(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874163
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】溶融メッキされた中マンガン鋼及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C22C 38/00 20060101AFI20210510BHJP
C21D 9/46 20060101ALI20210510BHJP
C22C 38/06 20060101ALI20210510BHJP
C22C 18/04 20060101ALI20210510BHJP
C23C 2/02 20060101ALI20210510BHJP
C23C 2/06 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
C22C38/00 302A
C21D9/46 P
C22C38/06
C22C18/04
C23C2/02
C23C2/06
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-565343(P2019-565343)
(86)(22)【出願日】2018年4月20日
(65)【公表番号】特表2020-521057(P2020-521057A)
(43)【公表日】2020年7月16日
(86)【国際出願番号】CN2018083848
(87)【国際公開番号】WO2018214682
(87)【国際公開日】20181129
【審査請求日】2019年11月25日
(31)【優先権主張番号】201710383392.8
(32)【優先日】2017年5月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】302022474
【氏名又は名称】宝山鋼鉄股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲シン▼ ▲イエン▼
(72)【発明者】
【氏名】張 玉 龍
(72)【発明者】
【氏名】胡 広 魁
【審査官】
馳平 憲一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−531200(JP,A)
【文献】
特開2017−002384(JP,A)
【文献】
特表2016−508183(JP,A)
【文献】
特開2017−048412(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第106319356(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0137909(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 2/00−2/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼基板と、鋼基板の表面に位置するメッキ層を含む溶融メッキされた中マンガン鋼であって、ただし、上記の溶融メッキされた中マンガン鋼の成分が質量百分含有量で、C:0.1〜0.3%、Si:0.1−2.0%、Mn:5〜12%、Al:1−2%、P≦0.02%、S≦0.02%、N≦0.03%であり、残部は、Fe及びその他の不可避の不純物である;かつ上記の鋼基板のコア部組織は、フェライトとオーステナイトであり、鋼基板の表層は、フェライト層であり、
上記のフェライト層の厚みは、0.2−5μmであり、上記の溶融メッキされた中マンガン鋼の降伏強度は、700−1000MPaで、引張強度は、950−1350MPaで、破断時伸びは、25%以上である、溶融メッキされた中マンガン鋼。
【請求項2】
上記のフェライト層の結晶粒サイズは、≦5μmであることを特徴とする請求項1に記載された溶融メッキされた中マンガン鋼。
【請求項3】
上記のフェライト層のMn含有量は、鋼基板のMn含有量より低いことを特徴とする請求項1〜2のいずれか一つに記載された溶融メッキされた中マンガン鋼。
【請求項4】
上記のフェライト層のMn含有量は、≦5%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載された溶融メッキされた中マンガン鋼。
【請求項5】
上記のフェライト層のMn含有量は、≦2%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載された溶融メッキされた中マンガン鋼。
【請求項6】
上記のフェライト層のAlの含有量は、鋼基板のAlの含有量より高いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載された溶融メッキされた中マンガン鋼。
【請求項7】
上記のフェライト層のAl含有量は、>1%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載された溶融メッキされた中マンガン鋼。
【請求項8】
上記のフェライト層のAl含有量は、<5%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載された溶融メッキされた中マンガン鋼。
【請求項9】
上記のフェライト層に、Alの酸化物を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載された溶融メッキされた中マンガン鋼。
【請求項10】
上記のフェライト層のC含有量は、鋼基板のC含有量より低いことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載された溶融メッキされた中マンガン鋼。
【請求項11】
上記のフェライト層のC含有量は、≦0.1%であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載された溶融メッキされた中マンガン鋼。
【請求項12】
上記のメッキ層の厚みは、5−200μmであることを特徴とする請求項1に記載された溶融メッキされた中マンガン鋼。
【請求項13】
下記ステップを含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載された溶融メッキされた中マンガン鋼の製造方法:
1)ストリップ鋼の製造;
2)一次焼鈍と酸洗
ストリップ鋼を、連続焼鈍ラインに、均熱温度600〜750℃まで加熱し、均熱時間は30〜600sで、その焼鈍雰囲気は、N2とH2の混合ガスであり、H2の体積含有量は、0.5〜10%で、露点は、−20〜+20℃である;焼鈍されたストリップ鋼を、100℃以下まで冷却し、Hイオン濃度0.1〜5%の酸洗液にて酸洗し、酸洗液温度は50〜70℃で、酸洗時間は1〜10sである;その後、すすぎ洗いと乾燥の後に巻き取る;
3)二次焼鈍と溶融メッキ
ステップ2)で得られたストリップ鋼は、溶融メッキラインに二次焼鈍と溶融メッキを行われ、二次焼鈍の均熱温度は、600〜850℃で、均熱時間は60〜360sで、その焼鈍雰囲気は、N2とH2の混合ガスであり、H2の体積含有量は2〜10%で、露点は、−60〜+10℃である;ストリップ鋼を、380〜500℃に冷却した後、メッキ液に浸漬して溶融メッキする。
【請求項14】
ステップ(2)の上記の均熱温度は、600〜700℃であることを特徴とする請求項13に記載された溶融メッキされた中マンガン鋼の製造方法。
【請求項15】
ステップ(2)の上記の均熱時間は、30〜180sであることを特徴とする請求項13に記載された溶融メッキされた中マンガン鋼の製造方法。
【請求項16】
ステップ(2)の上記の焼鈍雰囲気の露点は、−10〜+10℃であることを特徴とする請求項13に記載された溶融メッキされた中マンガン鋼の製造方法。
【請求項17】
質量百分含有量で、ステップ(3)の上記のメッキ液の成分は、0.1≦Al≦6%、0<Mg≦5%、残部はZn及びその他の不可避の不純物であることを特徴とする請求項13に記載された溶融メッキされた中マンガン鋼の製造方法。
【請求項18】
ステップ(3)の上記の焼鈍雰囲気の露点は、−60〜−20℃であることを特徴とする請求項13に記載された溶融メッキされた中マンガン鋼の製造方法。
【請求項19】
ステップ(3)の上記のメッキ液温度は、420〜480℃であることを特徴とする請求項13に記載された溶融メッキされた中マンガン鋼の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高強度鋼に関わり、特に溶融メッキされた中マンガン鋼及びその製造方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
先進高強度鋼は、自動車の軽量化を満足し、衝突安全性を向上する最適材料である。世界の各鉄鋼会社が先進高強度鋼での開発の進展に従って、より高い強度とより高い伸びを同時に有する鋼種類は、続々と開発された。
【0003】
先進高強度鋼ファミリーにおいて、中マンガン鋼は、Mn含有量が通常4−12%であり、TWIP鋼の高Mn含有量設定(Mn≧15%)より低いが、通常の高強度鋼のMn含有量設定(約1−3%)より高い。中マンガン鋼には、室温において、オーステナイトは、30%超ひいては半分以上の含有量を有し、鋼基板組織となることで、変形過程において継続的で顕著なTRIP効果が得られ、強度・塑性積が30GPa・%超の性能を達成する。従来の中マンガン鋼には、C−Si−Mn系、C−Mn−Al系及びV微量合金化C−Mn−Al−Si系などがある。
【0004】
しかしながら、冷間圧延中マンガン鋼の表面に、腐食が発生しやすいから、中マンガン鋼の表面に金属メッキ層をメッキし、鋼材の腐食を避けることが望ましい;ただし、最も典型的なメッキ層はホット亜鉛メッキである。しかしながら、中マンガン鋼は通常の先進高強度鋼に比べて、そのMn含有量が高いことにより、そのホット亜鉛メッキが問題になる。その原因としては、還元雰囲気中においてストリップ鋼を焼鈍する際に、雰囲気はFeに対して還元的であるが、Mn、Si、Alなどの元素に対して酸化的であるので、ストリップ鋼の焼鈍過程において、これらの合金元素がストリップ鋼の表面に集中し、亜鉛液の濡れ性に影響する酸化膜を形成し、スキップメッキ又はメッキ層の結合力低下を引き起こす。
【0005】
先進高強度鋼への亜鉛液の濡れ性に対する、合金元素が表面に集中することの悪影響を排除するため、現在開示された解決策は、主に成分設定を改良、焼鈍雰囲気を制御、焼鈍の前に金属を前メッキ、メッキ液に浸漬する前に酸洗することなどがある。
【0006】
成分設定の改良において、有害元素の含有量をなるべく低下させる以外、その他の元素の添加でもMn元素の表面集中状態を改善でき、先行技術における添加された元素としては、Sb、Snなどがある。
【0007】
焼鈍雰囲気を制御することは、もう一つの先進高強度鋼のメッキ可能性を改善する方法であり、主に焼鈍雰囲気の露点の制御や焼鈍雰囲気におけるH2、H2Oの含有量の調整などを含む;Mn、Si元素の含有量が低い場合に、上記のパラメーターの調節が、メッキ可能性をある程度に改善できるは、Mnの含有量が比較的に高い中・高マンガン鋼に、明らかな効果を持てない。
【0008】
例えば、中国特許公開第CN101506403B号が、「6重量%〜30重量%のMnを含む熱間圧延或いは冷間圧延鋼帯に金属保護層をメッキする方法」をテーマとし、熱間圧延鋼帯又は冷間圧延鋼帯に、金属保護層をメッキする方法を開示した。該当方法は、上記の鋼帯に、酸化物サブレーヤが実質的に存在しない金属保護層を形成するために、上記焼鈍雰囲気中の水素含有量%H2に対する水分含有量%H2Oの比である%H2O/%H2を、それぞれの焼鈍温度T
Gに応じて、%H2O/%H2≦8・10
-15・T
G3.529の関係式に従って調節することを特徴とする。実際に、上記の関係式を満足するために、H2の含有量は非常に高くなければないが(例えば、50%、ひいては100%)、通常に、従来のホット亜鉛メッキライン加熱炉内のH2含有量は1−10%しかない。
【0009】
例えば、中国特許公開第CN102421928B号が、「2−35重量%のMnを含有する平鋼製品の溶融めっきコーティング方法および平鋼製品」をテーマとし、亜鉛又は亜鉛合金で、2−35重量%のMnを含有する平鋼製品を、溶融めっきコーティングする方法を開示した。該当方法の焼鈍雰囲気が、0.01−85体積%のH2、H2Oと残部のN2、技術的理由で存在する不可避の不純物を含有し、−70℃と+60℃との間の露点を有し、ただし、H2O/H2の比は、8・10
-15・T
G3.529≦H2O/H2≦0.957を満足し、平鋼製品に、平鋼製品を少なくとも数セクションでカバーする20−400nmの厚さのMn混合酸化物の層を形成した。一般的なホット亜鉛メッキライン加熱炉内の雰囲気が、上記の関係式を満足しやすいが、ストリップ鋼の表面に20−400nmのMn混合酸化物が存在する場合に、メッキ可能性を改善する効果は限られた。
【0010】
前メッキは、もう一つの高強度鋼のメッキ可能性を改善する方法であり、焼鈍の前に鋼板の表面にFe、Cu、Ni、Alなどの金属を前メッキすることで、焼鈍の過程中にSi、Mnなどの酸化物を鋼基板と前メッキ層との境界面に形成するように制御し、そして表面での集中を避ける。
【0011】
例えば、中国特許公開第CN100577843C号が、「鋼ストリップをコーティングする方法及び前記コーティングを付与された鋼ストリップ」をテーマとするものを開示し、上記の鋼ストリップは、重量%で、Mn:6−30%を含み、上記の方法は、最終焼鈍前に前記鋼ストリップにアルミニウム層を付与し、最終焼鈍後に前記アルミニウム層に前記コーティングを付与することを特徴とする。該当方法の肝心な点は、焼鈍の前に中マンガン鋼の表面にアルミニウム層をメッキする必要が有り(PVDの方法を採用しても良い、アルミニウム層の厚みは50−1000nmである)、Mn元素の外部酸化を抑制する作用がある。該当前メッキ方法の欠点は、効率が非常に低くて、産業の連続生産の要望を満足し難いだけではなく、前メッキ設備のハードウェア投資も非常に高い。
【0012】
酸洗方法は、主に酸洗で焼鈍の過程中にストリップ鋼の表面に集中した元素を除去し、表面の酸化物が亜鉛メッキに与える悪影響を排除する。
【0013】
例えば、中国特許公開第CN101730752B号が、「AHSS又はUHSSストリップ材料に溶融亜鉛メッキする方法及び得られるストリップ材料」をテーマとし、二相鋼、変態誘起塑性鋼、変態誘起塑性補助二相鋼または双晶誘起塑性鋼ストリップ材料の溶融亜鉛メッキ方法を開示し、前記ストリップ材料を溶融亜鉛メッキする前に、前記ストリップ材料を酸洗し、続いて連続焼鈍温度より低い温度(400〜600℃)に加熱し、ただし、連続焼鈍温度より低い温度に加熱中または加熱後かつ溶融亜鉛メッキの前に、ストリップ材料内のFeを還元し、ストリップ材料の加熱中または加熱後かつストリップ材料を還元する前に、雰囲気中に過剰のO2を供給することを特徴とする。
【0014】
例えば、中国特許公開第CN101952474B号が、「6−30重量%のMnを含有する熱間圧延または冷間圧延平鋼材に金属保護層をコーティングする方法」をテーマとし、6−30重量%のMnを含有する熱間圧延又は冷間圧延平鋼材に金属保護層をコーティングする方法を開示した。当該方法は、平鋼材が、溶融浴に入る前に酸洗処理を受け、この酸洗処理において、平鋼材は少なくとも2つの酸洗浴に曝され、平鋼材に付着した酸化マンガンが除去されることを特徴とする。酸洗液が溶融メッキ装置内に侵入することを防止するために、酸洗された平鋼材は、溶融浴に入る前に乾燥され、同時に、溶融浴に入る前に、平鋼材は、浴入口温度に加熱され、コーティング結果を損なう酸化物が再形成されることを防止するため、加熱中の表面温度は700℃を超えるべきではない。
【0015】
しかし、通常に、従来の溶融亜鉛メッキユニットは、加熱、均熱、冷却、溶融メッキ、再冷却のように配置される。上記の二つの特許の方法は、いずれも均熱されたストリップ鋼を、まず酸洗温度(通常は少なくとも100℃未満)まで冷却した後に、酸洗を行い、そして浴入口温度まで再加熱し、溶融メッキを行う;工業ラインが、酸洗セクション、再加熱セクション及び不可欠の温度均一セクションを有するから、工業ラインが長く、装置のコストは非常に高くなる。
【0016】
優れた性能(高い強度と高い伸びの両方)を有するから、中マンガン鋼は、既に鉄鋼産業と自動車産業で大きな注目を集めて、溶融メッキされた中マンガン鋼の用途は幅広い。そして、経済的な溶融メッキされた中マンガン鋼及びその製造方法を提供できれば、中マンガン鋼のメッキ可能性問題を解決でき、メッキ層の表面の品質が優れ、メッキ層の接着性が優れた溶融メッキされた中マンガン鋼を得られると、中マンガン鋼の産業化と自動車軽量化の促進に非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
発明の内容
本発明の目的は、溶融メッキされた中マンガン鋼及びその製造方法を提供することにあり、ただし、該当溶融メッキされた中マンガン鋼が、メッキ層の表面の品質が優れ、メッキ層の接着性が優れ、耐腐食性が優れる利点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を果たすために、本発明の技術方案は:
鋼基板と、鋼基板の表面に位置するメッキ層を含む溶融メッキされた中マンガン鋼であって、ただし、上記の溶融メッキされた中マンガン鋼の成分が質量百分含有量で、C:0.1〜0.3%、Si:0.1−2.0%、Mn:5〜12%、Al:1−2%、P≦0.02%、S≦0.02%、N≦0.005%であり、残部は、Fe及びその他の不可避の不純物である;かつ上記の鋼基板のコア部組織は、フェライトとオーステナイトであり、鋼基板の表層は、フェライト層である溶融メッキされた中マンガン鋼である。
【0019】
上記の溶融メッキされた中マンガン鋼における各化学元素の設定原理は以下のようである。
【0020】
C:鋼における典型的な固溶強化元素であると共に、オーステナイトの安定性を向上することもでき、室温下である程度の体積分数の残留オーステナイトの保留に寄与することで、変態誘起塑性(TRIP)効果を発生させる。C元素の含有量が0.1%未満であると、鋼の強度が低いが、C元素の含有量が0.3%を超えると、鋼の性能が悪化し、特に鋼材料の溶接性能に不利である。そのため、本発明の上記の鋼板におけるC含有量は、0.1%〜0.3%に限定する必要がある。
【0021】
Si:製鋼で脱酸に必要な元素である。Siは、ある程度の固溶強化作用を有することだけでなく、炭化物の析出を抑制する作用も有する。Si含有量が0.1%未満であると、鋼で十分な脱酸効果を得ることは困難になる。しかしながら、Si含有量が高すぎると、鋼の総合性能にも影響を与える。また、適量のSi元素は、セメンタイトの析出を阻止する作用を奏することから、冷却過程におけるオーステナイトの安定性を向上することもできる。それらのことを鑑み、鋼板におけるSi含有量を0.1%〜2%に、好ましくは0.3%〜1.5%に制御する必要がある。
【0022】
Mn:オーステナイトを効果的に安定化する元素である。中マンガン鋼には、Mnの作用は、Cと類似し、効果的に、材料の積層欠陥エネルギーを向上し、マルテンサイト変態温度Msを低下し、オーステナイトの安定性を向上できる。なお、一般的な炭素鋼におけるMnの作用と異なり、中マンガン鋼には、Mn含有量の向上が、材料の強度の低下に繋がるから、材料のオーステナイト安定性を確保する前提に基づいて、なるべくMn含有量を低下する必要がある。そして、質量百分比で、本発明に限定されたMn元素の含有量は、5−12%である。
【0023】
Al:材料の耐遅れ破壊性能を効果的に改善できるが、Alの添加が、著しく鋼材料の製錬と連続鋳造性能を悪化し、連続鋳造の際に、ノズル閉塞を引き起こしやすい。なお、製錬と連続鋳造の過程において、大量のAl
2O
3の形成が、溶鋼の流動性を低下し、スラグ滴巻き込みとスラブ割れなどの問題を引き起こすことから、本発明において、Al元素の含有量を質量百分比で1−2%に限定する。
【0024】
本発明の上記の鋼板における主な不純物元素は、P、S及びNであり、これらの不純物元素は、なるべく少なく制御されることが好ましく、これで、得られる鋼板も純度が高くなる。しかしながら、生産過程での実際の製錬レベルに応じて、不純物元素が低く制御されるほど、製造コストが高くなる。鋼材の純度指標と製造コストダウンを両立するために、不純物元素P、S及びNは、それぞれP≦0.02%、S≦0.02%、N≦0.005%と設定される。
【0025】
本発明の上記の鋼基板の表層はフェライト層であり、該フェライト層は、本発明の上記の溶融メッキされた中マンガン鋼に、優れたメッキ可能性とメッキ層接着性を付与できる。
【0026】
中マンガン鋼におけるMn元素が、溶融メッキ前の焼鈍過程に、表面にMnO集中層をひどく形成し、該当MnO集中層が、鋼板のメッキ可能性(即ち、メッキ層の悪い表面品質)とメッキ層の接着性(即、メッキ層と鋼基板の接着力が弱く、脱落しやすい)に影響する。
【0027】
上記の溶融メッキされた中マンガン鋼の二つの問題を解決するために、本発明が、比較的に高いMn含有量の鋼基板の表層をフェライト層にし、フェライト層におけるMnは、鋼基板のMn含有量よりはるかに低いから、溶融メッキの前の焼鈍過程中に、フェライト層の表面にMnO集中層を形成することを避け、通常のフェライト鋼の表面の溶融メッキに相当するので、鋼板のメッキ可能性(表面品質)とメッキ層接着性(結合力)とも大幅に改善できる。
【0028】
さらに、本発明の上記の溶融メッキされた中マンガン鋼において、上記のフェライト層の厚みは、0.2−5μmである。
【0029】
本発明の上記の溶融メッキされた中マンガン鋼において、フェライト層の厚み<0.2μmである場合に、MnとAl元素の外部酸化を効果的に抑制できず、その厚み>5μmである場合に、より長い焼鈍保持時間が必要であるから、本発明には、鋼基板の表面のフェライト層の厚みは、0.2−5μmに制御される。
【0030】
さらに、フェライト層の結晶粒サイズ>5μmである場合に、フェライト層が厚すぎることになってしまうから、本発明には、フェライト層の結晶粒サイズは≦5μmに制御される。
【0031】
さらに、フェライト層のMn含有量は、鋼基板のMn含有量より低い。その原因としては、一次焼鈍のプロセス条件には、鋼基板表層のMnが、鋼板の表面まで拡散し、鋼基板の表層にマンガン欠乏層を形成した。一般的に、フェライト層のMn含有量は≦5%で、好ましくは、フェライト層のMn含有量は、≦2%に制御される。
【0032】
さらに、一次焼鈍のプロセス条件には、鋼基板の一部のAlが、鋼板の表層まで拡散し、鋼板の表層のAl含有量が高まることになるから、フェライト層のAl含有量は、鋼基板のAl含有量より高い。鋼基板のAl含有量は、1−2%である場合に、好ましくは、フェライト層のAl含有量>1%で、かつAl含有量<5%である。
【0033】
本発明の上記の溶融メッキされた中マンガン鋼において、上記のフェライト層のC含有量は、鋼基板のC含有量より低い。その原因としては、一次焼鈍のプロセス条件には、鋼基板の表層に脱炭反応が発生し、表層に脱炭層を形成する。好ましくは、フェライト層のC含有量は≦0.1%である。
【0034】
上記の鋼基板のコア部のミクロ組織は、フェライトとオーステナイトである。
さらに、本発明の上記の溶融メッキされた中マンガン鋼の降伏強度は、700−1000MPaで、引張強度は、950−1350MPaで、破断時伸びは、>25%である。
【0035】
本発明の上記の溶融メッキされた中マンガン鋼の製造方法は、以下のステップを含む:
(1)ストリップ鋼の製造
(2)一次焼鈍と酸洗
(3)二次焼鈍と溶融メッキ。
【0036】
ただし、ステップ(2)における一次焼鈍と酸洗は、連続焼鈍ラインで行われる;ストリップ鋼を、連続焼鈍ラインに、均熱温度600〜750℃まで加熱し、均熱時間は30〜600sで、その焼鈍雰囲気は、N
2とH
2の混合ガスであり、H
2の体積含有量は、0.5〜10%で、露点は、−20〜+20℃である;焼鈍されたストリップ鋼を、100℃以下まで冷却し、Hイオン濃度0.1〜5%の酸洗液にて酸洗し、酸洗液温度は50〜70℃で、酸洗時間は1〜10sである;その後、すすぎ洗いと乾燥の後に巻き取る。
【0037】
ステップ(3)における二次焼鈍と溶融メッキは、連続溶融メッキラインで行われる;ステップ(2)で得られたストリップ鋼は、溶融メッキラインに二次焼鈍と溶融メッキを行われ、二次焼鈍の均熱温度は、600〜850℃で、均熱時間は60〜360sで、その焼鈍雰囲気は、N2とH2の混合ガスであり、H2の体積含有量は2〜10%で、露点は、−60〜+10℃である;ストリップ鋼を、380〜500℃に冷却した後、メッキ液に浸漬して溶融メッキする。
【0038】
本発明が、一次焼鈍の均熱温度、時間、焼鈍雰囲気の露点を制御することで、Mn元素が、表面に酸化マンガン層を形成させ、鋼基板の表層に、マンガン欠乏と脱炭されたフェライト層を形成し、その後、酸洗の方法で、一次焼鈍された鋼板の表面の酸化マンガン層を洗浄し、鋼基板の表層のフェライト層を残す。二次焼鈍の際に、鋼板の表層のフェライト層で、優れるメッキ可能性を得る。
【0039】
上記のステップ(2)には、均熱温度は、600−750℃に限定され、その原因は、均熱温度は600℃より低い場合に、鋼基板の表層に形成されたMn元素の表面集中の量はわずかであり、鋼基板の表層にマンガン欠乏層を形成できなく、フェライト層を得られない;均熱温度は、750℃よい高い場合に、Mn元素が、フェライト層に大量の酸化物を形成し、表層のフェライト層の成形性を悪化する。さらに好ましくは、ステップ(2)の均熱温度は、650−700℃である。
【0040】
さらに、上記のステップ(2)には、焼鈍雰囲気の露点は、−20℃〜+20℃に限定される。その原因は、上記の焼鈍雰囲気の露点が上記の範囲にあると、焼鈍雰囲気は、Feに対して還元的であるが、Mnに対して酸化的である。露点は、−20℃より低い場合に、鋼基板の表層のフェライト層の厚みは、<0.2μmであり、露点は、+20℃より高い場合に、鋼基板の表層のフェライトが、大量のMnの内部酸化顆粒を形成し、表層の性能に影響する。好ましくは、焼鈍雰囲気の露点は、−10℃〜+10℃である。
【0041】
より優れた実施効果を実現するために、ステップ(2)の均熱保温時間は、30−600sに限定されることが好ましい。さらに好ましくは、ステップ(2)の均熱保温時間は、30−180sである。
【0042】
より優れた実施効果を実現するために、ステップ(2)の焼鈍雰囲気は、N
2とH
2の混合ガスであり、H
2の体積含有量は0.5−10%である。
【0043】
本技術方案において、ステップ(2)の酸洗濃度、温度、時間を制御する原則は、表面の酸化マンガン層を洗浄する同時に、表層のフェライト層を残すから、酸洗液の濃度の高すぎ、酸洗液の温度の高すぎ及び酸洗の時間の長すぎが、いずれも表層のフェライト層を洗い流してしまう。焼鈍過程に形成された酸化マンガンが厚すぎて酸洗が不十分である場合に、残留酸化物層もステップ(3)の溶融メッキにとって不利である。そのため、酸洗液の濃度の範囲は、0.1−5%で、酸洗温度は、50−70℃で、酸洗時間は、1−10sである。
【0044】
ステップ(3)における二次焼鈍と溶融メッキは、連続溶融メッキラインで行われる;ステップ(2)で得られたストリップ鋼は、溶融メッキラインに二次焼鈍と溶融メッキを行われ、二次焼鈍の均熱温度は、600〜850℃で、均熱時間は60〜360sで、その焼鈍雰囲気は、N2とH2の混合ガスであり、H2の体積含有量は2〜10%で、露点は、−60〜+10℃である;ストリップ鋼を、380〜500℃に冷却した後、メッキ液に浸漬して溶融メッキする。
【0045】
本発明の技術方案において、ステップ(3)の焼鈍プロセスパラメーターは、広い範囲から選べられ、特に焼鈍雰囲気を制御しなくてもよく、通常の焼鈍雰囲気にも一般的なフェライト材料と同じメッキ可能性を得られる。その原因は、ステップ(2)で得られた鋼板の表層に、既に0.2−5μmのフェライト層が存在し、二次焼鈍過程に一般的な焼鈍温度、保温時間と焼鈍雰囲気の露点を採用する場合に、フェライト層におけるMn元素の含有量は低く、かつ鋼基板におけるMn元素が、フェライト層の上の表面に酸化マンガン層を形成できなく、鋼基板におけるマンガン元素が、フェライト層の中で、少量の内部酸化のみを形成する。言い換えれば、ステップ(2)で処理された鋼板の表面状態が、一般的な軟鋼の表面状態に相当するので、幅広いプロセスパラメーター範囲でメッキ可能性が低下することがない。
【0046】
好ましくは、ステップ(3)の焼鈍温度は、600〜850℃であり、保温時間は、60〜360sであり、焼鈍雰囲気のH2含有量は、2〜10%であり、焼鈍雰囲気の露点は、−60〜+10℃である。
【0047】
さらに、上記のステップ(3)には、質量百分含有量で、メッキ液の成分は、0.1≦Al≦6%、0<Mg≦5%であり、残部は、Zn及びその他の不可避の不純物である。
【0048】
上記のステップ(3)において、0.1−6%のAlをメッキ液に添加する目的は、ストリップ鋼を亜鉛ポットに浸漬する際に、メッキ液におけるAlが、まずストリップ鋼と反応し、バリア層を形成し、それでZnとFeとの間の拡散を抑制し、メッキ層の成形性能に悪影響を有する亜鉛鉄合金相の形成を避けるためである。Mgをメッキ液に添加すると、メッキ層の耐腐食性をさらに向上することに寄与するが、Mgの含有量が5%を超えると、表面の酸化も増え、生産に資しないから、本発明には、Mgは、0−5%に限定される。しかも、Al、Mg含有量が高すぎると、メッキ層の硬度が増え、メッキ層の成形性能を悪化する。
【0049】
より優れた実施効果を実現するために、ストリップ鋼が亜鉛ポットに入る際の温度は、メッキ液の温度より0−10℃高いことが好ましい。
【0050】
好ましくは、メッキ液温度は、420−480℃である。
【発明の効果】
【0051】
本発明の有利な効果は、
(1)ストリップ鋼の表層に、フェライト層を形成することで、中マンガン鋼のメッキ可能性が劣るという問題を解決し、中マンガン鋼の優れたメッキ可能性とメッキ層接着性を達成し、中マンガン鋼の耐腐食性を向上した。
(2)本発明の上記の溶融メッキされた中マンガン鋼の製造方法が、従来の連続焼鈍と連続溶融メッキラインに実現でき、大きな調整をする必要がなく、良い見通しを持っている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、本発明の上記の溶融メッキされた中マンガン鋼の構造の模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の上記の溶融メッキされた中マンガン鋼の、溶融メッキされた前の組織である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1の断面の金属組織写真である。
【
図4】
図4は、一次焼鈍と酸洗の後、二次焼鈍の後の実施例1の、二次焼鈍の後の実施例2の、及び一次焼鈍の後の比較例1の表面におけるMn元素の深度分布曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
具体的な実施形態
以下、図面の説明および具体的な実施例に基づいて、本発明にかかる溶融メッキされた中マンガン鋼及びその製造方法をさらに解釈・説明するが、該解釈・説明は本発明の技術方案を不当に制限するものではない。
【0054】
図1は、本発明の上記の溶融メッキされた中マンガン鋼の構造を示す。
図1に示されたように、本発明の上記の溶融メッキされた中マンガン鋼が、鋼基板1と、鋼基板1の表面に位置するメッキ層2を含み、ただし、11は鋼基板のコア部組織で、12は、鋼基板の表層のフェライト層である。
【0055】
図2は、本発明の上記の溶融メッキされた中マンガン鋼の、溶融メッキされた前の組織を示す。
図2に示されたように、鋼基板のコア部組織11はオーステナイト+フェライトであり、鋼基板の表層12は、フェライト層である。
【0056】
図3は、本発明の実施例1の断面の金属組織を示す。
図3に示されたように、11は鋼基板1のコア部であり、12はフェライト層であり、2はメッキ層である。
【0057】
本発明者らは、本発明の上記の溶融メッキされた中マンガン鋼の製造方法におけるステップ(2)及びステップ(3)中のプロセスパラメーターについて、詳しく検討した。
【0058】
表1は、実施例1−20の溶融メッキされた中マンガン鋼及び比較例1−12の普通の鋼板の化学成分質量百分比を示す。ただし、残部はFe及び不可避の不純物である。
【0059】
表1から、成分I、II、IIIの化学成分質量百分含有量の範囲は、C:0.1〜0.3%、Si:0.1−2.0%、Mn:5〜12%、Al:1−2%、P≦0.02%、S≦0.02%、N≦0.005%に制御されたことは分かった。成分IVのCとMnの含有量は、上記の成分範囲以外にある。
【0061】
実施例1−20の溶融メッキされた中マンガン鋼は、以下のステップで製造された:
(1)ストリップ鋼の製造;
(2)一次焼鈍と酸洗:ストリップ鋼を、連続焼鈍ラインに、均熱温度600〜750℃まで加熱し、均熱時間は30〜600sで、その焼鈍雰囲気は、N2とH2の混合ガスであり、H2の体積含有量は、0.5〜10%で、露点は、−20〜+20℃であった;焼鈍されたストリップ鋼を、100℃以下まで冷却し、Hイオン濃度0.1〜5%の酸洗液にて酸洗し、酸洗液温度は50〜70℃で、酸洗時間は1〜10sであった;その後、すすぎ洗いと乾燥の後に巻き取った。
(3)二次焼鈍と溶融メッキ:ステップ(2)で得られたストリップ鋼は、溶融メッキラインに二次焼鈍と溶融メッキを行われ、二次焼鈍の均熱温度は、600〜850℃で、均熱時間は60〜360sで、その焼鈍雰囲気は、N2とH2の混合ガスであり、H2の体積含有量は2〜10%で、露点は、−60〜+10℃であった;ストリップ鋼を、380〜500℃に冷却した後、メッキ液に浸漬して溶融メッキした。
【0062】
表2は、実施例1−20の溶融メッキされた中マンガン鋼及び比較例1−12の普通の鋼板の具体的なプロセスパラメーターを示す。
【0063】
図4は、一次焼鈍と酸洗の後(B1)と二次焼鈍の後(B2)の実施例1の、二次焼鈍の後(C)の実施例2の、及び一次焼鈍の後(A)の比較例1の表面におけるMn元素の深度分布曲線である。
【0064】
ただし、Aは、比較例1において、一次焼鈍温度が700℃で、均熱時間が120sで、焼鈍雰囲気の露点が−40℃である場合の焼鈍鋼板であり、その表面に明らかなMn集中が存在したが、表面下マンガン欠乏層が顕著ではなく、該表面状態で溶融メッキを行った場合、メッキ可能性が劣った。
【0065】
B1は、実施例1において、一次焼鈍温度が650℃で、保温時間が100sで、焼鈍雰囲気の露点が0℃で、かつ酸洗された鋼板であり、表面の酸化マンガンは、酸洗してしまわれ、表面下に約1μm厚さのマンガン欠乏層が存在した。
【0066】
B2は、実施例1で酸洗されたB1ストリップ鋼を、さらにステップ(3)において、二次焼鈍温度が650℃で、保温時間が120sで、焼鈍雰囲気の露点が−10℃の二次焼鈍を経た後に、ストリップ鋼の表面のMn元素の深度分布であり、ただし、B2ストリップ鋼の表面に、少量のMn集中があるが、比較例Aよりはるかに低く、該表面状態で溶融メッキを行うと、良好なメッキ可能性を有する。
【0067】
Cは、実施例2において、ステップ(2)及びステップ(3)で二次焼鈍を経た後に、ストリップ鋼の表面のMn元素の深度分布であり、ただし、ステップ(2)において、一次焼鈍温度が650℃で、保温時間が120sで、焼鈍雰囲気の露点が0℃である;ステップ(3)において、二次焼鈍温度が800℃で、保温時間が90sで、焼鈍雰囲気の露点が−50℃であった。実施例2の二次焼鈍温度が実施例1の二次焼鈍温度より高く、かつ二次焼鈍雰囲気の露点が実施例1の二次焼鈍雰囲気の露点より低かったため、実施例2の表面のMn元素の集中は実施例1より顕著になったが、依然として比較例1よりひくく、該表面状態でストリップ鋼を溶融メッキすると、メッキ可能性が依然として良好である。
【0068】
表3は、実施例1−20の溶融メッキされた中マンガン鋼及び比較例1−12の普通の鋼板の各性能パラメーター及び組織特徴を示す。
【0069】
ただし、メッキ可能性を判断する方法は、肉眼でメッキさらたストリップ鋼の外観を直接観察することである。表面に、鉄が著しく露出しないと、メッキ可能性は良好とし(○で表示する)、表面に、鉄が著しく露出すると、メッキ可能性は、劣りとする(×で表示する)。
【0070】
メッキ層接着性の測定方法は、ストリップ鋼から長さ200mm、幅100mmの試料を取り、180度曲げた後に平らにし、テープを使用して曲げ位置を貼り付ける。亜鉛層がテープによって取り除かれない場合や、テープで貼り付けされた曲げ面のメッキ層の表面に破片がない場合に、メッキ層接着性は良好とする(○で表示する);亜鉛層がテープによって取り除かれる場合や、テープで貼り付けされた曲げ面のメッキ層の表面に破片がある場合に、メッキ層接着性は劣りとする(×で表示する)。
【0071】
表3から、実施例1−20の降伏強度は、700−1000MPaで、引張強度は、950−1350MPaで、破断時伸び>25%である;実施例1−20の鋼基板の表層のフェライト層の厚みは、0.2−5μmで、表層のフェライト層の結晶粒サイズ≦5μmである;かつメッキ可能性及びメッキ層接着性は、いずれも比較例1−10より優れたことは分かった。
【0072】
その原因は、実施例には、ステップ(2)で、鋼基板の表層にフェライト層を形成し、そしてステップ(3)には、鋼基板におけるMnの鋼板表面への拡散は抑制され、メッキ液におけるAlとフェライト層が、効果的なFe−Alバリア層を形成することに寄与し、優れたメッキ可能性とメッキ層接着性を得られる。
【0073】
なお、比較例11−12には、本発明に限定された鋼基板の成分と製造方法を採用しないから、メッキ可能性とメッキ層接着性は優れたが、鋼基板のコア部はフェライト+オーステナイトで、鋼基板の表層はフェライト層である組織特徴を有しないと共に。破断時伸びは低い。
【0074】
以上に挙げられたのは本発明の具体的な実施例だけであり、本発明は勿論以上の実施例に限定されず、数多くの類似の変更もあることを注意すべきである。当業者は本発明に開示された内容から直接に導く若しくは想到する変更は全て本発明の保護の範囲に含まれるべきである。