特許第6874029号(P6874029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874029
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】付加製造
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/386 20170101AFI20210510BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20210510BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20210510BHJP
   B29C 64/165 20170101ALI20210510BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20210510BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20210510BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20210510BHJP
【FI】
   B29C64/386
   B29C64/393
   B29C64/153
   B29C64/165
   B33Y10/00
   B33Y30/00
   B33Y50/02
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-22332(P2019-22332)
(22)【出願日】2019年2月12日
(62)【分割の表示】特願2017-520916(P2017-520916)の分割
【原出願日】2014年12月15日
(65)【公開番号】特開2019-89348(P2019-89348A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2019年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ナウカ,クシシトフ
(72)【発明者】
【氏名】ガナパシアパン,シヴァパキア
(72)【発明者】
【氏名】チャオ,リファ
(72)【発明者】
【氏名】トム,ハワード,エス
(72)【発明者】
【氏名】チャオ,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ング,ホウ,ティー
【審査官】 今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−234104(JP,A)
【文献】 特開2000−272018(JP,A)
【文献】 特開2005−007572(JP,A)
【文献】 特表2006−511365(JP,A)
【文献】 特表2005−533877(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/152884(WO,A1)
【文献】 特開2000−190086(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0177309(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 − 64/40
B22F 3/105,3/16
B33Y 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実行されると付加製造装置に、構築材料の単一層または多重層中に部材を部分的にまたは完全に埋設させる命令を有する、有形の非一時的なプロセッサ可読媒体であって、
構築材料の単一層または多重層中に部材を埋設させる命令が:
未融合の粉末状の構築材料の第一の層を形成し;
第一のスライスに対応するパターンで第一の層に融合剤を配給し;
融合剤が配給された個所で構築材料に光エネルギーを適用させることにより第一の層にある構築材料を融合および固化して第一のスライスを形成し;
第一のスライス上に個別の部材を配置し;
個別の部材を取り囲む、未溶融の粉末状の構築材料の第二の層を形成し;
第二のスライスに対応するパターンで第二の層に融合剤を配給し;および
融合剤が配給された個所で構築材料に光エネルギーを適用させることにより第二の層にある構築材料を融合および固化して個別の部材を取り囲む第二のスライスを形成する命令を含み、
融合剤は光吸収を増大させて構築材料を融合させるために十分な熱を発生する、媒体。
【請求項2】
構築材料の単一層または多重層中に部材を埋設させる命令が:
個別の部材を覆う構築材料の第三の層を第二のスライス上に形成し;
第三のスライスに対応するパターンで第三の層に融合剤を配給し;および
融合剤が配給された個所で構築材料に光エネルギーを適用させることにより第三の層にある構築材料を融合および固化して、部材を覆う第三のスライスを形成する命令を含む、請求項1の媒体。
【請求項3】
構築材料の単一層または多重層中に部材を埋設させる命令が:
融合剤を含む構築材料および/または融合剤を含む構築材料に隣接する構築材料上へと融合改質剤を配給する命令を含む、請求項1または2の媒体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかのプロセッサ可読媒体を含む、付加製造装置コントローラ。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかのプロセッサ可読媒体を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項6】
付加製造装置であって:
未融合の粉末状の構築材料を積層する第一のデバイス;
構築材料上に融合剤を配給する第二のデバイス;
構築材料に光エネルギーを適用する光源;
部材を配置する第三のデバイス;および
コントローラであって:
第一のデバイスに未溶融の粉末状の構築材料を積層させ;
第二のデバイスに、積層された構築材料上に融合剤を配給させ;
光源に、融合剤が配給された個所で構築材料に光エネルギーを適用させて、各々の層において構築材料を融合および固化させ;
第三のデバイスに、融合した構築材料の層上に個別の部材を配置させ;
第一のデバイスに未溶融の粉末状の構築材料をさらに積層させて部材を構築材料で取り囲み;
第二のデバイスに、部材を取り囲む構築材料上に融合剤をさらに配給させ;および
光源に、部材を取り囲む構築材料に光エネルギーを適用させる命令を実行させるコントローラ
を含み、
融合剤は光吸収を増大させて構築材料を融合させるために十分な熱を発生する、付加製造装置。
【請求項7】
構築材料上に融合改質剤を配給する第四のデバイスを含み、融合剤を含む構築材料および/または融合剤を含む構築材料に隣接する構築材料上へと、第四のデバイスが融合改質剤を配給するように、コントローラが命令を実行する、請求項6の装置。
【請求項8】
構築材料の単一層または多重層中に個別の部材を部分的にまたは完全に埋設させる付加製造プロセスであって:
未融合の粉末状の構築材料の第一の層を形成し;
第一の層に融合剤を配給し;
融合剤が配給された個所で構築材料に光エネルギーを適用させることにより第一の層にある構築材料を融合および固化させ;
未溶融の粉末状の構築材料の第二の層を第一の層上に形成し;
第二の層に融合剤を配給し;
第二の層を形成する前に、第一の層にある融合した構築材料上に部材を配置し;
部材を第二の層にある粉末状の構築材料で取り囲み;および
融合剤が配給された個所で構築材料に光エネルギーを適用させることにより部材を囲む第二の層中の構築材料を融合および固化させることを含み、
融合剤は光吸収を増大させて構築材料を融合させるために十分な熱を発生する、付加製造プロセス。
【請求項9】
融合した構築材料中に部材を埋設する前に部材を加熱することを含む、請求項8のプロセス。
【請求項10】
形成、配給、融合および埋設が、部材を未融合の粉末状の構築材料の層で覆い、この層に融合剤を配給し、融合剤が配給された個所で構築材料に光エネルギーを適用させることによりこの層にある構築材料を融合および固化させて部材を覆うことを含む、請求項8または9のプロセス。
【請求項11】
未融合の構築材料の第二の層の形成が、多数の層を次々に重ねて連続して形成することを含み;
部材を第二の層にある粉末状の構築材料で取り囲むことが、部材を多数の層で覆うことを含み;および
第二の層中の構築材料を融合および固化させることが、部材を覆う多数の層の各々において構築材料を順次融合および固化させることを含む、請求項9のプロセス。
【請求項12】
融合剤を含む構築材料および/または融合剤を含む構築材料に隣接する構築材料上へと融合改質剤を配給することを含む、請求項8から11のいずれかのプロセス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
付加製造装置は3D(3次元)物体を、材料の層を積み重ねることによって製造する。幾つかの付加製造装置は一般に、「3Dプリンター」と呼ばれているが、これはそれらが多くの場合、インクジェットまたは他の印刷テクノロジーを使用して、製造材料のいくらかを適用するからである。3Dプリンターおよびその他の付加製造装置は、CAD(コンピューター支援設計)モデルまたは物体(オブジェクト)の他のデジタル表現を、物理的な物体へと直接に変換することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1A】複合物体を付加製造する一つの例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図2A】複合物体を付加製造する一つの例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図3A】複合物体を付加製造する一つの例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図4A】複合物体を付加製造する一つの例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図5A】複合物体を付加製造する一つの例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図6A】複合物体を付加製造する一つの例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図7A】複合物体を付加製造する一つの例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図8A】複合物体を付加製造する一つの例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図9A】複合物体を付加製造する一つの例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図10A】複合物体を付加製造する一つの例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図11A】複合物体を付加製造する一つの例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図12A】複合物体を付加製造する一つの例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図1B】複合物体を付加製造する一つの例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図2B】複合物体を付加製造する一つの例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図3B】複合物体を付加製造する一つの例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図4B】複合物体を付加製造する一つの例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図5B】複合物体を付加製造する一つの例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図6B】複合物体を付加製造する一つの例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図7B】複合物体を付加製造する一つの例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図8B】複合物体を付加製造する一つの例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図9B】複合物体を付加製造する一つの例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図10B】複合物体を付加製造する一つの例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図11B】複合物体を付加製造する一つの例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図12B】複合物体を付加製造する一つの例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
【0003】
図13】付加製造プロセスの例を説明する流れ図である。
図14】付加製造プロセスの例を説明する流れ図である。
【0004】
図15A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図16A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図17A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図18A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図19A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図20A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図21A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図22A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図23A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図24A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図25A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図26A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図27A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図28A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図29A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図30A】複合物体を付加製造する第二の例を示す断面図のシーケンスの中の一つを示す。
図15B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図16B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図17B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図18B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図19B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図20B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図21B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図22B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図23B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図24B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図25B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図26B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図27B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図28B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図29B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
図30B】複合物体を付加製造する第二の例を示す斜視図のシーケンスの中の一つを示す。
【0005】
図31A】付加製造プロセスの別の例を説明する流れ図である。
図31B】付加製造プロセスの別の例を説明する流れ図である。
【0006】
図32】付加製造装置で複合物体を形成するのを助ける命令を有するプロセッサ可読媒体の一例を示すブロック図である。
【0007】
図33図32に示すような媒体であるプロセッサ可読媒体を備えたコントローラを実施する付加製造装置の一例を示すブロック図である。
【0008】
図34図32に示すような媒体であるプロセッサ可読媒体を備えたCADコンピュータプログラム製品を実施する付加製造システムの一例を示すブロック図である。
【0009】
図面全体を通して、同じ部材番号は同一または類似の部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
付加製造装置のあるものは、3D物体を、粉末状の構築材料の層を融合させることによって作成する。付加製造装置は物体を、例えばCADコンピュータプログラム製品を用いて創造されたモデルのデータに基づいて作成する。このモデルのデータは処理されて薄切り状(スライス)とされ、スライスの各々は融合される構築材料の一層または多数の層の対応部分を画定する。以下に記載する付加製造の例は、ヒューレットパッカード社によって開発されたマルチジェットフュージョン(Multi Jet FusionTM(MJF))と呼ばれる技術を用いており、そこでは光吸収性のインクまたは他の適切な融合剤が構築材料の層上に所望のパターンで「印刷」され、次いで光に曝露されてパターン化構築材料が融合される。MJF融合剤は光吸収を増大させて、焼結、溶融またはその他によりパターン化構築材料を融合させるために十分な熱を発生し、直接的に(焼結の場合など)または冷却を通じて間接的に(溶融の場合など)固化を行う。
【0011】
MJFを用いた付加製造に一般的に使用されるポリマーは、幾つかの製造物体については所望とされる性質を達成するのに適さないことがある。そこで、個別の部材を一体化して「印刷された」物体とすることにより、MJFで製造してよい物体の範囲を拡大するための、新たなプロセスが開発された。得られる複合体は、例えば強度のためにセラミックを一体化したり、導電性のために金属を一体化するなど、所望の特性を達成するように特別に構成してよい。一つの例では、付加製造プロセスは、粉末状その他の未融合の構築材料の層を形成し、各々の層の構築材料を融合し、融合した構築材料に部材を埋設することを含んでいる。この部材は溶融した構築材料の一層またはより多くの層の中へと押し込み、後続の層で覆うようにしてよく、またはこの部材は固形の構築材料の層上に配置して、後続の層で覆うようにしてもよい。
【0012】
この新規なプロセスの例は、種類の異なる付加製造システムで実施してよいが、この新規なプロセスは特に、MJFに非常に適している。MJFは開放型の積層プロセスであって、構築材料が積層され融合されるに際し、所望とする時点および位置において個別の部材を挿入することに対して容易に適合できる。各層で新たに融合される構築材料は、追加的な加熱を行うことなしに、依然として溶融している構築材料へと個別の部材を押し込むのに十分長い間、溶融状態を維持してよい。個別部材を挿入する前に融合材料が固化する場合には、挿入に先立って短時間の加熱が追加的に行われて、融合材料が溶融状態とされる。
【0013】
複合体をMJFまたはその他の付加製造によって構築するためのプロセス命令を有するプロセッサ可読媒体は、例えば、付加製造装置のためのコントローラ、CADコンピュータプログラム製品、またはオブジェクトモデルプロセッサにおいて実施してよい。
【0014】
この文書で使用するところでは:「融合剤」は構築材料の融合を生じさせまたは補助する物質を意味し;「融合改質剤」は、例えば融合剤の効果を変性させることによって、構築材料の固化を阻止または防止する物質を意味し;そして「スライス」は多数のスライスからなる物体(オブジェクト)の一つまたはより多くのスライスを意味する。
【0015】
図1A図12Aおよび図1B図12Bに示された断面図または斜視図のシーケンス(連続)は、複合物体10を製造する一例を説明するものである。(複合体10は図12Aおよび図12Bに示されている。)図13は、図1A図12A図1B図12Bにおいて実施される付加製造プロセス100の一例を説明する流れ図である。図1A図12A図1B図12Bおよび図13を参照すると、構築材料14の第一の層12は図1A図1Bに示すようにして形成され(図13のブロック102)、そして融合剤16が図2A図2Bに示すように物体のスライスに対応するパターン20でもって、例えばインクジェットタイプのディスペンサー18を用いて構築材料14上に配給される(図13のブロック104)。硬質または軟質でよく、剛直または可撓性でよく、弾性または非弾性でよい、図12Aおよび図12Bに示された物体10を作成するために、どのような適切な構築材料14を使用してもよい。また、この例では粉末状の構築材料14は粒子22によって描かれているが、適切な非粉末状の構築材料もまた使用できる。
【0016】
図3A図3Bにおいては、融合剤でパターン化された層12の領域20は光源26からの光24に曝露されて構築材料が融合され、固化したならば、第一の物体スライス28が形成される(図13のブロック106)。構築材料14、融合剤16、および構築材料14に適用される光24の特性に応じ、例えば液状に溶融しまたは固体状に焼結されることによって、構築材料は融合されてよい。構築材料が溶融される場合は、冷却によって固化が生ずる。
【0017】
図4A図6Aおよび図4B図6Bにおいては、構築材料14の第二の層30が第一の層12の上に形成され(図13のブロック108)、融合剤16が第二の物体スライスに対応するパターン32で配給され(図13のブロック110)、そしてこのパターン化構築材料が光24に曝露されて(図13のブロック112)構築材料が融合され、また固化することにより、第二の物体スライス34が形成される。次いで、図7A図8Aおよび図7B図8Bに示されるように、個別の部材36が融合した構築材料34中へと押し込まれる(図13のブロック114)。幾つかの実施形態においては、損傷を生ずるような何らかの熱的衝撃を回避し、また部材が完全に挿入されるまで構築材料を軟らかく保つのを助けるために、構築材料との接触に先立って部材36を加熱することが望ましいであろう。部材36にとって望ましい温度は具体的な実施形態に応じて変動してよいが、通常は、融合した構築材料の融点の±5℃以内の温度に部材36を加熱するのが十分であると予想される。
【0018】
パターン化構築材料の固化が溶融およびその後の冷却を通じて生ずる一つの例においては、部材36は構築材料がまだ溶融状態の間に、融合した構築材料34中へと押し込んでよい。パターン化構築材料の固化が溶融なしに生ずるか(焼結の場合のように)、または溶融した構築材料が部材36の挿入前に冷却され固化される別の例においては、固体状の構築材料を加熱して溶融させ、そして溶融した構築材料に部材36を押し込んでよい。別の例においては、他は固体状であっても挿入中に周囲の構築材料を溶融するのに十分なだけ部材が熱ければ、部材36を固体状の構築材料中へと押し込むことも可能であろう。
【0019】
図9A図11Aおよび図9B図11Bでは、構築材料14の第三の層38が、部材36を覆って第二の層30の上に形成され(図13のブロック116)、融合剤16が第三の物体スライスに対応するパターン40で適用され(図13のブロック118)、そしてパターン化構築材料が光24に曝露されて(図13のブロック120)構築材料が融合され、そして固化したならば、第三の物体スライス42が形成される。図11Aでは個別のスライス28、34、および42が示されているが、隣接しているスライスは実際には、融合および固化に際して一緒に結合して単一の部材となる。結合したスライス28、34、および42は、埋設された部材36と共に、場合によっては「ケーキ出し(uncaking)」と称されるプロセスにおいて、図12Aおよび図12Bに示す完成した複合体10として構築材料から分離される(図13のブロック122)。埋設された単一の部材36を備えた単純な三層スライスの物体10を示したが、より複雑な多重スライスの物体をより多くの様々な部材36を備えて形成するために、同じプロセスを使用してよい。
【0020】
図示の例においては、部材36は構築材料に完全に埋設されている。他の例では、部材36のいくらかまたは全部を露出したままにすることが望ましくありうる。また図示の例においては、部材36は層30およびスライス34とほぼ同じ厚みである。他の例においては、部材36は未融合の構築材料および/または物体スライスの層よりも厚く、または薄くてよい。図1A図12A図1B図12B、および図13において説明したプロセスのような、MJF付加製造プロセスにおいては、部材(単数または複数)36による構築材料の望ましくない押しのけは、押しのけられた構築材料を構築材料の後続の層(単数または複数)で覆い、押しのけられた材料を後続のスライス(単数または複数)の中へと結合させることによって補正してよい。個別部材36の配置は、例えば在来のロボット工学を用いて自動化し、処理能力を増大させると共に再現性を改善するようにしてよい。MJF付加製造については、部材の配置のためのロボットの配向および整列は、融合剤を配給するためにプリントヘッドの配置を制御するのと同じシステム部品に連動させ、または同じシステム部品を使用するようにしてよい。
【0021】
図14は、複合物体10を製造するためのプロセス130の別の例を説明する流れ図である。図14を参照すると、例えば図1A図1B図4A図4B図9A、および図9Bを参照して上記に説明したようにして、未融合の構築材料の多数の層がブロック132において形成される。各々の層にある構築材料は、例えば図2A図3A図2B図3B図5A図6A図5B図6B図10A図11A、および図10B図11Bを参照して上記に説明したようにして、ブロック134で融合される。ブロック136においては、例えば図7A図8Aおよび図7B図8Bを参照して上記に説明したようにして、部材が融合した構築材料中に埋設される。
【0022】
図15A図30Aおよび図15B図30Bに示した断面図および斜視図のシーケンスは、複合物体10(図30Aおよび図30Bに示す)を製造するための第二の例を説明する。図31Aおよび図31Bは、図1A図12A図1B図12Bにおいて実施される付加製造プロセス140の一例を説明する流れ図である。図15A図30A図15B図30B、および図31A図31Bを参照すると、構築材料14の第一の層12が、図15A図15Bに示すように形成される(図31Aのブロック142)。幾つかの実施形態においては、融合および固化の間に各々の層を平坦に保持するのを助けるように、第一の層12または最初の数層にある構築材料14を予熱するのが望ましいであろう。図16Aに示すように個別の層の構築材料14を予熱してよく(図31Aのブロック144)、あるいは積層の前に、供給リザーバにある構築材料14を予熱してもよい。図7A図8Aおよび図7B図8Bに関して上記に説明したように、部材36を埋設するため、固体状の構築材料を加熱または再加熱すべくヒーター44を用いてもよい。
【0023】
図17A図17Bにおいては、例えばインクジェットタイプのディスペンサー18を用いて、物体スライスに対応するパターン20でもって、融合剤16が構築材料14上へと配給される(図31Aのブロック146)。図18A図18Bにおいては、例えばインクジェットタイプのディスペンサー50を用いて、融合剤16のパターン20を取り囲む領域48を覆って、融合改質剤46が層12中の構築材料14上へと配給される(図31Aのブロック148)。
【0024】
融合剤は、所望とするパターンの外側にある構築材料中へと浸みだして、構築材料の望ましくない融合を生じうる。また、パターン化構築材料中で発生する熱は、場合によっては、周囲にあるパターン化されていない構築材料に伝播して融合を生じさせうる。構築材料の望ましくない融合は、製造される物体の全体的な寸法正確性や外観を劣化させうる。従って、構築材料の望ましくない融合を制御するために、融合剤の効果を阻止しまたは中和する改質剤を使用してよい。融合改質剤46は構築材料層14の他の領域上に配給して、物体スライスの他の特性を規定するのを補助してよいが、これには融合剤のパターンに散布して、スライスの材料特性を変化させることが含まれる。図示されたのは二つの個別のインクジェットタイプのディスペンサー18、50であるが、剤16および46は、例えば単一のインクジェットプリントヘッドアセンブリにある異なるプリントヘッド(またはプリントヘッドの群)を用いて、単一のデバイスに一体化された複数のディスペンサーから配給することができる。
【0025】
図19A図19Bにおいては、融合剤でパターン付けされた層12の領域20が光24に曝露されて構築材料が融合され、そして固化することにより、第一の物体スライス28が形成される(図31Aのブロック150)。図20A図20Bおよび図21A図21Bに示すように、個別の部材36が第一のスライス28上に配置される(図31Aのブロック152)。図22A図22Bでは、構築材料14の第二の層30が、部材36を取り囲んでいる第一の層12の上に形成される(図31Aのブロック154)。この例においては、部材36は層30よりも厚く、したがって層30にある未融合の構築材料の上方に突出する。部材36は層30と同じ厚みでもよく、または層30より薄くてもよい。層30よりも薄い部材については、部材36を覆うための第三の層/スライスは不要または不所望でありうる。幾つかの実施形態においては、スライス28上に配置するのに先立って部材36を加熱して、スライス28または部材36を囲んで形成された構築材料14に対する損傷的な熱的衝撃を回避するのが望ましいであろう。上に記載したように、部材36に望ましい温度は具体的な実施形態に応じて変化してよいが、通常は、融合した構築材料の融点の±5℃以内の温度に部材36を加熱するのが十分であると予想される。
【0026】
図23A図23Bにおいては、融合剤16が層30上に、部材36の二つの側に沿ったストリップ状で、第二の物体スライス34に対応するパターン32において配給される(図31Aのブロック156)。図24A図24Bでは、融合改質剤46が、融合剤16のパターン32を囲む領域52を覆って、層30にある構築材料14上へと配給される(図31Aのブロック158)。融合剤でパターン付けされた構築材料は、図25A図25Bに示すように光24に曝露されて(図31Aのブロック160)構築材料が融合され、そして固化されることにより、第二の物体スライス34を形成する。
【0027】
図26A図27A図26B図27Bにおいては、構築材料14の第三の層38が第二の層30上に形成されて部材36を覆い(図31Bのブロック162)、融合剤16が、第三の物体スライスに対応するパターン40で適用される(図31Bのブロック164)。図28A図28Bでは、融合改質剤46が層38にある構築材料14上へと配給されて、融合剤16のパターン40を囲む領域53を覆う(図31Bのブロック166)。融合剤でパターン化された構築材料は、図29A図29Bに示すように光24に曝露されて(図31Bのブロック168)構築材料が融合され、そして固化されることにより、第三の物体スライス42を形成する。こうして結合されたスライス28、34、および42は埋設された部材36と共に、図30A図30Bに示す完成した複合体10として、構築材料からケーキ出しされる(図31Bのブロック170)。この例では、部材36は物体10の両端面で露出されており、例えば導電性部材36が外部回路に接続されるようになっている。
【0028】
図32は、図12A図12Bおよび図30A図30Bに示す物体10のような複合物体を製造するのを助ける命令56を備えた、プロセッサ可読媒体54を示すブロック図である。プロセッサ可読媒体54は何らかの非一時的有形媒体であり、プロセッサによって使用される命令を具体化し、収容し、格納し、または維持することができる。プロセッサ可読媒体は、例えば、電子的、磁気的、光学的、電磁的、または半導体媒体などを含んでいる。適切なプロセッサ可読媒体のより特定的な例には、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、メモリカードおよびメモリスティック、ならびに他の可搬性記憶装置などが含まれる。
【0029】
1つの例では、複合体用命令56は、溶融した構築材料の単一層または多重層に、個別部材を部分的または完全に埋設するための命令を含んでいる。別の例では、複合体用命令56は、未融合の構築材料の層を形成させ、各々の層にある構築材料を融合させ、融合した構築材料に部材を埋設させる命令を含んでいる。複合体用命令56は、図13図14および図31A図31B(および図1A図12A図1B図12Bおよび図15A図30A図15B図30Bに示す製造シーケンス)を参照して上記に説明した、例示的な付加製造プロセスを具体化する命令を含んでよい。命令56を備えたプロセッサ可読媒体54は、例えば、CADコンピュータプログラム製品、オブジェクトモデルプロセッサ、または付加製造装置のためのコントローラにおいて具体化してよい。複合物体を製造するための制御データは、例えば、通常はCADコンピュータプログラム製品であるソースアプリケーション上のプロセッサ読み取り可能な命令によって、オブジェクトモデルプロセッサ中において、または付加製造装置上のプロセッサ読み取り可能な命令によって、発生させることができる。
【0030】
図33は、複合体用命令56をプロセッサ可読媒体54上に備えたコントローラ60を実施している、付加製造装置58の一例を説明するブロック図である。図33を参照すると、装置58は、コントローラ60、製造用床またはその他の適切な支持体62、構築材料積層デバイス64、融合剤ディスペンサー18、融合改質剤ディスペンサー50、ヒーター44、および光源26を含んでいる。装置58はまた、例えば図7A図8A図7B図8Bおよび図21A図22A図21B図22Bを参照して上に記載したような部材36を配置するために、ロボット装置その他の適切なシステム66を含む。
【0031】
プロセス中の物体構造体は、製造の間支持体62上に支持される。また装置58によっては、支持体62は可動であって、例えば構築材料の層が製造時に付加されるに際しての、プロセス中の構造体の厚みの変動を補償するようにされる。構築材料積層デバイス64は構築材料を支持体62に、そしてまた下側にあるプロセス中の構造体上に積層するものであり、例えば、構築材料を配給するためにデバイスと、各々の層について望ましい厚みへと構築材料を均一に分配するためのブレードまたはローラーを含んでよい。ディスペンサー18および50はそれぞれの剤を選択的に、例えば図13および図31A図31Bを参照して上述したようにして、コントローラ60の指示に応じて配給する。適切などのようなディスペンサー18および50を使用してもよいが、付加製造装置においてはインクジェットプリントヘッドがしばしば使用される。これは、それらが剤を配給することのできる精確さと、異なる種類および配合の剤を配給できる融通性とによるものである。光源26は、コントローラ60の指示に応じて光エネルギーを選択的に適用して、融合剤で処理された構築材料が融合するのを助ける。
【0032】
コントローラ60は、プロセッサ(またはマルチプロセッサ)、関連するメモリ(または多重メモリ)および命令、ならびに装置58の作動要素を制御するのに必要な電子回路および部品を表している。特に、コントローラ60は、複合体用命令56を備えたプロセッサ可読媒体54を有するメモリ68と、命令56を読み取り実行するためのプロセッサ70とを含んでいる。コントローラ60は例えば、埋設部材を含む物体を作成するための制御データおよび他の命令をCADプログラムから受け取り、物体を作成するプロセスの一部として、ローカルな複合体用命令56を実行する。
【0033】
代替的に、複合体用命令56はコントローラ60とは別に、例えば図34に示すCADコンピュータプログラム製品の一部として、プロセッサ可読媒体54において具体化してよい。図34を参照すると、付加製造システム72は、プロセッサ可読媒体54上に存在している複合体用命令56を備えたCADコンピュータプログラム製品74と関連動作するよう接続された付加製造装置58を含んでいる。装置58へと命令および制御データを通信するため、装置58とCADプログラム製品74の間では適切などのような接続を使用してもよいが、それには例えば、有線リンク、無線リンク、およびフラッシュデバイスまたはコンパクトディスクのような可搬性接続が含まれる。
【0034】
上述したように、光源26は光エネルギーを構築材料に適用して、融合剤が分配されまたは貫通された個所に従って、構築材料の部分を融合させる。幾つかの例においては、光源26は赤外(IR)または近赤外光源、あるいはハロゲン光源である。光源26は単独光源または多数の光源のアレイであってよい。幾つかの例においては、光源26は構築材料の層の全表面に対して光エネルギーを実質的に均一な仕方で同時に適用するように構成される。他の例においては、光源26は構築材料の層の全表面の選択された領域にのみ光エネルギーを適用するように構成される。
【0035】
構築材料、融合剤、改質剤、および光エネルギーはの組み合わせは、(1)融合剤を含まない構築材料はエネルギーが適用された場合に融合せず、(2)融合剤のみを含む構築材料はエネルギーが適用された場合に融合し、または(3)融合剤と改質剤の両方を含む構築材料は、エネルギーが適用された場合またはエネルギーの適用なしで、修正された度合いの融合を行うように、物体スライスについて選択されてよい。
【0036】
構築材料は、粉末、液体、ペースト、またはゲルであってよい。適切な構築材料の例には、5℃より大きな処理ウインドウ(すなわち融点と再結晶化温度の間の温度範囲)を持つ半結晶性熱可塑性プラスチックが含まれる。適切な構成材料の幾つかの具体例には、ナイロン12のようなポリアミドが含まれる。構築材料は、同程度の大きさの粒子または大きさの異なる粒子の、単一の材料又は多数の材料を含んでよい。構築材料はまた、摩擦帯電を抑制するための帯電防止剤および/または流動性を改善するための流動助剤を含んでよい。
【0037】
適切な融合剤には、活性の放射線吸収結合剤を備えた、水系の分散物が含まれる。この活性剤は例えば、赤外線吸収剤、近赤外線吸収剤、または可視光吸収剤であってよい。一つの例において、融合剤は、活性剤としてカーボンブラックを含むインクタイプの配合物であってよい。このインクタイプの配合物の一例は、CM997Aとして商業的に知られており、ヒューレットパッカード社から入手可能である。活性剤として可視光エンハンサーを含むインクの例は、染料系のカラーインクおよび顔料系のカラーインクである。顔料系のインクの例には、ヒューレットパッカード社から入手可能な市販のインクであるCM993AおよびCE042Aが含まれる。幾つかの融合剤は水系の性質を有することにより、融合剤が構築材料の層に貫通することを可能にする。疎水性の構築材料については、融合剤中における共溶媒および/または界面活性剤の存在が、所望の濡れ性を得るのを支援するであろう。各々のスライスを形成するについて、一つまたはより多くの融合剤を配給してよい。
【0038】
適切な融合改質剤は、構築材料の個々の粒子を分離して、それらの粒子がスライスの一部として一緒に結合して固化するのを防止するようにしてよい。この種の融合改質剤の例には、コロイド状、染料系、およびポリマー系のインク、ならびに構築材料の平均粒径よりも小さな平均粒径を有する固体粒子が含まれる。融合改質剤の分子量およびその表面張力は、その剤が構築材料中へと十分に貫通して所望とする機械的分離を達成することができるようなものでなければならない。一つの例においては、融合改質剤として塩の溶液を使用してよい。他の例においては、ヒューレットパッカード社から入手可能でCM996AおよびCN673Aとして商業的に知られているインクを、融合改質剤として用いてよい。
【0039】
適切な融合改質剤は、加熱の間に構築材料がその融点を超える温度に達するのを防止することによって、融合剤の効果を修正するように作用してよい。この種の融合改質剤としては、適切な冷却作用を示す液体を使用してよい。例えば、構築材料が冷却液体で処理された場合、構築材料に対して適用されるエネルギーは吸収されて液体を蒸発させてよく、構築材料がその融点に到達するのが防止される。従って例えば、水分含有量の高い液体は、適切な融合改質剤でありうる。
【0040】
他の種類の融合改質剤を使用してもよい。融合の度合いを増大させうる融合改質剤の例には、例えば可塑剤が含まれてよい。融合の度合いを増大させうる融合改質剤の別の例は、構築材料の粒子の濡れ性を増大させるための、表面張力変性剤を含んでよい。
【0041】
一つの例においては、改質剤は、無機塩、界面活性剤、共溶媒、湿潤剤、殺生物剤、および水を含む。幾つかの例では、改質剤はこれらの成分からなり、他に成分は含まない。成分のこの特定の組み合わせは、部分的には無機塩の存在によって、融合剤の浸みだしを有効に低減または阻止することが見出されている。改質剤に使用される無機塩は、比較的高い熱容量を有するが、しかし比較的低い熱放射率を有する。これらの特性は、改質剤がそれに適用された放射線(およびそれに伴う熱エネルギー)を吸収することが可能で、また熱エネルギーの大半を内部に保持することが可能であるようにする。こうして、改質剤から構築材料へは、あったとしても非常に僅かな熱エネルギーしか伝達されない。
【0042】
加えて、無機塩はまた、構築材料の熱伝導率および/または融点、そして場合によっては融合剤中の活性材料のそれらよりも低い熱伝導率および/または高い融点を有してよい。放射線および熱エネルギーの吸収に際して、無機塩は溶融せず、そしてまた周囲の構築材料に対して十分な量の熱を伝達しない。従って改質剤は、構築材料が融合剤および改質剤の両方と接触している場合には、構築材料の硬化を効果的に低減させることができ、また構築材料が改質剤のみと接触している場合には、硬化を阻止する。
【0043】
特許請求の範囲に用いられた単数形は、一つまたはより多くを意味する。
【0044】
図面に示され上記に記載された例は、本発明の主題の範囲を例示するものではあるが限定するものではなく、それは以下の特許請求の範囲に規定されている。
【0045】
以下においては、本発明の種々の構成要件の組み合わせからなる例示的な実施形態を示す。
1.実行されると付加製造装置に、溶融した構築材料の単一層または多重層中に部材を部分的にまたは完全に埋設させる命令を有する、有形の非一時的なプロセッサ可読媒体。
2.上記1のプロセッサ可読媒体を含む、付加製造装置コントローラ。
3.上記1のプロセッサ可読媒体を含む、コンピュータプログラム製品。
4.溶融した構築材料の単一層または多重層中に部材を埋設させる命令が:
粉末状の構築材料の第一の層を形成し;
第一の層にある構築材料を固化して第一のスライスを形成し;
第一のスライスの幾らかまたは全部を溶融し;および
部材を第一のスライスの溶融部分に押し込む
命令を含む、上記1の媒体。
5.溶融した構築材料の単一層または多重層中に部材を埋設させる命令が:
部材を覆う第一のスライス上に第二の構築材料の層を形成し;および
第二の層にある構築材料を固化して、部材を覆う第二のスライスを形成する
命令を含む、上記4の媒体。
6.溶融した構築材料の単一層または多重層中に部材を埋設させる命令が:
粉末状の構築材料の第一の層を形成し;
第一の層にある構築材料を固化して第一のスライスを形成し;
第一のスライス上に部材を配置し;
部材を取り囲む、粉末状の構築材料の第二の層を形成し;および
第二の層にある構築材料を固化して、部材を取り囲む第二のスライスを形成する
命令を含む、上記1の媒体。
7.溶融した構築材料の単一層または多重層中に部材を埋設させる命令が:
部材を取り囲む第二のスライス上に構築材料の第三の層を形成し;および
第三の層にある構築材料を固化して、部材を覆う第三のスライスを形成する
命令を含む、上記6の媒体。
8.粉末状の構築材料を積層する第一のデバイス;
構築材料上に融合剤を配給する第二のデバイス;
構築材料に光エネルギーを適用する光源;
部材を配置する第三のデバイス;および
コントローラであって:
第一のデバイスに粉末状の構築材料を積層させ;
第二のデバイスに、積層された構築材料上に融合剤を配給させ;
光源に、融合剤が配給された個所で構築材料に光エネルギーを適用させて、各々の層において構築材料を融合させ;および
第三のデバイスに、融合した構築材料の層内または層上に部材を配置させる
命令を実行させるコントローラ
を含む、付加製造装置。
9.構築材料上に融合改質剤を配給する第四のデバイスを含み、融合剤を含む構築材料および/または融合剤を含む構築材料に隣接する構築材料上へと、第三のデバイスが融合改質剤を配給するように、コントローラが命令を実行する、上記8の装置。
10.未融合の構築材料の層を形成し;
各々の層にある構築材料を融合させ;および
融合した構築材料中に部材を埋設することを含む、付加製造プロセス。
11.融合した構築材料中に部材を埋設する前に部材を加熱することを含む、上記10のプロセス。
12.埋設が、溶融した構築材料中に部材を押し込むことを含む、上記10のプロセス。
13.融合および埋設が:
構築材料を固化し;
固化した構築材料を溶融し;そして次いで
部材を溶融した構築材料に押し込むことを含む、請求項12のプロセス。
14.形成、融合、および埋設が、部材を未融合の構築材料で覆い、部材を覆っている構築材料を融合させることを含む、上記10のプロセス。
15.形成、融合、および埋設が、部材を未融合の構築材料で取り囲み、部材を囲んでいる構築材料を融合させることを含む、上記10のプロセス。
16.埋設が、融合した構築材料中に部材を完全に埋設することを含む、上記10のプロセス。
17.形成、融合、および埋設が:
粉末状の構築材料の第一の層を形成し;
第一の層にある構築材料を融合させ;
第一の層上に粉末状の構築材料の第二の層を形成し;
第二の層にある構築材料を融合させ;
第二の層を形成する前に、第一の層にある融合した構築材料へと部材を押し込み;
部材を第二の層にある粉末状の構築材料で覆い;および
部材を覆う第二の層中の構築材料を融合させることを含む、上記10のプロセス。
18.形成、融合、および埋設が:
粉末状の構築材料の第一の層を形成し;
第一の層にある構築材料を融合させ;
第一の層上に粉末状の構築材料の第二の層を形成し;
第二の層にある構築材料を融合させ;
第二の層を形成する前に、第一の層にある融合した構築材料上に部材を配置し;
部材を第二の層にある粉末状の構築材料で取り囲み;および
部材を囲む第二の層中の構築材料を融合させることを含む、上記10のプロセス。
19.構築材料の第二の層の形成が、多数の層を次々に重ねて連続して形成することを含み;
部材を第二の層にある粉末状の構築材料で取り囲むことが、部材を多数の層で覆うことを含み;および
第二の層中の構築材料を融合させることが、部材を覆う多数の層の各々において構築材料を順次融合させることを含む、上記18のプロセス。
図1A
図2A
図3A
図4A
図5A
図6A
図7A
図8A
図9A
図10A
図11A
図12A
図1B
図2B
図3B
図4B
図5B
図6B
図7B
図8B
図9B
図10B
図11B
図12B
図13
図14
図15A
図16A
図17A
図18A
図19A
図20A
図21A
図22A
図23A
図24A
図25A
図26A
図27A
図28A
図29A
図30A
図15B
図16B
図17B
図18B
図19B
図20B
図21B
図22B
図23B
図24B
図25B
図26B
図27B
図28B
図29B
図30B
図31A
図31B
図32
図33
図34