特許第6874064号(P6874064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6874064舗装層の温度場の生成時に干渉物体を検出する方法およびロードフィニッシャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874064
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】舗装層の温度場の生成時に干渉物体を検出する方法およびロードフィニッシャ
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   E01C19/48 A
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-131834(P2019-131834)
(22)【出願日】2019年7月17日
(65)【公開番号】特開2020-37853(P2020-37853A)
(43)【公開日】2020年3月12日
【審査請求日】2019年11月19日
(31)【優先権主張番号】18184705.4
(32)【優先日】2018年7月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596068349
【氏名又は名称】ヨゼフ フェゲーレ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ブッシュマン
(72)【発明者】
【氏名】ハニング デリウス
【審査官】 高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−040445(JP,A)
【文献】 特開2005−097958(JP,A)
【文献】 特開2016−048024(JP,A)
【文献】 特開2016−102396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロードフィニッシャ(1)の舗装スクリード(2)により敷設された舗装層(E)の少なくとも1つの区域に、温度場(TF)を生成する方法であって、
前記温度場(TF)において少なくとも1つの所定の測定範囲(B)範囲内で、前記敷設された舗装層(E)上に一時的に位置する干渉物体(9)が検出され、
前記干渉物体(9)の固有温度(Tinterf)は、前記測定範囲(B)についての所望の基準温度(Tnom)未満であることで、前記干渉物体(9)の前記固有温度(Tinterf)の撮像が、生成される前記温度場(TF)の少なくとも一部を変造し、
前記干渉物体(9)を検出するために、前記測定範囲(B)内の少なくとも1つの測定点(x)における温度温度(Tx)が、異なる複数の時間(t1、t2)で測定される、方法であって、
前記舗装層(E)の舗装時に、第1の時間(t1)より後の第2の時間(t2)における同じ測定点(x)で、想定される資材の固有冷却(11)に反して、前記第1の時間(t1)において検出された温度値(Tx)よりも高い温度値(Tx)が前記基準温度範囲(Tnom)内で検出された場合に、前記第1の時間(t1)に前記測定点(x)が前記干渉物体(9)に覆われていると検出され、
前記第1の時間(t1)に検出された前記温度値(Tx)の代わりに、前記測定点(x)における新たな温度値(Tnewとして前記第2の時間(t2)において検出された前記高い温度値(Txが、前記温度場(TF)に割り当てられることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記干渉物体(9)を検出するため、評価ソフトウェアにおいて物体検出が利用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記干渉物体(9)を検出するため、前記評価ソフトウェアにおいて、干渉物体が舗装速度に対して移動しているかが確認されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記舗装層(E)に対する前記温度場(TF)を生成するときに、同じ前記測定点(x)において、より後に検出されたより高い前記温度値(Tx)が、前記測定点(x)に対する前記新たな温度値(Tnew)として使用されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の時間(t1)で検出された前記温度値(Tx)の代わりに前記新たな温度値(Tnew)が利用される前に、前記同じ測定点(x)でより後に検出されたより高い前記温度値(Tx)が、少なくとも1つの隣接する測定点(x)で判定された冷却係数(15)に基づいて修正されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記舗装層に対して前記温度場(TF)が生成されるときに、前記第1の時間(t1)で検出された前記温度値(Tx)が、前記温度閾値(Tthres)を超えない場合に、前記新たな温度値(Tnew)が前記第1の時間(t1)で検出された温度値(Tx)の代わりに利用されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記測定範囲内で、前記舗装方向(F)と交差する方向に延在する少なくとも1つの測定線(10)に沿った複数の測定点(x)のそれぞれの温度値(Tx)が、検出されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記舗装層(E)の前記舗装時に、前記少なくとも1つの測定線(10)が、前記舗装方向(F)とは反対方向に少なくとも一時的に、異なる複数の時間で移動することで、当該測定線(10)上に並ぶ前記測定点(x)のそれぞれの前記温度(Tx)を検出することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの測定線(10)の動作シーケンスが、前記ロードフィニッシャ(1)の舗装速度(V)に基づいて設定されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記舗装スクリード(2)のスクリード後縁(8)に対して所定距離(A)で前記舗装方向(F)と交差する方向に並んだ複数の測定線(10)に沿って、前記舗装層(E)の前記舗装時に、当該測定線(10)上の前記測定点(x)の前記各温度(Tx)が同時に検出されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記舗装層(E)の舗装幅に合わせて、各測定線の幅(y)が適用されることを特徴とする、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの隣接する測定点(x)について判定された冷却係数(15)に基づいて、前記測定点(x)での前記基準温度範囲(Tnom)が、異なる複数の時間(t)について設定されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
干渉物体(9)が検出されると、視覚、聴覚、および/または触覚的信号が、前記ロードフィニッシャ(1)、前記干渉物体(9)自体、および/または前記舗装に関与するその他車両(13)から発せられることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
舗装層(E)を敷く舗装スクリード(2)と、
前記舗装スクリード(2)の後方の、敷設された状態の前記舗装層(E)の少なくとも一部の温度場(TF)を生成する検出部(6)と、
前記検出部(6)による測定値(Tx)に基づいて、前記温度場(TF)の少なくとも1つの所定の測定範囲(B)内の前記舗装層(E)上に一時的に位置する干渉物体(9)を検出するように構成された制御部(50)とを備え、
前記干渉物体(9)の固有温度(Tinterf)は、前記測定範囲(B)についての所望の基準温度(Tnom)未満であることで、前記干渉物体(9)の前記固有温度(Tinterf)の撮像が、生成される前記温度場(TF)の少なくとも一部を変造し、
前記検出部(6)は、前記干渉物体(9)を検出するために、前記測定範囲(B)内の少なくとも1つの測定点(x)における温度温度(Tx)を、異なる複数の時間(t)で測定するように設計される、ロードフィニッシャであって、
前記制御部(50)は、
前記舗装層(E)の舗装時に、第1の時間(t1)より後の第2の時間(t2)における同じ測定点(x)で、想定される資材の固有冷却(11)に反して、前記第1の時間(t1)において検出された温度値(Tx)よりも高い温度値(Tx)が前記基準温度範囲(Tnom)内で検出された場合に、前記第1の時間(t1)に前記測定点(x)が前記干渉物体(9)に覆われていると検出するように構成され、
前記第1の時間(t1)で検出された前記温度値(Tx)の代わりに、前記測定点(x)における新たな温度値(Tnewとして前記第2の時間(t2)において検出された前記高い温度値(Txを、前記温度場(TF)に割り当てるように構成されることを特徴とする、ロードフィニッシャ。
【請求項15】
前記制御部(50)は、前記舗装層(E)に対して前記温度場(TF)が生成されるときに、少なくとも1つの隣接する測定点(x)で判定された冷却係数(15)を包含する、前記同じ測定点(x)で記録された、より後のより高い前記温度値(Tx)を、前記測定点(x)での新たな温度値(Tnew)として使用するように構成されることを特徴とする、請求項14に記載のロードフィニッシャ。
【請求項16】
前記制御部(50)は、前記舗装層(E)に対して前記温度場(TF)を生成するときに、前記第1の時間(t1)で検出された前記温度値(Tx)が前記温度閾値(Tthres)を超えない場合に、前記第1の時間(t1)で検出された温度値(Tx)の代わりに前記新たな温度値(Tnew)を利用するように構成されることを特徴とする、請求項14または15に記載のロードフィニッシャ。
【請求項17】
前記検出部(6)は、少なくとも1つのラインセンサ(7)を有し、
前記少なくとも1つのラインセンサ(7)は、前記測定範囲(B)内で、舗装(E)の方向と交差する方向に延在する少なくとも1つの測定線(10)に沿った複数の測定点(x)のそれぞれの温度値(Tx)を検出するように設計され、
前記ラインセンサ(7)は、前記ロードフィニッシャ(1)に移動可能に取り付けられることで、舗装動作時に前記少なくとも1つの測定線(10)が、前記舗装方向(F)とは反対方向に少なくとも一時的に、異なる複数の時間(t)で移動可能となり、当該測定線(10)上に並ぶ前記測定点(x)のそれぞれの前記温度(Tx)を検出することを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載のロードフィニッシャ。
【請求項18】
前記検出部は、少なくとも1つの赤外線カメラ(7’)を有し、
前記赤外線カメラ(7’)は、前記測定範囲(B)内で、前記舗装(E)の方向と交差する方向に延在する少なくとも1つの測定線(10)に沿って、複数の測定点(x)における温度値(Tx)を検出することを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載のロードフィニッシャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の温度場を生成する方法と、独立請求項14に記載のロードフィニッシャに関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルトの処理温度は、アスファルト道路建設における、重要な処理変数である。即ち、利用特性に大きく影響する。当該特性の具体例としては、耐加重量、層間の接着性、敷設された舗装路の寿命が挙げられる。したがって、新たに敷設された路面の舗装温度の測定が益々重要になっている。また、政府機関が、舗装温度の計測、検証を求めることが、より一般的になってきている。
【0003】
しかし、舗装時に、干渉物体により対象路面の温度の不正確な測定が繰り返し生じてしまう。干渉物体とは、建設現場作業員、ローラーまたは測定器具等である。これらは、少なくとも一時的に、舗装スクリードの後方で、新たな路面上の測定領域に位置し、舗装スクリードの後方の温度場のいくつかの測定点を隠してしまうものである。この状態で、生成される温度場の固有温度が撮像されると、少なくともその箇所にて、温度場が変造されてしまう。当該一時的な干渉物体の固有温度が、想定される温度範囲から明らかに乖離するためである。したがって、このような状況は、特に検証書類として不都合を生じてしまう。
【0004】
現状、ロードフィニッシャの舗装スクリード後方の新たに敷設された路面の温度の測定に、各種測定システムが利用されている。即ち、赤外線スキャナ、往復式高温計ユニット、複数の高温計(高温計アレイ)等である。これら装置は、敷設された舗装層の温度分布としての、ある程度範囲が限られた温度画像の生成に利用できる。
【0005】
このため、赤外線カメラを利用したシステムが知られている。当該カメラによる画像データは、ソフトウェアにより走査線に変換される。走査線は、スクリードの後縁から所与の距離で離間している。各走査線は、敷設された層を横切る方向の温度曲線を示す。
【0006】
より均一な温度場の画像、即ち、個別の低温点のない画像を生成するため、基準温度測定の補間により、実際の温度測定処理下流の制御処理において、中間非基準温度測定(低温点)を上書きするように構成されたシステムが実際に使用されている。しかし、この補間による方法には欠点がある。即ち、過度に低温の舗装資材で実際に検出された必要な測定値が上書きされ得るのである。したがって、温度場において、舗装層に一時的に位置する干渉物体のみが検出、補正されるわけではない。
【0007】
特許文献1は、検出部が取り付けられたロードフィニッシャを開示する。この構成により、ロードフィニッシャにより新たに敷設された舗装層の温度が検出される。この際、検出された低温点は、締固め動作のために、ロードフィニッシャのマーキング装置により特定される。
【0008】
特許文献2は、装置が取り付けられたロードフィニッシャを開示する。当該装置は、路面用資材の温度判定用のもので、赤外線温度センサを有する。当該センサは、接続されたモータにより、ロードフィニッシャの走行方向と交差する方向に枢動可能に配置される。
【0009】
特許文献3は、屋根にサーモグラフモジュールが配置されたロードフィニッシャを開示する。当該モジュールは、ある領域において検出された温度値に基づいて、1つまたは複数の乖離条件が満たされた場合に、当該領域を敷設された舗装路の乖離領域として検出するように設計されている。当該乖離領域に、例えば一時的な干渉物体に関する画像を割り当てることができる。
【0010】
特許文献4は、温度測定装置を有するロードフィニッシャ用システムを開示する。当該装置は、敷設された舗装路の温度値を繰り返し記録することで、ロードフィニッシャにより舗装された舗装路の冷却挙動を判定するように使用できる。
【0011】
特許文献5は、道路建設に利用される混合資材の固有の冷却挙動を判定する方法を開示する。
【0012】
特許文献6は、サーモグラフ装置が取り付けられたロードフィニッシャを開示する。当該装置は、スクリード後方で敷設された層のうち少なくとも1つの領域の温度分布の検出利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際特許公報WO00/70150A1号
【特許文献2】独国特許第10,2014,222,693A1号
【特許文献3】欧州特許第2,982,951A1号
【特許文献4】欧州特許第2,990,531A1号
【特許文献5】欧州特許第2,666,908A1号
【特許文献6】欧州特許第2,789,741A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
舗装路に沿った温度場に基づいて、舗装層の実際の品質の評価をより良く実現できるようにするために、または電子的評価および/またはさらなる処理を向上するために、温度場の測定範囲内において、測定不良(特に、一時的干渉物体による温度場内の測定不良)をなくす、または無視できるほど少なくすることが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、舗装層における実際の資材の欠陥と、新たな舗装層に一時的に位置する干渉物体による特定の測定不良とを区別可能とする方法およびロードフィニッシャを提供することである。これにより、干渉物体に関する測定不良について修正された温度場が生成できる。
【0016】
本発明の目的は、請求項1に記載の方法と、独立請求項14に記載のロードフィニッシャにより達成される。
【0017】
従属請求項に、本発明のさらなる有利な展開が示される。
【0018】
本発明は、ロードフィニッシャの舗装スクリードにより敷設された舗装層の少なくとも1つの区域における温度場を生成する方法に関する。温度場において予め定められた少なくとも1つの測定範囲内で、敷設された舗装層上に一時的に位置する干渉物体が検出される。当該干渉物体の固有温度は測定範囲についての所望の基準温度値未満である。したがって、干渉物体の固有温度の画像は、生成される温度場を少なくとも一部変造してしまう。干渉物体は、測定範囲内の少なくとも1つの測定点の温度が、異なる複数の時間で測定されることで検出される。
【0019】
本発明によると、想定される資材固有の冷却に反して、第1の時間よりも後の第2の時間において、同じ測定点で、当該先行する時間で検出された温度値よりも高い温度値(特に基準温度範囲内の)が検出されると、舗装層を敷いている間、測定点が干渉物体により覆われていると解される。そして、第1の時間に検出された温度値の代わりに、当該測定点の新たな温度値が、温度場内に割り当てられる。
【0020】
本発明において、温度場とは、各測定点(ルームポイント)に温度が割り当てられた、二次元温度分布を指す。温度場において、各測定点における特定の温度は、特定の色で表すことができる。本発明において、温度場は、新たに敷設された舗装層の表面の温度分布の熱画像となることが好ましい。
【0021】
本発明によると、測定点で記録された温度勾配は、温度場における測定点の干渉物体を示す。当該干渉物体は、当該箇所に、測定期間内において少なくとも一時的に位置したものである。したがって、当該干渉物体は、当該箇所での被覆資材の実際の所望の温度測定を妨害している。温度勾配は、干渉物体の位置を信頼性高く検出可能にする、シンプルなパラメータとなる。
【0022】
したがって、本発明により、舗装温度検出が干渉物体により一時的に妨害された個所でも、実際に測定された舗装温度を、温度場における測定範囲の各点に割り当てることができる。言い換えると、本発明により、温度場の生成時に、干渉物体に関連する温度値を信頼性高く除外できる。
【0023】
各測定点での温度検出は、舗装時に、繰り返し測定間隔で実行されることが好ましい。測定間隔は、舗装速度に基づいて制御できる。これにより、干渉物体を信頼性高く検出できるように、各測定点において、温度測定が、十分な回数繰り返し実行できる。したがって、本発明に係る方法によると、各測定点において温度測定を連続的に実行し、干渉物体を検出して、信頼性高く温度場生成から除外することができる。
【0024】
本発明により検出可能の干渉物体の例として、ロードフィニッシャの後を走行して、ロードフィニッシャが敷いた新たな舗装層を、所定高さに締固めを行うローラー車両が挙げられる。さらに、レベル計のような測定ユニットも、測定範囲内で、新たな路面に一時的に位置し、温度場生成に干渉し得る。測定範囲内に位置する、または測定範囲を横切ることで温度場測定に干渉する作業員も、干渉物体として検出され得る。基本的に、新たな舗装層の一部ではなく、所望の測定点での温度の検出を直接妨げるあらゆるものを、干渉物体として検出可能である。
【0025】
本発明においては、干渉物体に関する疑わしい測定値を、単純な方法ステップにより検出できる。特に、ロードフィニッシャに設けられ使用している技術に基づいて、温度場を修正できる。即ち、干渉物体に関する測定不良をなくせるか、少なくとも大幅に低減できる。したがって、全体的により有意な温度場が生成でき、品質管理に供することができる。
【0026】
さらに、本発明により、干渉物体に関連する測定不良について修正された温度場は、制御処理用の制御入力変数としてより有効に使用可能である。例えば、ロードフィニッシャそのものに載せる、および/または舗装に関するその他車両や設備に載せる、特定の舗装機能のシーケンス制御に対する制御入力変数として利用できる。その他車両または設備の例としては、資材混合工場、資材供給車両、および/または締固め車両が挙げられる。これにより、該当する作業処理の最適な制御が図られる。
【0027】
最後に、本発明に係る方法には次の技術的利点がある。即ち、干渉物体に関連する測定不良について温度場が修正されているので、公知の手法よりも、データ保存容量の使用量を削減できる。したがって、当該温度場はより良い検証書類として提供でき処理できる。
【0028】
本発明の一変形例では、評価ソフトウェアの物体認識を利用して、干渉物体を検出する。好ましくは、評価ソフトウェアは、舗装速度に対して物体が動いているかを確認して、干渉物体を検出する。
【0029】
新たな舗装層の温度場を生成する際、同じ測定点のより後の時点で記録されたより高い温度値を、測定点の修正値としての新たな温度値に利用することが好ましい。但し、これは当該より高い温度値が、基準温度範囲内または調整された基準温度範囲内にある場合に限る。
【0030】
これは制御技術に関しては、例えば制御部が、温度測定の第1の時間に測定された干渉物体の位置による過度に低い温度値を、より後の時間に記録された同じ測定点の実際の温度であるより高い温度値で上書きすることで実現できる。これは、シーケンス制御処理で実行できる。したがって、測定点での干渉物体の温度は、測定点でさらに高い温度が検出されるまで、温度場に設定されたままとなる。これにより、干渉物体が位置することにより、最初に測定点に不正に割り当てられ得る元の干渉物体の温度が、その後の舗装中に、測定点での舗装資材の実際の舗装温度で置き換えられる。これは特にフィードバック制御で実現される。したがって、同じ測定点で得られた値を、時間経過後に、新たな温度値により修正可能となる。
【0031】
得られた新たな温度値に第1の時間に検出された温度値を置き換える前に、少なくとも1つの隣接する測定点における所定のまたは判定された冷却係数を考慮して、同じ測定点でより後の時間に検出されたより高い温度値で修正することで、測定点での冷却を考慮でき、実際の舗装時において上記方法がより良く利用できる。これにより、干渉物体が測定点に如何に長く位置したかが問題とならない。即ち、冷却係数を利用すれば、先行する第1の時間において、仮に干渉物体が測定点に存在しなかった場合の、温度場における測定点の実際の温度を正確に把握できるのである。
【0032】
一変形例において、新たな温度値は、特徴的な領域を利用し、測定点xにおいて検出された温度勾配に基づいて計算されることが好ましい。
【0033】
本発明の一実施形態によると、妥当性の確認が行われる。即ち、舗装層の温度場生成時に、第1の時間で検出された温度値が、温度閾値を超えない場合、新たな温度値に置き換えられる。これにより、温度閾値未満の温度値である干渉物体に関する測定不良のみが(すなわち、舗装資材が過度に低温の個所に設けられたことを示す、舗装層における舗装資材の実際の測定不良以外の不良が)修正されることが保証される。
【0034】
温度閾値を利用することで、処理において、干渉物体に関連する測定不良と、舗装資材に関連する測定不良(即ち、舗装層の低温点)とを容易に明確に区別できる。即ち、干渉物体に関連する測定不良が正確に温度場から除外されるのである。一方、通常の温度閾値を超えるが、標準値には至らない温度の測定不良は、温度場に含まれる。したがって、温度場は舗装不良を信頼性高く示す。即ち、敷設された舗装層に沿った数か所で、舗装資材が過度に低温で敷設されたことを示すのである。温度閾値は、ロードフィニッシャで測定された周辺温度および/または測定点における測定時間の経過に基づいて調整可能であることが好ましい。
【0035】
特に、いくつかの測定点のそれぞれの温度値が、測定範囲内で、舗装方向または当該方向に交差する方向に延在する少なくとも1つの測定線に沿って検出されることが有効である。また、測定線に沿って解像度が可変であることが好ましい。これにより、異なる様々な品質要件に対して、有効に走査精度を調整できる。
【0036】
各測定点において、時間をずらして温度検出が可能である。これは特に、少なくとも1つの測定線が、舗装層の舗装時に、少なくとも一時的に舗装方向とは反対方向に、異なる複数の時間で動かされることで実現可能である。したがって、当該線上の測定点のそれぞれの温度が測定される。舗装動作中にロードフィニッシャが緩やかに舗装方向に動く際、測定線は所定の測定場の長さ方向に沿って緩やかに移動する。当該移動は、スクリードの後縁から始まることが好ましい。測定線の移動は、温度測定場上を舗装方向とは反対の後ろ向きに移動する。温度測定場領域が、ライン走査動作により、間隔を空けて何度も走査可能であることが考えられる。これにより、舗装層に位置する干渉物体が検出される。モータ駆動のラインセンサを、ライン走査動作用に利用できる。
【0037】
好ましい実施形態では、赤外線カメラの利用が意図される。これにより、撮像画像内に、複数の走査線を入れることができる。
【0038】
好ましい実施形態において、少なくとも1つの測定線の動作シーケンスが、舗装処理パラメータ、特に、ロードフィニッシャの舗装速度に基づいて制御される。測定線の動作シーケンスに関する走査速度が、記録された舗装速度に基づき、特にロードフィニッシャの舗装速度に比例して、自動制御されることが考えられる。測定線は、舗装速度の倍数である走査速度で、測定範囲を通過できる。これにより、干渉物体の位置を信頼性高く検出できる。
【0039】
また、ロードフィニッシャの、検出された舗装速度に基づいて、測定線が連動して動く方式が実装されることも考えられる。これにより、ロードフィニッシャの舗装モードに最適な測定処理が適用される。
【0040】
本発明の実施形態によると、舗装スクリードのスクリード後縁に対して所定距離で、舗装方向に交差する方向に延在するように並んだ複数の測定線に沿って、当該各測定線上の測定点それぞれの温度が、舗装層の舗装中に同時に検出される。例えば、ロードフィニッシャに取り付けられた赤外線カメラにより、舗装層の舗装中にそれぞれの温度が検出される。これにより、スクリードの後方において、舗装層の表面の二次元温度検出が可能となる。
【0041】
異なる種類のロードフィニッシャ、特に異なる舗装幅について、走行方向と交差する方向に延在する測定線が、舗装層の舗装幅に基づいて手動および/または自動調整可能であることが特に好ましい。
【0042】
実際に、舗装時間の経過に応じて、少なくとも1つの測定点(特に測定線内に並べられた測定点)の基準温度範囲が調整されることが有利である。これは、少なくとも1つの隣接する測定点について判定された冷却係数を考慮することで実現できる。これにより、舗装層上の測定点に干渉物体が長期間位置した後でも、測定点について本来定義されていた基準温度範囲に関して検出され、すでにかなり冷却された舗装資材の温度を、干渉物体に関する測定不良に遡及的に結びつけることができる。そのため、舗装層上の測定点に干渉物体が長期間位置した後でも、第1の時間の時点で不正に検出された温度値を遡及的に修正できる。舗装時間が長くなるほど、基準温度範囲は舗装中の先行する時点よりもより低い温度値を含む傾向にある。
【0043】
好ましくは、干渉物体が検出されると、視覚、聴覚、および/または触覚的信号が前記ロードフィニッシャ、干渉物体自体、および/または舗装に関与するその他車両に発せられる。これにより、舗装現場にいる作業員に温度場の生成について通知し、特に検出された干渉物体を温度測定範囲から除外することを通知するものである。
【0044】
本発明はさらに、舗装層を敷く舗装スクリードと、舗装スクリードの後方の、敷設された状態の舗装層の少なくとも一部の温度場を生成する検出部と、検出部による測定値に基づいて、温度場の少なくとも1つの所定の測定範囲内の舗装層に一時的に位置する干渉物体を検出するように構成された制御部とを備え、干渉物体の固有温度が測定範囲に対する所望の基準温度未満であることによって、生成される温度場における干渉物体の固有温度の撮像で温度場の少なくとも一部が変造される、ロードフィニッシャに関する。
【0045】
本発明によると、検出部は、干渉物体を検出するため、測定範囲内の少なくとも1つの測定点における温度を、異なる複数の時間で測定するように設計される。本発明に係るロードフィニッシャの特徴として、制御部は、舗装層の舗装時に、第1の時間に測定点が干渉物体によって覆われていることを検出する、即ち、想定される資材の固有冷却にもかかわらず、舗装時のより後の第2の時間に同測定点において、それ以前の第1の時間に検出された温度値よりも基準温度範囲内で高い温度値が測定された場合に干渉物体によって覆われていることを検出するように構成され、さらに、第1の時間で検出された温度値の代わりに、測定点における新たな温度値を、温度場に割り当てるように構成される。
【0046】
したがって、本発明に係るロードフィニッシャは、制御処理により疑わしい温度測定を、遡及的に修正するように構成される。疑わしい温度測定とは、舗装層の測定点において、時間とともに上昇する温度を示すものである。このため、当該温度測定が残ったまま、温度場が生成されることはない。したがって、全体的により正確な温度場が生成でき、品質管理に利用できる。
【0047】
測定点の実際の温度値を反映せずに干渉物体により検出された温度値は、制御部が舗装層の温度場を生成する際に以下のように構成されている場合に、特定の精度で修正できる。即ち、特に少なくとも1つの隣接する測定点について判定された冷却係数を考慮して、同じ測定点で後に検出されたより高い温度値を、新たな温度値として利用するのである。
【0048】
舗装層において、資材が過度に低温となっていることを、温度場内で信頼性高く示すために、制御部は、舗装層の温度場を生成する際に、第1の時間で検出された前記温度値が、前記温度閾値を超えない場合に、前記新たな温度値を前記第1の時間で検出された温度値の代わりに利用するように設計されることが好ましい。したがって、本発明における温度測定場修正は、舗装層に沿った測定点のうち、一時的に位置する干渉物体の温度が検出された測定点のみを実際に考慮して行われれる。したがって、実際の舗装資材による不良が、舗装層上の、温度閾値よりも高く、基準温度範囲未満の温度が検出された点として温度場にマッピングされる。
【0049】
好ましい実施形態では、検出部は少なくとも1つの赤外線カメラを有し、赤外線カメラが、測定範囲内で、舗装方向と交差する方向に延在する少なくとも1つの測定線に沿って、複数の測定点の温度値を検出する。
【0050】
別実施形態では、検出部が、少なくとも1つのラインセンサを有し、少なくとも1つのラインセンサが、測定範囲内で、舗装方向と交差する方向に延在する少なくとも1つの測定線に沿った複数の測定点のそれぞれの温度値を検出するように設計され、ラインセンサが、ロードフィニッシャに移動可能に取り付けられることで、少なくとも1つの測定線が、舗装動作時に、舗装方向と反対方向に、少なくとも一時的に移動可能となることで、当該線上の測定点の各温度が異なる複数の時間で検出される。
【0051】
本発明を、図面を参照により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1図1は、スクリードの後方で、新たに敷設された舗装層の少なくとも1つの区域の温度場を生成する検出部を有するロードフィニッシャを示す。
図2a図2aは、干渉物体の測定不良を含む、新たな舗装層の温度場を示す。
図2b図2bは、本発明に係る、干渉物体に関する測定不良に対して調整された、新たな舗装層の温度場を示す。
図3a図3aは、検出された干渉物体を含む、温度場の概略図である。
図3b図3bは、干渉物体が、対応する各測定不良に関連付けられた、温度場の概略図である。
図4図4は、舗装層の温度場を検出する、ロードフィニッシャに移動可能に取り付けられたラインセンサまたは表面センサの概略図である。
図5図5は、異なる複数の時間で測定点の温度を生成するための、ライン走査シーケンスの概略図である。
図6図6は、干渉物体を示す、測定点での温度勾配曲線の概略図である。
図7図7は、本発明に係る方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、舗装層Eを生成するロードフィニッシャ1を示す。ロードフィニッシャ1は、舗装スクリード2を有する。舗装スクリード2に、長手方向の運搬装置(不図示)を介して、資材ホッパー3から舗装資材Mが供給されて、舗装層Eの舗装が行われる。舗装スクリード2の前で、運搬された舗装資材Mが、拡散オーガー4によって舗装幅に合わせて分散される。
【0054】
ロードフィニッシャ1の屋根5には、舗装層Eの表面温度分布を測定する検出部6が取り付けられる。検出部6には、ラインセンサ7または赤外線カメラ7’が設けられる。このセンサまたはカメラは、線単位で、それぞれの測定点xの各温度を検出する。当該測定点xは、舗装方向Fと交差する測定方向Rにおいて、少なくとも舗装方向Fとは反対側で間隔を空けて、舗装層Eの舗装幅全体に分散配置される。ラインセンサ7は、測定範囲Bを連続的に線単位で走査して、測定範囲B内の測定点xにおいて、基準温度値Tのみが検出されるかを認識できる。温度分布測定のため、測定線10(図3a参照)は、舗装方向Fとは反対方向の測定方向Rで、スクリード後縁8から所定距離、緩やかに移動可能である。これにより、測定範囲Bにおいて、温度分布が線単位で測定される。
【0055】
図2aは、干渉物体に関連する測定エラーMFinterfが撮像される温度場TF’を示す。即ち、図2aにおける温度場TF’のいくつかの個所に、検出された干渉物体9が示される。当該物体の固有温度Tinterfは、測定点xにおける所望の基準温度範囲Tnomよりも低い。したがって、舗装層Eに沿って、複数個所に配置、検出された干渉物体9の固有温度Tinterfが撮像されることにより、図2aのように温度場TF’の変造が生じる。
【0056】
図2bは、図2aに示す干渉物体について調整された温度場TFを示す。この調整は、本発明に係る複数の測定により実現できる。図2bには、均一温度分布による温度場TFが示されている。即ち、資材の測定不良MFMatは、2つの測定点10aおよび10bでのみ確認されている。当該測定点10aおよび10bでは、実際、温度の低すぎる舗装資材Mが敷かれている。図2aに示すような干渉物体9は、温度場TFから除かれている。即ち、本発明に係る方法により、除外、または上書きされているのである。したがって、舗装層Eの実際の資材品質に対するより良好な質的評価が可能となる。
【0057】
図3aは、舗装層Eの温度場TFの測定範囲Bを示す。図3aにおいて、測定範囲B内の各測定点xにおいて検出される温度値Tは、舗装方向Fを横切る方向で延在し、互いに間隔を空けて配置される複数の測定線10に沿って検出される。
【0058】
Xマークがついた測定点xに、干渉物体9が位置する。干渉物体9は図3aに示す各スナップショットの通りである。干渉物体はそれぞれ、基準温度範囲Tnom外で、温度閾値Tthresよりも低い固有温度Tinterfを有する。図3aにおける、〇マークのついた測定点xにおいて、実際の舗装不良16が生じている。これら測定点xでは、温度の低すぎる舗装資材Mが使用されている。
【0059】
本発明によると、ある測定点xで以前の時間tx-1に測定された温度値T(基準温度範囲Tnom内にある)よりも、舗装時の後の時間tx図5参照)により大きな温度値Tが測定されると、これは想定された資材の固有冷却11(図3b参照)とは乖離した現象であるため、干渉物体9が検出される。ただし、ここで、基準温度範囲Tnomよりも低い温度であると先に検出されていた温度Tが、温度閾値Tthresを超えない場合に限ることが好ましい。
【0060】
図3bは、温度場TFの測定範囲Bに沿って位置し得る干渉物体9を概略的に示す。測定範囲Bの太線で囲った領域12において、3つの連続した測定線10における複数の測定点xで、温度基準範囲Tnom外の温度Tが測定されている。これは、図3bによると、ロードフィニッシャ1の後を走るコンプレッサ車両13を示す。コンプレッサ車両13は、温度測定されている舗装層E上を走行する。舗装方向Fにおいて、測定範囲Bよりも前方で、舗装層E上に人14が検出されている。検出された人14と、範囲12で検出されたコンプレッサ車両13との間の測定範囲Bでは、測定区域S1の各測定点xにおける4本の連続した測定線10で、所望の基準温度範囲Tnomに対して均一な温度分布となっている。測定範囲Bの測定区域S1において、舗装資材Mの冷却係数15を反映した、資材の固有冷却11が判定される。
【0061】
測定範囲Bの後方の測定区域S2では、後から三番目の測定線10に沿って、4つの連続した測定点xで、舗装不良16が検出される。即ち、所望の基準温度範囲Tnomよりも低いが、温度閾値Tthresよりも高い資材温度が、これら測定点xで検出されるのである。干渉物体に関連する測定不良MFinterfと異なり、資材の測定不良MFMatは、舗装層Eにおける実際の舗装不良を示し、最終的に、温度場画像TF(図2b参照)の生成に含まれる。
【0062】
図4は、舗装スクリード2を有するロードフィニッシャ1を上から見た、概略図である。図4は、ラインセンサ7を有するロードフィニッシャ1という変形例と、表面センサ17を有するロードフィニッシャ1という異なる変形例とを示す。図4に示すように、舗装層Eの温度分布TFを検出するため、ロードフィニッシャ1に、ラインセンサ7または表面センサ17が設けられる。
【0063】
舗装スクリード2の後方での舗装層Eの舗装時に、ラインセンサ7は、測定線10の各測定点xでの温度Tを検出する。測定線10は舗装時に、スクリード2の後縁8から緩やかに測定方向R、即ち、舗装方向Fとは逆方向に離れていく。測定線10を、舗装方向Fと反対方向に、ある程度の繰返し間隔を空けた線単位で後方に移動させることで、測定線10に沿ったいくつかの測定点xのそれぞれの温度Tが複数回サンプリングできる。したがって、測定範囲B内で、干渉物体9を検出できる。
【0064】
図4に概略的に示すエリアセンサ17により、測定範囲Bにおける異なる複数の測定点xそれぞれでの温度Tを、領域全体即ち、数本の測定線10に沿って同時に検出できる。図4においては、エリアセンサ17が網羅する二次元測定面Qが、測定範囲B全体に対応するが、測定面はより小さくてもよい。
【0065】
検出部6により検出された各温度値Tは、ロードフィニッシャ1の制御部50に供給される。制御部50は、図2bに示すように温度場TFを生成するように構成される。当該温度場は、干渉物体に関連する温度測定MFinterfについて修正されたものである。
【0066】
図5は、舗装区域Sにおいて、異なる時間t1からt4で測定点xにおいて測定された温度Txを時間に沿って概略的に示す。
【0067】
時間t1からt3では、舗装中に測定点xで検出された温度値Txは、干渉物体9のものであり、各測定点xを丸で囲って示す。即ち、測定点xそれぞれの温度値Txが、所望の基準温度範囲Tnomよりも低く、さらに温度閾値Tthresよりも低いのである。
【0068】
時間t4では、干渉物体9は既に測定点x上になくなっており、測定点xを四角で囲うことで示している。したがって、この時点では基準値の温度値Txとなる。干渉物体9の固有温度Tinterfを温度場TFにマッピングすると、時間t4での温度値Txに対応する新たな温度値Tnewが、測定点xに割り当てられる。新たな温度値は、必要であれば、少なくとも1つの隣接した測定点xの、判定された冷却係数15(図3b参照)に基づいて修正できる。そして、新たな温度値Tnewが、TF温度場において、元の干渉物体に関連する温度値Txを上書きするように用いられる。
【0069】
図6は、所定の時間tの間に検出された、所定の測定点xにおける温度値Txを概略的に示す。時間t1では、測定点xにおいて温度C1が検出される。C1は、基準温度範囲Tnom外で、温度閾値Tthres未満である。図6はさらに、温度値Txが時間t1からt6にかけて、資材固有の冷却で下がっていることを示す。
【0070】
さらに、図6は一般的に干渉物体の検出を示す複数の温度勾配TGradを示す。例えば、時間t1に干渉物体9が位置する測定点xは、時間t2で解放される。即ち、干渉物体9は、時間t2には測定点xに位置しなくなるのである。したがって、時間t2では、測定点xにおいて、時間t1で検出される固有温度Tinterf(C1)ではなく、温度C2が検出される。図6に示すように、温度C2は基準温度範囲Tnom内で、新たな温度値Tnewに変換可能である。この際、好ましくは、隣接する測定点xの冷却係数11が考慮される。あるいは、所定の資材の固有冷却係数が利用される。新たな温度値Tnewは、制御50により、温度場TFにおける測定点xで利用される。
【0071】
干渉物体9が測定点xにより長期間、例えば時間t6までとどまる場合、図6に示すように、測定点xの解放に伴い、時間に基づいて調整される基準温度範囲Tnom'内の温度C2’が検出される。新たな温度値Tnewは、図6に示すように、冷却係数11を使用して
時間t6において求められる。したがって、干渉物体9が測定点xに長期間とどまった後でも、新たな温度値Tnewが温度場TFにおける測定点xに利用される。
【0072】
図6に示すように、好ましくは、経過時間tに対して、温度閾値Tthresは調整可能である(変動y)。これは、例えば基準温度範囲Tnomの調整に比例して実現できる。
【0073】
図7は、本発明に係る方法の概略図である。第1の方法ステップにおいて、ロードフィニッシャ1は舗装動作18中である。舗装動作18中、ロードフィニッシャ1は舗装層Eを舗装している。ロードフィニッシャ1は舗装方向Fに緩やかに移動する。その際に測定線10は、スクリード2の後縁8から離間するように後方の測定方向Rへと緩やかに移動する。これにより、測定範囲Bにおける温度分布の複数測定が実行される。あるいは、図4の領域測定が可能である。
【0074】
測定範囲B内の測定点xにおいて、温度測定は以下の処理ステップにより、数回実行されるようになる。これにより、干渉物体9が測定範囲Bの測定点xに一時的に位置するか、判断される。したがって、位置すると判断された場合、温度場TFがそれに応じて修正できる。
【0075】
温度測定により、所望の温度範囲Tnom未満だが、温度閾値Tthresを超える温度値Tが検出された場合、方法ステップ19aにおいて、対応する測定点xにおいて舗装資材不良(舗装資材欠陥)が位置すると判定され、これが方法ステップ19bにおいて温度場TFにマッピングされる。一方、測定温度が基準温度ではなく、温度閾値Tthres未満であれば、方法ステップ21において、干渉物体9が対応する測定点xに位置すると判定される。
【0076】
ステップ22において、その後の時間t2,3,4において、干渉物体に関連する温度Tinterfが存在せず、資材の固有冷却11に関わらず、より高い温度Txが測定点xに位置することが検出されると(ステップ23)、この干渉物体9が測定点xにはもう位置していないと判定される。
【0077】
時間t2,3,4における測定点xでの現在温度Txは(ステップ24)、記録され、必要であれば、温度場TFで新たな温度Tnew(ステップ25)となるように冷却係数11を利用して修正される(ステップ26)。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7