(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874270
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物を含む製剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/185 20060101AFI20210510BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20210510BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20210510BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20210510BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20210510BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20210510BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20210510BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20210510BHJP
【FI】
A61K36/185
A61K8/9789
A61K9/16
A61K47/06
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/44
A23L33/105
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-508203(P2018-508203)
(86)(22)【出願日】2016年9月9日
(65)【公表番号】特表2018-528941(P2018-528941A)
(43)【公表日】2018年10月4日
(86)【国際出願番号】EP2016071320
(87)【国際公開番号】WO2017042340
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年8月5日
(31)【優先権主張番号】15184393.5
(32)【優先日】2015年9月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ベック, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ブルバレロ, アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】プルーデンス, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】シュワイカート, ロニ
(72)【発明者】
【氏名】アーバン, カイ
【審査官】
小堀 麻子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−029968(JP,A)
【文献】
特開2008−109869(JP,A)
【文献】
特開2003−002840(JP,A)
【文献】
特表2014−515266(JP,A)
【文献】
特表2015−519883(JP,A)
【文献】
特開2005−253463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00
A23L 33/00
A61K 8/00
A61K 9/00
A61K 47/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)固体製剤の全重量を基準として20〜40重量%(wt−%)の少なくとも1つの治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物と、
(ii)固体製剤の全重量を基準として60〜80wt−%の少なくとも1つの親油性材料とを含み、
前記治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物がアセロラ植物抽出物であり、
前記親油性材料が、モノステアリン酸グリセロール、カルナバワックス、キャンデリラワックス、パルミチン酸、ステアリン酸 水素化綿実油および水素化菜種油からなる群から選択されるワックスおよび脂肪である、固体製剤の製造方法であって、
(a)前記親油性材料がその液体状態で添加され、かつ
(b)前記少なくとも1つの治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物が、溶融した前記親油性材料中に懸濁され、かつ
(c)前記懸濁液が噴霧塔内へ霧化され、そこの空気の温度が、−10〜40℃の範囲である
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記親油性材料がモノステアリン酸グリセロールである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
固体製剤の全重量を基準として20〜35wt−%の少なくとも1つの治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物が使用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
固体製剤の全重量を基準として65〜80wt−%の少なくとも1つの親油性材料が使用される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記固体製剤の粒子の平均粒径(d50)が40〜500μmの間である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記固体製剤が、
(i)固体製剤の全重量を基準として20〜40重量%(wt−%)の少なくとも1つの治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物と、
(ii)固体製剤の全重量を基準として60〜80wt−%のモノステアリン酸グリセロールと
からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、固体製剤の製造方法に関する。これらの固体製剤は、味の悪いことで知られている治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物を含む。これらの新規の固体製剤は味が中性である。さらに、本発明は、これらの固体製剤と、食品、飼料、栄養サプリメントおよびパーソナルケア製品の製造におけるその使用とに関する。
【0002】
治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物は重要であり、これらのいくつかは、(人および動物の)良好で健康的な食事のために必須でもある。このような植物抽出物を種々の形態に製剤化することが知られている。
【0003】
「治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物」という用語は、経口的にまたは外部から投与されたときに、植物抽出物が(人および/または動物に対して)プラスの効果を与えることを意味する。
【0004】
植物抽出物は、根、葉、茎、液果などの植物のあらゆる部分に由来することができる。
【0005】
植物抽出物は、周知の方法によって得ることができる。このような方法は、化学的および/または物理的であり得る。抽出物は、(例えば、根または葉から)化学的抽出によって得ることもできるし、あるいは、液果のジュース(圧搾)であってもよく、これは次に乾燥される。
【0006】
このような植物抽出物の固体製剤によって生じる問題は、(妥当な期間中、植物抽出物の内容物が安定であるように)これらを分解に対して保護する必要があることであるが、治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物のいくつかはまた、(特に、人間にとって)ひどい味または非常に強烈な味がする。貯蔵安定性および味の課題は、消費者が使用(または消費)する組成物中に植物抽出物を配合する際に問題である。「味のない」固体製剤は、消費者製品においてより良好に適用することができる。
【0007】
好ましい植物抽出物は、アセロラに由来する。アセロラ(マルピギア・プニキフォリア(Malpighia punicifolia))は結実する低木または小径木であり、通常、南アメリカ、メキシコおよび中央アメリカに自生している。抽出物は、植物の液果から得られる。
【0008】
重要な問題は、治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物のいくつかが、(経口摂取する場合に)ひどい味がすることである。
【0009】
従って、治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物が食品、飼料、栄養サプリメントまたはパーソナルケア用途において敏感な成分とあまり相互作用をせず、エンドマーケット製品に添加されたときに消費者にとってひどい味がしない、改善された固体製剤が必要とされている。
【0010】
驚くことに、我々は、上述の不都合を回避することができる、このような固体製剤の製造方法を見出した。
【0011】
本発明は固体製剤の製造方法に関し、ここで、固体製剤は、少なくとも1つの治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物と、少なくとも1つの親油性材料(特に、IUPAC名がオクタデカン酸2,3−ジヒドロキシプロピルであるモノステアリン酸グリセロール)とを含む。
【0012】
従って、本発明は固体製剤の製造方法(P)に関し、ここで、固体製剤は、
(i)固体製剤の全重量を基準として20〜40重量%(wt−%)の少なくとも1つの治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物と、
(ii)固体製剤の全重量を基準として60〜80wt−%の少なくとも1つの親油性材料と
を含み、本方法は、
(a)少なくとも1つの治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物が、少なくとも1つの液体親油性材料中に懸濁され、かつ
(b)この懸濁液が噴霧塔内へ霧化され、そこの空気が、親油性材料を凝固させるような温度を有する
ことを特徴とする。
【0013】
新規の改善された固体製剤は付加的な利点も有し、固体製剤は製造するのが容易であり(従来の噴霧技術)、固体製剤は酸味/苦味をマスキングするために優れた特性を有し、固体製剤は非粘着性の粉末であり、そして治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物は水分に対して非常によく保護されている。
【0014】
治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物は、好ましくは、アセロラ植物抽出物である。
【0015】
好ましい実施形態では、この植物抽出物の量は、固体製剤の全重量を基準として20〜35wt−%である。
【0016】
従って、本発明は方法(P1)にも関し、これは、治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物がアセロラ植物抽出物である、方法(P)である。
【0017】
好ましい実施形態では、固体製剤中の治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物の量は、固体製剤の全重量を基準として20〜35wt−%である。
【0018】
従って、本発明は方法(P2)にも関し、これは、固体製剤中の治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物の量が固体製剤の全重量を基準として20〜35wt−%である、方法(P)または(P1)である。
【0019】
好ましい実施形態では、固体製剤中の親油性材料の量は、固体製剤の全重量を基準として65〜80wt−%である。
【0020】
従って、本発明は方法(P3)にも関し、これは、固体製剤中の親油性材料が固体製剤の全重量を基準として65〜80wt−%である、方法(P)、(P1)または(P2)である。
【0021】
本発明との関連での親油性材料は、ワックスおよび脂肪であり得る。
【0022】
本発明との関連でのワックスは、特徴的に、長いアルキル鎖からなる有機化合物である。天然ワックス(植物、動物)は、通常、脂肪酸および長鎖アルコールのエステルである。合成ワックスは、官能基を欠いた長鎖炭化水素である。
【0023】
本発明の実施形態のために使用される脂肪は、一般的に有機溶媒に可溶性であり、大部分は水に不溶性である幅広い群の化合物からなる。本発明との関連での水素化脂肪(または飽和脂肪)は、一般的に、グリセロールおよび脂肪酸のトリエステルである。脂肪酸は炭素および水素原子の鎖であり、一方の端部にカルボン酸を有する。このような脂肪は、天然起源または合成起源を有することができる。(多価)不飽和脂肪を水素化して、水素化(飽和)脂肪を得ることが可能である。
【0024】
特に適切なワックスおよび脂肪は、30〜90℃、好ましくは40〜80℃の滴点を有する。本発明との関連でのワックスは、特徴的に、長いアルキル鎖からなる有機化合物である。天然ワックス(植物、動物)は、通常、脂肪酸および長鎖アルコールのエステルである。合成ワックスは、官能基を欠いた長鎖炭化水素である。
【0025】
材料の滴点は、標準化された条件下で材料が溶融し始めるときの温度(単位℃)である。材料は、物質の状態が固体から液体へ変化されるまでの間、加熱される。滴点は、最初の1滴が材料から放出されるときの温度である。滴点(Tropfpunkt)の決定は、標準規格DIN ISO 2176に記載されるように実行される。
【0026】
本発明に適したワックスおよび脂肪の好ましい例は、モノステアリン酸グリセリン、カルナバワックス、キャンデリラワックス、パルミチン酸、ステアリン酸 水素化綿実油および水素化菜種油である。これらの化合物は、それ自体でまたは混合物として使用することができる。
【0027】
従って、本発明は方法(P4)にも関し、これは、親油性材料が30〜90℃、好ましくは40〜80℃の滴点を有するワックスおよび脂肪である、方法(P)、(P1)、(P2)、または(P3)である。
【0028】
従って、本発明は方法(P4’)にも関し、これは、親油性材料が、モノステアリン酸グリセリン、カルナバワックス、キャンデリラワックス、パルミチン酸、ステアリン酸 水素化綿実油および水素化菜種油からなる群から選択されるワックスおよび脂肪である、方法(P4)である。これらの化合物は、それ自体でまたは混合物として使用することができる。
【0029】
従って、本発明は方法(P4’’)にも関し、これは、親油性材料がモノステアリン酸グリセリンである、方法(P4)または(P4’)である。
【0030】
液体状態でない親油性材料は、本発明に従う方法で使用する前に溶融させる必要があることは明白である。
【0031】
従って、本発明は方法(P5)にも関し、これは、室温で固体である親油性材料が本方法で使用される前に溶融される、方法(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P4)、(P4’)または(P4’’)である。
【0032】
親油性材料を溶融させるために、通常、30℃よりも高い温度が選択される。温度は、親油性材料の融点または滴点に依存している。通常の、そしてまた好ましい範囲は50℃〜100℃(より好ましくは60℃〜100℃)の間である。
【0033】
従って、本発明は方法(P5’)にも関し、これは、室温で固体である親油性材料が、本方法で使用される前に30℃よりも高い温度まで加熱される、方法(P5)である。
【0034】
従って、本発明は方法(P5’’)にも関し、これは、室温で固体である親油性材料が、50℃〜100℃(より好ましくは60℃〜100℃)の間の温度まで加熱される、方法(P5)である。
【0035】
従って、本発明は方法(P5’’’)にも関し、これは、室温で固体である親油性材料が60℃〜100℃の間の温度まで加熱される、方法(P5)である。
【0036】
方法(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P4)、(P4’)、(P4’’)、(P5)、(P5’)、(P5’’)および/または(P5’’’)のいずれかによって得られる固体製剤の粒子の平均粒径(d50)は、通常、40〜500μmの間である。平均粒径(d50)は、(本特許出願の全ての値について)MALVERN MasterSizer3000によって測定される。
【0037】
治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物は、通常、そして好ましくは、攪拌下で液体親油性材料中に懸濁される。
【0038】
本発明に従う方法のステップ(b)において、懸濁液(少なくとも1つの治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物および少なくとも1つの親油性材料から形成される)は噴霧塔内へ霧化され、(噴霧塔内部の)空気は親油性材料を凝固させるような温度を有する。
【0039】
この温度は、通常、50℃よりも低く、好ましくは40°よりも低い(通常、−10°〜50℃、好ましくは、−10°〜40℃の範囲である)。
【0040】
従って、本発明は方法(P6)にも関し、これは、空気の温度が50℃よりも低い噴霧塔内へ懸濁液が霧化される、方法(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P4)、(P4’)、(P4’’)、(P5)、(P5’)、(P5’’)または(P5’’’)である。
【0041】
従って、本発明は方法(P6’)にも関し、これは、空気の温度が40℃よりも低い噴霧塔内へ懸濁液が霧化される、方法(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P4)、(P4’)、(P4’’)、(P5)、(P5’)、(P5’’)または(P5’’’)である。
【0042】
従って、本発明は方法(P6’’)にも関し、これは、空気の温度が−10°〜50℃である噴霧塔内へ懸濁液が霧化される、方法(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P4)、(P4’)、(P4’’)、(P5)、(P5’)、(P5’’)または(P5’’’)である。
【0043】
従って、本発明は方法(P6’’’)にも関し、これは、空気の温度が−10°〜40℃である噴霧塔内へ懸濁液が霧化される、方法(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P4)、(P4’)、(P4’’)、(P5)、(P5’)、(P5’’)または(P5’’’)である。
【0044】
本発明に従う固体製剤は、固体製剤、固体製剤の製造および/または固体製剤の使用のために有用であり得る他の成分も含むことができる。
【0045】
これらの他の成分は、本発明に従う方法へ任意の段階で添加することができる。これは、治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物へ、および/または親油性材料へ、および/または懸濁液へ添加できることを意味する。任意選択的に、噴霧乾燥プロセスにおいていくつかの補助化合物も使用することができる。
【0046】
さらに、本発明は、固体製剤が、
(i)固体製剤の全重量を基準として20〜40重量%(wt−%)の少なくとも1つの治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物と、
(ii)固体製剤の全重量を基準として60〜80wt−%のモノステアリン酸グリセロールと
からなる方法に関する。
【0047】
従って、本発明は方法(P7)にも関し、これは、固体製剤が、
(i)固体製剤の全重量を基準として20〜40重量%(wt−%)の少なくとも1つの治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物と、
(ii)固体製剤の全重量を基準として60〜80wt−%のモノステアリン酸グリセロールと
からなる、方法(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P4)、(P4’)、(P4’’)、(P5)、(P5’)、(P5’’)、(P5’’’)、(P6)、(P6’)、(P6’’)または(P6’’’)である。
【0048】
非常に好ましい実施形態は、以下の、
(a)固体製剤の全重量を基準として20〜40重量%(wt−%)のモノステアリン酸グリセロールが、60℃〜100℃の間の温度で溶融され、そして
(b)固体製剤の全重量を基準として60〜80wt−%のアセロラ植物抽出物が、溶融したモノステアリン酸グリセロール中に(攪拌により)懸濁され、そしてその後、
(c)この懸濁液が噴霧塔内へ霧化され、(噴霧塔内の)空気の温度が40℃よりも低い、
方法である。
【0049】
従って、本発明は、
(a)固体製剤の全重量を基準として20〜40重量%(wt−%)のモノステアリン酸グリセロールが、60℃〜100℃の間の温度で溶融され、そして
(b)固体製剤の全重量を基準として60〜80wt−%のアセロラ植物抽出物が、溶融したモノステアリン酸グリセロール中に(攪拌により)懸濁され、そしてその後、
(c)この懸濁液が噴霧塔内へ霧化され、(噴霧塔内の)空気の温度が40℃よりも低い、
方法(P8)にも関する。
【0050】
上記のように、本発明に従う方法によって得られる固体製剤は、粉末形態である。
【0051】
さらに、本発明は、
(i)固体製剤の全重量を基準として20〜40重量%(wt−%)の少なくとも1つの治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物と、
(ii)固体製剤の全重量を基準として60〜80wt−%の少なくとも1つの親油性材料と
を含む固体製剤(F1)に関する。
【0052】
新規の改善された固体製剤は付加的な利点も有し、固体製剤は製造するのが容易であり(従来の噴霧技術)、固体製剤は、酸味/苦味または渋味をマスキングするために優れた特性を有し、固体製剤は非粘着性の粉末であり、そして1つの治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物は、水分に対して非常によく保護されている。
【0053】
治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物は、好ましくは、アセロラ植物抽出物である。
【0054】
従って、本発明は固体製剤(F2)にも関し、これは、治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物がアセロラ植物抽出物である、製剤(F1)である。
【0055】
好ましい実施形態では、この植物抽出物の量は、固体製剤の全重量を基準として20〜35wt−%である。
【0056】
従って、本発明は固体製剤(F3)にも関し、これは、治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物の量が固体製剤の全重量を基準として20〜35wt−%である、製剤(F1)または(F2)である。
【0057】
好ましい実施形態では、親油性材料の量は、固体製剤の全重量を基準として65〜80wt−%である。
【0058】
従って、本発明は固体製剤(F4)にも関し、これは、親油性材料が固体製剤の全重量を基準として65〜80wt−%である、製剤(F1)、(F2)または(F3)である。
【0059】
従って、本発明は固体製剤(F5)にも関し、これは、親油性材料が、30〜90℃、好ましくは40〜80℃の滴点を有するワックスおよび脂肪である、製剤(F1)、(F2)、(F3)または(F4)である。
【0060】
従って、本発明は固体製剤(F5’)にも関し、これは、親油性材料が、モノステアリン酸グリセリン、カルナバワックス、キャンデリラワックス、パルミチン酸、ステアリン酸 水素化綿実油および水素化菜種油からなる群から選択されるワックスおよび脂肪である、製剤(F5)である。これらの化合物は、それ自体でまたは混合物として使用することができる。
【0061】
従って、本発明は固体製剤(F5”)に関し、これは、親油性材料がモノステアリン酸グリセリンである、製剤(F5)または(F5’)である。
【0062】
従って、本発明は固体製剤(F6)にも関し、これは、本発明に従う固体製剤の粒子の平均粒径(d50)が40〜500μmの間である、製剤(F1)、(F2)、(F3)、(F4)または(F5)である。
【0063】
従って、本発明は、
(i)固体製剤の全重量を基準として20〜40重量%(wt−%)の少なくとも1つの治療的に活性であるかまたは栄養価の高い植物抽出物と、
(ii)固体製剤の全重量を基準として60〜80wt−%のモノステアリン酸グリセロールと
からなる固体製剤(F7)にも関する。
【0064】
従って、本発明は、
(i)固体製剤の全重量を基準として20〜40重量%(wt−%)のアセロラ植物抽出物と、
(ii)固体製剤の全重量を基準として60〜80wt−%のモノステアリン酸グリセロールと
からなる固体製剤(F7)にも関する。
【0065】
本発明に従う固体製剤(F1)、(F2)、(F3)、(F4)、(F5)、(F6)、(F6’)、(F6’’)、(F7)および(F8)はそれ自体で使用することもできるし、あるいは任意の他の組成物において使用することもできる。
【0066】
本発明に従う固体製剤(F1)、(F2)、(F3)、(F4)、(F5)、(F6)、(F6’)、(F6’’)、(F7)および(F8)をそれ自体で、あるいは好ましくは、製剤(F1)、(F2)、(F3)、(F4)、(F5)、(F6)、(F6’)、(F6’’)、(F7)および(F8)を別の組成物中に組み込んで、食品、飼料、栄養サプリメントおよび/またはパーソナルケア製品として使用することができる。
【0067】
好ましいのは、食品および/または飼料組成物の製造における少なくとも1つの固体製剤(F1)、(F2)、(F3)、(F4)、(F5)、(F6)、(F6’)、(F6’’)、(F7)および(F8)の使用である。
【0068】
最終の消費者製品中の固体製剤(F1)、(F2)、(F3)、(F4)、(F5)、(F6)、(F6’)、(F6’’)、(F7)および/または(F8)の量は、用途および消費者の需要に依存する。
【0069】
さらに、本発明は、少なくとも1つの固体製剤(F1)、(F2)、(F3)、(F4)、(F5)、(F6)、(F6’)、(F6’’)、(F7)および(F8)を含む、食品、飼料、栄養サプリメントおよび/またはパーソナルケア製品に関する。
【0070】
これらの製品は、一般的に既知および使用されている任意の形態であり得る。
【0071】
以下の実施例は、本発明を説明するのに役立つ。
【0072】
[実施例]
[実施例1:アセロラ33%]
65〜85℃において16.00kgのモノステアリン酸グリセロールを攪拌した容器内で溶融させる。溶融したモノステアリン酸グリセロール中に、通常の攪拌により均一な懸濁液が作製されるまで(約20〜40分)、8.00kgのアセロラ粉末20%ビタミンCを懸濁させる。65〜85℃の生成物温度を保持する。懸濁液を噴霧塔に供給し、そこで、アトマイザにより懸濁液から適切なサイズの液滴が発生され得る。霧化した懸濁液の液滴を凝固させるために、噴霧塔は25℃の空気温度で操作されなければならない。凝固した生成物(粉末)を捕集する。