特許第6873919号(P6873919)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873919
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】オートタキシン阻害剤とその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4155 20060101AFI20210510BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 15/02 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20210510BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20210510BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20210510BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20210510BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20210510BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20210510BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   A61K31/4155
   A61P17/04
   A61P29/00
   A61P35/00
   A61P3/04
   A61P11/00
   A61P1/16
   A61P13/12
   A61P27/02
   A61P17/00
   A61P17/06
   A61P35/02
   A61P29/00 101
   A61P1/00
   A61P19/02
   A61P21/00
   A61P37/08
   A61P15/02
   A61P13/10
   A61P25/00
   A61K9/08
   A61K9/10
   A61K9/14
   A61K9/20
   A61K9/48
【請求項の数】43
【全頁数】94
(21)【出願番号】特願2017-560309(P2017-560309)
(86)(22)【出願日】2016年5月24日
(65)【公表番号】特表2018-515556(P2018-515556A)
(43)【公表日】2018年6月14日
(86)【国際出願番号】US2016033933
(87)【国際公開番号】WO2016191427
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2019年5月23日
(31)【優先権主張番号】62/167,216
(32)【優先日】2015年5月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520066843
【氏名又は名称】セイバー セラピューティクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ベイン,グレッチェン
(72)【発明者】
【氏名】エバンズ,ジリアン フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ハッチンソン,ジョン ハワード
(72)【発明者】
【氏名】ロナーガン,デイビッド
【審査官】 古閑 一実
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/024620(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00− 9/72
A61P 1/00−43/00
C07D 403/00−403/14
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における、線維症、そう痒症、炎症性疾患または疾病、癌、肥満、またはそれらの組み合わせを処置するための薬剤の製造におけるオートタキシン阻害剤の使用であって、オートタキシン阻害剤が以下の構造、あるいはその薬学的に許容可能な塩、または溶媒和物を有する、使用。
【化1】
【請求項2】
化合物A、化合物B、化合物E、化合物F、化合物G、化合物H、または化合物Iが、薬学的に許容可能な塩の形態で投与される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
化合物A、化合物B、化合物E、化合物F、化合物G、化合物H、または化合物Iが、ナトリウム塩の形態で投与される、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
オートタキシン阻害剤が化合物Bの構造、あるいはその薬学的に許容可能な塩を有する、請求項1に記載の使用。
【化2】
【請求項5】
化合物Bが、薬学的に許容可能な塩の形態で投与される、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
化合物Bが、ナトリウム塩の形態で投与される、請求項4に記載の使用。
【請求項7】
前記薬剤が前記哺乳動物における線維症を処置するために使用される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の使用。
【請求項8】
線維症が、オートタキシン阻害剤を用いる処置に適している、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
線維症が、肺線維症、肝線維症、腎線維症、目の線維症、腹膜線維症または皮膚線維症、あるいはそれらの組み合わせである、請求項7に記載の使用。
【請求項10】
線維症が肝臓の線維性疾患である、請求項7に記載の使用。
【請求項11】
肝臓の線維性疾患が脂肪肝疾患、脂肪症、胆汁うっ滞性肝疾患、肝硬変、アルコールによって引き起こされた肝線維症、胆管損傷、胆管線維症、あるいは胆管症を含む、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
肝臓の線維性疾患が非アルコール性の脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、または、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を含む、請求項10に記載の使用。
【請求項13】
線維症が肺の線維症疾患である、請求項7に記載の使用。
【請求項14】
肺の線維性疾患が、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、通常の間質性肺炎(UIP)、間質性肺疾患、原因不明の線維化性肺胞炎(CFA)、閉塞性細気管支炎、または気管支拡張症を含む、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
線維症が皮膚の線維症疾患である、請求項7に記載の使用。
【請求項16】
皮膚の線維性疾患が、皮膚線維症、強皮症、腎性全身性線維症、瘢痕、またはケロイドを含む、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
オートタキシン阻害剤が、前記哺乳動物の組織内の線維形成細胞の蓄積および細胞外マトリックスタンパク質の沈着の速度を阻害または低減する、請求項7記載の使用。
【請求項18】
前記薬剤が前記哺乳動物におけるそう痒症を処置するために使用される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の使用。
【請求項19】
そう痒症は、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、類天疱瘡、シェーグレン症候群、ダリエー病、ヘイリー−ヘイリー病、魚鱗癬、シェーグレン−ラーソン症候群、皮膚糸状菌症、毛包炎、膿痂疹および他の細菌感染症、昆虫刺傷、シラミ症、疥癬、ウイルス感染、皮脂欠乏症、アトピー性湿疹、接触性皮膚炎、薬物反応、扁平苔癬、単純性苔癬、肥満細胞症(色素性じんま疹)、汗疹、乾癬、瘢痕、じんましん、皮膚T細胞リンパ腫または菌状息肉腫、皮膚B細胞リンパ腫、皮膚白血病、妊娠性類天疱瘡、妊娠の多形性発疹または妊娠性痒疹に関連している、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記そう痒症が、胆汁うっ滞性掻痒である、請求項18に記載の使用。
【請求項21】
前記薬剤が、前記哺乳動物における炎症性疾患または疾病を処置するために使用される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の使用。
【請求項22】
炎症性疾患または疾病が、乾癬、関節リウマチ、血管炎、炎症性腸疾患、皮膚炎、変形性関節症、喘息、炎症性の筋肉疾患、アレルギー性鼻炎、膣炎、間質性膀胱炎、強皮症、湿疹、紅斑性狼瘡、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、多発性硬化症、嚢胞性線維症、慢性の再発性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、アレルギー性結膜炎、またはアトピー性皮膚炎である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
炎症性疾患または疾病が、炎症性腸疾患である、請求項21に記載の使用。
【請求項24】
炎症性腸疾患が大腸炎である、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
大腸炎が急性結腸炎である、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
大腸炎が慢性結腸炎である、請求項24に記載の使用。
【請求項27】
大腸炎が、特発性結腸炎、医原性大腸炎、血管疾患、または感染性大腸炎である、請求項24に記載の使用。
【請求項28】
大腸炎が潰瘍性大腸炎である、請求項24に記載の使用。
【請求項29】
炎症性疾患または疾病が、多発性硬化症である、請求項21に記載の使用。
【請求項30】
多発性硬化症が、再発寛解型多発性硬化症、再発性多発性硬化症、一次性進行型多発性硬化症、または二次性進行型多発性硬化症である、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
オートタキシン阻害剤が、1以上の多発性硬化症の症状の再発の頻度、重症度、および/または持続時間を減少させる、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
多発性硬化症の症状が、肢のしびれ感あるいは脱力、部分的あるいは完全な視覚の喪失、複視、霧視、ピリピリ感、振せん、協調運動障害、不安定歩行、不明瞭発語、疲労、または眩暈、あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記薬剤が前記哺乳動物における癌を処置するために使用される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の使用。
【請求項34】
癌が固形腫瘍である、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
癌が、膀胱癌、結腸癌、脳癌、乳癌、子宮内膜癌、心臓癌、腎癌、肺癌、肝臓癌、子宮癌、血液とリンパ腺の癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、甲状腺癌、または皮膚癌である、請求項33に記載の使用。
【請求項36】
癌が、肉腫、癌腫、またはリンパ腫である、請求項33に記載の使用。
【請求項37】
前記薬剤が前記哺乳動物に局所投与され、経口投与され、または非経口的に投与される、請求項1〜36のいずれか1つに記載の使用。
【請求項38】
前記薬剤が前記哺乳動物に全身投与される、請求項1〜36のいずれか1つに記載の使用。
【請求項39】
前記薬剤が前記哺乳動物に経口投与される、請求項1〜36のいずれか1つに記載の使用。
【請求項40】
前記薬剤が経口溶液、経口懸濁液、粉末、丸剤、錠剤、またはカプセルの形態で前記哺乳動物に投与される、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
前記薬剤が前記哺乳動物に注入によってまたは静脈内に投与される、請求項1〜36のいずれか1つに記載の使用。
【請求項42】
少なくとも1つの追加の治療を前記哺乳動物に施すことをさらに含む、請求項1〜41のいずれか1項に記載の使用。
【請求項43】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1〜42のいずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願>
本出願は、2015年5月27日に出願された米国仮特許出願第62/167,216号の利点を主張するものであり、当該文献は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
オートタキシン活性に関連した疾病、疾患、あるいは障害の処置においてオートタキシン阻害剤と医薬組成物と薬物を使用する方法が本明細書に記載される。
【背景技術】
【0003】
エクトヌクレオチド・ピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ・ファミリーメンバー2あるいはENNP2としても知られているオートタキシン(ATX)は、脂質媒介物質、リゾホスファチド酸(LPA)の形成を触媒する脂肪細胞で分泌されたリゾホスホリパーゼDである。オートタキシン発現は特定の疾病あるいは疾患を持った個体において増強される。
【発明の概要】
【0004】
オートタキシン−リゾホスファチド酸シグナル伝達経路は、細胞の移動、増殖、および生存に関与する様々なシグナル伝達経路に関与している。これらの経路におけるその役割により、オートタキシンは、慢性炎症、神経障害性疼痛、線維性疾患、および様々な癌の処置の創薬標的として調査されてきた。こうした病気の処置でオートタキシン阻害剤を同定することに集中的な取り組みが行われてきた。
【0005】
1つの態様において、オートタキシンおよび/またはLPAが病因または病状に関与しているか、あるいはそれ以外の点で少なくとも1つの症状あるいは合併症に関連している、疾患あるいは疾病の処置あるいは予防のために1つ以上のオートタキシン阻害剤を使用する方法が本明細書で提供される。オートタキシンおよび/またはLPAの生理活性の阻害は様々な疾患あるいは疾病に役立つ。オートタキシン−LPAシグナル伝達経路は、線維性疾患、大腸炎、癌、そう痒症、血管新生、炎症、自己免疫疾患、生殖、神経系疾患、および腫瘍の進行に関与している。
【0006】
1つの態様において、本明細書に記載される方法は、オートタキシン活性が疾患、障害、あるいは疾病の総体症状または進行に寄与する疾患あるいは疾病の処置のための1つ以上のオートタキシン阻害剤化合物の使用を含む。こうした疾患、障害、または疾病は遺伝的、医原性、免疫学的、感染性、代謝性、腫瘍学的、毒性、手術、および/または外傷性の原因の1つ以上から発生することがある。1つの態様では、本明細書に記載される方法、化合物、医薬組成物、および薬物は、オートタキシン阻害剤を含む。
【0007】
1つの態様において、オートタキシン阻害剤は、限定されないが、線維症、大腸炎、細胞増殖性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、生殖の疾患、異常な血管新生に関連する疾患、強皮症、脳または心臓の再潅流障害、神経変性疾患、神経障害性疼痛、末梢性ニューロパシー、目の疾患、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症、瘢痕性類天疱瘡、代謝障害、および緑内障などの疾患あるいは疾病の処置に有用である。
【0008】
1つの態様において、1つ以上の疾患あるいは疾病の処置または予防に役立つ、1つ以上のオートタキシン阻害剤、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を含む医薬組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の疾患あるいは疾病に関連した1つ以上の兆候あるいは症状を弱めるか、あるいは覆す。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の疾患あるいは疾病に関連した1つ以上の合併症の発症を防ぐ。いくつかの実施形態では、医薬組成物はオートタキシン阻害剤Aを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物はオートタキシン阻害剤Bを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物はオートタキシン阻害剤Cを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物はオートタキシン阻害剤Dを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物はオートタキシン阻害剤Eを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物はオートタキシン阻害剤Fを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物はオートタキシン阻害剤Gを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物はオートタキシン阻害剤Hを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物はオートタキシン阻害剤Iを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物はさらに追加の治療薬を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、疾患、障害、あるいは疾病の1つ以上の追加の処置と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与、皮下投与、経口投与、吸入、経鼻投与、皮膚投与、または経眼投与による哺乳動物への投与のために処方される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、液体、懸濁剤、ゲル、分散剤、溶液、エマルジョン、軟膏、またはローション剤の形態である。
【0009】
1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、本明細書に記載される疾患あるいは疾病のいずれか1つを処置するか、予防する方法が本明細書に記載される。
【0010】
1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、本明細書に記載される疾患あるいは疾病のいずれか1つを処置するか、予防する方法が本明細書に記載され、ここで、オートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物は、哺乳動物において肝胆道の損傷を引き起こさない。
【0011】
1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、本明細書に記載される疾患あるいは疾病のいずれか1つを処置するか、予防する方法が本明細書に記載され、ここで、1つ以上の肝臓タンパク質は、オートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の投与後に、被験体中で著しく増加しない。いくつかの実施形態では、肝臓タンパク質の濃度の有意な上昇は、肝臓タンパク質の濃度の少なくとも1%、50%、100%、200%、あるいは500%の増加である。いくつかの実施形態では、肝臓タンパク質はアスパラギン酸トランスアミナーゼである。いくつかの実施形態では、肝臓タンパク質はアルカリホスファターゼである。いくつかの実施形態では、肝臓タンパク質はビリルビンである。
【0012】
別の態様では、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物における線維症、そう痒症、大腸炎、癌、炎症性疾患または疾病、気道疾患または疾病、自己免疫疾患または疾病、神経系疾患または疾病、肥満、眼内圧、神経障害性疼痛、あるいはこれらの組み合わせを処置するか、予防するが本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の投与は、線維症、そう痒症、大腸炎、癌、炎症性疾患または疾病、気道疾患または疾病、自己免疫疾患または疾病、神経系疾患または疾病、肥満、眼内圧、神経障害性疼痛、あるいはこれらの組み合わせの少なくとも1つの症状を弱める。
【0013】
1つの態様において、本明細書に記載される疾患、障害、あるいは疾病を処置するか、予防する方法が本明細書に記載され、該方法は、哺乳動物へオートタキシン阻害剤を投与する工程を含み、オートタキシン阻害剤の投与後に、哺乳動物中の血液リゾホスファチド酸レベルは、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、あるいは50%減少する。
【0014】
1つの態様において、本明細書に記載される疾患、障害、あるいは疾病を処置するか、予防する方法が本明細書に記載され、該方法は、哺乳動物へオートタキシン阻害剤を投与する工程を含み、オートタキシン阻害剤の投与後に、哺乳動物中の血液オートタキシンレベルは、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、あるいは50%減少する。
【0015】
1つの態様において、本明細書に記載される疾患、障害、あるいは疾病を処置するか、予防する方法が本明細書に記載され、該方法は、オートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の投与を含み、ここでオートタキシン阻害剤は、静脈内投与、皮下投与、経口投与、吸入、経鼻投与、経皮投与、あるいは経眼投与による哺乳動物への投与のために処方される。
【0016】
1つの態様において、本明細書に記載される疾患、障害、あるいは疾病を処置するか、予防する方法が本明細書に記載され、該方法は、オートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の投与を含み、ここでオートタキシン阻害剤は、錠剤、丸剤、カプセル、液体、懸濁液、ゲル、分散液、溶液、エマルジョン、軟膏、あるいはローション剤の形態を有する医薬組成物である。
【0017】
1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物の線維症の処置または予防のための方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、細胞外マトリックスの蓄積あるいは線維症を抱える組織中の細胞外マトリックスの蓄積率は、オートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の投与後に減少する。いくつかの実施形態では、線維症は腹膜線維症、肺線維症、肝線維症、腎線維症、目の線維症、あるいは皮膚の線維症を含む。例として、方法は肝線維症を抱える哺乳動物へオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの例では、硬変または肝不全の発症は、オートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の投与後に遅れるか、防がれる。いくつかの例では、線維形成細胞の蓄積および/または肝臓内での細胞外マトリックスタンパク質の沈着は、オートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の投与後に弱められるか、防がれる。一例において、方法は腎線維症を抱える哺乳動物へオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの例では、哺乳動物へのオートタキシン阻害剤の投与は腎不全を防ぐ。別の例として、方法は腹膜線維症を抱える哺乳動物へオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。さらなる例として、方法は皮膚線維症を抱える哺乳動物へオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの例では、線維症を抱える皮膚サンプルの皮膚の厚さは、オートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の投与後に、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、あるいは90%減少する。
【0018】
1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物、および第2の治療薬を投与する工程を含む、哺乳動物の線維症の処置または予防のための方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、第2の治療薬は、アンギオテンシン阻害剤、コルヒチン、コルチコステロイド、エンドセリン阻害剤、インターフェロンアルファ、インターロイキン10、抗酸化剤、肝星細胞(HSC)阻害剤、ACE阻害薬、ADAM阻害剤、金属酵素、ピルフェニドン、トラニラスト、フルオロフェニドン、抗炎症薬、免疫抑制薬、あるいはこれらの組み合わせを含む。
【0019】
1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物の大腸炎の処置または予防のための方法が本明細書に記載される。1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物の炎症性腸疾患の処置または予防のための方法が本明細書に記載される。いくつかの例では、大腸炎は急性結腸炎である。いくつかの例では、大腸炎は慢性の大腸炎である。いくつかの実施形態では、大腸炎は、自己免疫性の大腸炎、特発性結腸炎、医原性(latrogenic)大腸炎、血管疾患、あるいは感染性大腸炎である。
【0020】
1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物の潰瘍性大腸炎の処置または予防のための方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の投与は、投与後に潰瘍性大腸炎の潰瘍サイズを少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、あるいは90%減少させる。
【0021】
いくつかの実施形態では、大腸炎の1つ以上の徴候あるいは症状は、オートタキシン阻害剤の投与後に哺乳動物において減少する。兆候または症状としては、限定されないが、腹痛、下痢、便中の粘液、筋痙攣、腹部圧痛、熱、血便、膨満、結腸粘膜の紅斑、および潰瘍が挙げられる。
【0022】
1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物、および第2の治療薬を投与する工程を含む、哺乳動物における大腸炎の処置または予防のための方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、第2の治療薬はステロイド、抗炎症薬、免疫抑制薬、あるいはこれらの組み合わせを含む。1つの態様において、哺乳動物の大腸炎の処置または予防ための方法が本明細書で提供され、該方法は、オートタキシン阻害剤およびシクロスポリンAの投与を含む。1つの態様において、哺乳動物の大腸炎の処置または予防ための方法が本明細書で提供され、該方法は、オートタキシン阻害剤およびスルファサラジンの投与を含む。
【0023】
1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物中の神経系疾患または障害の処置または予防のための方法が本明細書に記載される。1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物の多発性硬化症の処置または予防のための方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の投与は、哺乳動物における脱髄を弱めるか、覆すか、あるいは、阻害する。いくつかの実施形態では、多発性硬化症を抱える哺乳動物へのオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の投与は、哺乳動物中の多発性硬化症の症状の再発の頻度、重症度、および/または持続時間を減少させる。多発性硬化症の症状は、肢のしびれ感あるいは脱力、部分的あるいは完全な視覚の喪失、複視、霧視、ピリピリ感、振せん、協調運動障害、不安定歩行、不明瞭発語、疲労、および眩暈を含んでいる。
【0024】
1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物、および第2の治療薬を投与する工程を含む、哺乳動物の神経系疾患の処置または予防のための方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、第2の治療薬はコルチコステロイド、βインターフェロン、酢酸グラチラマー、フマル酸ジメチル、フィンゴリモド、テリフルノミド、ナタリズマブ、ミトキサントロン、筋弛緩薬、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、神経系疾患は多発性硬化症である。
【0025】
1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物のそう痒症を処置するか、予防する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、そう痒症は、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、類天疱瘡、シェーグレン症候群、ダリエー病、ヘイリー−ヘイリー病、魚鱗癬、シェーグレン−ラーソン症候群、皮膚糸状菌症、毛包炎、膿痂疹および他の細菌感染症、昆虫刺傷、シラミ症、疥癬、ウイルス感染、皮脂欠乏症、アトピー性湿疹、接触皮膚炎、薬物反応、扁平苔癬、ビダール苔癬、肥満細胞症(色素性じんま疹)、汗疹、乾癬、瘢痕、蕁麻疹、皮膚T細胞リンパ腫または菌状息肉腫、皮膚のB細胞リンパ腫、皮膚白血病、妊娠性類天疱瘡、多形妊娠疹または妊娠性痒疹に関連する。1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物の胆汁うっ滞性そう痒症を処置するか、予防する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤の投与後、そう痒症を抱える哺乳動物によって示された引っ掻きの動作の数は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、あるいは90%減少する。1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物、および第2の治療薬を投与する工程を含む、哺乳動物のそう痒症の処置または予防のための方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、第2の治療薬は外用カプサイシンを含む。
【0026】
1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物の癌を処置するか、予防する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、癌は固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は、膀胱癌、結腸癌、脳癌、乳癌、子宮内膜癌、心臓癌、腎癌、肺癌、肝臓癌、子宮癌、血液とリンパ腺の癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、甲状腺癌、または皮膚癌である。いくつかの実施形態では、癌は肉腫、癌腫、あるいはリンパ腫である。いくつかの実施形態では、癌はオートタキシン阻害剤を用いる処置に適している。いくつかの実施形態では、方法は、オートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物に加えて、哺乳動物へ第2の治療薬を投与する工程をさらに含む。1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物、および第2の抗癌剤または抗癌療法を投与する工程を含む、哺乳度物の癌の処置または予防のための方法が本明細書に記載される。
【0027】
1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物の血管新生を減少させるか、阻害する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、哺乳動物における血管新生の減少または阻害は、アテローム性動脈硬化、高血圧、腫瘍の増殖、炎症、関節リウマチ、湿潤形態の黄斑変性、脈絡膜血管新生、網膜血管新生、または糖尿病性網膜症を処置する。1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物、および第2の治療薬または治療を投与する工程を含む、哺乳動物の血管新生の減少または阻害のための方法が本明細書に記載される。いくつかの例では、第2の治療薬は血管形成阻害剤、例えば、VEGF阻害剤(ベバシズマブ)、ソラフェニブ、スニチニブ、パゾパニブ、エベロリムス、あるいはこれらの組み合わせを含む。
【0028】
別の態様では、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物の炎症性疾患または疾病を処置するか、予防する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、炎症性疾患または疾病は、乾癬、関節リウマチ、血管炎、炎症性腸疾患、皮膚炎、変形性関節症、喘息、炎症性の筋肉疾患、アレルギー性鼻炎、膣炎、間質性膀胱炎、強皮症、湿疹、紅斑性狼瘡、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、多発性硬化症、嚢胞性線維症、慢性の再発性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、アレルギー性結膜炎、またはアトピー性皮膚炎である。1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物、および抗炎症薬を投与する工程を含む、哺乳動物の炎症性疾患または疾病を処置するか、予防する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、抗炎症薬は非ステロイド系抗炎症薬を含む。
【0029】
別の態様では、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物の自己免疫疾患または疾病を処置するか、予防する方法が本明細書に記載される。1つの態様において、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物、および免疫抑制薬を投与する工程を含む、哺乳動物の自己免疫疾患または疾病を処置するか、予防する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、免疫抑制薬はグルココルチコイド、細胞分裂阻害薬、抗体、薬物、あるいはこれらの組み合わせを含む。
【0030】
別の態様では、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物の気道疾患または疾病を処置するか、予防する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、気道疾患は慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、あるいは喘息である。
【0031】
別の態様では、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物の眼内圧を処置するか、予防する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、眼内圧は緑内障に関連付けられる。
【0032】
別の態様では、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物の神経障害性疼痛を処置するか、予防する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、神経障害性疼痛は神経損傷の結果である。
【0033】
1つの態様において、代謝障害および/または、代謝障害に関連する1つ以上の疾病を処置するか、予防する方法が本明細書に記載され、該方法は、哺乳動物へオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。別の態様では、哺乳動物にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む、代謝障害に発病させるリスクのある哺乳動物の少なくとも1つの代謝障害の発症を予防するか、遅らせる方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、代謝障害は血糖値を下げることにより処置される。いくつかの例では、血糖値は、オートタキシン阻害剤の投与後に少なくとも約10%、被験体において減少する。いくつかの実施形態では、代謝障害は血漿リゾフォスファチジン酸レベルを下げることにより処置される。いくつかの実施形態では、代謝障害はインスリン感受性を改善することにより処置される。いくつかの実施形態では、代謝障害はインスリン分泌を増加させることにより処置される。いくつかの実施形態では、代謝障害は耐糖能を改善することにより処置される。いくつかの実施形態では、代謝障害は脂肪組織拡張を減少させることにより処置される。いくつかの実施形態では、代謝障害は低血糖症を引き起こさない。いくつかの実施形態では、代謝障害は以下からなる群から選択される:メタボリック症候群、高い血糖値、インシュリン抵抗性、耐糖能障害、2型糖尿病、1型糖尿病、糖尿病前症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性の脂肪性肝炎(NASH)、肥満、あるいはこれらの組み合わせ。いくつかの実施形態では、哺乳動物は少なくとも25kg/m2の肥満度指数と、以下からなる群から選択された糖尿病危険因子の少なくとも1つを有する:運動不足、糖尿病の一等親血縁者、ハイリスクの人種あるいは民族性、9ポンドを超える赤ん坊を出産した女性、以前に妊娠性糖尿病と診断された女性、高血圧、少なくとも0.9mmol/L(35mg/dL)よりも低いレベルのHDLコレステロール、少なくとも2.82mmol/L(250mg/dL)またはそれ以上のトリグリセリドレベル、多嚢胞性卵巣症候群の女性、重症の肥満、黒色表皮腫、および心疾患。
【0034】
別の態様では、哺乳動物に、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を含む、哺乳動物の肥満を処置するか、予防する方法が本明細書に記載される。
【0035】
1つの態様において、哺乳動物にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含み、それによって、哺乳動物の血糖値を減少させる、哺乳動物の血糖値を下げる方法が本明細書に記載される。高血糖値を発症させるリスクのある哺乳動物において高血糖値の発症を予防するか、遅らせる方法がさらに提供され、該方法は、哺乳動物にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、哺乳動物は高い血糖値を有するある実施形態では、方法は哺乳動物の血糖値を測定する工程を含む。ある実施形態では、方法は高い血糖値を有する哺乳動物を選択する工程を含む。測定された血糖値は、絶食された血糖値、食後の血糖値、全血血糖値、および血漿血糖値を含む。いくつかの実施形態では、血糖値は、オートタキシン阻害剤を用いる処置の後に、200mg/dL、175mg/dL、150mg/dL、125mg/dL、120mg/dL、115mg/dL、110mg/dL、105mg/dL、あるいは100mg/dL未満に低下する。
【0036】
1つの態様において、哺乳動物の血漿リゾホスファチド酸レベルを下げる方法が本明細書に記載され、該方法は、哺乳動物にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含み、それによって、哺乳動物の血漿リゾホスファチド酸レベルを減少させる。いくつかの実施形態では、哺乳動物は高い血糖値を有するいくつかの実施形態では、哺乳動物はインスリン抵抗性である。
【0037】
1つの態様において、哺乳動物中のインスリン感受性を改善し、インシュリン抵抗性の発症を遅らせ、および/またはインスリン分泌を増加させる方法が本明細書に記載され、該方法は、哺乳動物にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含み、それによって、哺乳動物におけるインシュリン抵抗性を改善する。
【0038】
1つの態様において、哺乳動物中の耐糖能を改善する方法が本明細書に記載され、該方法は、哺乳動物にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含み、それによって、耐糖能を改善する。
【0039】
1つの態様において、哺乳動物中の脂肪組織の拡張を減少させる方法が本明細書に記載され、該方法は、哺乳動物にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含み、それによって、哺乳動物における脂肪組織の拡張を減少させる。いくつかの実施形態では、哺乳動物は高い血糖値を有するいくつかの実施形態では、哺乳動物はインスリン抵抗性である。
【0040】
前述の態様のいずれかにおいて、さらなる実施形態では、有効な量のオートタキシン阻害剤あるいはその薬学的に許容可能な塩は:(a)哺乳動物に全身に投与され、および/または、(b)哺乳動物に経口で投与され、および/または、(c)哺乳動物に静脈内投与され、および/または、(d)吸入によって投与され、および/または、(e)経鼻投与によって投与される;あるいは、および/または、(f)哺乳動物へ注入によって投与され、および/または、(g)哺乳動物に局所的に投与され、および/または、(h)点眼によって投与され、および/または、(i)哺乳動物に直腸で投与され、および/または、(j)哺乳動物に非全身的にあるいは局所的に投与される。
【0041】
前述の態様のいずれかにおいて、オートタキシン阻害剤が一日に一回哺乳動物へ投与されるか、オートタキシン阻害剤が1日にわたって複数回哺乳動物へ投与されるさらなる実施形態を含む、有効な量のオートタキシン阻害剤の単一の投与を含むさらなる実施形態がある。いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は連続的な投薬スケジュールで投与される。いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は連続的な毎日の投薬スケジュールで投与される。
【0042】
オートタキシンの依存する疾患あるいは症状の処置に関する前述の態様のいずれかにおいて、オートタキシン阻害剤あるいはその薬学的に許容可能な塩の投与に加えて、少なくとも1つの追加の薬剤を投与する工程を含むさらなる実施形態がある。様々な実施形態では、それぞれの薬剤は同時を含む任意の順に投与される。
【0043】
本明細書に開示された実施形態のいずれかにおいて、哺乳動物はヒトである。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるオートタキシン阻害剤は、ヒトに投与される。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるオートタキシン阻害剤は経口で投与される。
【0046】
包装材料と、包装材料内のオートタキシン阻害剤あるいはその薬学的に許容可能な塩と、オートタキシン阻害剤または組成物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、薬学的に許容可能なN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能なプロドラッグ、または薬学的に許容可能な溶媒和物が、オートタキシンの活性を阻害するために、あるいはオートタキシンの活性から利益を得ることになる疾患あるいは疾病の1つ以上の症状の処置、予防、あるいは改善のために使用されるということを示すラベルとを含む製品が提供される。
【0047】
本明細書に記載されるオートタキシン阻害剤、方法、および組成物の他の目的、特徴、および利点は以下の詳細な記載から明らかになる。しかしながら、本開示の精神と範囲内の様々な変化と修飾が詳細な記載から当業者に明らかとなるため、詳細な記載と特定の実施例は特定の実施形態を示しつつも一例として与えられるものに過ぎないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】オートタキシン阻害剤で処置された、PBSを注入された、あるいはブレオマイシンを注入されたマウスからの皮膚生検におけるヒドロキシプロリンレベルを提供する。マウス皮下のブレオマイシンモデルに予防的に(pro)あるいは治療的(ther)(ther)に投薬されると、化合物Aは皮膚線維症を弱める。
図2】オートタキシン阻害剤で予防的(A)または治療的(B)な処置の後にUUOマウスからの非結紮および結紮腎臓中のヒドロキシプロリンレベルを提供する。マウスUUOモデルに予防的(A)あるいは治療的(B)に投薬されると、化合物Aは腎線維症を弱める。
図3】オートタキシン阻害剤で処置された、ビヒクルあるいはグルコン酸クロルヘキシジンを注入されたマウスからのマウスの腹膜中のヒドロキシプロリンレベルを提供する。マウスグルコン酸クロルヘキシジンモデルにおいて予防的に投薬されると、化合物Aは腹膜線維症を弱める。
図4】ビヒクルまたはオートタキシン阻害剤で治療的に処置された、CDAA/HFDを与えられたマウスからの肝臓におけるPSR陽性領域パーセントを提供する。マウスCDAA/HFDモデルにおいて治療的に投薬されると、化合物Aと化合物Bは肝線維症を弱める。
【発明を実施するための形態】
【0049】
オートタキシンとLPA
およそ120kDaの糖タンパク質であるオートタキシン(ATX、NPP2、あるいはENPP2)は、細胞外のリゾホスファチジルコリン(LPC)と他のリゾリン脂質をリゾホスファチド酸(LPA)に変換する、リゾホスホリパーゼD活性を含む分泌されたヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(NPP)である。オートタキシンは、ほとんどの循環するLPA産生に関与すると考えられている。
【0050】
LPAは、様々な生体応答を生成するために、オートクリンとパラクリンの手法で、LPA1、LPA2、LPA3、LPA4、LPA5、LPA6、LPA7、LPA8などの特定のGタンパク質共役型受容体(GPCR)のセットを介して作用する。例えば、LPAなどのリゾリン脂質は、細胞の増殖、分化、生存、移動、接着、浸潤、および形態形成などの生物学的機能に影響を与えることが知られている。加えて、LPAは血小板活性化、平滑筋収縮、アクチンストレスファイバーの形成、および細胞移動のようなプロセスである役割を果たすことが知られている。
【0051】
オートタキシンとLPAは、動物とヒトの両方で血清、血漿、脳脊髄液、精液、尿、および唾液などの様々な体液に検出されており、このことは、それらが特定の疾患を予測する潜在的なバイオマーカーであることを示唆している。例えば、血清オートタキシン濃度と活性は、慢性肝炎の患者と妊婦で上昇する。別の例として、オートタキシン活性は、他の神経系疾患を抱える患者と比較して、再発/寛解型の多発性硬化症患者の脳脊髄液と血清中で増加する。加えて、オートタキシンは正常な発育にとって不可欠であることが知られている。例えば、オートタキシン欠損マウスは、卵黄嚢と胚の両方で深刻な血管の欠損で胎生期9.5日目に死ぬ。さらに、胎生期8.5日目に、オートタキシン欠損胚は、奇形の尿膜、神経管欠損、および非対称的な頭褶を持つことがわかった。
【0052】
1つの態様において、オートタキシン活性に関連した疾病、疾患、あるいは障害の予防および/または処置のためのオートタキシン阻害剤を含むオートタキシン阻害剤と医薬組成物を使用する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される方法は、本明細書に記載される疾患、疾病あるいは障害を有する被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される方法は、本明細書に記載される疾患、疾病あるいは障害を有している疑いのある被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。
【0053】
1つの態様において、本明細書に記載される疾病、疾患、あるいは障害に起因する被験体の1つ以上の兆候、症状あるいは合併症の処置または予防のための方法が本明細書で提供され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。
【0054】
1つの態様において、オートタキシン活性に関連した疾病、疾患あるいは障害の予防のための方法が本明細書に提供され、該方法は、別の予防的治療と組み合わせてオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。
【0055】
1つの態様において、オートタキシン活性に関連した疾病、疾患、あるいは障害の処置のための方法が本明細書に提供され、該方法は、別の治療と組み合わせてオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。
【0056】
1つの態様において、オートタキシン活性に関連した疾病、疾患あるいは障害の兆候、症状、あるいは合併症の減弱、回復、および/または阻害の方法が本明細書で提供され、該方法は、オートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。
【0057】
1つの態様において、オートタキシン活性に関連した疾病、疾患あるいは障害の兆候、症状、あるいは合併症の減弱、回復、および/または休止の方法が本明細書で提供され、該方法は、1つ以上の追加の治療と組み合わせてオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、オートタキシン阻害剤の投与、あるいは本明細書に記載されるオートタキシン阻害剤を含む医薬組成物の投与は、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、治療上有効な量は約0.01mg−5000mgの間である。例えば、治療量は、約0.1mg−約5000mg、約0.1mg−約1000mg、約0.1mg−約500mg、約0.1mg−約250mg、約1mg−約1000mg、約1mg−約100mg、約1mg−約10mg、あるいは前述の値の間の任意の整数である。いくつかの実施形態では、治療上有効な量は継続的に投与される。いくつかの実施では、治療上有効な量は、1日当たり4回、1日当たり3回、1日当たり2回、1日に一度、1週当たり6回、1週当たり5回、1週当たり4回、1週当たり3回、1週当たり2回、1週当たり1回、あるいはそれ以下の頻度で投与される。いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、オートタキシン阻害剤、あるいはオートタキシン阻害剤を含む医薬組成物の投与を含む、本明細書に記載される方法のいずれかで治療上有効な時間、投与される。いくつかの例では、治療上有効な時間は、本明細書に記載される疾病、疾患あるいは障害の1つ以上の徴候あるいは症状を減少させるかあるいは取り除くのにかかる時間である。例えば、治療上有効な時間は1日−1年の間である。前述の治療量の例は制限的なものではない。追加の治療レジメンがさらに本明細書に別記される。
【0059】
線維症
いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤で線維症を処置する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤で線維症を予防する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、線維症の兆候あるいは症状を弱めるか、覆すか、あるいは阻害する方法が本明細書で開示される。
いくつかの実施形態では、線維症を抱える被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、線維症に罹りやすい被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む方法が本明細書で開示される。
【0060】
いくつかの実施形態において、線維症を減らすおよび/または阻害するのに十分な量のオートタキシン阻害剤に線維症の細胞あるいは組織を接触させる工程を含む、組織中の線維症を減らす方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、線維症は線維性疾患を含む。場合によっては、線維症を減らすおよび/または阻害するのに十分な量が治療上有効な量である。
【0061】
いくつかの実施形態では、線維症を減らすこと、あるいは線維性疾患の処置は、以下の1つ以上を減らすまたは阻害することを含む:細胞外マトリックスタンパク質の形成または沈着;前線維症性の細胞タイプの数(例えば、線維芽細胞または免疫細胞の数);線維症の病変内の細胞のコラーゲンまたはヒドロキシプロリンの含有物;線維形成タンパク質の発現または活性;炎症反応に関連する線維症を減らすこと;あるいは、これらの組み合わせ。
【0062】
「線維症」は、本明細書で使用されるように、外傷、炎症、組織修復、免疫反応、細胞の過形成、および/または腫瘍形成後に生じる、細胞外マトリックス成分の蓄積を指す。組織線維症の例としては、限定されないが、肺線維症、腎線維症、心線維症、肝臓の硬変と線維症、目の線維症、皮膚の瘢痕およびケロイド、腎線維症、腹膜線維症、癒着、線維腫症、アテローム性動脈硬化症、およびアミロイドーシスが挙げられる。
【0063】
いくつかの実施形態では、線維性疾患は原発性線維症である。いくつかの実施形態では、線維性疾患は特発性である。いくつかの実施形態では、線維性の疾患は、疾患(例えば、感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、悪性または癌の疾患、および/または、結合性疾患);毒素;発作(例えば環境ハザード(例えばアスベスト、炭塵、多環式芳香族炭化水素)、たばこの煙、創傷);医学的処置(例えば、外科的切開、化学療法、または放射線)、あるいはこれらの組み合わせに関連付けられる(例えば、これらに続発する)。
【0064】
いくつかの実施形態では、線維性疾患は、肺の線維性疾患、肝臓の線維性疾患、心臓または血管系の線維性疾患、腎臓の線維性疾患、皮膚の線維性疾患、胃腸管の線維性疾患、目の線維性疾患、骨髄あるいは造血組織の線維性疾患、神経系の線維性疾患、腹膜の線維性疾患、あるいはこれらの組み合わせである。
【0065】
いくつかの実施形態では、線維性疾患は、筋肉、腱、軟骨、皮膚(例えば、皮膚の表皮あるいは内皮)、心臓の組織、維管束組織(例えば、動脈、静脈)、膵臓の組織、肺組織、肝臓組織、腎臓組織、子宮の組織、卵巣の組織、神経の組織、睾丸の組織、腹膜の組織、結腸、小腸、胆管、腸、骨髄、あるいは造血組織の1つ以上から選択された組織に影響する。
【0066】
いくつかの実施形態では、線維性の疾患は肝臓の線維性の疾患である。ある実施形態では、肝臓の線維性疾患は以下の1つ以上から選択される:脂肪肝疾患、脂肪症(例えば、非アルコール性の脂肪性肝炎(NASH))、胆汁うっ滞性肝疾患(例えば、原発性胆汁性肝硬変(PBC))、硬変、アルコールによって引き起こされた肝線維症、胆管損傷、胆管線維症、胆汁うっ滞、あるいは胆管症。いくつかの実施形態では、肝性線維症または肝線維症としては、限定されないが、アルコール中毒、ウイルス感染、例えば、肝炎(例えばC型肝炎、B型肝炎、あるいはD型肝炎)、自己免疫性肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、進行性塊状線維症、および毒素あるいは刺激薬(例えば、アルコール、医薬品および環境上の毒素)への暴露に関連する肝線維症。が挙げられる。
【0067】
いくつかの実施形態では、被験体の肝臓の線維症の処置または予防のための方法が本明細書に記載され、該方法は被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの例では、線維症は慢性あるいは急性である。場合によっては、オートタキシン阻害剤の投与は、肝線維症の兆候、症状、および/または合併症の減弱、遅れ、あるいは予防をもたらす。例えば、方法は、硬変、肝不全、門脈圧亢進症、および/または合併症の発症を弱めるか、遅らせるか、予防する。硬変の典型的な合併症は腹水、腎不全、肝性脳障害、および静脈瘤の出血を含んでいる。場合によっては、オートタキシン阻害剤の投与は、線維形成細胞の蓄積を阻害し、および/または肝臓内の細胞外マトリックスタンパク質(例えばコラーゲン)の沈着を防ぐ。本明細書に提供される方法で使用されるオートタキシン阻害剤は、肝損傷の任意の源によって引き起こされた肝線維症の処置に役立つ。肝線維症の例としては、限定されないが、ウイルス感染(例えばC型肝炎)、自己免疫性肝炎、先天性肝線維症、細菌感染(例えばブルセラ症)、寄生虫感染(例えば包虫症)、アルコール乱用、原発性硬化性胆管炎、医薬品(例えば、塩酸アミオダロン、クロルプロマジン、イソニアジド、メトトレキサート、メチルドパ、オキシフェニサチン、トルブタミド)、機械的な妨害(例えば外科手術)非アルコール性の脂肪性肝炎(NASH)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0068】
場合によっては、被験体の肝臓の線維症の回復あるいは線維症退行のための方法が本明細書に記載され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤の投与を含む任意の方法が本明細書で提供され、該方法は1つ以上の追加の線維症治療の適用をさらに含む。追加の線維症治療は、例えば、アンギオテンシン阻害剤、コルヒチン、コルチコステロイド、エンドセリン阻害剤、インターフェロンアルファ、インターロイキン10、抗酸化剤、肝星細胞(HSC)阻害剤、あるいはこれらの組み合わせの投与を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、線維性疾患は腎臓の線維性疾患である。いくつかの実施形態では、腎臓の線維性疾患は以下の1つ以上から選択される:腎線維症(例えば慢性の腎線維症)、損傷/線維症(例えば、糖尿病(例えば糖尿病性腎症)に関連した慢性の腎症)に関連した腎症、狼瘡、腎臓の強皮症、糸球体腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、IgA腎症、ヒト慢性腎疾患(CKD)に関連した腎線維症、慢性の進行性腎症(CPN)、尿細管間質性線維症、尿管閉塞、慢性尿毒症、慢性間質性腎炎、放射線腎症、糸球体硬化症、進行性の糸球体腎症(PGN)、内皮/血栓性微小血管障害損傷、HIVに関連する腎症、あるいは毒素、刺激薬、または化学療法剤への暴露に関連した線維症。
【0071】
いくつかの実施形態では、被験体の腎臓の線維症の処置または予防のための方法が本明細書に記載され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの例では、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与は、腎線維症の進行を弱めるか、遅らせるか、阻害する。場合によっては、オートタキシン阻害剤の投与は、腎線維症の兆候、症状、および/または合併症の減弱、遅れ、あるいは予防をもたらす。いくつかの例では、オートタキシン阻害剤の投与は、腎臓中の細胞外マトリックスの蓄積あるいは細胞外マトリックスの蓄積率を減少させる。場合によっては、腎線維症は、腎臓組織に対する急性あるいは慢性の持続的な損傷である。場合によっては、腎線維症は糸球体硬化症を特徴とする。場合によっては、腎線維症が尿細管間質性線維症を特徴とする。
【0072】
場合によっては、被験体の腎臓の線維症の回復または線維症退行のための方法が本明細書に記載され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の方法を含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、オートタキシン阻害剤の投与を含む任意の方法が本明細書で提供され、該方法は1つ以上の追加の線維症および/または腎臓病の治療の適用をさらに含む。追加の治療は例えば、線維症を進行させるTGF−β/Smadシグナル伝達を阻害することを含む。別の例として、追加の治療は、腎臓の抗線維症因子(例えば、肝細胞増殖因子(HGF)および骨形成タンパク質−7(BMP−7)の濃度を増加させることを含み、これはTGF−βの線維形成の作用に拮抗することができる。典型的な線維症治療としては、限定されないが、以下の1つ以上の投与が挙げられる:ピルフェニドン(5−メチル−N−フェニル−2−(1H)−ピリドン)、トラニラスト、フルオロフェニドン、レニン−アンギオテンシン−アルドステロンの遮断、ACE阻害剤、ADAM阻害剤、および抗CTGFモノクローナル抗体。
【0074】
いくつかの実施形態では、線維性疾患は皮膚の線維性疾患である。いくつかの実施形態では、皮膚の線維性疾患は以下の1つ以上から選択される:皮膚線維症、強皮症、腎原性全身性線維症(例えば、重症の腎不全患者におけるMRIのための造影物質として頻繁に使用されるガドリニウムへの暴露後に結果として生じる)、瘢痕、およびケロイド。
【0075】
いくつかの実施形態では、被験体の皮膚の線維症の処置または予防のための方法が本明細書に記載され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの例では、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与は、皮膚線維症の進行を弱めるか、遅らせるか、阻害する。場合によっては、オートタキシン阻害剤の投与は、皮膚線維症の兆候、症状、および/または合併症の減弱、遅れ、あるいは予防をもたらす。いくつかの例では、オートタキシン阻害剤の投与は、皮膚中の細胞外マトリックスの蓄積あるいは細胞外マトリックスの蓄積率を減らす。場合によっては、皮膚線維症は急性あるいは慢性の皮膚組織に対する持続的な損傷である。
【0076】
いくつかの実施形態において、皮膚線維症を抱える被験体へのオートタキシン阻害剤の投与後、線維症の皮膚の皮膚の厚さは減少する。例えば、オートタキシン阻害剤の投与は、オートタキシン阻害剤の投与前の皮膚の厚さと比較して、皮膚線維症の皮膚の厚さを少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、あるいは50%減少させる。
【0077】
いくつかの実施形態では、被験体の皮膚の線維症の回復または線維症退行のための方法が本明細書に記載され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、オートタキシン阻害剤の投与を含むこと任意の方法が本明細書で提供され、該方法は、さらに1つ以上の追加の線維症および/または皮膚病の治療の適用を含む。皮膚線維症の治療としては、限定されないが、D−ペニシラミン、ウシコラーゲン、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、ヒトリラキシン、インターフェロンアルファ、抗形質転換増殖因子ベータ抗体、あるいはこれらの組み合わせの投与が挙げられる。
【0079】
いくつかの実施形態では、線維性疾患は目の線維性疾患である。いくつかの実施形態では、目の線維性疾患は以下の1つ以上から選択される:緑内障、網膜下線維症、加齢黄斑変性(ARMD)、糖尿病性網膜症(DR)、末熟児網膜症(ROP)、目の手術(緑内障手術、白内障手術、レーシック手術法)後の線維症。
【0080】
いくつかの実施形態では、被験体の目の線維症の処置または予防のための方法が本明細書に記載され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの例では、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与は、目の線維症の進行を弱めるか、遅らせるか、阻害する。場合によっては、オートタキシン阻害剤の投与が、目の線維症の兆候、症状、および/または合併症の減弱、遅れ、あるいは予防をもたらす。いくつかの例では、オートタキシン阻害剤の投与は、目の中の細胞外マトリックスの蓄積あるいは細胞外マトリックスの蓄積率を減らす。場合によっては、目の線維症は急性あるいは慢性の目の組織に対する持続的な損傷である。
【0081】
いくつかの実施形態において、目の線維症を抱える被験体へのオートタキシン阻害剤の投与後に、目の線維症の範囲は減少する。例えば、オートタキシン阻害剤の投与は、オートタキシン阻害剤を用いる処置を受けない患者と比較して、線維柱帯切除手術後の水疱の線維症を減少させ、線維症による水疱の欠陥率を約5%、10%、20%、30%、40%、あるいは50%減らす。
【0082】
いくつかの実施形態では、被験体の目の線維症の回復または線維症退行のための方法が本明細書に記載され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤の投与を含む任意の方法が本明細書で提供され、該方法は、1つ以上の追加の線維症および/または眼疾患の治療の適用を含む。目の線維症の治療としては、限定されないが、マイトマイシン、5−フルオロウラシル、コルチコステロイド、抗生物質、抗形質転換増殖因子ベータ抗体、あるいはこれらの組み合わせの投与が挙げられる。
【0084】
いくつかの実施形態では、線維性疾患は腹膜の線維性疾患である。いくつかの実施形態では、被験体の腹膜の線維症の処置または予防のための方法が本明細書に記載され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの例では、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与は、腹膜線維症の進行を弱めるか、遅らせるか、阻害する。場合によっては、オートタキシン阻害剤の投与は、腹膜線維症の兆候、症状、および/または合併症の減弱、遅れ、あるいは予防をもたらす。いくつかの例では、オートタキシン阻害剤の投与は、腹膜中の細胞外マトリックスの蓄積あるいは細胞外マトリックスの蓄積率を減らす。
【0085】
いくつかの実施形態では、腹膜の線維症は長期的な腹膜透析によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は腹膜炎を抱える被験体に投与される。いくつかの実施形態では、腹膜線維症は以下の発作の1つ以上によって引き起こされる:生体不適合性の透析物、腹膜炎、尿毒症、および/または慢性炎症。
【0086】
場合によっては、被験体の腹膜の線維症の回復または線維症退行のための方法が本明細書に記載され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤の投与を含む任意の方法が本明細書で提供され、該方法は抗炎症薬または免疫抑制薬の投与を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、線維性疾患は胃腸管の線維性疾患である。いくつかの実施形態では、線維性疾患は強皮症に関連する線維症;放射線により誘発された腸線維症;バレット食道と慢性胃炎のような前腸炎症性障害に関連する線維症、および/または炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎、およびクローン病などの後腸炎症性障害に関連する線維症の1つ以上から選択される
【0089】
いくつかの実施形態では、線維性疾患は肺の線維性疾患である。いくつかの実施形態では、肺の線維性疾患は以下の1つ以上から選択される:肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、通常間質性肺炎(UIP)、間質性肺疾患、特発性間質性肺炎(CFA)、閉塞性細気管支炎、または気管支拡張症。いくつかの実施形態では、肺の線維症は、疾患、毒素、発作、医学的処置、またはこれらの組み合わせの二次的なものである。いくつかの実施形態では、肺の線維症は、以下の1つ以上に関連する:アスベスト肺と珪肺症のような疾患プロセス;職業上の危険;環境汚染物;たばこの煙;自己免疫性の結合組織障害(例えば、関節リウマチ、強皮症、および全身性エリテマトーデス(SLE));サルコイドーシスなどの結合組織障害;感染症、例えば感染、とりわけ、慢性感染症;限定されないが、放射線療法と薬物療法、例えば、化学療法を含む医学的処置(例えば、ブレオマイシン、メトトレキセート、アミオダロン、ブスルファン、および/またはニトロフラントインによる処置)を含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法で処置される肺の線維性疾患は、癌治療、例えば、癌(例えば、扁平上皮癌、精巣癌、ホジキン病)のブレオマイシンを用いる処置に関連する(例えば、二次的なものである)。
【0090】
いくつかの実施形態では、線維性疾患は心臓の線維性疾患である。ある実施形態では、心臓の線維性疾患は、心筋線維症(例えば放射線心筋炎、外科手術手技合併症(例えば、心筋の術後線維症)、感染症(例えばシャーガス病、細菌、旋毛虫症、または菌による心筋炎);肉芽腫性の代謝性の貯蔵障害(例えば、心筋症、血色素症);発達障害(例えば心内膜線維弾性症);動脈硬化症、あるいは毒素あるいは刺激薬への暴露(例えば、薬物誘発性心筋症、薬物誘発性心毒性、アルコール性心筋症、コバルト中毒または曝露)に関連する心筋線維症である。いくつかの実施形態では、心筋線維症は、心臓の組織の炎症性障害(例えば心筋のサルコイドーシス)に関連する。
【0091】
いくつかの実施形態では、線維性疾患は癒着である。いくつかの実施形態では、癒着は以下の1つ以上から選択される:腹部癒着、腹膜癒着、骨盤癒着症、心膜癒着、硬膜外癒着、腱周囲(peritendinous)または癒着性関節嚢炎。
【0092】
いくつかの実施形態では、線維性疾患は目の線維性疾患である。いくつかの実施形態では、目の線維性疾患は、緑内障と角膜の不透明化のような目の前部の疾患を含み、いくつかの実施形態では、目の線維性疾患は、加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、末熟児網膜症、および血管新生緑内障のような目の後部の疾患を含み、いくつかの実施形態では、目の線維性疾患は目の外科手術後の線維症に起因する。
【0093】
いくつかの実施形態では、線維性疾患は、骨髄あるいは造血組織の線維性疾患である。いくつかの実施形態では、骨髄の線維性疾患は、原発性の骨髄線維症(原発性骨髄線維症または慢性の特発性の骨髄線維症とも本明細書では呼ばれる)のような骨髄の慢性的な骨髄増殖性新生物の固有の特徴である。いくつかの実施形態では、骨髄線維症は、クローンの増殖性疾患によって引き起こされた悪性疾病に関連する(例えば、二次的なものである)いくつかの実施形態では、骨髄線維症は、血液の障害(例えば、真性赤血球増加、本態性血小板血症、骨髄形成異常、ヘアリー・セル白血病、リンパ腫(例えばホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫)、多発性骨髄腫、または慢性の骨髄性の白血病(CML)の1つ以上から選択された血液の障害に関連する。いくつかの実施形態では、骨髄線維症は、非血液障害(例えば骨髄への固形腫瘍の転移、自己免疫障害(例えば、全身性エリテマトーデス、強皮症、混合型結合組織障害、または多発性筋炎)、感染(例えば、結核)、またはビタミンD欠乏に関連する続発性上皮小体から選択される非血液障害)に関連する(例えば、二次的なものである)。大腸炎
【0094】
いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤で大腸炎を処置する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤で大腸炎を予防する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、大腸炎の兆候または症状を弱めるか、覆すか、阻害する方法が本明細書で開示される。
【0095】
いくつかの実施形態では、大腸炎を抱える被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、大腸炎に罹りやすい被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む方法が本明細書で開示される。
【0096】
いくつかの実施形態では、組織中の大腸炎を減らす方法が本明細書で開示され、該方法は、大腸炎を減らすか阻害するのに十分な量のオートタキシン阻害剤に組織を接触させる工程を含む。場合によっては、大腸炎を減らすか阻害するのに十分な量は治療上有効な量である。
【0097】
「大腸炎」は、本明細書で使用されるように、結腸組織の炎症を指す。大腸炎は急性の自己限定的な慢性の大腸炎を含む。大腸炎は自己免疫性の大腸炎、特発性結腸炎、医原性大腸炎、血管疾患、および感染性大腸炎を含む。自己免疫性のタイプの大腸炎は炎症性腸疾患と潰瘍性大腸炎を含む。特発性のタイプの大腸炎は顕微鏡的大腸炎、リンパ球性大腸炎、およびコラーゲン蓄積大腸炎を含んでいる。医原性タイプの大腸炎は転換大腸炎と化学的な大腸炎を含んでいる。血管疾患によって引き起こされた大腸炎は虚血性大腸炎を含んでいる。感染性大腸炎は、大腸菌のクロストリジウム・ディフィシル、志賀赤痢菌、あるいは志賀毒素産生(Shigatoxigenic)群によって引き起こされた大腸炎を含んでいる。いくつかの実施形態では、大腸炎は潰瘍性大腸炎を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与により被験体の大腸炎を処置する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、大腸炎の1つ以上の徴候あるいは症状がオートタキシン阻害剤の投与後に被験体において減少する。大腸炎の徴候あるいは症状としては、限定されないが、腹痛、食欲不振、疲労、下痢、便中の粘液、筋痙攣、緊急性、腹部膨満、腹部圧痛、体重減少、頻度の増加などの排便習慣の変化、熱、出血、血便、膨満、結腸の粘膜の紅斑、および潰瘍が挙げられる。
【0099】
いくつかの実施形態において、大腸炎を抱える被験体へのオートタキシン阻害剤の投与後、被験体は大腸炎の臨床的兆候、症状、あるいは組織病理学において進歩を示す。一例において、オートタキシン阻害剤の投与後に、結腸炎症は減少する。別の例において、オートタキシン阻害剤の投与後に、組織損傷は覆される。別の例において、オートタキシン阻害剤の投与後に、組織損傷進行は弱められる。まだ別の例において、オートタキシン阻害剤の投与後に、組織損傷は阻害される。組織損傷は、例えば三色染色法(Masson)などの染色を使用する組織学的検査によって可視化可能である。
【0100】
いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎を抱える被験体へのオートタキシン阻害剤の投与後に、潰瘍領域は例えば、オートタキシン阻害剤の投与前のサイズの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、50%、90%、99%減少する。別の例では、オートタキシン阻害剤の投与後、潰瘍領域は、対照の投与と比較して、オートタキシン阻害剤の投与前のサイズの、少なくともおよそ2倍、3倍、あるいは、5倍小さい。
【0101】
いくつかの実施形態において、大腸炎を抱える被験体へのオートタキシン阻害剤の投与後に、被験体の体重は、約2%、5%、あるいは10%を超えて増加したり減少したりしない。
【0102】
いくつかの実施形態において、大腸炎を抱える被験体へのオートタキシン阻害剤の投与後に、被験体は便通の一貫性を増大させる。
【0103】
いくつかの実施形態において、大腸炎を抱える被験体は、オートタキシン阻害剤と1つ以上の追加の処置の投与によって処置される。追加の処置は、水和治療と、ステロイド、抗炎症薬、および/または免疫抑制薬の投与を含んでいる。一例において、追加の処置はサイクロスポリンA(CsA)である。別の例において、追加の処置はスルファサラジンである。
【0104】
いくつかの実施形態では、大腸炎(例えば、DSSにより引き起こされた大腸炎、あるいはDNBSにより引き起こされた大腸炎)を引き起こされた動物モデルは、オートタキシン阻害剤を(予防的にあるいは治療的に)投与され、ここで、オートタキシン阻害剤の投与後に、動物は結腸長さの増大、あるいは結腸重量の増大、あるいは結腸長さと重量の両方の増大を示す。例えば、大腸炎を引き起こされたマウスまたはラットへのオートタキシン阻害剤の投与後に、結腸長さはビヒクルまたは対照の投与と比較して、少なくとも約0.1cm、0.2cm、0.3cm、0.4cm、0.5cm、1cm、2cm、あるいは3cm増加する。別の例では、大腸炎を引き起こされたマウスあるいはラットへのオートタキシン阻害剤の投与後に、ビヒクルまたは対照の投与と比較して、結腸重量は少なくとも約0.05g増加する。いくつかの実施形態では、大腸炎を引き起こされたマウスまたはラットのオートタキシン阻害剤による処置後に、マウスあるいはラットは、投与前の潰瘍領域と比較して、少なくとも約10%、20%、50%、あるいは90%、潰瘍領域を減少させる。いくつかの実施形態では、大腸炎を引き起こされたマウスまたはラットのオートタキシン阻害剤の処置後に、マウスあるいはラットは、大腸炎を誘発されたが未処置のあるいは対照のマウスあるいはラット中の潰瘍領域のサイズの約90%、80%、70%、50%、20%、あるいは10%未満の潰瘍領域を有する。そう痒症
【0105】
いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤でそう痒症を処置する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤でそう痒症を予防する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、そう痒症の少なくとも1つの兆候あるいは症状を弱めるか、覆すか、阻害する方法が本明細書で開示される。
【0106】
いくつかの実施形態では、そう痒症を抱える被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、そう痒症に罹りやすい被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む方法が本明細書で開示される。
【0107】
いくつかの実施形態では、組織中のそう痒症を減らす方法が本明細書で開示され、該方法は、そう痒症を減少するかあるいは阻害するのに十分な量のオートタキシン阻害剤に組織を接触させる工程を含む。
【0108】
そう痒症は、様々な疾患中の一般的かつ気の滅入る症状である局所または全身のかゆみを含む疾病である。そう痒症は皮膚に通常生じるが、粘膜などの皮膚以外の部位で生じることもある。そう痒症は、昆虫刺傷に対する、または環境アレルゲン、蕁麻疹、真菌および細菌起源の皮膚病、外部寄生者感染、および痔核に対するアレルギー反応などの過敏症反応によって引き起こされた局所的な皮膚障害の頻繁な徴候である。いくつかの実施形態では、例えば、甲状腺機能低下、甲状腺中毒、真性糖尿病中の粘膜カンジダ症(mucocandiasis)、およびホジキン病を含む全身性疾患によって引き起こされるそう痒症を処置する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、多くの全身性疾患と皮膚障害に関連する持続性または再発性のそう痒症を処置する方法が本明細書に開示される。そう痒症としては、限定されないが、腎そう痒症、胆汁うっ滞性そう痒症、血液のそう痒症、および内分泌腺のそう痒症が挙げられる。
【0109】
いくつかの実施形態では、臓病と肝臓内あるいは肝後方の胆汁うっ滞に関連したそう痒症を処置する方法が本明細書で開示される。そう痒症を引き起こす肝臓病は、原発性胆汁性肝硬変、B型およびC型ウイルス性肝炎、原発性硬化性胆管炎、胆管の癌腫、アルコール性肝硬変、自己免疫性肝炎などを含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、乾燥症、皮膚状態(乾癬、湿疹、日焼け、水虫など)、昆虫刺傷、有毒植物(ウルシツタ、アメリカツタウルシ、ウルシ毒など)、ホジキン病、黄疸、赤血球増加、疥癬、シラミ、ぜん虫類、甲状の病気、真性糖尿病、頭部粃糠疹、鉄欠乏性貧血、寄生虫感染、薬物、胆汁うっ滞、妊娠に関連するそう痒症、HIV感染、かゆみまたはそう痒症の他の原因、あるいはこれらの組み合わせなどの様々な原因から発生するそう痒症を処置する方法が本明細書で開示される。
【0111】
いくつかの実施形態では、被験体のそう痒症を処置するか予防する方法が本明細書で開示され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤の投与は、そう痒症を少なくとも約10%、20%、30%、50%、あるいは90%減らす。
【0112】
いくつかの実施形態では、そう痒症を抱える被験体へのオートタキシン阻害剤の投与後に、被験体は、オートタキシン阻害剤の投与前の引っ掻き回数と比較して、引っ掻き動作の合計数を減少させる。例えば、引っ掻き動作は、少なくとも約10%、20%、50%、あるいは90%減少する。いくつかの実施形態では、そう痒症は、オートタキシン阻害剤と1つ以上の追加のそう痒症治療あるいは治療薬の投与によって予防されるか、処置される。そう痒症治療としては、限定されないが、皮膚の乾燥を防ぐスキンクリームとローション剤の使用と、抗ヒスタミン薬、ステロイド、あるいは抗生物質の使用が挙げられる。そう痒症治療薬としては、ドキセピン、ミルタザピン、ガバペンチン、アプレピタント、カプサイシン、タクロリムス、γリノレン酸、コレスチラミン、リファンピン、オピオイドアンタゴニスト、オンダンセトロン、および活性炭が挙げられる。
【0113】
いくつかの実施形態では、被験体の腎そう痒症の予防または処置のための方法が本明細書に記載され、該方法は被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、被験体の胆汁うっ滞性そう痒症の予防または処置のための方法が本明細書に記載され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、被験体の血液のそう痒症の予防または処置のための方法が本明細書に記載され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、被験体の内分泌腺のそう痒症の予防または処置のための方法が本明細書に記載され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。
【0114】
神経系疾患
いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤で神経系疾病、疾患、あるいは障害を処置する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤で神経系の疾患、疾病、あるいは障害を予防する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、神経系疾病、疾患、あるいは障害の兆候または症状を弱めるか、覆すか、阻害する方法が本明細書で開示される。
【0115】
いくつかの実施形態では、神経系疾病、疾患あるいは障害を抱える被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、神経系疾病、疾患あるいは障害に罹りやすい被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む方法が本明細書で開示される。
【0116】
いくつかの実施形態では、神経系疾患は多発性硬化症である。いくつかの例では、神経系疾患は遺伝病によって引き起こされる。いくつかの例では、神経系疾患は発育性の、例えば、二分脊椎症である。いくつかの例では、神経系疾患は変性疾患、例えば、パーキンソン病あるいはアルツハイマー病である。いくつかの例では、神経系疾患は脳卒中に起因する。ATX阻害剤を用いる治療に適した神経系の疾患、疾患、および障害、あるいは神経系の疾患、疾病、および障害の特性は、限定されないが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、動静脈奇形(AVM)、脳動脈瘤、脳腫瘍、硬膜動静脈瘻、癲癇、頭痛、記憶障害、パーキンソン病、末梢性ニューロパシー、ヘルペス後神経痛、脊髄腫瘍、および脳卒中を含んでいる。ある例では、オートタキシン活性は、他の神経系疾患の患者と比較して、再発/寛解型多発性硬化症患者のCSF(脳脊髄液)と血清中で増加する。
【0117】
いくつかの実施形態では、多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症、再発性多発性硬化症、一次性進行型多発性硬化症、あるいは二次性進行型多発性硬化症である。
【0118】
いくつかの実施形態では、多発性硬化症は再発寛解型多発性硬化症(RRMS)である。この種のMSの人々は、神経機能の悪化という明確に定義された発作を抱える。こうした発作は緩解と呼ばれる部分的あるいは完全な回復期間を伴う。緩解中に、症状はしばしば改善し、疾患の明白な悪化も進行もない。MSの人々の約85%は最初にRRMSと診断される。
【0119】
いくつかの実施形態では、多発性硬化症は再発性の多発性硬化症(RMS)である。RMSは、再発−寛解型のMS、進行−再発型のMS、および二次性進行型のMSを含む、再発性の特徴を有するMSのいくつかの形態を含んでいる。
【0120】
いくつかの実施形態では、多発性硬化症は一次性進行型多発性硬化症(PPMS)である。この形態は、神経学的機能が徐々に悪化していくが、明確な再発あるいは緩解の期間がない。人の進行の率は経時的に変化し、時々安定したり、一時的に改善したりするが、進行は継続的である。人々の10%はこの種のMSと診察される。
【0121】
いくつかの実施形態では、多発性硬化症は二次性進行型多発性硬化症(SPMS)である。再発−寛解型MS(RRMS)の初期の期間後、多くの人々がSPMSに移行する。この疾患は着実に悪化し、再発、緩解、あるいは安定することもあれば、しないこともある。
【0122】
いくつかの実施形態では、被験体の神経系の損傷、脳、脊髄、および/または神経組織への損傷を処置する方法が本明細書で開示され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、被験体の神経系に影響を与える癌の処置のための方法が本明細書で開示され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの例において、癌は脳腫瘍である。
【0124】
いくつかの実施形態では、被験体の損傷により引き起こされた脱髄を処置する方法が本明細書で開示され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、被験体の神経系の感染を処置する方法が本明細書で開示され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの例において、神経系感染は髄膜炎を含んでいる。
【0126】
いくつかの実施形態では、被験体の神経系疾患、障害、あるいは疾病を処置する方法が本明細書で開示され、該方法は被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、被験体の多発性硬化症を処置する方法が本明細書で開示され、該方法は被験体へのオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、処置は、脱髄の阻害または回復を含んでいる。脱髄の阻害は、オートタキシン阻害剤による処置を行わない状態と比較して、脱髄の率の減少を含み、率の減少は少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、80%、あるいは90%の脱髄の減少である。いくつかの例では、オートタキシン阻害剤の投与は、脱髄を予防し、遅らせ、および/または弱める。
【0127】
いくつかの実施形態では、神経系疾患、障害、あるいは疾病の兆候、症状、および/または合併症を予防するか、処置する方法が本明細書で開示され、該方法はオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、被験体の多発性硬化症の兆候、症状、および/または合併症を予防するか、処置する方法が本明細書で開示され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。多発性硬化症の徴候と症状としては、限定されないが、1つ以上の肢のしびれ感あるいは脱力、部分的あるいは完全な視覚の喪失、複視、霧視、ピリピリ感、電気ショック様感覚、振せん、協調運動障害、不安定歩行、不明瞭発語、疲労、眩暈、および、腸ならびに/またはの変化が挙げられる。多発性硬化症合併症の例としては、限定されないが、筋肉強直、筋痙縮、麻痺、もの忘れと気分の動揺などの精神の変化、うつ病、および癲癇が挙げられる。
【0128】
いくつかの実施形態では、神経系疾患、障害、あるいは疾病の頻度、重症度、および/または再発の持続期間を減少させる方法が本明細書で開示され、該方法は、オートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、多発性硬化症の頻度、重症度および/または再発の持続期間を減少させる方法が本明細書で開示され、該方法はオートタキシン阻害剤の投与を含む。いくつかの例では、オートタキシン阻害剤の投与は、多発性硬化症を抱える患者の1つ以上の症状を減らすか、その進行を止める。いくつかの例では、オートタキシン阻害剤の投与は、多発性硬化症の症状の発症を予防するか、遅らせる。
【0129】
いくつかの例では、多発性硬化症などの神経障害は、オートタキシン阻害剤と1つ以上の追加の処置の組み合わせで処置される。追加の処置は、限定されないが、血漿交換、物理療法、筋弛緩薬、運動、休息、および以下の1つ以上の投与を含む:コルチコステロイド、βインターフェロン、glatiramer酢酸塩、ジメチル・フマル酸塩、フィンゴリモド、テリフルノミド、ナタリズマブ、ミトキサントロン;および、これらの組み合わせ。
【0130】
神経系の疾患、疾病、および障害、あるいはオートタキシン阻害剤を用いる処置に適している神経系の疾患、疾病、および障害の特性としては、限定されないが、透明中隔、酸リパーゼ疾患、酸性マルターゼ欠失、後天性のてんかん性失語症、急性散在性脳脊髄膜炎、ADHD、アディー瞳孔、アディー症状群、副腎脳白質ジストロフィー、脳梁欠損症、認知不能症、アイカルディ症候群、エイズからの神経学的な合併症、アレキサンダー病、アルパース病交代性片麻痺、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、無脳症、動脈瘤、アンジェルマン症候群、血管腫症、酸素欠乏症、抗リン脂質抗体症候群、失語症、失行症、クモ膜嚢胞、くも膜炎、アーノルド−キアリ症候群、動静脈奇形、アスペルガー症候群、運動失調、脳卒中、バース症候群、バッテン病、ベッカー病のミオトニー、ベーチェット病、ベル麻痺、良性の特発性眼瞼痙攣、良性の焦点の筋萎縮、良性頭蓋内圧亢進、ベルンハルト−ロート症候群、ビンスヴァンガー病、眼瞼痙攣、ブロッホ−サルズバーガー症候群、腕神経叢損傷、ブラッドバリー・エグルストン症候群、脳動脈瘤、脳損傷、ブラウン−セカール症候群、CADASIL、カナバン病、カウザルギー、海綿腫、海綿状様血管腫、海綿状の奇形、脊髄中心症候群、中枢痛症候群、橋中心髄鞘崩壊症、頭の障害、セラミダーゼ欠失、小脳変性症、小脳低形成、脳動脈瘤、脳動脈硬化症、大脳萎縮、脳性脚気、大脳の海綿状の奇形、脳性巨人症、脳低酸素、脳性麻痺、脳・眼・顔・骨格症候群、キアリ奇形、舞踏病、有棘赤血球舞踏病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、慢性の起立不耐性、II型コケイン症候群、コフィン・ローリー症候群、コルポセファリ、昏睡、複合性局所疼痛症候群、先天性両側顔面神経麻痺、先天性の筋無力症、先天性ミオパチー、先天性の血管海綿状奇形、大脳皮質基底核変性症、頭部動脈炎、頭蓋骨癒合症、クリー脳炎、クロイツフェルト・ヤーコブ病、蓄積外傷疾患、クッシング症候群、巨大細胞性封入体症、サイトメガロウイルス感染、ダンディーウォーカー症候群、ドーソン病、ド・モルシア症候群、デジェリーヌ−クルンプケ麻痺、認知症、歯状の小脳性運動失調、歯状核赤核委縮症、皮膚筋炎、発育性統合運動障害、デビック病、糖尿病性神経障害、広汎性硬化症、ドラベ症候群、自律神経異常症、書字障害、えん下障害、統合運動障害、小脳性共同運動障害、ジストニー、球脊髄性筋萎縮症、脳障害、エンプティゼラ症候群、脳炎、脳瘤、脳3叉神経領域血管腫、癲癇、Erb−デュシェンヌおよび、デジェリーヌ−クルンプケ麻痺、エルブ麻酔、橋外融解症、ファブリー病、ファール症候群、家族性自律神経不全、家族性血管腫、家族性の特発性基底核石灰化、家族性周期性麻痺、家族性の痙性麻痺、ファーバー病、熱性けいれん、線維筋性形成異常、フィッシャー症候群、フリードライヒ運動失調、および前頭側頭型認知症。炎症と炎症性障害
【0131】
いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤で炎症性の疾病、疾患、あるいは障害を処置する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、被験体の組織中の炎症を減らす方法が本明細書で開示され、該方法は被験体にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの例では、組織は結腸組織である。
【0132】
本開示で使用されるように、「炎症」は様々なタイプの損傷あるいは感染症に対する周知の局所的な反応を指し、これは発赤、熱、腫脹、および疼痛を特徴とし、さらに機能不全あるいは運動の減少をしばしば含む。
【0133】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、以下のオートタキシン阻害剤による他の炎症性の疾病あるいは疾患の治療、そのリスクの減少、およびその発症を遅らせるための方法を含む:(a)角膜潰瘍、巨大乳頭結膜炎、眼瞼炎、霰粒腫、ブドウ膜炎、眼乾燥、手術後の炎症、およびコンタクトレンズに関連する炎症などの目の炎症;(b)枯草熱、鼻炎、季節性アレルギー性結膜炎、春季結膜炎、および他の好酸球を媒介とした疾病などのアレルギー性疾患;(c)乾癬、接触皮膚炎、湿疹、感染性の皮膚潰瘍、開放創、および蜂巣炎などの皮膚病;(d)敗血症、敗血症性ショック、脳炎、感染性関節炎、エンドトキシンショック、グラム陰性菌ショック、ヤリッシュ・ヘルクスハイマー反応、帯状疱疹、中毒性ショック、大脳マラリア、細菌性髄膜炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、ライム病、およびHIV感染を含む感染症;(e)癌やHIVに続発する悪液質などの消耗性疾患;(f)移植拒絶反応を含む器官、組織、または細胞の移植(例えば、骨髄、角膜、腎臓、肺、肝臓、心臓、皮膚、膵島)による炎症、および移植片対宿主疾患;(g)アムホテリシンB処置の副作用、免疫抑制療法、例えば、インターロイキン2による処置の副作用、OKT3処置の副作用、GM−CSF処置の副作用、シクロスポリン処置の副作用、およびアミノグリコシド処置の副作用を含む薬物療法の副作用、口内炎、ならびに免疫抑制による粘膜炎;(h)心臓血管の疾患、循環系障害を含んでいること、炎症反応によって引き起こされたか激昂させられた、虚血、アテローム性動脈硬化、末梢血管疾患、血管形成術後の再狭窄、炎症性の大動脈瘤、血管炎、脳卒中、脊髄損傷、うっ血性心不全、出血性ショック、虚血/再潅流障害、クモ膜下出血後の血管痙攣、血管痙攣、次の脳血管発作、胸膜炎、心膜炎、および糖尿病の心臓血管の合併症;(i)腹膜透析による心膜炎を含む透析;(j)痛風;および、(k)熱傷、酸、アルカリなどによる化学薬品または熱により引き起こされた炎症。自己免疫疾患
【0134】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、オートタキシン阻害剤を用いる自己免疫疾患あるいは障害の処置、リスクの減少、あるいは、その発症を遅らせるための方法を含んでいる。自己免疫疾患の例はとしては、限定されないが、円形脱毛症、狼座、強直性脊椎炎、メニエール病、抗リン脂質抗体症候群、混合結合組織病、自己免疫性のアジソン病、自己免疫性溶血性貧血、重症筋無力症、自己免疫性肝炎、尋常性天疱瘡、ベーチェット病、悪性貧血、水疱性類天疱瘡、結節性多発関節炎、心筋症、多発性軟骨炎、セリアックスプルー皮膚炎、多腺性症候群、慢性疲労症候群(CFIDS)、リウマチ性多発生筋痛、慢性の炎症性の脱髄、多発性筋炎および皮膚筋炎、慢性炎症性多発性ニューロパシー、原発性無ガンマグロブリン血症、チャーグ−ストラウス症候群、原発性胆汁性肝硬変、瘢痕性類天疱瘡、乾癬、クレスト症候群、指虚血現象、寒冷凝集素症、ライター症候群、クローン病、リウマチ熱、円盤状ループス、多発性硬化症、関節リウマチ、本態性混合型クリオグロブリン血症、サルコイドーシス、線維筋痛、強皮症、グレーヴス病、シェーグレン症候群、ギランバレー、スティッフマン症候群、橋本甲状腺炎、高安動脈炎、特発性肺線維症、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、特発性血小板減少症紫斑(ITP)、潰瘍性大腸炎、IgA腎症、ブドウ膜炎、インスリン依存型糖尿病(I型)、糖尿病(II型)、血管炎、扁平苔癬、および尋常性白斑。
【0135】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患あるいは障害の処置、リスクの減少、あるいは、その発症を遅らせるための方法は、免疫抑制薬の投与をさらに含む。免疫抑制薬は、限定されないが、イムノフィリンに作用するグルココルチコイド、細胞分裂阻害薬、抗体、および医薬品を含んでいる。グルココルチコイドの例としては、コルチゾール、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベータメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルドロコルチゾン、デオキシコルチコステロン、およびアルドステロンが挙げられる。細胞分裂阻害薬の例としては、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、ニトロソ尿素、白金化合物などのナイトロジェンマスタード)と代謝拮抗薬(例えば、メトトレキサートなどの葉酸アナログ、アザチオプリンおよびメルカプトプリンなどのプリンアナログ、フルオロウラシル、タンパク合成阻害薬などのピリミジンアナログ)が挙げられる。記載された方法で使用される薬物の例としては、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、インターフェロン、オピオイド、TNF結合タンパク質、ミコフェノール酸塩、およびフィンゴリモドが挙げられる。本明細書に記載される方法におけるオートタキシン阻害剤を用いる同時投与に役立つ抗体の例としては以下が挙げられる:抗胸腺細胞グロブリンおよび1D09C3(アダリムマブ/D2E7(Humira;Trudexa)、アフェリモマブ、アフツズマブ/GA101(タイプII)、アレムツズマブ/キャンパス1H(MabCampath)、アポリズマブ/Hu1D10、アセリズマブ、アトリズマブ、バシリキシマブ(Simulect)、ベクツモマブ/IMMU−LL2、ベリムマブ(ベンリスタ、LymphoStat−B)、ベルチリムマブ、BL22/CAT−3888、ブレンツキシマブ/cAC10/SGN−35、ブリアキヌマブ/ABT−874、カナキヌマブ/ACZ885(Ilaris)、セルトリズマブペゴル/CDP870(Cimzia)、クレノリキシマブ、ダセツズマブ/SGN−40、ダクリズマブ(Zenapax)、エクリズマブ/5G1.1(Soliris)、エファリズマブ(Raptiva、以前は、Xanelim)、エプラツズマブ/hLL2/IMMU−102(Lymphocydeゥ)、フォントリズマブ、フレソリムマブ/GC−1008、ガリキシマブ/IDEC−114、ガビリモマブ/ABX−CBL、ゲムツズマブ、ゴリムマブ/CNTO148(Simponi)、HL2434P(IMMU−114)、イブリツモマブチウクセタン(MXDPTA)/IDEC Y2B8(Zevalin)、インフリキシマブ/キメラA2(cA2)(Remicade)、イノリモマブ/BT563、イノツズマブ、ケリキシマブ/IDEC CE9.1、レルデリムマブ/CAT−152、リンツズマブ/HuM195(Zamyl)、LMB−2、ロルボツズマブメルタンシン、ルミリキシマブ/IDEC−152、Lym−1(Oncolym)、MDX−060、メポリズマブ/SB−240563、メテリムマブ/CAT−192、モガムリズマブ/KW−0761/AMG−761、モキセツモマブシュードトクス/CAT−8015/HA22、ムロモナブ−CD3(オルソクローンOKT3)、ナタリズマブ(Tysabri、Antegren)、ネレリモマブ/CDP571、オクレリズマブ/PRO70769(タイプI)、オズリモマブ、オファツムマブ/2F2/HuMax−CD20(Arzerra)(タイプI)、オマリズマブ(Xolair)、オテリキシズマブ/TRX4、パスコリズマブ/SB240683、レスリズマブ/SCH55700(Cinquil)、リツキシマブ/キメラ2B8(IDEC−C2B8)(リツキサン,MabThera)(タイプI)ルプリズマブ(Antova)、SAR−3419、セクキヌマブ/AIN−457、SGN30、シプリズマブ/MEDI−507、テプリズマブ/MGA031/hOKT3γ1(Ala−Ala)、トシリズマブ(Actemra)、トシツモマブ(タイプII)、ウステキヌマブ/CNTO1275(Stelara)、ベドリズマブ/MNL−0002、ベルツズマブ/IMMU−106/hA20(タイプI)、ビジリズマブ(Nuvion)、ザノリムマブ/HuMax−CD4、ゾリモマブアリトクス/H65、アバタセプト/CTLA4−Ig/BMS−188667(Orencia)、ベラタセプト/LEA29Y、アタシセプト/BLyS/APRIL−Ig、エタネルセプト/TNFR−Ig(Enbrel)、ペグスネルセプト/ペグ化TNFR−Ig、アレファセプト(Amevive)、およびリロナセプト(Arcalyst)。免疫抑制性抗体は、補体依存性タンパク質とインターロイキンを標的とする抗体を含んでいる。
【0136】
血管新生
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるのは、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む被験体の血管新生の処置または予防のための方法である。血管新生は血管新生と摂取の血管新生を発芽させることを含んでいる。いくつかの例では、方法は、さらに血管形成阻害剤(例えばVEGF阻害剤、sorafenib sunitinib、pazopanib、everolimus、これらの組み合わせ)(bevacizumab)の投与を含む。
【0137】

オートタキシンは腫瘍の細胞運動、血管新生、増殖および攻撃性を増加させることを実証された。ATXは乳癌、腎癌、肝臓癌、神経膠芽腫、卵巣癌、および前立腺癌のような多くの腫瘍系譜でアップレギュレートされる。
【0138】
いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤で癌を処置する方法が本明細書で開示される。
【0139】
オートタキシンは、ヒトのメラノーマ細胞の調整培地から最初に隔離された転移促進酵素である。加えて、オートタキシンの過剰発現は、乳癌、腎癌、ホジキンリンパ腫、肝細胞癌、膵癌、および神経膠芽腫などの悪性腫瘍組織で頻繁に観察される。LPAはさらに細胞の運動性と侵襲性を増大させることにより腫瘍形成の原因となる。
【0140】
本明細書で使用されるように、用語「癌」は、制御されない方法で増殖し、場合によっては転移する傾向がある細胞の異常な成長を指す。癌のタイプとしては、限定されないが、固形腫瘍(膀胱腫瘍、腸腫瘍、脳腫瘍、乳腫瘍、子宮内膜腫瘍、心臓腫瘍、腎臓腫瘍、肺腫瘍、肝臓腫瘍、子宮腫瘍、リンパ組織腫瘍(リンパ腫)、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍、または他の内分泌器官(甲状腺)腫瘍、前立腺腫瘍、皮膚腫瘍(黒色腫または基底細胞癌)、または転移のあるまたは転移のない疾患の任意の段階の血液の腫瘍(白血病とリンパ腫など)が挙げられる。
【0141】
癌の非限定的な例は、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、異型、奇形腫様/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌(骨肉腫と悪性線維性組織球腫)、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、脳と脊髄の腫瘍、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、子宮頚部癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、類腱腫、胚芽腫、子宮内膜癌、上衣芽腫、脳室上衣細胞腫、食道癌、腫瘍のユーイング肉腫ファミリー、目癌、網膜芽細胞腫、胆嚢癌、胃の(胃)癌、消化管カルチノイド腫瘍、胃腸間質性腫瘍(GIST)、胃腸の間質細胞腫瘍、胚細胞性腫瘍、神経膠腫、ヘアリー・セル白血病、頭頚部癌、肝細胞性(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼球内黒色腫、島細胞腫(内分泌膵)、カポジ肉腫、腎癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリー・セル白血病、肝臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、バーキットリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、髄芽腫、髄様上皮腫、黒色腫、中皮腫、口腔癌、慢性骨髄性白血病、骨髄性白血病、多発性骨髄腫、上咽頭癌、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔癌、口腔咽頭癌、骨肉腫、骨の悪性線維性組織球症、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣の胚細胞性腫瘍、低悪性度卵巣腫瘍、膵癌、乳頭腫、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、中間体の分化の松果体実質腫瘍、松果体芽腫およびテント上方の原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、胸膜肺の芽細胞腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞(腎臓)癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃(胃)癌、テント上方の原始神経外胚葉性腫瘍、T細胞性リンパ腫、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、およびウィルムス腫瘍を含む。
【0142】
いくつかの実施形態において、オートタキシン阻害剤あるいはその薬学的に許容可能な塩は、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、黒色腫、頭頚部癌、腸癌(結腸直腸癌)、甲状腺癌、神経膠芽腫、濾胞性リンパ腫、腎癌、ホジキンリンパ腫、肝細胞癌、膵癌、あるいは黒色腫の処置で使用される。
【0143】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩は、骨転移の処置で使用される。
【0144】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩は、口腔癌、前立腺癌、直腸癌、非小細胞肺癌、口唇癌および口腔癌、肝臓癌、肺癌、肛門癌、腎癌、外陰癌、乳癌、口腔咽頭癌、鼻腔および副鼻腔癌、上咽頭癌、尿道癌、小腸癌、胆管癌、膀胱癌、卵巣癌、喉頭癌、下咽頭癌、胆嚢癌、結腸癌、結腸直腸癌、頭頚部癌、副甲状腺癌、陰茎癌、膣癌、甲状腺癌、膵癌、食道癌、ホジキンリンパ腫、白血病関連障害、菌状息肉腫、あるいは骨髄異形成症候群の処置で使用される。
【0145】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるオートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩は、非小細胞肺癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、あるいは頭頚部癌の処置で使用される。
【0146】
いくつかの実施形態において、オートタキシン阻害剤、あるいはその薬学的に許容可能な塩は、癌腫、腫瘍、新生物、リンパ腫、黒色腫、神経膠腫、肉腫。あるいは芽細胞腫の処置で使用される。
【0147】
いくつかの実施形態では、癌腫は以下からなる群から選択される:癌腫、腺癌、腺様嚢胞癌、腺扁平上皮癌、副腎皮質癌、高分化癌、扁平上皮癌、漿液性癌(serous carcinoma)、小細胞癌、侵襲性の扁平上皮癌、大細胞癌、膵膵島細胞癌、燕麦細胞癌、扁平上皮癌、未分化癌、疣状癌、腎細胞癌、乳頭状漿液性腺癌(papillary serous adenocarcinoma)、メルケル細胞癌、肝細胞癌、軟部組織癌、気管支腺癌、毛細管癌(capillary carcinoma)、バルトリン腺癌腫、基底細胞癌、癌肉腫、乳頭腫/癌腫、明細胞癌、類内膜腺癌、中皮の転移性癌、粘表皮癌、胆管細胞癌、日光角化症、嚢胞腺腫および肝腺腫症。
【0148】
いくつかの実施形態では、腫瘍は以下からなる群から選択される:星状細胞腫瘍、悪性中皮腫、卵巣の胚細胞性腫瘍、テント上方の原始神経外胚葉性腫瘍、ウィルムス腫瘍、下垂体腫瘍、性腺外の胚細胞性腫瘍、ガストリノーマ、胚細胞性腫瘍、栄養膜腫瘍、脳腫瘍、松果体およびテント上方の原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、ソマトスタチンを分泌する腫瘍、内胚葉洞腫瘍、カルチノイド、中央の大脳星細胞腫、グルカゴン産生腫瘍、肝腺腫、インスリノーマ、髄様上皮腫、形質細胞腫、ビポーマ、および褐色細胞腫。
【0149】
いくつかの実施形態では、新生物は以下からなる群から選択される:上皮内新生物、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、形質細胞新生物、上皮間扁平上皮細胞新生物、子宮内膜増殖症、限局性結節性過形成、血管内皮腫、リンパ脈管筋腫症、および悪性胸腺腫。
【0150】
いくつかの実施形態では、リンパ腫は以下からなる群から選択される:神経系リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症。
【0151】
いくつかの実施形態では、黒色腫は以下からなる群から選択される:末端黒子型黒色腫、表在拡大型黒色腫、ブドウ膜黒色腫、悪性黒子由来黒色腫、黒色腫、眼球内黒色腫、腺癌結節性黒色腫および血管腫。
【0152】
いくつかの実施形態では、肉腫は以下からなる群から選択される:腺腫、腺肉腫、軟骨肉腫、子宮内膜間質肉腫、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、肉腫、子宮肉腫、骨肉腫、および偽肉腫。
【0153】
いくつかの実施形態では、神経膠腫は以下からなる群から選択される:神経膠腫、脳幹神経膠腫、および、視床下部および視経路の神経膠腫。
【0154】
いくつかの実施形態では、芽細胞腫は以下からなる群から選択される:肺芽細胞腫、胸膜肺芽腫、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、髄芽腫、神経膠芽腫、および、血管芽腫(hemangiblastomas)。気道疾患
【0155】
オートタキシン阻害剤で処置することが可能な炎症性の疾病、疾患、および障害は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、および喘息などの肺性の炎症を含む気道疾患を含んでいる。COPDは主として2つの関連する疾患:慢性気管支炎と気腫で構成される。両方の疾患では、気道を通る、および肺から出る空気の流れの慢性的な妨害があり、妨害は一般に永続的かつ経時的に進行性である。
【0156】
喘息は、気管支の炎症と奇異性の狭小化を特徴とする肺の気道の慢性疾患である。喘息は、外因性ぜん息(アレルギー性喘息)、内因性ぜん息(非アレルギー性喘息)、混合型喘息(外因性と内因性のぜん息)、トルエンジイソシアネート、ポリ塩化ビニル、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、プリカト酸(plicatic acid)(ベイスギ木)、または白金もしくはニッケルなどの金属塩といった薬剤によって引き起こされる職業喘息、あるいは薬物喘息(アスピリン喘息または非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)によって引き起こされる喘息を含む))、運動誘発喘息、および、咳喘息を含むT細胞作用により媒介される喘息性の疾病を含む。いくつかの実施形態では、喘息は、T細胞機能により媒介されるアレルギー性または非アレルギー性の喘息性疾患である。
【0157】
いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤で喘息を処置する方法が本明細書で開示される。喘息の個体において、LPAを含む正常な修復メディエーターの放出は悪化するか、あるいは、修復メディエーターの作用は不適切に延長され、不適切な気道リモデリングを引き起こす。喘息で見られる再構築された気道の主要な構造の特徴は、網状板(気道上皮細胞の真下の基底膜のような構造)の肥厚化、筋線維芽細胞の数と活性の増加、平滑筋層の肥厚化、粘液腺の数と粘液分泌の増加、および、気道壁の全体での結合組織と毛細血管床の変質を備える。いくつかの実施形態では、オートタキシンおよび/またはLPAは、気道のこれらの構造変化に寄与する。いくつかの実施形態では、オートタキシンおよび/またはLPAは、喘息中の急性の気道過敏性に関与する。再構築された喘息気道の管腔は気道壁の濃厚化により狭くなり、それにより空気の流れが減少する。いくつかの実施形態では、LPAは長期的な構造のリモデリングと喘息気道の急性の過敏性の一因である。いくつかの実施形態では、LPAは、喘息の急性増悪期の主要な特徴である応答性亢進の一因である。
【0158】
いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤でCOPDを処置するか、予防する方法が本明細書で開示される。用語「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」は、慢性気管支炎、気腫、および閉塞性細気管支炎を含む肺疾患の群を指す。こうした疾患の中で最も一般的なものは慢性気管支炎と気腫である。COPDの人は慢性気管支炎または気腫のいずれかに罹っていることがあるが、こうした2つの疾患の症状の混じり合ったものを持つ人もいる。気腫は通常環境そのものによって、通常は、長期的な喫煙の結果として引き起こされる肺への損傷に起因するが、気腫も肺の中のα1−抗トリプシンの先天的な欠損によって引き起こされることもあり、この種の気腫は通常遺伝する。
【0159】
いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤で慢性気管支炎を処置する方法が本明細書で開示される。慢性気管支炎(CB)は通常は感染によって二次的に起こる1つ以上の気管支の炎症であり、少なくとも連続して2年間のあいだに少なくとも3か月間続く再発性の咳を伴って、気管支中の粘液の過剰な生成を特徴とする。CBは肺の主要な非喘息性の疾患である。たばこの煙、環境汚染、慢性感染症、および様々な遺伝的異常を含む様々な要因がCBを引き起こす。こうした要因のうち、たばこの煙が最も一般的である。肺の病理変化は以下を含む:(1)気管支中の粘液分泌腺の肥大および増殖、(2)杯細胞の増加、(3)繊毛の消失または損傷、および(4)慢性的な炎症性変化および末梢気道の狭窄。
【0160】
いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤で気腫を処置する方法が本明細書で開示される。気腫は、通常は長期的な喫煙によって引き起こされる肺の中の肺胞嚢への損傷に起因する肺の疾病である。この損傷は組織中の空気の病的な蓄積をもたらす。
【0161】
インビボでのLPAの投与は、気道過敏性、かゆみ−引っ掻き応答、好酸球と好中球の浸潤と活性化、血管リモデリング、および侵害受容性の屈筋応答を引き起こす。LPAはさらにマウスとラットのマスト細胞からのヒスタミン放出を引き起こす。急性アレルギー反応では、ヒスタミンは、平滑筋の収縮、血漿滲出、および粘液の生産などの様々な反応を引き起こす。漏出とその後の気道壁浮腫が気道過敏性の発症の一因であることから、血漿滲出は気道において重要である。いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤を用いる急性アレルギー反応による血漿滲出を減らす方法が本明細書で開示される。
【0162】
肥満
いくつかの実施形態では、オートタキシン阻害剤で肥満および/または糖尿病を処置する方法が本明細書で開示される。
【0163】
オートタキシンは、脂肪細胞によって放出されたlysoPLD活性の原因であり、LPA依存性の機構によって前脂肪細胞の成長に対してパラクリン調節を働かす。さらに、オートタキシンは、脂肪細胞の分化中に及び遺伝的肥満においてアップレギュレートされる。特定の例では、オートタキシンmRNAは、db/dbマウスから脂肪細胞においてアップレギュレートされ、これは、オートタキシンのアップレギュレーションが、重度の2型糖尿病の表現型および脂肪細胞インスリン耐性に関係することを示唆している。幾つかの例では、脂肪細胞中のオートタキシンのアップレギュレーションは、2型糖尿病と関連付けられる。
【0164】
本明細書で使用されるような「肥満」は、健康に対する副作用を有し、健康問題の増加いつながり得る程度まで過剰な体脂肪が蓄積した医学的状態を指す。幾つかの実施形態では、「肥満」は、合計体重の少なくとも5%の体重増加を指す。幾つかの実施形態では、本明細書には、オートタキシン阻害剤で閉経後肥満及び/又は内臓肥満を処置する方法が開示される。
【0165】
<代謝障害>
幾つかの実施形態において、本明細書には、代謝障害、および代謝障害に関連する疾病を処置する方法が開示され、該方法は、オートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。本明細書で使用されるように、「代謝障害」は、被験体の代謝の変化に起因する病態を指す。そのような障害は、グルコース恒常性及び/又はインスリン機能不全の変化に起因するものを含む。代謝障害は、限定されないが、メタボリック症候群、血糖値上昇、インスリン耐性、耐糖能障害、2型糖尿病、1型糖尿病、糖尿病前症、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、および肥満を含む。
【0166】
代謝障害は、相互に関連づけられ、結果として様々な系にわたる障害をもたらし得る。中心的な代謝障害に対処することによって、例えば、心臓血管疾患(例えば、虚血性心疾患、狭心症、心筋梗塞、うっ血性心不全、高血圧、異常なコレステロール値、深部静脈血栓症、および肺塞栓症を含む)、神経障害(例えば、脳卒中、異常感覚性大腿痛、片頭痛(特発性)、および頭蓋内圧亢進、鬱病および社会的烙印を含む)、リウマチ性疾患および整形外科的障害(例えば、痛風、移動困難(poor mobility)、変形性関節症、および腰痛を含む)、皮膚病(例えば、皮膚線条、黒色表皮腫、リンパ浮腫、蜂巣炎を含む)、胃腸病(例えば、胃食道逆流疾患(GERD)および胆石症(胆石)を含む)、呼吸器疾患(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸、肥満低換気症候群、喘息、および一般的な麻酔中に増大した合併症を含む)、泌尿器疾患および腎疾患(例えば、勃起障害、尿失禁、慢性腎不全、および性腺機能低下症を含む)を含む、患者における関連する疾病の重症度を低下させることができる。
【0167】
幾つかの実施形態において、本明細書には、代謝障害を処置する方法が記載される。幾つかの実施形態では、代謝障害の個体へのオートタキシン阻害剤の投与によって、限定されないが、血糖値の低下、血漿リゾフォスファチジン酸レベルの低下、インスリン感受性の改善、インスリン分泌の増加、耐糖能の改善、および脂肪組織拡張の減少を含む、様々な望ましい転帰がもたらされる。これらの転帰はいずれも、代謝障害の発症を処置する、遅らせる、または予防することができ、ここで、そのような代謝障害は、限定されないが、メタボリック症候群、血糖値上昇、インスリン耐性、耐糖能障害、2型糖尿病、1型糖尿病、糖尿病前症、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、および肥満を含む。
【0168】
幾つかの実施形態において、本明細書には、高脂肪食を与えられたマウスにおける空腹時血糖値を下げるためのオートタキシン阻害剤を投与する方法が記載される。高脂肪食を与えられたマウスは、本明細書に例証されるように、普通食を与えられたマウスより高い空腹時血糖値を有している。高脂肪食を与えられたマウスへのオートタキシン阻害剤の投与は、空腹時血糖値を低下させ、それによって、空腹時血糖値を、普通食与えられたマウスにおいて観察された血糖値に近づけることができた。
【0169】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、オートタキシン阻害剤を血糖値が上昇した被験体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、基礎代謝障害を処置するために使用される。幾つかの実施形態では、代謝障害は、血糖値を下げることによって処置される。幾つかの実施形態では、被験体は、体重過多または肥満である。幾つかの実施形態では、被験体は2型糖尿病を有する。幾つかの実施形態では、被験体は、非アルコール性脂肪肝疾患及び/又は非アルコール性脂肪性肝炎を有する。幾つかの実施形態では、被験体は代謝障害を有していない。幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、上昇した血糖値を下げることによって代謝障害の発症を遅らせるか又は予防する。
【0170】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、オートタキシン阻害剤を投与することによって個体における血漿リゾフォスファチジン酸レベルを低下させる工程を含む。幾つかの実施形態では、個体における血漿リゾフォスファチジン酸レベルは、対照に対して上昇される。幾つかの実施形態では、対照は代謝障害のない人である。幾つかの実施形態では、個体における上昇した血漿リゾフォスファチジン酸レベルは、代謝障害を進行させるリスクに寄与するか又はそれを増加させる。
【0171】
幾つかの実施形態において、本明細書には、対照に対して血漿リゾフォスファチジン酸レベルが上昇した被験体にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む方法が開示される。幾つかの実施形態において、本明細書には、インスリン感受性を改善する方法が開示され、該方法は、インスリンに対して感受性のある個体にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、インスリン耐性を有する被験体にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む方法が開示される。幾つかの実施形態において、本明細書には、個体においてインスリン分泌を改善するためにオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む方法が開示される。幾つかの実施形態において、本明細書には、耐糖能障害の個体において耐糖能を改善するためにオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む方法が開示される。幾つかの実施形態において、本明細書には、被験体において脂肪組織拡張を減少させる方法が開示され、該方法は、被験体にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、体重過多または肥満である被験体における代謝障害の処置のための方法が開示され、該方法は、被験体にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。
【0172】
<薬物誘発性高血糖症>
幾つかの実施形態において、本明細書には、被験体において薬物誘発性高血糖を処置する方法が開示され、該方法は、被験体にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。幾つかの実施形態では、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与は、薬物誘発性高血糖症の症状を処置、予防、または改善する。幾つかの実施形態では、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与は、血糖値を下げることによって薬物誘発性高血糖症の症状を処置、予防、または改善する。薬剤は、グルコース恒常性に影響を与え、結果として高血糖症をもたらしかねない。幾つかの実施形態では、高血糖症は、糖尿病の診断がない状態でも生じる。
未処置のままであれば、血糖値の上昇は、内科救急につながりかねない。症状は、限定されないが、疲労、脱力、息の果香(fruity odor of the breath)、錯乱、集中力欠如、息切れ、吐き気、嘔吐、乾燥皮膚、および皮膚の紅潮を含む。高血糖症への寄与に関係する一般的な薬物カテゴリーは、限定されないが、ガチフロキサシンを含むフルオロキノロンなどの抗生物質;プロプラノロール、メトプロロールまたはアテノロールなどのβ遮断薬;ヒドロクロロチアジドなどのチアジド、およびチアジド様利尿薬、およびチアジド様薬物(メトラゾン);オランザピンまたはクロザピンなどの第二世代抗精神薬(SGA)または「非定型抗精神病薬」;コルチコステロイド;シクロスポリン、シロリムスまたはタクロリムス(tarcrolimus)などの、カルシニューリン(calcinuerin)阻害剤;およびリトナビルなどのプロテアーゼ阻害剤を含む。
【0173】
<ストレス誘発性高血糖症>
幾つかの実施形態において、被験体においてストレス誘発性高血糖を処置する方法が開示され、該方法は、被験体にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含む。幾つかの実施形態では、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与は、ストレス誘発性高血糖症の発症を処置する、予防する、または遅らせる。幾つかの実施形態では、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与は、血糖値を下げることによってストレス誘発性高血糖症の発症を処置する、予防する、または遅らせる。ストレス誘発性高血糖症(SIH)は、急性の病気または損傷の間に生じる200mg/dLより高い血漿グルコース値の一時的な増加である。幾つかの実施形態では、高血糖症は、糖尿病の診断がない状態でも生じる。SIHは、グルコースクリアランスに対する(relative)過剰なグルコース産生から結果として生じる。SIHは、限定されないが、心筋梗塞、脳卒中、および外傷を含む疾病に関係している。SIHは、心筋梗塞後の患者における死亡率の増加およびうっ血性心不全および心臓性ショックのより高い発生率に関係している。グルコース値がSIHで増加するにつれ、脳卒中患者は、SIHに関係する死亡率がより高くなり、望ましい神経学的転帰の可能性が低下する。高血糖症はまた、肺炎、尿路感染症、創傷感染および細菌の形態での感染合併症の予測因子であることが示された。全体的に、公開された試験は、SIHを示す患者においてより高い罹患率およびより高い死亡率を一貫して示した。
【0174】
<眼内圧>
幾つかの実施形態において、本明細書には、被験体において緑内障に関係する上昇した眼内圧を処置する方法が開示され、該方法は、被験体へのオートタキシン阻害剤の投与を含む。
【0175】
緑内障は、失明の主要原因の1つであり、眼内圧(IOP)の上昇が特徴である。IOPは、緑内障を進行させる一次危険因子であり、緑内障を進行させるリスクは、IOPが低下されるときに減少する。眼圧低下療法は、緑内障処置の中心的治療である。IOPの上昇は、 線維柱帯経路を通る眼房水(AH)排出の縮小から結果として生じ、オートタキシン活性は、ヒトAHにおける豊富なタンパク質である。オートタキシンは、ヒトの線維柱帯網細胞によって分泌され、オートタキシン活性は、緑内障患者から著しく上昇される。小分子阻害剤の局所的な及び前房内の送達によるAH中のオートタキシン活性の阻害は、ウサギにおけるIOPの低下につながる。
【0176】
<神経障害性疼痛>
幾つかの実施形態において、本明細書には、オートタキシン阻害剤で神経障害性疼痛を処置する方法が開示される。
【0177】
LPAは、LPA1によって、神経障害性疼痛の他に、脱髄および疼痛関連のタンパク質発現の変化も誘発する。幾つかの例では、オートタキシンのヘテロ接合体ノックアウトマウスは、野生型マウスと比較して、神経損傷誘発性の神経障害性疼痛の約50%の回復を示す。リゾフォスファチジルコリン(LPC)は、神経障害性疼痛を誘発すると知られている。特定の例では、LPC誘発性の神経障害性疼痛は、オートタキシンのヘテロ接合体ノックアウトマウスにおいて部分的に低減される。
【0178】
神経障害性疼痛は、神経に対する損傷から結果として生じる。組織傷害によって引き起こされた即時の痛みとは対照的に、幾つかの実施形態では、神経障害性疼痛は、外傷の数日後または数か月後に進行する。さらに、神経障害性疼痛は、しばしば、永続的であるか又は慢性であり、自発的に又は通常は痛みを伴わない刺激の結果として生じ得る。
【0179】
<オートタキシン阻害剤化合物>
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される実施形態のいずれかにおける使用のために熟考されたオートタキシン阻害剤は、小分子阻害剤である。
【0180】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、以下の特性の1つ以上を有しているものとして特徴づけられる小分子阻害剤である:
− 多くても700の分子量;
− 活性を測定する適切なインビトロでのアッセイにおけるリゾフォスファチジン酸へのリソホスファチジルコリンのオートタキシン転換の(1ミクロモルで)少なくとも50%の阻害の能力
− オートタキシン活性の選択阻害
− トラフ値でオートタキシンの少なくとも50%の阻害を伴う治療上関連する用量でのヒトへの投与に適していること。
【0181】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、化合物Aの構造を有する:
【0182】
【化1】
【0183】
幾つかの実施形態では、化合物Aは遊離酸として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Aは薬学的に許容可能な塩として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Aはナトリウム塩として使用される。
【0184】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、化合物Bの構造を有する:
【0185】
【化2】
【0186】
幾つかの実施形態では、化合物Bは遊離酸として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Bは薬学的に許容可能な塩として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Bはナトリウム塩として使用される。
【0187】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、化合物Cの構造を有する:
【0188】
【化3】
【0189】
幾つかの実施形態では、化合物Cは遊離アミンとして使用される。幾つかの実施形態では、化合物Cは薬学的に許容可能な塩として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Cは塩酸塩として使用される。
【0190】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、化合物Dの構造を有する:
【0191】
【化4】
【0192】
幾つかの実施形態では、化合物Dは遊離アミンとして使用される。幾つかの実施形態では、化合物Dは薬学的に許容可能な塩として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Dは塩酸塩として使用される。
【0193】
追加のオートタキシン阻害剤は、以下の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を含む:
【0194】
【化5】
【0195】
幾つかの実施形態では、上記の化合物のいずれかの4−フルオロベンジル基は、4−クロロベンジル;3−クロロベンジル;3−フルオロベンジル;3,5−ジフルオロベンジル;2,4−ジフルオロベンジル;3、5−ジクロロベンジル;2−クロロピリジン−5−イルメチル;2−メトキシピリジン−5−イルメチル;2−トリフルオロメチルチアゾール−5−イルメチル;フェニルプロプ−3−イル;チエン−2−イルメチル;または5−クロロチエン−2−イルメチルと交換される。
【0196】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、化合物Eの構造を有する:
【0197】
【化6】
【0198】
幾つかの実施形態では、化合物Eは遊離酸として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Eは薬学的に許容可能な塩として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Eはナトリウム塩として使用される。
【0199】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、化合物Fの構造を有する:
【0200】
【化7】
【0201】
幾つかの実施形態では、化合物Fは遊離酸として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Fは薬学的に許容可能な塩として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Fはナトリウム塩として使用される。
【0202】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、化合物Gの構造を有する:
【0203】
【化8】
【0204】
幾つかの実施形態では、化合物Gは遊離酸として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Gは薬学的に許容可能な塩として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Gはナトリウム塩として使用される。
【0205】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、化合物Hの構造を有する:
【0206】
【化9】
【0207】
幾つかの実施形態では、化合物Hは遊離酸として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Hは薬学的に許容可能な塩として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Hはナトリウム塩として使用される。
【0208】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、化合物Iの構造を有する:
【0209】
【化10】
【0210】
幾つかの実施形態では、化合物Iは遊離酸として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Iは薬学的に許容可能な塩として使用される。幾つかの実施形態では、化合物Iはナトリウム塩として使用される。
【0211】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される実施形態のいずれかにおける使用のためのオートタキシン阻害剤は、WO/2015/077503として公開された、2014年11月20日に出願の国際特許出願番号PCT/US2014/066706に記載される化合物であり、これは、そのような化合物のための引用によって本明細書に組み込まれる。
【0212】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される実施形態のいずれかにおける使用のためのオートタキシン阻害剤は、WO/2015/077502として公開された、2014年11月20日に出願の国際特許出願番号PCT/US2014/066705に記載される化合物であり、これは、そのような化合物のための引用によって本明細書に組み込まれる。
【0213】
一態様では、オートタキシン阻害剤は、薬学的に許容可能な塩の形態である。同様に、同じタイプの活性を有するこれらの化合物の活性代謝産物は、本開示の範囲に含まれる。加えて、オートタキシン阻害剤は、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を有する溶媒和形態のみでなく、非溶媒和形態でも存在することができる。本明細書に提示される化合物の溶媒和形態もまた、本明細書で開示されるものとして考慮される。
【0214】
本明細書で使用されるような「薬学的に許容可能な」は、担体または希釈剤などの物質に言及し、これは、化合物の生物活性または特性を抑制せず、比較的無毒である、すなわち、この物質は、望ましくない生物学的効果を引き起こさずに、または物質が含まれる組成物のいかなる成分とも有害な方法では相互作用せずに、個体に投与可能される。
【0215】
用語「薬学的に許容可能な塩」は、適切なアニオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のカチオン形態、または代替的な実施形態では、適切なカチオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のアニオンの形態から成る治療上活性な薬剤の形態を指す。Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use. International Union of Pure and Applied Chemistry, Wiley−VCH 2002. S.M. Berge, L.D. Bighley, D.C. Monkhouse, J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1−19. P. H. Stahl and C. G. Wermuth, editors, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use, Weinheim/Zurich:Wiley−VCH/VHCA, 2002。薬学的な塩は、典型的に、より可溶性であり、非イオン種より胃液および腸液中ではより急速に可溶性であり、それ故、固体剤形に有用である。さらに、それらの溶解度がしばしばpHに影響されるため、消化管の1つの部分または別の部分における選択溶解が可能であり、この能力は、遅延放出性および徐放性の挙動の一態様として操作することができる。また、塩成形分子が中性形態と平衡状態となり得るため、生体膜を通る通路は調節することができる。
【0216】
幾つかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、オートタキシン阻害剤を酸と反応させることによって得られる。幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤(即ち遊離形態)は、塩基性であり、有機酸または無機酸と反応する。無機酸は、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、およびメタリン酸を含む。有機酸は、限定されないが、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸;2,2−ジクロロ酢酸;2−ヒドロキシエタンスルホン酸;2−オキソグルタール酸;4−アセトアミド安息香酸;4−アミノサリチル酸;酢酸;アジピン酸;アスコルビン酸(L);アスパラギン酸(L);ベンゼンスルホン酸;安息香酸;樟脳酸(+);カンフル−10−スルホン酸(+);カプリン酸(デカン酸);カプロン酸(ヘキサン酸);カプリル酸(オクタン酸);炭酸;珪皮酸;クエン酸;シクラミン酸;ドデシル硫酸;エタン−1,2−ジスルホン酸;エタンスルホン酸;ギ酸;フマル酸;ガラクタル酸;ゲンチシン酸;グルコヘプトン酸(D);グルコン酸(D);グルクロン酸(D);グルタミン酸;グルタル酸;グリセロリン酸;グリコール酸;馬尿酸;イソ酪酸;乳酸(DL);ラクトビオン酸;ラウリン酸;マレイン酸;リンゴ酸(−L);マロン酸;マンデル酸(DL);メタンスルホン酸;ナフタレン−1,5−ジスルホン酸;ナフタレン−2−スルホン酸;ニコチン酸;オレイン酸;シュウ酸;パルミチン酸;パモ酸;リン酸;プロピオン酸;ピログルタミン酸(L);サリチル酸;セバシン酸;ステアリン酸;コハク酸;硫酸;酒石酸(+L);チオシアン酸;トルエンスルフォン酸(p);およびウンデシレン酸を含む。
【0217】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、塩化物塩、硫酸塩、臭化物塩、メシル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩として調製される。幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は塩酸塩として調製される。
【0218】
幾つかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、オートタキシン阻害剤を基剤と反応させることによって得られる。幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、酸性であり、基剤と反応させられる。そのような状況では、オートタキシン阻害剤の酸性プロトンは、金属イオン、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、またはアルミニウムのイオンと交換される。幾つかの場合では、オートタキシン阻害剤は、限定されないが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メグルミン、N−メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの、有機塩基と調和する(coordinate with)。他の場合では、オートタキシン阻害剤は、限定されないが、アルギニン、リジンなどのアミノ酸と塩を形成する。酸性プロトンを含む化合物と塩を形成するために使用される許容可能な無機塩基は、限定されないが、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどを含む。幾つかの実施形態では、本明細書に提供される化合物は、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、N−メチルグルカミン塩またはアンモニウム塩として調製される。幾つかの実施形態では、本明細書に提供される化合物は、ナトリウム塩として調製される。
【0219】
薬学的に許容可能な塩に対する言及が、溶媒付加形態を含むことが理解されるべきである。幾つかの実施形態では、溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量のいずれかの溶媒を含み、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を用いた結晶化のプロセス中に形成される。溶媒が水であるときに水和物が形成されるか、あるいは溶媒がアルコールであるときにアルコラートが形成される。オートタキシン阻害剤の溶媒和物は、本明細書に記載されるプロセスの間に好適に調製または形成される。さらに、本明細書に提供される化合物は、随意に、溶媒和形態の他に、非溶媒和形態でも存在する。
【0220】
本明細書に記載される方法および製剤は、オートタキシン阻害剤のN−オキシド(適切であれば)、結晶形態(多形体としても知られる)、または薬学的に許容可能な塩の使用の他に、同じタイプの活性を有するこれら化合物の活性代謝産物の使用も含む。
【0221】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤の有機ラジカル(例えば、アルキル基、芳香環)上の部位は、様々な代謝反応に対して感受性である。有機ラジカル上の適切な置換基の取り込みは、この代謝経路を縮小するか、最小限にするか、または排除する。具体的な実施形態では、代謝反応に対する芳香環の感受性を減少させるか又は排除するための適切な置換基は、ほんの一例として、ハロゲン、重水素、アルキル基、ハロアルキル基、または重水素化アルキル基である。
【0222】
別の実施形態では、オートタキシン阻害剤は、(例えば放射性同位体で)同位体標識されるか、あるいは限定されないが、発色団または蛍光の部分、生物発光ラベル、または化学発光ラベルの使用を含む、別の他の手段によって標識される。
【0223】
1以上の原子が、通常自然で見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子に取って代わるという事実を別にすれば、オートタキシン阻害剤は、本明細書で提示される様々な式および構造で列挙されたものと同じ同位体標識された化合物を含む。本発明の化合物に取り込むことが出来る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、および塩素の同位体、例えば、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clが挙げられる。一態様では、同位体的標識されたオートタキシン阻害剤、例えば、Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれるオートタキシン阻害剤は、薬物及び/又は基質組織の分布アッセイに有用である。一態様では、重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボでの半減期の延長または必要用量の減少などの、より大きな代謝安定性に起因する特定の治療上の利点をもたらす。
【0224】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は1つ以上の立体中心を有し、各立体中心はRまたはSの構成のいずれかで独立して存在する。本明細書で提示される化合物は、すべてのジアステレオマー、エナンチオマー、アトロプ異性体、およびエピマーの形態の他に、それらの適切な混合物も含む。本明細書に提供される化合物および方法は、すべてのシス、トランス、アンチ、entgegen(E)、およびzusammen(Z)の異性体の他に、それらの適切な混合物も含む。
【0225】
望まれれば、立体選択合成及び/又はキラルクロマトグラフィーカラムによる立体異性体の分離などの方法によって、個々の立体異性体が得られる。特定の実施形態では、オートタキシン阻害剤は、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させて1対のジアステレオ異性体化合物/塩を形成し、ジアステレオマーを分離し、および光学的に純粋なエナンチオマーを回収することによって、それらの個々の立体異性体として調製される。幾つかの実施形態では、エナンチオマーの分割は、オートタキシン阻害剤の共有結合性のジアステレオマー誘導体を使用して実行される。別の実施形態では、ジアステレオマーは、溶解度の差に基づいて分離/分割の技術によって分離される。他の実施形態では、立体異性体の分離は、クロマトグラフィーによって又は形成するジアステレオマー塩および再結晶、またはクロマトグラフィーによる分離、またはそれらの組み合わせによって実行される。Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen,”Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981。幾つかの実施形態では、立体異性体は立体選択合成によって得られる。
【0226】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤はプロドラッグとして調製される。「プロドラッグ」は、インビボで親薬物へと転換される薬剤を指す。プロドラッグは、幾つかの状況において、親薬物よりも投与が容易であるため、しばしば有用である。それらは、例えば、経口投与によって生物学的に利用可能であるが、親薬物はそうではない。さらに又は代替的に、プロドラッグはまた、親薬物以上に医薬組成物において改善された溶解度を有する。幾つかの実施形態では、プロドラッグの設計によって、有効な水溶性が増大される。プロドラッグの限定しない例は、エステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、その後、活性物質(active entity)を提供するために代謝的に加水分解される、オートタキシン阻害剤である。プロドラッグのさらなる例は、ペプチドが代謝されて活性部分を明らかにする酸基に結合された、短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)である。特定の実施形態において、インビボでの投与で、プロドラッグは、化合物の生物学的に、薬学的に、または治療的に活性な形態へと化学的に変換される。特定の実施形態では、プロドラッグは、1つ以上の工程またはプロセスによって、化合物の、生物学的、薬学的または治療的に活性な形態へと酵素的に代謝される。
【0227】
オートタキシン阻害剤のプロドラッグは、限定されないが、エステル、エーテル、炭酸塩、チオ炭酸塩、N−アシル誘導体、N−アシルオキシアルキル誘導体、第三級アミンの第四級誘導体、N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基、アミノ酸抱合体、リン酸エステル、およびスルホン酸エステルを含む。例えば、Design of Prodrugs, Bundgaard, A. Ed., Elseview, 1985 and Method in Enzymology, Widder, K. et al., Ed.; Academic, 1985, vol. 42, p. 309−396; Bundgaard, H.”Design and Application of Prodrugs”in A Textbook of Drug Design and Development, Krosgaard−Larsen and H. Bundgaard, Ed., 1991, Chapter 5, p. 113−191; およびBundgaard, H., Advanced Drug Delivery Review, 1992, 8, 1−38を参照し、それら各々は引用によって本明細書に組み込まれる。幾つかの実施形態では、プロドラッグを形成するために、本明細書に開示される化合物中のヒドロキシル基が使用され、ここで、ヒドロキシル基は、アシルオキシアルキルエステル、アルコキシカルボニルオキシアルキルエステル、アルキルエステル、アリールエステル、リン酸エステル、糖エステル、エーテルなどに組み込まれる。幾つかの実施形態では、本明細書に開示される化合物中のヒドロキシル基は、プロドラッグであり、ここで、ヒドロキシルは、その後、インビボで代謝されてカルボン酸基を提供する。幾つかの実施形態では、カルボキシル基は、エステルまたはアミド(即ちプロドラッグ)を提供するために使用され、その後、インビボで代謝されてカルボン酸基を提供する。幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、アルキルエステルプロドラッグとして調製される。
【0228】
プロドラッグがインビボで代謝されて本明細書に明記されるようなオートタキシン阻害剤が生成される、本明細書に記載される化合物のプロドラッグ形態は、請求の範囲内に含まれる。幾つかの場合では、本明細書に記載される化合物の幾つかは、別の誘導体または活性化合物のためのプロドラッグである。
【0229】
追加の又はさらなる実施形態では、オートタキシン阻害剤は、必要とする有機体への投与で代謝され、代謝産物を生成し、これは、その後、望ましい治療効果を含む望ましい効果をもたらすために使用される。
【0230】
オートタキシン阻害剤の「代謝産物」は、化合物が代謝されるときに形成される化合物の誘導体である。用語「活性代謝産物」は、化合物が代謝されるときに形成される、化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。本明細書で使用されるような用語「代謝した(metabolized)」は、有機体によって特定の物質が変化するプロセス(限定されないが、加水分解反応および酵素によって触媒される反応を含む)の全体を指す。したがって、酵素は、化合物への具体的な構造的変化をもたらし得る。例えば、シトクロムP450は、様々な酸化反応および還元反応を触媒する一方で、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、および遊離スルフヒドリル基への活性化グルクロン酸分子の移動を触媒する。本明細書に開示される化合物の代謝産物は、随意に、宿主への化合物の投与および宿主からの組織サンプルの解析、または肝細胞を用いた化合物のインビトロでのインキュベーションおよびその結果生じる化合物の解析のいずれかによって特定され得る。
【0231】
<特定の用語>
他に明記のない限り、本出願で使用される以下の用語は、以下に与えられる定義を有する。用語「含む(including)」に加えて、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含んだ(included)」などの他の形態の使用は、限定しない。本明細書で使用されるセクションの表題は、構成上の目的のみにあり、記載される主題を限定すると解釈されるものではない。
【0232】
本明細書で使用されるような、製剤、組成物または成分に関する用語「許容可能な」は、処置されている被験体の健康状態に対して持続的な有害効果がないことを意味する。
【0233】
本明細書で使用されるような用語「調節する(modulate)」は、ほんの一例として、標的の活性を増強する、標的の活性を阻害する、標的の活性を制限する、または標的の活性を拡大することを含む、標的の活性を変更するように、直接的または間接的に標的と相互作用することを意味する。
【0234】
本明細書で使用されるような用語「モジュレーター」は、直接的または間接的に標的と相互作用する分子を指す。相互作用は、限定されないが、アゴニスト、部分アゴニスト、インバースアゴニスト、アンタゴニスト、ディグレーダー、またはそれらの組み合わせの相互作用を含む。幾つかの実施形態では、モジュレーターはアンタゴニストである。幾つかの実施形態では、モジュレーターはディグレーダーである。
【0235】
本明細書で使用されるような用語「投与する(administer)」、「投与する(administering)」、「投与(administration)」などは、生物学的作用の望ましい部位への化合物または組成物の送達を可能にするために使用され得る方法を指す。これらの方法は、限定されないが、経口経路、十二指腸内経路、非経口注入(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内、または点滴を含む)、局所投与、および直腸投与を含む。当業者は、本明細書に記載される化合物および方法を用いて利用され得る投与技術に精通している。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される化合物および組成物は、経口で投与される。
【0236】
用語「同時投与」などは、本明細書で使用されるように、1人の患者に対する選択された治療剤の投与を包含するように意図され、同じ又は異なる投与経路あるいは同じ又は異なる時間で薬剤が投与される処置レジメンを含むように意図されている。
【0237】
本明細書で使用されるような用語「有効な量」または「治療上効果的な量」は、処置されている疾患または疾病の症状の1つ以上をある程度まで軽減する、投与されている薬剤または化合物の十分な量を指す。その結果は、疾患の徴候、症状、または原因の減少及び/又は緩和、あるいは生体系の他の望ましい変更を含む。例えば、治療上の使用のための「有効な量」は、疾患症状を臨床的に有意に減少させるために必要とされる、本明細書に開示されるような化合物を含む組成物の量である。個々の場合での適切な「有効な」量は、用量漸増試験などの技術を使用して随意に決定される。
【0238】
本明細書で使用されるような用語「増強する(enhance)」または「増強する(enhancing)」は、効能または持続時間のいずれかにおいて望ましい結果を増大させる又は延長することを意味する。したがって、治療剤の効果を増強することに関して、用語「増強する」は、効能または持続時間のいずれかにおいて、系に対する他の治療剤の効果を増大させる又は延長する能力を指す。本明細書で使用されるような「増強する有効な量」は、望ましい系において別の治療剤の効果を増強するのに十分な量を指す。
【0239】
本明細書で使用されるような用語「医薬組成物(pharmaceutical combination)」は、1より多くの有効成分の混合または組み合わせから結果として生じる生成物を意味し、有効成分の固定した組み合わせ及び非固定の組み合わせの両方を含む。用語「固定した組み合わせ」は、有効成分、例えば本明細書にされる化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および助剤が、単一の実体または用量の形態で同時に患者に両方とも投与されることを意味する。用語「非固定の組み合わせ」は、有効成分、例えば、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩、および助剤が、具体的な干渉する時間制限なしで、同時に、同時発生的に又は連続して別々の物質として患者に投与され、ここで、そのような投与は、患者の身体に有効レベルの2つの化合物を提供する。後者はまた、カクテル療法、例えば3つ以上の有効成分の投与にも当てはまる。
【0240】
用語「キット」および「製品」は、同義語として使用される。
【0241】
用語「被験体」または「患者」は、哺乳動物を包含する。哺乳動物の例は、限定されないが、以下の哺乳動物の分類のメンバーを含む:ヒト、チンパンジーなどのヒト以外の霊長類、および他の類人猿並びにサル類;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜;ウサギ、イヌ、およびネコなどの飼育動物;ラット、マウスおよびモルモットなどの、げっ歯類を含む実験動物。一態様では、哺乳動物はヒトである。
【0242】
本明細書で使用されるような用語「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」または「処置(treatment)」は、予防的に及び/又は治療的に、疾患または疾病の少なくとも1つの症状を緩和、軽減、または改善すること、追加の症状を予防すること、疾患または疾病を阻害すること、例えば、疾患または疾病の進行を妨げること、疾患または疾病を軽減すること、疾患または疾病の退行を引き起こすこと、疾患または疾病によって引き起こされた状態を軽減すること、あるいは疾患または疾病の症状を止めることを含む。
【0243】
<オートタキシン阻害>
本明細書には、様々な態様において、オートタキシン活性の阻害または減少から恩恵を得る被験体における疾患、障害または疾病の予防または処置のための方法が提供され、該方法は、オートタキシン阻害剤を被験体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態では、本明細書には、必要としている被験体において血漿オートタキシン活性を減少させる方法が提供され、該方法は、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤をそれを必要としている被験体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態では、必要としている被験体は、オートタキシン活性に関連する疾患、疾患または疾病を患っている。疾患、疾患および疾病の限定しない例は、本明細書に記載される。
【0244】
幾つかの実施形態において、本明細書には、ヒトにおける1つ以上の疾病、疾患、及び/又は障害の処置のための方法が記載され、該方法は、オートタキシン阻害剤を投与する工程を含み、ここで、オートタキシン阻害剤は、トラフ値でオートタキシンの少なくとも50%の阻害を有する治療上関連する用量でのヒトへの投与に適している。
【0245】
幾つかの実施形態において、本明細書には、被験体における1つ以上の疾病、疾患、及び/又は障害の処置のための方法が記載され、該方法は、非競合的オートタキシンを投与する工程を含む。非競合的オートタキシン阻害剤の限定しない例は、化合物Aおよび化合物Bを含む。
【0246】
幾つかの実施形態において、本明細書には、被験体における1つ以上の疾病、疾患、及び/又は障害の処置のための方法が記載され、該方法は、被験体にオートタキシン阻害剤を投与する工程を含み、ここでオートタキシン阻害剤は、約100nM、50nM、40nM、30nM、20nMまたは10nM未満のインビトロでのオートタキシン阻害IC50を有する。幾つかの例では、インビトロでのオートタキシン阻害アッセイは、実施例に記載されたアッセイを含む。
【0247】
幾つかの実施形態において、本明細書には、被験体における1つ以上の疾病、疾患、及び/又は障害の処置のための方法が記載され、該方法は、オートタキシン阻害剤を投与する工程を含み、ここで、オートタキシン阻害剤は、ENPP1、ENPP3、ENPP6、及び/又はENPP7と比較して、オートタキシン活性を優先的に阻害する。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される処置の方法に有用なオートタキシン阻害剤は、そのような活性を測定するインビトロでのアッセイにおいて約10、20、または100μMを超えるENPP1、ENPP3、ENPP6、またはENPP7の阻害に対するIC50を有している。そのようなインビトロでのアッセイにおいて、化合物Aおよび化合物Bは、ENPP1、3、6、および7に対して10μMを超えるIC50を示した。
【0248】
幾つかの実施形態において、本明細書には、被験体における1つ以上の疾病、疾患、及び/又は障害の処置のための方法が記載され、該方法は、オートタキシン阻害剤を投与する工程を含み、ここで、オートタキシン阻害剤は、血漿に少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%結合される。
【0249】
幾つかの実施形態において、本明細書には、被験体における1つ以上の疾病、疾患、及び/又は障害の予防または処置のための方法が記載され、該方法は、オートタキシン阻害剤を投与する工程を含み、ここで、オートタキシン阻害剤は、急性または慢性の肝毒性を引き起こす。幾つかの実施形態では、肝毒性は、適切なインビボでのアッセイにおいて評価することができる。幾つかの実施形態では、肝毒性は、肝臓マーカーALT、ASTM、AlkPおよびビリルビンのレベルの増加をモニタリングすることによって評価される。例えば、適切なイヌの肝毒性試験では、化合物Aは望ましくない高い肝臓マーカーを示し、一方で化合物Bは同じ効果を示さなかった。幾つかの実施形態では、5日間100mpkで投薬されたときに化合物Bに関して、肝臓マーカーALT、ASTM、AlkPおよびビリルビンにおける増加は観察されなかった。
【0250】
<医薬組成物>
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は医薬組成物へと製剤される。医薬組成物は、薬学的に使用される調製物への活性化合物の処理を促進する1つ以上の薬学的に許容可能な不活性成分を使用して、従来の方法で製剤される。適切な製剤は、選択される投与の経路に左右される。本明細書に記載される医薬組成物の概要は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed(Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)で見られ、これらは、そのような開示のための引用によって本明細書に組み込まれる。
【0251】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、医薬組成物において、単独で、あるいは薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤と組み合わせて投与される。本明細書に記載されるオートタキシン阻害剤および組成物の投与は、作用の部位への化合物の送達を可能にする方法によって達成され得る。これらの方法は、限定されないが、腸内経路(経口、胃または十二指腸の栄養管、肛門坐剤および直腸の浣腸を含む)、非経口経路(動脈内、心臓内、皮内、十二指腸内、髄内、筋肉内、骨内、腹腔内、鞘内、血管内、静脈内、硝子体内、硬膜外および皮下を含む、注射または注入)、吸入、経皮、経粘膜、舌下、頬側、および局所(上皮、真皮、浣腸、点眼、点耳、鼻腔内、膣を含む)の投与を介した送達を含むが、最も適切な経路は、例えばレシピエントの疾病または障害に左右され得る。ほんの一例として、オートタキシン阻害剤は、例えば、手術中の局所注入、クリーム剤または軟膏剤などの局所適用、注射、カテーテル、または移植によって、処置を必要としている領域へと局所に投与され得る。投与はまた、罹患した組織または臓器の部位での直接注射によるものであり得る。
【0252】
幾つかの実施形態では、経口投与に適した医薬組成物は、予め決められた量の有効成分を各々含有しているカプセル剤、カシェ剤または錠剤などの個別単位として;粉末または顆粒として;水性液体または非水性液体中の溶液または懸濁液として;あるいは水中油型の液状エマルジョンまたは油中水型の液状エマルジョンとして提供される。幾つかの実施形態では、有効成分は、ボーラス(bolus)、舐剤またはペースト剤として提供される。
【0253】
経口で使用することができる医薬組成物は、錠剤、ゼラチンで作られた押し込み型カプセルの他に、ゼラチンで作られた柔軟な密閉カプセル、およびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤を含む。錠剤は、随意に1つ以上の副成分とともに、圧縮または成形によって作られ得る。圧縮錠剤は、随意に結合剤、不活性希釈剤、平滑剤、界面活性剤または分散剤と混合された、粉末または顆粒などの自由流動形態で有効成分を適切な機械において圧縮することによって調製され得る。湿製錠剤は、不活性な液体希釈剤と湿らされた粉末化合物の混合物を適切な機械において成形することによって作られ得る。幾つかの実施形態では、錠剤は、コーティングまたはスコア化され、その中に有効成分の遅延放出または制御放出を提供するように製剤される。経口投与のための製剤はすべて、このような投与に適した用量でなければならない。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又は滑石またはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および随意に安定剤と組み合わせて、有効成分を含有することができる。軟カプセルにおいて、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体のポリエチレングリコールなどの、適切な液体中に溶解または懸濁されてもよい。幾つかの実施形態では、安定剤が加えられる。ドラゼーコアには、適切なコーティングが提供される。この目的のために、濃縮した糖溶液が使用されてもよく、これは随意に、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。識別のために又は活性化合物の投与量の様々な組み合わせを特徴付けるために、染料または色素が錠剤またはドラゼーコーティングに加えられてもよい。
【0254】
幾つかの実施形態では、医薬組成物は、注入によって、例えば、ボーラス注入または持続注入によって非経口投与のために製剤される。注入のための製剤は、追加の防腐剤とともに、単位剤形に、例えば、アンプルまたは複数回投与用容器に提供されてもよい。医薬組成物は、油性または水性のビヒクル中で懸濁液、溶液またはエマルジョンなどの形態をとってもよく、懸濁化剤、安定化剤、及び/又は分散剤などの調合剤を含有してもよい。医薬組成物は、単位投与用また複数回投与用の容器、例えば密封したアンプルおよびバイアル中に提供されてもよく、使用の直前に、粉末形態、または滅菌した液体担体、例えば、生理食塩水または滅菌発熱性物質除去蒸留水の付加のみを必要とする冷凍乾燥(凍結乾燥)状態で保存されてもよい。即時の注射液および懸濁液は、前に記載された種類の滅菌した粉末、顆粒および錠剤から調製されてもよい。
【0255】
非経口投与のための医薬組成物は、製剤を、対象とするレシピエントの血液と等張にする、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬および溶質を含有し得る活性化合物の水性および非水性(油性)の滅菌した注射液;および懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の滅菌した懸濁液を含む。適切な親油性の溶媒またはビヒクルは、ごま油などの脂肪油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成の脂肪酸エステル、あるいはリポソームを含む。水性の注射懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘度を増大させる物質を含有してもよい。随意に、懸濁液はまた、高濃度の溶液の調製を可能にするために化合物の溶解度を増大させる適切な安定剤または薬剤を含有してもよい。
【0256】
医薬組成物はまた、デボー製剤として製剤されてもよい。そのような長時間作用型の製剤は、移植によって(例えば皮下または筋肉内)または筋肉内注入によって投与され得る。したがって、例えば、化合物は、適切なポリマー材料または疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤され得る。
【0257】
頬側または舌下の投与のために、医薬組成物は、従来の方法で製剤された、錠剤、ロゼンジ、トローチ、またはゲルの形態をとり得る。そのような医薬組成物は、スクロースおよびアカシアまたはトラガントなどの香味ベース(flavored basis)の有効成分を含んでもよい。
【0258】
医薬組成物はまた、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、または他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有している、坐剤または停留浣腸剤などの直腸組成物中に製剤されてもよい。
【0259】
医薬組成物は、局所に、即ち、非全身に投与されてもよい。これは、外部の表皮または頬腔への本発明のオートタキシン阻害剤の適用、および耳、目および鼻へのそのようなオートタキシン阻害剤の滴下を含み、その結果、化合物は、血流にそれほど入ることはない。対照的に、全身投与は、経口、静脈内、腹腔内、および筋肉内の投与を指す。
【0260】
局所投与に適した医薬組成物は、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤またはペースト剤などの、皮膚を通る炎症の部位への浸透に適した液体または半液体の調剤、および目、耳または鼻への投与に適した滴剤を含む。有効成分は、局所投与のために、製剤の0.001%乃至10%w/w、例えば、1%乃至2%w/wを含み得る。
【0261】
吸入による投与のための医薬組成物は、注入器、噴霧器で加圧したパック、またはエアロゾルスプレーを送達する他の好適な手段から好適に送達される。加圧したパックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体などの、適切な噴霧剤(propellant)を含んでもよい。加圧したエアロゾルの場合、投与単位は、計測された量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。代替的に、吸入またはガス注入による投与のために、薬剤は、乾燥粉末組成物、例えば、化合物とラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物の形態をとってもよい。乾燥粉末組成物は、粉末が吸入器または注入器の助けとともに投与され得る、単位剤形で、例えば、カプセル、カートリッジ、ゼラチン、またはブリスターパックで提供されてもよい。
【0262】
上に特に言及される成分に加えて、本明細書に記載されるオートタキシン阻害剤および組成物が、問題になっている製剤のタイプに関係している当該技術分野で慣行の他の薬剤を含んでもよいこと、例えば、経口投与に適した化合物および組成物が香味剤を含んでもよいことが理解されるべきである。
【0263】
<投薬の方法および処置レジメン>
一実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、オートタキシ活性の阻害または減少から恩恵を得る哺乳動物における疾患または疾病の処置のための薬剤の調製に使用される。そのような処置を必要としている哺乳動物において本明細書に記載される疾患または疾病のいずれかを処置するための方法は、少なくとも1つのオートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩、活性代謝産物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な溶媒和物を含む医薬組成物を、治療上有効な量で前記哺乳動物に投与する工程を含む。
【0264】
特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物を含有している医薬組成物は、予防的な及び/又は治療的な処置のために投与される。特定の治療用途において、医薬組成物は、既に疾患または疾病を患う患者に、その疾患または疾病の症状の少なくとも1つを治療するか、または少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で投与される。この使用に有効な量は、疾患または疾病の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、および薬物への反応、並びに処置を行う医師の判断に左右される。治療上有効な量は、限定されないが、用量漸増及び/又は用量範囲の臨床試験を含む方法によって随意に決定される。
【0265】
予防的な用途において、オートタキシン阻害剤を含有している組成物は、特定の疾患、障害または疾病にかかりやすい又はそのリスクのある患者に投与される。そのような量は、「予防的に有効な量または投与量」であると定義される。この使用では、正確な量も、患者の健康状態、体重などによって様々である。この使用のための有効な量は、患者に使用されるときに、疾患、障害または疾病の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬物に対する反応、並びに処置する医師の判断に左右される。一態様では、予防処置は、疾患または疾病の症状の再発を防ぐために、処置されている疾患の少なくとも1つの症状を以前に経験した及び現在寛解期にある哺乳動物に、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与する工程を含む。
【0266】
患者の状態が改善しない特定の実施形態では、患者の疾患または疾病の症状を寛解する、またはそうでなければ抑制または制限するために、医者の判断で、オートタキシン阻害剤の投与は、慢性的に、すなわち、患者の生涯を含む、長期間の間投与される。
【0267】
患者の状態が改善する特定の実施形態では、投与されている薬物の用量は、一定期間の間、一時的に減少されるか又は一時的に中断される(つまり、「休薬期間」)。具体的な実施形態では、休薬期間の長さは、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、またはそれ以上を含む、2日から1年の間である。休薬期間中の用量減少は、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%を含む、10%−100%である。
【0268】
患者の状態が改善すると、必要に応じて、維持量が投与される。続いて、具体的な実施形態では、投与の用量または頻度、あるいはその両方は、症状に応じて、改善された疾患、障害または疾病が保持されるレベルまで減少される。しかしながら、特定の実施形態では、患者は、症状の再発で長期間にわたって間欠処置を必要とする。
【0269】
そのような量に相当する与えられた薬剤の量は、特定のオートタキシン阻害剤、疾患状態およびその重症度、処置を必要としている被験体または宿主のアイデンティティー(例えば、体重、性別)などの要因に依存して変わるが、それでも、例えば、投与されている具体的な薬剤、投与経路、処置されている疾病、および処置されている被験体または宿主を含む、その事例を取り巻く特定の状況にしたがって決定される。
【0270】
しかしながら、一般に、成人のヒトの処置に利用される投与量は、典型的に1日当たり0.01mg−5000mgの範囲にある。一態様では、成人のヒトの処置に利用される投与量は、1日当たり約1mg乃至約1000mgである。一実施形態では、望ましい投与量は、単回投与で、あるいは同時に又は適切な間隔で投与される分割量で、例えば、1日当たり2、3、4回またはそれ以上のサブ用量として好適に提供される。
【0271】
一実施形態では、オートタキシン阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩に適切な毎日の投与量は、体重当たり約0.01乃至約50mg/kgである。幾つかの実施形態では、剤形中の有効成分(active)の毎日の投与量または量は、個々の処置レジメンに関する多くの変数に基づいて、本明細書に示される範囲より小さいか又は大きい。様々な実施形態では、毎日の投与量および単位用量は、限定されないが、使用されるオートタキシン阻害剤の活性、処置される疾患または疾病、投与の様式、個々の被験体の要件、処置されている疾患または疾病の重症度、および医師の判断を含む、多くの変数に依存して変更される。
【0272】
そのような治療レジメンの毒性および治療効果は、限定されないが、LD50およびED50の判定を含む、細胞培養物または実験動物中の標準の製薬手順によって判定される。毒性と治療効果との間の用量比は治療指数であり、これは、LD50とED50との間の比率として表わされる。特定の実施形態では、細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトを含む哺乳動物における使用のための、治療上有効な毎日の投与量範囲及び/又は治療上有効な単位用量を公式化する(formulating)ことに使用される。幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤の毎日の投与量は、最小限の毒性を有するED50を含む血中濃度の範囲内にある。特定の実施形態では、毎日の投与量範囲及び/又は単位用量は、使用される剤形および利用される投与経路によって、この範囲内で様々である。
【0273】
前述の態様のいずれかにおいて、有効な量のオートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩が、(a)哺乳動物の全身に投与される;及び/又は(b)哺乳動物に経口で投与される;及び/又は(c)哺乳動物に静脈内投与される;及び/又は(d)哺乳動物に注射によって投与される、及び/又は(e)哺乳動物の局所に投与される、及び/又は(f)哺乳動物に非全身に又は局所に投与される、さらなる実施形態がある。
【0274】
前述の態様のいずれかにおいて、(i)オートタキシン阻害剤が1日1回投与される、または(ii)オートタキシン阻害剤が、1日にわたって哺乳動物に複数回投与される、さらなる実施形態を含む、有効な量のオートタキシン阻害剤の単回投与を含むさらなる実施形態がある。
【0275】
前述の態様のいずれかにおいて、(i)オートタキシン阻害剤が、継続的または断続的に投与される;単回投与として;(ii)複数回投与の間隔が6時間ごとであり;(iii)オートタキシン阻害剤が8時間ごとに哺乳動物に投与される;(iv)オートタキシン阻害剤が12時間毎に哺乳動物に投与される;(v)オートタキシン阻害剤が24時間毎に哺乳動物に投与される、さらなる実施形態を含む、有効な量のオートタキシン阻害剤の複数回投与を含むさらなる実施形態がある。さらなる又は代替的な実施形態では、方法は休薬期間を含み、ここで、オートタキシン阻害剤の投与は一時的に中断されるか、または投与されているオートタキシン阻害剤の量は一時的に減少され、休薬期間の終わりに、オートタキシン阻害剤の投薬が再開される。一実施形態では、休薬期間の長さは、2日から1年の間で様々である。
【0276】
幾つかの実施形態では、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤の投与は、肝胆道損傷を引き起こさない。幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤の投与は、1つ以上の肝臓タンパク質の血清レベルの増加を引き起こさないか、またはその有意な増加を引き起こさない。肝臓タンパク質は、限定することなく、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(ASTM)、ビリルビン、およびアルカリフォスファターゼ(ALP)を含む。一例として、有意な増加は、オートタキシン阻害剤の投与前の血清タンパク質レベルと比較した、予防的または治療的な量のオートタキシン阻害剤の投与後の少なくとも50%、100%、200%、またはそれ以上の血清タンパク質レベルの増加である。投与後の肝酵素の測定は、治療レジメンの完了後の肝酵素の測定を含む。投与後の肝酵素の測定は、治療レジメンの間の肝酵素の測定を含む。
【0277】
幾つかの実施形態では、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤の投与は、投与前の血清ASTMレベルと比較して、血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(ASTM)のレベルの上昇を引き起こさない。幾つかの実施形態では、治療上有効な量のオートタキシン阻害剤の投与は、投与前の血清ASTMレベルと比較して、血清ASTMレベルの10倍、5倍、3倍、または2倍未満の増加を引き起こす。幾つかの実施形態では、被験体への治療上有効な量のオートタキシン阻害剤の投与後に、被験体の血清ASTMレベルは、約8から約200U/Lの間に、約8から100U/Lの間、約8から80U/Lの間、または約8から60U/Lの間である。
【0278】
幾つかの実施形態では、被験体への治療上有効な量のオートタキシン阻害剤の投与は、投与前のビリルビンのレベルと比較して、被験体におけるビリルビンのレベルの上昇を引き起こさない。幾つかの実施形態では、ビリルビンのレベルは、オートタキシン阻害剤の最初の投与後、1日以上、数週間、数か月、または数年以内に有意に増加しない。有意な増加は、オートタキシン阻害剤の投与後のビリルビンのレベルの少なくとも2倍、3倍、4倍、または5倍の増加を含む。
【0279】
幾つかの実施形態では、被験体への治療上有効な量のオートタキシン阻害剤の投与は、投与前のALPレベルと比較して、被験体におけるアルカリフォスファターゼ(ALP)のレベルの上昇を引き起こさない。幾つかの実施形態では、ALPレベルは、オートタキシン阻害剤の最初の投与後、1日以上、数週間、数か月、または数年以内に有意に増加しない。有意な増加は、オートタキシン阻害剤の投与後のALPのレベルの少なくとも2倍、3倍、4倍、または5倍の増加を含む。
【0280】
幾つかの実施形態では、被験体への治療上有効な量のオートタキシン阻害剤の投与は、投与前の胆汁染色と比較して、被験体からの肝臓サンプル中の胆汁染色の増加を引き起こさない。幾つかの実施形態では、胆汁染色は、ATX阻害剤の最初の投与後、1日以上、数週間、数か月、または数年以内に有意に増加しない。
【0281】
幾つかの実施形態では、被験体への治療上有効な量のオートタキシン阻害剤の投与後に、無毒性量(NOAEL)は、体重の1キログラム当たりオートタキシン阻害剤の少なくとも1、10、20、50、100、500、または1000ミリグラム(mpk)である。幾つかの例では、オートタキシン阻害剤を投与されたラットに対する7日間のNOAELは、少なくとも約200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500または2000mpkである。幾つかの例では、オートタキシン阻害剤を投与されたイヌに対する7日間のNOAELは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、500mpkである。幾つかの例では、オートタキシン阻害剤を投与されたイヌに対する5日間のNOAELは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、500mpkである。
【0282】
<併用療法>
特定の例では、1つ以上の他の治療剤と組み合わせて、少なくとも1つのオートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩を投与することが適切である。実施形態では、医薬組成物はさらに、1つ以上の抗癌剤を含む。
【0283】
一実施形態では、オートタキシン阻害剤の1つの治療有効性は、アジュバントの投与によって増強される(つまり、アジュバント単独では最小の治療効果しか有さないが、別の治療剤と組み合わせると患者に対する全体的な治療効果が増強される)。あるいは、幾つかの実施形態では、患者が受ける効果は、オートタキシン阻害剤の1つを、さらに治療効果を有する別の薬剤とともに投与すること(これは治療レジメンも含む)によって増大される。
【0284】
1つの具体的な実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、第2治療剤と同時投与され、ここで、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩、および第2の治療剤は、処置されている疾患、障害または疾病の異なる態様を調節し、それによって、治療剤単独の投与より大きな全体的な効果がもたらされる。
【0285】
あらゆる場合において、処置されている疾患、障害または疾病にかかわらず、患者が受ける全体的な効果は、単に2つの治療剤の追加であるか、または患者は相乗効果を受ける。
【0286】
特定の実施形態では、オートタキシン阻害剤の異なる治療上有効な投与量は、オートタキシン阻害剤が、追加の治療上有効な薬物、アジュバントなどの、1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて投与されるときに、医薬組成物の製剤及び/又は処置レジメンに利用される。併用療法レジメンでの使用のための薬物および他の薬剤の治療上有効な投与量は、随意に、有効成分(actives)自体に対して上に明記された手段に類似した手段によって決定される。さらに、本明細書に記載される予防/処置の方法は、メトロノミック投与の使用を包含する、つまり、毒性の副作用を最小限に抑えるために、より頻繁に、より少ない投与量を提供する。幾つかの実施形態では、併用療法レジメンは、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩の投与が、本明細書に記載される第2の薬剤での処置の前に、間に、または後に始められ、第2の薬剤での処置の間のあらゆる時点または第2の薬剤での処置の終了後まで継続する処置レジメンを包含する。それはまた、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩、および併用して使用されている第2の薬剤が、同時に又は様々な時間に及び/又は処置期間の間の減少する又は増加する間隔で投与される処置を含む。併用療法はさらに、患者の臨床管理を助けるために様々な時点で開始および停止する定期的処置も含む。
【0287】
軽減が求められる疾病を処置、予防、または改善する投与レジメンが、様々な要因(例えば、被験体が患う疾患、障害または疾病;被験体の年齢、体重、性別、食事、および病状)に従って変更されることが理解される。したがって、幾つかの例では、実際に利用される投与レジメンは様々であり、幾つかの実施形態では、本明細書に明記される投与レジメンから逸脱する。
【0288】
本明細書に記載される併用療法のために、同時投与される化合物の用量は、利用される共薬のタイプ、利用される具体的な薬物、処置されている疾患または疾病などによって様々である。さらなる実施形態では、オートタキシン阻害剤は、1つ以上の他の治療剤と同時投与されたときに、1つ以上の他の治療剤と同時に、または連続してのいずれかで投与される。
【0289】
併用療法では、複数の治療剤(そのうちの1つは、オートタキシン阻害剤の1つである)は、任意の順で又は同時でも投与される。投与が同時の場合、複数の治療剤は、ほんの一例として、単一の、一体となった形態で、または複数の形態で(例えば、単一の丸剤、または2つの別個の丸剤として)提供される。
【0290】
併用療法とともに、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、疾患または疾病の発症の前、間または後に投与され、オートタキシン阻害剤を含有している医薬組成物を投与するタイミングは様々である。したがって、一実施形態では、オートタキシン阻害剤は、疾患または疾病の発症を防ぐために、予防薬として使用され、疾患または疾病を進行させる傾向のある被験体に継続的に投与される。別の実施形態では、オートタキシン阻害剤および組成物は、症状の発症の間に又はその後できるだけすぐに被験体に投与される。具体的な実施形態では、オートタキシン阻害剤は、疾患または疾病の発症が検知された又は疑われた後に実用可能となってすぐに、および疾患の処置に必要な期間の間、投与される。幾つかの実施形態では、処置に必要な期間は様々であり、処置期間は、各被験体の具体的な必要性に合わせて調節される。例えば、具体的な実施形態では、オートタキシン阻害剤または該オートタキシン阻害剤を含有している製剤は、少なくとも2週間、約1か月から約5年間投与される。
【0291】
<併用療法での使用のための典型的な薬剤>
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、化学療法、ホルモン阻害療法、放射線療法、モノクローナル抗体、またはそれらの組み合わせと併用して投与される。
【0292】
特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、オートタキシン阻害剤として同時に投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、オートタキシン阻害剤ほど頻繁には投与されない。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、オートタキシン阻害剤より頻繁に投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、オートタキシン阻害剤の投与前に投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、オートタキシン阻害剤の投与後に投与される。
【0293】
ホルモン阻害療法は、エストロゲンの産生を遮断するか、またはエストロゲン受容体を遮断する薬剤の使用を含む。幾つかの実施形態では、ホルモン阻害療法は、エストロゲン受容体モジュレーター及び/又はアロマターゼ阻害剤の使用を含む。エストロゲン受容体モジュレーターは、トリフェニルエチレン誘導体(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、ドロロキシフェン、3−ヒドロキシタモキシフェン、イドキシフェン、TAT−59(4−ヒドロキシタモキシフェンのリン酸化誘導体)およびGW5638(タモキシフェンのカルボン酸誘導体));非ステロイド性エストロゲン受容体モジュレーター(例えば、ラロキシフェン、LY353381(SERM3)およびLY357489);ステロイド性エストロゲン受容体モジュレーター(例えばICI−182,780)を含む。アロマターゼ阻害剤は、ステロイド性アロマターゼ阻害剤および非ステロイド性アロマターゼ阻害剤を含む。ステロイド性アロマターゼ阻害剤は、限定されないが、エキセメスタンなどを含む。非ステロイド性アロマターゼ阻害剤は、限定されないが、アナストロゾール、およびレトロゾールなどを含む。
【0294】
化学療法は、抗癌剤の使用を含む。
【0295】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩との併用での使用のための抗癌剤は、以下の1つ以上を含む:アビラテロン;アバレリックス;アブラキサン、アドリアマイシン;アクチノマイシン;アシビシン;アクラルビシン;アコダゾール塩酸塩;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アレムツズマブ;アロプリノール;アリトレチノイン;アルトレタミン;アメタントロンアセタート;アミノグルテチミド;アミノレブリン酸;アミホスチン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アプレピタント;三酸化ヒ素;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテーパ;アズトマイシン;バチマスタット;ベンダムスチン塩酸塩;ベンゾデパ;ベバシズマブ;ベキサロテン;ビカルタミド;ビサントレン塩酸塩(bisantrene hydrochloride);ビアンサフィドジメシレート(bisnafide dimesylate);ビセレシン;ブレオマイシン;ブレオマイシン硫酸塩;ボルテゾミブ;ブレキナーナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベティマー;カルボプラチン;カルムスチン;カルビシン塩酸塩;カルゼルシン;カペシタビン;セデフィンガル;セツキシマブ;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クロファラビン;クリスナトールメシレート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダサチニブ;ダウノルビシン塩酸塩;ダクチノマイシン;ダルベポエチンアルファ;デシタビン;デガレリクス;デニロイキンジフチトクス;デクソロマプラチン;デクスラゾキサン塩酸塩;デザグアミン;デザグアミンメシレート;ジアジコン;ドセタキセル、ドキソルビシン;ドキソルビシン塩酸塩;ドロロキシフェン;ドロロキシフェンクエン酸塩;プロピオン酸ドロモスタノロン;ドゥアゾマイシン;エダトレキセート;エフロルニチン塩酸塩;エルサミトルシン;エルトロンボパグオラミン;エンロプラチン;エンプロメイト;エピプロピジン;エピルビシン塩酸塩;エポエチンアルファ;エルブロゾール;エルロチニブ塩酸塩;エソルビシン塩酸塩;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;エベロリムス;エキセメスタン;ファドロゾール塩酸塩;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロオシタビン;フォスクィダン;フォストリエシンナトリウム;フルベストラント;ゲフィチニブ;ゲムシタビン;ゲムシタビン塩酸塩;ゲムシタビン/シスプラチン;ゲムツズマブオゾガマイシン;ゴセレリン酢酸塩;ヒストレリン酢酸塩;ヒドロキシ尿素;イダルビシン塩酸塩;イホスファミド;イイモホシン(iimofosine);イブリツモマブチウクセタン;イダルビシン;イホスファミド;イマチニブメシル酸塩;イミキモド;インターロイキンII(組み換えインターロイキンII、またはrlL2を含む)、インターフェロンアルファ−2a;インターフェロンアルファ−2b;インターフェロンアルファ−n1;インターフェロンアルファ−n3;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンガンマ−1b;イプロプラチン;イリノテカン塩酸塩;イキサベピロン;ランレオチドアセタート;ラパチニブ;レナリドミド;レトロゾール;レウプロリドアセタート;ロイコボリンカルシウム;レウプロリドアセタート;レバミソール;リポソーマルシタラビン;リアロゾール塩酸塩;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;ロソキサントロン塩酸塩;マソプロコール;メイタンシン;メクロレタミン塩酸塩;メゲストロールアセテート;メレンゲスロロールアセテート;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトキサレン;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;マイトジリン;ミトマルシン;マイトマイシンC;ミトスペル;ミトタン;ミトザントロン塩酸塩;ミコフェノール酸;ナンドロロンフェンプロピオネート;ネララビン;ニロチニブ;ノコダゾイ;ノフェツモマブ(nofetumomab);ノガラマイシン;オファツムマブ;オプレルベキン、オルマプラチン;オキサリプラチン;オキシスラン(oxisuran);パクリタキセル;パリフェルミン;パロノセトロン塩酸塩;パミドロネート;ペグフィルグラスチム;ペメトレキセドジナトリウム;ペントスタチン;パニツムマブ;パゾパニブ塩酸塩;ペメトレキセドジナトリウム;プレリキサホル;プララトレキサート;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタマスチン;ペプロマイシン硫酸塩;ペルフォスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;ピロクサントロン塩酸塩;プリカマイシン;プロメスタン;ポマリドマイド、ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニマスチン;プロカルバジン塩酸塩;プロマイシン;ピューロマイシン塩酸塩;ピラゾフリン;キナクリン;ラロキシフェン塩酸塩;ラスブリカーゼ、組み換えHPV二価ワクチン;組み換えHPV四価ワクチン;リボプリン;ログレチミド;リツキシマブ;ロミデプシン;ロミプロスチム;サフィンガル;サフィンガル塩酸塩;サルグラモスチム;セムスチン;シムトラゼーネ;シプロイセル−T;ソラフェニブ;スパルフォスエートナトリウム;スパルソマイシン;スピロゲルマニウム塩酸塩;スピロマスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェナール;リンゴ酸スニチニブ;タリソマイシン;クエン酸タモキシフェン;テコガランナトリウム;テガフール;トレクサトロン塩酸塩;テモゾロミド;テモポルフィン;テムシロリムス;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;サリドマイド;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;トポテカン塩酸塩;トレミフェン;トシツモマブおよびI131ヨウ素トシツモマブ;トラスツズマブ;トレストロン酢酸塩;トレチノイン;リン酸トリシビリン;トリメトレキサート;トリメトレキサートグルクロン酸塩;トリプトレリン;ツブロゾール塩酸塩;ウラシルマスタード;ウレデパ;バルルビシン;バプレオチド;ベルテポルフィン;ビンブラスチン;ビンブラスチン硫酸塩;ビンクリスチン硫酸塩;ビンデシン;ビンデシン硫酸塩;ビネピジン硫酸塩;ビングリシネート硫酸塩;ビンレウロジン硫酸塩;ビノレルビン酒石酸塩;ビンロシジン硫酸塩;ビンゾキジン硫酸塩;ボリノスタット;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン(zinostatin);ゾレドロン酸;およびゾルビシン塩酸塩。
【0296】
モノクローナル抗体は、限定されないが、トラスツズマブ(ハーセプチン)およびリツキシマブ(リツキサン)を含む。
【0297】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの追加の化学療法薬は、ほんの一例として、アレムツズマブ、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ(ペグ化または非ペグ化)、ベバシズマブ、セツキシマブ、シスプラチン、クラドリビン、ダウノルビシン/ドキソルビシン/イダルビシン、イリノテカン、フルダラビン、5−フルオロウラシル、ゲムツズマブ、メトトレキサート、タキソール、テモゾロミド、チオグアニン、またはホルモンを含む薬物のクラス(抗エストロゲン、抗アンドロゲン、または性腺刺激ホルモン放出ホルモンアナログ)などの、白金ベースの化合物、アルファインターフェロンなどのインターフェロン、ブスルファン、メルファランまたはメクロレタミンなどのナイトロジェンマスタード、トレチノインなどのレチノイド、イリノテカンまたはトポテカンなどのトポイソメラーゼ阻害剤、ゲフィチニブ(gefinitinib)またはイマチニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤、あるいはアロプリノール、フィルグラスチム、グラニセトロン/オンダンセトロン/パロノセトロン、ドロナビノールを含む、そのような治療によって引き起こされた徴候または症状を処置するための薬剤から選択される。
【0298】
一態様では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、1つ以上の抗癌剤と組み合わせて投与または製剤される。幾つかの実施形態では、1つ以上の抗癌剤は、アポトーシス促進剤である。抗癌剤の例としては、限定されないが、以下のいずれかが挙げられる:ゴシポール、ゲナセンス、ポリフェノールE、クロロフシン(Chlorofusin)、オールトランス型レチノイン酸(ATRA)、ブリオスタチン、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発リガンド(TRAIL)、5−アザ−2’−デオキシシチジン、オールトランス型レチノイン酸、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、ゲムシタビン、イマチニブ、ゲルダナマイシン、17−N−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)、フラボピリドール、LY294002、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、トラスツズマブ、BAY 11−7082、PKC412、またはPD184352、パクリタキセル、およびパクリタキセルのアナログ。共通の構造特徴として塩基性タキサン骨格を有する化合物も、安定した微小管が原因でG2−M相中で細胞を阻止する能力を有すると示され、これは、随意に、オートタキシン阻害剤と組み合わせて癌を処置するのに有用である。
【0299】
オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩との併用での使用のための抗癌剤のさらなる例は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼシグナル伝達の阻害剤、例えば、U0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY−142886、SB239063、SP600125、BAY 43−9006、ウォルトマンニン、またはLY294002;Syk阻害剤;mTOR阻害剤;アクチビン阻害剤、PKM2阻害剤、c−fms阻害剤およびヒストンデアセチラーゼ阻害剤を含む。オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩との併用での使用のための抗癌剤のさらなる例は、アロマターゼ阻害剤を含む。アロマターゼ阻害剤は、ステロイド性アロマターゼ阻害剤および非ステロイド性アロマターゼ阻害剤を含む。ステロイド性アロマターゼ阻害剤は、限定されないが、エキセメスタンを含む。非ステロイド性アロマターゼ阻害剤は、限定されないが、アナストロゾール、およびレトロゾールを含む。
【0300】
オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩との併用での使用のためのさらに他の抗癌剤は、アルキル化剤、代謝拮抗薬、天然物、またはホルモン、例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブチルなど)、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチンなど)、またはトリアゼン(ダカルバジン(decarbazine)など)を含む。代謝拮抗薬の例としては、限定されないが、葉酸アナログ(例えば、メトトレキサート)、またはピリミジンアナログ(例えば、シタラビン)、プリンアナログ(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)が挙げられる。
【0301】
オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩との併用での使用のための天然物の例としては、限定されないが、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド)、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン)、酵素(例えば、L−アスパラギナーゼ)、または生物学的応答修飾物質(例えば、インターフェロンアルファ)が挙げられる。
【0302】
オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩との併用での使用のためのアルキル化剤の例としては、限定されないが、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブチル、メルファランなど)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシンなど)、またはトリアゼン(ダカルバジンなど)が挙げられる。
【0303】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、以下と組み合わせて癌を処置するために使用される:抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、抗アンドロゲン(例えば、ビカルタミド、フルタミド)、性腺刺激ホルモン放出ホルモンアナログ(例えば、ロイプロリド)。
【0304】
癌の処置または予防のために本明細書に記載される方法および組成物において随意に使用される他の薬剤は、白金配位化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン)、アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン)、置換された尿素(例えば、ヒドロキシ尿素)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン)、副腎皮質抑制薬(例えば、ミトタン、アミノグルテチミド)を含む。
【0305】
安定化した微小管が原因でG2−M相中で細胞を阻止することによって作用する抗癌剤の例としては、限定することなく、以下の市場に出ている薬物および開発中の薬物が挙げられる:エルブロゾール(Erbulozole)、ドラスタチン10、イセチオン酸ミボブリン、ビンクリスチン、NSC−639829、ディスコデルモリド、ABT−751、アルトリルチン(Altorhyrtins)(アルトリルチンAおよびアルトリルチンCなど)、スポンジスタチン(Spongistatins)(スポンジスタチン1、スポンジスタチン2、スポンジスタチン3、スポンジスタチン4、スポンジスタチン5、スポンジスタチン6、スポンジスタチン7、スポンジスタチン8、およびスポンジスタチン9など)、セマドチン塩酸塩、エポチロン(エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC、エポチロンD、エポチロンE、エポチロンF、エポチロンB N−オキシド、エポチロンA N−オキシド、16−アザ−エポチロンB、21−アミノエポチロンB、21−ヒドロキシエポチロンD、26−フルオロエポチロン、オーリスタチンPE、ソブリドチン、ビンクリスチン硫酸塩、クリプトフィシン52、ビチレブアミド、ツブリシン(Tubulysin)A、カナデンソル(Canadensol)、センタウレイジン(Centaureidin)、オンコシジンA1 フィジアノリド(Fijianolide)B、ラウリマライド、ナルコシン(Narcosine)、ナスカピン(Nascapine)、ヘミアステリン、バナドセンアセチルアセトナト(Vanadocene acetylacetonate)、インダノシン、エロイテロビン(デスメチルエロイテロビン、デスアセチルエロイテロビン(Desaetyleleutherobin)、イソエロイテロビンA、およびZ−エロイテロビンなどの)、カリバエオシド(Caribaeoside)、カリバエオリン(Caribaeolin)、ハリコンドリン(Halichondrin)B、ジアゾナミドA、タッカロノリド(Taccalonolide)A、ジオゾスタチン(Diozostatin)、(−)−フェニラヒスチン(Phenylahistin)、ミオセベリン(Myoseverin)B、リン酸レスベラスタチンナトリウム(Resverastatin phosphate sodium)。
【0306】
一態様では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、血栓溶解剤(例えば、アルテプラーゼアニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、または組織プラスミノーゲン活性化因子)、ヘパリン、チンザパリン、ワルファリン、ダビガトラン(例えば、ダビガトランエテキシラート、第Xa因子阻害剤(例えば、フォンダパリヌクス、イドラパリナックス(draparinux)、リバーロキサバン、DX−9065a、オタミキサバン(otamixaban)、LY517717、またはYM150)、チクロピジン、クロピドグレル、CS−747(プラスグレル、LY640315)、キシメラガトラン、またはBIBR 1048と同時投与される。
【0307】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩、抗癌剤及び/又は放射線療法の使用から結果として生じる、吐き気または嘔吐を処置するために、制吐薬と組み合わせて使用される。
【0308】
制吐薬は、限定されないが、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト(オンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、パロノセトロン、およびザチセトロン(zatisetron)など)、GABA受容体アゴニスト(バクロフェンなど)、コルチコステロイド(デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、または他のもの)、ドーパミンアンタゴニスト(限定されないが、ドンペリドン、ドロペリドール、ハロペリドール、クロルプロマジン、プロメタジン、プロクロルペラジン、メトクロプラミド)、抗ヒスタミン薬(限定されないが、シクリジン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、メクリジン、プロメタジン、ヒドロキシジンなどの、H1ヒスタミン受容体アンタゴニスト)、カンナビノイド(限定されないが、カンナビス、マリノール、ドロナビノールなど)、および他のもの(限定されないが、トリメトベンズアミド;ショウガ、エメトロール(emetrol)、プロポフォール)を含む。
【0309】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、貧血症の処置に有用な薬剤と組み合わせて使用される。そのような貧血症を処置する薬剤は、例えば、連続的な赤血球生成受容体活性化因子(eythropoiesis receptor activator)(エポエチン−αなど)である。
【0310】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、好中球減少症の処置に有用な薬剤と組み合わせて使用される。好中球減少症の処置に有用な薬剤の例としては、限定されないが、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)などの、好中球の産生および機能を制御する血液生成の成長因子が挙げられる。G−CSFの例としては、フィルグラスチムが挙げられる。
【0311】
一態様では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、1つ以上の免疫抑制薬と組み合わせて投与される。免疫抑制療法は、移植された臓器および組織(例えば、骨髄、心臓、腎臓、肝臓)の拒絶反応の処置または予防;自己免疫疾患または自己免疫を起源とする可能性が最も高い疾患(例えば、関節リウマチ、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、クローン病、および潰瘍性大腸炎)の処置;および幾つかの他の非自己免疫性の炎症性疾患(例えば、長期アレルギー性喘息抑制)の処置、および線維性疾患の処置、のために臨床的に使用される。免疫抑制薬は、限定することなく、イムノフィリンに作用するグルココルチコイド、細胞分裂阻害薬、抗体および薬物を含む。グルココルチコイドの例としては、コルチゾール、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメサゾン、ベータメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルドロコルチゾン、デオキシコルチコステロン、およびアルドステロンが挙げられる。細胞分裂阻害薬の例としては、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、ニトロソ尿素、白金化合物などのナイトロジェンマスタード、)および代謝拮抗薬(例えば、メトトレキサートなどの葉酸アナログ、アザチオプリンおよびメルカプトプリンなどのプリンアナログ、フルオロウラシルなどのピリミジンアナログ、タンパク質合成阻害剤)が挙げられる。記載される方法における使用のための薬物の例としては、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、インターフェロン、オピオイド、TNF結合タンパク質、ミコフェノール酸モフェチル、およびフィンゴリモドが挙げられる。本明細書に記載される方法におけるオートタキシン阻害剤との同時投与に有用な抗体の例としては、抗胸腺細胞グロブリン、1D09C3、アダリムマブ/D2E7(ヒュミラ;Trudexa、アフェリモマブ、アフツズマブ/GA101(タイプII)、アレムツズマブ/キャンパス−1H(MabCampath)、アポリズマブ/Hu1D10、アセリズマブ、アトリズマブ(Atlizumab)、バシリキシマブ(シムレクト)、ベクツモマブ(Bectumomab)/IMMU−LL2、ベリムマブ(ベンリスタ、LymphoStat−B)、ベルチリムマブ(Bertilimumab)、BL22/CAT−3888、ブレンツキシマブ/cAC10/SGN−35、ブリアキヌマブ/ABT−874、カナキヌマブ/ACZ885(イラリス)、セルトリズマブペゴル/CDP870(シムジア)、クレノリキシマブ、ダセツズマブ/SGN−40、ダクリズマブ(ゼナパックス)、エクリズマブ/5G1.1(ソリリス)、エファリズマブ(ラプティバ、以前はザネリン)、エプラツズマブ/hLL2/IMMU−102(Lymphocyde(著作権))、フォントリズマブ、フレソリムマブ(Fresolimumab)/GC−1008、ガリキシマブ/IDEC−114、ガビリモマブ(Gavilimomab)/ABX−CBL、ゲムツズマブ、ゴリムマブ/CNTO148(シンポニー)、HL2434P(IMMU−114)、イブリツモマブチウクセタン(MXDPTA)/IDEC Y2B8(ゼバリン)、インフリキシマブ/キメラA2(cA2)(レミケード)、イノリモマブ/BT563、イノツズマブ、ケリキシマブ/IDEC CE9.1、レルデリムマブ(Lerdelimumab)/CAT−152、リンツズマブ/HuM195(ザミル(Zamyl))、LMB−2、ロルボツズマブメルタンシン(Lorvotuzumab mertansine)、ルミリキシマブ/IDEC−152、Lym−1(オンコリム)、MDX−060、メポリズマブ/SB−240563、メテリムマブ(Metelimumab)/CAT−192、モガムリズマブ/kW−0761/AMG−761、モキセツモマブシュードトクス(Moxetumomab pasudotox)/CAT−8015/HA22、ムロモナブ−CD3(オルソクローンOKT3)、ナタリズマブ(タイサブリ、アンテグレン)、ネレリモマブ(Nerelimomab)/CDP571、オクレリズマブ/PRO70769(タイプI)、オデュリモマブ(Odulimomab)、オファツムマブ/2F2/HuMax−CD20(アーゼラ)(タイプI)、オマリズマブ(ゾレア)、オテリキシズマブ/TRX4、パスコリズマブ(Pascolizumab)/SB 240683、レスリズマブ/SCH 55700(Cinquil)、リツキシマブ/キメラ2B8(IDEC−C2B8)(リツキサン、MabThera)(タイプI)、ルプリズマブ(Antova)、SAR−3419、セクキヌマブ/AIN−457、SGN30、シプリズマブ/MEDI−507、テプリズマブ/MGA031/hOKT3γ1(Ala−Ala)、トシリズマブ(アクテムラ)、トシツモマブ(タイプII)、ウステキヌマブ/CNTO 1275(ステラーラ)、ベドリズマブ/MNL−0002、ベルツズマブ/IMMU−106/hA20(タイプI)、ビジリズマブ(ヌヴィオン)、ザノリムマブ/HuMax−CD4、ゾリモマブアリトックス(Zolimomab aritox)/H65、アバタセプト/CTLA4−Ig/BMS−188667(オレンシア)、ベラタセプト/LEA29Y、アタシセプト/BLyS/APRIL−Ig、エタネルセプト/TNFR−Ig(エンブレル)、ペグスネルセプト(Pegsunercept)/ペグ化TNFR−Ig、アレファセプト(アメビブ)、およびリロナセプト(Arcalyst)が挙げられる。免疫抑制抗体は、補体依存性タンパク質およびインターロイキンを標的とする抗体を含む。
【0312】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、コルチコステロイドとともに投与される。幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、以下の中から選択される治療剤とともに投与される:カルシニューリン阻害剤(限定されないが、シクロスポリン、タクロリムスなど);mTOR阻害剤(限定されないが、シロリムス、エベロリムスなど);抗増殖剤(限定されないが、アザチオプリン、ミコフェノール酸など);コルチコステロイド(限定されないが、プレドニゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメサゾン、ベータメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、アルドステロン、ヒドロコルチゾンなど);抗体(限定されないが、モノクローナル抗IL−2Rα受容体抗体(バシリキシマブ、ダクリズマブ)、ポリクローナル抗T細胞抗体(抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、抗リンパ球グロブリン(ALG)など)、B細胞アンタゴニスト、リツキシマブ、ナタリズマブ。
【0313】
本明細書に記載されるようなオートタキシン阻害剤との組み合わせに有用な他の治療剤は、限定されないが、以下を含む:シクロホスファミド、ペニシラミン、シクロスポリン、ニトロソ尿素、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、メトトレキセート、アザチオプリン、メルカプトプリン、ピリミジンアナログ、タンパク合成阻害剤、ダクチノマイシン、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ミトラマイシン、Atgam(登録商標)、Thymoglobuline(登録商標)、OKT3(登録商標)、バシリキシマブ、ダクリズマブ、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、インターフェロン(IFN−β、IFN−γ)、オピオイド、TNF結合タンパク質(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブ)、レフルノミド、金チオグルコース、金チオリンゴ酸塩(gold thiomalate)、オーロフィン(aurofin)、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、ミノサイクリン、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、FTY720の他に、US7,060,697にリストされるもの。
【0314】
一実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、シクロスポリンA(CsAまたはタクロリムス(FK506)と組み合わせて投与される。一実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、限定されないが、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、ホスホジエステラーゼ−4阻害剤、JNKキナーゼ阻害剤およびコルチコステロイド(グルココルチコイド)を含む、抗炎症剤と組み合わせて哺乳動物に投与される。
【0315】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、コルチコステロイドとともに投与される。コルチコステロイドは、限定されないが、ベータメタゾン、プレドニゾン、アルクロメタゾン、アルドステロン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベータメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デオキシコルチコステロン、デソニド、デスオキシメタゾン、デスオキシコルトン、デキサメサゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、フルクロロロン、フルドロコルチゾン、フルドロキシコルチド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチン、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン、フルプレドニデン、フルチカゾン、ホルモコータル、ハルシノニド、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン/コルチゾール、ヒドロコルチゾンアセポネート、ヒドロコルチゾンブテプレート、酪酸ヒドロコルチゾン、ロテプレドノール、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンアセポネート、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン/プレドニゾロン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、およびウロベタゾールを含む。
【0316】
一実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と組み合わせて哺乳動物に投与される。NSAIDは、限定されないが、アスピリン、サリチル酸、ゲンチジン酸、サリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸コリン、サリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸コリン、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸ナトリウム、ジフルニサル、カルプロフェン、フェノプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブトン(nabutone)、ケトロラク、ケトロラクトロメタミン、ナプロキセン、オキサプロジン、ジクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、メクロフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、COX−2特異的阻害剤(限定されないが、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、CS−502、JTE−522、L−745,337およびNS398など)を含む。
【0317】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、鎮痛薬と同時同投与される。
【0318】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、放射線療法(または放射線治療)と併用して使用される。放射線療法は、イオン化放射線を用いる癌および他の疾患の処置である。放射線療法は、随意に、皮膚、舌、喉頭、脳、乳房、前立腺、結腸、肝臓、子宮及び/又は頚部の癌などの局所的な固形腫瘍を処置するために使用される。それはまた、随意に、白血病およびリンパ腫(それぞれ、造血細胞とリンパ系の癌)を処置するために使用される。
【0319】
癌細胞に放射線を送達するための技術は、腫瘍または体腔に直接、放射性インプラント(radioactive implants)を入れる技術である。これは、内部放射線療法と呼ばれる(近接照射療法、組織内照射、および腔内照射は、内部放射線療法のタイプである)。内部放射線療法を使用して、放射線量は小さな領域に集中され、患者は数日間病院にとどまる。内部放射線療法は、舌、子宮、前立腺、結腸、および頚部の癌に頻繁に使用される。
【0320】
用語「放射線療法」または「イオン化放射線」は、限定されないが、α、β、およびγ放射線と紫外線を含む、放射線のすべての形態を含む。
【0321】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、血糖降下薬とともに投与される。幾つかの実施形態では、血糖降下薬は、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)アゴニスト(ガンマ、デュアル、またはパン)、ジペプチジルペプチダーゼ−(IV)阻害剤、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−I)アナログ、インスリンまたはインスリンアナログ、インスリン分泌促進剤、ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤、グルコファージ(glucophage)、ヒトのアミリンアナログ、ビグアニド、αグルコシダーゼ阻害剤、メグリチニド、チアゾリジンジオン、およびスルホニル尿素の中から選択される。幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、メトホルミン、シタグリプチン、サキサグリプチン(saxaglitpin)、レパグリニド、ナテグリニド、エキセナチド、リラグルチド、インスリンスリプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリンイソフェン、およびグルカゴン様ペプチド1、またはそれらの任意の組み合わせとともに投与される。幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、脂質低下薬とともに投与される。
【0322】
幾つかの実施形態では、オートタキシン阻害剤は、心血管疾患を処置するために使用される少なくとも1つの追加の治療薬と組み合わせて投与される。幾つかの実施形態では、心血管疾患を処置するために使用される治療薬は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、β遮断薬、利尿薬、カルシウムチャネル遮断薬、レニン・アンジオテンシン系(RAS)、抗凝血薬、スタチン、およびフィブラート系薬剤の阻害剤、およびそれらの任意の組み合わせである。
【0323】
<キットおよび製品>
本明細書には、オートタキシン阻害剤を個体に投与することを含む、オートタキシン活性に関連する疾病、疾患または障害の処置のためのキットが記載される。
【0324】
本明細書に記載される治療用途での使用のために、キットおよび製品も本明細書に記載される。幾つかの実施形態では、そのようなキットは、バイアル、チューブなどの1つ以上の容器を受けるように区画されている、担体、パッケージ、または容器を含み、それらの容器の各々は、本明細書に記載される方法で使用される個別の要素の1つを含む。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。
【0325】
本明細書に提供される製品は、パッケージング材を含む。製薬用のパッケージング材の例としては、限定されないが、ブリスターパック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ、ボトル、および選択される製剤および意図した投与と処置の様式に適したパッケージング材を含む。オートタキシンの阻害から恩恵を得る障害に対する様々な処置が熟考されるような、またはオートタキシンが症状または原因に対するメディエーターまたは寄与体である、本明細書に提供される化合物および組成物の多様な製剤が熟考される。
【0326】
容器は随意に、無菌のアクセスポートを有する(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静脈注射用溶液のバッグ又はバイアルである)。このようなキットは、本明細書に記載される方法での使用に関する、識別(identifying)解説書、又はラベル、或いは説明書と共に、化合物を随意に含む。
【0327】
キットは典型的に、本明細書に記載される化合物の使用のための商業的及びユーザの観点から望ましい、1以上の様々な材料(例えば、随意に濃縮形態である試薬、及び/又はデバイス)を各々が備えた、1以上の追加の容器を含む。このような材料の限定されない例としては、緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、シリンジ;運搬装置、パッケージ、容器、バイアル、及び/又は、内容物及び/又は使用の説明を列挙するチューブのラベル、並びに、使用の説明を備えた添付文書が含まれるが、これらに限定されない。1セットの説明書も通常は含まれる。
【0328】
幾つかの実施形態において、ラベルは包装容器の上にあるか、又は包装容器に付随する。ラベルを形成する文字、数字、又は他の表示が、容器自体に貼り付けられ、成形され、又は刻まれる場合、ラベルは容器の上に取り付けられ得る。例えば添付文書として、容器も保持するレセプタクル又は運搬装置内に存在する場合、ラベルは容器に付随され得る。ラベルは、内容物が特異的な治療用途に使用されることを示すために使用され得る。ラベルはまた、本明細書に記載される方法などによる内容物の使用のための指示を示すことができる。
【0329】
特定の実施形態において、オートタキシン阻害剤を含む医薬組成物は、1以上の単位剤形を含有し得るパック又はディスペンサ装置の中で提供される。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属又はプラスチックの箔を含有し得る。パック又はディスペンサ装置は、投与のための説明書が付随され得る。パック又はディスペンサはまた、薬の製造、使用、又は販売を規制する政府機関によって規定された形式で容器に付随された通知が添えられることもあり、この通知は、ヒト又は動物への投与のため薬物の形態に関する、機関による承認を反映する。このような通知は、例えば、処方薬又は承認された生成物の挿入物に関する、米国食品医薬品局により承認されたラベルであり得る。適合可能な医薬担体の中で製剤される、本明細書に提供される化合物を含有する組成物も調製され、適切な容器に入れられ、且つ、示された疾病の処置についてラベル付けされ得る。
【実施例】
【0330】
以下の実施例は、例示目的のためのみに提供され、本明細書で提供される請求項の範囲を制限するものではない。
【0331】
実施例1:3−((6−クロロ−2−シクロプロピル−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロ安息香酸(化合物A)の合成
【0332】
【化11】
【0333】
工程1:1−(2−アミノ−4−クロロ−3−フルオロフェニル)−2−クロロエタン−1−オン(2)の合成
CHCl(80mL)中のAlCl3(10.0g、75.01mmol)とBCl(n−ヘキサン中に1M)(74mL、75.01mmol)の撹拌溶液に、0℃で不活性雰囲気の下、3−クロロ−2−フルオロアニリン1(9.0g、6.18mmol)、その後、CHCl(20mL)中のクロロアセトニトリル(11.6g、153.64mmol)の溶液を加えた。反応混合物を30分間、RTで撹拌し、還流温度に加熱し、更に14時間維持した。次いで反応混合物を0℃に冷却し、3N HCl水溶液(100mL)を加え、還流にまで温度を上昇させ、3時間撹拌した。TLCによる反応の完了後、反応混合物をRTに冷却し、水(50mL)で希釈し、CHCl(2×25mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。粗製物をn−ペンタンで粉砕することにより精製して、オフホワイト固形物として化合物2(4.5g、33%)を得た。H NMR(500MHz,DMSO−d):δ 7.61 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.35 (br s, 2H), 6.72 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 5.06 (s, 2H)。
【0334】
工程2:6−クロロ−2−シクロプロピル−7−フルオロ−1H−インドール(3)の合成
トルエン(50mL)中の化合物2(4.5g、20.3mmol)の撹拌溶液に、0℃で不活性雰囲気の下、シクロプロピル臭化マグネシウム(THF中で0.5M;102.0mL、50.9mmol)を加えた。反応混合物を0℃で15分間撹拌し、次いでRTに温め、1時間撹拌を継続した。TLCによる反応の完了後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(10mL)でクエンチし、EtOAc(3×75mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。粗製物を精製し(シリカゲルクロマトグラフィー;1% EtOAc/ヘキサン)、オフホワイトの固形物として化合物3(2.7g、63%)を得た。H NMR(500MHz,DMSO−d):δ 11.55 (s, 1H), 7.18 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.97 (dd, J = 8.5, 6.5 Hz, 1H), 6.16 (s, 1H), 2.03−1.99 (m, 1H), 0.99−0.96 (m, 2H), 0.83−0.80 (m, 2H);LC−MS(ESI):91.6%;m/z 208.1(M−H);(カラム:X Select CSH C−18,50×3.0mm,3.5μm);RT 4.32min;5mM NHOAc:ACN;0.8mL/min)。
【0335】
工程3:4−ブロモ−1−エチル−1H−ピラゾール(4)の合成
THF(400mL)中のNaH(34.0g、0.85mol;鉱油中に60%)の撹拌溶液に、0℃で不活性雰囲気の下、THF(100mL)中の4−ブロモ−1H−ピラゾール(50g、0.34mol)の溶液を加えた。反応混合物をRTに暖め、同じ温度で1時間維持した。反応混合物を再び0℃に冷却し、5分間ゆっくりとEtI(63.67g、0.408mol)を加えた。結果として生じる溶液をRTに暖め、次いで16時間撹拌した。(TLCによりモニタリングされる)反応の完了後、反応混合物を氷水(100mL)でクエンチし、EtOAc(3×250mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。粗製物を精製し(シリカゲルクロマトグラフィー;4−6% EtOAc/ヘキサン)、浅黄色の液体として化合物4(43g、72%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.45 (s, 1H), 7.41 (s, 1H), 4.15 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 1.47 (t, J = 7.5 Hz, 3H);MS(ESI):m/z 175.0(M+H)。
【0336】
工程4:6−クロロ−2−シクロプロピル−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール(5)の合成
トルエン(50mL)中の化合物3(4.3g、20.5mmol)の溶液に、RTで不活性雰囲気の下、4−ブロモ−1−エチル−1H−ピラゾール4(4.0g、22.8mmol)、リン酸カリウム(11.0g、51.2mmol)、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(722mg、8.2mmol)、及びCu(I)I(390mg、2.0mmol)を加えた。反応溶液をアルゴンで15分間パージし、次いで管を密封した。反応混合物を140℃に加熱し、16時間撹拌した。TLCによる反応の完了後、反応混合物をRTに冷却し、EtOAc(50mL)で希釈し、濾過した。濾液を水(40mL)とブライン(40mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。粗製物を精製し(シリカゲルクロマトグラフィー;9% EtOAc/ヘキサン)、薄茶色の固形物として化合物5(3.9g、63%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.64 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.16 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.01 (dd, J = 8.4, 6.4 Hz, 1H), 6.12 (s, 1H), 4.25 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 1.69−1.62 (m, 1H), 1.56 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.92−0.87 (m, 2H), 0.76−0.72 (m, 2H);LC−MS(ESI):98.6%;m/z 304.3(M+H)。(カラム:X Select CSH C−18,50×3.0mm,3.5μm);RT 4.23min;5mM NHOAc:ACN;0.8mL/min)。
【0337】
工程5:エチル3−ブロモ−2−フルオロベンゾアート(A2)の合成
エタノール(400mL)中の3−ブロモ−2−フルオロ安息香酸A1(25.0g、114.15mmol)の撹拌溶液に、RTで濃縮HSO(3mL)を加え、還流温度で24時間撹拌した。反応をLC−MSによりモニタリングし;反応の完了後、反応混合物を濃縮し、残留物を得た。残留物をEtOAc(500mL)で希釈し、水(300mL)とブライン(300mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、淡黄色液体として化合物A2(26.0g、92%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.88−7.84 (m, 1H), 7.72−7.69 (m, 1H), 7.08−7.04 (m, 1H), 4.39 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 1.39 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。
【0338】
工程6:エチル2−フルオロ−3−((4−メトキシベンジル)チオ)安息香酸塩(A3)の合成
1,4−ジオキサン(250mL)を30分間、Nガスでパージすることにより脱気し、これにRTで、1,4−ジオキサン(50mL;脱気した)中の化合物A2(13.2g、53.4mmol)、(4−メトキシフェニル)メタンチオール(PMBSH)(8.2g、53.4mmol)、キサントホス(1.54g、2.66mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(19.6mL、106.8mmol)、及びPd(dba)(1.22g、1.33mmol)の溶液を加えた。反応混合物を90℃に加熱し、2時間撹拌した。反応をTLCによりモニタリングし;反応の完了後、反応混合物をヘキサン(450mL)で希釈し、RTで15分間撹拌した。結果として生じる溶液をセライトに通して濾過し、ヘキサン(100mL)で洗浄した。濾液を水(250mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。3−4%のEtOAc/ヘキサンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより粗製物を精製し、浅黄色固形物として化合物A3(15g、88%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.78−7.74 (m, 1H), 7.43−7.39 (m, 1H), 7.19 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.07−7.04 (m, 1H), 6.80 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.41 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 4.08 (s, 2H), 3.78 (s, 3H), 1.41 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。LC−MS(ESI):89.7%;m/z 318.9(M−H);(カラム:X Select CSH C−18,50×3.0mm,3.5μm);RT 4.22min;5mM NHOAc:ACN;0.8mL/min)。
【0339】
工程7:エチル2−フルオロ−3−メルカプトベンゾアート(6)の合成
TFA(54.5mL)中の化合物A3(30.0g、93.75mmol)の撹拌溶液を80℃に加熱し、不活性雰囲気下で12時間撹拌した。反応をTLCによりモニタリングし;反応の完了後、揮発性物質を減圧下で取り除いた。残留物を氷水(100mL)に溶解し、固形の重炭酸ナトリウムで塩基化して、EtOAc(2×200mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。3%のEtOAc/ヘキサンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより粗製物を精製し、薄茶色のシロップとして化合物6(11.7g、62%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.70−7.66 (m, 1H), 7.48−7.44 (m, 1H), 7.08−7.04 (m, 1H), 4.20 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 3.67 (s, 1H), 1.40 (t, J = 7.5 Hz, 3H);LC−MS(ESI):91.8%;m/z 199.0(M−H);(カラム:X Select CSH C−18,50×3.0mm,3.5μm);RT 2.60min;5mM NHOAc:ACN;0.8mL/min)。
【0340】
工程8:エチル3−((6−クロロ−2−シクロプロピル−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロベンゾアート(7)の合成
不活性雰囲気下のCHCl(30mL)中のエチル2−フルオロ−3−メルカプトベンゾアート6(2.8g、14.0mmol)の撹拌溶液に、RTでNCS(1.9g、14.0mmol)を加え、2時間撹拌した。これに、CHCl(10mL)中の化合物5(3.9g、12.8mmol)をRTで加え、16時間撹拌した。TLCによる反応の完了後、反応混合物を水(100mL)で希釈し、CHCl(2×80mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物を水(2x200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。粗製物をn‐ペンタン(2×50mL)で粉砕することにより精製し、浅黄色固形物として7(5.2g、81%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.66−7.7.60 (m, 3H), 7.18 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.08 (dd, J = 8.4, 6.5 Hz, 1H), 6.93 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 6.79−6.75 (m, 1H), 4.40 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 4.26 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 1.74−1.68 (m,1H), 1.56 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.41 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 1.08−1.04 (m, 2H), 0.89−0.84 (m, 2H);MS(ESI):m/z 502.5(M+H);HPLC:97.5%;(カラム:Acquity BEH C−18(50×2.1mm、1.7μ);RT 3.44min;ACN:0.025% TFA(aq);0.5mL/min。
【0341】
工程9:3−((6−クロロ−2−シクロプロピル−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロ安息香酸ナトリウム塩(8)の合成
1.0MのNaOH(10.25mL、10.2mmol)を、THF/MeOH(3:1)(56mL)の中で化合物7(5.14g、10.2mmol)の溶液に加えた。
混合物を65℃で1.5時間加熱した。更に1.0MのNaOH(0.23mL、0.2mmol)を反応物に加え、65℃で0.5時間加熱した。混合物を減圧下で濃縮して、薄いピンク色の固形物として粗製の酸ナトリウム塩(5.12g、100%)を得た。THF/EtOH(4:1)(6mL)の中の粗製の固形物(600mg)と水を数滴加えた。混合物を濾過し、減圧下で濃縮し、沈殿物を形成した。固形物を濾過し、THF/EtOH(9:1)で洗浄して、オフホワイト固形物として3−((6−クロロ−2−シクロプロピル−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロ安息香酸ナトリウム塩(化合物Aのナトリウム塩;449mg)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d):δ 8.26 (s, 1H), 7.79 (m, 1H), 7.18−7.13 (m, 3H), 6.81 (t, 1H), 6.43−6.38 (m, 1H), 4.21 (q, 2H), 1.84−1.72 (m, 1H), 1.42 (t, 3H), 0.96−0.93 (m, 2H), 0.84−0.80 (m, 2H);LC−MS:474(M
【0342】
3−((6−クロロ−2−シクロプロピル−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロ安息香酸(化合物A)
CHCl(1mL)と水(1mL)の中で再懸濁した化合物Aのナトリウム塩(50mg、0.10mmol)に、飽和クエン酸をpH3になるまで加えた。懸濁液を透明な溶液になるまで撹拌した。有機質層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して粗製物を得て、白色固形物(33mg、70%)として化合物Bを得た。H NMR(300MHz、DMSO−d):δ 13.39 (s, 1H), 8.24 (s, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.57 (t, 1H), 7.22−7.06 (m, 3H), 6.80 (t, 1H), 4.21 (q, 2H), 1.84−1.72 (m, 1H), 1.42 (t, 3H), 0.96−0.88 (m, 2H), 0.86−0.80 (m, 2H);LC−MS:474(M
【0343】
【化12】
【0344】
工程1:6−クロロ−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール(9)の合成
トルエン(10mL)中の6−クロロ−7−フルオロ−1H−インドール8(400mg、2.36mmol)の撹拌溶液に、不活性雰囲気の下、RTで、4−ブロモ−1−エチル−1H−ピラゾール4(上述の工程3;414mg、2.36mmol)、リン酸カリウム(1.25g、5.91mmol)、N、N’−ジメチルエチレンジアミン(84mg、0.95mmol)、及びCu(I)I(45mg、0.24mmol)を加えた。結果として生じた溶液をアルゴンでパージし、次いで管を密封した。次いで反応混合物を16時間、140℃に加熱した。(TLCによりモニタリングされる)反応の完了後、反応混合物をRTに冷却し、ヘキサン(10mL)で希釈し、セライトのショートパッドに通して濾過した。濾液を水(2×10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。粗製物を精製し(シリカゲルクロマトグラフィー;8−10% EtOAc/ヘキサン)、薄茶色の濃い液体として化合物9(224mg、36%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.64 (s, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.31 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.12−7.07 (m, 2H), 6.60−6.59 (m, 1H), 4.22 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 1.55 (t, J = 7.5 Hz, 3H);LC−MS(ESI):94.7%;m/z 264.1(M+H);(カラム:X Select CSH C−18,50×3.0mm,3.5μm);RT 3.87min;5mM NHOAc:ACN;0.8mL/min)。
【0345】
工程2:エチル3−((6−クロロ−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロベンゾアート(10)の合成
不活性雰囲気下のCHCl(4mL)中のエチル2−フルオロ−3−メルカプトベンゾアート6(上述の工程7;212mg、1.06mmol)の撹拌溶液に、0℃でNCS(156mg、1.16mmol)を加え、RTで1時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、CHCl(1mL)中の化合物3(280mg、1.06mmol)をゆっくり加え、RTで16時間撹拌した。TLCによる反応の完了後、反応混合物をCHCl(15mL)で希釈し、水(2×20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。粗製物を精製し(シリカゲルクロマトグラフィー;8−10% EtOAc/ヘキサン)、薄茶色の固形物として化合物10(300mg、61%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.69−7.64 (m, 3H), 7.44 (s, 1H), 7.27 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 8.5, 6.0 Hz, 1H), 7.01−6.94 (m, 2H), 4.39 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 4.24 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 1.57 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.40 (t, J = 7.5 Hz, 3H);LC−MS(ESI):98.6%;m/z 462.3(M+H);(カラム:X Select CSH C−18,50×3.0mm,3.5μm);RT 4.70min;5mM NHOAc:ACN;0.8mL/min)。
【0346】
工程3:エチル3−((2−ブロモ−6−クロロ−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロベンゾアート(11)の合成
不活性雰囲気下のCCl(10mL)中の化合物10(200mg、0.43mmol)の撹拌溶液に、RTでNBS(178mg、0.99mmol)を加え、16時間撹拌した。TLCによる反応の完了後、反応混合物を水(10mL)で希釈し、CHCl(2×20mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。粗製物を精製し(シリカゲルクロマトグラフィー;5−7% EtOAc/ヘキサン)、オフホワイトの固形物として化合物11(180mg、77%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):
δ 7.70−7.67 (m, 1H), 7.65 (s, 2H), 7.30 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 8.5, 6.0 Hz, 1H), 7.00−6.98 (m, 2H), 4.40 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 4.27 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 1.58 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.40 (t, J = 7.5 Hz, 3H);LC−MS(ESI):99.5%;m/z 542.4(M+2);(カラム:X Select CSH C−18,50×3.0mm,3.5μm);RT 4.80min;5mM NHOAc:ACN;0.8mL/min)。
【0347】
工程4:エチル3−((6−クロロ−2−シクロプロピル−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロベンゾアート(7)の合成
不活性雰囲気下のトルエン(10mL)中の化合物11(150mg、0.27mmol)の溶液を10分間、RTでアルゴンによりパージした。これに、シクロプロピルボロン酸(48mg、0.55mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(16mg、0.05mmol)、Pd(OAc)(6mg、0.02mmol)、及びリン酸カリウム(202mg、0.01mmol)を、アルゴンの下、RTで加えた。結果として生じる溶液をRTで5分間、アルゴンで再度パージした。次いで反応混合物を還流温度に加熱し、3時間撹拌した。反応をTLC&LC−MSによりモニタリングし;反応の完了後、反応物をRTに冷却し、EtOAc(20mL)で希釈し、濾過した。濾液を水(2×10mL)とブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。これを精製し(シリカゲルクロマトグラフィー;6% EtOAc/ヘキサン)、浅黄色の固形物として7を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.66−7.7.60 (m, 3H), 7.18 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.08 (dd, J = 8.4, 6.5 Hz, 1H), 6.93 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 6.79−6.75 (m, 1H), 4.40 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 4.26 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 1.74−1.68 (m,1H), 1.56 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.41 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 1.08−1.04 (m, 2H), 0.89−0.84 (m, 2H);LC−MS(ESI):92.9%;m/z 502.5(M);(カラム:X Select CSH C−18,50×3.0mm,3.5μm);RT 4.85min;5mM NHOAc:ACN;0.8mL/min);HPLC:93.1%;(カラム:Acquity BEH C−18(50×2.1mm,1.7μ);RT 3.44min;ACN:0.025% TFA(aq);0.5mL/min。
【0348】
実施例2:3−((2,6−ジクロロ−7−フルオロ−1−(1−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロ安息香酸(化合物B)の合成
【0349】
【化13】
【0350】
工程1:6−クロロ−7−フルオロ−1H−インドール(2)の合成
不活性雰囲気下のTHF(100mL)中の1−クロロ−2−フルオロ−3−ニトロベンゼン1(10.0g、56.98mmol)の撹拌溶液に、RTでビニル臭化マグネシウム(THF溶液中に1M;170mL、170.94mmol)を加え、−40℃に冷却し、30分間撹拌した。反応をTLCによりモニタリングし;反応の完了後、反応混合物を飽和NHCl溶液(50mL)でクエンチし、EtOAc(2×50mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をNHCl溶液(40mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。これを、2%のEtOAc/ヘキサンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、茶色の油として化合物2(1.1g、11.4%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 8.36 (br s, 1H), 7.31 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.25−7.22 (m, 1H), 7.08−7.05 (m, 1H), 6.56−6.54 (m, 1H)。
【0351】
工程2:6−クロロ−7−フルオロ−1−(1−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−インドール(3)の合成
不活性雰囲気下のトルエン(15mL)中の化合物2(1.1g、6.48mmol)の撹拌溶液に、RTでN,N’−ジメチルエチレンジアミン(229mg、2.60mmol)、リン酸カリウム(3.44g、16.27mmol)、4−ブロモ−1−プロピル−1H−ピラゾール3(実施例2の工程3;1.21g、6.50mmol)、CuI(124mg、0.65mmol)を加え、15分間アルゴンの下で脱気し;140℃に加熱し、密封管の中で20時間撹拌した。反応をTLCによりモニタリングし;反応の完了後、反応混合物をEtOAc(30mL)で希釈し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、粗製物を得た。これを、8−10%のEtOAc/ヘキサンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、茶色の液体として化合物4(1.3g、72%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.64 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.31 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.12−7.07 (m, 2H), 6.60 (s, 1H), 4.13 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 1.99−1.91 (m, 2H), 0.97 (t, J = 8.0 Hz, 3H);LC−MS(ESI):93.5%;m/z 278.2(M+H);(カラム:X Select CSH C−18,50×3.0mm,3.5μm);RT 4.08min;5mM NHOAc:ACN;0.8mL/min)。
【0352】
工程3:エチル3−((6−クロロ−7−フルオロ−1−(1−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロベンゾアート(6)の合成
不活性雰囲気下のCHCl(3mL)中のエチル2−フルオロ−3−メルカプトベンゾアート(5;108mg、0.54mmol)の撹拌溶液に、RTでNCS(72mg、0.54mmol)を加え、1時間撹拌した。これに化合物4(150mg、0.54mmol)を加え、16時間撹拌した。反応をTLCによりモニタリングし;反応の完了後、反応混合物を水(25mL)で希釈し、CHCl(2×25mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。これを、10%のEtOAc/ヘキサンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、オフホワイトの固形物として化合物6(130mg、50%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.69 (s, 1H), 7.67−7.64 (m, 2H), 7.44 (s, 1H), 7.29−7.27 (m, 1H), 7.17−7.14 (m, 1H), 7.01−6.94 (m, 2H), 4.40 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 4.15 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 1.98−1.94 (m, 2H), 1.40 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.98 (t, J = 8.0 Hz, 3H);LC−MS(ESI):97.6%;m/z 476.7(M+H);(カラム:X Select CSH C−18,50×3.0mm,3.5μm);RT 4.84min;5mM NHOAc:ACN;0.8mL/min)。
【0353】
工程4:エチル3−((2,6−ジクロロ−7−フルオロ−1−(1−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロベンゾアート(7)の合成
CHCl(3mL)中のエチル3−((6−クロロ−7−フルオロ−1−(1−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロベンゾアート6(100mg、0.21mmol)の撹拌溶液に、不活性雰囲気の下、RTでNCS(33.7mg、0.25mmol)を加えた。8時間の撹拌後、更にNCS(33.7mg、0.25mmol)をRTで加え、24時間再び撹拌した。反応をTLCによりモニタリングし;反応の完了後、反応混合物を水(20mL)で希釈し、CHCl(2×20mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブライン(15mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。これを、9−11%のEtOAc/ヘキサンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、オフホワイトの固形物として化合物7(50mg、47%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.71−7.67 (m, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.30 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 8.4, 6.0 Hz, 1H), 7.04−6.97 (m, 2H), 4.40 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 4.18 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.04−1.93 (m, 2H), 1.40 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.97 (t, J = 7.2 Hz, 3H);LC−MS(ESI):98.8%;m/z 510.4(M+H);(カラム:X Select CSH C−18,50×3.0mm,3.5μm);RT 4.94min;5mM NHOAc:ACN;0.8mL/min)。
【0354】
工程5:3−((2,6−ジクロロ−7−フルオロ−1−(1−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロ安息香酸(化合物B)の合成
不活性雰囲気の下のTHF:EtOH:HO(3:1:1、5mL)の中の化合物7(50mg、0.09mmol)の撹拌溶液に、室温でLiOH.HO(12.3mg、0.29mmol)を加え、5時間撹拌した。反応をTLCによりモニタリングし;反応の完了後、揮発性物質を減圧下で取り除いた。残留物を水(10mL)で希釈し、1N HClで酸性化し、CHCl(2×10mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。これをn−ペンタン(2×5mL)で粉砕し、オフホワイト固形物として表題化合物B(15mg、34%)を得た。H NMR(400 MHz, DMSO−d):δ 13.24 (br s, 1H), 8.29 (s, 1H), 7.83 (s, 1H), 7.64−7.60 (m, 1H), 7.36−7.34 (m, 2H), 7.15−7.05 (m, 2H), 4.16 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.89−1.80 (m, 2H), 0.85 (t, J = 7.2 Hz, 3H);MS(ESI):480.1(M−H);HPLC:97.0%;(カラム:Acquity BEH C−18(50×2.1mm、1.7μ);RT 2.86min;ACN:0.025% TFA(aq);0.5mL/min。
【0355】
工程6:3−((2,6−ジクロロ−7−フルオロ−1−(1−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロ安息香酸ナトリウム塩(化合物Bのナトリウム塩)の合成
エステル7(27.6g、54.0mmol)をTHF(400mL)とEtOH(100mL)の中で溶解した。NaOH(54mL、1.0M aq.)を加え、混合物を65℃で1.5時間で加熱した。更に11mLのNaOHを加え、1.5時間加熱した。溶媒を取り除き、残留物をHO/EtOAcの中で溶解した。そして、pH3になるまで飽和クエン酸で酸性化した。混合物をEtOAcで2回抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、生成物を析出し、固形物を濾過して、10%のEtOAc/Hxで洗浄した。濾過と蒸発により、白色粉末(23.5g)として表題生成物の化合物Bのナトリウム塩を得た。MS(ESI):482.1(M−H)。
【0356】
代替的に、化合物B(34.1g、71mmol)をTHF(313mL)の中で溶解し、氷水槽の中で冷却した。NaOH(62.6mL、1.0M aq.)を1時間にわたり滴下で加えた。溶媒を取り除き、固形物を真空下で乾燥して、白色固形物(31.8g)として表題化合物を得た。MS(ESI):482.1(M−H)。
【0357】
実施例3:4−(2−(6−(4−フルオロベンジル)−1,3−ジオキソ−5,6,11,11a−テトラヒドロ−1H−イミダゾ)[1’,5’:1,6]ピリド[3,4−b]インドール−2(3H,5H,6H)−イル)エチル)ピペリジン−1−イウム塩化物(化合物C)の合成
【0358】
【化14】
【0359】
工程1:(S)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,4−b]インドール−3−カルボン酸の合成
ホルムアルデヒド(37%の水溶液、39.7mL、490mmol)を、NaOH溶液(200mLのHO中に19.6g、490mmol)中のL−トリプトファン(100.0g、490mmol)の撹拌溶液に加え、2時間撹拌した。混合物を加熱還流し、3.5時間撹拌した。混合物を50℃に冷却し、6.0M HCl(aq)溶液で注意深く酸性化してpH5−6とした。混合物を水(200mL)で希釈した。フラスコを熱から引き離し、室温に冷却した。沈殿物を濾過し、水で洗浄した。固形物をTHF(800mL)の中で再懸濁し、RTで1時間撹拌し、濾過して、ベージュの固形物として(S)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,4−b]インドール−3−カルボン酸(101.3g、95%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d):δ 10.93 (s, 1H), 8.88 (br s, 1H), 7.43 (d, 1H), 7.31 (d, 1H), 7.02 (t, 1H), 6.97 (t, 1H), 4.18 (q, 2H), 3.61−3.56 (m, 1H), 3.12 (dd, 1H), 2.83−2.75 (m, 1H);LC−MS[M+H217]。
【0360】
工程2:(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,4−b]インドール−3−カルボン酸の合成
水(470mL)中に溶解したKCO(129.5g、937mmol)を、0℃で、THF(470mL)中の(S)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,4−b]インドール−3−カルボン酸(101.3g、468mmol)及びジ−tert−ブチルジカーボネート(122.7g、562mmol)の撹拌溶液に注いだ。反応物を室温で一晩で撹拌した。翌日、THFを減圧下で取り除き、残りの残留物を、飽和クエン酸溶液で注意深く酸性化し、pH3−4とした。沈殿物を濾過し、水で洗浄して、ベージュの粉末として(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,4−b]インドール−3−カルボン酸(143.5g、97%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d):δ 12.75 (br s, 1H), 10.88 (s, 1/2H), 10.83 (s, 1/2H), 7.40 (d, 1H), 7.28−7.25 (m, 1H), 7.05 (t, 1H), 6.92 (t, 1H), 5.15−5.10 (m, 1H), 4.69 (t, 1H), 4.45−4.29 (m, 1H), 3.30−3.23 (m, 1H), 2.98−2.88 (m, 1H), 1.46 (s, 9 X 1/2H), 1.42 (s, 9 X 1/2H);LC−MS[M+H317]。
【0361】
工程3:(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−9−(4−フルオロベンジル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,4−b]インドール−3−カルボン酸の合成
DMF(630mL)中の(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,4−b]インドール−3−カルボン酸(20.0g、63.2mmol)を脱気し、フラスコを氷水槽の中で冷却した。NaH(鉱油中に60%;7.8g、196.0mmol)を0℃で45分にわたり一部ずつゆっくり加えた。4−フルオロベンジル臭化物(8.7mL、69.5mmol)を0℃で45分にわたり滴下で加え、1.5時間撹拌した。反応物を水でクエンチした。混合物を水(1.8L)で希釈し、EtOAc(1L)で洗浄した。水層を固形クエン酸で酸性化し、pH3−4とした。混合物をEtOAc(3×300mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物を水(900mL)とブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。0−30%のEtOAc/ヘキサンを使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより粗製物を精製し、固形物を得た。固形物を10%のCHCl/ヘキサンで洗浄して、白色粉末として(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−9−(4−フルオロベンジル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,4−b]インドール−3−カルボン酸(19.5g、72%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d):δ 12.81 (br s, 1H), 7.48−7.42 (m, 2H), 7.13−6.97 (m, 6H), 5.41−5.28 (m, 2H), 5.14−5.03 (m, 1H), 4.66−4.58 (m, 1H), 4.42−4.27 (m, 1H), 3.32−3.28 (m, 1H), 3.06−2.96 (m, 1H), 1.40 (s, 9 X 1/2H), 1.39 (s, 9 X 1/2H);LC−MS[M+H425]。
【0362】
工程4:(S)−9−(4−フルオロベンジル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,4−b]インドール−3−カルボン酸の合成
(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−9−(4−フルオロベンジル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,4−b]インドール−3−カルボン酸(18.9g、44.5mmol)、1,4−ジオキサン溶液中の4M HCl(56mL、222.7mmol)、及び1,4−ジオキサン(85mL)を、RTで一晩撹拌した。反応物を水(200mL)で希釈し、EtNで中性化してpH7とした。水(400mL)を加え、混合物を30分間撹拌した。固形物を濾過により集め、水(300mL)で洗浄して、浅黄色粉末として(S)−9−(4−フルオロベンジル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,4−b]インドール−3−カルボン酸(13.0g、90%)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d):δ 8.95 (br s, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.39 (d, 1H), 7.14−6.99 (m, 6H), 5.33 (s, 2H), 4.24 (d, 1H), 4.08 (d, 1H), 3.63−3.58 (m, 1H), 3.17−3.10 (m, 1H), 2.86−2.81 (m, 1H);LC−MS[M+H325]。
【0363】
工程5:
DMF(0.5mL)中の1,1’−カルボニルジイミダゾール(37mg、0.23mmol)を、4−(アミノエチル)−1−N−Boc−ピペリジン(53mg、0.23mmol)とTHF(0.5mL)の脱気した溶液に滴下で加えた。混合物をRTで一晩撹拌した。(S)−9−(4−フルオロベンジル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,4−b]インドール−3−カルボン酸(75mg、0.23mmol)とDMF(1mL)を加え、95℃で一晩加熱した。反応物をRTに冷却し、水で希釈した。混合物をEtOAcで抽出した(3回)。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。0−50%のEtOAc/Hxを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより粗製材料を精製して、黄色の泡(61mg、47%)として(C1)を得た。LC−MS[M+Na583]。
【0364】
工程6:
1,4−ジオキサン溶液(1mL)中の(D1)(61mg、0.11mmol)及び4M HClをRTで1時間撹拌した。反応物を濃縮し、次いで水(10mL)で希釈した。これをEtOAcで洗浄し、飽和NaHCO3(aq)溶液で塩基化した。水層をEtOAc(2×5mL)で抽出した。2つの有機抽出物を組み合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。2%のトリエチルアミンを伴う0−10%のMeOH/DCMを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより粗製材料を精製して、オフホワイトの固形物を得た。固形物をTHF(0.5mL)の中に溶解し、ジエチルエーテル(0.05mL)中の2.0M HClを加えた。溶媒を取り除き、オフホワイトの固形物(31mg、57%)として(C、HCl塩)を得た。LC−MS[M+H461]。
【0365】
実施例4:4−(2−(6−(4−フルオロベンジル)−1,3−ジオキソ−5,6,11,11a−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[1’,5’:1,6]ピリド[3,4−b]インドール−2(3H,5H,6H)−イル)エチル)ピペラジン−1−イウム塩化物(化合物D)の合成
【0366】
【化15】
【0367】
工程1:
DMF(0.5mL)中の1,1’−カルボニルジイミダゾール(37mg、0.23mmol)を、tert−ブチル4−(2−アミノエチル)ピペラジン−1−カルボン酸塩(53mg、0.23mmol)とTHF(0.5mL)の脱気した溶液に滴下で加えた。混合物をRTで一晩撹拌した。(S)−9−(4−フルオロベンジル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,4−b]インドール−3−カルボン酸(75mg、0.23mmol)とDMF(1mL)を加え、95℃で一晩加熱した。反応物をRTに冷却し、水で希釈した。混合物をEtOAcで抽出した(3回)。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。0−100%のEtOAc/Hxを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより粗製材料を精製して、黄色固形物(76mg、58%)として(D1)を得た。LC−MS[M+H562]。
【0368】
工程2:
1,4−ジオキサン溶液(1mL)中の(D1)(76mg、0.14mmol)及び4M HClをRTで1時間撹拌した。反応物を濃縮し、次いで水(10mL)で希釈した。これをEtOAcで洗浄し、飽和NaHCO3(aq)溶液で塩基化した。水層をEtOAc(2×5mL)で抽出した。2つの有機抽出物を組み合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。2%のEtNを伴う0−10%のMeOH/DCMを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより粗製材料を精製して、淡黄色固形物を得た。固形物をTHF(0.5mL)の中に溶解し、ジエチルエーテル(0.05mL)中の2.0M HClを加えた。溶媒を取り除き、淡黄色固形物(37mg、55%)として(D、HCl塩)を得た。LC−MS[M+H462]。
【0369】
実施例5:3−((2,6−ジクロロ−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロ安息香酸ナトリウム塩(化合物E)の合成
【0370】
【化16】
【0371】
工程1:エチル3−((6−クロロ−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロベンゾアート(3)の合成
実施例2の工程2と3の手順に従い、工程2における4−ブロモ−1−プロピル−1H−ピラゾール3の代わりに4−ブロモ−1−エチル−1H−ピラゾールB(実施例4、工程1)を使用して、薄茶色の固形物として表題化合物3を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.69−7.64 (m, 3H), 7.44 (s, 1H), 7.27 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 8.5, 6.0 Hz, 1H), 7.01−6.94 (m, 2H), 4.40 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 4.26 (q, J = 8.0 Hz, 2H), 1.57 (t, J = 8.0 Hz, 3H), 1.57 (t, J = 7.5 Hz, 3H);LC−MS(ESI):m/z 462.5(M+H)。
【0372】
工程2:エチル3−((2,6−ジクロロ−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロベンゾアート(4)の合成
不活性雰囲気下のCHCl(3mL)中の化合物3(100mg、0.21mmol)の溶液に、RTでNCS(58mg、0.43mmol)を加え、16時間撹拌した。反応混合物を水(10mL)で希釈し、CHCl(2×15mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。粗製物を精製し(シリカゲル;14−17% EtOAc/ヘキサン)、オフホワイト固形物として4(35mg、33%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.71−7.66 (m, 3H), 7.30 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.19 (dd, J = 8.8, 6.4 Hz, 1H), 7.04−6.97 (m, 2H), 4.40 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 4.27 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 1.58 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 1.49 (t, J = 7.2 Hz, 3H);LC−MS(ESI):m/z 496.7(M+H)。
【0373】
工程3:3−((2,6−ジクロロ−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロ安息香酸(化合物E)の合成
実施例1の工程9手順に従うが、中間体7の代わりに中間体4を使用して、オフホワイト固形物として表題化合物Eのナトリウム塩を得た。LC−MS:m/z 468(M+1)。
【0374】
実施例6:メチル6−メルカプトピコリナート(中間体A)の合成
【0375】
【化17】
【0376】
工程1:メチル6−((4−メトキシベンジル)チオ)ピコリン酸塩(2)の合成
不活性雰囲気下の1,4−ジオキサン(110mL)中のメチル6−ブロモピコリナート1(8g、37.2mmol)の撹拌溶液に、RTで(4−メトキシフェニル)メタンチオール(5.7g、37.0mmol)、キサントホス(1.1g、1.9mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(13.6mL、74.0mmol)、Pd(dba)(847mg、0.9mmol)を加え、15分間アルゴンの下で脱気し;加熱還流し、1時間撹拌した。反応の完了後(TLC)、反応混合物を水(500mL)で希釈し、EtOAc(3×500mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。粗製物を精製し(シリカゲル;10% EtOAc/ヘキサン)、黄色固形物として化合物2(8g、75%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.78 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.57 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.42−7.40 (m, 2H), 7.29−7.25 (m, 1H), 6.82 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.44 (s, 2H), 4.00 (s, 3H), 3.77 (s, 3H);LC−MS:95.7%;290.3(M+1);(カラム:X Select CSH C−18,50×3.0mm,3.5μm);RT 4.10min;5mM NHOAc:ACN;0.8mL/min)。
【0377】
工程2:メチル6−メルカプトピコリナート(中間体A)の合成
不活性雰囲気下の三フッ化酢酸(50mL)中の化合物2(6g、20.7mmol)の撹拌溶液を加熱還流し、16時間撹拌した。反応の完了後(TLC)、揮発性物質を減圧下で取り除いた。残留物をEtOAc(500mL)で希釈し、NaHCO水溶液(3×250mL)で洗浄した。有機抽出物をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、薄茶色の固形物として化合物6(3.5g、粗製)を得た。LC−MS:61.1%;170(M+1);(カラム:X Select CSH C−18,50×3.0mm,3.5μm);RT 1.41min;5mM NHOAc:ACN;0.8mL/min)。
【0378】
実施例7:メチル2−(2−フルオロ−3−メルカプトフェニル)酢酸塩(中間体B)の合成
【0379】
【化18】
【0380】
WO2012/024620の実施例154、p203に記載される手順に従い調製した。
【0381】
実施例8:6−((2,6−ジクロロ−7−フルオロ−1−(1−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−インドール−3−イル)チオ)ピコリン酸(化合物F)の合成
【0382】
【化19】
【0383】
実施例2の手順を用いるが、工程3のエチル2−フルオロ−3−メルカプトベンゾアートの代わりにメチル6−メルカプトピコリナート(中間体A)を使用して、表題化合物を調製した。LC−MS:465.2(M+1)。
【0384】
実施例9:6−((2,6−ジクロロ−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)チオ)ピコリン酸(化合物G)の合成
【0385】
【化20】
【0386】
実施例5の手順を使用するが、工程2のエチル2−フルオロ−3−メルカプトベンゾアートの代わりにメチル6−メルカプトピコリナート(中間体A)を使用して、表題化合物を調製した。LC−MS:449.2(M+1)。
【0387】
実施例10:2−(3−((2,6−ジクロロ−7−フルオロ−1−(1−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロフェニル)酢酸(化合物H)の合成
【0388】
【化21】
【0389】
実施例2の手順を使用するが、工程3のエチル2−フルオロ−3−メルカプトベンゾアートの代わりにメチル2−(2−フルオロ−3−メルカプトフェニル)酢酸塩(中間体B)を使用して、表題化合物を調製した。LC−MS:496.6(M+1)。
【0390】
実施例11:2−(3−((2,6−ジクロロ−1−(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)チオ)−2−フルオロフェニル)酢酸(化合物I)の合成
【0391】
【化22】
【0392】
実施例5の手順を使用するが、工程2のエチル2−フルオロ−3−メルカプトベンゾアートの代わりにメチル2−(2−フルオロ−3−メルカプトフェニル)酢酸塩(中間体B)を使用して、表題化合物を調製した。LC−MS:482.3(M+1)。
【0393】
実施例12:非経口医薬組成物
注射(皮下、静脈内)による投与に適した非経口医薬組成物を調製するために、オートタキシン阻害剤の1−100mgの水溶性塩、又はその薬学的に許容可能な塩或いは溶媒和物を、滅菌水に溶解し、次いで10mLの0.9%滅菌塩と混合した。適切な緩衝液を随意に加え、同様に随意に酸又は塩基を加えて、pHを調整する。混合物を、注入による投与に適した投与量単位の形態で組み込む。
【0394】
実施例13:経口溶液
経口送達用の医薬組成物を調製するために、十分な量のオートタキシン阻害剤、又はその薬学的に許容な塩を、(任意の可溶化剤、任意の緩衝液、及び味を隠す賦形剤と共に)水に加え、20mg/mLの溶液を得る。提供するために水。
【0395】
実施例14:経口錠剤
20−50重量%のオートタキシン阻害剤、又はその薬学的に許容可能な塩、20−50重量%の微結晶性セルロース、1−10重量%の低置換ヒドロキシプロピルセルロース、及び1−10重量%のステアリン酸マグネシウム又は他の適切な賦形剤を混合することによって、錠剤を調製する。直接圧縮によって錠剤を調製する。圧縮錠剤の全重量を、100−500mgで維持する。
【0396】
実施例15:経口カプセル剤
経口送達用の医薬組成物を調製するために、10−500mgのオートタキシン阻害剤、又はその薬学的に許容可能な塩を、デンプン又は他の適切な粉末混合物と混合する。混合物を、経口投与に適した、例えばハードゼラチンカプセルのような経口投与量単位で組み込む。
【0397】
別の医薬組成物において、10−500mgのオートタキシン阻害剤、又はその薬学的に許容可能な塩を、サイズ4のカプセル、又はサイズ1のカプセル(ヒプロメロース又はハードゼラチン)に入れ、カプセルを閉じる。
【0398】
実施例16:局所ゲル組成物
製薬の局所ゲル組成物を調製するために、オートタキシン阻害剤、又はその薬学的に許容可能な塩を、ヒドロキシプロピルセルロース、プロピレングリコール、イソプロピルミリステート、及び精製アルコールUSPと混合する。その後、結果として生じるゲル混合物を、直腸投与に適した、例えばチューブなどの容器に組み込む。
【0399】
実施例17:ヒトのオートタキシンアッセイ
LPAに開裂されると、基質、リゾホスファチジルコリン(LPC)から放たれたコリンの量を測定することにより、Hep3Bヒト肝細胞癌細胞からの濃縮調整培地においてATX活性を分析する。調整培地を集密的なHep3B細胞から集め、Centriprep−30のフィルタデバイス(Millipore)を使用して10−20倍に濃縮した。オートタキシン阻害を分析するために、10−20μLの濃縮調整培地を、37℃で15分間、DMSO中の2.5μLの試験化合物と、72.5−82.5μLのlyso−PLD緩衝液(0.2%の脂肪酸の無いヒト血清アルブミンの存在下又は非存在下で、100mMのTris pH9、500mMのNaCl、5mMのMgCl、5mM CaCl2、0.05%のTriton X−100)によりインキュベートする。15分のインキュベーション後、lyso−PLD緩衝液中で希釈された5μlの2mM LPC(14:0;Avanti Polar Lipids Cat# 855575C)を、100μMの終末濃度のために加え、インキュベーションを37℃で1.5−3時間持続する。50mMのTris、pH8、4.5mMのMgClにおいて、4.5mMの4−アミノアンチピリン、2.7mMのN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン、21単位/mlのホースラディッシュペルオキシダーゼ、及び3単位/mlのコリンオキシダーゼを含有する100μlの混色物(color mix)を加え、555nmで吸光度を読み取る前にインキュベーションを室温で15分間持続した。
【0400】
本明細書に記載されるヒトオートタキシンアッセイにおける典型的な化合物の例示的な生物学的を、以下の表に示す:
【0401】
【表1】
【0402】
実施例18:ヒト全血オートタキシンアッセイ
ヒト全血におけるATX活性の阻害を、37℃でのインキュベーションの持続後、血漿中の20:4のLPAの濃度を測定することにより分析する。同意を得たヒトボランティアから、血液をヘパリンバキュテーナーチューブへ採取し、200μlのアリコートを、DMSO又はDMSO単独の中の2μlの試験化合物に加える。ビヒクルチューブの一部を、4℃で10分間、800xgで直ちに遠心分離し、処理のために血漿を取り除いて、20:4のLPAの基線濃度を判定する。ビヒクル又は試験化合物を含む、残存する血液サンプルを、37℃で4時間インキュベートし、その後4℃で10分間、800xgで遠心分離し、血漿を得る。血漿をLCMSのために以下のように処理する:40μlの血漿を取り除き、内部標準として125ng/mlの17:0のLPAを含む5体積のメタノールを加え、混合物を−20℃で10分間インキュベートし、その後4℃で10分間、4000xgで遠心分離する。150μlの上清を96−ウェルのプレートに移し、LCMSによる20:4のLPA濃度の分析のために100μlの有機溶液(90:10:0.1の水/アセトニトリル/水酸化アンモニウム)で希釈した。LPA 20:4と内部標準(LPA 17:0)を、複数の反応モニタリング(MRM)により陰イオンモード(ESI)の四重極質量分析計(ABI Sciex 4000QTrap)上で分析した。移動相は90%の水/10%のアセトニトリル(溶媒A)において0.1%の水酸化アンモニウムを含んでおり、90%のアセトニトリル/10%の水(溶媒B)において0.1%の水酸化アンモニウムを含んでいる。流速を0.8mL/minで維持し、ランタイムの合計は3分であった。分析物を、以下のように直線濃度勾配を使用して分離した:1)移動相を10%のBで0.5分間保持し;2)Bを次に1分にわたり10%から90%に増大し;3)Bを90%で0.5分間、一定に保持し;及び4)Bを最初の勾配条件に戻した。
【0403】
実施例19:オートタキシンにより誘発されたそう痒モデル
CMV(サイトメガロウイルス)又はAFP(アルファ−フェトプロテイン)プロモータの制御下で、マウスを、オートタキシンを発現するアデノウイルスに感染させる。感染したマウスは、感染後に引っかき反応を増大させる。ATX発現アデノウイルスによる感染、及び引っかき反応の増大の観察の後、マウスをオートタキシン阻害剤で処置し、そう痒の阻害のためにモニタリングする。
【0404】
引っかき反応の増大を、CMV−ATXアデノウイルスに感染したマウスにおいて観察した。
【0405】
実施例20:ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)で誘発された実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデル
MOGペプチド(35−55)による免疫化によりマウスにEAEを誘発させ、その結果進行性麻痺がもたらされる。免疫化の時点で(予防的な投薬)、又は症状の最初の兆候の後に(治療上の投薬)、60mpkのBIDでマウスをオートタキシン阻害剤により処置して、麻痺の兆候についてモニタリングする。
【0406】
実施例21:MDA−MB−435メラノーマ細胞の移動アッセイ
MDA−MB−435Sヒト黒色腫株からの細胞を、FBS及びペニシリン/ストレプトマイシンを含む培地中のサブコンフルエントな培養物において維持する。アッセイの前日、0.1−0.2%の脂肪酸遊離BSAを含む培地において、細胞の血清を一晩不足させる。アッセイの当日、調整培地を細胞から取り除き、清浄のために遠心分離し、取りのけておく。その後、細胞を剥離により採取し、計数し、遠心分離により小球にする。調整培地において1.05Xの最終所望密度で、細胞を再懸濁した。8μmの孔径及びフィブロネクチンを被覆したフィルタを備えたNeuroprobeの96ウェルのケモタキシスシステムを使用して、アッセイを2通り行う。152μLの細胞を8μLの試験オートタキシン阻害化合物に加え、37℃で15分間インキュベートする。下部チャンバに2−10μMのLPCを入れ、次いで50μLの細胞/試験化合物懸濁液を各フィルタのウェル部位の上部に加える。フィルタを37℃で1−24時間インキュベートし、移動していない細胞を、PBSでの漱ぎ及び剥離によりフィルタの上部から取り除いた。フィルタを空気乾燥し、次いで染色して、その後580nmで吸光度を読み出す。
【0407】
この細胞移動アッセイにおいて、化合物Aには4nMのIC50があり、化合物Bには15nMのIC50があった。
【0408】
実施例22:マウスの四塩化炭素(CCl)で誘発された肝臓線維症モデル
メス又はオスのbalb/cマウス(0.8−1.0ml/kgの体重)は、6−8週間にわたり週に2回、腹腔内注射によりオリーブ油中で希釈したCClを受ける。(Higazi, A. A. et al, Clin Exp Immunol. 2008 Apr;152(l):163−73)。対照マウスは、等しい体積のオリーブ油のみを受ける。オートタキシン阻害剤又はビヒクルを毎日経口で送達し、これは、CCl注入(予防的)の時間、又は最初のCCl注入(治療的)の1−3週後に開始する。研究の終わりに、イソフルラン吸入によりマウスを屠殺し、心臓の穿刺により血液を採取して、後にALT/ASTレベルの分析を行う。肝臓を採取し、肝臓線維症の生化学分析のために−80℃で凍結させるか、又は肝臓線維症の組織学的評価のために10%の中性緩衝ホルマリンに固定した。肝臓線維症の生化学的評価のために、肝臓組織ホモジネートを、ヒドロキシプロリンアッセイを使用してコラーゲン濃度について分析する。肝臓線維症の組織学的評価のために、固定した肝臓組織をピクロシリウスレッドで染色し、光学顕微鏡検査を使用した定量的なコンピュータ支援デンシトメトリーにより肝臓繊維症を判定する。
【0409】
実施例23:肝臓線維症のマウスのコリンが欠乏した、Lアミノ酸で画定された、高脂肪食(CDAA/HFD)モデル
マウスに12−14週間、0.1%のメチオニンと60%のkCal脂肪(CDAA/HFD)で補足したコリン欠乏食を与える。マウスは、1、3、10、又は30mpkのオートタキシン阻害剤試験化合物又はビヒクルを受け、これは食後6週目の始めに開始される(治療的)。以下の肝酵素を毎週測定する:アスパラギン酸トランスアミナーゼ、アルカリホスファターゼ、及びビリルビン。研究の終わりに、マウスを屠殺し、肝臓を採取し、肝臓線維症の生化学分析のために−80℃で凍結させるか、又は肝臓線維症の組織学的評価のために中性緩衝化ホルマリンに固定した。肝臓線維症の生化学的評価のために、肝臓組織ホモジネートを、ヒドロキシプロリンアッセイを使用してコラーゲン濃度について分析する。肝臓線維症の組織学的評価のために、固定した肝臓組織をピクロシリウスレッド(PSR)染色で染色し、光学顕微鏡検査を使用して肝臓繊維症の重症度をスコア化する。肝臓線維症の定質的なスコア付けの後、20倍率で捕らえた全体のスライド画像を使用し、Indica Labs’ Halo(登録商標)の区域定量化画像分析ソフトウェアを使用してPSR陽性であった肝切片のパーセンテージを計算することで、線維症の定量化を判定した。
【0410】
この肝臓線維症モデルにおいて、30mpkで投与されると化合物Aは肝臓繊維症を著しく弱め、10mpkで投与されると化合物Bは肝臓線維症を著しく弱めた。化合物A(30mpk)又は化合物B(10mpk)の何れかによる処置の結果、PSR陽性区域の%においておよそ35%の減少がもたらされた。
【0411】
この動物モデルにおいて、3mg/kg、10mg/kg、又は30mg/kgの化合物Aによるマウスの処置の結果、(コリン生成により測定されるように)トラフ血漿オートタキシン活性の約72%、76%、及び90%の阻害がもたらされた。1mg/kg、3mg/kg、又は10mg/kgの化合物Bによるマウスの処置の結果、(コリン生成により測定されるように)トラフ血漿オートタキシン活性の約49%、67%、及び75%の阻害がもたらされた。
【0412】
実施例24:マウスの食事により誘発されたNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)肝臓線維症モデル
生後2日目に低用量のストレプトゾトシンをマウスに注入し、次いで、4週齢から12週齢になるまで、高脂肪食を与えた。6週齢から、マウスを試験化合物で処置する。研究の終わりに、マウスを屠殺し、血液を採取して、非空腹時血糖とALT/ASTを判定する。肝臓を採取し、重さを量り、肝臓線維症及び肝臓トリグリセリドの生化学分析のために−80℃で凍結させるか、又は肝臓線維症、脂肪肝、及び炎症の組織学的評価のために中性緩衝化ホルマリンに固定した。肝臓線維症の生化学的評価のために、ヒドロキシプロリンアッセイを使用してコラーゲン濃度について、及びTriglyceride E−testキット(Wako,Japan)を使用して肝臓トリグリセリドについて、肝臓組織ホモジネートを分析した。炎症及び脂肪肝の組織学的評価のために、固定した肝臓組織をヘモトキシン及びエオシン(H&E)で染色し、光学顕微鏡検査を使用して炎症及び脂肪肝の重症度をスコア化する。肝臓線維症の組織学的評価のために、固定した肝臓組織をピクロシリウスレッド(PSR)染色で染色し、光学顕微鏡検査を使用して肝臓繊維症の重症度をスコア化する。
【0413】
この線維症モデルにおいて、10mg/kgで化合物Aは肝臓線維症の著しい減少、及びNAFLD活性スコア(炎症、脂肪肝、及び肝細胞バルーニング(ballooning)スコアの集成値)の著しい減少を示した。
【0414】
実施例25:ラットのジエチルニトロソアミン(DEN)で誘発された肝臓線維症及び肝細胞癌
オスのWistarラットは、1.5mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の全容量で13−18週間、35−100mg/kgのジエチルニトロソアミン(DEN)の腹腔内注射を毎週受け、硬変症と肝細胞癌(HCC)を誘発させる。対照ラットは、同じ体積のPBSの注入を毎週受ける。最初のDEN注入の6−7週間後から、オートタキシン阻害剤又はビヒクルを毎日経口で送達する。研究の終わりに、イソフルラン吸入によりラットを屠殺し、心臓の穿刺により血液を採取して、後にALT/ASTレベルと薬物濃度の分析を行う。肝臓を採取し、線維症の生化学分析のために−80℃で凍結させるか、又は肝臓線維症の組織学的評価のために10%の中性緩衝ホルマリンに固定した。線維症の生化学的評価のために、肝臓組織ホモジネートを、ヒドロキシプロリンアッセイを使用してコラーゲン濃度について分析する。肝臓線維症及びHCCの組織学的評価のために、固定した肝臓組織をピクロシリウス染色及びH&Eで染色し、光学顕微鏡検査を使用して肝臓線維症及びHCCを判定する。
【0415】
この動物モデルにおいて、化合物Aには、5mpkで肝臓線維症の減少に対する陽性の効果があった。
【0416】
実施例26:ブレオマイシンで誘発された皮膚線維症のマウスモデル
ブレオマイシンで誘発された皮膚線維症のマウスモデルを使用して、皮膚線維症に対するオートタキシン阻害剤の効果を評価した。方法は、(Yamamoto, T et al. The Journal of Investigative Dermatology, 112: 456−462, 1999)から採用した。C57Bl/6マウスにイソフルランで麻酔をかけ、下方の背側部の両側を削り2つの区域を作った。滅菌濾過したPBS(又はPBS対照)において調製したブレオマイシン(100μlにおいて10−50μg)を、合計4週(28日)、1週当たり5〜7日にわたり1日1回、削った領域それぞれに皮下投与した。
【0417】
化合物Aと化合物Bを、0.5%のメチルセルロースにおいて調製し、1−28日目(予防的)又は7−28日目(治療的)に1日1回経口で送達した。
【0418】
28日目に、全ての動物を屠殺した。背中の皮膚を取り除き、付着性の皮下脂肪を切り取り、6mmの生検パンチを使用して、各被験体から2つの皮膚サンプルを集めた。1つのサンプルを10%の中性緩衝ホルマリンに固定し、組織学的分析にさらした。第2のサンプルを−80℃で冷凍し、更にヒドロキシプロリンアッセイを使用して、コラーゲン内容物を処理した。
【0419】
この皮膚線維症モデルにおいて、予防的又は治療的に投与されると、化合物Aは皮膚線維症の著しい減少を示した。
【0420】
図1は、6mmの皮膚パンチ生検における平均±SEMヒドロキシプロリン内容物を示す。予防的又は治療的に投与されると、化合物Aは、皮膚ヒドロキシプロリン内容物の著しい減少を示した。
【0421】
この動物モデルにおいて、60mg/kgの化合物Aによるマウスの処置の結果、(コリン生成により測定されるように)トラフ血漿オートタキシン活性のおよそ95%の阻害がもたらされた。
【0422】
実施例27:マウスの片側尿管閉塞症(UUO)腎線維症モデル
C57BL/6マウスは、左腎に対する片側尿管閉塞症(UUO)手術又は偽手術を受ける。簡潔に、縦方向の左上の切開を、左腎を晒すために行う。腎動脈を確認し(located)、絹糸を動脈と尿管の間に通す。糸を尿管に巻き付けて結び、尿管の完全な結紮を確保する。腎臓を腹部に戻し、腹筋を縫合し、皮膚をステープルで閉じる。試験化合物又はビヒクルを、予防的(0日目に開始)又は治療的(3日目に開始)に、毎日1回又は2回、経口送達する。UUO手術の10日後、イソフルランの吸入により動物を全て屠殺する。屠殺後、心臓の穿刺により血液を抜き、両方の腎臓を採取する。各腎臓を、線維症の生化学分析のために−80℃で急速凍結(snap frozen)させるか、又は腎線維症の組織学的評価のために10%の中性緩衝ホルマリンに固定した。腎臓組織ホモジネートを、ヒドロキシプロリンアッセイを使用してコラーゲン内容物について分析する。固定した腎臓組織を、ヘマトキシリン−エオシン(H&E)及びピクロシリウスレッドを使用して染色し、光学顕微鏡検査を使用して腎線維症を判定する。
【0423】
図2は、UUOの後に結紮された及び結紮されていない腎臓におけるヒドロキシプロリン内容物に対する、化合物Aの予防的投与(A)及び治療的投与(B)の効果を示す。
【0424】
化合物Aアッセイの予防的又は治療的投与は、マウスの結紮された腎臓のヒドロキシプロリン内容物をおよそ40%縮小した。
【0425】
実施例28:マウス腹膜線維症モデル
21日の期間にわたって1日おきに、腹膜腔への、15%のエタノール/PBS中に溶解した0.1%のグルコン酸クロルヘキシジン(CG)の注入により、マウスに腹膜線維症を誘発させる。オートタキシン阻害剤又はビヒクルを、予防的(最初のCG注入の当日に開始)又は治療的(最初のCG注入の7日後に開始)に、毎日1回又は2回、経口送達する。研究の終わりに、マウスを屠殺し、腹膜組織を切除する。ヒドロキシプロリンアッセイを使用して、腹膜線維症を生化学的に判定する。
【0426】
図3は、予防的投与後21日目でのマウスの腹膜におけるヒドロキシプロリン内容物に対する化合物Aの効果を示す。
【0427】
毎日2回60mpkで投与された化合物Aは、マウスの腹膜におけるヒドロキシプロリン内容物をおよそ50%縮小した。
【0428】
実施例29:マウスのデキストラン硫酸ナトリウム(DS)で誘発された慢性大腸炎モデル
合計64日の期間にわたり、メスのC57BL/6マウスを、6日間の飲料水中の2%のDSS、その後15日間のDSSを含まない飲料水の3回のサイクルにさらす。オートタキシン阻害剤を、0〜63日目まで毎日1回又は2回、30、60、又は100mpk POで投与する。陽性対照について、シクロスポリンA(CsA)を、1−7、22−28、及び43−49日目に25mpkで投与する。マウスの体重、便の堅さ、出血、及び全体的な疾患活性度指数(DAI)を毎日記録する。64日後、マウスの大腸を取り除き、その長さと重量を記録した。大腸の部分をヘマトキシリン−エオシン染色(H&E染色)で染色し、炎症性細胞浸潤と組織損傷に基づきスコア付けした。大腸の部分をトリクロ―ムでも染色し、線維症についてスコア付けした。
【0429】
この大腸炎モデルにおいて、化合物A又は化合物Bで処置したマウスは、ビヒクルで処置したマウスと比較して、大腸重量/大腸長さ/体重の比率の減少を示した。例えば、大腸炎を誘発されたマウスにおける(大腸体重/大腸長さ/体重)100の比率は、ビヒクルで処置したマウスと比較して、化合物A又は化合物Bで処置したマウスにおいて少なくとも約20%下がった。化合物Bで処置したマウスは、ビヒクルで処置したマウスと比較して、大腸長さの著しい増大を示した。例えば、化合物Bで処置したマウスの大腸長さは、ビヒクルで処置したマウスより少なくとも約30%長かった。
【0430】
実施例30:ラットのジニトロベンゼンスルホン酸(DNBS)で誘発した急性大腸炎モデル
重さ150−160gのオスのWistarラットに、1日目に30%のエタノール中の50mg/mlのDNBSの0.5ml、又はビヒクル対照を、結腸内投与する。オートタキシン阻害剤を、0〜6日目まで毎日1回、0.5%のMCにおいて5mpkで投与する。スルファサラジンを、1〜7日目まで0.5%のCMC−Naにおいて300mpkで投与する。体重及び便の堅さについて、ラットを毎日モニタリングする。研究の終わりに、大腸長さ、大腸重量、潰瘍区域、及びマッソントリクロ―ム染色を評価する。1つのDNBSで誘発された大腸炎モデルにおいて、化合物A及び化合物Bには、潰瘍区域の縮小によって大腸炎に対し陽性の効果があった。
【0431】
この急性大腸炎モデルにおいて、化合物Aと化合物Bには、体重損失又は便の堅さに対して著しい効果はなかった。化合物Aと化合物Bは、スルファサラジンと同様に、潰瘍区域と大腸重量を減らした。例えば、ビヒクルで処置したマウスと比較して、化合物A又は化合物Bでの処置の結果、潰瘍区域の30〜60%の減少がもたらされた。
【0432】
実施例31:高脂肪食を与えられたマウスにおける耐糖能に対するオートタキシン阻害剤の効果
C57Bl6/Jのオスのマウスに、6−10週齢になるまで普通食を与えた。次いで、マウスに8−10週間、普通食(ND)又は高脂肪食(HFD)(20%のタンパク質、35%の炭水化物、45%の脂質;Harlan Laboratories)の何れかを与えた。血糖の判定のために、グルコースチャレンジの前に数日間、毎日1回又は2回、0.5%のメトセルにおいて試験化合物をマウスに経口投与した。耐糖能試験(GTT)の当日、マウスを6−8時間絶食させ、1g/kgのD−グルコース(Sigma)の腹腔内(i.p.)注入の1−3時間前に、試験化合物の最後の用量を経口投与した。尾静脈からの血液を、グルコース負荷(ベースラインのグルコース)の前に、及び、グルコースチャレンジの後に次の120分にわたり15−30分毎にサンプリングして、血糖濃度をモニタリングした。血糖を、グルコースメーター(Accu−Chek, Roche Diagnostics又はAlphaTRAK, Abbott Animal Health)を使用して定量化し、時間に対してプロットした。i.p.のグルコースチャレンジ後の総合血糖曲線下面積(AUC)を、GraphPad Prism6を用いて時間プロットから算出した。
【0433】
サンプリング前に2日にわたり毎日2回、及びサンプリング当日に1回の化合物B(15mg/kg)の投与により、ベースラインのグルコース及び総合血糖AUCが減少した。
【0434】
サンプリング前に5日にわたり毎日1回の化合物A(30mg/kg)の投与により、ベースライングルコースが減少した。
【0435】
実施例32:マウス空気嚢アッセイ
LPA及びオートタキシンの活性を、マウス空気嚢へのカラギーナンの注入により誘発させる。マウス空気嚢アッセイを利用して、カラギーナンで誘発されたオートタキシン活性とLPA生合成を減らす際のオートタキシン阻害剤の薬力学的活性を判定する。1日目に、0.2μmの濾過空気の5mLを肩甲骨部の皮下空間の中に注入することにより、マウスに空気嚢を形成する。3日目に3mLの空気を嚢に注入し、6日目に更に3mlの空気を嚢に注入する。7日目に、試験化合物を経口胃管栄養により投与する。化合物投与後の適切な時間(0−24時間)に、滅菌塩に溶解させたカラギーナンを空気嚢に注入する。カラギーナンチャレンジの2時間後、マウスを屠殺し、心臓の穿刺により血液を抜く。氷冷リン酸緩衝生理食塩水の0.5−1mLのボーラスを空気嚢に注入し、優しくマッサージを行い20秒後、嚢を開いて流体を取り除いた。空気嚢流体のアリコートを、ヒト全血オートタキシンアッセイ(実施例10)に記載されるように、LC−MSによりLPA濃度について分析する。空気嚢流体の別個のアリコートを得て、遠心分離し(800xg、10分)、TOOS方法を使用してATX活性について、又はLCMSにより薬物濃度について分析する。血液から調製した血漿を、LCMSにより薬物濃度について分析する。
【0436】
実施例33:自然転移のマウスモデル
同種のマウスモデルを使用して、腫瘍転移を阻害する際の化合物の効果を試験する。4T1細胞をメスのBalb/cマウスの#7乳房脂肪パッドに注入し、その間マウスは麻酔をかけられている。イソフルオラン麻酔(10−14日目)の下で切除されるまで、原発腫瘍を週に2回、キャリパーにより測定する。4T1細胞の注入後の様々な時間に、試験化合物を毎日経口投与する。4T1注入後の8−11週目に、転移の疑いがあるリンパ節、肺、肝臓、及び他の器官を、組織学的分析のために集める。
【0437】
実施例34:肺転移モデル
実験の肺転移モデルを使用して、肺に注入されたB16−F 10マウスメラノーマ細胞の転移の数を減らす際の化合物の効果を試験する。簡潔に、メスのC57BL/6Jマウス、メスの(BALB/cByJ x C57BL/6J)Fi、マウス(CByB6Fi/J)、無胸腺の裸体のメス及びオスのCByB6Fi/Jマウス(nu/nu)、並びに対照の制御同腹子(nu/nu)を、7−18週齢で使用し、その時これらの重量は18〜28gであった。0.2mLのハンクス液において対数期(およそ5−10×10の細胞)で採取した、B16F10細胞の単細胞浮遊液を、マウスの側面の尾静脈へと静脈内注入する。試験化合物又はビヒクルを毎日送達する。21日後、マウスを屠殺し、肺を取り除く。10%の中性ホルマリンに一晩、肺を固定し、重さを量り、表面にある腫瘍コロニーを、解剖顕微鏡を用いてスコア付けする。
【0438】
実施例35:肝線維症の臨床試験
ヒトにおける肝線維症臨床試験の限定されない例を後述する。
【0439】
目的:この研究の目的は、肝線維症の患者の処置において1つの薬剤としての又は組み合わせでのオートタキシン阻害剤、或いはその薬学的に許容可能な塩の効果を評価すること、1つの薬剤として又は組み合わせで化合物が引き起こし得る副作用に関する情報を集めること、及び、1つの薬剤として又は組み合わせでの化合物の薬物動態特性を評価することである。
【0440】
介入:患者に、1つの薬剤として又は組み合わせで、1日当たり1−100mg/kgのオートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を投与する。
【0441】
詳細な説明:患者に、1つの薬剤として又は組み合わせで、1日1回又は2回、オートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を経口で与える。各投薬サイクルの前に、健康診断、血液検査、及び任意の副作用の評価を行う。
【0442】
主要評価項目:肝酵素(ALT、AST、ALP)、肝生検
【0443】
副次評価項目:薬理学的マーカーは、mRNA発現を介する組織PDマーカー、オートタキシン、LOXL2、LOX、他のLOXLタンパク質、αSMA、コラーゲン1A1、NF−κB1、カスパーゼ1、SMAD、及びNODを含み;血清及び血漿のPDマーカーは、AST対血小板の比率の指標(APRI)、オートタキシン活性、LOXL2、オステオポンチン、ヒアルロン酸、CXCL 9、10及び11、MMP1、MMP3、MMP9、TIMP1、CD40L、TGF−β1、ET−1、VEGF、GAL3、IL−6/IL−8/TNFα/IFNγ、α2−マクログロブリン、アポリポタンパク質A1、PINP、PIIINP、PVCP−1230、PDGFを含み得;肝臓構造及び繊維症のマーカーに対する長期間投与の効果;化合物の複数用量の投与から結果として生じる有害事象の発生率の評価。
【0444】
適格性:18〜60歳の男性及び女性の被験体。
【0445】
包含基準:肝生検上のMetavirスコアによりステージ1−3の線維症;体重(Body mass)の指標<36kg/m2。
【0446】
除外基準:過去又は現在、肝臓代償不全の証拠があること;アンフェタミン、コカイン、アヘン剤、又はアルコールを現在乱用している被験体;臨床的に重度の心臓病;スクリーニング前5年以内に、非黒色腫関連性(melanomatous)の皮膚癌以外の、癌の履歴がある;全身に制御されない真菌、細菌、ウイルス又は他の感染がある;前処置段階の28日以内に全身性の免疫抑制剤を使用している;前処置段階の28日以内にC型肝炎又はB型肝炎のウイルスのために承認された治療を受けている;妊娠している又は乳を分泌している;研究1日目の時点で過去6か月以内に出血性素因の履歴がある。
【0447】
実施例36:脂肪肝疾患/脂肪症(NAFLD、NASH)の臨床試験
ヒトにおける脂肪肝疾患/脂肪症の臨床試験の限定されない例を後述する。
【0448】
目的:この研究の目的は、肝細胞癌の患者の処置において1つの薬剤としての又は組み合わせでのオートタキシン阻害剤、或いはその薬学的に許容可能な塩の効果を評価すること、1つの薬剤として又は組み合わせで化合物が引き起こし得る副作用に関する情報を集めること、及び、1つの薬剤として又は組み合わせでの化合物の薬物動態特性を評価することである。
【0449】
介入:患者に、1つの薬剤として又は組み合わせで、1日当たり0.1−100mg/kgのオートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を投与する。
【0450】
詳細な説明:患者に、1つの薬剤として又は組み合わせで、1日1回又は2回、オートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を経口で与える。各投薬サイクルの前に、健康診断、血液検査、及び任意の副作用の評価を行う。
【0451】
適格性:21〜80歳の男性及び女性の被験体。
【0452】
包含基準:非アルコール性脂肪肝疾患又は非アルコール性脂肪症を臨床的に確認した診断を持つ患者;無作為化のわずか90日前に得られる肝生検に基づいて明確な又は高可能性の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の組織学的証拠、及び4以上の非アルコール性脂肪肝疾患活性スコア(NAS)を持つ患者。
【0453】
除外基準:現時点又は過去の、著しいアルコール消費、無作為化の前の年で2週間以上にわたる非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)に歴史的に関連する薬物の使用(アミオダロン、メトトレキサート、全身性グルココルチコイド、テトラサイクリン、タモキシフェン、ホルモン置換に使用したものより多くの用量のエストロゲン、アナボリックステロイド、バルプロ酸、及び他の既知のヘパトトキシン)、以前の又は計画された(研究期間中の)肥満手術(例えば胃形成術、roux−en−Yの胃バイパス)、登録前60日以内にヘモグロビンA1c 9.5%以上として定義される未制御の糖尿病、肝生検上の硬変症の存在、100,000/mmより下の血小板数;以下の異常の何れかの存在により明らかとなるような肝臓の代償不全の臨床的な証拠:3.2グラム/デシリットル(g/dL)未満の血清アルブミン、1.3超のINR(国際正常化比)、1デシリットル当たり1.3ミリグラム(mg/dL)を超える直接型ビリルビン、食道静脈瘤の履歴、腹水又は肝性脳障害;慢性肝疾患の他の形態:B型肝炎表面抗原(HBsAg)の存在により定義されるようなB型肝炎、C型肝炎ウイルス(HCV)リボ核酸(RNA)又は陽性のC型肝炎抗体(抗HCV)の存在により定義されるようなC型肝炎の証拠、適合性の肝臓組織構造により定義されるような進行中の自己免疫性肝疾患、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、ウイルソン病、α1−アンチトリプシン(A1AT)欠失の証拠、ヘモクロマトーシス又は鉄過剰症の履歴、典型的な曝露及び履歴に基づき定義されるような薬物誘発性肝疾患、既知の胆管閉塞、疑われた又は証明された肝臓癌、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)以外の他のタイプの肝臓病;1リットル当たり300ユニット(U/L)を超える血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT);2.0mg/dL以上の血清クレアチニン;登録前90日以内にウルソデオキシコール酸(Ursodiol、Urso)の使用;肝生検を安全に得ることができない、胆汁分流の履歴がある、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染に陽性であることが分かっている;妊娠している、妊娠の予定がある、妊娠する可能性がある、及び、試験中に有効な受胎調節を用いることを望んでいない、授乳中である。
【0454】
主要評価項目:肝機能検査、肝生検、NASスコア。
【0455】
副次評価項目:線維症のバイオマーカー、肝臓の撮像(超音波、MRI)、HOMA−IRによる測定値としてのインスリン抵抗性、脂質パネル。
【0456】
実施例37:潰瘍性大腸炎の臨床試験
ヒトにおける潰瘍性大腸炎の臨床試験の限定されない例を後述する。
【0457】
目的:この研究の目的は、潰瘍性大腸炎の患者の処置において1つの薬剤としての又は組み合わせでのオートタキシン阻害剤、或いはその薬学的に許容可能な塩の効果を評価すること、1つの薬剤として又は組み合わせで化合物が引き起こし得る副作用に関する情報を集めること、及び、1つの薬剤として又は組み合わせでの化合物の薬物動態特性を評価することである。
【0458】
介入:患者に、1つの薬剤として又は組み合わせで、1日当たり0.1−100mg/kgのオートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を投与する。
【0459】
詳細な説明:患者に、1つの薬剤として又は組み合わせで、1日1回又は2回、オートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を経口で与える。各投薬サイクルの前に、健康診断、血液検査、及び任意の副作用の評価を行う。
【0460】
主要評価項目:大腸炎及び/又はIBDに関するMayoスコア又は他の適切な疾患活性度指数の改善
【0461】
副次評価項目:軟性S状結腸鏡及び生検による組織学的評価の改善;出血スコア;生活の質の器機(quality of life instruments)(IBDQ、SF36);炎症及び線維症のマーカーに対する長期間投与の効果の評価;全体的な安全性の評価
【0462】
適格性:18〜65歳の男性及び女性の被験体。
【0463】
包含基準:
少なくとも3か月の間の大腸炎の診断の確認。
【0464】
除外基準:過去又は現在、肝臓代償不全の証拠があること;クローン病;入院している又は毒性徴候を示す患者;結腸直腸癌又は結腸直腸異形成の履歴;ALP、ALT、AST、又はビリルビン>1.5×正常;妊娠している又は乳を分泌している。
【0465】
実施例38:胆汁うっ滞性そう痒症の臨床試験
ヒトにおける胆汁うっ滞性そう痒症の臨床試験の限定されない例を後述する。
【0466】
目的:この研究の目的は、胆汁うっ滞性そう痒症の患者の処置においてオートタキシン阻害剤、或いはその薬学的に許容可能な塩の効果を評価すること、化合物が引き起こし得る副作用に関する情報を集めること、及び、1つの薬剤として又は組み合わせでの化合物の薬物動態特性を評価することである。
【0467】
介入:患者に1日当たり1−100mg/kgのオートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を投与する。
【0468】
詳細な説明:患者に、1日1回又は2回、オートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を経口で与える。各投薬サイクルの前に、健康診断、血液検査、及び任意の副作用の評価を行う。
【0469】
適格性:21〜80歳の男性及び女性の被験体。
【0470】
包含基準:胆汁うっ滞性障害の結果としてそう痒症を患う患者。
【0471】
除外基準:コレスチラミンを使用している;妊娠している;悪性腫瘍/平均余命<6か月。
【0472】
主要評価項目:肝酵素(ALT、AST、ALP)の標準化、視覚的な類似体スコアに従うそう痒症の減少。
【0473】
副次評価項目:生活の質のスコアの改善;そう痒症スコア/引っかき傷(scratch lesions)の減少。
【0474】
実施例39:肺線維症の臨床試験
ヒトにおける肺線維症の臨床試験の限定されない例を後述する。
【0475】
目的:この研究の目的は、肺線維症の患者の処置において1つの薬剤としての又は組み合わせでのオートタキシン阻害剤、或いはその薬学的に許容可能な塩の効果を評価すること、1つの薬剤として又は組み合わせで化合物が引き起こし得る副作用に関する情報を集めること、及び、1つの薬剤として又は組み合わせでの化合物の薬物動態特性を評価することである。
【0476】
介入:患者に、1つの薬剤として又は組み合わせで、1日当たり1−100mg/kgのオートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を投与する。
【0477】
詳細な説明:患者に、1つの薬剤として又は組み合わせで、1日1回又は2回、オートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を経口で与える。各投薬サイクルの前に、健康診断、血液検査、及び任意の副作用の評価を行う。
【0478】
主要評価項目:死亡が無い、又は少なくとも10%のFVCにおけるベースラインからの減少として明らかとなるような、無増悪生存率。
【0479】
副次評価項目:IPFの急性増悪の数;健康関連の生活の質;ベースラインからの休息時及び運動時のPO2;ベースラインからの休息時及び運動時のP(A−a)O2;ベースラインから予測されたFEV1;ベースラインからのFVCに対する一秒間強制呼気容量(FEV1);ベースラインからのプレチスモグラフの肺容量;ベースラインからの一酸化炭素(DLco)に関する拡散容量;ベースラインからの6分の歩行試験:休息及び6分のSpO2、6分の歩行の終わりに88%以下までの脱飽和の存在又は不在、歩行距離;修飾前と修飾後のBorg呼吸困難スコア;ベースラインからの、2つの独立した胸部放射線専門医に従った、HRCT上での肺線維症の範囲のスコア付け;悪影響の数及び重症度。
【0480】
適格性:40〜80歳の男性及び女性の被験体。
【0481】
包含基準:少なくとも3か月の間のIPFの臨床症状;予測値の50〜90%の強制肺活量(FVC);予測値の少なくとも35%のDLco;休息時の呼吸中、PaO2>55mm Hg;IPFの明確又は起こり得る基準を示す、高分解能コンピュータ断層撮影(HRCT)。
【0482】
除外基準:既知の繊維形成剤(トリ、カビ、アスベスト、放射線、及び、肺線維症を引き起こすと知られる薬剤(アミオダロン、ニトロフラントイン、ブレオマイシンなど))への臨床的に著しい曝露;神経線維腫症、ヘルマンスキー−プドゥラック症候群、代謝性貯蔵障害等の履歴;発熱、体重減少、筋肉痛、関節痛、皮疹、関節炎の履歴;登録前1週以内の活発な感染;間質性肺疾患の別の原因;気管支拡張薬の使用の後0.6未満のFVCに対する、一秒間強制呼気容量(VEF1)の比率;予測値の120%を超える残気量(利用可能な場合);気管支肺胞洗浄(BAL)における20%超のリンパ球又は好酸球(利用可能な場合);経気管支又は外科的な生検における、肉芽腫、感染、又は悪性腫瘍(利用可能な場合);アザチオプリン、プレドニゾロン(少なくとも3か月にわたり>0.5mg/kg/日以上)、シクロホスファミド、又は新しいバイオ新薬による先の治療;不安定な心血管又は神経の疾患;未制御の糖尿病;妊娠している;授乳中;翌年内に調査者により予測されたように死の可能性がある;白血球の血球数<4000/mm;血小板数<100,000/mm;ヘマトクリット<30%又は>59%;正常範囲の上部限界の3倍を超える肝酵素;クレアチニンレベル>1.5gm/dl;アルブミンレベル<3g/dL;患者又は保護者によるインフォームドコンセントへの署名の拒絶。
【0483】
実施例40:膵臓癌のための臨床試験
ヒトにおける膵臓癌の臨床試験の限定されない例を後述する。
【0484】
目的:この研究の目的は、膵臓癌の患者の処置において1つの薬剤としての又は組み合わせでのオートタキシン阻害剤、或いはその薬学的に許容可能な塩の効果を評価すること、1つの薬剤として又は組み合わせで化合物が引き起こし得る副作用に関する情報を集めること、及び、1つの薬剤として又は組み合わせでの化合物の薬物動態特性を評価することである。
【0485】
介入:患者に、1つの薬剤として又は組み合わせで、1日当たり1−100mg/kgのオートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を投与する。
【0486】
詳細な説明:患者に、1つの薬剤として又は組み合わせで、1日1回又は2回、オートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を経口で与える。各投薬サイクルの前に、健康診断、血液検査、及び任意の副作用の評価を行う。
【0487】
適格性:膵臓癌を患う21〜80歳の男性及び女性の被験体。
【0488】
包含基準:測定可能な進行膵臓癌(ステージII、II、IV)のX線検査又は臨床的な証拠。被験体には、少なくとも直径2cmの測定可能な疾患がなければならない。0又は1のECOGパフォーマンスステータス。
【0489】
除外基準:被験体に、1年以上にわたり疾患が無い限り、悪性腫瘍(乳房の基底細胞癌、扁平上皮癌、又は上皮内癌以外)の前の履歴。中程度又は重度の心臓病;活発な感染;妊娠していない又は授乳していない;陰性の妊娠試験;妊娠可能な患者は、研究処置中、及びその完了の≧3か月の間、有効な避妊を使用しなければならない;経口薬を呑み込むことができる;皮膚の上皮内癌、基底細胞癌、又は扁平上皮癌を除き、過去5年以内に他の悪性腫瘍がない;過敏症が無い、又はスタチンに対し不耐性ではない;ロスバスタチン投与又は延長したフォローアップを妨げる、他の非悪性の全身性疾患がない。
【0490】
主要評価項目:無増悪生存率、粗生存率、疼痛の悪化、疼痛の発症。
【0491】
副次評価項目:腫瘍サイズ/反応(RECIST)
【0492】
実施例41:肝細胞癌(HCC)の臨床試験
ヒトにおける肝細胞癌の臨床試験の限定されない例を後述する。
【0493】
目的:この研究の目的は、肝細胞癌の患者の処置において1つの薬剤としての又は組み合わせでのオートタキシン阻害剤、或いはその薬学的に許容可能な塩の効果を評価すること、1つの薬剤として又は組み合わせで化合物が引き起こし得る副作用に関する情報を集めること、及び、1つの薬剤として又は組み合わせでの化合物の薬物動態特性を評価することである。
【0494】
介入:患者に、1つの薬剤として又は組み合わせで、1日当たり1−100mg/kgのオートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を投与する。
【0495】
詳細な説明:患者に、1つの薬剤として又は組み合わせで、1日1回又は2回、オートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を経口で与える。各投薬サイクルの前に、健康診断、血液検査、及び任意の副作用の評価を行う。
【0496】
適格性:21〜80歳の男性及び女性の被験体。
【0497】
包含基準:肝細胞癌の組織病理学的又は臨床的に確認された診断を持つ患者;標準的治療に無反応、標準的治療に耐えられない、又は適切な治療が無い;0−2のECOGパフォーマンスステータスのスコア。
【0498】
除外基準:原発性悪性腫瘍の患者;肝移植の履歴;脳転移;インフォームドコンセントの獲得、又は試験の実行を困難なものにし得る精神障害;妊娠していない又は授乳していない;妊娠可能な患者は、研究処置の完了の≧3か月の間に、及びその期間にわたり、有効な避妊を使用しなければならない;皮膚の上皮内癌、基底細胞癌、又は扁平上皮癌を除き、過去5年以内に他の悪性腫瘍がない。過敏症が無い、又はスタチンに対し不耐性ではない。ロスバスタチン投与又はフォローアップの延長を妨げる、他の非悪性の全身性疾患がない。
【0499】
主要評価項目:進行までの時間、無増悪生存率、全体的な反応(RECIST)。
【0500】
副次評価項目:肝機能検査、腫瘍バイオマーカー
【0501】
実施例42:多発性硬化症の臨床試験
【0502】
ヒトにおける多発性硬化症の臨床試験の限定されない例を後述する。
【0503】
目的:この研究の目的は、多発性硬化症の患者の処置において1つの薬剤としての又は組み合わせでのオートタキシン阻害剤、或いはその薬学的に許容可能な塩の効果を評価すること、1つの薬剤として又は組み合わせで化合物が引き起こし得る副作用に関する情報を集めること、及び、1つの薬剤として又は組み合わせでの化合物の薬物動態特性を評価することである。
【0504】
介入:患者に、1つの薬剤として又は組み合わせで、1日当たり1−100mg/kgのオートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を投与する。
【0505】
詳細な説明:患者に、1つの薬剤として又は組み合わせで、1日1回又は2回、オートタキシン阻害剤又はその薬学的に許容可能な塩を経口で与える。各投薬サイクルの前に、健康診断、血液検査、及び任意の副作用の評価を行う。
【0506】
主要評価項目:多発性硬化症機能性複合体(MSFC)スコア、又はMSにおける症状の反応と再発を評価するのに適切な他のもの。
【0507】
副次評価項目:Functional Systems Scores(FSS)及びExpanded Disability Status Scale(EDSS);Multiple Sclerosis Quality of Life 54 items(MSQOL−54);Timed 25−foot walk;Nine−hole peg testにより測定されるような、多発性硬化症の1以上の兆候又は症状の脳のMRIによる改善に対して評価された新たなGdE病変の総数
【0508】
適格性:18〜65歳の男性及び女性の被験体。
【0509】
包含基準:多発性硬化症の診断の確認。
【0510】
除外基準:妊娠している又は乳を分泌している。
【0511】
本明細書に記載される実施例及び実施形態は、例示的目的のみのものであり、当業者に示唆される様々な修正又は変更は、本出願の精神及び範囲、並びに添付された請求項の範囲内に含まれるべきものである。
図1
図2
図3
図4