(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、静翼本体の一端面と内側ケーシングの内周面との間に形成されたクリアランスのうち、静翼本体の前縁側に位置する部分では、作動流体の主流を横切る方向(正圧面側から負圧面側に向かう方向)に漏れ流れ(ジェット流)が発生する。
この漏れ流れと作動流体の主流とが干渉すると、渦が発生する。そして、この渦が静翼本体の負圧面に沿って巻き上がることで、圧力損失が発生する可能性があった。
【0008】
なお、上述した円盤形状とされた拡径部を拡径させて、静翼本体の一端面の前縁側を覆うことで、クリアランスを無くして、上記漏れ損失を抑制することも考えられる。
しかしながら、接続部の外径を大きくすると、可変静翼の配列ピッチが制限を受けるため、可変静翼の配列ピッチが狭い場合には適用することが困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、可変静翼の配列ピッチが狭い場合でも圧力損失を抑制することの可能な可変静翼、及び圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る可変静翼は、作動流体が流通する流路内に配置され、内側ケーシングとの間にクリアランスを形成する静翼本体と、前記作動流体の主流の流れ方向に対する前記静翼本体の角度を可変させるように、回転する回転軸と、前記静翼本体と前記回転軸とを接続する接続部と、を備え、前記接続部は、前記静翼本体の前縁側に位置する部分に設けられ、
前記静翼本体の正圧面から負圧面に向かうに従って前縁側から後縁側に向かって延びることで、前記クリアランスのうち、前記静翼本体の前縁側に流入した前記作動流体の漏れ流れの流れ方向が前記主流の流れ方向に向かう方向に案内する第1の案内面と、
前記第1の案内面につらなり、前記正圧面側を向く他の面とを含
み、前記回転軸の延びる方向から見て、前記第1の案内面は前記他の面よりも大きい。
【0011】
本発明によれば、静翼本体の前縁側に形成されたクリアランスを通過する作動流体の漏れ流れの流れ方向を主流の流れ方向に向かう方向に案内する第1の案内面を有することで、該クリアランスを通過した作動流体の漏れ流れと作動流体の主流との干渉を抑制することが可能となる。
これにより、作動流体の漏れ流れと作動流体の主流との干渉に起因する渦の発生が抑制されるため、圧力損失を低減することができる。
また、接続部の外径を大きくする必要が無いため、可変静翼の配列ピッチが狭い場合でも圧力損失を低減することができる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る可変静翼において、前記第1の案内面は、前記接続部のうち、前記静翼本体の前縁側で、かつ前記静翼本体の負圧面側に位置する部分に配置してもよい。
【0013】
このように、接続部のうち、静翼本体の前縁側で、かつ静翼本体の負圧面側に位置する部分に第1の案内面を配置することで、静翼本体の前縁側に配置されたクリアランスに流入し、接続部に衝突した作動流体の漏れ流れの流れ方向を主流の流れ方向に向かう方向に案内することができる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る可変静翼において、前記第1の案内面は、前記静翼本体の負圧面側に突出する湾曲面であってもよい。
【0015】
このように、第1の案内面を静翼本体の負圧面側に突出する湾曲面とすることで、作動流体の漏れ流れが第1の案内面に沿って流れやすくなるため、漏れ流れの流れ方向が主流の流れ方向に向かう方向に容易に案内することができる。
【0026】
また、本発明の一態様に係る可変静翼において、前記回転軸は、回転軸本体と、該回転軸本体と前記接続部とを接続するとともに、該回転軸本体の外径よりも拡径された拡径部と、を備えており、前記接続部は、前記静翼本体から前記拡径部に向かうにつれて幅広形状であってもよい。
【0027】
このような構成とされた拡径部を有することで、接続部と回転軸本体との間の接続強度を高めることができる。
【0030】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る圧縮機は、上記可変静翼と、ロータ本体、及び該ロータ本体の軸線方向及び周方向に配列された複数の動翼を含むロータと、前記ロータの外側に設けられた内側ケーシングと、前記内側ケーシングの外側に設けられた外側ケーシングと、前記回転軸と接続され、前記回転軸を回転させる回転駆動部と、を備え、前記内側ケーシングは、前記回転軸を収容する軸収容部を有する。
【0031】
このような構成とされた圧縮機によれば、上述した可変静翼を有することで、可変静翼の配列ピッチが狭い場合でも圧力損失を抑制できる。
【0034】
また、本発明の一態様に係る圧縮機において、前記可変静翼は、前記回転軸が設けられた側とは反対側に位置する前記静翼本体と接続され、前記外側ケーシングに回転可能な状態で支持された他の回転軸を含んでもよい。
【0035】
このような構成とされた圧縮機に上記可変静翼を適用した場合も圧力損失を抑制することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、可変静翼の配列ピッチが狭い場合でも作動流体の漏れ流れに起因する圧力損失を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。
【0039】
(第1の実施形態)
図1〜
図3を参照して、第1の実施形態に係る圧縮機10について説明する。
図1では、圧縮機10の一例として、軸流圧縮機を図示する。
図1では、ケーシング13及びロータ11のみを断面で図示する。
図1において、O
1はロータ11の軸線(以下、「軸線O
1」という)を示している。また、
図1では、
図2に示すクリアランスCL
2、及び
図3に示すクリアランスCL
1を図示することが困難なため、これらの図示を省略する。
図2及び
図3において、O
2は回転軸43,47の軸線(以下、「軸線O
2」という)を示している。
【0040】
圧縮機10は、ロータ11と、ケーシング13と、複数の可変静翼機構15と、複数の静翼群17と、を有する。
【0041】
ロータ11は、ロータ本体21と、複数の動翼23と、複数の動翼23で構成された第1〜第6の動翼群23A〜23Fと、を有する。
【0042】
ロータ本体21は、柱状の部材であり、一方向に延在している。ロータ本体21は、複数のロータディスク(図示せず)が積層された構成とされている。ロータ本体21は、軸受(図示せず)により回転可能に支持されている。
【0043】
動翼23は、複数のロータディスク毎に複数設けられている。各ロータディスクに設けられた複数の動翼23は、ロータディスクの外周面から放射方向に延出している。
【0044】
複数のロータディスクのうち、吸込口28側に最も近い位置に配置された第1のロータディスクには、第1の動翼群23Aが設けられている。第1の動翼群23Aは、第1のロータディスクの周方向に配列された複数の動翼23で構成されている。
【0045】
第1のロータディスクの吐出口側に配置された第2のロータディスクには、第2の動翼群23Bが設けられている。第2のロータディスクの吐出口側には、吸込口28から吐出口に向かう方向に対して、所定の間隔を空けた状態で、第3の動翼群23C、第4の動翼群23D、第5の動翼群23E、第6の動翼群23Fが順次設けられている。
【0046】
なお、
図1では、紙面の都合上、第1〜第6の動翼群23A〜23Fのみ図示したが、第6の動翼群23Fの吐出口側にも複数の動翼群が軸線O
1方向に配列されている。
【0047】
ケーシング13は、内側ケーシング25と、外側ケーシング26と、を有する。
内側ケーシング25は、ロータ11の外側に配置された筒状の部材である。内側ケーシング25は、可変静翼機構15を構成する可変静翼35の回転軸43が収容される軸収容部25Aを有する。軸収容部25Aは、内側ケーシング25の周方向及び軸線O
1方向に複数設けられている。内側ケーシング25は、回転軸43が回転可能な状態で、可変静翼35の一端側を支持している。
【0048】
外側ケーシング26は、内側ケーシング25の外側に配置された筒状の部材である。外側ケーシング26は、可変静翼機構15を構成する可変静翼35の回転軸43が収容される軸収容部26Aを有する。軸収容部26Aは、外側ケーシング26の周方向及び軸線O
1方向に複数設けられている。
外側ケーシング26は、回転軸43が回転可能な状態で、可変静翼35の他端側を支持している。外側ケーシング26と内側ケーシング25との間には、筒状の流路27が区画されている。
【0049】
ケーシング13は、吸込口28と、吐出口(図示せず)と、を有する。吸込口28は、軸線O
1の一方の側に設けられている。吸込口28は、流路27と連通している。吸込口28は、ケーシング13内に作動流体(例えば、外気)を吸い込む。
吐出口は、軸線O
1の他方の側に設けられている。吐出口は、流路27と連通している。吐出口は、ケーシング13内で圧縮された作動流体をケーシング13の外部に吐き出す。
【0050】
複数の可変静翼機構15は、第1〜第4の動翼群23A〜23Dの吸込口28側にそれぞれ設けられている。
ここで、
図1及び
図2を参照して、可変静翼機構15の構成について説明する。
図2において、
図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0051】
可変静翼機構15は、互いに離間した状態で軸線O
1方向に複数(
図1の場合、一例として4つ)設けられている。
可変静翼機構15は、可動環31と、複数のリンク機構33と、複数の可変静翼35と、回転駆動部37と、を有する。
【0052】
可動環31は、環状とされた部材である。可動環31は、ケーシング13を囲むように、ケーシング13の外側に設けられている。
【0053】
複数のリンク機構33は、可動環31の周方向に所定間隔で配置されている。複数のリンク機構33は、一端が可動環31に固定されている。複数のリンク機構33の他端は、吸込口28側に突出している。
【0054】
図1〜
図5を参照して、可変静翼35について説明する。
図4及び
図5において、Eは作動流体の主流の流れ方向(以下、「E方向」という)、Fは第1の案内面48aに沿って流れる作動流体の漏れ流れの流れ方向(以下、「F方向」という)をそれぞれ示している。
図4では、
図1〜
図3に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
図5では、
図4に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0055】
可変静翼35は、静翼本体41と、回転軸43,47と、接続部45,48と、を有する。
静翼本体41は、翼形状とされた部材である。静翼本体41は、内側ケーシング25と外側ケーシング26との間に配置されている。静翼本体41は、静翼本体41は、正圧面41aと、負圧面41bと、前縁41Aと、後縁41Bと、他端面41cと、一端面41dと、を有する。
【0056】
前縁41Aは、正圧面41aと負圧面41bとを結ぶ一端を構成している。後縁41Bは、正圧面41aと負圧面41bとを結ぶ他端を構成している。正圧面41a及び負圧面41bは、湾曲した面である。
【0057】
他端面41cは、外側ケーシング26の内周面26aと対向する静翼本体41の前縁41A側の端面である。他端面41cのうち、接続部45が設けられていない部分と内周面26aとの間には、クリアランスCL
1が形成されている。
【0058】
一端面41dは、内側ケーシング25の外周面25aと対向する静翼本体41の前縁41A側の端面である。一端面41dのうち、接続部48が設けられていない部分と外周面25aとの間には、クリアランスCL
2が形成されている。
【0059】
回転軸43(他の回転軸)は、回転軸本体52と、拡径部53と、を有する。回転軸本体52は、一方向に延在する柱状の部材である。回転軸本体52は、一端側が軸収容部26Aに配置されており、他端側が外側ケーシング26の外側に突出している。回転軸本体52の他端は、リンク機構33の他端に固定されている。
回転軸43は、回転駆動部37により可動環31が周方向に回転駆動させられた際、
図3に示す矢印方向に回転することで、作動流体の主流の流れ方向Eに対する静翼本体41の角度を可変させる。
【0060】
拡径部53は、回転軸本体52の一端と一体に構成されている。拡径部53は、回転軸本体52の外径よりも拡径されている。拡径部53は、回転軸本体52の一端と接続部45とを接続している。
このように、回転軸本体52の一端と接続部45とを接続する拡径部53を設けることで、回転軸本体52と接続部45との間の接続強度を向上させることができる。
【0061】
接続部45は、静翼本体41の他端と拡径部53との間に設けられている。接続部45は、静翼本体41の他端と一体に構成されている。接続部45の形状は、静翼本体41の他端面41cから拡径部53に向かうにつれて幅広形状とされている。
【0062】
回転軸47は、回転軸本体55と、拡径部56と、を有する。回転軸本体55は、一方向に延在する柱状の部材である。回転軸本体55は、全体が軸収容部25Aに配置されている。
【0063】
拡径部56は、回転軸本体55の一端と一体に構成されている。拡径部56は、回転軸本体55の外径よりも拡径されている。拡径部56は、回転軸本体55の一端と接続部48とを接続している。
このように、回転軸本体55の一端と接続部48とを接続する拡径部56を設けることで、回転軸本体55と接続部48との間の接続強度を向上させることができる。
【0064】
接続部48は、静翼本体41の他端と拡径部53との間に設けられている。接続部45は、静翼本体41の他端と一体に構成されている。接続部45は、静翼本体41の他端面41cから拡径部53に向かうにつれて幅広形状とされている。
【0065】
接続部48は、切欠き部48Aを有する。切欠き部48Aは、第1の案内面48aを有する。第1の案内面48aは、正圧面41aから負圧面41b側に向かうに従って、前縁側から後縁側に向かって延びている。径方向から見て第一の案内面48aは、静翼本体41と重なる位置に形成されている。具体的には、径方向から見て、第一の案内面48aは、負圧面41bから後退するように形成されている。
第1の案内面48aは、クリアランスCL
2のうち、静翼本体41の前縁41A側に流入した作動流体の漏れ流れの流れ方向が主流の流れ方向Eに向かう方向Fに案内する。
【0066】
第1の案内面48aは、接続部48のうち、静翼本体41の前縁41A側で、かつ静翼本体41の負圧面41b側に位置する部分に配置されている。第1の案内面48aは、接続部48の高さ方向全体に亘って形成されている。
なお、「接続部48の高さ方向」とは、軸線O
2が延びる方向のことをいう。
【0067】
このように、接続部48のうち、静翼本体41の前縁41A側で、かつ静翼本体41の負圧面41b側に位置する部分に第1の案内面48aを配置することで、静翼本体41の前縁41A側に配置されたクリアランスCL
2に流入し、接続部48に衝突した作動流体の漏れ流れの流れ方向を主流の流れ方向Eに向かう方向Fに案内することができる。
【0068】
第1の案内面48aは、例えば、静翼本体41の負圧面41b側に突出する湾曲面にしてもよい。
このように、第1の案内面48aを静翼本体41の負圧面41b側に突出する湾曲面とすることで、作動流体の漏れ流れが第1の案内面48aに沿って流れやすくなるため、漏れ流れの流れ方向が主流の流れ方向に向かう方向に容易に案内することができる。
【0069】
なお、第1の案内面48aは、静翼本体41の一端面41dに対して直交する面でもよいし、静翼本体41の一端面41dに対して交差する面であってもよい。
また、第1の案内面48aの形状は、漏れ流れの流れ方向が主流の流れ方向に向かう方向に案内可能な形状であればよく、湾曲面に限定されない。
第1の案内面48aの形状とは異なる第1の案内面を有する接続部の一例として、例えば、
図6及び
図7に示す第1の実施形態の変形例に係る接続部50を例示することが可能である。
【0070】
ここで、
図6及び
図7を参照して、接続部50について説明する。
図6において、
図4に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
図6では、静翼本体48を断面で示す。
図7において、VCは仮想円(以下、「仮想円」という)、rは仮想円VCの半径(以下、「半径r」という)をそれぞれ示している。
図7において、
図6に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0071】
接続部50は、拡径部56と静翼本体41との間に設けられており、第1の案内面50aと、第1の案内面50aの形成位置よりも正圧面41a側に配置された面50bと、を有する。
第1の案内面50aは、丸みを帯びたラウンド形状とされている。第1の案内面50aの形状は、例えば、半径rの仮想円VCの一部と一致する形状とすることが可能である。
面50bの形状についても上述した第1の案内面50aと同様な形状にすることが可能である。
【0072】
なお、
図6及び
図7では、第1の案内面50aの形状が、仮想円VCの一部と一致する形状である場合を例に挙げて説明したが、これとは異なる形状とされた第1の案内面を用いてもよい。
具体的には、例えば、湾曲やラウンド形状ではなく、平面視した状態で直線とされた第1の案内面(言い換えれば、平面とされた第1の案内面)を用いてもよい。
このような形状とされた第1の案内面を用いた場合も漏れ流れの流れ方向を主流の流れ方向に向かう方向に案内することが可能である。
【0073】
上述した第1の案内面48aを有することで、クリアランスCL
2を通過した作動流体の漏れ流れと作動流体の主流との干渉を抑制することが可能となる。これにより、作動流体の漏れ流れと作動流体の主流との干渉に起因する渦の発生が抑制されるため、圧力損失を低減することができる。
また、切欠き部48Aに第1の案内面48aを設けることで、接続部48の外径を大きくする必要が無いため、可変静翼35の配列ピッチが狭い場合でも圧力損失を低減することができる。
なお、上述した第1の案内面50aを有する場合も、第1の案内面48aと同様な効果を得ることができる。
【0074】
上記構成とされた複数の可変静翼35は、各可変静翼35の回転軸本体52がリンク機構33の他端に固定された状態で、可動環31からロータ11に向かう可動環31の径方向に配列されている。
【0075】
回転駆動部37は、可動環31の外側に設けられている。回転駆動部37は、可動環31の周方向に可動環31を回転させる。
【0076】
上記構成とされた可変静翼機構15は、回転駆動部37により可動環31を回転させて、リンク機構33と接続された可変静翼35全体が回転させることで、作動流体の主流の流れ方向に対する複数の静翼本体41の角度が所望の角度となるように可変させる。
【0077】
なお、
図1では、一例として、軸線O
1方向に4つの可変静翼機構15を設けた場合を例に挙げて説明したが、軸線O
1方向に配置させる可変静翼機構15の数は、1つ以上であればよく、1つに限定されない。
【0078】
複数の静翼群17は、複数の可変静翼機構15が配置された領域の吐出口側に所定の間隔を空けて配置されている。各静翼群17は、外側ケーシング26の内面の周方向に固定された複数の静翼58で構成されている。複数の静翼58は、それぞれ静翼本体59を有する。静翼58は、流路27に配置されるとともに、軸線O
1方向において動翼23の間に配置されている。
複数の静翼群17を構成する静翼58は、作動流体の主流の流れ方向に対する複数の静翼本体59の角度が可変できない構成とされている。
【0079】
第1の実施形態の可変静翼35によれば、接続部48に設けられた切欠き部48Aが第1の案内面48aを有することで、クリアランスCL
2を通過した作動流体の漏れ流れと作動流体の主流との干渉を抑制することが可能となる。これにより、作動流体の漏れ流れと作動流体の主流との干渉に起因する渦の発生が抑制されるため、圧力損失を低減することができる。
また、切欠き部48Aに第1の案内面48aを設けることで、接続部48の外径を大きくする必要が無いため、可変静翼35の配列ピッチが狭い場合でも圧力損失を低減することができる。
【0080】
第1の実施形態の圧縮機10によれば、上記構成とされた可変静翼35を有することで、可変静翼35の配列ピッチが狭い場合でも圧力損失を抑制することができる。
【0081】
なお、第1の実施形態では、一方の接続部48のみに第1の案内面48aを含む切欠き部48Aを設けた場合を例に挙げて説明したが、他方の接続部45にも第1の案内面48aを含む切欠き部48Aを設けてもよい。
【0082】
この場合、クリアランスCL
1を通過した作動流体の漏れ流れと作動流体の主流との干渉を抑制することが可能となり、作動流体の漏れ流れと作動流体の主流との干渉に起因する渦の発生が抑制されるため、圧力損失を低減することができる。
【0083】
また、静翼本体41に対する接続部48の位置は、
図2及び
図4に示す位置に限定されない。静翼本体41に対する接続部48の位置は、静翼本体41の一端面41dと内側ケーシング25の外周面25aとの間にクリアランスCL
2が形成される位置であればよい。
【0084】
(第2の実施形態)
図8〜
図10を参照して、第2の実施形態の圧縮機65について説明する。
図9及び
図10において、Eは作動流体の主流の流れ方向(以下、「E方向」という)、Iは第1の案内面72aに沿って流れる作動流体の漏れ流れの流れ方向(以下、「I方向」という)、Jは、第2の案内面72bに沿って流れる作動流体の漏れ流れの流れ方向(以下、「J方向」という)をそれぞれ示している。
図8〜
図10において、
図2〜
図4に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0085】
第2の実施形態の圧縮機65は、第1の実施形態の圧縮機10を構成する可変静翼35に替えて可変静翼66を有すること以外は、圧縮機10と同様に構成されている。
【0086】
可変静翼66は、第1の実施形態の可変静翼35を構成する接続部48に替えて接続部67を有すること以外は、可変静翼35と同様に構成される。
【0087】
接続部67は、接続部本体71と、突出部72と、を有する。接続部本体71は、静翼本体41の他端と拡径部56との間に設けられている。接続部本体71は、静翼本体41の他端及び拡径部56と一体に構成されている。接続部本体71は、静翼本体41の一端面41dから拡径部56に向かうにつれて幅広形状とされている。
【0088】
突出部72は、接続部本体71のうち、静翼本体41の前縁41A側に位置する部分に設けられている。突出部72は、内側ケーシング25の外周面25aと対向する静翼本体41の前縁41A側の一端面41dに接触した状態で接続部本体71から前縁41A側に突出している。
【0089】
突出部72は、第1の案内面72aと、第2の案内面72bと、を有する。第1の案内面72aは、静翼本体41の正圧面41a側に配置されている。第1の案内面72aは、漏れ流れの流れ方向が主流の流れ方向Eに向かう方向に案内する。
第2の案内面72bは、静翼本体41の負圧面41b側に配置されている。第2の案内面72bは、漏れ流れの流れ方向をJ方向に案内することで、漏れ流れが負圧面41b側に流れることを抑制する。
【0090】
このような構成とされた突出部72を有することで、作動流体の主流が接続部本体71に衝突することを抑制することが可能になるとともに、作動流体の漏れ流れの流れ方向を主流の流れ方向Eに向かう方向に案内することが可能となる。これにより、可変静翼66の配列ピッチが狭い場合でも圧力損失を低減することができる。
【0091】
第1及び第2の案内面72a,72bは、例えば、突出部72の先端部72Aから突出部72の基端(接続部本体71側)に向かうにつれて第1の案内面72aと第2の案内面72bとの距離が大きくなるように配置させるとよい。
【0092】
このように、突出部72の先端部72Aから突出部72の基端(接続部本体71側)に向かうにつれて第1の案内面72aと第2の案内面72bとの距離が大きくすることで、接続部本体71に作動流体が衝突する前に、作動流体の主流を2つの流れに分けて、第1の案内面72aを用いて、静翼本体41の前縁41A側を通過する作動流体の漏れ流れの流れ方向を主流の流れ方向Eに向かうように案内することができる。
【0093】
また、突出部72の先端部72Aの形状は、例えば、丸みを帯びた形状にするとよい。
このように、突出部72の先端部72Aの形状を、丸みを帯びた形状にすることで、突出部の先端部72Aの破損を抑制できるとともに、作動流体を突出部72の基端側にスムーズに案内することができる。
【0094】
第2の実施形態の可変静翼66によれば、上述した第1及び第2の案内面72a,72bを含む突出部72を有することで、作動流体の主流が接続部本体71に衝突することを抑制することが可能になるとともに、作動流体の漏れ流れの流れ方向を主流の流れ方向Eに向かう方向に案内することが可能となる。これにより、可変静翼66の配列ピッチが狭い場合でも圧力損失を低減することができる。
【0095】
次に、
図11を参照して、第2の実施形態の変形例に係る可変静翼80について説明する。
可変静翼80は、第2の実施形態の可変静翼66を構成する接続部67に替えて、接続部81を有すること以外は、可変静翼66と同様に構成されている。
接続部81は、第2の実施形態で説明した接続部67を構成する突出部72に替えて、突出部83を有すること以外は、接続部67と同様に構成されている。
【0096】
突出部83は、静翼本体41の前縁41A側の一端面(
図2に示す一端面41d)の全体を覆うように設けられている。突出部83は、第1の案内面83aと、第2の案内面83bと、底面83cと、を有する。底面83cは、第1の案内面83aの下端と第2の案内面83bの下端とを接続する面である。
【0097】
第2の実施形態の変形例に係る可変静翼80によれば、静翼本体41の前縁41A側の端面の全体を覆う突出部83を有することで、静翼本体41の前縁41A側の端面の一部に突出部を設けた場合と比較して、第1の案内面83aの長さを長くすることが可能になる。
これにより、作動流体が静翼本体41の前縁41Aに到達した段階で、作動流体の漏れ流れの方向を主流の流れ方向に向かう方向に案内することが可能となるので、圧力損失をさらに低減することができる。
【0098】
(第3の実施形態)
図12及び
図13を参照して、第3の実施形態の圧縮機90について説明する。
図12において、
図8及び
図11に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
図13において、
図11及び
図12に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0099】
第3の実施形態の圧縮機90は、第1の実施形態の圧縮機10を構成する可変静翼35に替えて、可変静翼91を有するとともに、内側ケーシング25に面取り部96を形成したこと以外は、圧縮機10と同様に構成されている。
【0100】
可変静翼91は、第2の実施形態の変形例に係る可変静翼80を構成する接続部81に替えて、接続部93を有すること以外は可変静翼80と同様に構成されている。
接続部93は、第2の実施形態の変形例で説明した接続部81を構成する突出部83に替えて、突出部94を有すること以外は、接続部81と同様に構成されている。
【0101】
突出部94は、一端面41d(静翼本体41の前縁41A側の端面)を覆うとともに、一部が拡径部56の側面56aに延びて配置されている。突出部94は、静翼本体41の前縁41Aまで延びて配置されている。
突出部94は、一部が拡径部56の側面56aに延びて配置されている点が、突出部83と異なる点であり、これ以外については突出部83と同様な構成とされている。
図12に示すJ
1−J
2線で接続部93を切断した際の形状は、例えば、
図7に示す接続部50と同様な形状となるが、
図7の接続部50よりも、本実施形態の接続部93の方が、静翼前縁41A側に伸びる。すなわち、接続部93は、拡径部56を静翼前縁41A側にはみ出す点で相違する。
【0102】
面取り部96は、内側ケーシング25の外周部のうち、突出部94と対向する部分に形成されている。面取り部96は、突出部94と内側ケーシング25との間に隙間Kを形成している。
面取り部96は、隙間Kの一部を区画するとともに、突出部94と対向する面取り面96aを有する。面取り面96aは、外周面25aに対して傾斜した面である。
面取り面96aは、軸収容部25Aの側面25Aa(具体的には、軸収容部25Aのうち、拡径部56が収容される部分の側面)と接続されている。
【0103】
第3の実施形態の圧縮機90によれば、上記構成とされた突出部94を有することで、内側ケーシング25の外周面25a付近の作動流体を突出部94に衝突させることができる。これにより、内側ケーシング25の外周面25a付近の作動流体が接続部本体71に衝突することを抑制できる。
【0104】
また、上記構成とされた面取り部96を有することで、作動流体を隙間Kに案内することが可能となる。これにより、漏れ流れの流れ方向をより確実に主流の流れ方向に案内することができる。
【0105】
なお、
図12及び
図13では、一例として、静翼本体41の前縁41Aまで延びるように突出部94を配置させた場合を例に挙げて説明したが、前縁41Aに向かう方向に対する突出部94の突出量は、
図12及び
図13に示す突出量に限定されない。突出部94の突出量は、例えば、
図12及び
図13に示す突出量の1/2でもよいし、1/4でもよい。突出部94の突出量は、適宜設定することが可能である。
【0106】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0107】
例えば、第1及び第2の実施形態では、一例として、静翼本体41の両側から回転軸43,47で支持する可変静翼35,66を例に挙げて説明したが、本発明は、一方の側から静翼本体41を回転軸で支持する可変静翼にも適用可能である。