特許第6874116号(P6874116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6874116
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ハンドリング装置及びハンドリング方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20210510BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   B25J13/00 Z
   F16L57/00 C
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-238243(P2019-238243)
(22)【出願日】2019年12月27日
【審査請求日】2020年8月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】柿▲崎▼ 守
(72)【発明者】
【氏名】藤井 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】廣田 徹也
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 智哉
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−108064(JP,A)
【文献】 実開昭57−68994(JP,U)
【文献】 特開2013−78830(JP,A)
【文献】 特開2016−112643(JP,A)
【文献】 特開2011−685(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/186291(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第109514242(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
F16L 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の端部に装着するキャップをハンドリングするハンドリング装置であって、
ストッカに蓄えられたキャップを取得する第1取得動作と、前記第1取得動作にて取得した前記キャップを、前記管の端部に装着する前に仮置台に仮置きする仮置動作と、を実行するようロボットアームを制御するコントローラを備えており、
前記ストッカは、上端から下端に向かってスリットが形成された筒状ストッカであり、
前記ロボットアームの先端には、前記第1取得動作において前記ストッカに蓄えられた前記キャップを取得するハンドが、前記スリットに挿入可能な支持体を介して固定されている、
ことを特徴とするハンドリング装置。
【請求項2】
前記ロボットアームの先端には、前記第1取得動作において前記ストッカに蓄えられた前記キャップの底部を吸着する吸着ハンドが設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のハンドリング装置。
【請求項3】
管の端部に装着するキャップをハンドリングするハンドリング装置であって、
ストッカに蓄えられたキャップを取得する第1取得動作と、前記第1取得動作にて取得した前記キャップを、前記管の端部に装着する前に仮置台に仮置きする仮置動作と、を実行するようロボットアームを制御するコントローラを備えており、
前記ロボットアームの先端には、前記第1取得動作において前記ストッカに蓄えられた前記キャップの底部を吸着する吸着ハンドが設けられており、
前記ストッカは、上端から下端に向かってスリットが形成された筒状ストッカであり、
前記吸着ハンドは、前記スリットに挿入可能な支持体を介して前記ロボットアームの先端に固定されている、
ことを特徴とするハンドリング装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記仮置動作にて前記仮置台に載置された前記キャップを取得する第2取得動作と、前記第2取得動作にて取得した前記キャップを前記管の端部に装着する装着動作と、を更に実行するよう前記ロボットアームを制御する、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のハンドリング装置。
【請求項5】
前記ロボットアームの先端には、前記第2取得動作において前記仮置台に載置された前記キャップの側面を外側又は内側から把持する把持ハンドが設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載のハンドリング装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記装着動作において、(1)前記キャップの側面に対する把持を維持した状態で、前記キャップを前記管の端部に仮嵌めする仮嵌動作と、(2)前記キャップの側面に対する把持を解除した状態で、前記管の端部に仮嵌された前記キャップを前記管の内部に押込む押込動作と、を実行するよう前記ロボットアームを制御する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のハンドリング装置。
【請求項7】
前記キャップは、その外側面が前記管の内側面に当接するように、前記管の受口に内嵌されるものであり、
前記把持ハンドは、前記第2取得動作において前記キャップの側面を内側から把持することによって前記キャップを整形する、
ことを特徴とする請求項5に記載のハンドリング装置。
【請求項8】
前記仮置台は、傾斜した板状部と、前記板状部に設けられたV字状の係止部と、を有し、
前記コントローラは、前記仮置動作において、前記キャップを、その底部を下にして、前記係止部により係止されるように、前記仮置台の前記板状部に載置するべく、前記ロボットアームを制御する、
ことを特徴とする請求項7に記載のハンドリング装置。
【請求項9】
前記キャップは、その内側面が前記管の外側面に当接するように、前記管の挿し口に外嵌されるものであり、
前記把持ハンドは、前記第2取得動作において前記キャップの側面を外側から把持することによって前記キャップを整形する、
ことを特徴とする請求項5に記載のハンドリング装置。
【請求項10】
前記仮置台は、柱状であり、
前記コントローラは、前記仮置動作において、前記キャップを、その底部を上にして、前記仮置台の上底面に載置するべく、前記ロボットアームを制御する、
ことを特徴とする請求項9記載のハンドリング装置。
【請求項11】
前記ロボットアームの先端には、距離センサが設けられており、
前記コントローラは、前記キャップの装着を完了した後、前記距離センサを用いて検出した、前記ロボットアームの先端から、前記管の端部に装着された前記キャップの底部までの距離を参照して、前記キャップが正しく装着されているか否かを判定する判定動作を実行する、
ことを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のハンドリング装置。
【請求項12】
管の端部に装着するキャップをハンドリングするハンドリング方法であって、
ロボットアームを用いて、ストッカに蓄えられたキャップを取得する第1取得工程と、
前記ロボットアームを用いて、前記第1取得工程にて取得した前記キャップを、前記管の端部に装着する前に仮置台に載置する載置工程と、を含んでおり、
前記ストッカは、上端から下端に向かってスリットが形成された筒状ストッカであり、
前記ロボットアームの先端には、前記第1取得工程において前記ストッカに蓄えられた前記キャップを取得するハンドが、前記スリットに挿入可能な支持体を介して固定されている、
ことを特徴とするハンドリング方法。
【請求項13】
管の端部に装着するキャップをハンドリングするハンドリング方法であって、
ロボットアームを用いて、ストッカに蓄えられたキャップを取得する第1取得工程と、
前記ロボットアームを用いて、前記第1取得工程にて取得した前記キャップを、前記管の端部に装着する前に仮置台に載置する載置工程と、を含んでおり、
前記ロボットアームの先端には、前記第1取得工程において前記ストッカに蓄えられた前記キャップの底部を吸着する吸着ハンドが設けられており、
前記ストッカは、上端から下端に向かってスリットが形成された筒状ストッカであり、
前記吸着ハンドは、前記スリットに挿入可能な支持体を介して前記ロボットアームの先端に固定されている、
ことを特徴とするハンドリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドリング装置及びハンドリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管の内部に異物が侵入するのを防止するために、管の開口端部にキャップを装着している。このようなキャップは、特許文献1及び2に記載されている。これらのキャップを管へ取り付ける作業は、主に人の手によって行われているが、自動化による作業の効率化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭57−68994号公報
【特許文献2】実公昭64−3038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャップは柔軟で変形しやすいため、管に装着する際にキャップが変形していることがある。また、管に装着する前のキャップは、保管場所にランダムに蓄えられていることもある。キャップが正しい姿勢で正しい位置に載置されていないと、ロボットアームにより正しく把持できず、正しく管に装着するのに手間を要するという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、キャップを正しく管に装着するのに要する手間を軽減することが可能なハンドリング装置及びハンドリング方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るハンドリング装置は、管の端部に装着するキャップをハンドリングするハンドリング装置であって、ストッカに蓄えられたキャップを取得する第1取得動作と、前記第1取得動作にて取得した前記キャップを、前記管の端部に装着する前に仮置台に仮置きする仮置動作と、を実行するようロボットアームを制御するコントローラを備えている。
【0007】
前記の構成によれば、ストッカから取得したキャップを、管の端部に装着する前に仮置き台に仮置きするので、キャップは仮置台上で正しい姿勢で正しい位置に載置される。したがって、ロボットアームによりキャップを正しく把持することができ、キャップを正しく管に装着するのに要する手間を軽減することが可能である。
本発明の他の態様に係るハンドリング装置において、前記ロボットアームの先端には、前記第1取得動作において前記ストッカに蓄えられた前記キャップの底部を吸着する吸着ハンドが設けられていてもよい。
【0008】
前記の構成によれば、キャップの底部を吸着することでキャップを取得することができるので、ストッカからのキャップの取得が容易である。
本発明の他の態様に係るハンドリング装置において、前記ストッカは、上端から下端に向かってスリットが形成された筒状ストッカであり、前記吸着ハンドは、前記スリットに挿入可能な支持体を介して前記ロボットアームの先端に固定されていてもよい。
【0009】
前記の構成によれば、吸着ハンドをストッカの内部に挿入できるので、ストッカからキャップを確実に取得できる。
本発明の他の態様に係るハンドリング装置において、前記コントローラは、前記仮置動作にて前記仮置台に載置された前記キャップを取得する第2取得動作と、前記第2取得動作にて取得した前記キャップを前記管の端部に装着する装着動作と、を更に実行するよう前記ロボットアームを制御してもよい。
【0010】
前記の構成によれば、仮置台に仮置きされたキャップは正しい姿勢で正しい位置に載置されているので、ロボットアームによりキャップを正しく把持することができ、管の端部にキャップを正しく装着することが可能である。
本発明の他の態様に係るハンドリング装置において、前記ロボットアームの先端には、前記第2取得動作において前記仮置台に載置された前記キャップの側面を外側又は内側から把持する把持ハンドが設けられていてもよい。
【0011】
前記の構成によれば、仮置台に載置されたキャップの側面を把持することで、キャップを取得することができるので、管の端部へのキャップの装着が容易である。
本発明の他の態様に係るハンドリング装置において、前記コントローラは、前記装着動作において、(1)前記キャップの側面に対する把持を維持した状態で、前記キャップを前記管の端部に仮嵌めする仮嵌動作と、(2)前記キャップの側面に対する把持を解除した状態で、前記管の端部に仮嵌された前記キャップを前記管の内部に押込む押込動作と、を実行するよう前記ロボットアームを制御してもよい。
【0012】
前記の構成によれば、キャップを管の端部に仮嵌めした状態において、キャップの側面に対する把持を解除し、キャップを管の内部に押込むので、管の端部にキャップを確実に装着することができる。
本発明の他の態様に係るハンドリング装置において、前記キャップは、その外側面が前記管の内側面に当接するように、前記管の受口に内嵌されるものであり、前記把持ハンドは、前記第2取得動作において前記キャップの側面を内側から把持することによって前記キャップを整形してもよい。
【0013】
前記の構成によれば、把持ハンドによりキャップの側面を内側から把持することによってキャップを整形するので、正規の形状のキャップを管の受口に装着することができる。
本発明の他の態様に係るハンドリング装置において、前記仮置台は、傾斜した板状部と、前記板状部に設けられたV字状の係止部と、を有し、前記コントローラは、前記仮置動作において、前記キャップを、その底部を下にして、前記係止部により係止されるように、前記仮置台の前記板状部に載置するべく、前記ロボットアームを制御してもよい。
【0014】
前記の構成によれば、仮置台の傾斜を利用して、キャップを正しい位置に仮置きすることができる。
本発明の他の態様に係るハンドリング装置において、前記キャップは、その内側面が前記管の外側面に当接するように、前記管の挿し口に外嵌されるものであり、前記把持ハンドは、前記第2取得動作において前記キャップの側面を外側から把持することによって前記キャップを整形してもよい。
【0015】
上記の構成によれば、把持ハンドによりキャップの側面を外側から把持することによってキャップを整形するので、正規の形状のキャップを管の挿し口に装着することができる。
本発明の他の態様に係るハンドリング装置において、前記仮置台は、柱状であり、前記コントローラは、前記仮置動作において、前記キャップを、その底部を上にして、前記仮置台の上底面に載置するべく、前記ロボットアームを制御してもよい。
【0016】
前記の構成によれば、仮置台にキャップを載置するのみで、仮置台の形状に沿ってキャップを整形することができる。
本発明の他の態様に係るハンドリング装置において、前記ロボットアームの先端には、距離センサが設けられており、前記コントローラは、前記キャップの装着を完了した後、前記距離センサを用いて検出した、前記ロボットアームの先端から、前記管の端部に装着された前記キャップの底部までの距離を参照して、前記キャップが正しく装着されているか否かを判定する判定動作を実行してもよい。
【0017】
前記の構成によれば、管の端部にキャップが正しく装着されているかを確認することができる。
本発明の一態様に係るハンドリング方法は、管の端部に装着するキャップをハンドリングするハンドリング方法であって、ロボットアームを用いて、ストッカに蓄えられたキャップを取得する第1取得工程と、前記ロボットアームを用いて、前記第1取得工程にて取得した前記キャップを、前記管の端部に装着する前に仮置台に載置する載置工程と、を含んでいる。
【0018】
前記の構成によれば、本発明の一態様に係るハンドリング装置と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、キャップを正しく管に装着するのに要する手間を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態1に係るハンドリング装置を含むキャップ装着設備の概要を示す図である。
図2図1のキャップ装着設備において使用されるロボットアームの先端に設けられた吸着ハンド及び把持ハンドを示す図である。
図3図1のキャップ装着設備においてハンドリングされるキャップの断面図である。
図4図1のキャップ装着設備においてハンドリングされるキャップの斜視図である。
図5図1のキャップ装着設備において使用される仮置台を示す図である。
図6図1のキャップ装着設備において使用されるストッカの一部を示す図である。
図7】本発明の実施形態1に係るハンドリング装置によるハンドリング処理のフローチャートである。
図8図2の吸着ハンドによりキャップを保持した状態を示す図である。
図9図2の把持ハンドによりキャップを保持した状態を示す図である。
図10】本発明の実施形態2に係るハンドリング装置を含むキャップ装着設備の概要を示す図である。
図11図10のキャップ装着設備において使用されるロボットアームの先端に設けられた吸着ハンド及び把持ハンドを示す図である。
図12図11の把持ハンドの断面図である。
図13図10のキャップ装着設備において使用される仮置台を示す図である。
図14図11の吸着ハンドによりキャップを保持した状態を示す図である。
図15図11の把持ハンドによりキャップを保持した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。まず、図1を参照して本実施形態に係るハンドリング装置を含むキャップ装着設備について説明する。
【0022】
図1は、実施形態1に係るハンドリング装置を含むキャップ装着設備の概要を示す図である。ハンドリング装置10は、管1の端部に装着するキャップ40をハンドリングする。管1の端部の一方は受口2であり、他方は挿し口3であり、受口2と挿し口3との間に直管を有する。管1は、例えば、ダクタイル鋳鉄製の管(ダクタイル鉄管)である。ハンドリング装置10は、管1の受口2にキャップ40を装着するように、キャップ40をハンドリングする。管1は、支持装置4により直管が略水平になるように支持されている。
【0023】
ハンドリング装置10は、ロボットアーム12を制御するコントローラ11を備えている。ロボットアーム12の先端には、吸着ハンド20及び把持ハンド30の2つのハンドが設けられている。キャップ40は、ストッカ60に蓄えられている。ロボットアーム12によりストッカ60から取得されたキャップ40は、受口2に装着される前に仮置台50に仮置きされる。また、ロボットアーム12の先端には、距離センサ13が設けられている。
【0024】
(コントローラ11)
コントローラ11は、ロボットアーム12の動作を制御する。コントローラ11は、いわゆるコンピュータであって、例えば、マイクロコントローラ、CPU、MPU、PLC、DSP、ASIC又はFPGA等の演算処理装置(プロセッサ)と、ROM、RAM等の記憶装置とを有する(いずれも図示せず)。記憶装置には、コントローラが実行するプログラム、各種データ等が記憶されている。記憶装置に記憶されたプログラムには、キャップ40のハンドリングプログラムが含まれている。また、記憶装置には、ロボットアーム12の動作を制御するための教示データ、ロボットアーム12や吸着ハンド20及び把持ハンド30の形状及び寸法に関するデータ、管の呼び径別及び継手形式別のキャップ40の形状及び寸法に関するデータなどが格納されている。
【0025】
(吸着ハンド20)
吸着ハンド20は、ストッカ60に蓄えられたキャップ40の底部42を吸着することで、キャップ40を取得する。吸着ハンド20について、図2を参照して説明する。図2は、図1のキャップ装着設備において使用されるロボットアーム12の先端に設けられた吸着ハンド20及び把持ハンド30を示す図である。
【0026】
図2に示すように、吸着ハンド20は、吸着部21及び支持体22を有している。吸着ハンド20は、支持体22を介してロボットアーム12の先端に固定されている。吸着ハンド20は、例えば、真空吸着、磁力吸着等により、キャップ40の底部42に吸着する。吸着部21は、例えば、真空吸盤、磁石等である。
【0027】
吸着部21が真空吸盤であり、吸着ハンド20が真空吸着によりキャップ40の底部42を吸着する場合、真空センサにより真空吸盤の真空状態が達成されていることを検出してもよい。
【0028】
(把持ハンド30)
把持ハンド30は、仮置台50に載置されたキャップ40の側面を内側から把持する。把持ハンド30について、図2を参照して説明する。
【0029】
図2に示すように、把持ハンド30は、把持爪31、及び、把持爪31を支持する支持体32を有している。把持爪31は、ロボットアーム12との連結位置からキャップ40の径方向に伸びる支持体32の先端に設けられている。把持爪31は、キャップ40の側面の内側に接する面を有する円弧状体である。把持爪31において、キャップ40の側面の内側に接する面には、キャップ40を確実に把持すると共に、キャップ40に損傷を与えることを防ぐために、スポンジ、パッド等の緩衝材が設けられていてもよい。
【0030】
把持ハンド30は、把持爪31をキャップ40の側面の内側に接触させることで、キャップ40の側面を内側から把持する。把持ハンド30は、周方向に略等間隔に配置された複数の把持爪31を有している。把持ハンド30が有する把持爪31の数は特に限定されないが、キャップ40を適切に把持する観点から、把持爪31が3つ以上であることが好ましい。支持体32は、キャップ40の内側に把持爪31を配置した状態でキャップ40の径方向に伸縮可能である。これにより、把持爪31は径方向に移動可能であり、隣接する把持爪31間の隙間を開閉することができる。ロボットアーム12には、この開閉動作を行う開閉装置(図示せず)が設けられている。
【0031】
(キャップ40)
キャップ40は、管1の端部に装着して、管1の内部への異物の混入を防止し、管1の内部に形成された塗装を保護するために用いられる。キャップ40について、図3及び図4を参照して説明する。
【0032】
図3は、図1のキャップ装着設備においてハンドリングされるキャップ40の断面図であり、図4は、図1のキャップ装着設備においてハンドリングされるキャップの斜視図である。図3及び図4に示すように、キャップ40は、円筒状の胴部41、及び、胴部41の一端を閉塞する底部42を有する薄い樹脂製の柔軟な有底筒状体である。キャップ40は、開口した端部から底部42側の端部に向かって径が小さくなるようなテーパー形状を有している。
【0033】
底部42の外側の面は、キャップ40の底面である。胴部41はキャップ40の側面であり、胴部41の内側はキャップ40の側面の内側であり、胴部41の外側はキャップ40の側面の外側である。
【0034】
(仮置台50)
仮置台50は、ストッカ60から取得されたキャップ40を、受口2に装着する前に仮置きするためのものである。仮置台50について、図5を参照して説明する。
【0035】
図5は、図1のキャップ装着設備において使用される仮置台50を示す図である。図5に示すように、仮置台50は、傾斜した板状部51と、板状部51に設けられたV字状の係止部52とを有している。仮置台50には、キャップ40を、その底部42を下にして、係止部52により係止されるように載置する。仮置台50の板状部51に載置されたキャップ40は、板状部51の傾きの上側から下側に向かって、板状部51上を係止部52に接触するまで移動し、V字状の係止部52の内側において係止される。このように、仮置台50の傾斜を利用して、キャップ40を正しい位置に仮置きすることができる。
【0036】
(ストッカ60)
ストッカ60は、複数のキャップ40を重ねた状態で蓄えるものである。図1に示すように、ストッカ60は、回転式の支柱61、及び、複数のキャップ40を重ねた状態で保持する筒状ストッカ62を有している。筒状ストッカ62は、筒状の支柱61の外側面に花弁状に複数設けられている。支柱61をリボルバーのように回転させることで、ロボットアーム12に対する各筒状ストッカ62の相対位置を変化させることができる。
【0037】
したがって、例えば、1つの筒状ストッカ62内のキャップ40がなくなった場合、支柱61を回転させて、別の筒状ストッカ62からキャップ40を取得することができる。また、ロボットアーム12側とは反対側の筒状ストッカ62には容易にアクセスできるので、キャップ装着設備の稼働中でも筒状ストッカ62にキャップ40を補充することができる。
【0038】
また、筒状ストッカ62を支柱61に着脱可能に設置してもよい。これにより、例えば、キャップ40の口径が変更した場合に、筒状ストッカ62内のキャップ40を入れ替えることなく、筒状ストッカ62ごとを交換することができる。筒状ストッカ62は、例えば、ポリ塩化ビニル製である。なお、筒状ストッカ62の形状は、円筒状に限定されず、角筒状であってもよい。
【0039】
筒状ストッカ62について、図6を参照して説明する。図6は、図1のキャップ装着設備において使用されるストッカ60の一部である筒状ストッカ62を示す図である。図6に示すように、筒状ストッカ62は、一端に開口部63を有し、他端が閉塞した筒状体である。筒状ストッカ62は、開口部63からその内部にキャップ40が収容される。筒状ストッカ62内には、複数のキャップ40が重ねられた状態で収容されている。キャップ40は、底部42の内側を開口部63側に向けた姿勢で上下に段積みされた状態で筒状ストッカ62内に収容されている。
【0040】
筒状ストッカ62には、その上端から下端に向かってスリット64が形成されている。スリット64は、筒状ストッカ62の側面における、開口部63側の上端からその反対側の閉塞した下端まで形成されている。スリット64は、ロボットアーム12の先端に吸着ハンド20を固定する支持体22が挿入可能なように形成されている。これにより、開口部63から吸着ハンド20を挿入し、スリット64に沿って支持体22を下端方向に移動させることで、吸着ハンド20が筒状ストッカ62に蓄えられたキャップ40に容易にアクセス可能である。そのため、ストッカ60からキャップ40を確実に取得できる。
【0041】
(距離センサ13)
距離センサ13は、ロボットアーム12の先端からキャップ40までの距離を検出し、検出信号をコントローラ11に送信するための非接触式のセンサである。距離センサ13は、例えば、レーザセンサ、光電センサ等である。
【0042】
距離センサ13は、ロボットアーム12の先端から、ストッカ60に蓄えられたキャップ40の底部42までの距離を検出する。コントローラ11は、距離センサ13が検出した距離を参照して、ストッカ60に蓄えられたキャップ40を取得する。コントローラ11は、例えば、距離センサ13が検出した距離が予め定められた値に達した場合に、ロボットアーム12の動作を減速又は停止させ、キャップ40の取得を開始させる。このように、ロボットアーム12の先端から、ストッカ60に蓄えられたキャップ40の底部42までの距離に応じてキャップ40をハンドリングすることで、ストッカ60からキャップ40を適切に取得することができる。
【0043】
距離センサ13は、また、ロボットアーム12の先端から、管1の端部に装着されたキャップ40の底部42までの距離を検出する。コントローラ11は、キャップ40の管1の端部への装着が完了した後、距離センサ13が検出した上記距離を参照して、キャップ40が管1に正しく装着されているか否かを判定する判定動作を実行する。このように、ロボットアーム12の先端から、管1の端部に装着されたキャップ40の底部42までの距離に応じてキャップ40をハンドリングすることで、キャップ40を管1に正しく装着することができる。また、距離センサ13からの信号を用いて、ストッカ60の中のキャップが空になった(なくなった)ことを検出することができる。
【0044】
なお、ロボットアーム12の先端から、ストッカ60に蓄えられたキャップ40の底部42までの距離と、ロボットアーム12の先端から、管1の端部に装着されたキャップ40の底部42までの距離とを、同じ距離センサ13により検出してもよいし、それぞれ異なる距離センサにより検出してもよい。
【0045】
(ハンドリング処理)
図1に示すキャップ装着設備において、ハンドリング装置によるハンドリング処理について、図7図9を参照して説明する。図7は、本発明の実施形態1に係るハンドリング装置によるハンドリング処理のフローチャートであり、図8は、図2の吸着ハンドによりキャップを保持した状態を示す図であり、図9は、図2の把持ハンドによりキャップを保持した状態を示す図である。以下のハンドリング処理は、コントローラ11がロボットアーム12を制御して実行する処理である。
【0046】
図7に示すように、まず、ストッカ60に蓄えられたキャップ40を取得する第1取得動作を実行する(ステップS1)。ステップS1においては、図8に示すように、吸着ハンド20によりキャップ40を取得する。開口部63から筒状ストッカ62内に吸着ハンド20を挿入し、キャップ40の底部42の内側の面を吸着部21により吸着することによりキャップ40を取得する。したがって、ストッカ60からのキャップ40の取得が容易である。
【0047】
次に、第一取得動作にて取得したキャップ40を、受口2に装着する前に仮置台50に仮置きする仮置動作を実行する(ステップS2)。ステップS2においては、図5に示すように、キャップ40の底部42を下にして、係止部52により係止されるように板状部51に載置する。キャップ40を仮置台50に載置した後、吸着部21によるキャップ40の吸着を解除する。
【0048】
さらに、仮置動作にて仮置台50に載置されたキャップ40を取得する第2取得動作を実行する(ステップS3)。ステップS3においては、図9に示すように、把持ハンド30によりキャップ40を取得する。把持ハンド30は、把持爪31のそれぞれをキャップ40の側面の内側に当接させることで、キャップ40の側面を内側から把持し、キャップ40を取得する。
【0049】
把持ハンド30は、支持体32をキャップ40の径方向に伸縮することで、隣接する把持爪31間の隙間が閉じた状態(破線で示す)から、隙間が開いた状態(実線で示す)になるように、把持爪31を径方向外側に移動させる。これにより、把持爪31とキャップ40の側面の内側との間の距離が変化する。
【0050】
把持ハンド30は、支持体32を縮めた状態でキャップ40の内側に把持爪31を配置した後、把持爪31のそれぞれがキャップ40の側面の内側に当接するまで支持体32を伸ばすことで、キャップ40の側面を把持する。また、把持ハンド30はキャップ40の側面を内側から把持することによって、キャップ40を整形する。把持ハンド30によりキャップ40の側面を内側から把持することで、キャップ40の側面が内側から押し広げられ、整形される。
【0051】
次に、第2取得動作にて取得したキャップ40を受口2に装着する装着動作を実行する(ステップS4)。ステップ4において、キャップ40は、その外側面が受口2の内側面に当接するように、受口2に内嵌される。すなわち、キャップ40を、その底部42側から受口2に挿入することで、受口2にキャップ40を装着する。
【0052】
装着動作において、(1)キャップ40の側面に対する把持を維持した状態で、キャップ40を受口2に仮嵌めする仮嵌動作と、(2)キャップ40の側面に対する把持を解除した状態で、受口2に仮嵌されたキャップ40を管1の内部に押込む押込動作と、を実行する。
【0053】
キャップ40は、開口した端部から底部42側の端部に向かって径が小さくなるようなテーパー形状であるため、底部42の中心が受口2の中心からわずかにずれていても受口2に挿入することができる。そして、受口2に仮嵌めした後に、把持ハンド30による把持を解除し、把持爪31によりキャップ40を管1の内部に押し込む。これにより、キャップ40を受口2に確実に装着することができる。
【0054】
また、キャップ40を受口2に仮嵌めした後、把持ハンド30による把持を解除してから、把持ハンド30でキャップ40を押し込むことで、把持爪31が管1に噛み込んで管1の外に抜き出せなくなることが防止される。
【0055】
そして、キャップ40を受口2に装着した後、距離センサ13により、ロボットアーム12の先端からキャップ40の底部42までの距離を検出することで、キャップ40が受口2に正しく装着されているか否かを判定する判定動作を実行してもよい。
【0056】
前述したように、ハンドリング装置10は、ストッカ60から取得したキャップ40を、そのまま受口2に装着するのではなく、仮置台50に仮置きしてから受口2に装着する。キャップは柔軟で変形しやすいため、管に装着する際にキャップが変形していることがある。また、キャップはストッカ内にランダムに収容されているので、ストッカから取得したときにロボットアームがキャップを掴む位置は一定ではない。そのため、キャップをそのまま管の端部に装着する場合、キャップと管の端部との位置合わせが容易ではなく、キャップを正しく管に装着するのに手間を要するという問題がある。ハンドリング装置10は、仮置台50に仮置きされたキャップ40を取得するので、キャップ40を掴む位置が一定である。そのため、キャップ40と受口2との位置合わせが容易であり、キャップ40を正しく受口2に装着するのに要する手間を軽減することが可能である。
【0057】
また、以上の方法によれば、ロボットアーム12を用いて、ストッカ60に蓄えられたキャップ40を取得する第1取得工程(ステップS1)と、ロボットアーム12を用いて、第1取得動作にて取得したキャップ40を、受口2に装着する前に仮置台50に載置する載置工程(ステップS2)と、を含んでいる、ハンドリング方法が実現される。
【0058】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。まず、図10を参照して本実施形態に係るハンドリング装置を含むキャップ装着設備について説明する。
【0059】
図10は、本発明の実施形態2に係るハンドリング装置を含むキャップ装着設備の概要を示す図である。ハンドリング装置110は、管1の挿し口3にキャップ40を装着するように、キャップ40をハンドリングする点において、実施形態1のハンドリング装置10と異なっている。本実施形態においては、実施形態1と異なる点についてのみ詳細に説明し、他の詳細については省略する。
【0060】
ハンドリング装置110は、ロボットアーム112を制御するコントローラ111を備えている。コントローラ111の構成は、コントローラ11と同様である。ロボットアーム112の先端には、吸着ハンド120及び把持ハンド130の2つのハンドが設けられている。ロボットアーム112によりストッカ60から取得されたキャップ40は、管1の挿し口3に装着される前に仮置台150に仮置きされる。
挿し口3に装着するキャップ40は、受口2に装着するキャップ40と同一であるため、挿し口3に装着する場合と受口2に装着する場合とでキャップ40を入れ替える必要がない。本実施形態において、キャップ40は、底部42の外側を開口部63側に向けた姿勢で上下に段積みされた状態で筒状ストッカ62内に収容されている。
【0061】
(吸着ハンド120)
吸着ハンド120は、ストッカ60に蓄えられたキャップ40の底部42を吸着することで、キャップ40を取得する。吸着ハンド120について、図11を参照して説明する。図11は、図10のキャップ装着設備において使用されるロボットアームの先端に設けられた吸着ハンド及び把持ハンドを示す図である。図11に示すように、吸着ハンド120は、吸着部121及び支持体122を有している。吸着ハンド120の構成は、吸着ハンド20と同様である。
【0062】
(把持ハンド130)
把持ハンド130は、仮置台150に載置されたキャップ40の側面を外側から把持する。把持ハンド130について、図11及び図12を参照して説明する。図12は、図11の把持ハンドの断面図である。図11及び図12に示すように、把持ハンド130は、先端に向かうにつれて径が大きくなる円錐台形状である。把持ハンド130は、周方向に略等間隔に配置された複数の把持爪131を有している。把持ハンド130が有する把持爪131の数は特に限定されないが、キャップ40を適切に把持する観点から、把持爪131が3つ以上であることが好ましい。
【0063】
把持爪131は径方向に移動可能であり、隣接する把持爪131間の隙間を開閉自在である。ロボットアーム112には、この開閉動作を行う開閉装置(図示せず)が設けられている。把持ハンド130は、把持爪131を径方向内側に移動させて隙間が閉じた状態において、軸心132の方向から見て円形になる。把持爪131を閉じた状態から径方向外側に移動させることにより、隙間を開くことができる。
【0064】
把持ハンド130は、図12に示すように、把持爪131を閉じた状態で、内側に内径の異なる複数段(例えば4段)の凹部135〜138を有している。これら各凹部135〜138は、キャップ40の胴部41の外径に対応した内径を有している。なお、凹部135〜138は、内径が大きいものほど把持爪131の先端側に位置し、その内径が小さいものほど把持爪131の奥端側に位置している。このような構造により、把持ハンド130は、直径の異なる複数種類のキャップ40を保持可能である。例えば、凹部135を用いることで、最大径のキャップ40を保持することができ、凹部138を用いることで最小径のキャップ40を保持することができる。
【0065】
(仮置台150)
仮置台150は、ストッカ60から取得されたキャップ40を、挿し口3に装着する前に仮置きするためのものである。キャップ40は、その底部42を上にして、仮置台150の上底面に載置される。仮置台150について、図13を参照して説明する。
【0066】
図13は、図10のキャップ装着設備において使用される仮置台150を示す図である。図13に示すように、仮置台150は、床等に固定された支柱151と、支柱151の上端に着脱自在に設けられた柱状の載置部152とを有している。載置部152の上面は、仮置台150の上底面である。載置部152は、キャップ40の内径よりも小さい直径の面を有する円柱状である。載置部152は、キャップ40の内径に応じて適切な直径を有するものに交換してもよい。キャップ40は、底部42の内側の面と載置部152の上面とが接し、胴部41内に載置部152が位置するように、仮置台150に載置される。
【0067】
(ハンドリング処理)
図10に示すキャップ装着設備において、ハンドリング装置によるハンドリング処理について、図14及び図15を参照して説明する。図14は、図11の吸着ハンドによりキャップを保持した状態を示す図であり、図15は、図11の把持ハンドによりキャップを保持した状態を示す図である。ハンドリング装置110によるハンドリング処理のフローチャートは、図7に示す、ハンドリング装置10によるハンドリング処理のフローチャートと同様である。
【0068】
まず、ストッカ60に蓄えられたキャップ40を取得する第1取得動作を実行する(ステップS1)。ステップS1においては、図14に示すように、吸着ハンド120によりキャップ40を取得する。開口部63から筒状ストッカ62内に吸着ハンド120を挿入し、キャップ40の底部42の外側の面を吸着部21により吸着することによりキャップ40を取得する。
【0069】
次に、第一取得動作にて取得したキャップ40を、挿し口3に装着する前に仮置台150に仮置きする仮置動作を実行する(ステップS2)。ステップS2においては、図14に示すように、キャップ40の底部42を上にして、載置部152に載置する。キャップ40を載置部152に載置した後、吸着部121によるキャップ40の吸着を解除する。
【0070】
なお、キャップ40は、柔軟で変形しやすいため、例えば、正規の形状である円形から楕円形に変形していることがある。楕円形に変形したままではキャップ40を管1の端部に正しく装着することができない場合があるので、キャップ40の形状を楕円形から円形に矯正する必要がある。このため、図14に示すように、キャップ40を載置部152の上方に移動させた後、キャップ40を下降させて載置部152に押し付ける。図13に示すように、載置部152が下方から胴部41の内側に挿入されて底部42に達し、キャップ40の形状が楕円形から円形に矯正される。このように、仮置台150にキャップ40を載置するのみで、載置部152の形状に沿ってキャップ40を整形することができる。
【0071】
また、キャップはストッカ内にランダムに収容されているので、ストッカから取得したときにロボットアームがキャップを掴む位置は一定ではない。したがって、胴部41の内側に載置部152を確実に挿入するために、キャップ40と仮置台150との位置合わせが必要な場合がある。そこで、ハンドリング装置110は、ストッカ60から取得したキャップを図1に示す仮置台50に仮置きしてから、仮置台150に再度仮置きしてもよい。この場合、まず、キャップ40の底部42を上にして仮置台50の板状部51に載置し、係止部52に係止されたキャップ40の底部42の中心近傍を吸着部121により吸着する。そして、吸着したキャップ40を仮置台150に再度仮置きする。これにより、胴部41の内側に載置部152が確実に挿入され、キャップ40の仮置台150への仮置きがより正確に実行される。
【0072】
次に、仮置動作にて仮置台150に載置されたキャップ40を取得する第2取得動作を実行する(ステップS3)。ステップS3においては、図15に示すように、把持ハンド130によりキャップ40を取得する。把持ハンド130は、把持爪131のそれぞれをキャップ40の側面の外側に当接させることで、キャップ40の側面を外側から把持し、キャップ40を取得する。
【0073】
把持ハンド130は、把持爪131を開いた状態で把持爪131の凹部135をキャップ40に外嵌する。この状態で把持爪131を閉じることにより、キャップ40が凹部135に嵌まり込み、キャップ40の外側が把持爪131で掴まれる。把持ハンド130は、把持爪131を閉じた状態で軸心132方向から見て円形になるので、キャップ40が凹部135に嵌まり込むことで、キャップ40を円形に整形することができる。このように、把持ハンド130が、第2取得動作においてキャップ40の側面を外側から把持することによっても、キャップを整形することができる。
【0074】
次に、第2取得動作にて取得したキャップ40を挿し口3に装着する装着動作を実行する(ステップS4)。ステップ4においては、キャップ40は、その内側面が挿し口3の外側面に当接するように、挿し口3に外嵌される。すなわち、挿し口3をキャップ40で覆うように挿し口3にキャップ40を装着する。
【0075】
装着動作において、(1)キャップ40の側面に対する把持を維持した状態で、キャップ40を挿し口3に仮嵌めする仮嵌動作と、(2)キャップ40の側面に対する把持を解除した状態で、挿し口3に仮嵌されたキャップ40を、把持ハンド130でさらに押込む押込動作と、を実行する。これにより、把持ハンド130の内部がキャップ40の底部42に当接し、キャップ40が挿し口3にさらに押し込まれる。その結果、キャップ40を挿し口3に確実に装着することができる。
【0076】
前述したように、ハンドリング装置110は、ストッカ60から取得したキャップ40を、そのまま挿し口3に装着するのではなく、仮置台150に仮置きしてから挿し口3に装着する。これにより、キャップ40を掴む位置が一定であり、キャップ40と挿し口3との位置合わせが容易である。その結果、キャップ40を正しく挿し口3に装着するのに要する手間を軽減することが可能である。
【0077】
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1 管
2 受口(端部)
3 挿し口(端部)
10、110 ハンドリング装置
11、111 コントローラ
12、112 ロボットアーム
20、120 吸着ハンド
30、130 把持ハンド
50、150 仮置台
40 キャップ
60 ストッカ
【要約】
【課題】キャップを正しく管に装着するのに要する手間を軽減する。
【解決手段】ハンドリング装置(10)は、ストッカ(60)に蓄えられたキャップ(40)を取得する第1取得動作と、第1取得動作にて取得したキャップ(40)を、管(1)の端部に装着する前に仮置台(50)に仮置きする仮置動作と、を実行するようロボットアーム(12)を制御するコントローラ(11)を備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15