【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、舗装層における実際の資材の欠陥と、新たな舗装層に一時的に位置する干渉物体による特定の測定不良とを区別可能とする方法およびロードフィニッシャを提供することである。これにより、干渉物体に関する測定不良について修正された温度場が生成できる。
【0016】
本発明の目的は、請求項1に記載の方法と、独立請求項14に記載のロードフィニッシャにより達成される。
【0017】
従属請求項に、本発明のさらなる有利な展開が示される。
【0018】
本発明は、ロードフィニッシャの舗装スクリードにより敷設された舗装層の少なくとも1つの区域における温度場を生成する方法に関する。温度場において予め定められた少なくとも1つの測定範囲内で、敷設された舗装層上に一時的に位置する干渉物体が検出される。当該干渉物体の固有温度は測定範囲についての所望の基準温度値未満である。したがって、干渉物体の固有温度の画像は、生成される温度場を少なくとも一部変造してしまう。干渉物体は、測定範囲内の少なくとも1つの測定点の温度が、異なる複数の時間で測定されることで検出される。
【0019】
本発明によると、想定される資材固有の冷却に反して、第1の時間よりも後の第2の時間において、同じ測定点で、当該先行する時間で検出された温度値よりも高い温度値(特に基準温度範囲内の)が検出されると、舗装層を敷いている間、測定点が干渉物体により覆われていると解される。そして、第1の時間に検出された温度値の代わりに、当該測定点の新たな温度値が、温度場内に割り当てられる。
【0020】
本発明において、温度場とは、各測定点(ルームポイント)に温度が割り当てられた、二次元温度分布を指す。温度場において、各測定点における特定の温度は、特定の色で表すことができる。本発明において、温度場は、新たに敷設された舗装層の表面の温度分布の熱画像となることが好ましい。
【0021】
本発明によると、測定点で記録された温度勾配は、温度場における測定点の干渉物体を示す。当該干渉物体は、当該箇所に、測定期間内において少なくとも一時的に位置したものである。したがって、当該干渉物体は、当該箇所での被覆資材の実際の所望の温度測定を妨害している。温度勾配は、干渉物体の位置を信頼性高く検出可能にする、シンプルなパラメータとなる。
【0022】
したがって、本発明により、舗装温度検出が干渉物体により一時的に妨害された個所でも、実際に測定された舗装温度を、温度場における測定範囲の各点に割り当てることができる。言い換えると、本発明により、温度場の生成時に、干渉物体に関連する温度値を信頼性高く除外できる。
【0023】
各測定点での温度検出は、舗装時に、繰り返し測定間隔で実行されることが好ましい。測定間隔は、舗装速度に基づいて制御できる。これにより、干渉物体を信頼性高く検出できるように、各測定点において、温度測定が、十分な回数繰り返し実行できる。したがって、本発明に係る方法によると、各測定点において温度測定を連続的に実行し、干渉物体を検出して、信頼性高く温度場生成から除外することができる。
【0024】
本発明により検出可能の干渉物体の例として、ロードフィニッシャの後を走行して、ロードフィニッシャが敷いた新たな舗装層を、所定高さに締固めを行うローラー車両が挙げられる。さらに、レベル計のような測定ユニットも、測定範囲内で、新たな路面に一時的に位置し、温度場生成に干渉し得る。測定範囲内に位置する、または測定範囲を横切ることで温度場測定に干渉する作業員も、干渉物体として検出され得る。基本的に、新たな舗装層の一部ではなく、所望の測定点での温度の検出を直接妨げるあらゆるものを、干渉物体として検出可能である。
【0025】
本発明においては、干渉物体に関する疑わしい測定値を、単純な方法ステップにより検出できる。特に、ロードフィニッシャに設けられ使用している技術に基づいて、温度場を修正できる。即ち、干渉物体に関する測定不良をなくせるか、少なくとも大幅に低減できる。したがって、全体的により有意な温度場が生成でき、品質管理に供することができる。
【0026】
さらに、本発明により、干渉物体に関連する測定不良について修正された温度場は、制御処理用の制御入力変数としてより有効に使用可能である。例えば、ロードフィニッシャそのものに載せる、および/または舗装に関するその他車両や設備に載せる、特定の舗装機能のシーケンス制御に対する制御入力変数として利用できる。その他車両または設備の例としては、資材混合工場、資材供給車両、および/または締固め車両が挙げられる。これにより、該当する作業処理の最適な制御が図られる。
【0027】
最後に、本発明に係る方法には次の技術的利点がある。即ち、干渉物体に関連する測定不良について温度場が修正されているので、公知の手法よりも、データ保存容量の使用量を削減できる。したがって、当該温度場はより良い検証書類として提供でき処理できる。
【0028】
本発明の一変形例では、評価ソフトウェアの物体認識を利用して、干渉物体を検出する。好ましくは、評価ソフトウェアは、舗装速度に対して物体が動いているかを確認して、干渉物体を検出する。
【0029】
新たな舗装層の温度場を生成する際、同じ測定点のより後の時点で記録されたより高い温度値を、測定点の修正値としての新たな温度値に利用することが好ましい。但し、これは当該より高い温度値が、基準温度範囲内または調整された基準温度範囲内にある場合に限る。
【0030】
これは制御技術に関しては、例えば制御部が、温度測定の第1の時間に測定された干渉物体の位置による過度に低い温度値を、より後の時間に記録された同じ測定点の実際の温度であるより高い温度値で上書きすることで実現できる。これは、シーケンス制御処理で実行できる。したがって、測定点での干渉物体の温度は、測定点でさらに高い温度が検出されるまで、温度場に設定されたままとなる。これにより、干渉物体が位置することにより、最初に測定点に不正に割り当てられ得る元の干渉物体の温度が、その後の舗装中に、測定点での舗装資材の実際の舗装温度で置き換えられる。これは特にフィードバック制御で実現される。したがって、同じ測定点で得られた値を、時間経過後に、新たな温度値により修正可能となる。
【0031】
得られた新たな温度値に第1の時間に検出された温度値を置き換える前に、少なくとも1つの隣接する測定点における所定のまたは判定された冷却係数を考慮して、同じ測定点でより後の時間に検出されたより高い温度値で修正することで、測定点での冷却を考慮でき、実際の舗装時において上記方法がより良く利用できる。これにより、干渉物体が測定点に如何に長く位置したかが問題とならない。即ち、冷却係数を利用すれば、先行する第1の時間において、仮に干渉物体が測定点に存在しなかった場合の、温度場における測定点の実際の温度を正確に把握できるのである。
【0032】
一変形例において、新たな温度値は、特徴的な領域を利用し、測定点xにおいて検出された温度勾配に基づいて計算されることが好ましい。
【0033】
本発明の一実施形態によると、妥当性の確認が行われる。即ち、舗装層の温度場生成時に、第1の時間で検出された温度値が、温度閾値を超えない場合、新たな温度値に置き換えられる。これにより、温度閾値未満の温度値である干渉物体に関する測定不良のみが(すなわち、舗装資材が過度に低温の個所に設けられたことを示す、舗装層における舗装資材の実際の測定不良以外の不良が)修正されることが保証される。
【0034】
温度閾値を利用することで、処理において、干渉物体に関連する測定不良と、舗装資材に関連する測定不良(即ち、舗装層の低温点)とを容易に明確に区別できる。即ち、干渉物体に関連する測定不良が正確に温度場から除外されるのである。一方、通常の温度閾値を超えるが、標準値には至らない温度の測定不良は、温度場に含まれる。したがって、温度場は舗装不良を信頼性高く示す。即ち、敷設された舗装層に沿った数か所で、舗装資材が過度に低温で敷設されたことを示すのである。温度閾値は、ロードフィニッシャで測定された周辺温度および/または測定点における測定時間の経過に基づいて調整可能であることが好ましい。
【0035】
特に、いくつかの測定点のそれぞれの温度値が、測定範囲内で、舗装方向または当該方向に交差する方向に延在する少なくとも1つの測定線に沿って検出されることが有効である。また、測定線に沿って解像度が可変であることが好ましい。これにより、異なる様々な品質要件に対して、有効に走査精度を調整できる。
【0036】
各測定点において、時間をずらして温度検出が可能である。これは特に、少なくとも1つの測定線が、舗装層の舗装時に、少なくとも一時的に舗装方向とは反対方向に、異なる複数の時間で動かされることで実現可能である。したがって、当該線上の測定点のそれぞれの温度が測定される。舗装動作中にロードフィニッシャが緩やかに舗装方向に動く際、測定線は所定の測定場の長さ方向に沿って緩やかに移動する。当該移動は、スクリードの後縁から始まることが好ましい。測定線の移動は、温度測定場上を舗装方向とは反対の後ろ向きに移動する。温度測定場領域が、ライン走査動作により、間隔を空けて何度も走査可能であることが考えられる。これにより、舗装層に位置する干渉物体が検出される。モータ駆動のラインセンサを、ライン走査動作用に利用できる。
【0037】
好ましい実施形態では、赤外線カメラの利用が意図される。これにより、撮像画像内に、複数の走査線を入れることができる。
【0038】
好ましい実施形態において、少なくとも1つの測定線の動作シーケンスが、舗装処理パラメータ、特に、ロードフィニッシャの舗装速度に基づいて制御される。測定線の動作シーケンスに関する走査速度が、記録された舗装速度に基づき、特にロードフィニッシャの舗装速度に比例して、自動制御されることが考えられる。測定線は、舗装速度の倍数である走査速度で、測定範囲を通過できる。これにより、干渉物体の位置を信頼性高く検出できる。
【0039】
また、ロードフィニッシャの、検出された舗装速度に基づいて、測定線が連動して動く方式が実装されることも考えられる。これにより、ロードフィニッシャの舗装モードに最適な測定処理が適用される。
【0040】
本発明の実施形態によると、舗装スクリードのスクリード後縁に対して所定距離で、舗装方向に交差する方向に延在するように並んだ複数の測定線に沿って、当該各測定線上の測定点それぞれの温度が、舗装層の舗装中に同時に検出される。例えば、ロードフィニッシャに取り付けられた赤外線カメラにより、舗装層の舗装中にそれぞれの温度が検出される。これにより、スクリードの後方において、舗装層の表面の二次元温度検出が可能となる。
【0041】
異なる種類のロードフィニッシャ、特に異なる舗装幅について、走行方向と交差する方向に延在する測定線が、舗装層の舗装幅に基づいて手動および/または自動調整可能であることが特に好ましい。
【0042】
実際に、舗装時間の経過に応じて、少なくとも1つの測定点(特に測定線内に並べられた測定点)の基準温度範囲が調整されることが有利である。これは、少なくとも1つの隣接する測定点について判定された冷却係数を考慮することで実現できる。これにより、舗装層上の測定点に干渉物体が長期間位置した後でも、測定点について本来定義されていた基準温度範囲に関して検出され、すでにかなり冷却された舗装資材の温度を、干渉物体に関する測定不良に遡及的に結びつけることができる。そのため、舗装層上の測定点に干渉物体が長期間位置した後でも、第1の時間の時点で不正に検出された温度値を遡及的に修正できる。舗装時間が長くなるほど、基準温度範囲は舗装中の先行する時点よりもより低い温度値を含む傾向にある。
【0043】
好ましくは、干渉物体が検出されると、視覚、聴覚、および/または触覚的信号が前記ロードフィニッシャ、干渉物体自体、および/または舗装に関与するその他車両に発せられる。これにより、舗装現場にいる作業員に温度場の生成について通知し、特に検出された干渉物体を温度測定範囲から除外することを通知するものである。
【0044】
本発明はさらに、舗装層を敷く舗装スクリードと、舗装スクリードの後方の、敷設された状態の舗装層の少なくとも一部の温度場を生成する検出部と、検出部による測定値に基づいて、温度場の少なくとも1つの所定の測定範囲内の舗装層に一時的に位置する干渉物体を検出するように構成された制御部とを備え、干渉物体の固有温度が測定範囲に対する所望の基準温度未満であることによって、生成される温度場における干渉物体の固有温度の撮像で温度場の少なくとも一部が変造される、ロードフィニッシャに関する。
【0045】
本発明によると、検出部は、干渉物体を検出するため、測定範囲内の少なくとも1つの測定点における温度を、異なる複数の時間で測定するように設計される。本発明に係るロードフィニッシャの特徴として、制御部は、舗装層の舗装時に、第1の時間に測定点が干渉物体によって覆われていることを検出する、即ち、想定される資材の固有冷却にもかかわらず、舗装時のより後の第2の時間に同測定点において、それ以前の第1の時間に検出された温度値よりも基準温度範囲内で高い温度値が測定された場合に干渉物体によって覆われていることを検出するように構成され、さらに、第1の時間で検出された温度値の代わりに、測定点における新たな温度値を、温度場に割り当てるように構成される。
【0046】
したがって、本発明に係るロードフィニッシャは、制御処理により疑わしい温度測定を、遡及的に修正するように構成される。疑わしい温度測定とは、舗装層の測定点において、時間とともに上昇する温度を示すものである。このため、当該温度測定が残ったまま、温度場が生成されることはない。したがって、全体的により正確な温度場が生成でき、品質管理に利用できる。
【0047】
測定点の実際の温度値を反映せずに干渉物体により検出された温度値は、制御部が舗装層の温度場を生成する際に以下のように構成されている場合に、特定の精度で修正できる。即ち、特に少なくとも1つの隣接する測定点について判定された冷却係数を考慮して、同じ測定点で後に検出されたより高い温度値を、新たな温度値として利用するのである。
【0048】
舗装層において、資材が過度に低温となっていることを、温度場内で信頼性高く示すために、制御部は、舗装層の温度場を生成する際に、第1の時間で検出された前記温度値が、前記温度閾値を超えない場合に、前記新たな温度値を前記第1の時間で検出された温度値の代わりに利用するように設計されることが好ましい。したがって、本発明における温度測定場修正は、舗装層に沿った測定点のうち、一時的に位置する干渉物体の温度が検出された測定点のみを実際に考慮して行われれる。したがって、実際の舗装資材による不良が、舗装層上の、温度閾値よりも高く、基準温度範囲未満の温度が検出された点として温度場にマッピングされる。
【0049】
好ましい実施形態では、検出部は少なくとも1つの赤外線カメラを有し、赤外線カメラが、測定範囲内で、舗装方向と交差する方向に延在する少なくとも1つの測定線に沿って、複数の測定点の温度値を検出する。
【0050】
別実施形態では、検出部が、少なくとも1つのラインセンサを有し、少なくとも1つのラインセンサが、測定範囲内で、舗装方向と交差する方向に延在する少なくとも1つの測定線に沿った複数の測定点のそれぞれの温度値を検出するように設計され、ラインセンサが、ロードフィニッシャに移動可能に取り付けられることで、少なくとも1つの測定線が、舗装動作時に、舗装方向と反対方向に、少なくとも一時的に移動可能となることで、当該線上の測定点の各温度が異なる複数の時間で検出される。
【0051】
本発明を、図面を参照により詳細に説明する。