【実施例】
【0096】
(実施例1)
<導電性組成物>
導電性の炭素材料としてアセチレンブラック(A−1:デンカブラックHS−100、デンカ社製)50質量部、水溶性樹脂であるカルボキシメチルセルロース(CMCダイセル#1240、ダイセル化学工業社製)2.5%水溶液800質量部(固形分として20質量部)をディスパーで30分間混合し、更にサンドミルに入れて30分間分散を行った。次に水分散樹脂粒子であるポリウレタン系樹脂微粒子(C−1:ユーブレンUXA−307、三洋化成工業社製、40%水系分散液(平均粒子径0.20μm))75質量部(固形分として30質量部)を入れ、ディスパーで10分間混合し、導電性組成物(1)を得た。
【0097】
実施例および比較例に用いた材料の評価については、以下の通り行った。
(水分散樹脂微粒子の体積平均粒子径)
水分散樹脂微粒子分散液を、固形分に応じて200〜1000倍に水希釈し、該希釈液約5mlをナノトラック(日機装社製 Wave−EX150)のセルに注入し、水および樹脂の屈折率条件を入力後、測定を行い、D50体積平均粒子径を求めた。尚、「体積平均粒子径」を「平均粒子径」と略記することがある。
(光沢値)
作製した導電性組成物を、乾燥後の膜厚が3μmとなるように、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムに塗工した後、150℃オーブンに2分入れ、塗膜を作製した。この塗膜を黒鉛の平板上に置き、光沢計(BYK社製 micro−TRI−gloss)にて60°光沢値を求めた。
(カルボキシメチルセルロース水溶液の粘度)
カルボキシメチルセルロース1gを25℃の水99g中に入れて撹拌して得られた1質量%水溶液を作成した。そして、水溶液の粘度をレオメーター(TAインスツルメント社製AR−G2)により、コーンプレート(60mm、1°)を用いて、測定温度25℃、せん断速度360(1/s)で測定した。
【0098】
(実施例2〜22、比較例2〜5)
表1に示す材料、組成比、および導電性の炭素材料と水溶性樹脂のサンドミルで分散する時間を変更した以外は、実施例1と同様の方法により、それぞれ実施例および比較例の導電性組成物(2)〜(22)、(24)〜(27)を得た。
ただし、本明細書において実施例1〜22の導電性組成物およびそれを用いた集電体および電極は参考例である。
【0099】
実施例および比較例で使用した材料、分散機を以下に示す。
(導電性の炭素材料(A))
・A−1:デンカブラックHS−100(デンカ社製、アセチレンブラック、一次粒子径48nm、比表面積39m
2/g)
・A−2:EC−300J(ライオン社製、ケッチェンブラック、一次粒子径40nm、比表面積800m
2/g)
・A−3:KS6(Timcal社製、グラファイト、比表面積20m
2/g)
(水溶性樹脂(B))
・B−1:CMCダイセル#1240(ダイセル化学工業社製、カルボキシメチルセルロース、粘度0.02Pa・s)
・B−2:クラレポバールPVA235(クラレ社製、ポリビニルアルコール)
・B−3:ポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬工業社製、平均分子量5000)
(水分散樹脂微粒子(C))
・C−1:ユーブレンUXA−307(固形分40%水分散液、平均粒子径0.20μm、ポリウレタン系樹脂微粒子)(三洋化成工業社製)
・C−2:ユーコートUX−485(固形分40%水分散液、平均粒子径0.12μm、ポリウレタン系樹脂微粒子)(三洋化成工業社製)
・C−3:セポルジョンHT937(固形分40%水分散液、平均粒子径5.20μm、ポリエステル系樹脂微粒子)(住友精化社製)
・C−4:エリーテルKZA−3556(固形分30%水分散液、ポリエステル系樹脂微粒子)
(水分散樹脂微粒子(C)以外の樹脂微粒子)
・C−5:ポリテトラフルオロエチレン30J(固形分60%水分散液、ポリテトラフルオロエチレン、PTFEと略すことがある)(三井・デュポンフロロケミカル社製)
(非導電材料(E))
・E−1:アルミナゾルAS−520(アルミナ、固形分20%水分散液、平均粒子径23nm)(日産化学工業社製)
・E−2:スノーテックスN(シリカ、固形分20%水分散液、平均粒子径12nm)(日産化学工業社製)
(分散機)
・ディスパー(プライミクス社製 T.K.ホモディスパー)
・サンドミル(シンマルエンタープライゼス ダイノミル)
【0100】
<下地層付き集電体>(実施例1〜17、19〜22、比較例2〜5)
導電性組成物(1)〜(17)、(19)〜(22)、(24)〜(27)を、乾燥後の厚みが表1に示す厚みとなるように、集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔(以下、「アルミ」と略記することがある)上にバーコーターを用いて塗布をした後、80℃で加熱乾燥し、下地層付き集電体(1)〜(17)、(19)〜(22)、(24)〜(27)をそれぞれ得た。尚、表中、空欄は使用していない事を表す。
【0101】
<下地層付き集電体>(実施例18)
導電性組成物(18)を、乾燥後の塗膜の厚みが3μmとなるように、集電体となる厚さ20μmの銅箔上にバーコーターを用いて塗布をした後、80℃で加熱乾燥し、下地層付き集電体(18)を得た。得られた導電性組成物および集電体を、表1に示す。
【0102】
<リチウムイオン二次電池正極用合材インキ>
電極活物質の一種である正極活物質としてLiNi
0.5Mn
0.3Co
0.2O
293質量部、導電剤としてアセチレンブラック4質量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン3質量部、N―メチルピロリドン45質量部を入れて混合して、電極形成用組成物の一種である正極用合材インキを得た。
【0103】
<リチウムイオン二次電池負極用合材インキ>
電極活物質の一種である負極活物質として人造黒鉛98質量部、カルボキシメチルセルロース1.5%水溶液66.7質量部(固形分として1質量部)をプラネタリーミキサーに入れて混練し、水33質量部、スチレンブタジエンエマルション48質量%水系分散液2.08質量部(固形分として1質量部)を混合して、電極形成用組成物の一種である負極二次電池電極用合材インキを得た。
【0104】
<下地層付きリチウムイオン二次電池用正極>(実施例1〜17、19〜22、比較例2〜5)
上述のリチウムイオン二次電池正極用合材インキを、二次電池用下地層付き集電体(1)〜(17)、(19)〜(22)、(24)〜(27)の下地層が形成された面に、乾燥後の目付け量が20mg/cm
2となるようにドクターブレードを用いて塗布、80℃で加熱乾燥した。さらにロールプレスによる圧延処理を行い、合材層の密度が3.1g/cm
3となる正極(1)〜(17)、(19)〜(22)、(24)〜(27)をそれぞれ作製した。
【0105】
<下地層なしリチウムイオン二次電池用正極>(実施例18、比較例1用正極)
上述のリチウムイオン二次電池正極用合材インキを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上に乾燥後の目付け量が20mg/cm
2となるように塗布、加熱乾燥した。さらにロールプレスによる圧延処理を行い、合材層の密度が3.1g/cm
3となる正極(18)、(23)をそれぞれ作製した。
【0106】
<下地層なしリチウムイオン二次電池用負極>(実施例1〜17、19〜22、比較例1〜5用負極)
上述のリチウムイオン二次電池負極用合材インキを、集電体となる厚さ20μmの銅箔上に乾燥後の目付け量が12mg/cm
2となるようにドクターブレードを用いて塗布、80℃で加熱乾燥した。さらにロールプレスによる圧延処理を行い、合材層の密度が1.5g/cm
3となる負極(1)〜(17)、(19)〜(27)をそれぞれ作製した。
【0107】
<下地層付きリチウムイオン二次電池用負極>(実施例18)
上述のリチウムイオン二次電池負極用合材インキを、下地層付き集電体(18)の下地層が形成された面に、乾燥後の目付け量が12mg/cm
2となるようにドクターブレードを用いて塗布、80℃で加熱乾燥した。さらにロールプレスによる圧延処理を行い、合材層の密度が1.5g/cm
3となる負極(18)を作製した。
【0108】
<ラミネート型リチウムイオン二次電池>(実施例1〜22、比較例1〜5)
表2に示す正極と負極を、各々45mm×40mm、50mm×45mmに打ち抜き、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロプレンフィルム)とをアルミ製ラミネート袋に挿入し、真空乾燥の後、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒に、LiPF
6を1Mの濃度で溶解させた非水系電解液)を注入した後、アルミ製ラミネートを封口してラミネート型リチウムイオン電池をそれぞれ作製した。ラミネート型リチウムイオン型電池の作製は、アルゴンガス置換したグロ−ブボックス内で行い、ラミネート型リチウムイオン型電池作製後、以下に示す方法により、初期抵抗、抵抗増加、レート特性およびサイクル特性の電池特性評価を行った。
【0109】
(抵抗測定)
放電電流12mA(0.2C)にて放電終止電圧3.0Vで定電流放電を行ったラミネート型電池を、インピーダンスアナライザー(biologic社製SP−50)にて500kHzでの抵抗測定を行った。
上述したラミネート型電池を25℃から180℃まで加熱し、各々の温度での抵抗測定を行った。25℃で測定した抵抗を初期抵抗とし、下記(式1)により算出される値を抵抗増加とした。
(式1) 抵抗増加=180℃での抵抗値/25℃での抵抗値
初期抵抗および抵抗増加について、以下の基準で評価した結果を表2に示す。
・初期抵抗
○:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗より小さい。優れている。」
△:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗と同等。」
×:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗より大きい。劣っている。」
・抵抗増加
○○:「抵抗増加が初期抵抗の10倍以上。特に優れている。」
○:「抵抗増加が初期抵抗の5倍以上、10倍未満。優れている。」
△:「抵抗増加が初期低能の3倍以上、5倍未満。実用可能なレベル。」
×:「抵抗増加が初期抵抗の3倍未満。電流の遮断効果が低い。劣っている。」
【0110】
(レート特性)
上述したラミネート電池について、充放電装置(北斗電工社製SM−8)を用い、充放電測定を行った。
充電電流12mA(0.2C)にて充電終止電圧4.2Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流0.6mAを行った後、放電電流12mA(0.2C)および120mA(2C)で放電終止電圧3.0Vに達するまで定電流放電を行って、それぞれ放電容量を求めた。レート特性は0.2C放電容量と2C放電容量の比、つまり以下(式2)で表される。
(式2) レート特性=2C放電容量/0.2C放電容量×100(%)
以下の基準で評価した結果を表2に示す。
【0111】
・レート特性
○○:「レート特性が80%以上。特に優れている。」
○:「レート特性が75%以上、80%未満。優れている。」
△:「レート特性が70以上、75%未満。下地層なしの比較例1のレート特性と同等。」
×:「レート特性が70%未満。劣っている。」
【0112】
(サイクル特性)
50℃恒温槽にて充電電流を60mAにて充電終止電圧を4.2Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流0.6mA)を行った後、放電電流60mAで放電終止電圧3.0Vに達するまで定電流放電を行って、初回放電容量を求めた。この充放電サイクルを200回行い、放電容量維持率(初回放電容量に対する200回目の放電容量の百分率)を算出した。以下の基準で評価した結果を表2に示す。
・サイクル特性
○:「放電容量維持率が85%以上。優れている。」
△:「放電容量維持率が80%以上、85%未満。下地層なしの比較例1の放電容量維持率と同等。」
×:「放電容量維持率が80%未満。劣っている。」
【0113】
表2に示すように、本発明の導電性組成物から形成された下地層を用いることで、電池の内部温度が上昇した場合、電池の内部抵抗が上昇することが確認された。このことから、例えば、内部短絡などにより電池が異常発熱した場合、集電体の抵抗が増大し、電流を遮断することで、電池の発火等を回避され得るものと考えられる。
【0114】
一方、下地層を形成していない比較例1や、本発明以外の導電性組成物からなる下地層を形成した比較例2および3、また、本発明の水分散樹脂微粒子(C)以外の樹脂からなる下地層を形成した比較例4や、光沢値の高い比較例5では、電池の内部温度が上昇しても、目立った電池の内部抵抗の上昇は見られなかった。
【0115】
比較例1は下地層を形成していないため、発熱時に抵抗を増大させる効果がなく、比較例4は発熱時における樹脂の体積膨張が不十分なため、導電層中に分散している導電性の炭素材料同士を引き剥がすことができなかったためと考えられる。さらに、比較例2および3では、水溶性樹脂(B)を含まないため、樹脂の体積膨張後の膜構造の保持が不十分であり、炭素材料同士を引き剥がすことができなかったと考えられる。一方、比較例5では、光沢値が大きく、炭素材料同士の切断が不十分であると考えられる。
【0116】
<電気二重層キャパシター用正極、負極用合材インキ>
活物質として活性炭(比表面積1800m
2/g)85部、導電助剤(アセチレンブラック:デンカブラックHS−100、デンカ社)5部、カルボキシメチルセルロース(和光純薬工業社)8部、バインダー(ポリテトラフルオロエチレン30−J:三井・デュポンフロロケミカル社製、60%水系分散体)3.3部(固形分として2部)、水220部を混合して正極、負極用合材インキをそれぞれ作製した。
【0117】
<下地層なし電気二重層キャパシター用正極、負極(実施例38正極、比較例6、及び評価用対極)>
上述の電気二重層キャパシター用合材インキを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、加熱乾燥した後にロールプレスによる圧延処理を行い、電極の厚みが50μmとなる正極および負極をそれぞれ作製した。
【0118】
<下地層付き電気二重層キャパシター用正極、負極>
(実施例23)
上述の電気二重層キャパシター用合材インキを、実施例1の下地層付き集電体(1)の下地層が形成された面に、ドクターブレードを用いて塗布した後、80℃で加熱乾燥した後、ロールプレスによる圧延処理を行い、厚みが50μmとなる正極を作製した。
【0119】
(実施例24〜42、比較例7〜10)
下地層付き集電体(1)を表3に示す集電体に変更した以外は、実施例23と同様にして、正極および負極をそれぞれ得た。
【0120】
<電気二重層キャパシター>
表3に示す正極と負極をそれぞれ直径16mmに打ち抜き、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロピレンフィルム)と、電解液(プロピレンカーボネート溶媒に(TEMABF
4(四フッ化ホウ素トリエチルメチルアンモニウム)を1Mの濃度で溶解させた非水系電解液)とからなる電気二重層キャパシターを作製した。電気二重層キャパシターはアルゴンガス置換したグロ−ブボックス内で行い、電気二重層キャパシター作製後、所定の電気特性評価を行った。
【0121】
(充放電サイクル特性)
得られた電気二重層キャパシターについて、充放電装置を用い、充放電測定を行った。
充電電流10Cレートにて充電終止電圧2.0Vまで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧0Vに達するまで定電流放電を行った。これらの充電・放電サイクルを1サイクルとして5サイクルの充電・放電を繰り返し、5サイクル目の放電容量を初回放電容量とした。(初回放電容量を維持率100%とする)。また、充放電電流レートは、セル容量を1時間で放電出来る電流の大きさを1Cとした。
次に、50℃恒温槽にて充電電流10Cレートにて充電終止電圧2.0Vで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧0Vに達するまで定電流放電を行った。この充放電サイクルを500回行い放電容量維持率の変化率を算出した(100%に近いほど良好)。
【0122】
○:「変化率が85%以上。優れている。」
△:「変化率が85%以上、80%未満。問題はあるが使用可能なレベル。」
×:「変化率が85%未満。実用上問題あり、使用不可。」
【0123】
(抵抗測定)
充電電流10Cレートにて充電終止電圧2.0Vまで充電を行ったラミネート型電池を、インピーダンスアナライザー(biologic社製SP−50)にて500kHzでの抵抗測定を行った。
上述したラミネート型電池を25℃から180℃まで加熱し、各々の温度での抵抗測定を行った。25℃で測定した抵抗を初期抵抗とし、下記(式1)により算出される値を抵抗増加とした。
(式1) 抵抗増加=180℃での抵抗値/25℃での抵抗値
初期抵抗および抵抗増加について、以下の基準で評価した結果を表2に示す。
・初期抵抗
○:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗より小さい。優れている。」
△:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗と同等。」
×:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗より大きい。劣っている。」
・抵抗増加
○○:「抵抗増加が初期抵抗の10倍以上。特に優れている。」
○:「抵抗増加が初期抵抗の5倍以上、10倍未満。優れている。」
△:「抵抗増加が初期低能の3倍以上、5倍未満。実用可能なレベル。」
×:「抵抗増加が初期抵抗の3倍未満。電流の遮断効果が低い。劣っている。」
【0124】
<リチウムイオンキャパシター用正極用合材インキ>
活物質として活性炭(比表面積1800m
2/g)85部、導電助剤(アセチレンブラック:デンカブラックHS−100、デンカ社製)5部、カルボキシメチルセルロース(和光純薬工業社製)8部、バインダー(ポリテトラフルオロエチレン30−J:三井・デュポンフロロケミカル社製、60%水系分散体)3.3部(固形分として2部)を混合して正極用合材インキを作製した。
【0125】
<リチウムイオンキャパシター用負極用合材インキ>
負極活物質として黒鉛90部、導電助剤(アセチレンブラック:デンカブラックHS−100、デンカ社製)5部、ヒドロキシエチルセルロース(和光純薬工業社製)2重量%水溶液175部(固形分として3.5部)をミキサーに入れて混合し、水26.3部、バインダー(SBR:スチレンブタジエン系ラテックス40%水系分散体)3.75部(固形分として1.5部)を混合して、負極用合材インキを作製した。
【0126】
<下地層なしリチウムイオンキャパシター用正極(実施例58、比較例11)>
上述のリチウムイオンキャパシター用正極用合材インキを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥してロールプレスによる圧延処理を行った後、厚みが60μmとなる正極を作製した。
【0127】
<下地層付きリチウムイオンキャパシター用正極>
(実施例43)
上述のリチウムイオンキャパシター用正極用合材インキを、実施例1の下地層付き集電体(1)の下地層が形成された面に、ドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥してロールプレスによる圧延処理を行った後、厚みが60μmとなる正極を作製した。
【0128】
(実施例44〜57、59〜62、比較例12〜15)
下地層付き集電体(1)を表4に示す集電体に変更した以外は実施例43と同様にして、正極を得た。
【0129】
<下地層なしリチウムイオンキャパシター用負極(実施例43〜57、59〜62、比較例11〜15)>
上述のリチウムイオンキャパシター用負極用合材インキを、集電体となる厚さ20μmの銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥してロールプレスによる圧延処理を行った後、厚みが45μmとなる負極を作製した。
【0130】
<下地層付きリチウムイオンキャパシター用負極>
(実施例58)
上述のリチウムイオンキャパシター用負極用合材インキを、実施例15の下地層付き集電体(15)上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥してロールプレスによる圧延処理を行った後、厚みが45μmとなる負極を作製した。
【0131】
<リチウムイオンキャパシター>
表4示す正極と、あらかじめリチウムイオンのハーフドープ処理を施した負極を、それぞれ直径16mmの大きさで用意し、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロピレンフィルム)と、電解液(エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートを1:1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒にLiPF
6を1Mの濃度で溶解させた非水系電解液)とからなるリチウムイオンキャパシターを作製した。リチウムイオンのハーフドープは、ビーカーセル中で負極とリチウム金属の間にセパレーターを挟み、負極容量の約半分の量となるようリチウムイオンを負極にドープして行った。また、リチウムイオンキャパシターはアルゴンガス置換したグロ−ブボックス内で行い、リチウムイオンキャパシター作製後、所定の電気特性評価を行った。
【0132】
(充放電サイクル特性)
得られたリチウムイオンキャパシターについて、充放電装置を用い、充放電測定を行った。
充電電流10Cレートにて充電終止電圧4.0Vまで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧2.0Vに達するまで定電流放電を行った。これらの充電・放電サイクルを1サイクルとして5サイクルの充電・放電を繰り返し、5サイクル目の放電容量を初回放電容量とした。(初回放電容量を維持率100%とする)。
次に、50℃恒温槽にて充電電流10Cレートにて充電終止電圧4.0Vで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧2.0Vに達するまで定電流放電を行った。この充放電サイクルを500回行い放電容量維持率の変化率を算出した(100%に近いほど良好)。
【0133】
○:「変化率が85%以上。優れている。」
△:「変化率が85%以上、90%未満。問題はあるが使用可能なレベル。」
×:「変化率が85%未満。実用上問題あり、使用不可。」
【0134】
(抵抗測定)
充電電流10Cレートにて充電終止電圧4.0Vまで充電を行ったラミネート型電池を、インピーダンスアナライザー(biologic社製SP−50)にて500kHzでの抵抗測定を行った。
上述したラミネート型電池を25℃から180℃まで加熱し、各々の温度での抵抗測定を行った。25℃で測定した抵抗を初期抵抗とし、下記(式1)により算出される値を抵抗増加とした。
(式1) 抵抗増加=180℃での抵抗値/25℃での抵抗値
初期抵抗および抵抗増加について、以下の基準で評価した結果を表2に示す。
【0135】
・初期抵抗
○:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗より小さい。優れている。」
△:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗と同等。」
×:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗より大きい。劣っている。」
・抵抗増加
○○:「抵抗増加が初期抵抗の10倍以上。特に優れている。」
○:「抵抗増加が初期抵抗の5倍以上、10倍未満。優れている。」
△:「抵抗増加が初期低能の3倍以上、5倍未満。実用可能なレベル。」
×:「抵抗増加が初期抵抗の3倍未満。電流の遮断効果が低い。劣っている。」
【0136】
また、表3、表4に示すように、電気二重層キャパシターや、リチウムイオンキャパシターでもリチウムイオン二次電池の実施例と同様の効果を得ることが確認できた。
【0137】
以上の結果から、本発明によって、蓄電デバイスの出力特性等に優れ、過充電や内部短絡などにより蓄電デバイスの内部温度が上昇した場合に、内部抵抗を上昇させることで流れる電流を抑制することで、電池の安全性を高める機能を備えた非水電解質二次電池などの蓄電デバイスを形成するための導電性組成物を提供することができる。
【0138】
【表1】
【0139】
【表2】
【0140】
【表3】
【0141】
【表4】