特許第6874220号(P6874220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6874220遊園地用乗り物、特にジェットコースタ、並びにそのような遊園地用乗り物を運営するための方法及びコンピュータプログラム
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  • 特許6874220-遊園地用乗り物、特にジェットコースタ、並びにそのような遊園地用乗り物を運営するための方法及びコンピュータプログラム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874220
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】遊園地用乗り物、特にジェットコースタ、並びにそのような遊園地用乗り物を運営するための方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63G 21/04 20060101AFI20210510BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20210510BHJP
   G06F 3/0481 20130101ALI20210510BHJP
【FI】
   A63G21/04
   G06F3/01 510
   G06F3/0481
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-518719(P2020-518719)
(86)(22)【出願日】2018年9月3日
(65)【公表番号】特表2020-535888(P2020-535888A)
(43)【公表日】2020年12月10日
(86)【国際出願番号】EP2018073642
(87)【国際公開番号】WO2019091620
(87)【国際公開日】20190516
【審査請求日】2020年3月31日
(31)【優先権主張番号】17200434.3
(32)【優先日】2017年11月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517168875
【氏名又は名称】ファオエル コースター ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】VR Coaster GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ゴルト、デニス
【審査官】 比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−532825(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/153532(WO,A1)
【文献】 特開平10−309381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 1/00−33/00
A63F 9/00−13/98
G09B 9/00− 9/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にジェットコースタである遊園地用乗り物であって、
少なくとも1人の乗客(20)を収容するように設計された少なくとも1つの車両(16)が移動可能に配置された走行経路(14)を備える第1のセクション(12)を備え、
その範囲内で前記乗客(20)が自由に移動できる第2のセクション(22)を備え、
前記第1のセクション(12)を前記第2のセクション(22)につなぐ第3のセクション(30)を備え、前記第3のセクション(30)では、前記乗客(20)が前記車両(16)への乗車及び前記車両(16)からの降車が可能であり、
仮想現実を生成し、かつ、表示するためのVR装置(32)を備え、前記VR装置(32)により、前記第1のセクション(12)における前記走行経路(14)に沿った前記車両(16)での前記乗客(20)の走行に対応した仮想現実、前記第2のセクション(22)における前記乗客(20)の位置と動きに対応した仮想現実、及び前記第3のセクション(30)における前記乗客(20)の乗車や降車に対応した仮想現実を生成可能であるとともに、前記乗客(20)に割り当てられたヘッドマウントディスプレイに、前記遊園地用乗り物における前記乗客(20)の位置と動きに応じて表示可能であり、前記VR装置(32)は、
前記走行経路(14)における前記車両(16)の位置を検出するための第1の位置検出装置(38)と、
前記第2のセクション及び前記第3のセクション(30)における前記乗客(20)の位置と動きを検出するための第2の位置検出装置(42)と、
前記第3のセクション(30)における前記車両(16)の停止位置を検出するための第3の位置検出装置(46)とを有する、遊園地用乗り物。
【請求項2】
前記第3の位置検出装置(46)は、前記車両(16)の停止位置を、20mm〜0.1mmの精度で検出できるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の遊園地用乗り物。
【請求項3】
前記第3の位置検出装置(46)は、誘導的及び/又は光学的に動作する位置センサ(48)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遊園地用乗り物。
【請求項4】
前記位置センサ(48)は、前記車両(16)に配置されており、前記車両(16)は、前記VR装置(32)に前記車両(16)の位置を伝送するための伝送装置(50)を有する、ことを特徴とする、請求項3に記載の遊園地用乗り物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の特にジェットコースタである遊園地用乗り物を運営する方法であって、
前記第1の位置検出装置(38)を用いて、前記走行経路(14)における前記車両(16)の位置を検出するステップと、
前記第2の位置検出装置(42)を用いて、前記第2のセクション及び前記第3のセクション(30)における前記乗客(20)の位置と動きを検出するステップと、
前記第3の位置検出装置(46)を用いて、前記第3のセクション(30)における前記車両(16)の停止位置を検出するステップと、
前記検出された位置、動き、及び停止位置を、前記VR装置(32)に伝送するステップと、
仮想現実を生成し、かつ、表示するステップと
を備え、前記仮想現実を生成し、かつ、表示するステップにより、前記第1のセクション(12)における前記走行経路(14)に沿った前記車両(16)での前記乗客(20)の走行に対応した仮想現実、前記第2のセクション(22)における前記乗客(20)の位置と動きに対応した仮想現実、及び前記第3のセクション(30)における前記乗客(20)の乗車や降車に対応した仮想現実を生成するとともに、前記乗客(20)に割り当てられたヘッドマウントディスプレイに、前記遊園地用乗り物における前記乗客(20)の位置と動きに応じて表示する、方法。
【請求項6】
前記第3の位置検出装置(46)を用いて、20mm〜0.1mmの精度で前記車両(16)の停止位置を検出するステップを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第3のセクション(30)における前記車両(16)の停止位置を規定するステップと、
前記車両(16)が20mm〜0.1mmの精度で前記停止位置を占めるように、前記第3のセクション内で前記車両(16)を動かすステップと
を備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
リアルタイムで生成される環境表示によって、ビデオシーケンスとして予め計算された仮想現実の表示によって、又はリアルタイムで生成されるとともに予め計算された要素と関連付けて表示される仮想現実によって、前記第1のセクション(12)と、前記第2のセクション(22)と、前記第3のセクション(30)とのうちの少なくともいずれか1つのセクションにおいて前記仮想現実を表示するステップを備える、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか一項に記載の方法、又は請求項1〜4のいずれか一項に記載の特にジェットコースタである遊園地用乗り物の運営のうち、少なくともいずれか一方を実行するコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、プログラム手段を備え、前記プログラム手段は、当該コンピュータプログラムが前記VR装置(32)において実行された場合に、前記VR装置(32)に
前記第1の位置検出装置(38)を用いて、前記走行経路(14)における前記車両(16)の位置を検出するステップと、
前記第2の位置検出装置(42)を用いて、前記第2のセクション及び前記第3のセクション(30)における前記乗客(20)の位置と動きを検出するステップと、
前記第3の位置検出装置(46)を用いて、前記第3のセクション(30)における前記車両(16)の停止位置を検出するステップと、
前記検出された位置、動き、及び停止位置を、前記VR装置(32)に伝送するステップと、
仮想現実を生成し、かつ、表示するステップと
を実行させ、前記仮想現実を生成し、かつ、表示するステップにより、前記第1のセクション(12)における前記走行経路(14)に沿った前記車両(16)での前記乗客(20)の走行に対応した仮想現実、前記第2のセクション(22)における前記乗客(20)の位置と動きに対応した仮想現実、及び前記第3のセクション(30)における前記乗客(20)の乗車や降車に対応した仮想現実を生成するとともに、前記乗客(20)に割り当てられたヘッドマウントディスプレイに、前記遊園地用乗り物における前記乗客(20)の位置と動きに応じて表示する、コンピュータプログラム。
【請求項10】
前記乗客(20)の位置と前記車両(16)の速度とのうちの少なくともいずれか一方に応じて、前記第1の位置検出装置(38)と、前記第2の位置検出装置(42)と、前記第3の位置検出装置(46)との間で位置検出を自動的に切り替えるステップ、又は、
前記遊園地用乗り物(10)の従業員による確認後に、前記第1の位置検出装置(38)と、前記第2の位置検出装置(42)と、前記第3の位置検出装置(46)との間で位置検出を切り替えるステップを備える、請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊園地用乗り物、特にジェットコースタに関する。本発明は、さらに、そのような遊園地用乗り物を運営するための方法及びコンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特に、コンピュータのプロセッサ性能の向上、及びワイヤレスで伝送可能なデータ量の増加によって、仮想現実(VR:Virtual Reality)の概念は、ますます多くの応用分野に移転することが可能となる。強調されるべき特別な応用分野は、遊園地用乗り物であり、これにより、仮想現実での動きを実際の動きと幅広く結び付けることが可能となり、その結果、乗客は、特に強力な没入感及びそれに応じたドライビング体験が得られる。そのような遊園地用乗り物は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4で知られている。
【0003】
乗客が仮想現実にアクセスできるようにするために、典型的には、VRグラスのようなヘッドマウントディスプレイを使用する。ヘッドマウントディスプレイは、通常、走行が始まる前に遊園地用乗り物で乗客に対して提供されて、その後、再び回収される。ヘッドマウントディスプレイの提供と回収は、乗客が乗車し降車する遊園地用乗り物のステーションで行われる。従って、ヘッドマウントディスプレイは、車両のすぐ近くで提供され回収されることになる。乗客が乗車した後に、仮想現実が乗客の現在位置と一致するように、ヘッドマウントディスプレイを同期させなければならない。ヘッドマウントディスプレイの提供、回収、及び同期は、比較的長い時間を要し、運営手順が遅延する。提供されたヘッドマウントディスプレイの1つが機能しない場合に、通常、これに当該の乗客が気付くのは、車両の座席に着座した後でしかない。ヘッドマウントディスプレイを予め装着することは乗車過程があるため不可能だからである。従って、他のヘッドマウントディスプレイへの交換によって、必然的に運営遅延が発生する。運営遅延の結果としてスループットが低下することで、当該の遊園地用乗り物の収益性に悪影響を及ぼす。
【0004】
さらに、個々のヘッドマウントディスプレイの表示は、特に遊園地用乗り物で使用する車両の位置と、その車両内での座席の位置とに適応して、常に異なっている必要がある。これは、遊園地用乗り物の運営におけるさらなる課題となり、そのためには、それぞれの車両用若しくはそれぞれの座席用に準備された異なる構成のヘッドマウントディスプレイを使用及び識別しなければならないか、又はヘッドマウントディスプレイは追加のシステムを用いて自身の位置を特定しなければならず、これは、スループットに負担となるか、又はセットアップの技術的複雑さとなって、収益性も低減する。
【0005】
遊園地用乗り物でヘッドマウントディスプレイを使用することの別の限界は、乗客の体験が、遊園地用乗り物の移動のみに限定されて、車両の外ではシミュレーション仮想現実の中で自由に動くことが全くできないことである。つまり、周囲の現実世界に常に置き去りにされて、入り込むことができない。
【0006】
同時に、自由にアクセスできる仮想現実において、遊園地用乗り物のダイナミックなドライビング体験へのシームレスな移行に統合することは、これまでにできていない。つまり、そのような自由にアクセスできるVR体験は、歩き回ること、又は物体に触れることに常に限定されて、増加したGフォース又は無重力の体験は可能ではなく、それは、大きな動きをする、より大規模な遊園地用乗り物によってのみ実現することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第2138213号明細書
【特許文献2】特開2001−062154号公報
【特許文献3】米国特許第6179619号明細書
【特許文献4】欧州特許第3041591号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の一実施形態の目的は、向上したスループットで遊園地用乗り物を運営することができるように、運営手順の遅延を低減することが可能な、冒頭で記載したタイプの遊園地用乗り物を提供することである。さらに、その目的は、乗客の動きの自由度を、遊園地用乗り物の特定された移動を越えて拡張することである。さらに、本発明の一実施形態の目的は、それによって遊園地用乗り物を運営することができる方法を構築することである。さらに、本発明の一実施形態の目的は、この遊園地用乗り物を運営するためのコンピュータプログラム製品、及び/又はこの方法を実施するためのコンピュータプログラム製品を提供することである。
【0009】
この目的は、請求項1、5、及び9で規定される特徴によって達成される。効果的な実施形態は、従属請求項の主題である。
本発明の一実施形態は、特にジェットコースタである遊園地用乗り物に関し、この遊園地用乗り物は、少なくとも1人の乗客を収容するように設計された少なくとも1つの車両が移動可能に配置された走行経路を備える第1のセクションを備え、その範囲内で乗客が自由に移動できる第2のセクションを備え、第1のセクションを第2のセクションにつなぐ第3のセクションを備え、第3のセクションでは、乗客が車両への乗車及び車両からの降車が可能であり、仮想現実を生成し、かつ、表示するためのVR装置を備え、VR装置により、第1のセクションにおける走行経路に沿った車両での乗客の走行に対応した仮想現実、第2のセクションにおける乗客の位置と動きに対応した仮想現実、及び第3のセクションにおける乗客の乗車や降車に対応した仮想現実を生成可能であるとともに、乗客に割り当てられたヘッドマウントディスプレイに、遊園地用乗り物における乗客の位置と動きに応じて表示可能である。この場合、VR装置は、走行経路における車両の位置を検出するための第1の位置検出装置と、第2のセクション及び第3のセクションにおける乗客の位置と動きを検出するための第2の位置検出装置と、第3のセクションにおける車両の停止位置を検出するための第3の位置検出装置とを有する。
【0010】
本提案による遊園地用乗り物は、走行路がある第1のセクションと、乗客が自由に移動できる第2のセクションと、第1のセクションを第2のセクションにつなぐ第3のセクションであって、そこで乗客は車両への乗車及び車両からの降車が可能である第3のセクションとを有する。「自由に移動する」という表現は、第2のセクションで規定された制限及び障害物の内側で乗客が自由に移動できることを意味するものと理解されるべきである。第2のセクションは壁で区切られることができるとともに、手すり及び階段のような障害物を有することができ、これにより乗客の移動の自由度に何らかの制限を課す。ただし、これらの制限は、現実世界に存在する制限を超えるものではない。一方、乗客は、車両内ひいては第1のセクションにいる限り、車両内で拘束装置によって固定されていて、拘束装置が閉位置にある限り車両を離れることができないので、自身の移動について自由に決めることはできない。
【0011】
前述のように、第1のセクションは走行経路で規定されている一方、第2のセクションは第1のセクションの外にある。この場合、第3のセクションは、第1のセクションと第2のセクションをつないでおり、第1のセクションと第2のセクションの重なり領域とみなすこともできる。第3の領域では、第2の領域から第1の領域への切り替え、又はその逆の切り替えが可能となる。例えば、ジェットコースタの場合のステーションがこれに当たる。しかしながら、乗客は、ステーション内において何らかの制限内で自由に移動することもできるので、3つのセクション間の境界を必ずしも明確に規定できるわけではなく、重なりがある場合もある。一方、そのようなステーションがない遊園地用乗り物もあり、例えば、遊園地用乗り物に軌道方式の走行経路がない場合には、車両が取り付けられた回転プラットフォーム又はサスペンションがある。この場合、第3のセクションは、静止した車両のすぐ近くである。
【0012】
仮想現実は、3つのセクションのすべてにおいて乗客に表示される。従って、特許文献1−4に開示されている遊園地用乗り物の場合のように、走行経路にのみ仮想現実が展開されるのではない。むしろ、特に第2のセクションが、仮想現実に統合される。第2の位置検出装置は、第2のセクション及び第3のセクションにおける乗客の位置と動きを検出して、それをVR装置に伝送することができるように構成される。
【0013】
従って、ヘッドマウントディスプレイの提供と回収は、乗客が車両に乗車及び車両から降車する第3のセクションから空間的にかなり離間したところで行うことができる。第2のセクションのサイズに応じて程度の差はあるが、第3のセクションまでの大きな距離を、乗客は移動しなければならないので、ヘッドマウントディスプレイの提供と回収を、乗車と降車とは別に行うこともできる。ヘッドマウントディスプレイは、第2のセクションの入口エリアで同期させることができる。さらに、故障したヘッドマウントディスプレイは、入口エリアで予め交換することが可能である。第2のセクションを仮想現実に組み込むことによって、乗客に対するバッファが形成され、これにより、特にヘッドマウントディスプレイの提供における遅延が車両の運営手順の遅延につながることはない。
【0014】
仮想現実は、車両の走行のみに限定されることなく、第2のセクションまで拡張されるので、乗客が仮想現実にいる時間は増大する。これにより、待ち時間は短縮される。
乗客は、仮想現実によって提供される情報を用いて乗車と降車が可能でなければならないので、乗客は、車両に乗車するとき及び車両から降車するときにヘッドマウントディスプレイを外すべきではない。これは、車両への移行部が仮想現実と一致することが確保されることを前提としている。階段、手すり、壁、セーフティキャッチのような障害物は、少なくともその配置及び寸法に関して、現実世界にあるのと同じように、仮想現実で表示されなければならず、さもないと、乗客は、これらの物体でつまずいたり怪我をしたりする可能性がある。そのためには、乗客が乗車し降車する第3のセクションにおける車両の停止位置を、非常に正確に検出及び決定できる必要がある。従って、本提案による遊園地用乗り物は、第3のセクションにおける車両の停止位置を検出するための第3の位置検出装置を有し、これは、この目的のために特別に設計されている。特許文献4による遊園地用乗り物と同様に、本提案による遊園地用乗り物は、走行経路における車両の位置を検出するための第1の位置検出装置を有する。これは、乗客の吐き気及び目まいを引き起こす可能性のあるレイテンシを抑制するように、仮想現実を車両と同期させるために用いられる。ただし、この目的では、走行経路における車両の位置をあまり正確に決定する必要はない。±20cmの誤差を許容できる。一方、このような誤差は、第3のセクションでは、上述の車両若しくは障害物へのつまずき及び/又は衝突につながる可能性があるので、第3のセクションでは許容できない。本提案によれば、第3の位置検出装置は、車両の位置特定に関して、第1の位置検出装置よりも高い精度を有する。第3の位置検出装置は、特に停止位置である車両の位置を向上した精度で特定しなければならない第3のセクションにのみ配置される。通常、測定精度の向上は、データ量の増加及びより高価な位置センサに関連するので、これらのセンサは、必要不可欠な場合にのみ使用される。これにより、データ量及びコストが制限内に維持される。
【0015】
さらなる実施形態によれば、第3の位置検出装置は、車両の停止位置を、20mm〜0.1mmの精度で、特に10mm〜0.2mmの精度で検出できるように構成される。このような精度によって、スムーズな乗車と降車が可能になることが判明している。第3の位置検出装置が向上した精度で機能し得ると、データ量が増大するとともに、より高品質の位置センサを使用する必要があるので、この実施形態により、許容できるデータ量及び妥当な価格の位置センサで十分な精度が得られる妥協点を、この辺りに見いだすことが可能となる。
【0016】
さらに発展させた実施形態では、第3の位置検出装置は、誘導的及び/又は光学的に動作する位置センサを備えることができる。このような位置センサを用いると、位置センサが高価になりすぎることなく、所要の精度を確実に実現できる。
【0017】
さらに発展させた実施形態では、車両に位置センサを配置することができ、車両は、車両の位置をVR装置に伝送するための伝送装置を有することが可能である。伝送装置は、ワイヤレスで、又は走行経路を介して、車両の位置を伝送することが可能である。特に、既存の遊園地用乗り物を改造する場合に、遊園地用乗り物の運営者が第3のセクション又はステーション自体において何らかの再構成措置を実施する必要がないので、メリットがある。第3の位置センサは、車両メーカが検査の一環として設置することができるので、改造中のダウンタイムは最小限に抑えられる。改造は、遊園地用乗り物の運営者にとって、負担がより少ない。
【0018】
例えば、次の測定方法を用いることができる。位置センサがヘッドマウントディスプレイの外に分離して配置される、いわゆる「アウトサイドイン・トラッキング」を用いることができる。このために、この場合は乗客のヘッドマウントディスプレイである動く物体に、マーカを取り付けることができる。位置センサで、マーカの動きを追跡することができ、これにより、遊園地用乗り物における乗客の位置を計算して、当該のヘッドマウントディスプレイに伝送することが可能である。また、このようなマーカを省くこともできる。この場合、位置検出装置は、位置センサのデータから、この場合は乗客である物体を、例えば連続的に辿った輪郭を特定することによって識別しなければならない。これらの測定方法は、第2のセクション及び第3のセクションに特に適しており、これにより、第2の位置検出装置と第3の位置検出装置を同じように構成して、1つの位置検出装置を形成するように統合することが可能である。
【0019】
この他に、位置センサがヘッドマウントディスプレイに配置される、いわゆる「インサイドアウト・トラッキング」を用いることができる。この場合も、第1のセクション、第2のセクション、又は第3のセクションに固定配置される目印を構成するために、マーカを用いることができる。また、マーカを使用しない「インサイドアウト・トラッキング」も可能である。この場合、この遊園地用乗り物の全体で1つの測定方法を用いることができ、これにより、第1の位置検出装置、第2の位置検出装置、及び第3の位置検出装置は、1つの位置検出装置を形成するように統合される。
【0020】
本発明の一実施形態は、前述の実施形態のいずれか1つによる特にジェットコースタである遊園地用乗り物を運営する方法に関し、この方法は、以下のステップを備える。
− 第1の位置検出装置を用いて、走行経路における車両の位置を検出するステップと、
− 第2の位置検出装置を用いて、第2のセクション及び第3のセクションにおける乗客の位置と動きを検出するステップと、
− 第3の位置検出装置を用いて、第3のセクションにおける車両の停止位置を検出するステップと、
− 検出された位置、動き、及び停止位置を、VR装置に伝送するステップと、
− 仮想現実を生成し、かつ、表示するステップ。この仮想現実を生成し、かつ、表示するステップにより、第1のセクションにおける走行経路に沿った車両での乗客の走行に対応した仮想現実、第2のセクションにおける乗客の位置と動きに対応した仮想現実、及び第3のセクションにおける乗客の乗車や降車に対応した仮想現実を生成するとともに、乗客に割り当てられたヘッドマウントディスプレイに、遊園地用乗り物における乗客の位置と動きに応じて表示する。
【0021】
本提案による方法によって得ることができる技術的効果及び利点は、この遊園地用乗り物について解説されたものに対応している。要点として指摘すべきことは、仮想現実が第2のセクションまで拡張されたことで、車両への乗車及び車両からの降車とは時間的かつ空間的に間隔をあけて、ヘッドマウントディスプレイの装着及び取り外しが可能であることである。その結果、運営遅延は、バッファによって回避されるか、又は大幅に低減される。遊園地用乗り物のスループットを向上させることができる。さらに、乗客が仮想現実にいる時間を長くすることが可能である。第3の位置検出装置を使用することによって、乗客の車両への乗車及び車両からの降車に適応することが可能となり、これに適応した位置センサをここでのみ使用することによって、コスト及び伝送されるデータ量を低く維持する。
【0022】
さらなる実施形態では、本方法は、以下のステップを備えることができる。
− 第3の位置検出装置を用いて、20mm〜0.1mmの精度で車両の停止位置を検出するステップ。
【0023】
このような精度によって、スムーズな乗車と降車が可能になることが判明している。
さらなる実施形態によれば、本方法は、以下のステップを備える。
− 第3のセクションにおける車両の停止位置を規定するステップと、
− 車両が20mm〜0.1mmの精度で停止位置を占めるように、第3のセクション内で車両を動かすステップ。
【0024】
前述のように、車両の正確な停止位置を認識することは、スムーズな乗車と降車のために非常に重要である。車両が所定の停止位置から、いくらかの大きな誤差を伴って停止する場合には、仮想現実は、車両の表示、並びに、セーフティキャッチや壁のような周辺要素の表示において、この誤差を考慮しなければならず、これにより、いくらかのプログラミング労力及び計算労力を要する。一方、車両が最大でも±10mmの誤差で停止する場合には、仮想現実は、停止している車両が常に同じように表示されるように設計されることができ、これにより、関連したプログラミング労力及び計算労力を低く抑えることができる。
【0025】
本方法のさらに発展させた実施形態は、以下のステップを備える。
− リアルタイムで生成される環境表示(リアルタイムグラフィックス)によって、又はビデオシーケンスとして予め計算された仮想現実の表示によって、又はリアルタイムで生成されるとともに予め計算された要素と関連付けて表示される仮想現実によって、第1のセクション、第2のセクション及び/又は第3のセクションにおいて仮想現実を表示するステップ。
【0026】
純粋にリアルタイムグラフィックスの場合、仮想現実は、乗客の現在の位置に応じて完全に計算されるので、比較的大きな計算労力が必要である。従って、仮想現実の表示に使用されるグラフィックスの品質には、ある程度の限界がある。第1のセクションでは、乗客の位置は、基本的に車両によって規定されるが、ヘッドマウントディスプレイの向きだけは、予め決めることができない。よって、360°球面ビデオシーケンスのような予め計算されたデータセットを、第1のセクションにおける仮想現実の計算に用いることができ、これにより、感知できるほどのグラフィックスの品質損失を伴うことなく、第1のセクションにおける仮想現実を計算することが可能である。
【0027】
このような予め計算されたグラフィックシーケンスを用いる場合、仮想現実の大部分は予め規定されており、基本的に乗客の頭の動きのみが考慮される。予め計算されたグラフィックスを用いて生成される仮想現実では、一般的に、リアルタイムで生成される仮想現実ほど没入感は大きくない。
【0028】
ハイブリッドディスプレイの場合、仮想現実の一部はリアルタイムで表示され、その他の部分は予め計算されたグラフィックスで表示される。仮想現実の予め計算された部分は、仮想現実の背景に配置される物体に対して、従って、より低視差で観察者が知覚する物体に対して、主に用いられる。これにより、没入感の大幅な損失を伴うことなく、計算労力を削減することが可能である。一方、前景にある要素、すなわち乗客の観察点に非常に近い要素は、リアルタイムグラフィックスで表示することができ、これにより、それらは、頭が動くときに常に正しい視差で、より空間的に説得力を持って表示される。また、リアルタイムグラフィック要素を用いて、インタラクティブ要素を前景に組み込むこともできる。
【0029】
第1のセクションでは、乗客は既知の位置にあるとともに、既知の走行移動をしているので、予め計算されたグラフィックス又はハイブリッド表示を仮想現実に用いることは、第1のセクションにおいて特に有用である。
【0030】
リアルタイムグラフィックスによる仮想現実の表示と、予め計算されたグラフィックスによる仮想現実の表示との切り替えは、この遊園地用乗り物内での利用者の位置に基づいて行うことができる。
【0031】
本発明の一実施形態は、前述の実施形態のいずれか1つによる方法を実行するため、及び/又は前述の実施形態のいずれか1つによる特にジェットコースタである遊園地用乗り物を運営するための、コンピュータプログラムに関し、特にジェットコースタで、このコンピュータプログラムは、VR装置において実行されることで、このVR装置に以下のステップを実行させるためのプログラム手段を備える。
【0032】
− 第1の位置検出装置を用いて、走行経路における車両の位置を検出するステップと、
− 第2の位置検出装置を用いて、第2のセクション及び第3のセクションにおける乗客の位置と動きを検出するステップと、
− 第3の位置検出装置を用いて、第3のセクションにおける車両の停止位置を検出するステップと、
− 検出された位置、動き、及び停止位置を、VR装置に伝送するステップと、
− 仮想現実を生成し、かつ、表示するステップ。この仮想現実を生成し、かつ、表示するステップにより、第1のセクションにおける走行経路に沿った車両での乗客の走行に対応した仮想現実、第2のセクションにおける乗客の位置と動きに対応した仮想現実、及び第3のセクションにおける乗客の乗車や降車に対応した仮想現実を生成するとともに、乗客に割り当てられたヘッドマウントディスプレイに、遊園地用乗り物における乗客の位置と動きに応じて表示する。
【0033】
本提案によるコンピュータプログラムによって得ることができる技術的効果及び利点は、この遊園地用乗り物について解説されたものに対応している。要点として、指摘すべきことは、仮想現実が第2のセクションまで拡張されたことで、車両への乗車と車両からの降車とは時間的かつ空間的に間隔をあけて、ヘッドマウントディスプレイの装着及び取り外しが可能であることである。その結果、運営遅延は、バッファによって回避されるか、又は大幅に低減される。遊園地用乗り物のスループットを向上させることができる。さらに、乗客が仮想現実にいる時間を長くすることが可能である。第3の位置検出装置を使用することによって、乗客の車両への乗車及び車両からの降車に適応することが可能となり、これに適応した位置センサをここでのみ使用することによって、コスト及び伝送されるデータ量を低く維持する。
【0034】
本発明のさらなる実施形態によれば、このコンピュータプログラムは、以下のステップを実行する。
− 乗客の位置及び/又は車両の速度に応じて、第1の位置検出装置と、第2の位置検出装置と、第3の位置検出装置との間で位置検出を自動的に切り替えるステップ、又は、
− 遊園地用乗り物の従業員による確認後に、第1の位置検出装置と、第2の位置検出装置と、第3の位置検出装置との間で位置検出を切り替えるステップ。
【0035】
前述のように、乗客の位置検出にマーカを用いることは、第2のセクション及び第3のセクションにおいて特に有用である。マーカを用いて、第1のセクションにおいて乗客の位置を検出することもできるが、この場合、それに応じて第1の位置検出装置を構成しなければならない。しかしながら、前述のように、第1のセクションにおける乗客の位置は、その目的でルートセンサを用いて、走行経路における車両の位置を特定することによって、十分な精度で特定することができるので、第1の位置検出装置には、これに対応した位置センサを備える必要はない。ただし、この場合、位置を特定するために、対応するセンサをアクティブにする必要がある。これは、例えば、自身で特定した位置に基づいて、及び/又は検出された移動パターンによって特定した位置に基づいて、行うことができる。乗客が第3のセクションにいるときには、コンピュータプログラムは、位置検出装置の間の切り替えを行わなければならないことを認識する。コンピュータプログラムは、当該の乗客の移動パターンを考慮することが可能である。その乗客が第3のセクションに到達する前の時間に第2のセクションにいた場合には、第2の位置検出装置から第1の位置検出装置への切り替えを行わなければならない。その乗客が前に第1のセクションにいた場合には、第1の位置検出装置から第2の位置検出装置への切り替えを行わなければならない。
【0036】
あるいは、遊園地用乗り物の従業員が切り替えを行うこともできる。この場合、例えば、第2の位置検出装置から第1の位置検出装置への切り替えが行われるべきであると仮定して、コンピュータプログラムは、対応する信号を従業員に提示することが可能である。ボタンを点灯させることができ、これを従業員が確認することが可能である。この確認は、車両を動かすためのイネーブル信号として用いることもできる。すべての乗客が車両内で適切に着座するとともにセーフティキャッチで固定されたら、従業員はボタンを押下する。この場合、第2の位置検出装置から第1の位置検出装置への切り替えを確認するときに、さらにセーフティクエリも実施する。
【0037】
本発明の例示的な実施形態について、添付の図面を参照して、より詳細に以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明による遊園地用乗り物の実施形態の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、基本表現に基づいて、本発明による遊園地用乗り物10の例示的な実施形態を示している。遊園地用乗り物10は、走行経路14を有する第1のセクション12を備え、その走行経路に沿って、車両16を、図示していない駆動手段によって移動させることができる。当然のことながら、遊園地用乗り物10は、複数の車両16を有することが可能である。図示の実施形態では、遊園地用乗り物10は、ジェットコースタである。
【0040】
図示の例示的な実施形態では、車両16は、4つの客載手段18を有し、これらの各々に、車両16内で乗客20を収容することが可能である。客載手段18は、図示していない拘束装置を有し、これを開位置と閉位置との間で動かすことができる。閉位置では、拘束装置は、乗客20を、走行中に車両16から落下し得ないように固定する。従って、閉位置では、乗客20は、非常に限られた範囲でしか動くことができず、客載手段18から離れることはできない。
【0041】
さらに、遊園地用乗り物10は、第2のセクション22を有し、これは走行経路14の外に位置するとともに、図示の例示的な実施形態では、壁24で区切られている。第2のセクション22では、乗客20は、広範囲に自由に動くことができ、第2のセクション22は、階段26及び手すり28のような障害物を有し、これにより乗客20の動きの自由度を制限するが、ただし、その制限の程度は、車両16の拘束装置と比較して大幅に軽減される。
【0042】
さらに、遊園地用乗り物10は、第1のセクション12を第2のセクション22につなぐ第3のセクション30を備える。第3のセクション30では、乗客20は、車両16に乗ることと、車両16から降りることが可能である。走行経路14は、第3のセクション30を通り抜けている。第3のセクション30は、ステーションと呼ぶこともできる。
【0043】
遊園地用乗り物10は、さらに、仮想現実を生成し、かつ、表示することが可能なVR装置32を有する。このために、VR装置32は、演算ユニット34を有する。VR装置32は、乗客20がグラスと同様に着用する少なくとも1つのヘッドマウントディスプレイ36とワイヤレスで通信する。ヘッドマウントディスプレイ36は、乗客20に対して仮想現実を表示する。
【0044】
最大限の没入感、すなわち可能な限り現実的に知覚される仮想現実の印象を実現できるように、乗客20の位置と動きは、仮想現実における位置と動きに一致していなければならない。従って、VR装置32は、走行経路14における車両16の位置を検出するための第1の位置検出装置38を備える。前述のように、乗客20は、車両16内で非常に限られた範囲でしか動くことができないので、走行経路14における車両16の位置を特定することによって、既に、比較的大きな没入感を得ることができる。走行経路14は既知であるので、仮想現実は、車両16の位置に適応させるだけでよい。乗客20の動きは無視することが可能である。これは、仮想現実を生成する際に、車両16内での乗客20の動きを考慮することを除外するものではなく、特に車両16の頭の動きを考慮することによって、没入感を高めることができる。走行経路14における車両16の位置は、ルートセンサ40によって検出されて、演算ユニット34に伝送され、そこで仮想現実を生成するときに、走行経路14における車両16の位置を考慮に入れる。
【0045】
さらに、VR装置32は、第2のセクション及び第3のセクション30における乗客20の位置と動きを検出するための第2の位置検出装置42を有する。第2の位置検出装置42は、第2のセクション22に配置された複数のモーションセンサ44を備える。前述のように、乗客20は、第2のセクション22で広範囲に自由に動くことができる。これは、乗客20がまだ客載手段18に収容されていないとともに拘束装置がまだ閉位置にされていないうちは、第3のセクション30にも当てはまる。従って、第1のセクション12と比較して、乗客20は、第2のセクション22では、さらに上記の条件下では第3のセクション30においても、かなり高い動きの自由度を有する。加えて、乗客20が移動する経路は、特に第2のセクション22において、限られた範囲でのみ予め決められている。この点において、第2の位置検出装置42で生成されるデータ量は、第1の位置検出装置38で生成されるデータ量よりも多い。第2のセクション22及び第3のセクション30における乗客20の位置と動きは、演算ユニット34に伝送されて、そこで仮想現実を生成するときに、第2のセクション22及び第3のセクション30における乗客20の位置と動きを考慮に入れる。
【0046】
さらに、VR装置32は、第3のセクション30における車両16の停止位置を検出するための第3の位置検出装置46を備える。このために、第3の位置検出装置46は、以下で説明するように、走行経路14における車両16の位置を検出するルートセンサ40とは明らかに異なる位置センサ48を備える。図示の例示的な実施形態では、位置センサ48は、車両16に配置されており、位置センサの信号は、伝送装置50によって演算ユニット34に伝送される。この車両16の停止位置も、仮想現実を生成するときに考慮される。よって、仮想現実は、遊園地用乗り物10の3つのセクション12、22、30のすべてに展開される。
【0047】
遊園地用乗り物10は、以下のように運営される。図示の例示的な実施形態では、第2のセクション22は、2つの入口エリア52を有する。これらの入口エリア52の1つにおいて、遊園地用乗り物10の図示していない従業員によって、ヘッドマウントディスプレイ36が乗客20に手渡されて、そのヘッドマウントディスプレイ36を乗客は装着する。次に、ヘッドマウントディスプレイ36を、演算ユニット34と同期させて、その機能性をチェックする。この同期によって、演算ユニット34は、このヘッドマウントディスプレイ36に対して仮想現実を生成して、それをヘッドマウントディスプレイ36に伝送するようになり、この仮想現実を乗客20に表示することが可能である。当該のヘッドマウントディスプレイ36が適切に機能しない場合には、それを遊園地用乗り物10の従業員が別のものに交換する。
【0048】
以下では、仮想現実は空港をシミュレートするものと仮定する。仮想現実は、第2のセクション22の特徴をある程度デフォルメしてシミュレートする。第2のセクション22の壁24は、飛行場を囲むフェンスとして、又は格納庫の壁24として、シミュレートすることが可能である。乗客20は、シミュレートされたフェンスすなわち壁24から、第2のセクション22を通って、第3のセクション30まで案内される。このために、仮想現実は、対応する標識を乗客20に対して表示することが可能である。前述のように、第2のセクション22は、第3のセクション30に到達するために上らなければならない階段26を有する。階段26及び手すり28も同様に、仮想世界で、航空機に寄り掛かる階段26及び手すり28としてシミュレートすることができ、それを用いて航空機のコックピットに乗り込むことができる。コックピットは、現実世界では車両16の客載手段18内に位置している。
【0049】
没入を中断させないために、乗客20は、乗車するときにもヘッドマウントディスプレイ36を装着したままにする。仮想現実は、乗客20が、車両16の例えば拘束装置である物体につまずいたり衝突したりすることなく客載手段18に乗り込むことができるほど、正確に表示されなければならない。そのためには、仮想現実が現実世界に正確に一致している必要がある。これは、車両16の停止位置を非常に正確に特定できることを前提としている。仮想現実と現実世界との間のわずかな誤差であっても、例えば、乗車又は降車の際に、前述のようにつまずくことにより、事故につながる可能性がある。従って、本発明による遊園地用乗り物10は、第3のセクション30における車両16の停止位置を、少なくとも10mmの精度を目標として、非常に正確に特定することができる位置センサ48を有する。よって、位置センサ48は、走行経路14における車両16の位置を特定するルートセンサ40とは異なるものである。ルートセンサ40は、例えば、経路に沿った位置が既知である光バリアとして設計することが可能である。この光バリアは、車両16が光バリアを突破した時点のみを通知する。この情報は、レイテンシを可能な限り低く抑えるように、経路における車両16の位置と仮想現実との調整を図るために用いられる。例えば、経路に沿って10mごとにルートセンサを配置すれば十分である。
【0050】
構成によっては、ルートセンサ40を用いて、第3のセクション30における車両16の停止位置を十分な精度で特定することは不可能である。従って、位置センサ48は、第3のセクション30における車両16の停止位置を十分に正確に特定することができるように、かなり高い精度用に構成される。このために、位置センサ48は、誘導的に動作するか、又はレーザを用いることができる。
【0051】
また、第3のセクション30内の位置センサ48からの信号を用いて、相当する精度で車両16を所定の停止位置に動かすことも可能である。
第1の位置検出装置38、第2の位置検出装置42、及び第3の位置検出装置46を同じように構成して、1つの位置検出装置に統合することも可能である。例えば、位置センサ48がヘッドマウントディスプレイ36に配置される「インサイドアウト・トラッキング」は、この目的に適している。データ量を制限内に維持するために、利用者が第3のセクション30にいるときには、位置センサ48を、より高い精度で機能させることができる一方、利用者が第1のセクション12又は第2のセクション22にいるときには、精度ひいてはデータ量を低減することが可能である。
【0052】
乗客20が客載手段18に乗り込んだら直ちに、拘束装置を閉位置にして、次に、車両16を、走行経路14に沿って、第1のセクション12を通って移動させる。仮想現実では、航空機は離陸して、再び車両16が第3のセクション30に近づいて進入したときに着陸する。乗客20は、乗車について説明した方法に対応する方法で、車両16から降りる。次に、乗客20は、第3のセクション30から退去して、第2のセクション22を通り抜けて入口エリア52に戻り、そこでヘッドマウントディスプレイ36を外して、遊園地用乗り物10から退去する。
【0053】
図示の例示的な実施形態では、第3のセクション30には、走行経路14の片側からのみアクセス可能であるため、乗客20は、第3のセクション30に進入したのと同じ経路で第3のセクション30から退去しなければならない。当然のことながら、さらなる第2のセクション22を設けることができ、これは、例えば走行経路14の反対側で、第3のセクション30につながっている。この場合、2つの第2のセクション22のうちの一方を、第3のセクション30に進入するための専用として、2つのセクション22のうちの他方を、第3のセクション30から退去するための専用として使用することができ、これにより、遊園地用乗り物10の運営が簡単化される。
【符号の説明】
【0054】
10 遊園地用乗り物
12 第1のセクション
14 走行経路
16 車両
18 客載手段
20 乗客
22 第2のセクション
24 壁
26 階段
28 手すり
30 第3のセクション
32 VR装置
34 演算装置
36 ヘッドマウントディスプレイ
38 第1の位置検出装置
40 ルートセンサ
42 第2の位置検出装置
44 モーションセンサ
46 第3の位置検出装置
48 位置センサ
50 伝送装置
52 入口エリア
図1