(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873992
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】プログラム死リガンド(PDL1)に対する単一ドメイン抗体およびその誘導体タンパク質
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20210510BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20210510BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20210510BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20210510BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20210510BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20210510BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20210510BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20210510BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20210510BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20210510BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20210510BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20210510BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20210510BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20210510BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20210510BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20210510BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20210510BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20210510BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20210510BHJP
A61P 33/02 20060101ALI20210510BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20210510BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20210510BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20210510BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
C07K16/28ZNA
C07K16/46
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 L
A61K39/395 T
A61K39/395 N
A61K47/68
A61K45/00
A61P35/00
A61P31/00
A61P31/18
A61P31/14
A61P31/16
A61P31/20
A61P31/22
A61P33/02
A61P31/04
A61P29/00
A61P17/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
【請求項の数】40
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2018-524525(P2018-524525)
(86)(22)【出願日】2016年8月1日
(65)【公表番号】特表2018-531039(P2018-531039A)
(43)【公表日】2018年10月25日
(86)【国際出願番号】CN2016092679
(87)【国際公開番号】WO2017020801
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2019年2月21日
(31)【優先権主張番号】201510465481.8
(32)【優先日】2015年7月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518034610
【氏名又は名称】スジョウ・アルファマブ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU ALPHAMAB CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】シュ、チン
(72)【発明者】
【氏名】ドン、ヤンロン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ピリン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、チン
【審査官】
北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2018−529375(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/071447(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00−19/00
C12N 15/00−15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PDL1に特異的に結合することができ、少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメインを含むプログラム死リガンド1(PDL1)結合分子であって、前記免疫グロブリン単一可変ドメインが:
(1)配列番号1に示すCDR1、配列番号2に示すCDR2、配列番号3に示すCDR3
(2)配列番号4に示すCDR1、配列番号5に示すCDR2、配列番号6に示すCDR3
(3)配列番号10に示すCDR1、配列番号11に示すCDR2、配列番号12に示すCDR3
(4)配列番号16に示すCDR1、配列番号17に示すCDR2、配列番号18に示すCDR3
および
(5)配列番号19に示すCDR1、配列番号20に示すCDR2、配列番号21に示すCDR3
から選択されるCDR1、CDR2およびCDR3を含むプログラム死リガンド1(PDL1)結合分子。
【請求項2】
前記免疫グロブリン単一可変ドメインが、VHHである、請求項1に記載のPDL1結合分子。
【請求項3】
前記VHHが、ヒト化VHHである、請求項2に記載のPDL1結合分子。
【請求項4】
前記VHHが、配列番号25〜32のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項2に記載のPDL1結合分子。
【請求項5】
前記VHHが、配列番号25〜32のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項2に記載のPDL1結合分子。
【請求項6】
前記VHHが、配列番号25〜32のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項2に記載のPDL1結合分子。
【請求項7】
前記VHHが、配列番号25〜32のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項2に記載のPDL1結合分子。
【請求項8】
前記VHHが、配列番号25〜32のいずれか1つと少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項2に記載のPDL1結合分子。
【請求項9】
前記ヒト化VHHが、配列番号33〜37のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項3に記載のPDL1結合分子。
【請求項10】
免疫グロブリンFc領域をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のPDL1結合分子。
【請求項11】
前記免疫グロブリンFc領域が、ヒト免疫グロブリンのFc領域である、請求項10に記載のPDL1結合分子。
【請求項12】
前記免疫グロブリンFc領域が、ヒトIgG1のFc領域である、請求項10に記載のPDL1結合分子。
【請求項13】
前記免疫グロブリンFc領域の前記アミノ酸配列が、配列番号38、70および71から選択される、請求項10に記載のPDL1結合分子。
【請求項14】
配列番号39〜41および43〜46から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項13に記載のPDL1結合分子。
【請求項15】
以下の特徴:
(a)1×10−7M未満のKDでヒトPDL1に結合する;
(b)PDL1とPD−1との相互作用を遮断する;
(c)PBMCおよび/またはT細胞の活性化を増強する;
(d)腫瘍成長を阻害する
のうち少なくとも1つを有する、請求項1から14のいずれか一項に記載のPDL1結合分子。
【請求項16】
1×10−8M未満のKDでPDL1に結合する、請求項1から15のいずれか一項に記載のPDL1結合分子。
【請求項17】
1×10−9M未満のKDでPDL1に結合する、請求項1から15のいずれか一項に記載のPDL1結合分子。
【請求項18】
1×10−10M未満のKDでPDL1に結合する、請求項1から15のいずれか一項に記載のPDL1結合分子。
【請求項19】
1×10−11M未満のKDでPDL1に結合する、請求項1から15のいずれか一項に記載のPDL1結合分子。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載のPDL1結合分子をコードしている核酸分子。
【請求項21】
発現調節エレメントに作動的に連結されている請求項20に記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項22】
請求項20に記載の核酸分子を含む、または請求項21に記載の発現ベクターで形質転換されており、前記PDL1結合分子を発現することができる宿主細胞。
【請求項23】
a)前記PDL1結合分子の発現を可能にする条件下で請求項22に記載の宿主細胞を培養すること;および
b)工程a)の前記培養から前記宿主細胞によって発現される前記PDL1結合分子を回収すること
を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載のPDL1結合分子を産生する方法。
【請求項24】
c)工程b)から得られる前記PDL1結合分子を精製および/または修飾することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
治療的部分とコンジュゲートされた請求項1から19のいずれか一項に記載のPDL1結合分子を含むイムノコンジュゲート。
【請求項26】
前記治療的部分が、細胞毒素、生物活性のあるタンパク質または放射性同位元素を含む、請求項25に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項27】
請求項1から19のいずれか一項に記載のPDL1結合分子または請求項25もしくは26に記載のイムノコンジュゲート、および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
【請求項28】
対象に請求項27に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、対象においてがんを防止および/または処置する方法で使用するための、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記対象に追加の抗腫瘍治療的手段を投与することをさらに含む、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記追加の抗腫瘍治療的手段が、化学療法、放射線療法または他の腫瘍特異抗原に対する抗体を含む、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
他の腫瘍特異抗原に対する前記抗体が、抗EGFR抗体、抗EGFRバリアント抗体、抗VEGFa抗体、抗HER2抗体、または抗CMET抗体を含む、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
他の腫瘍特異抗原に対する前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記がんが、肺がん、卵巣がん、大腸がん、直腸がん、黒色腫、腎臓がん、膀胱がん、乳がん、肝臓がん、リンパ腫、血液悪性腫瘍、頭頸部がん、膠腫、胃がん、鼻咽頭がん、喉頭がん、子宮頸がん、子宮体がん、骨肉腫からなる群から選択される、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項34】
対象に請求項27に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、対象において感染性疾患を防止および/または処置する方法で使用するための、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記感染性疾患が、HIV、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、ジアルジア、プラスモディウム、リーシュマニア、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)からなる群から選択される病原体によって引き起こされる、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
対象に請求項27に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、対象において慢性炎症性疾患を防止および/または処置する方法で使用するための、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記慢性炎症性疾患が、扁平苔癬またはT細胞により媒介される慢性炎症性皮膚粘膜疾患である、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
がん、感染性疾患もしくは慢性炎症性疾患を防止および/または処置するための医薬の調製における、請求項1から19のいずれか一項に記載のPDL1結合分子または請求項25もしくは26に記載のイムノコンジュゲートまたは請求項27に記載の医薬組成物の使用。
【請求項39】
a)請求項1から19のいずれか一項に記載のPDL1結合分子とPDL1との複合体の形成が可能な条件下で生体サンプルおよび対照サンプルと請求項1から19のいずれか一項に記載のPDL1結合分子とを接触させることと、
b)前記複合体の前記形成を検出することと
を含み、前記生体サンプルと前記対照サンプルの間の前記複合体形成の差異が、前記サンプル中のPDL1の存在および/またはPDL1の発現レベルを示す、生体サンプル中のPDL1の存在および/またはPDL1の発現レベルを検出するための方法。
【請求項40】
PDL1関連疾患を診断するためのキットの調製における請求項1から19のいずれか一項に記載のPDL1結合分子の使用であって、疾患が、高PDL1発現に関連する腫瘍または感染性疾患である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学生物学の分野に関し、プログラム死リガンド(PDL1)に対する、単一ドメイン抗体およびその誘導体タンパク質を開示する。特に、本発明は、プログラム死リガンド1(PDL1)結合分子ならびにその使用、特にPDL1関連疾患、たとえば腫瘍の処置および/または防止または診断に対する使用を開示する。
【0002】
プログラム死1(PD−1)は、CD28、CTLA−4、ICOS、PD−1およびBTLAを含む受容体のCD28ファミリーのメンバーである。ファミリーの初期メンバー、CD28およびICOSは、モノクローナル抗体の添加後にT細胞増殖を増大させる機能的効果によって発見された(Hutloff et al.(1999)Nature 397:263〜266;Hansen et al.(1980)Immunogenics 10:247〜260)。PD−1に対する細胞表面糖タンパク質リガンドの2つ、PDL1およびPD−L2が同定され、PD−1に結合するとT細胞活性化およびサイトカイン分泌を下方調節することが示された(Freeman et al.(2000)J Exp Med 192:1027〜34;Latchman et al.(2001)Nat Immunol 2:261〜8;Carter et al.(2002)Eur J Immunol 32:634〜43;Ohigashi et al.(2005)Clin Cancer Res 11:2947〜53)。PDL1(B7−H1)とPDL2(B7−DC)の両方は、PD−1には結合するが、他のCD28ファミリーメンバーには結合しないB7ホモログである(Blank et al.(2004)。細胞表面におけるPDL1の発現が、IFN−γ刺激によって上方調節されることも示されている。
【0003】
PDL1発現は、ヒト肺、卵巣および結腸癌腫ならびに様々な骨髄腫を含めたいくつかのマウスおよびヒトがんに見られた(Iwai et al.(2002)PNAS 99:12293〜7;Ohigashi et al.(2005)、Clin Cancer Res 11:2947〜53)。現在利用可能な結果から、腫瘍細胞において過剰発現するPDL1は、T細胞のアポトーシスを増加させることによる腫瘍免疫回避に重要な役割を果たすことが明らかである。研究者らは、PDL1遺伝子をトランスフェクトされたP815腫瘍細胞株は、CTLによる特定の溶解に抵抗性になることができ、催腫瘍性および浸潤活性を増加させたことを見いだした。これらの生物活性は、PDL1を遮断することによって後退させることができる。PDL1をノックアウトしてPDL1/PD−1相互作用を遮断したマウスに移植した腫瘍細胞は、腫瘍を形成することができない(Dong et al.(2002)Nat Med 8:793〜800)。PDL1は、腸粘膜の炎症に関係する可能性があり、PDL1の阻害が、大腸炎と関連する消耗性疾患を抑制することも示唆された(Kanai et al.(2003)J Immunol 171:4156〜63)。
【0004】
高い親和性でPDL1に結合することができ、PD−1へのPDL1の結合を遮断することができる抗PDL1抗体、特にPDL1に対する重鎖単一ドメイン抗体に対する必要性が、当業者にはなお存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、ファージディスプレイ技術でスクリーニングすることによって高い特異性、高い親和性および高い安定性を持つ抗PDL1重鎖単一ドメイン抗体(VHH)を得た。
【0006】
第1の側面において、本発明は、PDL1に特異的に結合する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むPDL1結合分子を提供する。
【0007】
別の側面において、本発明は、PDL1結合分子をコードしている核酸分子ならびに前記核酸分子を含有する発現ベクターおよび宿主細胞に関する。
【0008】
本発明は、発明のPDL1結合分子を含む、イムノコンジュゲートおよび医薬組成物にさらに関する。
【0009】
本発明は、本発明のPDL1結合分子を産生する方法にさらに関する。
【0010】
本発明は、本発明のPDL1結合分子、イムノコンジュゲートおよび医薬組成物の使用、特にPDL1関連疾患を防止および/または処置するための使用ならびに方法にさらに関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、PD1/PDL1相互作用に対するPDL1重鎖単一ドメイン抗体の遮断効果を示す。
【
図2】
図2は、PDL1抗原タンパク質に対するPDL1重鎖単一ドメイン抗体の結合曲線を示す。
【
図3】
図3は、PD1/PDL1相互作用に対するPDL1重鎖単一ドメイン抗体の遮断曲線を示す。
【
図4】
図4は、抗体番号5の5つのヒト化バリアント配列の整列化を示す。
【
図5】
図5は、PDL1に対するPDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質の結合曲線を示す(ELISAによる)。
【
図6】
図6は、PD1/PDL1相互作用に対するPDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質の遮断曲線を示す(競合ELISAによる)。
【
図7】
図7は、CD80/PDL1相互作用に対するPDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質の遮断曲線を示す(競合ELISAによる)。
【
図8】
図8は、PD1/293−PDL1相互作用に対する、PDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質の遮断曲線を示す(FACSによる)。
【
図9】
図9は、Jurket−PD1/PDL1相互作用に対するPDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質の遮断曲線を示す(FACSによる)。
【
図10】
図10は、フローサイトメトリーによって検出されるPDL1タンパク質に対するPDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質の結合特異性を示す。
【
図11】
図11は、フローサイトメトリーによって検出されるサルPDL1タンパク質に対するPDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質の結合を示す。
【
図12】
図12は、PDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質が、患者由来組織切片上のPDL1陽性細胞集団を同定することを示す。
【
図13】
図13は、PDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質によるPBMCの活性化を示す。
【
図14】
図14は、PDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質によるCD4+T細胞の活性化を示す。
【
図15】
図15は、PDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質が、IL−2の分泌を促進することを示す。
【
図16】
図16は、変異させたFcを保有するPDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質のCDCおよびADCC活性を示す。
【
図17】
図17は、PDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質による処置後の腫瘍成長曲線を示す。
【
図18】
図18は、PDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質を様々な回数投与することによる腫瘍成長の阻害を示す。
【
図19】
図19は、hu56V2−Fcおよび2.41の腫瘍成長阻害活性の比較を示す。A、A375:PBMC=5:1;B、A375:PBMC=1:1。
【
図20】
図20は、PDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質の活性に対するアルカリおよび酸化処理の影響を示す。
【0012】
定義
特に明記および規定されない限り、使用される用語はすべて当技術分野における通常の意味を有し、それは当業者に明らかになる。参照は、たとえば、標準的なハンドブック、たとえばSambrook et al.「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(2nd Ed.)、vol.1〜3、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989);Lewin、「Genes IV」、Oxford University Press、New York、(1990)and Roitt et al.「Immunology」(2nd Ed.)、Gower Medical Publishing、London、 New York(1989)ならびにここで引用した一般的な背景技術に得られる。さらに、特に明記されない限り、特別に詳述されていない方法、工程、技術および操作はすべて、当業者に明らかになるようなそれ自体公知の様式で実行することができ、実行された。参照は、たとえば標準的なハンドブック、上記の一般的な背景技術、およびその中のさらなる引用文献に同様に得られる。
【0013】
特に明記されない限り、交換可能な用語「抗体」および「免疫グロブリン」は、重鎖抗体または従来通りの4鎖抗体を指すためにここで使用されるかどうかにかかわらず、完全サイズ抗体、その個々の鎖と、そのすべての部分、ドメインまたは断片(抗原結合ドメインまたは断片、たとえばそれぞれVHHドメインまたはVH/VLドメインを含むがこれに限定されない)の両方を含む一般的な用語として使用される。加えて、ここで使用される用語「配列」(たとえば「免疫グロブリン配列」、「抗体配列」、「(単一)可変ドメイン配列」、「VHH配列」または「タンパク質配列」の様な用語において)は、文脈がより限定的な解釈を必要としない限り、関連するアミノ酸配列と核酸配列または同じものをコードしている核酸配列の両方を含むと一般に理解されるべきである。
【0014】
ここで使用される用語(ポリペプチドまたはタンパク質の)「ドメイン」とは、タンパク質の他の部位とは独立した3次構造を保持する能力を有する折り畳まれたタンパク質構造のことを指す。一般に、ドメインは、タンパク質の別々の機能特性に関与し、多くの場合、タンパク質および/もしくはドメインの残りの機能を失うことなく他のタンパク質に付加、除去または移し得る。
【0015】
ここで使用される用語「免疫グロブリンドメイン」は、抗体鎖(たとえば従来通りの4鎖抗体または重鎖抗体の鎖など)の球状領域、またはそのような球状領域から本質的になるポリペプチドのことを指す。免疫グロブリンドメインは、抗体分子の免疫グロブリンフォールドの特徴を保持することを特徴とし、免疫グロブリンフォールドは、2つのβシート間に配置された約7つの逆平行β鎖の2層サンドイッチからなり、保存されているジスルフィド結合によって任意に安定化される。
【0016】
ここで使用される用語「免疫グロブリン可変ドメイン」は、4つの「フレームワーク領域」から本質的になる免疫グロブリンドメインを意味し、フレームワーク領域は、当技術分野および以下においてそれぞれ「フレームワーク領域1」または「FR1」;「フレームワーク領域2」または「FR2」;「フレームワーク領域3」または「FR3」;および「フレームワーク領域4」または「FR4」と称され;フレームワーク領域は、3つの「相補性決定領域」または「CDR」によって中断され、相補性決定領域は、当業者および以下においてそれぞれ「相補性決定領域」または「CDR1」;「相補性決定領域2」または「CDR2」;および「相補性決定領域3」または「CDR3」と称される。したがって、免疫グロブリン可変ドメインの全体構造または配列は:FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4と示すことができる。これが、抗原結合部位を保有することによって抗体に抗原に対する特異性を付与する免疫グロブリン可変ドメインである。
【0017】
ここで使用される用語「免疫グロブリン単一可変ドメイン」とは、さらなる可変免疫グロブリンドメインと対合せずに抗原のエピトープに特異的に結合できる免疫グロブリン可変ドメインを意味する。本発明の意味における免疫グロブリン単一可変ドメインの1例は、「ドメイン抗体」、たとえば免疫グロブリン単一可変ドメインVHおよびVL(VHドメインおよびVLドメイン)である。免疫グロブリン単一可変ドメインの別の例は、以下に定義されるラクダ科動物由来の「VHHドメイン」(または、単に「VHH」)である。
【0018】
「VHHドメイン」、別名重鎖単一ドメイン抗体、VHH、V
HHドメイン、VHH抗体断片およびVHH抗体は、「重鎖抗体」(すなわち、「軽鎖がない抗体」)の抗原結合免疫グロブリン可変ドメインである(Hamers−Casterman C,Atarhouch T,Muyldermans S,Robinson G,Hamers C,Songa EB,Bendahman N,Hamers R.:「Naturally occurring antibodies devoid of light chains」;Nature 363、446〜448(1993))。用語「VHHドメイン」は、これらの可変ドメインを従来通りの4鎖抗体に存在する重鎖可変ドメイン(ここで「VHドメイン」と称する)および従来通りの4鎖抗体に存在する軽鎖可変ドメイン(ここで「VLドメイン」と称する)と区別するために選ばれた。VHHドメインは、(エピトープが、VHドメインと一緒になったVLドメインによって認識される従来通りの4鎖抗体におけるVHまたはVLドメインとは対照的に)追加の抗原結合ドメインなしにエピトープに特異的に結合することができる。VHHドメインは、単一の免疫グロブリンドメインによって形成される小さく、強力で、効果的な抗原認識単位である。
【0019】
本発明の文脈において、用語重鎖単一ドメイン抗体、VHHドメイン、VHH、V
HHドメイン、VHH抗体断片、VHH抗体ならびに「ナノボディ[登録商標]」および「ナノボディ[登録商標]ドメイン」(「ナノボディ」は、企業Ablynx N.V.;Ghent;Belgiumの商標である)は、互換的に使用される。
【0020】
ラクダ科動物由来のVHHドメインのアミノ酸残基は、たとえばRiechmann and Muyldermans、J.Immunol.Methods 231、25〜38(1999)の
図2に示されるように、Kabat et al.(「Sequence of proteins of immunological interest」、アメリカ合衆国公衆衛生局、NIH Bethesda、MD、公開番号91)によって提供されるVHドメインの一般的な番号付けにしたがって付番される。
この番号付けによると、
・FR1はアミノ酸残基1〜30位を含み、
・CDR1はアミノ酸残基31〜35位を含み、
・FR2はアミノ酸36〜49位を含み、
・CDR2はアミノ酸残基50〜65位を含み、
・FR3はアミノ酸残基66〜94位を含み、
・CDR3はアミノ酸残基95〜102位を含み、
・FR4はアミノ酸残基103〜113位を含む。
【0021】
しかしながら、VHドメインおよびVHHドメインについて当技術分野において周知であるように、CDRのそれぞれにおけるアミノ酸残基の総数は変動してもよく、Kabat付番によって示されるアミノ酸残基の総数と一致しなくてもよい点に留意する必要がある(すなわち、Kabat付番による1つ以上の位置が、実際の配列において使用されていなくてもよく、または実際の配列が、Kabat付番によって可能になる数より多くのアミノ酸残基を含有してもよい)。これは、一般に、Kabatによる番号付けが、実際の配列におけるアミノ酸残基の実際の番号付けと一致してもしなくてもよいことを意味する。
【0022】
VHHドメインと類似の様式で適用することもできる、VHドメインのアミノ酸残基を番号付けする別法が当業者に公知である。しかしながら、特に明記されない限り本説明、請求項および図において、Kabatにしたがい、上記の通りVHHドメインに適用された番号付けに、したがうことになる。
【0023】
VHHドメイン中のアミノ酸残基の総数は、通常110〜120、しばしば112〜115になる。しかしながら、より小さいおよびより長い配列が、ここで記述される目的に適切であってもよい点に留意すべきである。
【0024】
VHHドメインおよび同じものを含有するポリペプチドのさらなる構造的特徴および機能特性を、以下の通り要約することができる:
VHHドメイン(軽鎖可変ドメインの存在なしに、およびそれとどんな相互作用もなしに抗原に機能的に結合するように天然に「設計されている」)は、単一の、比較的小さい機能的抗原結合構造単位、ドメインまたはポリペプチドとして機能することができる。これにより、VHHドメインは従来通りの4鎖抗体のVHおよびVLドメインと区別され、一般に、VHおよびVLドメインは、それだけでは単一抗原結合タンパク質または免疫グロブリン単一可変ドメインとしての実際の適用に適しておらず、機能的抗原結合単位を得るにはなんらかのまたは別の形態と組み合わせる必要がある(たとえば従来通りの抗体断片、たとえばFab断片;VLドメインと共有結合したVHドメインからなるscFvなど)。
【0025】
これらの特異な性質のため、VHHドメインの、単独またはより大きなポリペプチドの一部としていずれかの使用は、従来通りのVHおよびVLドメイン、scFvまたは従来通りの抗体断片(たとえばFabまたはF(ab’)
2断片)の使用より有意な利点を多く提供し:
・高い親和性および高い選択性で抗原を結合するのに単一ドメインだけを必要とし、したがって別々のドメインが2つ存在する必要性はなく、これら2つのドメインが正しい空間的立体配座および構成で存在する(すなわち、scFvと同じ特別に設計されたリンカーの使用による)ことを保証する必要もない;
・VHHドメインは、単一遺伝子から発現させることができ、翻訳後の畳み込みまたは修飾を必要としない;
・VHHドメインは、多価および多重特異的形式(形式化された)に容易に操作することができる;
・VHHドメインは高溶解性であり、凝集傾向を有さない;
・VHHドメインは、熱、pH、プロテアーゼおよび他の変性剤または条件に対して非常に安定しており、したがって、冷凍装置を使用せずに調製、貯蔵または輸送されてもよく、運搬費用、時間および環境の節約になる;
・VHHドメインは、生産に必要とする規模でも、調製が容易であり、比較的安価である;
・VHHドメインは、従来通りの4鎖抗体およびその抗原結合断片と比較して比較的小さく(およそ15kDa、または従来通りのIgGより10倍小さい)、したがって組織への(より)高い侵入を示し、従来通りの4鎖抗体およびその抗原結合断片より高い用量で投与することができる;
・VHHドメインは、いわゆる空洞結合特性(特に、従来通りのVHドメインと比較して拡張されたCDR3ループによる)を示すことができ、したがって従来通りの4鎖抗体ならびにその抗原結合断片には接近しにくい標的およびエピトープに接近することもできる。
【0026】
特定の抗原またはエピトープに結合するVHHドメインを得る方法は、たとえばWO2006/040153およびWO2006/122786;R.van der Linden et al.、Journal of Immunological Methods、240(2000)185〜195;Li et al.、J Biol Chem.、287(2012)13713〜13721;Deffar et al.、African Journal of Biotechnology vol.8(12)、pp.2645〜2652、2009年6月17日およびWO94/04678に以前に記述されている。
【0027】
ラクダ科動物から得られるVHHドメインは、元のVHH配列のアミノ酸配列中にある1つ以上のアミノ酸残基を、人間の従来通りの4鎖抗体由来VHドメインの対応する位置に存在する1つ以上のアミノ酸残基で置き換えることによって「ヒト化する」ことができる(「配列最適化」とも称され、ヒト化に加えて、配列最適化は、VHHの特徴を改善するための1つ以上の突然変異による配列の他の修飾、たとえば翻訳後修飾のための潜在的部位の除去、も包含する)。ヒト化VHHドメインは、1つ以上の完全ヒトフレームワーク領域配列を含有することができ、特定の態様において、IGHV3ヒトフレームワーク領域配列を含有する。
【0028】
ここで使用される「ドメイン抗体」とは、非ラクダ科動物哺乳動物、特にヒト4鎖抗体のVHまたはVLドメインのことを特に指す。単一抗原結合ドメインとして、すなわちVLまたはVHドメインとそれぞれ対になることなくエピトープを結合するために、たとえばヒト単一VHまたはVLドメイン配列のライブラリの使用による、そのような抗原結合特性に対する特定の選択が必要とされる。
【0029】
ドメイン抗体は、VHHのように分子量およそ13〜およそ16kDaを有し、完全なヒト配列から得られる場合、たとえばヒトにおける治療的使用に対しヒト化を必要としない。VHHドメインの場合のように、それらは原核生物発現系においてもよく発現され、全体としての製造費用において有意な減少を得られる。
【0030】
「ドメイン抗体」については、たとえばWard,E.S. et al.:「Binding activities of a repertoire of single immunoglobulin variable domains secreted from Escherichia coli」;Nature 341:544〜546(1989);Holt,L.J. et al.:「Domain antibodies:proteins for therapy」;TRENDS in Biotechnology 21(11):484〜490(2003)に記述されている。
【0031】
さらに、ヒト骨格または非免疫グロブリン骨格を含むがこれに限定されない他の「骨格」に上で述べたCDRを1つ以上「移植」できることも、当業者に明らかになる。そのようなCDR移植に適切な骨格および技術は、当業者に公知である。
【0032】
ここで使用される用語「エピトープ」とは、抗体のパラトープが結合する抗原上の任意の抗原決定基を指す。抗原決定基は、分子の化学的に活性な表面基、たとえばアミノ酸または糖側鎖を一般に含有し、特定の3次元構造特性および特定の電荷特性を一般に有する。たとえば、エピトープは、固有の空間立体配座内に少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個の連続または不連続的なアミノ酸を一般に含み、それらは、「直鎖状」または「立体配座」であってよい。たとえば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology、Vol.66、G.E.Morris、Ed.(1996)を参照のこと。直鎖状エピトープにおいて、タンパク質と相互作用分子(たとえば抗体)との相互作用点のすべては、タンパク質の1次アミノ酸配列に沿って直鎖状に存在する。立体配座エピトープにおいて、相互作用点は、互いに分離しているタンパク質上のアミノ酸残基に跨って存在する。
【0033】
所与の抗原のエピトープは、当業者に周知のいくつかのエピトープマッピング技術を使用して同定することができる。たとえば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology、Vol.66(Glenn E.Morris、 Ed.、1996)を参照のこと。たとえば、直鎖状エピトープは、たとえば固体支持体上に多数のペプチドを同時に合成し、ペプチドはタンパク質分子の部分に対応しており、ペプチドを支持体になお付加させたままペプチドを抗体と反応させることによって決定されてもよい。そのような技術は当業者に公知であり、たとえば、米国特許第4,708,871号;Geysenら(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3998〜4002;Geysenら(1986)Molec.Immunol.23:709〜715に記述されている。同様に、立体配座エピトープは、アミノ酸の空間立体配座を決定することによって、たとえばX線結晶学および2次元核磁気共鳴などによって同定されてもよい。たとえば、上記、Epitope Mapping Protocolsを参照のこと。
【0034】
抗体は、当業者に公知の従来通りの技術によって同じエピトープに対する競合結合についてスクリーニングすることができる。たとえば、抗原に対する結合について競合または交差競合する抗体を、競合または交差競合アッセイによって得ることができる。それらの交差競合に基づいて同じエピトープに結合する抗体を得るための高スループットな方法は、国際特許出願公開WO03/48731に記述されている。それに対応して、PDL1上の同じエピトープに対する結合について本発明の抗体分子と競合する抗体およびその抗原結合断片は、当業者に公知の従来通りの技術によって得ることができる。
【0035】
一般に、用語「特異性」とは、特定の抗原結合分子または抗原結合タンパク質(たとえば本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン)分子が結合し得る異なる型の抗原もしくはエピトープの数のことを指す。抗原結合分子の特異性は、親和性および/または結合活性に基づいて決定することができる。抗原と抗原結合タンパク質との解離に対する平衡定数によって表される親和性(KD)は、エピトープと抗原結合タンパク質上の抗原結合部位との結合強度の尺度であり:KD値がより小さいほど、エピトープと抗原結合分子の間の結合強度はより強い(別法として、親和性は親和定数(KA)として表すこともでき、それは1/KDである)。当業者には明らかになるように、親和性は、対象となる特定の抗原に応じて、それ自体公知の様式で決定することができる。結合活性は、抗原結合分子(たとえば免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、またはそれを含有するポリペプチド)と関連抗原との結合の強度の尺度である。結合活性は、エピトープと抗原結合分子上の抗原結合部位との親和性と抗原結合分子に存在する関連結合部位の数の両方と関係する。
【0036】
特に明記されない限り、用語「PDL1結合分子」とは、PDL1に特異的に結合することができる任意の分子のことを指す。PDL1結合分子は、ここで定義したPDL1に対する抗体またはイムノコンジュゲートを包含することができる。用語「PDL1結合分子」は、いわゆる「SMIP」(「小モジュラー免疫医薬品」[Small Modular Immunopharmaceuticals])、免疫グロブリンスーパーファミリー抗体(IgSF)またはCDR移植分子を包含する。
【0037】
「PDL1結合分子」とは、一価のPDL1結合分子(すなわち、PDL1の1つのエピトープに結合する分子)と2または多価結合分子(すなわち、2つ以上のエピトープに結合する結合分子)の両方のことを指す。本発明のPDL1結合分子は、PDL1結合免疫グロブリン単一可変ドメイン、たとえばVHHを少なくとも1つ含有してもよい。いくつかの態様において、本発明のPDL1結合分子は、PDL1結合免疫グロブリン単一可変ドメイン、たとえばVHHを2つ含有してもよい。PDL1結合免疫グロブリン単一可変ドメインを2つ以上含有するPDL1結合分子は、「形式化された」PDL1結合分子とも称される。形式化されたPDL1結合分子は、PDL1結合免疫グロブリン単一可変ドメインに加えて、リンカーならびに/またはエフェクター機能を持つ部分、たとえばアルブミン結合免疫グロブリン単一可変ドメインの様な半減期延長部分、および/または血清アルブミンの様な融合パートナーおよび/またはPEGの様な付加されたポリマーおよび/またはFc領域を含んでもよい。いくつかの態様において、本発明のPDL1結合分子は、異なる抗原に結合する免疫グロブリン単一可変ドメインを含有する二重特異性抗体も包含する。
【0038】
一般に、本発明のPDL1結合分子は、10
-7〜10
-11モル/リットル(M)、好ましくは10
-8〜10
-11モル/リットル、より好ましくは10
-9〜10
-11モル/リットル、さらにより好ましくは10
-10〜10
-11モル/リットルもしくはそれ未満(BiacoreまたはKinExAアッセイにおいて測定される)の解離定数(KD)、および/または少なくとも10
7M
-1、好ましくは少なくとも10
8M
-1、より好ましくは少なくとも10
9M
-1、より好ましくは少なくとも10
10M
-1、たとえば少なくとも10
10M
-1の会合定数(KA)で抗原(すなわち、PDL1)に結合することになる。10
-4Mより大きいどんなKD値も、非特異的結合を示すと一般に見なされる。抗原またはエピトープへの抗原結合タンパク質の特異的結合は、たとえば、ここで記述されるアッセイ、スキャッチャード解析ならびに/または競合結合アッセイ、たとえば放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)およびサンドイッチ競合アッセイを含めたそれ自体公知の任意の適切な様式で決定することができる。
【0039】
アミノ酸残基は、一般に公知であり、当業者に同意されているので、標準的な3文字または1文字アミノ酸コードにしたがって示すことになる。2つのアミノ酸配列を比較する場合、用語「アミノ酸の差異」とは、第2の配列と比較して、参照配列の位置に表示された数のアミノ酸残基の挿入、欠失または置換のことを指す。置換の場合、そのような置換は、好ましくは保存的アミノ酸置換であることになり、保存的アミノ酸置換とは、アミノ酸残基が類似の化学構造の別のアミノ酸残基で置き換えられることを意味し、その置換は、ポリペプチドの機能、活性もしくは他の生物学的特性に影響がほとんどないまたは本質的にない。そのような保存的アミノ酸置換は、当業者に周知であり、保存的アミノ酸置換は、好ましくは以下の群(i)〜(v)内の1つのアミノ酸が同じ群内の別のアミノ酸残基によって置換される置換である:(i)小さい脂肪族、非極性またはわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、ProおよびGly;(ii)極性の、負荷電を持つ残基およびそれらの(無荷電の)アミド:Asp、Asn、GluおよびGin;(iii)極性の、正荷電を持つ残基:His、ArgおよびLys;(iv)大きな脂肪族、非極性残基:Met、Leu、He、ValおよびCys;ならびに(v)芳香族残基:Phe、TyrおよびTrp。特に好ましい保存的アミノ酸置換は、以下の通りである:AlaからGlyまたはSerへ;ArgからLysへ;AsnからGlnまたはHisへ;AspからGluへ;CysからSerへ;GlnからAsnへ;GluからAspへ;GlyからAlaまたはProへ;HisからAsnまたはGlnへ;IleからLeuまたはValへ;LeuからIleまたはValへ;LysからArg、GlnまたはGluへ;MetからLeu、TyrまたはIleへ;PheからMet、LeuまたはTyrへ;SerからThrへ;ThrからSerへ;TrpからTyrへ;TyrからTrpまたはPheへ;ValからIleまたはLeuへ。
【0040】
2つのポリペプチド配列間の「配列同一性」は、配列間で同一であるアミノ酸のパーセンテージを示す。「配列類似性」は、同一または保存的アミノ酸置換を表すいずれかのアミノ酸のパーセンテージを示す。アミノ酸または核酸配列間の配列同一性のレベルを評価する方法は、当業者に公知である。たとえば、配列分析ソフトウェアをしばしば使用して、アミノ酸配列の同一性を決定する。たとえば、同一性は、NCBIデータベースでBLASTプログラムを使用することによって決定することができる。配列同一性の決定については、たとえば、Computational Molecular Biology、Lesk,A.M.、ed.、Oxford University Press、New York、1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith,D.W.、ed.、Academic Press、New York、1993;Computer Analysis of Sequence Data 、PartI、Griffin,A.M. and Griffin,H.G.、ed.、Humana Press、New Jersey、1994;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje,G.、Academic Press、1987およびSequence Analysis Primer、Gribskov,M.and Devereux,J.、eds.、M Stockton Press、New York、1991を参照のこと。
【0041】
ポリペプチドまたは核酸分子は、たとえば、それが得られた天然の生物学的供給源および/または反応培地もしくは培養培地と比較した際に、前記供給源または培地中に通常付随する少なくとも1つの他の構成要素、たとえば別のタンパク質/ポリペプチド、別の核酸、別の生物学的構成要素もしくは巨大分子または少なくとも1つの夾雑物、不純物もしくは微量構成要素から分離されている場合、「本質的に単離されている」と見なされる。特に、ポリペプチドまたは核酸分子は、それが少なくとも2倍、特に少なくとも10倍、より特に少なくとも100倍、および1000倍またはより高くまで精製されている場合、「本質的に単離されている」と見なされる。「本質的に単離されている形態の」ポリペプチドまたは核酸分子は、適切な技術、たとえば適切なクロマトグラフ技術、たとえばポリアクリルアミドゲル電気泳動法を使用して決定されるように好ましくは本質的に同質である。
【0042】
「親和性成熟された」抗PDL1抗体、特にVHHまたはドメイン抗体は、1つ以上のCDRに1つ以上の改変を有し、その改変により、それぞれの親PDL1結合分子と比較してPDL1に対する親和性が改善されている。本発明の親和性成熟されたPDL1結合分子は、たとえば、Marks et al.1992、Biotechnology 10:779〜783、またはBarbas et al.1994、Proc.Nat.Acad.Sci、USA 91:3809〜3813.;Shier et al.1995、Gene 169:147〜155;Yelton et al.1995、Immunol.155:1994〜2004;Jackson et al.1995、J.Immunol.154(7):3310〜9;およびHawkins et al.1992、J. Mol. Biol.226(3):889〜896;KS Johnson and RE Hawkins、「Affinity maturation of antibodies using phage display」、Oxford University Press 1996に記述されている当業者に公知の方法によって調製されてもよい。
【0043】
ここで使用される用語「対象」とは、哺乳動物、特に霊長類、特にヒトのことを指す。
本発明のPDL1結合分子
第1の側面において、本発明は、PDL1に特異的に結合することができる免疫グロブリン単一可変ドメインを少なくとも1つ含むPDL1結合分子を提供する。いくつかの態様において、前記PDL1結合分子は、PDL1に特異的に結合する免疫グロブリン単一可変ドメインを1つ含む。いくつかの態様において、前記PDL1結合分子は、PDL1に特異的に結合する免疫グロブリン単一可変ドメインを2つ以上含む。
【0044】
いくつかの態様において、前記少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメインは:
(1)配列番号1に示すCDR1、配列番号2に示すCDR2、配列番号3に示すCDR3(抗体番号10のCDRに対応する);
(2)配列番号4に示すCDR1、配列番号5に示すCDR2、配列番号6に示すCDR3(抗体番号27のCDRに対応する);
(3)配列番号7に示すCDR1、配列番号8に示すCDR2、配列番号9に示すCDR3(抗体番号38のCDRに対応する);
(4)配列番号10に示すCDR1、配列番号11に示すCDR2、配列番号12に示すCDR3(抗体番号56のCDRに対応する);
(5)配列番号13に示すCDR1、配列番号14に示すCDR2、配列番号15に示すCDR3(抗体番号69のCDRに対応する);
(6)配列番号16に示すCDR1、配列番号17に示すCDR2、配列番号18に示すCDR3(抗体番号81のCDRに対応する);
(7)配列番号19に示すCDR1、配列番号20に示すCDR2、配列番号21に示すCDR3(抗体番号87のCDRに対応する);および
(8)配列番号22に示すCDR1、配列番号23に示すCDR2、配列番号24に示すCDR3(抗体番号94のCDRに対応する)
から選択されるCDR1、CDR2およびCDR3を含む。
【0045】
いくつかの態様において、本発明のPDL1結合分子の前記少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメインは、VHHである。いくつかの特定の態様において、前記VHHは、配列番号25〜32のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。他のいくつかの態様において、前記ヒト化VHHは、配列番号25〜32のうちいずれか1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別法として、前記VHHのアミノ酸配列は、配列番号25〜32のうちいずれか1つと比較して1つ以上のアミノ酸置換、好ましくは保存的アミノ酸置換を含有する。たとえば、前記VHHは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の保存的アミノ酸置換を含有する。
【0046】
いくつかの態様において、前記VHHは、ヒト化VHHである。いくつかの特定の態様において、前記ヒト化VHHは、配列番号33〜37のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0047】
いくつかの態様において、本発明のPDL1結合分子は、親和性成熟によって得られる。親和性成熟によって得られるPDL1結合分子は、1つ以上のCDRに1つ以上の改変を有してもよく、そのような改変により、親PDL1結合分子と比較したときにPDL1に対する親和性の増加を得られる。
【0048】
いくつかの態様において、本発明のPDL1結合分子は、PDL1に特異的に結合することができる少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメインに加えて、免疫グロブリンFc領域をさらに含む。本発明のPDL1結合分子における免疫グロブリンFc領域の内包により、結合分子は二量体を形成することが可能になり、さらに前記分子のin vivo半減期の延長が可能になる。本発明において使用することができるFc領域は、異なるサブタイプの免疫グロブリン、たとえばIgG(たとえば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4サブタイプ)、IgA1、IgA2、IgD、IgEまたはIgMから得られてもよい。
【0049】
いくつかの態様において、突然変異を野生型のFc配列に導入して、Fcにより媒介される関連活性を改変することができる。前記突然変異には、a)Fcによって媒介されるCDC活性を改変する突然変異;b)Fcによって媒介されるADCC活性を改変する突然変異;またはc)FcRnによって媒介されるin vivo半減期を改変する突然変異があるが、これに限定されない。そのような突然変異は、Leonard G Presta、Current Opinion in Immunology 2008、20:460〜470;Esohe E.Idusogie et al.、J Immunol 2000、164:4178〜4184;RAPHAEL A.CLYNES et al.、Nature Medicine、2000、Volume6、Number4:443〜446;Paul R. Hinton et al.、J Immunol、2006、176:346〜356に記述されている。
【0050】
いくつかの態様において、変異されたFcが、ホモ二量体またはヘテロ二量体を形成する傾向が高まるように、突然変異がFc配列に導入されてもよい。たとえば、Ridgway,Presta et al.1996およびCarter 2001は、Fc接触界面にあるアミノ酸側鎖基の空間的相互作用のノブ−ホールモデル(knob-hole model)を使用して、異なるFc変異体がヘテロ二量体をより容易に形成できることに言及し;加えて、CN102558355AまたはCN103388013Aは、Fc接触界面にあるアミノ酸の電荷を変化させ、Fc接触界面でのイオン相互作用を同じく変化させることにより異なるFc変異体がヘテロ二量体をより容易に形成できる、または同じ突然変異によりFcがホモ二量体をより容易に形成できることを開示している。
【0051】
好ましくは、前記免疫グロブリンFc領域は、ヒト免疫グロブリンのFc領域、より好ましくはヒトIgG1のFc領域である。いくつかの特定の態様において、免疫グロブリンFc領域のアミノ酸配列は、配列番号38に示される。いくつかの特定の態様において、免疫グロブリンFc領域のアミノ酸配列は、配列番号70または71に示される。
【0052】
いくつかの特定の態様において、免疫グロブリンFc領域を含む本発明のPDL1結合分子は、配列番号39〜51および72〜83から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0053】
別の側面において、本発明のPDL1結合分子は、配列番号25〜32のうちいずれか1つのアミノ酸配列からなるVHHと同じエピトープに結合する抗PDL1抗体分子も包含する。
【0054】
本発明のPDL1結合分子は、以下の特徴のうち少なくとも1つを有する:
(a)1×10
-7M未満のKDでヒトPDL1に結合する;
(b)PDL1とPD−1との相互作用を遮断する;
(c)PBMCおよび/またはT細胞の活性化を増強する;
(d)腫瘍成長を阻害する。
【0055】
本発明のPDL1結合分子は、1×10
-7M未満、好ましくは1×10
-8M未満、より好ましくは1×10
-9M未満、より好ましくは1×10
-10M未満およびさらにより好ましくは1×10
-11M未満のKDでPDL1に結合してもよい。
【0056】
いくつかの態様において、本発明のPDL1結合分子は、ヒトPDL1に特異的に結合し、PDL1とPD−1との相互作用を遮断することができる。いくつかの態様において、本発明のPDL1結合分子は、ヒトPDL1に特異的に結合し、PDL1とCD80との相互作用を遮断することができる。
【0057】
本発明のPDL1結合分子は、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約70%およびより好ましくは少なくとも約80%腫瘍成長を阻害することができる。
【0058】
さらにまた、本発明のPDL1結合分子は、アルカリ処理および酸化処理に抵抗性である。たとえば、本発明のPDL1結合分子は、強塩基(たとえば500mM重炭酸アンモニウム)で約8時間、好ましくは約16時間、より好ましくは約24時間、より好ましくは約32時間処理した後にその活性を維持する。別法として、本発明のPDL1結合分子は、酸化剤(1%過酸化水素)で約2時間、好ましくは約4時間、より好ましくは約8時間処理した後にその活性を維持している。
【0059】
加えて、本発明のPDL1結合分子は、高濃度で安定している。たとえば、本発明のPDL1結合分子は、凝集体を形成することなく約100mg/ml、より好ましくは約150mg/ml、より好ましくは約200mg/ml、またはより好ましくは約250mg/mlの濃度で安定した状態を保つ。
核酸、ベクターおよび宿主細胞
別の側面において、本発明は、本発明のPDL1結合分子をコードする核酸分子に関する。本発明の核酸は、RNA、DNAまたはcDNAであってもよい。本発明の一態様によると、本発明の核酸は、本質的に単離された形態である。いくつかの特定の態様において、本発明のPDL1結合分子をコードしている核酸分子は、配列番号58〜65のうちいずれか1つの核酸配列を含む。
【0060】
本発明の核酸は、ベクター、たとえばプラスミド、コスミドもしくはYACの形態であってもよく、存在してもよくおよび/またはその部分であってもよい。特に、ベクターは発現ベクター、すなわちin vitroおよび/またはin vivoで(すなわち適切な宿主細胞、宿主生物および/または発現系で)PDL1結合分子の発現を提供することができるベクターであってもよい。そのような発現ベクターは、1つ以上の適切な調節エレメント、たとえばプロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどに作動的に連結される本発明の核酸を少なくとも1つ一般に含む。特定の宿主における特定の配列の発現を考慮するとそのようなエレメントおよびその選択は、当業者の周知の事実である。本発明のPDL1結合分子を発現するのに有用または必要な調節エレメントおよび他のエレメントの特定の例には、たとえばプロモーター、エンハンサー、ターミネーター、組み込み因子、選択マーカー、リーダー配列、レポーター遺伝子などがある。
【0061】
本発明の核酸は、ここで与えられる本発明のポリペプチドのアミノ酸配列に関する情報に基づいてそれ自体公知の様式で(たとえばオートメーション化したDNA合成および/または組換えDNA技術によって)調製もしくは得られてもよく、および/または適切な天然の供給源から単離することができる。
【0062】
別の側面において、本発明は、本発明のPDL1結合分子を1つ以上発現するもしくは発現できる;および/または本発明の核酸を含有する宿主細胞に関する。特に好ましい態様によると、前記宿主細胞は、細菌細胞であり;他の有用な細胞は、酵母細胞、真菌細胞または哺乳動物細胞である。
【0063】
適切な細菌細胞には、グラム陰性細菌株、たとえば大腸菌(Escherichia coli)、プロテウス属およびシュードモナス属の株ならびにグラム陽性細菌株、たとえばバシラス属、ストレプトマイセス属、スタフィロコッカス属およびラクトコッカス属の株由来の細胞がある。
【0064】
適切な真菌細胞には、トリコデルマ属、アカパンカビ属およびアスペルギルス属の種由来の細胞がある。適切な酵母細胞には、サッカロミセス属(たとえば、酵母[Saccharomyces cerevisiae])、シゾサッカロミセス属(たとえば、シゾサッカロミセス・ポンベ[Schizosaccharomyces pombe)])、ピキア属(たとえば、ピキア・パストリス[Pichia pastoris]およびピキア・メタノリカ[Pichia methanolica])およびハンゼヌラ属の種由来の細胞がある。
【0065】
適切な哺乳動物細胞には、たとえばHEK293細胞、CHO細胞、BHK細胞、HeLa細胞、COS細胞などがある。
【0066】
しかしながら、異種タンパク質の発現のために当業者に使用される両生類細胞、昆虫細胞、植物細胞および他の任意の細胞も、同様に使用することができる。
【0067】
本発明は、本発明のPDL1結合分子を製造する方法をさらに提供し、そのような方法は:
・本発明のPDL1結合分子の発現を可能にする条件下で本発明の宿主細胞を培養する工程と;
・培養から宿主細胞によって発現されたPDL1結合分子を回収する工程と;
・任意に、本発明のPDL1結合分子をさらに精製および/または修飾する工程と
を一般に含む。
【0068】
好ましい態様において、本発明のPDL1結合分子は、哺乳動物細胞を使用することによって産生される。本発明のPDL1結合分子は、哺乳動物細胞において高発現を達成することができる。たとえば、発現レベルは、最高約5g/L、好ましくは約6g/L、好ましくは約7g/L、好ましくは約8g/L、好ましくは約9g/L、好ましくは約10g/Lまたはより高くあり得る。
【0069】
本発明のPDL1結合分子は、上に示したように細胞内的に細胞内(たとえばサイトソル内、ペリプラズム内または封入体内)で産生され、次いで宿主細胞から単離され、任意にさらに精製されてもよく;またはそれらは細胞外(たとえば、宿主細胞が培養される培地中)で産生され、次いで培養培地から単離され、任意にさらに精製され得るかいずれかである。
【0070】
ポリペプチドの組換え生産に使用される方法および試薬、たとえば特定の適切な発現ベクター、形質転換またはトランスフェクション方法、選択マーカー、タンパク質発現の誘導の方法、培養条件などは、当業者に公知である。同様に、本発明のPDL1結合分子の製造の方法に有用なタンパク質単離および精製技術は、当業者に周知である。
【0071】
しかしながら、本発明のPDL1結合分子は、タンパク質を生産するための当業者に公知の他の方法、たとえば固相または液相合成を含めた化学合成によって得ることもできる。
イムノコンジュゲート
別の側面において、本発明の特徴は、治療部分、たとえば細胞毒素、生物活性のあるタンパク質または放射性同位元素放射性毒素にコンジュゲートされているPDL1結合分子に関する。そのようなコンジュゲートを、「イムノコンジュゲート」とここで称する。1つ以上の細胞毒素を含むイムノコンジュゲートは、「免疫毒素」と称される。細胞毒素または細胞毒性薬剤には、細胞に有害な(たとえば、死滅させる)任意の薬剤がある。例には、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、糖質コルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロールおよびピューロマイシンならびにその類似体またはホモログがある。
【0072】
コンジュゲートすることができる治療的薬剤には、たとえば、代謝拮抗物質(たとえば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルダカルバジン)、アルキル化剤(たとえば、メクロレタミン、チオテパ、クロラムブチル、メルファラン、カルムスチン[BSNU]およびロムスチン[CCNU]、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンCおよびシスジクロロジアンミン白金(II)[DDP]、シスプラチン)、アントラサイクリン(たとえば、ダウノルビシン[以前は、ダウノマイシン]およびドキソルビシン)、抗生物質(たとえば、ダクチノマイシン[以前は、アクチノマイシン]、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアントラマイシン[AMC])および抗有糸分裂薬(たとえば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)もある。
【0073】
本発明のPDL1結合分子にコンジュゲートすることができる治療的細胞毒素の他の好ましい例には、デュオカルマイシン、カリケアマイシン、メイタンシンおよびオーリスタチンならびにその誘導体がある。
【0074】
細胞毒素は、当業者に利用可能なリンカー技術を使用して本発明のPDL1結合分子にコンジュゲートすることができる。PDL1結合分子に細胞毒素をコンジュゲートするために使用されるリンカー型の例には、ヒドラゾン、チオエーテル、エステル、ジスルフィドおよびペプチド含有リンカーがあるが、これに限定されない。たとえばリソソーム区画内の低pHによる切断の影響を受けやすいまたはプロテアーゼ、たとえば腫瘍組織において優先的に発現されるプロテアーゼ、たとえばカテプシン(たとえば、カテプシンB、C、D)による切断の影響を受けやすいリンカーを選ぶことができる。
【0075】
細胞毒素の型、リンカーおよび抗体に治療的薬剤をコンジュゲートさせる方法のさらなる考察については、Saito,G.et al.(2003)Adv.DrugDeliv.Rev. 55:199〜215;Trail,P.A.et al.(2003)Cancer Immunol.Immunother.52:328〜337;Payne,G.(2003)Cancer Cell 3:207〜212;Allen,T.M.(2002)Not.Rev. Cancer 2:750〜763;Pastan,I. and Kreitman,R.J.(2002)Curr.Opin.Imestig.Drugs 3:1089〜1091;Senter,P.D. and Springer,CJ.(200Y)Adv.DrugDeliv.Rev. 53:247〜264も参照のこと。
【0076】
本発明のPDL1結合分子を放射性同位元素にコンジュゲートして、細胞毒性放射性医薬品、放射性イムノコンジュゲートとも称される、を生成することもできる。診断または治療に使用するために抗体にコンジュゲートすることができる放射性同位元素の例には、ヨウ素
131、インジウム
111、イットリウム
90およびルテチウム
177があるが、これに限定されない。放射性イムノコンジュゲートを調製する方法は、当業者において確立されている。放射性イムノコンジュゲートの例は、Zevalin(商標)(IDEC Pharmaceuticals)およびBexxar(商標)(Corixa Pharmaceuticals)を含めて市販されており、類似の方法を使用して、本発明のPDL1結合分子を使用して放射性イムノコンジュゲートを調製することができる。
【0077】
本発明のPDL1結合分子を、所望の生物活性を持つタンパク質にコンジュゲートして、所与の生物学的応答を修飾することもできる。そのようなタンパク質には、たとえば、酵素的に活性な毒素もしくは活性なその断片、たとえばアブリン、リシンA、シュードモナス外毒素またはジフテリア毒素;タンパク質、たとえば腫瘍壊死因子もしくはインターフェロン−γ;または生物学的応答修飾物質、たとえば、リンホカイン、インターロイキン1(「IL−1」)、インターロイキン2(「IL−2」)、インターロイキン6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)もしく他の免疫因子、たとえばIFNがあってもよい。
【0078】
抗体にそのような治療的部分をコンジュゲートする技術は周知であり、たとえば、Arnon et al.、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeld et al.(ed.)、pp.243〜56(Alan R.Liss,Inc.1985);Hellstrom et al.、「Antibodies For Drug Delivery」、Controlled Drug Delivery(2nd Ed.)、Robinson et al.(ed.)、pp.623〜53(Marcel Dekker,Inc.1987);Thorpe、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」、Monoclonal Antibodies’84:Biological And Clinical Applications、Pinchera et al.(ed.)、pp.475〜506(1985);「Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」、Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、Baldwin et al.(ed.)、pp.303〜16(Academic Press 1985)、およびThorpe et al.、「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates」Immunol.Rev.、62:119〜58(1982)を参照のこと。
医薬組成物
別の側面において、本発明は、組成物、たとえば、本発明のPDL1結合分子の1つまたは組み合わせを含有し、薬学的に許容可能な担体と一緒に処方された医薬組成物を提供する。そのような組成物は、本発明のPDL1結合分子または本発明のイムノコンジュゲートの1つもしくは組み合わせ(たとえば、異なる2つ以上)を含んでもよい。たとえば、本発明の医薬組成物は、標的抗原上の異なるエピトープに結合する抗体分子の組み合わせを含むことができる。
【0079】
本発明の医薬組成物は、併用療法で、すなわち他の薬剤と組み合わせて投与することもできる。たとえば併用療法は、少なくとも1つの他の抗腫瘍薬と組み合わされた本発明のPDL1結合分子を含むことができる。たとえば、本発明のPDL1結合分子は、他の腫瘍特異抗原を標的としている抗体と組み合わせて投与されてもよい。他の腫瘍特異抗原を標的とする前記抗体には、抗EGFR抗体、抗EGFRバリアント抗体、抗VEGFa抗体、抗HER2抗体または抗CMET抗体があるが、これに限定されない。好ましくは、前記抗体は、モノクローナルである。
【0080】
ここで使用される「薬学的に許容可能な担体」には、生理的に適合するあらゆる溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などがある。好ましくは、担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄または表皮投与(たとえば、注射または輸液による)に適切である。投与経路によっては、活性化合物、すなわち抗体またはイムノコンジュゲートは、化合物を不活性化する可能性がある酸および他の天然の条件の作用から化合物を保護するための材料でコーティングされてもよい。
【0081】
本発明の医薬化合物は、1つ以上の薬学的に許容できる塩を含んでもよい。「薬学的に許容できる塩」とは、親化合物の所望の生物活性を保持し、任意の望ましくない毒物学的な効果をもたらさない塩のことを指す(たとえば、Berge,S.M.et al.(1977)J.Pharm.Sci.66:1〜19を参照のこと)。そのような塩の例には、酸付加塩および塩基付加塩がある。酸付加塩には、無毒性無機酸、たとえば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸など、ならびに無毒性有機酸、たとえば脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などから得られるものがある。塩基付加塩には、アルカリ土類金属、たとえばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、ならびに無毒性有機アミン、たとえばN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどから得られるものがある。
【0082】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される抗酸化剤も含んでもよい。薬学的に許容される抗酸化剤の例には:(1)水溶性抗酸化剤、たとえばアスコルビン酸、塩酸システイン、硫化水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)脂溶性抗酸化剤、たとえばパルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど;および(3)金属キレート剤、たとえばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などがある。
【0083】
これらの組成物は、アジュバント、たとえば防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤を含有してもよい。
【0084】
微生物の存在の防止は、上記の殺菌手順と様々な抗菌および抗真菌薬、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの内包の両方によって確保されてもよい。組成物に等張薬剤、たとえば糖、塩化ナトリウムなどを含めることが望まれてもよい。加えて、注射可能な薬品形態の持続的な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、たとえばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの内包によってもたらされてもよい。
【0085】
薬学的に許容される担体には、無菌の注射可能な液剤または分散剤を即時調製するための無菌の水溶液もしくは分散剤および無菌の粉剤がある。薬学的に活性な物質に対するそのような媒体(media)および薬剤の使用は、当業者に公知である。任意の通常媒体または薬剤が、活性化合物と適合しない場合を除いて、本発明の医薬組成物におけるその使用が企図される。補助活性化合物を組成物に混ぜることもできる。
【0086】
治療用組成物は、一般に滅菌され、製造および貯蔵条件下で安定していなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソームまたは高薬物濃度に適切な他の秩序ある構造として処方することができる。担体は、たとえば、水、エタノール、多価アルコール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)を含有する溶媒または分散媒およびそれらの適切な混合物であることができる。適当な流動性は、たとえば、被覆剤、たとえばレシチンの使用により、分散剤の場合には必要とする粒径を維持することにより、および界面活性剤の使用により維持することができる。
【0087】
滅菌した注射可能な溶液は、適当な溶媒中の必要量の活性化合物を上で挙げた成分の1つまたは組み合わせと混ぜることによって調製することができ、必要に応じて、その後精密ろ過殺菌される。一般に、分散剤は、基本的な分散媒および上で挙げた成分と別の必要とされる成分を含有する滅菌媒体に活性化合物を混ぜることによって調製される。滅菌された注射可能な溶液を調製するための滅菌した粉剤の場合、調製の好ましい方法は、有効成分の粉剤+任意の追加の所望の成分をあらかじめ滅菌ろ過したその溶液から生ずる真空乾燥およびフリーズドライ(凍結乾燥)である。
【0088】
担体材料と組み合わせて単一の剤形を産生することができる有効成分の量は、処置される対象、および投与の特定の様式に応じて変動することになる。担体材料と組み合わせて単一の剤形を産生することができる有効成分の量は、一般に治療効果を生む組成物の量になる。一般に、100%中で、この量は、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて約0.01%〜約99%の有効成分、好ましくは約0.1%〜約70%、最も好ましくは約1%〜約30%の有効成分の範囲になる。
【0089】
用量計画は、最適期待応答(たとえば、治療応答)を得るために調整される。たとえば、単回ボーラス投与が投与されてもよく、数回の分割用量で経時的に投与されてもよくまたは治療状況の緊急性に示されるように用量を比例して減少もしくは増加させてもよい。投与の容易さおよび用量の均一性のために用量単位形態で非経口組成物を処方することが特に有利である。ここで使用される用量単位形態とは、処置すべき対象に対する単位用量として適している物理的に別々の単位のことを指し;各単位は、所望の治療効果を生むために算出した既定量の活性化合物を必要とされる医薬用担体と共に含有する。本発明の用量単位形態の仕様は、(a)活性化合物の固有の特性および達成すべき特定の治療効果、ならびに(b)個体における感受性を処置するためにそのような活性化合物を調合する当業者に特有の制限による影響を受け、それによって直接決まる。
【0090】
抗体分子を投与する場合、用量は、対象体重の約0.0001〜100mg/kg、より通常には0.01〜5mg/kgである。たとえば、用量は0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重、10mg/kg体重または20mg/kg体重、または1〜20mg/kgの範囲内であることができる。典型的な処置療法は、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、1カ月に1回、3カ月毎に1回もしくは3〜6カ月毎に1回、または開始時に短い投与間隔(たとえば1週間に1回から3週間毎に1回)、次いで後に長い間隔(たとえば1カ月に1回から3〜6カ月毎に1回)での投与を伴う。
【0091】
別法として、抗体は、徐放性処方として投与することができ、その場合頻繁な投与を必要としない。用量および頻度は、患者内での抗体の半減期によって変動する。一般に、ヒト抗体は最も長い半減期を示し、ヒト化抗体、キメラ抗体および非ヒト抗体が続く。投与の用量および頻度は、処置が予防的か治療的かによって変動し得る。予防的適用においては、比較的低用量が、長期間にわたって比較的低頻度の間隔で投与される。一部の患者は、一生処置を受け続ける。治療適用においては、疾患の進行が減少または停止するまで、好ましくは患者が疾患の症候の部分的または完全な回復を示すまで比較的短い間隔で比較的高い用量がときには必要とされる。その後患者は、予防的療法を投与されることができる。
【0092】
本発明の医薬組成物中の有効成分の実際の用量レベルを変動させて、特定の患者、組成物および投与様式に対して患者に毒性にならずに所望の治療応答を達成するのに有効な有効成分の量を得てもよい。選択される用量レベルは、利用される本発明の特定の組成物またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与の時間、利用される特定の化合物の排出速度、治療期間、利用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/もしくは材料、年齢、性別、体重、症状、健康状態、および処置される患者の既往歴、ならびに医術において周知の因子などを含めた様々な薬物動態学的因子によって決まることになる。
【0093】
本発明のPDL1結合分子の「治療上有効な量」は、病徴の重症度の低下、病徴がない期間の頻度および持続時間の増加、または疾患の苦痛による心的障害もしくは身体的障害の防止を好ましくはもたらす。たとえば、PDL1関連腫瘍の処置の場合、「治療上有効な量」は、無治療の対象と比較して少なくとも約10%、少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約60%、なおより好ましくは少なくとも約80%細胞成長または腫瘍成長を好ましくは阻害する。腫瘍成長を阻害する能力は、ヒト腫瘍における有効性を予測する動物モデル系において評価することができる。別法として、組成物のこの特性は、細胞成長を阻害する化合物の能力を調べることによって評価することができ;そのような阻害は、熟練した実務者に公知のアッセイによってin vitroで決定することができる。治療的化合物の治療上有効な量は、腫瘍サイズを低下させる、さもなければ対象の症候を回復させることができる。通常の知識を有する当業者は、因子、たとえば対象のサイズ、対象の症候の重症度および選択される特定の組成物または投与経路に基づいてそのような量を決定できるであろう。
【0094】
本発明の組成物は、当業者に公知の様々な方法のうち1つ以上を使用して1つ以上の投与経路で投与することができる。当業者によって認識されることになるように、投与の経路および/または様式は、所望の結果に応じて変動することになる。本発明のPDL1結合分子に好ましい投与経路には、静脈内、筋肉内、真皮内、腹膜内、皮下、脊髄または他の非経口投与経路、たとえば注射もしくは輸液による、がある。ここで使用される成句「非経口投与」は、通常は注射による、腸内および局所投与以外の投与様式を意味し、それだけには限らないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄膜内、嚢内、眼窩内、心臓内、真皮内、腹膜内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、髄腔内、硬膜外ならびに胸骨内注射および輸液を含む。
【0095】
別法として、本発明のPDL1結合分子は、非非経口経路、たとえば局所、表皮または粘膜投与経路、たとえば鼻腔内、経口、経膣、直腸、舌下もしくは局所的に投与することができる。
【0096】
活性化合物は、迅速な放出に対して化合物を保護することになる担体、たとえば移植片、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化した送達系を含めた放出制御製剤と共に調製することができる。生分解性、生体適合性ポリマー、たとえばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸を使用することができる。そのような処方を調製するための多くの方法は、特許権を得ているまたは当業技術者に一般に公知である。たとえば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J.R.Robinson、ed.、Marcel Dekker、Inc.、New York、1978を参照のこと。
【0097】
治療用組成物は、当業者に公知の医用デバイスで投与することができる。たとえば、好ましい態様において、本発明の治療用組成物は、無針皮下注射デバイス、たとえば米国特許第5,399,163号;第5,383,851号;第5,312,335号;第5,064,413号;第4,941,880号;第4,790,824号;または第4,596,556号に開示されているデバイスで投与することができる。本発明において有用な周知の移植片およびモジュールの例には:制御された速度で治療薬を投薬するための移植可能なマイクロ輸液ポンプを開示している米国特許第4,487,603号;皮膚を通して医薬を投与するための治療的デバイスを開示している米国特許第4,486,194号;正確な輸液速度で治療薬を送達するための治療薬輸液ポンプを開示している米国特許第4,447,233号;連続的な薬物送達ための移植可能な可変流量輸液装置を開示している米国特許第4,447,224号;複数室区画を有する浸透性薬物送達系を開示している米国特許第4,439,196号;および浸透性薬物送達系を開示している米国特許第4,475,196号がある。これらの特許を、参照によりここに組み込む。他の多くのそのような移植片、送達系およびモジュールは、当業技術者に公知である。
【0098】
特定の態様において、本発明のPDL1結合分子は、in vivoでの適当な分布を確実にするように処方することができる。たとえば、血液脳関門(BBB)は多くの親水性の高い化合物を排除する。本発明の治療的化合物が、(必要に応じて)BBBを横断することを確実にするために、たとえば、リポソーム中に処方することができる。リポソームを製造する方法については、たとえば、米国特許第4,522,811号;第5,374,548号;および第5,399,331号を参照のこと。リポソームは、特定の細胞または器官に選択的に輸送され、したがって標的化した薬物送達を増強する部分を1つ以上含んでもよい(たとえば、V.V.Ranade(1989)J.Clin.Pharmacol.29:685を参照のこと)。典型的な標的化部分には、葉酸またはビオチン(たとえば、Low et al.米国特許第5,416,016号を参照のこと);マンノシド(Umezawa et al.(1988)Biochem.Biophys.Res.Commun.153:1038):抗体(P.G.Bloeman et al.(1995)FEBS Lett.357:140;M.Owais et al.(1995)Antimicrob.Agents Chemother.39:180);界面活性剤プロテインA受容体(Briscoe et al.(1995)Am.J.Physiol.1233:134);pl20(Schreier et al.(1994)J Biol.Chem.269:9090)がある:K.Keinanen;M.L.Laukkanen(1994)FEBS Lett.346:123;JJ.Killion;LJ.Fidler(1994)Immunomethods 4:273も参照のこと。
疾患の防止および処置
別の側面において、本発明は、PDL1関連疾患を防止および/または処置するためのPDL1結合分子、核酸、宿主細胞、イムノコンジュゲートおよび本発明の医薬組成物の使用、ならびに対応する方法を提供する。本発明のPDL1結合分子で防止および/または処置することができるPDL1関連疾患を、以下に詳細に記述する。
がん
本発明のPDL1結合分子によるPDL1の遮断は、患者においてがん性細胞に対する免疫応答を増強することができる。PDL1は、正常なヒト細胞において発現されないが、様々なヒトがんにおいて豊富である(Dong et al.(2002)Nat Med 8:787〜9)。PD−1とPDL1との相互作用は、腫瘍浸潤性リンパ球の低下、T細胞受容体により媒介される増殖の低下、およびがん性細胞による免疫回避をもたらす(Dong et al.(2003)J MoI Med 81:281〜7;Blank et al.(2004)Cancer Immunol.Immunother.[epub];Konishi et al.(2004)Clin.Cancer Res.10:5094〜100)。免疫抑制は、PD−1に対するPDL1の局所相互作用を阻害することによって後退させることができ、PD−1に対するPDL2の相互作用が同様に遮断される場合、効果は相加的である(Iwai et al.(2002)PNAS 99:12293〜7;Brown et al.(2003)J.Immunol.JTO:1257〜66)。本発明のPDL1結合分子を単独で使用して、がん性腫瘍の成長を阻害してもよい。別法として、本発明のPDL1結合分子は、下記の通り他の免疫原性薬、標準的がん処置、または他の抗体と併用して使用されてもよい。
【0099】
したがって、一態様において、本発明は、対象に本発明のPDL1結合分子の治療上有効な量を投与して、対象において腫瘍細胞の成長を阻害することを含む、対象においてがんを防止または処置する方法を提供する。
【0100】
本発明の抗体を使用して成長が阻害される可能性がある好ましいがんは、免疫療法に一般に応答するがんを含む。処置に対して好ましいがんの非限定的な例には、肺がん、卵巣がん、大腸がん、直腸がん、黒色腫(たとえば、転移性悪性黒色腫)、腎臓がん、膀胱がん、乳がん、肝臓がん、リンパ腫、血液悪性腫瘍、頭頸部がん、膠腫、胃がん、鼻咽頭がん、喉頭がん、子宮頸がん、子宮体がん、骨肉腫がある。本発明の方法を使用して処置されてもよいがんの他の例には、骨がん、膵臓がん、前立腺がん、皮膚がん、頭頸部のがん、皮膚または眼内悪性黒色腫、子宮がん、肛門部のがん、精巣がん、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道のがん、小腸のがん、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病を含めた慢性もしくは急性白血病、小児期の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱のがん、腎臓または尿管のがん、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管形成、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、鱗状細胞がん、T細胞リンパ腫、アスベストによって誘導されるがんを含めた環境的に誘導されるがん、および前記がんの組み合わせがある。本発明は、転移性がん、特にPDL1発現転移性がんの処置にも有用である(Iwai et al.(2005)Int.Immunol.17:133〜144)。
【0101】
任意に、本発明のPDL1結合分子は、免疫原性薬、たとえばがん性細胞、精製した腫瘍抗原(組換えタンパク質、ペプチドおよび炭水化物分子を含める)、細胞および免疫刺激サイトカインをコードしている遺伝子をトランスフェクトした細胞と組み合わせることができる(He et al.(2004)J.Immunol.173:4919〜28)。使用できる腫瘍ワクチンの非限定的な例には、黒色腫抗原のペプチド、たとえばgp100、MAGE抗原、Trp−2、MARTlおよび/もしくはチロシナーゼのペプチド、またはサイトカインGM−CSFを発現するようにトランスフェクトされた腫瘍細胞がある。
【0102】
ヒトにおいて、いくつかの腫瘍、たとえば黒色腫は、免疫原性であることが示されている。本発明のPDL1結合分子によるPDL1遮断薬によってT細胞活性化の閾値を上げることにより、宿主における腫瘍応答を活性化することが可能になると予期される。PDL1遮断薬(たとえばPDL1抗体、たとえば、本発明のPDL1結合分子)は、ワクチン接種プロトコルと組み合わせた場合に、最も有効になる可能性が高い。腫瘍に対するワクチン接種のために多くの実験的戦略が、考案されてきた(Rosenberg,S.2000、Development of Cancer Vaccines、ASCO Educational Book Spring:60〜62;Logothetis,C、2000、ASCO Educational Book Spring:300〜302;Khayat,D.2000、ASCO Educational Book Spring:414〜428;Foon,K.2000、ASCO Educational Book Spring:730〜738を参照のこと;また、DeVita,V.et al.(eds.)、1997、Cancer:Principles and Practice of Oncology.Fifth Edition中のRestifo,N. and Sznol,M.Cancer Vaccines、Ch.61、pp.3023〜3043を参照のこと)。これら戦略の1つにおいて、ワクチンは、自己由来または同種の腫瘍細胞を使用して調製される。これらの細胞性ワクチンは、腫瘍細胞がGM−CSFを発現するように形質導入されている場合に最も有効であることが示されている。GM−CSFは、腫瘍ワクチン接種の抗原提示の強力な活性化物質であることが示されている(Dranoff et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sd U.S.A.90:3539〜43)。
【0103】
様々な腫瘍における遺伝子発現および大規模遺伝子発現パターンの研究から、いわゆる腫瘍特異抗原の定義がもたらされた(Rosenberg,SA(1999)Immunity 10:281〜7)。多くの場合、これらの腫瘍特異抗原は、腫瘍ならびに腫瘍が発生した細胞において発現される分化抗原、たとえばメラニン細胞抗原gp100、MAGE抗原およびTrp−2である。より重要なことに、これらの抗原の多くは、宿主に見られる腫瘍特異性T細胞の標的になることが示され得る。本発明のPDL1結合分子を腫瘍において発現される組換えタンパク質および/またはペプチドのコレクションと併用して使用して、これらタンパク質に対する免疫応答を生成してもよい。これらタンパク質は通常、免疫系によって自己抗原として見られ、したがってそれらに対して寛容になる。腫瘍抗原は、タンパク質テロメラーゼを含んでもよく、テロメラーゼは、染色体のテロメアの合成に必要であり、ヒトがんの85%より多く、および限られた数の体細胞組織においてのみ発現される(Kim,N et al.(1994)Science 266:2011〜2013)。腫瘍抗原は、タンパク質配列を改変するまたは2つの無関係な配列間で融合タンパク質を作製する(すなわちフィラデルフィア染色体におけるbcr−abl)体細胞突然変異によりがん細胞において発現される「新抗原」であってもよい。
【0104】
他の腫瘍ワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)、肝炎ウイルス(HBVおよびHCV)およびカポジヘルペス肉腫ウイルス(KHSV)のようなヒトがんに関係するウイルス由来タンパク質を含んでもよい。PDL1遮断薬(たとえばPDL1抗体、たとえば、本発明のPDL1結合分子)と併用して使用されてもよい腫瘍特異抗原の別の形態は、腫瘍組織自体から単離される精製した熱ショックタンパク質(HSP)である。これらの熱ショックタンパク質は、腫瘍細胞由来タンパク質の断片を含有し、これらHSPは、腫瘍免疫を引き起こす抗原提示細胞への送達に非常に効果的である(Suot,R & Srivastava,P(1995)Science 269:1585〜1588;Tamura,Y.et al.(1997)Science 278:117〜120)。
【0105】
樹状細胞(DC)は、抗原特異的応答を刺激するために使用できる強力な抗原提示細胞である。DCは、ex vivoで産生することができ、様々なタンパク質およびペプチド抗原ならびに腫瘍細胞抽出物をロードすることができる(Nestle,F.et al.(1998)Nature Medicine 4:328〜332)。DCを遺伝的手段によって形質導入して、これらの腫瘍抗原を同様に発現させてもよい。DCはまた、免疫化の目的で腫瘍細胞に直接融合された(Kugler,A.et al.(2000)Nature Medicine 6:332〜336)。ワクチン接種の方法として、DC免疫化をPDL1遮断薬(たとえばPDL1抗体、たとえば、本発明のPDL1結合分子)と効果的に組み合わせて、より強力な抗腫瘍応答を活性化してもよい。
【0106】
CAR−T(キメラ抗原受容体T−細胞免疫療法)は、腫瘍を処置するためのもう1つの細胞療法である。キメラ抗原受容体T−細胞(CAR−T細胞)は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現させるためにCD3−ζ鎖またはFcεRIγの細胞内部分と結合された、特定の腫瘍抗原に対する抗体の抗原結合部分のキメラタンパク質を遺伝的に感染させた患者由来のT細胞である。また、共刺激シグナル配列を導入して、細胞毒性活性、T細胞の増殖および生存を増加させ、サイトカインの放出を促進させてもよい。再プログラム後に、患者由来T細胞をin vitroで拡大して、多数の腫瘍特異性CAR−T細胞を産生させ、次いで腫瘍を処置するために患者へ輸注し戻した。PDL1遮断薬剤(たとえばPDL1抗体、たとえば、本発明のPDL1結合分子)を、CAR−T細胞療法と組み合わせて使用して、より強力な抗腫瘍応答を活性化してもよい。
【0107】
本発明のPDL1結合分子は、標準的ながん処置と組み合わせられてもよい。本発明のPDL1結合分子は、化学療法の体制と効果的に組み合わせられてもよい。これらの例において、投与される化学療法試薬の用量を減少させることが可能になる場合がある(Mokyr,M.et al.(1998)Cancer Research 58:5301〜5304)。そのような組み合わせの例は、黒色腫の処置のためのダカルバジンと組み合わせる抗PDL1抗体である。そのような組み合わせの別の例は、黒色腫の処置のためのインターロイキン2(IL−2)と組み合わせる抗PDL1抗体である。本発明のPDL1結合分子と化学療法を組み合わせた使用の背後にある科学的合理性は、ほとんどの化学療法化合物の細胞毒性作用の帰結である細胞死が、抗原提示経路において腫瘍抗原レベルの増加をもたらすはずであるということである。細胞死によってPDL1遮断薬と相乗効果をもたらしてもよい他の併用療法は、放射線、手術およびホルモン欠乏である。これらプロトコルのそれぞれは、宿主において腫瘍抗原の供給源を作製する。血管形成阻害剤も、本発明のPDL1結合分子と組み合わされてよい。血管形成の阻害は、腫瘍抗原を宿主抗原提示経路に送り込むことができる腫瘍細胞死をもたらす。
【0108】
本発明のPDL1結合分子は、他の腫瘍特異抗原に対する抗体と組み合わせて使用することもできる。他の腫瘍特異抗原に対する前記抗体には、抗EGFR抗体、抗EGFRバリアント抗体、抗VEGFa抗体、抗HER2抗体または抗CMET抗体があるが、これに限定されない。好ましくは、前記抗体は、モノクローナル抗体である。
【0109】
本発明のPDL1結合分子は、腫瘍細胞にFcαまたはFcγ受容体発現エフェクター細胞を標的とする二重特異性抗体と組み合わせて使用することもできる(たとえば、米国特許第5,922,845号および第5,837,243号を参照のこと)。二重特異性抗体を使用して、別々の2つの抗原を標的とすることができる。たとえば、抗Fc受容体/抗腫瘍抗原(たとえば、Her−2/neu)二重特異性抗体を使用して、腫瘍の部位へとマクロファージを標的化した。この標的化は、腫瘍特異性応答をより効果的に活性化してもよい。これらの応答のT細胞群(T cell arm)は、PDL1遮断薬の使用によって増大されることになる。別法として、抗原は、腫瘍抗原および樹状細胞特異的細胞表面マーカーに結合する二重特異性抗体の使用によってDCに直接送達されてもよい。
【0110】
腫瘍は、様々な機序によって宿主免疫監視を回避する。これら機序の多くは、腫瘍によって発現され免疫抑制的であるタンパク質を不活性化することによって克服されてもよい。これらは、とりわけTGFβ(Kehrl,J.et al.(1986)J.Exp.Med.163:1037〜1050)、IL−10(Howard,M. & O’Garra,A.(1992)Immunology Today 13:198〜200)およびFasリガンド(Hahne,M.et al.(1996)Science 274:1363〜1365)を含む。これら実体のそれぞれに対する抗体を本発明のPDL1結合分子と組み合わせて使用して、免疫抑制剤の効果を打ち消し、宿主による腫瘍免疫応答を有利に働かせてもよい。
【0111】
宿主免疫応答性を活性化するために使用してもよい他の抗体を、抗PDL1と組み合わせて使用することができる。これらには、DC機能および抗原提示を活性化する樹状細胞の表面にある分子がある。抗CD40抗体は、T細胞ヘルパー活性を効果的に置換することができ(Ridge,J.et al.(1998)Nature 393:474〜478)、本発明のPDL1結合分子と併用して使用することができる(Ito,N.et al.(2000)Immunobiology 201(5)527〜40)。T細胞共刺激分子に対する活性化抗体、たとえばOX−40(Weinberg,A.et al.(2000)Immunol 164:2160〜2169)、4−1BB(Melero,I.et al.(1997)Nature Medicine 3:682〜685(1997)、およびICOS(Hutloff,A.et al.(1999)Nature 397:262〜266)、ならびに負の共刺激分子の活性を遮断する抗体、たとえばCTLA−4(たとえば、米国特許第5,811,097号)またはBTLA(Watanabe,N.et al.(2003)Nat Immunol 4:670〜9)、B7−H4(Sica,GL et al.(2003)Immunity 18:849〜61)は、T細胞活性化レベルの増加も提供できる。
【0112】
骨髄移植は、造血起原の様々な腫瘍を処置するために現在使用されている。移植片対宿主疾患はこの処置の帰結であるが、治療的有用性が、移植片対腫瘍応答から得られてもよい。PDL1遮断薬を使用して、ドナー移植された腫瘍特異性T細胞の有効性を増加させることができる。腫瘍に対する抗原特異性T細胞のための、抗原特異性T細胞のex vivoでの活性化および拡大ならびにレシピエントへのこれらの細胞の養子移入を含むいくつかの実験的処置プロトコルも存在する(Greenberg,R.& Riddell,S.(1999)Science 285:546〜51)。これらの方法を使用して、感染因子、たとえばCMVに対するT細胞応答を活性化してもよい。本発明のPDL1結合分子の存在下におけるex vivoでの活性化は、養子移入したT細胞の頻度および活性を増加させると期待されてもよい。
感染性疾患
本発明の他の方法を使用して、特定の毒素または病原体に曝露された患者が処置される。したがって、本発明の別の側面は、対象が感染性疾患を処置されるように、対象に本発明のPDL1結合分子を投与することを含む、対象において感染性疾患を防止または処置する方法を提供する。
【0113】
前述の腫瘍に対する適用と類似して、PDL1遮断薬を単独でまたはアジュバントとしてワクチンと組み合わせて使用して、病原体、毒素および自己抗原に対する免疫応答を刺激することができる。この治療的手法が特に有用になり得る病原体の例には、現在有効なワクチンがない病原体、または従来通りのワクチンが、完全に有効とは限らない病原体がある。これらには、HTV、肝炎(A、BおよびC)、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア、マラリア、リーシュマニア、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas Aeruginosa)があるが、これに限定されない。PDL1遮断薬は、薬剤により確立された感染、たとえば感染過程で改変された抗原を示すHIV、に対して特に有用である。これらの新規のエピトープは、抗ヒトPDL1投与時に外来と認識され、したがってPDL1による負のシグナルによって低減されない強力なT細胞応答を惹起する。
【0114】
本発明の方法によって処置可能な感染を引き起こす病原性ウイルスのいくつかの例には、HIV、肝炎(A、BまたはC)、ヘルペスウイルス(たとえば、VZV、HSV−1、HAV−6、HSV−IIおよびCMV、エプスタインバーウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス(cornovirus)、呼吸系発疹ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デング熱ウイルス、パピローマウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルスおよびアルボウイルス脳炎ウイルスがある。
【0115】
本発明の方法によって処置可能な感染を引き起こす病原性細菌のいくつかの例には、クラミジア、リケッチア細菌、抗酸菌、ブドウ球菌、レンサ球菌、肺炎球菌(pneumonococci)、髄膜炎菌およびコノコッカス(conococci)、クレブシエラ、プロテウス、セラチア、シュードモナス、レジオネラ、ジフテリア、サルモネラ、バシラス、コレラ、破傷風、ボツリヌス中毒、炭疽菌、ペスト、レプトスピラ症、およびライム病細菌がある。
【0116】
本発明の方法によって処置可能な感染を引き起こす病原性真菌のいくつかの例には、カンジダ(Candida)(アルビカンス[albicans]、クルーセイ[krusei]、グラブラータ[glabrata]、トロピカリス[tropicalis]等)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、アスペルギルス(Aspergillus)(フミガーツス[fumigatus]、ニガー[niger]等)、Mucorales(Mucorales)(ムコール[mucor]、アブシディア[absidia]、リゾプス[rhizopus](rhizophus))、スポロトリックス・シェンキイ(Sporothrix schenckii)(Sporothrix schenkii)、ブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)およびヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)がある。
【0117】
本発明の方法によって処置可能な感染を引き起こす病原性寄生体のいくつかの例には、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、大腸バランチジウム(Balantidium coli)、フォーラーネグレリア(Naegleria fowleri)、アカントアメーバ属種、ジアルジア・ランブリア(Giardia lamblia)(Giardia lambia)、クリプトスポリジウム属種、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、三日熱マラリア原虫(Plamodium vivax)、ネズミバベシア(Babesia microti)、ブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)、トクソプラズマ・ゴンディイ(Toxoplasma gondii(Toxoplasma gondi))、ニッポストロンギルス・ブラジリエンシス(Nippostrongylus brasiliensis)がある。
【0118】
上の方法のすべてにおいて、PDL1遮断薬は、他の形態の免疫療法、たとえばサイトカイン(たとえば、インターフェロン、GM−CSF、G−CSF、IL−2)処置、または二重特異性抗体治療と組み合わせることができ、そのことは、腫瘍抗原の提示の増強をもたらす(たとえば、Holliger(1993)Proc.Natl.Acad.Sci USA 90:6444〜6448;Poljak(1994)Structure 2:1121〜1123を参照のこと)。
自己免疫反応
抗PDL1抗体は、自己免疫反応を惹起および増幅してもよい。したがって、疾患処置のために様々な自己タンパク質と併用して抗PDL1遮断薬を使用して、これら自己タンパク質に対する免疫応答を効率的に生成するためのワクチン接種プロトコルを考案することを考えることができる。
【0119】
たとえば、アルツハイマー病は、脳内のアミロイド沈着におけるAβペプチドの不適当な蓄積と関係し;アミロイドに対する抗体応答は、これらのアミロイド沈着を一掃することができる(Schenk et al.(1999)Nature 400:173〜177)。他の自己タンパク質が、標的として、たとえばアレルギーおよび喘息の処置に対するIgE、ならびに関節リウマチに対するTNFa、使用されてもよい。最終的に、様々なホルモンに対する抗体応答が、抗PDL1抗体の使用によって誘導されてもよい。生殖ホルモンに対する中和抗体応答を使用して避妊してもよい。ホルモンおよび特定の腫瘍の成長に必要な他の可溶性因子に対する中和抗体応答が、考え得るワクチン接種標的と見なされてもよい。
【0120】
抗PDL1抗体の使用について上述した類似の方法を使用して、治療的自己免疫反応を誘導し、それによって他の自己抗原の不適当な蓄積、たとえばアルツハイマー病におけるAβを含めたアミロイド沈着、サイトカイン、たとえばTNFa、およびIgEが有る患者を処置することができる。
慢性的炎症性疾患
抗PDL1抗体を使用して、疾患、たとえば慢性炎症性疾患、たとえば扁平苔癬、T細胞により媒介される慢性炎症性皮膚粘膜疾患を処置してもよい(Youngnak−Piboonratanakit et al.(2004)Immunol Letters 94:215〜22)。したがって、別の側面において、本発明は、対象に本発明のPDL1結合分子を投与することを含む、T細胞によって慢性炎症性疾患を無効にする方法を提供する。
ワクチンアジュバント
一側面において、本発明は、ワクチンアジュバントとしての本発明のPDL1結合分子の使用を提供する。抗PDL1抗体を使用して、抗PDL1抗体と対象とする抗原(たとえば、ワクチン)の同時投与によって抗原特異的免疫応答を刺激してもよい。
【0121】
したがって別の側面において、本発明は、対象において抗原に対する免疫応答が増強されるように、対象に:(i)抗原;および(ii)本発明のPDL1結合分子を投与することを含む、対象において抗原に対する免疫応答を増強する方法を提供する。抗原は、たとえば、腫瘍抗原、ウイルス抗原、細菌抗原または病原体由来抗原であることができる。そのような抗原の非限定的な例には、上の節で考察したもの、たとえば上述の腫瘍抗原(または腫瘍ワクチン)またはウイルス、細菌もしくは上述した他の病原体由来の抗原がある。
検出
別の側面において、本発明は、本発明のPDL1結合分子とPDL1との複合体形成が可能な条件下で生体サンプルおよび対照サンプルと本発明のPDL1結合分子とを接触させることを含む、生体サンプル中のPDL1の存在および/またはPDL1の発現レベルを検出する方法も提供する。次いで、複合体の形成が検出され、生体サンプルと対照サンプルの間の複合体形成の差異が、サンプル中のPDL1の存在および/またはPDL1の発現レベルを示す。
【0122】
PDL1が、様々な腫瘍において過剰発現され、または腫瘍もしくは病原体が、前記腫瘍もしくは病原体の感染部位の近くにある免疫学的細胞においてPDL1の高発現をもたらすことになることが判明した。したがって、本発明のPDL1結合分子を使用して、PDL1関連疾患、たとえばPDL1過剰発現腫瘍、または感染性疾患、たとえばウイルス感染を診断することができる。
【0123】
いくつかの態様において、本発明のPDL1結合分子はまた、検出に使用されるまたは他の試薬によって検出できる蛍光色素、化学薬品、ポリペプチド、酵素、同位元素、タグなどと結合される。
キット
また、本発明の範囲には、本発明のPDL1結合分子、イムノコンジュゲートまたは医薬組成物および使用のための説明書を含むキットがある。キットは、少なくとも1つの追加の試薬または1つ以上の追加の本発明のPDL1結合分子(たとえば、PDL1内の異なるエピトープに結合する結合分子)をさらに含有することができる。キットは、キットの内容の使用目的を示すラベルを一般に含む。用語ラベルは、キット上に提供されるまたはキットに同梱される、さもなければキットに付随する任意の筆記もしくは記録材料を含む。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] PDL1に特異的に結合することができ、少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメインを含むプログラム死リガンド1(PDL1)結合分子であって、前記免疫グロブリン単一可変ドメインが:
(1)配列番号1に示すCDR1、配列番号2に示すCDR2、配列番号3に示すCDR3
(2)配列番号4に示すCDR1、配列番号5に示すCDR2、配列番号6に示すCDR3
(3)配列番号7に示すCDR1、配列番号8に示すCDR2、配列番号9に示すCDR3
(4)配列番号10に示すCDR1、配列番号11に示すCDR2、配列番号12に示すCDR3
(5)配列番号13に示すCDR1、配列番号14に示すCDR2、配列番号15に示すCDR3
(6)配列番号16に示すCDR1、配列番号17に示すCDR2、配列番号18に示すCDR3
(7)配列番号19に示すCDR1、配列番号20に示すCDR2、配列番号21に示すCDR3
および
(8)配列番号22に示すCDR1、配列番号23に示すCDR2、配列番号24に示すCDR3
から選択されるCDR1、CDR2およびCDR3を含むプログラム死リガンド1(PDL1)結合分子。
[2] 前記免疫グロブリン単一可変ドメインが、VHHである、[1]に記載のPDL1結合分子。
[3] 前記VHHが、ヒト化VHHである、[2]に記載のPDL1結合分子。
[4] 前記VHHが、配列番号25〜32いずれか1つのアミノ酸配列を含む、[2]に記載のPDL1結合分子。
[5] 前記VHHが、配列番号25〜32のいずれか1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、[3]に記載のPDL1結合分子。
[6] 前記ヒト化VHHが、配列番号33〜37のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、[3]に記載のPDL1結合分子。
[7] [1]から[6]のいずれか一つに記載のPDL1結合分子の親和性成熟によって得られるPDL1結合分子。
[8] 免疫グロブリンFc領域をさらに含む、[1]から[7]のいずれか一つに記載のPDL1結合分子。
[9] 前記免疫グロブリンFc領域が、ヒト免疫グロブリンのFc領域、好ましくはヒトIgG1のFc領域である、[8]に記載のPDL1結合分子。
[10] 前記免疫グロブリンFc領域の前記アミノ酸配列が、配列番号38、70および71から選択される、[9]に記載のPDL1結合分子。
[11] 配列番号39〜51および72〜83から選択されるアミノ酸配列を含む、[10]に記載のPDL1結合分子。
[12] 以下の特徴:
(a)1×10-7M未満のKDでヒトPD−PDL1に結合する;
(b)PDL1とPD−1との相互作用を遮断する;
(c)PBMCおよび/またはT細胞の活性化を増強する;
(d)腫瘍成長を阻害する
のうち少なくとも1つを有する、[1]から[11]のいずれか一つに記載のPDL1結合分子。
[13] 1×10-7M未満、好ましくは1×10-8M未満、より好ましくは1×10-9M未満、より好ましくは1×10-10M未満、さらにより好ましくは1×10-11M未満のKDでPDL1に結合する、[1]から[11]のいずれか一つに記載のPDL1結合分子。
[14] [1]から[13]のいずれか一つに記載のPDL1結合分子をコードしている核酸分子。
[15] 発現調節エレメントに作動的に連結されている[14]に記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
[16] [14]に記載の核酸分子を含む、または[15]に記載の発現ベクターで形質転換されており、前記PDL1結合分子を発現することができる宿主細胞。
[17] a)前記PDL1結合分子の発現を可能にする条件下で[16]に記載の宿主細胞を培養することと;
b)工程a)の前記培養から前記宿主細胞によって発現される前記PDL1結合分子を回収することと;
c)任意に、工程b)から得られる前記PDL1結合分子をさらに精製および/または修飾することと
を含む、[1]から[13]のいずれか一項に記載のPDL1結合分子を産生する方法。
[18] 治療的部分とコンジュゲートされた[1]から[13]のいずれか一つに記載のPDL1結合分子を含むイムノコンジュゲート。
[19] 前記治療的部分が、細胞毒素、生物活性のあるタンパク質または放射性同位元素を含む、[18]に記載のイムノコンジュゲート。
[20] [1]から[13]のいずれか一つに記載のPDL1結合分子または[18]もしくは[19]に記載のイムノコンジュゲート、および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
[21] 対象に[1]から[13]のいずれか一つに記載のPDL1結合分子または[18]から[19]のいずれか一つに記載のイムノコンジュゲートまたは[20]に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、対象においてがんを防止および/または処置する方法。
[22] 前記対象に追加の抗腫瘍治療的手段を投与することをさらに含む、[21]に記載の方法。
[23] 前記追加の抗腫瘍治療的手段が、化学療法、放射線療法または他の腫瘍特異抗原に対する抗体を含む、[22]に記載の方法。
[24] 他の腫瘍特異抗原に対する前記抗体が、抗EGFR抗体、抗EGFRバリアント抗体、抗VEGFa抗体、抗HER2抗体、または抗CMET抗体を含む、[23]に記載の方法。
[25] 他の腫瘍特異抗原に対する前記抗体が、モノクローナル抗体である、[24]に記載の方法。
[26] 前記がんが、肺がん、卵巣がん、大腸がん、直腸がん、黒色腫、腎臓がん、膀胱がん、乳がん、肝臓がん、リンパ腫、血液悪性腫瘍、頭頸部がん、膠腫、胃がん、鼻咽頭がん、喉頭がん、子宮頸がん、子宮体がん、骨肉腫からなる群から選択される、[24]に記載の方法。
[27] 対象に[1]から[13]のいずれか一つに記載のPDL1結合分子または[18]から[19]のいずれか一つに記載のイムノコンジュゲートまたは[20]に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、対象において感染性疾患を防止および/または処置する方法。
[28] 前記感染性疾患が、HIV、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、ジアルジア、プラスモディウム、リーシュマニア、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)からなる群から選択される病原体によって引き起こされる、[27]に記載方法。
[29] 対象に[1]から[13]のいずれか一つに記載のPDL1結合分子または[18]もしくは[19]に記載のイムノコンジュゲートまたは[20]に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、対象において慢性炎症性疾患を防止および/または処置する方法。
[30] 前記慢性炎症性疾患が、扁平苔癬またはT細胞により媒介される慢性炎症性皮膚粘膜疾患である、[29]に記載の方法。
[31] がん、感染性疾患もしくは慢性炎症性疾患を防止および/または処置するための医薬の調製における、[1]から[13]のいずれか一つに記載のPDL1結合分子または[18]もしくは[19]に記載のイムノコンジュゲートまたは[20]に記載の医薬組成物の使用。
[32] a)[1]から[13]のいずれか一つに記載のPDL1結合分子とPDL1との複合体の形成が可能な条件下で生体サンプルおよび対照サンプルと[1]から[13]のいずれか一つに記載のPDL1結合分子とを接触させることと、
b)前記複合体の前記形成を検出することと
を含み、前記生体サンプルと前記対照サンプルの間の前記複合体形成の差異が、前記サンプル中のPDL1の存在および/またはPDL1の発現レベルを示す、生体サンプル中のPDL1の存在および/またはPDL1の発現レベルを検出するための方法。
[33] PDL1関連疾患を診断するためのキットの調製における[1]から[13]のいずれか一つに記載のPDL1結合分子の使用であって、疾患が、高PDL1発現に関連する腫瘍または感染性疾患である、使用。
【0124】
[実施例]
本発明は、以下の例によってさらに例示されるが、本発明の範囲は、特定の例に決して限定されるべきでない。
【0125】
例1:PDL1に対する重鎖単一ドメイン抗体のスクリーニング
1.1 ライブラリ構築
免疫化用のPDL1−Fc融合タンパク質(配列番号52)をCHO細胞によって発現させ(pCDNA4、Invitrogen、Cat V86220)、プロテインA親和性クロマトグラフィーによって精製した。一頭のフタコブラクダ(Camelus bactrianus)を、免疫化ために選んだ。4回の免疫化後に、リンパ球をラクダ末梢血100mlから単離し、トータルRNAをRNA Extractionキット(QIAGEN)で抽出した。抽出したRNAを、Super−Script III FIRST STRANDSUPERMIXキットを使用して説明書にしたがってcDNAに逆転写した。
【0126】
重鎖抗体をコードしている核酸断片を、ネステッドPCRによって増幅した:
第1PCR:
上流プライマー: GTCCTGGCTGCTCTTCTACAAGGC(配列番号66);
下流プライマー:GGTACGTGCTGTTGAACTGTTCC(配列番号67)。
【0127】
第2PCR:
鋳型として第1PCRからのPCR産物、
上流プライマー:GATGTGCAGCTGCAGGAGTCTGGRGGAGG(配列番号68);
下流プライマー:GGACTAGTGCGGCCGCTGGAGACGGTGACCTGGGT(配列番号69)。
【0128】
標的重鎖単一ドメイン抗体の核酸断片を回収し、エンドヌクレアーゼPstIおよびNotI(NEB製)を使用してファージディスプレイベクターpCDisplay−3(Creative Biolabs、Cat:VPT4023)にクローニングした。次いで産物を、大腸菌コンピテント細胞TG1に電気穿孔し、PDL1に対する重鎖単一ドメイン抗体のファージディスプレイライブラリを構築し、検証した。段階希釈を平板培養することにより、ライブラリ能力を1.33×10
8と決定した。ライブラリの挿入率を決定するために、24個のクローンをコロニーPCR用に無作為に選択した。結果から、100%の挿入率が明らかになった。
1.2 PDL1に対する重鎖単一ドメイン抗体のパニング
マルチウェルプレートを、PDL1−Fc融合タンパク質10μg/ウェルで、4℃で終夜コーティングした。次の日、1%スキムミルクで、室温で2時間ブロッキングした後、ファージ100μl(8×10
11tfu、1.1において構築したラクダ重鎖単一ドメイン抗体のファージディスプレイライブラリ由来)を添加し、室温で1時間置いた。次いで結合していないファージを、PBST(PBS中に0.05% tween20)で5回洗浄することによって除去した。PDL1に特異的に結合するファージを、トリエチルアンモニウム(100mM)で解離させ、それを使用して対数期の大腸菌TG1に感染させ、ファージを産生させ、次回のスクリーニング用として次いで精製した。同じスクリーニングを、3〜4回繰り返した。それによって陽性クローンを富化し、ファージディスプレイ技術による抗体ライブラリからPDL1特異的抗体を選択する目的を達成した。
1.3 ファージ酵素結合イムノアッセイ(ELISA)による個々の陽性クローンの特異的選択
3〜4回のパニングした後に得られたPDL1結合陽性ファージを使用して空の大腸菌に感染させ、平板培養した。96個の単一コロニーを無作為に選択して培養し、ファージを産生させ、それぞれ精製した。プレートを、PDL1−Fc融合タンパク質で、4℃で終夜コーティングし;得られたサンプルファージ(対照として空のファージ)を添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄後に1次抗体、マウス抗HAタグ抗体(Beijing Kangwei Shiji Biotech.Ltd.)を添加し、反応のために室温で1時間インキュベートした。洗浄後に2次抗体、ヤギ抗マウスアルカリ性ホスファターゼ標識抗体(Amyject Scientific Ltd.)を添加し、反応のために室温で1時間インキュベートした。洗浄後にアルカリホスファターゼ発色溶液を添加し、吸収値を405nm波長で読み取った。サンプルウェルのODが、対照ウェルのODより3倍高い場合、サンプルを陽性と決定する。プラスミド抽出およびその後の配列決定用として陽性のウェル内の細菌を、100μg/mlアンピシリンで補充したLB液体培地に移し、培養した。
【0129】
各クローンのタンパク質配列を、配列整列化ソフトウェアVector NTIにより分析した。異なるCDR配列を持つクローンを異なる抗体と見なし、同じCDR1、CDR2およびCDR3配列を持つクローンを同じ抗体と見なす。合計21個の異なる抗体を最終的に得た。
【0130】
例2 PDL1に対する重鎖単一ドメイン抗体の予備評価
2.1 大腸菌における重鎖単一ドメイン抗体の発現およびその精製
配列決定分析によって得られた重鎖単一ドメイン抗体のコード配列21個を、発現ベクターPET32b(Novagen、製品番号69016−3)にサブクローニングし、正しい組換えプラスミドを、発現宿主株BL1(DE3)(Tiangen Biotech、CB105−02)に形質転換し、100μg/mlアンピシリンを含有するLB固体培地上で、37℃で終夜平板培養した。単一コロニーを植菌し、終夜培養し、次の日振盪培養による37℃での拡大に移した。培養がOD値0.6〜1に達したら、0.5mM IPTGを添加して、振盪培養で、28℃で終夜誘導した。次の日、細菌を遠心分離によって採取し、溶解して、抗体粗抽出物を得た。ニッケルイオン親和性クロマトグラフィーを使用して、抗体タンパク質を次いで精製し、純度90%以上の抗体タンパク質を得た。
2.2 ヒトPDL1タンパク質に対する候補PDL1重鎖単一ドメイン抗体の特異的結合
プレートを、PDL1−Fc融合タンパク質で、4℃で終夜コーティングし、例2.1で得た重鎖単一ドメイン抗体(対照は、PDL1−Fcタンパク質に結合しない単一ドメイン抗体であった)100ngを各ウェルに添加し、室温で1時間反応させておいた。洗浄後に、1次抗体抗Hisタグ抗体(Beijing Kangwei Century Biotechnology Co.、Ltd.社から購入した)を添加し、室温で1時間反応させた。洗浄後に、ヤギ抗マウスホースラディッシュペルオキシダーゼ標識2次抗体(Yiqiao Shenzhou、Cat:SSA007200)を添加し、室温で1時間反応させた。洗浄後に、発色剤を添加し、吸光度を405nmで読み取った。
【0131】
プレートを、Fcタンパク質で、4℃で終夜コーティングし、例2.1で得た重鎖単一ドメイン抗体(対照は、他の無関係な標的に対する単一ドメイン抗体であった)100ngを各ウェルに添加し、室温で1時間反応させておいた。洗浄後に、ウサギ抗ヒトFc抗体(Shanghai Pu Xin Biotechnology Co.、Ltd.から購入した)を添加し、室温で1時間反応させた。洗浄後に、ヤギ抗ウサギホースラディッシュペルオキシダーゼ標識抗体(Shanghai Pu Xin Biotechnology Co.、Ltd.から購入した)を添加し、室温で1時間反応させた。洗浄後に、発色剤を添加し、吸光度を405nmで読み取った。
【0132】
PDL1−Fcタンパク質のOD値を空の対照のOD値で割った比が4以上である場合、候補抗体はPDL1−Fcタンパク質に結合すると見なし;同時に、PDL1−Fcに対する結合のOD値をFcタンパク質結合のOD値で割った比が、≧5である場合、PDL1−Fc抗原タンパク質に結合することができる上記の抗体は、Fc部分ではなくPDL1部分に特異的に結合すると見なす。
【0133】
結果は、21個の抗体のうち8個(太字中の太字)が、Fcに結合せずにPDL1に特異的に結合する可能性があることを示した。特定の結果を、以下の表1に示す:
【0135】
2.3 マウスPDL1タンパク質に対するPDL1重鎖単一ドメイン抗体の結合
マウスPDL1−Fcタンパク質(配列番号53)を、HEK293細胞における発現によって得た(pCDNA4、Invitrogen、Cat V86220)。
【0136】
プレートを、マウスPDL1−Fc融合タンパク質0.5μg/ウェルで、4℃で終夜コーティングし、例2.1で得た重鎖単一ドメイン抗体(対照群は、他の無関係な標的に対する単一ドメイン抗体である)100ngを添加し、室温で1時間反応させておいた。洗浄後に、1次抗体抗Hisタグ抗体を添加し、室温で1時間反応させた。洗浄後に、ヤギ抗マウスホースラディッシュペルオキシダーゼ標識抗体を添加し、室温で1時間反応させた。洗浄後に、発色剤を添加し、吸光度を405nmで読み取った。結果を、表2に示す。
【0138】
本発明のヒトPDL1の重鎖単一ドメイン抗体が、マウスPDL1−Fcタンパク質に結合しないことが分かる。
2.4 競合ELISAによるPD−1とPDL1との相互作用に対するPDL1重鎖単一ドメイン抗体の遮断効果の調査
PDL1−Fcタンパク質およびPD1−Fcタンパク質(配列番号54)を、HEK293細胞における発現によって得た(pCDNA4、Invitrogen、Cat V86220)。ビオチン化タンパク質PD1−Fc−ビオチンを、Thermo Biotinlytionキットを使用して得た。
【0139】
プレートを、PDL1−Fc融合タンパク質0.5μg/ウェルで、4℃で終夜コーティングし、その後例2.1で得た重鎖単一ドメイン抗体(対照は、他の無関係な標的に対する単一ドメイン抗体または単に緩衝液である)100ngおよびPD1−Fc−ビオチン10μg(空の群には抗体なしまたはタンパク質を添加し、等量の緩衝液だけを添加した)を添加し、室温で1時間反応させておいた。SA−HRP(Sigmaから購入した)を添加し、室温で1時間反応させておいた。発色溶液を添加後に、吸光度を波長405nmで読み取った。対照OD値と比較してサンプルOD値が<0.8である場合、抗体は遮断効果を持つと見なす。
【0140】
表3に示すように、抗体番号10、27、56、87および81は、PD−1/PDL1相互作用に対する遮断効果を示した。
【0142】
2.5 細胞表面におけるPDL1とPD−1との相互作用に対するPDL1重鎖単一ドメイン抗体の遮断効果を、FACSによって調査した
膜上でヒトPDL1タンパク質を一過性に発現しているHEK293細胞(293−PDL1細胞)を、ヒトHEK293細胞にヒトPDL1完全長遺伝子を保有しているプラスミド(pCDNA4、Invitrogen、Cat V86220)を一過性トランスフェクションすることによって得た。
【0143】
293−PDL1細胞を採取し、96ウェルプレート中の0.5%PBS−BSA緩衝液に再懸濁し、検出しようとする上述の抗体を添加した。陰性対照を同時に設定し、陰性対照は、他の標的に対する単一ドメイン抗体2μgであった。hPD−1−Fc−ビオチンおよびeBioscience SA−PE 0.3μgをすべてのサンプルに添加し、染色後にフローサイトメトリーを実行した。蛍光値が、抗体を含まない群と比較して空の方向へ移動する場合、抗体は、PDL1とPD−1との細胞表面相互作用を遮断すると見なす。このようにして、細胞表面でPD−1に対するPDL1抗原の結合を遮断する抗体を同定した。
【0144】
結果を
図1に示し、抗体番号10、27および56は、PD−1/PDL1相互作用に対する遮断効果を呈する。
2.6 PDL1抗原タンパク質に対するPDL1重鎖単一ドメイン抗体の結合曲線
プレートを、得られたPDL1重鎖単一ドメイン抗体0.5μg/ウェルで、4℃で終夜コーティングし、その後PDL1−Fc融合タンパク質の勾配希釈系列を添加し、室温で1時間反応させておいた。洗浄後に、ヤギ抗ヒトIgG−Fcホースラディッシュペルオキシダーゼ標識抗体を添加し、室温で1時間反応させておいた。洗浄後に、ホースラディッシュペルオキシダーゼ発色現像溶液を添加し、波長405nmで吸光度を読み取った。データ処理およびマッピング分析にSotfMax Pro v5.4を使用して、4−パラメータフィッティングによってPDL1に対する抗体の結合曲線およびEC50値(抗体番号56および27について、約5ng/ml)を得た。結果を、
図2に示す。
2.7 PD−1とPDL1との相互作用に対するPDL1重鎖単一ドメイン抗体の遮断曲線
プレートを、PDL1−Fc融合タンパク質0.5μg/ウェルで、4℃で終夜コーティングし、その後、ウェル当たり、PDL1を遮断する100μlの単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の勾配希釈系列(100μg/mL PD1−Fc−ビオチンを含有する)を100μl添加し、室温で1時間反応させておいた。SA−HRP(Sigmaから購入した)を添加し、室温で1時間反応させておいた。発色溶液を添加後に、吸光度を波長405nmで読み取った。
【0145】
データ処理およびマッピング分析にSotfMax Pro v5.4を使用して、4−パラメータフィッティングによってPDL1/PD−1に対する抗体番号27、56の遮断曲線およびIC50値を得た(抗体番号56のIC50は、143ng/mLであり、抗体番号27の場合、約917ng/mlである)。結果を、
図3に示す。
【0146】
例3 PDL1単一ドメイン抗体のヒト化
ヒト化は、タンパク質表面のアミノ酸ヒト化(表面再建)の方法およびVHHヒト化のための普遍的フレームワーク移植方法(普遍的フレームワークへのCDR移植)によって実行される。
【0147】
ヒト化の工程は、以下の通りである:抗体番号56の相同モデリングを、モデリングソフトウェアModeller9で実行した。相同な参照配列は、NbBcII10抗体(PDBコード:3DWT)であり、アミノ酸の相対的な溶媒接触性は、タンパク質の3次元構造により算出される。抗体番号56のアミノ酸のうち1つが溶媒に曝露されている場合、すべての置換が完了するまで、そのアミノ酸は、参照ヒト抗体DP−47配列の同じ位置にあるアミノ酸で置き換えられた。
【0148】
VHHヒト化のための普遍的フレームワーク移植方法の特定の工程は、以下の通りである:第1に、普遍的ヒト化VHHフレームワークh−NbBcII10FGLA(PDBコード:3EAK)が、配列相同性に基づいてCecile Vincke et al.によって設計され、フレームワークは、ナノボディNbBcII10(PDBコード:3DWT)に基づいて設計され;タンパク質表面アミノ酸のヒト化は、ヒト抗体DP−47を参照して実行され、VHH配列フレームワーク2の部分的なアミノ酸FGLAが修飾された。フレームワークとしてh−NbBcII10FGLAを直接使用し、CDRを抗体番号56のCDR領域で置き換えて、抗体のヒト化を達成した。
【0149】
抗体番号56をヒト化し、抗体番号56のヒト化バリアントを5つ得た。これらのヒト化バリアントの配列番号およびその中のアミノ酸変化を表4に挙げ、アミノ酸残基番号は、Kabat付番に従った。
図4は、ヒト化配列の整列化を示す。
【0151】
例4 哺乳動物細胞を使用するPDL1遮断抗体タンパク質の調製
4.1 PDL1単一ドメイン抗体のFc融合タンパク質の調製
ヒトIgGl−Fc領域のアミノ酸配列(配列番号38)を、ヒト免疫グロブリンγ1(IgG1)の定常領域アミノ酸配列に基づいて、タンパク質データベースUniprot(P01857)から得た。ヒトIgG1−Fcをコードしている核酸断片を、逆転写PCRによってヒトPBMCトータルRNAから得、上記の例で得たPDL1単一ドメイン抗体およびFcの融合タンパク質をコードしている核酸断片を、オーバーラッピングPCRによって得、次いでベクターpCDNA4(Invitrogen、Cat V86220)にサブクローニングした。ADCC活性またはCDC活性を部位特異的突然変異誘発によって除去したFc領域配列、たとえば配列番号70または71を使用してもよい。
【0152】
組換え単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質プラスミドを、抗体発現のためにHEK293細胞にトランスフェクトした。組換え発現プラスミドを、Freestyle 293培地で希釈し、トランスフォーメーション用のPEI(ポリエチレンイミン)溶液に添加した。各プラスミド/PEI混合物を、HEK293細胞懸濁液に添加し、90rpmで、37℃および10%CO
2でインキュベートした。同時に、50μg/L IGF−1を添加した。4時間後に、2mM グルタミンおよび50μg/L IGF−1が補充されたEX293培地を、135rpmで培養した。24時間後、3.8mM VPAを添加した。培養5〜6日間後に、一過性発現上清を採集し、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーによって精製して、標的PDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質を得た。
【0153】
得られたPDL1単一ドメイン抗体−Fc融合タンパク質の配列を、配列番号39〜配列番号51および配列番号72〜83にそれぞれ示す。
4.2 MedImmune LLCおよびRoche製PDL1抗体の調製
MedImmune LLC、Inc.製の抗PDL1抗体の遺伝子を、米国特許出願公開第20130034559号の2.14H9の方法によってクローニングし、ベクターpCDNA4にクローニングした。TM004は、Rocheの抗PDL1抗体である。抗体遺伝子を、米国特許出願公開第20130045201号A1のYW243.55.S70.hIgGにしたがってクローニングし、ベクターpCDNA4にクローニングした。
【0154】
組換えプラスミドを、例4.1と同じ方法によってHEK293細胞に一過性にトランスフェクトし、MedImmune LLCの得られた抗PDL1抗体を、2.41H90Pと改名し;Rocheの抗PDL1抗体を243.55と改名した。
4.3 PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質と既知の2つのPDL1抗体との発現の比較
同じ発現系および一過性トランスフェクション条件を使用した場合、本発明のPDL1単一ドメイン抗体のFc融合タンパク質の発現レベルは、200mg/Lより高かったが、抗体2.41H90Pの発現レベルは、約80mg/L、抗体243.55の発現レベルは、約40mg/Lであった。この結果は、本発明のPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質が、構造的により安定であり、他の2つの公知のPDL1抗体より高い発現レベルをもたらし得ることを示す。
【0155】
例5 PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の特徴づけ
5.1 PDL1に対するPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の結合能力(ELISAによる)
PDL1−Chisタンパク質(配列番号55)を、HEK293における一過性の発現およびニッケルカラムアフィニティークロマトグラフィーによる精製によって得た。プレートを、得られたPDL1−Chisタンパク質0.5μg/ウェルで、4℃で終夜コーティングした。次いで、上記の例で得たPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の勾配希釈系列を添加し、室温で1時間反応させておいた。洗浄後に、ヤギ抗ヒトIgG−Fcホースラディッシュペルオキシダーゼ標識抗体を添加し、室温で1時間反応させておいた。洗浄後に、発色剤を添加し、吸光度を405nmで読み取った。データ処理およびマッピング分析にSotfMax Pro v5.4を使用して、4−パラメータフィッティングによってPDL1に対する抗体の結合曲線およびEC50値を得(すべての試験抗体のEC50値約150ng/mL)、それによりPDL1に対する親和性を反映させた。
【0156】
結果を
図5に示し、縦軸は、OD405であり、横軸は、PDL1単一ドメイン抗体Fc−融合タンパク質の濃度(ng/mL)であり;逆三角形、三角形および正方形は、Fc融合タンパク質の異なる3つのヒト化形態:hu56v1−Fc、hu56v2−Fc、hu56v5−Fcを表す。3つのタンパク質は、PDL1に対して同程度の親和性を有する。
5.2 PDL1に対するPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の結合能力の同定(SPR法)、および公知の抗体との比較
上記の例で得た組換えヒトPDL1に対するPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の結合動態を、BIAcore X100機器を使用して表面プラスモン共鳴法(SRP)によって測定した。組換えヒトPDL1−Fcを、CM5バイオセンサーチップに直接コーティングして、およそ1000反応単位(RU)を得た。動力学的測定の場合、抗体をHBS−EP+1×緩衝液(GE、cat#BR−1006−69)に段階希釈し(1.37〜1000nm)、25℃で120秒間注射し、解離時間30分間で、10mMグリシン−HCl(pH2.0)で120秒間再生した。結合速度(kon)および解離速度(koff)を、単純な1対1のラングミュア結合モデルを使用して算出した(BIAcore Evaluation Software バージョン3.2)。平衡解離定数(kD)は、koff/kon比として算出される。
【0157】
測定された抗PDL1抗体の結合親和性を表5に示す。結果は、PDL1標的タンパク質に対するPDL1−56−Fcタンパク質の親和性が、当業者に公知の2つのPDL1抗体のそれより有意に高いことを示し、そのより高いKaおよびより低いKd値は、抗体融合タンパク質がより迅速にPDL1抗原を結合することができ、したがって解離しにくいことを示し、このことは、PDL1−56−Fcが、2つの公知のPDL1抗体より優れた特性を持つ遮断抗体であることをさらに示している。
【0159】
5.3 PDL1−PD1相互作用に対するPDL1単一ドメインFc融合タンパク質の遮断効果(競合ELISAによる)
プレートを、PDL1−Fc融合タンパク質0.5μg/ウェルで、4℃で終夜コーティングし、その後上記の例で得たPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の勾配希釈系列(100μg/mL PD1−Fc−ビオチンを含有する)をウェル当たり100μlで添加し、室温で1時間反応させておいた。洗浄後に、SA−HRP(Sigmaから購入した)を添加し、室温で1時間反応させておいた。洗浄後に、発色剤を添加し、吸光度を405nmで読み取った。
【0160】
データ処理およびマッピング分析にSotfMax Pro v5.4を使用して、4−パラメータフィッティングによってPDL1−PD1に対する抗体の遮断曲線およびIC50値を得た。結果を
図6に示し、縦軸は、OD405であり、横軸は、PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の濃度(ng/mL)であり;逆三角形、三角法の三角形および正方形は、Fc融合タンパク質の異なる3つのヒト化形態:hu56v1−Fc、hu56v2−Fc、hu56v5−Fcを表す。3つのタンパク質は、PDL1−PD1相互作用を遮断する類似の能力を有する。
5.4 PDL1−CD80相互作用に対するPDL1単一ドメインFc融合タンパク質の遮断効果(競合ELISAによる)
CD80−Fcタンパク質(配列番号56)を、HEK293細胞から得た。ビオチン化タンパク質CD80−Fc−ビオチンを、Thermo Biotinlytionキットを使用して得た。
【0161】
プレートを、PDL1−Fc融合タンパク質0.5μg/ウェルで、4℃で終夜コーティングし、その後上記の例で得たPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の勾配希釈系列(300μg/mL CD80−Fc−ビオチンを含有する)をウェル当たり100μlで添加し、室温で1時間反応させておいた。洗浄後に、SA−HRP(Sigmaから購入した)を添加し、室温で1時間反応させておいた。洗浄後に、発色剤を添加し、吸光度を405nmで読み取った。
【0162】
データ処理およびマッピング分析にSotfMax Pro v5.4を使用して、4−パラメータフィッティングによってPDL1−CD80に対する抗体の遮断曲線およびIC50値を得た。結果を
図7に示し、縦軸は、OD405であり、横軸は、PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質hu56V2−Fcの濃度(ng/mL)である。成績は、PDL1を遮断する単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質hu56V2−Fcが、PDL1とCD80との相互作用を効果的に遮断し得ることを示している。
5.5 PDL1−PD1相互作用に対するPDL1単一ドメインFc融合タンパク質の遮断効果(FACSによる)
ヒトHEK293細胞は、完全長ヒトPDL1遺伝子を含有するプラスミドの一過性トランスフェクションにより膜上にサルPDL1タンパク質を一過性に発現する。
【0163】
PD1−muFc(配列番号85)を、2μg/mlの使用濃度で5×10
5個細胞/チューブグループ化により各群に添加し、次いで異なる濃度のKN035を各群に添加した。氷上で30分間インキュベートし、3回洗浄した後、PE標識されたヤギ抗マウス2次抗体を検出抗体として添加し、氷上で30分間インキュベーションした後、蛍光強度をフローサイトメトリーで検出した。
【0164】
GraphPad Prismソフトウェアを、データ処理およびマッピング分析に使用した。4−パラメータフィッティングにより、293細胞膜において発現されるPDL1と可溶性PD1との直接相互作用に対する抗体の遮断曲線およびIC50値を得た。結果を
図8に示し、縦軸は、MFIであり、横軸は、PDL1単一ドメイン抗体融合タンパク質hu56V1−Fcm1の濃度(μg/mL)である。結果は、PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質が、293細胞膜において発現されるPDL1とPD1との相互作用を効果的に遮断する可能性があることを示す。
【0165】
ヒトPD1全長遺伝子を含有するプラスミドを、Jurket細胞株に形質転換し、組み込んで、ヒトPD1タンパク質を安定して発現するJurket細胞株を得、その細胞をJurket−PD1と命名した。
【0166】
ビオチン化PDL1−muFc(配列番号84)タンパク質(30μg/ml)と共にJurkat−PD1細胞を氷上で30分間インキュベーションした後、PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質hu56V1−Fcm1(配列番号79)の勾配希釈剤を添加し、氷上で1時間インキュベートし、PBSで3回洗浄し、次いで、1:250希釈したストレプトアビジンPEを添加し、氷上で30分間インキュベートし、PBSで3回洗浄した。蛍光強度を、フローサイトメトリーによって検出した。
【0167】
データ処理およびマッピング分析を、GraphPad Prismソフトウェアを使用して実行した。Jurkat−PD1と可溶性PDL1−muFcタンパク質との直接相互作用に対する抗体の遮断曲線およびIC50値を、4−パラメータフィッティングによって得た。結果を、
図9に示し、縦軸は、MFIであり、横軸は、PDL1単一ドメイン抗体融合タンパク質hu56V1−Fcm1の濃度(μg/mL)である。結果は、PDL1を遮断する単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質が、Jurkat−PD1とPDL1との相互作用を効果的に遮断する可能性があることを示している。
5.6 PDL1タンパク質に対するPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の結合特異性
ヒトHEK293細胞は、全長ヒトB7ファミリータンパク質遺伝子を保有するプラスミド(pCDNA4、Invitrogen、Cat V86220)の一過性トランスフェクションにより、膜上にヒトPDL1タンパク質を一過性に発現する。膜上で発現されるB7ファミリータンパク質のレベルを緑色蛍光強度によって調べることができるように、このプラスミドでは、標的タンパク質のC末端をEGFPタンパク質に融合することもできる。構築された一過性トランスフェクトした細胞株は、293−PDL1−EGFP、293−PDL2−EGFP、293−B7H3−EGFPおよび293−B7H3−EGFPを含む。
【0168】
構築された細胞を、0.5%PBS−BSA緩衝液に再懸濁し、hu56V2−Fc抗体を添加した。同時に、他の無関係な標的に対する単一ドメイン抗体2μgの陰性対照を構成し、氷上で20分間インキュベートした。洗浄後に、eBioscience2次抗体抗−hIg−PEを、氷上で20分間添加した。洗浄後に、細胞を、0.5%PBS−BSA緩衝液500μlに再懸濁し、フローサイトメトリーによって検出した。
【0169】
結果を、
図8に示す。上の列は、対照群を示し、下側の列は、サンプル群を示す。hu56V2−Fc抗体が、他のB7ファミリータンパク質ではなくヒトPDL1タンパク質だけに特異的に結合することは明白である。
5.7 サルPDL1タンパク質に対するPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の結合
ヒトHEK293細胞は、サルPDL1遺伝子の完全長を含有するプラスミドの一過性トランスフェクションによりサルPDL1タンパク質(配列番号57)を一過性に発現する。プラスミドは、C末端にEGFPタンパク質を融合させた標的タンパク質も可能にし、そのプラスミドは、サルPDL1タンパク質膜発現レベルを緑色蛍光強度によって調査できることを可能にする。
【0170】
構築された細胞を、0.5%PBS−BSA緩衝液に再懸濁し、hu56V2−Fc抗体を添加し、氷上で20分間インキュベートした。洗浄後に、eBioscience2次抗体抗−hIg−PEを氷上で20分間添加した。洗浄後に、細胞を、0.5%PBS−BSA緩衝液500μlに再懸濁し、フローサイトメトリーによって検出した。
【0171】
結果を、
図9に示す。hu56V2−Fc抗体が、サルPDL1タンパク質に効果的に結合することは明白である。
5.8 PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質は、患者の組織切片上のPDL1陽性細胞集団を効果的に同定することができる
PDL1陽性肺がん患者の腫瘍組織切片を、1次抗体である5μg/mL hu56V2−Fc抗体で終夜染色し、ヤギ抗ヒトHRP標識抗体(Perkin−Elmer、Cat:NEF802001EA)とインキュベートし、次いで可視化した。
【0172】
結果を、
図10に示す。hu56V2−Fc抗体は、肺がん患者の組織切片上のPDL1陽性細胞集団を効果的に同定することができ、PDL1陽性腫瘍細胞およびPDL1陽性免疫細胞を同時に同定することができる。
5.9 PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質によるPBMCの活性化
末梢血単核細胞(PBMC)を、ヒトリンパ球用の単離溶液を使用する密度勾配遠心分離によって健康なドナーの末梢血から単離した(Tianjin Hao Yang)。
【0173】
2.5μg/mL抗CD3抗体およびPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質hu56V2−Fc(実験においてKN035とも呼んだ)の勾配希釈系列を、細胞培養プレートに4℃で終夜コーティングした。次の日、1×10
5個のPBMCを各ウェルに添加した。5日間培養した後、上清を取り出し、上清中のIFN−γレベルをIFN−γ ELISAキット(ebioscience)で検出した。
【0174】
結果を、
図11に示す。抗CD3抗体と組み合わせたPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質は、PBMC細胞からのγ−インターフェロンの分泌を増強し得る、すなわち、PDL1単一ドメインFc融合タンパク質は、PBMC細胞の活性化を増強することが分かる。同時に、活性化効果は濃度依存的である。
5.10 樹状細胞−T細胞混合リンパ反応におけるPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質によるCD4+T細胞の活性化およびMedImmune LLC抗PDL1抗体との比較
末梢血単核細胞(PBMC)を、ヒトリンパ球用の単離溶液を使用する密度勾配遠心分離によって健康なドナー由来の末梢血の白血球から単離した(Tianjin Hao Yang)。次いでそれらを、無血清RPMI1640培地と1〜2時間インキュベートして非接着細胞を除去し、細胞を、10%FBS、10ng/ml GM−CSFおよび20ng/mL IL−4を含有するRPMI中で培養した。5〜6日間の培養後に、10ng/ml TNF−αを添加し、24時間インキュベートして成熟した樹状細胞を得た。
【0175】
この方法で得られた樹状細胞を、2×10
5個/mlでRPMI完全培地に再懸濁した。次いで、ウェル当たり50μlを、96ウェルU底プレート(Costar:3799)に添加し、インキュベーター内で培養した。
【0176】
CD4+T細胞を、製造業者の指示にしたがって磁気ビーズ単離キット(Miltenyi Biotec:130−096−533)を使用して別のドナーのPBMCから単離した。
【0177】
上記の方法によって得た樹状細胞1×10
4個およびCD4+T細胞1×10
5個を混合し、RPMI完全培地に再懸濁し、96ウェル培養プレートに添加し、細胞混合物50μlを各ウェルに添加した。ウェル当たり100μlの、RPMI完全培地に希釈したhu56V2−Fcを、0.1μg/mlまたは0μg/mlの終抗体濃度に添加した。培養5〜7日間後に上清を採集し、上清中のIFN−γレベルを、IFN−γ ELISAキット(ebioscience)で検出した。
【0178】
結果を、
図12に示す。PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質が、混合リンパ球反応においてCD4+T細胞のIFN−γ分泌を増強させ得ることを見て取ることができる。すなわち、PDL1を遮断する単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質は、T細胞活性化を増強する。
【0179】
対象1由来のPBMCを、50ng/ml GM−CSF + 25ng/ml IL−4と培養し、TNF−α(50ng/ml)による成熟の6日後にDCを採取し;CD4+T細胞を、磁気ビーズ単離キット(Miltenyi Biotec:130−096−533)によって選り分け;DC細胞を、10
4個/ウェルで96ウェルU底プレートに添加し、CD4+T細胞10
5個/ウェルを、2〜4時間後に添加し;異なる濃度のPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質hu56V1−Fcm1またはMedImmune LLC抗PDL1抗体2.41H90Pをそれぞれのウェルに添加し;培養5日後に、上清中のIFN−γレベルを、IFN−γ ELISA検出キット(ebioscience)で検出した。
【0180】
結果を、
図14Bに示し、灰色のヒストグラムは、PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質によるIFN−γ分泌の刺激を示し、黒いバーは、MedImmune LLC抗PDL1抗体2.41H90Pを示す。濃度を増加させたPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質は、混合リンパ球反応においてIFN−γを分泌するCD4+T細胞の能力を増強することができ、T細胞を活性化するPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の能力は、同じ濃度でMedImmune LLC抗PDL1抗体2.41H90Pよりわずかに強い。
5.11 PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質によるJurkat/Raji−PDL1混合培養系におけるT細胞のIL−2分泌の刺激、およびMedImmune LLC抗PDL1抗体との比較
T細胞活性化系、Jurkat/Raji−PDL1共培養系を構築して、T細胞活性化におけるPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質による効果を試験し、その効果を、MedImmune LLC抗PDL1抗体と比較した。
【0181】
系は、エフェクター細胞としてJurkat細胞(T細胞)およびJurkat細胞活性化のための第1シグナルとして抗ヒトCD3抗体を使用する。遺伝子操作され、ヒトPDL1を安定して発現するRaji−PDL1細胞の表面にあるB7ファミリーCD80は、Jurket細胞を活性化するための第2の共刺激シグナルを提供し、一方で同じ細胞表面において高発現するPDL1は、PD1を結合することによって負の調節因子として作用して、Jurket細胞活性化を阻害する。
【0182】
hu56V1−Fcm1および2.41H90P抗体タンパク質の勾配希釈を、10%FBS + 1640 + 150ng/ml抗CD3を使用して調製し;JurkatおよびRaji−PDL1細胞を、3×10
6個細胞/mlおよび1.5×10
6個細胞/mlに調整し、50μlを各ウェルに添加し、37℃で24時間貯蔵した。培養上清100μlを除去し、IL−2の発現についてキットで測定した。
【0183】
図15は、黒色のヒストグラムが、PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質によるIL−2分泌の刺激を示し、灰色のヒストグラムが、MedImmune LLC抗PDL1抗体2.41H90Pを示す場合を示す。PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質は、濃度が増加するのに伴ってJurkat細胞がIL−2を分泌する能力を増強することができ、Jurkat細胞を活性化する能力は、同じ濃度でMedImmune LLC PDL1抗体2.41H90Pよりわずかに強い。
5.12 FcRnに対するPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の親和性
ビオチン化PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質hu56Vl−Fc、hu56V2−Fc、hu56Vl−Fcm1およびhu56V2−Fcm1を、10μg/mlに希釈し、SAバイオセンサーに固定した。ヒトFcRnタンパク質(RnD Systems Cat.No.8639−FC)を、200nM、100nM、50nM、25nM、12.5nMに希釈した。相互作用を、Fortebio Corporation製Octet K2を使用して固定化100秒間、乾燥結合60秒間、解離30秒間で検出した。
【0184】
表6は、FcRnに対するPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の平均KDが約5.1E−07Mであることを示す。変異体Fc(Fcm1)と野生型Fcの間で親和性に有意差はなかった。
【0186】
5.13 変異体Fcを持つPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質のCDCおよびADCC活性
PBMCを、エフェクター細胞として8×10
5個細胞/ウェルの細胞数で300IU/ml IL−2により24時間活性化し;ヒトPDL1タンパク質を安定して発現するRaji−PDL1を、2×10
5個細胞/ウェルの細胞数で標的細胞として使用し;様々な濃度のhu56V1−Fcm1または陽性対照であるリツキサンタンパク質を添加し、37℃で6時間インキュベーションした後、各濃度でのADCC活性(%)を、CytoTox96(登録商標)非放射性細胞毒性検出キットを使用して測定した。
【0187】
図16Aは、hu56V1−Fcm1が、陽性対照リツキサンと比較して有意なADCC活性を示さなかったことを示す。
【0188】
Raji−PDL1細胞を、標的細胞として2×10
4個細胞/ウェルの細胞数で、および5%カニクイザル血清を、補体を提供するために使用し、異なる濃度のhu56V1−Fcm1および陽性対照リツキサンを添加し、37℃で2時間培養した。サンプルのCDC活性を、CCK−8を使用して検出した。
【0189】
図16Bは、hu56V1−Fcm1が、陽性対照と比較して0.02μg/ml〜20μg/mlの濃度でCDC活性を有さないことを示す。
5.14 腫瘍成長に対するPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の阻害活性
免疫不全NOD/SCID(非肥満性糖尿病患者/重症複合型免疫不全症)マウスを使用して、マウスPDL1を認識できないPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質、hu56V2−Fcのin vivo活性を研究した。本研究の目的は、NOD/SCIDマウスが、ヒトPDL1発現黒色腫細胞株A375(ATCC登録番号CRL−1619(商標))およびヒト末梢血単核細胞(PBMC)で皮下移植された実験によって達成された。注射前にA375とPBMCを5:1の比で混合し、全容量100μlで皮下注射した(A375 5000000個およびPBMC 1000000個を含有する)。抗体を0.3mg/kgの用量で、腫瘍接種24時間後、次いで週1回腹膜内投与し;PBSを、陰性対照として与えた。実験群当たり4〜6匹のマウス。腫瘍形成を週2回観察し、腫瘍の長短径をノギスで測定した。腫瘍体積を算出し、腫瘍成長曲線を記入した(
図13を参照のこと)。0.3mg/kgの用量で抗体hu56V2−Fcが、腫瘍成長を有意に阻害したことが分かる。
【0190】
同じin vivoモデルを使用して、マウスPDL1も認識しないPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質、hu56V1−Fcm1を調べた。A375およびヒトPBMCを、4:1の比でNOD−SCIDマウスに皮下に接種した。4時間後に、異なる用量のhu56V1−Fcm1(0.1、0.3、1、3および10mg/kg)を腹膜内投与した。4週間、毎週投与した後にNOD−SCIDマウスにおけるA375/ヒトPBMC異種移植片に対する抗腫瘍効果を研究した。PBSを、陰性対照として使用した。実験群当たり4〜6匹のマウス。腫瘍形成を週2回観察し、腫瘍の長径と短径を、ノギスを使用して測定した。腫瘍体積を算出し、腫瘍成長曲線を記入した(
図17Bを参照のこと)。結果は、すべての用量のhu56V1−Fcm1(0.1〜10mg/kg)が、NOD−SCIDマウスのA375/ヒトPBMC同種異種移植片に対して有意な抗腫瘍効果を有するが、有意な用量関連性はないことを示している。抗体hu56V1−Fcm1は、0.1mg/kgの用量でさえ腫瘍成長を有意に阻害した。
5.15 異なる回数投与されたPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の腫瘍成長に対する阻害活性
NOD−SCIDマウスA375/ヒトPBMC異種移植片腫瘍モデルを使用した。A375とヒトPBMCを4:1の比でNOD−SCIDマウスに皮下接種し、hu56V1−Fcm1(0.3mg/kg)を4時間後に腹膜内注射し、その後3日毎に1回腹腔内注射した。最終的な投与回数は、1、2、3、4回であった。腫瘍形成を3日毎に観察し、腫瘍の長径と短径をノギスで測定して、初回投与から33日目までの腫瘍体積を算出した。腫瘍成長曲線を記入した(
図18)。結果は、研究期間内の異なる回数の投与すべてで、NOD−SCIDマウスのA375/ヒトPBMC同種異種移植片に対して有意な抗腫瘍効果が有ることを示した。
5.16 PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質による腫瘍成長の阻害およびMedImmune LLC抗PDL1抗体との比較
本研究の目的は、NOD/SCIDマウスが、ヒトPDL1発現黒色腫細胞株A375(ATCC登録番号CRL−1619(商標))およびヒト末梢血単核細胞(PBMC)で皮下移植された実験によって達成された。注射前にA375とPBMCを5:1の比で、全容量100μlで混合した(A375 5000000個およびPBMC 1000000個を含有する)。抗体を、1mg/kgの用量で腫瘍接種24時間後に腹膜内投与し、次いで週1回投与した。処置群は、hu56V2−Fc(hu56と表示した)およびMedImmune LLC抗PDL1抗体群(2.41と表示した)、陰性対照としてPBSを含んだ。実験群当たり4〜6匹のマウス。腫瘍形成を週2回観察し、腫瘍の長径と短径をノギスで測定した。腫瘍体積を算出し、腫瘍成長曲線を記入した(
図14Aを参照のこと)。MedImmune LLCの抗PDL1抗体は、本モデルにおいて基本的に効果がなく、35日目に腫瘍体積は陰性対照群を上回り、したがって投与および腫瘍体積測定を中止した。このモデルの下でA375腫瘍成長阻害における1mg/kg用量のhu56V2−Fcの効果は、MedImmune LLCの抗PDL1抗体2.41H90Pより有意に優れていることが分かる。
【0191】
MedImmune LLC製抗PDL1抗体は、上記系の下で腫瘍抑制を示さなかったので、系におけるPBMCの活性化は、腫瘍細胞成長を阻害するには不十分である可能性がある。したがって、混合細胞中のPBMCの含有量を増加させて、MedImmune LLC抗PDL1抗体の抗腫瘍効果を再度調べた。
【0192】
皮下注射前にA375とPBMCを1:1で、全容量100μlで混合し(A375 5000000個およびPBMC 5000000個を含有する)、1mg/kgの用量でMedImmune LLC抗PDL1抗体(2.41H90P)を腹膜内投与し、その後毎週投与し;PBSを陰性対照として使用した。実験群当たり4〜6匹のマウス。腫瘍形成を週2回観察し、腫瘍の長径と短径を、ノギスを使用して測定した。腫瘍体積を算出し、腫瘍成長曲線を記入した(
図14Bを参照のこと)。PMBCの割合を増加させた後、MedImmune LLC製抗PDL1抗体が、in vivoモデルにおいて抗腫瘍効果を示すことが分かる。
【0193】
42日目における抗体の平均腫瘍阻害(TGI=[1−処置群の腫瘍体積/対照群の腫瘍体積]×100%)を算出し、下記の表6に示した:
【0195】
上記のin vivo抗腫瘍実験の結果は、PDL1を遮断する本発明の単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質が、in vivo黒色腫A375ヌードマウスモデルにおいて既知のPDL1遮断抗体(MedImmune LLC製抗PDL1抗体)に対して著しい優位性を有することを示している。
【0196】
例6 PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の安定性
6.1 アルカリおよび酸化的ストレスに対するPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の抵抗性
500mM重炭酸アンモニウムをアルカリ破壊剤として使用し、融合タンパク質を37℃で38時間処理した。1%過酸化水素を酸化剤として使用し、室温で8時間処理した。
【0197】
処置前後の上記例で得たPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の生物活性の変化を、競合ELISAを使用して測定した。
図15で分かるように、アルカリおよび酸化処理は、候補PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の活性に影響を及ぼさず、アルカリ処理38時間後の競合ELISA活性は、0時間と比較して103%であった。酸化処理8時間における競合ELISA活性は、0時間と比較して106%であった。
6.2 高濃度でのPDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質の安定性
PDL1単一ドメイン抗体Fc融合タンパク質を、UF/DFによって濃縮し、PBS緩衝液に交換した。そして、その凝集体形成傾向を、SE−HPLCによって調べた。
【0198】
200mg/mLに濃縮したとき、PDL1単一ドメインFc融合タンパク質の純度は、SE−HPLC検出によって96.8%であった。凝集体は、低濃度(およそ2mg/mL)に対し約2.4%増加した。濃縮方法の全体を通じて、タンパク質溶液に混濁現象または凝集は起こらなかった。
Sequence listing
>SEQ ID NO:1 antibody No. 10 CDR1
SYCMG
>SEQ ID NO:2 antibody No. 10 CDR2
AIDSDGTTKYADSMKG
>SEQ ID NO:3 antibody No. 10 CDR3
RLNCPGPVDWVPMFPY
>SEQ ID NO:4 antibody No. 27 CDR1
RRCMA
>SEQ ID NO:5 antibody No. 27 CDR2
NILTTTGNTYLADSVKG
>SEQ ID NO:6 antibody No. 27 CDR3
DSFHDPTCTVVASSGAFQY
>SEQ ID NO:7 antibody No. 38 CDR1
RRCMG
>SEQ ID NO:8 antibody No. 38 CDR2
NITGTGNTYLADSVKG
>SEQ ID NO:9 antibody No. 38 CDR3
DSFPTCTVVASSGAFQY
>SEQ ID NO:10 antibody No. 56 CDR1
RRCMA
>SEQ ID NO:11 antibody No. 56 CDR2
KLLTTSGSTYLADSVKG
>SEQ ID NO:12 antibody No. 56 CDR3
DSFEDPTCTLVTSSGAFQY
>SEQ ID NO:13 antibody No. 69 CDR1
SYCMA
>SEQ ID NO:14 antibody No. 69 CDR2
KILTTPGNTYLADSVKG
>SEQ ID NO:15 antibody No. 69 CDR3
DSFQKPTCTVVASWPAFQY
>SEQ ID NO:16 antibody No. 81 CDR1
VRCMA
>SEQ ID NO:17 antibody No. 81 CDR2
NILTTTISTYLADSVKG
>SEQ ID NO:18 antibody No. 81 CDR3
DSFGYPTCPGPASSGAFQY
>SEQ ID NO:19 antibody No. 87 CDR1
SCGMG
>SEQ ID NO:20 antibody No. 87 CDR2
TISSDGTTSYADSVKG
>SEQ ID NO:21 antibody No. 87 CDR3
DCPPIPEFTSCSGGYCLSGDY
>SEQ ID NO:22 antibody No. 94 CDR1
SYCMG
>SEQ ID NO:23 antibody No. 94 CDR2
TIDSDGTTRYVDSVKG
>SEQ ID NO:24 antibody No. 94 CDR3
RLNCPGPVDWVPMFPY
>SEQ ID NO:25 antibody No. 10
QVQLQESGGGSVQAGGSLRLSCAASGNIVSSYCMGWFRQAPGKERVGVAAIDSDGTTKYADSMKGRFTISKDNAKNTLDLQMNSLKPEDTAMYYCVARLNCPGPVDWVPMFPYRGQGTQVTVSS
>SEQ ID NO:26 antibody No. 27
QVQLQESGGGSVQAGGSLRLSCAASGNISSRRCMAWFRQAPGKERERVANILTTTGNTYLADSVKGRFTISQNNAKSTVYLQMNSLKPEDTAMYYCAADSFHDPTCTVVASSGAFQYWGQGTQVTVSS
>SEQ ID NO:27 antibody No. 38
QVQLQESGGGSVQAGGSLRLSCAVSGFISSRRCMGWFRQAPGKERVGVANITGTGNTYLADSVKGRFTISQNNAKSTVYLQMNSLKPEDTAMYYCAADSFPTCTVVASSGAFQYWGQGTQVTVSS
>SEQ ID NO:28 antibody No. 56
QVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCAASGKMSSRRCMAWFRQAPGKERERVAKLLTTSGSTYLADSVKGRFTISQNNAKSTVYLQMNSLKPEDTAMYYCAADSFEDPTCTLVTSSGAFQYWGQGTQVTVSS
>SEQ ID NO:29 antibody No. 69
QVQLQESGGGSVQAGGSLRLSCAVQRNISSSYCMAWFRQAPGKQRERVDKILTTPGNTYLADSVKGRFTISQNNAKSTVYLQMNSLKPEDTAMYYCAADSFQKPTCTVVASWPAFQYWGQGTQVTVSS
>SEQ ID NO:30 antibody No. 81
QVQLQESGGGSVQAGGSLRLSCAASGNIIRVRCMAWFRQAPGKERERGPNILTTTISTYLADSVKGRFTISQNNAKSTVYLQMNSLKPEDTAMYYCAADSFGYPTCPGPASSGAFQYWGQGTQVTVSS
>SEQ ID NO:31 antibody No. 87
QVQLQESGGGSVQAGGSLKLSCAASGYIFSSCGMGWYRQAPGKERELVSTISSDGTTSYADSVKGRFTISQDNAKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCVADCPPIPEFTSCSGGYCLSGDYWGQGTQVTVSS
>SEQ ID NO:32 antibody No. 94
QVQLQESGGGSVQAGGSLRLSCAASLNIFSSYCMGWFRQAPGKQRVGVATIDSDGTTRYVDSVKGRFTISKDNAKNTLDLQMNSLKPEDTAMYYCAARLNCPGPVDWVPMFPYRGQGTQVTVSS
>SEQ ID NO:33 Hu56V1
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGKMSSRRCMAWFRQAPGKERERVAKLLTTSGSTYLADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCAADSFEDPTCTLVTSSGAFQYWGQGTLVTVSS
>SEQ ID NO:34 Hu56V2
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRRCMAWFRQAPGKERERVAKLLTTSGSTYLADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCAADSFEDPTCTLVTSSGAFQYWGQGTLVTVSS
>SEQ ID NO:35 Hu56V3
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGKMSSRRCMAWFRQAPGKGLERVAKLLTTSGSTYLADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCAADSFEDPTCTLVTSSGAFQYWGQGTLVTVSS
>SEQ ID NO:36 Hu56V4
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRRCMAWFRQAPGKGLERVAKLLTTSGSTYLADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCAADSFEDPTCTLVTSSGAFQYWGQGTLVTVSS
>SEQ ID NO:37 Hu56V5
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGKMSSRRCMAWFRQAPGKERERVAKLLTTSGSTYLADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLKAEDTAVYYCAADSFEDPTCTLVTSSGAFQYWGQGTLVTVSS
>SEQ ID NO:38 Human IgG1 Fc
EPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
>SEQ ID NO:39 10-Fc
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>SEQ ID NO:40 27-Fc
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>SEQ ID NO:50 Hu56V4-Fc
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>SEQ ID NO:54 Human PD1-Fc
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>SEQ ID NO:55 PDL1-Chis
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>SEQ ID NO:57 monkey PDL1
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>SEQ ID NO:61 56
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>SEQ ID NO:62 69
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>SEQ ID NO:63 81
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>SEQ ID NO:64 87
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>SEQ ID NO:65 94
CAGGTGCAGCTGCAGGAGTCTGGGGGAGGCTCGGTGCAGGCTGGAGGGTCTCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTCTAAATATTTTTAGTAGCTACTGTATGGGCTGGTTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGCAGCGCGTGGGGGTCGCGACTATTGATAGTGATGGTACTACAAGATACGTAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAAAGACAACGCCAAGAACACTCTAGATCTCCAAATGAACAGCCTGAAACCTGAGGACACTGCCATGTACTACTGTGCGGCACGTTTGAACTGCCCCGGGCCAGTTGATTGGGTCCCGATGTTTCCTTACAGGGGCCAGGGGACCCAGGTCACCGTCTCCTCA
>SEQ ID NO:66
GTCCTGGCTGCTCTTCTACAAGGC
>SEQ ID NO:67
GGTACGTGCTGTTGAACTGTTCC
>SEQ ID NO:68
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>SEQ ID NO:69
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> SEQ ID NO:70 mutant Fc IgG1-Fc-m1
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> SEQ ID NO:71 mutant Fc IgG1-Fc-m2
EPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
> SEQ ID NO:72 56-Fc-m2
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> SEQ ID NO:73 Hu56V1-Fc-m2
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> SEQ ID NO:74 Hu56V2-Fc-m2
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> SEQ ID NO:75 Hu56V3-Fc-m2
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> SEQ ID NO:76 Hu56V4-Fc-m2
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> SEQ ID NO:77 Hu56V5-Fc-m2
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> SEQ ID NO:78 56-Fc-m1
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> SEQ ID NO:79 Hu56V1-Fc-m1
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>SEQ ID NO:80 Hu56V2-Fc-m1
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> SEQ ID NO:81 Hu56V3-Fc-m1
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> SEQ ID NO:82 Hu56V4-Fc-m1
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRRCMAWFRQAPGKGLERVAKLLTTSGSTYLADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCAADSFEDPTCTLVTSSGAFQYWGQGTLVTVSSEPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVAVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAGIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
> SEQ ID NO:83 Hu56V5-Fc-m1
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGKMSSRRCMAWFRQAPGKERERVAKLLTTSGSTYLADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLKAEDTAVYYCAADSFEDPTCTLVTSSGAFQYWGQGTLVTVSSEPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVAVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAGIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
>SEQ ID NO:84 human PDL1-muFc
FTVTVPKDLYVVEYGSNMTIECKFPVEKQLDLAALIVYWEMEDKNIIQFVHGEEDLKVQHSSYRQRARLLKDQLSLGNAALQITDVKLQDAGVYRCMISYGGADYKRITVKVNAPYNKINQRILVVDPVTSEHELTCQAEGYPKAEVIWTSSDHQVLSGKTTTTNSKREEKLFNVTSTLRINTTTNEIFYCTFRRLDPEENHTAELVIPELPLAHPPNERTDIEGRMDPKSSDKTHTCPPCPAPEVSSVFIFPPKPKDVLTITLTPKVTCVVVDISKDDPEVQFSWFVDDVEVHTAQTQPREEQFNSTFRSVSELPIMHQDWLNGKEFKCRVNSAAFPAPIEKTISKTKGRPKAPQVYTIPPPKEQMAKDKVSLTCMITDFFPEDITVEWQWNGQPAENYKNTQPIMNTNGSYFVYSKLNVQKSNWEAGNTFTCSVLHEGLHNHHTEKSLSHSPGK
>SEQ ID NO:85 Human PD1-muFc
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【配列表】
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