(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874022
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】マルチLEDシステム、キャリア及びLEDシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20210510BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20210510BHJP
H01L 33/64 20100101ALI20210510BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/48
H01L33/64
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-558159(P2018-558159)
(86)(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公表番号】特表2019-515507(P2019-515507A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】EP2017057600
(87)【国際公開番号】WO2017190895
(87)【国際公開日】20171109
【審査請求日】2018年12月25日
(31)【優先権主張番号】102016108427.1
(32)【優先日】2016年5月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】フェイヒティンガー, トマス
(72)【発明者】
【氏名】リナー, フランツ
【審査官】
大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/034359(WO,A1)
【文献】
特開2013−122951(JP,A)
【文献】
特開2008−084943(JP,A)
【文献】
特開2009−177098(JP,A)
【文献】
特開2012−209537(JP,A)
【文献】
特表2015−517740(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0078960(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアと、前記キャリア上に配置される複数の発光ダイオードとを有するマルチLEDシステムであって、
キャリアは基体を有し、
前記基体に複数の電気部品が埋め込まれており、
前記基体は、前記基体の上面上に上部金属化部を有し、前記上部金属化部は、前記複数の発光ダイオードに電気的に接続された第1上部金属化部と、前記の埋め込まれた電気部品のうちの少なくとも1つと電気的に接続された第2上部金属化部とを有し、前記第1上部金属化部は前記第2上部金属化部から分離されており、
前記基体は、前記基体の下面上に下部金属化部を有し、前記下部金属化部は、前記発光ダイオードとの電気的接続のための第1下部金属化部と、前記の埋め込まれた電気部品の接続のための第2下部金属化部とを有し、前記第1下部金属化部は前記第2下部金属化部から分離されており、
前記第2上部金属化部はビアによって前記第2下部金属化部に接続されており、前記ビアは、前記の埋め込まれた電気部品とは異なる横方向位置に配置されている、
マルチLEDシステム。
【請求項2】
基体は、樹脂材料及び/又はポリマー材料を含む、
請求項1に記載のマルチLEDシステム。
【請求項3】
熱抵抗の低減のために、ブロック又はストリップの形態の少なくとも1つの金属構造物が、前記基体内に配置されている、
請求項1又は2に記載のマルチLEDシステム。
【請求項4】
前記マルチLEDシステムに含まれる第1LEDは第1ビアに、前記マルチLEDシステムに含まれる第2LEDは第2ビアに接続されており、
前記第1ビア及び前記第2ビアは、前記少なくとも1つの金属構造物のうちの1つを共有している、
請求項3に記載のマルチLEDシステム。
【請求項5】
ちょうど4つの発光ダイオードを有する、
請求項1乃至4いずれか1項記載のマルチLEDシステム。
【請求項6】
前記の埋め込まれた電気部品は、少なくとも1つの温度センサを含む、
請求項1乃至5いずれか1項に記載のマルチLEDシステム。
【請求項7】
前記の埋め込まれた電気部品は、少なくとも1つのESD保護部品を含む、
請求項1乃至6いずれか1項に記載のマルチLEDシステム。
【請求項8】
複数のESD保護部品と、温度センサと、を備え、
前記温度センサは、平面視において、前記マルチLEDシステムの中央領域に配置されており、
前記ESD保護部品は、隣接する発光ダイオード同士の間に位置する、
請求項6又は7記載のマルチLEDシステム。
【請求項9】
前記第2上部金属化部は、前記第1上部金属化部の間でストリップ状に延在する、
請求項1乃至8いずれか1項に記載のマルチLEDシステム。
【請求項10】
前記第2上部金属化部は、温度センサのさらなるコンタクトのために設計されている、
請求項1乃至9いずれか1項に記載のマルチLEDシステム。
【請求項11】
前記第2下部金属化部は、前記キャリアの下面の横方向エッジ領域だけに配置されている、
請求項1乃至10いずれか1項に記載のマルチLEDシステム。
【請求項12】
前記の埋め込まれた電気部品は、平面視において、前記マルチLEDシステムの中央領域に配置される、
請求項11に記載のマルチLEDシステム。
【請求項13】
前記の埋め込まれた電気部品はさらなるビアによって前記第2上部金属化部に接続されている、
請求項1乃至12いずれか1項に記載のマルチLEDシステム。
【請求項14】
キャリアは、前記キャリアの上面への複数のLEDの配置のために設計されており、樹脂材料及び/又はポリマー材料を含む基体を備え、
複数のESD保護部品及び少なくとも1つの温度センサが、前記基体内に埋め込まれており、
前記キャリアは、前記基体の上面上に上部金属化部を有し、前記上部金属化部は、前記複数のLEDへのコンタクト接続のための第1上部金属化部と、前記複数のESD保護部品及び/又は前記温度センサのうちの少なくとも1つのさらなるコンタクト接続のための第2上部金属化部とを有し、
前記第1上部金属化部は前記第2上部金属化部から分離されており、
前記キャリアは、前記基体の下面上に下部金属化部を有し、前記下部金属化部は、前記LEDの接続のための第1下部金属化部と、前記複数のESD保護部品及び/又は前記温度センサのうちの少なくとも1つの接続のための第2下部金属化部とを有し、
前記第1下部金属化部は前記第2下部金属化部から分離されており、
前記第2上部金属化部はビアによって前記第2下部金属化部に接続されており、
前記ビアは、前記複数のESD保護部品及び前記温度センサとは異なる横方向位置に配置されている、
マルチLEDのためのキャリア。
【請求項15】
キャリアと、前記キャリアの上面上に配置された1つ以上の発光ダイオードとを有するLEDシステムであって、
前記キャリアは基体を有し、
1つ以上の電気部品は、前記基体内に埋め込まれており、
前記キャリアは、前記基体の上面上に上部金属化部を有し、前記上部金属化部は、前記1つ以上の発光ダイオードに電気的に接続された少なくとも1つの第1上部金属化部と、前記の埋め込まれた電気部品のうちの少なくとも1つの接続のための少なくとも1つの第2上部金属化部と、を有し、前記第1上部金属化部は前記第2上部金属化部から分離されており、
前記キャリアは、前記基体の下面上に下部金属化部を有し、前記下部金属化部は、前記発光ダイオードの接続のための少なくとも1つの第1下部金属化部と、前記の埋め込まれた電気部品の接続のための少なくとも1つの第2下部金属化部と、を有し、前記第1下部金属化部は前記第2下部金属化部から分離されており、
前記第2上部金属化部はビアによって前記第2下部金属化部に接続されており、前記ビアは、前記の埋め込まれた電気部品とは異なる横方向位置に配置されている、
LEDシステム。
【請求項16】
前記の埋め込まれた電気部品はさらなるビアを介して前記第2上部金属化部に接続されている、
請求項15に記載のLEDシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフラッシュ光の生成のために構成された、マルチLEDシステムに関する。かかるマルチLEDシステムは特にスマートフォン又はデジタルカメラ等のようなモバイル用途に必要とされる。
【背景技術】
【0002】
基板と複数の受動素子並びに複数の発光ダイオード(LED)とから成るハイブリッド構造を有するマルチLEDシステムが知られている。LEDは、例えば暖白色光及び冷白色光の組み合わせを生成するように、例えば光変換層によって覆われている。
【0003】
LEDを静電放電(ESD、Electrostatic Discharge)から保護するために、バリスタ機能を有する個別の(diskrete)部品を使用することができるが、これはより大きい構造サイズへと導く。文献DE 10 2014 101 092 A1はバリスタ機能を有するチップであってその上にLEDを搭載することができるチップを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許公開第10 2014 101 092号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明の課題は、改良された特性を有するマルチLEDシステムを提供することである。
【0006】
本発明によるマルチLEDシステムは、キャリアを有し、その上に複数の発光ダイオードが配置されている。キャリアは基体を有し、その中に複数の電気部品が埋め込まれている。
【0007】
特に、マルチLEDシステムは、モバイル用途におけるフラッシュモジュールとしての使用のために設計されている。実施形態において、マルチLEDシステムは、ちょうど4つの発光ダイオードを有する。特に4倍LEDフラッシュモジュールであることができる。LEDは例えば正方形などの矩形の例えば頂点に配置されている。
【0008】
キャリア内に部品を埋め込むことによって、モジュールサイズを大幅に低減することができ、又は、同じモジュールサイズ内により多くのLEDを集積化することができ、それによってフラッシュ出力を大幅に増加させることができる。また、部品の集積化によって、部品での反射による側方放射において光色及び光強度が変化することが防止される。このようにして、モバイルカメラへの適用の際に写真の色品質と発光効率(die Lichtausbeute)が大幅に向上する。例えば、キャリア上に、発光ダイオードとは別の、さらなる部品は配置されない。
【0009】
埋め込まれた部品は、例えば1つ以上のセンサ及び/又は保護部品であることができる。部品はセラミック材料を含むことができる。例えば、静電放電(ESD)から保護するための、少なくとも1つのESD保護コンポーネントが設けられている。それは、バリスタ、特に多層バリスタ(Multilagen-Varistor)、又はTVSダイオードであることができる。代替的に又は付加的に、過電流から保護するための部品、例えばPTC部品、及び/又は、上昇した温度から保護するための部品、例えばNTC部品が設けられることができる。
【0010】
基体は樹脂材料及び/又はポリマー材料を含むことができる。樹脂材料又はポリマー材料は添加剤(Fuellstoffe)を含むことができる。添加剤の付加によって、例えば基体の硬さ、熱膨張係数及び/又は熱伝導性が影響を受けることができる。例えば、基体の熱膨張率はLEDの熱膨張係数に適合されている。例えば、基体は、ガラスファイバー樹脂材料を含む。ガラスファイバー樹脂材料に加えて又は代えて、樹脂材料又はポリマー材料は、例えばセラミック添加剤を含むことができる。
【0011】
基体は、多層に構成されることができる。基体の全ての層は樹脂材料又はポリマー材料を含むことができる。例えば、基体は、上部層、中間層、及び下部層を有し、中間層は上部層と下部層との間に配置されることができる。部品は、中間層に埋め込まれることができる。特に部品は中間層にだけ配置されることができ、上部層及び下部層によって覆われることができる。
【0012】
キャリアは、基体の上面又は下面に設けられた(aufgebracht)、複数の上部又は下部金属化部を有することができる。
【0013】
特に基体の上面には、LEDのコンタクトのための第1上部金属化部が設けられることができる。LEDは例えば第1上部金属化部上に配置され、はんだ付けによって第1上部金属化部に取り付けられている。例えば、各LEDは2つの第1上部金属化部と接続され、複数の金属化部のうちの1つは2つのLEDのコンタクトのために構成されている。従って、それぞれ2つのLEDは1つの第1上部金属化部を共有する(teilen)。4倍(vierfach)LEDシステムにおいて、例えばちょうど6つの第1上部金属化部がある。
【0014】
1つ以上の埋め込まれた部品が第1上部金属化部と接続されることができる。埋め込まれた部品は、例えば貫通コンタクト(ビア)を用いて第1上部金属化部と接続される。その際、例えば、1つ以上のESD保護コンポーネントであることができる。
【0015】
さらに、上面上には、第2上部金属化部が配置されることができ、例えば1つ以上の部品の継続コンタクト(Weiterkontaktierung)のために構成されることができる。特に、第2上部金属化部上には部品が配置されない。埋め込まれた部品は、例えば貫通コンタクトによって金属化部と接続される。第2上部金属化部は例えば配線路として構成されることができる。例えば、2つの第2上部金属化部は、破断したストリップの形態で、マルチLEDシステムの一方の周縁から、マルチLEDシステムの対向する周縁へと延在する。第2上部金属化部は、例えば第1上部金属化部同士の間に配置される。
【0016】
実施形態において、マルチLEDシステムは温度センサを有し、温度センサは第2上部金属化部と電気的に接続される。温度センサは、例えば上面視において(in der Aufsicht )、マルチLEDシステムの中央領域に配置される。
【0017】
さらに、基体の下面上には、マルチLEDシステム、特にLED及び/又は埋め込まれた部品の電気的接続のための下部金属化部が配置されることができる。
【0018】
例えば、下面上には、LEDの電気的接続のための下部金属化部が配置される。例えば各LEDは2つの第1金属化部と接続され、複数の金属化部のうちの1つは全てのLEDの接続のために構成されることができる。4倍LEDシステムでは、例えばちょうど5つの第1下部金属化部が存在する。
【0019】
第1下部金属化部は、例えば、第1貫通コンタクトを介して第1上部金属化部と電気的に接続される。それは、特に、高い寝る伝導性を示す熱的ビアである。第1貫通コンタクトは、例えば、中断することなく第1上部金属化部から第1下部金属化部へと延在する。
【0020】
さらに、下面には、例えば1つ以上の埋め込まれた部品の電気的接続のために構成された、第2下部金属化部が配置される。例えば、第2下部金属化部は、キャリアの下面において側方の周縁領域内にのみ配置される。例えば、第2下部金属化部同士の間に、第1下部金属化部が配置される。
【0021】
第2下部金属化部は例えば、第4貫通コンタクトを介して第2上部金属化部と接続される。例えば、第4貫通コンタクトは第2上部金属化部から第2下部金属化部へと通じる。特に、第4貫通コンタクトは、中断することなく、第2上部金属化部から第2下部金属化部へと通じる。
【0022】
実施形態によれば、第2下部金属化部は温度センサの電気的接続のために構成されている。
【0023】
実施形態において、複数の埋め込まれた部品のうちの少なくとも1つは、貫通コンタクトを介して、複数の上部金属化部のうちの少なくとも1つと接続され、その上部金属化部は貫通コンタクトを介して1つの下部金属化部と接続される。特に、1つの埋め込まれた部品はそれぞれ1つの貫通コンタクトを介して2つの上部金属化部と接続されることができ、その2つの金属化部はそれぞれ1つの貫通コンタクトを介して2つの下部金属化部と接続されることができる。埋め込まれた部品は、特に上部金属化部を介してのみ下部金属化部と接続され、下部金属化部への直接の接続は有しない。かかる接続構造は、下面からの埋め込まれた部品の、効果的な省スペースな接続を可能にする。
【0024】
実施形態において、基体内には、熱抵抗の低減のために1つ以上の金属構造物が埋め込まれている。例えば、それは金属ブロック又は金属ストリップである。金属構造物は例えば銅を含む。貫通コンタクトは金属構造物によって分断されることができ、または金属構造物を通過する(hindurchfuehren)ことができる。
【0025】
本発明のさらなる態様によれば、LEDシステムが提供される。上述のマルチLEDシステムと異なり、LEDシステムはただ1つだけの発光ダイオードを有することができる。ただ1つだけの埋め込まれた部品が設けられることもできる。これに代えて、LEDシステムは複数の発光ダイオード及び/又は複数の埋め込まれた部品を有する。マルチLEDシステムとの関係で述べられた、全ての上記の特性は、意味のある限り、LEDシステムにも存在する。
【0026】
特に、キャリアは、少なくとも1つの埋め込まれた部品の接続のための、少なくとも1つの上部金属化部と、その1つの埋め込まれた部品の接続のための、少なくとも1つの下部金属化部とを有し、その1つの埋め込まれた部品は貫通コンタクトを介して上部金属化部と接続され、その上部金属化部は貫通コンタクトを介して下部金属化部と接続される。特に、1つの埋め込まれた部品は、2つの貫通コンタクトを介して2つの上部金属化部と接続され、その2つの上部金属化部は2つの貫通コンタクトを介して2つの下部金属化部と接続される。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、マルチLEDシステムのためのキャリアが提供される。キャリアは前述したように構成されることができる。キャリアは、基体を有し、その中に複数の電気部品が埋め込まれている。キャリアは、複数のLEDを配置するために構成されている。特に、基体内には複数のESD保護コンポーネント及び少なくとも1つの温度センサが埋め込まれている。基体は、例えば、樹脂材料又はポリマー材料を含む。
【0028】
本開示においては、本発明の複数の態様が記載される。マルチLEDシステム、キャリア及びLEDシステムに関する全ての特性は、それぞれの特性が特に他の態様のコンテクスト内で述べられなくとも、他の態様との関係においても開示されている。さらに、ここで例示した対称の説明は個別の特定の実施形態に制限されない。むしろ、個別の実施形態の特徴は、技術的に意味がある限り、相互に組み合わせられることができる。
【0029】
以下では、ここで記載される対象を模式的な実施形態に従って詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】マルチLEDシステムの実施形態の上面図である。
【
図1B】
図1のマルチLEDシステムの実施形態の斜視図である。
【
図1C】
図1AのマルチLEDシステムの実施形態の水平断面上面図である。
【
図1D】
図1AのマルチLEDシステムの実施形態の水平断面斜視図である。
【
図2A】マルチLEDシステムのさらなる実施形態の斜視図である。
【
図2B】
図2AのマルチLEDシステムの実施形態の水平断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
好ましくは、以下の図面において同一の符号は、機能的又は構造的に対応する異なる実施形態の部分を示す。
【0032】
図1Aは、マルチLEDシステム1の上面図を示す。
図1Bは、マルチLEDシステム1の斜視図を示す。
【0033】
マルチLEDシステム1は、キャリア2を有し、その上には複数の発光ダイオード3、3’、3”が配置されている。より良く図示するために、システム1の右下の四分の一は示されていない。この四分の一は例えば、左下の四分の一に対して軸対称(achsengespiegelt)に構成されている。発光ダイオード3、3’、3”は、破線で取り囲まれることによって示される。発光ダイオード3、3’、3”は、例えばレンズ及び/又は光変換層等の光学的構造物、及び/又は保護構造物によって覆われている。マルチLEDシステム1は例えばちょうど4つの発光ダイオードを有する。マルチLEDシステム1は例えばフラッシュ光の生成のために使用される。実施形態において、LEDシステム1は、LED3、3’、3”の他に、さらなる個別の部品をキャリア2上に有しない。これは、LEDシステム1の特に良好な小型化を可能にする。さらに、従って、放射される光の均一性及び発光効率が向上することができる。特に、表面実装されたさらなる部品による遮蔽(Abschattung)と色変化(Farbaenderung)が生じない。
【0034】
キャリア2は基体4を有する(
図1B)。基体4は、ここでは表現上の理由から透明に図示されている。基体4は多層、例えば3層に構成されることができる。基体4は、例えば樹脂材料、特にガラスファイバー樹脂材料を含む。ガラスファイバー樹脂材料に加えて又は代えて、樹脂材料はセラミック添加剤を含むことができる。基体4はポリマー材料、特に添加されたポリマー材料を含むことができる。
【0035】
一般に基体4は、樹脂、特にビスマレイミド - トリアジン樹脂(Bismaleimid-Triazin Harz)、ポリマー、ガラス、特にガラスファイバー、プリプレグ材料(Prepreg-Material)、ポリイミド、液晶ポリマー、シアネートエステル(Cyanatester)、エポキシドベース構築膜(Epoxid-basierten Build-Up Film)、FR4材料、セラミック、及び金属酸化物を含む群のうちの少なくとも1つの材料を含むことができる。この際、基体4には、例えば樹脂又はポリマーのような基材の他に、さらなる添加剤が含まれる。FR4は、エポキシ樹脂とガラスファイバー布(Glasfasergewebe)とからなる複合材の分類を示す。樹脂ガラスラミネートは、高い耐圧性と高い機械的強度を特徴とする。
【0036】
さらに、基体4の材料は、はんだプロセスが高い温度で可能になるように選択される。例えばLED3、3’、3”はキャリア2にはんだ付けされる。基体4の材料は、特に、例えば金・錫・はんだペーストでのリフローはんだの際に生じる、320℃でのはんだプロセスに適している。金・錫・はんだペーストは例えば80%の金と20%の錫とを含む。或いは、例えば、260℃程度の温度においてはんだ付けされるSnAgCuはんだペーストも用いられることができる。
【0037】
基体4の上面には、複数の上部金属化部5、5’、6、6’が配置されている。基体4の下面には、複数の下部金属化部7、7’、8、8’が配置されている(
図1C)。上部金属化部5、5’、6、6’は間隙9を介して相互に分離されている。下部金属化部7、7’、8、8’は間隙10を介して相互に分離されている。
【0038】
第1上部金属化部5、5’は、その際、LED3、3’、3”のコンタクトのためのコンタクト面として構成される。第2上部金属化部6、6’は、部品12の継続コンタクトとして構成される。下部金属化部7、7’は、マルチLEDシステム、特にLED3、3’、3”及び埋め込まれた部品の電気的接続のための接続面として構成される。
【0039】
図1A及び1Bにおいて、熱シミュレーションによって求められた局所的熱抵抗は、K/Wで、1K/Wから12K/Wの範囲を示す。その際、熱抵抗は、第1上部金属化部5、5’の間の間隙9の近傍において最大であることが示された。
【0040】
図1Cは、
図1A及び1BのマルチLEDシステム1を水平断面の上面図で示す。
図1Dは、マルチLEDシステム1を水平断面の斜視図で示す。
【0041】
基体4は、特に基体4の中間層に複数の電気部品11、11’、11”、12が埋め込まれている。部品11、11’、11”、12はキャリア2内に完全に埋め込まれている。例えば、部品11、11’、11”、12は、基体4の中間層に完全に埋め込まれており、基体4の上部層と下部層との間に配置されている。
【0042】
電気部品11、11’、11”、12は、特に非常に薄く(ultraduenn)形成されている。構造高さは、例えば0.33mm以下であることができる。
【0043】
本実施形態において、複数のESD保護コンポーネント11、11’、11”及び温度センサ12がキャリア2内に埋め込まれている。
【0044】
特に、各LED3、3’、3”のために、ちょうど1つのESD保護コンポーネント11、11’、11”が設けられている。その際、上面視において、それぞれ2つのESD保護コンポーネント11、11’、11”が2つの隣り合うLED3、3’、3”の間に配置されている。
【0045】
ESD保護コンポーネント11、11’、11”は、例えばセラミックを含む。セラミックは、特にバリスタセラミックであり、例えば、ドーピングされたZnO、SrTiO2又はSiCである。温度センサ12はNTC部品として構成されている。例えば温度センサ12はセラミックを含む。
【0046】
温度センサ12は、上面図において、マルチLEDシステム1の中央に配置されている。
【0047】
LED3、3’、3”は、第1上部金属化部5、5’上に配置され、これと電気的に接続されている。第1上部金属化部5、5’は、第1貫通コンタクト13、13’を通して、第1下部金属化部7、7’と接続されている。その際、各LED3、3’、3”に対して4つの第1貫通コンタクト13、13’が設けられている。第1貫通コンタクト13、13’は、中断することなく、第1上部金属化部5、5’から第1下部金属化部7、7’まで延在する。それぞれ2つのLED3、3’、3”は1つの第1上部金属化部5’を共有する。図示された例では、ちょうど6つの第1上部金属化部5、5’が存在する。全てのLED3、3’、3”は1つの下部金属化部7’を共有する。図示された例では、ちょうど5つの第1下部金属化部7、7’が存在する。
【0048】
第1貫通コンタクト13、13’は、例えば100μmと200μmの間、好ましくは130μmと170μmの間の直径を有する。特に直径は150μmであることができる。第1貫通コンタクト13、13’は、例えば、キャリア2の熱抵抗を低減する熱ビアとして構成される。貫通コンタクト13、13’は例えば銅を含む。貫通コンタクト13、13’は、特に完全に充填された熱銅ビア(thermische Kupfervias)である。
【0049】
バリスタ11、11’、11”は、第2貫通コンタクト14、14’を通って(
図1D)、第1上部及び第1下部金属化部5、5’、7、7’と接続されている。その際、貫通コンタクト14、14’は、それぞれバリスタ11、11’、11”から第1上部金属化部5、5’まで、又は、バリスタ11、11’、11”から第1下部金属化部7、7’まで延在する。
【0050】
温度センサ12は、第3貫通コンタクト15、15’を通って第2上部金属化領域6、6’と接続されている。第3貫通コンタクト15、15’は、温度センサ12の上面から第2上部金属化部6、6’まで延在する。
【0051】
第2上部金属化部6、6’は第4貫通コンタクト16、16’を通って第2下部金属化部8、8’と接続されている。第4貫通コンタクト16、16’は、第2上部金属化部6、6’から第2下部金属化部8、8’まで延在する。第4貫通コンタクト16、16’は上面図においてキャリア2の周縁領域に配置されている。
【0052】
第2上部金属化部6、6’は、間隙によって中断されたストリップとして、キャリア1の一方の周縁からキャリア2の対向する周縁まで延在する。第2下部金属化部8、8’は、それぞれ単にキャリア2の周縁領域に配置されている。第2下部金属化部8、8’同士の間に第1下部金属化部7’が配置されている。
【0053】
第2、第3及び第4貫通コンタクト14、14’、15、15’、16、16’は、例えば銅又は銀を含む。第2、第3及び第4貫通コンタクト14、14’、15、15’、16、16’は、第1貫通コンタクト13、13’よりもより小さい直径を有することができ、例えば40μmと100μmの間、特に40μmと70μmの間の直径を有することができる。
【0054】
LEDシステム1は例えば2.6×2.6mm
2の寸法を有する。LEDシステム1の厚さはLED無しで、例えば300μmである。バリスタ11、11’、11”及び温度センサ12は例えばそれぞれ100μmの厚さを有する。
【0055】
図2A及び2Bは、マルチLEDシステム1のさらなる実施形態を斜視図及び水平断面斜視図で示す。
【0056】
図1A乃至1Dの実施形態とは対照的に、キャリア2には、熱抵抗の低減のための金属構造物17、17’、17”が受けこまれている。金属構造物17、17’、17”は、ブロック又はストリップの形態で形成される。金属構造物17、17’、17”は、例えば銅を含むことができる。
【0057】
金属構造物17、17’、17”は、例えば基体4の中間層に埋め込まれている。特に、金属構造物17、17’、17”は基体4の上部及び下部層を貫通していない。金属構造物17、17’、17”は、貫通コンタクト18、18’を通って第1上部及び第1下部金属化部5、5’、7、7’と接続されている。貫通コンタクト18、18’は、金属構造物17、17’、17”を貫通し又は金属構造物17、17’、17”によって中断されることができる。貫通コンタクト18、18’は金属構造物17、17’、17”と一体的に形成されることもできる。
【0058】
第1貫通コンタクト18、18’は、
図1A乃至1Dの実施形態の」第1貫通コンタクト13、13’に対応して形成される。これに対して、各LED3、3’、3”のために2つの貫通コンタクト18、18’だけが第1上部金属化部5、5’から出て(wegfuehren)いる。各貫通コンタクト18、18’は埋め込まれた金属構造物17、17’と接続されている。その際、2つの貫通コンタクト18’は、1つの金属構造物17を共有する。全体として、図示の例では6つの金属構造物17、17’、17”が存在する。
【0059】
代替的に、LEDシステムはただ1つのLEDのみを有することができる。その際、LEDのコンタクト及び1つ以上の埋め込まれた部品のコンタクトは
図1A乃至2Bの実施形態に相応に形成されることができる。
【0060】
(形態1)
キャリア(2)と、前記キャリア(2)上に配置される複数の発光ダイオード(3、3’、3”)とを有するマルチLEDシステムであって、
キャリア(2)は基体(4)を有し、
前記基体(4)に複数の電気部品(11、11’、11”、12)が埋め込まれている、
マルチLEDシステム。
(形態2)
前記キャリア(2)は、埋め込まれた前記複数の電気部品(11、11’、11”、12)のうちの少なくとも1つの電気部品の接続のための複数の上部金属化部(5、5’、6、6’)と、その埋め込まれた電気部品(11、11’、11”、12)の接続のための下部金属化部(7、7’、8、8’)と、を有し、
前記上部金属化部(5、5’、6、6’)は前記基体(4)の上面に配置されており、前記下部金属化部(7、7’、8、8’)は基体(4)の下面に配置されており、
埋め込まれた前記電気部品(11、11’、11”、12)は、ビア(15、15’)によって前記上部金属化部(5、5’、6、6’)に接続されており、
前記上部金属化部(5、5’、6、6’)は、ビア(16、16’)によって、前記下部金属化部(7、7’、8、8’)に接続されている。
(形態3)
基体(4)は、樹脂材料及び/又はポリマー材料を含む。
(形態4)
熱抵抗の低減のために、ブロック又はストリップの形態の少なくとも1つの金属構造物(17、17’、17”)が、前記基体(4)内に配置されている。
(形態5)
前記ブロック又は前記ストリップは、埋め込まれた前記電気部品(11、11’、11”、12)のコンタクトのためには提供されない。
(形態6)
第1LED(3)は第1ビア(18’)に、第2LED(3”)は第2ビア(18’)に接続されており、
複数の前記第2ビア(18’)は、金属構造物(17)を共有している。
(形態7)
ちょうど4つの発光ダイオード(3、3’、3”)を有する。
(形態8)
埋め込まれた前記電気部品(11、11’、11”、12)は、少なくとも1つの温度センサ(12)を含む。
(形態9)
埋め込まれた前記電気部品(11、11’、11”、12)は、少なくとも1つのESD保護部品(12)を含む。
(形態10)
複数のESD保護部品(11、11’、11”)と、温度センサ(12)と、を備え、
前記温度センサは、平面視において、前記マルチLEDシステムの中央領域に配置されており、
前記ESD保護部品(11、11’、11”)は、隣接する発光ダイオード(3、3’、3”)同士の間に位置する。
(形態11)
前記基体(4)の上面に配置された上部金属化部(5、5’、6、6’)を有し、
前記上部金属化部(5、5’、6、6’)は、複数のLED(3、3’、3”)のコンタクトのための第1上部金属化部(5、5’)と、埋め込まれた部品(12)のさらなるコンタクトのための第2上部金属化部(6、6’)と、を含む。
(形態12)
前記基体(4)の下面上に配置された第2下部金属化部(7、7’、8、8’)を有し、
前記第2上部金属化部(6、6’)は、ビア(16、16’)を介して前記第2下部金属化部(8、8’)に接続されている。
(形態13)
前記第2上部金属化部(6、6’)は、前記第1上部金属化部(5、5’)の間でストリップ状に延在する。
(形態14)
前記第2上部金属化部(6、6’)は、温度センサ(12)のさらなるコンタクトのために設計されている。
(形態15)
前記基体(4)の下面に配置された下部金属化部(7、7’、8、8’)を有し、
前記下部金属化部(7、7’、8、8’)は、LED(3、3’、3”)の接続のための第1下部金属化部(7、7’)と、埋め込まれた部品(12)の接続のための第2下部金属化部(8、8’)と、を含む。
(形態16)
前記第2下部金属化部(6、6’)は、前記キャリア(2)の下面の横方向エッジ領域だけに配置されている。
(形態17)
前記埋め込まれた部品(12)は、平面視において、前記マルチLEDシステム(1)の中央領域に配置される。
(形態18)
埋め込まれた部品(12)は第2ビア(15、15’)によって前記第2上の金属化部(6、6’)に接続されており、
前記第2上部金属化部(6、6’)は、第4ビア(16、16’)によって、前記第2下部金属化部(8、8’)に接続されている。
(形態19)
キャリア(2)は、複数のLED(3、3’、3”)の配置のために設計されており、樹脂材料及び/又はポリマー材料を含む基体(4)を備え、
複数のESD保護部品(11、11’、11”)及び少なくとも1つの温度センサ(12)が、前記基体(4)内に埋め込まれている。
(形態20)
キャリア(2)と、前記キャリア(2)上に配置された1つ以上の発光ダイオード(3、3’、3”)とを有するLEDシステムであって、
前記キャリア(2)は基体(4)を有し、
1つ以上の電気部品(11、11’、11”、12)は、前記基体(4)内に埋め込まれており、
前記キャリアは、埋め込まれた前記電気部品(11、11’、12、12’)のうちの少なくとも1つの接続のための少なくとも1つの上部金属化部(5、5’、6、6’)と、埋め込まれた前記電気部品(11、11’、11”、12)の接続のための少なくとも1つの下部金属化部(7、7’、8、8’)と、を有し、
前記上部金属化部(5、5’、6、6’)は前記基体(4)の上面上に配置されており、前記下部金属化部(7、7’、8、8’)は前記基体(4)の下面に配置されており、
埋め込まれた前記部品(11、11’、11”、12)は、ビア(15、15’)によって、前記上部金属化部(5、5’、6、6’)に接続されており、
前記上部金属化部(5、5’、6、6’)は、ビア(16、16’)によって、前記下部金属化部(7、7’、8、8’)に接続されている、
LEDシステム。
【符号の説明】
【0061】
1 マルチLEDシステム
2 キャリア
3 LED
3’ LED
3” LED
4 基体
5 第1上部金属化部
5’ 第1上部金属化部
6 第2上部金属化部
6’ 第2上部金属化部
7 第1下部金属化部
7’ 第1下部金属化部
8 第2下部金属化部
8’ 第2下部金属化部
9 ギャップ
10 ギャップ
11 ESD保護コンポーネント
11’ ESD保護コンポーネント
11” ESD保護コンポーネント
12 温度センサ
13 第1貫通コンタクト
13’ 第1貫通コンタクト
14 第2貫通コンタクト
14’ 第2貫通コンタクト
15 第3貫通コンタクト
15’ 第3貫通コンタクト
16 第4貫通コンタクト
16’ 第4貫通コンタクト
17 金属構造
17’ 金属構造
17” 金属構造
18 第1貫通コンタクト
18’ 第1貫通コンタクト