特許第6874332号(P6874332)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6874332起伏体および当該起伏体を備えた作業機械の組立方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874332
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】起伏体および当該起伏体を備えた作業機械の組立方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/64 20060101AFI20210510BHJP
   B66C 23/82 20060101ALI20210510BHJP
   B66C 23/26 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   B66C23/64
   B66C23/82 B
   B66C23/26 C
【請求項の数】14
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2016-217121(P2016-217121)
(22)【出願日】2016年11月7日
(65)【公開番号】特開2018-76130(P2018-76130A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100178582
【弁理士】
【氏名又は名称】行武 孝
(72)【発明者】
【氏名】前藤 鉄兵
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−040204(JP,A)
【文献】 実開昭57−091781(JP,U)
【文献】 特開昭60−252590(JP,A)
【文献】 特開2006−282287(JP,A)
【文献】 特開2000−072385(JP,A)
【文献】 特開2014−065572(JP,A)
【文献】 特開2014−043319(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00720961(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/64
B66C 23/26
B66C 23/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構成部材が互いに連結されることで構築され、水平な回動軸回りに起伏方向に回動可能なように作業機械の車体に装着される起伏体であって、
第1構成部材と、
前記回動軸と直交する連結方向において前記第1構成部材に連なるように前記第1構成部材に連結される第2構成部材と、
を有し、
前記第1構成部材は、当該第1構成部材の前記連結方向の端部において、前記第2構成部材に向かって延びるように配置される第1連結部を備え、
前記第2構成部材は、当該第2構成部材の前記連結方向の端部において、前記第1構成部材に向かって延びるように配置され、第1連結ピンによって前記第1連結部に連結される第2連結部を備え、
前記第1連結部は、第1外周面を含み、内部に前記第1連結ピンを受け入れる第1孔部が前記回動軸と平行な方向に沿って形成されている第1本体部を備え、
前記第2連結部は、
内部に前記第1連結ピンを受け入れる第2孔部が前記回動軸と平行な方向に沿って形成されており、更に、前記第1連結部と前記第2連結部との連結に伴って前記回動軸と平行な方向において前記第1本体部に隣接して配置される第2本体部と、
前記第1孔部および前記第2孔部が前記回動軸と平行な方向において合致する第1連結位置に至るまで、前記第1連結部を案内する第1ガイド機構と、
を備え、
前記第1ガイド機構は、
前記回動軸と平行な方向において前記第2本体部に隣接して配置され、前記第1連結部の前記第1本体部の前記第1外周面に当接し、更に、前記第1外周面と摺接しながら前記第1連結部を前記回動軸と直交する第1方向に沿って案内する第1ガイド面と、
前記第1ガイド面によって案内される前記第1連結部の前記第1外周面に当接し前記第1連結部の移動を規制することで、前記第1連結部を前記第1連結位置に位置決めする第1位置決め部と、
を有し、
前記回動軸と平行な方向から見て、前記第1連結部の前記第1本体部の第1外周面は、前記第1ガイド機構に向かって凸型の曲面形状を備え、
前記第1ガイド機構の前記第1ガイド面は、前記第1方向に沿って延びる平面からなり、
前記第1ガイド機構の前記第1位置決め部は、前記第1連結部の前記第1外周面と面接触するような曲面形状を備えている、起伏体。
【請求項2】
前記第1ガイド機構は、
前記回動軸と平行な方向において前記第1ガイド面と同じ側で前記第2本体部に隣接して配置され、前記第1連結部の前記第1本体部の前記第1外周面に当接し、更に、前記第1外周面と摺接しながら前記第1連結部を前記回動軸と直交する方向であって前記第1方向と交差する第2方向に沿って案内する第2ガイド面と、
前記第2ガイド面によって案内される前記第1連結部の前記第1外周面に当接し前記第1連結部の移動を規制することで、前記第1連結部を前記第1連結位置に位置決めする第2位置決め部と、
を更に有する、請求項1に記載の起伏体。
【請求項3】
前記第1ガイド面が、前記第2位置決め部として機能し、
前記第2ガイド面が、前記第1位置決め部として機能する、請求項2に記載の起伏体。
【請求項4】
前記第1ガイド面と前記第1位置決め部とが互いに連結されている、請求項1乃至3の何れか1項に記載の起伏体。
【請求項5】
前記第2ガイド面と前記第2位置決め部とが互いに連結されている、請求項1乃至4の何れか1項に記載の起伏体。
【請求項6】
前記第1位置決め部と前記第2位置決め部とが互いに連結されている、請求項1乃至5の何れか1項に記載の起伏体。
【請求項7】
前記第1ガイド面と前記第2位置決め部とが互いに連結され、前記第2ガイド面と前記第1位置決め部とが互いに連結されている、請求項2に記載の起伏体。
【請求項8】
前記第1構成部材は、前記第1構成部材の断面形状の高さ方向において前記第1連結部と間隔をおいて、かつ、前記第2構成部材に向かって延びるように配置される第3連結部を更に備え、
前記第2構成部材は、前記第2構成部材の断面形状の高さ方向において前記第2連結部と間隔をおいて、かつ、前記第1構成部材に向かって延びるように配置され、第2連結ピンによって前記第3連結部に連結される第4連結部を更に備え、
前記第3連結部は、第3外周面を含み、内部に前記第2連結ピンを受け入れる第3孔部が前記回動軸と平行な方向に沿って形成されている第3本体部を備え、
前記第4連結部は、内部に前記第2連結ピンを受け入れる第4孔部が前記回動軸と平行な方向に沿って形成されており、更に、前記第3連結部と前記第4連結部との連結に伴って前記回動軸と平行な方向において前記第3本体部に隣接して配置される第4本体部を備える、請求項1乃至の何れか1項に記載の起伏体。
【請求項9】
前記第4連結部は、前記第1孔部および前記第2孔部に挿入された前記第1連結ピンを軸心として、前記第3連結部が前記第4連結部に近づくように回動された際に、前記第3本体部の前記第3外周面に当接し前記第3連結部の回動を規制することで、前記第3孔部および前記第4孔部が前記回動軸と平行な方向において合致する第2連結位置に前記第3連結部を位置決めする回動位置決め部を、更に備える、請求項に記載の起伏体。
【請求項10】
前記第4連結部は、前記第3孔部および前記第4孔部が前記回動軸と平行な方向において合致する第2連結位置に至るまで、前記第3連結部を案内する第2ガイド機構を備え、
前記第2ガイド機構は、
前記回動軸と平行な方向において前記第4本体部に隣接して配置され、前記第3連結部の前記第3本体部の前記第3外周面に当接し、更に、前記第3外周面と摺接しながら前記第3連結部を前記第1方向に沿って案内する第3ガイド面と、
前記第3ガイド面によって案内される前記第3連結部の前記第3外周面に当接し前記第3連結部の移動を規制することで、前記第3連結部を前記第2連結位置に位置決めする第3位置決め部と、
を有する、請求項に記載の起伏体。
【請求項11】
車体と前記車体に起伏可能に装着される請求項1に記載の起伏体とを備える作業機械の組立方法であって、
前記車体を準備する車体準備工程と、
前記起伏体の前記第1構成部材および前記第2構成部材を準備する部材準備工程と、
前記第1構成部材および前記第2構成部材を連結して、前記起伏体を構築する起伏体組立工程と、
前記起伏体が前記回動軸回りに起伏方向に回動可能となるように、前記第1構成部材または前記第2構成部材を前記車体に装着する装着工程と、
を有し、
前記起伏体組立工程は、
前記第1構成部材および前記第2構成部材のうちの一方の構成部材を地上に載置し、他方の構成部材を吊り上げ機構によって吊り上げながら、前記一方の構成部材に近づくように前記他方の構成部材を移動させる第1移動工程と、
前記第1連結部の前記第1外周面を前記第2連結部の前記平面からなる前記第1ガイド面に当接させることで、前記他方の構成部材の移動を規制する規制工程と、
前記第1連結部の前記第1外周面と前記第1ガイド面とを摺接させながら前記第1ガイド面によって前記第1外周面を前記第1方向に案内し、前記他方の構成部材を前記第1方向に移動させる第2移動工程と、
前記第1連結部の前記第1外周面を前記第1位置決め部に当接させることで、前記第1連結部を前記第1連結位置に位置決めする位置決め工程と、
前記第1孔部および前記第2孔部に前記第1連結ピンを挿入し、前記第1連結部と前記第2連結部とを連結する連結工程と、
を有する、作業機械の組立方法。
【請求項12】
車体と前記車体に起伏可能に装着される請求項2に記載の起伏体とを備える作業機械の組立方法であって、
前記車体を準備する車体準備工程と、
前記起伏体の前記第1構成部材および前記第2構成部材を準備する部材準備工程と、
前記第1構成部材および前記第2構成部材を連結して、前記起伏体を構築する起伏体組立工程と、
前記起伏体が前記回動軸回りに起伏方向に回動可能となるように、前記第1構成部材または前記第2構成部材を前記車体に装着する装着工程と、
を有し、
前記起伏体組立工程は、
前記第1構成部材および前記第2構成部材のうちの一方の構成部材を地上に載置し、他方の構成部材を吊り上げ機構によって吊り上げながら、前記一方の構成部材に近づくように前記他方の構成部材を移動させる第1移動工程と、
前記第1連結部の前記第1外周面を前記第2連結部の前記平面からなる前記第1ガイド面または前記第2ガイド面に当接させることで、前記他方の構成部材の移動を規制する規制工程と、
前記第1連結部の前記第1外周面と前記第1ガイド面を摺接させながら前記第1ガイド面によって前記第1外周面を前記第1方向に案内し前記他方の構成部材を前記第1方向に移動させる、または、前記第1連結部の前記第1外周面と前記第2ガイド面とを摺接させながら前記第2ガイド面によって前記第1外周面を前記第2方向に案内し前記他方の構成部材を前記第2方向に移動させる第2移動工程と、
前記第1連結部の前記第1外周面を前記第1位置決め部または前記第2位置決め部に当接させることで、前記第1連結部を前記第1連結位置に位置決めする位置決め工程と、
前記第1孔部および前記第2孔部に前記第1連結ピンを挿入し、前記第1連結部と前記第2連結部とを連結する連結工程と、
を有する、作業機械の組立方法。
【請求項13】
車体と前記車体に起伏可能に装着される請求項に記載の起伏体とを備える作業機械の組立方法であって、
前記車体を準備する車体準備工程と、
前記起伏体の前記第1構成部材および前記第2構成部材を準備する部材準備工程と、
前記第1構成部材および前記第2構成部材を連結して、前記起伏体を構築する起伏体組立工程と、
前記起伏体が前記回動軸回りに起伏方向に回動可能となるように、前記第1構成部材または前記第2構成部材を前記車体に装着する装着工程と、
を有し、
前記起伏体組立工程は、
前記第1連結部が前記第3連結部の上方に配置され、かつ、前記第2連結部が前記第4連結部の上方に配置されるように、前記第1構成部材および前記第2構成部材のうちの一方の構成部材を地上に載置し、他方の構成部材を吊り上げ機構によって吊り上げ、更に、前記第1連結部と前記第2連結部との間隔が前記第3連結部と前記第4連結部との間隔よりも小さくなるように、前記吊り上げ機構によって前記他方の構成部材の姿勢を調整しながら、前記一方の構成部材に近づくように前記他方の構成部材を移動させる第1移動工程と、
前記第1連結部の前記第1外周面を前記第2連結部の前記平面からなる前記第1ガイド面に当接させることで、前記他方の構成部材の移動を規制する規制工程と、
前記第1連結部の前記第1外周面と前記第1ガイド面とを摺接させながら前記第1ガイド面によって前記第1外周面を前記第1方向に案内し、前記他方の構成部材を前記第1方向に移動させる第2移動工程と、
前記第1連結部の前記第1外周面を前記第1位置決め部に当接させることで、前記第1連結部を前記第1連結位置に位置決めする第1位置決め工程と、
前記第1孔部および前記第2孔部に前記第1連結ピンを挿入し、前記第1連結部と前記第2連結部とを連結する第1連結工程と、
前記第3連結部が前記第4連結部に近づくように前記第1連結ピンを軸心として前記他方の構成部材を回動させる第3移動工程と、
前記第3連結部の前記第3外周面を前記第4連結部の前記回動位置決め部に当接させることで、前記第3連結部を前記第2連結位置に位置決めする第2位置決め工程と、
前記第3孔部および前記第4孔部に前記第2連結ピンを挿入し、前記第3連結部と前記第4連結部とを連結する第2連結工程と、
を有する、作業機械の組立方法。
【請求項14】
車体と前記車体に起伏可能に装着される請求項10に記載の起伏体とを備える作業機械の組立方法であって、
前記車体を準備する車体準備工程と、
前記起伏体の前記第1構成部材および前記第2構成部材を準備する部材準備工程と、
前記第1構成部材および前記第2構成部材を連結して、前記起伏体を構築する起伏体組立工程と、
前記起伏体が前記回動軸回りに起伏方向に回動可能となるように、前記第1構成部材または前記第2構成部材を前記車体に装着する装着工程と、
を有し、
前記起伏体組立工程は、
前記第1構成部材および前記第2構成部材のうちの一方の構成部材を地上に載置し、他方の構成部材を吊り上げ機構によって吊り上げ、更に、前記第1連結部と前記第2連結部との間隔が前記第3連結部と前記第4連結部との間隔と等しくなるように、前記吊り上げ機構によって前記他方の構成部材の姿勢を調整しながら、前記一方の構成部材に近づくように前記他方の構成部材を移動させる第1移動工程と、
前記第1連結部の前記第1外周面を前記第2連結部の前記平面からなる前記第1ガイド面に当接させるとともに、前記第3連結部の前記第3外周面を前記第4連結部の前記第3ガイド面に当接させることで、前記他方の構成部材の移動を規制する規制工程と、
前記第1連結部の前記第1外周面と前記第1ガイド面とを摺接させ前記第1ガイド面によって前記第1外周面を前記第1方向に案内するとともに、前記第3連結部の前記第3外周面と前記第3ガイド面とを摺接させながら前記第3ガイド面によって前記第3外周面を前記第1方向に案内することで、前記他方の構成部材を前記第1方向に移動させる第2移動工程と、
前記第1連結部の前記第1外周面を前記第1位置決め部に当接させることで、前記第1連結部を前記第1連結位置に位置決めするとともに、前記第3連結部の前記第3外周面を前記第3位置決め部に当接させることで、前記第3連結部を前記第2連結位置に位置決めする位置決め工程と、
前記第1孔部および前記第2孔部に前記第1連結ピンを挿入し、前記第1連結部と前記第2連結部とを連結するとともに、前記第3孔部および前記第4孔部に前記第2連結ピンを挿入し、前記第3連結部と前記第3連結部とを連結する連結工程と、
を有する、作業機械の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起伏体および当該起伏体を備えた作業機械の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械として、クレーン本体と、ブーム、ジブやマストなどの起伏体と、を備えたクレーンが知られている。起伏体は、水平な回動軸回りに起伏可能なように、クレーン本体に支持されている。このような起伏体は、複数の構成部材が長手方向に沿って互いに連結されることで構成される。
【0003】
特許文献1乃至3には、ブームの基端部がクレーン本体に取り付けられるために、ブームとクレーン本体との位置合わせを容易にする技術が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載された技術では、ブームの基端部に円環状部材が取り付けられ、クレーン本体には円弧状の受け座(位置合わせ部材)が取り付けられている。ブームの取り付け時に、円環状部材が受け座に載置されることで、ブームおよびクレーン本体のピン穴の位置合わせが行われる。また、特許文献2に記載された技術では、クレーン本体のブラケットに2つの位置合わせ治具(位置合わせ部材)が所定の間隔をおいて配設されている。円弧形状を備えたブームの先端部が2つの位置合わせ治具の間に挿入されることで、ブームおよびクレーン本体のピン穴の位置合わせが行われる。更に、特許文献3に記載された技術では、ブームの下端部に2つのストッパピンが配設されている。当該2つのストッパピンが、クレーン本体に配設された円弧形状を備えたブラケット(位置合わせ部材)に当接することで、ブームおよびクレーン本体のピン穴の位置合わせが行われる。
【0005】
更に、特許文献4には、下部ジブ(構成部材)および中間テーパジブ(構成部材)が連結ピンによって互いに連結されることで、ジブが組み立てられる技術が開示されている。中間テーパジブが地面に載置された状態で、下部ジブが補助クレーンによって吊り上げられ、両者の連結が行われる。当該ジブは、中間テーパジブに固定された案内ブラケットを更に備えている。案内ブラケットは、ラチス構造からなる下部ジブの縦材および横材に当接することで、中間テーパジブに対する下部ジブの移動をガイドする。この結果、下部ジブの連結部に開口されたピン孔と中間テーパジブの連結部に開口されたピン孔との位置合わせが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−282287号公報
【特許文献2】特開2000−072385号公報
【特許文献3】特開昭60−252590号公報
【特許文献4】特開2014−065572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1乃至3に記載された技術を、起伏体の構成部材同士の連結部分に適用した場合、一方の構成部材を他方の構成部材に配置された位置合わせ部材に当接させるために、構成部材を精度良く移動させる必要があり、組立作業に多くの手間と時間を要するという問題があった。
【0008】
また、特許文献4に記載された技術では、案内ブラケットが、両ジブ部材の連結部から離れた位置に配置されている。そして、下部ジブの横材が案内ブラケットの横材案内部に当接することで、両ジブ部材の上下方向の位置が位置決めされる。また、下部ジブの縦材が案内ブラケットの縦材案内部に当接することで、両ジブ部材の前後方向の位置が位置決めされる。更に、当該技術では、下部ジブの連結部を構成する1枚の板状部材が、中間テーパジブの連結部を構成する一対の板状部材の間に挿入されることで、両ジブ部材の左右方向の位置が位置決めされる。このような構成の場合、組立作業者は、複数箇所において部材同士の位置関係を調整しながら、下部ジブを移動させる必要がある。このため、ジブの組立作業に手間がかかるという問題があった。更に、特許文献4に記載の技術では、両ジブ部材の連結に際して、互いの本体部分(縦材、横材などのラチス構造部材)が衝突しあうため、これらの部材の損傷が問題となる。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、複数の構成部材同士を容易に連結しながら組み立て作業を行うことが可能な起伏体および当該起伏体を備えた作業機械の組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る起伏体は、複数の構成部材が互いに連結されることで構築され、水平な回動軸回りに起伏方向に回動可能なように作業機械の車体に装着される起伏体であって、第1構成部材と、前記回動軸と直交する連結方向において前記第1構成部材に連なるように前記第1構成部材に連結される第2構成部材と、を有し、前記第1構成部材は、当該第1構成部材の前記連結方向の端部において、前記第2構成部材に向かって延びるように配置される第1連結部を備え、前記第2構成部材は、当該第2構成部材の前記連結方向の端部において、前記第1構成部材に向かって延びるように配置され、第1連結ピンによって前記第1連結部に連結される第2連結部を備え、前記第1連結部は、第1外周面を含み、内部に前記第1連結ピンを受け入れる第1孔部が前記回動軸と平行な方向に沿って形成されている第1本体部を備え、前記第2連結部は、内部に前記第1連結ピンを受け入れる第2孔部が前記回動軸と平行な方向に沿って形成されており、更に、前記第1連結部と前記第2連結部との連結に伴って前記回動軸と平行な方向において前記第1本体部に隣接して配置される第2本体部と、前記第1孔部および前記第2孔部が前記回動軸と平行な方向において合致する第1連結位置に至るまで、前記第1連結部を案内する第1ガイド機構と、を備え、前記第1ガイド機構は、前記回動軸と平行な方向において前記第2本体部に隣接して配置され、前記第1連結部の前記第1本体部の前記第1外周面に当接し、更に、前記第1外周面と摺接しながら前記第1連結部を前記回動軸と直交する第1方向に沿って案内する第1ガイド面と、前記第1ガイド面によって案内される前記第1連結部の前記第1外周面に当接し前記第1連結部の移動を規制することで、前記第1連結部を前記第1連結位置に位置決めする第1位置決め部と、を有する。
【0011】
本構成によれば、第1構成部材の第1連結部と第2構成部材の第2連結部とが第1連結ピンによって連結される。そして、第2連結部には、両者の連結をガイドする第1ガイド機構が備えられている。第1連結部の第1本体部の第1外周面が、第1ガイド機構の第1ガイド面に当接した後、第1ガイド面に沿って第1方向に移動されると、やがて第1外周面が第1位置決め部に当接する。この結果、第1孔部と第2孔部とが合致し、両者に第1連結ピンを挿入することができる。このため、2つの構成部材のうちの一方の構成部材の第1方向への移動と、第1外周面および第1位置決め部の当接とによって、第1孔部と第2孔部との位置合わせ、ならびに第1連結部および第2連結部の連結を容易かつ精度良く実現することができる。また、作業者は、第1連結部の第1本体部を第2連結部の第2本体部に対して回動軸と平行な方向において隣接して配置させることで、第1連結部の第1本体部と第2連結部の第1ガイド機構とを互いに近づけることができる。また、この結果、第1連結部と第2連結部とを回動軸と平行な方向において位置合わせすることができる。そして、本構成では、第1孔部と第2孔部とを位置合わせするための第1ガイド機構が第2連結部に備えられている。このため、回動軸と平行な方向および回動軸と直交する2つの方向を含む3つの方向における位置合わせが、第1連結部および第2連結部において容易に実現される。換言すれば、第1連結部および第2連結部とは異なる位置にガイド機構が備えられる場合と比較して、起伏体の組立作業を容易に行うことができる。
【0012】
上記の構成において、前記第1ガイド機構は、前記回動軸と平行な方向において前記第1ガイド面と同じ側で前記第2本体部に隣接して配置され、前記第1連結部の前記第1本体部の前記第1外周面に当接し、更に、前記第1外周面と摺接しながら前記第1連結部を前記回動軸と直交する方向であって前記第1方向と交差する第2方向に沿って案内する第2ガイド面と、前記第2ガイド面によって案内される前記第1連結部の前記第1外周面に当接し前記第1連結部の移動を規制することで、前記第1連結部を前記第1連結位置に位置決めする第2位置決め部と、を有することが望ましい。
【0013】
本構成によれば、第1ガイド機構は、更に、第2ガイド面と第2位置決め部とを備える。第1連結部の第1本体部の第1外周面が、第2連結部の第2ガイド面に当接した後、第2ガイド面に沿って第2方向に移動されると、やがて第1外周面が第2位置決め部に当接する。この結果、第1孔部と第2孔部とが合致し、両者に第1連結ピンを挿入することができる。このため、第1連結部の第1外周面を第1ガイド面および第2ガイド面のいずれのガイド面に沿って移動させた場合でも、第1孔部と第2孔部との位置合わせを容易に行うことができる。
【0014】
上記の構成において、前記第1ガイド面が、前記第2位置決め部として機能し、前記第2ガイド面が、前記第1位置決め部として機能することが望ましい。
【0015】
本構成によれば、第1ガイド機構が、第1ガイド面および第2ガイド面を備えるだけで、第1孔部と第2孔部との位置合わせを2つの方向から容易に行うことができる。
【0016】
上記の構成において、前記第1ガイド面と前記第1位置決め部とが互いに連結されていることが望ましい。
【0017】
本構成によれば、第1ガイド面と第1位置決め部とが連結されているため、両者の剛性を補い合うことができる。このため、第1連結部の第1外周面が、第1ガイド面や第1位置決め部に強く当接した場合でも、各部材が損傷することが抑止される。
【0018】
上記の構成において、前記第2ガイド面と前記第2位置決め部とが互いに連結されていることが望ましい。
【0019】
本構成によれば、第2ガイド面と第2位置決め部とが連結されているため、両者の剛性を補い合うことができる。このため、第1連結部の第1外周面が、第2ガイド面や第2位置決め部に強く当接した場合でも、各部材が損傷することが抑止される。
【0020】
上記の構成において、前記第1位置決め部と前記第2位置決め部とが互いに連結されていることが望ましい。
【0021】
本構成によれば、第1位置決め部と第2位置決め部とが連結されているため、両者の剛性を補い合うことができる。このため、第1連結部の第1外周面が、第1位置決め部や第2位置決め部に強く当接した場合でも、各部材が損傷することが抑止される。
【0022】
上記の構成において、前記第1ガイド面と前記第2位置決め部とが互いに連結され、前記第2ガイド面と前記第1位置決め部とが互いに連結されていることが望ましい。
【0023】
本構成によれば、第1連結部の第1外周面が、第1ガイド面、第2ガイド面、第1位置決め部および第2位置決め部に強く当接した場合でも、各部材が損傷することが抑止される。
【0024】
上記の構成において、前記回動軸と平行な方向から見て、前記第1連結部の前記第1本体部の第1外周面は、前記第1ガイド機構に向かって凸型の曲面形状を備え、前記第1ガイド機構の前記第1位置決め部は、前記第1連結部の前記第1外周面と面接触するような曲面形状を備えていることが望ましい。
【0025】
本構成によれば、第1本体部の第1外周面の曲面部分が、第1位置決め部に面接触することで、第1連結部が第1連結位置に位置決めされる。このため、第1位置決め部が平面から構成される場合と比較して、位置決め後に、第1孔部および第2孔部の位置が変動しにくい。この結果、作業者は、第1孔部および第2孔部に第1連結ピンを容易に装着することができる。
【0026】
上記の構成において、前記第1構成部材は、前記第1構成部材の断面形状の高さ方向において前記第1連結部と間隔をおいて、かつ、前記第2構成部材に向かって延びるように配置される第3連結部を更に備え、前記第2構成部材は、前記第2構成部材の断面形状の高さ方向において前記第2連結部と間隔をおいて、かつ、前記第1構成部材に向かって延びるように配置され、第2連結ピンによって前記第3連結部に連結される第4連結部を更に備え、前記第3連結部は、第3外周面を含み、内部に前記第2連結ピンを受け入れる第3孔部が前記回動軸と平行な方向に沿って形成されている第3本体部を備え、前記第4連結部は、内部に前記第2連結ピンを受け入れる第4孔部が前記回動軸と平行な方向に沿って形成されており、更に、前記第3連結部と前記第4連結部との連結に伴って前記回動軸と平行な方向において前記第3本体部に隣接して配置される第4本体部を備えることが望ましい。
【0027】
本構成によれば、第1連結部と第2連結部との連結に加え、第3連結部と第4連結部との連結によって、第1構成部材および第2構成部材が互いに安定して連結される。
【0028】
上記の構成において、前記第4連結部は、前記第1孔部および前記第2孔部に挿入された前記第1連結ピンを軸心として、前記第3連結部が前記第4連結部に近づくように回動された際に、前記第3本体部の前記第3外周面に当接し前記第3連結部の回動を規制することで、前記第3孔部および前記第4孔部が前記回動軸と平行な方向において合致する第2連結位置に前記第3連結部を位置決めする回動位置決め部を、更に備えることが望ましい。
【0029】
本構成によれば、作業者は、第1連結部と第2連結部とを第1連結ピンによって連結した後、一方の構成部材を第1連結ピン回りに回動させることで、第3連結部と第4連結部とを容易に連結することができる。この際、第3本体部の第3外周面が回動位置決め部に当接することで、第3孔部と第4孔部とを容易に合致させることができる。
【0030】
上記の構成において、前記第4連結部は、前記第3孔部および前記第4孔部が前記回動軸と平行な方向において合致する第2連結位置に至るまで、前記第3連結部を案内する第2ガイド機構を備え、前記第2ガイド機構は、前記回動軸と平行な方向において前記第4本体部に隣接して配置され、前記第3連結部の前記第3本体部の前記第3外周面に当接し、更に、前記第3外周面と摺接しながら前記第3連結部を前記第1方向に沿って案内する第3ガイド面と、前記第3ガイド面によって案内される前記第3連結部の前記第3外周面に当接し前記第3連結部の移動を規制することで、前記第3連結部を前記第2連結位置に位置決めする第3位置決め部と、を有することが望ましい。
【0031】
本構成によれば、第1連結部と第2連結部との連結、および第3連結部と第4連結部との連結を並行して容易に実行することができる。
【0032】
本発明の他の局面に係る作業機械の組立方法は、車体と前記車体に起伏可能に装着される上記に記載の起伏体とを備える作業機械の組立方法であって、前記車体を準備する車体準備工程と、前記起伏体の前記第1構成部材および前記第2構成部材を準備する部材準備工程と、前記第1構成部材および前記第2構成部材を連結して、前記起伏体を構築する起伏体組立工程と、前記起伏体が前記回動軸回りに起伏方向に回動可能となるように、前記第1構成部材または前記第2構成部材を前記車体に装着する装着工程と、を有し、前記起伏体組立工程は、前記第1構成部材および前記第2構成部材のうちの一方の構成部材を地上に載置し、他方の構成部材を吊り上げ機構によって吊り上げながら、前記一方の構成部材に近づくように前記他方の構成部材を移動させる第1移動工程と、前記第1連結部の前記第1外周面を前記第2連結部の前記第1ガイド面に当接させることで、前記他方の構成部材の移動を規制する規制工程と、前記第1連結部の前記第1外周面と前記第1ガイド面とを摺接させながら、前記他方の構成部材を前記第1方向に移動させる第2移動工程と、前記第1連結部の前記第1外周面を前記第1位置決め部に当接させることで、前記第1連結部を前記第1連結位置に位置決めする位置決め工程と、前記第1孔部および前記第2孔部に前記第1連結ピンを挿入し、前記第1連結部と前記第2連結部とを連結する連結工程と、を有する。
【0033】
本方法によれば、2つの構成部材のうちの一方の構成部材の第1方向への移動と、第1外周面および第1位置決め部の当接とによって、第1孔部と第2孔部との位置合わせ、ならびに第1連結部および第2連結部の連結を容易かつ精度良く実現することができる。
【0034】
本発明の他の局面に係る作業機械の組立方法は、車体と前記車体に起伏可能に装着される上記に記載の起伏体とを備える作業機械の組立方法であって、前記車体を準備する車体準備工程と、前記起伏体の前記第1構成部材および前記第2構成部材を準備する部材準備工程と、前記第1構成部材および前記第2構成部材を連結して、前記起伏体を構築する起伏体組立工程と、前記起伏体が前記回動軸回りに起伏方向に回動可能となるように、前記第1構成部材または前記第2構成部材を前記車体に装着する装着工程と、を有し、前記起伏体組立工程は、前記第1構成部材および前記第2構成部材のうちの一方の構成部材を地上に載置し、他方の構成部材を吊り上げ機構によって吊り上げながら、前記一方の構成部材に近づくように前記他方の構成部材を移動させる第1移動工程と、前記第1連結部の前記第1外周面を前記第2連結部の前記第1ガイド面または前記第2ガイド面に当接させることで、前記他方の構成部材の移動を規制する規制工程と、前記第1連結部の前記第1外周面と前記第1ガイド面または前記第2ガイド面とを摺接させながら、前記他方の構成部材を前記第1方向または前記第2方向に移動させる第2移動工程と、前記第1連結部の前記第1外周面を前記第1位置決め部または前記第2位置決め部に当接させることで、前記第1連結部を前記第1連結位置に位置決めする位置決め工程と、前記第1孔部および前記第2孔部に前記第1連結ピンを挿入し、前記第1連結部と前記第2連結部とを連結する連結工程と、を有する。
【0035】
本方法によれば、第1連結部の第1外周面を第1ガイド面および第2ガイド面のいずれのガイド面に沿って移動させた場合でも、第1孔部と第2孔部との位置合わせを容易に行うことができる。
【0036】
本発明の他の局面に係る作業機械の組立方法は、車体と前記車体に起伏可能に装着される上記に記載の起伏体とを備える作業機械の組立方法であって、前記車体を準備する車体準備工程と、前記起伏体の前記第1構成部材および前記第2構成部材を準備する部材準備工程と、前記第1構成部材および前記第2構成部材を連結して、前記起伏体を構築する起伏体組立工程と、前記起伏体が前記回動軸回りに起伏方向に回動可能となるように、前記第1構成部材または前記第2構成部材を前記車体に装着する装着工程と、を有し、前記起伏体組立工程は、前記第1連結部が前記第3連結部の上方に配置され、かつ、前記第2連結部が前記第4連結部の上方に配置されるように、前記第1構成部材および前記第2構成部材のうちの一方の構成部材を地上に載置し、他方の構成部材を吊り上げ機構によって吊り上げ、更に、前記第1連結部と前記第2連結部との間隔が前記第3連結部と前記第4連結部との間隔よりも小さくなるように、前記吊り上げ機構によって前記他方の構成部材の姿勢を調整しながら、前記一方の構成部材に近づくように前記他方の構成部材を移動させる第1移動工程と、前記第1連結部の前記第1外周面を前記第2連結部の前記第1ガイド面に当接させることで、前記他方の構成部材の移動を規制する規制工程と、前記第1連結部の前記第1外周面と前記第1ガイド面とを摺接させながら、前記他方の構成部材を前記第1方向に移動させる第2移動工程と、前記第1連結部の前記第1外周面を前記第1位置決め部に当接させることで、前記第1連結部を前記第1連結位置に位置決めする第1位置決め工程と、前記第1孔部および前記第2孔部に前記第1連結ピンを挿入し、前記第1連結部と前記第2連結部とを連結する第1連結工程と、前記第3連結部が前記第4連結部に近づくように前記第1連結ピンを軸心として前記他方の構成部材を回動させる第3移動工程と、前記第3連結部の前記第3外周面を前記第4連結部の前記回動位置決め部に当接させることで、前記第3連結部を前記第2連結位置に位置決めする第2位置決め工程と、前記第3孔部および前記第4孔部に前記第2連結ピンを挿入し、前記第3連結部と前記第4連結部とを連結する第2連結工程と、を有する。
【0037】
本方法によれば、2つの構成部材のうちの一方の構成部材の第1方向への移動と、第1外周面および第1位置決め部の当接とによって、第1孔部と第2孔部との位置合わせ、ならびに第1連結部および第2連結部の連結を容易かつ精度良く実現することができる。更に、作業者は、第1連結部と第2連結部とを第1連結ピンによって連結した後、一方の構成部材を第1連結ピン回りに回動させることで、第3連結部と第4連結部とを容易に連結することができる。
【0038】
本発明の他の局面に係る作業機械の組立方法は、車体と前記車体に起伏可能に装着される上記に記載の起伏体とを備える作業機械の組立方法であって、前記車体を準備する車体準備工程と、前記起伏体の前記第1構成部材および前記第2構成部材を準備する部材準備工程と、前記第1構成部材および前記第2構成部材を連結して、前記起伏体を構築する起伏体組立工程と、前記起伏体が前記回動軸回りに起伏方向に回動可能となるように、前記第1構成部材または前記第2構成部材を前記車体に装着する装着工程と、を有し、前記起伏体組立工程は、前記第1構成部材および前記第2構成部材のうちの一方の構成部材を地上に載置し、他方の構成部材を吊り上げ機構によって吊り上げ、更に、前記第1連結部と前記第2連結部との間隔が前記第3連結部と前記第4連結部との間隔と等しくなるように、前記吊り上げ機構によって前記他方の構成部材の姿勢を調整しながら、前記一方の構成部材に近づくように前記他方の構成部材を移動させる第1移動工程と、前記第1連結部の前記第1外周面を前記第2連結部の前記第1ガイド面に当接させるとともに、前記第3連結部の前記第3外周面を前記第4連結部の前記第3ガイド面に当接させることで、前記他方の構成部材の移動を規制する規制工程と、前記第1連結部の前記第1外周面と前記第1ガイド面とを摺接させるとともに、前記第3連結部の前記第3外周面と前記第3ガイド面とを摺接させながら、前記他方の構成部材を前記第1方向に移動させる第2移動工程と、前記第1連結部の前記第1外周面を前記第1位置決め部に当接させることで、前記第1連結部を前記第1連結位置に位置決めするとともに、前記第3連結部の前記第3外周面を前記第3位置決め部に当接させることで、前記第3連結部を前記第2連結位置に位置決めする位置決め工程と、前記第1孔部および前記第2孔部に前記第1連結ピンを挿入し、前記第1連結部と前記第2連結部とを連結するとともに、前記第3孔部および前記第4孔部に前記第2連結ピンを挿入し、前記第3連結部と前記第3連結部とを連結する連結工程と、を有する。
【0039】
本方法によれば、第1連結部と第2連結部との連結、および第3連結部と第4連結部との連結を並行して容易に実行することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、複数の構成部材同士を容易に連結しながら組み立て作業を行うことが可能な起伏体および当該起伏体を備えた作業機械の組立方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の一実施形態に係る作業機械の側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る作業機械の起伏体が組み立てられる工程を示す模式的な側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る作業機械の起伏体が組み立てられる工程を示す模式的な側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る作業機械の起伏体が組み立てられる工程を示す模式的な側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る作業機械の起伏体が組み立てられる工程を示す模式的な側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る起伏体の第1連結部および第2連結部の周辺を拡大した側面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る起伏体の第1連結部および第2連結部の周辺を拡大した上面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る起伏体の組立工程において、第1連結部が第2連結部に連結される様子を示す側面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る起伏体の組立工程において、第1連結部が第2連結部に連結される様子を示す側面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る起伏体の組立工程において、第1連結部が第2連結部に連結される様子を示す側面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る起伏体の組立工程において、第1連結部が第2連結部に連結される様子を示す側面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る起伏体の第3連結部および第4連結部の周辺を拡大した側面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る起伏体の第3連結部および第4連結部の周辺を拡大した上面図である。
図14】本発明の一実施形態に係る起伏体の組立工程において、第3連結部が第4連結部に連結される様子を示す側面図である。
図15】本発明の一実施形態に係る起伏体の組立工程において、第3連結部が第4連結部に連結される様子を示す側面図である。
図16】本発明の第1変形実施形態に係る起伏体の組立工程において、第1連結部が第2連結部に連結される様子を示す側面図である。
図17】本発明の第2変形実施形態に係る起伏体の組立工程において、第1連結部および第2連結部がそれぞれ第3連結部および第4連結部に連結される様子を示す側面図である。
図18】本発明の第3変形実施形態に係る起伏体の組立工程において、第1連結部および第2連結部がそれぞれ第3連結部および第4連結部に連結される様子を示す側面図である。
図19】本発明の第4変形実施形態に係る起伏体の第1連結部および第2連結部の周辺を拡大した上面図である。
図20】本発明の第5変形実施形態に係る起伏体の第1連結部および第2連結部の周辺を拡大した上面図である。
図21】本発明の第6変形実施形態に係る起伏体の第1連結部および第2連結部の周辺を拡大した上面図である。
図22】本発明の第7変形実施形態に係る起伏体の第2連結部の周辺を示した斜視図である。
図23】本発明の第8変形実施形態に係る起伏体の第1連結部および第2連結部の周辺を拡大した上面図である。
図24】本発明の第9変形実施形態に係る起伏体の第1連結部および第2連結部の周辺を拡大した上面図である。
図25】本発明の第10変形実施形態に係る起伏体の第1連結部および第2連結部の周辺を拡大した上面図である。
図26】本発明の第11変形実施形態に係る起伏体の第1連結部および第2連結部の周辺を拡大した側面図である。
図27】本発明の第12変形実施形態に係る起伏体の組立工程において、第3連結部が第4連結部に連結される様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るクレーン10(作業機械)の側面図である。なお、以後、各図には、「上」、「下」、「前」および「後」の方向が示されているが、当該方向は、本実施形態に係るクレーン10の構造および組立方法を説明するために便宜上示すものであり、本発明に係るクレーンの移動方向や使用態様などを限定するものではない。
【0043】
クレーン10は、クレーン本体に相当する上部旋回体12(車体)と、この上部旋回体12を旋回可能に支持する下部走行体14と、起伏体として機能するブーム16と、ブーム起伏用部材であるラチスマスト17(起伏体)と、箱マスト21と、を備える。
【0044】
ブーム16は、上部旋回体12に回動可能に支持されるブーム基端部16Pと、長手方向においてブーム基端部16Pとは反対側に配置されるブーム先端部16Qと、を備える。なお、図1に示されるブーム16は、いわゆるラチス型であり、基端側部材と、一または複数(図例では2個)の中間部材と、先端側部材とから構成される。ブーム16のブーム基端部16P側には左右一対のバックストップ45が設けられる。これらのバックストップ45は、ブーム16が図1に示される起立姿勢まで到達した時点で上部旋回体12に当接する。この当接によって、ブーム16が強風等で後方に煽られることが規制される。
【0045】
ラチスマスト17は、本発明の起伏体を構成する。ラチスマスト17は、マスト基端部17Pと、マスト先端部17Qと、を備える。マスト基端部17Pは、ブーム16の後側の位置でブーム16の回動軸と平行な回動軸回りに起伏可能なように上部旋回体12に装着される。すなわち、ラチスマスト17もブーム16の起伏方向と同方向に回動可能である。マスト先端部17Qは、長手方向においてマスト基端部17Pとは反対側に配置された、ラチスマスト17の先端部である。図1に示すように、ラチスマスト17のマスト先端部17Qには、第1マストシーブ171と、第2マストシーブ172と、が配置されている。第1マストシーブ171および第2マストシーブ172には、後記のブーム起伏用ロープ22が掛けられる。ラチスマスト17は、ブーム16の回動における支柱となる。
【0046】
ラチスマスト17のマスト基端部17P側には左右一対のバックストップ46が設けられる。これらのバックストップ46は、ラチスマスト17が図1に示される起立姿勢まで到達した時点で上部旋回体12に当接する。この当接によって、ラチスマスト17が強風等で後方に煽られることが規制される。
【0047】
更に、クレーン10は、下部スプレッダ18と、上部スプレッダ19と、ガイライン20と、ブーム起伏用ロープ22と、ブーム起伏用ウインチ38と、を備える。
【0048】
下部スプレッダ18は、下部シーブブロック181を備える。下部シーブブロック181には、複数のシーブが幅方向(左右方向)に配列されている。
【0049】
上部スプレッダ19は、下部スプレッダ18の前方に所定の間隔をおいて配置される。上部スプレッダ19は、ガイライン20を介してブーム先端部16Qに接続される。上部スプレッダ19は、上部シーブブロック191を備える。上部シーブブロック191には、複数のシーブが幅方向(左右方向)に配列されている。ガイライン20は、図1の紙面と直交する左右方向に一対配置されている。ガイライン20の後端部は上部スプレッダ19に接続され、ガイライン20の前端部はブーム先端部16Qに着脱可能に接続される。ガイライン20は、ガイリンク(金属製の板材)、ガイロープ、ガイワイヤ(金属製の線材)などを含む。
【0050】
ブーム起伏用ロープ22は、ブーム起伏用ウインチ38から引き出され、マスト先端部17Qの第1マストシーブ171、第2マストシーブ172に掛けられた後、下部シーブブロック181と上部シーブブロック191との間で複数回掛け回される。なお、下部シーブブロック181および上部シーブブロック191に掛け回された後のブーム起伏用ロープ22の先端部は、ラチスマスト17のマスト先端部17Qに固定される。
【0051】
ブーム起伏用ウインチ38は、ラチスマスト17のマスト基端部17P側に配置される。ブーム起伏用ウインチ38は、ブーム起伏用ロープ22の巻き取りおよび繰り出しを行うことで下部スプレッダ18の下部シーブブロック181と上部スプレッダ19の上部シーブブロック191との間の距離を変化させ、ブーム16をラチスマスト17に対して相対的に回動させながらブーム16を起伏させる。
【0052】
箱マスト21は、基端及び回動端(先端)を有し、ラチスマスト17の後側で上部旋回体12に回動可能に連結される。箱マスト21は、断面視で矩形形状からなる。箱マスト21の回動軸は、ブーム16の回動軸と平行でかつラチスマスト65の回動軸とほぼ同じ位置に配置されている。すなわち、この箱マスト21もブーム16の起伏方向と同方向に回動可能である。
【0053】
更に、クレーン10は、ガイライン23と、マスト起伏用ロープ26と、マスト起伏用ウインチ30と、を備える。ガイライン23は、図1の紙面と直交する左右方向に一対配置されている。ガイライン23は、ラチスマスト17のマスト先端部17Qと箱マスト21の回動端部とを接続する。この接続は、ラチスマスト17の回動と箱マスト21の回動とを連携させる。マスト起伏用ロープ26は、上部旋回体12に配置され複数のシーブが幅方向に配列されたたシーブブロック24と、箱マスト21の回動端部に配置され複数のシーブが幅方向に配列されたシーブブロック25との間で複数回掛け回される。
【0054】
マスト起伏用ウインチ30は、箱マスト21の基端部側に配置される。マスト起伏用ウインチ30は、マスト起伏用ロープ26の巻き取りおよび繰り出しを行う。マスト起伏用ウインチ30の巻き取り、繰り出し動作によって、箱マスト21の先端部のシーブブロック25と上部旋回体12の後端部のシーブブロック24との間の距離が変化し、上部旋回体12に対して箱マスト21およびラチスマスト17が一体的に回動しながら、ラチスマスト17が起伏する。
【0055】
クレーン10には、前述のマスト起伏用ウインチ30およびブーム起伏用ウインチ38以外に、吊り荷の巻上げ及び巻下げを行うための主巻用ウインチ34及び補巻用ウインチ36が搭載される。本実施形態に係るクレーン10では、主巻用ウインチ34、及び補巻用ウインチ36がいずれもブーム16の基端側部材に据え付けられる。クレーン10のウインチ34,36は上部旋回体12に搭載されていてもよい。
【0056】
主巻用ウインチ34は、主巻ロープ51(図1)による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この主巻について、ブーム16のブーム先端部16Qには不図示の主巻用ガイドシーブが回転可能に設けられ、さらに主巻用ガイドシーブに隣接する位置に複数の主巻用ポイントシーブが幅方向に配列された主巻用シーブブロックが設けられている。主巻用シーブブロックから垂下された主巻ロープ51には、吊り荷用の主フック53が連結されている。そして、主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ51が主巻用ガイドシーブに順に掛けられ、かつ、主巻用シーブブロックのシーブと、主フック53に設けられたシーブブロックのシーブとの間に掛け渡される。従って、主巻用ウインチ34が主巻ロープ51の巻き取りや繰り出しを行うと、主フック53の巻上げ及び巻下げが行われる。
【0057】
同様にして、補巻用ウインチ36は、補巻ロープ52による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この補巻については、上記の主巻と同様の不図示の構造が備えられている。そして、補巻用ウインチ36が補巻ロープ52の巻き取りや繰り出しを行うと、補巻ロープ52の末端に連結された図略の吊荷用の補フックが巻上げられ、または巻下げられる。
【0058】
また、上部旋回体12の後部には、クレーン10のバランスを調整するためのカウンタウエイト40が積載されており、上部旋回体12の後方には、カウンタウエイト41が更に配置されている。カウンタウエイト41は、クレーン10が重量物を吊り上げるために備えられるSHL(Super Heavy Lifting)用ウェイトとして、クレーン10のバランスを保つ機能を有する。カウンタウエイト41は、ウエイトライン42によってラチスマスト17のマスト先端部17Qに接続されている。
【0059】
次に、本実施形態に係るラチスマスト17の組立方法の概要について説明する。図2乃至図5は、本実施形態に係るクレーン10のラチスマスト17が組み立てられる工程を示す模式的な側面図である。
【0060】
前述のように、ラチスマスト17(起伏体)は、水平な回動軸回りに起伏方向に回動可能なようにクレーン10の上部旋回体12に装着される。更に、本実施形態では、図1および図3に示すように、ラチスマスト17は、複数の構成部材が互いに連結されることで構築されている。ラチスマスト17は、下部マスト17A(第1構成部材)と、中間マスト17B(第2構成部材)と、上部マスト17Cと、を備える。これらの構成部材は、図3に示すように公知のラチス構造を備えている。下部マスト17Aは、前述のマスト基端部17Pを含む構成部材である。中間マスト17Bは、ラチスマスト17の回動軸と直交する連結方向(ラチスマスト17の長手方向)において、下部マスト17Aに連なるように下部マスト17Aに連結される。同様に、上部マスト17Cは、前記連結方向において中間マスト17Bに連なるように中間マスト17Bに連結される。
【0061】
下部マスト17Aは、一対の第1連結部17A1を備え、中間マスト17Bは、一対の第2連結部17B1を備えている(図3図4)。
【0062】
一対の第1連結部17A1は、下部マスト17Aの前記連結方向の端部において、中間マスト17Bに向かって延びるように配置されている。また、一対の第1連結部17A1は、左右方向(ラチスマスト17の回動における軸方向、図3図4の紙面と直交する方向)において互いに間隔をおいて配置されている。このため、図3図4では、一対の第1連結部17A1のうち手前の第1連結部17A1のみが現れている。また、一対の第2連結部17B1は、中間マスト17Bの前記連結方向の端部において下部マスト17Aに向かって延びるように配置されている。なお、一対の第2連結部17B1も、左右方向において互いに間隔をおいて配置されている。このため、図3図4では、一対の第2連結部17B1のうち手前の第2連結部17B1のみが現れている。一対の第2連結部17B1は、後記の第1連結ピンP1(図11参照)によって、一対の第1連結部17A1にそれぞれ連結される。
【0063】
更に、下部マスト17Aは、一対の第3連結部17A2を備え、中間マスト17Bは、一対の第4連結部17B2を備えている(図3図4)。
【0064】
一対の第3連結部17A2は、下部マスト17Aの前記連結方向の端部に、ラチスマスト17の断面形状の高さ方向において第1連結部17A1と間隔をおいて、かつ、中間マスト17Bに向かって延びるように配置されている。なお、ラチスマスト17の前記高さ方向とは、ラチスマスト17の回動における軸方向(左右方向)および前記連結方向とそれぞれ直交する方向であり、図5のようにラチスマスト17が地面Gに載置された状態では、上下方向に相当する。また、一対の第3連結部17A2も、左右方向において互いに間隔をおいて配置されている。このため、図3図4では、一対の第3連結部17A2のうち手前の第3連結部17A2のみが現れている。
【0065】
一対の第4連結部17B2は、中間マスト17Bの前記連結方向の端部に、ラチスマスト17の断面形状の高さ方向において第2連結部17B1と間隔をおいて、かつ、下部マスト17Aに向かって延びるように配置されている。一対の第4連結部17B2も、左右方向において互いに間隔をおいて配置されている。このため、図3図4では、一対の第4連結部17B2のうち手前の第4連結部17B2のみが現れている。一対の第4連結部17B2は、後記の第2連結ピンP2(図15参照)によって一対の第3連結部17A2にそれぞれ連結される。
【0066】
図2を参照して、本実施形態では、まず、中間マスト17Bと上部マスト17Cとが地面G上で連結される。当該連結には補助クレーンが使用されてもよい。また、後記で詳述する本発明に係る組立方法に基づいて、中間マスト17Bおよび上部マスト17Cが互いに連結されてもよい。更に、中間マスト17Bと上部マスト17Cとが連結される前に、下部マスト17Aと中間マスト17Bとが連結されてもよい。
【0067】
図3に示すように、上部マスト17Cと連結された中間マスト17Bが地面Gに載置された状態で、箱マスト21の先端部から垂下された補助ロープTLによって、下部マスト17Aが吊り上げられる。この際、マスト起伏用ウインチ30(図1)がマスト起伏用ロープ26の巻き上げ、繰り出しを行うことによって、箱マスト21が回動(起伏)される。この結果、補助ロープTLに接続された下部マスト17Aの上昇、下降が可能とされる。箱マスト21の回動および下部走行体14の移動によって、下部マスト17Aが中間マスト17Bに近づくように移動される(図3図4)。下部マスト17Aは、ラチスマスト17の回動における軸方向(左右方向)と直交する移動面に沿って移動される(図3の矢印D31)。当該移動面は、図3および図4の紙面と平行な面に相当する。この際、下部マスト17Aでは、第1連結部17A1が第3連結部17A2の上方に配置され、中間マスト17Bでは、第2連結部17B1が第4連結部17B2の上方に配置される。更に、本実施形態では、図4に示すように、第1連結部17A1と第2連結部17B1との間隔が第3連結部17A2と第4連結部17B2との間隔よりも小さくなるように、箱マスト21および補助ロープTLによって下部マスト17Aの姿勢が調整されながら、下部マスト17Aが中間マスト17Bに向かって移動される。
【0068】
そして、まず、第1連結部17A1と第2連結部17B1とが第1連結ピンP1によって連結される。この結果、下部マスト17Aは、第1連結ピンP1を軸心として回動可能に中間マスト17Bに支持される。次に、マスト起伏用ウインチ30(図1)がマスト起伏用ロープ26を繰り出し、箱マスト21が下方に僅かに回動される。そして、下部マスト17Aが第1連結ピンP1回りに回動すると第3連結部17A2が第4連結部17B2に近づき、両者が第2連結ピンP2によって連結される。この結果、下部マスト17Aと中間マスト17Bとが連結される。そして、図5に示す状態から、ラチスマスト17が吊り上げられると、ラチスマスト17のマスト基端部17Pが上部旋回体12の不図示の軸支部に連結される。
【0069】
次に、上記の下部マスト17Aおよび中間マスト17Bの連結について更に詳述する。図6は、本実施形態に係るラチスマスト17の第1連結部17A1および第2連結部17B1の周辺を拡大した側面図である。図7は、ラチスマスト17の第1連結部17A1および第2連結部17B1の周辺を拡大した上面図である。なお、図6および図7は、図5のように、下部マスト17Aおよび中間マスト17Bが地面Gに倒伏、載置された状態に相当する。また、図6および図7では、第1連結部17A1と第2連結部17B1とを前後方向に離間させて示している。図8乃至図11は、本実施形態に係るラチスマスト17の組立工程において、第1連結部17A1が第2連結部17B1に連結される様子を示す側面図である。
【0070】
図6および図7を参照して、下部マスト17Aは、下部側主柱171と、下部側横材172と、を備える。下部側主柱171は、下部マスト17Aの長手方向に沿って延びる柱材であって、パイプ形状を備えている。なお、下部マスト17Aは、図6の下部側横材171の下方に、下部側主柱171と同形状の下部側主柱175(図12)を備えている。下部側主柱171および下部側主柱175は、それぞれ図6および図12の紙面と直交する方向(ラチスマスト17の回動の軸方向、図6図12の左右方向)に間隔をおいて2本ずつ配置されている。換言すれば、下部側主柱171および下部側主柱175は、ラチスマスト17の断面四角形状の四隅に配置され、下部マスト17Aの長手方向に沿って延びている。下部側横材172は、図6の下部側主柱171と図12の下部側主柱175とを上下方向に接続する。なお、左右方向に間隔をおいて配置される一対の下部側主柱171同士および下部側主柱175同士も、同様に、下部側横材172によって接続されている。
【0071】
同様に、中間マスト17Bは、中間側支柱173と、中間側横材174と、を備える。中間側支柱173は、中間マスト17Bの長手方向に沿って延びる柱材であって、パイプ形状を備えている。また、中間マスト17Bは、図6の中間側支柱173の下方に、中間側支柱173と同形状の中間側主柱176(図12)を備えている。中間側支柱173および中間側主柱176は、それぞれ図6および図12の紙面と直交する方向(ラチスマスト17の回動の軸方向、図6図12の左右方向)に間隔をおいて2本ずつ配置されている。換言すれば、中間側支柱173および中間側主柱176は、ラチスマスト17の断面四角形状の四隅に配置され、中間マスト17Bの長手方向に沿って延びている。中間側横材174は、図6の中間側支柱173と図12の中間側主柱176とを上下方向に接続する。なお、左右方向に間隔をおいて配置される一対の中間側支柱173同士および中間側主柱176同士も、同様に、下部側横材172によって接続されている。
【0072】
また、第1連結部17A1は、一対の第1板状部61(第1本体部)を備える。第1板状部61は、図6に示すように、下部側主柱171の先端部において、第2連結部17B1に向かって延びるように配置されている。また、図7に示すように、一対の第1板状部61は、左右方向において互いに間隔を置いて配置されている。第1板状部61は、左右方向に所定の厚さを備えた板状部材である。第1板状部61は、一対の第1側面61Sと、第1外周面61Aと、を備えている(図7)。一対の第1側面61Sは、ラチスマスト17の回動における軸方向の一端側および他端側(図7の左側および右側)を向いている。第1外周面61Aは、一対の第1側面61Sの外縁同士を軸方向(左右方向)に沿って接続する。図6に示すように、第1外周面61Aの先端部は、ラチスマスト17の軸方向と平行な方向からみて、第2連結部17B1に向かって凸型の曲面形状を備えており、特に本実施形態では、第1外周面61Aの先端部は、半円形状を備えている。また、一対の第1板状部61には、それぞれ、内部に第1連結ピンP1を受け入れる第1孔部62が、一対の第1側面61Sの間において、第1板状部61をラチスマスト17の回動軸と平行な方向に沿って貫通するように形成されている。なお、図6を参照して、第1外周面61Aの半円形状の中心は、第1孔部62の中心と一致している。
【0073】
また、第2連結部17B1は、第2板状部71と、第1ガイド機構73と、を備える。
【0074】
第2板状部71は、図6に示すように、中間側支柱173の先端部において、第1連結部17A1に向かって延びるように配置されている。また、図7に示すように、第2板状部71は、左右方向において中間側支柱173の中央部に配置されている。第2板状部71は、一対の第1板状部61の間に挿入可能とされるように、左右方向に所定の厚さを備えた板状部材である。すなわち、第2板状部71は、第1連結部17A1と第2連結部17B1との連結に伴って、左右方向において第1連結部17A1の一対の第1板状部61に隣接して配置される。
【0075】
第2板状部71は、一対の第2側面71Sを備えている(図7)。一対の第2側面71Sは、ラチスマスト17の回動における軸方向の一端側および他端側(図7の左側および右側)を向いている。図6に示すように、第2板状部71は、ラチスマスト17の軸方向と平行な方向からみて、第1板状部61よりも大きな略矩形形状を備えており、第2板状部71の一の角部は円弧状に面取りされている。また、第2板状部71には、内部に第1連結ピンP1を受け入れる第2孔部72が、一対の第2側面71Sの間において第2板状部71を回動軸と平行な方向に沿って貫通するように形成されている。
【0076】
第1ガイド機構73は、第2板状部71の一対の第2側面71Sに配設された板状部材である。第1ガイド機構73は、図3乃至図5のように、中間マスト17Bが地上に載置され、下部マスト17Aが箱マスト21によって吊り上げられながら中間マスト17Bに近づくように移動される際に、第1孔部62および第2孔部72が回動軸と平行な方向において合致する第1連結位置(図10)に至るまで、第1連結部17A1を案内(ガイド)する。図6に示す状態において、第1ガイド機構73は略L字型形状を備えている。
【0077】
第1ガイド機構73は、ガイド面73A(第1ガイド面)、ガイド面73Bおよびガイド面73C(第1位置決め部)を備えている。
【0078】
ガイド面73Aは、中間マスト17Bが図5および図6のように地面Gに載置された状態で、鉛直方向または略鉛直方向に沿って延びる平面からなる。ガイド面73Aは、左右方向において第2板状部71に隣接して配置され、下部マスト17Aが中間マスト17Bに向かって移動されることに伴って、第1板状部61の第1外周面61Aに当接する機能を備えている。この際、ガイド面73Aは、ラチスマスト17の回動軸と直交する第1方向(図6の下方向)において第1孔部62が第2孔部72に対して間隔をおいた位置に配置されるように、第1外周面61Aに対する当接に伴って下部マスト17Aの移動を規制する機能を備えている。更に、ガイド面73Aは、第1外周面61Aと摺接しながら第1連結部17A1を前記第1方向に沿ってガイドする機能を備えている。
【0079】
ガイド面73Bは、中間マスト17Bが図5および図6のように地面Gに載置された状態で、水平方向または略水平方向に沿って延びる平面からなる。ガイド面73Bは、下部マスト17Aが第1連結ピンP1を軸心として回動された際に、第1外周面61Aのうちガイド面73Aおよびガイド面73Cが当接する部分とは異なる部分(ガイド面73B)に当接し、後記の第3孔部82および第4孔部92が軸方向に沿って連通するように、下部マスト17Aの回動を規制する機能を備えている。なお、ガイド面73Aおよびガイド面73Bが延びる方向は、上記に限定されるものではない。
【0080】
ガイド面73Cは、ガイド面73Aとガイド面73Bとを連結するガイド面であって、第1板状部61の第1外周面61Aに沿うような円弧形状(曲面形状)を備えている。ガイド面73Cは、下部マスト17Aの第1方向(下方向)への移動に伴って、第1板状部61の第1外周面61Aのうちガイド面73Aが当接する部分とは異なる部分に当接し第1連結部17A1の移動を規制する。この結果、ガイド面73Cは、第1連結部17A1を第1連結位置(図11)に位置決めする機能を備えている。
【0081】
次に、上記の第1ガイド機構73の機能について、図4および図6乃至図11を用いて更に詳しく説明する。図4に示すように、箱マスト21の回動および下部走行体14の走行によって、下部マスト17Aが中間マスト17Bに近づけられる。この際、前述のように、第1連結部17A1と第2連結部17B1とを先に連結するために、図6に示すように下部マスト17Aの長手方向が鉛直方向および水平方向に対して傾いた状態で下部マスト17Aが移動される。
【0082】
作業者は、下部マスト17Aの第1板状部61を第1ガイド機構73に向かって(図8の矢印D81方向、前方向)移動させる。やがて、図9に示すように、第1板状部61の第1外周面61Aが第1ガイド機構73のガイド面73Aに当接することで、下部マスト17Aの移動が規制、停止される。このとき、図9に示す側面図では、第2孔部72が、第1孔部62の下方に間隔をおいた位置に配置される。
【0083】
次に、作業者は、下部マスト17Aを下方(第1方向)に移動させる。このとき、第1板状部61の第1外周面61Aと第1ガイド機構73のガイド面73Aとが摺擦することで、下部マスト17Aがガイド面73Aによってガイドされる。やがて、第1外周面61Aの円弧形状部分が第1ガイド機構73のガイド面73Cに当接し面接触することで、下部マスト17Aの第1方向への移動が規制される(図10)。そして、この結果、図10に示すように、第1連結部17A1が第1連結位置に至り、第1孔部62と第2孔部72とが合致する。
【0084】
図10に示す状態で、作業者は、第1孔部62および第2孔部72に第1連結ピンP1を挿入、固定する。この結果、第1連結部17A1と第2連結部17B1とが連結される。次に、作業者は、第3連結部17A2(図3)および第4連結部17B2(図3)の連結のために、第1連結ピンP1を支点として、下部マスト17Aを図10の矢印D101方向に回動させる。この結果、第1板状部61の第1外周面61Aの下端面61Bが、ガイド面73Bに当接し、下部マスト17Aの回動が規制(停止)される(図11)。
【0085】
図12は、本実施形態に係るラチスマスト17の第3連結部17A2および第4連結部17B2の周辺を拡大した側面図である。図13は、ラチスマスト17の第3連結部17A2および第4連結部17B2の周辺を拡大した上面図である。なお、図12および図13は、図5のように、下部マスト17Aおよび中間マスト17Bが地面Gに倒伏、載置された状態に相当する。また、図12および図13では、第3連結部17A2と第4連結部17B2とを前後方向に離間させて示している。図14および図15は、本実施形態に係るラチスマスト17の組立工程において、第3連結部17A2が第4連結部17B2に連結される様子を示す側面図である。
【0086】
第3連結部17A2は、一対の第3板状部81(第3本体部)を備える。第1板状部61は、図12に示すように、下部側主柱175の先端部において、第4連結部17B2に向かって延びるように配置されている。また、図13に示すように、一対の第3板状部81は、左右方向において互いに間隔を置いて配置されている。第3板状部81は、左右方向に所定の厚さを備えた板状部材である。第3板状部81は、一対の第3側面81Sと、第3外周面81Aと、を備えている(図13)。一対の第3側面81Sは、ラチスマスト17の回動における軸方向の一端側および他端側(図13の左側および右側)を向いている。第3外周面81Aは、一対の第3側面81Sの外縁同士を左右方向に沿って接続する。図12に示すように、第3外周面81Aは、ラチスマスト17の軸方向と平行な方向からみて、第4連結部17B2に向かって凸型の曲面形状を備えており、特に本実施形態では、第3外周面81Aは、半円形状を備えている。また、一対の第3板状部81には、それぞれ、内部に第2連結ピンP2(図15)を受け入れる第3孔部82が、一対の第3側面81Sの間において第3板状部81を左右方向に沿って貫通するように形成されている。なお、図12を参照して、第3外周面81Aの半円形状の中心は、第3孔部82の中心と一致している。
【0087】
また、第4連結部17B2は、第4板状部91(第4本体部)と、回動規制ガイド93と、を備える。
【0088】
第4板状部91は、図12に示すように、中間側主柱176の先端部において、第3連結部17A2に向かって延びるように配置されている。また、図13に示すように、第4板状部91は、左右方向において中間側主柱176の中央部に配置されている。第4板状部91は、一対の第3板状部81の間に挿入可能とされるように、左右方向に所定の厚さを備えた板状部材である。すなわち、第4板状部91は、第3連結部17A2と第4連結部17B2との連結に伴って、左右方向において第3連結部17A2の一対の第3板状部81に隣接して配置される。
【0089】
第4板状部91は、一対の第4側面91Sを備えている(図13)。一対の第4側面91Sは、ラチスマスト17の回動における軸方向の一端側および他端側(図13の左側および右側)を向いている。図12に示すように、第4板状部91は、ラチスマスト17の軸方向と平行な方向からみて、第3板状部81よりも大きな略矩形形状を備えており、第4板状部91の一の角部は円弧状に面取りされている。また、第4板状部91には、内部に第2連結ピンP2を受け入れる第4孔部92が、一対の第4側面91Sの間において第4板状部91を左右方向に沿って貫通するように形成されている。
【0090】
回動規制ガイド93は、第4板状部91の一対の第4側面91Sに配設された板状部材である。回動規制ガイド93は、中間マスト17Bが図5および図6のように地面Gに載置された状態で鉛直方向または略鉛直方向に沿って延びる平面と当該平面に接続された円弧面とからなるガイド面93Aを備えている。なお、ガイド面93Aの円弧面は、第3板状部81の第3外周面81Aの円弧形状に沿うような形状とされている。そして、ガイド93Aは、下部マスト17Aの回動における回転方向と交差する面からなる。
【0091】
前述のように、第1連結部17A1の第1孔部62および第2連結部17B1の第2孔部72に第1連結ピンP1が装着されると(図11)、下部マスト17Aは第1連結ピンP1を軸心として図10の矢印D101方向に回動される。この結果、図14の矢印D141で示すように、第3板状部81が第2ガイド機構93に近づき、やがて、第3外周面81Aがガイド面93Aに当接する(図15)。この結果、第3孔部82および第4孔部92が左右方向に沿って互いに連通する(合致する)ような第2連結位置に、第3連結部17A2が位置決めされ、下部マスト17Aの前記回動が規制される。なお、この際、第1連結部17A1および第2連結部17B1では、第1板状部61の下端面61Bが、第1ガイド機構73のガイド面73Bに当接する。したがって、ガイド面73Bも回動規制ガイド93とともに下部マスト17Aの回動を規制する機能を備えている。
【0092】
そして、作業者が第3孔部82および第4孔部92に第2連結ピンP2を装着、固定することで、第3連結部17A2と第4連結部17B2とが互いに連結される。この結果、図5に示すように、下部マスト17Aと中間マスト17Bとが完全に連結された状態とされる。
【0093】
以上のように、本実施形態では、下部マスト17Aの第1連結部17A1と中間マスト17Bの第2連結部17B1とが第1連結ピンP1によって連結される。そして、第2連結部17B1には、両者の連結をガイドする第1ガイド機構73が備えられている。第1連結部17A1の第1板状部61の第1外周面61Aが、第2連結部17B1のガイド面73Aに当接した後、ガイド面73Aに沿って第1方向に移動されると、やがて第1外周面61Aがガイド面73Cに当接する。この結果、第1孔部62と第2孔部72とが合致し、両者に第1連結ピンP1を挿入することができる。このため、2つの構成部材のうちの一方の構成部材の一方向への移動と、第1外周面61Aおよびガイド面73Cの当接とによって、第1孔部62と第2孔部72との位置合わせ、ならびに第1連結部17A1および第2連結部17B1の連結を容易かつ精度良く実現することができる。また、作業者は、第1連結部17A1の第1板状部61を第2連結部17B1の第2板状部71に対して回動軸と平行な方向において隣接して配置させることで、第1連結部17A1の第1板状部61と第2連結部17B1の第1ガイド機構73とを互いに近づけることができる。また、この結果、第1連結部17A1と第2連結部17B1とを回動軸と平行な方向(図10の紙面と垂直な方向、左右方向)において位置合わせすることができる。そして、本構成では、第1孔部62と第2孔部72とを位置合わせするための第1ガイド機構73が第2連結部17B1に備えられている。このため、回動軸と平行な方向(図10の左右方向)および回動軸と直交する2つの方向(図10の前後方向、上下方向)を含む3つの方向における位置合わせが、第1連結部17A1および第2連結部17B1において容易に実現される。換言すれば、第1連結部17A1および第2連結部17B1とは異なる位置にガイド機構が備えられる場合と比較して、ラチスマスト17の組立作業を容易に行うことができる。また、下部マスト17Aと中間マスト17Bとの連結に際して、互いのラチス本体部分(下部側主柱171および175、下部側横材172、中間側支柱173および176、中間側横材174)が衝突することがない。このため、ラチス本体部分の損傷などが抑止される。なお、本実施形態の第1ガイド機構73にガイド面73Bが備えられず、ガイド面73Cのみによって第1連結部17A1の第1方向への移動を規制する態様でもよい。
【0094】
また、本実施形態では、前記回動軸と平行な方向から見て、第1連結部17A1の第1板状部61の第1外周面61Aは、第1ガイド機構73に向かって凸型の曲面形状を備え、第1ガイド機構73のガイド面73Cは、第1連結部17A1の第1外周面61Aと面接触するような曲面形状を備えていることが望ましい。このような構成によれば、第1板状部61の第1外周面61Aの曲面部分が、ガイド面73Cに面接触することで、第1連結部17A1が第1連結位置に位置決めされる。このため、ガイド面73Cが平面から構成される場合と比較して、位置決め後に、第1孔部62および第2孔部72の位置が変動しにくい。この結果、作業者は、第1孔部62および第2孔部72に第1連結ピンP1を容易に装着することができる。
【0095】
また、本実施形態では、第1連結部17A1と第2連結部17B1との連結に加え、第3連結部17A2と第4連結部17B2との連結によって、下部マスト17Aおよび中間マスト17Bが互いに安定して連結される。そして、作業者は、第1連結部17A1と第2連結部17B1とを第1連結ピンP1によって連結した後、下部マスト17Aを第1連結ピンP1回りに回動させることで、第3連結部17A2と第4連結部17B2とを容易に連結することができる。この際、第3板状部81の第3外周面81Aが回動規制ガイド93(回動位置決め部)に当接することで、第3孔部と第4孔部とを容易に合致させることができる。
【0096】
また、本実施形態では、ラチスマスト17の回動軸と平行な方向から見て、前記第1連結部17A1の第1外周面61Aは、第1ガイド機構73に向かって凸型の曲面形状を備えている。また、第1ガイド機構73のガイド面73C(第1位置決め部)は、前記第1連結部17A1の第1外周面61Aと面接触するような曲面形状を備えている。このような構成によれば、第1外周面61Aの曲面部分が、ガイド面73Cに面接触することで、第1連結部17A1が第1連結位置に位置決めされる。このため、ガイド面73Cが平面から構成される場合と比較して、位置決め後に、第1孔部62および第2孔部72の位置が変動しにくい。この結果、作業者は、第1孔部62および第2孔部72に第1連結ピンP1を容易に装着することができる。
【0097】
また、本実施形態では、第1ガイド機構73において、ガイド面73Aとガイド面73Cとが互いに連結されている。したがって、ガイド面73Aおよびガイド面73Cの剛性を補い合うことができる。このため、第1連結部17A1の第1外周面61Aが、ガイド面73Aやガイド面73Cに強く当接した場合でも、各部材が損傷することが抑止される。
【0098】
更に、本実施形態では、図2乃至図5に示すように、クレーン10の箱マスト21を用いて、ラチスマスト17の組立を行うことができる(自力組立)。この際、第1ガイド機構73のガイド面73Aは、第2孔部72よりも前側に鉛直方向に沿って配置されている(図6)。このため、作業者は箱マスト21を下方に回動させながら、下部マスト17Aの第1板状部61の第1外周面61A(図6)をガイド面73Aに容易に当接させることができる。
【0099】
なお、本実施形態に係るクレーン10の組立方法は、車体準備工程と、部材準備工程と、起伏体組立工程と、装着工程と、を有する。車体準備工程では、クレーン10の上部旋回体12が準備される。また、部材準備工程では、ラチスマスト17の下部マスト17Aおよび中間マスト17Bが準備される。更に、起伏体組立工程では、下部マスト17Aおよび中間マスト17Bが連結され、ラチスマスト17が構築される。そして、装着工程では、ラチスマスト17が回動軸回りに起伏方向に回動可能となるように、下部マスト17Aまたは中間マスト17B(本実施形態では下部マスト17A)が上部旋回体12に装着される。
【0100】
ここで、起伏体組立工程は、第1移動工程と、規制工程と、第2移動工程と、第1位置決め工程(位置決め工程)と、第1連結工程(連結工程)と、を有する。第1移動工程では、中間マスト17Bを地面G上に載置し、下部マスト17Aを吊り上げ機構によって吊り上げながら、中間マスト17Bに近づくように下部マスト17Aを移動させる。この際、第1連結部17A1と第2連結部17B1との間隔が第3連結部17A2と第4連結部17B2との間隔よりも小さくなるように、前記吊り上げ機構によって下部マスト17Aの姿勢が調整される。規制工程では、第1連結部17A1の第1外周面61Aを第2連結部17B1のガイド面73Aに当接させることで、下部マスト17Aの移動を規制する。第2移動工程では、第1連結部17A1の第1外周面61Aとガイド面73Aとを摺接させながら、下部マスト17Aを第1方向に移動させる。また、第1位置決め工程では、第1連結部17A1の第1外周面61Aをガイド面73Cに当接させることで、第1連結部17A1を第1連結位置に位置決めする。更に、第1連結工程では、第1孔部62および第2孔部72に第1連結ピンP1を挿入し、第1連結部17A1と第2連結部17B1とを連結する。
【0101】
更に、本実施形態に係る組立方法は、第3移動工程と、第2位置決め工程と、第2連結工程と、を有する。第3移動工程では、第3連結部17A2が第4連結部17B2に近づくように第1連結ピンP1を軸心として下部マスト17Aを回動させる。また、第2位置決め工程では、第3連結部17A2の第3外周面81Aを第4連結部17B2の回動規制ガイド93に当接させることで、第3連結部17A2を第2連結位置に位置決めする。そして、第2連結工程では、第3孔部82および第4孔部92に第2連結ピンP2を挿入し、第3連結部17A2と第4連結部17B2とを連結する。
【0102】
以上、本発明の一実施形態に係るクレーン10のラチスマスト17および当該ラチスマスト17の組立方法について説明した。なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明では、以下のような変形実施形態が可能である。
【0103】
(1)上記の実施形態では、第1連結部17A1と第2連結部17B1とが連結されるにあたって、第1連結部17A1の第1外周面61Aが、まず第2連結部17B1のガイド面73A(図9)に当接する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図16は、本発明の第1変形実施形態に係るラチスマスト17の組立工程において、第1連結部17A1が第2連結部17B1に連結される様子を示す側面図である。本変形実施形態では、先の実施形態に係る第1連結部17A1と第2連結部17B1との連結態様に加え、第1連結部17A1をガイド面73Bに沿って移動させることができる。
【0104】
第1連結部17A1の第1板状部61が、第1ガイド機構73のガイド面73Bに向かって下方に移動される。やがて、第1連結部17A1の第1外周面61Aが、まずガイド面73Bに当接することで、下部マスト17Aの下降が規制される。次に、下部マスト17Aは、前方(第2方向)に移動される。このとき、第1外周面61Aがガイド面73Bに摺接することで、第1連結部17A1がガイド面73Bによってガイドされる。やがて、第1外周面61Aがガイド面73Aおよびガイド面73Cに当接することで、下部マスト17Aの前方への移動が規制されるとともに、第1孔部62と第2孔部72とが左右方向に沿って合致する。
【0105】
なお、本変形実施形態では、第1ガイド機構73のガイド面73Bが本発明の第2ガイド面に相当し、ガイド面73Aおよびガイド面73Cが本発明の第2位置決め部に相当する。ガイド面73Bは、回動軸と平行な方向においてガイド面73Aと同じ側で第2板状部71に隣接して配置されている。ガイド面73Bが第1連結部17A1を案内する方向(第2方向)は、ラチスマスト17の回動軸と直交する方向であって、先の実施形態においてガイド面73Aが案内する方向(第1方向)と交差する方向である。また、ガイド面73Aおよびガイド面73Cは、ガイド面73Bによって案内される第1連結部17A1の第1外周面61Aに当接し、第1連結部17A1の移動を規制することで、第1連結部17A1を前記第1連結位置に位置決めする。この際、ガイド面73Aが配置されず、ガイド面73Cが第1連結部17A1の移動を規制する態様でもよい。
【0106】
また、本変形実施形態においても、第1孔部62および第2孔部72に第1連結ピンP1が装着され、下部マスト17Aが回動されると、第1外周面61Aの下端面61B(図16)が、ガイド面73Bに当接する。このため、ガイド面73Bは、第1連結部17A1の回動を規制する補助回動位置決め部としての機能を兼ね備えている。
【0107】
ここで、図6または図16に示すように、第1ガイド機構73が、2つのガイド面73Aおよびガイド面73Bを備える場合には、第1連結部17A1の第1外周面61Aをガイド面73Aおよびガイド面73Bのいずれのガイド面に沿って移動させた場合でも、第1孔部62と第2孔部72との位置合わせを容易に行うことができる。この際、ガイド面73Cが、いずれの方向から移動された第1連結部17A1の第1外周面61Aに対しても、位置決め部(第1位置決め部、第2位置決め部)としての機能を備えることができる。
【0108】
そして、このような構成の場合、本発明に係る第1位置決め部と第2位置決め部とが互いに連結されていることとなる(ガイド面73C)。また、本発明に係る第2ガイド面と第2位置決め部とが互いに連結されている。したがって、第2ガイド面および第1位置決め部の剛性、ならびに、第1位置決め部および第2位置決め部の剛性を補い合うことができる。このため、第1連結部17A1の第1外周面61Aが、第1位置決め部や第2位置決め部に強く当接した場合でも、各部材が損傷することが抑止される。
【0109】
また、このような構成におけるラチスマスト17の組立方法は、先の実施形態に係る組立方法の規制工程において、第1連結部17A1の第1外周面61Aをガイド面73Aまたは73Bに当接させればよい。また、第2移動工程において、第1連結部17A1の第1外周面61Aとガイド面73Aまたはガイド面73Bとを摺接させながら、下部マスト17Aを前記第1方向または前記第2方向に移動させればよい。更に、第1位置決め工程では、第1外周面61Aをガイド面73C(第1位置決め部または第2位置決め部)に当接させることで、第1連結部17A1を第1連結位置に位置決めすればよい。
【0110】
(2)また、上記の実施形態では、下部マスト17Aと中間マスト17Bとの連結に際して、まず、第1連結部17A1と第2連結部17B1とが連結された後、下部マスト17Aが回動され、第3連結部17A2と第4連結部17B2とが更に連結される態様にて説明した。本発明は、これに限定されるものではない。図17は、本発明の第2変形実施形態に係るラチスマスト17の組立工程において、第1連結部17A1および第3連結部17A3が、それぞれ第2連結部17B1および第4連結部17B3に連結される様子を示す側面図である。本変形実施形態の第1連結部17A1および第2連結部17B1は、先の実施形態と同様である。一方、図17に示すように、第3連結部17A3は、第1連結部17A1と同様の構造を備えている。また、第4連結部17B3は、第2連結部17B1と同様の構造を備えている。
【0111】
すなわち、第3連結部17A3は、第3外周面83Aを含む第3板状部83(第3本体部)を備える。第3板状部83には、第3孔部84が開口されている。一方、第4連結部17B3は、第4板状部94(第4本体部)と、第2ガイド機構96と、を備える。第4板状部94には、第4孔部95が開口されている。第2ガイド機構96は、第1ガイド機構73と同じ形状からなり、鉛直方向に延びるガイド面96A(第3ガイド面)、水平方向に延びるガイド面96Bおよび円弧形状からなるガイド面96C(第3位置決め部)を備える。
【0112】
第2ガイド機構96は、本変形実施形態に係るラチスマスト17の組立時に、中間マスト17Bが地上に載置され、下部マスト17Aが中間マスト17Bに近づくように移動される際に、第3孔部84および第4孔部95が左右方向において互いに合致し、第2連結ピンP2が第3孔部84および第4孔部95に挿入可能となるように、第3連結部17A3をガイドする機能を備えている。
【0113】
ガイド面96Aは、左右方向において第4板状部94に隣接して配置され、下部マスト17Aが前方向に移動されることに伴って第3連結部17A3の第3本体部83の第3外周面83Aに当接する。また、ガイド面96Aは、下方向(第1方向)において第3孔部84が第4孔部95に対して間隔をおいた位置に配置されるように、第3外周面83Aに対する当接に伴って下部マスト17Aの移動を規制し、更に、第3外周面83Aと摺接しながら下部マスト17Aを前記第1方向に沿ってガイドする。
【0114】
また、ガイド面96Bおよびガイド面96Cは、下部マスト17Aの前記第2方向への移動に伴って、第3板状部83の第3外周面83Aのうちガイド面96Aが当接する部分とは異なる部分に当接することで、第3孔部84および第4孔部95が左右方向に沿って互いに連通するように第3連結部17A2の第1方向への移動を規制する。
【0115】
本変形実施では、矢印D171およびD172のように、第1連結部17A1および第3連結部17A3が、それぞれ、第2連結部17B1および第4連結部17B3に同時に近づけられる。そして、第1連結部17A1の第1外周面61Aが第1ガイド機構73のガイド面73Aに当接するとほぼ同時に、第3連結部17A3の第3外周面83Aが第2ガイド機構96のガイド面96Aに当接する。その後、矢印D173(第1方向)のように、下部マスト17Aが下降されると、第1連結部17A1の第1板状部61の第1外周面61Aおよび下端面61Bがガイド面73Cおよびガイド面73Bに当接するとともに、第3連結部17A3の第3板状部83の第3外周面83Aおよび下端面83Bが、ガイド面96Cおよびガイド面96Bに当接する。この結果、第1連結部17A1が第1連結位置に位置決めされ、第3連結部17A3が第2連結位置に位置決めされる。そして、第1孔部62が第2孔部72に連通するとともに、第3孔部84が第4孔部95に連通するため、第1連結ピンP1および第2連結ピンP2の装着が可能とされる。なお、本変形実施形態では、ガイド面73Cに加え、ガイド面73Bが本発明の第1位置決め部として機能する。また、図17において、第1ガイド機構73がガイド面73Bを備えず、第2ガイド機構96がガイド面96Bを備えない態様でもよい。また、本変形実施形態においても、第1連結部17A1および第3連結部17A3が、ガイド面73Bおよびガイド面96Bに沿って、水平方向に沿って案内された後、それぞれ、ガイド面73C、96Cに当接されてもよい。
【0116】
このように、本変形実施形態によれば、作業者は、第1連結部17A1と第2連結部17B1との連結、および第3連結部17A3と第4連結部17B3との連結を並行して実行することができる。
【0117】
また、このような構造を備えたラチスマスト17の組立方法は、前述の起伏体組立工程が、第1移動工程と、規制工程と、第2移動工程と、位置決め工程と、連結工程と、を有する。第1移動工程では、第1連結部17A1と第2連結部17B1との間隔が第3連結部17A3と第4連結部17B3との間隔と等しくなるように、吊り上げ機構によって下部マスト17Aの姿勢が調整される。規制工程では、第1連結部17A1の第1外周面61Aを第2連結部17B1のガイド面73Aに当接させるとともに、第3連結部17A3の第3外周面83Aを第4連結部17B3のガイド面96Aに当接させることで、下部マスト17Aの移動を規制する。第2移動工程では、第1連結部17A1の第1外周面61Aとガイド面73Aとを摺接させるとともに、第3連結部17A3の第3外周面83Aとガイド面96Aとを摺接させながら、下部マスト17Aを第1方向に移動させる。位置決め工程では、第1連結部17A1の第1外周面61Aをガイド面73Cに当接させることで、第1連結部17A1を第1連結位置に位置決めするとともに、第3連結部17A3の第3外周面83Aをガイド面96Cに当接させることで、第3連結部17A3を第2連結位置に位置決めする。更に、連結工程では、第1孔部62および第2孔部72に第1連結ピンP1を挿入し、第1連結部17A1と第2連結部17B1とを連結するとともに、第3孔部84および第4孔部95に第2連結ピンP2を挿入し、第3連結部17A3と第4連結部17B3とを連結する。
【0118】
(3)また、上記の第2実施形態では、第1連結部17A1および第2連結部17B1、ならびに、第3連結部17A3および第4連結部17B3がそれぞれ1本の第1連結ピンP1および第2連結ピンP2によって連結される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図18は、本発明の第3変形実施形態に係る起伏体の組立工程において、第1連結部17A4および第3連結部17A5が、それぞれ第2連結部17B4および第4連結部17B5に連結される様子を示す側面図である。本変形実施形態では、第1板状部63および第3板状部85にそれぞれ2つの第1孔部64および第3孔部86が開口されている。同様に、第2板状部74および第4板状部97にはそれぞれ2つの第2孔部75および第4孔部98が開口されている。本変形実施形態においても、下部マスト17Aが、矢印D181、182方向に移動されると、まず第1外周部63Aおよび第3外周部85Aが、それぞれガイド面76Aおよび99Aに当接する。その後、下部マスト17Aが、ガイド面76A、99Aに沿って矢印D183方向(第1方向)に移動されると、まず第1外周部63Aの底部63Bおよび第3外周部85Aの底部85Bが、ガイド面76Bおよび76C、ガイド面99Bおよび99Cに、それぞれ当接する。この結果、第1孔部64および第3孔部86が、それぞれ第2孔部75および第4孔部98に連通する。作業者によって、第1連結ピンP1および第2連結ピンが2本ずつ装着、固定されることで、下部マスト17Aと中間マスト17Bとが連結される。
【0119】
(4)また、先の実施形態では、図7に示すように、第2板状部71の両側部に一対の第1ガイド機構73が配置される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図19乃至図21は、本発明の第4、第5および第6変形実施形態に係る起伏体の第1連結部および第2連結部の周辺を拡大した上面図である。図19に示す第4変形実施形態では、左右方向に間隔をおいて配置される一対の第2連結部17B1において、第2板状部71の左右方向(ラチスマスト17の回動における軸方向)の外側にのみ、第1ガイド機構73が配置されている。また、図20に示す第5変形実施形態では、左右方向に間隔をおいて配置される一対の第2連結部17B1において、第2板状部71の左右方向の内側にのみ、第1ガイド機構73が配置されている。更に、図21に示す第6変形実施形態では、左右方向に間隔をおいて配置される一対の第2連結部17B1において、第2板状部71の左側にのみ、第1ガイド機構73が配置されている。このように第1ガイド機構73が配置される場合であっても、第1連結部17A1の第2連結部17B1に対する移動を容易かつ精度良くガイドすることができる。
【0120】
(5)また、本発明の各ガイド面は、板状のガイド機構に備えられるものに限定されるものではない。図22は、本発明の第7変形実施形態に係る起伏体の第2連結部17B6の周辺を示した斜視図である。本変形実施形態では、中間側支柱173の先端部に、第2板状部71および第1ガイド機構73が形成されている。すなわち、中間側支柱173の先端部が切り込まれた形状を備えることで、第1ガイド機構73のガイド面73A、73Bおよび73Cがそれぞれ形成されている。このような構成によれば、各ガイド面の剛性、強度を高めることができるため、ガイド面の変形、損傷を抑止することができる。
【0121】
(6)また、先の実施形態では、図7に示すように、2枚の第1板状部61の間に1枚の第2板状部71が挿入されるとともに、第2板状部71の両側部に一対の第1ガイド機構73が配置される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図23乃至図25は、本発明の第8、第9および第10変形実施形態に係る起伏体の第1連結部および第2連結部の周辺を拡大した上面図である。
【0122】
図23に示す第8変形実施形態では、第1連結部17A6が1枚の第1板状部61を備える。一方、第2連結部17B7は2枚の第2板状部71を備え、その間に第1ガイド機構73が配置されている。また、図24に示す第9変形実施形態では、先の実施形態と同様の第1連結部17A1に対して、第2連結部17B7が2枚の第2板状部71を備え、その間に第1ガイド機構73が配置されている。この場合、2枚の第1板状部61のうちの右側の第1板状部61が、第1ガイド機構73によってガイドされながら、第1連結部17A1が第2連結部17B7に連結される。また、図25に示す第10変形実施形態では、先の実施形態と同様の第1連結部17A1に対して、第2連結部17B8は3枚の第2板状部71を備え、その間に2枚の第1ガイド機構73が配置されている。この場合、2枚の第1板状部61が、それぞれ第1ガイド機構73によってガイドされながら、第1連結部17A1が第2連結部17B7に連結される。
【0123】
(7)更に、図26は、本発明の第11変形実施形態に係る起伏体の第1連結部17A1および第2連結部17B9の周辺を拡大した側面図である。第2連結部17B9のように、第1ガイド機構77は、ガイド面77A(第1ガイド面、第2位置決め部)およびガイド面77B(第2ガイド面、第1位置決め部)を備え、当該ガイド面同士は互いに離間して配置されてもよい。図26に示す構成では、ガイド面77Aが、本発明の第2位置決め部として機能し、ガイド面77Bが、本発明の第1位置決め部として機能する。本構成によれば、第1ガイド機構77が、ガイド面77Aおよびガイド面77Bを備えるだけで、第1孔部62と第2孔部72との位置合わせを2つの方向から容易に行うことができる。
【0124】
また、図26に示す構成では、本発明に係る第1ガイド面と第2位置決め部とが互いに連結され、第2ガイド面と第1位置決め部とが互いに連結されている。このため、第1連結部の第1外周面が、第1ガイド面、第2ガイド面、第1位置決め部および第2位置決め部に強く当接した場合でも、各部材が損傷することが抑止される。
【0125】
また、図27は、本発明の第12変形実施形態に係る起伏体の第3連結部17A2および第4連結部17B10の周辺を拡大した側面図である。第4連結部17B10のように、回動規制ガイド100(回動位置決め部)は、図5に示す中間マスト17Bの姿勢において、鉛直方向に沿って延びるガイド面であってもよい。この場合も、下部マスト17Aが矢印D271方向に回動されると、第1板状部81の第1ガイド面81Aが回動規制ガイド100に当接することで、下部マスト17Aの回動が規制、停止される。また、第3孔部82が第4孔部92に連通し、両者に第2連結ピンP2の挿入が可能となる。
【0126】
(8)また、上記の実施形態および変形実施形態では、中間マスト17Bが地面Gに載置され、下部マスト17Aが吊り上げ機構によって吊り上げられる態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図3図6において、下部マスト17Aが地面Gに載置され、中間マスト17Bが吊り上げ機構によって吊り上げられながら下部マスト17Aに向かって移動される態様でもよい。この場合、中間マスト17Bの移動によって、図6のガイド面73Aが第1板状部61の第1外周面61Aに当接することで、中間マスト17Bの後方への移動が規制される。その後、中間マスト17Bが上方(第1方向)に移動されると、第1板状部61の下端面61Bがガイド面73Bに当接することで、中間マスト17Bの上方移動が規制される。この結果、第1孔部62と第2孔部72とが軸方向において連通し、第1連結ピンP1の装着、固定が可能となる。このように、本発明に係るガイド機構(第1ガイド機構、第2ガイド機構、回動位置決め部)は、吊り上げ機構によって吊り上げられる側の構成部材に備えられるものでもよい。
【0127】
また、上記の実施形態では、クレーン10の箱マスト21によって下部マスト17Aが吊り上げられる態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。下部マスト17Aの吊り上げのために、他の補助クレーン(相判機)が使用される態様でもよい。また、本発明の起伏体は、ラチスマスト17に限定されるものではなく、ブーム16やジブなどの構成部材であってもよい。
【符号の説明】
【0128】
10 クレーン(作業機械)
12 上部旋回体(車体)
14 下部走行体
16 ブーム
17 ラチスマスト
171、175 下部側主柱
172 下部側横材
173、176 中間側支柱
174 中間側横材
17A 下部マスト(第1構成部材)
17A1、17A4、17A6 第1連結部
17A2、17A3、17A5 第3連結部
17B 中間マスト(第2構成部材)
17B1、17B4、17B6、17B7、17B8、17B9 第2連結部
17B2、17B3、17B5、17B10 第4連結部
17C 上部マスト
21 箱マスト
24、25 シーブブロック
26 マスト起伏用ロープ
30 マスト起伏用ウインチ
61、63 第1板状部(第1本体部)
61A、63A 第1外周面
61S 第1側面
62、64 第1孔部
71、74 第2板状部(第2本体部)
71S 第2側面
72、75 第2孔部
73、76 第1ガイド機構
73A ガイド面(第1ガイド面)
73B ガイド面(第2ガイド面)
73C ガイド面(第1位置決め部、第2位置決め部)
81、83、85 第3板状部(第3本体部)
81A、83A、85A 第3外周面
81S 第3側面
82、86 第3孔部
91、94、97 第4板状部(第4本体部)
91S 第4側面
92、95、98 第4孔部
93 回動規制ガイド(回動位置決め部)
96、99 第2ガイド機構
96A、99A ガイド面(第3ガイド面)
96B、96C、99B、99C ガイド面(第3位置決め部)
G 地面
TL 補助ロープ
図1
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