特許第6873925号(P6873925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6873925縦方向に配向される多層フィルム及びそれらを含む物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873925
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】縦方向に配向される多層フィルム及びそれらを含む物品
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20210510BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20210510BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   B32B27/32 E
   B65D85/50 100
   B65D65/40 D
【請求項の数】7
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-563350(P2017-563350)
(86)(22)【出願日】2016年6月22日
(65)【公表番号】特表2018-521880(P2018-521880A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(86)【国際出願番号】US2016038603
(87)【国際公開番号】WO2017003773
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2019年6月10日
(31)【優先権主張番号】62/187,119
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・マルチネス・バレネチェ
【審査官】 飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104582959(CN,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02875948(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0252745(US,A1)
【文献】 特開2006−007529(JP,A)
【文献】 特表2008−521663(JP,A)
【文献】 特表2001−504875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B65D 65/40
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一軸配向フィルムであって、
(a)第1の層であって、以下:
(i)第1の層の重量に対して60重量%超であり70重量%以下である、メタロセン触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む組成物であって、0.935g/cm〜0.965g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下の分子量分布(MWDを有する組成物、ならびに
(ii)第1の層の重量に対して30重量%以上であり40重量%未満である、0.880g/cm〜0.912g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有するチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレン
を含む第1の層と、
(b)第2の層であって、以下:
(i)第2の層の重量に対して60重量%超であり70重量%以下である、メタロセン触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む組成物であって、0.935g/cm〜0.965g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有する組成物、ならびに
(ii)第2の層の重量に対して30重量%以上であり40重量%未満である、0.880g/cm〜0.912g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有するチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレン
を含む第2の層と、
(c)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有するチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレンを含む、前記第1の層と前記第2の層との間の少なくとも1つの内層と、を備え、
前記フィルムが、:1〜10:1の延伸比で縦方向に配向されており厚さ10〜100μmであり、ASTM D882により測定されるとき85,000psi以上の縦方向2%割線モジュラスを示す、一軸配向フィルム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの内層が、0.912g/cm〜0.935g/cmの密度及び0.5〜6.0g/10分の溶融指数(I)を有する線状低密度ポリエチレンをさらに前記少なくとも1つの内層の重量に対して40重量%未満含む、請求項に記載の一軸配向フィルム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの内層が、100重量%の前記チーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレンを含む、請求項に記載の一軸配向フィルム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの内層が、シングルサイト触媒の存在下で調製された高密度ポリエチレンをさらに前記少なくとも1つの内層の重量に対して40重量%未満含み、前記高密度ポリエチレンが、0.935g/cm〜0.965g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有する、請求項に記載の一軸配向フィルム。
【請求項5】
前記第1の層または第2の層中の前記超低密度ポリエチレンが、100℃以上のピーク溶融点及び100℃以下のVICAT軟化点を有する、請求項1〜のいずれかに記載の一軸配向フィルム。
【請求項6】
請求項1〜のいずれかに記載の一軸配向フィルムを含む、食品包装体。
【請求項7】
請求項1〜のいずれかに記載の第1の一軸配向フィルムと請求項1〜のいずれかに記載の第2の一軸配向フィルムとを含む積層体であって、前記第1及び第2の一軸配向フィルムの前記第1の層が、外層であり、前記第1及び第2の一軸配向フィルムの前記第2の層が、互いに封着され、前記第1の一軸配向フィルム及び前記第2の一軸配向フィルムが、単一吹込みフィルムから形成される、積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一軸配向多層フィルム、及び特に縦方向に配向される多層フィルムに関する。かかるフィルムは、柔軟包装体などの物品において特に有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンフィルムは、高荷重輸送袋、自立パウチ、洗剤用パウチ、小袋などの柔軟包装体で幅広く使用される。用途に応じて、完全性及び/または見映えの点で様々な特性が必要とされ得る。かかる特性には、(1)高光沢、高い透明性、及び低濁度などの優良な光学特性、(2)高い引張り強度、耐破壊性、硬度、及び衝撃耐性などの十分な酷使耐性、ならびに/または(3)低封着開始温度、広い封着ウィンドウ、高封着強度、及び高熱間粘着性などの良好な封着特性が含まれ得る。
【0003】
従来の吹込みまたは流延ポリエチレンフィルムは、自立包装体または積層フィルムとして柔軟包装において幅広く使用されてきた。市場が持続可能性に傾倒しているため、柔軟包装体は薄厚化し続けている。包装用途で使用されるポリエチレンフィルムは、フィルム加工業者及び他の業者により、業者の必要性及び業者の顧客の必要性に対する、より薄く、より丈夫で、より硬く、かつより低経費である解決策を求めて異なる方法を使用して薄厚化されている。例えば、分別溶融指数を有する非常に丈夫な線状低密度ポリエチレン樹脂及び硬くて高密度なポリエチレン樹脂は、ブレンドまたは共押出で組み合わせて使用され、均衡のとれた硬度及び靭性が求められるフィルムを作製する。同様に、吹込みフィルム及び流延フィルムプロセスは、光学特性とフィルムゲージ及び靭性との均衡が求められるフィルムを提供するように最適化されている。しかし、加工プロセス、梱包作業、及び/または最終使用での機能的性能で必要とされる靭性、引き裂き強度、及び/または硬度を犠牲にすることなく、フィルムをどれだけ薄くできるかということについては限界がある。
【0004】
いくつかの例において、二軸配向フィルム(例えば、二軸配向ポリプロピレンフィルム及び二軸配向ポリエチレンフィルム)及び流延ポリプロピレンフィルムは、良好な硬度及び靭性を、薄厚化とともに提供すると見出されている。
【0005】
縦方向配向(MDO)フィルムは、硬度及び光学特性をフィルムに提供する別の手法である。しかし、縦方向に著しく配向されるとき(例えば、6:1〜10:1の延伸比で)、かかるフィルムは、一方向性配向により、縦方向において引き裂き強度が脆弱になり得る。フィルムが縦方向に高比率で伸展されると、フィルムは、縦方向における細線維化及び/または縦方向における引き裂き強度の著しい低下を示す可能性が高いと考えられる。
【0006】
したがって、著しい薄厚化を提供しながら、望ましい機械的特性を提供する新しい縦方向配向フィルムを有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、いくつかの態様において、より効果的に加工され(例えば、配向され)得、かつ望ましい機械的特性を提供し得るポリオレフィンを組み合わせた複数の層を備える一軸配向フィルムを提供する。例えば、いくつかの態様において、本発明のフィルムは、縦方向に配向後に引き裂き強度の限定された低下を示す。いくつかの態様における別の例として、本発明のフィルムは、高い2%割線モジュラス値を示しながら、縦方向において望ましい引き裂き強度を維持し得る。
【0008】
一態様において、本発明は、(a)(i)シングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第1の組成物であって、0.935g/cm〜0.965g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有する、第1の組成物、ならびに(ii)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有するチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレンを含む第1の層と、(b)少なくとも1つのポリオレフィンを含む第2の層と、(c)高密度ポリエチレンを含む、第1の層と第2の層との間の少なくとも1つの内層と、を備える一軸配向フィルムを提供し、ここで、フィルムは、4:1〜10:1の延伸比で縦方向に配向され、フィルムは、ASTM D882により測定されるとき85,000psi以上の縦方向2%割線モジュラスを示す。
【0009】
別の態様において、本発明は、(a)(i)シングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第1の組成物であって、0.935g/cm〜0.965g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有する、第1の組成物、ならびに(ii)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有するチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレンを含む第1の層と、(b)少なくとも1つのポリオレフィンを含む第2の層と、(c)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有するチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレンを含む、第1の層と第2の層との間の少なくとも1つの内層と、を備える一軸配向フィルムを提供し、ここで、フィルムは、4:1〜10:1の延伸比で縦方向に配向され、フィルムは、ASTM D882により測定されるとき85,000psi以上の縦方向2%割線モジュラスを示す。
【0010】
本発明の実施形態は、本明細書に開示されるフィルムから形成された物品(例えば、柔軟包装体、パウチ、自立パウチなど)も提供する。本発明の実施形態は、本明細書に開示されるフィルムのうちの1つ以上を含む積層体も提供する。
【0011】
これらの及び他の実施形態は、発明を実施するための形態でより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例におけるエルメンドルフ引き裂き試験の結果を示すチャートである。
図2】実施例におけるエルメンドルフ引き裂き試験の結果を示す別のチャートである。
図3】実施例における2%割線モジュラス試験の結果を示すチャートである。
図4】実施例における試験のエルメンドルフ引き裂きと2%割線モジュラスとの間の関係を示すチャートである。
図5】実施例における試験のエルメンドルフ引き裂きと2%割線モジュラスとの間の関係を示す別のチャートである。
図6】実施例の試験における正規化されたエルメンドルフ引き裂き値と2%割線モジュラス値との間の関係を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で別途規定されない限り、パーセンテージは、重量パーセンテージ(重量%)であり、温度は、℃である。
【0014】
用語「組成物」は、本明細書で使用される場合、本組成物を含む材料(複数可)、ならびに本組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物を含む。
【0015】
用語「comprising(を含む)」及びその派生語は、任意の追加の構成成分、ステップ、または手順の存在を、それらが本明細書に開示されるかどうかに関わらず排除することを意図しない。一切の疑念を回避するために、用語「を含む」の使用を通して本明細書で主張される全ての組成物には、ポリマー系かそうでないかに関わらず、それに反すると述べられない限り任意の追加の添加剤、補助剤、または化合物が含まれ得る。対照的に、用語「consisting essentially of(から本質的になる)」は、一切の連続的な引用の範囲から、実施性に本質的でないものを除いて、一切の他の構成成分、ステップ、または手順を排除する。用語「consisting of(からなる)」は、具体的に記載または列挙されていない一切の構成成分、ステップ、または手順を排除する。
【0016】
用語「ポリマー」は、本明細書で使用される場合、同じかまたは異なる種類に関わらずモノマーを重合することにより調製されたポリマー化合物を指す。したがって、総称ポリマーは、用語ホモポリマー(1種類のみのモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられ、微量の不純物がポリマー構造中に組み込まれ得ることが理解される)、及びこの後に定義されるような用語インターポリマーを包含する。微量の不純物は、ポリマー中及び/またはポリマー内に組み込まれ得る。
【0017】
用語「インターポリマー」は、本明細書で使用される場合、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合により調製されたポリマーを指す。したがって、総称インターポリマーには、コポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)、及び2つを超える異なる種類のモノマーから調製されたポリマーが含まれる。用語「ポリマー」は、本明細書で使用される場合、同じかまたは異なる種類に関わらずモノマーを重合することにより調製されたポリマー化合物を指す。したがって、総称ポリマーは、1種類のみのモノマーから調製されたポリマーを指すために通常用いられる用語「ホモポリマー」、ならびに2つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマーを指す「コポリマー」を包含する。
【0018】
「ポリエチレン」または「エチレン系ポリマー」は、50重量%超のエチレンモノマー由来単位を含むポリマーを意味するであろう。これは、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマー由来単位を意味する)を含む。当技術分野で既知のポリエチレンの一般的な形態には、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、非常に低密度のポリエチレン(VLDPE)、線状低密度樹脂及び実質的に線状の低密度樹脂の両方(m−LLDPE)を含むシングルサイト触媒線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン(MDPE)、ならびに高密度ポリエチレン(HDPE)が含まれる。これらのポリエチレン材料は概して、当技術分野で知られているが、以下の記載は、これらのいくつかの異なるポリエチレン樹脂間の違いを理解する上で役立つ場合がある。
【0019】
また、用語「LDPE」は、「高圧エチレンポリマー」または「高分岐ポリエチレン」とも称され得、ポリマーが、過酸化物などのフリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)超の圧力で圧力がま、または管形反応器内で部分的にまたは全体的に単独重合または共重合されることを意味すると定義される(例えば、US4,599,392を参照されたく、それは参照により組み込まれる)。LDPE樹脂は典型的には、0.916〜0.935g/cmの範囲の密度を有する。
【0020】
用語「LLDPE」は、従来のチーグラー‐ナッタ触媒系、ならびにビス−メタロセン触媒(時として、「m−LLDPE」と称される)及び拘束幾何触媒を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製される両方の樹脂を含み、線状、実質的に線状、または不均一ポリエチレンコポリマーまたはホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEほどは長くない長鎖分枝を含有し、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、及び米国特許第5,733,155号でさらに定義される実質的に線状のエチレンポリマー;米国特許第3,645,992号のものなどの均質に分岐した線状エチレンポリマー組成物;米国特許第4,076,698号に開示される方法に従って調製されたものなどの不均一に分岐したエチレンポリマー;ならびに/またはそれらのブレンドを含む(US3,914,342またはUS5,854,045に開示されるものなど)。LLDPEは、当技術分野で既知の任意の種類の反応器または反応器構成を使用して、気相、溶相、もしくはスラリー重合、またはそれらの任意の組み合わせにより作製され得、気相及びスラリー相反応器が最も好ましい。
【0021】
用語「MDPE」は、0.926〜0.935g/cmの密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は典型的には、クロムもしくはチーグラー‐ナッタ触媒を使用するか、またはビス−メタロセン触媒及び拘束幾何触媒を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製され、典型的には、2.5超の分子量分布(「MWD」)を有する。
【0022】
用語「HDPE」は、概して、チーグラー‐ナッタ触媒、クロム触媒、またはビス−メタロセン触媒及び拘束幾何触媒を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒で調製される、約0.935g/cm超の密度を有するポリエチレンを指す。
【0023】
用語「ULDPE」は、概して、チーグラー‐ナッタ触媒、クロム触媒、またはビス−メタロセン触媒及び拘束幾何触媒を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒で調製される、0.880〜0.912g/cmの密度を有するポリエチレンを指す。
【0024】
「多峰性」は、分子量分布を示すGPCクロマトグラムにおいて少なくとも2つの異なるピークを有することにより特徴付けられ得る樹脂組成物を意味する。多峰性樹脂は、2つのピークを有する樹脂、ならびに2つを超えるピークを有する樹脂を含む。多峰性樹脂は概して、6.0超のMWD(本明細書で定義されるような)を有する。これらに関して、多峰性樹脂は概して、10超のI10/I値も有する。対照的に、用語「単峰性」は、分子量分布を示すGPCクロマトグラムにおいて1つのピークを有することにより特徴付けられ得る樹脂組成物を指す。単峰性樹脂は概して、6.0以下のMWD及び12以下のI10/I値を有する。
【0025】
ある特定のポリマーは、「シングルサイト触媒」の存在下で調製されているとして、または「シングルサイト触媒化」であるとして特徴付けられる。高効率シングルサイト触媒(SSC)の3つの主要なファミリーは、ポリエチレンコポリマーの調製のために商業的に使用されている。これらは、ビス−シクロペンタジエニルシングルサイトメタロセン触媒(Kaminsky触媒としても既知)、半サンドイッチ拘束幾何モノシクロペンタジエニルシングルサイト触媒(The Dow Chemical Companyによる商標INSITE(商標)技術である拘束幾何触媒、CGCとして既知)、及びポストメタロセン触媒である。シングルサイト触媒の存在下で調製されているとして、またはシングルサイト触媒であるとして特徴付けられるポリマーは、かかる触媒のうちの1つ以上の存在下で調製されていることを理解されたい。
【0026】
本明細書で別途示されない限り、以下の分析方法は、本発明の態様を記載するために使用される。
【0027】
「密度」は、ASTM D792に従って決定される。
【0028】
「溶融指数」:溶融指数」:溶融指数I(またはI2)及びI10(またはI10)はそれぞれ、190℃、ならびに2.16kg及び10kgの投入量でASTM D−1238に従って測定される。それらの値は、g/10分で報告される。「溶融流量」は、ポリプロピレン系樹脂に関して使用され、ASTM D1238(230℃、2.16kg)に従って決定される。
【0029】
「ピーク溶融点」は、フィルムが、毎分10℃の速度で−40℃の温度まで冷却される前に230℃で3分間に条件付けられる示差走査熱量測定(DSC)により決定される。フィルムが−40℃で3分間保たれた後、フィルムは、毎分10℃の速度で200℃に加熱される。
【0030】
「VICAT軟化点」は、ASTM D1525に従って測定される。
【0031】
「結晶化度重量パーセント」は、等式1に従って計算され、
【0032】
【数1】
【0033】
式中、融解熱(ΔH)は、完全ポリマー結晶の融解熱(ΔH)で除算され、次いで、100%が乗算される。エチレン結晶化度に関して、完全結晶の融解熱は、290J/gになるように取られる。例えば、エチレン−オクテンコポリマーは、溶融するとそのポリエチレン結晶化度が、29J/gの融解熱を有するように測定され、対応する結晶化度は、10重量%である。プロピレン結晶化度に関して、完全結晶の融解熱は、165J/gになるように取られる。例えば、プロピレン−エチレンコポリマーは、溶融するとそのプロピレン結晶化度が、20J/gの融解熱を有するように測定され、対応する結晶化度は、12.1重量%である。「融解熱」は、TA Instruments,Inc(New Castle, Del.)のモデルQ1000DSCにより取得されたDSC熱記録を使用して取得される。ポリマー試料は、190℃の初期温度(「初期温度」と表記される)で薄いフィルムに圧入される。約5〜8mgの試料が計量され、DSCパン内に配置される。蓋はパン上で圧着されて、確実に密閉雰囲気にする。DSCパンは、DSCセル内に配置され、次いで、試料の溶融温度を約60℃超の温度(T)まで、約100℃/分の速度で加熱される。試料は、この温度で約3分間保たれる。次いで、試料は、10℃/分の速度で−40℃まで冷却され、その温度で3分間等温に保たれる。次いで、試料は、10℃/分の速度で完全に溶融するまで加熱される。この実験から生じるエンタルピ曲線は、ピーク溶融温度、開始及びピーク結晶化温度、融解熱及び結晶化熱、ならびに目的の任意の他のDSC分析項目に関して分析される。
【0034】
用語、分子量分布または「MWD」は、重量平均分子量対数平均分子量の比(M/M)として定義される。M及びMは、従来のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して、当技術分野で既知の方法に従って決定される。
【0035】
2%割線モジュラスは、ASTM D882に従って測定される。
【0036】
エルメンドルフ引き裂き強度は、ASTM D1922に従って測定される。
【0037】
追加の特性及び試験方法が本明細書でさらに記載される。
【0038】
一態様において、本発明は、(a)(i)シングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第1の組成物であって、0.935g/cm〜0.965g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有する、第1の組成物、ならびに(ii)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有するチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレンを含む第1の層と、(b)少なくとも1つのポリオレフィンを含む第2の層と、(c)高密度ポリエチレンを含む、第1の層と第2の層との間の少なくとも1つの内層と、を備える一軸配向フィルムを提供し、ここで、フィルムは、4:1〜10:1の延伸比で縦方向に配向され、フィルムは、ASTM D882により測定されるとき85,000psi以上の縦方向2%割線モジュラスを示す。いくつかの実施形態において、フィルムは、5:1〜9:1の延伸比で縦方向に配向され得る。いくつかの実施形態において、第1の組成物は、チーグラー‐ナッタ触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーをさらに含む。
【0039】
別の態様において、本発明は、(a)(i)シングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第1の組成物であって、0.935g/cm〜0.965g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有する、第1の組成物、ならびに(ii)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有するチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレンを含む第1の層と、(b)少なくとも1つのポリオレフィンを含む第2の層と、(c)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有するチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレンを含む、第1の層と第2の層との間の少なくとも1つの内層と、を備える一軸配向フィルムを提供し、ここで、フィルムは、4:1〜10:1の延伸比で縦方向に配向され、フィルムは、ASTM D882により測定されるとき85,000psi以上の縦方向2%割線モジュラスを示す。いくつかの実施形態において、フィルムは、5:1〜9:1の延伸比で縦方向に配向され得る。いくつかの実施形態において、第1の組成物は、チーグラー‐ナッタ触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーをさらに含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの内層は、100重量%のチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレンを含む。他の実施形態において、少なくとも1つの内層は、いくつかの実施形態において、0.912g/cm〜0.935g/cmの密度及び0.5〜4g/10分の溶融指数(I)を有する線状低密度ポリエチレンをさらに含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの内層は、シングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第2の組成物をさらに含み、ここで、第2の組成物は、0.935g/cm〜0.965g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有する。いくつかのかかる実施形態において、少なくとも1つの内層は、50重量%超のチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレン及び50重量%未満の第2の組成物を含む。いくつかの実施形態において、第2の組成物は、チーグラー‐ナッタ触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーをさらに含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、一軸配向フィルム内の第1の層は、50重量%超の第1の組成物及び50重量%未満のチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレンを含む。いくつかの実施形態において、第1の層中の超低密度ポリエチレンは、100℃以上のピーク溶融点を有する。いくつかの実施形態において、第1の層中の超低密度ポリエチレンは、100℃以下のVICAT軟化点を有する。
【0041】
多様な実施形態において、第2の層は、少なくとも1つのポリオレフィンを含み得る。以下でより詳細に記載されるように、多様な実施形態において、第2の層中の少なくとも1つのポリオレフィンは、様々なポリオレフィンまたはポリオレフィンの組み合わせを含み得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの内層に関して、高密度ポリエチレンは、チーグラー‐ナッタ触媒高密度ポリエチレンである。他の実施形態において、少なくとも1つの内層中の高密度ポリエチレンは、シングルサイト触媒の存在下で調製される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの内層中の高密度ポリエチレンは、単峰性である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの内層は、0.912g/cm〜0.935g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有する線状低密度ポリエチレンをさらに含む。
【0043】
いくつかの態様において、一軸配向フィルムの第1及び/または第2の層は、外層であり得る。いくつかの実施形態において、本発明の一軸配向フィルムは、100ミクロン以下の厚みを有する。いくつかの実施形態において、本発明の一軸配向フィルムは、10ミクロン以上の厚みを有する。いくつかの実施形態において、本発明の一軸配向フィルムは、3つを超える層を備え得る。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の一軸配向フィルムは、最大9つの層を備え得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、本発明の一軸配向フィルムは、望ましいであろう1つ以上の物理特性を示し得る。いくつかの実施形態において、本発明の一軸配向フィルムは、ASTM D1922により測定されるとき150〜450グラム/ミルの縦方向における正規化エルメンドルフ引き裂き強度を示す。いくつかの実施形態において、本発明のフィルムは、ASTM D882により測定されるとき150,000psi以上の縦方向2%割線モジュラスを示す。いくつかの実施形態において、2%割線モジュラスは、200,000psi以上であり得る。いくつかの実施形態において、本発明の一軸配向フィルムは、実質的に平らであり得る。
【0045】
本発明の実施形態は、本明細書に記載される一軸配向フィルムのいずれかから形成された物品も提供する。かかる物品の例には、柔軟包装体、パウチ、自立パウチ、及び予め作製された包装体またはパウチが含まれ得る。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載される任意の一軸配向フィルムから形成された積層体を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される2つ以上の一軸配向フィルムは、互いに封着されて、積層体を形成する。他の実施形態において、積層体は、単一吹込みフィルムから形成され得る。かかる実施形態において、吹込みフィルムの内側の表面は、それ自体の上に潰れ、かつ封着して、積層体を形成する前の吹込みフィルムの厚みのおよそ2倍の厚みを有する積層体を形成し得る。いくつかの実施形態において、縦方向に配向された本発明の積層体は、20〜100ミクロン、40〜100ミクロン、または20〜50ミクロンの厚みを有し得る。
【0047】
第1の層
本発明の一軸配向フィルムの第1の層を記載する上で、用語「第1の」は、その層を、フィルム内の他の層の文脈中で特定するために使用されることを理解されたい。それにも関わらず、いくつかの実施形態において、第1の層は、フィルムの外層である。
【0048】
いくつかの実施形態において、一軸配向フィルムの第1の層は、(i)シングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第1の組成物であって、0.935g/cm超〜0.965g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有する、第1の組成物、ならびに(ii)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有するチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEを含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、エチレン系ポリマーは、シングルサイト触媒高密度ポリエチレンを含む。いくつかの実施形態において、シングルサイト触媒エチレン系ポリマーに加えて、本組成物は、チーグラー‐ナッタ触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーをさらに含む。
【0050】
第1の組成物は、0.935g/cm〜0.965g/cmの密度を有する。0.935g/cm〜0.965g/cmの全ての個別の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、第1の組成物の密度は、下限0.935、0.940、0.945、または0.950g/cmから上限0.945、0.950、0.955、0.960、または0.965g/cmまでであり得る。いくつかの実施形態において、第1の組成物は、0.935〜0.965g/cm、好ましくは0.945〜0.962g/cc、より好ましくは0.950〜0.960g/ccの密度を有する。
【0051】
いくつかの実施形態において、第1の組成物は、最大4.0g/10分の溶融指数(I)を有する。最大6.0g/10分の全ての個別の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、第1の組成物は、上限1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、または6.0g/10分までの溶融指数を有し得る。本発明の特定の態様において、第1の組成物は、下限が0.5g/10分であるIを有する。0.5g/10〜6.0g/10分の全ての個別の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0052】
いくつかの実施形態において、第1の組成物は、単峰性である。いくつかの実施形態において、第1の組成物は、6.0以下、好ましくは5.5以下のMWDを有する。
【0053】
第1の層で使用され得るシングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第1の組成物の例には、例えば、ELITE(商標)5960及びELITE(商標)5940を含む、ELITE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから市販されるものが含まれる。
【0054】
上述されるように、第1の層が、上述されるようなシングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第1の組成物を含む実施形態において、第1の層は、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEをさらに含み得る。チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、0.880g/cm〜0.912g/cmの密度を有する。0.880g/cm〜0.912g/cmの全ての個別の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEの密度は、下限0.880、0.885、0.890、または0.895g/cmから上限0.900、0.905、0.910、または0.912g/cmまでであり得る。いくつかの実施形態において、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、0.890〜0.912g/cm、好ましくは0.890〜0.908g/cc、より好ましくは0.9〜0.905g/ccの密度を有する。
【0055】
いくつかの実施形態において、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、最大6.0g/10分の溶融指数(I)を有する。最大6.0g/10分の全ての個別の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、上限1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、または6.0g/10分までの溶融指数を有し得る。本発明の特定の態様において、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、下限が0.5g/10分であるIを有する。0.5g/10〜6.0g/10分の全ての個別の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0056】
いくつかの実施形態において、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、単峰性である。いくつかの実施形態において、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、6.0以下、好ましくは5.5以下のMWDを有する。
【0057】
第1の層で使用され得るチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEの例には、例えば、ATTANE(商標)4203、ATTANE(商標)4201、ATTANE(商標)NG4701、ATTANE(商標)SL4101、FLEXOMER(商標)ETS−9064、FLEXOMER(商標)ETS−9066、及びFLEXOMER(商標)DFDA1137を含む、ATTANE(商標)及びFLEXOMER(商標)(VLDPE)の名称でThe Dow Chemical Companyから市販されるものが含まれる。
【0058】
いくつかの実施形態において、第1の層が、上述されるようなシングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第1の組成物及びチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEを含む場合、第1の層は、50重量%超の第1の組成物及び50重量%未満のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE、好ましくは60重量%超の第1の組成物及び40重量%未満のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE、または65重量%超の第1の組成物及び35重量%未満のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEを含み得る。
【0059】
チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEを第1の層中に組み込む本発明の実施形態において、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは好ましくは、そのVICAT軟化点とそのピーク溶融点との間に、少なくとも30℃、好ましくは少なくとも40℃の差異を有する。これは、改善された靭性、引き裂き強度、及び/または光学性への指向後に著しい応力緩和及びアニーリングを提供すると考えられる配向に対して非常に広い配向ウィンドウを提供する。いくつかの実施形態において、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは好ましくは、110℃以上のピーク溶融点及び/または90℃以下のVICAT軟化点を有する。
【0060】
第2の層
本発明の一軸配向フィルムの第2の層を記載する上で、用語「第2の」は、その層を、フィルム内の他の層の文脈中で特定するために使用されることを理解されたい。いくつかの実施形態において、第2の層は、フィルムの外層である。他の実施形態において、第2の層は、内部層であり、少なくとも1つの内層は、第1の層と第2の層との間にある。例えば、いくつかの実施形態において、内側の表面層である第2の層を有する吹込みフィルムなどのフィルムは、ふくらますことができるが、次いで、A/B/C構造である吹込みフィルムがA/B/C/C/B/A構造であるフィルムになり、Aが第1の層、Cが第2の層、及びBが内層になるようにそれ自体の上に潰れることが可能になる。
【0061】
いくつかの実施形態において、一軸配向フィルムの第2の層は、ポリオレフィンを含む。多様な実施形態において、様々なポリオレフィン及びポリオレフィンの組み合わせが第2の層中に組み込まれ得る。
【0062】
いくつかの実施形態において、第2の層は、第1の層と同じ組成物を有し得る。したがって、いくつかのかかる実施形態において、第1の層が(i)上述されるようなシングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第1の組成物、ならびに(ii)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有するチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEを含むとき、第2の層は、2つのポリオレフィン、つまり(i)シングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第2の組成物であって、0.935g/cm〜0.965g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有する、第2の組成物、ならびに(ii)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有するチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEを含む。第2の組成物は、第1の層との関連で上述される第1の組成物のいずれかを含み得る。同様に、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、第1の層との関連で上述されるチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEのいずれかを含み得る。同様に、第2の組成物及びチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEの相対量は、第1の層との関連で上述される相対量と同じであり得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、第2の層中の少なくとも1つのポリオレフィンは、0.880g/cm〜0.912g/cmの密度及び0.5〜6.0g/10分の溶融指数(I)を有するチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE、ならびに0.912g/cm〜0.935g/cmの密度及び0.5〜6.0g/10分の溶融指数(I)を有するメタロセン触媒LLDPEを含む。チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、第1の層との関連で上述されるチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEのいずれかを含み得る。同様に、メタロセン触媒LLDPEは、第1の層との関連で上述されるメタロセン触媒LLDPEのいずれかを含み得る。いくつかの実施形態において、第2の層が、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPE及びメタロセン触媒LLDPEを含む場合、第2の層は、45重量%超のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE及び55重量%未満のメタロセン触媒LLDPE、好ましくは60重量%超のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE及び40重量%未満のメタロセン触媒LLDPE、または65重量%超のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE及び35重量%未満のメタロセン触媒LLDPEを含み得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、第2の層中の少なくとも1つのポリオレフィンは、0.880g/cm〜0.912g/cmの密度及び0.5〜6.0g/10分の溶融指数(I)を有するチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE、ならびにポリオレフィンプラストマーを含む。いくつかのかかる実施形態において、ポリオレフィンプラストマーは、0.865〜0.908g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有し、ポリオレフィンプラストマーは、ポリエチレンプラストマー、ポリプロピレンプラストマー、またはそれらの組み合わせを含む。チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、第1の層との関連で上述されるチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEのいずれかを含み得る。同様に、ポリオレフィンプラストマーは、第1の層との関連で上述されるポリオレフィンプラストマーのいずれかを含み得る。いくつかの実施形態において、第2の層が、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPE及びポリオレフィンプラストマーを含む場合、第2の層は、50重量%超のポリオレフィンプラストマー及び50重量%未満のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE、好ましくは55重量%超のポリオレフィンプラストマー及び45重量%未満のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE、または35重量%超のポリオレフィンプラストマー及び65重量%未満のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEを含み得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、第2の層中の少なくとも1つのポリオレフィンは、0.912g/cm〜0.935g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有するメタロセン触媒LLDPE、ならびにポリオレフィンプラストマーを含む。いくつかのかかる実施形態において、ポリオレフィンプラストマーは、0.865〜0.908g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有し、ポリオレフィンプラストマーは、ポリエチレンプラストマー、ポリプロピレンプラストマー、またはそれらの組み合わせを含む。メタロセン触媒LLDPEは、第1の層との関連で上述されるメタロセン触媒LLDPEのいずれかを含み得る。同様に、ポリオレフィンプラストマーは、第1の層との関連で上述されるポリオレフィンプラストマーのいずれかを含み得る。いくつかの実施形態において、第2の層が、メタロセン触媒LLDPE及びポリオレフィンプラストマーを含む場合、第2の層は、45重量%超のメタロセン触媒LLDPE及び55重量%未満のポリオレフィンプラストマー、好ましくは40重量%超のメタロセン触媒LLDPE及び60重量%未満のポリオレフィンプラストマー、または35重量%超のメタロセン触媒LLDPE及び65重量%未満のポリオレフィンプラストマーを含み得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、第2の層中の少なくとも1つのポリオレフィンは、0.880g/cm〜0.912g/cmの密度及び0.5〜6.0g/10分の溶融指数(I)を有する100重量%のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEを含む。チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、第1の層との関連で上述されるチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEのいずれかを含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、第2の層中の少なくとも1つのポリオレフィンは、0.912g/cm〜0.935g/cmの密度及び0.5〜6.0g/10分の溶融指数(I)を有する100重量%のメタロセン触媒LLDPEを含む。メタロセン触媒LLDPEは、第1の層との関連で上述されるメタロセン触媒LLDPEのいずれかを含み得る。
【0068】
いくつかの実施形態において、第2の層中の少なくとも1つのポリオレフィンは、0865g/cm〜0.908g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有する100重量%のポリオレフィンプラストマーを含む。いくつかのかかる実施形態において、ポリオレフィンプラストマーは、ポリエチレンプラストマー、ポリプロピレンプラストマー、またはそれらの組み合わせを含む。ポリオレフィンプラストマーは、第1の層との関連で上述されるポリオレフィンプラストマーのいずれかを含み得る。
【0069】
内層
本発明の一軸配向フィルムは各々、少なくとも1つの内層を備える。用語「内側の」は、内層が第1の層と第2の層との間にあることを示すために使用される。用語「少なくとも1つの内層」は、本発明の一軸配向フィルムが単一の内層または複数の内層を含み得ることを示すために使用される。2つ以上の内層を含むいくつかの実施形態において、内層の各々は、同じ組成物を有し得る。2つ以上の内層を含む他の実施形態において、内層の各々が、異なる組成物を有し得るか、または内層のいくつかのみが、同じ組成物を有し得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの内層に関して、第1の層が、(i)上述されるようなシングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第1の組成物、及び(ii)チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEを含み、第2の層が少なくとも1つのポリオレフィンを含む場合、少なくとも1つの内層は、HDPEを含み得る。いくつかの実施形態において、HDPEは、単峰性HDPEであり得る。いくつかの実施形態において、HDPEは、6.0以下のMWDを有し得る。いくつかの実施形態において、HDPEは、チーグラー‐ナッタ触媒HDPEであり得、他の実施形態において、シングルサイト触媒HDPEであり得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの内層は、シングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第1の組成物を含み得、ここで、第1の組成物は、第1の層との関連で上述されるように0.935g/cm〜0.965g/cm超の密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有する。例えば、シングルサイト触媒HDPEは、第1の層との関連で上述されるもののいずれかを含み得る。
【0071】
HDPEが単峰性のチーグラー‐ナッタ触媒HDPEを含むとき、HDPEは、0.935g/cm〜0.965g/cmの密度を有する。0.935g/cm〜0.965g/cmの全ての個別の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、チーグラー‐ナッタ触媒HDPEの密度は、下限0.935、0.940、0.945、または0.950g/cmから上限0.945、0.950、0.955、0.960、または0.965g/cmまでであり得る。いくつかの実施形態において、チーグラー‐ナッタ触媒HDPEは、0.935〜0.965g/cm、好ましくは0.945〜0.962g/cc、より好ましくは0.950〜0.960g/ccの密度を有する。いくつかの実施形態において、チーグラー‐ナッタ触媒HDPEは、最大6.0g/10分の溶融指数(I)を有する。最大6.0g/10分の全ての個別の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、チーグラー‐ナッタ触媒HDPEは、上限1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、または6.0g/10分までの溶融指数を有し得る。本発明の特定の態様において、チーグラー‐ナッタ触媒HDPEは、下限が0.2g/10分であるIを有する。0.2g/10〜6.0g/10分の全ての個別の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、チーグラー‐ナッタ触媒HDPEは、単峰性である。いくつかの実施形態において、チーグラー‐ナッタ触媒HDPEは、6.0以下、好ましくは5.5以下のMWDを有する。内層で使用され得るチーグラー‐ナッタ触媒HDPEの例には、DGDA 6200及びDGDA 6400の名称でThe Dow Chemical Companyから市販されるものが含まれる。
【0072】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの内層が(シングルサイト触媒かまたはチーグラー‐ナッタ触媒)HDPEを含む場合、少なくとも1つの内層は、0.912g/cm〜0.935g/cmの密度及び0.5〜6.0g/10分の溶融指数(I)を有するLLDPEをさらに含み得る。LLDPEは、上記の第1の層の関連で開示されるもののいずれかであり得る。
【0073】
第1の層が(i)上述されるようなシングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第1の組成物、及び(ii)チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEを含み、第2の層が少なくとも1つのポリオレフィンを含む他の実施形態の場合、少なくとも1つの内層は、0.880g/cm〜0.912g/cmの密度及び0.5〜6.0g/10分の溶融指数(I)を有するチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEを含み得る。チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、第1の層との関連で上記に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、ULDPEは、LLDPEまたはシングルサイト触媒HDPEとブレンドされ得る。かかるシングルサイト触媒HDPEは、第1の組成物のいずれかを含む第1の層との関連で上記に開示されるもののいずれかを含み得る。LLDPEは、メタロセン触媒LLDPEまたはチーグラー‐ナッタ触媒LLDPEであり得る。メタロセン触媒LLDPEは、上記の第1の層との関連で開示されるもののいずれかであり得る。チーグラー‐ナッタ触媒LLDPEは、0.912g/cm〜0.935g/cmの密度を有する。0.912g/cm〜0.935g/cmの全ての個別の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、チーグラー‐ナッタ触媒LLDPEの密度は、下限0.912、0.915、0.920、または0.925g/cmから上限0.920、0.925、0.930、または0.935g/cmまでであり得る。いくつかの実施形態において、チーグラー‐ナッタ触媒LLDPEは、0.915〜0.935g/cm、好ましくは0.916〜0.926g/cc、より好ましくは0.917〜0.924g/ccの密度を有する。いくつかの実施形態において、チーグラー‐ナッタ触媒LLDPEは、最大4.0g/10分の溶融指数(I)を有する。最大4.0g/10分までの全ての個別の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、チーグラー‐ナッタ触媒LLDPEは、上限1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、または6.0g/10分までの溶融指数を有し得る。本発明の特定の態様において、チーグラー‐ナッタ触媒LLDPEは、下限が0.2g/10分であるIを有する。0.2g/10〜6.0g/10分の全ての個別の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。使用され得るチーグラー‐ナッタ触媒LLDPEの例には、例えば、DOWLEX(商標)2045及びDOWLEX(商標)2038.68を含むDOWLEX(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから市販されるものが含まれる。
【0074】
チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEがシングルサイト触媒HDPEまたはLLDPEとブレンドされるとき、少なくとも1つの内層は、50重量%超のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE及び50重量%未満のシングルサイト触媒HDPEもしくはLLDPE、好ましくは60重量%超のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE及び40重量%未満のシングルサイト触媒HDPEもしくはLLDPE、または65重量%超のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE及び35重量%未満のLLDPEを含み得る。
【0075】
前述の層のいずれかが当業者に既知のような、例えば、抗酸化剤、紫外線安定剤、熱安定剤、スリップ剤、抗遮断、顔料または着色料、処理助剤、架橋触媒、難燃剤、充填剤、及び発泡剤などの1つ以上の添加剤をさらに含み得ることを理解されたい。
【0076】
フィルム
様々な多層フィルムは、本発明の教示に従って形成され得る。樹脂のある特定の組み合わせは、ある特定の望ましい特性を有するフィルムを提供し得る。多層フィルムは、縦方向にのみ配向されて本発明の一軸配向フィルムを提供するとき、特に望ましい特性を有し得る。
【0077】
多層フィルムは、当技術分野で既知の任意の方法に従って形成され得る。本明細書に記載される樹脂の組み合わせは、吹込みフィルムプロセスを使用する多層フィルムの形成に特に最適である。吹込みフィルムプロセスが使用されるとき、吹込みフィルムは、従来通りに形成され得る(例えば、切り目を入れ、開いた後に吹く)か、または吹込みフィルムは、内部層(本明細書に記載される第2の層)がそれ自体に積層して厚みが2倍である多層フィルムを形成するように、潰れることが可能になり得る。言い換えれば、吹込みフィルムプロセスは、A/B/C多層フィルムを形成するように構成され得、Aが第1の層に対応し、Cが第2の層に対応し、BはAとCとの間の内層に対応する(第1及び第2の層が同じ組成物である場合、フィルムは、A/B/Aフィルムとしても特徴付けられてよい)。典型的なプロセスにおいて、多層フィルムは、A/B/C構造を有するであろう。しかし、フィルムがそれ自体の上に潰れることが可能になり得る場合、多層フィルムは、A/B/C/C/B/A構造を有するであろう。いずれの状況においても、多層フィルムは後に縦方向に配向されて、本発明の一軸配向フィルムを提供し得る。
【0078】
圧潰方法(collapsing method)は、ある特定の状況において、例えば、より厚いフィルムが所望されるときに望ましい場合がある。いくつかの実施形態において、圧潰方法は、湾曲することなく縦方向に配向される対称的なフィルムの製造を容易にするためにも有利であり得る。いくつかの実施形態において、圧潰方法は、潰れてより厚いフィルムになる前により薄いフィルムの冷却が生じることにより、より速い冷却も可能にし得る。圧潰方法の別の利点は、障壁層(例えば、酸素障壁層または水蒸気障壁層)が吹込みフィルム内に含まれ得、次いで、吹込みフィルムが潰れるときに二重になり得るため(例えば、吹込みフィルム内の単一の障壁層が潰れた際に2つの障壁層になる)、増強した障壁特性を提供し得ることである。
【0079】
一軸配向フィルム内の層の数は、例えば、フィルムの所望の特性、フィルムの最終用途、各層中で使用される所望のポリマー、フィルムが吹込みフィルムを潰すことにより形成されるかどうかに関わらずフィルムの所望の厚み、及び他の要因を含むいくつかの要因に応じ得る。本発明の一軸配向フィルムは、少なくとも3つの層を備える。潰すことにより、または潰すことなく作製された典型的なフィルムは、最大9つの層を有し得るが、多層吹込みフィルムを潰すことは、より多くの層をもたらし得る(例えば、9層の吹込みフィルムが潰されて18の層を形成する)。構造は、例えば、A/B/A(外層が同じ組成物を有する場合)、A/B/C、A/B/C/A、A/B/C/D、A/B/C/D/E、A/B/C/D/E/F、A/B/C/D/E/F/G、A/B/C/D/D/C/B/A、A/B/C/D/E/F/G/H、A/B/C/D/E/F/G/H/I、及び他の構造であり得る。本明細書に記載される構造は、3、5、7、または9つの層の潰されていない構成において、最大200または250ミクロンの厚みを有するフィルムを作製するために使用され得る。フィルムの厚みに対する主要な限定要因は、かかる厚いフィルムを冷却し、かつ合理的なゲージの変化(例えば、+/−10%)を維持しながら、安定したバブルを作製する能力である。
【0080】
フィルムを潰すこと及び内部層をそれ自体に積層することを可能にすることにより、はるかにより厚いフィルムが作製され得る(例えば、250ミクロンフィルムは、500ミクロンになる)。したがって、いくつかの実施形態は、潰されて、より厚いフィルムを形成する吹込みフィルムに関する。かかる構造が、内部層をそれ自体の上に潰すように潰され得る場合、構造は、例えば、A/B/C/C/B/A、A/B/C/D/D/C/B/A、A/B/C/D/E/E/D/C/B/A、A/B/C/D/E/F/G/G/F/E/D/C/B/A、及び他の構造であり得る。潰すことが所望される実施形態において、第2の層の組成物(上述されるような、フィルム構造の第2の層自体ではない)は、吹込みフィルムプロセス中、それ自体へのその積層を容易にするように選択され得る。
【0081】
圧潰方法を使用して吹込みフィルムを形成することは、いくつかの利点を提供し得る。上記に示されるように、潰すと厚みが2倍になる吹込みフィルムが作製され得る(例えば、50ミクロンの吹込みフィルムは、潰されて100ミクロンのフィルムを作製し、100ミクロンの吹込みフィルムは、潰されて200ミクロンのフィルムを作製する)。したがって、圧潰方法は、潰した後の本フィルムと比較可能な厚みを有する潰されていないフィルムと比較して、より良好な冷却効果、より低いフィルム結晶化度、及びより良好な光学性を有する相対的により薄く、対称的にふくらんだフィルムを最初(すなわち、潰す前)に作製することを可能にする。いくつかの実施形態において、圧潰方法は有利に、潰した後に実質的に平らなフィルムも提供する。非常に厚いフィルム(いくつかの実施形態において、例えば、最大400または500ミクロン)を作製する能力は、次にフィルムが縦方向に配向されるときに利点を提供し得る。例えば、400または500ミクロンのフィルムは、4:1または5:1の伸展比で縦方向に配向されて、高荷重袋の用途のための100ミクロンのフィルムを提供し得る。または、かかるフィルムは、最大10:1の伸展比で縦方向に配向されて、テープまたはラベル用途で使用され得る40〜50ミクロンの非常に硬いフィルムを提供する可能性がある。
【0082】
吹込みフィルムをそれ自体の上に潰すことを可能にすることによってより厚いフィルムを形成する一方で、他の実施形態は、後に2つ以上の既存のフィルムを互いに積層することにより形成されるフィルムに関する。例えば、同じ構造を有する2つ以上のフィルムは、流延フィルムプロセスを使用して調製され得、次いで、上述される対称的な圧潰構造に類似するように積層される。2つのフィルムは各々、フィルムを加熱し、それらを1つに熱積層する熱ロールをフィルムが通過し得るような相対的に低い溶融点を有する接触層を有し得る。2つのフィルムは、接着剤でも1つに積層される可能性がある。同じ構造を有する2つのフィルムが1つに積層されるとき、積層されたフィルムは、吹込みフィルムが潰されたときに生じるものに類似し得る。
【0083】
形成されると、次いで、多層フィルムは、本発明の一軸配向フィルムを提供するように縦方向のみに配向される。フィルムウェブは、幅出しプロセス(tenter frame process)などの当業者に既知の技法を使用して縦方向のみに配向され得る。本発明の実施形態において、フィルムは、4:1〜10:1の延伸比で配向され得る。いくつかの実施形態において、フィルムは、5:1〜9:1の延伸比で配向され得る。延伸比は、元の厚み及びフィルムが潰されるかどうかに加えて、一軸配向フィルムの厚みに影響を与えるであろう。例えば、200ミクロンの初期厚を有する多層フィルムは、400ミクロンの厚みに潰され、次いで、40ミクロン(10:1の延伸比で)、50ミクロン(8:1の延伸比で)、100ミクロン(4:1の延伸比で)、または他の厚みに縦方向に配向され得る。別の例として、125ミクロンの初期厚を有する多層フィルムは、250ミクロンの厚みに潰され、次いで、25ミクロン(10:1の延伸比で)、50ミクロン(5:1の延伸比で)、または他の厚みに縦方向に配向され得る。別の例として、100ミクロンの初期厚を有する多層フィルムは、200ミクロンの厚みに潰され、次いで、20ミクロン(10:1の延伸比で)、40ミクロン(5:1の延伸比で)、または他の厚みに縦方向に配向され得る。したがって、本発明の一軸配向フィルムは、縦方向に著しい量の配向を許容し得る一方で、著しい範囲のフィルムの潜在的な厚みをなおも維持する。
【0084】
本明細書に記載されるフィルム内の異なる層の組成物と組み合わされたこの配向量は、1つ以上の望ましい特性を有する一軸配向フィルムを提供し得る。いくつかの実施形態において、本発明の一軸配向フィルムは、ASTM D882により測定されるとき75,000psi以上の縦方向2%割線モジュラスを示し得る。本発明のいくつかの実施形態において、一軸配向フィルムは、ASTM D882により測定されるとき100,000psi以上の縦方向2%割線モジュラスを示し得る。いくつかの実施形態において、本発明の一軸配向フィルムは、ASTM D882により測定されるとき150,000psi以上の縦方向2%割線モジュラスを示し得る。本発明のいくつかの実施形態において、一軸配向フィルムは、ASTM D882により測定されるとき200,000psi以上の縦方向2%割線モジュラスを示し得る。
【0085】
本発明の一軸配向フィルムは、望ましい引き裂き強度値も示し得る。いくつかの実施形態において、本発明の一軸配向フィルムは、ASTM D1922により測定されるとき150〜450グラム/ミルの縦方向における正規化エルメンドルフ引き裂き強度を示す。いくつかの実施形態において、本発明のフィルムは、5:1超、6:1超、及びさらに最大9:1の延伸比で縦方向のみに配向した後でも縦方向における引き裂き強度の限定された低下を示し得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、本発明の一軸配向フィルムは、縦方向において高い2%割線モジュラスも示す(例えば、6:1の延伸比で>150,000psi、8:1の延伸比で>200,000psi、及び9:1の延伸比で>250,000psi)一方で、相対的に高い正規化エルメンドルフ引き裂き強度値(例えば、>200g/ミル)を維持する。
【0087】
いくつかの実施形態において、本発明の一軸配向フィルムは、実質的に平らである。いくつかの実施形態において、本発明の一軸配向フィルムは、フィルムの平均ゲージの5%以内であるゲージの変化を有する。
【0088】
本発明の多様な実施形態は、ある特定の特性を提供するために一軸配向フィルムの異なる層中の樹脂の異なる組み合わせを企図する。例えば、硬度は高いが、引き裂き抵抗が低いことが所望される実施形態において、フィルムは、相対的に高いレベルのHDPEを組み込んでよい。潰されていないフィルムに関して、A/B/A構造を有する一軸配向フィルムは、0.935〜0.965g/cmの密度を有するシングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む70重量%の第1の組成物の層、及び30重量%のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEの層を有するA層(第1及び第2の層)と、シングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマー(例えば、シングルサイト触媒HDPE)を含む100%の第2の組成物を含むB層(内層)とを備え得る。第1の組成物、第2の組成物、及びチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、対応する層の記載との関連で上記に開示されるもののいずれかであり得る。この構造において、高密度の組成物は、低い引き裂き強度とともに高い硬度を提供すると考えられる一方で、ULDPEの包含は、配向する間、フィルムがロールへ密着することを助長する表面の粘着性を提供し、高い縦方向への配向の間、横方向での括れを防止すると考えられる。硬度は高いが、引き裂き抵抗が低いことが所望される潰されたフィルムに関して、A/B/C/C/B/A構造を有する一軸配向フィルムは、同じA層(第1の層)、同じB層(第1の層と第2の層との間の内層)、及び100重量%のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEを含むC層(第2の層)を備え得る。チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、対応する層の記載との関連で上記に開示されるもののいずれかであり得る。この構造において、C層中のULDPEは、フィルムを潰す間、引き裂き抵抗を著しく増加することなく接着性を提供する相対的に薄い層であり得る。
【0089】
別の例として、いくつかの実施形態は、高い硬度と、高い引き裂き抵抗を組み合わせた一軸配向フィルムに関する。潰されていないフィルムに関して、A/B/A構造を有する一軸配向フィルムは、0.935〜0.965g/cmの密度を有するシングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む70重量%の第1の組成物の層、及び30重量%のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEの層を有するA層(第1及び第2の層)と、100%のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE、またはかかるULDPEとLLDPEとのブレンドを含むB層(内層)とを備え得る。第1の組成物、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPE、及び任意のLLDPEは、対応する層の記載との関連で上記に開示されるもののいずれかであり得る。この構造において、A層(第1及び第2の層)中の高密度の第1の組成物は、低い引き裂き強度とともに高い硬度を提供すると考えられる一方で、A層(第1及び第2の層)中のULDPEの包含は、配向する間、フィルムがロールへ密着することを助長する表面の粘着性を提供し、高い縦方向への配向の間、横方向での括れを防止すると考えられる。B層(内層)中のULDPE、またはULDPEとLLDPEとの組み合わせは、高い引き裂き抵抗を提供すると考えられる。高い硬度と高い引き裂き抵抗との組み合わせを有する潰されたフィルムに関して、A/B/C/C/B/A構造を有する一軸配向フィルムは、同じA層(第1の層)を備え得る。B層(第1の層と第2の層との間の内層)は、70重量%のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEの層を含み得、C層(第2の層)は、100重量%のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEを含む。チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、対応する層の記載との関連で上記に開示されるもののいずれかであり得る。この構造において、B層中のHDPE/ULDPEの組み合わせは、靭性とともに高い引き裂き抵抗を提供すると考えられ、C層中のULDPEも、高い引き裂き抵抗及び靭性を提供する一方で、フィルムを潰す間、接着性も提供する。
【0090】
別の例として、いくつかの実施形態は、高い硬度と、高い引き裂き抵抗を組み合わせた一軸配向フィルムに関する。潰されていないフィルムに関して、A/B/A構造を有する一軸配向フィルムは、0.935〜0.965g/cmの密度を有するシングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む70重量%の第1の組成物の層、及び30重量%のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEの層を有するA層(第1及び第2の層)と、100%のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE、またはかかるULDPEとLLDPEとのブレンドを含むB層(内層)とを備え得る。メタロセン触媒HDPE、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPE、及び任意のLLDPEは、対応する層の記載との関連で上記に開示されるもののいずれかであり得る。この構造において、A層(第1及び第2の層)中の高密度の組成物は、低い引き裂き強度とともに高い硬度を提供すると考えられる一方で、A層(第1及び第2の層)中のULDPEの包含は、配向する間、フィルムがロールへ密着することを助長する表面の粘着性を提供し、高い縦方向への配向の間、横方向での括れを防止すると考えられる。B層(内層)中のULDPE、またはULDPEとLLDPEとの組み合わせは、高い引き裂き抵抗を提供すると考えられる。高い硬度と高い引き裂き抵抗との組み合わせを有する潰されたフィルムに関して、A/B/C/C/B/A構造を有する一軸配向フィルムは、同じA層(第1の層)を備え得る。B層(第1の層と第2の層との間の内層)は、70重量%のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEの層、及び30重量%のシングルサイト触媒HDPEを含み得、C層(第2の層)は100重量%のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEを含む。チーグラー‐ナッタ触媒ULDPEは、対応する層の記載との関連で上記に開示されるもののいずれかであり得る。この構造において、B層中のHDPE/ULDPEの組み合わせは、靭性とともに高い引き裂き抵抗を提供すると考えられ、C層中のULDPEも、高い引き裂き抵抗及び靭性を提供する一方で、フィルムを潰す間、接着性も提供する。
【0091】
別の例として、いくつかの実施形態は、良好な硬度、高い引き裂き抵抗、及び高い封着能力を提供する一軸配向フィルムに関する。潰されていないフィルムに関して、A/B/C構造を有する一軸配向フィルムは、0.935〜0.965g/cmの密度を有するシングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む70重量%の第1の組成物の層、及び30重量%のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPEの層を有するA層(第1及び第2の層)と、100%のチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE、またはかかるULDPEとLLDPEとのブレンドを含むB層(内層)と、60重量%のポリオレフィンプラストマーの層及び40重量%のメタロセン触媒LLDPEの層を有するC層(第2の層)とを備え得る。第1の組成物、チーグラー‐ナッタ触媒ULDPE、LLDPE、及びポリオレフィンプラストマーは、対応する層の記載との関連で上記に開示されるもののいずれかであり得る。この構造において、A層(第1及び第2の層)中の高密度の組成物は、低い引き裂き強度とともに高い硬度を提供すると考えられる一方で、A層(第1及び第2の層)中のULDPEの包含は、配向する間、フィルムがロールへ密着することを助長する表面の粘着性を提供し、高い縦方向への配向の間、横方向での括れを防止すると考えられる。B層(内層)中のULDPE、またはULDPEとLLDPEとの組み合わせは、高い引き裂き抵抗を提供すると考えられる。C層中のポリオレフィンプラストマーとメタロセン触媒LLDPEとの組み合わせは、高い封着能力を提供すると考えられる。
【0092】
物品
本発明の実施形態は、本明細書に記載される一軸配向フィルムのいずれかから形成された物品も提供する。かかる物品の例には、柔軟包装体、パウチ、自立パウチ、及び予め作製された包装体またはパウチが含まれ得る。かかる物品は、本明細書における教示の観点で当業者に既知の技法を使用して形成され得る。
【0093】
例えば、本発明のいくつかの実施形態による非常に良好な光学性、硬度、及び封着能力を有する薄いゲージ(例えば、25〜35ミクロン)の単一のフィルムは、形成/充填/封着処理機器で作製されたパウチにおいて有用であり得る。かかるパウチは、〜250グラムから1キログラムを保持する粉末及び穀物用のパウチに有用であり得る。縦方向における本発明のフィルムの配向は、従来の吹込みフィルムより有利である硬度、靭性、及び光学性の組み合わせを提供すると考えられる。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態による高い硬度及び透明性を有する一軸配向フィルムは、互いに積層されて、全体的にポリエチレンから形成される積層体を提供し得る。別の例として、本発明のいくつかの実施形態による高い硬度及び透明性を有する一軸配向フィルムは、硬くてHDPEに富んだ吹込みフィルムに積層され得、積層体は、全体的にポリエチレンから形成される自立パウチを形成するために使用され得る。
【0095】
別の例として、いくつかの実施形態において、高い硬度、高い光学性、及び良好な引き裂き強度を有する一軸配向フィルムは、飴用包装用途のためのフィルムとして使用され得る。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態はここで、以下の実施例において詳細に記載されることになる。
【実施例】
【0097】
いくつかの吹込みフィルム構造は、縦方向におけるオフライン配向のために開発される。
【0098】
実施例1
表1は、実施例1のフィルム構造を示す。実施例1は、高密度を有する増強したポリエチレン(「EPE−HD」)により提供される硬いコア層、及びチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE(「Z−N ULDPE」)をHDPEとブレンドすることにより取得されるより軟らかく、より粘着性のある表面薄層を有するA/B/Aフィルム構造を有する。
【0099】
【表1】
【0100】
EPE−HDは、0.9580〜0.9650g/cmの密度及び0.7〜1.0g/10分の溶融指数(I)を有する増強したポリエチレン樹脂であり、The Dow
Chemical Companyから市販されるELITE(商標)5960Gである。Z−N ULDPEは、09030〜0.9070g/cmの密度及び0.7〜0.9g/10分の溶融指数(I)を有するATTANE(商標)4203であり、これは、The Dow Chemical Companyから市販される。
【0101】
実施例1の共押し出し成形されたA/B/Aフィルム構造を、上述される層を使用することにより実行される3層吹込みフィルムライン上に115ミクロンで生成する。A層のうちの1つは、バブルの外部層である一方、他のA層は、バブルの内層である。B層を2つのA層の間に封入する。使用した膨張比は、2.5:1である。標準フロストラインの高さは、30センチメートルである。使用した層分布は、25/50/25である。実施例1のフィルムは、0.953g/cmの全体密度及び〜114ミクロンの初期厚を有する。
【0102】
実施例1によるフィルムを、235°Fで、かつ4.8:1及び6.2:1の延伸比で伸展して、表2に示されるように27.7及び21.1ミクロン厚のフィルムを取得する。
【0103】
【表2】
【0104】
両方のフィルムは、実質的に平らで非常に硬く、21ミクロンのフィルムは、より低い濁度及びより高い光沢を有する。測定値を取って、実施例1のフィルムの配向能力を評価する。21ミクロンの実施例1のフィルムは、1,400mmの初期ロール幅、1,180mmの機械配向における配向後のロール幅、及び1,040mmの縁取り後の最終ロール幅を有した。これらの値は、機械配向における配向後の15.71%の幅後退、及び配向後のよりわずかに厚いフィルム縁の追加の縁取り後の25.71%の総幅低減を表す。
【0105】
実施例2
表3は、実施例2のフィルム構造を示す。実施例2も、A/B/Aフィルム構造を有し、実施例1と同じEPE−HD及びZ−N ULDPEを含む。実施例2において、実施例1で硬いコアを提供したEPE−HDを、Z−N ULDPEと置き換える。
【0106】
【表3】
【0107】
実施例2の共押し出し成形されたA/B/Aフィルム構造を、上述される層を使用することにより実行される3層吹込みフィルムライン上に115ミクロンで生成する。A層のうちの1つは、バブルの外部層である一方、他のA層は、バブルの内層である。B層を2つのA層の間に封入する。使用した膨張比は、2.5:1である。標準フロストラインの高さは、30センチメートルである。使用した層分布は、25/50/25である。実施例2のフィルムは、0.925g/cmの全体密度及び〜118ミクロンの初期厚を有する。
【0108】
また、実施例2のA層のうちの1つを増強したポリエチレン樹脂を含むC層と置き換えることを除いて、実施例2と同様のフィルムを調製する。増強したポリエチレン樹脂は、0.918g/cmの密度及び1.0g/10分の溶融指数(I)を有するELITE(商標)5401Gであり、これは、The Dow Chemical Companyから市販される。このフィルムを8:1の延伸比で縦方向に配向するとき、フィルムは、抑制不可である湾曲を示す。
【0109】
実施例2によるフィルムを、235°Fで、かつ6.2:1、8.3:1、及び9.1:1の延伸比で伸展して、表4に示されるフィルム厚を取得する。
【0110】
【表4】
【0111】
測定値を取って、実施例2のフィルムの配向能力を評価する。16.26ミクロンの実施例2のフィルムは、1,400mmの初期ロール幅、1,200mmの機械配向における配向後のロール幅、及び1,050mmの縁取り後の最終ロール幅を有する。これらの値は、機械配向における配向後の14.29%の幅後退、及びよりわずかに厚い縁を除去するためのフィルムの追加の縁取り後の25.00%の総幅低減を表す。
【0112】
実施例2のフィルムを、ASTM D1922に従ってエルメンドルフ引き裂きに関して測定する。図1は、縦方向配向の延伸比に対する、縦方向(「MD」)及び横方向(「CD」)のエルメンドルフ引き裂き値、ならびにエルメンドルフ引き裂き値のMD/CD比をプロットする。図2は、縦方向配向の延伸比に対する、正規化エルメンドルフ引き裂き値(エルメンドルフ引き裂き値/フィルム厚み、グラム/ミル)をプロットする。エルメンドルフ引き裂き値は、ある特定の用途に望ましい。フィルムは、8:1以上の延伸比での縦方向への配向後に、予想外に良好なエルメンドルフ引き裂き保持を示す。縦方向における延伸比の増加に際し、縦方向におけるエルメンドルフ引き裂き値が、横方向におけるエルメンドルフ引き裂き値を著しく下回って低下することが予想され得る。実施例2のフィルムに関して、図1及び2に示されるように、MD及びCDのエルメンドルフ引き裂き値は、約6:1の延伸比で等しくなり、MDのエルメンドルフ引き裂き値は、延伸比が増加するに従ってより高くなる。
【0113】
実施例2のフィルムを、ASTM D882に従って縦方向(「MD」)及び横方向(「CD」)における2%割線モジュラスに関しても測定する。結果は、図3に示される。図3に示されるように、2%MD割線モジュラスは、MDにおいて8:1の延伸比で〜50,000psiから200,000psi超まで、配向されていない厚いフィルムの値から4倍増加する。2%CD割線モジュラスもほぼ2倍になり、2:1のMD/CD2%割線モジュラス比を示す。
【0114】
図4及び5はそれぞれ、MD及びCDの正規化エルメンドルフ引き裂き(グラム/ミル)と2%割線モジュラスとの間の相互関係を示す。MDにおいて、2%割線モジュラス値は、増加延伸比とともに増加する一方、エルメンドルフ引き裂き値は、6:1を超える延伸比で見られる平坦域の前まで減少する。CDにおいても、2%割線モジュラス値は、MDより低速度ではあるが増加延伸比とともに増加する一方、エルメンドルフ引き裂き値は、増加延伸比とともに減少する。同様に、図6は、正規化エルメンドルフ引き裂き値(グラム/ミル)を2%割線モジュラス値と比較する。図6に示されるように、フィルムは、MDにおいて6:1の延伸比で〜180,000psiの2%割線モジュラスに到達する。フィルムが8:1及び9:1の延伸比に伸展すると、MDにおける正規化エルメンドルフ引き裂きは維持される一方、フィルムゲージは、〜22ミクロンから〜15ミクロンに減少するが、MDにおける2%割線モジュラスは、〜250,000psiに増加する。特に注目すべきは、9:1の延伸比で縦方向に配向された約15ミクロンのフィルムは有利に、MDにおいて、〜250,000psiの2%割線モジュラス及び〜223g/ミルの正規化エルメンドルフ引き裂きを示す。
【0115】
実施例3
実施例3は、A/B/C構造フィルムを潰し、A/B/C/C/B/A構造を有する6つの層のフィルムを形成することにより形成された一軸配向フィルムの例である。フィルムは、実施例1と同じEPE−HD及びZ−N ULDPEを含む。A層は、増強したポリエチレン樹脂(「EPE」)を含む。EPEは、0.917g/cmの密度及び1.0g/10分の溶融指数(I)を有するELITE(商標)5401Gであり、これは、The Dow Chemical Companyから市販される。表5は、実施例3の配合物を提供する。
【0116】
【表5】
【0117】
表5に記載される層を使用してA/B/Cの共押し出し成形されたフィルム構造を、3層吹込みフィルムライン上に115ミクロンで生成する。A層は、バブルの外部層である一方、C層は、バブルの内層である。B層をA層とC層との間に封入する。使用した膨張比は、2.5:1である。標準フロストラインの高さは、30センチメートルである。使用した層分布は、25/50/25である。実施例3のフィルムは、0.9196g/cmの全体密度を有する。C層は、84℃のVICAT軟化点及び123℃のピーク溶融点を有するチーグラー‐ナッタ触媒ULDPE樹脂であり、これは、バブルの崩壊を促進させて、A/B/C/C/B/Aフィルム構造を形成する。吹込みフィルムは、〜100ミクロンの厚みを有するが、潰され、そのC層中のULDPEを加熱積層し、〜200ミクロンのフィルムを形成することが可能である。
【0118】
実施例3によるフィルムを、225°Fで、かつ7.1:1の延伸比で伸展して、表6に示されるフィルム厚を取得する。
【0119】
【表6】
【0120】
実施例3のフィルムは、225°Fで容易に伸展し、実質的に平らである。フィルムは、優良な光学特性も示す。測定値を取って、実施例3のフィルムの配向能力を評価する。実施例3のフィルムは、1,600mmの初期ロール幅、1,430mmの機械配向における7:1の配向後のロール幅、及び1,260mmの縁取り後の最終ロール幅を有した。これらの値は、機械配向における配向後の10.63%の幅後退、及び縁取り後の21.25%の総幅低減を表す。

本出願が提供する発明の例として以下のものが挙げられる。
[1] 一軸配向フィルムであって、
(a)(i)シングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第1の組成物であって、0.935g/cm〜0.965g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有する第1の組成物、ならびに(ii)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有するチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレンを含む第1の層と、
(b)少なくとも1つのポリオレフィンを含む第2の層と、
(c)高密度ポリエチレンを含む、前記第1の層と前記第2の層との間の少なくとも1つの内層と、を備え、
前記フィルムが、4:1〜10:1の延伸比で縦方向に配向され、前記フィルムが、ASTM D882により測定されるとき85,000psi以上の縦方向2%割線モジュラスを示す、一軸配向フィルム。
[2] 一軸配向フィルムであって、
(a)(i)シングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第1の組成物であって、0.935g/cm〜0.965g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有する第1の組成物、ならびに(ii)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有するチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレンを含む第1の層と、
(b)少なくとも1つのポリオレフィンを含む第2の層と、
(c)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有するチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレンを含む、前記第1の層と前記第2の層との間の少なくとも1つの内層と、を備え、
前記フィルムが、4:1〜10:1の延伸比で縦方向に配向され、前記フィルムが、ASTM D882により測定されるとき85,000psi以上の縦方向2%割線モジュラスを示す、一軸配向フィルム。
[3] 前記少なくとも1つの内層が、0.912g/cm〜0.935g/cmの密度及び0.5〜6.0g/10分の溶融指数(I)を有する線状低密度ポリエチレンをさらに含む、[2]に記載の一軸配向フィルム。
[4] 前記少なくとも1つの内層が、100重量%の前記チーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレンを含む、[2]に記載の一軸配向フィルム。
[5] 前記少なくとも1つの内層が、シングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第2の組成物をさらに含み、前記第2の組成物が、0.935g/cm〜0.965g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有する、[2]に記載の一軸配向フィルム。
[6] 前記第1の組成物及び/または前記第2の組成物が、チーグラー‐ナッタ触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーをさらに含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の一軸配向フィルム。
[7] 前記第2の層中の前記少なくとも1つのポリオレフィンが、
(a)(i)シングルサイト触媒の存在下で調製されたエチレン系ポリマーを含む第3の組成物であって、0.935g/cm〜0.965g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有する第3の組成物、ならびに(ii)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度、0.5〜6g/10分の溶融指数(I)、及び6.0以下のMWDを有するチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレン、または
(b)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有するチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレン、ならびに0.912g/cm〜0.935g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有するメタロセン触媒線状低密度ポリエチレン、または
(c)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有するチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレン、ならびにポリオレフィンプラストマー、または
(d)0.880g/cm〜0.912g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有する100重量%のチーグラー‐ナッタ触媒超低密度ポリエチレン、または
(e)0.912g/cm〜0.935g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有する100重量%のメタロセン触媒線状低密度ポリエチレン、または
(f)0.865g/cm〜0.908g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有する100重量%のポリオレフィンプラストマー、または
(g)0.912g/cm〜0.935g/cmの密度及び0.5〜6g/10分の溶融指数(I)を有するメタロセン触媒線状低密度ポリエチレン、ならびにポリオレフィンプラストマー、のうちの1つを含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の一軸配向フィルム。
[8] 前記第1の層中の前記超低密度ポリエチレンが、100℃以上のピーク溶融点及び100℃以下のVICAT軟化点を有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の一軸配向フィルム。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の一軸配向フィルムを含む、食品包装体。
[10] [1]〜[8]のいずれかに記載の第1の一軸配向フィルムと請求項1〜8のいずれかに記載の第2の一軸配向フィルムとを含む積層体であって、前記第1及び第2の一軸配向フィルムの前記第1の層が、外層であり、前記第1及び第2の一軸配向フィルムの前記第2の層が、互いに封着され、前記第1の一軸配向フィルム及び前記第2の一軸配向フィルムが、単一吹込みフィルムから形成される、積層体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6