特許第6874354号(P6874354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874354
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】媒体収納庫及び媒体取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/12 20190101AFI20210510BHJP
   B65H 31/22 20060101ALI20210510BHJP
   B65H 31/24 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   G07D11/12
   B65H31/22
   B65H31/24
【請求項の数】13
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-241911(P2016-241911)
(22)【出願日】2016年12月14日
(65)【公開番号】特開2018-97634(P2018-97634A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 直人
(72)【発明者】
【氏名】大原 慎司
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−318283(JP,A)
【文献】 特開2016−157250(JP,A)
【文献】 特開2013−125438(JP,A)
【文献】 特開2013−175245(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/140451(WO,A1)
【文献】 特開平04−016459(JP,A)
【文献】 実開昭55−022413(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00−13/00
G07F 19/00
B65H 31/22
B65H 31/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を集積する媒体収納空間と、
搬送路により搬送される前記媒体を前記媒体収納空間に放出する放出部と、
前記媒体収納空間に対し、前記媒体が集積される集積方向に沿って重ならない位置であり、かつ前記放出部の真下に形成され、前記搬送路上から除去された除去媒体を立位姿勢で収納する除去媒体収納空間と、
外部から前記除去媒体収納空間に前記除去媒体を投入させる投入口と
を有することを特徴とする媒体収納庫。
【請求項2】
前記除去媒体収納空間は、前記媒体収納空間に対し上下に重ならない位置に配される
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体収納庫。
【請求項3】
前記媒体収納空間は、リジェクトすべきと判定されたリジェクト媒体を集積する
ことを特徴とする請求項2に記載の媒体収納庫。
【請求項4】
前記媒体収納空間を形成し、前記リジェクト媒体の集積方向に延在する側壁部
をさらに有し、
前記除去媒体収納空間は、前記側壁部に対して前記媒体収納空間の反対側に形成される
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体収納庫。
【請求項5】
前記除去媒体収納空間と対向する箇所に前記投入口が形成されており、前記媒体収納空間と前記除去媒体収納空間とを共に開閉する扉
をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の媒体収納庫。
【請求項6】
前記媒体収納空間において集積方向に沿って移動し前記リジェクト媒体を載置するステージ
をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の媒体収納庫。
【請求項7】
前記除去媒体収納空間に収納された前記除去媒体の長手方向は、前記媒体収納空間に集積された前記媒体の長手方向と同一方向である
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体収納庫。
【請求項8】
媒体を集積する媒体収納空間と、
前記媒体収納空間に対し、前記媒体が集積される集積方向に沿って重ならない位置に設けられ、搬送路上から除去された除去媒体を収納する除去媒体収納空間と、
外部から前記除去媒体収納空間に前記除去媒体を投入させる投入口と、
前記媒体収納空間を形成し、前記媒体の集積方向に延在しており、前記媒体収納空間側から前記除去媒体収納空間が視認可能である側壁部と
を有し、
前記除去媒体収納空間は、前記側壁部に対して前記媒体収納空間の反対側に形成される
ことを特徴とする媒体収納庫。
【請求項9】
前記側壁部は、前記媒体収納空間と前記除去媒体収納空間とを連通させたスリットを有し、該スリットを介して前記媒体収納空間側から前記除去媒体収納空間が視認可能である
ことを特徴とする請求項8に記載の媒体収納庫。
【請求項10】
前記側壁部は、透明材料である
ことを特徴とする請求項8に記載の媒体収納庫。
【請求項11】
媒体を集積する媒体収納空間と、
前記媒体収納空間に対し、前記媒体が集積される集積方向に沿って重ならない位置に設けられ、搬送路上から除去された除去媒体を収納する除去媒体収納空間と、
外部から前記除去媒体収納空間に前記除去媒体を投入させる投入口と、
前記媒体収納空間を開閉するリジェクト媒体収納扉と、
前記除去媒体収納空間を開閉する除去媒体収納扉
を有し、
前記リジェクト媒体収納扉は、前記リジェクト媒体収納扉が前記媒体収納空間を閉鎖するリジェクト媒体収納扉閉鎖状態において、前記除去媒体収納扉が前記除去媒体収納空間を開放させる方向への前記除去媒体収納扉の移動を規制する
ことを特徴とする媒体収納庫。
【請求項12】
前記リジェクト媒体収納扉及び前記除去媒体収納扉は、前記リジェクト媒体収納扉に設けられたリジェクト媒体収納扉錠により施錠される
請求項11に記載の媒体収納庫。
【請求項13】
媒体を搬送する搬送路と、
前記搬送路により搬送される前記媒体を鑑別する鑑別部と、
前記鑑別部によりリジェクト媒体と鑑別された媒体を収納するリジェクト庫とを備え、
前記リジェクト庫は、
前記リジェクト媒体を集積する媒体収納空間と、
前記媒体収納空間に対し、前記リジェクト媒体が集積される集積方向に沿って重ならない位置に設けられ、前記搬送路上から除去された除去媒体を収納する除去媒体収納空間と、
外部から前記除去媒体収納空間に前記除去媒体を投入させる投入口と、
前記リジェクト庫が媒体収納庫装着部に装着された状態において前記投入口と対向することにより、前記投入口を塞ぐフレームと
を有し、
前記搬送路を形成する搬送ガイドは、前記媒体収納庫装着部側から前記搬送路が透視可能な部材で形成され、
前記リジェクト庫が前記媒体収納庫装着部から離脱されたときに、前記搬送ガイドを介して前記搬送路が透視可能であり、かつ、前記除去媒体が前記投入口から前記除去媒体収納空間に投入可能である
ことを特徴とする媒体取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は媒体収納庫及び媒体取引装置に関し、例えば媒体として紙幣を取り扱う現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine)等に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関や店舗等で使用される現金自動取引装置等においては、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金する。現金自動取引装置としては、例えば顧客との間で紙幣の授受を行う紙幣入出金部と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、紙幣を搬送する搬送部と、金種毎に紙幣を格納する紙幣収納庫と、リジェクト紙幣を収納するリジェクト庫とを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図26に示すように従来のリジェクト庫1018は、全体として直方体状に構成されており、その周囲がリジェクト庫筐体34により覆われている。またリジェクト庫1018は、前面の上端近傍に、搬送部から紙幣を受け取るスリット状の受取口34Aを有しており、またその内部にリジェクト紙幣を収納する空間であるリジェクト紙幣収納空間37を有している。リジェクト庫1018内には、ステージ54が設けられており、受取口34Aから放出されたリジェクト紙幣が集積方向である上下方向に沿って重なるよう集積される。このステージ54は、スプリング56により下方から支持されており、該ステージ54に集積されたリジェクト紙幣の枚数に応じて、該スプリング56が縮み適正な集積スペースを確保する。
【0004】
例えばコンビニエンスストア等に置かれた現金自動取引装置においては、現金自動取引装置における紙幣の補充作業が行われる際、紙幣が大量に装填された紙幣収納庫を現金センターから警送員が持って来て、現金自動取引装置内における紙幣が少ない紙幣収納庫と交換し、交換した該紙幣収納庫を現金センターへ持ち帰り、現金自動取引装置内の有り高を管理するといった運用をしている。また、現金自動取引装置内部において紙幣が詰まった搬送ジャム等は、警送員とは異なる警備員が対応している。
【0005】
搬送ジャムが発生すると、警備員によってジャム紙幣の除去が行われる。除去されたジャム除去紙幣は、現金自動取引装置内の有り高を管理させるために、現金センターに移送され、カウントされる必要がある。しかしながら警備員は警送員ではないため、警備員がジャム除去紙幣を現金センターへ直接移送することは許されない。よって、ジャム除去紙幣は警送員によって現金自動取引装置から現金センターへ確実に持ち帰ってもらう必要があるため、現金自動取引装置においては、リジェクト庫にジャム除去紙幣を収納するようにしている。警送員は、紙幣収納庫を交換する際に、該紙幣収納庫と共にリジェクト庫1018を現金自動取引装置から取り外し、現金センターへ持ち帰る。
【0006】
このように、ジャム除去紙幣は警送員によって現金センターへ確実に持ち帰ってもらう必要があり、そのためにリジェクト庫1018にジャム除去紙幣を収納するという要望がある。
【0007】
これに対し、図25及び図27に示すリジェクト庫1118のように、リジェクト紙幣収納空間37の上方において、水平方向に延在する仕切り板1160を設け、該仕切り板1160よりも上側をジャム除去紙幣収納空間44として扱うことが考えられる。リジェクト庫1118は、ジャム除去紙幣が投入されるジャム除去紙幣投入口1147をジャム除去紙幣収納空間44の後方に、ジャム除去紙幣が取り出される際開放される、ジャム除去紙幣収納扉錠45付きのジャム除去紙幣収納扉1143をジャム除去紙幣収納空間44の前方に、リジェクト紙幣が取り出される際開放される、リジェクト紙幣収納扉錠40付きのリジェクト紙幣収納扉1139をリジェクト紙幣収納空間37の後方に、それぞれ設けている。
【0008】
このリジェクト庫1118においては警備員が搬送部から除去したジャム除去紙幣をジャム除去紙幣投入口1147からリジェクト庫1118内に投入する。その後リジェクト庫1118が現金センターへ移送され、リジェクト紙幣収納扉1139が開けられリジェクト紙幣が取り出されると共に、ジャム除去紙幣収納扉1143が開けられジャム除去紙幣が取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−318283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながらこのようなリジェクト庫1118では、リジェクト紙幣収納空間37の上部にジャム除去紙幣収納空間44が配置されるため、リジェクト庫の高さを保つ場合、リジェクト紙幣収納空間37の高さが低くなり、リジェクト紙幣の収納容量が減少してしまった。一方、リジェクト紙幣の収納容量を従来と同様に保つ場合、ジャム除去紙幣収納空間44の分だけリジェクト庫の高さを高くする必要があり、リジェクト庫が大型化してしまう。
【0011】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、媒体収納庫の大きさ及び媒体の収納容量を保ちつつ、ジャム除去媒体を収納し得る媒体収納庫及び媒体取引装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するため本発明の媒体収納庫においては、媒体を集積する媒体収納空間と、搬送路により搬送される媒体を媒体収納空間に放出する放出部と、媒体収納空間に対し、媒体が集積される集積方向に沿って重ならない位置であり、かつ放出部の真下に形成され、搬送路上から除去された除去媒体を立位姿勢で収納する除去媒体収納空間と、外部から除去媒体収納空間に除去媒体を投入させる投入口とを設けるようにした。
【0013】
また本発明の媒体取引装置においては、媒体を搬送する搬送路と、搬送路により搬送される媒体を鑑別する鑑別部と、鑑別部によりリジェクト媒体と鑑別された媒体を収納するリジェクト庫とを設け、リジェクト庫は、リジェクト媒体を集積する媒体収納空間と、媒体収納空間に対し、リジェクト媒体が集積される集積方向に沿って重ならない位置に設けられ、搬送路上から除去された除去媒体を収納する除去媒体収納空間と、外部から除去媒体収納空間に除去媒体を投入させる投入口と、リジェクト庫が媒体収納庫装着部に装着された状態において投入口と対向することにより、投入口を塞ぐフレームとを有し、搬送路を形成する搬送ガイドは、媒体収納庫装着部側から搬送路が透視可能な部材で形成され、リジェクト庫が媒体収納庫装着部から離脱されたときに、搬送ガイドが透視可能であり、かつ、除去媒体が投入口から除去媒体収納空間に投入可能であるようにした。
【0014】
本発明は、媒体収納空間に影響を与えることなくジャム除去媒体を媒体収納庫に収納できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、媒体収納庫の大きさ及び媒体の収納容量を保ちつつ、ジャム除去媒体を収納し得る媒体収納庫及び媒体取引装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】現金自動取引装置の外観構成を示す斜視図である。
図2】リジェクト庫装着状態及び一時保留部装着状態における紙幣入出金機の構成を示す左側面図である。
図3】リジェクト庫離脱状態及び一時保留部離脱状態における紙幣入出金機の構成を示す左側面図である。
図4】入金計数処理における紙幣の流れを示す左側面図である。
図5】入金収納処理における紙幣の流れを示す左側面図である。
図6】出金処理における紙幣の流れを示す左側面図である。
図7】第1の実施の形態によるリジェクト庫装着状態及び一時保留部装着状態におけるリジェクト庫一時保留部ユニットの構成を示す斜視図である。
図8】第1の実施の形態によるリジェクト庫離脱状態及び一時保留部離脱状態におけるリジェクト庫一時保留部ユニットの構成を示す斜視図である。
図9】第1の実施の形態によるリジェクト庫の構成(1)を示す斜視図である。
図10】第1の実施の形態によるリジェクト庫の構成(2)を示す斜視図である。
図11】第1の実施の形態によるリジェクト庫の構成(3)を示す斜視図である。
図12】第1の実施の形態によるリジェクト庫の構成(4)を示す左側面図である。
図13】第1の実施の形態によるリジェクト庫の構成(5)を示す斜視図である。
図14】第2の実施の形態によるリジェクト庫の構成(1)を示す斜視図である。
図15】第2の実施の形態によるリジェクト庫の構成(2)を示す斜視図である。
図16】第2の実施の形態によるリジェクト庫の構成(3)を示す平面図である。
図17】第3の実施の形態によるリジェクト庫装着状態及び一時保留部装着状態におけるリジェクト庫一時保留部ユニットの構成を示す斜視図である。
図18】他の実施の形態によるリジェクト庫の構成(1)を示す平面図である。
図19】他の実施の形態によるリジェクト庫の構成(2)を示す平面図である。
図20】他の実施の形態によるリジェクト庫の構成(3)を示す平面図である。
図21】他の実施の形態によるリジェクト庫の構成(4)を示す平面図である。
図22】他の実施の形態によるリジェクト庫の構成(5)を示す左側面図である。
図23】ジャム除去紙幣投入有無通知部の構成(1)を示す斜視図である。
図24】ジャム除去紙幣投入有無通知部の構成(2)を示す斜視図である。
図25】従来のリジェクト庫の構成(1)を示す斜視図である。
図26】従来のリジェクト庫の構成(2)を左側面図である。
図27】従来のリジェクト庫の構成(3)を左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0018】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動取引装置の構成]
図1に外観を示すように、現金自動取引装置1は、箱状の装置筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者(すなわち金融機関の顧客)との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。
【0019】
装置筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理的なキーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。
【0020】
以下では、現金自動取引装置1のうち利用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した利用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
【0021】
装置筐体2内には、現金自動取引装置1全体を統轄制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
【0022】
[1−2.紙幣入出金機の内部構成]
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、内部に紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。紙幣入出金機10は、大きく分けて、上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ユニット10Uと、その下側部分を占める下部ユニット10Dとにより構成されている。
【0023】
上部ユニット10Uには、全体を統轄制御する紙幣制御部11と、顧客との間で紙幣を授受する入出金部12と、紙幣を各部へ搬送する上搬送部20と、紙幣を鑑別する鑑別部14と、紙幣を一時的に収納する一時保留部15と、リジェクト紙幣を収納するリジェクト庫18とが設けられている。
【0024】
紙幣制御部11は、主制御部9と同様に図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
【0025】
入出金部12は、上部ユニット10U内における前上部に位置している。この入出金部12は、利用者から受け取った紙幣及び利用者へ引き渡す紙幣を収容する収容器を内部に有しており、その上方をシャッタにより開閉し得る。収容器内には、複数の紙幣が紙面を前後方向に向けて集積された状態で収容される。この入出金部12は、収容器内の紙幣を1枚ずつに分離して上搬送部20に引き渡し、また上搬送部20から受け取った紙幣を収容器内へ放出して集積させる。
【0026】
上搬送部20は、その一部分を模式的に図示するように、モータ、ローラ、ベルト及びガイド等により構成されており、上部ユニット10U内の各部を結ぶような図中実線で示す搬送経路を形成している。この上搬送部20は、ローラを適宜回転させ、またベルトを適宜走行させることにより、この搬送経路に沿って紙幣を搬送する。また上搬送部20は、前方の下端部及び後方の下端部において後述する下搬送部22との間で互いの搬送経路を接続している。上搬送部20のうちの後方の下端部から一時保留部15の前方までほぼ鉛直方向に沿って延びる区間を、リジェクト庫一時保留部搬送部21とも呼ぶ。このリジェクト庫一時保留部搬送部21は、対向する搬送ガイド(図示せず)の搬送ガイド面によってリジェクト庫一時保留部搬送路が形成されており、回動軸を中心に後方へ倒れるように回動可能になっている。
【0027】
鑑別部14は、上搬送部20内に組み込まれており、紙幣の搬送経路上で入出金部12と一時保留部15との間に位置している。この鑑別部14は、内部に厚みセンサ、イメージセンサ及び磁気センサといった複数種類のセンサが組み込まれており、搬送される紙幣の金種、真偽、正損(損傷しているか否か)等を認識し、その認識結果を紙幣制御部11へ送出する。
【0028】
一時保留部15は、上部ユニット10U内における後上部でありリジェクト庫18の上方に位置している。この一時保留部15は、上搬送部20から紙幣を受け取ると、これを内部に集積して保持する。また一時保留部15は、紙幣制御部11から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、上搬送部20に引き渡す。この一時保留部15は、図2に示すように上部ユニット10U内に収納された状態と、図3に示すように上部ユニット10Uから水平方向に沿って後方へ移動され上部ユニット10Uの後方に引き出された状態とに遷移する。以下では、一時保留部15が現金自動取引装置1から取り外された状態を一時保留部離脱状態とも呼び、一時保留部15が現金自動取引装置1に装着された状態を一時保留部装着状態とも呼ぶ。
【0029】
リジェクト庫18は、上部ユニット10U内における後下部であり一時保留部15の下方に位置している。このリジェクト庫18は、直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。このリジェクト庫18は、損傷の程度が大きく再利用すべきで無いと鑑別部14において判断された紙幣や、重走やスキュー等の走行異常を鑑別部14において検知した紙幣等の、いわゆるリジェクト紙幣が上搬送部20により搬送されてくると、該紙幣を内部に収納する。リジェクト庫18は、図3に示すように警備員が一時保留部15を後方ヘスライドさせた後に上方向に持ち上げることで取り出し可能になっている。以下では、リジェクト庫18が現金自動取引装置1から取り外された状態をリジェクト庫離脱状態とも呼び、リジェクト庫18が現金自動取引装置1に装着された状態をリジェクト庫装着状態とも呼ぶ。
【0030】
下部ユニット10Dには、最上部に紙幣を搬送する下搬送部22が設けられ、該下搬送部22よりも下側に後側から前側へ向けて、4個の紙幣収納庫16が設けられている。下搬送部22は、上搬送部20と同様、その一部分を模式的に図示するように、モータ、ローラ、ベルト及びガイド等により構成されており、各紙幣収納庫16の上側をそれぞれ結ぶ図中実線で示す搬送経路を形成し、この搬送経路に沿って紙幣を搬送する。また下搬送部22は、前方の上端部及び後方の上端部において上搬送部20との間で互いの搬送経路を接続している。因みに上搬送部20及び下搬送部22には、搬送経路が分岐又は結合する箇所に切替器が配置されており、この切替器により紙幣の搬送経路を適宜切り替える。
【0031】
各紙幣収納庫16は、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。また各紙幣収納庫16は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。この紙幣収納庫16は、下搬送部22から紙幣を受け取ると、これを内部に集積して収納する。また紙幣収納庫16は、紙幣制御部11から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、下搬送部22に引き渡す。
【0032】
この紙幣入出金機10は、右側が制御基板等に覆われると共に、左側においては制御基板等に覆われていない箇所が存在することにより、左側から紙幣入出金機10内部にアクセスが容易であり左側から各種保守作業等が行わることを想定して設計されており、それぞれ左側が保守面側に、右側が非保守面側に設定されている。
【0033】
現金自動取引装置1においては、紙幣の補充作業が行われる際、紙幣が大量に装填された紙幣収納庫16を警送員が現金センターから持って来て、現金自動取引装置1内における紙幣が少ない紙幣収納庫16と交換し、交換した該紙幣収納庫16を現金センターへ持ち帰り、現金自動取引装置1内の有り高を管理する。
【0034】
[1−3.入金処理]
次に、現金自動取引装置1により顧客との間で入金取引が行われる場合における、紙幣入出金機10内での入金処理について図4及び図5を用いて説明する。紙幣入出金機10は、入金処理において、紙幣制御部11の制御に基づき、まず入金された紙幣の金種等を鑑別しながら枚数を計数する入金計数処理を行い、次に紙幣を適切な収納箇所へ搬送して収納する入金収納処理を行う。
【0035】
具体的に紙幣制御部11は、例えば顧客により操作表示部6(図1)を介して入金取引を開始する旨の操作入力を受け付けると、入金計数処理を開始し、顧客に入出金部12の収容器へ紙幣を投入させ、これを1枚ずつに分離して取り込み、図4に示すように上搬送部20へ順次引き渡す。上搬送部20は、入出金部12から受け取った紙幣を後方へ順次搬送しながら、鑑別部14により各紙幣を順次鑑別させる。このとき鑑別部14は、得られた鑑別結果を紙幣制御部11へ送出する。
【0036】
紙幣制御部11は、取得した鑑別結果を基に、各紙幣における損傷の程度や金種、或いは真偽を判断する。次に紙幣制御部11は、各紙幣について、正常な紙幣として認識できた場合は以降の処理を継続できる入金受入紙幣であると判断し、正常な紙幣として認識できない場合は、顧客に返却すべき入金リジェクト紙幣であると判断する。
【0037】
さらに紙幣制御部11は、入金受入紙幣について、正常であり再利用可能な紙幣については金種ごとの各紙幣収納庫16を、損傷の程度が大きく再利用に不向きなリジェクト紙幣についてはリジェクト庫18を、それぞれ最終的な搬送先として決定する。
【0038】
続いて紙幣制御部11は、紙幣の判断結果に応じて、入金受入紙幣であれば一時保留部15へ搬送して収納させ、入金リジェクト紙幣であれば入出金部12へ搬送して顧客に返却し入金計数処理を完了する。これにより紙幣制御部11は、紙幣を入出金部12へ搬送して顧客に返却し、紙幣の状態を確認させ、必要に応じて再投入させる。このとき紙幣制御部11は、入出金部12から取り込んだ紙幣の金種及び枚数の集計結果を基に入金額を算出すると共に、所定の操作指示画面を操作表示部6に表示し、この入金額を顧客に提示すると共に入金取引を継続するか否かを選択させる。ここで紙幣制御部11は、顧客により入金取引の中止が指示された場合、一時保留部15に保留している全ての紙幣を上搬送部20により入出金部12へ搬送して顧客に返却する。
【0039】
一方、紙幣制御部11は、顧客により入金取引の継続が指示された場合、入金収納処理を開始する。具体的に紙幣制御部11は、まず一時保留部15において操出処理を開始し、収納している紙幣(入金受入紙幣)を図5に示すように順次繰り出す。このとき紙幣制御部11は、入金計数処理において決定された紙幣毎の搬送先に応じて、各切替器における紙幣の搬送経路を適宜切り替えることにより、各紙幣をそれぞれの搬送先へ搬送して収納させる。これにより紙幣制御部11は、再利用すべき通常の紙幣を金種ごとに分類して各紙幣収納庫16に収納し、また再利用すべきで無いリジェクト紙幣をリジェクト庫18に収納する。
【0040】
[1−4.出金処理]
次に、現金自動取引装置1により顧客との間で出金取引が行われる場合における、紙幣入出金機10内での出金処理について図6を用いて説明する。
【0041】
紙幣制御部11は、例えば顧客により操作表示部6(図1)を介して出金取引を開始する旨の操作入力を受け付けると、金種に応じて各紙幣収納庫16から紙幣を繰り出して下搬送部22へ受け渡し、上搬送部20により搬送しながら鑑別部14により各紙幣を順次鑑別させる。このとき鑑別部14は、得られた鑑別結果を紙幣制御部11へ送出する。
【0042】
紙幣制御部11は、取得した鑑別結果を基に、各紙幣における損傷の程度や金種、或いは真偽を判断する。次に紙幣制御部11は、各紙幣について、正常な紙幣として認識できた場合は以降の処理を継続できる出金可能紙幣であると判断する一方、出金可能紙幣として認識できない場合は、顧客に出金すべきでない出金リジェクト紙幣であると判断する。
【0043】
続いて紙幣制御部11は、紙幣の判断結果に応じて、出金可能紙幣であれば入出金部12へ搬送して顧客へ受け渡し、出金リジェクト紙幣であればリジェクト庫18へ搬送して収納する。
【0044】
[1−5.リジェクト庫一時保留部ユニットの構成]
紙幣入出金機10においては、図7及び図8に示すようにフレーム28、スライドレール30、トレイ31、リジェクト庫18、一時保留部15、後側搬送ガイド32及び図示しない前側搬送ガイドが、リジェクト庫一時保留部ユニット26としてユニット化されている。このリジェクト庫18は、左側面、右側面及び後面をフレーム28に囲まれた状態で紙幣入出金機10に装着される。
【0045】
一時保留部15は、スライドレール30を介しフレーム28と接続されたトレイ31上に固定されている。このため一時保留部15は、図7に示すように上部ユニット10U内に収納された状態と、図8に示すように上部ユニット10Uから水平方向に沿って後方へ移動され上部ユニット10Uの後方に引き出された状態とに遷移する。
【0046】
また紙幣入出金機10は、図8に示したように、一時保留部15が後方へ引き出された状態から、リジェクト庫18を上方へ持ち上げるだけで、リジェクト庫18をリジェクト庫装着部23から容易に取り外させることができる。また紙幣入出金機10は、リジェクト庫装着部23の上方からリジェクト庫18を下方へ降ろさせるだけで、リジェクト庫装着部23に装着させることができる。すなわち紙幣入出金機10は、工具等を使用させること無く、リジェクト庫装着部23に対しリジェクト庫18を容易に着脱させることができる。
【0047】
リジェクト庫18及び一時保留部15の前方には、後側搬送ガイド32が設けられている。この後側搬送ガイド32は、樹脂成形された黒色であり、該後側搬送ガイド32の前面に形成された搬送ガイド面と、該後側搬送ガイド32の前方に位置する図示しない前側搬送ガイドの後面に形成された搬送ガイド面との間に、搬送路が形成されており、回動軸を中心に後方へ倒れ図3に示したようにガイド傾斜状態となるように回動可能になっている。
【0048】
一時保留部離脱状態及びリジェクト庫離脱状態においては、警備員が後側搬送ガイド32をガイド傾斜状態に回動させ、リジェクト庫一時保留部搬送部21内の残留紙幣を確認することができる。すなわちリジェクト庫一時保留部搬送部21内の紙幣の除去は、一時保留部15を後方へ退避させリジェクト庫18を現金自動取引装置1から外した状態でないと行うことができないようになっている。
【0049】
[1−6.リジェクト庫の構成]
図9図10図11図12及び図13に示すようにリジェクト庫18は、全体として直方体状に構成されており、その周囲がリジェクト庫筐体34により覆われている。リジェクト庫筐体34は、リジェクト庫筐体天板34U、リジェクト庫筐体底板34D、リジェクト庫筐体左側板34L及びリジェクト庫筐体右側板34Rを有している。
【0050】
このリジェクト庫18は、フレーム28に設けられたリジェクト庫装着部23に対し上下方向に沿って着脱可能に構成されている。このフレーム28は、左端において立設するリジェクト庫装着部左側壁28Lと、右端において立設するリジェクト庫装着部右側壁28Rとを有しており、このリジェクト庫装着部左側壁28Lとリジェクト庫装着部右側壁28Rとの間に、リジェクト庫18を収納するリジェクト庫装着部23が形成されている。
【0051】
すなわちリジェクト庫18は、警備員に把持されリジェクト庫装着部23に対し上側から下方向である装着方向に降ろされリジェクト庫装着部23に載置されることにより、リジェクト庫装着部23に装着され、リジェクト庫装着状態となる。このリジェクト庫装着状態においてリジェクト庫18は、図7に示すように後側搬送ガイド32と対向すると共に、受取口34A(図9)を後側搬送ガイド32の引渡口32A(図8)と連結させる。これによりリジェクト庫18は、リジェクト庫一時保留部搬送部21から紙幣を受け取ることができる。
【0052】
またリジェクト庫18は、警備員に把持されリジェクト庫装着部23から上方向である離脱方向に向かって持ち上げられることにより、リジェクト庫装着部23から離脱され、リジェクト庫離脱状態となる。
【0053】
またリジェクト庫18は、前面の上端近傍に、上搬送部20から紙幣を受け取るスリット状の受取口34Aを有しており、またその内部にリジェクト紙幣収納部36が設けられている。リジェクト紙幣収納部36は、リジェクト紙幣を収納する空間であるリジェクト紙幣収納空間37を有している。
【0054】
またリジェクト庫18は、リジェクト紙幣収納空間37と外部とを連通し該リジェクト紙幣収納空間37から外部へリジェクト紙幣を取り出させる開口であるリジェクト紙幣取出開口38が後側に形成されている。
【0055】
リジェクト庫筐体34には、リジェクト紙幣取出開口38を覆い片開きする板状の開き扉であるリジェクト紙幣収納扉39が、吊元である左端に設けられた蝶番を支点として回動するよう開閉可能に設けられている。リジェクト庫18は、顧客との間で取引処理が行われる場合やリジェクト紙幣回収作業が行われない場合、図9図10及び図11に示したようにリジェクト紙幣収納扉39を閉じリジェクト紙幣取出開口38を閉鎖することにより、リジェクト紙幣収納空間37内部の各部やリジェクト紙幣等を保護する。以下ではこれをリジェクト紙幣収納扉閉鎖状態とも呼ぶ。一方リジェクト庫18は、現金自動取引装置1から取り外された該リジェクト庫18から現金センターにおいてリジェクト紙幣が回収されるリジェクト紙幣回収作業が行われる場合、リジェクト紙幣収納扉39を開きリジェクト紙幣取出開口38を開放することにより、リジェクト紙幣を取り出し可能な状態とする。以下ではこれをリジェクト紙幣収納扉開放状態とも呼ぶ。
【0056】
リジェクト紙幣収納扉39における戸先部側(右端側)には、リジェクト紙幣収納扉錠40が設けられている。リジェクト庫18は、リジェクト紙幣収納扉錠40に所定の鍵が差し込まれ一方向に捻られることにより、リジェクト紙幣収納扉錠40を施錠する。一方リジェクト庫18は、リジェクト紙幣収納扉錠40に所定の鍵が差し込まれ他方向に捻られることにより、リジェクト紙幣収納扉錠40を解錠する。
【0057】
またリジェクト庫18は、ジャム除去紙幣収納部46(図12)のジャム除去紙幣収納空間44と外部とを連通し該ジャム除去紙幣収納空間44から外部へジャム除去紙幣を取り出させる開口であるジャム除去紙幣取出開口42が、受取口34Aの下方に形成されている。
【0058】
リジェクト庫筐体34には、ジャム除去紙幣取出開口42を覆い片開きする板状の開き扉であるジャム除去紙幣収納扉43が、吊元である左端に設けられた蝶番を支点として回動するよう開閉可能に設けられている。リジェクト庫18は、顧客との間で取引処理が行われる場合やジャム除去紙幣回収作業が行われない場合、図9図10及び図11に示したようにジャム除去紙幣収納扉43を閉じジャム除去紙幣取出開口42を閉鎖することにより、ジャム除去紙幣収納空間44内部の各部やジャム除去紙幣等を保護する。以下ではこれをジャム除去紙幣収納扉閉鎖状態とも呼ぶ。一方リジェクト庫18は、現金自動取引装置1から取り外された該リジェクト庫18から現金センターにおいてジャム除去紙幣が回収されるジャム除去紙幣回収作業が行われる場合、ジャム除去紙幣収納扉43を開きジャム除去紙幣取出開口42を開放することにより、ジャム除去紙幣を取り出し可能な状態とする。以下ではこれをジャム除去紙幣収納扉開放状態とも呼ぶ。
【0059】
ジャム除去紙幣収納扉43における戸先部側(右端側)には、ジャム除去紙幣収納扉錠45が設けられている。リジェクト庫18は、ジャム除去紙幣収納扉錠45に所定の鍵が差し込まれ一方向に捻られることにより、ジャム除去紙幣収納扉43を施錠する。一方リジェクト庫18は、ジャム除去紙幣収納扉錠45に所定の鍵が差し込まれ他方向に捻られることにより、ジャム除去紙幣収納扉43を解錠する。
【0060】
図12に示すように、受取口34Aの後方でありリジェクト紙幣収納空間37の前方には、放出部としての集積ローラ部50が設けられている。集積ローラ部50は、上側ローラ50U及び下側ローラ50Dにより構成され、シャフトを左右方向に向けた円柱状に形成されており、駆動力が供給されることにより回転する。下側ローラ50Dのシャフトには、ゴム等の弾性部材で形成された舌片52が、左右方向に所定の間隔を空けて複数本設けられており、該シャフトと同期して回転する。この舌片52は、下側ローラ50Dと共に図12中反時計回りに回転することにより、受取口34Aからリジェクト紙幣収納空間37へ送り出されたリジェクト紙幣の前端部分を叩く。リジェクト庫18内には、ステージ54が設けられており、受取口34Aから放出されたリジェクト紙幣が集積方向である上下方向(鉛直方向)に沿って重なるよう集積される。このステージ54は、スプリング56により下方から支持されており、該ステージ54に集積されたリジェクト紙幣の枚数に応じて、該スプリング56が縮み適正な集積スペースを確保する。上側搬送ガイド58は、受取口34Aからリジェクト紙幣収納空間37までの上方に亘って形成され、搬送されるリジェクト紙幣の上側をガイドする。
【0061】
リジェクト庫18内部における集積ローラ部50の下方には、ジャム除去紙幣収納部46が設けられている。このジャム除去紙幣収納部46は、ジャム除去紙幣を収納する空間であるジャム除去紙幣収納空間44を有している。このジャム除去紙幣収納空間44は、前側をジャム除去紙幣収納扉43に、下側をリジェクト庫筐体底板34Dに、後側を仕切り板60に、左側をリジェクト庫筐体左側板34Lに、右側をリジェクト庫筐体右側板34Rにそれぞれ囲まれた空間である。ジャム除去紙幣収納空間44は、ジャム除去紙幣を紙面が前後方向を向くように前後方向に沿って重なるように立位姿勢で並べて収納する。
【0062】
このジャム除去紙幣収納空間44とリジェクト紙幣収納空間37との間には図12及び図13に示すように上下左右方向に沿って延在する板状部材である側壁部としての仕切り板60が形成されている。これによりジャム除去紙幣収納空間44は、仕切り板60に対してリジェクト紙幣収納空間37の反対側、すなわち前方に形成されている。この仕切り板60は、リジェクト紙幣収納空間37に収納される紙幣をガイドすると共に、ジャム除去紙幣収納空間44とリジェクト紙幣収納空間37とを物理的に分断することにより、ジャム除去紙幣とリジェクト紙幣とが混ざってしまわないようにしている。またこの仕切り板60には、上下方向に沿う複数のスリット60Aが穿設されており、このスリット60Aを介し、リジェクト紙幣収納部36側からジャム除去紙幣収納部46側を目視可能となっている。なお図13は、リジェクト紙幣収納扉39を外した状態でリジェクト庫18内部を後方から見た図である。
【0063】
リジェクト庫筐体左側板34Lにおいてジャム除去紙幣収納空間44と対向する箇所には、ジャム除去紙幣収納空間44の内部と外部とを連通し外部からジャム除去紙幣収納空間44へジャム除去紙幣を投入させる開口であるジャム除去紙幣投入口47が穿設されている。このジャム除去紙幣投入口47は、ジャム除去紙幣収納空間44の外部から内部へ向かうに従って、すなわち左から右に向かうに従って先細りの形状になっていたり、ジャム除去紙幣収納空間44の外部から内部へ向かう方向にのみ可動する扉等が設けられていたりすることにより、ジャム除去紙幣収納空間44の外部から内部へジャム除去紙幣を投入可能であるものの、ジャム除去紙幣収納空間44の内部から外部へはジャム除去紙幣を取り出せないように構成されている。
【0064】
フレーム28のリジェクト庫装着部左側壁28Lにおいてリジェクト庫18のジャム除去紙幣投入口47と対向する箇所には、リジェクト庫装着部左側壁28Lの右側と左側とを連通しリジェクト庫装着部左側壁28Lの左側から右側へジャム除去紙幣を通過させる開口であるフレーム孔部28Aが穿設されている。
【0065】
ジャム紙幣を警備員が上搬送部20や下搬送部22から除去することによりジャム紙幣除去作業が完了すると、警備員は、このジャム除去紙幣を保守面側(左側)からフレーム28のフレーム孔部28A及びリジェクト庫18のジャム除去紙幣投入口47を介しジャム除去紙幣収納空間44に投入することにより、ジャム除去紙幣投入作業を行う。続いて現金自動取引装置1からリジェクト庫18が警送員により取り外されて移送され、現金センターにおいてジャム除去紙幣回収作業が行われる。具体的にリジェクト庫18は、リジェクト紙幣収納扉39が開けられリジェクト紙幣を取り出されると共に、ジャム除去紙幣収納扉43が開けられジャム除去紙幣を取り出される。
【0066】
[1−7.効果等]
以上の構成においてリジェクト庫18は、ジャム除去紙幣を収納するジャム除去紙幣収納空間44を、リジェクト紙幣収納空間37に対し、リジェクト紙幣が集積される集積方向である上下方向に沿って重ならない位置である、ジャム除去紙幣収納空間44の前方に設けるようにした。これによりリジェクト庫18は、従来のリジェクト庫18と同等の高さ(サイズ)を保ちつつ、且つリジェクト紙幣の収納容量も保ちつつ、ジャム除去紙幣をリジェクト庫18に収納できる。
【0067】
またリジェクト庫18においては、受取口34Aから挿入されたリジェクト紙幣を、該受取口34Aよりも後下側に位置するリジェクト紙幣収納空間37へ集積ローラ部50により送り出すため、該集積ローラ部50の下方には元々空間が余っていた。
【0068】
これに対しリジェクト庫18は、そのような集積ローラ部50の下方の余っている空間を有効活用してジャム除去紙幣収納空間44として利用するようにした。これによりリジェクト庫18は、ジャム除去紙幣収納空間44を設けるために、リジェクト庫18自体のサイズが従来のリジェクト庫18よりも大きくなってしまったり、リジェクト紙幣収納空間37におけるリジェクト紙幣の収納容量が減少してしまったりすることを防止しつつ、ジャム除去紙幣を収納する空間を設けることができる。
【0069】
またリジェクト庫18は、仕切り板60にスリット60Aを穿設するようにした。このためリジェクト庫18は、リジェクト紙幣収納部空間27側からスリット60Aを介しジャム除去紙幣収納空間44内を警送員が目視可能とし、ジャム除去紙幣がジャム除去紙幣収納空間44に存在するか否かを確認させることができる。これによりリジェクト庫18は、現金センターにおいてリジェクト紙幣の回収が行われた後に、ジャム除去紙幣収納扉43が開けられたにも関わらずジャム除去紙幣がジャム除去紙幣収納空間44に存在しなかったために、ジャム除去紙幣収納扉43を開ける動作が無駄に終わってしまうことを防止し、操作を簡略化できる。
【0070】
以上の構成によれば、現金自動取引装置1は、媒体としての紙幣を搬送する上搬送部20及び下搬送部22と、上搬送部20により搬送される紙幣を鑑別する鑑別部14と、鑑別部14によりリジェクト媒体としてのリジェクト紙幣と鑑別された紙幣を収納するリジェクト庫18とを設け、リジェクト庫18は、リジェクト紙幣を集積するリジェクト紙幣収納空間37と、リジェクト紙幣収納空間37に対し、リジェクト紙幣が集積される集積方向である上下方向に沿って重ならない位置に設けられ、上搬送部20及び下搬送部22上から除去された除去媒体としてのジャム除去紙幣を収納するジャム除去紙幣収納空間44と、外部からジャム除去紙幣収納空間44にジャム除去紙幣を投入させるジャム除去紙幣投入口47とを有するようにした。
【0071】
これにより現金自動取引装置1は、リジェクト紙幣収納空間37に影響を与えることなくジャム除去紙幣をリジェクト庫18に収納できる。
【0072】
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動取引装置101(図1及び図2)は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違するものの、他の点においては同様に構成されている。紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、リジェクト庫18に代わるリジェクト庫118を有する点において相違するものの、他の点においては同様に構成されている。
【0073】
それぞれ図9及び図10と対応する部材に同一符号を付した図14及び図15に示すように、リジェクト庫118は、第1の実施の形態によるリジェクト庫18と比較して、リジェクト紙幣収納扉39に代わるリジェクト紙幣収納扉139と、ジャム除去紙幣収納扉43に代わるジャム除去紙幣収納扉143とを有する点において相違すると共に、リジェクト庫筐体右側板34Rの非保守面側(右側)の側面に、ジャム除去紙幣収納空間44の外部と内部とを連通しジャム除去紙幣をジャム除去紙幣収納空間44から外部へ通過させるジャム除去紙幣取出口62が穿設されているものの、他の点においては同様に構成されている。
【0074】
ジャム除去紙幣収納扉143は、リジェクト庫筐体34に対し図16に示すように前後方向に沿ってスライド移動する。このジャム除去紙幣収納扉143は、後方へ向かって移動することによりジャム除去紙幣収納扉閉鎖状態となり、ジャム除去紙幣取出口62を外部から覆う一方、前方へ向かって移動することによりジャム除去紙幣収納扉開放状態となり、ジャム除去紙幣取出口62を外部に露出させる。またジャム除去紙幣収納扉143には、ジャム除去紙幣収納扉錠45(図9及び図10)は設けられていない。
【0075】
リジェクト紙幣収納扉139における右端部には、リジェクト紙幣収納扉閉鎖状態においてジャム除去紙幣収納扉143と前後方向に対向するよう配置され、リジェクト紙幣収納扉閉鎖状態においてジャム除去紙幣収納扉143の後端部に当接することにより、ジャム除去紙幣収納扉143の後方への移動を規制するストッパ64が形成されている。
【0076】
かかる構成において警備員は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と同様のジャム除去紙幣投入作業を行う。一方、ジャム除去紙幣回収作業時において警備員は、リジェクト紙幣収納扉錠40を解錠してリジェクト紙幣収納扉139を開けることによりリジェクト紙幣収納扉閉鎖状態からリジェクト紙幣収納扉開放状態へ移行させリジェクト紙幣を回収する。その後警備員は、ジャム除去紙幣収納扉143を後方へスライドさせることでジャム除去紙幣収納扉閉鎖状態からジャム除去紙幣収納扉開放状態へ移行させ、ジャム除去紙幣取出口62を露出させることにより、ジャム除去紙幣取出口62を介しジャム除去紙幣収納空間44からジャム除去紙幣を回収する。
【0077】
このように現金自動取引装置101は、リジェクト紙幣収納扉錠40で施錠されるリジェクト紙幣収納扉139により、ジャム除去紙幣収納扉143の移動を規制し、該ジャム除去紙幣収納扉143を結果的に施錠するようにした。これにより現金自動取引装置101は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比較してジャム除去紙幣収納扉錠45を省略できるため、構成を簡素化できコストダウンできる。
【0078】
また第1の実施の形態による現金自動取引装置1においては、リジェクト紙幣収納空間37を開閉するリジェクト紙幣収納扉39のリジェクト紙幣収納扉錠40と、ジャム除去紙幣収納空間44を開閉するジャム除去紙幣収納扉43のジャム除去紙幣収納扉錠45との2個の錠を有していた。このため現金自動取引装置1においてはジャム除去紙幣回収作業の際に、警備員がリジェクト紙幣収納扉錠40を解錠してリジェクト紙幣収納扉39を開けると共に、ジャム除去紙幣収納扉錠45を解錠してジャム除去紙幣収納扉43を開ける必要があり、2個の錠の解錠を行う必要があったため、煩雑な操作を強いることとなっていた。
【0079】
これに対し現金自動取引装置101は、リジェクト紙幣収納扉錠40で施錠されるリジェクト紙幣収納扉139により、ジャム除去紙幣収納扉143の移動を規制するようにした。これにより現金自動取引装置101は、現金自動取引装置1と比較して、ジャム除去紙幣収納扉錠45を省略でき、解錠する鍵をリジェクト紙幣収納扉錠40の1個だけにできるため、ジャム除去紙幣回収作業時における警備員の操作を簡素化できる。
【0080】
その他第2の実施の形態による現金自動取引装置101は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1とほぼ同様の作用効果を奏する。
【0081】
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態による現金自動取引装置201(図1及び図2)は、第2の実施の形態による現金自動取引装置101と比較して、紙幣入出金機110に代わる紙幣入出金機210を有する点において相違するものの、他の点においては同様に構成されている。紙幣入出金機210は、第2の実施の形態による紙幣入出金機110と比較して、リジェクト庫一時保留部ユニット26に代わる図17に示すリジェクト庫一時保留部ユニット226を有する点において相違するものの、他の点においては同様に構成されている。リジェクト庫一時保留部ユニット226は、リジェクト庫一時保留部ユニット26と比較して、それぞれフレーム28に代わるフレーム228と、後側搬送ガイド32に代わる後側搬送ガイド232とを有する点において相違するものの、他の点においては同様に構成されている。
【0082】
図7と対応する部材に同一符号を付した図17に示すようにフレーム228は、フレーム28と比較して、フレーム孔部28Aが塞がれている。また後側搬送ガイド232は後側搬送ガイド32と比較して、例えば透明材料等、リジェクト庫装着部23側からリジェクト庫一時保留部搬送路側を透視可能な材料で構成されている。
【0083】
かかる構成において警備員は、第2の実施の形態による現金自動取引装置101と同様のジャム除去紙幣回収作業を行う。一方、フレーム孔部28Aが塞がれておりジャム除去紙幣投入口47が外部に開放されていないため、ジャム除去紙幣投入作業時において警備員は、フレーム228よりも保守面側(左側)からジャム除去紙幣投入口47を介しジャム除去紙幣収納空間44へ紙幣を投入することができない。
【0084】
このため警備員は、リジェクト庫18をリジェクト庫装着部23から上方へ持ち上げてリジェクト脱着状態とすることによりジャム除去紙幣投入口47を外部に開放させた上で、ジャム除去紙幣投入口47を介しジャム除去紙幣収納空間44へ紙幣を投入する。このリジェクト脱着状態においては、後側搬送ガイド32の後側が外部に露出する。ここで、後側搬送ガイド32は透明材料で形成されているため、外部から警備員がリジェクト庫一時保留部搬送路を視認可能となり、該リジェクト庫一時保留部搬送路に紙幣が残留していないか否かを確認できる。
【0085】
ここで、第2の実施の形態による現金自動取引装置101においては、フレーム28にフレーム孔部28Aを穿設することにより、ジャム除去紙幣投入作業時においてフレーム28よりも保守面側からフレーム孔部28A及びジャム除去紙幣投入口47を介しジャム除去紙幣収納空間44へ紙幣を投入可能とし、利便性を保っている。
【0086】
しかしながら現金自動取引装置101の場合、リジェクト庫離脱状態にしなくてもジャム除去紙幣をジャム除去紙幣収納空間44へ投入可能であるため、リジェクト庫一時保留部搬送部21以外からジャム紙幣を警備員が発見した場合に該ジャム紙幣をジャム除去紙幣投入口47から投入して、リジェクト庫一時保留部搬送部21を確認せずにジャム除去紙幣回収作業を完了できてしまう。その場合、リジェクト庫一時保留部搬送部21にジャム紙幣が残留したままになってしまう可能性があり、現金トラブルにつながる恐れがある。
【0087】
これに対し現金自動取引装置201は、リジェクト庫装着状態においてジャム除去紙幣投入口47をフレーム28のリジェクト庫装着部左側壁28Lに対向させることにより、リジェクト庫装着状態においてはジャム除去紙幣投入口47からジャム除去紙幣を投入困難にし、リジェクト庫離脱状態においてジャム除去紙幣投入口47からジャム除去紙幣を投入可能とした。これにより現金自動取引装置201は、ジャム除去紙幣投入作業時においてリジェクト庫一時保留部搬送部21を外部に開放し警備員にリジェクト庫一時保留部搬送路内のジャム紙幣の残留を確認させることができ、リジェクト庫一時保留部搬送部21にジャム紙幣が残留したままになってしまうことを防止できる。
【0088】
また現金自動取引装置201は、後側搬送ガイド232を透明材料で構成するようにした。これにより現金自動取引装置201は、リジェクト庫離脱状態において後側搬送ガイド232をガイド傾斜状態としなくても外部から警備員がリジェクト庫一時保留部搬送部21を視認可能とでき、警備員の手間を軽減させることができる。
【0089】
その他第3の実施の形態による現金自動取引装置201は、第2の実施の形態による現金自動取引装置101とほぼ同様の作用効果を奏する。
【0090】
[4.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、リジェクト紙幣収納空間37の前方にジャム除去紙幣収納空間44を配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、リジェクト紙幣収納空間37の後方、左方、右方等、リジェクト紙幣収納空間37の種々の側方にジャム除去紙幣収納空間44を配置しても良い。要はリジェクト紙幣収納空間37に対しリジェクト紙幣の集積方向(上下方向)に沿って重ならない配置すれば良い。
【0091】
また上述した実施の形態においては、仕切り板60にスリット60Aを穿設することによりリジェクト紙幣収納空間37側からジャム除去紙幣収納空間44側を目視可能とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、仕切り板60を例えば透明材料等、リジェクト紙幣収納空間37側からジャム除去紙幣収納空間44側を透視可能な材料で構成しても良い。
【0092】
さらに上述した第2の実施の形態においては、警備員がリジェクト紙幣収納扉139を開放させた後に手動でジャム除去紙幣収納扉143を移動させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、図18に示すリジェクト庫318のように、ジャム除去紙幣収納扉143を後方へスプリング等の付勢部材65により付勢することにより、ジャム除去紙幣収納扉143が開放されると該ジャム除去紙幣収納扉143の回動に連動してジャム除去紙幣収納扉143が開くようにしても良い。第3の実施の形態においても同様である。
【0093】
さらに上述した第2の実施の形態においては、ジャム除去紙幣収納扉143をスライド移動で開閉させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、図19に示すリジェクト庫418のジャム除去紙幣収納扉443のように、回動軸67を支点とする回動で開閉させても良い。その場合、図20に示すリジェクト庫518のように、閉鎖する方向にジャム除去紙幣収納扉543を付勢するトーションビームスプリング63を回動軸67に実装することにより、ジャム除去紙幣収納扉543の閉め忘れを防止しても良い。第3の実施の形態においても同様である。
【0094】
さらに上述した第2の実施の形態においては、リジェクト紙幣収納扉139とジャム除去紙幣収納扉143とを別個に設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、図21に示すリジェクト庫618のように、図16に示したリジェクト紙幣収納扉39とジャム除去紙幣収納扉43とを一体化させたようなリジェクト紙幣ジャム除去紙幣収納扉66により、リジェクト紙幣収納空間37及びジャム除去紙幣収納空間44を開閉しても良い。このリジェクト紙幣ジャム除去紙幣収納扉66には、ジャム除去紙幣収納空間44と対向する箇所にジャム除去紙幣投入口47が形成されている。第3の実施の形態においても同様である。
【0095】
さらに上述した第1の実施の形態においては、ジャム除去紙幣投入口47をリジェクト庫18における保守面側に配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、リジェクト庫18における前側や後側や上側や下側等に、ジャム除去紙幣投入口47を配置しても良い。
【0096】
さらに上述した第2の実施の形態においては、リジェクト庫118における保守面側にジャム除去紙幣投入口47を、非保守面側にジャム除去紙幣収納扉143を配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、保守面側のジャム除去紙幣投入口47を省略し、例えばジャム除去紙幣収納扉143等、種々の箇所にジャム除去紙幣投入口47を設けてもよい。第3の実施の形態においても同様である。
【0097】
さらに上述した第1の実施の形態においては、警備員が後側搬送ガイド32をガイド傾斜状態に回動させ、リジェクト庫一時保留部搬送部21内の残留紙幣を確認する場合について述べた。本発明はこれに限らず、後側搬送ガイド32をガイド傾斜状態に回動する方向へ図示しない付勢部材により付勢し、リジェクト庫装着状態において後側搬送ガイド32がガイド傾斜状態に回動しないようリジェクト庫18により抑え、リジェクト庫離脱状態になると、自動的に後側搬送ガイド32がガイド傾斜状態に回動するようにしても良い。第2及び第3の形態においても同様である。特に第3の実施の形態に適用した場合、後側搬送ガイド232を透明材料で構成しなくても良い。
【0098】
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態においても、第3の実施の形態と同様に後側搬送ガイド32を透明材料で構成しても良い。
【0099】
さらに上述した第1の実施の形態においては、1個のジャム除去紙幣収納空間44を形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、図22に示すリジェクト庫718のように、例えばジャム除去紙幣投入口47Aが形成されたジャム除去紙幣収納空間44A及びジャム除去紙幣投入口47Bが形成されたジャム除去紙幣収納空間44B等、2個以上の任意の個数のジャム除去紙幣収納空間を形成しても良い。第2及び第3の形態においても同様である。
【0100】
さらに、ジャム除去紙幣収納空間44内に警備員がジャム除去紙幣を投入したことを警送員に通知する図23又は図24に示すジャム除去紙幣投入有無通知部68又は168を設けても良い。図23に示すジャム除去紙幣投入有無通知部68は、リジェクト庫筐体34に穿設された窓部69から、スライド可能な有無通知板70に記載された「有」又は「無」の何れかを警備員に視認可能にすることにより、「有」又は「無」の表示を切り替える。図24に示すジャム除去紙幣投入有無通知部168は、リジェクト庫筐体34の外側に設けられた透明ポケット71に、一面に「有」が、他面に「無」が記載された有無通知板170を投入可能にすることにより、「有」又は「無」の表示の何れかを警送員に視認可能にしている。それ以外にも、ジャム除去紙幣収納空間44内のジャム除去紙幣の有無を種々のセンサにより検出し、LED(Light Emitting Diode)を光らせる等でも良い。
【0101】
さらに上述した実施の形態においては、リジェクト庫18に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば紙幣収納庫16に本発明を適用しても良い。しかしながら紙幣収納庫16に本発明を適用した場合、現実的には4個の紙幣収納庫16全てに本発明を適用することとなるため、1個のリジェクト庫18のみに本発明を適用した場合よりもコストアップしてしまう。また警送員は、空になった又は紙幣が少なくなった紙幣収納庫16のみを交換しに来るため、紙幣が大量に入っている方の紙幣収納庫16にジャム除去紙幣が投入されてしまった場合、ジャム除去紙幣が警送員によって回収されるまでに時間を要してしまう可能性がある。さらにリジェクト庫18は、現金自動取引装置1内に1個だけ設けられているため、4個設けられている紙幣収納庫16よりも、警備員によって迷わずジャム除去紙幣が投入される可能性が高い。このためリジェクト庫18に本発明を適用することが望ましい。
【0102】
さらに上述した第1の実施の形態においては、現金自動取引装置1の紙幣入出金機10に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば金融機関の窓口に設置され、主に金融機関の職員に使用される紙幣整理装置(いわゆるテラーマシン)等、紙幣を取り扱う種々の装置に適用しても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0103】
さらに上述した第1の実施の形態においては、媒体としての紙幣を取り扱う現金自動取引装置1に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば各種の金券や証券のような種々の媒体を取り扱う装置に適用しても良い。
【0104】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0105】
さらに上述した実施の形態においては、媒体収納空間としてのリジェクト紙幣収納空間37と、ジャム除去媒体収納空間としてのジャム除去紙幣収納空間44と、投入口としてのジャム除去紙幣投入口47とによって、媒体収納庫としてのリジェクト庫18を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる媒体収納空間と、ジャム除去媒体収納空間と、投入口とによって、媒体収納庫を構成しても良い。
【0106】
さらに上述した実施の形態においては、搬送路としての上搬送部20及び下搬送部22と、鑑別部としての鑑別部14と、媒体収納空間としてのリジェクト紙幣収納空間37と、ジャム除去媒体収納空間としてのジャム除去紙幣収納空間44と、投入口としてのジャム除去紙幣投入口47とを有するリジェクト庫としてのとしてのリジェクト庫18とによって、媒体取引装置としての現金自動取引装置1を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる搬送路と、鑑別部と、媒体収納空間と、ジャム除去媒体収納空間と、投入口とを有するリジェクト庫とによって、媒体取引装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、媒体としての紙幣を利用者との間で取引する現金自動預払機でも利用できる。
【符号の説明】
【0108】
1、101、201……現金自動取引装置、2……装置筐体、3……顧客応対部、4……カード入出口、5……入出金口、6……操作表示部、7……テンキー、8……レシート発行口、9……主制御部、10……紙幣入出金機、10U……上部ユニット、10D……下部ユニット、11……紙幣制御部、12……入出金部、14……鑑別部、15……一時保留部、16……紙幣収納庫、18、118……リジェクト庫、20……上搬送部、21……リジェクト庫一時保留部搬送部、22……下搬送部、23……リジェクト庫装着部、26、226……リジェクト庫一時保留部ユニット、28、228……フレーム、28L……リジェクト庫装着部左側壁、28R……リジェクト庫装着部右側壁、28A……フレーム孔部、30……スライドレール、31……トレイ、32、232……後側搬送ガイド、32A……引渡口、34……リジェクト庫筐体、34U……リジェクト庫筐体天板、34D……リジェクト庫筐体底板、34L……リジェクト庫筐体左側板、34R……リジェクト庫筐体右側板、34A……受取口、36……リジェクト紙幣収納部、37……リジェクト紙幣収納空間、38……リジェクト紙幣取出納開口、39、139、1139……リジェクト紙幣収納扉、40……リジェクト紙幣収納扉錠、42……ジャム除去紙幣取出開口、43、143、443、543、1143……ジャム除去紙幣収納扉、44……ジャム除去紙幣収納空間、45……ジャム除去紙幣収納扉錠、46……ジャム除去紙幣収納部、47、1147……ジャム除去紙幣投入口、50……集積ローラ部、50U……上側ローラ、50D……下側ローラ、52……舌片、54……ステージ、56……スプリング、58……上側搬送ガイド、60、1160……仕切り板、60A……スリット、62……ジャム除去紙幣取出口、63……トーションビームスプリング、64……ストッパ、65……付勢部材、66……リジェクト紙幣ジャム除去紙幣収納扉、67……回動軸、68、168……ジャム除去紙幣投入有無通知部、69……窓部、70、170……有無通知板、71……透明ポケット。
図1
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