特許第6874178号(P6874178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6874178
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】乗客コンベアのセンサ取付構造
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/00 20060101AFI20210510BHJP
   B66B 23/22 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   B66B31/00 C
   B66B23/22 Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-19166(P2020-19166)
(22)【出願日】2020年2月6日
【審査請求日】2020年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲田 悟
【審査官】 加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−020864(JP,A)
【文献】 特開平10−182050(JP,A)
【文献】 特開2014−234267(JP,A)
【文献】 特開平10−212082(JP,A)
【文献】 特開2016−179031(JP,A)
【文献】 特開2002−181763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00− 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアにより搬送される物体を検出するセンサと、
前記乗客コンベアの移動路を画成する内デッキの内部に設けられ、前記内デッキに形成された検出穴に対して前記センサのセンサヘッドを所定の検出姿勢で支持するとともに位置固定するフレキシブルアームと、
を備える、乗客コンベアのセンサ取付構造。
【請求項2】
一端側が前記内デッキの内部で躯体に固定され、他端側が前記検出穴の近傍に位置するとともに前記フレキシブルアームにおける前記センサヘッドの支持部の近傍位置と係合するサポート部材を、さらに備える、請求項1に記載の乗客コンベアのセンサ取付構造。
【請求項3】
前記検出穴は、透明カバーで閉塞され、前記フレキシブルアームは、前記透明カバー越しに前記センサヘッドを支持する、請求項1または請求項2に記載の乗客コンベアのセンサ取付構造。
【請求項4】
前記フレキシブルアームは、前記センサの配線を支持する配線ガイド部を備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の乗客コンベアのセンサ取付構造。
【請求項5】
前記センサは、前記乗客コンベアの乗降口に接近してくる利用者を検出する利用者検出センサである、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の乗客コンベアのセンサ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアのセンサ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗客コンベアであるエスカレータや移動歩道(所謂、動く歩道)等において、利用者が存在するときのみ稼働する自動運転機能を備える乗客コンベアが提案されている。また、乗客コンベアの運転方向(移動路の移動方向)に対して、間違って出口方向から進入しようとする利用者が存在する場合、逆進入者を検出して、警報を出力したり、運転を一時的に停止したりする機能を備える乗客コンベアが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−62162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術の場合、正進入者(入口から進入する利用者)や逆進入者(出口から進入する利用者)等を検出するセンサは、乗降口の近傍に設置されたゲートに設置されていた。そのため、ゲート用のスペースが必要になり、既設の乗客コンベアに追加でゲートを伴うセンサを設けることが困難な場合があった。また、新規に乗客コンベアを設置する場合でもゲート用のスペースが必要になり、乗客コンベアが設置制限を受けてしまう場合があった。また、ゲートの通過が必須となるため、ゲート通過のための乗客動線のスペースがさらに必要になるという問題もあった。したがって、乗客コンベアの利用者を検出するセンサを、ゲート等を利用することなく設置できる乗客コンベアのセンサ取付構造が提供できれば、乗客検出機能を備えた乗客コンベアの設置が容易になり、有意義である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の乗客コンベアのセンサ取付構造は、センサと、フレキシブルアームとを備える。センサは、乗客コンベアにより搬送される物体を検出する。フレキシブルアームは、乗客コンベアの移動路を画成する内デッキの内部に設けられ、内デッキに形成された検出穴に対してセンサのセンサヘッドを所定の検出姿勢で支持するとともに位置固定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態の乗客コンベアのセンサ取付構造を搭載可能な乗客コンベアの一例としてのエスカレータの構造を示す例示的かつ模式的な側面図である。
図2図2は、実施形態の乗客コンベアのセンサ取付構造により取り付けたセンサにより乗客を検出する様子を示す例示的かつ模式的な上面図である。
図3図3は、実施形態の乗客コンベアのセンサ取付構造により取り付けたセンサにより乗客を検出する検出光の送受方向を示す例示的かつ模式的な乗降口側から見た正面図である。
図4図4は、実施形態の乗客コンベアのセンサ取付構造を含むエスカレータのデッキ内部の構造を示す例示的かつ模式的な断面図である。
図5図5は、本実施形態の乗客コンベアのセンサ取付構造に用いるフレキシブルアームを示す例示的かつ模式的な斜視図である。
図6図6は、実施形態の乗客コンベアのセンサ取付構造によるセンサの取付位置を示す例示的かつ模式的な側面図である。
図7図7は、実施形態の乗客コンベアのセンサ取付構造に取り付けられたセンサのセンサヘッドが臨む検出穴を示す例示的かつ模式的な上面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態に係る乗客コンベアのセンサ取付構造を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれ、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0008】
図1は、実施形態の乗客コンベアのセンサ取付構造(以下、単に「センサ取付構造」という)を搭載可能な乗客コンベアの一例としてのエスカレータ10の構造を示す例示的かつ模式的な側面図である。また、図2は、本実施形態のセンサ取付構造により取り付けられるセンサの一例としての利用者検出センサ12により利用者P(乗客)を検出する様子(検出光の送受方向)を示す例示的かつ模式的な上面図である。図3は、実施形態のセンサ取付構造により取り付けられるセンサの一例としての利用者検出センサ12により乗客を検出する検出光の送受方向を示す例示的かつ模式的な乗降口側から見た正面図である。
【0009】
エスカレータ10は、無端状に連結された複数の踏段14を周回(循環)移動させて動作することで利用者Pや荷物等の物体を搬送する移動路Rを構成する。図1において、建造物(建築物)の上階側階床UFと下階側階床DFの間にトラス16が設置されている。トラス16上にはデッキ18が設置され、欄干Wを構成する欄干パネル20が支持されている。また、欄干パネル20の上端部の欄干デッキには手摺ベルト22が設けられている。
【0010】
エスカレータ10の乗降部の床下、すなわち、床下空間Sには、踏段14を周回駆動するための駆動機構が収容されている。なお、床下空間Sは、上階側から下階側まで連通している。エスカレータ10の駆動機構は、主として、駆動源としてのモータ24と、減速機26と、駆動チェーン28と、駆動スプロケット30と、従動スプロケット32と、踏段チェーン34とを備えている。モータ24と減速機26とは、駆動装置36を構成する。モータ24は、例えば、上階側に設けられている。モータ24の出力軸には、減速機26が取り付けられている。減速機26は、モータ24の回転を減速させ、モータ24の回転トルクを増幅させる。減速スプロケット38は、減速機26の出力軸に設けられ、複数の歯を有する。駆動チェーン28は、無端状に形成され、減速スプロケット38と駆動スプロケット30とに亘って掛けられている。駆動チェーン28は、減速機26を介して伝達されたモータ24の駆動力によって、駆動スプロケット30と減速スプロケット38との周りを循環走行することで、駆動スプロケット30を回転させる。すなわち、駆動チェーン28は、減速機26を介して伝達されたモータ24の駆動力を駆動スプロケット30に伝達する。駆動スプロケット30は、踏段チェーン34に噛み合う複数の歯を有し、駆動装置36からの駆動力により回転する。
【0011】
エスカレータ10は、駆動スプロケット30と従動スプロケット32との間に掛け渡された踏段チェーン34を駆動させることで、無端状に連結された複数の踏段14を周回移動させて動作する。これにより、踏段チェーン34は、複数の踏段14を走行させる。
【0012】
エスカレータ10が下降方向に稼動する場合、上階側乗降口UEの乗降板Tの先端部分において、複数の踏段14の中で進行方向に向けて隣接する踏段14同士が水平状でトラス16内から進出される。そして、上部遷移カーブにおいて、隣接する踏段14間の段差が拡大されて、複数の踏段14は、階段状に遷移される。中間傾倒部において、複数の踏段14は、階段状で下降される。続いて、下部遷移カーブにおいて、隣接する踏段14間の段差が縮小されて、複数の踏段14は、水平状に遷移される。下階側乗降口DEの乗降板Tの先端部分において、複数の踏段14は、再び水平状となってトラス16内に進入する。複数の踏段14は、トラス16内に進入された後に上方に反転され、帰路側を水平状で上昇される。複数の踏段14は再度反転されて、上階側乗降口UEの乗降板Tの先端部分において、トラス16内から進出される。上昇方向に稼動するエスカレータ10では上述の動作の逆の動作となる。このように、上階側乗降口UEおよび下階側乗降口DEの乗降板Tの先端部分において、踏段14は、利用者を乗せる上面の踏み面を水平状として、トラス16内から進出し、またはトラス16内へ進入する。
【0013】
エスカレータ10は、複数の踏段14の進行方向における両脇に一対の欄干Wを備える。欄干Wは、主として、スカートガードパネル40と、内デッキ42と、欄干パネル20と、欄干パネル20の外縁部に設けられた欄干デッキに支持された手摺レール上に設けられた手摺ベルト22と、から構成されている。スカートガードパネル40は、複数の踏段14の走行方向(エスカレータ10が稼働する下降方向および上昇方向)に対して直交する方向(幅方向)の両側において近接して、かつ、上階側乗降口UEと下階側乗降口DEとの間に亘って設けられている。スカートガードパネル40の上側には、内デッキ42が取り付けられている。内デッキ42の上側には、例えば、ガラス板等の透明または半透明の部材やステンレス等の金属板で構成される欄干パネル20が取り付けられている。欄干パネル20の外周に取り付けられた手摺レールには、手摺ベルト22が移動可能に嵌め込まれている。手摺ベルト22は、踏段チェーン34と同期して周回駆動する移動手摺駆動チェーンによって周回移動し、下階側ではインレット44から進出し、上階側では、インレット44に進入する。踏段14と手摺ベルト22とは同方向に同期した状態で周回移動する。
【0014】
このようなエスカレータ10の動作は、例えば、トラス16内の床下空間Sに設置される制御盤(制御装置)46によって、減速機26やモータ24を制御することで実現される。制御盤46は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)とROM(Read Only Memory)などを有するコンピュータで実現される。制御盤46において実行される機能は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、CPUの制御のもとでエスカレータ10内の各種装置を動作させるとともに、RAMやROMにおけるデータの読み出し、書き込みを行うことで実現される。また、制御盤46には、利用者検出センサ12等の各種センサからの検出信号が提供され、各種センサの検出信号に基づき、モータ24の駆動制御や運行案内等が実行される。なお、図1の場合、下階側乗降口DE側のスカートガードパネル40には、運転操作装置48が配置されている。運転操作装置48では、利用者Pの利用状況や利用時間帯等に応じて、エスカレータ10の運転方向や運転速度等の切替操作等が可能である。
【0015】
上述したようなエスカレータ10には、例えば、上階側の移動路Rの遷移カーブ付近(隣接する踏段14の水平状態と段差状態が切り替わる折れ点付近)および下階側の移動路Rの遷移カーブ付近の内デッキ42に利用者検出センサ12が配置され、スカートガードパネル40に乗込確認センサ56が配置されている。利用者検出センサ12は、エスカレータ10の乗降口に向かって接近して来る利用者P(物体)を検知するセンサである。利用者検出センサ12は、図2図3に示されるように、例えば、検出光Xaを発光(出射)して、その検出光が利用者P(物体)にて反射して戻ってきた反射光Xbを受光することで利用者P(物体)の存在(接近)を検出する反射型の光学センサである。また、乗込確認センサ56は、エスカレータ10の利用者P(物体)が、踏段14に乗り込んだことを検知するセンサである。乗込確認センサ56は、例えば、検出光Xcを発光面から受光面に向けて発光し、利用者P(物体)により、その検出光Xcが遮られたことを検出した場合に、利用者P(物体)の乗り込みを確認する投光型の光学センサである。
【0016】
上述したように、利用者検出センサ12は、反射型のセンサであり、図2に示されるように、例えば、踏段14が例えば上階側乗降口UEの乗降板Tの先端部分から進出する付近(遷移カーブ付近)の左右の内デッキ42に配置されている。図2の場合、エスカレータ10の運転方向に対して右側の内デッキ42aに、発光面および受光面を備える利用者検出センサ12aが配置され、左側の内デッキ42bに、同様に発光面および受光面を備える利用者検出センサ12bが配置されている例が示されている。別の実施形態においては、利用者検出センサ12は、左右いずれか一方でもよい。
【0017】
利用者検出センサ12aおよび利用者検出センサ12bは、図2図3に示されるように、それぞれ移動路R(乗降板T)の略中央付近に設定された利用者検出位置PPに向けて、検出光Xaを発光する。つまり、利用者検出センサ12aおよび利用者検出センサ12bは、踏段14の幅方向について、移動路R(乗降板T)の略中央付近に向かう方向(斜め方向)で、かつエスカレータ10の高さ方向について、利用者の胸部付近に向かう方向(斜め上方向)に検出光Xaを発光する。なお、検出光Xaの高さ方向の角度は、エスカレータ10の利用者の体格に応じて適宜変更することが望ましい。例えば、オフィスビル等のように、主に大人がエスカレータ10を利用すると推定される場合は、利用者検出位置PPにおける検出光Xaの到達高さを、例えば、1.2m等に設定するようにすることができる。一方、商業施設や駅等のように、大人のみならず子供のように身長の低い利用者もエスカレータ10を利用すると推定される場合は、利用者検出位置PPにおける検出光Xaの到達高さを、大人用より低い例えば0.8m等に設定するようにすることができる。なお、エスカレータ10を利用する利用者Pは、移動路Rの右側や左側に片寄った状態で接近してくる場合がある。このような場合でも、利用者検出センサ12aおよび利用者検出センサ12bで左右斜め方向から検出光Xaを発光することで、良好に検出光Xaを利用者Pに照射することができる。また、利用者Pにおいて、反射した反射光Xbを発光元である利用者検出センサ12aまたは利用者検出センサ12bにて受光させることができる。
【0018】
乗込確認センサ56は、前述したように投光型のセンサであり、例えば、図2に示されるように、右側のスカートガードパネル40aに投光部56aが配置され、移動路Rを挟んで左側のスカートガードパネル40bに受光部56bが配置されている。投光部56aから発光された検出光Xcは、踏段14を横切り受光部56bにて受光される。踏段14に乗った利用者Pによって検出光Xcが遮られた場合に、検出光Xcの未到達に基づき利用者Pがエスカレータ10に乗り込んだことを検出する。
【0019】
図4は、センサ取付構造を含むエスカレータ10のデッキ18の内部の構造を示す例示的かつ模式的な断面図である。図4は、図1の矢印A−Aにおける断面図である。なお、踏段14を挟んで右側と左側のデッキ18の構造は、基本的には同じである。したがって、図4では、代表して右側のデッキ18の構造を説明する。
【0020】
デッキ18は、踏段14側に臨むスカートガードパネル40と、スカートガードパネル40の上部に接続される内デッキ42と、欄干パネル20を挟んで外側に配置されるデッキボード50によって構成され、上階側乗降口UEと下階側乗降口DEとの間に移動路Rに沿って延設されている。スカートガードパネル40、内デッキ42、デッキボード50は、それぞれステンレス材等の金属板によって構成されている。デッキ18の内部には、鋼材等で構成されるブラケットBRが配置され、欄干パネル20の下端部を支持および固定している。なお、欄干パネル20の上部(外縁部)には、欄干デッキ20aに支持された手摺レール20bが配置され、当該手摺レール20bには、手摺ベルト22が移動可能に嵌め込まれている。なお、欄干デッキ20aの下部には照明装置52が配置され、照明装置52による照明時には、例えばガラス製の欄干パネル20の全体が発光しているように見える。
【0021】
前述したように、本実施形態のエスカレータ10は、利用者P(物体)を検出するセンサとして利用者検出センサ12と乗込確認センサ56を備える。本実施形態の場合、利用者検出センサ12は、図2図3で説明したように、検出光Xaの発光方向を踏段14の幅方向および高さ方向に斜めになるように設定して、利用者検出位置PPに存在する利用者P等の例えば胸等にXaが照射されるようにする必要がある。したがって、利用者検出センサ12をエスカレータ10に設置する際にセンサヘッドの向きの微調整が必要である。また、既設のエスカレータ10に追加で利用者検出センサ12を設置しようとする場合、デッキ18の内部の他の構造物との干渉を避けながら、利用者検出センサ12の設置スペースを確保する必要がある。そこで、本実施形態においては、利用者検出センサ12の取付構造として、エスカレータ10の移動路Rを画成する内デッキ42の内部に設けられ、利用者検出センサ12のセンサヘッドを所定の検出姿勢で支持するとともに位置固定するフレキシブルアーム54を備える。フレキシブルアーム54は、棒状部の姿勢を自由に変化させることができるため、利用者検出センサ12の設置位置でのセンサヘッドの向きの微調整が容易にできるとともに、センサヘッドを設置位置に導くための経路の選択が容易にできる。
【0022】
図5は、フレキシブルアーム54の形状を示す例示的かつ模式的な斜視図である。フレキシブルアーム54は、例えば、金属で形成される可撓性を有する棒状の部材であり、先端部に利用者検出センサ12を支持するセンサブラケット54aが接続され、他端部にデッキ18内部の躯体、例えば、スカートガードパネル40の内壁面に溶接やネジ止等で固定可能な固定ベース54bが接続されている。センサブラケット54aは、例えば、バネ性を備えたり、ネジ止めが可能であったりする利用者検出センサ12のセンサヘッドを包含可能な部材である。そして、センサブラケット54aと固定ベース54bとの間は、ほぼ全体が可撓部54cで構成されている。可撓部54cは、周知の構造が採用可能である。例えば、断面形状が異なる複数種類の線材を交互に巻回して、線材同士で摩擦が生じる構成としている。その結果、フレキシブルアーム54は、自由に曲げることができるとともに、線材相互の摩擦により、その姿勢を維持することができる。可撓部54cは、自由に曲げられるとともに、曲げた姿勢を維持できれば、他の構造でもよい。
【0023】
前述したように、利用者検出センサ12は、設置する際に利用者検出位置PPにおける検出光Xaの照射高さの角度調整(微調整)が必要になるため、センサヘッドを内デッキ42に直接固定することは困難である。また、利用者P等との接触によりセンサヘッドの姿勢が変化したしまうことを防止する必要があるため、センサヘッドを内デッキ42の表面から突出させることは好ましくない。そこで、利用者検出センサ12は、図6に示されるように、内デッキ42に形成された検出穴58を介して検出光Xaおよび反射光Xbの送受ができるように、内デッキ42の内壁面から離れた位置に検出光Xaの発光面および反射光Xbの受光面を位置させている。つまり、フレキシブルアーム54を用いることで、利用者検出センサ12をデッキ18の内部に設置する際に、センサヘッドの検出光Xaの発光方向が、図2に示すように利用者検出位置PPにおける所定の高さに向くように、設置現場で容易に微調整できる。なお、既設のエスカレータの場合、機種によって、デッキ内部の構造が異なる場合がある。このような場合でも、デッキ内部に存在する隙間に対応するようにフレキシブルアーム54を自由に変形させることができるので、既設のエスカレータの構造に拘わらず、利用者検出センサ12のセンサヘッドの姿勢調整を容易に行うことができる。
【0024】
ところで、センサブラケット54aによって支持される利用者検出センサ12のセンサヘッドには、電力線および信号線(以下、これらを配線12cと称する)の一端が接続され、他端が制御盤46(図1参照)に接続されている。本実施形態の場合、配線12cは、フレキシブルアーム54の可撓部54cに装着された配線ガイド部54dによって支持される。配線ガイド部54dは、例えば、バンド部54d1に形成された穴部を、バンド部54d1の基部側の端部に形成されたフック部54e2に引っ掛けることによって、配線12cを可撓部54cに固定することができる。図5の場合、配線ガイド部54dが3個装着されている例を示しているが、配線12cの支持が安定してできれば配線ガイド部54dの数は適宜変更可能である。固定ベース54bの位置まで導かれた配線12cは、その後、例えば、スカートガードパネル40の内壁面に例えば間欠的に設けられた配線押え(図示省略)等により固定され、制御盤46まで導かれる。なお、他の実施形態では、可撓部54cを中空構造として、配線12cを可撓部54cの内部を通して、固定ベース54bの位置まで導いてもよい。
【0025】
内デッキ42に形成された検出穴58には、デッキ18内部に埃や塵が進入することを防止するとともに、斜め上方を向く利用者検出センサ12の発光面や受光面に埃や塵等が付着することを防止するために、図7に示されるように、透明カバー60を装着して検出穴58を閉塞している。透明カバー60は、例えば、プラスチック等の樹脂やガラス等により構成することができる。透明カバー60は、図7に示されるように、例えば、内デッキ42の裏面において、検出穴58を囲むように溶接等で固定されたボルト62a(スタッド)を透明カバー60に形成された固定穴に挿通し、ナット62b等により固定する。なお、検出穴58の大きさ(直径)は、デッキ18の内部で姿勢(角度)が調整された利用者検出センサ12から発光される検出光Xaが通過し、利用者Pにより反射した反射光Xbが通過し受光面で受光できるように、センサヘッドの姿勢調整予想量を予め試験等により検討し、設定することが望ましい。なお、検出穴58の形状は、円形以外に矩形等でもよい。なお、内デッキ42をスカートガードパネル40の上部に組み付ける際に組付け誤差が生じる場合があるが、フレキシブルアーム54の可撓性により、内デッキ42の組付け誤差を吸収可能であり、この点においても内デッキ42や利用者検出センサ12の設置現場において、設置作業を容易に行うことができる。
【0026】
また、本実施形態のフレキシブルアーム54は、図4に示されるように、フレキシブルアーム54におけるセンサヘッドの支持部であるセンサブラケット54aの近傍位置と係合するサポート部材64を備える。サポート部材64は、一端側が内デッキ42の内部で躯体(例えば、スカートガードパネル40の内壁面)に固定され、他端側が検出穴58の近傍に位置する、例えば、高剛性の棒部材である。図4の場合、サポート部材64は、途中で屈曲した形状が示されているが、直線状でもよいし、湾曲状でもよい。サポート部材64は、利用者検出センサ12のセンサヘッドの姿勢の微調整が完了した段階のフレキシブルアーム54の一部を支持するとともに、固定する。例えば、結束用のバンド等でサポート部材64とフレキシブルアーム54とを結束して固定する。サポート部材64をセンサブラケット54aの近傍位置と係合させることにより、フレキシブルアーム54が、自重や線材間の摩擦力の低下によって姿勢が変化してしまうことを抑制することができる。なお、図4の場合、センサブラケット54aの近傍位置と係合するサポート部材64を一つ設ける例を示しているが、同様な構成で、フレキシブルアーム54の他の部分を支持するサポート部材を設けてもよい。その場合、利用者検出センサ12のセンサヘッドの姿勢の微調整が完了した段階のフレキシブルアーム54の形状(姿勢)をより強固に固定して、エスカレータ10の稼働時の振動等により利用者検出センサ12の調整姿勢がずれてしまうことを、より抑制することができる。なお、サポート部材64は必須ではなく、フレキシブルアーム54の姿勢維持力が充分に確保できる場合は、省略してもよい。
【0027】
図4では、フレキシブルアーム54およびサポート部材64をスカートガードパネル40の内壁面に固定した例を示しているが、フレキシブルアーム54およびサポート部材64は、デッキ18の内部で、姿勢が固定できればよく、トラス16等、他の躯体部分に固定してもよく、同様の効果を得ることができる。
【0028】
一方、乗込確認センサ56の場合、図2で説明したように、投光部56aは対面するスカートガードパネル40に設けられた受光部56bに検出光Xcが到達できればよい。したがって、スカートガードパネル40の表面側にセンサヘッドが突出しなければ、図4に示されるように、スカートガードパネル40に形成された検出穴(不図示)の位置でスカートガードパネル40の内壁面に直接固定することができる。例えば、スカートガードパネル40の内壁面において、検出穴を囲むように溶接等で固定されたボルトにナットを用いて固定することができる。また、乗込確認センサ56の場合、図6等に示されるよう、ほぼ垂直に設置されるスカートガードパネル40に設置されるため、利用者検出センサ12のように、発光面や検出面に埃や塵が付着する可能性は少ないが、検出穴に透明カバーを装着し、透明カバー越しに、検出光Xcの送受を行うようにしてもよい。なお、乗込確認センサ56に接続されている電力線や信号線等の配線(図示省略)も利用者検出センサ12の配線12cと同様に、例えば、スカートガードパネル40の内壁面に設けられた配線押え(図示省略)等により固定され、制御盤46まで導かれる。この場合、配線押えは利用者検出センサ12の配線12cと乗込確認センサ56の配線とをまとめて固定してもよいし、別々の配線押えで固定してもよい。
【0029】
上述したようなフレキシブルアーム54を用いた利用者検出センサ12の取付構造によれば、既設のエスカレータ10に利用者検出センサ12を追加配置する場合、検出穴58および透明カバー60を備えた内デッキ42とフレキシブルアーム54を備えたスカートガードパネル40を準備する。そして、既設のエスカレータのスカートガードパネルからフレキシブルアーム54を備えるスカートガードパネル40に交換し、デッキ18の所定位置に固定する。その後、フレキシブルアーム54に利用者検出センサ12を装着して、検出光Xa、反射光Xbの設定位置(センサヘッドの位置)の微調整を行う。そして、既設のエスカレータの内デッキに代えて、検出穴58および透明カバー60を備える内デッキ42を装着する。このように、フレキシブルアーム54を用いた利用者検出センサ12の取付構造によれば、既設のエスカレータに利用者検出センサ12を増設する場合でも、ゲート等を利用することなく設置できる。また、フレキシブルアーム54により利用者検出センサ12のセンサヘッドの向きを自由に調整し、その姿勢を固定できるため、エスカレータ10の設置現場において、取付作業(センサヘッドの向きの微調整作業等)を容易かつ効率的に行うことができる。なお、利用者検出センサ12を実装済みの新設のエスカレータ10の場合でも、センサヘッドの向きの微調整作業等を容易かつ効率的に行うことができる。さらに、従来のようなゲート等の設置スペースが不要になるので、利用者検出センサ12を備える新設のエスカレータ10を省スペースで設置することができる。
【0030】
なお、乗込確認センサ56についても、乗込確認センサ56を装着済みのスカートガードパネル40を準備し、既設のエスカレータのスカートガードパネルに代えて、乗込確認センサ56を備えるスカートガードパネル40を装着する。その結果、乗込確認センサ56を容易に既設のエスカレータに適用することができる。
【0031】
なお、上述した実施形態では、フレキシブルアーム54を用いた利用者検出センサ12の取付構造を、エスカレータ10に適用する場合を説明した。他の実施形態としては、乗客コンベアの他の例として例えば移動歩道(所謂、動く歩道)に、上述したフレキシブルアーム54を用いた利用者検出センサ12の取付構造を適用することも可能で、同様の効果を得ることができる。また、踏段14が段差を伴った状態で移動する領域と水平な状態で移動する領域が混在するような乗客コンベアにも適用可能であり、同様効果を得ることができる。
【0032】
上述した実施形態では、フレキシブルアーム54を用いたセンサの取付構造によって、利用者検出センサ12を取り付ける例を示した。別の実施形態においては、エスカレータの設置場所で位置調整が必要なセンサであれば、利用者検出センサ12以外のセンサにも本実施形態のセンサの取付構造は利用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0033】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0034】
10…エスカレータ、12,12a,12b…利用者検出センサ、12c…配線、14…踏段、40,40a,40b…スカートガードパネル、42,42a,42b…内デッキ、54…フレキシブルアーム、54d…配線ガイド部、56…乗込確認センサ、58…検出穴、60…透明カバー、64…サポート部材。
【要約】
【課題】乗客コンベアの利用者を検出するセンサを、ゲート等を利用することなく設置できる乗客コンベアのセンサ取付構造を提供する。
【解決手段】乗客コンベアのセンサ取付構造は、センサと、フレキシブルアームとを備える。センサは、乗客コンベアにより搬送される物体を検出する。フレキシブルアームは、乗客コンベアの移動路を画成する内デッキの内部に設けられ、内デッキに形成された検出穴に対してセンサのセンサヘッドを所定の検出姿勢で支持するとともに位置固定する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7