(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、添付の図面を参照して、例示的実施形態を以下にさらに十分に記載する。可能な限り、図面を通して、同じ又は同様の部分に言及するのに同じ参照番号が用いられる。しかしながら、特許請求の範囲に包含される主題は、多くの様々な形態で具体化することができ、この中に示されている実施形態に限定されると解釈すべきでない。
【0012】
この中で用いられている指向性用語(例えば、「上方」、「下方」、「右」、「左」、「前方」、「後方」、「上部」、「底部」)は、描かれている図面に関してのみであり、絶対方向を示すことを意図していない。
【0013】
実施形態は、第2基板に接合された第1基板の取り外しを容易にするのに用いることができる。例えば、ある実施形態は、第2基板(例えば、キャリア基板)からの第1基板(例えば、ガラス基板)の、最初の、部分的な又は完全な分離を容易にすることができる。
【0014】
ある実施形態では、本開示の第1基板は、フレキシブルガラス基板を含んでいてよいが、本開示の第1基板は他のタイプの基板を含んでいてもよい。フレキシブルガラス基板は、液晶ディスプレイ(LCD)、電気泳動ディスプレイ(EPD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、タッチセンサ、太陽光発電装置などを製造するのによく用いられる。加工の間におけるフレキシブルガラス基板の取り扱いを可能にするため、例えば接着剤(例えば、ポリマー接着剤、或いは国際公開第2014/093775号、国際公開第2014/093193号、国際公開第2015/113020号、国際公開第2015/113023号、国際公開第2015/112958号、国際公開第2015/157202号、米国特許出願第62/185,095号明細書、又は米国特許出願第62/201,245号明細書に記載されているような接着剤)を用いて、フレキシブルガラス基板を、比較的剛性の第2基板に接合させることができる。
【0015】
ある実施形態において、第2基板、及び第2基板に接合された第1基板はそれぞれ、それら基板の対応する主表面間に画成される厚さを有していてよい。第2基板は、任意選択的に、第2基板に取り外し可能に接合された第1基板の厚さよりも大きな厚さを有する第2基板を提供することにより、所望レベルの剛性を導入することができる。さらに又は代わりに、ある実施形態では、第2基板は、第2基板と第2基板に接合された第1基板の全体の厚さが、その第2基板と第2基板に接合された第1基板の全体の厚さの範囲内の厚さを有する比較的厚いガラス基板を加工するように構成された既存の加工機械で使用できる範囲内の厚さを有するように選択することができる。そのような例において、第2基板は、第1基板よりも薄くてもよいが、それでもなお加工のために組み合せた物品に所望の厚さ及び/又は剛性をもたらす。
【0016】
第2基板の剛性特性及びサイズは、さもなければ第1基板(例えば、フレキシブルガラス基板及び/又はフレキシブルガラス基板にマウントした機能要素)に損傷を生じさせうる著しい曲げなしに、接合された第1基板を製造において取り扱うことを可能にする。加工(例えば、取扱い、要素の付加、処理など)の後に、ある実施形態を用いて、第1基板(例えば、ガラス基板又はシリコンウェハ)から第2基板を最初に又は完全に取り外す、或いは第2基板から第1基板を取り外すことができる。
【0017】
図1に示すように、複合基板100は、第1基板110、例えば、ガラス基板(例えば、薄いフレキシブルガラス基板)、シリコンウェハ又は他の比較的薄い基板、を含んでいてよい。第1基板110は、例として、ガラス、ガラスセラミック又はセラミックを含む、任意の適切な材料から形成されていてよく、透明であっても透明でなくてもよい。ガラスでできている場合、第1基板110は、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノホウケイ酸塩、ソーダ石灰ケイ酸塩などの、任意の適切な組成物であってよく、その最終用途に応じて、アルカリ含有又は無アルカリのいずれであってもよい。
【0018】
第1基板110は、第2主面112に平行である第1主面111を備える。第1基板110の第1主面111は、第2基板120の第1主面121に接合していてよい。さらに、第1基板110の第2主面112は、任意選択的に、意図された用途及びプロセス条件の少なくとも1つに応じて、薄膜被覆されていてよい。
【0019】
第1基板110の第1主面111及び第2主面112は、平均厚さ113により互いに離れている。1つの実施形態において、第1基板110の平均厚さ113は、約300μm以下(例えば、「超薄」)であってよく、例えば約40μm〜約300μm、例えば約40μm〜約280μm、例えば約40μm〜約260μm、例えば約40μm〜約240μm、例えば約40μm〜約220μm、例えば約40μm〜約200μm、例えば約40μm〜約180μm、例えば約40μm〜約160μm、例えば約40μm〜約140μm、例えば約40μm〜約120μm、例えば約40μm〜約100μm、例えば約40μm〜約80μm、例えば約40μm〜約60μm、例えば約60μm〜約300μm、例えば約80μm〜約300μm、例えば約90μm〜約300μm、例えば約100μm〜約300μm、例えば約110μm〜約300μm、例えば約120μm〜約300μm、例えば約130μm〜約300μm、例えば約140μm〜約300μm、例えば約150μm〜約300μm、例えば約160μm〜約300μm、例えば約170μm〜約300μm、例えば約180μm〜約300μm、例えば約190μm〜約300μm、例えば約200μm〜約300μm、例えば約210μm〜約300μm、例えば約220μm〜約300μm、例えば約230μm〜約300μm、例えば約240μm〜約300μm、例えば約250μm〜約300μm、例えば約260μm〜約300μm、例えば約270μm〜約300μm、例えば約280μm〜約300μm、例えば約290μm〜約300μm、例えば約50μm〜約300μm、例えば約60μm〜約290μm、例えば約70μm〜約280μm、例えば約80μm〜約270μm、例えば約90μm〜約260μm、例えば約100μm〜約250μm、例えば約110μm〜約240μm、例えば約120μm〜約230μm、例えば約130μm〜約220μm、例えば約140μm〜約210μm、例えば約150μm〜約200μm、例えば約160μm〜約190μm、例えば約170μm〜約180μm、及びそれらの間の平均厚さの全ての部分範囲であってよい。
【0020】
図1にさらに示すように、複合基板100は、第2基板120(例えばガラス基板)を含んでいてよく、それは、ガラス、ガラスセラミック、セラミック、並びに有機及び無機材料の複合体などの、任意の適切な材料でできていてよく、透明であっても透明でなくてもよい。ガラスでできている場合、第2基板120は、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノホウケイ酸塩、ソーダ石灰ケイ酸塩などの、任意の適切な組成物であってよく、その最終用途に応じて、アルカリ含有又は無アルカリのいずれであってもよい。ある実施形態において、第2基板は、第1基板及び第2基板の温度が少なくとも約150℃、例えば約150℃〜約900℃、例えば約150℃〜約700℃、例えば約150℃〜約600℃、及びそれらの間の全ての部分範囲の温度に達することがある高温加工技術に耐えることができる材料(例えば、上記の材料)から形成されていてよい。第2基板120は、1つの層、又は互いに接合されて複合基板100の一部を形成する多層(複数の薄板を含む)からできていてよい。第2基板120は、第1基板110と、同じ又は同様のサイズ及び/又は形状であっても、或いは異なるサイズ及び/又は形状であってもよい。
【0021】
第2基板120は、第1主面121と平行な第2主面122を備える。第2基板120の第1主面121及び第2主面122は、平均厚さ123によってお互いに離れている。ある実施形態において、平均厚さ123は、第1基板110の厚さよりも大きくてよい。比較的厚い第2基板を提供することにより、複合基板100の有効剛性及び厚さを高めるのを助けて、第1基板110が有するよりも相対的に大きな厚さ及び/又は相対的に高い剛性を有する基板を加工するために設計された機械装置を用いて、第1基板を加工することを可能にすることができる。ある実施形態において、第2基板120は、第1基板110よりも高い剛性を有する。
【0022】
ある実施形態において、第2基板120の平均厚さ123は、約200μm〜約700μmであってよく、例えば約250μm〜約700μm、例えば約300μm〜約700μm、例えば約350μm〜約700μm、例えば約400μm〜約700μm、例えば約450μm〜約700μm、例えば約500μm〜約700μm、例えば約550μm〜約700μm、例えば約600μm〜約700μm、例えば約650μm〜約700μm、及びそれらの間の平均厚さの全ての部分範囲であってよい。
【0023】
さらなる実施形態において、第2基板120の平均厚さ123は、約200μm〜約650μmであってよく、例えば約200μm〜約600μm、例えば約200μm〜約550μm、例えば約200μm〜約500μm、例えば約200μm〜約450μm、例えば約200μm〜約400μm、例えば約200μm〜約350μm、例えば約2000μm〜約3000μm、例えば約200μm〜約250μm、及びそれらの間の平均厚さの全ての部分範囲であってよい。
【0024】
よりさらなる実施形態において、第2基板120の平均厚さ123は、約250μm〜約600μmであってよく、例えば約300μm〜約550μm、例えば約350μm〜約500μm、例えば約400μm〜約450μm、及びそれらの間の平均厚さの全ての部分範囲であってよい。
【0025】
複合基板100は、製造プロセスに関連して利用される既存の又は将来の基本的施設に基づく装置及び機器を用いて操作するように設計することができる。第1基板110は、界面115で第2基板120に接合していてよい。例えば、第1基板110の第1主面111は、界面115で、第2基板120の第1主面121に接合していてよい。第1基板110と第2基板120の間の接合は、少なくとも部分的に、ウェハ接合、接着剤(例えば、加工のために一時的に基板を一緒に接合させるが、加工後にそれらを互いから解放させる穏やかな接着剤)、及び熱アニーリングサイクルの少なくとも1つに基づくであろう。従って、第1基板110と第2基板120の間の接合は、少なくとも部分的に、界面115での化学結合に基づいていてよい。
【0026】
第1基板110と第2基板120の間の所望の接合強度を達成するために、接着物質を加熱し、冷却し、乾燥し、他の物質と混合し、又は反応を引き起こしてよく、また第1基板110及び第2基板120に圧力を加えてもよい。本明細書で用いる場合、「接合強度」は、動的剪断強度、動的剥離強度、静的剪断強度、静的剥離強度、及びそれらの組合せの任意の1つ以上を意味する。剥離強度は、例えば、剥離モードで、第1基板110及び第2基板120の一方又は両方に加えられた応力により破損(例えば、静的)を開始し及び/又は特定の破損速度(例えば、動的)を維持するのに必要な単位幅あたりの力である。剪断強度は、剪断モードで、第1基板110及び第2基板120の一方又は両方に加えられた応力により、破損(例えば、静的)を開始し及び/又は特定の破損速度(例えば、動的)を維持するのに必要な単位幅あたりの力である。任意の適切な剥離及び/又は剪断強度試験を含む、任意の適切な方法を用いて接合強度を特定することができる。例えば、2つの表面の間の接着エネルギー(すなわち、接合エネルギー又は接合強度)は、二重片持ち梁試験法(double cantilever beam method)又はくさび試験(wedge test)により測定することができる。その試験は、修飾層/第1シート界面での接着接合継手に対する力及び影響を定性的態様でシミュレートする。くさび試験は、接合エネルギーを測定するのに一般的に用いられる。例えば、ASTMD5041「接合継手における接着剤の劈開における破壊強度の標準試験法」、及びASTMD3762「アルミニウムの接着結合耐久性の標準試験法」は、くさびを用いて基板の接合を測定する標準試験法である。また、例えば、接合強度を測定する1つの方法は、2015年8月5日出願の米国特許出願第62/201,245号に記載されている。
【0027】
ガラス基板の形態の第1基板110は、限定はされないが、ディスプレイ及びタッチ用途などの、様々な用途に用いることができる。さらに、第1基板110は、第2基板120と共に、フレキシブルでかつ適合性であってよく、さらに高温に耐えることができる。例えば、第1基板及び第2基板は、第1基板110の加工の間に、少なくとも約150℃の温度、例えば約150℃〜約900℃、例えば約150℃〜約700℃、例えば約150℃〜約600℃、及びそれらの間の全ての部分範囲の温度で、加熱することができる。ある実施形態において、第1基板110はガラス基板を含み、そのガラス基板は、第2基板と共に、例えばガラス基板に機能要素を付加するなどの加工技術の間に、少なくとも約150℃の温度で加熱される。さらなる実施形態において、少なくとも約150℃の温度は、約150℃〜約700℃、例えば約400℃〜約700℃、例えば約550℃〜約650℃、及びそれらの間の全ての部分範囲である。第1基板110を取り扱う及び支持するための態様を提供するために、第1基板110が単独で有するよりも厚く及び/又は第1基板により高い剛性をもたらす第2基板120に、第1基板110を接合させてよい。加工が完了すると、第1基板110を第2基板120から剥離することができる。
【0028】
第1基板110を第2基板120から剥離する例示的方法は、第1基板110と第2基板120の間の界面115に開口105を作出することを含む。開口105は、界面115における第1基板110と第2基板120の間の接合と反対の方向に力108(例えば、剥離力)を加えることにより作り出すことができる。さらに又は代わりに、かみそりの刃又は少なくとも1つの鋭く、薄く及び平坦な物を用いて、第1基板110の第1主面111と第2基板120の第1主面121の間の界面115に、そのかみそりの刃又は少なくとも1つの鋭く、薄く及び平坦な物の先端を挿入することにより、開口105を作出することができる。開口105が作出されると、剥離前縁107が形成される。ある実施形態において、本開示の目的において、
図1及び4〜7に示すように剥離前縁107と力108との間の距離として規定される、有効亀裂先端長さ106が成長するであろう。
【0029】
本明細書を通して、剥離前縁107は、界面115の外周を意味し、界面115の外周の片側において、第1基板110と第2基板120は互いに接合しており;界面115の外周の別の側において、第1基板110と第2基板120は互いから剥離されている。
図7の平面図に示すように、剥離前縁107は、例えば、剥離前縁107の伝播方向130に曲線(例えば、凹形)をなす図示されている曲線形状のような、曲線の外形を有して広がる。以下に述べるように、剥離前縁107の曲線形状は、第1基板(例えば、ガラス基板)のエッジにおける応力を減らすことができ、それにより、第1基板の対応する内部と比較して相対的にもろいエッジをもたらしうるエッジにおける不完全性による第1基板の破損の可能性を減らすことができる。剥離前縁107は凹形状で図示されているが、他の曲線形状であってもよい。さらに又は代わりに、剥離前縁107は、少なくとも部分的に、又は完全に、まっすぐ、直線(例えば、階段状)、又は別の適切な形状であってよい。
【0030】
図1及び4〜7を継続参照して、ある実施形態において、第1基板110と第2基板120の間の界面115は、剥離前縁107における又はその近くでの第1基板110及び第2基板120の物理的挙動及び特徴が、少なくとも部分的に、第1基板110と第2基板120の間の接合の性質の理論的又は仮説的理解に基づくように、数ナノメートル未満の規模でありうることが理解されるべきである。そのような第1基板110と第2基板120の間の接合の性質の理論的又は仮説的理解は、剥離前縁107における又はその近くでの第1基板110及び第2基板120の実際の物理的挙動及び特徴に一致しても一致しなくてもよい。さらに、界面115の比較的薄い厚さのせいで、剥離前縁107において、例えば人間の目により認めることができる剥離特性は、第2基板120から第1基板110が剥離するときに、剥離前縁107で実際に生じるものと異なっていてよい。
【0031】
次に
図2を参照して、剥離プロセスの間に剥離前縁107(例えば、片持ち梁210の位置207にほぼ相当する)において第1基板110で生じる応力の概算を説明するために、加えられた端部荷重Pを受けた片持ち梁210の略
図200を提供する。第1基板110は、元の状態でかつ欠陥がないものとすることができる。しかしながら、ある実施形態では、第1基板110の薄い性質のせいで、第1基板110は、高い曲げ応力の影響を受けやすい場合がある。高い曲げ応力は、第1基板110を第2基板120から剥離するプロセスを含む、複合基板100が受けるであろう1つ以上のプロセスの間に生じうる。例えば、位置207において片持ち梁210に引き起こされる応力(σ)は、下記の式を用いて概算することができ、式中、Pは加えられる端部荷重を表し、Lは片持ち梁210のスパンを表し、bは片持ち梁210の幅を表し(
図3を参照)、さらにhは片持ち梁210の高さを表す(
図3を参照):
【0037】
片持ち梁210の位置207での応力(σ)の上記の概算は、位置207での曲げ応力(σ)が、スパンLが増えると増大し、かつ高さhが減るとより高い割合で増大することを示す。さらに、スパンLが増えると、剥離又は層間剥離(例えば、第1基板110の第2基板120からの純粋なリフトオフ)の最初のモード(例えば、モードI)は、モードI及び剪断(例えば、モードII)の両方にシフトする。従って、剥離前縁107を伝播させるために、加える荷重Pを増やすことができる。さらに、剥離前縁107での応力は加える荷重Pの方向と反対方向であるため、剥離前縁107の伝播を停止させることができる。そのような筋書きは、第1基板110における曲げ応力(σ)の単調増大、及び剥離前縁107での引張応力の増大を引き起こす。曲げ応力(σ)は、第1基板110に(例えば、第1基板110のエッジに沿って)存在する傷又は他の不完全性と相互作用し、第1基板110の破損(例えば、亀裂、割れ、破壊、又は破壊的な破損)を生じさせることがある。従って、本発明の方法及び装置は、曲げ応力(σ)を、第1基板110の破損を生じさせるレベル(例えば、臨界値又は許容限度)未満に維持しながら、第1基板110を第2基板120から剥離することができる。その臨界値は、少なくとも部分的に、第1基板110に存在する傷又は不完全性;第1基板110の厚さ(例えば、平均厚さ113により特定される);第1基板110のエッジの質及び第1基板110のエッジの切断の質を含む、第1基板110の質;のうちの少なくとも1つに基づくであろう。
【0038】
図4に示すように、第1基板110を第2基板120から剥離する方法及び装置は、開口105にワイヤ125を挿入することを含んでいてよい。その方法はさらに、
図5及び6に示すように、界面115に沿って(例えば、剥離前縁107の伝播の方向130に沿って)ワイヤ125を移動させて、剥離前縁107を伝播させ、第1基板110を第2基板120から剥離することをさらに含む。限定はされないが、任意の1つ以上の方向(例えば、X、Y、Z)に沿った動き(例えば、並行移動及び回転移動の少なくとも1つ)を単独で又は組み合わせて含む、ワイヤ125の任意の動きがこの中で意図されており、本開示の範囲内であるとみなされることを理解すべきである。さらに、第1基板110と第2基板120の間の界面115に沿って、任意の1つ以上の縦、横、又は平面方向に、手動で(例えば、手で)又は自動で(例えば、機械、機器又は装置により)、ワイヤ125を引いてよい。ワイヤ125(例えば、ワイヤの動き)は、第1基板110を第2基板120から引き離す力108を与えることにより、第1基板110と第2基板120の間の界面115での接着を壊す。他の実施形態では、外部支援(例えば、紫外線(UV)照射、熱エネルギー、音響エネルギー、空気圧)を用いて、第1基板110と第2基板120の間の界面115での接合強度を低減する又は弱めてもよい。
【0039】
ある実施形態において、ワイヤ125は、約50μm〜約300μmの直径を有していてよく、例えば約50μm〜約250μm、例えば約50μm〜約200μm、例えば約50μm〜約150μm、例えば約50μm〜約100μm、例えば約100μm〜約300μm、例えば約150μm〜約300μm、例えば約200μm〜約300μm、例えば約250μm〜約300μm、例えば約75μm〜約300μm、例えば約100μm〜約250μm、例えば約150μm〜約200μm、及びそれらの間の全ての部分範囲の直径を有していてよい。
【0040】
別の実施形態において、ワイヤ125は、弾性ポリマーなどの柔軟なワイヤであってよい。ある例において、柔軟なワイヤは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロン、及びフルオロカーボンの少なくとも1つから選択される弾性ポリマーを含んでいてよい。他の例において、ワイヤは、例えば、金属、綿、ウール、ガラス、又はゴムなどの他の材料を含んでいてよい。本明細書において、ワイヤの語は、例えば、ケーブル、チェーン、コード、ファイバ、フィラメント、ロッド、ロープ、ストランド、スレッド、ヤーン、前記のものの複数又は単一の要素メンバー、並びに前記のものから作られた編んだ又は撚り合わせたメンバーのような、他の類似の構造体を包含することが意図されている。ある例示において、ワイヤ(又はその構成要素)は、コア及びクラッドタイプの構造を有していてよく、それら部分の各々が同じ又は異なる材料でできていてよい。
【0041】
ある実施形態において、ワイヤ125は、約25MPa〜10GPaの範囲内の引張強度を有していてよい。さらに又は代わりに、ワイヤ125は任意選択的に、第1基板110の臨界破壊応力より小さい引張強度を有していてよい。この開示の目的において、第1基板の臨界破壊応力は、4点曲げ試験により特定することができる。4点曲げ試験の間、第1基板を2つの平行外ローラに沿って支持しながら、第1基板に2つの平行上部内ローラに沿って荷重が加えられる。臨界破壊応力は、4点曲げ試験において第1基板が破損する応力である。ある実施形態において、第1基板110(例えば、ガラス基板)の臨界破壊応力は、25MPaより大きく、また10GPaより大きくてもよい。
【0042】
第1基板110の臨界破壊応力より小さい引張強度を有するワイヤ125を提供することにより、第1基板の破損を引き起こす前にワイヤを破損させ、それによって、第1基板が、ワイヤにより生じる応力によって致命的な損傷を受けるのを防ぐ。さらに、剥離の間に用いられるワイヤは、取り換えに比較的費用がかからない。従って、ワイヤ125が破損したとしても(例えば、降伏及び破損の少なくとも1つ)、その方法は、第1基板110と第2基板120の間に新たなワイヤを挿入し、さらに界面115に沿って新たなワイヤを移動させて剥離前縁をさらに伝播させ、第1基板110を第2基板120から剥離し続けることをさらに含んでいてよい。ある実施形態において、新たなワイヤは、第1引張強度より大きくかつ第1基板の臨界破壊応力より小さい第2引張強度を有していてよい。従って、新たなワイヤは、第1基板がその新たなワイヤによりもたらされる応力によって致命的な損傷を受けるのを防ぎながら、元のワイヤよりも破損しにくいであろう。
【0043】
有効亀裂先端長さ106は、ワイヤ125の比較的小さな直径のため、比較的小さくすることができる。従って、剥離前縁107での曲げ応力は、第1基板110と第2基板120の間の接着を壊す力108の下でさえ、比較的低いままである。ワイヤ125を移動する工程の間、剥離前縁107より後方の有効亀裂先端長さ106で測定される第1基板110の剥離部分と第2基板120の対応部分の間の角度として規定される剥離角109は、ほぼ一定のままにすることができる。従って、剥離前縁107での曲げ応力は、剥離プロセスの間、実質的に一定のままにすることができる。次に
図5及び6を参照して、ワイヤ125を移動させて、剥離前縁107を伝播させ、第1基板110を第2基板120から剥離することができる。第1基板110の剥離部分は、ワイヤ125の後方に伸びる剥離長さ104を有する。
図5に示すように、1つの実施形態において、剥離長さ104は、第1基板110の剥離長さの一部が垂れ下がって第2基板120と接触する、垂下長さを含むことがある。その結果生じる第1基板110の剥離長さの一部と第2基板120との間の接触は、第1基板と第2基板の間の再接着を不所望にもたらす場合がある。或いは、剥離長さ104は、オーバーハング長さ(すなわち、第1基板と第2基板との間の接触を生じない長さ)を有していてよい。オーバーハング長さをもって第1基板と第2基板の間の接触を防ぐことにより、第1基板と第2基板の間の望ましくない再接着を防ぐことができる。しかしながら、支持されていないオーバーハング長さは、垂下長さと同様に、ワイヤ125に課され及びてこ作用が働く剥離長さの重さのせいで、ワイヤ125に望ましくない圧力をもたらすであろう。結果的に、ワイヤ125に対する望ましくない圧力は、ワイヤが第1基板を第2基板から剥離するのに用いられているときに、ワイヤ125における引張応力を高めるであろう。ワイヤ125における引張応力の望ましくない上昇は、剥離プロセスの間にワイヤ125の不運な破損をもたらす場合がある。
【0044】
ワイヤへの圧力を減らすために、
図6は、その方法が、任意選択的に、オーバーハング長さを支持しながら、剥離長さ104をオーバーハング長さとして提供して、第1基板110の剥離部分と第2基板120の対応部分の間の最小離間距離103を維持する工程を含んでいてよい、実施形態を説明する。オーバーハング長さを支持すると、例えば、ワイヤ125への付加的圧力を排除することができる。結果的に、ワイヤへの圧力が減るため、支持されていないオーバーハング長さのせいでワイヤに課されていた付加的引っ張り応力を低減又は排除することができる。ある実施形態において、例えば、第1基板と第2基板の間のワイヤのてこ作用による挟み込みをもたらしうるワイヤへの圧力を減らす(例えば排除する)ために、最小離間距離103は、ワイヤ125の直径以上である。ワイヤへの圧力をさらに減らす(例えば排除する)ために、最小離間距離103は、全オーバーハング長さにわたり維持される。実際に、
図6に示されるように、最小離間距離103は、ワイヤ125と、剥離前縁107の後ろに引きずる基板110の最も外側の剥離エッジとの間の全オーバーハング長さにわたり維持される。オーバーハング長さの支持は、重力の方向と反対方向の力成分を有する力を加えることにより達成することができる。オーバーハング長さを支持して最小離間距離103を維持することは、様々なやり方で実施することができる。例えば、1つ以上の吸盤135を用いて、剥離長さ104を支持することができる。さらなる実施形態では、非接触支持手段(例えば、ベルヌーイチャックなど)を用いて、剥離長さ104を支持することができる。非接触支持を提供することは、第1基板の元の表面を傷つけることを回避するのに有利となりうる。
【0045】
複合基板100の平面図が
図7に示されている。ワイヤ125を移動させる工程の前に、第1基板110及び第2基板120は、第1基板110と第2基板120の間の接合強度を高める1つ以上の高温プロセス(例えば、約150℃でのアニール、並びに約150℃〜約700℃の範囲内、250℃〜約600℃、又は700℃超の温度を含む他のプロセス)を受けることができる。ある実施形態において、接合強度は、800mJ/m
2程度1000mJ/m
2程度、又はそれより高くてよい。1つの実施形態において、ワイヤ125を移動させる工程の前に、機能要素145(
図7に概略的に図示する)を第1基板110の第2主面112に付けてよい。機能要素145として、薄膜トランジスタ(TFT)、光起電力(PV)素子、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、及び液晶ディスプレイ(LCD)などが挙げられる。別の実施形態において、方法は、第1基板110及び第1基板に付けた機能要素145を第2基板120から分離できるように、第1基板110が第2基板120から完全に剥離されるまで、ワイヤ125を移動させる工程を実施する工程をさらに含む。
【0046】
図7に示すように、第1基板110の対応する内部(例えば、位置119で確認される)の第2基板120からの剥離の前に、第1基板110の1つ以上のエッジ118(例えば、位置117で確認される)が第2基板120から剥離されるように、ワイヤ125を移動させる工程の間、ワイヤ125は剥離前縁107の形状に従うように構成される。この出願の目的において、内部は、エッジが剥離前縁107で剥離される2つの位置117を結ぶ想像線116沿いの位置119を含む部分であると考えられる。示されているように、内部は、2つの位置117を結ぶ想像線の中間点である描かれている位置119を含む部分とも考えられる。対応する内部より前に2つの位置117を剥離すると、特にエッジの不完全性によるエッジ破損を受けやすい第1基板のエッジに課される応力を減らすことができる。対応する内部より前に位置117での剥離を達成するために、剥離前縁107の形状は、剥離前縁107の伝播の方向130に対して凹形であってよい。さらに、ワイヤ125が剥離前縁107の形状に従う性質により、第1基板110の第2基板120からの剥離は、主に(上記の)モードIとして維持される。モードIは、例えば、モードIIよりも、低い剥離又は層間剥離エネルギーを有する。従って、ワイヤ125及び剥離前縁107は、剥離プロセスの間、モードIを最大化しかつモードIIを最小化する(例えば、第1基板110における不利な応力を最小化する)形状又はプロファイルに移動する又は従う傾向がある。
【0047】
さらに、ワイヤ125の、第1基板110の(例えば、第1基板110の1つ以上のエッジ118に沿った)任意の形状変化、傷、又は不完全性との相互作用、或いは第1基板110と第2基板120の間のより高い又は頑強な接合強度の界面115の位置との相互作用がある場合に、第1基板110及び第2基板120への任意の損傷を防ぐために、ワイヤ125は、第1基板110の破損の前に、降伏するか破損するかの少なくとも一方であるように構成される。従って、ワイヤ125は、ワイヤの柔軟な性質がなければ生じるであろう第1基板における応力を軽減又は再分配する。上記で述べたとおり、ワイヤ125が降伏するか破損するか少なくとも一方である場合、次第に高くした引張強度及び次第に大きくした直径の少なくとも1つを有する新たなワイヤ125を用いて、剥離プロセスを1回以上続ける又は繰り返してよい。
【0048】
この中に記載されている精神及びさまざまな原理から実質的に逸脱することなく、上述の実施形態に対し、多くの変形及び修正を行うことができる。このような修飾及び変形はすべて、本開示及び添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。従って、以下の特許請求の範囲の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な修飾及び変形を行うことができることは当業者に明白であろう。
【0049】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0050】
実施形態1
第2基板に接合された第1基板を加工する方法であって、
第1基板と第2基板の間の界面に開口を作出する工程、
前記開口にワイヤを挿入する工程、および
前記界面に沿って前記ワイヤを移動させて剥離前縁を伝播させ、第1基板を第2基板から剥離する工程、
を有してなる方法。
【0051】
実施形態2
第1基板は、約300μm以下の厚さを有する、実施形態1に記載の方法。
【0052】
実施形態3
前記ワイヤは、約50μm〜約300μmの直径を有する、実施形態1に記載の方法。
【0053】
実施形態4
前記ワイヤは、約25MPa〜約10GPaの引張強度を有する、実施形態1に記載の方法。
【0054】
実施形態5
前記ワイヤは柔軟である、実施形態1に記載の方法。
【0055】
実施形態6
前記ワイヤは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロン、及びフルオロカーボンのうち少なくとも1つを含む、実施形態5に記載の方法。
【0056】
実施形態7
第1基板の剥離部分と第2基板の対応部分との間の少なくとも最小離間距離を維持する工程をさらに有してなる、実施形態1から6のいずれかに記載の方法。
【0057】
実施形態8
前記最小離間距離が、前記ワイヤの直径以上である、実施形態7に記載の方法。
【0058】
実施形態9
前記最小離間距離が、第1基板の全剥離長さにわたり維持される、実施形態7に記載の方法。
【0059】
実施形態10
前記ワイヤが、前記第1基板の臨界破壊応力より小さい第1引張強度を有する、実施形態1から6のいずれかに記載の方法。
【0060】
実施形態11
前記ワイヤを取り除く工程;
第1基板と第2基板の間に新たなワイヤを挿入する工程;および
前記界面に沿って、前記第1引張強度より大きくかつ前記第1基板の臨界破壊応力より小さい第2引張強度を有する新たなワイヤを移動させて剥離前縁をさらに伝播させ、第1基板を第2基板からさらに剥離する工程、
をさらに有してなる、実施形態10に記載の方法。
【0061】
実施形態12
第2基板に接合された第1基板を加工する方法であって、
約300μm以下の厚さを有する第1基板と、第2基板との間の界面に沿って、前記第1基板の臨界破壊応力より小さい引張強度を有するワイヤを移動させて剥離前縁を伝播させ、第1基板を第2基板から剥離する工程を有してなる方法。
【0062】
実施形態13
ワイヤを移動させる工程の間、剥離角を実質的に一定に維持することをさらに含む、実施形態1又は12に記載の方法。
【0063】
実施形態14
ワイヤを移動させる工程の前に、第1基板及び第2基板の温度を少なくとも150℃の温度まで上昇させることにより、第1基板と第2基板の間の接合強度を高める工程を含む、実施形態1又は12に記載の方法。
【0064】
実施形態15
ワイヤを移動させる工程の前に、第1基板に接合された第2基板に背を向けた第1基板の主面に、機能要素を付ける工程を含む、実施形態1又は12に記載の方法。
【0065】
実施形態16
ワイヤを移動させる工程は、第1基板を第2基板から完全に剥離する、実施形態1又は12に記載の方法。
【0066】
実施形態17
第2基板から第1基板の対応する内部が剥離する前に第2基板から第1基板の1つ以上のエッジが剥離されるように、前記ワイヤを移動させる工程の間、ワイヤが剥離前縁の形状に従うように構成される、実施形態1又は12に記載の方法。
【0067】
実施形態18
前記剥離前縁の形状は、剥離前縁の伝播方向に対して凹形である、実施形態17に記載の方法。
【0068】
実施形態19
前記ワイヤは、前記第1基板の破損の前に、降伏するか破損するか少なくとも一方であるように構成される、実施形態17に記載の方法。
【0069】
実施形態20
前記剥離前縁における接合強度は、少なくとも部分的に、第1基板と第2基板の間のウェハ接合及び第1基板と第2基板の間の接着剤の少なくとも1つに基づき決定される、実施形態17に記載の方法。