(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の乗員拘束装置によれば、乗員から離れる方向へのエアバッグの移動を張力布によって好適に規制することができ、エアバッグによる乗員拘束性能が飛躍的に高まった。しかしながら、乗員拘束装置には、乗員拘束性能の向上が常に求められている。このため、発明者らは特許文献1の技術の更なる改良について検討した。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、エアバッグの膨張展開時に座席の側部に展開する張力布を備える乗員拘束装置において乗員拘束性能の更なる向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる乗員拘束装置の代表的な構成は、車両の座席に着座した乗員を拘束する乗員拘束装置であって、当該乗員拘束装置は、座席のシートバック内に収納されていて座席に着座した乗員の側方に膨張展開するエアバッグと、収納されているエアバッグの乗員とは反対側を通って座席のシートバック内からシートクッション内にわたって収納されている第1張力布とを備え、第1張力布は、エアバッグの膨張展開によって座席の側部に展開し、エアバッグの乗員とは反対側を通り、乗員の腰部の側方を通過してシートクッションまで張り渡されることを特徴とする。
【0008】
上記構成では、エアバッグの膨張展開時に座席の側部に展開した第1張力布は、シートバックとシートクッションとの間において乗員の腰部の側方を通過する。これにより、乗員の腰部を第1張力布によって拘束することができる。したがって、乗員の上半身をエアバッグによって拘束し、第1張力布によってエアバッグの乗員から離れる方向への移動を規制しつつ乗員の腰部を拘束することが可能となる。故に、乗員拘束装置において乗員拘束性能が高められる。
【0009】
当該乗員拘束装置は、座席のシートクッションの左右両側に固定され乗員の腰部を拘束する腰部拘束ベルトを備え、第1張力布は、乗員の腰部の側方で腰部と腰部拘束ベルトとの間を通過するとよい。腰部拘束ベルトは、緊急時にはプリテンショナによって巻き取られ、さらにロックされる。そして上記構成によれば、乗員の腰部と腰部拘束ベルトとの間に第1張力布が配置されているため、緊急時に第1張力布は腰部拘束ベルトに引っ張られて乗員側に引き寄せられる。これにより、エアバッグをより効率的に乗員側に付勢することが可能となる。
【0010】
上記第1張力布は、乗員の腰部の側方を通過した後に乗員の大腿部の側方を経由してシートクッションまで張り渡されているとよい。これにより、第1張力布によって、乗員の腰部および大腿部を拘束することが可能となる。したがって、乗員拘束性能をより高めることができる。
【0011】
当該乗員拘束装置は、収納されているエアバッグの乗員とは反対側を通って座席のシートバック内からシートクッション内にわたって収納されている第2張力布を備え、第2張力布は、エアバッグの膨張展開によって座席の側部に展開し、エアバッグの乗員とは反対側を通り、乗員の腰部の上方および大腿部の側方を通過してシートクッションまで張り渡されるとよい。このように第2張力布を備えることにより、エアバッグの乗員から離れる方向への移動をより効果的に規制することができる。また第2張力布が乗員の大腿部の側方を通過することにより、乗員の大腿部を拘束する効果を得ることが可能となる。
【0012】
当該乗員拘束装置は、第1張力布と第2張力布とを連結する第1連結テザーを備えるとよい。これにより、第1張力布と第2張力布を連動させることが可能となる。
【0013】
当該乗員拘束装置は、第1連結テザーが接続されるリンク部材を備え、リンク部材には、腰部拘束ベルトが挿通されているとよい。これにより、緊急時に腰部拘束ベルトはリンク部材を介して第1張力布および第2張力布を乗員側に引き寄せることができる。したがって、上述したエアバッグの乗員拘束性能更に高めることが可能となる。
【0014】
当該乗員拘束装置は、収納されているエアバッグの乗員とは反対側を通って座席のシートバック内からシートクッション内にわたって収納されている第2張力布と、第1張力布と第2張力布とを連結する第1連結テザーおよび第2連結テザーとを備え、第1連結テザーは、展開時の第1張力布が乗員の腰部と腰部拘束ベルトとの間を通過する位置より上方で第1張力布に連結されていて、第2連結テザーは、展開時の第1張力布が乗員の腰部と腰部拘束ベルトとの間を通過する位置より下方で第1張力布に連結されているとよい。これにより、第1テザーおよび第2テザーは、第1張力布と腰部拘束ベルトが交差する位置の上下において第1張力布に連結される。したがって、第1張力布と第2張力布をバランスよく連動させることが可能となる。
【0015】
上記第1張力布および第2張力布は、座席の表皮を開裂するとよい。または当該乗員拘束装置は、座席の側部に配置されエアバッグ、第1張力布および第2張力布を収容するケースを備え、第1張力布および第2張力布は、ケースから座席の側部に展開するとよい。いずれの構成によっても、上述した効果を良好に得ることが可能となる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明にかかる乗員拘束装置の他の構成は、車両の座席に着座した乗員を拘束する乗員拘束装置であって、当該乗員拘束装置は、座席のシートバック内に収納されていて座席に着座した乗員の側方に膨張展開するエアバッグと、収納されているエアバッグの乗員とは反対側を通って座席のシートバック内からシートクッション内にわたって収納されている第3張力布と、座席のシートクッションの左右両側に固定され乗員の腰部を拘束する腰部拘束ベルトと、乗員の腰部の側方でシートクッションに固定され腰部拘束ベルトを着脱可能とするベルトバックルを備え、第3張力布は、腰部拘束ベルトまたはベルトバックルに接続されていて、第3張力布は、エアバッグの膨張展開によって座席の側部に展開し、エアバッグの乗員とは反対側を通り、腰部拘束ベルトまたはベルトバックルまで張り渡されることを特徴とする。
【0017】
上記構成では、第3張力布は、腰部拘束ベルトまたはベルトバックルに接続される。これにより、緊急時に腰部拘束ベルトまたはベルトバックルによって張力布を乗員側に引き寄せる効果をより確実に得ることが可能となる。また上記構成によれば、シートクッションに接続する場合に比して張力布が短くなる。したがって、張力布が早期に張り渡された状態となるため、上述した効果を迅速に得ることができる。
【0018】
当該乗員拘束装置は、収納されているエアバッグの乗員とは反対側を通って座席のシートバック内からシートクッション内にわたって収納されている第4張力布と、第3張力布と第4張力布とを連結する第3連結テザーとを備え、第3連結テザーは、腰部拘束ベルトまたはベルトバックルに接続されていて、腰部拘束ベルトまたはベルトバックルを介して第3張力布および第4張力布を連結するとよい。これにより、第3張力布と第4張力布を連動させることが可能となる。
【0019】
上記第3張力布および第4張力布は、座席の表皮を開裂することにより座席の側部に展開するとよい。または当該乗員拘束装置は、座席の側部に配置されエアバッグ、第3張力布および第4張力布を収容するケースを備え、第3張力布および第4張力布は、ケースから座席の側部に展開するとよい。いずれの構成によっても、上述した効果を良好に得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、エアバッグの膨張展開時に座席の側部に展開する張力布を備える乗員拘束装置において乗員拘束性能の更なる向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0023】
なお、本実施形態においては、乗員が正規の姿勢で座席に着座した際に、乗員が向いている方向を前方、その反対方向を後方と称する。また乗員が正規の姿勢で座席に着座した際に、乗員の右側を右方向、乗員の左側を左方向と称する。更に、乗員が正規の姿勢で着座した際に、乗員の頭部方向を上方、乗員の腰部方向を下方と称する。そして、以下の説明において用いる図面では、必要に応じて、上述した乗員を基準とした前後左右上下方向を、Fr、Rr、L、R、Up、Downと示す。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる乗員拘束装置100を例示する図である。理解を容易にするために、
図1では、座席110の内部に収納されている部材(後述するエアバッグおよび張力布)を仮想線にて示している。また
図1では、エアバッグが非膨張展開時の座席を例示している。
【0025】
第1実施形態の乗員拘束装置100は、座席110に着座した乗員を拘束するための装置である。
図1に例示するように、第1実施形態の乗員拘束装置100は、車両(全体は不図示)の座席110、エアバッグ120a・120bおよび左側張力布130a・右側張力布130bを備える。座席110は、乗員の上半身を支持するシートバック112を備える。シートバック112の下方には乗員が着座するシートクッション114が設けられている。シートバックの上方には乗員の頭部を支持するヘッドレスト116が設けられている。
【0026】
エアバッグ120a・120b(サイドエアバッグ)は、
図1に例示するように座席110のシートバック112の左右両側の内部にそれぞれ収納されている。後述するように、左右両側の一対のエアバッグ120a・120bは、車両の衝突時等に、座席110に着座した乗員の両側方に膨張展開する。
【0027】
左側張力布130a・右側張力布130bは、本実施形態では一対のエアバッグ120a・120bそれぞれに対して設けられる。左側張力布130a・右側張力布130bは、収納されている一対のエアバッグ120a・120bの乗員とは反対側をそれぞれ通って座席110のシートバック112内からシートクッション114内にわたって収納されている。
【0028】
図2は、
図1の座席110に乗員Pが着座している状態を例示する図である。
図2(a)は、
図1の座席110を前方から観察した状態を例示している。
図2(b)は、
図1の座席110を側方から観察した状態を例示している。
図2(a)および(b)では、エアバッグ120a・120bが膨張展開した状態を例示し、乗員PとしてAM50ダミーを例示している。
【0029】
また理解を容易にするために、
図2(a)では、前方からは観察できない張力布を仮想線によって図示している。以下、左右のエアバッグ120a・120bを特に区別しない場合には、単にエアバッグと称する。
【0030】
図2(a)および
図2(b)に例示するように、第1実施形態の乗員拘束装置100は、第1張力布として第1左側張力布132aおよび第1右側張力布132bを備える。第1左側張力布132aは左側張力布130aに含まれ、第1右側張力布132bは右側張力布130bに含まれる。第1左側張力布132aおよび第1右側張力布132bは左右対称であるため、以下、各図面の図示する方向に応じて、いずれか一方または両方を第1張力布の代表として説明する。
【0031】
図2(a)に例示するように、車両の衝突時等にはエアバッグが膨張展開する。第1左側張力布132aおよび第1右側張力布132bは、エアバッグの膨張展開によって座席110の表皮を開裂することにより、エアバッグの乗員Pとは反対側を通って座席110の側部にそれぞれ展開する。
図2(b)に例示するように、展開した第1右側張力布132bは、シートバック112の上面の左右方向で乗員Pの肩部より内側近傍からシートクッション114まで張り渡される。
【0032】
図2(b)に例示するように、本実施形態の乗員拘束装置100の特徴として、座席110の側部に展開した第1右側張力布132bは、乗員Pの腰部P2の側方を通過してシートクッション114まで張り渡される。これにより、エアバッグの膨張展開時に第1右側張力布132bによって乗員Pの腰部P2を拘束することができる。したがって、乗員Pの上半身がエアバッグによって拘束され、第1右側張力布132bによってエアバッグの乗員Pから離れる方向への移動を規制しつつ乗員Pの腰部P2が拘束される。このため、本実施形態の乗員拘束装置100によれば高い乗員拘束性能を得ることが可能となる。
【0033】
また本実施形態の乗員拘束装置100は、
図2(a)に例示するように、第2張力布として第2左側張力布134aおよび第2右側張力布134bを備える。第2左側張力布134aは左側張力布130aに含まれ、第2右側張力布134bは右側張力布130bに含まれる。すなわち本実施形態では左側張力布130aおよび右側張力布130bはそれぞれ2本ずつ設けられている。
【0034】
第2左側張力布134aおよび第2右側張力布134bは、収納されている一対のエアバッグの乗員とは反対側を通って座席110のシートバック112内からシートクッション114内にわたって収納されている。第2左側張力布134aおよび第2右側張力布134bは、エアバッグの膨張展開によって座席110の表皮を開裂し、エアバッグの乗員Pとは反対側を通って座席110の側部に展開する。
【0035】
図2(b)に例示するように、展開した第2右側張力布134bは、シートバック112の上面の左右方向で乗員Pの肩部より内側近傍からシートクッション114まで張り渡される。このように、第1右側張力布132bおよび第2右側張力布134bからなる複数の張力布を備えることにより、張力布によってエアバッグを保持する箇所が多くなる。したがって、エアバッグの移動をより確実に規制することができる。これにより、エアバッグの乗員Pから離れる方向への移動をより効果的に規制することができ、上述した効果を高めることが可能となる。
【0036】
上述した第1右側張力布132bは、展開時にシートバック112とシートクッション114の間において乗員Pの腰部P2の側方を通過した。これに対し、第2右側張力布134bは、展開時にシートバック112とシートクッション114の間において乗員Pの腰部P2の上方および大腿部P3の側方を通過する。すなわち第2右側張力布134bは、乗員Pの腰部P2の側方を経由することなく大腿部P3の側方を通過する。これにより、第2右側張力布134bによって乗員Pの大腿部P3を拘束することができ、乗員拘束装置100の乗員拘束性能を更に高めることが可能となる。
【0037】
なお、第1実施形態では、乗員拘束装置100が第1右側張力布132bおよび第2右側張力布134bを備える構成を例示したが、これに限定するものではなく、少なくとも第1右側張力布132bを備える構成とすればよい。また乗員拘束装置100では、第1右側張力布132bおよび第2右側張力布134bともに一対のエアバッグそれぞれに対して1本ずつ設けられる構成を例示したが、張力布の数は例示にすぎず、それぞれ2本以上ずつ設ける構成とすることも可能である。
【0038】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態にかかる乗員拘束装置200を例示する図である。
図3では、
図1の座席110を側方から観察した状態を例示している。なお、以下の実施形態において、先の実施形態の乗員拘束装置と共通する構成要素については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0039】
図3に例示するように、第2実施形態の乗員拘束装置200は腰部拘束ベルト212を備える。腰部拘束ベルト212は、座席110のシートクッション114の左右両側に固定され、乗員Pの腰部P2を拘束する。第2実施形態の特徴として、第1右側張力布132bは、乗員Pの腰部P2の側方で腰部P2と腰部拘束ベルト212との間を通過する。
【0040】
上記の腰部拘束ベルト212は、緊急時にはプリテンショナ(不図示)によって巻き取られ、さらにロックされる。したがって、本実施形態のように乗員Pの腰部P2と腰部拘束ベルト212との間に第1右側張力布132bを配置すると、第1右側張力布132bは、緊急時すなわちエアバッグの膨張展開時に腰部拘束ベルト212に引っ張られて乗員P側に引き寄せられる。これにより、引っ張られた第1右側張力布132bによってエアバッグが乗員P側に付勢される。したがって、エアバッグの乗員拘束性能の向上を図ることが可能となる。
【0041】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態にかかる乗員拘束装置300を例示する図である。
図4(a)は、座席110に着座した乗員Pを斜め前方から観察した状態を例示していて、
図4(b)は、
図4(a)のベルトバックル214近傍を上方から観察した模式図である。
【0042】
図4(a)に例示するように、第3実施形態の乗員拘束装置300はベルトバックル214を備える。ベルトバックル214は、乗員Pの腰部P2の側方でシートクッション114(
図1参照)に固定され、腰部拘束ベルト212を着脱可能とする部材である。
図4(b)に例示するように、乗員拘束装置300では、第1左側張力布132aは、ベルトバックル214の内側を通ることにより、それに接続された腰部拘束ベルト212と乗員Pの腰部P2との間を通過している。
【0043】
図4(a)に例示するように、第3実施形態の乗員拘束装置300の特徴として、第1左側張力布132aは、乗員Pの腰部P2の側方を通過した後に乗員Pの大腿部P3の側方を経由してシートクッション114(
図1参照)まで張り渡される。これにより、第1左側張力布132aは、乗員Pの腰部P2に加えて更に大腿部P3を拘束することが可能となる。したがって、乗員拘束性能をより高めることができる。
【0044】
(第4実施形態)
図5は、第4実施形態にかかる乗員拘束装置400を例示する図である。
図5(a)は、座席110に着座した乗員Pを上方から観察した状態を例示していて、
図5(b)は、座席110に着座した乗員Pを側方から観察した状態を例示している。
【0045】
図5(a)および(b)に例示するように、第4実施形態の乗員拘束装置400は、第1左側張力布132aと第2左側張力布134aとを連結する第1連結テザー412を備える。これにより、第1連結テザー412によって第1左側張力布132aおよび第2左側張力布134aの動きを連動させることが可能となる。
【0046】
また第1左側張力布132aを腰部拘束ベルト212と乗員Pの腰部P2を通過させる場合、第1左側張力布132aの動きは腰部拘束ベルト212によって制御されるため、意図しない挙動を抑制しやすい。したがって、第1左側張力布132aおよび第2左側張力布134aを第1連結テザー412によって連結することにより、テザーを介して第2左側張力布134aの動きを第1左側張力布132aによって制御することができる。これにより、第2左側張力布134aの意図しない挙動を防ぐことが可能となる。
【0047】
第4実施形態の乗員拘束装置400では更に、第1連結テザー412に加えて第1左側張力布132aと第2左側張力布134aとを連結する第2連結テザー414を設けている。このように2つの連結テザーを備える構成において、第1連結テザー412は、展開時の第1左側張力布132aが乗員Pの腰部P2と腰部拘束ベルト212との間を通過する位置より上方で第1左側張力布132aに連結される。一方、第2連結テザー414は、展開時の第1左側張力布132aが乗員Pの腰部P2と腰部拘束ベルト212との間を通過する位置より下方で第1左側張力布132aに連結される。
【0048】
すなわち上記構成によれば、第1連結テザー412および第2連結テザー414は、第1左側張力布132aと腰部拘束ベルト212が交差する位置の上下において第1左側張力布132aに連結される。これにより、第1左側張力布132aと第2左側張力布134aをバランスよく連動させることが可能となる。
【0049】
(第5実施形態)
図6は、第5実施形態にかかる乗員拘束装置500を例示する図である。
図6では、座席110に着座した乗員Pを斜め前方から観察した状態を例示している。
図6に例示するように、第5実施形態の乗員拘束装置500は、第1連結テザー412が接続されるリンク部材512を備える。このリンク部材512には腰部拘束ベルト212が挿通される。これにより、第1連結テザー412と腰部拘束ベルト212が連動可能となる。
【0050】
上記構成によれば、緊急時に腰部拘束ベルト212がプリテンショナ(不図示)によって巻き取られると、第1左側張力布132aおよび第2左側張力布134aがリンク部材512を介して乗員側に引き寄せられる。これにより、エアバッグが乗員P側に付勢されるため、エアバッグの乗員拘束性能を更に高めることが可能となる。
【0051】
(第6実施形態)
図7は、第6実施形態にかかる乗員拘束装置600を例示する図である。
図7(a)は、座席110に着座した乗員Pを上方から観察した状態を例示していて、
図7(b)は、座席110に着座した乗員Pを側方から観察した状態を例示している。
【0052】
図7(a)に例示するように、第6実施形態の乗員拘束装置600は、第3張力布(第3左側張力布632aおよび第3右側張力布632b)を備える。第3左側張力布632aおよび第3右側張力布632bは左右対称であるため、以下、各図面の図示する方向に応じて、いずれか一方または両方を第3張力布の代表として説明する。
【0053】
第3左側張力布632aおよび第3右側張力布632bは、上記説明した第1張力布(第1左側張力布132aおよび第1右側張力布132b)と同様に、収納されているエアバッグの乗員Pとは反対側を通って座席110のシートバック112内からシートクッション114内にわたって収納されている。またエアバッグの膨張展開によって座席110の表皮が開裂することにより座席110の側部に展開する点においても、第3左側張力布632aおよび第3右側張力布632bは第1張力布(第1左側張力布132aおよび第1右側張力布132b)と同様である。
【0054】
第1実施形態の第1左側張力布132aとの差異として、
図7(b)に例示するように、第3左側張力布632aはベルトバックル214に接続される。これにより、緊急時にベルトバックル214ひいては腰部拘束ベルト212によって張力布を乗員側に引き寄せる効果をより確実に得ることができる。
【0055】
また上記構成によれば、第3左側張力布632aは、エアバッグの乗員Pとは反対側を通り、シートバック112とベルトバックル214まで張り渡される。したがって、
図7(a)に例示する第3左側張力布632aおよび第3右側張力布632bは、
図2に例示する第1左側張力布132aおよび第1右側張力布132b、すなわちシートクッション114に接続される張力布に比して長さが短くなる。これにより、緊急時に張力布が早期に張り渡された状態となるため、上述した効果を迅速に得ることが可能となる。
【0056】
図7(a)および(b)に例示するように、第6実施形態の乗員拘束装置600は、第3左側張力布632aおよび第3右側張力布632bに加えて第4左側張力布634aおよび第4右側張力布634bを更に備える。第4左側張力布634aおよび第4右側張力布634bは、上記説明した第2左側張力布134aおよび第2右側張力布134bと同様に、収納されているエアバッグの乗員Pとは反対側を通って座席110のシートバック112内からシートクッション114内にわたって収納されている。
【0057】
またエアバッグの膨張展開によって座席110の表皮が開裂することにより座席110の側部に展開する点においても、第4左側張力布634aおよび第4右側張力布634bは第2左側張力布134aおよび第2右側張力布134bと同様である。このように、第6実施形態の乗員拘束装置600においても1つのエアバッグに対して2つの張力布を設けることにより、第1実施形態の乗員拘束装置100と同様にエアバッグの移動をより確実に規制することができる。したがって、乗員拘束性能の向上を図ることが可能となる。
【0058】
図7(a)および(b)に例示するように、第6実施形態の乗員拘束装置600は第3連結テザー612を更に備える。第3左側張力布632aと第4左側張力布634aとは、第3連結テザー612によって連結される。これにより、第3左側張力布632aと第4左側張力布634aを連動させることが可能となり、第4実施形態の乗員拘束装置400と同様の効果を得ることが可能となる。
【0059】
特に第6実施形態の乗員拘束装置600では、第3連結テザー612は、ベルトバックル214に接続されている。これにより、第3連結テザー612は、ベルトバックル214を介して第3左側張力布632aおよび第4左側張力布634aを連結する。このような構成によっても、第3左側張力布632aと第4左側張力布634aを連動させ、上述した効果を得ることが可能である。
【0060】
なお、上記実施形態では、第3左側張力布632aをベルトバックル214に接続する構成を例示したが、これに限定するものではない。ベルトバックル214に替えて腰部拘束ベルト212に第3左側張力布632aを接続する構成としても同様の効果を得ることが可能である。この場合、第3左側張力布632aがシートバック112と腰部拘束ベルト212との間に張り渡されることは言うまでもない。また第3連結テザー612においても、ベルトバックル214に替えて腰部拘束ベルト212に接続する構成とすることも可能である。
【0061】
更に、第3左側張力布632aおよび第3連結テザー612をベルトバックル214に接続する方法としては、固定による接続でもよいし、それらを構成する布をベルトバックル214に巻回して接続する方法であってもよい。また第3左側張力布632aおよび第3連結テザー612の腰部拘束ベルト212への接続方法としては、縫製による固定でもよいし、それらを構成する布を腰部拘束ベルト212に巻回して接続する方法であってもよい。他の方法としては、第3左側張力布632aや第3連結テザー612の端部に環状の部材を取り付け、環状の部材に腰部拘束ベルト212を挿通させる構成とすることも可能である。
【0062】
なお、第6実施形態では、第3左側張力布632aおよび第3連結テザー612の両方をベルトバックル214に接続する構成を例示したがこれに限定するものではない。第3左側張力布632aおよび第3連結テザー612は、両方が腰部拘束ベルト212に接続されてもよい。また第3左側張力布632aおよび第3連結テザー612のうち、一方がベルトバックル214に接続され、他方が腰部拘束ベルト212に接続される構成とすることも可能である。
【0063】
図8は、本実施形態の乗員拘束装置700の他の例を説明する図である。
図8に例示する乗員拘束装置は、座席110の側部に配置されるケース118a・118bを備える。ケース118aは、エアバッグ120a・120bを収容するケースである。ケース118bは、左側張力布130a(第1左側張力布132a、第2左側張力布134a)および右側張力布130b(第1右側張力布132b、第2右側張力布134b)を収容するケースである。
【0064】
図8に例示する乗員拘束装置700では、エアバッグ120a・120bの膨張展開時に、左側張力布130aおよび右側張力布130bは、ケース118bから座席110の側部に展開する。このような構成によっても、上述した乗員拘束装置と同様の効果を得ることができる。
【0065】
なお、
図8では、左側張力布130a(第1左側張力布132a、第2左側張力布134a)および右側張力布130b(第1右側張力布132b、第2右側張力布134b)をケースに収容する構成を例示したが、これに限定するものではない。第3張力布および第4張力布118bをケースに収容する構成とすることも可能である。
【0066】
更に、上記説明した実施形態では、一対のエアバッグの両方に対して張力布を設ける構成を例示したが、これに限定するものではない。本実施形態にかかる発明は、一対のエアバッグの一方のエアバッグに対して張力布を設ける場合、および乗員の左右の片側のみにエアバッグが設けられる場合においても適用することができる。
【0067】
また第4実施形態以降は、一対のエアバッグのうち一方のエアバッグ120の第1左側張力布132aおよび第1右側張力布132bおよび第2左側張力布134aおよび第2右側張力布134bに対して設けられる部材を例示して説明したが、これに限定するものではない。第4実施形態〜第6実施形態において説明した機構を他方のエアバッグに適用することは当然にして可能であるし、かかる機構を一対のエアバッグ両方に対して設ける構成とすることも可能である。
【0068】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、以上に述べた実施形態は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。
【0069】
したがって、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。