【0030】
血流データ決定器11は、取得された医療データ111から血流データを決定する。血流‐脈動パラメータ決定器13は、例えば、前記血液脈動パラメータを前記血流データとともに記録し、特定の血液脈動パラメータにおいて取得された血流データのみ(例えば特定の心周期に取得された血流データのみ)を選択することにより、血流データを血液脈動パラメータと組み合わせる。前記血流データは、オプションとして前記脈動データと一緒に、表示ユニット14上に血流画像141として表示されうる。医師は、オプションとして目標心位相又は他の血液脈動パラメータにおいて取得された血流画像のみを選択してもよい。更に、前記取得された脈動データは、前記撮像装置が、心臓が所望の位相にある場合の前記関心組織の医療画像のみを取得するように、前記撮像装置に対するフィードバックループにおいて使用されてもよい。
【0031】
図3の概略図は、ガントリ3に又は内に取り付けられた放射線源4、検出器5及び非接触血液脈動パラメータ決定器2、2'を持つ本発明による血流撮像装置のガントリ3の2つの典型的な実施例を示す。図3aは、決定ビーム21を用いる1つの非接触血液脈動パラメータ決定器2を持つ実施例を示し、図3bは、各々が独自の決定ビーム21、21'を用いる2つの非接触血液脈動パラメータ決定器2、2'を持つ実施例を示す。これらの例において、血液脈動パラメータ決定器2、2'は、関心組織71に対する最小距離を持つ前記患者の皮膚に配置されるという点で、関心組織71の近くである患者の皮膚72の一部に焦点を合わせられる。1つの血液脈動パラメータ決定器2が、通常は、適切なデータを取得するのに十分であるとしても、1より多い血液脈動パラメータ決定器2、2'を使用する利点は、各々が個別に血圧パラメータを決定し、前記パラメータが、血液脈動パラメータのより正確な決定を得るために比較、平均化又は他の形で使用されうることである。更に、前記患者の皮膚72の一部が、医療撮像ビーム61に対する視野から一時的に遮られる場合に、それでも、前記決定に対して利用可能なバックアップ血液脈動パラメータ決定器が存在する。加えて又は代わりに、システム10は、見通し線(line-of-sight)妨害物又は欠けた画像コンテンツの場合に警告を自動的に提供する手段を持ちうる。血液脈動パラメータ決定器2、2'は、バックアップ又は追加の血液脈動データを取得するように(図3bに描かれるように)患者の皮膚72の同じ部分に又は患者の皮膚72の異なる部分に焦点を合わせられてもよい。もちろん、更に多くの非接触血液脈動パラメータ決定器を使用することが可能である。
【0032】
血液パラメータ決定器2、2'は、線源4に取り付けられる必要がなく、前記線源とともに回転する必要がない。これらは、ガントリ3の一部であることができ、患者の皮膚72の一部、例えば患者7の顔に焦点を合わせることができる。回転する血液パラメータ決定器2、2'は、実際には、時々、前記台の下であり、したがって、患者の皮膚72を見ない。
【0033】
図4は、血流‐脈動パラメータを取得する方法の概略的表現を描く。ステップS101において、患者7の関心組織71の医療画像が取得される。ステップS102において、血流パラメータが、前記医療スキャンから決定される。ステップS103において、血液脈動パラメータが、前記関心組織における又は近くの場所で非接触の形で取得される。好ましくはステップS101及びS103は、時間的に一致したデータを取得するように同時に実行される。ステップS104において、前記決定された血流パラメータ及び血液脈動パラメータは、血流‐脈動パラメータを取得するように関連付けられる。ステップS106において、前記血流パラメータ、脈動パラメータ及び/又は血流‐脈動パラメータは、個別に表示されうる。ステップS103において取得された前記血液脈動パラメータは、所定の又はユーザ選択血液推進パラメータ値を持つ場合のみに後のステップS101を実行することを可能にするように前記撮像装置にフィードバックされてもよい。
【0034】
この方法の決定ステップは、コンピュータ上で実行される場合にこれらのステップを実行させる命令を有するコンピュータプログラムプロダクトにおいて実行されてもよい。
【0035】
本発明は、図面及び先行する記載において詳細に図示及び記載されているが、このような図示及び記載は、例示的又は典型的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、本発明は、開示された実施例に限定されない。
【0036】
開示された実施例に対する他の変形例は、図面、開示及び添付の請求項の検討から当業者により理解及び達成されることができる。例えば、光学カメラを備えた撮像装置が、既知である。これらのカメラは、患者支持台8上の患者の位置を正確に決定する又は介入処置を容易化するのに使用される。本発明は、(例えばカメラ要件を適合し、これを専用遠隔PPGソフトウェアに結合することにより)血液脈動パラメータ決定器の一部であるようにこれらの光学カメラの少なくとも1つを適合することにより実施されることができる。また、本発明が、血液脈動を使用して説明されるとしても、これは、他の体液(例えばリンパ液又は消化液)にも適合されうる。最後に、本発明は、ECG支援血流撮像の代わりに使用されてもよいが、例えば他のものに対するバックアップ又は制御として、ECG支援血流撮像と一緒に使用されることもできる。
【0037】
請求項において、単語「有する」は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞 "a"又は"an"は、複数を除外しない。
【0038】
単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に記載された複数のアイテムの機能を満たしてもよい。特定の方策が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの方策の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又は一部として供給される光記憶媒体又は半導体媒体のような適切な媒体に記憶/分配されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介するような他の形で分配されてもよい。請求項内のいかなる参照符号も、範囲を限定すると解釈されるべきではない。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4