(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の公報に記載された点火プラグでは、ケースの壁面で発生した結露水は碍子部に滴下して付着する。この結露水によって2つの電極が互いに導通することにより、2つの電極間の絶縁不良が発生するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、2つの電極間の絶縁不良が発生することを抑制できる温水装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の温水装置は、バーナと、熱交換器と、点火プラグとを備えている。バーナは、加熱用の燃焼ガスを発生させる。熱交換器は、バーナの下方に設けられ、かつ燃焼ガスにより湯水を加熱する。点火プラグはバーナに点火する。熱交換器は、ケースを含む。ケースは、内部と外部とを仕切る壁面を有する。点火プラグは、碍子部と、2つの電極とを含む。碍子部は、ケースの壁面に取り付けられている。2つの電極はそれぞれが碍子部を貫通してケースの内部から外部に渡って延びかつ横方向に互いに間隔をあけて配置されている。碍子部は、基端部と、先端部とを含む。基端部は、ケースの壁面に取り付けられている。先端部は、基端部から壁面とは反対側に突出する。先端部は、先端面と、溝部とを有する。先端面は、基端部と反対側に配置されている。溝部は、先端面から基端部に向けて窪む。溝部は、2つの電極の間に配置され、かつ先端部の上端から下端に亘って設けられている。横方向における溝部の幅は、先端部の上端から下端に向けて狭くなっている。
【0007】
本発明の温水装置によれば、溝部は先端面から基端部に向けて窪み、2つの電極の間に配置され、先端部の上端から下端に亘って設けられている。そして、横方向における溝部の幅は、先端部の上端から下端に向けて狭くなっている。これにより、壁面で発生し碍子部に滴下して付着した結露水が溝部に流れやすくなる。このため、先端部の上端に溜まった結露水が2つの電極を互いに繋ぐことによって2つの電極が互いに導通することを抑制することができる。したがって、2つの電極間の絶縁不良が発生することを抑制することができる。
【0008】
上記の温水装置において、溝部の幅は、基端部から先端面に向けて広くなっている。これにより、結露水は先端部の上端において基端部から先端面に向けて溜まりにくくなるため、先端部の上端に溜まった結露水が2つの電極を互いに繋ぐことによって2つの電極が互いに導通することをさらに抑制することができる。
【0009】
上記の温水装置において、先端部は、横方向において、溝部の一方側に配置された一方端部と、溝部の他方側に配置された他方端部とを含む。一方端部は、他方端部とは反対側に、高さが低くなる下り勾配を有している。他方端部は、一方端部とは反対側に、高さが低くなる下り勾配を有している。これにより、一方端部に付着した結露水を他方端部とは反対側に流すことができ、他方端部に付着した結露水を一方端部とは反対側に流すことができる。したがって、結露水が先端部の上端に溜まりにくくなる。このため、先端部の上端に溜まった結露水が2つの電極を互いに繋ぐことによって2つの電極が互いに導通することをさらに抑制することができる。
【0010】
上記の温水装置において、溝部は、先端部の上端に設けられた傾斜壁部を含む。傾斜壁部は、先端部の上端から下端に向けて平面状に高さが低くなる下り勾配を有している。これにより、傾斜壁部の平面状に高さが低くなる下り勾配に沿って結露水を流すことで、結露水が溝部を流れやすくすることができる。
【0011】
上記の温水装置において、傾斜壁部は、前記電極を前記電極の周方向に取り囲み、かつ前記電極が中心に位置する仮想の円の接線となるように設けられている。このため、絶縁性を確保するように仮想の円を設定することにより、絶縁性を確保しつつ傾斜壁部に沿って結露水を流れやすくすることができる。
【0012】
上記の温水装置において、溝部は、先端部の上端に設けられた傾斜壁部を含む。傾斜壁部は、先端部の上端から下端に向けて曲面状に高さが低くなる下り勾配を有している。これにより、傾斜壁部の曲面状に高さが低くなる下り勾配に沿って結露水を流すことで、結露水が溝部を流れやすくすることができる。
【0013】
上記の温水装置において、先端部は、2つの円筒部を含む。2つの円筒部の各々に2つの電極の各々が円筒部の軸方向に挿通されている。溝部は、2つの円筒部同士の間に配置されている。これにより、2つの円筒部同士の間に配置された溝部に結露水を流すことができる。また、2つの電極の各々は円筒部の径方向に均一に絶縁性を確保することができる。
【0014】
上記の温水装置において、先端部は、2つの円筒部同士の間に配置された接続壁を含む。2つの円筒部の各々は接続壁よりも基端部から壁面とは反対側に突出している。接続壁の上端は、基端部から壁面とは反対側に高さが低くなる下り勾配を有している。これにより、接続壁に沿って結露水を流すことで、結露水が溝部を流れやすくすることができる。
【0015】
上記の温水装置において、先端部は、基端部からケースの内部に突出している。溝部は、ケースの内部に配置されている。これにより、ケースの内部において先端部の上端に溜まった結露水が2つの電極を互いに繋ぐことによって2つの電極が互いに導通することを抑制することができる。
【0016】
上記の温水装置において、先端部は、基端部からケースの外部に突出している。溝部は、ケースの外部に配置されている。これにより、ケースの外部において先端部の上端に溜まった結露水が2つの電極を互いに繋ぐことによって2つの電極が互いに導通することを抑制することができる。
【0017】
上記の温水装置において、先端部は、基端部からケースの内部および外部の両方に突出している。溝部は、ケースの内部および外部の両方に配置されている。ケースの内部に配置された溝部の深さは、ケースの外部に配置された溝部の深さよりも大きくなっている。これにより、ケースの内部および外部の両方において先端部の上端に溜まった結露水が2つの電極を互いに繋ぐことによって2つの電極が互いに導通することを抑制することができる。また、ケースの内部で発生する結露水はケースの外部で発生する結露水よりも多い。このため、ケースの内部に配置された溝部の深さがケースの外部に配置された溝部の深さよりも大きくなっていることにより、ケースの内部において発生した結露水を溝部に多く流すことができる。したがって、結露水が多く発生するケースの内部において先端部の上端に溜まった結露水が2つの電極を互いに繋ぐことによって2つの電極が互いに導通することを効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、2つの電極間の絶縁不良が発生することを抑制することができる温水装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
まず、本発明の一実施の形態における温水装置の構成について
図1を用いて説明する。
【0021】
図1に示されるように、本実施の形態の温水装置100は、顕熱回収熱交換器(一次熱交換器)10と、点火プラグ14と、潜熱回収熱交換器(二次熱交換器)20と、バーナ30と、チャンバ31と、送風装置32と、ダクト33と、ベンチュリ34、オリフィス35、ガスバルブ36、配管40と、バイパス配管41と、三方弁42と、液液熱交換器43と、温水配管44と、筐体50とを主に有している。筐体50の内部に、上記の部品のうち筐体50を除く全ての部品が配置されている。
【0022】
ガスバルブ36、オリフィス35およびベンチュリ34がこの順で配管に接続されている。この配管には筐体50の外部から燃料ガスが供給可能である。この配管に供給された燃料ガスは、ガスバルブ36とオリフィス35とを通じてベンチュリ34に流れる。
【0023】
ガスバルブ36は燃料ガスの流量を制御するためのものである。ベンチュリ34は、燃料ガスと空気との混合ガスの流れを絞ることによって混合ガスの流速を増加させるものである。ベンチュリ34は、筐体50の外部から空気を取り入れられるように構成されている。ベンチュリ34は、筐体50の外部から取り入れた空気と、配管から供給された燃料ガスとを混合するように構成されている。
【0024】
ベンチュリ34は配管を通じて送風装置32に接続されている。この配管により、ベンチュリ34で混合された混合ガスは送風装置32に送られる。送風装置32は、混合ガスをバーナ30へ送出するためのものである。送風装置32は、ファンケースと、ファンケース内に配置された羽根車と、羽根車を回転させるための駆動源(モータなど)とを主に有している。
【0025】
送風装置32はチャンバ31に接続されており、チャンバ31はバーナ30に接続されている。送風装置32から送出された混合ガスは、チャンバ31を通じてバーナ30に送られる。
【0026】
バーナ30は、混合ガスを燃焼することにより加熱用の燃焼ガスを発生させるためのものである。バーナ30は燃焼ガスを下向きに供給する逆燃式の装置である。バーナ30から吹出される混合ガスは、点火プラグ14によって着火され、燃焼ガスとなる。点火プラグ14は、後述するように顕熱回収熱交換器10に取り付けられている。
【0027】
燃焼ガスが顕熱回収熱交換器10および潜熱回収熱交換器20を順に通過するように、バーナ30、顕熱回収熱交換器10および潜熱回収熱交換器20が接続されている。顕熱回収熱交換器10および潜熱回収熱交換器20の各々はバーナ30の下方に設けられている。具体的には、バーナ30の下方に顕熱回収熱交換器10が取り付けられており、この顕熱回収熱交換器10の下方に潜熱回収熱交換器20が取り付けられている。
【0028】
潜熱回収熱交換器20にはダクト33が接続されており、ダクト33は筐体50の外部へ延びている。これにより、潜熱回収熱交換器20を通過した燃焼ガスは、ダクト33を通じて筐体50の外部へ排出される。
【0029】
顕熱回収熱交換器10および潜熱回収熱交換器20の各々は、燃焼ガスにより湯水を加熱するためのものである。具体的には、顕熱回収熱交換器10および潜熱回収熱交換器20の各々は、バーナ30から供給された燃焼ガスと湯水との間で熱交換を行うことにより湯水を加熱するためのものである。
【0030】
顕熱回収熱交換器10は、バーナ30が発生させた燃焼ガスの顕熱を回収するためのものである。潜熱回収熱交換器20は、燃焼ガスの潜熱を回収するためのものである。この潜熱回収熱交換器20には、たとえばプレート式熱交換器が用いられる。
【0031】
顕熱回収熱交換器10において入水する湯水の温度が低い場合、またはバーナ30の加熱量が少ない場合などには、顕熱回収熱交換器10内において燃焼ガスの水蒸気が凝縮し、凝縮した結露水(ドレン)が発生する。また潜熱回収熱交換器20においても、ドレンが発生する。これらのドレンはダクト33の一部を通って、筐体50の外部へ排水される。また、顕熱回収熱交換器10外において空気の温度が高く、顕熱回収熱交換器10に入水する湯水の温度が低い場合などには、顕熱回収熱交換器10外において空気中の水蒸気が凝縮した結露水が発生する。つまり、顕熱回収熱交換器10の内部においては燃焼ガスの水蒸気が凝縮した結露水(ドレン)が発生し、顕熱回収熱交換器10の外部においては空気中の水蒸気が凝縮した結露水が発生する。顕熱回収熱交換器10の内部および外部のいずれも後述する吸熱パイプの部分において結露水が発生しやすい。
【0032】
顕熱回収熱交換器10の吸熱パイプと潜熱回収熱交換器20の吸熱パイプとは配管40で接続されている。潜熱回収熱交換器20よりも入水側の配管40の部分と、顕熱回収熱交換器10よりも出湯側の配管40の部分とはバイパス配管41によりバイパスされている。
【0033】
顕熱回収熱交換器10よりも出湯側の配管40の部分とバイパス配管41とは三方弁42で接続されている。三方弁42は、顕熱回収熱交換器10から配管40の出湯口への流路と、顕熱回収熱交換器10からバイパス配管41への流路とを切り替え可能に構成されている。
【0034】
バイパス配管41には液液熱交換器43が接続されている。液液熱交換器43には、温水端末に接続された温水配管44が挿入されている。液液熱交換器43は、顕熱回収熱交換器10および潜熱回収熱交換器20を通って温められた温水が液液熱交換器43の内部に流れるように構成されている。この液液熱交換器43の内部を流れる温水が温水配管44の外側を流れることにより、液液熱交換器43の内部を流れる温水と温水配管44の内部を流れる温水との間で熱交換を行うことが可能となる。
【0035】
上記の温水装置100に供給された水は、顕熱回収熱交換器10および潜熱回収熱交換器20において燃焼ガスと熱交換をして湯となる。これにより温水装置100によって湯を供給することが可能となる。
【0036】
温水端末から戻ってきた温水は、温水配管44を通って、液液熱交換器43において顕熱回収熱交換器10および潜熱回収熱交換器20で温められた温水との熱交換により温められてから、再び温水端末に供給される。このようにして、温水装置100によって温水端末に温水を供給することが可能となる。
【0037】
次に、上記の温水装置100に用いられる顕熱回収熱交換器(熱交換器)10の構成について
図2〜
図4を用いて説明する。
【0038】
図2に示されるように、本実施の形態の顕熱回収熱交換器10は、ケース11と、ヘッダ12と、吸熱パイプ(伝熱管:
図3、
図4)13と、フィン16(
図4)と、押さえ部材17と、固定部材18とを主に有している。
【0039】
ケース11は、第1側壁11a、第2側壁11b、第3側壁11cおよび第4側壁11dを有している。第1側壁11a〜第4側壁11dは、四角の枠状となるように接続されている。
【0040】
第1側壁11aと第3側壁11cとは互いに対面している。第2側壁11bと第4側壁11dとは互いに対面している。第1側壁11a〜第4側壁11dの各々は、ケース11の内部と外部と仕切る壁面を有している。
【0041】
上記枠形状を有するケース11は上下に開口を有している。これによりケース11の上側の開口を通ってケース11の内部に燃焼ガスが給気可能である。またケース11の下側の開口を通って燃焼ガスがケース11の外部へ排気可能である。
【0042】
第1側壁11aの外面にヘッダ12が設けられている。第1側壁11aの外面に設けられたヘッダ12には、入水側の継手13aおよび出湯側の継手13bが取り付けられている。第3側壁11cの外面にも図示しないヘッダ12が設けられている。
【0043】
図3に示されるように、第1側壁11aの外面に設けられたヘッダ12と、第3側壁11cの外面に設けられたヘッダ12とは複数の吸熱パイプ13で接続されている。複数の吸熱パイプ13は、ケース11の内部に位置する吸熱パイプ13と、ケース11の外部に位置する吸熱パイプ13とを有している。
【0044】
このヘッダ12と吸熱パイプ13とを流通する湯水の流れはたとえば以下のようになる。
【0045】
入水側の継手13aから入水した湯水は、第1側壁11aの外面の最も一方端側に設けられたヘッダ12を通じて、ケース11の内部に位置する吸熱パイプ13に入る。この吸熱パイプ13内に入った湯水は、第3側壁11cの外面に設けられた図示しないヘッダ12に達する。第3側壁11cの外面に設けられたヘッダ12に達した湯水は、当該ヘッダ12に接続された別の吸熱パイプ13を通って第1側壁11aの外面に設けられたヘッダ12に達する。
【0046】
このように湯水は、第1側壁11a側から第3側壁11c側へ向かった後に、第3側壁11c側から第1側壁11a側へ折り返される。その後、湯水は、第3側壁11c側への折り返しと第1側壁11a側への折り返しとが繰り返されるように流れる。
【0047】
図2に示されるように、上記により第1側壁11aの外面の最も他方端側に設けられたヘッダ12に到達した湯水は、第2側壁11bの外面に設けられた吸熱パイプ13を通って第3側壁11cの外面に設けられたヘッダ12に達する。
【0048】
図3に示されるように、第3側壁11cの外面に設けられたヘッダ12に達した湯水は、第4側壁11dの外面に設けられた吸熱パイプ13を通って第1側壁11aの外面に設けられたヘッダ12に達し、最後に、湯側の継手13bから出湯する。
【0049】
図4に示されるように、ケース11の内部に位置する吸熱パイプ13の外周面には、複数のフィン16が接続されている。なお
図3においては、説明の簡略化のため、フィンの図示は省略されている。
【0050】
第2側壁11bには、ケース11の外部から内部に向かって窪んだ凹部11baが設けられている。ケース11の外部であって第2側壁11b側に位置する吸熱パイプ13の少なくとも一部は凹部11baに嵌っている。
【0051】
また第4側壁11dには、ケース11の外部から内部に向かって窪んだ凹部11daが設けられている。ケース11の外部であって第4側壁11d側に位置する吸熱パイプ13の少なくとも一部は凹部11daに嵌っている。
【0052】
図3および
図4に示されるように、点火プラグ14は、ケース11の内部から外部に渡って位置するように、ケース11の壁面に取り付けられている。点火プラグ14は、たとえば第2側壁11bを貫通するように第2側壁11bに取り付けられている。
【0053】
点火プラグ14は、ケース11の外部であって第2側壁11b側に位置する複数の吸熱パイプ13のうち最もバーナ30の近くに位置する吸熱パイプ13(最上方吸熱パイプ13)の真下に配置されている。
【0054】
点火プラグ14は、少なくとも2つの電極を含んでいる。言い換えれば、点火プラグ14は2つ以上の電極を含んでいる。本実施の形態においては、点火プラグ14は、たとえば1対の点火プラグ電極14aと、フレームロッド電極14bとを含んでいる。1対の点火プラグ電極14aは、点火スパークを生じさせることにより、バーナ30から噴き出された混合ガスに火炎を生じさせるものである。フレームロッド電極14bは、バーナ30で生じた火炎の間に交流電圧を印加し火炎のイオン化による導電性、整流作用を利用して、フレームロッド電極14bから火炎へ流れる直流電流を検知することにより火炎の有無を検出するためのものである。なお、点火プラグ電極14aとフレームロッド電極14bがそれぞれ1つずつでも良い。また、1対の点火プラグ電極14aのみでフレームロッド電極14bがなくても良い。
【0055】
点火プラグ14は、碍子部14cを含んでいる。碍子部14cはケース11の壁面に取り付けられている。本実施の形態においては、1対の点火プラグ電極14aと、フレームロッド電極14bとの各々は、碍子部14cを貫通しており、碍子部14cに保持されている。1対の点火プラグ電極14aおよびフレームロッド電極14bのそれぞれが碍子部14cを貫通してケース11の内部から外部に渡って延びている。1対の点火プラグ電極14aと、フレームロッド電極14bとは、横方向(上下方向に直交する方向)に互いに間隔をあけて配置されている。1対の点火プラグ電極14aと、フレームロッド電極14bとは、たとえば横方向に一列となるように配置されている。1対の点火プラグ電極14aと、フレームロッド電極14bとの各々は、金属などの導電性の材質よりなっている。碍子部14cはセラミックなどの絶縁性の材料によりなっている。
【0056】
碍子部14cは、本体部14caと、フランジ部14cbとを有している。本体部14caは、1対の点火プラグ電極14aと、フレームロッド電極14bとの各々を保持している。フランジ部14cbは、本体部14caの外周面から外方へ張り出している。碍子部14cは、正面視において長円状に構成されている。
【0057】
第2側壁11bには、貫通孔(図示せず)が設けられている。碍子部14cは、第2側壁11bの貫通孔に挿入されている。この挿入状態において、1対の点火プラグ電極14aと、フレームロッド電極14bとの各々の先端は、ケース11の内部に位置している。
【0058】
上記の挿入状態において、碍子部14cにおける本体部14caの一方端部はケース11の内部に位置している。また本体部14caの他方端部はケース11の外部に位置している。
【0059】
上記の挿入状態において、フランジ部14cbは、ケース11の外部に位置している。フランジ部14cbは、第2側壁11bの貫通孔の開口寸法より大きい寸法を有している。
【0060】
図2および
図6に示されるように、押さえ部材17は、フランジ部14cbを第2側壁11bとは反対側から押さえている。押さえ部材17がフランジ部14cbを押さえた状態で、押さえ部材17は固定部材18により第2側壁11bに固定されている。
【0061】
固定部材18は、たとえばビス、ネジ、ボルトなどの螺合部材であってもよく、またピンなどであってもよい。固定部材18は第2側壁11bを貫通しており、固定部材18の先端はケース11の内部に位置している。
【0062】
上記のように押さえ部材17が、固定部材18によりケース11の外部から第2側壁11bに固定されている。これにより、点火プラグ14をケース11にしっかりと固定することができる。なお
図6に示されるように、押さえ部材17と第2側壁11bとの間にパッキン19(
図6)が挟まれている。このパッキン19により、ケース11の内部から燃焼ガスがケース11の外部へ漏れ出すことが防止されている。固定部材18は、このパッキン19を貫通していてもよい。
【0063】
次に、上記の点火プラグ14について
図5〜
図10を用いてさらに詳しく説明する。
図5および
図6に示されるように、点火プラグ14における碍子部14cの本体部14caは、基端部14ca1と、先端部14ca2とを有している。基端部14ca1はケース11の壁面に取り付けられている。具体的には、基端部14ca1は、第2側壁11bの壁面に取り付けられている。上記の挿入状態において、基端部14ca1は、第2側壁11bの貫通孔に挿入されている。
【0064】
先端部14ca2は基端部14ca1からケース11の壁面とは反対側に突出する。本実施の形態においては、先端部14ca2はケース11の内部および外部の両方に突出している。すなわち、碍子部14cの本体部14caは、ケース11の内部に突出する第1の先端部14ca2およびケース11の外部に突出する第2の先端部14ca2を有している。なお、先端部14ca2はケース11の内部および外部の少なくともいずれかに突出していればよい。
【0065】
図6〜
図8に示されるように、本実施の形態においては、ケース11の内部に突出する第1の先端部14ca2およびケース11の外部に突出する第2の先端部14ca2の各々は、先端面TSと、溝部DPとを有している。先端面TSは、基端部14ca1と反対側に配置されている。溝部DPは、先端面TSから基端部14ca1に向けて窪むように構成されている。溝部DPは、1対の点火プラグ電極14aと、フレームロッド電極14bとの各々の間に配置されている。1対の点火プラグ電極14aと、フレームロッド電極14bとの各々が保持された碍子部の各部分は、先端面TSにおいて横方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0066】
図9および
図10に示されるように、溝部DPは、先端部14ca2の上端TEから下端BEに亘って設けられている。つまり、溝部DPは、先端部14ca2の上端TEから下端BEまでを貫通するように設けられている。
【0067】
横方向における溝部DPの幅は、先端部14ca2の上端TEから下端BEに向けて狭くなっている。溝部DPは上端TEから下端BEに向けて狭くなっている部分があれば良く、下端BEが一番狭くなっている必要はない。本実施の形態においては、溝部DPの幅は、先端部14ca2の上端TEから上端TEと下端BEとの間までで狭くなっている。なお、溝部DPは、先端部14ca2の上端TEから下端BEまで連続して狭くなっていてもよい。
【0068】
溝部DPは、傾斜壁部DPaと、真直壁部DPbとを有している。傾斜壁部DPaは、先端部14ca2の上端TEに設けられている。傾斜壁部DPaは、先端部14ca2の上端TEから下端BEに向けて平面状に高さが低くなる下り勾配を有している。傾斜壁部DPaは平面視において溝部DPの全周を取り囲むように構成されている。傾斜壁部DPaは1対の点火プラグ電極14aおよびフレームロッド電極14bの各々よりも上方に位置している。
【0069】
真直壁部DPbは傾斜壁部DPaの下端に接続されている。真直壁部DPbは上下方向にまっすぐに延びるように構成されている。真直壁部DPbの横方向の幅は一定である。なお、溝部DPは真直壁部DPbを有していなくてもよい。
【0070】
先端部14ca2は、横方向において、溝部DPの一方側に配置された一方端部EP1と、溝部DPの他方側に配置された他方端部EP2とを有している。一方端部EP1は、他方端部EP2とは反対側に、高さが低くなる下り勾配を有している。他方端部EP2は、一方端部EP1とは反対側に、高さが低くなる下り勾配を有している。一方端部EP1および他方端部EP2の各々の上端TEは、横方向において外方に向けて高さが低くなる曲面形状を有している。具体的には、一方端部EP1および他方端部EP2の各々の上端TEは、円弧形状を有している。
【0071】
図6に示されるように、溝部DPの幅は、基端部14ca1から先端面TSに向けて広くなっている。つまり、平面視において溝部DPは、先端面TS側が開放となり、溝部DPの互いに向かい合う壁同士の距離が先端面TS側に広くなっている。
【0072】
図3および
図6に示されるように、本実施の形態においては、先端部14ca2は、基端部14ca1からケース11の内部に突出している。溝部DPは、ケース11の内部に配置されている。また、
図2および
図6に示されるように、先端部14ca2は、基端部14ca1からケース11の外部に突出している。溝部DPは、ケース11の外部に配置されている。
【0073】
つまり、
図2、
図3および
図6に示されるように、本実施の形態においては、先端部14ca2は、基端部14ca1からケース11の内部および外部の両方に突出している。溝部DPは、ケース11の内部および外部の両方に配置されている。ケース11の内部に配置された溝部DPの深さは、ケース11の外部に配置された溝部DPの深さよりも大きくなっている。
【0074】
次に、本実施の形態の作用効果について比較例と対比して説明する。
図11に示されるように、比較例においては、溝部DPの幅は先端部14ca2の上端TEから下端BEまで一定である。つまり、溝部DPの幅は先端部14ca2の上端TEから下端BEに向けて狭くなっていない。このため、先端部14ca2の上端TEに付着した結露水は溝部DPに流れにくい。したがって、先端部14ca2の上端TEに溜まった結露水が1対の点火プラグ電極14aおよびフレームロッド電極14bのうちの2つの電極を互いに繋ぐことによって2つの電極が互いに導通しやすくなる。
【0075】
これに対して、本実施の形態によれば、
図12に示されるように、溝部DPは先端面TSから基端部14ca1に向けて窪み、1対の点火プラグ電極14aおよびフレームロッド電極14bの各々の間に配置され、先端部14ca2の上端TEから下端BEに亘って設けられている。そして、横方向における溝部DPの幅は、先端部14ca2の上端TEから下端BEに向けて狭くなっている。これにより、第2側壁11bの壁面で発生し碍子部14cに滴下して付着した結露水が溝部DPに流れやすくなる。このため、先端部14ca2の上端TEに溜まった結露水が1対の点火プラグ電極14aおよびフレームロッド電極14bのうちの2つの電極を互いに繋ぐことによって2つの電極が互いに導通することを抑制できる。したがって、2つの電極間の絶縁不良が発生することを抑制することができる。
【0076】
図6に示されるように、溝部DPの幅は、基端部14ca1から先端面TSに向けて広くなっている。これにより、結露水は先端部14ca2の上端TEにおいて基端部14ca1から先端面TSに向けて溜まりにくくなるため、先端部14ca2の上端TEに溜まった結露水が1対の点火プラグ電極14aおよびフレームロッド電極14bのうちの2つの電極を互いに繋ぐことによって2つの電極が互いに導通することをさらに抑制することができる。
【0077】
図12に示されるように、先端部14ca2の一方端部EP1は、他方端部EP2とは反対側に、高さが低くなる下り勾配を有しており、他方端部EP2は、一方端部EP1とは反対側に、高さが低くなる下り勾配を有している。これにより、一方端部EP1に付着した結露水を他方端部EP2とは反対側に流すことができ、他方端部EP2に付着した結露水を一方端部EP1とは反対側に流すことができる。したがって、結露水が先端部14ca2の上端TEに溜まりにくくなる。このため、先端部14ca2の上端TEに溜まった結露水が1対の点火プラグ電極14aおよびフレームロッド電極14bのうちの2つの電極を互いに繋ぐことによって2つの電極が互いに導通することをさらに抑制することができる。
【0078】
図12に示されるように、傾斜壁部DPaは、先端部14ca2の上端TEから下端BEに向けて平面状に高さが低くなる下り勾配を有している。これにより、傾斜壁部DPaの平面状に高さが低くなる下り勾配に沿って結露水を流すことで、結露水が溝部DPを流れやすくすることができる。
【0079】
図3および
図6に示されるように、先端部14ca2は、基端部14ca1からケース11の内部に突出し、溝部DPは、ケース11の内部に配置されている。これにより、ケース11の内部において先端部14ca2の上端TEに溜まった結露水が1対の点火プラグ電極14aおよびフレームロッド電極14bのうちの2つの電極を互いに繋ぐことによって2つの電極が互いに導通することを抑制することができる。
【0080】
図2および
図6に示されるように、先端部14ca2は、基端部14ca1からケース11の外部に突出し、溝部DPは、ケース11の外部に配置されている。これにより、ケース11の外部において先端部14ca2の上端TEに溜まった結露水が1対の点火プラグ電極14aおよびフレームロッド電極14bのうちの2つの電極を互いに繋ぐことによって2つの電極が互いに導通することを抑制することができる。
【0081】
ケース11の内部で発生する結露水はケース11の外部で発生する結露水よりも多い。このため、ケース11の内部に配置された溝部DPの深さがケース11の外部に配置された溝部DPの深さよりも大きくなっていることにより、ケース11の内部において発生した結露水を溝部DPに多く流すことができる。したがって、結露水が多く発生するケース11の内部において先端部14ca2の上端TEに溜まった結露水が2つの電極を互いに繋ぐことによって2つの電極が互いに導通することを効果的に抑制することができる。
【0082】
次に、点火プラグ14の各種変形例について
図13〜
図17を用いて説明する。なお、各種変形例の構成は、特に言及しない限り、本実施の形態の構成と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0083】
図13に示されるように、点火プラグ14の第1の変形例においては、点火プラグ14の溝部DPの傾斜壁部DPaは、先端部14ca2の上端TEから下端BEに向けて曲面状に高さが低くなる下り勾配を有している。これにより、傾斜壁部DPaの曲面状に高さが低くなる下り勾配に沿って結露水を流すことで、結露水が溝部DPを流れやすくすることができる。
【0084】
図14に示されるように、点火プラグ14の第2の変形例においては、点火プラグ14の溝部DPの傾斜壁部DPaは、先端部14ca2の上端TEから下端BEに向けて平面状に高さが低くなる下り勾配を有している。この傾斜壁部DPaは、仮想の円VCの接線となるように設けられている。仮想の円VCは、1対の点火プラグ電極14aと、フレームロッド電極14bの各々を各電極の周方向に取り囲み、かつ各電極が中心に位置する。このため、絶縁性を確保するように仮想の円VCを設定することにより、絶縁性を確保しつつ傾斜壁部DPaの平面状に高さが低くなる下り勾配に沿って結露水を流すことで、結露水が溝部を流れやすくすることができる。
【0085】
図15〜
図17に示されるように、点火プラグ14の第3の変形例においては、先端部14ca2は、少なくとも2つの円筒部CPを有している。具体的には、先端部14ca2は3つの円筒部CPを有している。3つの円筒部CPの各々に1対の点火プラグ電極14aおよびフレームロッド電極14bの各々が円筒部CPの軸方向に挿通されている。溝部DPは、3つの円筒部CPのうちの2つの円筒部CP同士の間に配置されている。本実施の形態においては、1対の点火プラグ電極14aが挿通された2つの円筒部CP同士の間および横方向の中央に配置された点火プラグ電極14aが挿通された円筒部CPとフレームロッド電極14bが挿通された円筒部CPとの間にそれぞれ溝部DPが配置されている。
【0086】
点火プラグ14の第3の変形例においては、2つの円筒部CP同士の間に配置された溝部DPに結露水を流すことができる。また、2つの円筒部CPに挿通された2つの電極の各々は円筒部CPの径方向に均一に絶縁性を確保することができる。
【0087】
さらに、先端部14ca2は、3つの円筒部CPのうち2つの円筒部CP同士の間に配置された接続壁DPcを有している。3つの円筒部CPの各々は接続壁DPcよりも基端部14ca1からケース11の壁面とは反対側に突出している。1対の点火プラグ電極14aおよび
フレームロッド電極14bの各々の円筒部CP内を延びる方向において、接続壁DPcの厚み寸法は円筒部CPの厚み寸法よりも小さい。接続壁DPcの上端TEは、基端部14ca1からケース11の壁面とは反対側に高さが低くなる下り勾配を有している。これにより、接続壁DPcに沿って結露水を流すことで、結露水が溝部DPを流れやすくすることができる。
【0088】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。