【文献】
福冨 隆朗、外3名,典型的な応対フレーズ検出に基づく高精度用件フェーズ抽出手法,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2011年 1月20日,第110巻,第401号,p.43−48
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記特定部は、前記識別部が前記開始文字列を識別できない場合に、電話応対全体において音声を発する話者が切り替わった回数に対する電話応対の開始時から音声を発する話者が切り替わった回数の割合が所定値に達するまでのテキスト部分を前側テキスト部分として特定する、
請求項3又は4に記載のテキスト分析装置。
前記特定部は、前記識別部が前記開始文字列を識別できない場合に、電話応対の開始から所定の文章数に達するまでに対応するテキスト部分を前側テキスト部分として特定する、
請求項3又は4に記載のテキスト分析装置。
前記特定部は、前記識別部が前記開始文字列を識別できない場合に、電話応対の開始から所定時間に達するまでに対応するテキスト部分を前側テキスト部分として特定する、
請求項3又は4に記載のテキスト分析装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電話応対の内容をリスト化したり第三者が確認したりしやすくするために、テキスト化された電話応対内容を自動要約することが行われている。この電話応対内容のテキストにおいて顧客がサービスの契約者本人か否かをオペレータが確認する電話応対に対応するテキスト部分を本人確認部分とすれば、本人確認部分では、ユーザの氏名等の本人確認情報に関連する語句が登場する頻度が多くなる。多くの自動要約はテキスト中に登場する頻度が多い語句を優先的に拾うアルゴリズムを採用しているため、本人確認部分についても要約の対象としてしまうと、本人確認情報に関連する語句のように顧客からの問い合わせ内容自体ではない内容が優先的に拾われることになり、要約の精度が落ちるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、電話応対の音声情報を変換したテキスト情報の自動要約の精度を高めることができるテキスト分析装置、テキスト分析方法及びテキスト分析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様のテキスト分析装置は、ユーザとオペレータとの間の電話応対の音声情報がテキストに変換された応対テキスト情報を取得するテキスト取得部と、前記応対テキスト情報においてオペレータがユーザの本人確認情報を確認する応対の開始又は終了を示す文字列を識別する識別部と、前記応対テキスト情報において前記識別部が識別した前記文字列よりも前の前側テキスト部分又は前記識別部が識別した前記文字列よりも後の後側テキスト部分を特定する特定部と、を備える。
【0007】
前記テキスト分析装置は、前記前側テキスト部分又は前記後側テキスト部分を機械学習モデルに入力し、当該機械学習モデルから出力された要約データを出力する要約部をさらに有してもよい。
【0008】
前記識別部は、前記本人確認情報を確認する応対の開始を示す開始文字列と、前記本人確認情報を確認する応対の終了を示す終了文字列とを識別し、前記識別部は、識別した前記開始文字列よりも後のテキスト部分から前記終了文字列を識別してもよい。
【0009】
前記特定部は、前記識別部が識別した前記開始文字列よりも前の前側テキスト部分と、前記識別部が識別した前記終了文字列よりも後の後側テキスト部分とを特定し、前記要約部は、前記後側テキスト部分と前記前側テキスト部分とを前記機械学習モデルに入力し、前記後側テキスト部分の要約データと、前記前側テキスト部分の要約データとを関連付けて出力してもよい。前記特定部は、前記識別部が前記開始文字列を識別できない場合に、前記応対テキスト情報の初めから所定の割合までのテキスト部分を前側テキスト部分として特定してもよい。
【0010】
前記特定部は、前記識別部が前記開始文字列を識別できない場合に、電話応対全体において音声を発する話者が切り替わった回数に対する電話応対の開始時から音声を発する話者が切り替わった回数の割合が所定値に達するまでのテキスト部分を前側テキスト部分として特定してもよい。前記特定部は、前記識別部が前記開始文字列を識別できない場合に、電話応対の開始から所定の文章数に達するまでに対応するテキスト部分を前側テキスト部分として特定してもよい。前記特定部は、前記識別部が前記開始文字列を識別できない場合に、電話応対の開始から所定時間に達するまでに対応するテキスト部分を前側テキスト部分として特定してもよい。
【0011】
前記テキスト分析装置は、前記開始文字列と前記終了文字列とに挟まれたテキスト部分からユーザ情報を抽出する抽出部をさらに備え、前記要約部は、前記抽出部が抽出したユーザ情報に関連付けて、前記要約データを出力してもよい。
【0012】
前記要約部は、前記識別部が前記終了文字列を識別できない場合に、前記終了文字列を識別できていないことを示す識別子に関連付けて前記要約データを出力してもよい。ユーザとオペレータとの間の電話応対の音声情報を前記応対テキスト情報に変換する変換部と、前記識別部は、前記応対テキスト情報のうち、オペレータが発した音声を前記変換部が変換した応対テキスト情報に基づいて前記終了文字列を識別してもよい。
【0013】
オペレータの音声の特徴情報を記憶している記憶部をさらに備え、前記変換部は、前記記憶部が記憶しているオペレータの音声の特徴情報に基づいて、前記音声情報を前記応対テキスト情報に変換してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様のテキスト分析方法は、ユーザとオペレータとの間の電話応対の音声情報がテキストに変換された応対テキスト情報を取得するステップと、前記応対テキスト情報においてオペレータがユーザの本人確認情報を確認する応対の開始又は終了を示す文字列を識別するステップと、前記応対テキスト情報において識別した前記文字列よりも前の前側テキスト部分又は識別した前記文字列よりも後の後側テキスト部分を特定するステップと、を備える。
【0015】
本発明の第3の態様のテキスト分析プログラムは、コンピュータを、ユーザとオペレータとの間の電話応対の音声情報がテキストに変換された応対テキスト情報を取得するテキスト取得部、前記応対テキスト情報においてオペレータがユーザの本人確認情報を確認する応対の開始又は終了を示す文字列を識別する識別部、及び前記応対テキスト情報において前記識別部が識別した前記文字列よりも前の前側テキスト部分又は前記識別部が識別した前記文字列よりも後の後側テキスト部分を特定する特定部、として機能させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電話応対の音声情報を変換したテキスト情報の自動要約の精度を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[テキスト分析システムSの概要]
図1は、本発明の実施形態に係るテキスト分析システムSの概要について説明するための図である。テキスト分析システムSは、コールセンタにおいてユーザの問い合わせ記録を作成する作業を支援するために、ユーザの問い合わせ内容を自動要約する。
【0019】
テキスト分析システムSは、通信端末100、電話機200、録音装置300及びテキスト分析装置400を備える。通信端末100は、例えば、ユーザの携帯電話機であり、ネットワークNを介してコールセンタの電話機200との間で音声通信を行う。
【0020】
電話機200は、コールセンタに設置された通話用のオペレータ端末である。録音装置300は、電話機200の電話回線に接続されており、通信端末100と電話機200との間の音声通信が行われている間、ユーザ及びオペレータの音声を録音した音声情報を生成する。このとき、録音装置300は、電話機200の電話出力から取得したユーザの音声情報を通信端末100の識別情報に関連付けて記憶し、電話機200のマイク入力から取得したオペレータの音声情報を電話機200に割り当てられた識別情報に関連付けて記憶する。通信端末100の識別情報は、例えば、携帯電話番号である。電話機200の識別情報は、例えば、コールセンタ内での電話機200の内線番号である。
【0021】
テキスト分析装置400は、ユーザ及びオペレータの音声情報をこれらの音声情報に割り当てられた識別情報とともに録音装置300から取得し、取得した音声情報を応対テキスト情報に変換する。テキスト分析装置400は、変換した応対テキスト情報の要約データを生成する。テキスト分析装置400は、生成した要約データを管理装置(不図示)へ送信する。
【0022】
テキスト分析装置400は、応対テキスト情報において繰り返し言及されている語句を重要な情報であると判定し、この語句を要約データに含める。従来のテキスト分析装置では、ユーザの氏名等の本人確認情報に関連する語句が応対テキスト情報において繰り返し言及されているために、本人確認情報に関連する語句を重要な情報と判定して要約データに含めていた。その結果、従来のテキスト分析装置では、本人確認情報に関連する語句を重要な情報と判定するため、本人確認情報以外の情報が重要な情報と判定されにくくなり、要約の精度が低くなっていた。
【0023】
これに対し、テキスト分析装置400は、オペレータがユーザの本人確認を行う応対テキスト情報である本人確認部分を特定し、この本人確認部分を要約データから除外する。このため、テキスト分析装置400は、本人確認情報に関連する語句を要約データに含まれにくくすることにより、要約の精度を向上させることができる。
【0024】
[テキスト分析装置400の構成]
図2は、テキスト分析装置400の構成を示す図である。テキスト分析装置400は、通信部41、記憶部42及び制御部43により構成される。通信部41は、録音装置300及び管理装置(不図示)と通信するための通信インターフェースである。記憶部42は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。記憶部42は、制御部43が実行するプログラムを記憶している。制御部43は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部43は、記憶部42に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部431、変換部432、識別部433、特定部434、抽出部435、要約部436及び機械学習モデル437として機能する。
【0025】
取得部431は、通信部41を介して、ユーザとオペレータとの間の電話応対の音声情報を録音装置300から取得する。取得部431は、取得した音声情報を変換部432に出力する。取得部431は、出力した音声情報がテキストに変換された応対テキスト情報を変換部432から取得するテキスト取得部として機能する。取得部431は、取得した応対テキスト情報を識別部433へ出力する。
【0026】
変換部432は、音声認識技術により、取得部431が取得した音声情報を応対テキスト情報に変換する。このとき、変換部432は、ユーザの音声情報とオペレータの音声情報とをそれぞれ個別に応対テキスト情報に変換する。変換部432は、ユーザの音声情報に対応する応対テキスト情報と、オペレータの音声情報に対応する応対テキスト情報とを時系列に沿ってまとめた応対テキスト情報を生成する。
【0027】
変換部432は、例えば、記憶部42が記憶しているオペレータの音声の特徴情報に基づいて、音声情報を応対テキスト情報に変換する。変換部432は、オペレータが発した音声情報について音声情報の変換のトレーニングを事前に行うことにより、オペレータの音声の特徴を記憶部42に記憶させる。変換部432は、オペレータの音声情報を応対テキスト情報に変換する場合に、オペレータの音声の特徴情報を記憶部42から読み出し、この特徴情報を音声情報の変換に反映させる。このような構成により、変換部432は、音声情報の変換の誤りを生じやすい発音等について事前にトレーニングするので、音声情報の変換の精度を向上させることができる。
【0028】
識別部433は、オペレータがユーザの本人確認情報を確認する応対の終了を示す終了文字列を応対テキスト情報から識別する。識別部433は、応対テキスト情報のうち、オペレータが発した音声を変換部432が変換した応対テキスト情報に基づいて終了文字列を識別する。本人確認情報は、ユーザがサービス等の契約者本人であることを確認するための情報であり、例えば、ユーザの氏名、住所、生年月日、携帯電話番号、ユーザID又は暗証番号である。オペレータは、ユーザに本人確認情報を確認することにより、ユーザが契約者本人であることを確認する。
【0029】
オペレータは、ユーザの本人確認の完了後に本人確認が完了したことをユーザに通知し、識別部433は、例えば、オペレータが本人確認の完了をユーザに通知するメッセージの一部を終了文字列として識別する。オペレータの応対の手順や問いかけ等のフレーズは一定の規則性があるため、識別部433は、オペレータの発した音声の応対テキスト情報に基づいて終了文字列を識別することにより、終了文字列の識別の精度を向上させることができる。
【0030】
終了文字列は、本人確認が完了したことをオペレータがユーザに通知するメッセージを識別するための複数の文字列の組み合わせであってもよい。一例としては、第1グループが「暗証」及び「契約」を要素として含み、第2グループが「番号」、「内容」及び「情報」を要素として含み、第3グループが「確認」、「調べ」、「取れ」及び「照会」を要素として含むものとする。識別部433は、第1グループのいずれかの要素と、第2グループのいずれかの要素と、第3グループのいずれかの要素とをいずれも識別したことを条件として、終了文字列を識別したと判定する。
【0031】
例えば、識別部433は、変換部432が「契約内容の照会が取れました」というメッセージを応対テキスト情報に変換した場合、第1グループとして要素「契約」を識別し、第2グループとして要素「内容」を識別し、第3グループとして要素「照会」又は「取れ」を識別する。この場合、識別部433は、第1グループ、第2グループ及び第3グループの要素をいずれも識別したため、終了文字列を識別したと判定する。
【0032】
これらのグループの要素は、同じ語句に含まれていてもよい。例えば、識別部433は、応対テキスト情報の語句「暗証番号」から第1グループの要素「暗証」と第2グループの要素「番号」とを識別してもよい。
【0033】
また、識別部433は、第1〜第3グループのうち、2つのグループの要素を識別したことを条件として、終了文字列を識別したと判定してもよい。例えば、識別部433は、第1〜第3グループのうち、第1グループの要素「暗証」と、第2グループの要素「内容」とを識別した場合に、終了文字列を識別したと判定してもよい。
【0034】
また、識別部433は、本人確認情報を確認する応対の開始を示す開始文字列を識別する。オペレータは、本人確認を開始する前に、本人確認を行うことをユーザに通知するので、識別部433は、例えば、オペレータが本人確認を行うことをユーザに通知するメッセージの一部を開始文字列として識別する。
【0035】
開始文字列は、オペレータが本人確認を行うことをユーザに通知するメッセージを識別するための複数の文字列の組み合わせであってもよい。例えば、第1グループが「名前」、「契約内容」及び「ID」を要素として含み、第2グループが「フルネーム」を要素として含み、第3グループが「教えて」、「確認」及び「調べる」を要素として含む場合に、識別部433は、第1グループのいずれかの要素と、第2グループのいずれかの要素と、第3グループのいずれかの要素とをいずれも識別したことを条件として、開始文字列を識別したものと判定する。
【0036】
識別部433は、終了文字列を誤って識別することを抑制するために、識別した開始文字列よりも後のテキスト部分から終了文字列を識別してもよい。識別部433は、識別した終了文字列及び開始文字列を特定部434に通知する。また、識別部433は、開始文字列を識別できない場合に、開始文字列を識別できない旨を特定部434に通知する。同様に、識別部433は、終了文字列を識別できない場合に、終了文字列を識別できない旨を特定部434に通知する。
【0037】
なお、識別部433は、応対テキスト情報のうち、ユーザが発した音声を変換部432が変換した応対テキスト情報に基づいて開始文字列又は終了文字列を識別してもよい。例えば、識別部433は、ユーザの発した音声を変換した応対テキスト情報がオペレータの発した音声を変換した応対テキスト情報に比べて多い場合には、ユーザの発した音声を変換した応対テキスト情報に基づいて、開始文字列又は終了文字列を識別してもよい。
【0038】
特定部434は、識別部433が識別した開始文字列よりも前の応対テキスト情報である前側テキスト部分を特定する。特定部434は、開始文字列が複数の文字列の組み合わせである場合は、識別部433が識別した複数の文字列のうち、最も前方の位置よりも前の応対テキスト情報を前側テキスト情報として特定する。
【0039】
また、特定部434は、識別部433が識別した終了文字列よりも後の応対テキスト情報である後側テキスト部分を特定する。特定部434は、終了文字列が複数の文字列の組み合わせである場合は、識別部433が識別した複数の文字列のうち、最も後方の文字列よりも後の応対テキスト情報を後側テキスト情報として特定する。特定部434は、識別部433が終了文字列を識別できない場合(すなわち、終了文字列を識別できない旨の通知を識別部433から受けた場合)、後側テキスト部分を特定しない。
【0040】
図3は、応対テキスト情報を示す図である。記憶部42は、応対テキスト情報を話者に関連付けて記憶している。例えば、1行目は、オペレータが発したメッセージ「○○でございます。」を示し、2行目は、ユーザが発したメッセージ「△△の件で聞きたいことがあるんですけど。」を示す。
【0041】
図3の例では、特定部434は、最初のメッセージ「○○でございます。」からオペレータが発したメッセージ「要件を承りました。」までを前側テキスト部分として特定する。前側テキスト部分では、例えば、オペレータがユーザの問い合わせの要件をユーザから聞き出す。
【0042】
本人確認部分は、開始文字列と終了文字列とに挟まれた応対テキスト情報であり、オペレータは、ユーザの本人確認情報を確認する。特定部434は、オペレータが発したメッセージ「お手数ですが、ご本人様確認をさせていただきます。」からオペレータが発したメッセージ「ご本人様確認が完了致しました。ありがとうございました。」までを本人確認部分として特定する。
【0043】
特定部434は、オペレータが発したメッセージ「□□の件ですが、料金プランはいかが致しましょうか?」から最後のメッセージ「ご利用ありがとうございました。」までを後側テキスト部分として特定する。後側テキスト部分では、例えば、オペレータがユーザの要件に合った具体的な提案又は回答をする。以上のように、
図3の例では、オペレータが、ユーザの問い合わせの要件を聞き出した後にユーザの本人確認情報を確認し、本人確認の終了後にユーザの要件に合った提案又は回答をする。このため、前側テキスト部分、本人確認部分及び後側テキスト部分の応対の内容は、それぞれ異なっている。
【0044】
特定部434は、識別部433が応対テキスト情報の開始文字列を識別できない場合、開始文字列を用いて前側テキスト部分を特定することができない。そこで、特定部434は、識別部433が応対テキスト情報の開始文字列を識別できない場合(すなわち、開始文字列を識別できない旨の通知を識別部433から受けた場合)、応対テキスト情報の初めから所定の割合までのテキスト部分を前側テキスト部分として特定する。割合は、例えば、応対テキスト情報の全体の文字数に対する初めからの文字数の割合、全体の時間に対する初めからの時間の割合、あるいは全体の文章数に対する始めからの文章数の割合である。文章数は、応対テキスト情報の句点で区切られた数である。
【0045】
一例としては、特定部434は、応対テキスト情報の全体の文字数に対する初めからの文字数の割合が、過去に取得された応対テキスト情報の全体の文字数に対する前側テキスト部分の長さの割合に基づいて算出された割合(例えば3割)となるまでのテキスト部分を前側テキスト部分として特定する。このようにすることで、例えば、特定部434は、変換部432による音声情報の変換の誤り等に起因して識別部433が開始文字列を識別できなかった場合であっても、前側テキスト部分を特定することができる。
【0046】
なお、特定部434は、識別部433が開始文字列を識別できない場合に、電話応対の開始から所定時間に達するまでに対応するテキスト部分を前側テキスト部分として特定してもよい。所定時間は、過去の複数の問い合わせにおける前側テキスト部分の時間の統計量として求めることができる。このような構成により、特定部434は、前側テキスト部分以外の応対テキスト部分の長さの影響を受けずに、所定時間に対応するテキスト部分を前側テキスト部分として特定することができる。
【0047】
また、特定部434は、応対テキスト情報の全体の文章数に対する初めからの文章数の割合が、過去に取得された応対テキスト情報の全体の文章数に対する前側テキスト部分の長さの割合に基づいて算出された割合(例えば3割)となるまでのテキスト部分を前側テキスト部分として特定してもよい。また、特定部434は、識別部433が開始文字列を識別できない場合に、電話応対の開始から所定の文章数に達するまでに対応するテキスト部分を前側テキスト部分として特定してもよい。所定の文章数は、例えば、過去の前側テキスト部分の文章数の統計量である。
【0048】
特定部434は、識別部433が開始文字列を識別できない場合に、電話応対全体において音声を発する話者が切り替わった回数に対する電話応対の開始時から音声を発する話者が切り替わった回数の割合が所定値に達するまでのテキスト部分を前側テキスト部分として特定してもよい。
図3に示すように、記憶部42は、応対テキスト情報を話者に関連付けて記憶している。特定部434は、応対テキスト情報において話者が切り替わった回数を数える。例えば、特定部434は、オペレータが音声を発した後、ユーザが音声を発したときに話者が1回切り替わったと数え、ユーザが音声を発した後、オペレータが音声を発したときにも話者が1回切り替わったと数える。
【0049】
特定部434は、電話応対の開始時から終了時までの電話応対全体において話者が切り替わった回数を求める。特定部434は、電話応対の開始時から話者が切り替わった回数の電話応対全体の回数に対する割合が所定値に達するまでの応対テキスト部分を前側テキスト部分として特定する。一例としては、特定部434は、話者が切り替わった回数の電話応対全体の回数に対する割合が、3割に達するまでのテキスト部分を前側テキスト部分として特定する。特定部434は、電話応対全体において話者が切り替わった回数が100回であるとすれば、電話応対の開始時から話者が30回切り替わるまでの応対テキスト情報を前側テキスト部分として特定する。
【0050】
話者が2回切り替わるごとにオペレータが1回音声を発したということができる。オペレータの電話応対の手順は予め定められているため、電話応対全体に対する前側テキスト部分の話者が切り替わった回数の割合は、前側テキスト部分の文字数の割合又は前側テキスト部分の時間の割合と比較すれば、話の長さ等のユーザの個人差の影響を受けにくい。このため、特定部434は、話者が切り替わった回数の割合によって前側テキスト部分を特定することにより、識別部433が開始文字列を識別できない場合に前側テキスト部分を特定する精度の低下を抑制することができる。
【0051】
抽出部435は、開始文字列と終了文字列とに挟まれたテキスト部分である本人確認部分からユーザ情報を抽出する。抽出部435は、ユーザ情報として、ユーザの氏名、住所、生年月日等を抽出する。例えば、抽出部435は、ユーザの氏名等を聞き出すためにオペレータが発した問いかけを認識して、この問いかけの次にユーザが発した語句をユーザの氏名等として抽出する。抽出部435は、抽出したユーザ情報を要約部436に通知する。
【0052】
要約部436は、応対テキストの要約データを生成する。本明細書の例では、要約部436は、応対テキスト情報を学習済みの機械学習モデル437に入力し、機械学習モデル437が出力した応対テキスト情報の要約データを取得する。例えば、制御部43は、オープンソースの要約作成APIであるSummpy等のライブラリを記憶部42から読み出して実行することにより、機械学習モデル437として機能する。なお、図示しない外部サーバが機械学習モデル437を有する構成であってもよい。
【0053】
機械学習モデル437は、前側テキスト部分又は後側テキスト部分のビッグデータを入力として学習することにより予め生成された学習済みのモデルである。機械学習モデル437は、繰り返し頻度の高い語句を重要度が高いと評価し、繰り返し頻度の低い語句を重要度が低いと評価する。機械学習モデル437は、関連する語句の繰り返しも繰り返し頻度に含める。例えば、機械学習モデル437は、語句「なくした」と語句「紛失した」とは関連する語句と判定する。一方、機械学習モデル437は、どのような問い合わせにも含まれる語句は重要度が低いと評価する。例えば、語句「ありがとうございました」は、どのような問い合わせにも含まれることが多いので、機械学習モデル437は、語句「ありがとうございました」を重要度が低いと評価する。
【0054】
要約部436は、前側テキスト部分又は後側テキスト部分を機械学習モデル437に入力し、機械学習モデル437が出力した要約データを出力する。要約部436は、例えば、通信部41を介して、要約データを解析する管理者が使用するコンピュータ(不図示)へ出力する。要約部436は、本人確認部分の要約データを出力しない。
【0055】
ところで、前側テキスト部分と後側テキスト部分とでは、内容が異なるため、前側テキスト部分と後側テキスト部分との要約データをまとめて作成すると、一方の要点が要約データに十分に反映されないことが想定される。そこで、要約部436は、前側テキスト部分と後側テキスト部分とを個別に機械学習モデル437に入力し、機械学習モデルが出力した前側テキスト部分及び後側テキスト部分の要約データをそれぞれ取得してもよい。要約部436は、前側テキスト部分の要約データと、後側テキスト部分の要約データとを関連付けて出力する。
【0056】
図4は、要約部436が出力する要約データの一例を示す図である。
図4は、前側テキスト部分の要約データと、後側テキスト部分の要約データとを示す。前側テキスト部分の要約データには、ユーザの問い合わせの要件の要約として「料金プランの詳細が知りたい。」が表示され、後側テキスト部分の要約データには、オペレータが問い合わせに応対した結果の要約として「割引サービスは△△が利用可能であることを伝えた。」等が表示される。機械学習モデルは、応対テキスト情報の「もしもし」等の間投詞を削除するので、要約データには、間投詞は含まれない。
【0057】
要約部436は、抽出部435が抽出したユーザ情報に関連付けて、要約データを出力する。例えば、要約部436は、ユーザの氏名と、前側テキスト部分の要約データと、後側テキスト部分の要約データとを関連付けて出力する。このような構成により、管理者は、要約データをユーザごとに管理することができるので、同一のユーザから複数の問い合わせがあった場合に、このユーザのユーザ情報に関連付けられた複数の要約データをそれぞれ確認することができる。
【0058】
要約部436は、前側テキスト部分の種別を示す種別情報と、対応する後側テキスト部分の要約データとを関連付けて出力してもよい。種別は、複数の問い合わせの前側テキスト部分をグループ分けするための分類である。例えば、要約部436は、料金プランの詳細を確認するための問い合わせの種別「料金プラン確認」と、この問い合わせに対応する後側テキスト部分の要約データとを関連付けて出力してもよい。また、要約部436は、サービスの解約の問い合わせの種別「サービス解約」と、この問い合わせに対応する後側テキスト部分の要約データとを関連付けて出力してもよい。
【0059】
要約部436は、識別部433が終了文字列を識別できない場合には、終了文字列を識別できていないことを示す識別子に関連付けて要約データを出力する。特定部434は、識別部433が終了文字列を識別できない場合には、後側テキスト部分を特定しない。この場合、要約部436は、特定部434が特定した前側テキスト部分と、前側テキスト部分以外の応対テキスト情報とを機械学習モデル437に入力して、機械学習モデル437が出力した前側テキスト部分及び前側テキスト部分以外の要約データを取得する。要約部436は、後側テキスト部分が特定されていないことを管理者が把握できるように、機械学習モデル437が出力した各要約データと終了文字列が識別できなかったことを示す識別子とを関連付けて管理者が使用するコンピュータに出力する。
【0060】
[テキスト分析装置400の動作]
図5は、テキスト分析装置400の動作を示すフローチャートである。この処理手順は、録音装置300が、ユーザ及びオペレータの音声を録音した音声情報を生成したときに開始する。
【0061】
まず、取得部431は、通信部41を介して、ユーザとオペレータとの間の電話応対の音声情報を録音装置300から取得する(ステップS101)。次に、変換部432は、取得部431が取得した音声情報を応対テキスト情報に変換する(ステップS102)。識別部433は、応対テキスト情報において開始文字列が識別できたか否かを判定する(ステップS103)。特定部434は、識別部433が応対テキスト情報において開始文字列を識別できた場合には(S103のYES)、識別した開始文字列より前の応対テキスト情報を前側テキスト部分として特定する(ステップS104)。
【0062】
識別部433は、応対テキスト情報において終了文字列が識別できたか否かを判定する(ステップS105)。特定部434は、識別部433が応対テキスト情報において終了文字列を識別できた場合には(S105のYES)、識別した終了文字列より後の応対テキスト情報を後側テキスト部分として特定する(ステップS106)。要約部436は、前側テキスト部分及び後側テキスト部分を学習済みの機械学習モデル437に入力し、機械学習モデル437が出力した前側テキスト部分及び後側テキスト部分の要約データをそれぞれ取得する。要約部436は、通信部41を介して、取得した前側テキスト部分の要約データと後側テキスト部分の要約データとを関連付けて出力し(S107)、処理を終了する。
【0063】
特定部434は、ステップS103の判定において識別部433が応対テキスト情報の開始文字列を識別できていない場合(S103のNO)、応対テキスト情報の初めから所定の割合までのテキスト部分を前側テキスト部分として特定し(S108)、ステップS105の処理に移る。要約部436は、ステップS105の判定において識別部433が応対テキスト情報の終了文字列を識別できていない場合(S105のNO)、特定部434が特定した前側テキスト部分と、前側テキスト部分以外の応対テキスト情報とを機械学習モデル437に入力して、機械学習モデル437が出力した前側テキスト部分の要約データ及び前側テキスト部分以外の要約データを取得する。要約部436は、機械学習モデル437が出力した各要約データと終了文字列が識別できなかったことを示す識別子とを関連付けて管理者が使用するコンピュータに出力し、処理を終了する(ステップS109)。
【0064】
[機械学習のための前処理]
本実施の形態では、要約部436が、前側テキスト部分又は後側テキスト部分を学習済みの機械学習モデル437に入力し、機械学習モデル437が出力した要約データを取得する場合の例について説明した。しかしながら、本発明は、学習済みの機械学習モデルに応対テキスト情報を入力する例に限定されない。例えば、テキスト分析装置400は、機械学習モデルを生成するための学習部を備えてもよい。
【0065】
学習部は、特定部434が特定した複数の後側テキスト部分を学習することにより、後側テキスト部分を入力とし、後側テキスト部分の要約データを出力とする機械学習モデルを生成する。このような構成により、学習部が複数の応対テキスト情報について応対テキスト情報全体を学習することにより機械学習モデルを生成する場合に比べて、後側テキスト部分の要約の精度をより向上させた機械学習モデルを生成することができる。
【0066】
[テキスト分析装置400による効果]
機械学習モデルを用いて自動要約を行う場合に、本人確認部分を含む応対テキスト情報を機械学習モデルに入力すると、本人確認部分において繰り返し言及される本人確認情報が要約に含まれやすい。これに対して、本実施の形態に係るテキスト分析装置400は、応対テキスト情報において識別部433が識別した終了文字列よりも後の後側テキスト部分を特定する。このため、テキスト分析装置400は、機械学習モデルを用いて自動要約した場合の要約内容の精度を向上させることができる。
【0067】
[変形例]
本実施の形態では、テキスト分析装置400が、音声情報を応対テキスト情報に変換する変換部432を備える場合の例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、変換部432は、テキスト分析装置400と別体に設けられても良い。
【0068】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。