特許第6874369号(P6874369)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6874369キャビネットにおける引出しのオールロック装置、及びキャビネット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6874369
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】キャビネットにおける引出しのオールロック装置、及びキャビネット
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/462 20170101AFI20210510BHJP
【FI】
   E05B65/462
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-257161(P2016-257161)
(22)【出願日】2016年12月29日
(65)【公開番号】特開2018-109288(P2018-109288A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】横田 一寿
(72)【発明者】
【氏名】大石 祐
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆太
(72)【発明者】
【氏名】荒井 克洋
(72)【発明者】
【氏名】植村 浩孝
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 貴司
(72)【発明者】
【氏名】米山 聡
(72)【発明者】
【氏名】藤川 皓平
(72)【発明者】
【氏名】天野 岳
(72)【発明者】
【氏名】石川 太
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−045871(JP,U)
【文献】 実開昭48−046724(JP,U)
【文献】 特開2009−052298(JP,A)
【文献】 独国実用新案第202008010491(DE,U1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0159385(US,A1)
【文献】 特開平09−317280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
E05C 1/00−21/02
A47B 67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネット本体と、前記キャビネット本体に収容される上下複数段の引出しと、前記引出しの飛出しを防止するラッチ装置と、前記引出しの一つに設けた錠とを備えたキャビネットにおいて、全段の前記引出しを一括してロックできるオールロック装置であって、
前記ラッチ装置は、前記引出しの引手に連結されて左右方向軸まわりに回動する操作杆により前記引出し側のラッチ爪を操作し、前記ラッチ爪と前記キャビネット本体側の係合部との係合状態及び係合解除状態を切り替え可能なものであり、
前記錠の施錠時において、前記錠の施解錠操作により移動するロック片により前記錠を設けた前記引出しの前記操作杆の回動を阻止する操作杆回動阻止機構と、
前記錠の施錠時において、前記錠を設けた前記引出し以外の前記引出しの前記操作杆の回動を阻止するように前記操作杆回動阻止機構と連係する、前記キャビネット本体の側板の内側に位置する連動操作部を含む操作杆回動阻止連係機構とを備え、
前記錠の施錠時には、前記操作杆回動阻止機構及び前記操作杆回動阻止連係機構により、全段の前記引出しの前記操作杆の回動が阻止され、前記ラッチ装置の前記係合状態が保持されることにより、全段の前記引出しを一括してロックしたオールロック状態となり、
前記錠の解錠時には、全段の前記引出しの前記操作杆の回動を阻止した状態が一括して解除され、各段の前記引出しの前記引手を引くことにより、当該引出しの前記ラッチ装置が前記係合解除状態になることを特徴とする、
キャビネットにおける引出しのオールロック装置。
【請求項2】
前記錠を設けた前記引出しは、当該引出しの前記操作杆と連動して回動する操作杆連動部を有し、
前記ロック片は、前記操作杆連動部が回動する方向と交差する方向に移動し、
前記錠の施錠時には、前記操作杆連動部の回動が前記ロック片により阻止されることで前記操作杆の回動が阻止される、
請求項1記載のキャビネットにおける引出しのオールロック装置。
【請求項3】
前記連動操作部は、前記錠を設けた前記引出し以外の前記引出しの引手の回動に連動して上昇または下降する昇降杆を含む
請求項1又は2記載のキャビネットにおける引出しのオールロック装置。
【請求項4】
前記錠を設けた前記引出し以外の前記引出しの前記操作杆の回動と連動する連動部材を、当該操作杆の端部から後方へ突設し、
前記キャビネット本体の側板の内側に、前記連動部材の回動に連動して上下方向に回動する回動杆を左右方向の回動支軸により軸支し、
前記回動杆の回動に連動して前記昇降杆が昇降する、
請求項3記載のキャビネットにおける引出しのオールロック装置。
【請求項5】
前記錠の施錠時において、前記引手の回転力の前記操作杆への伝達を遮断するクラッチ機構を備え
請求項1〜4のいずれかに記載のキャビネットにおける引出しのオールロック装置。
【請求項6】
キャビネット本体と、
前記キャビネット本体に収容される上下複数段の引出しと、
前記引出しの引手に連結されて左右方向軸まわりに回動する操作杆と連動し、前記キャビネット本体側の係合部との係合状態及び係合解除状態を切り替え可能なラッチ爪を有するラッチ装置と、
前記引出しの一つに設けた錠と、
を備えたキャビネットであって、
前記キャビネット本体は、
前記錠が設けられていない一つの前記引出しの前記操作杆に連動して上昇または下降する昇降杆を有し、
前記錠を設けた前記引出しは、
前記錠を設けた前記引出しの前記操作杆が回動する動作、及び前記昇降杆が上昇または下降する動作の規制状態及び規制解除状態を切り替え可能な、前記錠の施解錠操作により移動するロック片を有している、
キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下複数段の引出しを備えたキャビネットにおいて、複数段の引出しを一括してロックできるオールロック装置に関わり、さらに詳しくは、引出しの一つに電子錠又は機械錠を備えた前記オールロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上下複数段の引出しを備えたキャビネットにおいて、複数段の引出しを一括してロックできるオールロック装置がある(例えば、特許文献1参照)。
ここで、特許文献1におけるキャビネットは、上段引出し(22)にダイヤル錠(13)を備えている。
また、上下複数段の引出しを備えたキャビネットにおいて、上下複数段の引出しに個別の電子錠を備えたものがある(例えば、特許文献2の図3参照)。
【0003】
特許文献1のキャビネットにおける引出しのオールロック装置は、各引出し(22)の把手(31)を操作することにより解除される左右のラッチ機構(3,3)、左右のラッチ機構(3,3)を操作する左右方向の回転軸(34)、回転軸(34)と把手(31)との間に介在させたクラッチ(11)、各引出し(22)の鏡板(22a)に設けられた、クラッチ(11)のオフ/オンを操作して施錠状態/解錠状態を切替える作動部(12)、上下に隣接する引出し(22,22)の鏡板(22a,22a)間に亘って構成された、上下の作動部(12,12)の動きを連動させる連動機構(B)、及び、何れかの引出し(22)の鏡板(22a)に設けられた、当該鏡板(22a)に存する作動部(12)又は連動機構(B)の一部に施錠状態/解錠状態を切り替えるための動作を与える入力部であるダイヤル錠(13)等を備える。
ここで、連動機構(B)は、各引出し(22)の鏡板(22a)に連動杆(14)を昇降可能に配置したものであり、上下の連動杆(14,…)が連動して上下動することにより、上下の作動部(12,…)が連動する。それにより、上下複数段の引出し(22,…)のクラッチ(11,…)のオフ/オン操作を、一つの作動部(12)の操作により行うことができる。
【0004】
特許文献2のキャビネットは、電池式の電子錠(8)を使用しており、電子錠(8)のソレノイド等のアクチュエータを駆動した際における消費電力を少なくして電池の消耗をなるべく少なくする必要があることから、前記アクチュエータの作動力(例えば、ソレノイドの吸引力)は弱いので、前記のとおり上下複数段の引出しに個別の電子錠を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−052298号公報
【特許文献2】特開2015−187345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のキャビネットにおける引出しのオールロック装置は、上下に隣接する引出し(22,22)の鏡板(22a,22a)間に亘って構成された連動機構(B)により上下の作動部(12,12)の動きを連動させる構成であり、可動側の各引出し(22)に連動機構(B)が組み込まれているので、引出し(22)とキャビネット本体(筐体21)の遊び部分のガタツキや寸法誤差等によって上下の引出し(22,22,…)に前後方向の位置ずれが発生することがある。このような位置ずれがあると、前記連動機構(B)により上下の作動部(12,12)の動きを連動させる動作が不確実になる場合がある。
よって、複数段の引出しを一括してロックしたオールロック状態にするための動作、及び/又は何れの引出しも引き出せるロック解除状態にするための動作の信頼性を向上するという観点で見ると改良の余地がある。
【0007】
また、特許文献1のようなキャビネットにおける引出しのオールロック装置において、特許文献2のような電池式の電子錠を用いる場合には、電池式の電子錠のアクチュエータの消費電力を小さくするように省電力化を図る必要があるので、全段の引出しを一括してロックできる機構を作動力が弱いアクチュエータで安定かつ確実に駆動できるようにする工夫が必要になる。
【0008】
そこで、本発明は、キャビネット本体に収容される上下複数段の引出しの飛出しを防止するラッチ装置、及び引出しの一つに錠を備えたキャビネットにおいて、複数段の引出しを一括してロックしたオールロック状態にするための動作、及び何れの引出しも引き出せるロック解除状態にするための動作の信頼性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るキャビネットにおける引出しのオールロック装置は、前記課題解決のために、キャビネット本体と、前記キャビネット本体に収容される上下複数段の引出しと、前記引出しの飛出しを防止するラッチ装置と、前記引出しの一つに設けた錠とを備えたキャビネットにおいて、全段の前記引出しを一括してロックできるオールロック装置であって、
前記ラッチ装置は、前記引出しの引手に連結されて左右方向軸まわりに回動する操作杆により前記引出し側のラッチ爪を操作し、前記ラッチ爪と前記キャビネット本体側の係合部との係合状態及び係合解除状態を切り替え可能なものであり、
前記錠の施錠時において、前記錠の施解錠操作により移動するロック片により前記錠を設けた前記引出しの前記操作杆の回動を阻止する操作杆回動阻止機構と、
前記錠の施錠時において、前記錠を設けた前記引出し以外の前記引出しの前記操作杆の回動を阻止するように前記操作杆回動阻止機構と連係する、前記キャビネット本体の側板の内側に位置する連動操作部を含む操作杆回動阻止連係機構とを備え、
前記錠の施錠時には、前記操作杆回動阻止機構及び前記操作杆回動阻止連係機構により、全段の前記引出しの前記操作杆の回動が阻止され、前記ラッチ装置の前記係合状態が保持されることにより、全段の前記引出しを一括してロックしたオールロック状態となり、
前記錠の解錠時には、全段の前記引出しの前記操作杆の回動を阻止した状態が一括して解除され、各段の前記引出しの前記引手を引くことにより、当該引出しの前記ラッチ装置が前記係合解除状態になることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
このような構成によれば、キャビネット本体に収容される上下複数段の引出しの飛出しを防止するラッチ装置、及び引出しの一つに錠を備えたキャビネットにおいて、全段の引出しを一括してロックするオールロック装置が、各段の引出しのラッチ装置における左右方向軸まわりに回動する操作杆の回動を、キャビネット本体の側板の内側に位置する連動操作部を含む連係機構により構成される。
それにより、特許文献1のように上下に隣接する引出しの鏡板間に亘って構成された連動機構を用いるオールロック装置のように、上下の引出しに前後方向の位置ずれが発生した場合における上下の作動部の動きを連動させる動作が不確実になるものと異なり、キャビネット本体の側板の内側に位置する連動操作部を含む連係機構により、上下の引出しに前後方向の位置ずれが発生した場合であっても動作を確実に行うことができる。
よって、複数段の引出しを一括してロックしたオールロック状態にするための動作、及び何れの引出しも引き出せるロック解除状態にするための動作の信頼性を高めることができる。
その上、錠が電子錠であり、そのアクチュエータによりオールロック装置を作動する場合において、アクチュエータによりロック片を移動(例えばスライド移動)させるだけで、前記オールロック状態にするための動作、及び前記ロック解除状態にするための動作を行うことができる。
よって、電子錠の省電力化を図ることができ、特に電子錠が電池式でアクチュエータの作動力が弱い場合であっても、安定かつ確実な動作が可能になる。
【0011】
ここで、前記錠を設けた前記引出しは、当該引出しの前記操作杆と連動して回動する操作杆連動部を有し、
前記ロック片は、前記操作杆連動部が回動する方向と交差する方向に移動し、
前記錠の施錠時には、前記操作杆連動部の回動が前記ロック片により阻止されることで前記操作杆の回動が阻止されるのが好ましい実施形態である(請求項2)。
また、 前記連動操作部は、前記錠を設けた前記引出し以外の前記引出しの引手の回動に連動して上昇または下降する昇降杆を含むのも好ましい実施形態である(請求項3)。
さらに、前記錠を設けた前記引出し以外の前記引出しの前記操作杆の回動と連動する連動部材を、当該操作杆の端部から後方へ突設し、
前記キャビネット本体の側板の内側に、前記連動部材の回動に連動して上下方向に回動する回動杆を左右方向の回動支軸により軸支し、
前記回動杆の回動に連動して前記昇降杆が昇降するのも好ましい実施形態である(請求項4)。
【0012】
さらにまた、前記錠の施錠時において、前記引手の回転力の前記操作杆への伝達を遮断するクラッチ機構を備えのがより好ましい実施形態である(請求項5)。
このような構成によれば、錠の施錠時におけるオールロック状態において、引出しの引手を引いて過度な負荷が掛かっても、引出しの各段に設けたクラッチ機構により、引手が空転することから、連動操作部を含む連係機構の破損を防止できるので、キャビネットにおける引出しのオールロック装置の信頼性がより一層高くなる。
【0013】
本発明に係るキャビネットは、前記課題解決のために、
キャビネット本体と、
前記キャビネット本体に収容される上下複数段の引出しと、
前記引出しの引手に連結されて左右方向軸まわりに回動する操作杆と連動し、前記キャビネット本体側の係合部との係合状態及び係合解除状態を切り替え可能なラッチ爪を有するラッチ装置と、
前記引出しの一つに設けた錠と、
を備えたキャビネットであって、
前記キャビネット本体は、
前記錠が設けられていない一つの前記引出しの前記操作杆に連動して上昇または下降する昇降杆を有し、
前記錠を設けた前記引出しは、
前記錠を設けた前記引出しの前記操作杆が回動する動作、及び前記昇降杆が上昇または下降する動作の規制状態及び規制解除状態を切り替え可能な、前記錠の施解錠操作により移動するロック片を有している(請求項6)。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係るキャビネットにおける引出しのオールロック装置、及びキャビネットによれば、主に以下に示すような効果を奏する。
(1)複数段の引出しを一括してロックしたオールロック状態にするための動作、及び何れの引出しも引き出せるロック解除状態にするための動作の信頼性を高めることができる。
(2)錠が電子錠であり、そのアクチュエータによりオールロック装置を作動する場合において、電子錠の省電力化を図ることができ、特に電子錠が電池式でアクチュエータの作動力が弱い場合であっても、安定かつ確実な動作が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係るキャビネットにおける引出しのオールロック装置を備えたキャビネットの斜視図であり、引出しを閉止した錠の施錠状態を示している。
図2】同状態における左側のラッチ装置まわりの要部拡大横断平面図である。
図3】同状態における操作杆回動阻止機構及び操作杆回動阻止連係機構を取り出して示す前方から見た斜視図である。
図4】同じく前方から見た要部拡大部分縦断面正面図である。
図5】同状態における錠を設けた引出しの引手まわりを示す後方から見た要部拡大斜視図である。
図6】同状態における連動操作部及び左側のラッチ装置まわりを示す後方から見た要部拡大斜視図である。
図7】同状態における右側のラッチ装置まわりを示す後方から見た要部拡大斜視図である。
図8】錠を設けた引出しの引手まわりを示す前方から見た分解斜視図である。
図9】連動操作部の上部まわりを示す前方から見た分解斜視図である。
図10】本発明の実施の形態に係るキャビネットにおける引出しのオールロック装置を備えたキャビネットの斜視図であり、引出しを閉止した錠の解錠状態で上段の引出しの引手を引いた状態を示している。
図11】同状態における左側のラッチ装置まわりの要部拡大横断平面図である。
図12】同状態における操作杆回動阻止機構及び操作杆回動阻止連係機構を取り出して示す前方から見た斜視図である。
図13】同じく前方から見た要部拡大部分縦断面正面図である。
図14】同状態における連動操作部及び左側のラッチ装置まわりを示す後方から見た要部拡大斜視図である。
図15】同状態における右側のラッチ装置まわりを示す後方から見た要部拡大斜視図である。
図16】本発明の実施の形態に係るキャビネットにおける引出しのオールロック装置を備えたキャビネットの斜視図であり、引出しを閉止した錠の解錠状態で中段の引出しの引手を引いた状態を示している。
図17】同状態における操作杆回動阻止機構及び操作杆回動阻止連係機構を取り出して示す前方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係るキャビネットにおける引出しのオールロック装置は、キャビネットの引出しの一つの鏡板に電池式の電子錠を備える。よって、前記鏡板内に電池を内蔵している。電池式の電子錠は、認証部、アクチュエータ、及び電池を備える。
なお「電池」は、例えばマンガン乾電池やアルカリ乾電池等のような再充電できない一次電池であってもよいし、例えば鉛蓄電池やリチウムイオン電池のような再充電できる二次電池であってもよい。
以下の実施の形態に示す電池式の電子錠は、引手に隣接して認証部を備えたものである。認証部は、暗証番号をテンキー若しくはタッチパネルで入力する方式だけでなく、指紋認証方式、又は、磁気カード、LSIカード若しくはスマートフォン等から電磁的に入力する方式等であってもよい。
本明細書においては、キャビネットの引出しを引出す方向を前、引出しをキャビネット本体に収容するように押し込む方向を後とし、後方へ向かった状態で左右を定義する。
【0017】
<キャビネット>
図1の斜視図に示すキャビネット1は、左右の側板37,38、天板39及び背板40を含むキャビネット本体Oと、キャビネット本体O内に収容される上下3段の引出しH1,H2,H3を有する。
また、キャビネット1は、引出しH1,H2,H3の飛出しを防止するラッチ装置L1,L2,L3、及び本発明の実施の形態に係るキャビネットにおける引出しのオールロック装置Aを備える。
引出しH1,H2,H3は、鏡板I,…に引手P1,P2,P3を備え、上段の引出しH1は、引手P1に隣接した認証部Nを有する、電池式の電子錠Bを備える。
【0018】
<ラッチ装置>
図1の斜視図、及び図2の要部拡大横断平面図、図3の斜視図、並びに図6及び図7の後方から見た要部拡大斜視図に示すように、引出しH1,H2,H3を閉止した状態では、引出し側のラッチ爪3A,3B,3Cがキャビネット本体O側の係合部19A,19B,19Cと係合した係合状態Cになるので、引出しH1,H2,H3の飛出しが防止される。
ラッチ爪3A,3B,3Cは、上端部に左右方向内方へ屈曲する屈曲片17を有する上下方向の回動軸16まわりに回動し、弾性片18により係合部19A,19B,19Cに向かう方向(左右方向外方)へ付勢される。
【0019】
電子錠Bの解錠状態で引出しH1,H2,H3の何れかの引手P1,P2,P3を引くと、引手P1,P2,P3に連結されて左右方向軸まわりに回動可能に支持された操作杆2A,2B,2Cが回動する。
それにより、操作杆2A,2B,2Cの左右両端部の操作体20,20の操作片20A,20Aが、図6の上側の図から図14の上側の図のように下方へ回動することから、左右の屈曲片17,17が操作され、左右の回動軸16,16が回動する。
よって、ラッチ爪3A,3B,3Cの係合部19A,19B,19Cとの係合状態Cが解除された係合解除状態Dになるので、引出しH1,H2,H3の何れかを引き出すことができる。
【0020】
<オールロック装置>
図3の斜視図、図4の要部拡大部分縦断面正面図、及び図5の後方から見た要部拡大斜視図に示すように、オールロック装置Aは、電子錠Bの施錠時Lにおいて、錠Bの施解錠操作により移動するロック片4により電子錠Bを設けた引出しH1の操作杆2Aの回動を阻止する操作杆回動阻止機構Eと、電子錠Bの施錠時Lにおいて、引出しH1以外の引出しH2,H3の操作杆2B,2Cの回動を阻止するように操作杆回動阻止機構Eと連係する、キャビネット本体Oの側板37(図1参照)の内側に位置する連動操作部Fを含む操作杆回動阻止連係機構Gとを備える。
【0021】
(操作杆回動阻止機構)
図4の要部拡大部分縦断面正面図、図5の後方から見た要部拡大斜視図、及び図8の分解斜視図に示すように、引手P1には、第1円筒部21及び第1クラッチ体31、第2円筒部22,並びに第3円筒部23が一体に形成される。
上段の引出しH1の角軸である操作杆2Aは、第1円筒部21から第1クラッチ体31にわたる丸孔21Aに挿通され、第2クラッチ体32の角孔32Bに嵌入される。
第2クラッチ体32は、圧縮コイルばね33で第1クラッチ体31に向けて押圧された状態で第1クラッチ体31に噛み合う。
図4の要部拡大部分縦断面正面図、並びに図8及び図9の分解斜視図に示すように、操作杆2Aの左端部は、第2円筒部22の丸孔22A、連動部材24の丸孔24C、第3円筒部23の丸孔23A、並びに、端部連結体15の丸孔15B、連結パイプ11A、及び端部連結体12の丸穴12Aに挿通された後、左側の操作体20の角孔20Bに嵌入される。
また、操作杆2Aの右端部は、右側の操作体20の角孔20Bに嵌入される。
【0022】
電子錠Bの認証が成功した解錠時に作動するアクチュエータMは、例えば上下方向に往復直線運動するプランジャ型ソレノイドであり、プランジャと一体に動作する操作体30に操作片29が連結され、操作片29は前後方向の回動支軸Yまわりに回動可能に支持される。
左右方向に長いロック片4は左右方向へスライド可能に支持され、左端部の連結孔4Cに連結体28の右端部から前方へ突出する連結凸部28Aが挿入され、連結体28の左端部から前方へ突出する操作凸部28Bに、アクチュエータMにより駆動される操作片29の上端部が係合する。
よって、アクチュエータMが駆動され、そのプランジャが下方へ吸引され、操作体30が図4の位置から図13の位置まで下降すると、操作片29が反時計まわりに回動するので、ロック片4が左方へ移動する。
【0023】
図4に示す電子錠Bの施錠時Lには、ロック片4の当止部4Aが第2クラッチ体32の当止部32Aを当止するので、引手P1を引いても第2クラッチ体32は回動できない。
第2クラッチ体32には、角軸である操作杆2Aが嵌合しており、操作杆2Aも回動できないことから、ラッチ装置L1の係合状態Cが保持されるので、引手P1を引く操作をしても引出しH1を引き出すことができない。
このような操作杆2Aと一体に回動する操作杆連動部である第2クラッチ体32の当止部32Aにロック片4の当止部4Aを当止する簡単な構造により、電子錠Bの施錠時Lにおいて、電子錠Bの施解錠操作により移動するロック片4により電子錠Bを設けた引出しP1の操作杆2Aの回動を阻止する操作杆回動阻止機構Eが構成される。
【0024】
(連動操作部)
図1及び図3に示すように、キャビネット本体Oの左側板37の内側には、連動操作部Fを設ける。なお、連動操作部Fは、キャビネット本体Oの右側板38の内側に設けてもよい。
連動操作部Fは、上下方向へ昇降可能に支持され、例えば下方に弾性付勢された昇降杆5、昇降杆5に固定された上下の連結体6A,6B,6C、連結体6A,6B,6Cから内方(右方)へ突出する突片7A,7B,7C、昇降杆5の前方に位置する左右方向の回動支軸X1,X2,X3まわりに上下方向へ回動する回動杆8A,8B,8C、回動杆8A,8B,8Cの前端部の突片9A,9B,9Cに当接する、左右方向軸まわりに回動可能な連動部材10A,10B,10Cからなる。
なお、昇降杆5を下方に弾性付勢せずに、昇降杆5が自重で下降するように構成してもよい。
【0025】
(操作杆回動阻止連係機構)
図4ないし図6、並びに図8及び図9に示すように、操作杆回動阻止連係機構Gは、連動操作部Fを含むとともに、連動操作部Fから各段の引出しH1,H2,H3に連結される部分を含む。
すなわち、上段の引出しH1においては、図4図8及び図9に示すように、操作杆2Aと同軸の連動部材24の歯部24Bが上方の連動部材25の歯部25Aに噛合し、連動部材25の角孔25Bに角軸である左右連結杆27の一端が嵌合され、左右連結杆27の他端が連動部材26の角孔26Bに嵌合され、連動部材26の連動操作部26Aが操作杆2Aと同軸の連結パイプ11Aの右端の端部連結体15の連動操作部15Aに当接する。
また、連結パイプ11Aの左端の端部連結体12は、左右連結杆14及び連結腕13を介して連動部材10Aに連結される。
ここで、一体である連結腕13及び連動部材10Aは、図示しない支持部材により、操作杆2Aと同軸で回動可能なように支持されている。
よって、連動部材24の回動は連動部材10Aと連動する。
【0026】
中段の引出しH2においては、図3及び図6に示すように、引手P2と一体である連結パイプ11Bは、第1クラッチ体34と一体であり、中段の引出しH2の角軸である操作杆2Bは、第2クラッチ体35の角孔、操作体20の角孔、及び連動部材10Bの角孔に嵌入される。
よって、操作杆2Bは連動部材10Bと連動して回動する。
ここで、第2クラッチ体35は、圧縮コイルばね36で第1クラッチ体34に向けて押圧された状態で第1クラッチ体34に噛み合う。
また、下段の引出しH3、中段の引出しH2と同様の構造であるので、操作杆2Cは連動部材10Cと連動して回動する。
【0027】
図4及び図8に示すように、電子錠Bの施錠時Lにおいて、連動部材24の当止部24Aに、ロック片4の当止部4Bが当止するので、連動部材24は回動できない。
中段の引出しH2、又は下段の引出しH3を引き出すためには、ラッチ装置L2,L3を係合解除状態Dにする必要があり、そのためには操作杆2B,2Cを回動させる必要がある。
操作杆2B,2Cを回動させるためには、操作杆2B,2Cの端部に固定された連動部材10B,10Cを下方へ回動させる必要がある。
【0028】
しかしながら、連動部材24が回動できないことから、連動部材25,26、端部連結体15、連結パイプ11A、端部連結体12、及び連動部材10Aも回動できないので、図3及び図6に示す回動杆8Aが回動支軸X1まわりに左方へ向かって反時計まわりに、後方が上昇するように回動できない。
よって、昇降杆5が上昇できないので、回動杆8B,8Cの突片9B,9Cを押し下げることができない。それにより、連動部材10B,10Cを下方へ回動させることができないので、操作杆2B,2Cを回動させることができない。
すなわち、操作杆2B,2Cと一体に回動する操作杆連動部である連動部材24の当止部24Aにロック片4の当止部4Bを当止することにより、操作杆2B,2Cの回動が阻止される。
以上のとおり、図1及び図3に示す電子錠Bの施錠時Lにおいて、中段の引出しH2の引手P2、又は下段の引出しH3の引手P3を引く操作をしても、操作杆回動阻止連係機構Gにより、ラッチ装置L2,L3の係合状態Cが保持されたままであり、ラッチ装置L2,L3を係合解除状態Dにすることができないので、引出しH2,H3を引き出すことができない。
【0029】
<解錠時の動作>
(上段引出しを引き出す動作)
電子錠Bの認証が成功した解錠時ULには、前記のとおり、アクチュエータMが作動して図13の状態になり、ロック片4の当止部4Aが第2クラッチ体32の当止部32Aから外れるので、上段の引出しH1の引手P1を引くことにより、第1クラッチ体31が回動し、第2クラッチ体32及び操作杆2Aが回動する。
よって、図10の斜視図、図11の要部拡大横断平面図、図12の斜視図、図13の要部拡大部分縦断面正面図、並びに図14及び図15の後方から見た要部拡大斜視図に示すように、操作杆2Aの回動に伴って、操作体20の操作片20Aにより屈曲片17が操作されて回動軸16が回動する。それにより、ラッチ爪3Aが係合部19Aから離間し、ラッチ装置L1が係合解除状態Dになるので、引出しH1を引き出すことができる。
【0030】
(中段引出しを引き出す動作)
電子錠Bの認証が成功した解錠時ULには、前記のとおり、アクチュエータMが作動して図13の状態になり、ロック片4の当止部4Bが連動部材24の当止部24Aから外れるので、連動部材24を回動できる。
それにより、前記のように連係する操作杆回動阻止連係機構Gの昇降杆5が図17の矢印Qのように上昇できるので、連動部材10Bを下方へ回動させることができる。
よって、図16及び図17の斜視図に示すように中段引出しH2の引手P2を引くと、引手P2と一体の連結パイプ11Bが回動し、連動部材10B及び操作杆2Bが回動し、操作杆2Bの回動に伴って、操作体20の操作片20Aにより屈曲片17が操作されて回動軸16が回動する。それにより、ラッチ爪3Bが係合部19Bから離間し、ラッチ装置L2が係合解除状態Dになるので、引出しH2を引き出すことができる。
【0031】
(下段引出しを引き出す動作)
電子錠Bの認証が成功した解錠時ULには、中段引出しH2を引き出す動作と同様に、下段引出H3の引手P3を引くことによりラッチ装置L3が係合解除状態Dになるので、引出しH3を引き出すことができる。
【0032】
<クラッチ機構の動作>
図3に示すように、オールロック装置Aは、クラッチ機構J1,J2,J3を備える。
【0033】
図4及び図5に示すように、第1クラッチ体31、第2クラッチ体32、及び圧縮コイルばね33がクラッチ機構J1を構成する。
図4に示す電子錠Bの施錠時Lでは、前記のとおり、ロック片4の当止部4Aが第2クラッチ体32の当止部32Aを当止するので、引手P1を引いても第2クラッチ体32は回動できない。
引手P1を引く力が大きくクラッチ機構J1の第1クラッチ体31に負荷されるトルクが大きい場合、第2クラッチ体32が圧縮コイルばね33の付勢力に抗して左方へ移動するので、第1クラッチ体31及び第1クラッチ体31と一体の引手P1は空転し、クラッチ機構J1は回転力の伝達を遮断する。
【0034】
図6に示すように、第1クラッチ体34、第2クラッチ体35、及び圧縮コイルばね36がクラッチ機構J2を構成する。
図4に示す電子錠Bの施錠時Lでは、前記のとおり、連動部材24の当止部24Aに、ロック片4の当止部4Bが当止するので、連動部材24は回動できないので、連動部材24と連動する図6に示す操作杆2B、第2クラッチ体35、操作体20、及び連動部材10Bも回動できない。
図3に示す引手P2を引く力が大きく、引手P2と一体である連結パイプ11B及びクラッチ機構J2の第1クラッチ体34に負荷されるトルクが大きい場合、第2クラッチ体35が圧縮コイルばね36の付勢力に抗して左方へ移動するので、第1クラッチ体34及び第1クラッチ体34と一体の引手P2は空転し、クラッチ機構J2は回転力の伝達を遮断する。
また、図3に示すクラッチ機構J3は、クラッチ機構J2と同様に動作する。
【0035】
以上のような構成の引出しH1〜H3の各段に設けたクラッチ機構J1〜J3により、電子錠Bの施錠時Lにおけるオールロック状態において、引出しH1〜H3の引手P1〜P3を引いて過度な負荷が掛かっても、引手P1〜P3が空転することから、連動操作部Fを含む連係機構(操作杆回動阻止機構E、及び操作杆回動阻止連係機構G)の破損を防止できるので、オールロック装置Aの信頼性が向上する。
【0036】
<電子錠に並設した機械錠の動作>
図4に示す電子錠Bの施錠時Lにおいて、電池切れ等によりアクチュエータMに通電できなくなった場合、
機械錠Kを用いてロック片4を移動させて解錠状態にすることができる。
すなわち、図4において、機械錠Kの鍵穴にキーを差し込んで機械錠Kを解錠状態に回転させると、デッドボルト41が上昇して連結体28の傾斜面28Cを押すので、ロック片4が左方へ移動し、図13と同じ解錠状態ULになる。
【0037】
<キャビネットにおける引出しのオールロック装置の作用効果>
以上のように、キャビネット本体Oに収容される上下複数段の引出し(例えば上下3段の引出しH1〜H3)の飛出しを防止するラッチ装置L1〜L3、及び引出しの一つH1に電子錠Bを備えたキャビネット1において、全段の引出しH1〜H3を一括してロックするオールロック装置Aが、各段の引出しのラッチ装置L1〜L3における左右方向軸まわりに回動する操作杆2A〜2Cの回動を、キャビネット本体Oの側板37の内側に位置する連動操作部Fを含む連係機構(操作杆回動阻止機構E、及び操作杆回動阻止連係機構G)により構成される。
それにより、特許文献1のように上下に隣接する引出しの鏡板間に亘って構成された連動機構を用いるオールロック装置のように、上下の引出しに前後方向の位置ずれが発生した場合における上下の作動部の動きを連動させる動作が不確実になるものと異なり、キャビネット本体Oの側板37の内側に位置する連動操作部Fを含む連係機構(操作杆回動阻止機構E、及び操作杆回動阻止連係機構G)により、上下の引出しに前後方向の位置ずれが発生した場合であっても動作を確実に行うことができる。
よって、複数段の引出しH1〜H3を一括してロックしたオールロック状態にするための動作、及び何れの引出しH1〜H3も引き出せるロック解除状態にするための動作の信頼性を高めることができる。
その上、錠が電子錠Bであり、そのアクチュエータMによりオールロック装置Aを作動する場合において、アクチュエータMによりロック片4を移動(例えばスライド移動)させるだけで、前記オールロック状態にするための動作、及び前記ロック解除状態にするための動作を行うことができる。
よって、電子錠Bの省電力化を図ることができ、特に電子錠Bが電池式でアクチュエータMの作動力が弱い場合であっても、安定かつ確実な動作が可能になる。
【0038】
以上の説明においては、引出しH2,H3のラッチ装置L2,L3を係合解除状態Dにするために、操作杆回動阻止連係機構Gを構成する昇降杆5が上昇する例を示したが、引出しH2,H3のラッチ装置L2,L3を係合解除状態Dにするために昇降杆5を下降させるようにしてもよい。その場合には、昇降杆5を常時上方へ弾性付勢すればよい。
また、以上の説明においては、キャビネットの引出しの一つに設ける錠が電子錠Bである場合を示したが、前記錠は、シリンダ錠やダイヤル錠等の機械錠であってもよい。
さらに、以上の説明においては、電子錠の電源が電池である例を示したが、本発明により省電力化を図ることができるので、電子錠の電源は、電池に限定されるものではなく、例えば商用電源や自家発電設備等の電源であってもよい。
さらにまた、以上の説明においては、オールロック装置Aにクラッチ機構J1〜J3を備える構成を示したが、オールロック装置Aにおいてクラッチ機構J1〜J3は必須なものではなく、クラッチ機構J1〜J3を備えずに、錠の施錠時に引手P1〜P3の動きを直接抑えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 キャビネット 2A,2B,2C 操作杆
3A,3B,3C ラッチ爪 4 ロック片
4A,4B 当止部 4C 連結孔
5 昇降杆 6A,6B,6C 連結体
7A,7B,7C 突片 8A,8B,8C 回動杆
9A,9B,9C 突片 10A,10B,10C 連動部材
11A,11B,11C 連結パイプ 12 端部連結体
12A 丸穴 13 連結腕
14 左右連結杆 15 端部連結体
15A 連動操作部 15B 丸孔
16 回動軸 17 屈曲片
18 弾性片 19A,19B,19C 係合部
20 操作体 20A 操作片
20B 角孔 21 第1円筒部
21A 丸孔 22 第2円筒部
22A 丸孔 23 第3円筒部
23A 丸孔 24 連動部材
24A 当止部(操作杆連動部) 24B 歯部
24C 丸孔 25 連動部材
25A 歯部 25B 角孔
26 連動部材 26A 連動操作部
26B 角孔 27 左右連結杆
28 連結体 28A 連結凸部
28B 操作凸部 28C 傾斜面
29 操作片 30 操作体
31 第1クラッチ体 32 第2クラッチ体
32A 当止部(操作杆連動部) 32B 角孔
33 圧縮コイルばね 34 第1クラッチ体
35 第2クラッチ体 36 圧縮コイルばね
37,38 側板 39 天板
40 背板 41 デッドボルト
A オールロック装置 B 電池式の電子錠
C 係合状態 D 係合解除状態
E 操作杆回動阻止機構 F 連動操作部
G 操作杆回動阻止連係機構 H1,H2,H3 引出し
I 鏡板 J1,J2,J3 クラッチ機構
K 機械錠 L 施錠時(電子錠の施錠状態)
L1,L2,L3 ラッチ装置 M アクチュエータ
N 認証部 O キャビネット本体
P1,P2,P3 引手 UL 解錠時(電子錠の解錠状態)
X1,X2,X3,Y 回動支軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17