(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874337
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】容器のリーク検査装置及びリーク検査方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/26 20060101AFI20210510BHJP
G01M 3/32 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
G01M3/26 A
G01M3/26 M
G01M3/32 R
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-220559(P2016-220559)
(22)【出願日】2016年11月11日
(65)【公開番号】特開2018-77187(P2018-77187A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 正志
(72)【発明者】
【氏名】幡野 修
(72)【発明者】
【氏名】権藤 聖仁
【審査官】
亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/057636(WO,A1)
【文献】
特開昭56−103341(JP,A)
【文献】
特開平09−196801(JP,A)
【文献】
特開2010−197054(JP,A)
【文献】
特開昭50−096291(JP,A)
【文献】
特開2004−117135(JP,A)
【文献】
特開2011−058920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00 − 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器製造ラインから整列搬送された容器のうち、複数の容器の口部にそれぞれ検査ヘッドを装着する検査ヘッド装着部と、
前記複数の容器それぞれに装着された前記検査ヘッドに、供給圧を同時に送り、密閉された前記複数の容器内の圧力を検査圧にする圧力供給部と、
密閉された前記複数の容器内の経時的な圧力変化を検出して、前記複数の容器のリーク判定を行うリーク判定部とを備え、
前記リーク判定部は、前記複数の容器の対になる容器内の差圧を検出する差圧センサを備え、該差圧センサの出力に基づいてリーク判定を行い、かつ、前記複数の容器それぞれの内圧を前記差圧と同時に検出する直圧センサを備えることを特徴とする容器のリーク検査装置。
【請求項2】
前記圧力供給部に繋がる圧力供給配管と前記リーク判定部に繋がる圧力検出配管がそれぞれ分離して前記検査ヘッドに接続されていることを特徴とする請求項1に記載された容器のリーク検査装置。
【請求項3】
前記検査ヘッド装着部は、前記検査ヘッドを前記複数の容器の搬送方向に沿って移動する移動機構を備え、
前記移動機構は、前記複数の容器に装着された前記検査ヘッドを、前記複数の容器の搬送に同期して移動し、検査後に前記複数の容器から離脱した前記検査ヘッドを、前記搬送方向とは逆向きに移動することを特徴とする請求項1又は2に記載された容器のリーク検査装置。
【請求項4】
容器製造ラインから整列搬送された容器のうち、複数の容器の口部にそれぞれ検査ヘッドを装着する検査ヘッド装着工程と、
前記複数の容器それぞれに装着された前記検査ヘッドに、供給圧を同時に送り、密閉された前記複数の容器内の圧力を検査圧にする圧力供給工程と、
密閉された前記複数の容器内の経時的な圧力変化を検出して、前記複数の容器のリーク判定を行うリーク判定工程とを有し、
前記リーク判定工程では、前記複数の容器の対になる容器内の差圧を検出して、該差圧に基づいてリーク判定を行い、かつ、前記複数の容器それぞれの内圧を、前記差圧と同時に検出することを特徴とする容器のリーク検査方法。
【請求項5】
前記複数の容器に装着した前記検査ヘッドを、前記複数の容器の搬送に同期して移動しながら、前記圧力供給工程と前記リーク判定工程を行い、
前記リーク判定工程の後、前記検査ヘッドを前記複数の容器から離脱して、前記複数の容器の搬送方向とは逆向きに移動させることを特徴とする請求項4に記載された容器のリーク検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器製造ラインの下流側で、容器のリークを検査する検査装置及び検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製ボトルや缶などの容器製造ラインの下流側では、製造された容器が所定の気密性能を有しているか否を検査するリーク検査が行われている。このようなリーク検査は、検査ヘッドを容器の口部に装着して、密閉状態の容器内に加圧エアを供給することで、容器内に検査圧を付与し、その後一定時間密閉状態を保持して、その間に検出される容器内圧の圧力低下量からリークの有無を判断している。
【0003】
下記特許文献1に記載された従来技術では、合成樹脂製のボトルを対象にして、ボトル口部に検査ヘッドを装着し、供給バルブを所定の間だけ開とし供給バルブを閉じた直後のボトル内圧を基準内圧として、その基準内圧が予め規定した第1閾値を超えているか否かをチェックし、その第1閾値を超えている場合は、ボトルのエア密閉状態を一定時間保持し、ボトル内圧の一定時間経過後の基準内圧からの圧力低下量を差圧センサにより計測し、圧力低下量が予め規定した第2閾値を超えていない場合に、そのボトルを良品(リーク無)と判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−109259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
容器製造ラインの下流側では、容器の温度は高温状態から徐々に常温に低下する温度変化が生じる。例えば、合成樹脂製ボトルであれば、ブロー金型から取り出された直後のボトルは、胴部で40〜50℃程の高温になっており、容器製造ライン下流側のリーク検査装置入口では30℃程度になる。その後搬送される過程でボトルの温度は常温(25℃程度)に低下する。
【0006】
容器製造ラインの下流側でリーク検査を行う場合には、前述した容器の温度変化を十分に考慮する必要がある。容器の温度が高いと基準内圧からの圧力低下量が小さくなるので、前述したリーク検査における閾値は、容器の温度を考慮した値に設定することが必要になる。
【0007】
リーク検査装置に流れてくるボトル胴部の温度は、連続生産時では前述の30℃程度になるが、容器製造ラインが一時停止し、再スタートする場合は常温付近のボトルが流れてくる場合もある。このため、全ての温度範囲に対応した広い閾値の設定、または、リーク検査装置入口のボトルの温度に応じて、適宜閾値を変更するといった煩雑な調整が必要になり、生産性の高いリーク検査を行うことができない問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものである。すなわち、本発明は、容器製造ラインの下流側における容器のリーク検査において、容器温度の変化を考慮することなく、高い生産性で高精度のリーク検査を行うこと、などを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
容器製造ラインから整列搬送された容器のうち、複数の容器の口部にそれぞれ検査ヘッドを装着する検査ヘッド装着部と、前記複数の容器それぞれに装着された前記検査ヘッドに、供給圧を同時に送り、密閉された前記複数の容器内の圧力を検査圧にする圧力供給部と、密閉された前記複数の容器内の経時的な圧力変化を検出して、前記複数の容器のリーク判定を行うリーク判定部とを備え、前記リーク判定部は、前記複数の容器の対になる容器内の差圧を検出する差圧センサを備え、該差圧センサの出力に基づいてリーク判定を行うことを特徴とする容器のリーク検査装置。
【発明の効果】
【0010】
このような特徴を有する容器のリーク検査装置は、容器製造ラインから整列搬送された容器のうち、複数の容器の対になる容器を対象に、容器内の差圧を検出してリーク判定を行う。整列搬送された容器における複数の容器の対になる容器は、容器温度がほぼ等しいので、それらの容器内の差圧を検出することで、容器温度の変化を考慮することなく、生産性が高く高精度のリーク判定を行うことができる。
【0011】
また、対になる容器内の差圧は、容器の大小に拘わらず検出される圧力変化の範囲が小さいので、この小さい圧力変化の範囲を差圧センサのフルレンジに対応させることで、微小な圧力変化を高感度で検出することが可能になる。これによっても精度の高いリーク判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る容器のリーク検査装置の構成例を示した説明図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る容器のリーク検査装置の設置例を示した説明図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る容器のリーク検査装置によるリーク有無の判定例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を、一対の容器に対してリーク検査を行う場合に基づいて説明する。以下、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る容器のリーク検査装置(以下、リーク検査装置)1は、検査ヘッド装着部2、圧力供給部3、リーク判定部4を備えている。ここで、検査対象となるのは、容器製造ラインから整列搬送されてきた一対の容器W1,W2である。対象の容器W1,W2は、口部を塞ぐことで密閉性を確保できるものであればよく、合成樹脂製ボトル、金属缶、金属ボトル缶、パウチなど、各種の容器を対象とすることができる。そして、本実施形態においては、このリーク検査装置1によって、同時に検査対象となるのは、容器製造ラインから整列搬送された容器のうち、近隣の一対の容器W1,W2であり、これらの容器温度がほぼ同等であることが前提になっている。
【0015】
検査ヘッド装着部2は、検査対象となる一対の容器W1,W2の口部にそれぞれ検査ヘッド20,21を装着する機能を有する。検査ヘッド20,21は、容器W1,W2の口部をそれぞれ密閉すると共に、圧力供給部3に繋がる圧力供給配管30,31とリーク判定部4に繋がる圧力検出配管40,41の端部が接続されている。これにより、検査ヘッド20(21)が容器W1(W2)の口部に装着されると、その口部が密閉されて、圧力供給配管30(31)と圧力検出配管40(41)の端部が容器W1(W2)内に連通することになる。
【0016】
図1に示した検査ヘッド装着部2の具体的な構成例を説明すると、検査ヘッド装着部2は、検査ヘッド20,21を上昇又は下降操作するためのエアシリンダ22,23を備えている。エアシリンダ22には、エアシリンダを動作するための配管24A,24Bが接続され、エアシリンダ23には、配管24A,24Bからそれぞれ分岐した配管24C,24Dが接続されている。圧力供給源に圧力調整弁26を介して接続されている配管24Eと配管24A,24Bとの間には、流路切り替え弁25が接続されており、流路切り替え弁25を切り替え操作することで、エアシリンダ22,23が作動して検査ヘッド20,21が上昇又は下降する。なお、検査ヘッド20,21を上昇又は下降操作するための機構は前述のエアシリンダに限定されるものでは無く、電動シリンダなどの他のアクチュエータを用いても良い。
【0017】
圧力供給部3は、一対の容器W1,W2それぞれに装着された検査ヘッド20,21に供給圧を同時に送り、密閉された一対の容器W1,W2内の圧力を検査圧に上昇させる。
図1に示したより具体的な構成としては、圧力供給部3は、圧力供給配管30,31に接続される流路切り替え弁32,33を備えている。流路切り替え弁32,33には、圧力調整弁34を介して圧力供給源に接続されている配管35と、そこから分岐した配管36がそれぞれ接続されている。流路切り替え弁32,33を同時に検査ヘッド20,21側に切り替え操作することで、検査ヘッド20,21に供給圧が同時に送られる。その後、所定の時間が経過し容器内圧が検査圧に到達した後、流路切り替え弁32,33が閉側に同時に切り替わり、圧力供給が停止し密閉状態となる。
【0018】
圧力供給部3における供給圧の設定は、一対の容器W1,W2内に付与される検査圧に対して高めに設定することが好ましく、供給圧を検査圧より高めに設定することで、一対の容器W1,W2内の加圧時間を短縮することが可能になる。
【0019】
リーク判定部4は、検査ヘッド20,21によって密閉された一対の容器W1,W2内の経時的な圧力変化を検出して、一対の容器W1,W2のリーク判定を行う。ここでは、リーク判定部4は、一対の容器W1,W2内の差圧を検出する差圧センサ42を備えている。差圧センサ42には、一端が検査ヘッド20,21に接続されている圧力検出配管40,41の他端が接続されている。
【0020】
図1に示したリーク判定部4のより具体的な構成としては、圧力検出配管40,41の他端が更に分岐して直圧センサ43,44に接続されており、差圧センサ42と直圧センサ43,44とで圧力検出部45が構成されている。直圧センサ43,44は、一対の容器W1,W2それぞれの内圧を直接検出するものであり、圧力検出配管40,44の他端を分岐して直圧センサ43,44に接続することで、差圧センサ42によって検出される一対の容器W1,W2内の差圧と、直圧センサ43,44によって検出される一対の容器W1,W2それぞれの内圧とを同時に検出することができる。
【0021】
また、リーク判定部4は、演算処理部46を備えており、差圧センサ42と直圧センサ43,44の出力が演算処理部46に入力される。演算処理部46は、差圧センサ42と直圧センサ43,44の出力に基づいて、容器W1,W2にリークが有るか否かの判定を行う。
【0022】
ここで、リーク判定部4に繋がる圧力検出配管40,41は、圧力供給部3に繋がる圧力供給配管30,31とは分離した状態で、検査ヘッド20,21に接続されている。このように圧力供給配管30,31と圧力検出配管40,41とを分離した状態で検査ヘッド20,21に接続することで流路切り替え弁32,33の動作時に生じるハンチング時間を短縮することができる。
【0023】
図2は、リーク検査装置1の設置例を示している。このリーク検査装置1は、コンベヤなどの搬送装置60によって1列に整列搬送されている容器Wのうち、近隣の一対の容器W1,W2を検査対象とし、容器Wの搬送方向に沿って検査ヘッド20,21を移動しながら、順次容器Wのリーク検査を行う。このため、リーク検査装置1は、搬送装置60の搬送方向に沿ってガイドレール50を設けており、ガイドレール50に沿って検査ヘッド20,21を移動させる移動機構51,52を備えている。
【0024】
移動機構51,52は、検査ヘッド20,21を一対の容器W1,W2の搬送に同期して移動すると共に、検査ヘッド20,21を搬送方向とは逆向きに移動する。この移動機構51,52は、検査ヘッド20,21を一対の容器W1,W2に装着した後は、搬送装置60の移動速度と同じ速度で検査ヘッド20,21を移動させ、一対の容器W1,W2から検査ヘッド20,21を離脱した後は初期位置復帰動作に入り、移動速度を速めて搬送方向とは逆向きに検査ヘッド20,21を移動させ、待機状態となる。なお、図示しないが搬送装置60上に容器Wを検出するセンサを配置し、容器Wを検出したタイミングに合わせて、検査ヘッド20,21の容器Wへの装着および移動機構51、52による移動を個別に行う構成としても良い。これにより容器Wのピッチにバラツキがあった場合でも確実に検査ヘッド20、21を容器に装着可能となる。
【0025】
次に、
図3を参照しながら、リーク検査装置1によるリーク検査の方法を説明する。検査の開始は、先ず、検査ヘッド装着部2によって、検査ヘッド20,21を一対の容器W1,W2の口部に装着する(検査ヘッド装着工程)。
図2に示した例では、搬送装置60の移動に移動機構51,52の移動を同期させて、流路切り替え弁25の切り替え操作によってエアシリンダ22,23を動作させ、検査ヘッド20,21を下降させる。
【0026】
検査ヘッド20,21の装着が完了すると、圧力供給部3によって、検査ヘッド20,21に供給圧を同時に送って、容器W1,W2内を加圧し、容器W1,W2内の圧力を検査圧に上昇させる(圧力供給工程)。供給圧の印加は、圧力供給部3における流路切り替え弁32,33の同時切り替えによってなされ、流路切り替え弁32,33を開側に切り替えて供給圧をオンにし、その後、所定の時間が経過した後に流路切り替え弁32,33を閉側に切り替えて供給圧をオフにし、容器内圧を検査圧に保持する。
【0027】
印加される供給圧は、前述したように、検査圧より高く設定することが好ましく、供給圧を高く設定することで、加圧時間を短縮することが可能になる。検査圧の印加後に所定の平衡期間を設けて、容器W1,W2内の圧力状態を安定させてから、後述のリーク判定工程を行うが、圧力供給配管30,31に対して圧力検出配管40,41を容器W1,W2の2次側に分離させることで、平衡期間の短縮化が可能になる。
【0028】
その後は、密閉された一対の容器W1,W2内の経時的な圧力変化量を検出して、一対の容器W1,W2のリーク判定を行う(リーク判定工程)。ここでは、差圧センサ42と直圧センサ43,44の出力で圧力変化量を検出している。リーク判定部4は、主として、差圧センサ42によって一対の容器W1,W2内の差圧を検出し、この差圧に基づいてリーク判定を行っており、補助的に、直圧センサ43,44の出力によって、容器W1,W2それぞれの内圧を検出している。直圧センサ43,44は、検査状況に応じては適宜省略することができる。
【0029】
リーク判定工程では、まず、加圧時間が終了した時点での容器W1,W2それぞれの内圧を直圧センサ43、44で測定し、検査圧に達していない場合は大きなリークが有りと判定される。検査圧に達している場合は、検査開始から時間t1経過して検出される圧力(図示A点又はA’点の圧力とC点又はC’点の差圧)と、その後Δt時間経過して、検査開始から時間t2経過して検出される圧力(図示B点又はB’点の圧力とD点又はD’点の差圧)とを比較して、圧力変化量を求める。
【0030】
差圧センサ42の出力によるリーク判定は、
図3の差圧のグラフに示すD点又はD’点で検出される差圧からC点又はC’点で検出される差圧を差し引いた値(差圧の圧力変化量)を、設定された閾値と比較し、差圧の圧力変化量が閾値を超えた場合には、容器W1,W2の一方にリークが有ると判定し、閾値を超えない場合は、容器W1,W2の両方にリークが無いと判定する。
図3の差圧のグラフには、容器W1,W2の両方にリークが無い場合の差圧の検査波形を実線で示し、容器W1,W2の一方にリークが有る場合の差圧の検査波形を破線で示している。両方の容器W1,W2にリークが無い場合には、差圧の圧力変化量はほぼ0Paになるが、容器W1,W2の一方にリークが有る場合には、差圧の圧力変化量は時間経過と共に大きくなる。
【0031】
リーク有りの判定がなされた場合に、容器W1,W2のどちら側にリークが有るかは、差圧センサ42の出力の正負によって判断することができる。また、極希なケースではあるが、両方の容器W1,W2に同等のリークがあると、差圧の圧力変化量が閾値を超えないことになる。このようなケースでの誤判定を避けるために、補助的に直圧センサ43,44を設けている。直圧センサ43,44の出力によって、個々の容器W1,W2のリークの有無を判定することができる。
【0032】
直圧センサ43,44の出力によるリーク判定は、
図3の直圧のグラフに示すA点又はA’点で検出される圧力からB点又はB’点で検出される圧力を差し引いた値を設定された閾値と比較し、閾値を超えた場合にはリークが有ると判定し、閾値を超えない場合はリークが無いと判定する。
図3に示すように、直圧の検査波形も、リークが無い場合には、圧力変化量は実線で示すようにほぼ0Paになり、リークがある場合には、圧力変化量は破線で示すように大きな値になる。
【0033】
図3に示すように、流路切り替え弁25を切り替え操作して、検査ヘッド20,21を下降させ、圧力供給工程、リーク判定工程を行った後、検査ヘッド20,21を容器W1,W2から離脱させ、次の一対の容器に対しての検査ヘッド20,21の下降準備をするまでが、一対の容器W1,W2に対しての検査時間になる。
【0034】
図2に示した例では、一対の容器W1,W2に検査ヘッド20,21を装着した後、検査ヘッド20,21を、容器W1,W2の搬送に合わせて移動しながら、圧力供給工程とリーク判定工程を行う。そして、リーク判定工程後には、検査ヘッド20,21は、一対の容器W1,W2から離脱されて初期位置に戻し、一対の容器W1,W2の搬送方向とは逆向きに移動速度を速めて移動して、初期位置Fに戻され、待機状態となる。
【0035】
このようなリーク検査装置1を用いたリーク検査方法によると、容器製造ラインから整列搬送されてきた容器温度がほぼ等しい一対の容器W1,W2を対象として、それら容器内の差圧によってリーク判定を行うので、容器温度の変化を考慮することなくリーク判定を行うことができる。これにより、容器温度の変化を考慮した閾値の調整などが不要になり、生産性の高いリーク判定が可能になる。
【0036】
また、一対の容器W1,W2内の差圧は、経時的な圧力変化量の絶対値が小さいので、この小さい変化を差圧センサ42のフルレンジに対応させて、高いセンサ感度で圧力変化を検出することができる。これによって、精度の高いリーク判定を実現することができ、極小ピンホールによるリークを見逃さずに検知することが可能になる。
【0037】
また、
図2に示した設置例のように、容器の搬送過程にリーク検査装置1を組み込むことができるので、リーク検査スペースの省スペース化が可能になり、更には、容器搬送過程のタクトタイムを利用したリーク検査が可能になるので、これによっても高い生産性を得ることができる。
【0038】
そして、リーク検査装置1は、供給圧を検査圧に対して高く設定することで、加圧時間を短縮しており、圧力供給配管30,31と圧力検査配管40,41を分離して検査ヘッド20,21に接続することで、圧力供給後の平衡期間を短く設定できるので、限られた検査時間の範囲内で、圧力変化量を検出するための経過時間Δtを長く設定することができる。これによって、確実性の高いリーク判定を行うことが可能になる。
【0039】
なお、上述したように本発明の実施形態を、近隣の一対の容器W1,W2に対してリーク検査を行う場合について説明したが、3つ以上の容器Wに対してリーク検査を行うことも可能である。その場合、対になる組合せは自由で、例えば3つの容器W1,W2,W3において、対となる組み合わせはW1−W2、W2−W3、或いはW1−W2、W1−W3のいずれでも良い。このように、容器の処理数が増える場合、リーク検査装置の各部(検査ヘッド装着部2、圧力供給部3、リーク判定部4)は容器の処理数に応じて適宜増設される。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1:リーク検査装置,
2:検査ヘッド装着部,3:圧力供給部,4:リーク判定部,
20,21:検査ヘッド,22,23:エアシリンダ,
24A〜24E,35,36:配管,
25,32,33:流路切り替え弁,26,34:圧力調整弁,
30,31:圧力供給配管,40,41:圧力検出配管,42:差圧センサ,
43,44:直圧センサ,45:圧力検出部,46:演算処理部,
50:ガイドレール,51,52:移動機構,60:搬送装置(コンベヤ),
W1,W2:容器