特許第6874242号(P6874242)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6874242
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】配電用変電所
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20210510BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   H02J3/14
   H02J3/32
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-27077(P2020-27077)
(22)【出願日】2020年2月20日
【審査請求日】2020年3月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520060863
【氏名又は名称】アイコミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097548
【弁理士】
【氏名又は名称】保立 浩一
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 識靖
(72)【発明者】
【氏名】布留川 剛仁
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−093927(JP,A)
【文献】 特開2002−218658(JP,A)
【文献】 特開2001−333536(JP,A)
【文献】 特開2013−115898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/14
H02J 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主変圧器を備え、変電しつつ電力の需要施設に向けて配電線を通して配電する配電用変電所であって、
主変圧器の二次側には、ブロックチェーンマイニングマシンと、配電線を通して逆潮流してきた電力を検出する逆潮流電力検出器とが設けられており、
主変圧器の二次側において、逆潮流電力検出器の位置よりも下流側の分岐点から分岐して給電線が設けられており、この給電線によりブロックチェーンマイニングマシンが配電線と並列に主変圧器に対して接続されており、
分岐点とブロックチェーンマイニングマシンとを接続した給電線上には、マシン遮断器及びマシン用変圧器が直列に設けられており、
逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出した際、マシン用遮断器をにしてマシン用変圧器を介してブロックチェーンマイニングマシンに電力を供給する給電開始制御部を含む給電制御ユニットが設けられており、
ブロックチェーンマイニングマシン、及び分岐点とブロックチェーンマイニングマシンとを接続した給電線は、配電用変電所内に設けられていることを特徴とする配電用変電所。
【請求項2】
前記ブロックチェーンマイニングマシンは複数設けられており、
前記給電開始制御部は、前記逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出しなくなるまで各ブロックチェーンマイニングマシンに対して電力の供給を順次開始する制御部であることを特徴とする請求項1記載の配電用変電所。
【請求項3】
前記分岐点よりも下流側の前記配電線上には、逆潮流電力を検出するサブ検出器が設けられており、
前記給電制御ユニットは、前記ブロックチェーンマイニングマシンへの給電を開始した後、サブ検出器が逆潮流電力を検出しなくなった場合に、前記ブロックチェーンマイニングマシンへの給電を停止する給電停止制御部を含んでいることを特徴とする請求項1又は2記の配電用変電所。
【請求項4】
前記分岐点よりも下流側の前記配電線上には、逆潮流電力の計測が可能な配電線電力計が設けられており、
前記ブロックチェーンマイニングマシンは複数設けられていて、複数個のブロックチェーンマイニングマシンから成るユニットが複数設けられており、
前記給電制御ユニットは、前記ブロックチェーンマイニングマシンの各ユニットへの給電を開始した後、配電線電力計が計測した逆潮流電力が所定値より小さい場合にその小ささに応じた数の前記ブロックチェーンマイニングマシンのユニットへの給電を停止する給電停止制御部を含んでおり、
前記所定値とは、前記ブロックチェーンマイニングマシンのユニット1個分の消費電力にマージンの電力を加えた電力を停止単位電力pとし、給電している前記ブロックチェーンマイニングマシンのユニットの数をNとしたときの(N−1)pであることを特徴とする請求項1又は2記の配電用変電所。
【請求項5】
前記給電開始制御部は、前記逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出しなくなるまで前記ブロックチェーンマイニングマシンの各ユニットに対して電力の供給を順次開始する制御部であり、
前記給電停止制御部は、前記給電開始制御部による給電の開始が遅い前記ユニットの順に給電を停止する制御部であることを特徴とする請求項4記載の配電用変電所。
【請求項6】
前記配電線及び前記ブロックチェーンマイニングマシンと並列に蓄電器が設けられており、
前記逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出した際、前記給電制御ユニットに対して給電開始の信号を送信するか又は蓄電器への蓄電を行うか選択する変配電制御部を備えていることを特徴とする請求項1乃至いずれかに記載の配電用変電所。
【請求項7】
前記主変圧器は、第一の主変圧器として第一のバンクに設けられており、
第二のバンクの主変圧器として第二の主変圧器が設けられていて、第二の主変圧器の二次側には別の配電線が接続されており、
第一の主変圧器の二次側は、連絡母線により第二の主変圧器の二次側に接続されており、
連絡母線にはバンク遮断器が設けられており、
前記逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出した際、前記給電制御ユニットに対して前記ブロックチェーンマイニングマシンへの給電開始の信号を送信するか又はバンク遮断器をにして逆潮流電力を第二の主変圧器の二次側の別の配電線に供給するバンクシフトを行うかを選択する変配電制御部を備えていることを特徴とする請求項1乃至いずれかに記載の配電用変電所。
【請求項8】
前記給電制御ユニットに給電開始の信号を送信するか又は前記バンク遮断器をにして逆潮流電力を前記第二の主変圧器の二次側に接続された別の配電線に供給するバンクシフトを行うかの条件を設定した設定部を前記変配電制御部は備えており、前記変配電制御部は、設定部に設定された条件に従っていずれかを行う制御部であることを特徴とする請求項記載の配電用変電所。
【請求項9】
前記配電線及び前記ブロックチェーンマイニングマシンと並列に蓄電器が設けられており、
前記変配電制御部は、前記逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出した際、前記給電制御ユニットに対して給電開始の信号を送信するか、前記バンク遮断器をにして逆潮流電力を前記第二の主変圧器の二次側の別の配電線に供給するバンクシフトを行うか、又は蓄電器への蓄電を行うかを選択する制御部であることを特徴とする請求項7又は8記載の配電用変電所。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、発電所から各所に電力を供給する送配電の技術に関するものであり、特に配電用変電所の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、電力業界は大きな変化の波に揉まれている。規制緩和の流れを受け、電力自由化、送配電分離といった競争原理を導入する一連の改革が推し進められてきており、多くの新規事業者が電力業界に参入している。それと並行して、地球温暖化を背景に再生可能エネルギーへの転換が強く叫ばれており、太陽光発電や風力発電といった種々の自然エネルギー発電が実用化され、国による買い取り制度も相まって、普及に拍車がかかっている。
大震災との関連では、原発の廃炉にかかる多大な費用が長期間に亘って重くのしかかることが確実であるし、これまで以上に震災に強い施設の整備や施設の老朽化に対する対処も必要になってきており、業界全体としては今後ともコストは増加し続けることは明白である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−208774号公報
【特許文献2】特開2018−207562号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「バンク逆潮流の制限の緩和について」https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/denryoku_anzen/pdf/002_08_00.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その一方、省エネ意識の高まりや省エネ機器の普及により電力需要は低減傾向である。つまり、電力会社は、需要が減っていくにもかかわらずコストが増加し続け、且つ多くの新規参入業者との競争に直面したり、国による買取制度に対応したりしなければならず、経営環境は益々厳しくなっていくものと予想される。
【0006】
技術的な観点での課題として、再生可能エネルギーを産み出す自家発電施設からの逆潮流の問題が挙げられる(非特許文献1)。太陽光発電等の自家発電施設は、作った電力を自家消費するのに加え、余剰電力を電力会社に販売する。この際、余剰電力は、自家発電施設のある施設への配電線を通して逆潮流する。逆潮流する電力は、通常、他の施設への給電に回されるが、配電を行う変電所(配電用変電所)を超えて逆潮流電力が上流側に流れると、変圧器や各種機器の事故が生じ易い。このため、OVGR(地絡過電圧リレー)を設置したり(非特許文献1)、他のバンクにシフトする操作が行われたりしている(特許文献1及び特許文献2)。
【0007】
本願の発明者は、このように多くの経営課題や技術的課題に直面している電力会社にとって有益なソリューションを提供すべく鋭意検討を行い、本願発明を想到するに至った。したがって、本願発明は、多くの経営課題に直面している電力会社にとって有益なソリューションを提供することを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願発明は、主変圧器を備え、変電しつつ電力の需要施設に向けて配電線を通して配電する配電用変電所の発明である。この配電用変電所において、主変圧器の二次側には、ブロックチェーンマイニングマシンと、配電線を通して逆潮流してきた電力を検出する逆潮流電力検出器が設けられている。また、主変圧器の二次側において、逆潮流電力検出器の位置よりも下流側の分岐点から分岐して給電線が設けられており、この給電線によりブロックチェーンマイニングマシンが配電線とは並列に主変圧器に対して接続されている。
分岐点とブロックチェーンマイニングマシンとを接続した給電線上には、マシン遮断器及びマシン用変圧器が直列に設けられている。
逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出した際、マシン用遮断器を閉にしてマシン用変圧器を介してブロックチェーンマイニングマシンに電力を供給する給電開始制御部を含む給電制御ユニットが設けられている。
ブロックチェーンマイニングマシン、及び分岐点とブロックチェーンマイニングマシンとを接続した給電線は、配電用変電所内に設けられている。
また、上記課題を解決するため、配電用変電所は、ブロックチェーンマイニングマシンが複数設けられており、給電開始制御部は、逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出しなくなるまで各ブロックチェーンマイニングマシンに対して電力の供給を順次開始する制御部であるという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、配電用変電所は、分岐点よりも下流側の配電線上に、逆潮流電力を検出するサブ検出器が設けられており、給電制御ユニットは、ブロックチェーンマイニングマシンへの給電を開始した後、サブ検出器が逆潮流電力を検出しなくなった場合、ブロックチェーンマイニングマシンへの給電を停止する給電停止制御部を含んでいるという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、配電用変電所は、
分岐点よりも下流側の前記配電線上には、逆潮流電力の計測が可能な配電線電力計が設けられており、
ブロックチェーンマイニングマシンは複数設けられていて、複数個のブロックチェーンマイニングマシンから成るユニットが複数設けられており、
給電制御ユニットは、ブロックチェーンマイニングマシンの各ユニットへの給電を開始した後、配電線電力計が計測した逆潮流電力が所定値より小さい場合にその小ささに応じた数のブロックチェーンマイニングマシンのユニットへの給電を停止する給電停止制御部を含んでおり、
所定値とは、ブロックチェーンマイニングマシンのユニット1個分の消費電力にマージンの電力を加えた電力を停止単位電力pとし、給電しているブロックチェーンマイニングマシンのユニットの数をNとしたときの(N−1)pであるという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、配電用変電所は、
給電開始制御部が、逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出しなくなるまでブロックチェーンマイニングマシンの各ユニットに対して電力の供給を順次開始する制御部であり、
給電停止制御部は、給電開始制御部による給電の開始が遅いユニットの順に給電を停止する制御部であるという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、配電用変電所は、配電線及びブロックチェーンマイニングマシンと並列に蓄電器が設けられており、逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出した際、給電制御ユニットに対して給電開始の信号を送信するか又は蓄電器への蓄電を行うかを選択する変配電制御部を備えているという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、配電用変電所は、
主変圧器が第一の主変圧器として第一のバンクに設けられており、
第二のバンクの主変圧器として第二の主変圧器が設けられていて、第二の主変圧器の二次側には別の配電線が接続されており、
第一の主変圧器の二次側は連絡母線により第二の主変圧器の二次側に接続されており、
連絡母線にはバンク遮断器が設けられており、逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出した際、給電制御ユニットに対してブロックチェーンマイニングマシンへの給電開始の信号を送信するか又はバンク遮断器を閉にしてバンクシフトを行うかを選択する変配電制御部を備えているという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、配電用変電所は、給電制御ユニットに給電開始の信号を送信するか又はバンク遮断器を閉にしてバンクシフトを行うかの条件を設定した設定部を前記変配電制御部は備えており、変配電制御部は、設定部に設定された条件に従っていずれかを行う制御部であるという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、配電用変電所は、配電線及びブロックチェーンマイニングマシンと並列に蓄電器が設けられており、変配電制御部は、逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出した際、給電制御ユニットに対して給電開始の信号を送信するか、バンク遮断器を閉にして逆潮流電力を前記第二の主変圧器の二次側の別の配電線に供給するバンクシフトを行うか、又は蓄電器への蓄電を行うかを選択する制御部であるという構成を持ち得る。
【発明の効果】
【0009】
以下に説明する通り、この出願の発明に係る配電用変電所によれば、主変圧器の二次側に設けられた逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出して給電制御ユニットがマイニングマシンに電力を供給するので、主変圧器を通して一次側にまで逆潮流電力が流れるのが防止される。このため、機器の損傷や事故が防止される。その上、マイニングマシンの稼働によりブロックチェーンマイニングが行われるので、マイニング報酬が期待でき、逆潮流電力の技術的課題を克服することに加え、電力会社の経営基盤を強固にすることにも貢献できる。
また、ブロックチェーンマイニングマシンが複数設けられていて、逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出しなくなるまで給電開始制御部が各ブロックチェーンマイニングマシンに対して電力の供給を順次開始させる制御部であると、生じている逆潮流電力に応じた台数のブロックチェーンマイニングマシンを稼働させるのが容易となり、無駄な稼働を防止することができる。
また、分岐点よりも下流側の配電線上に、逆潮流電力を検出するサブ検出器が設けられているか又は逆潮流電力の計測が可能な配電線電力計が設けられていると、ブロックチェーンマイニングマシンへの給電を開始した後、逆潮流電力が無くなったか又は小さくなった場合にそれに応じてブロックチェーンマイニングマシンへの給電を停止することができ、この点でマイニングマシンの無駄な稼働を防止することができる。
また、給電開始制御による給電の開始が遅いブロックチェーンマイニングマシンの順に給電を停止するようにすると、マイニング処理をより効率良く行うことができるようになる。
また、逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出した際、給電制御ユニットに対して給電開始の信号を送信するか又は蓄電器への蓄電を行うかを選択する変配電制御部を備えていると、マイニング報酬に応じて余剰電力の扱いをより合理的にすることができる。
また、逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出した際、給電制御ユニットに対して給電開始の信号を送信するか又はバンク遮断器をにしてバンクシフトを行うかを選択する変配電制御部を備えていると、マイニング報酬に応じて余剰電力の扱いをより合理的にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態における送配電系統の概略図である。
図2】実施形態の配電用変電所の概略図である。
図3】第二の実施形態の配電用変電所の概略図である。
図4】第三の実施形態の変電用配電所の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この出願の発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
図1は、実施形態における送配電系統の概略図である。
周知のように、火力発電所等の大規模発電所で作られた電力は、超高圧変電所(図示略)、一次変電所等の変電所で低圧に順次変電され、最終的に配電用変電所で変電、配電が行われて各一般需要者(住宅、小規模工場等)に供給される。配電用変電所から配電線を通して送電される際の電圧は6600Vであり、柱状変圧器等により需要施設での受電電圧100V又は200Vに変換されて供給される。配電線は、図1に示すように次々に枝分かれして各需要施設に配電を行う。実施形態の配電用変電所も、このように変電しつつ電力の需要施設に向けて各配電線を通して配電する変電所である。
【0012】
図2は、実施形態の配電用変電所の概略図である。
図2に示すように、配電用変電所は、変配電制御部1や主変圧器2等を備えている。主変圧器2の一次側には一次側遮断器3が設けられており、主変圧器2の二次側には二次側遮断器4を介して配電線5が接続されている。配電線5は三相交流線であり、二次側の電圧は通常6600Vである。この他、不図示の断路器等が設けられている。
【0013】
変配電制御部1は、主変圧器2のタップ制御等の各種制御を行う制御部である。実施形態の配電用変電所は、有人の場合もあるし無人の場合もある。有人の場合には、変配電制御部1は、作業員が常駐する制御室に配備された制御盤である。無人の場合には、制御室に設けられているものの、不図示の中央制御部から通信回線を介して遠隔操作される。
【0014】
実施形態の配電用変電所において、配電線5上には自家発電所が設けられている。したがって、電力の逆潮流があり得る。このため、配電用変電所内において逆潮流電力検出器6が設けられている。逆潮流電力検出器6は、電流センサCTである。
【0015】
実施形態の配電用変電所は、従来にないユニークな設備としてブロックチェーンマイニングマシン(以下、単にマイニングマシンという。)7を備えている。この実施形態では、複数のマイニングマシン7が設けられており、複数のマイニングマシン7は、1又は2以上のマイニングマシン7から成るグループ(以下、マシンユニットと呼ぶ。)7a〜7dに区分けされている。この例では四つのマシンユニット7a〜7dが設けられているが、これより多い数のマシンユニットが設けられる場合もあるし、少ない数のマシンユニットが設けられる場合もある。
マイニングマシン7としては、汎用機や専用機が知られているが、種々のものが市販されており、適宜選択して使用することができる。例えば、GPUを使用した汎用コンピュータにマイニング用ソフトウェアをインストールしたものや、ASICを搭載したマイニング専用機等を使用することができる。
【0016】
図2に示すように、マイニングマシン7群は、主変圧器2の二次側において、配電線5と並列の関係になるように主変圧器2に対して接続されている。マイニングマシン7群に対する給電線(以下、マシン給電線)70は、配電線5から分岐する形で設けられている。以下、この分岐点をマシン分岐点という。マシン分岐点から延びるマシン給電線70上には、マシン用変圧器701が設けられており、マシン用遮断器としてメイン遮断器702設けられている。また、各マシンユニット7a〜7d内の各マイニングマシン7は、各サブ給電線で給電されており、各サブ給電線上には別のマシン用遮断器として第一から第四のサブ遮断器71a〜71dが設けられている。
【0017】
マシン用変圧器701は、主変圧器2の二次側の電圧をさらに変圧するものであり、各マイニングマシン7の定格電圧に応じた電圧に変換するものである。マイニングマシン7の定格電圧は100Vの場合が多いので、通常は柱状変圧器と同様のものがマシン用変圧器701として使用される。尚、図2に示すように、マシン分岐点よりも下流側の配電線5上には、逆潮流電力の計測が可能な電力計(以下、配電線電力計)51が設けられている。
【0018】
実施形態の配電用変電所は、各マイニングマシン7への電力供給を制御するものとして、給電制御ユニット8を備えている。図2に示すように、給電制御ユニット8は、メイン遮断器701やサブ遮断器71a〜71dの制御が可能となっている。図示略であるが、給電制御ユニット8は、同様にマシン用変圧器701で変圧された100Vの電源電圧が供給されるようになっている。
【0019】
逆潮流電力検出器6は、給電制御ユニット8に対して接続されており、逆潮流電力の検出結果が給電制御ユニット8に入力されるようになっている。給電制御ユニット8は、各マシンユニット7a〜7dへの給電開始の制御を行う給電開始制御部81と、各マシンユニット7a〜7dへの給電停止の制御を行う給電停止制御部82とを含んでいる。給電制御ユニット8は、論理素子を組み合わせた電子回路(ハードウェア)で構成することも可能であるし、メモリに実装されたプログラムをプロセッサで実行するようにしてソフトウェア的に構成することも可能である。
【0020】
まず、給電開始制御部81について具体的に説明すると、メイン遮断器702は基本的には常時の状態である。給電開始制御部81は、順潮流から逆潮流に切り替わって逆潮流電力が最初に検出されると、第一のサブ遮断器7aを開から閉にする。これにより、第一のマシンユニット7aに電力が供給される。
第一のマシンユニット7a〜7dへの電力により、主変圧器2に向かう逆潮流電力は低下する。所定のタイムラグの後、逆潮流電力検出器6において引き続き逆潮流電力が検出されている場合、給電開始制御部81は第二のサブ遮断器71bをにする。これにより、第二のマシンユニット7bに電力が供給される。所定のタイムラグとは、第一のマシンユニット7aが稼働を開始して定常的に電力が消費されるまでの時間であり、数秒から十数秒程度である。
【0021】
主変圧器2に向かう逆潮流電力は第二のマシンユニット7bへの給電開始により低下するが、所定のタイムラグの後も逆潮流電力検出器6において引き続き逆潮流電力が検出されている場合、給電開始制御部81は第三のサブ遮断器71cをにする。これにより、第三のマシンユニット7cに電力が供給される。
さらに、所定のタイムラグの後も逆潮流電力検出器6において引き続き逆潮流電力が検出されている場合、給電開始制御部81は第四のサブ遮断器71dを開にする。これにより、第四のマシンユニット7dに電力が供給される。
【0022】
このように、逆潮流電力が解消されるかどうかをモニタしながら、解消されていない場合には給電開始制御部81は順次マシンユニット7a〜7dに給電を開始する。そして、最後のマシンユニット7dへの給電を開始した後も逆潮流電力が逆潮流電力検出器6により検出されている場合、給電開始制御部81はエラー出力をするよう構成されている。
【0023】
給電開始制御部81が最初に第一のマシンユニット7a〜7dへの給電を開始すると、給電停止制御部82が動作を開始する。給電停止制御部82は、配電線電力計51からの信号により、配電線5における逆潮流電力の大きさ(即ち電力の潮流向きと電力値)を取得する。そして、逆潮流電力の大きさが所定値以下であるかどうか判断する。
【0024】
この実施形態では、給電停止制御を実行するための概念として、停止単位電力というものが導入されている。停止単位電力は、マシンユニット1個分の消費電力+マージンの電力の大きさの電力である。
給電停止制御部82は、配電線電力計51が計測した逆潮流電力の大きさと、その時点で電力供給しているマシンユニット7a〜7dの数に応じて給電停止制御を適宜行う。即ち、稼働している(給電している)マシンユニット7a〜7dの数をN、停止単位電力をpとした場合、給電停止制御部82は、逆潮流電力の大きさが(N−1)pより小さい場合、給電停止制御を行う。
【0025】
より具体的に説明すると、例えば、逆潮流電力が停止単位電力1個分より小さく、その時点で2個のマシンユニット7a,7bに対して電力を供給している場合、最後に電力の供給を開始した2番目のマシンユニット7bのサブ遮断器(第二のサブ遮断器71b)をにして電力供給を停止する。また、逆潮流電力が停止単位電力2個分より小さく、その時点で3個のマシンユニット7a〜7cに対して電力を供給している場合、最後に電力の供給を開始した3番目のマシンユニット7cのサブ遮断器(第三のサブ遮断器71c)をにして電力供給を停止する。また、逆潮流電力が停止単位電力3個分より小さく、その時点で4個のマシンユニット7a〜7dに対して電力を供給している場合、最後に電力の供給を開始した4番目のマシンユニット7dのサブ遮断器(第四のサブ遮断器71d)をにして電力供給を停止する。
【0026】
尚、例えば逆潮流電力が停止単位電力2個分より小さく、その時点で4個のマシンユニット7a〜7dに対して電力を供給している場合、第四のサブ遮断器71dと第三のサブ遮断器71cとをにし、第四のマシンユニット7dと第三のマシンユニット7cへの各電力供給を停止する。また、逆潮流電力が解消し、順潮流電力となった場合、給電停止制御部82は、全てのサブ遮断器71a〜71dをにして全てのマシンユニット7a〜7dへの給電を停止する。
【0027】
このようにして、稼働しているマシンユニット7a〜7dの数と生じている逆潮流電力の量に応じて、給電開始が遅いマシンユニット7a〜7dの順に給電を停止する。給電停止ユニットは、このような制御が行われるようハードウェア的に又はソフトウェア的に構成されている。
尚、給電開始制御部81においてエラー出力がされた場合の制御については、適宜の構成とすることができる。例えば、主変圧器2の二次側に各配電線5と並列に蓄電器を設けておき、エラー出力がされた場合にはそこに電力を流して蓄電させる構成とすることができる。
【0028】
また、各マシンユニット7a〜7d内の各マイニングマシン7はethernet接続されており、ルーター72を介してLANを形成している。そして、各マイニングマシン7は、ルーター72経由でインターネットに接続されている。また、各マイニングマシン7によるマイニング処理を分散処理として行わせるための統括マシン73が設けられている。統括マシン73は、汎用のPC又はワークステーションが使用されるか、又は専用のマイニングマシンが使用される。統括マシン73には、分散処理のためのプログラムが実装されている。尚、統括マシン73は常時電力が供給されており、インターネットに対して常時接続されている。
【0029】
このような実施形態の配電用変電所の動作について、以下に説明する。
実施形態の配電用変電所も、送配電系統の動作としては、通常の配電用変電所と同様に動作する。即ち、火力発電所等の大規模発電所で作られた電力は、一次変電所、二次変電所等を経て実施形態の配電用変電所に送られる。配電用変電所において、主変圧器2はこれを受電して配電用の電圧(6600V)に変圧し、配電線5を通して配電する。変配電制御部1は、有人の場合には作業員の操作により、無人の場合には通信回線を介した遠隔操作により変配電に必要な各種制御を行う。
【0030】
一方、配電線5上のいずれかの需要施設は、自家発電所を有しており自家発電が行われている。自家発電所で作られた電力は、当該需要施設で消費されるほか、余剰電力がある場合には配電線5を通して配電用変電所に向けて送られる。即ち、逆潮流される。配電線5上に独立した(需要施設に設けられたものではない)小規模の発電所があり、それが配電線5に接続されている場合もある。この場合も、逆潮流電力が生じ得る。
逆潮流電力検出器6は、線路を流れる電流の向きと大きさを検出して給電制御ユニット8に送信する。また、配電線電力計51は、配電線5を通して送られる電力を計測して給電制御ユニット8に送信する。
【0031】
逆潮流電力検出器6が逆潮流電力を検出してそれが給電制御ユニット8に送信されると、給電開始制御部81が動作し、逆潮流電力検出器6が逆潮流電力を検出しなくなるまでサブ遮断器71a〜71dを順次にする。それとともに、給電停止制御部82が動作を開始し、配電線電力計51から送られる電力の潮流の向きとその大きさを監視する。そして、電力供給しているマシンユニット7a〜7dの数と逆潮流電力の大きさに応じて、電力供給開始が遅い方から順にマシンユニット7a〜7dへの電力供給を停止する。
全てマシンユニット7a〜7dへの電力供給が停止されると、給電開始制御部81も給電停止制御部82も初期状態に戻る。そして、逆潮流電力検出器6が逆潮流電力を再び検出すると、上記動作を繰り返す。尚、給電開始制御部81においてエラー出力がされた場合、不図示の蓄電器への給電を開始する等の適宜の措置が取られる。
【0032】
上記構成及び動作に係る実施形態の変電用発電所によれば、主変圧器2の二次側において逆潮流電力検出器6が逆潮流を検出して給電制御ユニット8がマシンユニット7a〜7dに電力を供給するので、主変圧器2を通して一次側にまで逆潮流電力が流れるのが防止される。このため、機器の損傷や事故が防止される。
【0033】
その上、マシンユニット7a〜7dの稼働によりブロックチェーンマイニングが行われるので、マイニング報酬が期待できる。周知のように、マイニングマシン7の稼働に非常に大きな消費電力を要する。実施形態では、電力の調達コストが安い配電用発電所においてマイニングマシン7が稼働するので、より多くのマイニングマシン7を同時稼働させることができ、マイニング(ブロックチェーンの検証)の競争に勝って報酬を得る確率が高まる。実施形態の構成は、この点においても優位性を持っている。
【0034】
このような実施形態の配電用変電所は、電力会社にとって逆潮流電力の技術的課題を克服することに加え、配電用変電所が収益を産み出す場(プロフィットセンター)となるので、電力会社の経営基盤を強固にすることができ、一石二鳥的な有意義なソリューションをもたらす。
【0035】
次に、第二の実施形態の配電用変電所について説明する。
図3は、第二の実施形態の配電用変電所の概略図である。第二の実施形態においても、主変圧器2の二次側には、配電線5と並列に複数のマシンユニット7a〜7dが設けられており、給電制御ユニット8が各マシンユニット7a〜7dへの給電を制御するようになっている。
第二の実施形態が第一の実施形態と異なるのは、逆潮流電力検出器6が逆潮流電力を検出した際、マシンユニット7a〜7dへの給電開始かバンクシフトかを選択できるようになっている点である。
【0036】
具体的に説明すると、第二の実施形態の配電用変電所は、第一の主変圧器2を備える第一のバンク20と、第二の主変圧器201を備える第二のバンク200とを有している。図3に示すように、第二の主変圧器201の二次側には、別の配電線(符合省略)が接続されている。この例では、各バンク20,200は1個の主変圧器2,201を備えているが、二以上の主変圧器を備えたバンクもあり得る。第一の主変圧器2と第二の主変圧器201とは、連絡母線9で接続されている。連絡母線9上には、連絡母線遮断器91が設けられている。
【0037】
変配電制御部1は、この実施形態では、各バンク内の主変圧器2,201の制御(タップ切り換え等)やバンクシフトの制御を行うことが可能となっている。同様に、有人の場合には作業員の操作により、無人の場合には中央制御部からの遠隔操作により変配電制御部1が動作し、各種の制御が行われる。
変配電制御部1は、バンク間で系統のシフト(バンクシフト)を行うものとなっている。この際、逆潮流電力検出器6が逆潮流電力を検出した際、バンクシフトを行うのか、マシンユニット7a〜7dへの給電を行うのかが選択される。
【0038】
より具体的に説明すると、変配電制御部1は、各主変圧器2に加え、給電制御ユニット8にも制御信号を送るものとなっている。変配電制御部1は、逆潮流電力が発生した際にバンクシフトを行うのかマシンユニット7a〜7dへの給電を行うのかを選択した設定部11を備えている。設定部11は、例えば、どちらの選択を行うのかの情報を記憶した記憶部であり、外部からの入力で情報の更新が可能とされる。もしくは、作業員が操作可能な切り替えスイッチであり、切り換えスイッチの状態が設定状態である構成もあり得る。変配電制御部1は、逆潮流電力検出器6が逆潮流電力を検出した際、設定部11での設定に従い、バンクシフト又はマシンユニット7a〜7dへの給電のいずれかを行うよう構成されている。マシンユニット7a〜7dへの給電を行う場合、給電制御ユニット8にその旨の制御信号を送信する。
【0039】
給電制御ユニット8による給電制御については、給電開始の信号が変配電制御部1から送られることを除き、第一の実施形態と同様である。バンクシフトについては、例えば特許文献1又は特許文献2に開示されている構成を採用することができるので、詳細な説明は割愛する。
第二の実施形態によれば、逆潮流電力があった場合にバンクシフトを行うのかマイニングマシン7の稼働を行うのかを設定部11で設定して選択することができるので、逆潮流電力があった場合の対応をより合理的にすることができる。
【0040】
即ち、自家発電による電力を電力会社が買う際の価格は大きな変動がないのに対し、マイニング報酬の額は仮想通貨等の価値の変動により大きく変動し得る。したがって、買電の価格に対してマイニング報酬の額が十分に大きい場合、マシンユニット7a〜7dへの給電が選択される。逆に、仮想通貨の下落等によりマイニング報酬が買電の価格に対して小さく、マイニングマシン7を動かすよりは再販売(他の需要施設への売電)に回した方が良いと判断される場合にはバンクシフトが選択される。このように、その時々に応じて合理的な選択が行えるので、電力会社の経営基盤を強化する効果がより高くなる。
【0041】
次に、第三の実施形態の配電用変電所について説明する。図4は、第三の実施形態の変電用配電所の概略図である。
この実施形態の変電用配電所は、余剰電力を蓄える蓄電器100を備えている。図4に示すように、蓄電器100は、主変圧器2の二次側において、配電線5及びマシンユニット7a〜7dと並列に設けられている。蓄電器100への線路には、蓄電器用遮断器101と蓄電器用変圧器102とが設けられている。
【0042】
給電制御ユニット8は、変配電制御部1からの信号に従い、メイン遮断器702と蓄電器用遮断器101を選択的ににできるようになっている。即ち、変配電制御部1は、逆潮流電力が検出された際に余剰電力をマシンユニット7a〜7dの稼働に使うのか、蓄電器100に蓄電するのかを選択する制御信号を予め給電制御ユニット8に送信するものとなっている。給電制御ユニット8の給電開始制御部81は、逆潮流電力検出器6が逆潮流電力を選択した際、この制御信号に従ってメイン遮断器702をにするか、蓄電器用遮断器101をにするかを選択するものとなっている。
【0043】
給電停止制御部82の構成及び動作は、第一の実施形態と基本的に同様である。但し、蓄電器100が選択された場合(蓄電器用遮断器101がの場合)、給電停止制御部82は、配電線電力計51において逆潮流電力がゼロになった時点で蓄電器用遮断器101をにする。
尚、マシンユニット7a〜7dの稼働か蓄電かの選択は、逆潮流電力が発生した際に給電制御ユニット8が変配電制御部1に照会して信号を取得する構成であっても良いし、給電制御ユニット8に条件設定部を設けて選択を行う構成であっても良い。
また、蓄電器用変圧器102は、マシン用変圧器701と共通のものとすることができる。この場合、変圧器は、メイン遮断器702及び蓄電器用遮断器101よりも上流側に設けられる。
【0044】
図3の第二の実施形態においても、蓄電器を設けておき、選択的に蓄電する構成が採用できる。この場合、変配電制御部1は、逆潮流電力を検出した際、マシンユニット7a〜7dへの給電を行うか、バンクシフトを行うのか、蓄電器への蓄電を行うかの制御信号を予め又は逆潮流電力発生の際に給電制御ユニット8に送信する構成が採用される。
尚、第二の実施形態において、バンクシフトを行いつつマシンユニット7a〜7dへの給電も行う構成が採用されることがある。即ち、逆潮流している電力の一部を他のバンクに回すととともに残りをマシンユニット7a〜7dに供給する構成が採用されることもある。
【0045】
また、本願発明の範囲からは外れるが、同様の構成を配電用変電所よりも上流の変電所において採用することもできる。例えば二次変電所から直接配電されている大口需要の施設(大規模工場等)があり、そこにも自家発電設備が設けられているとする。この場合、その自家発電施設からの逆潮流電力があり得るから、二次変電所において同様にマイニングマシンを設け、逆潮流電力を消費するよう構成することができる。但し、この場合、二次変電所の二次側の電圧は33〜22kV(特高)なので、これを100Vまで変圧する必要がある。したがって、配電用変電所に設けるよりは大がかりな追加の変電設備が必要なる。つまり、配電用変電所にマイニングマシンを設けて逆潮流電力を消費する構成は、逆潮流電力が最初に到達する変電所において(逆潮流電力にとっての下流側の最初の変電所で)それを消費するという意義と、マイニングマシン用の電圧に変換する設備のコストが小さくて済むという意義の二つがある。
【0046】
上記各実施形態において、逆潮流電力検出器6の位置が、配電線5からのマシン給電線70の分岐点よりも上流である点は、重要な意義がある。本願発明の構成としては、マシン給電線70への分岐点よりも上流側ではなく下流側に(配電線5上に)逆潮流電力検出器を設けてマシンユニット7a〜7dへの給電開始制御を行うことも可能である。この場合、その逆潮流電力検出器で逆潮流電力が検出されなくなったら、マシンユニット7a〜7dへの給電を停止するようにする。
【0047】
しかしながら、この構成では、生じている逆潮流電力の大きさに応じてマシンユニット7a〜7dの稼働台数を調節するのが難しい。この構成では、マシンユニット7a〜7dが稼働を開始しても、そのことによって逆潮流電力自体が減少することがないから、逆潮流電力検出器が逆潮流電力を検出している状態は変化しない。このため、どの程度の台数のマシンユニット7a〜7dを稼働させれば良いか見極めることが困難である。やり方としては、経験的に最大の逆潮流電力であると思われる電力より少し大きい電力が消費される台数のマシンユニット7a〜7dを稼働させることになるが、逆潮流電力の解消という観点では無駄に多くのマシンユニット7a〜7dを稼働させることになる。
一方、上記のように分岐点よりも上流側に逆潮流電力検出器6を設けて逆潮流電力を検出するようにすれば、逆潮流電力が無くなるまでマイニングマシン7の稼働台数を多くすれば良いので、制御が容易である。
【0048】
尚、上記各実施形態において、配電線電力計51に代えて別の逆潮流電力検出器(以下、サブ検出器という。)を設ける構成もあり得る。この場合には、給電開始の制御は分岐点より上流側の逆潮流電力検出器6で行い、給電停止の制御は分岐点より下流側のサブ検出器で行う(逆潮流電力が解消したら全てのマイニングマシン7を同時停止)。但し、この構成では、逆潮流電力の低下に応じてマイニングマシン7の稼働台数を徐々に減らすことができないので、この点で無駄に多くのマイニングマシン7を稼働させてしまうという欠点は残る。
【0049】
上記各実施形態において、電力供給開始が遅いマシンユニット7a〜7dの順に電力供給を停止する点は、マイニング処理を効率良く行う上で重要な意義を有する。即ち、複数台のマイニングマシン7でマイニングを並列処理した場合、より長い時間がかかるデータ処理は稼働時間の長いマイニングマシン7で実行し、短時間に完了するデータ処理は稼働時間の短いマイニングマシン7で行うように分担することができる。このため、処理を開始したが電力供給停止で中途終了してしまう確率が小さくなり、全体としてマイニング処理の効率が向上する。
【符号の説明】
【0050】
1 変配電制御部
2 主変圧器
3 一次側遮断器
4 二次側遮断器
5 配電線
51 配電線電力計
6 逆潮流電力検出器
7 ブロックチェーンマイニングマシン
8 給電制御ユニット
81 給電開始制御部
82 給電停止制御部
9 連絡母線
100 蓄電器
200 第二のバンク
201 第二の主変圧器
【要約】
【課題】 多くの経営課題や技術的課題に直面している電力会社にとって有益なソリューションを提供する。
【解決手段】 変電しつつ電力の需要施設に向けて配電する配電用変電所において、主変圧器2の二次側の配電線5上に設けられた逆潮流電力検出器6が逆潮流電力を検出すると、給電開始制御部81は、マシン用遮断器701及びマシン用変圧器702を介して配電線5と並列に設けられた複数のブロックチェーンマイニングマシン7に対し、逆潮流電力検出器6が逆潮流電力を検出しなくなるまで順次電力供給を開始する制御を行う。配電線5上に設けられた配電線電力計51が計測した逆潮流電力が所定値以下になった際、給電停止制御部82がブロックチェーンマイニングマシン7への給電を停止する。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4