(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)多孔性キャピラリー膜を用いてローリングサークル増幅(RCA)生成物を含有する液体試料を濾過すること、これにより膜上にRCA生成物のアレーを生成すること;前記試料は、少なくとも標識化RCA生成物の第1の集団及び標識化RCA生成物の第2の集団を含有し、前記標識化RCA生成物の第1及び第2の集団は、区別できるように標識化される;及び(b)膜のエリア中の前記標識化RCA生成物の第1の集団の量及び前記標識化RCA生成物の第2の集団の量を測定することを含み、測定ステップ(b)が、前記エリア中の前記第1の集団の標識化RCA生成物の数、及び前記エリア中の前記第2の集団の標識化RCA生成物の数をカウントすることを含む試料分析の方法。
ステップ(a)前に、蛍光標識化オリゴヌクレオチドを前記RCA生成物にハイブリダイズすることによって前記RCA生成物を区別できるように標識化する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
前記膜のエリアをイメージングし、1つ以上のイメージを生成し、及び前記1つ以上のイメージ中の個々の標識化RCA生成物の数を測定することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
ステップ(a)が、(i)前記多孔性キャピラリー膜上に前記試料を置くこと;及び(ii)前記膜を通して前記試料を動かす力を加えることによって行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
さらに、前記試料中の前記第2の集団の標識化RCA生成物の数と前記試料中の前記第1の集団の標識化RCA生成物の数を比較することを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
非侵襲的出生前検査は、母親の血液試料または妊娠女性から非侵襲的に得られた別の試料を用いて胎児の状態または健康についての情報を提供する。胎児の状態または健康の初期検出により、標的介入及び医学的治療が可能になる。
【0003】
ローリングサークル増幅(RCA)は、母親の血液中の無細胞DNAを分析するのに有用である。しかし、統計的頑強性でRCA生成物を定量化することは、難易度が高い可能性がある。実用的レベルで、RCA反応での生成物の絶対数は、統計的頑強性を提供するのに十分に高い可能性があるが、反応での特定のRCAアンプリコンの分子濃度は、かなり低い可能性があり、それらを定量化するのに使用することができる方法の型が限定される。例えば、試料中のRCA生成物は、理論的には、RCA生成物を標識化すること、ガラススライドの表面上に試料を沈着させること、及びスライド上の標識化生成物の数をカウントすることによって検出することができる。しかし、ガラススライド上に標識化RCA生成物を含有する溶液を単純に置くと、標識化RCA生成物が表面に拡散され、その後、スライドに付着した標識化RCA生成物の数をカウントするには数時間かかり、標識化RCA生成物の全てがスライドに到達するわけではなく、これがカウントされることになる。
【0004】
標識化RCA生成物を定量化するのに固体支持体上での濾過の使用が、本明細書に記載されている。以下にさらに詳細に記載されるとおり、本方法は、RCA生成物を含有する試料の分析を容易にする可能性がある。
【0005】
概要
試料分析の方法が提供される。ある特定の実施形態では、本方法が、(a)多孔性キャピラリー膜を用いてローリングサークル増幅(RCA)生成物を含有する液体試料を濾過し、これにより膜上にRCA生成物のアレーを生成すること;当該試料は、少なくともRCA生成物の第1の集団及びRCA生成物の第2の集団を含有し、標識化RCA生成物の第1及び第2の集団は、区別できるように標識化される;及び(b)膜のエリア中のRCA生成物の第1の標識化集団の量及びRCA生成物の第2の標識化集団の量を測定することを含んでよい。いくつかの実施形態では、測定ステップが、エリア中の第1及び第2の標識化RCA生成物の数をカウントすることを含んでよい。他の実施形態では、測定ステップが、エリアからの総シグナルを検出することを含んでよい。いずれのやり方でも、本方法は、RCA生成物試料中の第1及び第2の集団の数の推定値を提供することができる。
【0006】
本方法の実施方法に応じて、多孔性キャピラリー膜の使用により、試料中の実質的に全てのRCA生成物を定量することができ(ガラススライドの表面に生じる拡散したものだけでなく)、これは、順に、アッセイの精度、鋭敏性及び再現性を増大させる。さらに、多孔性キャピラリー膜の使用により、上記に示したとおり、ガラススライド上に試料をピペットで移し、その後、RCA生成物がスライドの表面に拡散し、固着する見込みで時間を延長してスライドをインキュベートすることに依拠する可能性があるいくつかの別の方法と比較して、数時間ではなく数分でアッセイを行うことができる。これと一致して、本出願の実験セクションは、本方法の実施の結果、ガラススライド上で16時間のインキュベーションと比較して、90秒(膜の上面上に試料を置き、及びその後、膜を通して試料を引きつけるのにかかる時間に等しい)後に、少なくとも2.5倍超のRCA生成物をカウントすることができることを報告している。さらに、膜の使用は、バックグラウンドの可能性があるソース(例えば、RCA生成物などにハイブリダイズしない蛍光オリゴヌクレオチド分子)が膜を通過する(特にRCA生成物が塗布された後に膜が、洗浄される場合)のを可能にすることによって、バックグラウンドを減少させることができる。
【0007】
本方法は、多くの場合、上記に記載したとおり、膜が、膜の表面上のRCA生成物を濃縮する役割を果たすため、比較的低濃度である可能性がある、比較的広い範囲の濃度(例えば、50μl〜200μl以上の容積中の10〜10M RCA生成物)のRCA生成物である試料を分析することに特に使用されるがわかっている。言い換えれば、膜を用いないで、かわりに別のアプローチを用いると、50μl試料が、ガラス顕微鏡スライドの表面上に広がり、RCA生成物の全てをスライドに結合するように誘発することができても、RCA生成物は、スライド上で互いから空間的に分離され、単一の視野では不十分な数のRCA生成物を含有するだけであり、これにより顕微鏡または妥当な精度での他の手段によってそれらを定量化することは、時間を消費させ、不十分なものとなる。本方法の実施方法に応じて、当該膜は、RCA生成物を濃縮し、支持する役割を果たす可能性があるが、同時に、バックグラウンドを減少させるためにRCA生成物を洗浄することができる手段を提供する。さらに、当該膜は、特に、透明である場合、または、浸潤剤の添加によって透明にすることができる場合、顕微鏡スライドとして役割を果たすことができる。
【0008】
要約すると、本方法は、試料中のRCA生成物(それぞれの標的分子が1つのRCA生成物だけによって示される(それぞれの標的分子が未知数のコピーに増幅され、異なる標的分子が異なる量によって増幅されるPCRと対照的に)という意味で、それ自体が偏りなく既に生成されている生成物)の量を測定するための早くて、精度が高く、鋭敏で再現可能な方法を提供すると考えられている。こうして、本方法は、試料中のDNA分子の存在量の早くて、精密で正確な測定が不可欠である用途に極めて貴重なものであることがわかっている。特に、本方法は、母親の血流の無細胞フラクション中にある比較的低濃度のDNA分子の存在量の早くて、精密で正確な測定が重要である非侵襲的出生前検査に貴重なものであることがわかっている。
【0009】
以下の説明により、これらの及び他の可能性がある特徴及び利点が明白になる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
さまざまな実施形態を記載する前に、本開示の教示は、記載された特定の実施形態に限定されず、例えば、言うまでもなく、変えることができるものと理解しなければならない。さらに、本教示の範囲は、添付したクレームだけによって限定されるため、本明細書に用いられる専門用語は、特定の実施形態だけを記載する目的のためにあり、限定することを意図しないものと理解しなければならない。
【0012】
本明細書に用いられるセクションの表題は、組織化する目的だけにあり、記載した内容をなんら制限するものではない。本教示は、さまざまな実施形態と関連して記載されるが、本教示がかかる実施形態に限定されることを意図しない。それとは逆に、本教示は、当業者によって理解されるとおり、さまざまな代替物、変更物、及び均等物を包含する。
【0013】
特に定義しない限り、本明細書に用いられる全専門用語及び科学用語は、本開示が関係する当業者によって一般的に理解される意味と同じである。本教示の実施または試験では、本明細書に記載したものとほぼ同じまたは等しい任意の方法及び材料を用いることもできるが、ここにいくつかの例示的な方法及び材料を記載する。
【0014】
任意の出版物の引用は、出願日前のその開示のためにあり、本クレームが以前の発明によってかかる出版物に先行する権利がないと容認するものとして解釈されない。さらに、提供された出版物の日付は、実際の出版物の日付と異なる可能性があり、別々に確認する必要がある可能性がある。
【0015】
本開示を読むと当業者に明らかであるように、本明細書に記載し、示した個々の実施形態のそれぞれは、本教示の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離させる、またはこれと混ぜることができる別々の要素及び特徴を有する。列挙した事象の順にまたは論理的に可能である任意の他の順に、いずれの列挙した方法も実施することができる。
【0016】
かかる特許及び出版物内で開示された全配列を含む本明細書に言及された全特許及び出版物が、参照によって明白に組み入れられる。
【0017】
さらに詳細に例示的な実施形態を記載する前に、以下の意味を記載し、本説明に用いられる用語の意味及び範囲を示す。
【0018】
本明細書及び添付したクレームに用いる場合、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は、複数の指示物を含むことに留意しなければならない。例えば、用語「1つのプライマー」は、1つ以上のプライマー、すなわち、単一のプライマー及び複数のプライマーを指す。さらに、クレームを記載して、任意の要素を除外することができることを示す。こうして、本明細書は、先行詞として、クレームの要素の列挙、または「否定的な」限定の使用と関連して、「単独で」、「唯一の」などのような除外用語を用いることを意図している。
【0019】
本明細書に用いられる場合、用語「濾過すること」は、フィルターを通して測定対象物質(例えば、ローリングサークル増幅生成物)を含有する液体を移動させ、その結果、いくつかの測定対象物質がフィルターによって保持される作用を含む。濾過すると、少なくともいくつかの液体が、フィルターの1つの面から他の面へ移動される。
【0020】
本明細書に用いられる場合、用語「ローリングサークル増幅」または「RCA」は、鎖置換ポリメラーゼを用いて環状核酸テンプレートの直鎖状コピーを生成する等温増幅を含む。RCAは、分子生物学技術分野でよく知られており、これらに限定されないが、Lizardi et al(Nat.Genet.1998 19:225−232)、Schweitzer et al(Proc.Natl.Acad.Sci.2000 97:10113−10119)、Wiltshire et al(Clin.Chem.200046:1990−1993)及びSchweitzer et al(Curr.Opin.Biotech 2001 12:21−27)を含むさまざまな出版物に記載されており、これらは本明細書に参照によって組み込まれる。
【0021】
本明細書に用いられる場合、用語「ローリングサークル増幅生成物」は、ローリングサークル増幅反応物の鎖状生成物を含む。本明細書に用いられる場合、用語「蛍光標識化ローリングサークル増幅生成物」は、例えば、蛍光標識化オリゴヌクレオチドをローリングサークル増幅生成物にハイブリダイズすること、または他の手段(例えば、増幅中に蛍光ヌクレオチドを生成物に組み入れることによって)によって、蛍光標識化されたローリングサークル増幅生成物を指す。
【0022】
本明細書に用いられる場合、用語「多孔性キャピラリー膜」は、膜の厚さに及ぶ、すなわち、膜の1つの面から他の面に至る比較的密に個々のキャピラリーを詰め、これにより、膜の1つの面から他の面に液体を通過させるが、粒子を通過させない膜を含む。多孔性キャピラリー膜の例としては、例えば、陽極酸化アルミニウム膜(以下を参照)、ナノチャンネルガラス膜、トラックエッチド膜及びポリテトラフルオロエチレンが挙げられるが、これらに限定されない。ナノチャンネルガラス膜は、ガラスから生成され、直径が15ミクロン〜15ナノメートルである高密度の均一なチャンネルを有する(例えば、Tonucci et al.、Advances in Nanophotonics II、AIP Conference Proceedings、2007 959:59−71;Pearson et al、Science 1995 270:68−70及びTonucci et al.、Science 1992 258:783−785、ならびに米国特許5,306,661;5,332,681;5,976,444;6,087,274;6,376,096;6,483,640;及び6,599,616を参照、これらは参照によって組み込まれる)。トラックエッチド膜は、荷電粒子衝撃(または照射)及び化学エッチングの組み合わせによって生成され、直径が0.01um〜30umの範囲である孔を含有する透明ポリマー(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートまたはポリイミドなど)から生成される。対象の他の多孔性膜としては、アモルファスフルオロポリマー、例えば、NAFION(商標)、TEFLON AF(商標)、FEFLON FEIP(商標)、及びCYTOP(商標)(DuPont Fluoroproducts、Fayetteville、NC)が挙げられるが、これらに限定されない。認識されるとおり、多孔性キャピラリー膜は、膜が生成される材料と異なる表面(例えば、コーティングまたは化学的修飾表面)を有してよい。例えば、多孔性キャピラリー膜の表面は、変化した電荷特性、または変化した疎水性もしくは親水性特性を有してよい。いくつかの実施形態では、アミノシラン、ポリ−リジンまたは別の化合物で表面を被覆してよく、表面にRCA生成物を保持するのに役立つ陽電荷が提供される。代わりに、またはさらに、表面は、その中に沈着した金属(例えば、チタニウム、金)の薄層を有してよく、フィルターの表面特性を修飾する他の薬剤に結合させることができる。
【0023】
本明細書に用いられる場合、用語「陽極酸化アルミニウム膜」は、ある特定の酸性媒質中でAlが陽極酸化される場合に生成される通常の自己組織化ナノ多孔性膜構造を含む。沈着物の電圧、酸の型、及び他のパラメーターによって、膜中の孔の内部直径、膜中の隣接した孔の中心間の距離、及び膜中の隣接した孔の縁間の距離を制御することができる。陽極酸化アルミニウム膜は、湿っている場合、実質的に透明である。陽極酸化アルミニウム膜、その特性、及びかかる膜の生成方法が、さまざまな出版物に詳細に再検討されており、それは、これらに限定されないが、Li et al(Chem.Mater 1998 10:2470−2480)、Santos et al(Trends on Analytical Chemistry 2013 44:25−38)、Ingham et al(Biotechnology Advances 30 2012 1089−1099)及びPoinern et al.(Materials 2011 4:487−526)を含み、これらの教示のために参照によって本明細書に組み込まれる。陽極酸化アルミニウム膜は、例えば、SPI Supplies(West Chester、PA)及び他の販売業者、例えば、Sykera Technolgoies Inc(Longmont、CO)及びSignma−Aldrich(St.Louis、MO)から商品名ANOPORE(商標)で市販されており、支持体リングとともに購入することができる。
【0024】
本明細書に用いられる場合、膜のエリアまたはイメージのエリアの文脈での用語「エリア」は、隣接または非隣接エリアを含む。例えば、方法が、エリア中の標識化RCA生成物の量を測定すること、例えば、エリア中の標識化RCA生成物の数をカウントすることを含む場合、RCA生成物が定量化されるエリアは、単一の隣接空間または複数の非隣接空間としてよい。
【0025】
本明細書に用いられる場合、用語「イメージング」は、目的物の表面からの光学的シグナルが検出され、位置に関連したデータ(すなわち、「ピクセル」)として保存されるプロセスを含む。目的物のデジタルイメージは、このデータから再現することができる。膜のエリアは、単一のイメージまたは1つ以上のイメージを用いてイメージ化してよい。
【0026】
本明細書に用いられる場合、用語「個々の標識化RCA生成物」は、標識化されている個々のRCA分子を含む。
【0027】
本明細書に用いられる場合、用語「量を測定すること」は、個々に解像されたRCA生成物をカウントする方法ならびに複数のRCA生成物からの総シグナルを計測することを含む方法を含む。総シグナルの強度を計測することを含む方法では、個々のRCA生成物を解像する必要がない。RCA生成物の量は、好適なユニットを用いて表すことができる。いくつかの場合では、RCA生成物の量は、カウントされた個々に解像されたRCA生成物の数として表してよい。
【0028】
本明細書に用いられる場合、用語「カウントすること」は、より大きな収集中の個々の目的物の数を測定することを含む。実施形態では、「カウントすること」が、複数(複数の目的物からの収集シグナルではない)中の個々の目的物から分離したシグナルを検出すること、及びその後、個々のシグナルをカウントすることによってそこの多くの目的物がどれくらい複数中にあるかを測定することを必要とする。本方法の文脈では、「カウントすること」は、シグナルのアレー中の個々のシグナルの数を測定することによって実施してよい。
【0029】
本明細書に用いられる場合、用語「透明な」は、目的物が、用いられる波長で光学的に透明である状態を含む。蛍光顕微鏡では、「透明な」は、目的物が蛍光団の励起及び発光スペクトル1つまたは両方に透明であることを意味する。以下にさらに詳細に記載されるとおり、ある特定の膜は、湿っている場合のみ、透明である。かかる膜は、その膜の乾燥形態が透明でない可能性があっても、透明な膜と考えられる。
【0030】
本明細書に用いられる場合、RCA生成物のアレーに関連した用語「アレー」は、平面表面上の単一のRCA生成物の収集を含み、RCA生成物は、表面の平面上で互いから空間的に分離されている(アレーのポアソン分布が、真にランダムであることにより認められる範囲まで)。「ランダム」アレーは、要素、例えば、RCA生成物が前もって決められていない位置で基質の表面上に分布しているアレーを含む。いくつかの場合では、ポアソン統計によってランダムアレー上のRCA生成物の分布を記載してよく、その結果、例えば、ポアソン分布を用いてランダムアレーのRCA生成物間の距離の分布を概算することができる。言い換えれば、ランダムに、すなわち、所定の位置でなく、膜上にRCA生成物を分布させてよい。
【0031】
これらの用語及び他の用語の他の意味は、明細書全体にわたって記載してよい。
【0032】
さらに詳細に本方法を記載する前に、本方法は、RCA生成物のフィルターとして機能することができる任意の型の捕捉支持体を用いて実施することができると認識される。かかる捕捉支持体は、分析に用いられる波長で低バックグラウンドシグナルを有し、液体及び捕捉RCA生成物の急速な液体フロースルーを可能にするのに十分な孔サイズを有しなければならない。好適な捕捉支持体は、例えば、多孔性金属、セラミックス、均質フィルム(例えば、ポリマー)及び不均質固体(ポリマー混合物、混合ガラス)を含む多孔性有機または無機材料固体から生成してよい。多孔性セラミック膜は、無機材料(例えば、アルミナ、チタニア、酸化ジルコニア、再結晶炭化珪素)から生成することができる。例えば、Pamgene(The Netherlands)によって販売されるPamChip、Wu et al、Nucleic Acids Res.2004 32:e123及びAnthony et al Biotechniques.(2003)34:1082−6、1088−9を参照。例示的な多孔性ポリマー膜は、アセチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースエステル(CA、CN、及びCE)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン及びポリプロピレン(PE及びPP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリ塩化ビニリデン(PVC)から生成することができる。こうして、いくつかの実施形態では、本方法が、(a)RCA生成物のフィルターとして機能する捕捉支持体を用いてローリングサークル増幅(RCA)生成物を含有する液体試料を濾過し、これにより支持体上にRCA生成物のアレーを生成すること;当該試料は、少なくともRCA生成物の第1の集団及びRCA生成物の第2の集団を含有し、標識化RCA生成物の第1及び第2の集団は、区別できるように標識化される;及び(b)膜のエリア中のRCA生成物の第1の標識化集団の量及びRCA生成物の第2の標識化集団の量を測定することを含んでよい。
【0033】
以下に続く説明は、多孔性キャピラリー膜が用いられる実施を示す。多孔性キャピラリー膜は、用いることができる捕捉支持体の1つの例である。以下の説明は、例によって本方法を示す。
【0034】
上記に概要を示したとおり、試料分析の方法が提供される。ある特定の実施形態では、本方法が、(a)多孔性キャピラリー膜を通してローリングサークル増幅(RCA)生成物を含有する液体試料を濾過し、これにより膜上にRCA生成物のアレーを生成すること;(b)ステップ(a)の前または後に、RCA生成物を蛍光標識化すること;及び(c)膜のエリア中の個々の標識化RCA生成物の量を測定し、これにより試料中の標識化RCA生成物の数の推定値を提供することを含んでよい。本方法は、さまざまな異なる方法で実施してよく、そのうちの1つの実施が
図1に図で示されている。
図1を参照すると、本方法のある特定の実施形態が、多孔性キャピラリー膜6(例えば、陽極酸化アルミニウム膜)を通して、蛍光標識化ローリングサークル増幅(RCA)生成物4を含有する液体試料2を濾過することを含む。濾過ステップは、粒子を濃縮し、その結果、膜6上にRCA生成物8のアレーとなる。示した実施形態では、次のステップが、膜上にある粒子を検出することを含む。いくつかの実施形態では、このステップが、アレー8のイメージ10を生成してよい。明らかであるとおり、任意の好適な蛍光検出器、例えば、蛍光顕微鏡、スキャナー、高解像度CMOSまたはCCD検出器を用いて、またはPMTを用いてなどによって、検出を行ってよい。最終的に、例えば、個々に解像されたRCA生成物をカウントすることによって、または総シグナルを計測することによって、などによって、膜のエリア中の標識化RCA生成物の量を測定する。この測定が、試料2中の標識化RCA生成物12の数の推定値を提供する。ある特定の実施形態では、本方法の実施方法に応じて、例えば、浸潤剤(例えば、イマージョンオイルまたはグリセロール)でフィルターを湿らせ、膜を湿らせて、それを透明にしてよい。これらの実施形態では、RCA生成物を濾過した後に、及びRCA生成物の量を測定する前に、浸潤剤を用いて多孔性キャピラリー膜を透明にしてよい。いくつかの実施形態では、濾過ステップ後にRCA生成物を標識化してよい。さらに、いくつかの場合では、アレーのイメージを生成し、保存する必要がない。これらの実施形態では、イメージング中に、またはイメージング直後にアレーの分析を行ってよい。分析がカウントすることを含むいくつかの実施形態では、用いられる蛍光検出器は、膜上の異なるRCA生成物を解像するのに十分なものとしなければならない。いくつかの実施形態では、蛍光検出器が、10um未満、例えば、5um未満または1um未満の分解能を有してよい。総シグナルを計測することを含む実施形態では、蛍光検出器が、かかる分解能を有する必要がない。
【0035】
任意の実施形態では、キャピラリー膜の孔が、RCA生成物が孔を通過しないように十分なサイズとしなければならない。例えば、実施形態では、キャピラリー膜の孔直径が、RCA生成物のメジアン直径の50%未満としてよく、一方、いくつかの実施形態では、それは、RCA生成物のメジアン直径の20%未満としてよく、いくつかの実施形態では、RCA生成物のメジアン直径の10%未満としてよい。こうして、多孔性キャピラリー膜を用いて試料を濾過する場合、RCA生成物が、膜の上面上に残らなければならず、孔を通して完全に入ってはならない、または孔を通過してはならない。
【0036】
ある特定の実施形態では、多孔性キャピラリー膜が、特異的にRCA生成物とハイブリダイズする、またはRCA生成物と結合するつながれた捕捉剤(例えば、つながれたオリゴヌクレオチド、抗体またはストレプタビジンなど)を含まない。これらの実施形態では、RCA生成物が、特異的(例えば、配列特異的)相互反応を介して多孔性キャピラリー膜に結合しない。かかる実施形態では、多孔性キャピラリー膜が、US2006022813に記載のとおり、マイクロアレーの形態で空間的に位置付け可能な位置で膜につながれている、複数の異なるつながれた配列特異的捕捉剤(例えば、オリゴヌクレオチド)を含まない。
【0037】
ある特定の実施形態では、光シグナルの生成以外に、膜を通してRCA生成物を濾過した後に、生化学的反応(例えば、共有結合の切断または形成の結果となる反応)が膜上に生じる必要がない。
【0038】
明らかであるとおり、膜を通して濾過される前にローリングサークル増幅(RCA)生成物が変性されない(例えば、少なくとも2分間、少なくとも90℃の温度にあてられない)。
【0039】
図2は、本方法の例示的な実施形態のいくつかの原理を示す。第1のステップでは、容器、例えば、膜を含有するウェル、例えば、底表面に、蛍光標識化RCA生成物を含有する試料を入れる。膜を通して試料の液体相を引きつける圧力をかけることによって試料を濃縮する。例えば、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも5,000、または少なくとも10,000/mm
2の密度で、アレーの形態で膜の表面上にRCA生成物を保持する。膜が、既に透明ではない場合、その後、浸潤剤の添加後に膜は透明となり、RCA生成物を検出する、例えば、イメージ化することができる。RCA生成物は、また、定着薬を用いて決まった場所に固定することができ、その結果、膜を移動する及び/または保存することができ、陽性結果が得られる場合、再び読むことができる。いくつかの実施形態では、浸潤剤が、膜を透明にすることに加えて、また、定着薬として作用する。膜のいずれかの面から、例えば、膜を通して(
図2に示したとおり)、アレーを分析することができる。明らかであるとおり、「上方」から、すなわち、RCA生成物と同じ面から膜を読む場合、膜は透明である必要がない。いくつかの実施形態では、移動及び分析前に膜を乾燥させてよい。分析されるエリアは、少なくとも10、例えば、少なくとも100、少なくとも1,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも20,000、少なくとも50,000、少なくとも100,000、または少なくとも200,000以上のRCA生成物を含有してよい。
【0040】
必要ならば、RCA生成物を標識化することができ、一方、膜に結合させ、ある特定の実施形態では、標識化RCA生成物のアレーを生成した後に及び分析前に、例えば、塩を含有する水または水性緩衝液で膜を洗浄してよい。この洗浄ステップは、バックグラウンドを減少させる可能性があり、これは、バックグラウンドの可能性があるソース(例えば、RCA生成物にハイブリダイズされない標識化ヌクレオチドまたは標識化オリゴヌクレオチド)は、フィルターを通して洗浄することができ、フィルターが分析される時間にフィルターと関係していない可能性があるためである。必要ならば、分析前に、バックグラウンドを減少させる、またはシグナルを増加させるためなどのために、他の試薬、例えば、褪色防止剤または蛍光を増やす試薬などを膜に添加することができる。同様に、必要ならば、標識化RCA生成物を、必要ならば、分析前に、膜表面に結合(共有または非共有で)させることができる。生体分子を表面に結合する化学は、よく知られており、ある特定の場合では、膜の表面と特異的な反応性がある基を有し、これによりRCA生成物だけが表面に結合することを確実にする修飾ヌクレオチドまたはプライマーを用いて、RCA生成物を生成してよい。
【0041】
ある特定の実施形態では、(i)多孔性膜上に試料を置くこと;及び(ii)膜を通して試料を動かす力を加えることによって濾過ステップを行う。試料に加えられる力は、作用力(例えば、遠心力、陰圧または陽圧)または受動力(例えば、キャピラリー作用(例えば、吸取紙を用いて)または蒸発を介して)としてよい。
【0042】
上記に示したとおり、沈着物の電圧、酸の型、及び他のパラメーターによって、膜中の孔の内部直径、膜中の隣接した孔の中心間の距離、及び膜中の隣接した孔の縁間の距離を制御することができる(一般に、上記のPoinernを参照)。いくつかの実施形態では、膜中の孔の内部直径は、5nm〜500nm、例えば、4nm〜250nm、4nm〜50nm、50nm〜100nm、100nm〜200nmまたは200nm〜500nmの範囲としてよい。独立して、膜中の隣接した孔の中心間の平均距離は、50nm〜1000nm、例えば、50nm〜420nm、50nm〜100nm、100nm〜250nm、250nm〜500nmまたは500nm〜1000nmの範囲としてよい。膜中の隣接した孔の縁間の平均距離は、10nm〜500nm、10nm〜50nm、50nm〜200nm、または200nm〜500nmの範囲としてよい。本明細書に提供される直径及び孔間の平均距離値は、例示的なものであり、かかる値は、実施形態に基づいて変えてよいと理解してよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、孔直径及び隣接した孔の中心間の距離は、用いられる検出システムによって個々に解像できる標識化RCA生成物を提供するように最適化してよい。特に、ある特定の場合では、膜中の孔は、比較的大きな直径(例えば、100nm〜500nmの範囲の直径)を有してよく、膜中の隣接した孔の中心間の平均距離は、比較的大きくてよく(例えば、200nm〜1000nmの範囲、例えば、200nm〜420nm)、その結果、それぞれの標識化RCA生成物は、孔への入口に引っ張られ(有効に孔を「ブロックする」)、隣接した標識化RCA生成物間の距離は、蛍光顕微鏡によって解像できる。超解像蛍光顕微鏡(Huang et al、Annu.Rev.Biochem.2009 78:993−1016)を用いる場合、これらの最適距離を減少させてよい。
【0044】
用いられる膜は、所望のとおり、任意の好適な厚さ、例えば、20μm〜500μmまたは50μm〜200μmの範囲としてよく、上記に示したとおり、使用中、膜の完全性を維持するために1つ以上の支持体構造(例えば、支持体リング)を含有してよい。
【0045】
上記に示したとおり、試料、特に可変濃度のRCA生成物(例えば、比較的低い濃度とすることができる10〜10M、例えば、50μl〜200μl以上の容積中の5,000〜1M RCA生成物)を有する試料中のRCA生成物の数の正確な定量を必要とするプロトコールに、本方法を用いてよく、差を特定するために必要な統計的分解には、RCA生成物の少なくとも1,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも50,000、少なくとも100,000または少なくとも200,000以上をカウントすることだけによって、のみ到達することができる。以下にさらに詳細に記載されるとおり、本方法は、特にコピー数分析及び非侵襲的出生前検査用途に使用される。
【0046】
いくつかの実施形態では、試料が、RCA生成物の複数の集団(例えば、RCA生成物の2、3または4以上の集団、例えば、標識化RCA生成物の第1の集団及びRCA生成物の第2の集団)を含有してよく、異なる集団のRCA生成物を区別できるように標識化し、これは、集団が混合されている場合にも、RCA生成物標識のそれぞれの集団の個々のメンバーを独立して検出し、カウントすることができることを意味する。対象の方法に有用な好適な区別できる蛍光標識対は、Cy−3及びCy−5(Amersham Inc.、Piscataway、NJ)、Quasar 570及びQuasar 670(Biosearch Technology、Novato CA)、Alexafluor555及びAlexafluor647(Molecular Probes、Eugene、または)、BODIPY V−1002及びBODIPY V1005(Molecular Probes、Eugene、OR)、POPO−3及びTOTO−3(Molecular Probes、Eugene、または)、及びPOPRO3 TOPRO3(Molecular Probes、Eugene、OR)を含む。さらに好適な区別できる検出可能標識は、Kricka et al.(Ann Clin Biochem.39:114−29、2002)に見出してよい。例えば、ATTO、ALEXA、CY、または二量体シアニン染料、例えば、YOYO、TOTOなどの任意の組み合わせでRCA生成物を標識化してよい。また、さらに標識を含んでよい。標識化RCA生成物の区別できる集団を生成する例示的な方法が、例えば、2014年11月26日に出願されたPCT/US2014/06771、及び2014年11月26日に出願されたPCT/US2014/067719に記載され、これらの教示のために本明細書に参照によって組み込まれる。いくつかの場合では、RCA生成物の集団を区別できるように標識化することができ、これは、複数の標識でそれを標識化し、これにより多重化の可能性を増大させることによって行うことができる。例えば、いくつかの場合では、2つの区別できる染料(例えば、Cy3及びCy5の双方)で、集団のRCA生成物それぞれを標識化してよい。読む場合、個々の染料(例えば、Cy3またはCy5)で標識化されているRCA生成物と、かかる二重標識化RCA生成物を区別できる。
【0047】
いくつかの実施形態では、RCA生成物の第1の集団が、標識化RCA生成物の「検査」集団を表してよく、RCA生成物の第2の集団が、第1のRCA生成物の数を比較することができるRCA生成物の「参照」集団を表してよい。例えば、いくつかの実施形態では、RCA生成物の第1の集団が第1の染色体領域(例えば、第1の染色体、例えば、染色体21)に一致してよく、RCA生成物の第2の集団が、第2の染色体領域(例えば、第2の染色体、例えば、染色体13または18または異なる領域の第1の染色体)に一致してよく、RCA生成物の第1の集団及びRCA生成物の第2の集団の数をカウントし、比較し、領域のコピー数に差がある(検査領域の重複または欠失があることを示している)かどうかを判定することができる。いくつかの実施形態では、試料が少なくともRCA生成物の第1の集団及びRCA生成物の第2の集団を含有し、標識化ステップで標識化RCA生成物の第1及び第2の集団を区別できるように標識化する。これらの実施形態では、本方法が、膜のエリア中の第1の標識化RCA生成物の量を測定すること(例えば、これの数をカウントすること)及び膜のエリア(同じエリアまたは異なるエリア)中の第2の標識化RCA生成物の量を測定すること(例えば、これの数をカウントすること)、これにより試料中のRCA生成物の第1及び第2の集団の量の推定値を提供することを含む。本実施形態は、さらに、試料中の第2のRCA生成物の数と試料中の第1のRCA生成物の数を比較することを含んでよい。
【0048】
本方法のこれらの実施形態のいくつかでは、本方法が、標識化RCA生成物の第1及び第2の集団をイメージングし、1つ以上のイメージ(例えば、それぞれ、1つのイメージまたは第1のイメージ及び第2のイメージ、)を生成し及び、任意で、(i)1つ以上のイメージ中の標識化RCA生成物の量を測定すること、これにより試料中の標識化RCA生成物の第1及び第2の集団の量の推定値を提供することを含んでよい。公知の方法を用いて(例えば、好適なフィルターなどを用いて)標識化RCA生成物の第1及び第2の集団を別々に検出することができる。RCA生成物の検出を連続的に行うことができる(実施形態では、例えば、分離したイメージそれぞれの標識を生成してよく、それぞれの集団からのRCA生成物を連続的に分析してよい)。また、RCA生成物の検出を実質的に同時に行うことができる(実施形態では、例えば、RCA生成物の両集団を生成してよく、実質的に同じ時間に、すなわち、実質的に同時にそれぞれの集団からのRCA生成物を分析してよいことを示す単一のイメージ)。本方法のこれらの実施形態は、さらに、試料中の第2の標識化RCA生成物の量と試料中の第1の標識化RCA生成物の量を比較することを含んでよい。本方法の本ステップは、第1の集団中の少なくとも1,000(例えば、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも20,000、少なくとも50,000、少なくとも100,000、少なくとも500,000最大1M以上)の標識化RCA生成物をカウントし、膜のエリア中の少なくとも1,000(例えば、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも20,000または少なくとも50,000、少なくとも100,000、少なくとも500,000最大1M以上)標識化RCA生成物をカウントし、これにより統計的厳格さをもってコピー数の差を求めることができることを確実にすることを含んでよい。
【0049】
実施形態では、本方法が、さらに、試料中の第1のRCA生成物の量と試料中の第2のRCA生成物の量との差を検出することを含んでよく、差は、P値が少なくとも0.95、少なくとも0.98または少なくとも0.99である。いくつかの実施形態では、本方法を用いて、少なくとも1%差、少なくとも2%差、少なくとも3%差、または少なくとも5%差を検出することができ、P値は0.95、0.98または0.99より大きい。例えば、妊娠女性からの母親の試料を含む実施形態では、この計算に試料の胎児フラクションを含んでよい。
【0050】
上記に示したとおり、いくつかの場合では、この方法を用いて分析される試料は、血液、例えば、妊娠女性の血液から得られる無細胞DNAの試料としてよい。これらの実施形態では、本方法を用いて、例えば、(上記に記載のとおり)発育胎児中の染色体異常を検出してよいまたは試料中の胎児DNAのフラクションを計算してよい。本方法を用いて検出することができるコピー数異常としては、トリソミー21、トリソミー13、トリソミー18、トリソミー16、XXY、XYY、XXX、モノソミーX、モノソミー21、モノソミー22、モノソミー16、及びモノソミー15が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本方法を用いて検出することができるコピー数異常を以下の表に示している。
【表1】
【0051】
RCA生成物を生成し、これを標識化する例示的な方法が、例えば、2014年11月26日に出願されたPCT/US2014/06771、及び2014年11月26日に出願されたPCT/US2014/067719に記載され、これらの方法の開示のために参照によって組み込まれる。
【0052】
組成物
また、組成物が提供される。いくつかの実施形態では、組成物が、a)多孔性キャピラリー膜、例えば、多孔性陽極酸化アルミニウム膜;及びb)膜の表面上の蛍光標識化RCA生成物のアレーを含んでよい。アレーは、少なくとも1,000標識化RCA生成物(例えば、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも20,000、少なくとも50,000、少なくとも100,000、少なくとも500,000、または少なくとも1M標識化RCA生成物)を含んでよく、標識化RCA生成物は、ランダムに、例えば、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも5,000、または少なくとも10,000/mm
2の密度で、膜の表面に分布させてよい。上記に記載のとおり、組成物が、多孔性キャピラリー膜;及び膜の表面上の蛍光標識化RCA生成物の少なくとも2つの集団を含んでよく、蛍光標識化RCA生成物の異なる集団を区別できるように標識化する。さらにこの組成物の詳細及び変更は、本開示の方法セクションに見出してよい。
【0053】
キット
また、上記に記載のとおり、対象の方法を実施するためのキットが本開示によって提供される。いくつかの実施形態では、キットが、少なくとも、配列特異的に選択されるフラグメントを環状化し、その後、環状化された生成物のローリングサークル増幅を実施するための試薬を含有してよい。上記に記載のとおり、例えば、1つ以上の制限酵素、リガーゼ、及び生成物を環状化するスプリントとして作用することができる1つ以上のオリゴヌクレオチド、RCAによって環状化された生成物を増幅するための鎖置換ポリメラーゼ、RCA生成物を標識化するための1つ以上の標識化オリゴヌクレオチド、及び多孔性キャピラリー膜、例えば、多孔性陽極酸化アルミニウム膜。所望のとおり、キットのさまざまな成分は、分離した容器中に存在させてよく、またはある特定の適合成分を単一容器中で事前に混合してよい。さらに本キットの成分の詳細及び変更は、本開示の方法セクションに見出してよい。
【0054】
上記記載の成分に加えて、対象のキットが、さらに、キットの成分を用いて対象の方法を実施するための指示書、すなわち、試料分析のための指示書を含んでよい。対象の方法を実施するための指示書は、一般に好適な記録媒体に記録される。例えば、指示書は、基材、例えば、紙またはプラスチックなどにプリントしてよい。こうして、指示書は、添付文書としてキット中に存在させてよく、キットまたはその成分の容器にラベルをはる(すなわち、パッケージングまたはサブパッケージングとの関連で)などである。他の実施形態では、指示書が、好適なコンピュータ可読記憶媒体、例えば、CD−ROM、フロッピーディスクなどに存在する電子保存データファイルとして存在する。さらに他の実施形態では、実際の指示書が、キット中に存在していないが、リモートソースから、例えば、インターネットを介して指示書を得るための手段が、提供される。本実施形態の例が、指示書を見ることができるウェブアドレス及び/または指示書をダウンロードすることができるウェブアドレスを含むキットである。指示書と同様に、指示書を得るためのこの手段が、好適な基材に記録されている。
【0055】
実施形態
以下に本方法の例示的な実施を記載する。
【0056】
いくつかの実施形態では、本方法が、(a)多孔性陽極酸化アルミニウム膜を用いて蛍光標識化ローリングサークル増幅(RCA)生成物を含有する液体試料を濾過し、これにより膜上にRCA生成物のアレーを生成すること;及びb)膜のエリア中の標識化RCA生成物の量を測定し、これにより試料中の標識化RCA生成物の量の推定値を提供することを含んでよい。いくつかの実施形態では、測定ステップが、エリア中の第1及び第2の標識化RCA生成物の数をカウントすることを含んでよい。他の実施形態では、測定ステップが、エリアからの総シグナルを検出することを含んでよい。
【0057】
実施形態では、(i)多孔性陽極酸化アルミニウム膜上に試料を置くこと;及び(ii)試料膜を通して試料を動かす力を加えることによって、本方法のステップ(a)を行ってよい。これらの実施形態では、力は、作用力(遠心力、陰圧または陽圧)または受動力(キャピラリー作用または蒸発によって加えてよい)としてよい。いくつかの実施形態では、本方法が、ステップ(a)及び(b)の間に多孔性陽極酸化アルミニウム膜を洗浄することを含んでよい。いくつかの実施形態では、測定ステップが、イメージのエリア中の少なくとも1,000標識化RCA生成物をカウントすることを含んでよい。
【0058】
実施形態では、膜中の孔の内部直径は、5nm〜500nmの範囲としてよく、独立して、膜中の隣接した孔の中心間の平均距離は、50nm〜1000nmの範囲としてよい。実施形態では、膜中の隣接した孔の縁間の平均距離は、10nm〜500nmの範囲としてよい。いくつかの実施形態では、試料が、少なくとも標識化RCA生成物の第1及び第2の集団を含有してよく、標識化RCA生成物の第1及び第2の集団を区別できるように標識化する。これらの実施形態では、本方法が、さらに、標識化RCA生成物の第1及び第2の集団をイメージングし、1つ以上のイメージ(例えば、それぞれ、第1のイメージ及び第2のイメージ)を生成することを含んでよい。これらの方法は、さらに、(i)第1のイメージのエリア中の標識化RCA生成物の数をカウントすること、及び(ii)別々に第2のイメージのエリア、例えば、同じエリア中の標識化RCA生成物の数をカウントし、これにより試料中の標識化RCA生成物の第1及び第2の集団の数の推定値を提供することを含んでよい。本実施形態は、さらに、試料中の第2の標識化RCA生成物の量と試料中の第1の標識化RCA生成物の量を比較することを含んでよい。
【0059】
また、a)多孔性キャピラリー膜;及びb)膜の表面上の蛍光標識化ローリングサークル増幅(RCA)生成物のアレーを含む組成物が提供される。これらの実施形態のいくつかでは、多孔性キャピラリー膜は、多孔性陽極酸化アルミニウム膜としてよい。いくつかの実施形態では、アレーが、少なくとも1,000RCA生成物を含んでよい。いくつかの実施形態では、組成物が、蛍光標識化RCA生成物の複数のアレーを含んでよく、複数のアレーは、膜の表面上にあり、区別できるように標識化される。これらの要素ならびに組成物中に存在させてよい任意の要素のそれぞれの説明は、上記の説明に見出してよい。
【0060】
また、a)多孔性キャピラリー膜;及びb)DNAを環状化し、ローリングサークル増幅(RCA)を実施するための試薬;及びc)RCA生成物を標識化するための試薬を含むキットが提供される。これらの要素ならびにキット中に存在させてよい任意の要素のそれぞれの説明は、上記の説明に見出してよい。
【0061】
実施形態1、試料分析の方法が、(a)多孔性透明キャピラリー膜を通して、ローリングサークル増幅(RCA)生成物を含有する液体試料を濾過し、これによりRCA生成物を濃縮し、膜上にRCA生成物のアレーを生成すること;(b)ステップ(a)の前または後に、RCA生成物を蛍光標識化すること;及び(c)膜のエリア中の個々の標識化RCA生成物の数をカウントし、これにより試料中の標識化RCA生成物の数の推定値を提供することを含む。
【0062】
実施形態2.多孔性透明キャピラリー膜が、多孔性陽極酸化アルミニウム膜である、実施形態1に記載の方法。
【0063】
実施形態3.ステップ(b)が、ステップ(a)の前または後に、蛍光標識化オリゴヌクレオチドをRCA生成物にハイブリダイズすることによって行われる、実施形態1または2に記載の方法。
【0064】
実施形態4.膜のエリアをイメージングし、1つ以上のイメージを生成し、1つ以上のイメージ中の個々の標識化RCA生成物の数をカウントすることを含む、先行実施形態のいずれかに記載の方法。
【0065】
実施形態5.ステップ(a)が、(i)多孔性透明キャピラリー膜上に試料を置くこと;及び(ii)膜を通して試料を動かす力を加えることによって行われる、先行実施形態のいずれかに記載の方法。
【0066】
実施形態6.力が、作用力または受動力である、実施形態5に記載の方法。
【0067】
実施形態7.作用力が、遠心力、陰圧または陽圧である、実施形態6に記載の方法。
【0068】
実施形態8.受動力が、キャピラリー作用または蒸発によって加えられる、実施形態6に記載の方法。
【0069】
実施形態9.さらに、ステップ(a)及び(b)の間に多孔性透明キャピラリー膜を洗浄することを含む、先行実施形態のいずれかに記載の方法。
【0070】
実施形態10.カウントステップが、膜のエリア中の少なくとも1,000標識化RCA生成物をカウントすることを含む、先行実施形態のいずれかに記載の方法。
【0071】
実施形態11.膜中の孔の内部直径が、2nm〜500nmの範囲である、先行実施形態のいずれかに記載の方法。
【0072】
実施形態12.膜中の隣接した孔の中心間の平均距離が、50nm〜1000nmの範囲である、先行実施形態のいずれかに記載の方法。
【0073】
実施形態13.膜中の隣接した孔の縁間の平均距離が、10nm〜500nmの範囲である、先行実施形態のいずれかに記載の方法。
【0074】
実施形態14.試料が少なくともRCA生成物の第1の集団及びRCA生成物の第2の集団を含有し、ステップ(b)で標識化RCA生成物の第1及び第2の集団を区別できるように標識化する、先行実施形態のいずれかに記載の方法。
【0075】
実施形態15.膜のエリア中の第1の標識化RCA生成物の数をカウントし、膜のエリア中の第2の標識化RCA生成物の数をカウントし、これにより試料中のRCA生成物の第1及び第2の集団の数の推定値を提供することを含む、実施形態11に記載の方法。
【0076】
実施形態16.さらに、試料中の第2のRCA生成物の数と試料中の第1のRCA生成物の数を比較することを含む、実施形態15に記載の方法。
【実施例】
【0077】
以下の実施例は、本発明の実施方法及び使用方法の包括的な開示及び説明を当業者に提供するために記載され、発明者が、発明と考えるものの範囲を制限することを意図せず、以下の実験が、実施した全実験または唯一の実験であることを示すことも意図しない。
【0078】
実施例1
AAOフィルターの使用
序論
多くの分子診断用途での第1のステップは、患者の生物学的材料、例えば、DNAを有効なバイオマーカーに変換することである。DNAは、抽出され、精製されることが多く、さらに、計測または定量化することができる代用分子、例えば、ローリングサークル生成物(RCP)に変換される。これらの代用分子の検出は、蛍光染料の特異的結合の補助を受けることが多い。さまざまな染料を、さまざまな代用マーカーと結合させることができ、コンプレックス混合物中でも多重検出が可能になる。平面表面、例えば、ガラスプレートまたはスライドへの沈着によって、顕微鏡またはスキャニングによる標識化分子のカウントが可能になる。
【0079】
試料の溶液中の濃度が低い場合、特定の難題が生じ、正確な枚挙法のために十分な数の分子を沈着させることが難しい。薬剤、例えば、ポリl−リジン(PLL)、アミノ−シランまたは類似物でガラススライドをコーティングすることが、ほとんどDNAからなる代用マーカーの沈着を改善する有効な手段であることが証明されている(例えば、2014年11月26日に出願されたPCT/US2014/06771、及び2014年11月26日に出願されたPCT/US2014/067719を参照、)。これは、ある程度、沈着有効性を改善するが、多くの分子が溶液中に残り、次の分析に含まれない。蛍光標識化バイオマーカーの平面表面への沈着の収率を増大させるために、以下の濾過方法を実施した。
【0080】
材料及び方法
装置:組織内で作製した、またはIbidi(part#81201)から購入したウェル−プレート上部構造に酸化アルミニウム膜を結合した。
【0081】
アミノ−シランコーティングプレート(96−Well Glass Bottom Plates SuperAmine、part#M96M)ArrayIt Corporationから購入した。
【0082】
前記記載の方法(PCT/US2014/06771)を用いて、2つの分離したローリングサークル増幅生成物を生成した。5’ Atto 550標識を含有する相補的検出オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションによって、1つのRCA反応物を標識化し、同様に、5’ Atto 647Nで他のRCA反応物を標識化した。50fM濃度で、50:50混合物中に、RCA反応物を混合した。
【0083】
ガラスプレートのために、100ulの反応物をプレートの3ウェルに採取し、室温で16時間、インキュべートした。別の一連の3ウェルを90秒間、インキュべートした。インキュベーション後に、ウェルを2xSSCで、2回、洗浄し、乾燥させた。
【0084】
膜のために、100ul試料を膜底プレートに添加し、その後、プレートを吸取紙(VWR part# 28298−022)上に置いた。およそ90秒、試料を酸化アルミニウム膜に通過させた。吸取紙から膜底プレートを除去し、2滴の持続性褪色防止試薬(Life Technologies)をそれぞれのウェルに添加し、それらを透明にした。
【0085】
20X対物レンズ付きOlympus X81顕微鏡及びHamamatsu Orca 4.0ltカメラ上で、両フォーマットについてイメージングを行った。それぞれのウェルの底全体を覆うように9x9イメージをタイリングすることによってイメージングを行った。イメージを分析し、組織内専用ソフトウエアを用いてRCA生成物をカウントした。
【0086】
結果
結果は、
図3にまとめられている。16時間、インキュべートした場合、ガラスプレート上に沈着し、その結果、Atto 550 標識化RCA生成物では、イメージごとの平均が2,000〜4,000カウントとなった。Atto 647Nでは、イメージごとの平均カウントが2,000〜3,000カウントであった。90秒間、ガラスプレート上でインキュベーションした結果、イメージごとの平均カウントが両チャンネルとも500〜2,500カウントであった。これに対して、酸化アルミニウムプレート上でのインキュベーション/沈着の結果、Atto 550 標識化RCPでは、イメージごとの平均が6,000〜10,000カウントとなり、647N 標識化RCA生成物では、6,000〜9,000カウントとなった。
【0087】
このデータは、酸化アルミニウム膜上での沈着の結果、同じ90秒時間間隔でガラスプレート上に沈着した場合よりおよそ4倍多いカウントとなったことを示している。ガラスプレートでインキュベーション時間を16時間に増大させた場合、結果は、ガラスプレート上に検出されるRCA生成物が増大したが、90秒で酸化アルミニウム上にみられた倍数よりまだ2.5倍少なかった。
【0088】
実施例2
多重検出方法
材料及び方法
装置:20nm孔を有する酸化アルミニウム膜を4titude Ltd、UKによって注文生成された96ウェル−プレート上部構造に結合した。
【0089】
この多重実験では、遺伝的出発材料として2つの細胞株からのDNAの混合物を用いた。細胞株DNAは、染色体21(正常遺伝子構造)の2コピーまたは染色体(トリソミー21)の3コピーを含有する細胞株のいずれかを含有した。以下の割合100:0、95:5、90:10、0:100で、細胞株から抽出されたDNAを混合した。最初に制限酵素を用いてそれぞれのDNA混合物を消化させ、ハイブリダイズし、プローブセットに連結し、その後、前記に記載のとおり、RCAによって酵素的に増幅した(WO2015083001及びWO2015083002を参照)。2つの染色体特異的検出オリゴヌクレオチド(染色体18のAtto 550、染色体21のAtto 647)をそれぞれの試料に添加し、ハイブリダイズし、こうしてそれぞれの試料中の染色体特異的RCA生成物を蛍光標識化した。
【0090】
標識化後に、100ul試料を膜底プレートに添加し、その後、プレートを真空マニホールド(manfold)(Supleco part#66879−U)上に置いた。およそ90秒、試料を酸化アルミニウム膜に通過させた。400ul 0.5X SSCで、2回、膜底プレートを洗浄し、その後、乾燥させた。その後、300マイクロリットルの浸潤剤/定着薬をそれぞれのウェルに被着させ、それらを透明にし、RCA生成物を膜に固定した。
【0091】
20X対物レンズ付きOlympus X81顕微鏡及びHamamatsu Orca 4.0ltカメラ上で、イメージングを行った。それぞれのウェルの底全体を覆うように10x10イメージをタイリングすることによってイメージングを行った。イメージを分析し、組織内専用ソフトウエアを用いてRCA生成物をカウントした。
【0092】
結果
結果は、
図4にまとめられている。実験に含まれる全91試料のイメージごとの平均カウントは、イメージごとのカウントが3000から5000をわずかに越える範囲であった。ヒストグラムは、0:100比混合物(最終22複製)中の550及び647チャンネル間のカウントの割合の差を明確に示しているが、図のみから0、5、&10%試料の割合差を見分けるのは、さらに難しい。
図5は、細胞株混合物組成物に対する2つのチャンネルのカウント間の比の図表である。このグラフでは、傾向が、明確に示されており、インプット細胞株DNA試料の割合に従うカウントの相対比シフトを例示している。
【0093】
このデータは、酸化アルミニウム膜上での沈着の結果、同じ90秒時間間隔でガラスプレート上に沈着した場合よりおよそ4倍多いカウントとなったことを示している。ガラスプレートでインキュベーション時間を16時間に増大させた場合、結果は、ガラスプレート上に検出されるRCA生成物が増大したが、90秒で酸化アルミニウム上にみられた倍数よりまだ2.5倍少なかった。