特許第6874174号(P6874174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6874174
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】荷役システムおよび管理装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20210510BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20210510BHJP
【FI】
   B66F9/24 A
   G06T7/00 350B
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-9811(P2020-9811)
(22)【出願日】2020年1月24日
【審査請求日】2020年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 絢介
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−001638(JP,A)
【文献】 特開2011−103062(JP,A)
【文献】 特開2013−065298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設において走行および荷役作業を行う複数の無人作業車と、
前記無人作業車を管理する管理装置と、
を含む荷役システムであって、
前記管理装置は、
前記無人作業車と無線通信を行う通信部と、
前記無人作業車の走行ルートを決定する統括制御部と、
前記施設のモデル図を表示する表示部と、
を備え、
前記無人作業車は、
荷役装置が設けられた車体と、
前記車体の前方を含む画像を撮影して画像データを生成する画像データ生成部と、
前記画像データが入力されると、所定のパラメータを有する機械学習アルゴリズムを用いて、前記走行ルートの安全性の程度を示す安全性スコアを生成するように機械学習された学習モデル部と、
前記画像データを前記学習モデル部に入力することで前記学習モデル部から前記安全性スコアを取得する処理部と、
を備え、
前記統括制御部は、前記無人作業車から前記安全性スコアを取得し、前記走行ルートとなり得る領域を前記安全性スコアに応じて視覚的に区別して表示した前記モデル図を生成し、前記表示部に前記モデル図を表示させることを特徴とする荷役システム。
【請求項2】
前記無人作業車は、前記車体の走行速度に関する速度指令値に応じて前記車体の走行制御を行うとともに、前記安全性スコアに応じて前記速度指令値の補正を行う走行制御部を備え、
前記統括制御部は、前記補正を行う領域と前記補正を行わない領域とが視覚的に区別された前記モデル図を生成し、前記表示部に前記モデル図を表示させることを特徴とする請求項1に記載の荷役システム。
【請求項3】
前記走行制御部は、前記安全性スコアが所定の第1閾値よりも小さい場合に、前記速度指令値を減少させる第1補正を行い、
前記統括制御部は、前記第1補正を行う領域と前記第1補正を行わない領域とが視覚的に区別された前記モデル図を生成し、前記表示部に前記モデル図を表示させることを特徴とする請求項2に記載の荷役システム。
【請求項4】
前記走行制御部は、前記安全性スコアが所定の第2閾値よりも大きい場合に、前記速度指令値を増加させる第2補正を行い、
前記統括制御部は、前記第2補正を行う領域と前記第2補正を行わない領域とが視覚的に区別された前記モデル図を生成し、前記表示部に前記モデル図を表示させることを特徴とする請求項2または3に記載の荷役システム。
【請求項5】
前記荷役装置は、昇降動作を行うフォークを含み、
前記走行制御部は、前記安全性スコアが所定の第3閾値よりも大きい場合に、走行中における前記昇降動作を許可する一方、前記安全性スコアが前記第3閾値以下の場合に、走行中における前記昇降動作を禁止し、
前記統括制御部は、前記昇降動作の許可領域と前記昇降動作の禁止領域とが視覚的に区別された前記モデル図を生成し、前記表示部に前記モデル図を表示させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の荷役システム。
【請求項6】
施設において走行および荷役作業を行う無人作業車を管理する管理装置であって、
前記無人作業車と無線通信を行う通信部と、
前記無人作業車の走行ルートを決定する統括制御部と、
前記施設のモデル図を表示する表示部と、
を備え、
前記統括制御部は、前記無人作業車から前記走行ルートの安全性の程度を示す安全性スコアを取得し、前記走行ルートとなり得る領域を前記安全性スコアに応じて視覚的に区別して表示した前記モデル図を生成し、前記表示部に前記モデル図を表示させることを特徴とする管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役システムおよび管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫内では、管理装置の管理下で、複数の無人作業車(例えば、レーザー誘導方式の無人フォークリフト)が走行および荷役作業を行う。管理装置は、各無人作業車の走行ルートを決定し、決定した走行ルートを無人作業車に通知する。通知を受けた無人作業車は、自己位置を認識しながら、通知された走行ルートに従って走行する。
【0003】
レーザー誘導方式の無人フォークリフトは、レーザースキャナを備える(例えば、特許文献1参照)。レーザースキャナは、レーザー光源を回転させながら周囲にレーザーを投光するとともに、倉庫内に配置された複数の反射板からの反射光を検出する。レーザー誘導方式の無人フォークリフトは、反射板の位置をマップ上で記憶しており、三角測量の原理に基づいて自己位置を算出する。これにより、レーザー誘導方式の無人フォークリフトは、自己位置を認識しながら、通知された走行ルートを走行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−161039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
荷役システムにおいて、無人作業車が障害物等に接触するのを低減するためには、施設全体における走行ルートの安全性を把握することが求められる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、施設全体における走行ルートの安全性を把握することが可能な荷役システムおよび管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る荷役システムは、
施設において走行および荷役作業を行う複数の無人作業車と、
前記無人作業車を管理する管理装置と、
を含む荷役システムであって、
前記管理装置は、
前記無人作業車と無線通信を行う通信部と、
前記無人作業車の走行ルートを決定する統括制御部と、
前記施設のモデル図を表示する表示部と、
を備え、
前記無人作業車は、
荷役装置が設けられた車体と、
前記車体の前方を含む画像を撮影して画像データを生成する画像データ生成部と、
前記画像データが入力されると、所定のパラメータを有する機械学習アルゴリズムを用いて、前記走行ルートの安全性の程度を示す安全性スコアを生成するように機械学習された学習モデル部と、
前記画像データを前記学習モデル部に入力することで前記学習モデル部から前記安全性スコアを取得する処理部と、
を備え、
前記統括制御部は、前記無人作業車から前記安全性スコアを取得し、前記走行ルートとなり得る領域を前記安全性スコアに応じて視覚的に区別して表示した前記モデル図を生成し、前記表示部に前記モデル図を表示させることを特徴とする。
【0008】
上記荷役システムにおいて、
前記無人作業車は、前記車体の走行速度に関する速度指令値に応じて前記車体の走行制御を行うとともに、前記安全性スコアに応じて前記速度指令値の補正を行う走行制御部を備え、
前記統括制御部は、前記補正を行う領域と前記補正を行わない領域とが視覚的に区別された前記モデル図を生成し、前記表示部に前記モデル図を表示させるよう構成できる。
【0009】
上記荷役システムにおいて、
前記走行制御部は、前記安全性スコアが所定の第1閾値よりも小さい場合に、前記速度指令値を減少させる第1補正を行い、
前記統括制御部は、前記第1補正を行う領域と前記第1補正を行わない領域とが視覚的に区別された前記モデル図を生成し、前記表示部に前記モデル図を表示させるよう構成できる。
【0010】
上記荷役システムにおいて、
前記走行制御部は、前記安全性スコアが所定の第2閾値よりも大きい場合に、前記速度指令値を増加させる第2補正を行い、
前記統括制御部は、前記第2補正を行う領域と前記第2補正を行わない領域とが視覚的に区別された前記モデル図を生成し、前記表示部に前記モデル図を表示させるよう構成できる。
【0011】
上記荷役システムにおいて、
前記荷役装置は、昇降動作を行うフォークを含み、
前記走行制御部は、前記安全性スコアが所定の第3閾値よりも大きい場合に、走行中における前記昇降動作を許可する一方、前記安全性スコアが前記第3閾値以下の場合に、走行中における前記昇降動作を禁止し、
前記統括制御部は、前記昇降動作の許可領域と前記昇降動作の禁止領域とが視覚的に区別された前記モデル図を生成し、前記表示部に前記モデル図を表示させるよう構成できる。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る管理装置は、
施設において走行および荷役作業を行う無人作業車を管理する管理装置であって、
前記無人作業車と無線通信を行う通信部と、
前記無人作業車の走行ルートを決定する統括制御部と、
前記施設のモデル図を表示する表示部と、
を備え、
前記統括制御部は、前記無人作業車から前記走行ルートの安全性の程度を示す安全性スコアを取得し、前記走行ルートとなり得る領域を前記安全性スコアに応じて視覚的に区別して表示した前記モデル図を生成し、前記表示部に前記モデル図を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、施設全体における走行ルートの安全性を把握することが可能な荷役システムおよび管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る荷役システムのブロック図である。
図2】第1実施形態に係る無人作業車(無人フォークリフト)の側面図である。
図3】第1実施形態に係る荷役システムの平面図である。
図4】第1実施形態に係る管理装置に表示されたモデル図であって、(A)は速度補正を行う領域と行わない領域とが視覚的に区別されたモデル図、(B)は走行中における昇降動作の許可領域と禁止領域とが視覚的に区別されたモデル図である。
図5】第2実施形態に係る荷役システムのブロック図である。
図6】管理装置に表示されたモデル図の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る荷役システムおよび管理装置の実施形態について説明する。
【0016】
[第1実施形態]
図1に、本発明の第1実施形態に係る荷役システム1のブロック図を示す。荷役システム1は、管理装置100と、少なくとも1台のレーザー誘導方式の無人フォークリフト200(本発明の「無人作業車」に相当)とを備える。
【0017】
管理装置100は、通信部101と、統括制御部102と、表示部103とを備える。管理装置100は、図3に示すように、無人フォークリフト200が走行する施設(本実施形態では、複数の棚3を有する倉庫2)の外に設けてもよいし、施設の中に設けてもよい。
【0018】
通信部101は、管理装置100に予め登録された無人フォークリフト200と無線通信を行うよう構成されている。
【0019】
統括制御部102は、無人フォークリフト200の走行および荷役作業を管理するよう構成されている。例えば、統括制御部102は、無人フォークリフト200の荷役作業のスケジュールを作成するとともに荷役作業を円滑に行うための走行ルートを決定する。統括制御部102は、通信部101を介して走行ルートを無人フォークリフト200に通知する。
【0020】
統括制御部102は、無人フォークリフト200から走行ルートの安全性の程度を示す安全性スコアを取得する。安全性スコアを取得した統括制御部102は、走行ルートとなり得る領域を安全性スコアに応じて視覚的に区別して表示した倉庫2のモデル図M(例えば、図4参照)を生成し、表示部103にモデル図Mを表示させる。
【0021】
表示部103は、例えば、液晶ディスプレイで構成されている。表示部103には、無人フォークリフト200の走行情報および荷役作業情報が表示される。また、表示部103は、上記のモデル図Mを表示する。モデル図Mの詳細については、後述する。
【0022】
無人フォークリフト200は、管理装置100の管理下で走行および荷役作業を行うよう構成されている。図2に示すように、無人フォークリフト200は、車体210と、荷役装置211と、車体210の上部に設けられたレーザースキャナ212とを備える。荷役装置211は、車体210の前後に水平移動可能に設けられたマストと、マストに昇降可能に設けられたフォークとを含む。
【0023】
図3に示すように、レーザースキャナ212は、レーザー光源を回転させながら周囲にレーザーLを投光し、倉庫2内に配置された複数の反射板4からの反射光L’を検出する。レーザースキャナ212の演算部は、反射板4の位置を所定のマップ上で記憶しており、三角測量の原理に基づいて車体210の現在地を算出する。このようにして、無人フォークリフト200は、車体210の現在地に関する現在地情報を取得しながら、通知された走行ルートに従って走行する。
【0024】
再び図1を参照して、無人フォークリフト200は、画像データ生成部201と、学習モデル部202と、処理部203と、走行制御部204とを備える。
【0025】
画像データ生成部201は、撮影手段および画像処理手段を含むよう構成されている。撮影手段は、車体210の前方を含む画像(静止画および/または動画)を撮影し、画像処理手段に出力する。画像処理手段は、当該画像に基づいて、学習モデル部202に入力可能な画像データを生成する。
【0026】
学習モデル部202は、画像データ生成部201で生成された画像データが入力されると、所定のパラメータを有するニューラルネットワーク等の機械学習アルゴリズムを用いて、走行ルートの安全性の程度を示す安全性スコアを生成するように機械学習された学習済みモデルである。
【0027】
学習済みモデルの機械学習では、上記のとおりニューラルネットワーク等の機械学習アルゴリズムを用いて、教師データを大量に入力する。教師データは、倉庫2内の走行ルートを撮影した画像データに所定の安全性スコアを紐付けしたデータを含む。安全性スコアとしては、数値パラメータ(本実施形態では、1〜5の数値パラメータ)を用いる。数値パラメータの設定は、人またはコンピュータが行う。例えば、棚3の近くを走行し、かつ走行ルート上に人がいる場合は、安全性が低いと判断して小さい数値パラメータを設定する。画像データが示す走行ルートの状況と安全性の程度との間には、相関関係等の一定の関係が存在することを推認できる。
【0028】
処理部203は、画像データ生成部201から取得した画像データを学習モデル部202に入力することで、学習モデル部202から安全性スコアを取得するよう構成されている。処理部203は、学習モデル部202から取得した安全性スコアとレーザースキャナ212で取得した現在地情報とを関連付けたデータを管理装置100に送信する。処理部203は、学習モデル部202に入力した画像データに安全性スコアを関連付けて、安全性スコア付きの画像データを生成し、当該安全性スコア付きの画像データを管理装置100に送信してもよい。
【0029】
処理部203および走行制御部204は、例えば、少なくとも1つのマイコンを含み、マイコンのCPUが所定のプログラムを実行すること等によって処理部203および走行制御部204の各種機能が実現される。
【0030】
走行制御部204は、車体210の走行速度に関する速度指令値に応じて車体210の走行制御を行うよう構成されている。例えば、管理装置100から走行ルートが通知されると、走行制御部204は、車体210の走行速度が予め設定された速度になるように速度指令値を設定する。速度指令値を設定した走行制御部204は、所定の周期で補正を行うか否かを判定し、速度指令値または補正後の速度指令値に基づいて、車体210に設けられた走行モータの回転速度の指令値を算出し、当該走行モータを制御することにより車体210の走行制御を行う。
【0031】
走行制御部204は、処理部203から取得した安全性スコアに応じて速度指令値の補正を行うよう構成されている。走行制御部204は、例えば表1に示すような、安全性スコアと速度指令値およびフォークの昇降動作との関係が規定されたデータを記憶している。表1では、速度指令値の補正を行わない場合(補正なしの場合)の速度指令値をVとしている。
【0032】
【表1】
【0033】
安全性スコアの数値パラメータが5の場合、走行制御部204は、速度指令値Vを速度指令値V1(>V)に増加させる補正(第2補正)を行う。速度指令値V1は、例えば、速度指令値Vに所定の係数K1およびゲインG1を乗算したものである。なお、係数K1は車体210の寸法等によって決まる固定値であり、ゲインG1は環境等に応じて変更可能なパラメータである。後述する係数K2,K3およびゲインG2,G3も同様とする。
【0034】
また、安全性スコアの数値パラメータが5の場合、走行制御部204は、走行中におけるフォークの昇降動作を許可する。これにより、無人フォークリフト200は、フォークを昇降させながら荷役作業位置に向かうことができるので、荷役作業位置でのフォークの昇降時間を短縮化でき、荷役作業の迅速化を図ることができる。
【0035】
安全性スコアの数値パラメータが4の場合、走行制御部204は、速度指令値Vを補正することなく、走行中におけるフォークの昇降動作を許可する。
【0036】
安全性スコアの数値パラメータが3の場合、走行制御部204は、速度指令値Vを補正することなく、走行中におけるフォークの昇降動作を禁止する。これにより、無人フォークリフト200は、より安全に走行することができる。
【0037】
安全性スコアの数値パラメータが2の場合、走行制御部204は、速度指令値Vを速度指令値V2(<V)に減少させる補正(第1補正)を行うとともに、走行中におけるフォークの昇降動作を禁止する。速度指令値V2は、例えば、速度指令値Vに所定の係数K2およびゲインG2を乗算したものである。
【0038】
安全性スコアの数値パラメータが1の場合、走行制御部204は、速度指令値Vを速度指令値V3(<V2)に減少させる補正(第1補正)を行うとともに、走行中におけるフォークの昇降動作を禁止する。速度指令値V3は、例えば、速度指令値Vに所定の係数K3およびゲインG3を乗算したものである。
【0039】
統括制御部102は、無人フォークリフト200から安全性スコア(例えば、安全性スコアとレーザースキャナ212で取得した現在地情報とを関連付けたデータ)を取得すると、走行ルートとなり得る領域を安全性スコアに応じて視覚的に区別して表示したモデル図を生成し、表示部103にモデル図を表示させる。例えば、統括制御部102は、速度指令値Vの補正を行う領域と補正を行わない領域とが視覚的に区別されたモデル図を生成し、表示部103に表示させる。
【0040】
図4(A)に示すように、統括制御部102は、第1補正を行う領域X1と、第2補正を行う領域X2と、第1補正および第2補正を行わない領域(白色の領域)とが視覚的に区別されたモデル図Mを表示部103に表示させることができる。
【0041】
図4(B)に示すように、統括制御部102は、昇降動作の許可領域X3と昇降動作の禁止領域(白色の領域)とを視覚的に区別したモデル図Mを表示部103に表示させることもできる。なお、統括制御部102は、棚3から所定距離以上の領域を、一律に昇降動作の禁止領域としている。これは、無人フォークリフト200は、棚3から所定距離以上の領域では、安全性の観点からフォークの昇降動作を開始しないためである。
【0042】
結局、本発明に係る荷役システム1によれば、表示部103が走行ルートを安全性スコアに応じて視覚的に区別したモデル図Mを表示するので、走行ルートの安全性を迅速に把握することが可能となる。
【0043】
[第2実施形態]
図5に、本発明の第2実施形態に係る荷役システム11のブロック図を示す。荷役システム11は、管理装置300と、複数台のレーザー誘導方式の無人フォークリフト200とを備える。無人フォークリフト200の構成は、第1実施形態と共通するため、ここでは説明を省略する。
【0044】
管理装置300は、複数台の無人フォークリフト200の走行および荷役作業を管理する。管理装置300は、収集部301と、パラメータ更新部302とを備えること以外、第1実施形態の管理装置100と共通する。
【0045】
収集部301は、無人フォークリフト200から安全性スコア付きの画像データを収集し、当該安全性スコア付きの画像データに基づいてパラメータ更新部302に入力可能な学習用データを生成するよう構成されている。
【0046】
また、収集部301は、無人フォークリフト200から画像データ(画像データ生成部201で生成された安全性スコアが付いていない画像データ)を収集し、当該画像データに安全性スコアを紐付けした学習用データを生成してもよい。この場合、学習用データは、第1実施形態の教師データと同様にして生成することができる。すなわち、収集部301は、安全性スコアとして数値パラメータ(本実施形態では、1〜5の数値パラメータ)を用いるとともに、個々の画像データに対して安全性スコアを設定する。例えば、棚3の近くを走行し、かつ走行ルート上に人がいる場合は、安全性が低いと判断して小さい数値パラメータを設定する。画像データが示す走行ルートの状況と安全性の程度との間には、相関関係等の一定の関係が存在することを推認できる。
【0047】
パラメータ更新部302は、無人フォークリフト200の学習モデル部202に含まれる機械学習アルゴリズムのパラメータ(例えば、ニューラルネットワークの重み付けのパラメータ)を更新するための更新データを生成する。パラメータ更新部302は、更新データを生成するために、ニューラルネットワーク等の機械学習アルゴリズムを用いて、学習用データに基づく機械学習を行う。パラメータ更新部302は、生成した更新データを、通信部101を介して複数台の無人フォークリフト200に送信する。
【0048】
無人フォークリフト200の学習モデル部202は、受信した更新データに基づいて機械学習アルゴリズムのパラメータを更新する。これにより、学習モデル部202は、更新されたパラメータを有する機械学習アルゴリズムに基づいて、安全性スコアを生成することができる。
【0049】
[変形例]
以上、本発明に係る荷役システムおよび管理装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0050】
統括制御部102は、走行ルートとなり得る領域を安全性スコアに応じて視覚的に区別して表示したモデル図であれば、任意のモデル図を表示部103に表示させることができる。図6に示すように、モデル図Mにおける無人フォークリフトMaの走行ルートRaであって、第1補正を行う領域X1と、第2補正を行う領域X2と、第1補正および第2補正を行わない領域(白色の領域)とが視覚的に区別された走行ルートRaを表示させてもよい。
【0051】
本発明に係る荷役システムは、複数の無人作業車と管理装置とを含み、管理装置は、無人作業車と無線通信を行う通信部と、無人作業車の走行ルートを決定する統括制御部と、施設のモデル図を表示する表示部を備え、無人作業車は、車体と、車体の前方を含む画像を撮影して画像データを生成する画像データ生成部と、画像データが入力されると、所定のパラメータを有する機械学習アルゴリズムを用いて、走行ルートの安全性の程度を示す安全性スコアを生成するように機械学習された学習モデル部と、画像データを学習モデル部に入力することで学習モデル部から安全性スコアを取得する処理部を備え、統括制御部が、無人作業車から安全性スコアを取得し、走行ルートとなり得る領域を安全性スコアに応じて視覚的に区別して表示したモデル図を生成し、表示部にモデル図を表示させるのであれば、適宜構成を変更できる。
【0052】
本発明に係る管理装置は、無人作業車と無線通信を行う通信部と、無人作業車の走行ルートを決定する統括制御部と、施設のモデル図を表示する表示部とを備え、統括制御部が、無人作業車から走行ルートの安全性の程度を示す安全性スコアを取得し、走行ルートとなり得る領域を安全性スコアに応じて視覚的に区別して表示したモデル図を生成し、表示部にモデル図を表示させるのであれば、適宜構成を変更できる。
【0053】
上記実施形態では、安全性スコアの数値パラメータを1〜5の範囲で設定しているが、当該範囲は適宜変更できる。
【0054】
第2実施形態に係る収集部301およびパラメータ更新部302は、管理装置300ではなく、無人フォークリフト200に備えられていてもよい。しかしながら、大量のデータを取得できるという観点からは、管理装置300が収集部301およびパラメータ更新部302を備えることが好ましい。
【0055】
本発明の無人作業車は、レーザー誘導方式の無人フォークリフトに限定されるものではなく、別の方式の無人フォークリフトや無人搬送車でもよい。
【符号の説明】
【0056】
1,11 荷役システム
2 倉庫
3 棚
4 反射板
100 管理装置
101 通信部
102 統括制御部
103 表示部
200 無人フォークリフト
201 画像データ生成部
202 学習モデル部
203 処理部
204 走行制御部
210 車体
211 荷役装置
212 レーザースキャナ
300 管理装置
301 収集部
302 パラメータ更新部
【要約】
【課題】施設全体における走行ルートの安全性を把握することが可能な荷役システムを提供する。
【解決手段】複数の無人作業車200と管理装置100とを含む荷役システム1であって、管理装置100は、通信部101と、無人作業車200の走行ルートを決定する統括制御部102と、表示部103とを備え、無人作業車200は、車体前方の画像データを生成する画像データ生成部201と、画像データが入力されると安全性スコアを生成するように機械学習された学習モデル部202と、学習モデル部202から安全性スコアを取得する処理部203とを備える。統括制御部102は、走行ルートとなり得る領域を安全性スコアに応じて視覚的に区別して表示したモデル図を生成し、表示部103にモデル図を表示させることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6