(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873922
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】タービンエンジンのTiAlブレードを製造する方法
(51)【国際特許分類】
B23P 13/02 20060101AFI20210510BHJP
B21J 5/00 20060101ALI20210510BHJP
B21K 3/04 20060101ALI20210510BHJP
B21C 23/00 20060101ALI20210510BHJP
C22F 1/18 20060101ALI20210510BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20210510BHJP
F01D 5/28 20060101ALI20210510BHJP
C22C 14/00 20060101ALN20210510BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20210510BHJP
C22C 21/00 20060101ALN20210510BHJP
B23P 15/02 20060101ALN20210510BHJP
【FI】
B23P13/02
B21J5/00 E
B21K3/04
B21C23/00 A
C22F1/18 H
F02C7/00 D
F01D5/28
!C22C14/00 Z
!C22F1/00 612
!C22F1/00 624
!C22F1/00 630A
!C22F1/00 630C
!C22F1/00 650A
!C22F1/00 651B
!C22F1/00 682
!C22F1/00 683
!C22F1/00 694B
!C22F1/00 694Z
!C22C21/00 N
!B23P15/02
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-561262(P2017-561262)
(86)(22)【出願日】2016年5月26日
(65)【公表番号】特表2018-528864(P2018-528864A)
(43)【公表日】2018年10月4日
(86)【国際出願番号】FR2016051244
(87)【国際公開番号】WO2016189254
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2019年5月10日
(31)【優先権主張番号】1554696
(32)【優先日】2015年5月26日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(73)【特許権者】
【識別番号】306047664
【氏名又は名称】サフラン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルコント,ジルベール
(72)【発明者】
【氏名】フランシェ,ジャン−ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】サロ,ピエール
【審査官】
中里 翔平
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第02423340(EP,A1)
【文献】
特開平05−247566(JP,A)
【文献】
特開2007−056340(JP,A)
【文献】
米国特許第05411700(US,A)
【文献】
特開平11−010270(JP,A)
【文献】
特開2005−238334(JP,A)
【文献】
特開2001−316743(JP,A)
【文献】
特開2004−353669(JP,A)
【文献】
特開平09−003503(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第104328501(CN,A)
【文献】
RU 2254200 C1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 13/00−13/04
B21C 23/00
B21J 5/00
B21K 3/04
B23P 15/00−15/52
C22C 14/00
C22C 21/00
C22F 1/00
C22F 1/18
F01D 5/00− 5/34
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタンアルミナイドで作られた、タービンエンジンブレード(4)を製造する方法であって、
(E1)チタンアルミナイドインゴット(1)を成形するステップと、
(E2)金型(53)の開口(52)を通してインゴット(1)を押し出すステップであって、開口(52)は、主枝(25)および主枝(25)に対して略直角な少なくとも1つの側枝(26)を有する断面を有するバーの形状を有する押出インゴット(2)を得るように、メインスロット(55)、およびそれに対して略直角なメインスロット(55)の末端のうちの1つから延在する少なくとも1つのサイドスロット(56)を有する、ステップと、
(E3)押出インゴットのセクション(3)を得るように、押出インゴット(2)を横に切断するステップと、
(E4)タービンエンジンブレード(4)を得るように、押出インゴットの各セクション(3)を鍛造するステップと、
を含み、製造方法は、
鍛造は、600度から950度の間の温度の高温金型内で実行されることと、
インゴット(1)は粉末噴霧によって成形されることと、
製造方法は、押出(E2)の前にインゴット(1)のクラッディングステップ(E1‘)と、押出ステップ(E2)と鍛造ステップ(E4)との間にストリッピングステップ(E6)と、をさらに含むことを特徴とする、製造する方法。
【請求項2】
金型(53)の開口(52)が、主枝(25)、およびそれに対して直角に、主枝(25)の末端のうちの1つから延在する単一の側枝(26)を有する断面を有するバーの形状の押出インゴット(2)を得るように、それに対して直角に、メインスロット(55)の末端のうちの1つから延在する単一のサイドスロット(56)を有する、請求項1に記載のタービンエンジンブレード(4)を製造する方法。
【請求項3】
金型(53)の開口(52)が、主枝(25)、その一端から主枝(25)に対して略直角に延在する第一側枝(26)、およびその他端から主枝(25)に対して略直角に延在する第二側枝(27)を有する断面を有するバーの形状の押出インゴット(2)を得るように、それに対して略直角に、メインスロット(55)の一端から延在する第一サイドスロット(56)と、それに対して略直角にメインスロット(55)の他端から延在する第二サイドスロット(57)と、を有する、請求項1に記載のタービンエンジンブレード(4)を製造する方法。
【請求項4】
鍛造が外気中で実行される、請求項1から3のいずれか一項に記載のタービンエンジンブレード(4)を製造する方法。
【請求項5】
鍛造ステップの後に加工ステップをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のタービンエンジンブレード(4)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンエンジンのブレードを製造する方法の分野に関する。ビンエンジンロータブレードの製造に有利に適用されるが、整流器ブレードの製造にも適用可能である。
【背景技術】
【0002】
従来、
図1aに示されるように、タービンエンジンの可動ブレード4は、ブレードの近位および遠位(すなわち、内側および外側)末端の間に、ブレードの主軸に沿って延在する翼30を備える。その近位末端において、ブレード30は、それによりタービンエンジンに、詳細にはタービンエンジンロータブレードの場合タービンエンジンのロータのディスクに取り付けられる、根元10を備える。その遠位末端または自由端では、ブレード30は、ヒール20と称される横要素を備えることができる。いくつかの可動ブレード30がロータディスクに取り付けられているとき、それらのヒール20は、タービンエンジンを通るガスのフローストリームの外側を区切り、こうしてこの位置でガス漏れを制限する機能を特に有する外周リングを形成するように、縁同士隣り合わせで設けられている。
【0003】
動作中、タービンエンジン可動ブレード4の回転は、以下荷重軸Acと称される、可動ブレード4の主軸の方向に向けた遠心力を発生する。詳細には、翼30とロータディスクとの間に機械的接続を提供する根元10は、ブレードの荷重軸Acに沿って配向されたかなりの機械的応力の部位である。
【0004】
タービンエンジン可動ブレード4は従来、伝統的な鋳造によってニッケル系合金から製造される。
【0005】
また、以下チタンアルミナイドまたはTiAlと称される、チタンアルミナイド系の金属化合物合金が知られているが、これは少量のアルミニウムおよびチタン原子がジルコニウム、鉄、モリブデン、シリコン、またはニオブなど別の原子に置換可能なチタンアルミナイドからなる合金である。
【0006】
TiAl合金は、750℃までは、伝統的な鋳造におけるニッケル系合金に匹敵する固有の機械的特性を有する。TiAl合金は、少なくとも部分的に、その機械的強度を増加させる薄層粒子構造を有する。加えて、TiAlは4程度の小さい比重を有し、これは8程度であるニッケル系合金よりも著しく低い。タービンエンジンブレードの体積を減少させる目的で、TiAlタービンエンジンブレードの製造がニッケル系合金の代わりと考えられてきたのは、このためである。
【0007】
しかしながらTiAl合金は、タービンエンジン可動ブレードの製造での使用を複雑にするいくつかの不都合を有する。詳細には、これらは低温では脆く、不良に対する伸張性が低くなり、亀裂に対する弾性が低下すると解釈される。
【0008】
また、工業鍛造性ウインドウ、すなわち温度と成形率との間の妥協範囲は非常に狭いので、タービンエンジン可動ブレードを製造するためのTiAl合金の成形は非常に繊細である。これらの合金の凝固速度が速いため最終部品をかなりのパイピング(piping)および孔隙率の危険性に曝すので、鋳造性もまた問題である。
【0009】
図1bに示されるように、TiAlの可動ブレードを鋳造によって製造することが提案されており、インゴットはステップE11で液体金属鋳造(VIM)によって成形されてからステップE12で鋳造によって成形され、その後ステップE14の間に固体から加工する前に良好な特性を付与するための熱間等静圧圧縮成形(HIP)のステップE13が続く。鋳造によるTiAl合金の成形は、完成リブすなわち最終部品の形状を有する部品を製造するための十分に薄いセクションを鋳造させないTiAl合金の劣った鋳造性のため、極めて困難である。したがって、最終部品を得るために鋳放し品の全周を加工する必要がある。
【0010】
図1bに示されるように、TiAlの可動ブレードを鍛造によって製造することが提案されており、ステップE11における液体金属鋳造(VIM)によってあるいはインゴットはクラッディング7でステップE12における粉末噴霧によって成形され、次いでHIPステップE13およびストリッピングステップE15が続き、その後ステップE17で従来の鍛造による成形が行われる。従来の熱間型鍛造E17によるTiAl合金の成形もまた非常に困難である。実際、TiAl合金向けにいかなる工業鍛造性ウインドウを決定することも可能ではなく、すべての試験は鍛造部品の亀裂という結果を招いた。加えて、従来の鍛造法E17は、最終部品を直接的に鍛造させるものではない。実際、鍛造ステップ後にかなり過剰な厚さが残るので、最終部品を得るために最終加工ステップE18を実行する必要がある。恒温鍛造E16は完成リブに著しく近付けるものの、かなりの加工ステップ18が必要なままである。また、主に金型の寿命が短いため、恒温鍛造E16は非生産的かつ高額である。
【0011】
加えて、TiAl合金を実現するための従来技術の方法のすべてにおいて、良好な特性を付与するために熱間等静圧圧縮成形(HIP)ステップE13を用いる必要がある。このステップは高額であり、特定の形状を材料に付与することができず、粒径を増加させる傾向がある高温を伴う。
【0012】
したがって、これらの不都合を有していない、TiAl合金を成形することによってタービンエンジン可動ブレードを製造する方法の重要な必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、TiAl合金を成形することによってタービンエンジンブレードを製造する方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のため、本発明は、チタンアルミナイドで作られたタービンエンジンブレードを製造する方法であって、
チタンアルミナイドインゴットを成形するステップと、
その断面が主枝および主枝に対して略直角の少なくとも1つの側枝を有するバーの形状を有する押出インゴットを得るように、メインスロットおよび少なくとも1つのサイドスロットを有する金型の開口を通してインゴットを押し出すステップと、
押出インゴットのセクションを得るように、押出インゴットを横切断するステップと、
タービンエンジンブレードを得るように、押出インゴットの各セクションを鍛造するステップと、
を含む方法を提案する。
【0015】
「略直角」とは、主枝に対してわずかに傾斜した側枝が考えられることを意味し、この傾斜は場合により数度から10度または30度である。
【0016】
押出は、合金の流動応力、すなわち合金の塑性変形を生じるために必要とされる応力を低減するように、TiAl合金の構造を改良する。すると押出後に、リブに近い、すなわちブレードの最終形状および最終寸法に近い部品を得るために従来の鍛造手段を採用することが可能となるが、これは従来技術の方法では不可能であった。このように本発明はその後の加工ステップを制限できるようにし、その結果として時間を節約し、無駄になる材料の量を削減できるようにする。
【0017】
提案された方法は、熱間等静圧圧縮成形ステップを省略できるようにする。
【0018】
押出は押出インゴットに対して同時に、主枝および主枝に対して略直角の少なくとも1つの側枝を有する断面形状を付与できるようにし、これにより、第一側枝内に鍛造によってブレードの根元が、およびもしあれば第二側枝内にヒールが、成形可能となる。このため押出インゴットの形状は最終部品の形状と近似し、これにより従来の鍛造の最終ステップの間に必要な変形を減少させる。
【0019】
最後に、押出インゴットの側枝の鍛造は、変形作業の影響により、合金の薄層の配向をブレードの荷重軸に対して直角な方向にする。ブレードの荷重軸に対して直角な方向の合金の薄層の配向は、動作中に受けることになる機械的応力に対するブレードの耐性を増加させる。
【0020】
粉末から、ならびに容器押出、ストリッピング、および鍛造ステップから作られたインゴットを組み合わせて使用することで、化学的に均質な微細構造を有し、小粒径を有するバーが得られるようになる。インゴットが粉末噴霧によって作られる場合、押出ステップにより、粉末の圧縮、その焼結、およびその成形を単一のステップにまとめることができ、精密な微細構造を保持することができる。
【0021】
米国特許第5411700号明細書は、コラム3の18から27行目で、緻密化は95%のみであり、押出に先立って容器は除去されると述べられており、これは本発明には該当しない。実際、容器内の粉末の押出は、構造を改良する、緻密化を100%にする圧縮と、形状押出の場合の最終鍛造に先立つ成形と、の両方を可能にする。
【0022】
加えて、米国特許第5411700号明細書のような95%の緻密化は、鍛造条件にかかわらず、かなりの亀裂を生じるだろう。
【0023】
本発明は、個別であっても技術的に可能ないずれかの組合せであってもよいが、以下の特徴によって有利に完成する。
【0024】
金型の開口は、主枝および単一の側枝を有する断面を有するバーの形状の押出インゴットを得るように、単一のサイドスロットを有し、ブレードの翼は主枝内で鍛造され、その一方でブレードの根元は側枝内で鍛造されることになる。
【0025】
あるいは、金型の開口は、主枝の断面を有するバーの形状の押出インゴットを得るように、これに対して直角なメインスロットの一端から延在する第一サイドスロット、およびこれに対して略直角なメインスロットの他端から延在する第二サイドスロットを有し、第一側枝はその一端から主枝に対して略直角に延在し、第二側枝はその他端から主枝に対して略直角に延在する。そして翼は主枝内で鍛造され、ブレードの根元は第一側枝内で、ヒールは第二側枝内で鍛造される。
【0026】
鍛造は外気中で実行されるが、これは恒温鍛造よりも制約が少ない。
【0027】
鍛造は600度から950度の間の加工温度で実行されるが、これは恒温鍛造よりも制約が少ない。
【0028】
TiAl48−2−2(Ti−48Al−2Cr−2Nb(原子%))合金では、インゴットが粉末噴霧によって得られるとき、製造方法は、押出の前のインゴットのクラッディングステップ、および押出ステップと鍛造ステップとの間のストリッピングステップを、さらに備える。
【0029】
インゴットは液体金属鋳造によって成形される。インゴットが鋳造によって得られる場合、得られる構造は比較的均質な凝固組織であり、非常に大きい鋳造結晶粒径を有する。この場合、押出は、50μm程度の小粒径が得られるまで粗い初期構造を均質化および改良することになる。
【0030】
インゴットは粉末噴霧によって成形される。微粉末および押出を組み合わせて使用することで、化学的に均質な微細構造を有して小粒径を有するバーが得られるようになる。インゴットが粉末噴霧によって作られる場合、押出ステップにより、粉末の圧縮、その焼結、およびその成形を単一のステップにまとめることができ、特に緻密な微細構造を保持することができるが、これは必要であれば成長可能である。
【0031】
方法は、部品を仕上げる鍛造ステップの後の加工ステップを、さらに備えることができる。
【0032】
本発明はまた、上述のような方法によって得られるタービンエンジンブレードも提案する。
【0033】
上述のような方法によって得られるタービンエンジンブレードは、これを構成する合金の粒子を特徴とする。
【0034】
実際、上述のような方法によって得られるタービンエンジンブレードを構成する合金の粒子は50μm程度のサイズのものであり、別の方法によって得られるタービンエンジンブレードの合金の粒子よりもかなり小さい。
【0035】
加えて、上述のような方法によって得られるタービンエンジンブレードは、合金の薄層粒子がブレードの荷重軸に対して直角な方向で得られるという事実により、別の方法で得られたタービンエンジンブレードとは区別される。
【0036】
本発明はまた、上述のような方法によって得られる少なくとも1つのタービンエンジンブレードを備えるタービンエンジンロータも提案する。
【0037】
本発明はまた、上述のような方法によって得られる少なくとも1つのタービンエンジンブレードを備えるタービンエンジンも提案する。
【0038】
その他の目的、特徴、および利点は、以下の非限定的な図解によって示される図面を参照して、後述される詳細な説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1a】先に説明された、タービンエンジン可動ブレードを示す図である。
【
図1b】先に説明された、従来技術の異なるTiAl成形方法を示す図である。
【
図2a】押出前のインゴット(点線)および押出インゴット(実線)について、加えられた変形に応じた、48−2−2合金で作られたインゴットの流動応力を示すグラフである。
【
図2b】押出前の48−2−2合金で作られたインゴットの断面である。
【
図2c】押出後の48−2−2許可で作られたインゴットの断面である。
【
図3】いくつかの可能性に基づく、本発明による方法の異なるステップを示す図である。
【
図4a】本発明による方法の第一の実施形態を示す図であり、詳細には、押出前のインゴットを示す図である。
【
図4b】本発明による方法の第一の実施形態を示す図であり、詳細には、インゴットの正面図である。
【
図4c】本発明による方法の第一の実施形態を示す図であり、詳細には、押出後のインゴットを示す図である。
【
図4d】本発明による方法の第一の実施形態を示す図であり、詳細には、セクションに切り分けられたインゴットを示す図である。
【
図4e】本発明による方法の第一の実施形態を示す図であり、詳細には、鍛造ステップの概略図である。
【
図4f】本発明による方法の第一の実施形態を示す図であり、詳細には、鍛造ステップ後のインゴットセクションを示す図である。
【
図5a】本発明による方法の第二の実施形態を示す図であり、詳細には、押出前のインゴットを示す図である。
【
図5b】本発明による方法の第二の実施形態を示す図であり、詳細には、金型の正面図である。
【
図5c】本発明による方法の第二の実施形態を示す図であり、詳細には、押出後のインゴットを示す図である。
【
図5d】本発明による方法の第二の実施形態を示す図であり、詳細には、セクションに切り分けられたインゴットを示す図である。
【
図5e】本発明による方法の第二の実施形態を示す図であり、詳細には、鍛造ステップの概略図である。
【
図5f】本発明による方法の第二の実施形態を示す図であり、詳細には、鍛造ステップ後のインゴットセクションを示す図である。
【
図6a】押出ステップを示す図であり、クラッディングのない押出を示す。
【
図6b】押出ステップを示す図であり、クラッディングのない押出を示す。
【
図6c】押出ステップを示す図であり、クラッディングのある押出を示す。
【
図6d】押出ステップを示す図であり、クラッディングのある押出を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図3に示されるように、タービンエンジンブレードを製造する方法は、
チタンアルミナイドインゴット1を成形するステップE1と、
インゴット1を押し出すステップE2と、
押出インゴットのセクションを得るように押出インゴット2を横切断するステップE3と、
タービンエンジンブレード4を得るように押出インゴットのセクション3を鍛造するステップE4と、
を含む。
【0041】
インゴット1の成形
ステップE1は、チタンアルミナイドのインゴット1を成形することからなる。
【0042】
方法は、いずれのタイプのチタンアルミナイドにも適用可能である。
【0043】
詳細には、方法は、以下TiAl 48−2−2と記される、Ti−48Al−2Cr−2Nb(原子%))合金に適用可能である。これは、機械的特性に関して許容可能な妥協となる。
【0044】
詳細には、方法は、化学式Ti−Al(a)Nb(b)Mo(c)B(d)で表されるタイプのいわゆるベータ合金に適用可能であり、ここで「a」、「b」、「c」、および「d」は原子百分率で表され、「a」はおよそ44からおよそ48の間で変動し、「b」はおよそ2からおよそ6の間で変動し、「c」はおよそ0からおよそ2の間で変動し、「d」はおよそ0.01からおよそ1.0の間で変動する。これらの合金は優れた強度および硬度を有する。
【0045】
方法はまた、化学式Ti−Al−Cr−Nb−Si−Fe−Mo−Zrで表されるタイプの合金にも適用可能であり、たとえば原子百分率で44から49%のアルミニウム、0.5から3%のジルコニウム、0.5から3%の鉄、0.5から2%のモリブデン、0.2から0.5%のシリコン、0から3%のニオブを含有し、残りはチタンおよび不可避の不純物で100%となる合金などがある。
【0046】
インゴットは通常、液体金属鋳造(現在「vacuum induction melting(真空誘導溶解)」を略してVIMと称されている方法)によって用意される。液体金属鋳造の間、合金を形成するための異なる構成物質が過熱によって溶解され、その後溶融金属槽が真空下で容器に鋳込まれる。インゴット1は通常、円形断面を有する円筒形状である。この目的のため、容器は中空の円筒形状を有する。
【0047】
インゴットが真空下で容器に鋳込まれる場合、得られる構造は非常に大きい鋳造結晶粒径(300〜500μm程度)を有する比較的均質な凝固組織である。この場合、押出により、50μm程度の小粒径が得られるまで、初期の粗い粒子構造を均質化および改良することになる。
【0048】
ベータタイプ合金は、その調製の間、化学的に分離する傾向がある。押出は、粒径に影響を及ぼしながらも合金の化学的均質性には影響を与えない。後者について、化学的により均質な中間製品を鍛造前に成形するために粉末から開始することが魅力的なのは、このためである。この目的のため、液体金属鋳造の後に粉末噴霧が続く。この方法は、溶解金属槽から得られた物質流を噴霧するステップからなる。物質の液滴は、通常はアルゴンである周囲ガスとの対流交換により、霧化チャンバ内で凝固して粉末を生じる。これは霧化ガス出口で収集されてクラッディング7内に着けられ、たとえばステンレス鋼など、粉末状のものから異なる材料で加工されることが可能である。クラッディング7は通常、中空の円筒形状を有する。粉末を使用することにより冶金的に、分離した合金の均質化問題を修正することが可能となる。粉末を扱い、クラッディングを充填し、これを封止する作業のすべては、酸素による粉末の汚染を制限するように、中性雰囲気下で、または真空下で実行されなければならない。微粉末と押出を組み合わせて使用することで、化学的に均質な微細構造を有し、小粒径を有するバーが得られるようになる。インゴットが粉末噴霧によって用意される場合、押出ステップにより、粉末の圧縮、その焼結、およびその成形を単一のステップにまとめることができ、特に緻密な微細構造を保持することができるが、これは必要であれば成長可能である。
【0049】
インゴット1の押出
ステップE2の間、インゴットは押出によって成形される。押出は、圧縮によってインゴットを成形する。抽出によって成形されたインゴットは、押出インゴット2と称される。ステップE2は、
図6aおよび
図6bに示されるように、金型53の開口52に(いわゆる押出温度まで加熱することによって延性になっている)インゴットを通すことからなる。
図6aに示されるように、一般的に容器51内に載置されているインゴット1は、推力を加えることにより開口52から再出現させるように、プレス機54、通常は油圧プレス、ポンプ、または押出機スクリューによって、金型53の中に押し込まれる。プレス機54によって加えられる特定の力とともに始まって、
図6bに示されるように、金型53の開口52を通るインゴットの塑性流動がある。したがって押出インゴット2は、開口52の形状に対応する横断面の形状を有する。
【0050】
押出は、合金の構造を均質化および非常に強力に改良すること、従って流動応力、すなわち合金の塑性変形を生じるために必要な応力を低減することを、可能にする。
【0051】
押出前の48−2−2合金で作られたインゴットの断面である
図2b、および押出後の48−2−2合金で作られたインゴットの断面である
図2cに見られるように、押出は合金の構造の改良、すなわち合金の粒子のサイズの縮小を可能にする。
図2aに示される発明者らの結果は、押出ステップが48−2−2合金の流動応力を30から40%減少させることを示している。発明者らは、他のTiAl合金、特にTi−45Al−2.4Si合金でも類似の結果を得た。
【0052】
同時に押出は、金型53の開口52の形状によって定義された形状を押出インゴットに付与することも可能にする。金型53の開口52の形状は、押出インゴットの形状が最終部品の形状と近似するように選択され、これにより従来の鍛造の最終ステップの間に必要な変形を減少させる。すると、最終部品の形状に近い部品を従来の鍛造によって得ること、そして最終加工ステップの範囲を定めることが、可能となる。
【0053】
この目的のため、インゴット1は金型の中で押し出され、その開口52はメインスロット55および少なくとも1つのサイドスロット56を有する。サイドスロット56は、
図4bおよび
図5bに示されるように、その末端のうちの1つから、およびその両側から、メインスロット55に対して直角に延在する。
図4cおよび
図5cに示されるように、主枝25および主枝25に対して直角な少なくとも1つの側枝26を有する断面を有するバーの形状を有する押出インゴット2は、このようにして得られる。
【0054】
ここで、側枝はメインスロットに対して略直角である。しかしながら、主枝に対してわずかに傾斜した側枝も想定可能であり、この傾斜は数度から10度または30度になり得る。
【0055】
図4aから
図4fに示される第一の実施形態において、金型53の開口52は、
図4bに示されるように、メインスロット55、およびそれに対して直角にメインスロット55の末端のうちの1つから延在する単一のサイドスロット56を有する。言い換えると、金型53の開口52はT字の形状を有する。インゴットは、
図4cに示されるように、T字型の断面を有し、主枝25および主枝25に対して直角な側枝26を有する形状の押出インゴット2を得るように、押し出される。翼30は主枝25内で鍛造され、その一方でブレードの根元10は側枝26内で鍛造されることになる。
【0056】
図5aから
図5fに示される第二の実施形態において、金型53の開口52は、
図5bに示されるように、メインスロット55、それに対して直角にメインスロット55の一端から延在する第一サイドスロット56、およびそれに対して直角にメインスロットメインスロット55の他端から延在する第二サイドスロット57を有する。言い換えると、金型53の開口52はH字型の断面を有する。インゴットは、
図5cに示されるように、H字型の断面を有し、主枝25、その一端から主枝25に対して直角に延在する第一側枝26、およびその他端から主枝25二対して直角に延在する第二側枝27を有する形状の押出インゴット2を得るように、押し出される。第一の実施形態と同様に、翼30は主枝25内で鍛造され、その一方でブレードの根元10は第一側枝26内で鍛造されることになる。加えて、ブレードのヒール20が第二側枝26内で鍛造されることになる。
【0057】
TiAl 48−2−2合金では、押出は比較的繊細なステップである。鋳造によって成形されたインゴットのクラッドなし押出の試験は、バーの特定領域にしばしば深い亀裂を示すことがある。この場合、インゴット1は、押出中にインゴットの側部冷却を低減し、亀裂を生じる可能性のある局所的に低すぎる温度での変形を回避するように、クラッディングステップE1’の間、たとえばステンレス鋼で作られたクラッディング7によって有利に包囲されている。そのクラッディング7によって包囲されたインゴット1は、押出カップ51を通じて金型53を通る前に押出温度まで上昇させられる。この場合、押出後に、たとえば旋盤加工によって鍛造前にクラッディングを除去することからなる、押出インゴット2のストリッピングステップE6を提供する必要がある。化学的除去によってクラッディング材料を除去することもまた、有利である。
【0058】
その一方、48−2−2よりも良好な鍛造性を付与する、Alは少ないがNbおよびMoが多いベータタイプ合金では、押出はクラッディングなしで実行可能である。
【0059】
処理後の加熱
最終部品の機能性に求められる機械的特性に応じて、制御された微細構造を再生するために、従来の熱処理が必要になり得る。実際、鍛造後の構造は、微細または超微細となる。クリープなど特定の特性は、鍛造後に最適ではなくなる。
【0060】
押出インゴットをセクションに切断
ステップE3の間にインゴットはセクションに切断される。この目的のため、インゴットは、ウォータージェット切断、レーザー切断、またはワイヤ切断など、従来の金属切断技術によって横平面に沿って切断される。
【0061】
鍛造
上記で説明されたように、押出は、鍛造の前に、合金の流動応力、すなわち合金の塑性変形を生じるために必要な応力を低減するように、TiAl合金の構造を改良できるようにする。すると押出後に、ブレードの最終形状に近い部品を得られるようにする従来の鍛造手段を採用することが可能となるが、これは従来技術では不可能であった。従来の鍛造が意味するものは、恒温鍛造とは異なり、外気中で高温の金型を用いる鍛造である。
【0062】
鍛造は、最終部品、すなわちタービンエンジンブレードの形状を呈するように、押出インゴット2に対してかなりの力を加えることからなる。
【0063】
鍛造は、
図4eおよび
図5eに示されるように、制御された速度で油圧によって動かされる金型等の衝撃装置41、およびアンビルあるいは固定金型等の支持体42によって、押出インゴット2に対してかなりの力を加えることによって実行される。
【0064】
押出インゴット2は主枝25および主枝25に対して直角な少なくとも1つの側枝26を有する断面形状を有し、ブレードの翼10は主枝25内で鍛造され、ブレードの根元10は側枝26内で鍛造される。押出インゴットの断面が2つの側枝25および27を有する場合、ブレードの根元10は側枝25のうちの1つ内で、ヒール20は他方の側枝26内で、鍛造されることになる。このため、押出インゴット2の形状は最終部品4の形状と近似し、これにより鍛造ステップの間に必要な変形を減少させる。
【0065】
鍛造によって得られたブレード4は、金属の変形が微視的レベルおよび巨視的レベルの両方で多数の冶金学的現象を生じるので、機械的応力に対してより耐性が高い。
【0066】
詳細には、押出は、押出インゴットの形状のため、ブレードの荷重軸に対して直角な方向に、変形作業の影響を通して、合金の薄層粒子の配向を引き起こす。ブレードの荷重軸に対して直角な方向の合金の薄層粒子の配向は、動作中に受けることになる機械的応力に対するブレードの耐性を増加させる。
【0067】
鍛造は恒温でなくてもよく(恒温鍛造は、鍛造される金属を加熱するための1000度を超える温度で加工が行われる必要がある)、外気中で、通常は600度から950度の間の加工温度の高温金型で、実行されることが可能である。