(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記過去積算線量分布取得手段によって、前記過去の積算線量分布として、過去の複数の積算線量分布が取得された場合に、前記過去の複数の積算線量分布を位置合せして人体モデルの体表位置ごとに加算することで、過去の加算線量分布を算出する過去加算線量分布算出手段をさらに有し、
前記逐次積算線量分布算出手段は、前記放射線照射手技の実行中に前記加算線量分布に更新された前記第1積算線量分布を積算することで、更新された前記第2積算線量分布を逐次更新する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の放射線照射装置。
前記逐次積算線量分布算出手段は、更新された前記第1積算線量分布及び更新された前記第2積算線量分布を前記表示部に表示させる場合に、更新された前記第1積算線量分布及び更新された前記第2積算線量分布を、前記表示部に並べて表示させる、
請求項1又は2に記載の放射線照射装置。
前記逐次積算線量分布算出手段は、更新された前記第1積算線量分布及び更新された前記第2積算線量分布を前記表示部に表示させる場合に、更新された前記第1積算線量分布の表示と、更新された前記第2積算線量分布の表示とを切り替えるように前記表示部に表示させる、
請求項1又は2に記載の放射線照射装置。
前記逐次積算線量分布算出手段は、更新された前記第1積算線量分布及び更新された前記第2積算線量分布を前記表示部に表示させる場合に、更新された前記第1積算線量分布及び更新された前記第2積算線量分布の一方を拡大して前記表示部に表示させ、他方を縮小して前記表示部に表示させる、
請求項1又は2に記載の放射線照射装置。
前記逐次積算線量分布算出手段は、更新された前記第1積算線量分布及び更新された前記第2積算線量分布を前記表示部に表示させる場合に、更新された前記第1積算線量分布及び更新された前記第2積算線量分布の一方の全部を前記表示部に逐次表示させ、他方の一部を前記表示部に逐次表示させる、
請求項1又は2に記載の放射線照射装置。
前記逐次積算線量分布算出手段は、更新された前記第1積算線量分布及び更新された前記第2積算線量分布を前記表示部に表示させる場合に、更新された前記第1積算線量分布及び更新された前記第2積算線量分布の一方を前記表示部に陰影にて逐次表示させ、他方の積算線量の最大値を前記表示部に数値にて逐次表示させる、
請求項1又は2に記載の放射線照射装置。
前記逐次積算線量分布算出手段は、更新された前記第1積算線量分布及び更新された前記第2積算線量分布を前記表示部に表示させる場合に、更新された前記第1積算線量分布及び更新された前記第2積算線量分布を、前記表示部に異なる表示パターンで重畳的に逐次表示させる、
請求項1又は2に記載の放射線照射装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態に係る放射線照射装置及び線量管理システムについて、添付図面を参照して説明する。
【0012】
(放射線照射装置)
図1は、本実施形態に係る放射線照射装置の構成を示す概略図である。
【0013】
図1は、本実施形態に係る放射線照射装置10を示す。放射線照射装置10としては、例えば、X線診断装置(アンギオ装置及びX線透視撮影装置等)及びX線CT(computed tomography)装置等の放射線診断装置(放射線検査装置)や、ガンマナイフ等の放射線治療装置が挙げられる。
【0014】
放射線照射装置10は、一般的なコンピュータとしての構成を有する。放射線照射装置10は、大きくは、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部14、及び通信部15等の基本的なハードウェアと、放射線照射部16及び積算線量分布DB(database)17とから構成される。制御部11は、共通信号伝送路としてのバスを介して、放射線照射装置10をそれぞれ構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。
【0015】
制御部11は、CPU(central processing unit)、RAM(random access memory)等を備えて構成される。制御部11は、記憶部12に格納されている各種制御プログラムを読み出して各種演算を行なうと共に、各部12乃至17における処理動作を統括的に制御する。
【0016】
記憶部12は、メモリやHDD(hard disc drive)等によって構成される。記憶部12は、制御部11において用いられる制御プログラムの実行に必要なデータや、各種データを記憶する。
【0017】
操作部13は、キーボードやマウス等によって構成される。操作者により操作部13が操作されると、操作部13はその操作に応じた操作信号を生成して制御部11に出力する。なお、表示部14におけるディスプレイと一体に構成したタッチパネルを備えてもよい。
【0018】
表示部14は、LCD(liquid crystal display)等の表示手段によって構成される。表示部14は、制御部11からの指示に応じてこの表示手段上に、各種操作画面を表示させる。
【0019】
通信部15は、パラレル接続仕様やシリアル接続仕様に合わせたコネクタによって構成される。通信部15は、ネットワーク上の外部装置と情報の送受信を行なう。
【0020】
放射線照射部16は、放射線を照射するための構造体(図示しない)等によって構成される。放射線照射部16は、制御部11による制御の下、患者に放射線を照射する装置である。ここで、放射線照射装置10がX線診断装置である場合、放射線照射部16は、高電圧発生部、X線源(X線管)、X線検出器、Cアーム、及び寝台等の一般的な構造体を含む。放射線照射装置10がX線CT装置である場合、放射線照射部16は、高電圧発生部、X線源、X線検出器、回転部、及び寝台等の一般的な構造体を含む。放射線照射装置10が放射線治療装置である場合、放射線照射部16は、高電圧発生部、放射線源、回転部、及び寝台等の一般的な構造体を含む。
【0021】
図2は、放射線照射装置10がX線診断装置である場合における、放射線照射部16の一部の構成例を示す図である。
【0022】
図2は、放射線照射部16の一部と表示部14とを示す。放射線照射部16は、X線管31、X線検出器32、Cアーム33、及び天板34を備える。
【0023】
X線管31は、図示しない高電圧発生器からの高電圧(管電圧)の印加によりX線を発生する。X線管31は、Cアーム33の一端に取り付けられ、Cアーム33の他端には、X線管31に対向して、X線検出器32が取り付けられる。なお、放射線照射部16がCアーム33を備え、Cアーム33がX線管31及びX線検出器32を一体として動作させる構成を例にとって説明するが、その場合に限定されるものではない。例えば、放射線照射部16がCアーム33を備えずに、X線管31及びX線検出器32をそれぞれ独立して動作させる構成であってもよい。
【0024】
X線検出器32は、入射X線を直接的又は間接的に電荷に変換する複数の検出素子(画素)が2次元状に配列されてなる平面検出器(flat panel detector)によって構成される。しかしながら、X線検出器32は、I.I.(image intensifier)及びTVカメラによって構成されてもよい。X線照射を伴う撮影の際には、X線管31とX線検出器32との間に、天板34上に載置された状態で被検体(患者)Pが配置される。
【0025】
Cアーム33は、患者Pに対するX線照射角度を自由に変更すべく、互いに直交するXYZ方向の各々に関して所定の制限の下で回転可能なように、天井ベース35から懸垂アーム36を介して支持される。なお、X線管31のX線焦点からX線検出器32の検出面中心を通る直線を撮影軸と称し、典型的には、撮影角度とはXYZ方向に対する撮影軸の交差角として定義され、慣習的には、第1斜位(RAO)、第2斜位(LAO)、第3斜位(LPO)、第4斜位(RPO)各々の角度として表現される。典型的には、Z方向は天板34の長手方向に一致するものとして定義される。
【0026】
図1の説明に戻って、積算線量分布DB17は、HDDやメモリによって構成される記憶部である。積算線量分布DB17は、患者を識別する患者識別情報(患者ID)と、過去の放射線照射手技(放射線照射を伴う検査(撮影)、治療、及び手術等)の実施時間情報とが付帯された3次元の積算線量(mGy)の分布を示す積算線量分布のデータを登録可能である。積算線量分布は、一般的には、放射線照射手技の単位で生成されるものである。
【0027】
図3は、積算線量分布のデータの一例を示す図である。
【0028】
図3に示すように、積算線量分布DB17(
図1に図示)には、3次元の人体モデル(模型)の体表位置ごとにモデル座標系の積算線量が対応付けられた複数の積算線量分布が登録可能である。また、各積算線量分布には、患者情報に含まれる患者識別情報及び実施時間情報が付帯される。
【0029】
なお、
図3では、積算線量分布として、人体モデルの体表位置に積算線量がマッピングされたものを登録する場合を示すが、人体モデルのデータと、体表位置ごとの積算線量とを別にもつものであってもよい。また、人体モデルの代わりに、過去に生成された患者全体を含むボリュームデータが用いられることもある。
【0030】
図4は、積算線量分布のデータの詳細を説明するための図である。
【0031】
図4に示すように、人体モデル座標系の積算線量分布は、人体モデルの体表位置(点)Q1〜Q6の各体表位置における積算線量に基づくものである。体表位置Q1〜Q6は、(X座標、Y座標、Z座標、積算線量(mGy))の情報を有する。ここで、X座標とは、患者の左右方向であり、Y座標とは患者の上下方向であり、Z座標とは、患者の体軸方向である。なお、各体表位置における積算線量は、人体モデルとは別に登録されてもよいし、合わせて登録されてもよい。なお、照射線量がない場合(体表位置Q1〜Q6)には、積算線量は0mGyとなる。
【0032】
図5は、本実施形態に係る放射線照射装置10の機能を示すブロック図である。
【0033】
本実施形態に係る放射線照射装置10を構成する制御部11がプログラムを実行することによって、放射線照射装置10は、操作支援手段111、条件設定手段112、過去積算線量分布取得手段113、過去加算線量分布算出手段114、放射線照射実行手段115、逐次積算線量分布算出手段116、及び積算線量分布登録手段117として機能する。なお、手段111〜117がソフトウェアとして機能するものとして説明するが、手段111〜117の全部又は一部は、ハードウェアとして放射線照射装置10に備えられるものであってもよい。
【0034】
操作支援手段111は、手段112〜117と、操作部13及び表示部14とを媒介するGUI(graphical user interface)等のインターフェースである。
【0035】
条件設定手段112は、操作支援手段111を介した操作部13の操作に基づいて、放射線照射手技の対象である患者に関する過去の積算線量分布を取得するための患者識別情報(患者ID)を設定する。加えて、条件設定手段112は、放射線照射手技の対象である患者に関する過去の全ての積算線量分布のうち、特定の期間内の積算線量分布のみを取得するための期間条件を設定してもよい。
【0036】
過去積算線量分布取得手段113は、積算線量分布DB17から、条件設定手段112によって設定された患者識別情報に対応する過去の積算線量分布を取得する(読み出す)。また、条件設定手段112によって期間条件が設定された場合、過去積算線量分布取得手段113は、積算線量分布DB17から、条件設定手段112によって設定された患者識別情報に対応し、かつ、期間条件の範囲内の実施時間情報に対応する積算線量分布を取得する。
【0037】
例えば、条件設定手段112によって患者識別情報「P1」が設定された場合、過去積算線量分布取得手段113は、
図3に示す複数の過去の積算線量分布から、患者識別情報「P1」に対応する3個の過去の積算線量分布を取得する。また、条件設定手段112によって患者識別情報「P1」が設定され、かつ、期間条件「2013/01/01〜現在」が設定された場合、過去積算線量分布取得手段113は、
図3に示す複数の過去の積算線量分布から、患者識別情報「P1」に対応し、かつ、期間条件「2013/01/01〜現在」の範囲内の2個の過去の積算線量分布を取得する。
【0038】
過去加算線量分布算出手段114は、過去積算線量分布取得手段113によって過去の複数の積算線量分布が取得された場合、過去の複数の積算線量分布を位置合せして人体モデルの体表位置ごとに加算(総和)することで、過去の複数の放射線照射手技に亘る加算線量分布のデータを算出する。
【0039】
つまり、過去加算線量分布算出手段114は、過去積算線量分布取得手段113によって過去の複数の積算線量分布が取得された場合、過去の複数の積算線量を体表位置ごとに加算することで、過去の複数の放射線照射手技に亘る加算線量分布のデータを算出する。なお、過去積算線量分布取得手段113によって過去の1の積算線量分布が取得された場合、過去加算線量分布算出手段114は不要である。
【0040】
図6は、加算線量分布のデータの一例を示す図である。
【0041】
図6は、加算線量分布を示す。加算線量分布は、過去の複数の積算線量分布が位置合せされて加算されたものである。例えば、
図6は、
図3に示す患者識別情報「P1」に対応する3個の積算線量分布が位置合せされて加算されたものである。
【0042】
図5の説明に戻って、過去加算線量分布算出手段114は、過去積算線量分布取得手段113によって取得された過去の複数の積算線量分布を位置合せして加算する際、複数の積算線量分布のそれぞれに係数(線形関数、指数関数、対数関数、またはそれらの組み合わせ等)を乗じて加算することで、重みづけ加算を行なってもよい。係数は、経過時間の短い過去の放射線照射を経過時間の長い過去の放射線照射より重要視するように設定される。また、係数は、治療のための放射線照射を行なう場合に、放射線照射された細胞の回復度合いを考慮に入れるように設定される。
【0043】
放射線照射実行手段115は、条件設定手段112によって設定された患者識別情報に対応する患者に対して、放射線照射手技を実行する。ここで、放射線照射装置10がX線診断装置やX線CT装置である場合、放射線照射実行手段115は放射線照射部16の動作を制御して、放射線照射を伴って患者の検査部位に関する画像を収集する。また、放射線照射装置10が放射線治療装置である場合、放射線照射実行手段115は放射線照射部16の動作を制御して、患者の治療部位に放射線を当てる。
【0044】
逐次積算線量分布算出手段116は、放射線照射実行手段115によって放射線照射手技の実行中に、現在までの照射線量を積算することで積算線量を逐次算出する。そして、逐次積算線量分布算出手段116は、積算線量を人体モデルの体表位置に関連付けた積算線量分布を逐次(リアルタイムで)算出する。
【0045】
実座標系における患者の体表位置が、モデル座標系における人体モデルの該当体表位置に座標変換されることで、実座標系の患者の体表位置に係る積算線量が人体モデルの該当体表位置の積算線量とされる。逐次積算線量分布算出手段116は、単一積算線量分布算出手段116a及び総計積算線量分布算出手段116bを有する。
【0046】
単一積算線量分布算出手段116aは、放射線照射手技の実行中に、実行中の放射線照射手技の開始から現在までの積算線量分布を単一積算量分布として逐次算出する。単一積算線量分布は、実行中の放射線照射手技の開始から現在までの積算線量が人体モデルの体表位置に関連付けられたものである。
【0047】
総計積算線量分布算出手段116bは、放射線照射手技の実行中に、過去加算線量分布算出手段114によって算出された過去の加算線量分布に、単一積算線量分布算出手段116aによって算出された単一積算線量分布を逐次積算する。そして、総計積算線量分布算出手段116bは、過去の複数の積算線量分布のうち最先の積算線量分布に係る放射線照射手技の開始から現在までの総計積算線量分布を逐次算出する。総計積算線量分布は、過去の複数の積算線量分布のうち最先の積算線量分布に係る放射線照射手技の開始から現在までの積算線量が人体モデルの体表位置に関連付けられたものである。
【0048】
なお、過去積算線量分布取得手段113によって過去の1の積算線量分布が取得された場合、総計積算線量分布算出手段116bは、放射線照射手技の実行中に、過去積算線量分布取得手段113によって取得された過去の1の積算線量分布に、単一積算線量分布算出手段116aによって算出された単一積算線量分布を逐次積算する。そして、総計積算線量分布算出手段116bは、過去の1の積算線量分布に係る放射線照射手技の開始から現在までの総計積算線量分布を逐次算出する。
【0049】
逐次積算線量分布算出手段116は、放射線照射手技の実行中に、単一積算線量分布及び総計積算線量分布を、操作支援手段111を介して表示部14に逐次表示させる。つまり、逐次積算線量分布算出手段116は、放射線照射手技の実行中のいずれかのタイミングで単一積算線量分布を逐次表示させるとともに、放射線照射手技の実行中のいずれかのタイミングで総計積算線量分布を表示部14に逐次表示させる。逐次積算線量分布算出手段116は、放射線照射手技の実行中に、単一積算線量分布及び総計積算線量分布の両方を逐次表示させるか(
図8,
図10〜
図14)、又は、単一積算線量分布の逐次表示と総計積算線量分布の逐次表示とを切り替えさせる(
図9)。
【0050】
図7は、初期の単一積算線量分布及び総計積算線量分布の表示画面を示す図である。
【0051】
図7に示す表示画面D0は、放射線照射実行手段115(
図5に図示)による放射線照射手技の開始前(初期)の単一積算線量分布及び総計積算線量分布を含む。放射線照射実行手段115による放射線照射手技は未だ開始されていないので、単一積算線量分布は、人体モデルのみを示し、総計積算線量分布は、人体モデルを含む加算線量分布を示すことになる。総計積算線量分布には、人体モデルの体表位置ごとに、総計積算線量の程度に従った色の属性情報(色相情報、明度情報、及び彩度情報の少なくとも1の情報を含む)が与えられる。
【0052】
また、初期の単一積算線量分布及び総計積算線量分布はともに3次元データであるので、表示画面D0を介して表示される場合には、任意の視点に基づいてレンダリング処理された3次元画像として表示される。なお、任意の視点は適宜変更可能である。
【0053】
なお、
図7に示す表示画面は、
図8に示す第1表示画面の初期画面である。
図9〜
図14に示す第2表示画面〜第6表示画面の初期画面についても同等である。
【0054】
図8は、実行中の放射線照射手技において逐次算出される単一積算線量分布及び総計積算線量分布の第1表示画面(並列表示画面)を示す図である。
【0055】
図8に示す表示画面D1は、単一積算線量分布及び総計積算線量分布を並列的に逐次表示するものである。表示画面D1上の単一積算線量分布が逐次更新されることで、操作者は、実行中の放射線照射手技の開始から現在までの積算線量を逐次視認することができる。また、表示画面D1上の総計積算線量分布が逐次更新されることで、操作者は、当該患者に係る過去の放射線照射手技から現在までの積算線量を逐次視認することができる。
【0056】
図9は、実行中の放射線照射手技において逐次算出される単一積算線量分布及び総計積算線量分布の第2表示画面(切替表示画面)を示す図である。
【0057】
図9に示す表示画面は、単一積算線量分布を逐次表示する表示画面D2と、総計積算線量分布を逐次表示する表示画面D2´とを切り替えるものである。表示画面D2の表示中に表示画面D2上の単一積算線量分布が逐次更新されることで、操作者は、実行中の放射線照射手技の開始から現在までの積算線量を逐次視認することができる。また、表示画面D2´の表示中に表示画面D2´上の総計積算線量分布が逐次更新されることで、操作者は、当該患者に係る過去の放射線照射手技から現在までの積算線量を逐次視認することができる。
【0058】
積算線量分布の表示は、所要のタイミングで表示画面D2から表示画面D2´に、表示画面D2´から表示画面D2に切り替わる。切り替わるタイミングは、操作部13(
図5に図示)を介した操作によるものであってもよいし、積算線量が閾値に近づいたタイミング(アラーム音のタイミング)によるものであってもよい。また、切り替わるタイミングは、予め設定された時間間隔に応じたものであってもよい。
【0059】
図10は、実行中の放射線照射手技において逐次算出される単一積算線量分布及び総計積算線量分布の第3表示画面(拡大・縮小表示画面)を示す図である。
【0060】
図10に示す表示画面D3は、単一積算線量分布及び総計積算線量分布の一方を拡大して逐次表示させ、他方を縮小して逐次表示させるものである。例えば、表示画面D3では、単一積算線量分布が拡大表示され、総計積算線量分布が縮小表示されている。表示画面D3上の単一積算線量分布が逐次更新されることで、操作者は、実行中の放射線照射手技の開始から現在までの積算線量を逐次視認することができる。また、表示画面D3上の総計積算線量分布が逐次更新されることで、操作者は、当該患者に係る過去の放射線照射手技から現在までの積算線量を逐次視認することができる。
【0061】
なお、
図10に示す表示画面D3では、単一積算線量分布を拡大表示する一方で、総計積算線量分布を縮小表示している。しかしながら、拡大表示及び縮小表示の対象が逆であってもよいし、拡大表示及び縮小表示が任意に切り替えられるように構成されるものであってもよい。
【0062】
図11は、実行中の放射線照射手技において逐次算出される単一積算線量分布及び総計積算線量分布の第4表示画面(全部・一部表示画面)を示す図である。
【0063】
図11に示す表示画面D4は、単一積算線量分布及び総計積算線量分布の一方の全部を逐次表示させ、他方の一部を逐次表示させるものである。例えば、表示画面D4では、単一積算線量分布が全部表示され、総計積算線量分布が一部表示されている。表示画面D4上の単一積算線量分布の全部が逐次更新されることで、操作者は、実行中の放射線照射手技の開始から現在までの積算線量を逐次視認することができる。また、表示画面D4上の総計積算線量分布の一部が逐次更新されることで、操作者は、当該患者に係る過去の放射線照射手技から現在までの積算線量を逐次視認することができる。
【0064】
なお、
図11に示す表示画面D4では、単一積算線量分布を全部表示する一方で、総計積算線量分布を一部表示している。しかしながら、全部表示及び一部表示の対象が逆であってもよいし、全部表示及び一部表示が任意に切り替えられるように構成されるものであってもよい。
【0065】
図12は、実行中の放射線照射手技において逐次算出される単一積算線量分布及び総計積算線量分布の第5表示画面(陰影・数値表示画面)を示す図である。
【0066】
図12に示す表示画面D5は、単一積算線量分布及び総計積算線量分布の一方を陰影にて逐次表示させ、他方の積算線量の最大値を数値にて逐次表示させるものである。例えば、表示画面D5では、単一積算線量分布の陰影と、総計積算線量分布の総計積算線量のうち最大値とが表示される。表示画面D5上の単一積算線量分布の陰影が逐次更新されることで、操作者は、実行中の放射線照射手技の開始から現在までの積算線量を逐次視認することができる。また、表示画面D5上の総計積算線量の最大値が逐次更新されることで、操作者は、当該患者に係る過去の放射線照射手技から現在までの積算線量の最大値を逐次視認することができる。
【0067】
なお、
図12に示す表示画面D5では、単一積算線量分布を陰影表示する一方で、総計積算線量の最大値を数値表示している。しかしながら、陰影表示及び数値表示の対象が逆であってもよいし、陰影表示及び数値表示が任意に切り替えられるように構成されるものであってもよい。
【0068】
図13及び
図14は、実行中の放射線照射手技において逐次算出される単一積算線量分布及び総計積算線量分布の第6表示画面(重畳表示画面)を示す図である。
【0069】
図13及び
図14に示す表示画面D6は、単一積算線量分布及び総計積算線量分布を、異なる表示パターンで重畳的に逐次表示させるものである。まず、単一積算線量分布の3次元画像(レンダリング画像)上であって単一積算線量が0より大きい体表部分に、離間するドットが設定され、そのドットが、ドット上の単一積算線量(ドット上の複数の単一積算線量の平均値)の程度に従った色の属性情報で表現される。そして、
図13に示す表示画面D6のように、総計積算線量分布の3次元画像上に、単一積算線量分布に基づき色の属性情報が付与されたドットが重畳されることで、単一積算線量分布及び総計積算線量分布が重畳表示される。
【0070】
一方で、単一積算線量分布の3次元画像上であって単一積算線量が0より大きい体表部分に斜線が設定され、その斜線が、斜線上の単一積算線量(斜線上の複数の単一積算線量の平均値)の程度に従った色の属性情報で表現される。そして、
図14に示す表示画面D6のように、総計積算線量分布の3次元画像上に、単一積算線量分布に基づき色の属性情報が付与された斜線が重畳されることで、単一積算線量分布及び総計積算線量分布が重畳表示される。
【0071】
表示画面D6上の単一積算線量分布が逐次更新されることで、操作者は、実行中の放射線照射手技の開始から現在までの積算線量を逐次視認することができる。また、表示画面D6上の総計積算線量分布が逐次更新されることで、操作者は、当該患者に係る過去の放射線照射手技から現在までの積算線量を逐次視認することができる。
【0072】
図5の説明に戻って、積算線量分布登録手段117は、放射線照射実行手段115による放射線照射手技の終了後、逐次積算線量分布算出手段116の単一積算線量分布算出手段116aによって算出された積算線量分布(単一積算線量分布)に患者識別情報及び実施時間情報を付帯して積算線量分布DB17に登録する。
【0073】
本実施形態に係る放射線照射装置10によると、患者に対する放射線照射手技中に、単一積算線量分布及び総計積算線量分布を逐次に効果的に表示部14に表示することで、医師や技師等の操作者は、患者に対する放射線照射手技中に、当該患者に係る単一積算線量分布及び総計積算線量分布を容易に監視できる。
【0074】
本実施形態に係る放射線照射装置10によると、患者に対する放射線照射手技中に、単一積算線量分布及び総計積算線量分布を逐次に効果的に表示部14に表示することで、患者に対する放射線照射手技中に、過去の放射線照射部位を避けるべく適切な放射線照射方向を操作者が容易に決定することができるので、患者への放射線障害を軽減できる。また、本実施形態に係る放射線照射装置10によると、操作者は、患者に対する放射線照射手技中に、自らの放射線照射手技における放射線の当て方が適切であるかどうかを表示部14で確認しながら放射線照射手技を進めることができる。
【0075】
(線量管理システム)
図15は、本実施形態に係る線量管理システムの構成を示す概略図である。
【0076】
図15は、本実施形態に係る線量管理システム30を示す。線量管理システム30は、線量管理装置40と、複数の放射線照射装置50(放射線照射装置50a,50b,…)とを設ける。複数の放射線照射装置50としては、例えば、X線診断装置及びX線CT装置等の放射線診断装置(放射線検査装置)や、ガンマナイフ等の放射線治療装置が挙げられる。
【0077】
線量管理装置40は、一般的なコンピュータとしての構成を有する。線量管理装置40は、大きくは、制御部41、記憶部42、操作部43、表示部44、及び通信部45等の基本的なハードウェアと、積算線量分布DB47とから構成される。制御部41は、共通信号伝送路としてのバスを介して、線量管理装置40をそれぞれ構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。
【0078】
制御部41〜通信部45は、
図1に示す制御部11〜通信部15と同等の構成及び機能を有するものであるので、説明を省略する。
【0079】
積算線量分布DB47は、
図1に示す積算線量分布DB17と同様にHDDやメモリによって構成される記憶部である。積算線量分布DB47は、患者を識別する患者識別情報(患者ID)と、過去の放射線照射手技の実施時間情報と、放射線照射手技を実施した複数の放射線照射装置のいずれかを識別する装置識別情報とが付帯された3次元の積算線量(mGy)の分布を示す積算線量分布のデータを登録可能である(
図16に図示)。積算線量分布は、一般的には、放射線照射手技の単位で生成されるものである。
【0080】
積算線量分布DB47は、
図1に示す積算線量分布DB17と異なり、放射線照射装置50の各々によって算出され、放射線照射装置50の各々から送信された複数の積算線量分布のデータを登録可能である。
【0081】
図16は、積算線量分布のデータの一例を示す図である。
【0082】
図16に示すように、積算線量分布DB47(
図15に図示)には、人体モデルの体表位置ごとに人体モデル座標系の積算線量が対応付けられた複数の積算線量分布が登録可能である。また、各積算線量分布には、患者情報に含まれる患者識別情報及び実施時間情報が付帯される。なお、
図16では、積算線量分布として、人体モデルの体表位置に積算線量がマッピングされたものを登録する場合を示すが、人体モデルのデータと、体表位置ごとの積算線量とを別にもつものであってもよい。
【0083】
図15の説明に戻って、複数の放射線照射装置50の各々は、一般的なコンピュータとしての構成を有する。複数の放射線照射装置50の各々は、大きくは、制御部51、記憶部52、操作部53、表示部54、及び通信部55等の基本的なハードウェアと、放射線照射部56とから構成される。制御部51は、共通信号伝送路としてのバスを介して、複数の放射線照射装置50の各々をそれぞれ構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。
【0084】
制御部51〜通信部55は、
図1に示す制御部11〜通信部15と同等の構成及び機能を有するものであるので、説明を省略する。
【0085】
放射線照射部56は、
図1に示す放射線照射部16と同等の構成を有する。放射線照射部56は、制御部51による制御の下、患者に放射線を照射する装置である。ここで、複数の放射線照射装置50のいずれかがX線診断装置である場合、当該放射線照射装置の放射線照射部56は、高電圧発生部、X線源、X線検出器、及び寝台等の一般的な構造体を含む。複数の放射線照射装置50のいずれかがX線CT装置である場合、当該放射線照射装置の放射線照射部56は、高電圧発生部、X線源、X線検出器、回転部、及び寝台等の一般的な構造体を含む。複数の放射線照射装置のいずれかが放射線治療装置である場合、当該放射線照射装置の放射線照射部56は、高電圧発生部、放射線源、回転部、及び寝台等の一般的な構造体を含む。
【0086】
図17は、本実施形態に係る線量管理システム30の機能を示すブロック図である。
【0087】
本実施形態に係る線量管理システム30を構成する制御部41がプログラムを実行することによって、線量管理装置40は、条件受信手段411、過去積算線量分布取得手段412、過去加算線量分布算出手段413、過去加算線量分布送信手段414、積算線量分布受信手段415、及び積算線量分布登録手段416として機能する。なお、手段411〜416がソフトウェアとして機能するものとして説明するが、手段411〜416の全部又は一部は、ハードウェアとして線量管理装置40に備えられるものであってもよい。
【0088】
条件受信手段411は、複数の放射線照射装置50のうち特定の放射線照射装置50aによって設定され、放射線照射装置50aから送信された患者識別情報(患者ID)を受信する。
【0089】
過去積算線量分布取得手段412は、
図4に示す過去積算線量分布取得手段113と同等の機能を有する。すなわち、過去積算線量分布取得手段412は、積算線量分布DB47から、条件受信手段411によって受信された患者識別情報に対応する過去の積算線量分布を取得する(読み出す)。また、条件受信手段411によって期間条件が設定された場合、過去積算線量分布取得手段412は、積算線量分布DB47から、条件受信手段411によって受信された患者識別情報に対応し、かつ、期間条件の範囲内の実施時間情報に対応する積算線量分布を取得する。さらに、条件受信手段411によって装置条件が設定された場合、過去積算線量分布取得手段412は、積算線量分布DB47から、条件受信手段411によって受信された患者識別情報に対応し、かつ、装置条件の範囲内の装置識別情報に対応する積算線量分布を取得する。
【0090】
過去加算線量分布算出手段413は、
図4に示す過去加算線量分布算出手段114と同等の機能を有する。すなわち、過去加算線量分布算出手段413は、過去積算線量分布取得手段412によって過去の複数の積算線量分布が取得された場合、過去の複数の積算線量分布を位置合せして人体モデルの体表位置ごとに加算(総和)することで、過去の複数の放射線照射手技に亘る加算線量分布のデータを算出する。
【0091】
つまり、過去加算線量分布算出手段413は、過去積算線量分布取得手段412によって過去の複数の積算線量分布が受信された場合、過去の複数の積算線量を体表位置ごとに加算することで、過去の複数の放射線照射手技に亘る加算線量分布のデータを算出する。なお、過去積算線量分布取得手段412によって過去の1の積算線量分布が取得された場合、過去加算線量分布算出手段413は不要である。ここで、加算線量分布のデータの例は、
図6に示すものと同様である。
【0092】
なお、過去加算線量分布算出手段413は、複数の放射線照射装置50の各々に備えられるものであってもよい。
【0093】
過去加算線量分布送信手段414は、過去加算線量分布算出手段413によって算出された過去の加算線量分布を、患者識別情報を送信した放射線照射装置50aに送信する。
【0094】
積算線量分布受信手段415は、患者識別情報を送信した放射線照射装置50aによって算出され、放射線照射装置50aから送信された積算線量分布を受信する。
【0095】
積算線量分布登録手段416は、
図4に示す積算線量分布登録手段117と同等の機能を有する。すなわち、積算線量分布登録手段416は、放射線照射装置50aによる放射線照射手技の後、放射線照射装置50aによって算出された積算線量分布(単一積算線量分布)に患者識別情報、実施時間情報、及び装置識別情報を付帯して積算線量分布DB47に登録する。
【0096】
また、本実施形態に係る線量管理システム30を構成する制御部51がプログラムを実行することによって、複数の放射線照射装置50の各々は、操作支援手段511、条件設定手段512、条件送信手段513、過去加算線量分布受信手段514、放射線照射実行手段515、逐次積算線量分布算出手段516、及び積算線量分布送信手段517として機能する。なお、手段511〜517がソフトウェアとして機能するものとして説明するが、手段511〜517の全部又は一部は、ハードウェアとして複数の放射線照射装置50の各々に備えられるものであってもよい。
【0097】
操作支援手段511は、
図4に示す操作支援手段111と同等の機能を有する。すなわち、操作支援手段511は、手段512〜517と、操作部53及び表示部54とを媒介するGUI等のインターフェースとして機能する。
【0098】
条件設定手段512は、
図4に示す条件設定手段112と同等の機能を有する。すなわち、条件設定手段512は、操作支援手段511を介した操作部53の操作に基づいて、放射線照射手技の対象である患者に関する過去の積算線量分布を取得するための患者識別情報(患者ID)を設定する。加えて、条件設定手段512は、放射線照射手技の対象である患者に関する過去の全ての積算線量分布のうち、特定の期間内の積算線量分布のみを取得するための期間条件や、特定の放射線照射装置の放射線照射手技によって生成された積算線量分布のみを取得するための装置条件を設定してもよい。
【0099】
条件送信手段513は、条件設定手段512によって設定された患者識別情報を線量管理装置40の条件受信手段411に送信する。
【0100】
過去加算線量分布受信手段514は、線量管理装置40の過去加算線量分布送信手段414から送信された過去の加算線量分布を受信する。
【0101】
放射線照射実行手段515は、
図4に示す放射線照射実行手段115と同等の機能を有する。すなわち、放射線照射実行手段515は、条件設定手段512によって設定された患者識別情報に対応する患者に対して、放射線照射手技を実行する。ここで、複数の放射線照射装置50のいずれかがX線診断装置やX線CT装置である場合、当該放射線照射装置の放射線照射実行手段515は放射線照射部56の動作を制御して、放射線照射を伴って患者の検査部位に関する画像を収集する。また、複数の放射線照射装置50のいずれかが放射線治療装置である場合、当該放射線照射装置の放射線照射実行手段515は放射線照射部56の動作を制御して、患者の治療部位に放射線を当てる。
【0102】
逐次積算線量分布算出手段516は、
図4に示す逐次積算線量分布算出手段116と同等の機能を有する。すなわち、逐次積算線量分布算出手段516は、放射線照射実行手段515によって放射線照射手技の実行中に、現在までの照射線量を積算することで積算線量を逐次算出する。そして、逐次積算線量分布算出手段516は、積算線量を人体モデルの体表位置に関連付けた積算線量分布を逐次算出する。
【0103】
実座標系における患者の体表位置が、モデル座標系における人体モデルの該当体表位置に座標変換されることで、実座標系の患者の体表位置に係る積算線量が人体モデルの該当体表位置の積算線量とされる。逐次積算線量分布算出手段516は、単一積算線量分布算出手段516a及び総計積算線量分布算出手段516bを有する。
【0104】
単一積算線量分布算出手段516aは、単一積算線量分布算出手段116aと同等の機能を有する。すなわち、単一積算線量分布算出手段516aは、放射線照射手技の実行中に、実行中の放射線照射手技の開始から現在までの積算線量分布を単一積算量分布として逐次算出する。単一積算線量分布は、実行中の放射線照射手技の開始から現在までの積算線量が人体モデルの体表位置に関連付けられたものである。
【0105】
総計積算線量分布算出手段516bは、放射線照射手技の実行中に、過去加算線量分布受信手段514によって受信された過去の加算線量分布に、単一積算線量分布算出手段516aによって算出された単一積算線量分布を逐次積算する。そして、総計積算線量分布算出手段516bは、過去の複数の積算線量分布のうち最先の積算線量分布に係る放射線照射手技の開始から現在までの総計積算線量分布を逐次算出する。総計積算線量分布は、過去の複数の積算線量分布のうち最先の積算線量分布に係る放射線照射手技の開始から現在までの積算線量が人体モデルの体表位置に関連付けられたものである。
【0106】
なお、過去積算線量分布取得手段412によって過去の1の積算線量分布が取得された場合、総計積算線量分布算出手段516bは、放射線照射手技の実行中に、過去の1の積算線量分布に、単一積算線量分布算出手段516aによって算出された単一積算線量分布を逐次積算する。そして、総計積算線量分布算出手段516bは、過去の1の積算線量分布に係る放射線照射手技の開始から現在までの総計積算線量分布を逐次算出する。
【0107】
逐次積算線量分布算出手段516は、放射線照射手技の実行中に、単一積算線量分布及び総計積算線量分布を、操作支援手段511を介して表示部54(
図2に示す表示部14に相当)に逐次表示させる(
図8,
図10〜
図14)。又は、逐次積算線量分布算出手段516は、放射線照射手技の実行中に、単一積算線量分布の操作支援手段511を介した表示部54への逐次表示と、総計積算線量分布の操作支援手段511を介した表示部54への逐次表示とを切り替える(
図9)。
【0108】
積算線量分布送信手段517は、放射線照射実行手段515による放射線照射手技の終了後、逐次積算線量分布算出手段516の単一積算線量分布算出手段516aによって算出された積算線量分布(単一積算線量分布)を、患者識別情報、実施時間情報、及び装置識別情報とともに線量管理装置40の積算線量分布受信手段415に送信する。
【0109】
続いて、本実施形態に係る線量管理システム30の動作について、
図15及び
図18を用いて説明する。
【0110】
図18は、本実施形態に係る線量管理システム30の動作を示すフローチャートである。
【0111】
線量管理システム30の複数の放射線照射装置50のうち1の放射線照射装置50aは、放射線照射手技の対象である患者に関する過去の積算線量分布を取得するための患者識別情報「患者P1」を設定する(ステップST1)。加えて、ステップST1では、放射線照射手技の対象である患者に関する過去の全ての積算線量分布のうち、特定の期間内の積算線量分布のみを取得するための期間条件や、特定の放射線照射装置の放射線照射手技によって生成された積算線量分布のみを取得するための装置条件が設定されてもよい。
【0112】
放射線照射装置50aは、ステップST1によって設定された患者識別情報「患者P1」を線量管理装置40に送信する(ステップST2)。
【0113】
線量管理装置40は、ステップST2によって送信された患者識別情報「患者P1」を受信し、積算線量分布DB47(
図16に図示)から、受信された患者識別情報「患者P1」に対応する過去の積算線量分布を取得する(ステップST3)。
【0114】
線量管理装置40は、ステップST3によって過去の複数の積算線量分布が取得された場合、過去の複数の積算線量分布を位置合せして加算することで、過去の複数の放射線照射手技に亘る加算線量分布のデータを算出する(ステップST4)。
【0115】
線量管理装置40は、ステップST4によって算出された過去の加算線量分布を放射線照射装置50aに送信する(ステップST5)。
【0116】
放射線照射装置50aは、ステップST5によって送信された過去の加算線量分布を受信し、ステップST1によって設定された患者識別情報「患者P1」に対応する患者に対して、放射線照射手技を開始する(ステップST6)。
【0117】
放射線照射装置50aは、放射線照射手技の実行中に積算線量分布を単一積算線量分布として算出して表示部54に表示させる(ステップST7)。同時に、放射線照射装置50aは、放射線照射手技の実行中に、ステップST6によって受信された過去の加算線量分布に、ステップST7によって算出された単一積算線量分布を積算することで総計積算線量分布を算出して表示部54(
図2に示す表示部14に相当)に表示させる(ステップST8)。ステップST7,ST8による表示画面は、
図8〜
図14に示す。
【0118】
ステップST7,ST8による単一積算線量分布及び総計積算線量分布の表示は、実行中の放射線照射手技の終了まで繰り替えされる。
【0119】
放射線照射装置50aは、ステップST6によって開始された放射線照射手技の終了後、ステップST7によって算出された積算線量分布(単一積算線量分布)に患者識別情報、実施時間情報、及び装置識別情報を付帯して線量管理装置40に送信する(ステップST9)。
【0120】
線量管理装置40は、ステップST9によって送信された積算線量分布を受信し、積算線量分布DB47に、受信された積算線量分布を登録する(ステップST10)。
【0121】
次いで、ステップST1の後のタイミングで、線量管理システム30の複数の放射線照射装置50のうち1の放射線照射装置50bは、放射線照射手技の対象である患者に関する過去の積算線量分布を取得するための患者識別情報「患者P1」を設定する(ステップST11)。加えて、ステップST11では、放射線照射手技の対象である患者に関する過去の全ての積算線量分布のうち、特定の期間内の積算線量分布のみを取得するための期間条件が設定されてもよい。
【0122】
放射線照射装置50bは、ステップST11によって設定された患者識別情報「患者P1」を線量管理装置40に送信する(ステップST12)。
【0123】
線量管理装置40は、ステップST12によって送信された患者識別情報「患者P1」を受信し、積算線量分布DB47から、受信された患者識別情報「患者P1」に対応する過去の積算線量分布を取得する(ステップST13)。ここで、ステップST3によって受信された患者識別情報「患者P1」と、ステップST13によって受信された患者識別情報「患者P1」とが一致するので、ステップST13によって取得される過去の積算線量分布は、ステップST10によって登録された積算線量分布を含む。
【0124】
線量管理装置40は、ステップST13によって過去の複数の積算線量分布が取得された場合、過去の複数の積算線量分布を位置合せして加算することで、過去の複数の放射線照射手技に亘る加算線量分布のデータを算出する(ステップST14)。
【0125】
線量管理装置40は、ステップST14によって算出された過去の加算線量分布を放射線照射装置50bに送信する(ステップST15)。
【0126】
放射線照射装置50bは、ステップST15によって送信された過去の加算線量分布を受信し、ステップST11によって設定された患者識別情報「患者P1」に対応する患者に対して、放射線照射手技を開始する(ステップST16)。
【0127】
放射線照射装置50bは、放射線照射手技の実行中に積算線量分布を単一積算線量分布として算出して表示部54に表示させる(ステップST17)。同時に、放射線照射装置50bは、放射線照射手技の実行中に、ステップST16によって受信された過去の加算線量分布に、ステップST17によって算出された単一積算線量分布を積算することで総計積算線量分布を算出して表示部54(
図2に示す表示部14に相当)に表示させる(ステップST18)。ステップST17,ST18による表示画面は、
図8〜
図14に示す。
【0128】
ステップST17,ST18による単一積算線量分布及び総計積算線量分布の表示は、実行中の放射線照射手技の終了まで繰り替えされる。
【0129】
放射線照射装置50bは、ステップST16によって開始された放射線照射手技の終了後、ステップST17によって算出された積算線量分布(単一積算線量分布)に患者識別情報、実施時間情報、及び装置識別情報を付帯して線量管理装置40に送信する(ステップST19)。
【0130】
線量管理装置40は、ステップST19によって送信された積算線量分布を受信し、積算線量分布DB47に、受信された積算線量分布を登録する(ステップST20)。
【0131】
本実施形態に係る線量管理システム30によると、患者に対する放射線照射手技中に、単一積算線量分布及び総計積算線量分布を逐次に効果的に表示部54に表示することで、医師や技師等の操作者は、患者に対する放射線照射手技中に、当該患者に係る単一積算線量分布及び総計積算線量分布を容易に監視できる。
【0132】
本実施形態に係る線量管理システム30によると、患者に対する放射線照射手技中に、単一積算線量分布及び総計積算線量分布を逐次に効果的に表示部54に表示することで、患者に対する放射線照射手技中に、過去の放射線照射部位を避けるべく適切な放射線照射方向を操作者が容易に決定することができるので、患者への放射線障害を軽減できる。また、本実施形態に係る線量管理システム30によると、操作者は、患者に対する放射線照射手技中に、自らの放射線照射手技における放射線の当て方が適切であるかどうかを表示部54で確認しながら放射線照射手技を進めることができる。
【0133】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。