(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロール製品の直径(mm)をPとし、前記中央線から左右方向のいずれか一方の方向に寄せた距離(mm)をQとした場合、Q/Pの値は、0.020以上0.160以下である請求項1に記載のロール製品包装体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年は、巻長の長いロール状キッチンペーパーの需要も多く、巻長を長くしつつも、輸送やストックする際のスペースを増やさないためにロール製品の直径を維持することが求められている。具体的な手法としては、ロール製品を生産する際にロールを強く巻く工夫がなされており、結果としてロール製品自体の硬さが増すことになる。このため、ロール製品包装体をダンボール箱等から取り出す際に本体部を上面又は下面側から把持した場合、開封用ミシン目線に大きな力が掛かり、意図せずに開封用ミシン目線が開裂してしまうという問題があった。一方で、キッチンペーパーを包装袋から取り出す際には、開封用ミシン目線が容易に開裂することも求められている。
【0006】
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、ロール製品包装体の本体部を上面又は下面側から把持した場合であっても、意図せずに開封用ミシン目線が開裂することのないロール製品包装体であって、キッチンペーパーを包装袋から取り出す際には、開封用ミシン目線が容易に開裂するロール製品包装体を提供することを目的として検討を進めた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、偶数個のロール製品と、ロール製品を収容する包装袋と、を含むロール製品包装体において、ミシン目線を、各列のロール製品の左右方向の間に位置する中央線から、所定の距離分、左右方向のいずれか一方の方向に寄せて形成することで、持ち運び時にはミシン目線が意図せずに開裂することはないが、使用時にはミシン目線が容易に開裂するロール製品包装体が得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
【0008】
[1] 偶数個のロール製品と、ロール製品を収容する包装袋と、を含むロール製品包装体であって、
ロール製品の直径は100mm以上150mm以下であり、かつロール製品の巻長は30m以上であり、
ロール製品は、ロール製品の円形端面が上下方向を向き、左右方向に2列となるように包装袋で圧接包装されており、
包装袋の上面と下面に垂直な側面には、上面及び下面に垂直なミシン目線が上下方向の少なくとも一部に形成されており、
ミシン目線は、各列のロール製品の左右方向の間に位置する中央線から、ロール製品包装体の左右方向の全長に対して1%以上8%以下の距離分、左右方向のいずれか一方の方向に寄せて形成されているロール製品包装体。
[2] ミシン目線は、各列のロール製品の左右方向の間に位置する中央線から、5mm以上15mm以下左右方向のいずれか一方の方向に寄せて形成されている[1]に記載のロール製品包装体。
[3] ロール製品の直径(mm)をPとし、中央線から左右方向のいずれか一方の方向に寄せた距離(mm)をQとした場合、Q/Pの値は、0.020以上0.160以下である[1]又は[2]に記載のロール製品包装体。
[4] ミシン目線の長さは、ロール製品包装体の上下方向の全長に対して60%以上である[1]〜[3]のいずれかに記載のロール製品包装体。
[5] ミシン目線は、ミシン目線を開封し、少なくとも1つのロール製品を取り出した後に、再包装が可能なように形成されている[1]〜[4]のいずれかに記載のロール製品包装体。
[6] ロール製品は、ロール状キッチンペーパーである[1]〜[5]のいずれかに記載のロール製品包装体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロール製品包装体の本体部を上面又は下面側から把持した場合であっても、意図せずにミシン目線が開裂することのないロール製品包装体であって、キッチンペーパーを包装袋から取り出す際には、ミシン目線が容易に開裂するロール製品包装体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。また、本発明の内容を表現するために、図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行うことがあるが、本発明は、図面の実施形態に限定されるものではなく、本明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【0012】
(ロール製品包装体)
本発明は、偶数個のロール製品と、ロール製品を収容する包装袋と、を含むロール製品包装体に関する。本発明のロール製品包装体において、ロール製品の直径は100mm以上150mm以下であり、かつロール製品の巻長は30m以上である。そして、ロール製品は、ロール製品の円形端面が上下方向を向き、左右方向に2列となるように包装袋で圧接包装されている。また、本発明のロール製品包装体において、包装袋の上面と下面に垂直な側面には、上面及び下面に垂直なミシン目線が上下方向の少なくとも一部に形成されており、ミシン目線は、各列のロール製品の左右方向の間に位置する中央線から、ロール製品包装体の左右方向の全長に対して1%以上8%以下の距離分、左右方向のいずれか一方の方向に寄せて形成されている。
【0013】
本明細書においては、ロール製品包装体(包装袋)の上面とは、ロール製品包装体の上方の水平面をいい、下面とは、ロール製品包装体の下方の水平面をいう。ロール製品包装体(包装袋)の側面とは、上面と下面に垂直な面であり、各列のロール製品の左右方向の間に位置する中央線を含む面であって、各列のロール製品の左側端と右側端を外周の一部として含む面である。なお、各列のロール製品の左右方向の間に位置する中央線とは、各列を構成するロール製品であって、隣り合うロール製品の左右方向の間に位置する中央線である。ロール製品包装体は側面を2つ有しているが、ミシン目線は、いずれか一方の側面にのみ設けられるものであってもよく、両方の側面に設けられるものであってもよい。
【0014】
本発明のロール製品包装体は、上記構成を有するものであるため、持ち運び時にはミシン目線が意図せずに開裂することはないが、使用時にはミシン目線が容易に開裂する。本発明においては、ミシン目線が各列のロール製品の左右方向の間に位置する中央線から、ロール製品包装体の左右方向の全長に対して1%以上8%以下の距離分、左右方向のいずれか一方の方向に寄せて形成されているため、ロール製品包装体の中央部を上面又は下面側から把持した場合であってもミシン目線に大きな押圧が加えられることが抑制されている。これにより、巻長の長いロール製品を含むロール製品包装体において、ミシン目線が意図せずに開封することが抑制される。なお、本明細書においては、このようにミシン目線が意図せずに開封しないことを、耐久性に優れているとも言う。
また、本発明においては、ミシン目線が上記所定の距離分のみ左右方向のいずれか一方の方向に寄せて形成されているため、使用時にはミシン目線に適度な押圧等を掛けることにより、容易に開裂することができる。
【0015】
図1は、本発明のロール製品包装体100の一例を示した斜視図である。ロール製品包装体100は、偶数個のロール製品5と、該ロール製品5を収容する包装袋10を含む。ロール製品5は、ロール製品5の円形端面が上下方向を向くように包装袋10で圧接包装されている。
図1のロール製品包装体100において、ロール製品5の円形上端面側の面は上面20となり、ロール製品5の円形下端面側の面は下面30となる。また、ロール製品包装体100において、ロール製品5は、左右方向に2列となるように配置されている。ここで、ロール製品5の各列は、1個以上のロール製品5から構成されている。ロール製品5の各列は2個又は3個のロール製品5から構成されていてもよいが、各列は1個のロール製品5から構成されることが好ましい。すなわち、包装袋10に包装されるロール製品5の個数は4個もしくは6個であってもよいが、2個であることがより好ましい。
【0016】
図1に示されるように、包装袋10にはミシン目線50が形成されている。ミシン目線50は、上面20及び下面30に垂直に形成されている。そして、ミシン目線50は、各列のロール製品5の左右方向の間に位置する中央線から、ロール製品包装体の左右方向の全長に対して1%以上8%以下の距離分、左右方向のいずれか一方の方向に寄せて形成されている。
図2は、本発明のロール製品包装体100を上面20と下面30に垂直な側面(正面)側から見た平面図である。
図2では、各列のロール製品5の左右方向の間に位置する中央線Cが一点鎖線で描画されており、ミシン目線50は中央線Cから、左右方向の全長Lに対して1%以上8%以下(0.01L以上0.08L以下)の距離分、左方向に寄せて形成されている。なお、左右方向の全長は、ロール製品包装体100の左右方向の全長を意味する。
図2においては、ロール製品包装体100の左右方向の全長はL(mm)であり、中央線Cからミシン目線50までの距離は0.01×L(mm)以上0.08×L(mm)以下である。
【0017】
具体的には、中央線Cからミシン目線50までの距離は、5mm以上15mm以下であることが好ましく、5mm以上12mm以下であることがより好ましく、5mm以上10mm以下であることがさらに好ましく、8mm以上10mm以下であることが特に好ましい。中央線Cからミシン目線50までの距離を上記範囲内とすることにより、持ち運び時にはミシン目線が意図せずに開裂することをより効果的に抑制でき、かつ使用時の開封性をより高めることができる。
【0018】
図3は、本発明のロール製品包装体100の本体部を上面20側から把持し、持ち上げる様子を示した図である。ロール製品包装体100を持ち運ぶ際や、ロール製品包装体100をダンボール箱等から取り出す場合には、
図3に示されるように、ロール製品包装体100の本体部を上面20側から把持する。ロール製品包装体100を把持する際には、親指とその他の指の間にロール製品包装体100を挟む。この際、親指がロール製品包装体100の側面の正面中央部に位置することになる。ここで、正面中央部とは、中央線Cの少なくとも一部を中心線として含む領域である。
図3に示されるように、ロール製品包装体100の本体部を上面20側から把持する場合、親指が位置する正面中央部の中央線C上には最も大きな押圧が加えられることとなる。従来技術においては、中央線C上にミシン目線が形成されており、ロール製品包装体を把持する際に中央線C上に形成されているミシン目線に大きな押圧が加えられることにより、意図しないミシン目線の開裂が生じていた。一方、本発明においては、ミシン目線50が各列のロール製品5の左右方向の間に位置する中央線Cから、ロール製品包装体の左右方向の全長に対して1%以上8%以下の距離分、左右方向のいずれか一方の方向に寄せて形成されている。このため、ロール製品包装体100が把持される際にミシン目線50に大きな押圧が加えられることがなく、把持時に意図しないミシン目線50の開裂が生じることが抑制されている。
【0019】
一方、使用時には、ミシン目線50は優れた開封性を発揮することが好ましい。ミシン目線50の開封性は、ミシン目線50が、包装袋10とロール製品5の間の隙間が大きい箇所に設けられることで高められる。すなわち、従来技術においては、中央線C上にミシン目線が形成されていたため、使用時のミシン目線50は優れた開封性を有していた。しかし、これでは上述したような意図しないミシン目線の開裂を防ぐことはできなかった。本発明においては、ミシン目線50を、中央線Cから左右方向の全長に対して1%以上8%以下の距離分のみ左右方向のいずれか一方の方向に寄せて形成しているため、包装袋10においてミシン目線50が設けられた箇所は、ロール製品5との間にある程度の隙間がある箇所である。このため、使用時のミシン目線50の開封性は損なわれていない。すなわち、本発明のロール製品包装体100においては、持ち運び時の意図しないミシン目線の開裂の抑制と、使用時の開封性が両立されている。
【0020】
本発明においては、ロール製品の直径(mm)をPとし、中央線Cから左右方向のいずれか一方の方向に寄せた距離(mm)をQとした場合、Q/Pの値は、0.020以上であることが好ましく、0.030以上であることがより好ましく、0.040以上であることがさらに好ましい。また、Q/Pの値は、0.160以下であることが好ましく、0.150以下であることがより好ましく、0.140以下であることがさらに好ましい。Q/Pの値を上記範囲内とすることにより、意図しないミシン目線の開裂の抑制と、使用時の開封性の両立がより容易になる。
【0021】
ロール製品の直径P(mm)は、100mm以上であればよく、105mm以上であることが好ましく、110mm以上であることがより好ましい。また、ロール製品の直径P(mm)は、150mm以下であればよい。
【0022】
本発明におけるロール製品は巻長が長く、このように巻長が長いロール製品を梱包した場合であっても、持ち運び時の意図しないミシン目線の開裂の抑制と、使用時の開封性が両立されている点に特徴がある。ロール製品の巻長は、30m以上であればよく、35m以上であることが好ましく、40m以上であることがより好ましい。なお、ロール製品が2プライのロール製品である場合、巻長は2倍とした値となる。
ロール製品は、巻長が通常製品の1.5倍の倍巻きのものであってもよく、2倍の倍巻きのものであってもよい。本発明においては、このように倍巻きのロール製品を包装した場合であっても意図しないミシン目線の開裂の抑制と、使用時の開封性が両立される。
【0023】
ロール製品の巻長が長い場合であっても、ロール製品の直径Pの値は大きく変動しないことが好ましい。すなわち、ロール製品の巻長が長い場合であっても、ロールの巻き密度を高めることにより、ロール製品の直径Pの値を所定範囲に制御することが好ましい。本発明においては、ロール製品の直径は100mm以上150mm以下である。
【0024】
ロール製品は紙管を有することが好ましい。紙管の外径は50mm以下であることが好ましく、45mm以下であることがより好ましい。ロール製品の紙管の内径は、ロール製品の製造において可能な限り小さくすることができるが、10mm以上であることが好ましく、20mm以上であることがより好ましい。
【0025】
ミシン目線50の長さは、ロール製品包装体100の上下方向の全長に対して60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。また、ミシン目線50の長さは、ロール製品包装体100の上下方向の全長に対して100%であってもよく、ミシン目線50は、ロール製品包装体100の上面20及び/又は下面30の一部に伸びていてもよい。すなわち、ミシン目線50の長さはロール製品包装体100の上下方向の全長に対して100%以上であってもよい。
【0026】
ミシン目線50は、ミシン目線を開封し、少なくとも1つのロール製品5を取り出した後に、残りのロール製品5を再包装が可能なように形成されていることが好ましい。ミシン目線50の長さをロール製品包装体100の上下方向の全長に対して60%以上となるように、上下方向に形成することにより、ミシン目線を開封し、少なくとも1つのロール製品5を取り出した後に、包装袋10を残りのロール製品5を覆うように包むことで再包装し易くなる。なお、再包装がなされた状態とは、残りのロール製品5の周囲が、包装袋10により囲まれており、露出面がないことをいう。
【0027】
ロール製品を収容する包装袋10には、ミシン目線50の位置を強調する印刷表示や、ミシン目線50に沿って開封する方法を説明する説明図を印刷してもよい。また、ミシン目線50に沿って開封して少なくとも1つのロール製品5を取り出した後に再包装する方法を説明する説明図を印刷することも好ましい。
【0028】
包装袋10には、ミシン目線50が1本のみ設けられていればよいが、2本以上設けられていてもよい。ミシン目線50が2本以上設けられている場合、いずれもミシン目線も、中央線Cから左右方向の全長に対して1%以上8%以下の距離分のみ左右方向のいずれか一方の方向に寄せて形成されていることが好ましい。
【0029】
ミシン目線の形態については特に限定されるものではないが、ミシン目線の切れ目の長さは0.1mm以上3mm以下であることが好ましく、0.5mm以上2mm以下であることがより好ましい。ミシン目の切れ目の幅は1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。一方、留め部の長さは1mm以上10mm以下であることが好ましく、3mm以上の8mm以下であることがより好ましい。ロール製品包装体の開封性と耐久性は、ミシン目の切れ目の長さと留め部の長さの比に影響される傾向があり、ミシン目の開口の長さを1とすると、留め部の長さは1以上10以下であることが好ましく、3以上8以下があることがより好ましい。またミシン目の各切れ目によって形成される開口部の形状についても限定されるものではなく、楕円状、矢印状、ひし形状などいかなる形であっても良い。
【0030】
ミシン目線のテンシロン引張破断強度は、5N/25mm以上20N/25mm以下であることが好ましく、7.5N/25mm以上15N/25mm以下であることがより好ましい。テンシロン引張破断強度を測定する際に用いる試料は、包装袋10を、幅が25mm、長さが50mmとなるように切断して作製される。この際、試料には、ミシン目線が含まれており、ミシン目線は長手方向の中央部の幅方向を横断するように設けられている。なお、試料の幅方向両端にはミシン目線の留め部がくるように切断されることが好ましい。試料測定条件は、テンシロン引張試験機(エー・アンド・デイ社製)のチャック間距離を20mmとし、試料のミシン目線がチャック間の中央となるように試料をセットし、引張速度を50.0mm/分として測定を行うものとする。
【0031】
ロール製品5としては、例えば、トイレットロールやキッチンロール等を挙げることができる。ロール製品は、ロール状キッチンペーパー(キッチンロール)であることが特に好ましい。
【0032】
包装袋10としては、熱溶融性を持つ公知のフィルムを採用することができる。例えばHDPE(高密度ポリエチレン)フィルム、LDPE(低密度ポリエチレン)フィルム、LLDPE(リニア低密度ポリエチレン)フィルム等のポリエチレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等又はこれらの積層フィルムが挙げられる。中でも、包装袋10はHDPE(高密度ポリエチレン)フィルム、LDPE(低密度ポリエチレン)フィルム、LLDPE(リニア低密度ポリエチレン)フィルム等のポリエチレンフィルムであることが好ましく、LDPE(低密度ポリエチレン)フィルムであることがより好ましい。また、LDPE(低密度ポリエチレン)とLLDPE(リニア低密度ポリエチレン)の混合樹脂フィルムも好ましく用いられる。
【0033】
包装袋10の厚みは、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましく、25μm以上であることが特に好ましい。また、包装袋10の厚みは、60μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、45μm以下であることがさらに好ましい。
【0034】
ロール製品5を包装袋10で包装し、ロール製品包装体100とする際には、まず、1枚の包装袋10の所定の位置に長手方向に延びるミシン目線50を形成する。次いで、ロール製品5の円形端面が上下方向を向き、左右方向に2列となるようにロール製品5を配列する。その状態で包装袋10のミシン目線50の位置が各列のロール製品5の左右方向の中央線から、ロール製品包装体の左右方向の全長に対して1%以上8%以下の距離分、左右方向のいずれか一方の方向に寄るように、ロール製品5の側面外周に包装袋10を巻きつけ、包装袋10の側縁部同士をヒートシールで接合する。これにより、包装袋10は筒状のフィルムとなる。なお、側縁部同士の接合はヒートシールで行ってもよく、接着剤等を用いて接合してもよい。
次いで、上面20側の包装袋10を順に折り畳み、ヒートシールで封止する。この際、筒状のフィルムの左右を同時に中央に向けて折り畳み、次いで、左右を折り畳むことで突出したフラップ部分を順に折り畳み、固定する。上面20側のフィルムの固定はヒートシールにより行うことが好ましい。ヒートシールによる固定を行う場合は、フラップ部分の重なった部分に、上面20の長軸方向(左右方向)に平行なライン状のヒートシール部を形成する。この場合、ライン状のヒートシール部は、短軸方向(左右方向に直交する方向)に4〜6mmの間隔で8〜12本形成することが好ましい。
【0035】
なお、下面30側の包装袋10についても、上面側フィルムの固定方法と同様の方法で折り畳み固定する。この際、上面側フィルムと下面側のフィルムの固定は同時に行うことが好ましい。
【0036】
ロール製品5の側面外周に包装袋10を巻きつける際には、巻きつけ強さ(緩み)を適宜調整することが好ましい。例えば、包装袋10をロール製品5の側面外周に巻きつけ、包装袋10の側縁部同士をヒートシールする際のヒートシール位置を、包装袋10の巻き付け外周距離が長くなるようにずらし、包装袋10に緩みを持たせたロール製品包装体100を作製してもよい。また、包装袋10の側縁部同士をヒートシールする際のヒートシール位置を、包装袋10の巻き付け外周距離が短くなるようにずらし、包装袋10をきつくロール製品5に巻き付けてもよい。いずれの場合であっても、ロール製品5同士は密接しており、また、ロール製品5の少なくとも一部は、包装袋10と接している。
【実施例】
【0037】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0038】
(実施例1)
フクスケ社製のポリエチレンフィルム(厚み28μm)の所定の位置に留め部7mm、切れ目1mmのミシン目線を形成し、紙管の外径が39mm、ロールの直径が112mm、巻長が44mのキッチンロールを2列に配列した状態で、ミシン目線位置が2個のキッチンロール間の左右方向の中央線から5mm左に方向にずらした位置になるようにポリエチレンフィルムをキッチンロールの側面外周に巻きつけ、フィルムの側縁部同士をヒートシールで接合し、筒状のフィルムとした。その後、上面側のフィルムと下面側のフィルムを、いわゆるキャラメル包装形態となるようにそれぞれ折りたたんでヒートシールで封止した。このようにして、キッチンロール包装体を得た。なお、上記ポリエチレンフィルムのミシン目線の引張破断強度は13.7N/25mmであった。
【0039】
(実施例2、3及び比較例1〜3)
2個のキッチンロールの左右方向の間に位置する中央線から、ミシン目線を左方向にずらした距離を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてキッチンロール包装体を得た。
【0040】
(実施例4〜6及び比較例4〜6)
梱包するキッチンロールのロール径を115mmに変更し、2個のキッチンロールの左右方向の間に位置する中央線から左方向にずらした距離を表1の通りとした以外は、実施例1と同様にしてキッチンロール包装体を得た。
【0041】
(評価)
<耐久性>
実施例及び比較例で得たキッチンロール包装体を段ボール箱に収容し、その状態から1つのキッチンロール包装体を取り出した。その際、2個のキッチンロール間の中央線上に利き手の親指が当たるように、キッチンロール包装体を上面側から鷲掴みし、取り出した。その後、ミシン目の破断について、以下の基準で評価した。
○:ミシン目周辺のフィルムの伸びがなく、ミシン目は全く破れなかった。
△:ミシン目周辺のフィルムの伸びはあるが、ミシン目は破れなかった。
×:ミシン目が破れた。
【0042】
<開封性>
実施例及び比較例で得たキッチンロール包装体に形成したミシン目を破断し、開封を行った。その際の開封のしやすさについて、以下の基準で評価した。
○:問題なく開封可能。
△:ミシン目に沿って破れないなど開封しづらい。
×:ミシン目に沿って開封できない。
【0043】
【表1】
【0044】
実施例で得られたキッチンロール包装体においては、段ボール箱からの取り出し時に意図しないミシン目線の開裂が抑制されており、耐久性と開封性が両立されていた。一方、比較例で得られたキッチンロール包装体においては、耐久性もしくは開封性のいずれかの評価が劣っていた。
【0045】
なお、上記実施例と比較例とは別に、フィルムの巻き付け強さ(緩み)を変えたキッチンロール包装体を作製した。具体的には、キッチンロールを2列に配列した状態で、フィルムをキッチンロールの側面外周に巻きつけ、フィルムの側縁部同士をヒートシールする際、実施例1のヒートシール位置よりも10mmヒートシール位置をずらし(10mm巻き付け外周距離が長くなるようにずらし)、フィルムに緩みを持たせたキッチンロール包装体を作製した。このようなキッチンロール包装体においては、キッチンロールと包装袋の間に若干の緩み(隙間)が生じている。本発明においては、このような緩みが若干ある場合においても耐久性及び開封性の評価に差異は生じなかった。