(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内レース及び前記外レースのそれぞれは、ある軸線に中心が置かれており、第1外ローラーに接触する第1内ローラーの各対について、トラクション角度φは、第1内ローラーの中心を通って前記軸線から外向きに延びる第1のラインと、第1外ローラーと前記外レースとの接点及び第1内ローラーと前記内レースとの接点から延びる第2のラインとの間の角度として規定されており、第1内ローラーは、第1の摩擦係数CF1を有する前記内レースに接触しており、第1外ローラーは、第2の摩擦係数CF2を有する前記外レースに接触しており、CF1>tan(φ)及びCF2>tan(φ)である、
請求項1に記載の減速装置。
前記内ローラーは、第1の摩擦係数CF1を有する前記内レースに接触しており、前記外ローラーは、第2の摩擦係数CF2を有する外レースに接触しており、CF1及びCF2の少なくとも一方が、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.45、0.50又は0.60以上である、
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の減速装置。
前記内レース及び/又は前記外レースは、前記内レース及び/又は前記外レースの円筒形の接触面の外縁から軸線方向に測定された、中心位置に又はこの位置付近の前記レースの軸線に対して直交する平面の一方の側にある2つの円筒面で構成されている、
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の減速装置。
前記外ローラーは、2つの直径を有しており、前記内ローラーは、前記外レースが固定される場合に、ローラーの回転によって、一方向に前記ローラーの周回が生じて、ローラーの周回方向と同じ方向に前記内レースの回転がもたらされるような1つの直径を有する、
請求項1乃至25のいずれか一項に記載の減速装置。
前記外ローラーは、2つの直径を有しており、前記内ローラーは、前記外レースが固定される場合に、ローラーの回転によって、一方向に前記ローラーの周回が生じて、ローラーの周回方向と反対方向に前記内レースの回転がもたらされるような1つの直径を有する、
請求項1乃至25のいずれか一項に記載の減速装置。
前記外ローラーは、2つの直径を有しており、前記内ローラーは、前記外レースが固定される場合に、ローラーの回転によって、一方向に前記ローラーの周回が生じて、ローラーの周回方向と同じ方向に前記内レースの回転がもたらされるような2つの異なる直径を有する、
請求項1乃至25のいずれか一項に記載の減速装置。
前記外ローラーは、2つの直径を有しており、前記内ローラーは、前記外レースが固定される場合に、ローラーの回転によって、一方向に前記ローラーの周回が生じて、ローラーの周回方向と反対方向に前記内レースの回転がもたらされるような2つの異なる直径を有する、
請求項1乃至25のいずれか一項に記載の減速装置。
前記内ローラーは、前記外ローラーに対するよりも自身に対して低い摩擦係数を有する材料で形成されており、前記内レース及び前記内ローラーは、動作中に互いに接触する、
請求項1乃至45のいずれか一項に記載の減速装置。
前記外ローラーは、前記内ローラーに対するよりも自身に対して低い摩擦係数を有する材料で形成されており、前記外レース及び前記外ローラーは、動作中に互いに接触する、
請求項1乃至45のいずれか一項に記載の減速装置。
前記内ローラーは、分離した内ローラーに取り付けられた円形部材によって離間されており、前記分離した内ローラー同士の間に介在する前記内ローラー上でボスに当接する、
請求項1乃至51のいずれか一項に記載の減速装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施形態について、例としての図面を参照しながら説明する。同様の参照符号は、同様の要素を表す。
本発明の変速装置の好ましい実施形態は、本開示に記載される多数の所望の利益だけでなく他の利益も同様に提供することが可能であると考えられている。多要素自己増力式変速装置は、多くのその好ましい実施形態では、多数のユニークな特徴及び利点を含むトルク応答式トラクション駆動変速装置である。
【0021】
十分に高い減速比、十分に低い入力摩擦、及び十分に高い入力速度能力により、この変速装置は、境界層空気タービン、又は小型インダクタンス電気モータや可変リラクタンス電気モータ等の低トルク電気モータを含むがこれらに限定されるものではない低トルクの、十分に高い入力速度能力を使用することが、可能であると考えられている。
【0022】
正確な制御と組み合わされた(滑らかな、一定の)流体運動は、多くの従来のアクチュエータでは非常に困難である性能目標である。本発明の装置を用いる空気タービン入力の使用によって、ロボットアームの動作を含むがこれに限定されるものではないような、アクチュエータ・システムの正確な制御が、非常に高いレベルの精度及び流動性で可能になると考えられている。比例制御式の空気流(又はさらにパルス幅で変調された空気流)バルブは、回転運動を発生させるために、いずれかの方向にタービンへの空気の流れを制御する。
【0023】
本発明の装置の潜在的に低い摩擦(低抵抗の入力回転トルク)と、高速入力駆動特性とを利用することによって、本発明者は、各アクチュエータの動作の開始及び終了を正確に制御することができる一方、同時に、アクチュエータの自然な加減速特性によって加減速率がどのようになるかの特定の範囲を規定することを可能にすると考えている。
【0024】
本発明の装置のトラクションバージョン装置は、二重遊動輪式ローラーのトルク伝達機構で動作する。以下の説明は、いくつかの前提条件の概念から出発して原理の説明を段階的に行う。
【0025】
図1を参照すると、2つの等しいサイズの接触ローラー12が、水平方向に固定された2つの接触面14同士の間での平行軸線に対して垂直方向に位置決めされている場合に、それら接触ローラーは両方とも、同じ速度で回転するとともに、それら接触ローラーの垂直方向の整列を維持する(スリップが発生しないと仮定する)。一方のローラーが回転する場合に、他方のローラーも回転しなければならない。一方のローラーの回転が阻止される場合に、他方のローラーの回転も阻止される。
【0026】
図2を参照すると、この同じ原理によれば、一方のローラー16が、他方のローラー18よりも小さい場合に、ローラー16は、より大きなローラーよりもより速く回転するが、スリップが発生しない場合に、依然として垂直方向の整列を維持する。
【0027】
図3を参照すると、3つのローラー12が、三角形のスタックで使用される場合に、同じ原理が当てはまり、これらのローラーを介して一方の水平方向の接触面から他方の水平方向の接触面に力を伝達することが可能となる。ローラー12は、自由に回転することができるが、レースは、スリップすることなく、互いに対して移動することができない。力Aを、水平方向に移動可能なレース20に適用することができる。この力は、ローラー接触部を介して上部固定レース又は水平方向に移動可能なレース22に伝達される。
【0028】
この場合に、ローラーは、水平面に対して移動することができるが、(水平面同士の間の距離を一定と仮定して)水平面は、ローラー上でスライドすることなく互いに対して移動することができない。従って、水平方向の力を、ローラーの軸線に対して直交する一方の水平面(ここでは「レース」と称する)に適用することによって、その力は、ローラー/レース接触部を介して一方のレースに伝達され、ローラー同士は、他のローラー/レース接触を介して他方のレースに接触する。2つのローラーの角度が十分に小さければ、2つのローラー同士の間の十分に高い摩擦係数と組み合わされて、2つのローラーのみが、一方向に力を伝達するために必要とされ、ローラーとレースとの間で、ローラーのカム作用によって、表面接触部における非スライド・トラクション接触を維持するのが可能になる。摩擦係数が非常に小さい場合に、又は、ローラーの角度が非常に大きい場合に、次にその力のみが、ローラーに前負荷が与えられている場合に、トラクション接触を介して一方のレースから他方のレースに伝達される。この図では、前負荷は、2つの底部ローラーに一緒に力を加えることによって達成され、次に、単一の上部ローラーが上向きに押され、2つの底部ローラーが下向きに押される。
【0029】
一方のレースから他方のレースに力を伝達しながら、ローラーが自由に回転することができるが、同時に、レースは互いに対して移動することができないという事実は、一部の見識者にとって経験にそぐわないかもしれない。何故なら、我々は、レース接触部が互いに対して自由に回転するが、一方で、ローラー軸受の表面が、単列のローラーでローラー軸受において自由に回転するようなローラー軸受に慣れているため、ローラー自体は、(スリップが発生しない限り、)レースに比べて一定の比率で転がり、レースと独立して自由に移動することはないからである。
【0030】
比較すると、
図3において一方の水平面から他方の水平面に力を伝達するような、本発明の装置の二重ローラーは、それら二重ローラーが、他方のレースに対する一方のレースの移動を防止する際に、同時に自由に回転することができる。
【0031】
図4を参照すると、ここで作動する別の原理は、力が、角度付ローラーを介して一方のレースから他方のレースに加えられたときに、互いに対して角度の付いたローラーの「カム作用」から得られるような自己増力特性である。この図は、従来の2つの大型円筒ローラー軸受26によって離間された2つのレースを示している。本発明の装置の2つの力伝達ローラー12のみが、単一方向の力の伝達を説明するために使用される。この場合に、大型円筒ローラー26によって、レース同士の間の距離が設定され、底部レース24に加えられ水平方向の力Bは、2つの小型ローラー12を介して上部レース32に伝達される。この図に示される最も重要な特徴は、ローラーに加えられる水平方向の力が、接点28と接点30との間の(破線垂直線からの)トラクション角度34によって、レース上で釣り合う垂直方向の力をどの様に形成するかということである。
【0032】
この垂直方向の「カム作用」の力によって、レース上の(及びローラー同士の間の)ローラーの接触力が増大され、レース同士の間での水平方向の力が増大する際に、トラクション接触部でのスライドが防止される。水平方向の力が加えられる前に、トラクション接触ローラー上に非常に小さい垂直方向の前負荷が存在する場合であっても、これは当てはまる。
【0033】
0.37以上の摩擦係数を有した状態で、ここに示されるような20°のトラクション角度によって、(
図3に示されるように)、第3のローラーの前負荷の助けを借りずに一方向にレースからレースへの力の伝達を可能にする。例えば米国、ペンシルバニア州、イーストピーターズバーグのリヒタープレシジョン(Richter precision)社から入手可能なホウ素表面処理等のホウ素注入鋼等の最大0.6までの摩擦係数(CF)を有する金属材料は、0.4の摩擦係数を有する。
【0034】
典型的なベリリウム銅は、鋼に対して注油されていない状態で最大0.8までのCFを有する。0.4〜0.5のCFを有するプラスチック材料の例は、PC/PETである。トーロン(登録商標)の特定のグレードは、0.35の摩擦係数を有しており、約19°以下のトラクション角度で使用することができる。
【0035】
図3では、第3の力伝達ローラーは、レース同士の間の水平方向の力の伝達を両方向に可能にするために使用される。内ローラー及び外ローラーを一緒に押圧する少量の前負荷を与えた状態で、この力伝達機構によって、力伝達の方向を、バックラッシュなしで逆にすることができる。ギヤ同士間の前負荷によって、摩擦、摩耗、ノイズ、さらには噛み合いの高いレベルがもたらされるようなギヤの歯とは異なり、ローラーは、純粋な転がり接触で動作するので、この前負荷は、本発明のシステムに対して不利益とはならず、この前負荷からもたらされる効率損失は非常に少ない。
【0036】
本発明の装置をどの様に使用することができるかの多数の例の1つとして、変速装置の回転式アクチュエータ用途における剛性は、その本発明の装置が、アクチュエータ・システムの正確な制御及び予測可能性を提供する際に、大抵の場合、非常に所望される特性である。本発明の装置の力伝達効果の回転剛性は、潜在的に、負荷が与えられたときに変形の主要な領域となるような、前負荷された(及び潜在的に非常に剛性を有する)ローラーの圧縮部と部分的にせん断部で非常に高くなる。本発明の装置で使用されるような構成は、増大したトラクション及び剛性について、多数のローラーの使用(例えば19個以上等の、50個又は100個以上まで)も可能にする。
【0037】
本開示のトラクションの実施形態は多くの利点を有しているが、ギヤの歯による相互接続は、接触領域が本明細書で開示されている場合に、一部又は全部で使用することができることに留意されたい。
【0038】
図1〜4に示される力伝達装置は、本発明の装置の動作原理のいくつかを実証するが、2つのレース同士間の変速機能を提供しない。実際には、レース接触部に対するローラーの表面速度が、両方のレースに対して同じであるため、その本発明の装置は、出力部(運動に関連する水平レース)に対する、ローラーである場合の直接的な運動による動作比率が1.0であるような無限速度比装置である。
【0039】
これは、変速装置として有用な機能を提供していないが、アセンブリ内の構成要素のサポート及び隔離するために使用することができる。
【0040】
固定式レース又は回転可能なレースから、別の固定式レース又は回転可能なレースにトルクを伝達するためにこの原理を使用するには、軌道ローラーの1つ又は複数のセットは、内レースの円形の外径(OD又は外面)と、外レースの円形の内径(ID又は内面)との間に位置決めしなければならない。ローラーによって回転が生じると、それらローラーは、トラクション(又はギヤ)接触によってレースに沿って転がる。ローラーとレースとの間の接触部の表面速度は、(非湾曲レースを含む上記の例のように)同様であるが、内レースの接触面の周囲部は、外レースの接触面の周囲部よりも小さい。それによって、ローラーが、各レース上で同じ又は類似の表面速度で回転する際に、(ローラーが互いに接触したままであると仮定して)、それらローラーは、
図5に示されるように、2つの円形レースを互いに対して回転させる。
図5では、外レース36は固定されており、内レース38は、時計回りに回転し、ローラー12に対する入力によって、それらローラーを反時計回りに周回させる。
【0041】
ローラーが小さくなると、レースの直径は、(付与されたトラクション角度について)互いに近い寸法になり、ローラーの周回速度と、基準(又は、固定された)レースに対する出力レースの速度との間の変速比がより高くなる。(注:この開示の目的において、一方のレース(又はいくつかの構成では複数のレース)は、出力レースと呼ぶことにし、他方のレース(複数可)は、固定式レース又は基準レース(複数可)と呼ぶことにし、特に断りのない限り、この他方のレースは、空間に固定される。)
【0042】
10個未満のローラーのセットを用いて(ここでは一方を「内ローラー」と呼ぶ、−すなわち、内レースのODと接触するような、2つの接触ローラーから構成されるセット内のローラーである−もう一方を「外ローラー」と呼ぶ(つまり、外レースに接触するような、2つの接触ローラーから構成されるセット内のローラーである))、及び(全ての外ローラーが、そのセットの内ローラーに接触しており、且つ隣接するセットの内ローラーとも接触するような)ローラーセットの完全な装備(full complement)を想定すると、変速比は、ロボット等の多くの高トルクの用途に所望されるような比より一般的に小さい。10個未満のローラーセットが、(比較的大きなローラーを必要とする)装備配置で使用される場合に、さらなる欠点は、レースの不要な変形を防止するためにより厚く且つ重いレースを必要とするような、レース上のローラーの不均一な力の分布である。このレースの変形は、ロボットやその他のアプリケーションにおいて最小化することが重要である。何故ならば、レースの変形は、転動要素又はギヤ付き要素が、アクチュエータの中心軸線の周りを周回する際に、望ましくない動きや振動を引き起こし、構造体に伝達されるからである。
【0043】
10個以上のローラーセットを使用するようなさらなる非自明な利点は、はるかに多数のトラクション接触からもたらされるような総トラクション力の増加である。
【0044】
外レースのIDを増加させることなく、ローラーの数を増やすには、より小さいローラーが必要になる。より小さなローラーは、ローラー当たり同じ負荷がかかった場合に増大したヘルツ(Hertzian)応力による欠点を有しているが、添付の調査は、セットの外レースのIDについて、追加のローラーの利点は、より小さいローラーの低減されたヘルツ応力限界値によって、各ローラー上の最大負荷の低減が必要であるにもかかわらず、10個から15個へのローラーのセットによって劇的に増大することを明らかにする。15より多いローラーについて、追加のローラーセットのトルク容量の利益は、著しく小さい。しかしながら、より高い変速比、より一貫性のある力の分布の利点は、ローラーの数が増加するにつれて、増加し続ける。10以上の、19以上の、20以上の、30以上の、40以上の、50以上の、60以上の、70以上の、80以上の、又は100以上のローラーセットを含むアクチュエータは、本発明者によって、多くの用途にとって実用的で且つ有益であるものとして想定される。例えば
図54に示されるように、いくつかの実施形態では、完全な装備として参照され、軌道ローラー40,42は、全ての内ローラー42が2つの外ローラー40と転がり接触しており、且つ全ての外ローラー40が2つの内ローラー42と転がり接触している状態で、内レースと外レースとの間に形成される環状体の周りに全体的に延びている。
【0045】
本発明の変速装置に適用されるようなこの原理の潜在的な利点は、以下の通りである。
・ゼロバックラッシュ
・サイズ及び重量に対する高トルク
・サイズ及び重量に対する高剛性
・高い精度
・高い変速比
・低いトルク入力
・必要に応じて自己ロック性
・必要に応じて逆転駆動可能性
・必要に応じて一体化された非常時噛合いクラッチ
・ロープロファイル
・軽量化
・一体型の空気、電動又は他のタイプのモータ
・大きな中心貫通孔
・入力エンコーダ及び出力エンコーダの統合の容易性
・高効率
【0046】
接触応力の計算は、2つの材料同士の間の摩擦係数に基づくような、最大限のトラクション力の補正を含むヘルツ線状接触に基づいている。
【0047】
1つの接触において許容可能な接触応力を求めるために、2つの式が必要になる。
【数1】
P
max=2F/πbl (2)
ここで:
b=楕円形の接触プロファイルの半値幅
P
max=材料が経験する最大応力
F=負荷荷重
l=接触長さ
E
1,E
2=それぞれの材料のヤング率
ν
1,ν
2=それぞれの材料のポアソン比
d
1,d
2=各円筒の直径、dは、円筒が、接触領域に対して凸面ではなく、凹面を規定する場合に、負であるとする。
【0048】
P
maxは、材料の圧縮強度又は(利用可能な場合に)材料の接触疲労強度のどちらかで、制限因子で与えられる。一旦、P
maxが決定されると、F
maxは、式(1),(2)との間で反復計算することによって解くことができる。反復計算は、1つの値を推測し、例えば、式(1)から対応するb値を求め、bの計算値を式(2)に当てはめ、新しいFを解くことを含む。これは、解が収束するまで繰り返され、両方の式を満たすF及びbの値が求められる。
【0049】
一旦、理論上の最大荷重が、上記式から計算されると、トラクション係数が適用される。トラクション係数によって、表面せん断力によって接触応力を増加させるような負荷が低減する。所定の摩擦係数についてP
maxの増加を判定するアルゴリズムが、TribologyABC.comによってもたらされ、以下のコード抜粋によって要約することができる。
<!−T
maxの補間−>
if(mu>=0.0&&mu<0.15){T
max=0.387−(041-0.387)*(mu/0.15)};
if(mu>=0.15&&mu<0.3){T
max=0.41+{0.51-0.41)*(mu-0.15)/0.15};
if(mu>=0.3&&mu<0.4){T
max=0.51+(0.579-0.51)*(mu-0.3)/0.1};
if(mu>=0.4&&mu<0.5){T
max=0.579+{0.686-0.579)*(mu-0.4)/0.1};
if(mu>=0.5&&mu<0.6){T
max=0.686+{0.811-0.686)*(mu-0.5)/0.1};
if(mu>=0.6&&mu<0.7){T
max=0.811+{0.937-0.811)*(mu-0.6)/0.1};
if(mu>=0.7&&mu<0.8){T
max=0.937+{1.064-0.937)*(mu-0.7)/0.1};
if(mu>=0.8&&mu<0.9){T
max=1.064+(1.19-1.064)*{mu-0.8)/0.1};
if(mu>=0.9&&mu<=1.0){T
max=1.19−(1.317-1.19)*(mu-0.9)/0.1};
if(mu>1){T
max=「未規定」};
dpc=(T
max/0.387);
dFl=l/(dpc*dpc)
<!−T
maxの補間−>
【0050】
上記アルゴリズムでは、dpcは、材料が経験する最大応力成分の増加を与える係数を表す。同様に、dFlは、最大許容ヘルツ負荷の減少を表す係数である。トラクションを補正するために、dFlによってヘルツ接触式から計算した負荷を単に乗算する。
【0051】
一旦、1つの接触部についての最大負荷が計算されると、アクチュエータのトルク移送能力は、シンプルなモーメントアームを使用して計算される。1つの接触部によって供給されるトルクは、次式で与えられる。
T=Fd (3)
ここで、T=トルクであり;F=最大負荷であり;d=接点とアクチュエータの中心との間の垂直距離である。
【0052】
アクチュエータの総トルクは、単一の接触部について単にローラーの数によって乗算されたトルクである。中心から異なる距離にローラーを含むアクチュエータについて、最小量のトルクを供給する接触部は、アクチュエータのトルク容量の限界であると見なされる。
【0053】
予め規定された内径を有するアクチュエータについて、増加した数のより小さいローラーを使用する効果が、
図6に示される。
【0054】
図6のグラフは、チタン製内リング上のチタン製ローラーを表す。リングの直径は、40ミリメートル(mm)である。ローラーに使用される直径は、ローラーを隣接するローラーと干渉させることなく、所定数のローラーについて40mmのリングの周りに収まるような最大径のローラーである。小さなクリアランスが各ローラー同士の間に追加されており、トラクションによる表面せん断力についての補正が行われておらず、こうして、実際の最大トルクが、若干低くなる。
【0055】
注意:非完全な装備の変速装置は、いくつかの実施形態で可能であるが、適切な前負荷を実現するために、一部又は全てのローラーについて間隔調整手段を必要とする。本発明の装置の非完全な装備バージョンのいくつかの実施形態が、この文献に開示されている。
【0056】
トラクション角度に摩擦係数を適合させることにより、本発明の装置は、故障するまで、すなわち所定の最大トラクション力又はトルクになるまで、増大したトルクでローラー負荷を増大するように調整することができる。
【0057】
最大トラクション力を制限する1つの方法は、ローラーに前負荷を与えるために一方の回転方向にエネルギーを与え、他方の回転方向にエネルギーを与える複数のローラーを使用することである。この場合に、材料同士の間の角度、前負荷、及び摩擦係数(CF又はcf)は、一定レベルのトルクまでトラクション力を維持するのに十分な高さとすることができる。しかしながら、CF及び角度は、対向するローラーの前負荷が、反対方向に荷重軸受の下部ローラーの変形により減少されると、スリップすることなくトルクを伝達するために、それらCF及び角度自体の値では十分ではない。従って、一定のレベルのトルクにおいて、対向ローラー(複数可)の前負荷は、対向方向のローラーが、もはや十分な前負荷を提供しなくなり、且つ駆動ローラーがスリップするのを許容されるような、ポイントに(駆動方向のローラー(複数可)の負荷が増大する際に、)減少する。この構成でのスリップが生じる前の最大トルクは、ローラー角度を増加させることによって、及び/又はより低いCFを有する材料の組み合わせを使用することによって、及び/又は初期の前負荷を減少させることによって、低下する。
【0058】
金属、セラミック、プラスチック、ポリアミド、及びエラストマーを含むが、これらに限定されないような材料の多くの組み合わせが可能である。
【0059】
より多くのローラーによって、殆ど変形しない状態でより薄く且つ軽量のレースを可能にするような、レース上のより一貫性のある負荷がもたらされる。この理由ために、本装置は、好ましくは、10以上の、11以上の、12以上の、13以上の、14以上の、15以上の、16以上の、17以上の、18以上の、19以上の、20以上の、25以上の、30以上の、35以上の、40以上の、45以上の、50以上の、55以上の、60以上の、65以上の、70以上の、75以上の、80以上の、85以上の、90以上の、95以上の、又は100以上のローラーセットで構成されている。ローラーセットは、各セットの内ローラー及び外ローラーが互いに接触した状態で、内レースのODと接触する1つの内ローラーと、外レースのIDと接触する1つの外ローラーとから構成される。
【0060】
自己増力(self-energizing)(又はカム作用)を達成するための必要な摩擦係数は、次のように説明される。この用途において規定されるようなトラクション角度は、レース上のローラーの接点を通るラインと、複数のレースの中心軸線からの半径方向線ラインとの間の角度である。内ローラーの角度測定における他のラインは、内レースと接触する内ローラーから、外レースとの(と接触している内ローラーである)外ローラーのローラー/レース接点へのラインである。
【0061】
図7を参照すると、外ローラー40の接触する角度46が、
図7に示されているが、その角度46は、典型的に内ローラー42の接触角よりも低く、自己増力又は「カム作用」トラクション駆動システムを確立することに関する角度制限は、2つの角度のうちのより大きい方になる。このより大きな角度(
図7の18.1°)によって、自己増力トラクション角度34を確立するために、内ローラーとレース接点のために必要なCFが決定される。
【0062】
内レース38又は外レース36の一方が、固定されており(この例では、外レース)、トルクが、他方のレースに適用されるときに(この例では、内レース上に反時計回りのトルクが適用される)、(接点28)での内レースに対する内ローラーのトラクションは、外ローラー44との接触を介して、接点30で外レースと接触する外ローラーを通って伝達されるような力を形成する。
【0063】
内ローラー42と、外ローラー40と、内レース38と、外レース36との相対的な直径が、前負荷される接点28,30,44にもたらされる場合に、この前負荷の量及びこれらの接点の摩擦係数は、トラクション角度が、自己増力を確立するためにその摩擦係数に適切でない場合に、本発明の装置のトラクショントルク容量を決定する。
【0064】
図8を参照すると、トラクション角度34の範囲のいくつかの例が、それぞれの角度について最小摩擦係数の限界値48とともに示されている。自己増力システムを確立するために、ローラーの接触力の増大によって、この装置を介して増大したトルク伝達がもたらされることにより、トラクション角度は、示されるトラクション角度を越えなければならない。材料支柱(prop)減少による不整合を考慮するために、及び一貫した且つ予測可能な結果を提供するために、好ましくは、所定の最小CFについて、トラクション角は、
図8に示されるトラクション角度よりも大きい。
図11は、トラクション角度の他の例を示している。トラクションを発生させるために必要な摩擦係数は、そのCFについての関連するトラクション角度34の最小摩擦係数の限界値48を超えなければならない。
【0065】
各ローラーが単一のトラクション接触径を有するような本発明の設計の変速装置について、全てのローラーが同じ直径である場合に、達成可能な最小のトラクション角度は、約15°である。事実上、最も想定される用途について、最小のトラクション角度は、約17°〜18°又は19°付近であり、この角度は、本発明の変速装置の設計の多くの想定される実施形態に共通である。本発明の装置のこれらの共通の幾何学的形状のために、次に、0.4以上の摩擦係数によって、負荷がかけられている状況でシステムが自己増力することが保証されるが、一部の構成では0.34以下の低い摩擦係数の材料で自己増力トラクション角度を達成するために本発明の設計の変速装置を設計することも可能である。
【0066】
内レース及び外レースのそれぞれは、円形であり、こうして例えば
図54に示されるようなある軸線上に中心が置かれる。トラクション角度φは、以下のように規定することができる:第1外ローラーに接触する第1内ローラーの各ペアについて、トラクション角度φは、第1内ローラーの中心を通ってその軸線から外向きに延びる第1のラインと、第1外ローラーと外レースとの接点及び第1内ローラーと内レースとの接点から延びる第2のラインとの間の角度として規定される。従って、
図8の幾何学的表現によれば、第1内ローラーは、第1の摩擦係数cf1で内レースに接触し、第1外ローラーは、第2の摩擦係数cf2で外レースに接触する、cf1>tan(φ)及びcf2>tan(φ)である。様々なトラクション角度は、摩擦係数の限界に対応させて、例えば45°以下、40°以下、39°以下、38°以下、37°以下、36°以下、35°以下、34°以下、33°以下、32°以下、31°以下、30°以下、29°以下、28°以下、27°以下、26°以下、25°以下、24°以下、23°以下、22°以下、21°以下、20°以下、19°以下、18°以下、17°以下、16°以下、又は15°以下が使用され得る。いくつかの実施形態では、内ローラーが、第1の摩擦係数cf1で内レースに接触し、且つ外ローラーが、第2の摩擦係数cf2で外レースに接触するときに、cf1及びcf2の少なくとも一方は、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.45、0.50、又は0.60又はこれ以上である。
【0067】
寸法の目的のために、
図9は、15.367cm(6.05インチ)の外レース36IDの典型的なローラー径を示すような、本発明の装置の構成を示している。この例では、34個のローラーセットを使用している(すなわち、34個の内ローラー42及び34個の外ローラー40を使用する)。1つのローラーセットは、1つの内ローラー42と1つの外ローラー40とを含む。
【0068】
全ての内ローラーは、好ましくは2つの外ローラーに全て接触しており、全ての外ローラーは、好ましくは2つの内ローラーに全て接触しており、それによって、本明細書で「完全な装備(full complement)」アセンブリとして呼ばれる構成を提供する。
【0069】
図10に示されるように、内ローラー42に対して外ローラー40のサイズを大きくすることによって、必要なトラクション角度34の減少がもたらされ、より小さいCF材料の組み合わせの使用が可能になる。
【0070】
この場合に、内ローラー/レース接点28のCFは、自己増力カム効果(初期のローラー接触前負荷とは独立した)を達成するために、0.31より大きくする必要があるだろう。
【0071】
例えば100個のローラーセット、つまり100個の内ローラー42と100個の外ローラー40とを含むように、(より小さいローラーを使用する)ローラーセットの数を増やすことによって、
図12に概略的に示されるように、必要なトラクション角度34は減少する。
【0072】
313個のローラーセットを有するような、本発明の設計の完全な装備の変速装置の極端な例が、
図13に概略的に示されている。(レースの直径と比較して)これらの非常に小さなローラーを用いると、自己増力トルク伝達型の多要素自己増力装置を形成するために、内ローラーと内レースとの間のトラクション接触のために0.28より大きいような材料の組み合わせを使用することが必要である。
【0073】
注:0.28以上の摩擦係数48が、本発明の装置の殆どの変速装置の構成のために必要であるが、確かに、自己増力効果を実現しないような、トラクション角度及びCFを有する本発明の設計の装置にも利点を有する。このような装置の利点は、例えば、人間との相互作用が期待されるロボットの用途に有用であるが、これらの用途に限定されないような非常に予測可能な始動トルクが含まれることである。これらの及び他の理由のために、本発明の設計の自己増力変速装置を形成するときに、正確に予測することが困難であるような他のシステム変数を考慮して、0.2以上の摩擦係数が、ここではオプションの設計パラメータとして含まれる。
【0074】
注:外レースに対する外ローラーのトラクション角度は、内レースに対する内ローラーのトラクション角よりも一般的に小さい値である。この理由のため、やや低い摩擦係数が、外ローラー/レースの接触のために使用することができる。各トルク伝達セット内の内ローラーと外ローラーとの間の接触はまた、最小摩擦係数を必要とする。なお、ローラーとレースとの間の摩擦係数が、この文献に開示されるように、完全な装備システムで自己増力効果を達成するのに十分である場合に、ローラー同士の間での同様の摩擦係数の材料を使用することが実験によって証明されている。
【0075】
図14を参照すると、外ローラー40、内ローラー42、外レース36、内レース38、接点28,30及び44、トラクション角度34と外ローラーの接触角度46を示すような、本発明の設計のさらなる例が示されている。
【0076】
0.28以上の摩擦係数を実現するような多くの材料の組み合わせが存在する。これらの材料の組み合わせは、以下の組み合わせに限定されるものではない(ただし、以下に示される材料の組み合わせは、以下の理由のために好適な材料であると考えられる)。多くの他の材料が存在しており、0.28以上の摩擦係数の好ましい要件及び良好な転がり接触特性を満たすような材料が将来的に存在するだろう。スピノーダル青銅の特定の処方及び熱処理によって示されるような増大した接触負荷での摩擦係数の減少等の他の特性もまた、特定の用途のために有益であると考えられる。
【0077】
ベリリウム銅−この材料は、鋼に対して注油せずに作動しているときに、高い摩擦係数を有するが、それ自体に対して作動するときに、低い摩擦係数を有する。本発明の変速装置の好ましい構成は、ベリリウム銅と鋼とのローラーとレースとの組み合わせを含み、それによって、トラクションを必要とする接触部が、鋼に対するベリリウム銅であり、及び低摩擦係数を必要とする接触部が、ベリリウム銅に対するベリリウム銅となる。例としては、ベリリウム銅の内レース、鋼の内ローラー、ベリリウム銅の外ローラー、及び鋼の外レースになるだろう。より好ましい組み合わせは、鋼の内レース、ベリリウム銅の内ローラー、鋼の外ローラー、及びベリリウム銅の外レースを含むであろう。この場合に、いくつかの用途では、内ローラーは、互いに略接触するように設計することができ、そのベリリウム銅自体に対するベリリウム銅の低い摩擦係数は、内ローラーの単純な離間調整システムとして作用し得る。
【0078】
ボロン拡散表面処理を施した鋼−この材料/表面処理は、鋼又はこの表面処理を施した鋼自体に対して注油なしで作動させると、高い摩擦係数を有する。
【0079】
チタン−チタンは、(接触部のヘルツ応力を低減するような)比較的低い弾性係数、軽量、高強度、及び比較的高い摩擦係数を含むいくつかのユニークな特性を有している。
【0080】
トーロン(登録商標)で補強されたケブラー(登録商標)−このケブラーは、本発明の装置の特定の構成のローラー又はレースとして使用することができるような、様々な射出成形可能な材料が存在する。トーロンで補強されたケブラーは、比較的高い摩擦係数を有しており、非常に低い低温流(コールドフロー)を示し、これは、前負荷が与えられる転がり接触システムにとって利益となる。この材料の使用又は同様の特性を有する他の材料の使用によって、低い製造コストでローラー及び/又はレースの射出成形が可能になる。多数の様々な可能な組み合わせのトーロンに対して作動される鋼インサートの使用は、低コスト、低重量、低〜中トルクが必要とされる特定の用途のための材料の好ましい組み合わせであってもよい。
【0081】
鋼−多くの様々なタイプの鋼が、現在存在する又は将来的に存在する可能性を有する上記の材料及び/又は多くの他の材料と組み合わされて必要な特性を提供する。
【0082】
上記のリストは、本発明の変速装置で使用することができるようないくつかの好適な材料の例として必ずしも限定されるものではない。
【0083】
図15は、セット状態の外ローラー40及び内ローラー42と内レース38及び外レース36との中心を通る部分断面図を示している(一部の部品は、明確にするために図示していない)。内レースは、分割レース38から形成されており、一方は図示していないが、同じアイテムが構造体の他方の側に存在しており、及び外レースは、分割レース36から形成されており、一方は図示していないが、同じアイテムが構造体の他方の側に存在している。分割レースは、この図に示されていないハウジングによって一緒に固定することができる。本発明の装置のこの実施形態では、外ローラーの環状の二重円錐溝の円錐面50は、外ローラー40がこの図の左側に逸れる場合に、隆起した二重円錐形のリング上の面52を外レースのIDに接触させる。外ローラー40がこの図の右側に逸れる場合に、反対側の面が接触することになる。外ローラーの中心面のいずれかの側の面を外ローラーの溝に使用すると、接触が、外レースと接触する外ローラーのトラクション接触部の半径方向距離というよりも、外ローラーの中心からより小さな半径方向距離に発生する。これによって、ローラーが、その理想的な位置というよりも転がり方向のさらに前方であるような、面の片側で減速して、それによって、そのローラーがレースの縁部に向けて操縦され、ローラーのこの端部を減速させることにより、その操縦によって、そのローラーをより整列した位置に角度を戻すように変更させ、又は既に整列されているが、単にレースの縁部に向けて軸線方向に移動されている場合は、回避するためにローラーの中心が外されているような、レースの端部の反対側にあるローラーの端部の回転を減速することによって、ローラーの角度を変更し、それによって、そのローラーは、理想的な中心の位置に向けて再び操縦されるようになる。
【0084】
内ローラー上の隆起した環状の二重円錐形のリング54は、内レースがこの図の右に移動した場合に、環状溝の円錐面を内レース56のOD上に接触させない。というのは、内ローラー58上の外側を向く円錐面が、最初に接触するからである(円錐形の溝を含む右側の内レースを示していない)。接触部58は、内ローラーの円筒状のトラクション面よりも、内ローラーの中心からより大きな半径方向の距離で生じており、従って、ローラーの右端に生じる所定のローラー回転について円筒状のトラクション面よりも高い表面速度を有しており、それによってこの例では、そのローラーが中心に向けてそのローラーを再び操縦されるように、より大きな直径の接点58で部分的に転動するときに、速度が増加する。内ローラーが、内レースの左側に向けて移動した場合に、反対の現象が発生する。
【0085】
リングの代わりの内ローラー(この図では外ローラーと同様)上の環状溝は、ここに示されているリングの代わりに、又はこのリングに加えて使用することもできる。
【0086】
溝60は、好ましくは、ローラー同士の間これらの円錐面が、さらに接触しないようにクリアランスを提供するように設計されている。
【0087】
この実施形態のケージ62は、ロープロファイルで、組み立てが簡単な、内ローラーの位置合わせ手段の例である。このゲージは、内ローラーの両端内に部分的に突出する厚いボス64を使用して(この実施形態では、同様の構造体が、代わりに又は同様に外ローラーと一緒に使用され得るが)、安定性を提供し、好ましくは内レースの周りに均等に回転する内ローラーに間隔を与えるために使用されるピン66の圧入嵌合を提供し、及び/又は内ローラーの中心軸線が、内レース及び外レースの軸線と平行になるように整列させる。潜在的に多数のローラーに対応する潜在的に多数のこれらのピンによって、これらのピンが比較的小さい直径であっても、それらのピンは、多くの用途で、アライメント効果を得るために必要なケージアセンブリのねじり剛性を維持するのに十分であろう。追加の利点として、これらのピンの直径が小さくなると、ローラー上に作用する摩擦力はより小さくなる。スピノーダル青銅又はベリリウム銅等の材料は、それ自体に比較的低い摩擦係数を有する。このため、内ローラー用だけでなくケージ用の、及びおそらくピン66用のスピノーダル青銅やベリリウム銅のような材料の使用が、好ましい構成である。ベリリウム銅等の材料は、鋼に対してドライ(表面乾燥)を行い、次にそのベリリウム銅自体に対してドライを行うときに、非常に高い摩擦係数を有する。この理由のため、外ローラーと内レースに焼入れ鋼等の硬い材料を使用することが、ここに与えられた例では好ましいが、この焼入れ鋼に限定されるものではない。この例では、外レースは、好ましくは、ベリリウム銅又はスピノーダル青銅等の材料であるが、これらの材料に限定されるものではない。
【0088】
(例えば、ここで説明されているものとは逆のような)これらの材料の様々な組み合わせが、本発明者によって予想される。本開示の目的は、本発明の装置の好ましい実施形態及びその様々な作動原理を説明することである。ここに開示されている特徴の多くの異なるバリエーション及び組み合わせが、本発明者によって予想されており、ここで開示された原理から逸脱することなく、様々な効果を実現することができる。
【0089】
内ローラー上の隆起した中央ディスク68は、環状のリング部材(この図に示されていない)を用いてアクチュエータへのトラクション(又はおそらくギヤ)入力を供給するために使用される。これらのより大きな直径のディスクは、全ての内ローラー又は外ローラー、又は1つおきの内ローラー又は外ローラー、又は2つおきの内ローラー又は外ローラー上にあってもよいが、全てのディスク68は、好ましくは、同じ列のローラー上に、例えば専ら内ローラー上に、又は専ら外ローラー上に存在する。2つの外レースを一緒に取り付ける外側ハウジング部材と、2つの内レースを一緒に取り付ける内側ハウジング部材とが、ここには示されていない。ケージ62に対する同様のピン整列ケージ構造体には、個々の外部ローターを設けることもできる。
【0090】
図16を参照すると、接触位置合わせ面(例えば、この実施形態では円錐面50及び52)の円錐角は、好ましくは、十分な大きさの角度だけ異なっており、ローラーの中心がずらされているときに(この図では左側にずらされているときに)、リングと溝との間の接触が、円筒状のトラクション面18に隣接して開始され、ローラー40の位置ずれが十分に大きい場合に、接触によって、表面50及び52の移動や変形が生じて、それによって、円錐形のトラクション面70から最も遠いところにある円錐面5と6との間の接触エッジが、位置ずれが大きくなると、円錐形のトラクション面70から次第にさらに遠ざかるように移動する。これによって、ローラーの位置ずれが増加すると、次第に大きくなるアライメントの効果/ステアリング効果が与えられる。この幾何学的形状又はこれに類似する形状は、本明細書に開示される円錐状の位置合わせ面のいずれかのために使用することができる。円錐面は、円筒状のトラクション面に隣接して接触し始める。円錐面同士の間の接触の最も内側のエッジが、ローラーの増大した位置ずれによって円筒状のトラクション面から徐々に離れるように移動する(この図では、ローラーの左方向への移動である)。この自己ステアリング・アライメント・システムのこの好ましい実施形態の変形形態は、凹状半径74というよりも、エッジ72上のより小さな凸状半径を使用する。半径におけるこの差は、アライメント中にまた、円筒状転がり接触から部分的な円錐状の転がり接触へのスムーズな移行にも貢献する。
【0091】
図15は、好適なローラー間隔調整及び位置合わせケージ62を含むLiiveDriive変速装置の簡略化した部分断面図を示す。ケージは、アセンブリの必要な幅を減らすために低プロファイル構成であり、ノック(dowel)ピン66等のクロスメンバーを好ましくは圧入するためにより深い穴を提供するような、好ましくは楕円形のボス64を含んでいる。クロスメンバーは、3つ以上の部材、好ましくは全ての内ローラー、及び/又は3つ以上の部材、好ましくは全ての外ローラーによって同軸上に組み立てられている。10個以上等の多数のクロスメンバーが存在する場合に、例えば、ケージアセンブリのねじり剛性は、比較的小径のクロスメンバーを用いる場合でも、ローラーに角度アライメント安定性を提供するのに十分な大きさを有している。
【0092】
小径のクロスメンバーを使用する利点は、高速化と高効率化のために、クロスメンバーとローラーとの間の摩擦を減少することである。低摩擦は、潤滑油を使用しないLiiveDriiveの用途に特に好適である。
【0093】
ローラーの両端でのテーパー付きの穴は、それらテーパー付きの穴によって、ボスをケージに取り付けることを可能にし、製造用のセンタリング機能を提供し、潜在的に、ローラーの表面がそれらローラーの有用疲労耐用年数の全部又は一部を経た後で、修理装置用の小さいサイズにローラーの再加工を提供するという点で好ましい構造要素である。
【0094】
好ましいケージ構成の別の例を
図17に示す(本願の他の図面と同様に、図面は、遠い側の内レース及び外レースと、ハウジング等の完全な変速装置のいくつかの他の構成要素と、内レース及び外レースを固定式の出力構造体に取り付ける手段とが欠けている)。
図17では、外ローラー40は、軸線方向に整列したローラー部分で形成されている。2つが示されているが、より多くの数が存在してもよい。内ローラー42は、外ローラー部分よりも長い。内ローラーが、軸線方向に整列した部分(セクション)に形成された状態で、この配置は逆にしてもよい。ローラー両端でのテーパー付きの機構は、依然として存在するが、内ローラーの両端により大きな円筒形穴が存在する(この例では、同じ穴が、外ローラー上に存在しているが、長いローラーは、外ローラーとして使用することができ、そして短いローラーは、内ローラーとして使用することができる)。ケージは、クロスメンバーのわずかな半径方向の動きを可能にするような薄い部分72を有するように設計されている。この半径方向の動きによって、製造時の変化に対応することができるだけでなく、クロスメンバーが高速回転動作を促進させるように外側に移動することを可能にする。この場合に、クロスメンバーを、ローラーの貫通穴に近接して或るいは接触させることができ、それによって角度アラインメントの精度が上がる。
【0095】
図18は、ボス64の好ましい楕円形の形状を示すようなアセンブリの部分図を示している。
【0096】
図19は、好ましくは楕円形のボス64のより幅広の面74が、ローラーの両端76及び78の円筒面の前方及び先頭(leading)の内側に近接して配置されることを示す(アクチュエータの中心から半径に沿って狭くなり、且つこの半径に直交する幅広の面を有する他の形状も使用することができる)。
【0097】
主な転がり接触ローラー間隔調整システムの簡略化された模式図を、
図20に示す。このシステムは、内ローラー42又は外ローラー40上で使用することができるが、例として、ここでは内ローラー上に示されている。この概念の好ましい実施形態は、同じ(内側又は外側)列の例えば1つおき(3つおき、又は5つおき)で分離されたローラーの両端の小さな直径のボスと、ボス84上で回転する円形ディスク又はリング82とを使用する。ディスク82を含む2つのローラー同士の間の途中にある、同じ列に介在するローラー12の端にある別のボス80は、円形部材82と協働して、ローラーの間に間隔を空ける。このボスは、ローラー12と同じサイズ、又はローラー12よりも小さいサイズ、ローラー12よりも大きいサイズにすることができる。ボス80及びディスク82の直径の組み合わせにより、ディスク82と隣接するボス80との間にクリアランスが存在する場合に、そのクリアランスを非常に少なくすることができる。これらの接触部に少量の前負荷を提供することが好ましく、その際に、主に転がり接触した状態で、ローラーのいずれかの列で正確に間隔を空けるような方法を提供することができる。内ローラーはこの方法、又は本明細書に開示された他のいずれかの方法、又はこれらの方法の変形形態、又は本明細書に記載された方法から明らかな他のいくつかの方法、又は他のいくつかの実用的な手段で、等間隔に調整することができれば、内レース及び外レースは、追加の外部軸受(複数可)にストレス(応力)を与えることなく全体的に同軸上に位置決めすることができ、或いは半径方向に負荷がかかった追加的な軸受の必要性を完全に排除することができる。
【0098】
使用することができる他の軸受システムには、円筒ローラー軸受に使用されるものと同様の外部軸受ケージが含まれる。これらの従来の外部軸受ケージは、ローラーの最大直径でスライドするという欠点を有しており、この理由のため、より高い摩擦が生じ、ここに示される好ましいシステムでそれらローラーを摩耗させていた。
【0099】
別の可能なケージシステムは、クロスメンバーのローラーの中心を通る穴を使用しておらず、むしろ、クロスメンバーのローラー同士の間のギャップ、又はローラーの中心を通るそれら穴に加えてクロスメンバーのローラー同士の間のギャップを使用する。ケージの位置合わせ面は、この場合に、ローラーの外側のトラクション面と接触し、又は好ましくはローラーの両端やこの付近の小さな直径の表面と接触する。
【0100】
このようなハーモニックドライブ(登録商標)で、単一段で高い減速比を達成するためには、多数の特有の欠点が存在する。これらの欠点には、摩擦によってかなりの動力損失が生じる高トルク出力の運動によって効率の低下が挙げられる。これらの大きく負荷がかけられた、高速の構成要素の摩耗の増加もまた、潜在的な影響の1つである。
【0101】
複数段を回避する一般的な理由は、典型的には、ある程度のバックラッシュを示すような典型的なギヤ付き装置である従来のシステムの複数段から生じるバックラッシュの増加である。
【0102】
これとは対照的に、本発明の装置の実施形態は、必ずしも特有のバックラッシュを示さず、非常に高い精度のままであり、2つ以上の段を組み合わせても、依然としてゼロバックラッシュを達成可能である。
【0103】
システムからバックラッシュを排除した状態で、複数段の潜在的な利点は、以下に記載の形態を含むが、これらの形態に限定されるものではない。
【0104】
最終段のより低い速度は、単一段の高い減速比の高速の運動から生じる可能性がある周波数出力振動(潜在的に出力振動のエネルギーレベル)を低減する。
【0105】
最終段のより低い速度によって、最終段の最も大きな負荷がより低い速度で移動するので、より効率的にすることができ、ギヤで接触したトラクションでの効率の低下は、それらギヤ接触部が、ハーモニックドライブ(登録商標)又は複合遊星ギヤ又はギヤ付き差動減速機等の単段高減速比システムと同様により高い速度で移動された場合に、より小さくなる。
【0106】
より高い効率が、この場合に、逆方向駆動能力(backdriveability)を増加するだけでなく、単一段装置よりも高い減速比のアクチュエータの逆方向駆動能力を可能にする。逆方向駆動能力は、多くの用途において有益であると考えられる。
【0107】
本発明の装置が円筒状の転動体の場合に、ローラーの軸線方向の位置決めが重要な機能であり、多段階の実施形態の最終段で遅く移動するローラーに殆ど拘束されない。
【0108】
2つ以上の段では、第1段について低い摩擦入力を実現することは非常に容易である。何故ならば、予備段階の出力トルクが、大幅に少ないトラクション力を必要とし、より少ない摩擦をもたらすように著しく低いからである。これは、高速、低トルクモータ又は空気タービン等を用いることによって、軽量で、小型でかつ安価な変速装置を可能にするので、非常に有益である。予備変速段は、ここで開示される原理に従って設計することができ、すなわち従来とは異なる設計を有することができる。
【0109】
図21は、本発明の装置の段階的な実施形態の単純化された部分的に断面の例を示す。
【0110】
図22を参照すると、右側の内レースを取り外すと、第1変速段での好ましくは(最終段よりも)小型の内ローラー96及び外ローラー94のアレイの代表的なサンプルが明らかになる。第1段88への入力リングは、好ましくは外ローラー40にスピンを生じさせるようなトラクション駆動システムであるが、本開示の他の実施形態に示したものと同様のギヤでの入力も可能にする。外ローラー40は、A)その後の段(この例では、最終段)の内レース90と好ましくは一体部品となる(又は内レースに対して固定された部材)である第1段内レース36と、B)最終段の入力リング86との間で自己増力する。第2段の外ローラー98及び内ローラー100も示されている。この例では、内ローラー100は、軸線方向に整列したローラー部分で形成されているが、外ローラー98は、内ローラーよりも長い。
【0111】
図23を参照すると、最終段の入力リング86は、好ましくは、トルクが入力リングに加えられるときに、第1段の自己増力が、第2段(この場合は、最終段)の外ローラー98に対してその自己増力を拡大するように半径方向外向きに拡張することが可能である。
【0112】
図24を参照すると、半径方向に拡大する内リング86を提供する多くの可能な方法のうちの1つの例が、ここに示されている。リングは、個別に拡張するが、全てのリングの不連続部92が軸線方向に決して並ばないような十分な回転整列を常に維持するような2つ以上(この場合は、3つ)の互いに連結するスプリットリングを有している。リング内のこれらの不連続性(又はブレーク、又はギャップ)は、好ましくは、ここに示されるような角度の付いた部分であり、レースからのローラー上の力は、可能な限り一貫するように維持される。
【0113】
図25は、本発明の変速装置の好適なギヤ付き入力駆動部の実施形態の簡略化されているが機能的な構成を示している。この実施形態は、固定部材102と、出力部材104と、トラクションローラー122の外側アレイと、ギヤ付き入力部材106を含むトラクションローラー124の内側アレイと、内側トラクションレース108と、外側トラクションレース110とを含む。固定部材102及び出力部材104は、分割レースを一緒に保持するようにハウジングとして機能することができる。これらの駆動構成では、軸線方向に整列したローラー部分を含むような様々なローラー設計のいずれかを、使用してもよい。
【0114】
図26は、ピニオン116を含む入力駆動モータ112が、好ましくは、入力駆動リング114にギヤ接続されている(しかし、トラクション駆動ピニオンは、いくつかのアプリケーションでも作動する)。
【0115】
図27及び
図28を参照すると、外側入力駆動リング114は、ローラーの外側の列122又は好ましくは内側の列124のいずれかで1つ又は複数のローラーと噛み合っているIDにギヤ付き面120を有する。内側ギヤ付きリング118は、これらのローラーギヤとも噛み合っており、自由にスピンする太陽ギヤに似ている。
【0116】
内側ギヤ付きリング118は、いかなる駆動トルクもローラーに入力しないが、他の2つの目的のために機能する。これは、間隔調整ケージを必要とせずに、ギヤ付きローラー同士の間の角度間隔調整を提供し、それはギヤ付きローラーの角度整列に寄与する。
【0117】
図29を参照すると、自由にスピンする太陽ギヤリング118との組み合わせで、外側入力リングのID上のギヤ付き面120は、ギヤ付き内ローラー同士の間の等しい間隔を提供するだけでなく、ギヤ付きローラーの角度アラインメントも提供する。
【0118】
図30を参照すると、1つおきのギヤ付きローラー126は、好ましくは、2つのギヤ面130に堅固に取り付けられており、一方のギヤは、変速装置のサイズの制約で実用上可能な限り幅広く離れているこれら2つのギヤを得ることを目的として、その中心面のどちらかの側にある。この広い有効ギヤ面の効果は、外側ギヤ付きリング及び内側ギヤ付きリングのギヤ付き表面に一緒に噛み合ったときに、これらのローラーに対して有意なレベルの角度の安定性及び位置合わせを提供することにある。
【0119】
全ての第1のギヤ付きローラー128は、好ましくは、これらのギヤで可能な限り最大の直径を可能にするために、1つおきのローラー上の二重ギヤで互い違いに配置されている1つのギヤ132のみを有する。この大きな直径は、別のレベルの速度変化を装置に提供するために好ましい。
【0120】
図31及び
図32を参照すると、代替の実施形態は、自由にスピンする外側ギヤリング140を含む内側ギヤ付きリング138のID上のピニオンドライブ134を使用する。この構成では、ギヤ付きローラーは、好ましくは、外側の列122である。以前の実施形態での1つ以上の駆動モータ136及び/又は112、及びピニオン134及び/又は116は、出力を増大させるために、及び/又はローラーに対するギヤ入力のバックラッシュを減少させるか又は解消するために、一緒に又は個別に使用することができる。
【0121】
注:軸線方向の位置合わせ機構は、この図及び以前の簡略化された例示的な図には示されない。この文献の他の箇所に開示された1つ以上の軸線方向及び/又は角度方向のアライメントシステムは、この節に示されるギヤ入力構成と組み合わせて使用することができる。
【0122】
十分に高い「カム作用角度」で、トラクションカム作用は、もはや共通の剛性材料で可能とされない(そして、本発明の変速装置のこのギヤによる実施形態の説明のために、接触角と呼ぶ)。内側のギヤ−ローラーの接触角よりも大きいが、外リングとの外側のギヤ−ローラーの接触角よりも小さいようなギヤ接触角を使用することにより、内ローラー/リングギヤの歯は、負荷が加えられたときに離れるように噛み合う。外側のギヤ−ローラーに向けて内側のギヤ−ローラーの相対的な半径方向の動きを可能にするために、十分なバックラッシュを含むギヤ−ローラーの完全な装備を用いて(適切な歯の接触を維持するために十分に小さなバックラッシュ量であるが)、内側のギヤ−ローラーは、内側リングの転がり接点から、各内側のギヤ−ローラーのギヤの歯が、隣接する外側のギヤ−ローラーの歯と接触する位置まで分離される。
【0123】
内ローラーが比較的小さなラジアル力で隣接する外ローラーに向けて負荷が与えられることによって、この内ローラーのフローティング効果は、各ローラーセットの内ローラーが半径方向の位置を見つけることを可能にすると本発明者によって考えられており、その半径方向の位置に作用する力は、隣接するセットに作用する力によってバランスが取られており、それによって、全てのローラー上のギヤ歯の負荷は、多数のギヤの歯数が加えられたトルク負荷を共有するように、非常に一貫している。
【0124】
考慮する必要がある追加の要因は、(例として実線で示される外側駆動リング、破線で示される内側駆動リングの)外側又は内側駆動リングギヤの離脱力の影響である。外側のリングギヤが、非常に高い接触角を有している場合には、離脱力によって、内レースに対して内側のギヤ−ローラーを押して、もはやフローティングしなくなる。(この例の)外リングの接触角が非常に小さい場合には、内ローラーは、それら内ローラーの最適収まり位置を見つけて、歯にかかる負荷を一貫して分担するが、外リングは、ギヤ−ローラーの駆動ギヤの歯に一貫して接触しなくなる。
【0125】
トラクション駆動システムの場合に、以下のページの本発明の変速装置のギヤローラーの実施形態のコンピュータ支援設計(CAD)モデルに示されるように、内ローラーの最大直径のトラクションによって、この例では、好ましくは、内ローラーが半径方向に移動し、依然としてトラクションを維持することが可能になる。
【0126】
外側の(又は内側の)入力ギヤリングの最高のギヤ接触角を決定するための要因は、複雑であり、ギヤの離脱力、製造時の精度、内ローラーの遠心力等の最適なバランスを決定するために、いくつかの実験を必要とする。
【0127】
図33〜
図43は、ギヤ付きシステムの簡略化モデルを示しており、このシステムは、このページに記載されている本発明の変速装置の原理に従って、内レースのOD上にギヤ付きリング156を含む内レース38と、外レースのID上にギヤ付きリング158を含む外レース36と、内側ギヤ付ローラー152と、外側ギヤ付きローラー154とを示す。
図33〜
図43は、分割外レースと分割内レースとを含む実施形態を示している。
【0128】
注:複合ギヤ−ローラー配置を形成するために、内ローラー及び/又は外ローラーについて2つの異なるピッチの直径160及び162のギヤ−ローラーを用いる本発明の装置によるギヤ式変速装置は、可能であり、この文献の別の節に示される形態に類似しており、ローラー及び/又はレース上のトラクション面の1つ以上が、ギヤ付き面で置き換えられることを除いて本発明の変速装置の複合、及び半複合トラクションローラーの構成として説明される。
【0129】
図33は、ギヤ付きLiiveDriive構成の一例の概略図である。ギヤの歯は、示されていない。外側又は内側の駆動入力リングは、高速動作のためにギヤ駆動の代わりにトラクション駆動することができる。そのオプションとは別に、この概略図の全ての接触部は、ギヤ接触である。例示的なギヤ構成は、48.3°のローラー/ローラーの接触角、51.4°の外側のギヤ−ローラーの接触角、45°の駆動リングの接触角、45°の内ローラーの接触角、内ローラー142の駆動ギヤ、内側ギヤリングピッチ円144(内リングからわずかに分離されて示される内側のギヤ−ローラー)、代替の内側駆動リング及び外側ローラーギヤ146、外側リングピッチ円148、外側駆動リングピッチ円150(内側駆動リングを使用してもよい)、内側のギヤローラー152、外側のギヤローラー154を含む。
【0130】
図34は、本発明の変速装置のギヤ構成の好適な幾何学的形状の2次元CAD図面を示している。
【0132】
図44〜
図46は、本発明のトラクション変速装置の実施形態を使用するような、非常に大きな貫通孔、高トルクアクチュエータの例が示されている。この実施形態は、2つの部分から構成される内レース164及び166と、単一の外レース168とを使用する。単一のトラクション(又はギヤ)入力リング170は、入力トルクを供給する。
【0134】
これは、変速装置の第1のプロトタイプの例であり、このプロトタイプは、ローラーとレースと入力リングとについて82.728MPa(12,000PSI)の圧縮強度のプラスチックから、及び固定された出力アームについてアルミニウムから構築した。
【0135】
このプロトタイプは、12.446cm(4.9インチ)の内レースODと、0.635cm(0.25インチ)幅の入力レース及び出力レースを有する。0.34を超える摩擦係数を有する材料の組み合わせを選択することによって、81.36Nm(60フィートポンド(foot-pound))の出力トルクが、損傷又はスリップすることなく達成された。
【0136】
図47〜
図52は、出力アーム176及び固定アーム178を含むような、アセンブリを解体する様々な状態でのこのプロトタイプのCADモデルの例を示している。
図48では、二重入力リング180がスピンして、内ローラー174を内レースに沿って回転させ、外ローラー172は、外レース182及び内レース186と同じ幅であり、内ローラーは、2つのケージ部材184及び2つの入力部材180を加えたレースの幅である。
図49では、簡略化されたUHMWケージ184は、内ローラー174の一貫性のある環状の間隔調整を実現する。
【0137】
図50では、アルミスリーブ188は、内レース186のID及び固定アームの貫通孔のIDにスプライン嵌合する。
図51及び
図52は、内レース186、外レース182、内ローラー174、及び外ローラー172を示している。
【0138】
図53は、内側の列のローラー42が複数の直径であるような本発明の装置の一例を示している。
図53は、外側の列のローラー40が複数の直径であるような本発明の装置の一例も示している。
【0139】
互いに近接して離間された内側の列及び/又は外側の列のローラーを含む本発明の装置は、特定の用途において有利となり得る。ローラーが同じ列の隣接したローラーに近接すると、トラクション角度は、内ローラー径、外ローラー径、レース径、及び多数のローラーセットの間の特定の幾何学的関係のために可能な限り小さくなる。
【0140】
特定の用途において近接したローラーの別の利点は、円周方向の間隔調整手段の必要性を排除する可能性があることである。ローラーが均等に離間されている場合には、同じ列の他のローラーに対する間隔でそれらローラーを維持するために要する力は非常に小さい。それ自体に対して低いCFを有するローラー材料が使用され、この材料は、ローラーの他の列に対して、トラクション接触しているレースに対して使用され、次にいくつかの用途では、それらローラーが不等間隔になった場合に、近接しながらも離間したローラーが、同じ列の隣接するローラーに接触することが好ましい。これらの摩擦特性を示す材料の組み合わせには、例えば、その材料自体に対して及び鋼に対して、スピノーダル青銅又はベリリウム青銅が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0141】
本発明の変速装置の場合に、材料の組み合わせが使用された場合に、外ローラーと外レースとの間のより高い摩擦係数に比べて、隣接する外ローラーに対してスライドするときに、外ローラーが低い摩擦係数を示し、いくつかの用途及び材料の組合せのための好ましい平均最大ギャップは、組立後直ぐに0.254mm(0.01インチ)未満になることである。
【0142】
外ローラー同士の間のより大きなギャップが、いくつかの用途のために、この構成で依然として機能することができるが、他の間隔要素が使用されない場合に、非実用的であると考えられる。
【0143】
図54は、接触する又は略接触する内ローラー42と外ローラー40との例を示す。ローラーの内側の列のみ又は外側の列のみが、上記の記述に従って略接触する又は接触することが好ましい。
【0144】
図55〜
図59は、本発明の変速装置の構成例が、ローラー42の内側の列又はローラー40の外側の列のいずれかに回転トルク及び運動を提供するために、追加の入力リングを含む単段減速装置として示されている。
【0145】
本発明の変速装置のこれらの概略的表現がそれぞれ、各構成の入力リングの回転方向に対する変速比と出力回転速度を決定するための基準を提供する添付の数式を用いて、示されている。これらの式のそれぞれについて、負の結果は、入力リングの反対方向に回転する内レースを示す。説明を明確にするために、ここで参照される
図55〜
図59に示される全ての構成は、回転出力として、外レース(又は固定レース)36、入力リング190、内レース(又は出力レース)38とともに提示される。
【0146】
この文献に開示された原理に従って、好ましいいくつかの場合において、以下の図面及びこの文献の他の例示的な構成に記載されるような、1つ又は複数段を組み合わせることが、可能である。
図55は、第1の構成の一例を示す図である。式(4)〜式(6)は、第1の構成の入力リングの回転方向に対する変速比及び出力回転速度を決定するための基準を提供する。入力ローラーは、出力ローラーと同じ速度で回転する。
【0147】
ω
o/ω
i=−e
1(e
2−1)/(e
1−1) (4)
e
1=−(r
1/r
f)×(r
i/r
2) (5)
e
2=r
f/r
o (6)
ここで:
ω
o=出力角速度
ω
i=入力角速度
r
f=固定レースの直径
r
i=入力リングの直径
r
o=出力レースの直径
r
2=入力ローラーの直径
r
1=出力ローラーの直径
r
3=遊動輪ローラーの直径である。
【0148】
図56は、第2の構成の一例を示す図である。式(4)、式(7)、及び式(8)は、第2の構成の入力リングの回転方向に対する変速比及び出力回転速度を決定するための基準を提供する。
ω
o/ω
i=−e
1(e
2−1)/(e
1−1) (4)
e
1=(r
i/r
1×r
2/r
f) (7)
e
2=r
f/r
o (8)
ここで:
ω
o=出力角速度
ω
i=入力角速度
r
f=固定レースの直径
r
i=入力リングの直径
r
o=出力レースの直径
r
2=入力ローラーの直径
r
1=出力ローラーの直径
r
3=遊動輪ローラーの直径である。
【0149】
図57は、第3の構成の一例を示す図である。式(4)、式(9)、及び式(10)は、第3の構成の入力リングの回転方向に対する変速比及び出力回転速度を決定するための基準を提供する。
【0150】
ω
o/ω
i=−e
1(e
2−1)/(e
1−1) (4)
e
1=−r
1/r
f (9)
e
2=r
f/r
o (10)
ここで:
ω
o=出力角速度
ω
i=入力角速度
r
f=固定レースの直径
r
i=入力リングの直径
r
o=出力レースの直径
r
2=入力ローラーの直径
r
1=出力ローラーの直径
r
3=遊動輪ローラーの直径である。
【0151】
図58は、第4の構成の一例を示す図である。式(4)、式(11)、及び式(12)は、第4の構成の入力リングの回転方向に対する変速比及び出力回転速度を決定するための基準を提供する。注:r
4は、r
1と接触しない。
ω
o/ω
i=−e
1(e
2−1)/(e
1−1) (4)
e
1=−(r
i/r
3×r
4/r
f) (11)
e
2=(r
f/r
4×r
5/r
2×r
1/r
o (12)
ここで:
ω
o=出力角速度
ω
i=入力角速度
r
f=固定レースの直径
r
i=入力リングの直径
r
o=出力レースの直径
r
2=入力ローラーの直径
r
1=出力ローラーの直径
r
3=遊動輪ローラーの直径である。
【0152】
図59は、第5の構成の一例を示す図である。式(4)、式(13)、及び式(14)は、第5の構成の入力リングの回転方向に対する変速比及び出力回転速度を決定するための基準を提供する。
ω
o/ω
i=−e
1(e
2−1)/(e
1−1) (4)
e
1=−(r
i×r
2×r
4/r
1×r
3×r
f) (13)
e
2=(r
f/r
4×r
3/r
o) (14)
ここで:
ω
o=出力角速度
ω
i=入力角速度
r
f=固定レースの直径
r
i=入力リングの直径
r
o=出力レースの直径
r
2=入力ローラーの直径
r
1=出力ローラーの直径
r
3=遊動輪ローラーの直径である。
【0153】
図60に示されるように、この特許文献に開示されているローラーのいずれかは、ローラー12上に略円筒状のトラクション面192を有しており、それによって、これらの面が、実寸ではないが
図60に概略的に示されているように、接触面の軸線方向の端部付近のヘルツ応力を低減するために、ローラーのトラクション面の軸線方向端部に向けて直径がわずかに小さくされている。同様に、内レース38は、軸線方向においてその末端に向けてわずかに減少する直径を有してもよく、外レース36は、軸線方向においてその末端に向けてわずかに増大する直径を有してもよい。示されるローラーのいずれかは、圧縮を可能にし、前負荷に対して強化するために中空であってもよい。中空ローラーの一例が、
図15及び24、また
図62(内ローラー224)にも示されている。
【0154】
図61では、変速装置は、外レース210、(外ローラーのセットの)外ローラー212、内ローラー214、内レース216、及び(増速装置の実施形態の)出力218(又は減速装置の入力)を含むように示されている。断面内の矢印は、トラクション接触を示している。外ローラー212は、レース210に接触するより大きな直径と、内ローラー214に接触するより小さな直径とを有する複合体である。内ローラー214は、内レース216及び外ローラー212に接触するような同じ直径を有している。
【0155】
図62では、外レース220、(外ローラーのセットの)外ローラー222、内ローラー224、及び内レース226を含む変速装置が、示されている。この実施形態では、外ローラー222は、内ローラー224の最大円筒面の直径より大きな、最大円筒面の直径を有しており、及び外ローラー222は、内ローラー224よりも外レース220と接触しているより大きい直径のトラクション接触部を有しており、内ローラー224は、内レース226に接触する内ローラー224と同じ直径の、外ローラー222に接触する直径を有する。
【0156】
例えば
図7の実施形態では、内レースと各内ローラーとの接触部、トルクを伝達する外ローラーと各内ローラーとの接触部が、全て同一のトルク伝達径を有しており、外レースと各外ローラーとの接触部、トルクを伝達する内ローラーと各外ローラーとの接触部が、トルク伝達径を有しており、全てのトルク伝達径は等しい。しかしながら、いくつかの実施形態では、外ローラーは、外ローラーと内ローラーとの接触部の直径とは異なるような、外レースの内面と接触する直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、外ローラーは、内ローラーと接触する主トルク伝達接触部の直径よりも大きな、外レースの内面と接触する主トルク伝達接触部の直径を有している。いくつかの実施形態では、外ローラーは、内ローラーと接触する主トルク伝達径よりも大きな、外レースの主トルク伝達接触内面と接触する主トルク伝達径を有しており、内ローラーは、内レースの接触する主トルク伝達径と同様の、外ローラーと接触する主トルク伝達径を有する。さらに、いくつかの実施形態では、内ローラーは、外ローラーと接触するより大きな主トルク伝達径と、内レースの外面と接触するより小さな主トルク伝達径とを有している。いくつかの実施形態では、外ローラーは、2つの直径を有しており、内ローラーは、外レースが固定される場合に、ローラーの回転によって、一方向にローラーの周回が生じて、ローラーの周回方向と同じ方向に内レースの回転がもたらされるような1つの直径を有する。いくつかの実施形態では、外ローラーは、2つの直径を有しており、内ローラーは、外レースが固定される場合に、ローラーの回転によって、一方向にローラーの周回が生じて、ローラーの周回方向と反対方向に内レースの回転がもたらされるような1つの直径を有する。いくつかの実施形態では、外ローラーは、2つの直径を有しており、内ローラーは、外レースが固定される場合に、ローラーの回転によって、一方向にローラーの周回が生じて、ローラーの周回方向と同じ方向に内レースの回転がもたらされるような2つの異なる直径を有する。いくつかの実施形態では、外ローラーは、2つの直径を有しており、外レースが固定される場合に、内ローラーは、ローラーの回転によって、一方向にローラーの周回が生じて、ローラー周回方向と反対方向に内レースの回転がもたらされるような2つの異なる直径を有する。
【0157】
特許請求の範囲において、「備える、有する、含む(comprising)」という語は、その包括的な意味で使用されており、存在する他の要素を排除するものではない。クレームの特徴的構成の前に存在している不定冠詞「1つの(a, an)」は、存在する複数の特徴的構成を排除するものではない。ここで説明する個々の特徴の各々は、1つ又は複数の実施形態で使用され、ここにしか記述されていないという理由で、特許請求の範囲によって規定される全ての実施形態に必須であると解釈すべきでない。