(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記対象者から得られた前記前立腺組織生検が検出可能な侵攻性前立腺がんを含む前記確率が閾値レベルを上回る場合は、侵攻性前立腺がんの存在をさらに評価するために、継続前立腺組織生検が前記対象者から得られ、分析される、請求項1に記載の方法。
前記少なくとも1つの臨床学的因子が、今まで前記対象者において実行された前立腺組織生検の数、今まで前記対象者において実行された以前の前立腺組織生検の結果、非侵攻性前立腺がんの初期の診断以降のあらゆる陰性生検の発生、前記血液試料を得る前の1年間のあらゆる陰性生検の発生、非侵攻性前立腺がんの初期の診断以降の生検の総数、以前の生検における前立腺容量、以前の生検における陽性コアの数、以前の生検における陽性コアのパーセント、生検コアセクションにおけるがんの断面積、あらゆる生検コアセクションにおけるがんの最大断面積、PSA密度、対象者の人種、前立腺がんの家族歴、あらゆる以前の生検からの陽性コアの最大パーセント、および、あらゆる以前の生検からの陽性コアの最大数から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
コンピュータによって実行されると、前立腺がんと関連付けられた事象の確率を決定するための方法を実行する多数の命令で符号化されたコンピュータ可読記憶媒体であって、前記方法が、
対象者の前立腺がんと関連付けられた事象の確率を決定するために、前記対象者の血漿試料中のtPSA、fPSA、iPSAおよびhK2を含むカリクレインマーカーのレベルを示す情報ならびに前記対象者の少なくとも1つの臨床学的因子についての情報に少なくとも部分的に基づいて、ロジスティック回帰モデルを評価するステップであって、
tPSA、fPSA、iPSAおよびhK2のレベルを示す前記情報ならびに前記少なくとも1つの臨床学的因子についての前記情報に少なくとも部分的に基づいて、前立腺がんと関連付けられた前記事象の前記確率を決定すること
を含む、ステップと、
前立腺がんと関連付けられた前記事象の前記確率の表示を出力するステップであって、ここで前立腺がんと関連付けられた前記事象が非侵攻性前立腺がんから侵攻性前立腺がんへのアップグレードである、ステップ
を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
前記少なくとも1つの臨床学的因子が、今まで前記対象者において実行された前立腺組織生検の数、今まで前記対象者において実行された以前の前立腺組織生検の結果、非侵攻性前立腺がんの初期の診断以降のあらゆる陰性生検の発生、前記血漿試料を得る前の1年間のあらゆる陰性生検の発生、非侵攻性前立腺がんの初期の診断以降の生検の総数、以前の生検における前立腺容量、以前の生検における陽性コアの数、以前の生検における陽性コアのパーセント、生検コアセクションにおけるがんの断面積、あらゆる生検コアセクションにおけるがんの最大断面積、PSA密度、対象者の人種、前立腺がんの家族歴、あらゆる以前の生検からの陽性コアの最大パーセント、および、あらゆる以前の生検からの陽性コアの最大数から選択される、請求項14、18、または19のいずれか一項に記載の方法。
前記少なくとも1つの臨床学的因子が、今まで前記対象者において実行された前立腺組織生検の数、今まで前記対象者において実行された以前の前立腺組織生検の結果、非侵攻性前立腺がんの初期の診断以降のあらゆる陰性生検の発生、前記血漿試料を得る前の1年間のあらゆる陰性生検の発生、非侵攻性前立腺がんの初期の診断以降の生検の総数、以前の生検における前立腺容量、以前の生検における陽性コアの数、以前の生検における陽性コアのパーセント、生検コアセクションにおけるがんの断面積、あらゆる生検コアセクションにおけるがんの最大断面積、PSA密度、対象者の人種、前立腺がんの家族歴、あらゆる以前の生検からの陽性コアの最大パーセント、および、あらゆる以前の生検からの陽性コアの最大数から選択される、請求項15、21、または22のいずれか一項に記載のコンピュータ。
前記少なくとも1つの臨床学的因子が、今まで前記対象者において実行された前立腺組織生検の数、今まで前記対象者において実行された以前の前立腺組織生検の結果、非侵攻性前立腺がんの初期の診断以降のあらゆる陰性生検の発生、前記血漿試料を得る前の1年間のあらゆる陰性生検の発生、非侵攻性前立腺がんの初期の診断以降の生検の総数、以前の生検における前立腺容量、以前の生検における陽性コアの数、以前の生検における陽性コアのパーセント、生検コアセクションにおけるがんの断面積、あらゆる生検コアセクションにおけるがんの最大断面積、PSA密度、対象者の人種、前立腺がんの家族歴、あらゆる以前の生検からの陽性コアの最大パーセント、および、あらゆる以前の生検からの陽性コアの最大数から選択される、請求項16、24、または25のいずれか一項に記載のシステム。
前記少なくとも1つの臨床学的因子が、前記対象者において実行されたデジタル直腸検査の結果を示すパラメータである、請求項17または27に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
前記少なくとも1つの臨床学的因子が、今まで前記対象者において実行された前立腺組織生検の数、今まで前記対象者において実行された以前の前立腺組織生検の結果、非侵攻性前立腺がんの初期の診断以降のあらゆる陰性生検の発生、前記血漿試料を得る前の1年間のあらゆる陰性生検の発生、非侵攻性前立腺がんの初期の診断以降の生検の総数、以前の生検における前立腺容量、以前の生検における陽性コアの数、以前の生検における陽性コアのパーセント、生検コアセクションにおけるがんの断面積、あらゆる生検コアセクションにおけるがんの最大断面積、PSA密度、対象者の人種、前立腺がんの家族歴、あらゆる以前の生検からの陽性コアの最大パーセント、および、あらゆる以前の生検からの陽性コアの最大数から選択される、請求項17、27、または28のいずれか一項に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の態様は、非侵攻性前立腺がんと以前に診断された対象者から得られた前立腺組織生検が検出可能な前立腺がん(高悪性度の前立腺がん(グリーソン7以上)を含む)を含むかどうかを予測するための方法の改善に関連する。従って、本明細書で開示される方法は、侵攻性前立腺がんの進行を検出するためにモニタリングされている対象者に前立腺組織生検がふさわしいかどうかを判断する目的で、医療機関が採用することができる。いくつかの実施形態では、方法は、対象者から得られた血液試料を使用して、次のカリクレインマーカー、すなわち、総前立腺特異抗原(tPSA)、遊離前立腺特異抗原(fPSA)、無傷前立腺特異抗原(iPSA)および/またはヒトカリクレイン2(hK2)のうちの1つまたは複数などの前立腺特異抗原のレベルを測定する1つまたは複数の免疫測定法を実施するステップを伴う。いくつかの実施形態では、前立腺組織生検が検出可能ながん(特に、侵攻性前立腺がん)を含む確率を決定するために、tPSA、fPSA、iPSAおよび/またはhK2の血漿レベルを組み込む予測モデル(例えば、ロジスティック回帰モデル)が提供される。その上、いくつかの実施形態では、予測結果の改善は、測定された前立腺特異抗原レベルに関する情報を1つ以上の臨床学的因子(特に、前立腺がんの存在を検出するために、対象者が以前に生検を行ったか否かに関する情報)と組み合わせることによって得られることが分かっている。それに従って、対象者が侵襲的な前立腺組織生検を受けるべきかどうかを判断するのに役立つ方法の改善が提供される。
【0014】
本開示の態様は、対象者から得られた前立腺組織生検が検出可能な前立腺がん(例:侵攻性前立腺がん)を含む確率を決定する方法を提供する。そのような方法は、対象者の血漿試料を、血漿試料中の総前立腺特異抗原(tPSA)のレベルを少なくとも測定する免疫測定法にかけるステップを伴い得る。tPSAレベルが閾値レベルを上回る場合は、tPSAの測定レベルおよび対象者が以前に前立腺組織生検を行ったかどうかを示すパラメータを重み付けすることによって、前立腺組織生検が検出可能な前立腺がんを含む確率を決定することができる。他方では、tPSAレベルが閾値レベル以下である場合は、tPSA、fPSA、iPSAおよびhK2の測定レベルならびに対象者が以前に前立腺組織生検を行ったかどうかを示すパラメータを重み付けすることによって、前立腺組織生検が検出可能な前立腺がんを含む確率を決定することができる。それに従って、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、血漿試料を、血漿試料中の遊離前立腺特異抗原(fPSA)、無傷前立腺特異抗原(iPSA)および/またはヒトカリクレイン2(hK2)のレベルを測定する免疫測定法にかけるステップを伴い得る。いくつかの実施形態では、確率は、対象者の年齢を示すパラメータを重み付けすることによってさらに決定される。いくつかの実施形態では、確率は、例えば、対象者において実行されたデジタル直腸検査の結果を示す1つまたは複数のパラメータなど、少なくとも1つの臨床学的因子を重み付けすることによってさらに決定される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの臨床学的因子は、今まで対象者において実行された前立腺組織生検の数、今まで対象者において実行された以前の前立腺組織生検の結果、非侵攻性前立腺がんの初期の診断以降のあらゆる陰性生検の発生、血液試料を得る前の1年間のあらゆる陰性生検の発生、非侵攻性前立腺がんの初期の診断以降の生検の総数、以前の生検における前立腺容量、以前の生検における陽性コアの数、以前の生検における陽性コアのパーセント、生検コアセクションにおけるがんの断面積、あらゆる生検コアセクションにおけるがんの最大断面積、PSA密度、対象者の人種、前立腺がんの家族歴、あらゆる以前の生検からの陽性コアの最大パーセント、および、あらゆる以前の生検からの陽性コアの最大数から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、モデル選択に使用されるtPSAの閾値レベルは、tPSA単独での使用またはある患者特有の情報(例えば、以前の生検状態)との併用が、前立腺組織生検で検出可能な前立腺がんを含む確率を確立する目的に対して十分かどうかを示すレベルである。いくつかの実施形態では、閾値レベルは、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mLまたは40ng/mLである。ある患者仕様情報(特に、以前の生検状態)と組み合わされたtPSAレベルは、有益な予測を行うのに十分であり得るため、いくつかの実施形態では、tPSAのレベルを最初に決定する前に他の抗原を検出するための免疫測定法を実行するまでもなく、コスト効率の良いものであり得る。しかし、いくつかの実施形態では、tPSAのレベルは、他のマーカーレベル(例えば、fPSA、iPSAまたはhK2)と並行してまたは共に決定することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数のカリクレインマーカーレベル(例えば、tPSA、fPSA、iPSAおよびhK2のうちの2つ以上のレベル)は、同じアッセイで並行して決定される。他の実施形態では、そのような抗原レベルは、別々のアッセイで決定される。いくつかの実施形態では、抗原レベルは、対象者からの同じオリジナルの採血(例えば、静脈採血)から決定される。いくつかの実施形態では、抗原レベルは、異なる採血から決定される。いくつかの実施形態では、抗原レベルは、同じまたは異なる採血からの血漿製剤を使用して決定される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の抗原レベルは、血漿製剤を使用して決定され、1つまたは複数の他の抗原は、異なるタイプの血液製剤(例えば、血清)を使用して決定される。血漿は、血液の淡黄色の液体成分である。いくつかの実施形態では、血漿は、血球や血液残屑が試験管の底に移動するまで、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、EDTAなど)を含む血液の試験管を遠心分離機で回転させ、その後、血漿を注ぐかまたは取り出すことによって製剤化することができる。
【0017】
対象者に前立腺組織生検が適応されるかどうかを判断するための方法が本明細書で提供される。そのような方法は、医師または医療機関が対象者から血液試料を得るステップと、血液試料を使用して決定された抗原の測定レベルに少なくとも部分的に基づいて、前立腺組織生検が検出可能な前立腺がん(例:侵攻性前立腺がん)を含む確率を決定するステップとを伴い得る。血液試料は、現地で(例えば、対象者が評価されている同じ医療施設または事業内で)処理することも、処理および分析のために外部または第三者の研究所または施設に送り出すこともできる。血液試料を使用して測定されたtPSAレベルが閾値レベルを上回る場合は、確率は、tPSAレベルの重み付けに基づいて決定される。そうでなければ、tPSAレベルが閾値レベル以下である場合は、確率は、血液試料を使用して測定されたtPSA、fPSA、iPSAおよびhK2のレベルの重み付けに基づく。いずれの場合も、確率は、通常、少なくとも1つの臨床学的因子、例えば、対象者が以前に前立腺組織生検を行ったかどうかを示すパラメータの重み付けにも基づく。医師または医療機関は、前立腺組織生検が検出可能な前立腺がんを含む確率に基づいて、対象者に前立腺組織生検が適応されるかどうかを判断することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、医師または医療機関は、確率がカットオフ以上かどうかを生検で示す確率カットオフ(閾値レベル)を設定することができる。例えば、確率が、5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、12.5%、15%、20%、25%、.30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれを超える値より大きい場合は、医師または医療機関は、対象者に前立腺組織生検が適応されると判断することができる。いくつかの実施形態では、前立腺組織生検が(例えば、グリーソンスコア7以上の)検出可能な侵攻性前立腺がんを含む確率に基づくカットオフ(閾値レベル)は、5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、12.5%または15%である。いくつかの実施形態では、前立腺組織生検があらゆる悪性度の検出可能な前立腺がんを含む確率に基づくカットオフ(閾値レベル)は、10%、12.5%、15%、20%、25%または30%である。いくつかの実施形態では、確率がカットオフを下回る場合は、医師または医療機関は、生検を命令することはないが、対象者(例えば、確率レベルの増加または前立腺がんを示す他のリスク因子の変化)のモニタリングを継続する。
【0019】
いくつかの実施形態では、対象者に前立腺組織生検が適応されると判断される場合は、医師または医療機関は、対象者から前立腺組織生検を得るかまたは得るように命令し、前立腺組織生検の分析に基づいて、対象者が前立腺がんを患っているかどうかを判断することができる。前立腺組織生検は、例えば、細胞学的または組織学的分析を含む任意の適切な方法を使用して分析することができる。組織試料は、がんの臨床病期に基づいて特徴付けることができる。試料は、グリーソングレードに基づいて特徴付けることができる。グリーソン3+3(6.0)は、低悪性度の予後が良好な腫瘍に相当する。グリーソン3+4(7.0)および3+5(8.0)は、通常、主に低悪性度形質転換を有するが、いくつかの高悪性度形質転換が見られる組織を有する腫瘍に相当する。グリーソン4+3(7.0)および5+3(8.0)は、通常、主に高悪性度形質転換を有するが、いくつかの低悪性度形質転換が見られる組織を有する腫瘍に相当する。グリーソン4+4(8.0)、4+5(9.0)、(9.0)および5+5(10.0)は、高悪性度の腫瘍に相当する。それに従って、いくつかの実施形態では、前立腺がんは、高悪性度のがん(例えば、グリーソン≧7.0)を含む。
【0020】
免疫測定法
前立腺特異抗原(例えば、カリクレインマーカー:tPSA、iPSA、fPSAおよび/またはhK2)のレベルは、任意の適切な方法によって評価することができる。いくつかの実施形態では、免疫測定法での使用に適した抗体または抗原結合フラグメントが提供される。そのような抗体または抗原結合フラグメントを利用する免疫測定法は、直接または間接形式での競合および非競合免疫測定法であり得る。そのような免疫測定法の非限定的な例は、酵素結合免疫測定法(ELISA)、放射免疫測定法(RIA)、サンドイッチ法(イムノメトリック法)、フローサイトメトリー、ウエスタンブロット法、免疫沈降法、免疫組織化学、免疫顕微鏡法、側方流動免疫クロマトグラフィー法およびプロテオミクス配列である。抗原もしくは抗体またはそれらと結合する抗原結合フラグメントは、例えば、固相担体(例えば、キャリア、膜、柱、プロテオミクス配列など)と結合させることによって、固定化することができる。固相担体物質の例は、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニール、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、ニトロセルローズなどの天然および変性セルロース、ポリアクリルアミド、アガロースならびにマグネタイトなどを含む。担体の性質は、溶液中で固定しているかまたは浮遊しているもの(例えば、ビーズ)であり得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、標識抗体または抗原結合フラグメントは、抗原結合抗体複合体を検出するためのトレーサーとして使用することができる。トレーサーを生成するために使用できる標識のタイプの例は、酵素、放射性同位元素、コロイド金属、蛍光化合物、磁性および化学発光化合物ならびに生物発光化合物を含む。放射性標識抗体は、
153Eu、
3H、
32P、
35S、
59Feまたは
125Iなどの放射性同位元素を結合することによって、公知の方法で製剤化され、次いで、ガンマカウンター、シンチレーションカウンターまたはオートラジオグラフィーによって検出することができる。本明細書で論じられるように、抗体および抗原結合フラグメントは、代わりに、酵母アルコール脱水素酵素、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよび同様のものなどの酵素で標識し、次いで、成長させ、分光光度法でまたは視覚的に検出することができる。適切な蛍光標識は、フルオレセインイソチオシアネート、フルオレスカミン、ローダミンおよび同様のものを含む。適切な化学発光標識は、ルミノール、イミダゾール、シュウ酸エステル、ルシフェリンおよびその他を含む。
【0022】
免疫測定法は、抗体または抗原結合フラグメントと抗原との結合複合体の形成を可能にするという条件の下で、抗原を含む試料(例えば、血漿試料)を抗体または抗原結合フラグメント(例えば、F(ab)、F(ab)
2)と接触させることを含み得る。いくつかの実施形態では、血漿試料は、抗原が試料中に存在する場合は、標的抗原との抗体または抗原結合フラグメントの結合に適した条件の下で、抗体または抗原結合フラグメントと接触させる。このことは、試験管、プレートウェル、膜槽、細胞培養皿、顕微鏡スライドおよび他のチャンバなどの反応チャンバで実行することができる。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、固相担体上に固定化される。試料中の抗原と結合する抗体または抗原結合フラグメントは、捕捉抗体と呼ぶことができる。いくつかの実施形態では、捕捉抗体は、タグに関与する相互作用(例えば、ストレプトアビジンが固相担体に固定化されるビオチンストレプトアビジン相互作用)によって固相担体へのその固定化を促進するタグ(例えば、ビオチン標識)を含む。いくつかの実施形態では、固相担体は、反応チャンバの表面である。いくつかの実施形態では、固相担体は、高分子膜(例えば、ニトロセルローズストリップ、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜など)のものである。他の実施形態では、固相担体は、生物学的構造(例えば、細菌細胞表面)である。他の例示的な固相担体は、本明細書で開示され、当業者に明らかである。
【0023】
いくつかの実施形態では、抗体および抗原結合フラグメントは、抗原と接触させる前に固相担体上に固定化される。他の実施形態では、抗体および抗原結合フラグメントの固定化は、結合複合体の形成後に実行される。さらなる他の実施形態では、抗原は、結合複合体の形成前に固相担体上に固定化される。いくつかの実施形態では、固定化された結合複合体を検出するために、トレーサーを反応チャンバに添加することができる。いくつかの実施形態では、トレーサーは、抗原に対する検出可能に標識された二次抗体を含む。いくつかの実施形態では、トレーサーは、捕捉抗体に対する検出可能に標識された二次抗体を含む。いくつかの実施形態では、一次抗体または抗原結合フラグメントは、それ自体が検出可能に標識される。
【0024】
一実施形態では、本明細書で開示される免疫測定法は、抗体または抗原結合フラグメントを固相担体に固定化するステップと、試料中に存在する場合は、抗体または抗原結合フラグメントとの抗原の結合を可能にするという条件の下で、試料(例えば、血漿試料)を固相担体に加えるステップと、固相担体から余分な試料を取り除くステップと、抗原結合固定化抗体または抗原結合フラグメントとのトレーサーの結合を可能にするという条件の下で、トレーサー(例えば、検出可能に標識された抗体または抗原結合フラグメント)を加えるステップと、固相担体を洗浄するステップと、存在トレーサーをアッセイするステップとを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、抗体および抗原結合フラグメントは、反応チャンバで抗原と接触させた後に固相担体上に固定化される。いくつかの実施形態では、抗体および抗原結合フラグメントは、反応チャンバで抗原と接触させる前に固相担体上に固定化される。いずれの場合も、固定化された結合複合体を検出するために、トレーサーを反応チャンバに添加することができる。いくつかの実施形態では、トレーサーは、抗原に対する検出可能に標識された二次抗体を含む。いくつかの実施形態では、トレーサーは、一次抗体または抗原結合フラグメントに対する検出可能に標識された二次抗体を含む。本明細書で開示されるように、検出可能な標識は、例えば、放射性同位元素、フルオロフォア、発光性分子、酵素、ビオチン部分、エピトープタグまたは色素分子であり得る。適切な検出可能な標識は、本明細書で説明される。
【0026】
いくつかの実施形態では、低pH緩衝液中で免疫測定法を実行することは、より感度の高い抗原検出につながることが分かっている。それに従って、いくつかの実施形態では、トレーサーが捕捉抗体抗原複合体と結合するように、トレーサー抗体は、6.5から7.75未満の範囲のpHを有する緩衝液中で捕捉抗体と接触させる。いくつかの実施形態では、緩衝液のpHは、約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5または7.6である。
【0027】
本明細書で開示されるいかなるアッセイでも、捕捉抗体はトレーサー抗体と交換できることを理解すべきである。
【0028】
いくつかの実施形態では、fPSAのレベルを測定する免疫測定法は、第1の捕捉抗体がfPSAと結合し、それにより、捕捉抗体fPSA複合体が生成されるという条件の下で、血漿試料中に存在するfPSAをfPSAに特異的な捕捉抗体と接触させるステップと、トレーサーを使用して捕捉抗体fPSA複合体を検出するステップとを伴う。捕捉抗体は、H117抗体であり得る。いくつかの実施形態では、トレーサーは、5A10抗体またはそのフラグメント(例えば、F(ab)フラグメント)を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、iPSAのレベルを測定する免疫測定法は、第2の捕捉抗体が少なくともiPSAと結合し、それにより、捕捉抗体iPSA複合体が生成されるという条件の下で、血漿試料中に存在するiPSAを遊離PSA(iPSAおよび切断PSAを含む)に特異的な捕捉抗体と接触させるステップと、第2のトレーサーを使用して捕捉抗体iPSA複合体を検出するステップとを伴う。いくつかの実施形態では、トレーサーは、4D4抗体を含む。いくつかの実施形態では、捕捉抗体は、5A10抗体またはそのフラグメント(例えば、F(ab)フラグメント)である。
【0030】
いくつかの実施形態では、tPSAのレベルを測定する免疫測定法は、第3の捕捉抗体がtPSAと結合し、それにより、捕捉抗体tPSA複合体が生成されるという条件の下で、血漿試料中に存在するtPSAをtPSAに特異的な捕捉抗体と接触させるステップと、第3のトレーサーを使用して捕捉抗体tPSA複合体を検出するステップとを伴う。いくつかの実施形態では、トレーサーは、H50抗体を含む。いくつかの実施形態では、捕捉抗体は、H117抗体である。
【0031】
いくつかの実施形態では、hK2のレベルを測定する免疫測定法は、血漿試料中に存在するPSAをPSAに特異的な遮断抗体と接触させるステップと、第4の捕捉抗体がhK2と結合し、それにより、捕捉抗体hK2複合体が生成されるという条件の下で、血漿試料中に存在するhK2をhK2に特異的な第4の捕捉抗体と接触させるステップと、第4のトレーサーを使用して捕捉抗体hK2複合体を検出するステップとを伴う。いくつかの実施形態では、トレーサーは、7G1抗体を含む。いくつかの実施形態では、捕捉抗体は、6H10F(ab)
2である。いくつかの実施形態では、遮断抗体は、5H7抗体、5H6抗体および2E9抗体を含む。
【0032】
以下の表0は、本明細書で開示される方法で使用できる抗体および抗原結合フラグメントならびにそれらに対応するエピトープをリストする。
【0035】
マイクロ流体試料分析器
本明細書で開示される免疫測定法のいずれも、マイクロ流体デバイス(例えば、カセット)および/またはマイクロ流体試料分析器を使用して実行または実装できることを理解すべきである。例えば、マイクロ流体デバイスは、カリクレインマーカーの1つまたは複数の特徴(例えば、tPSA、fPSA、iPSAまたはhK2のレベル)を決定するために使用することができる。いくつかの実施形態では、システムは、マイクロ流体試料分析器を含み得、マイクロ流体試料分析器は、例えば、免疫測定成分(例えば、抗原抗体複合体、トレーサーなど)を含む試料の流れを含めるおよび/または方向付けるための1つまたは複数のマイクロ流体チャネルを有するカセットで提供された試料を分析するように構成することができる。いくつかの実施形態では、分析器は、1つまたは複数の光源ならびに/あるいは1つまたは複数のマイクロ流体チャネルに存在する抗原抗体複合体および/またはトレーサーのレベルを測定するように構成された1つまたは複数の検出器を含む光学システムを備える。その上、いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイス、および/またはマイクロ流体試料分析器またはマーカーのレベル(例えば、tPSA、fPSA、iPSAまたはhK2のレベル)に基づいて前立腺がんと関連付けられた事象の確率を決定するための他のデバイスと電子通信する、予測モデル(例えば、ロジスティック回帰モデル)を評価するようにプログラムされたプロセッサまたはコンピュータを含み得るシステムが提供される。
【0036】
特定の一例では、システムは、マイクロ流体試料分析器を含み、マイクロ流体試料分析器は、ハウジングと、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを有するカセットを受け取るように構成されたハウジングの開口部とを備え、ハウジングは、ハウジング内のカセットを検出するためにカセット上の嵌合コンポーネントとインタフェースを取るように構成されたコンポーネントを含む。また、システムは、ハウジング内に配置された圧力制御システムも含み、圧力制御システムは、少なくとも1つのマイクロ流体チャネル中で試料を移動させるために、カセットの少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを加圧するように構成される。システムは、ハウジング内に配置された光学システムをさらに含み、光学システムは、少なくとも1つの光源と、光源から離間された少なくとも1つの検出器とを含み、光源は、カセットが試料分析器に挿入された際にカセット中に光を通過させるように構成され、検出器は、カセット中を通過する光の量を検出するために、光源に対向して配置される。システムは、少なくとも1つの臨床学的因子(例えば、人物の年齢)を入力するための、ハウジングと関連付けられたユーザインタフェースを含み得る。システムは、マイクロ流体試料分析器と電子通信するプロセッサを含み得、プロセッサは、非侵攻性前立腺がんを患っていると以前に診断された対象者の血漿試料中のtPSA、fPSA、iPSAおよびhK2から選択された1つまたは複数のカリクレインマーカーのレベルを示す情報と併せて、本明細書で説明されるようにロジスティック回帰モデルを評価するようにプログラムされる。
【0037】
適切なマイクロ流体デバイスの非限定的な例は、すべての目的のためにその内容のその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2013年10月17日に公開された「METHODS AND APPARATUSES FOR PREDICTING RISK OF PROSTATE CANCER AND PROSTATE GLAND VOLUME」と称する米国特許出願公開第2013/0273643号明細書、および2014年7月1日に発行された「Systems and Devices for Analysis of Samples」と称する米国特許第8765062号明細書で開示されている。しかし、本開示はこの点において制限されないため、他のタイプのデバイス(例えば、プレートリーダ、マイクロウェルELISAタイプのアッセイ用の分析器など)も使用できることを理解すべきである。
【0038】
予測モデルおよびコンピュータ実装方法
本開示の態様は、前立腺がんと関連付けられた事象の確率(非侵攻性から侵攻性前立腺がんへのアップグレードなど)を決定するためのコンピュータ実装方法を提供する。そのような方法は、入力インタフェースを介して、対象者の血漿試料中に存在するtPSAのレベルを示す情報を受信するステップと、入力インタフェースを介して、対象者が以前に前立腺組織生検を行ったかどうかについての情報を受信するステップとを伴い得る。いくつかの実施形態では、方法は、対象者の前立腺がんと関連付けられた事象の確率を決定するために、少なくとも1つのプロセッサを使用して、受信された情報に少なくとも部分的に基づいて、適切な予測モデル(例えば、ロジスティック回帰モデル)を評価するステップをさらに伴う。予測モデルは、tPSAの測定レベルおよび対象者が以前に前立腺組織生検を行ったかどうかについての情報に少なくとも部分的に基づいて、前立腺がんと関連付けられた事象の確率を生成することができる。予測モデルは、tPSA、fPSA、iPSAおよびhK2の測定レベルならびに対象者が以前に前立腺組織生検を行ったかどうかについての情報に少なくとも部分的に基づいて、前立腺がんと関連付けられた事象の確率を生成することができる。
【0039】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるプロセス100のフローチャートを示す。ステップ101では、本明細書で説明される技法のうちの1つまたは複数を使用して処理するために、年齢、デジタル検査状態および/または以前の生検状態に相当する患者データを表す1つまたは複数の値が少なくとも1つのプロセッサによって受信される。ステップ102では、tPSA、fPSA、iPSAおよび/またはhK2に対するマーカーデータを表す1つまたは複数の値が少なくとも1つのプロセッサによって受信される。値は、これらに限定されないが、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンもしくは他の入力デバイスなどのローカル入力インタフェースを通じて、プロセッサから離れた場所に位置するデバイスから値を受信するネットワーク接続インタフェースから、または、血液マーカー値を測定する1つもしくは複数の検出器から直接(例えば、プロセッサが、1つまたは複数の検出器を含む測定デバイスと統合される実装形態において)を含む、任意の適切な方法で受信することができる。
【0040】
ステップ103では、tPSAに対する値を受信した後、プロセスは、tPSAのレベルが閾値(例えば、25ng/mL)を上回る場合は第1の予測モデルが選択され、tPSAのレベルが閾値以下である場合は第2の予測モデルが選択されるように進む。それに従って、ステップ104では、tPSAのレベルが閾値レベルを上回る場合は、DRE状態、以前の生検状態およびtPSAレベルに基づいて予測モデルが選択される。あるいは、ステップ105では、tPSAのレベルが閾値レベル以下である場合は、DRE状態、以前の生検状態ならびにtPSA、fPSA、iPSAおよびhK2レベルに基づいて予測モデルが選択される。ステップ104、105の予測モデルは、対象者が前立腺がんを患っている確率を決定するために使用される。予測は、使用されるモデルに応じて、あらゆる悪性度のがんまたは高悪性度のがんまたは非侵攻性から侵攻性前立腺がんへのアップグレードに対するものであり得る。
【0041】
前立腺がんと関連付けられた事象(例えば、非侵攻性前立腺がんから侵攻性前立腺がんへのアップグレード)の確率を決定した後、プロセスは、ステップ106に進み、ステップ106では、さらなる診断手順および/または治療決定を指導するために、確率がユーザ(例えば、医師、患者)に出力される。確率は、任意の適切な方法で出力することができる。例えば、いくつかの実施形態では、確率は、確率を表す数値をデバイスの表示画面上に出力することができる。他の実施形態では、確率は、1つまたは複数の光または他の視覚インジケータを使用してデバイス上に出力することができる。さらなる他の実施形態では、確率は、音声出力、触覚出力、または、音声、触覚および視覚出力のうちの1つもしくは複数の何らかの組合せを使用して提供することができる。いくつかの実施形態では、確率を出力することは、決定された確率についてユーザに通知するために、ネットワーク接続デバイスに情報を送信することを含む。例えば、確率は、離れた場所に位置する1つまたは複数のプロセッサによって決定することができ、確率の表示は、離れた場所での確率の決定に応答して、1つまたは複数のネットワークを使用して、ユーザ(例えば、医師)の電子デバイスに送信することができる。本明細書で説明される技法に従ってユーザに出力を提供する電子デバイスは、これらに限定されないが、ラップトップ、デスクトップまたはタブレットコンピュータ、スマートフォン、ポケベル、携帯情報端末および電子ディスプレイを含む、任意の適切なデバイスであり得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、前立腺がんに関連する事象の確率は、以下で再現される方程式(1)に従って決定される。
【数1】
式中、ロジット(L)は、多数のロジスティック回帰モデルのいずれかを使用して決定される。本明細書で説明される技法に従って使用できる異なるタイプのロジスティック回帰モデルの非限定的な例は、以下を含む。
【0043】
1.単純モデル(tPSAのみ)
L=β
0+β
1(年齢)+β
2(tPSA)+β
3(以前のbx) (2)
または
L=β
0+β
1tpsa+β
2dre
neg+β3drepos+β
4以前のbx (3)
【0044】
2.遊離/総の割合を使用する4つのアッセイモデル
このモデルでは、総PSAに対する遊離PSAの割合が遊離PSA項に代入される。
【数2】
【0045】
3.log(tPSA)および遊離/総の割合を使用する4つのアッセイモデル
このモデルでは、この予測因子の寄与の増大を説明するために、tPSAの対数がtPSA項に代入される。
【数3】
【0046】
4.多項式モデル
このモデルでは、tPSAおよびfPSAに対する追加の非線形項が含まれる。以下で提供される例示的な方程式では、この項と前立腺がんのリスクとの間の直接的な関係を強調するためにtPSAの2乗が使用され、この項とリスクとの逆相関を反映するために遊離/総PSAの平方根項が使用される。しかし、いくつかの実施形態では、高次(例えば、3次)の多項式の項を含めることもできることを理解すべきである。
【数4】
【0047】
5.すべての4つのアッセイに対する線形スプライン
このモデルでは、単一のノットが中央値にある線形スプラインが追加される。スプラインは、以下の方程式を使用して決定することができる。
【数5】
モデルは、
L=β
0+β
1(年齢)+β
2(tPSA)+β
3(fPSA)+β
4(iPSA)+β
5(hK2)+β
6(sp1[tPSA])+β
7(sp2[tPSA])+β
8(sp1[fPSA])+β
9(sp2[fPSA])+β
10(sp1[iPSA])+β
11(sp2[iPSA])+β
12(sp1[hK2])+β
13(sp2[hK2])+β
14(以前のbx) (8)
として表される。
【0048】
6.tPSAおよびfPSAに対する線形スプライン
このモデルでは、変数の数を低減し、モデルを簡素化するために、tPSAおよびfPSAに対してのみ、線形スプラインが含まれる。
L=β
0+β
1(年齢)+β
2(tPSA)+β
3(fPSA)+β
4(iPSA)+β
5(hK2)+β
6(sp1[tPSA])+β
7(sp2[tPSA])+β
8(sp1[fPSA])+β
9(sp2[fPSA])+β
10(以前のbx) (9)
【0049】
上記の方程式の「以前のbx」は、前立腺がんを検出するために対象者が以前に生検を行ったかどうかを示す2進値である。1の値は以前に生検が行われたことを示し、0の値は以前に生検が行われなかったことを示す。
【0050】
7.すべての4つのアッセイに対する3次スプライン
このモデルでは、各項に対して3次スプラインが含まれる。以下で提供される例では、4つのノットを有する3次スプラインについて説明する。しかし、任意の適切な数のノット(これらに限定されないが、5つのノット、6つのノット、7つのノットおよび8つのノットを含む)を使用する3次スプラインも代わりに使用できることを理解すべきである。スプラインは、以下の方程式を使用して決定することができる。
【数6】
式中、ノット1およびノット4は、3次スプラインに対する外部ノットであり、ノット2およびノット3は、3次スプラインに対する内部ノットである。外部ノットは、個体群におけるtPSA、fPSA、iPSAまたはhK2の最小および最大レベルとして設定することができる。内部ノット(例えば、ノット2)は、個体群におけるtPSA、fPSA、iPSAまたはhK2レベルの33.3パーセンタイル値として設定することができる。別の内部ノット(例えば、ノット3)は、個体群におけるtPSA、fPSA、iPSAまたはhK2レベルの66.6パーセンタイル値として設定することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、内部ノットは、tPSAに対して約2から約8までおよび約3から約6まで、fPSAに対して約0.25から約2までおよび約0.5から約1.5まで、iPSAに対して約0.2から約0.5までおよび約0.4から約0.8まで、hK2に対して約0.02から約0.04までおよび約0.04から約0.08までの範囲内で指定される。例えば、一実装形態では、3.92および5.61の値がtPSAに対する内部ノットに使用され、0.82および1.21の値がfPSAに対する内部ノットに使用され、0.3および0.51の値がiPSAに対する内部ノットに使用され、0.036および0.056の値がhK2に対する内部ノットに使用される。
【0052】
ある実施形態では、tPSAに対する1つまたは複数の内部ノットは、独立して、約3から約5まで、約3から約6まで、約2.5から約6まで、約2.5から約6.5まで、約5から約8まで、約5.5から約8まで、約5から約9まで、約5から約10まで、約1から約5まで、約1から約4までおよび約1から約3までの範囲にあり得る。また、他の範囲も可能である。
【0053】
ある実施形態では、fPSAに対する1つまたは複数の内部ノットは、独立して、約0.1から約1.0まで、約0.1から約1.2まで、約0.3から約0.8まで、約0.4から約0.9まで、約0.5から約1.2まで、約0.7から約1.4まで、約0.7から約0.9まで、約1.1から約1.6まで、約1.1から約1.2までおよび約1.1から約2までの範囲にあり得る。また、他の範囲も可能である。
【0054】
ある実施形態では、iPSAに対する1つまたは複数の内部ノットは、独立して、約0.05から約0.5まで、約0.1から約0.5まで、約0.2から約0.5まで、約0.1から約0.8まで、約0.2から約0.8まで、約0.4から約0.8まで、約0.4から約1.0まで、約0.3から約0.6まで、約0.5から約1.0までおよび約0.6から約0.8までの範囲にあり得る。また、他の範囲も可能である。
【0055】
ある実施形態では、hK2に対する1つまたは複数の内部ノットは、独立して、約0.01から約0.03まで、約0.01から約0.04まで、約0.01から約0.05まで、約0.02から約0.05まで、約0.02から約0.06まで、約0.03から約0.05まで、約0.4から約0.07まで、約0.04から約1.0まで、約0.5から約1.0までおよび約0.6から約1.0までの範囲にあり得る。また、他の範囲も可能である。
【0056】
上記で論じられるように、任意の適切な数の内部ノット(例えば、3つ、4つ、5つ、6つの内部ノット)を組み込む3次スプラインを使用することができ、2つの内部ノットを含む3次スプラインの例は、制限ではなく、単なる例示のために提供される。2つより多い内部ノットを含む実施形態では、ノットは、上記で論じられる範囲のうちの1つもしくは複数の範囲内または他の何らかの適切な範囲に置くことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ノットは、近隣ノットの対の各々の間のスプラインのセグメントの長さが本質的に等しくなるように指定することができる。
【0057】
モデルは、以下のように表すことができる。
L=β
0+β
1(年齢)+β
2(tPSA)+β
3(fPSA)+β
4(iPSA)+β
5(hK2)+β
6(sp1[tPSA])+β
7(sp2[tPSA])+β
8(sp1[fPSA])+β
9(sp2[fPSA])+β
10(sp1[iPSA])+β
11(sp2[iPSA])+β
12(sp1[hK2])+β
13(sp2[hK2])+β
14(以前のbx) (12)
【0058】
8.tPSA閾値モデル
いくつかの実施形態では、選択されるモデルは、tPSAの閾値レベルが試料中で検出されるか否かに依存し得る。いくつかの実施形態では、tPSAのレベルが試料中で閾値を上回る場合は、予測モデルは以下の通りである。
L=β
0+β
1(tPSA)+β
2(DRE)
neg+β
3(DRE)
pos+β
4(以前のbx) (13)
【0059】
いくつかの実施形態では、このモデルの重み付け係数の値の範囲は、以下の表1に記載される通りである。前立腺組織生検があらゆる悪性度のがんを有する確率の決定に適した係数は、第2および第3の列に示され、前立腺組織生検が高悪性度のがんを有する確率の決定に適した係数は、第4および第5の列に示されている。
【0061】
いくつかの実施形態では、試料中で検出されたtPSAのレベルが閾値レベル以下である場合は、予測モデルは以下の通りである。
L=β
0+β
1(年齢)+β
2(tPSA)+β
3sp1(tPSA)+β
4sp2(tPSA)+β
5(fPSA)+β
6sp1(fPSA)+β
7sp2(fPSA)+β
8(iPSA)+β
9(hK2)+β
10(DRE
neg)+β
11(DRE
pos)+β
12(以前のbx) (14)
【0062】
いくつかの実施形態では、このモデルの重み付け係数の値の範囲は、以下の表2に記載される通りである。前立腺組織生検があらゆる悪性度のがんを有する確率の決定に適した係数は、第2および第3の列に示され、前立腺組織生検が高悪性度のがんを有する確率の決定に適した係数は、第4および第5の列に示されている。
【0064】
上記のモデルにおけるsp1(tPSA)、sp2(tPSA)、sp1(fPSA)およびsp2(fPSA)のスプライン項は、上記のモデル#7(方程式(10および11))の下で上記で提示される3次スプライン式に従って決定することができる。いくつかの実施形態では、内部ノット2および3ならびに外部ノット1および4の値は、tPSAおよびfPSAに対して以下の表3に記載される範囲内にある。
【0066】
コンピュータ実装形態
図1Bでは、本明細書で説明される技法および/またはユーザ相互作用のいくつかまたはすべてをその上で実装できるコンピュータシステム106の例示的な実装形態が示されている。コンピュータシステム106は、1つまたは複数のプロセッサ107と、1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリ108、1つまたは複数の不揮発性記憶媒体110)とを含み得る。本明細書で説明される本発明の態様はこの点において制限されないため、プロセッサ107は、任意の適切な方法でのメモリ108および不揮発性記憶媒体110へのデータの書き込みならびにメモリ108および不揮発性記憶媒体110からのデータの読み取りを制御することができる。
【0067】
本明細書で説明される機能のいずれかを実行するため、プロセッサ107は、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリ108)に格納されたプログラムモジュールなどの1つまたは複数の命令を実行することができ、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサ107による実行のための命令を格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体として機能し得る。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するかまたは特定の抽象データタイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。また、実施形態は、通信ネットワークを通じてリンクされるリモート処理デバイスによってタスクが実行される分散コンピューティング環境で実装することもできる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、記憶装置を含むローカルおよびリモートコンピュータ記憶媒体の両方に位置し得る。データ入力およびプログラムコマンドは、コンピュータ106によって、入力インタフェース109を通じて受信することができる。入力インタフェース109は、キーボード、タッチスクリーン、USBポート、CDドライブ、DVDドライブまたは他の入力インタフェースを含み得る。
【0068】
コンピュータ106は、ネットワーク接続環境において、1つまたは複数のリモートコンピュータへの論理的な接続を使用して動作することができる。1つまたは複数のリモートコンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイスまたは他の共通のネットワークノードを含み得、通常、コンピュータ106に関連して上記で説明される要素の多くまたはすべてを含む。コンピュータ106と1つまたは複数のリモートコンピュータとの間の論理的な接続は、これらに限定されないが、ローカルエリアネットワーク(LAN)および広域ネットワーク(WAN)を含み得るが、他のネットワークも含み得る。そのようなネットワークは、任意の適切な技術に基づくものであり、任意の適切なプロトコルに従って動作するものであり、無線ネットワーク、有線ネットワークまたは光ファイバネットワークを含み得る。そのようなネットワーク接続環境は、オフィス、企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネットおよびInternetではありふれたものである。
【0069】
LANネットワーク接続環境で使用される際は、コンピュータ106は、ネットワークインタフェースまたはアダプタを通じてLANに接続することができる。WANネットワーク接続環境で使用される際は、コンピュータ106は、通常、モデムまたはWAN上で通信を確立するための他の手段(Internetなど)を含む。ネットワーク接続環境では、プログラムモジュールまたはその一部分は、リモート記憶装置に格納することができる。
【0070】
前立腺がんのリスクを評価するためおよび/または前立腺容積を決定するための本明細書で説明される様々な入力は、入力と関連付けられたデータを格納する1つまたは複数のリモートコンピュータまたはデバイスから、ネットワーク(例えば、LAN、WANまたは他の何らかのネットワーク)を介して、コンピュータ106によって受信することができる。リモートコンピュータ/デバイスのうちの1つまたは複数は、入力データとして分析結果をコンピュータ300に送信する前に、リモートで格納されたデータに関する分析を実行することができる。あるいは、リモートで格納されたデータは、リモート分析なしで、リモートで格納された通りにコンピュータ106に送信することができる。それに加えて、入力は、コンピュータ106のコンポーネントとして組み込むことができる多くの入力インタフェース(例えば、入力インタフェース109)のいずれかを使用して、コンピュータ106のユーザによって直接受信することができる。
【0071】
本発明の実施形態はこの点において制限されないため、前立腺がんリスクの確率および/または前立腺容積の出力を含む本明細書で説明される様々な出力は、コンピュータ106に直接接続された出力デバイス(例えば、ディスプレイ)上に視覚的に提供することができるか、または、出力は、1つまたは複数の有線または無線ネットワークを介してコンピュータ106に接続された離れた場所に位置する出力デバイスに提供することができる。それに加えてまたはその代替として、本明細書で説明される出力は、視覚的提示を使用する以外でも提供することができる。例えば、出力が提供されるコンピュータ300またはリモートコンピュータは、出力の表示を提供するための、これらに限定されないが、スピーカおよび振動型出力インタフェースを含む、1つまたは複数の出力インタフェースを含み得る。
【0072】
図1ではコンピュータ106は単一のデバイスとして示されているが、いくつかの実施形態では、コンピュータ106は、本明細書で説明される機能のいくつかまたはすべてを実行するために通信可能に結合された多数のデバイスを含み得、コンピュータ106は、本発明の実施形態に従って使用できるコンピュータの単なる例示的な一実装形態であることを理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、コンピュータ106は、システムに統合することおよび/またはシステムと電子通信することができる。上記で説明されるように、いくつかの実施形態では、コンピュータ106は、本明細書で説明される技法のうちの1つまたは複数を使用して分析するために、前立腺がんの確率および/または前立腺容積を決定するために使用される1つまたは複数の血液マーカーについての情報が外部の情報源からコンピュータ106に送信されるネットワーク接続環境に含めることができる。
図1Cでは、本発明のいくつかの実施形態による例示的なネットワーク接続環境111が示されている。ネットワーク接続環境111では、コンピュータ106は、ネットワーク114を介してアッセイシステム112に接続される。上記で論じられるように、ネットワーク114は、任意の適切なタイプの有線または無線ネットワークであり、1つまたは複数のローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)(Internetなど)を含み得る。
【0073】
本明細書で説明される計算方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システムおよびシステム要素は、以下で説明されるコンピュータシステムの様々な実施形態などのコンピュータシステムを使用して実装することができる。本明細書で説明される方法、ステップ、システムおよびシステム要素は、他の多くの異なるマシンを使用できるため、それらの実装形態において、本明細書で説明される特定のコンピュータシステムに制限されない。
【0074】
コンピュータシステムは、プロセッサを含み得、例えば、Intelから入手可能なx86系、CeleronおよびPentiumプロセッサ、AMDおよびCyrixからの同様のデバイス、Motorolaから入手可能な680X0系マイクロプロセッサ、IBMからのPowerPCマイクロプロセッサ、ならびに、ARMプロセッサのうちの1つなどの市販のプロセッサを含み得る。他の多くのプロセッサも利用可能であり、コンピュータシステムは、特定のプロセッサに制限されない。
【0075】
プロセッサは、通常、オペレーティングシステムと呼ばれるプログラムを実行し、Windows7、Windows8、UNIX、Linux、DOS、VMS、MacOS、OSXおよびiOSなどがその例であり、他のコンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、デバッギング、入力/出力制御、アカウンティング、コンパイル、ストレージ割り当て、データ管理およびメモリ管理、通信制御、ならびに、関連サービスを提供する。プロセッサおよびオペレーティングシステムは、共に、高水準プログラミング言語のアプリケーションプログラムが記載されるコンピュータプラットフォームを定義する。コンピュータシステムは、特定のコンピュータプラットフォームに制限されない。
【0076】
コンピュータシステムは、通常、コンピュータが読み取り可能なおよび書き込み可能な不揮発性記録媒体を含むメモリシステムを含み得、磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリおよびテープなどがその例である。そのような記録媒体は、例えば、フロッピーディスク、読み取り/書き込みCDまたはメモリスティックなどの取り外し可能なものでも、例えば、ハードドライブなどの永久的なものでもあり得る。
【0077】
そのような記録媒体は、通常、2進数形式(すなわち、1と0の配列として解釈される形式)で信号を格納する。ディスク(例えば、磁気または光学)は、通常、2進数形式(すなわち、1と0の配列として解釈される形式)でそのような信号を格納できる多くのトラックを有する。そのよう信号は、マイクロプロセッサによって実行されるソフトウェアプログラム(例えば、アプリケーションプログラム)またはアプリケーションプログラムによって処理される情報を定義することができる。
【0078】
また、コンピュータシステムのメモリシステムは、通常、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)またはスタティックメモリ(SRAM)などの揮発性のランダムアクセスメモリである集積回路メモリ素子も含み得る。通常、オペレーションの際、プロセッサは、プログラムおよびデータを不揮発性の記録媒体から集積回路メモリ素子に読み取らせ、それにより、通常、プロセッサによるプログラム命令およびデータへのアクセスを不揮発性の記録媒体でのアクセスより速く行うことができる。
【0079】
プロセッサは、一般に、プログラム命令に従って集積回路メモリ素子内のデータを操作し、次いで、処理が完了した後に、不揮発性の記録媒体に操作データをコピーする。各種のメカニズムは、不揮発性の記録媒体と集積回路メモリ素子との間のデータ移動を管理することで知られており、上記で説明される方法、ステップ、システムおよびシステム要素を実装するコンピュータシステムは、それに制限されない。コンピュータシステムは、特定のメモリシステムに制限されない。
【0080】
上記で説明されるそのようなメモリシステムの少なくとも一部は、1つまたは複数のデータ構造(例えば、ルックアップテーブル)または上記で説明される方程式を格納するために使用することができる。例えば、不揮発性の記録媒体の少なくとも一部は、そのようなデータ構造のうちの1つまたは複数を含むデータベースの少なくとも一部を格納することができる。そのようなデータベースは、例えば、デリミタによって分離されるデータユニットにデータが組織される1つもしくは複数のフラットファイルデータ構造、テーブルに格納されるデータユニットにデータが組織されるリレーショナルデータベース、オブジェクトとして格納されるデータユニットにデータが組織されるオブジェクト指向データベース、別のタイプのデータベースまたはそれらの任意の組合せを含むファイルシステムなど、各種のタイプのデータベースのいずれかであり得る。
【0081】
コンピュータシステムは、ビデオおよび音声データI/Oサブシステムを含み得る。サブシステムの音声部分は、アナログ・デジタル(A/D)変換器を含み得、A/D変換器は、アナログ音声情報を受信し、それをデジタル情報に変換する。デジタル情報は、別の時間に使用するために、ハードディスク上に格納するための公知の圧縮システムを使用して圧縮することができる。I/Oサブシステムの典型的なビデオ部分は、その多くが当技術分野で知られているビデオ画像コンプレッサ/デコンプレッサを含み得る。そのようなコンプレッサ/デコンプレッサは、アナログビデオ情報を圧縮デジタル情報に変換することができ、その逆も可能である。圧縮デジタル情報は、後の時間に使用するために、ハードディスク上に格納することができる。
【0082】
コンピュータシステムは、1つまたは複数の出力デバイスを含み得る。例示的な出力デバイスは、ブラウン管(CRT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)および他のビデオ出力デバイス、プリンタ、モデムまたはネットワークインタフェースなどの通信デバイス、ディスクまたはテープなどの記憶装置、ならびに、スピーカなどの音声出力デバイスを含む。
【0083】
また、コンピュータシステムは、1つまたは複数の入力デバイスも含み得る。例示的な入力デバイスは、キーボード、キーパッド、トラックボール、マウス、ペン、タブレット、上記で説明されるような通信デバイス、ならびに、音声およびビデオキャプチャデバイスおよびセンサなどのデータ入力デバイスを含む。コンピュータシステムは、本明細書で説明される特定の入力または出力デバイスに制限されない。
【0084】
本明細書で説明される様々な実施形態を実装するために、任意のタイプのコンピュータシステムのうちの1つまたは複数を使用できることを理解すべきである。本開示の態様は、ソフトウェア、ハードウェアもしくはファームウェア、または、それらの任意の組合せで実装することができる。コンピュータシステムは、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)などの特別にプログラムされた専用ハードウェアを含み得る。そのような専用ハードウェアは、上記で説明されるコンピュータシステムの一部としてまたは独立コンポーネントとして上記で説明される方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システムおよびシステム要素のうちの1つまたは複数を実装するように構成することができる。
【0085】
コンピュータシステムおよびそのコンポーネントは、各種の1つまたは複数の適切なコンピュータプログラミング言語のいずれかを使用してプログラム可能であり得る。そのような言語は、例えば、C、Pascal、FortranおよびBASICなどの手続き型プログラミング言語、例えば、C++、JavaおよびEiffelなどのオブジェクト指向言語、ならびに、スクリプト言語またはアセンブリ言語などの他の言語を含み得る。
【0086】
方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システムおよびシステム要素は、そのようなコンピュータシステムによって実行できる、手続き型プログラミング言語、オブジェクト指向プログラミング言語、他の言語およびそれらの組合せを含む、各種の適切なプログラミング言語のいずれかを使用して実装することができる。そのような方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システムおよびシステム要素は、コンピュータプログラムの別々のモジュールとして実装することができるか、あるいは、別々のコンピュータプログラムとして個別に実装することができる。そのようなモジュールおよびプログラムは、別々のコンピュータ上で実行することができる。
【0087】
そのような方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システムおよびシステム要素は、個別にまたは組み合わせて、例えば、不揮発性の記録媒体、集積回路メモリ素子またはそれらの組合せなどのコンピュータ可読媒体上でコンピュータ可読信号として明白に具体化されたコンピュータプログラム製品として実装することができる。そのような各方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システムまたはシステム要素に対し、そのようなコンピュータプログラム製品は、例えば、コンピュータによる実行の結果、方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システムまたはシステム要素を実行するようにコンピュータに指示する1つまたは複数のプログラムの一部として命令を定義する、コンピュータ可読媒体上で明白に具体化されるコンピュータ可読信号を含み得る。
【0088】
上記で説明される機能のうちの1つまたは複数を用いて様々な実施形態を形成できることを理解すべきである。上記の態様および機能は、本発明はこの点において制限されないため、任意の適切な組合せで採用することができる。また、図面は、様々な実施形態に組み込むことができる様々なコンポーネントおよび機能を示すことも理解すべきである。分かり易いように、図面のいくつかは、2つ以上のオプション機能またはコンポーネントを示し得る。しかし、本発明は、図面で開示される特定の実施形態に制限されない。本開示は、図面のいずれか1つに示されるコンポーネントの一部分のみを含み得る実施形態を包含すること、および/または、複数の異なる図面に示されるコンポーネントを組み合わせる実施形態を包含することを認識すべきである。
【実施例】
【0089】
実施例1−アッセイおよび予測モデル
本明細書では、多変量アルゴリズムを通じて患者特有の情報とリンクされた総前立腺特異抗原(tPSA)、遊離PSA(fPSA)、無傷PSA(iPSA)およびヒトカリクレイン2(hK2)を含む一連の4つのカリクレインマーカーに基づくアッセイについて説明する。このアルゴリズムは、2つの検定された確率(1つは、生検前のあらゆる悪性度のがんのリスクに対するものであり、もう1つは、高悪性度のがん(グリーソン7以上)のリスクに対するものである)を返す。
【0090】
4つのカリクレインマーカーは、前立腺がん検出の応用に対して、個別におよび様々な組合せで研究されてきた。これらの4つのマーカーの血漿レベル、ならびに、年齢、直腸指診(DRE)結果および以前の陰性の前立腺生検の存在などの患者特有の情報を組み込むロジスティック回帰アルゴリズムは、前立腺がんに対してPSA試験単独のものより高い陽性適中率を実証した。
【0091】
ヒト血漿試料中に存在するtPSA、fPSA、iPSAおよびhK2のレベル(例えば、ng/mL)は、AutoDELFIA自動免疫測定法システムを使用して決定された。各マーカーの平均量は、各マーカーに対する二重反復試験から計算され、実施例2で提示されるような所定のヒト血漿試料に対するリスクスコアを決定するために予測モデルで使用された。また、Elecsys免疫測定法分析器(Roche Diagnostics)を使用してtPSAおよびfPSAを決定することもできる。
【0092】
各試験実行において3つのプレートのセット(1つのプレートをf/tPSAに対して、1つのプレートをiPSAに対しておよび1つのプレートをhK2に対して)を少なくとも1つ使用した。フル稼働での完全な試験実行は、これらの3つのプレートのセットを2つ必要とした。全手順は、試験実行しているプレートの数に応じて、開始から試験結果を得るまで約3〜5時間必要とした。
【0093】
初期の検定試験には300人の患者が含まれ、そのサブセットは以前に陰性生検を有していた。これには、各研究現場で登録した最初の5人の患者や、それに続いて順番に登録した患者が含まれた。最適に保管および/または出荷されなかった試料に対して、あるいは、カリクレインマーカーの測定の間に試料が異常な結果を生み出した場合に例外が設けられた。
【0094】
生検におけるがんのリスクを計算するためのロジスティック回帰アルゴリズム
生検におけるがんのリスクを計算するための予測モデルの式は、検定試験を通じて確立されており、以下に提示する。述べられるように、総PSAレベルに応じて、異なる式が使用される。その上、あらゆる悪性度の検出可能ながんを含む生検の確率を決定するためにモデルが使用されるかおよび高悪性度の(例えば、グリーソンスコア7.0以上)検出可能ながんを含む生検の確率を決定するためにモデルが使用されるかに応じて、異なる重み付け係数が使用される。重み付け係数は、本明細書の表1および2で指定される範囲内である。式の変数については表4で説明する。
【0095】
総PSA>25ng/mLの場合
Xβ=β
0+β
1tpsa+β
2dre
neg+β
3dre
pos+β
4以前のbx (13)
総PSA≦25ng/mLの場合
Xβ=β
0+β
1年齢+β
2tpsa+β
3sptpsa1+β
4sptpsa2+β
5fpsa+β
6spfpsa1+β
7spfpsa2+β
8ipsa+β
9hK2+β
10dre
neg+β
11dre
pos+β
12以前のbx (14)
【数7】
【0096】
制限された3次スプライン項:
モデル(総PSAおよび遊離PSA)のいくつかの変数に対し、制限された3次スプライン項が含まれており、これは、各スプライン項に対してモデルの各々に2つの追加項が追加されることを意味する。2つのスプライン項を計算するための式は以下の通りである。
【数8】
【0097】
Sp[var]1およびsp[var]2は、総および遊離PSAに対して、上記の式を使用して演算される。総PSAに対するスプライン項は、表3で指定される範囲内のノット値を使用して計算された。
【0098】
【表6】
【0099】
検定からの結果
研究の検定段階に登録した患者の特徴を表5に示す。
【0100】
【表7】
【0101】
モデル検定
モデルは、欧州コホートに基づいて開発された。ロジスティック回帰再検定は、米国コホートにおける検定ミスを試験するために傾きおよび切片係数の両方を用いて使用された。
【数9】
【0102】
β
0≠0またはβ
1≠1が証明されている場合は、これは、モデルを再検定することが有益であることを示す。
【0103】
高悪性度のがんを予測するモデルは、0.2(または20%)を下回る予測に対しては完璧に近い検定を呈する一方で、0.2(または20%)より大きい予測に対しては実際のリスクの過小評価があるように見えた(
図2)。患者を生検へ照会するという決定は、モデルが高悪性度のがんの真のリスクを正確に予測すると思われる、0.2(または20%)を下回る閾値で起こるということが知られている。この理由のため、高悪性度のモデルに対して、再検定は実行されなかった。あらゆる悪性度のがんを予測するモデルは、重大な検定ミスを呈することはなく、従って、再検定は実行されなかった(
図3)。
図2および3のデータポイントは、予測確率と実際の確率との関係を示し、点線は、データに適合する線である。実際の確率における変動の度合いを示すバーが示されている。実線は、実際の確率が予測確率に等しい完璧な検定を反映する。
【0104】
モデル性能
以下は、予測モデルの性能のレポートである。すべての統計は、繰り返し行われる10分割交差検定を使用して過剰適合が補正された。
【0105】
【表8】
【0106】
【表9】
【0107】
様々な生検スキームの下で回避された生検
1000人の患者ごとに異なる生検スキームを通じて発見されたおよび見逃された高悪性度のがん(表5)およびあらゆる悪性度のがん(表6)の数が決定された。
【0108】
【表10】
【0109】
【表11】
【0110】
決定曲線解析
高悪性度のがんに対する決定曲線解析を
図4に示す。あらゆる悪性度のがんに対する決定曲線解析を
図5に示す。
【0111】
受信者動作特性曲線(ROC)
高悪性度のがんに対するROCを
図6に示す。あらゆる悪性度のがんに対するROCを
図7に示す。
【0112】
生検閾値による陰性適中率および陽性適中率
高悪性度のがんに対する生検閾値による陽性適中率および陰性適中率を
図8Aおよび8Bにそれぞれ示す。あらゆる悪性度のがんに対する生検閾値による陽性適中率および陰性適中率を
図9Aおよび9Bにそれぞれ示す。
【0113】
実施例2−検証試験
実施例1に提示されるおよび方程式(10、11、13、14)に記載されるモデルの性能の評価は、この実施例では「試験モデル」と呼ばれ、研究の検証段階に登録した663人の患者に基づいて実行された。結果は、全コホート、以前に生検を行った男性、以前に生検を行わなかった男性および50〜75歳の男性に対して別々に提示されている。
図10は、生検における高悪性度の疾患を抱える男性の割合を年齢別に示す。男性の年齢が増すごとに、はるかに高い割合で高悪性度の疾患を患っている。
【0114】
より高い年齢で観察されたリスクの増加の可能性の1つが、より選択的な生検である。言い換えれば、泌尿器科医は、そうせざるを得ない理由がある場合は、70歳を超える男性(多くのガイドラインにおけるPSAスクリーニングに対する上限)にのみ生検を行う。高齢の男性の間の高悪性度のがんの割合の増加が生検選択によるものだったかどうかを評価するため、PCPTリスク計算機を利用した(Thompson IM,Ankerst DP,Chi C,Goodman PJ,Tangen CM,Lucia MS,Feng Z,Parnes HL,Coltman CA Jr.Assessing prostate cancer risk:Results from the Prostate Cancer Prevention Trial,Journal of the National Cancer Institute 98:529−534,2006を参照)。PCPTリスク計算機は、年齢を問わずすべての男性に生検が提供された男性コホートに対して構築された。結果として高悪性度の疾患を有し、共変量としてPCPTリスクおよび高齢を有するロジスティック回帰モデルでは、年齢係数が大きい場合は、観察している年齢の影響が、リスクの生物学的増加というよりむしろ、選択に起因することが示唆される。これらの結果は、高齢の男性におけるリスクが予想されるもの(p=0.072)より高いことを示し、選択の影響が示唆される。50〜75歳の男性のサブグループ分析が実行された。50歳未満の患者は20人いたため、70歳を超える患者を除いて、追加のサブグループ分析が実施された。
【0115】
総PSA、年齢、以前の生検およびDREに基づく「試験モデル」とベースモデルの2つの別々のモデルが比較された。表10は、検定段階コホートと検証段階コホートとの間の患者の特徴の違いの概要である。
【0116】
【表12】
【0117】
以下の表11は、がんの状態によって区別された検証段階コホートの患者の特徴を提供する。
【0118】
試験モデルは、高悪性度の疾患そのベースモデルに対して、約0.06のAUCの増加で、より高い確率で判別できることが分かった。この違いは、諸条件にわたって比較的安定している。それは、以前に生検を行っている(0.09)、診断「グレーゾーン」(0.07−0.09)の患者の場合にわずかに大きい。陽性生検のエンドポイントにおけるベースモデルと試験モデルとの違いは小さく、高悪性度の疾患に対する試験モデルの選択性を明確に実証している。
【0119】
以下の表14および15は、1000人の患者ごとに異なる生検スキームを通じて、すべての患者および70歳未満の患者に対して発見されたおよび見逃された高悪性度の数の概要を示す。臨床結果の分析では、7.5%のカットポイントを使用することにより、生検の数が約50%低減することが分かった。このことは、まさに、いくつかの高悪性度のがんを見逃すことにつながる(分析が71歳未満の男性に制限される際に低減される影響)。リスク<7.5%を有するより若い患者のうち、5.5%がグリーソンスコア7または8を有し、これは、このグループで1つの高悪性度のがんを発見するために18の生検を実施する必要があることを意味する。見逃された高悪性度のがんのうち、53%が3+4、40%が4+3、7%が4+4であった。
【0120】
【表13】
【0121】
【表14】
【0122】
【表15】
【0123】
すべての患者
【0124】
【表16】
【0125】
71歳未満
【0126】
【表17】
【0127】
図11Aおよび11Bは、すべての患者(n=663)における高悪性度のがんの検出の予測対実際の確率を示す。
図11Cは、すべての患者(n=663)におけるあらゆる悪性度のがんの検出の予測対実際の確率を示す。
図12Aおよび12Bは、50〜75歳の患者(n=587)における高悪性度のがんの検出の予測対実際の確率を示す。
図12Cは、50〜75歳の患者(n=587)におけるあらゆる悪性度のがんの検出の予測対実際の確率を示す。
図13Aおよび13Bは、71歳未満の患者(n=535)における高悪性度のがんの検出の予測対実際の確率を示す。
図13Cは、71歳未満の患者(n=535)におけるあらゆる悪性度のがんの検出の予測対実際の確率を示す。前述の結果は、リスクの過小予測度合いがあることを示す(試料を71歳未満の患者に制限することによって低減される影響)。
図11〜13の場合、データポイントは、予測確率と実際の確率との関係を示し、点線は、データに適合する線である。実際の確率における変動の度合いを示すバーが示されている。実線は、実際の確率が予測確率に等しい完璧な検定を反映する。
【0128】
図14Aおよび14Bは、すべての患者(n=663)に対する純利益対閾値確率レベルを示す。
図15Aおよび15Bは、50〜75歳の患者(n=587)に対する純利益対閾値確率レベルを示す。
図16Aおよび16Bは、71歳未満のすべての患者(n=535)に対する純利益対閾値確率レベルを示す。データは、予測モデルの使用が高悪性度のがんの検出に対する明確な純利益と関連付けられることを示す。この影響は、71歳未満の患者に対して強化される。純利益は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、Vickers A.J.et al.,Net benefit and threshold probability were established using methods disclosed in Med Decis Making.2006;26(6):565−574で説明されているように評価される。