【実施例】
【0079】
以下、本発明の改質セルロースについて、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0080】
なお、実施例中、wt%は、重量%の意味である。また、Mは、mol/L、rpmは、revolution per minuteを意味する。全反射赤外吸収スペクトルは、Thermo Scientific社製のNicolet iS5 FT−IR(iD5 ダイヤモンドATRアクセサリ付属)を用いて測定した。また、赤外分光測定の前にブランク測定を行い、バックグラウンドのピークは差し引いた。pH測定は、HORIBA社製卓上型pHメーターF―74BW(スタンダード ToupH 電極 9615S−10D付属)の電極を25℃の溶液に浸すことで行った。また、測定前には、中性リン酸塩標準液(リン酸一カリウム水溶液(3.40g/L)、和光純薬工業(株)社製)及びフタル酸塩標準液(フタル酸水素カリウム水溶液(10.21g/L)、和光純薬工業(株)社製)を用いて校正を行った。吸光度は、(株)島津製作所製紫外可視分光光度計(UV−1280)を用いて、室温下で測定した。吸光度測定の前にブランク測定を行い、バックグラウンドのピークは差し引いた。
【0081】
(セルロースの編地作製)
編み立て機により、単糸径20μmのセルロースの繊維からなる筒編み編地を作成した。(以下、セルロースA)。同様に、単糸径3μmのセルロースの繊維からなる筒編み編地を作製した(以下、セルロースB)。なお、どちらの編地も、編地面積当たりの重量は0.13g/cm
2で編地の厚みは0.25mmであった。原料のセルロースは、全て数平均分子量1.7×10
5(GPC測定、ポリスチレンスタンダード基準)を用いた。
【0082】
(p−安息香酸メチレン結合セルロースの作製)
セルロースA1.7gを、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液100mLに25℃で2時間含浸した。さらに、p−ブロモメチル安息香酸1.7gを溶解させたエタノール100mLに対して該セルロースをすみやかに添加し、25℃で8時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。さらに不溶成分をろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌を行った。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着している溶液を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分をp−安息香酸メチレン結合セルロースエーテル(以下、改質セルロースA’)とした。
【0083】
(p−安息香酸メチレン基の導入確認)
改質セルロースA’へのp−安息香酸メチレン基の導入は、全反射赤外吸収スペクトルでカルボン酸由来のピーク(1738cm
−1)の出現により確認した。測定はあらかじめ乾燥機により60℃で4時間静置することで乾燥させた改質セルロースA’を、赤外分光装置のプリズムに押しつけることで測定した。
【0084】
(p−安息香酸メチレン基のモル置換率の測定)
p−安息香酸メチレン基のモル置換率については、改質セルロースA’に含まれるカルボン酸基の滴定により決定した。ポリプロピレン製容器に対し、乾燥機にて60℃で4時間静置することで乾燥した改質セルロースA’1.0gをイオン交換水20mLに対して添加した。次に、得られた溶液に対して0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を0.1mL滴下した。滴下後10分間攪拌し、溶液のpHを測定した。0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液の滴下と、滴下後10分間の攪拌、pHの測定を同様に100回繰り返した。溶液のpHが8.5を越えた際の水酸化ナトリウム水溶液の滴下量を1.0g当たりの滴定量として、滴下した水酸化ナトリウム水溶液のモル量を改質セルロースA’1.0gに含まれるp−安息香酸メチレン基のモル置換率として以下の式1から算出した。改質セルロースA’のモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0085】
p−安息香酸メチレン基のモル置換率(%)=100×セルロースの分子量(162g/mol)×1.0gあたりの滴定量(L)×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.1M)/[3×測定に用いた改質セルロース重量(1.0g)−3×{p−安息香酸メチレン基分子量(144g/mol)×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.1M)×1.0gあたりの滴定量(L)}]・・・式1
【0086】
(1,2−エチレンジアミン結合セルロースの作製)
1,2−エチレンジアミン(以下、EDA)2.0g、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド n−水和物(以下、DMT−MM)4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、改質セルロースA’1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分をEDA結合セルロース(以下、改質セルロースA)とした。改質セルロースAのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が、反応後に1%未満になっていることから100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm
−1)の出現により確認した。改質セルロースAのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0087】
(N,N−ジエチルエチレンジアミン結合セルロースの作製)
N,N−ジエチルエチレンジアミン(以下、DEDA)2.0g、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド n−水和物(以下、DMT−MM)4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、改質セルロースA’1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、DEDA結合セルロース(以下、改質セルロースB)とした。改質セルロースBのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が、反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm
−1)の出現により確認した。改質セルロースBのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0088】
(モル置換率21%のテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースA1.7gを、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液100mLに25℃で2時間含浸した。さらに、p−ブロモメチル安息香酸1.7gを溶解させたエタノール100mLに対して該セルロースをすみやかに添加し、25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着している溶液を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分をp−安息香酸メチレンセルロースエーテルとした。この際、p−安息香酸メチレン基のモル置換率の測定と同様の測定方法によりモル置換率が21%であることを確認した。続いて、テトラエチレンペンタミン(以下、TEPA)2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、該セルロース1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、TEPA結合セルロース(以下、改質セルロースC)とした。改質セルロースCのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が、反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm
−1)の出現により確認した。改質セルロースCのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0089】
(モル置換率2%のテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースA1.7gを、20wt%の水酸化カリウム水溶液100mLに25℃で2時間含浸した。さらに、p−クロロメチル安息香酸1.7gを溶解させたエタノール100mLに対して該セルロースをすみやかに添加し、25℃で1時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着している溶液を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分をp−安息香酸メチレンセルロースエーテルを得た。この際、改質セルロースA’と同様の測定方法によりモル置換率が2%であることを確認した。続いてTEPA2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、該セルロース1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて、溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸、及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、TEPA結合セルロース(以下、改質セルロースD)とした。改質セルロースDのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm
−1)の出現により確認した。改質セルロースDのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0090】
(モル置換率5%のテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースA1.7gを、20wt%の水酸化カリウム水溶液100mLに25℃で2時間含浸した。さらに、p−クロロメチル安息香酸1.7gを溶解させたエタノール100mLに対して該セルロースをすみやかに添加し、25℃で4時間含浸した。続いて編地を取り出し、イオン交換水で洗浄し、p−安息香酸メチレンセルロースエーテルを得た。この際、改質セルロースA’と同様の測定方法によりモル置換率が5%であることを確認した。続いて、TEPA2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、該セルロース1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、TEPA結合セルロース(以下、改質セルロースE)とした。改質セルロースEのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm
−1)の出現により確認した。改質セルロースEのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0091】
(モル置換率50%のテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースA1.7gを、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液100mLに25℃で2時間含浸した。さらに、p−ブロモメチル安息香酸1.7gを溶解させたエタノール100mLに対して該セルロースをすみやかに添加し、25℃で72時間含浸した。続いて編地を取り出し、イオン交換水で洗浄し、p−安息香酸メチレンセルロースエーテルを得た。この際、改質セルロースA’と同様の測定方法によりモル置換率が50%であることを確認した。続いて、TEPA2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、該セルロース1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、TEPA結合セルロース(以下、改質セルロースF)とした。改質セルロースFのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm
−1)の出現により確認した。改質セルロースFのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0092】
(単糸径3μmのテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースB1.7gを、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液100mLに25℃で2時間含浸した。さらに、p−ブロモメチル安息香酸1.7gを溶解させたエタノール100mLに対して該セルロースをすみやかに添加し、25℃で8時間含浸した。続いて編地を取り出し、イオン交換水で洗浄し、p−安息香酸メチレンセルロースエーテルを得た。この際、改質セルロースA’と同様の測定方法によりモル置換率が21%であることを確認した。続いて、TEPA2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、該セルロース1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、TEPA結合セルロース(以下、改質セルロースG)とした。改質セルロースGのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm
−1)の出現により確認した。改質セルロースGのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0093】
(数平均分子量6.0×10
2のポリエチレンイミン結合セルロースの作製)
数平均分子量6.0×10
2のポリエチレンイミン(以下、PEI600)2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、改質セルロースA’1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、PEI600結合セルロース(以下、改質セルロースH)とした。改質セルロースHのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm
−1)の出現により確認した。改質セルロースHのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0094】
(数平均分子量7.5×10
5のポリエチレンイミン結合セルロースの作製)
数平均分子量7.5×10
5のポリエチレンイミン(以下、PEI750k)2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、改質セルロースA’1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、PEI750k結合セルロース(以下、改質セルロースI)とした。改質セルロースIのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm
−1)の出現により確認した。改質セルロースIのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0095】
(タウリン結合セルロースの作製)
タウリン2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、改質セルロースA’1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、タウリン結合セルロース(以下、改質セルロースJ)とした。改質セルロースJのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm
−1)の出現により確認した。改質セルロースJのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0096】
(数平均分子量1.0×10
6のポリスチレンスルホン酸ナトリウム結合セルロースの作製)
開始末端にアミノ基を有する数平均分子量1.0×10
6のポリスチレンスルホン酸ナトリウム(以下、PSSS100k)2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、改質セルロースA’1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、PSSS100k結合セルロース(以下、改質セルロースK)とした。改質セルロースKのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm
−1)の出現により確認した。改質セルロースKのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0097】
(p−ジメチルアミノ安息香酸セルロースエステルの作製)
p−ジメチルアミノ安息香酸2.0g、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩4.0gを溶解させたジメチルスルホキシド(以下、DMSO)100mLに対し、セルロースA1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、p−ジエチルアミノ安息香酸セルロースエステル(以下、改質セルロースL)とした。生成物の構造は全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1650cm
−1)の出現により確認した。p−ジメチルアミノ安息香酸基のモル置換率については、改質セルロースLに含まれるアミノ基の滴定により決定した。まず、改質セルロースL1gを6M水酸化ナトリウム水溶液50mLに添加して30分攪拌し、濾紙を用いて改質セルロースLをろ別した。次にイオン交換水50mLに改質セルロースLを添加して30分間攪拌し、濾紙を用いてろ別した。改質セルロースLを添加したイオン交換水のpHが7になるまでイオン交換水に添加、ろ別を繰り返した。イオン交換水が中性であることを確認した後、改質セルロースLをろ別した。得られた改質セルロースLを、80℃常圧条件で6時間静置した後に重量を測定した。さらに80℃常圧条件で改質セルロースLを2時間静置した後に重量を測定し、2時間静置前後の重量変化が5%以内に収まるまで同条件で3回静置を繰り返して乾燥させた。次に、乾燥した改質セルロースL1.0gを、0.1M塩酸30mLに添加し、10分間攪拌した。攪拌後、溶液のみを5mL抜き取って、ポリプロピレン製容器に移した。次に、得られた溶液に対して、0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を0.1mL滴下した。滴下後10分間攪拌し、溶液のpHを測定した。0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液の滴下と、滴下後10分間の攪拌、pHの測定を同様に100回繰り返した。溶液のpHが8.5を越えた際の水酸化ナトリウム水溶液滴下量を1.0gあたりの滴定量とした。1.0gあたりの滴定量と以下の式2を用いて改質セルロースL1.0gに含まれるp−ジメチルアミノ安息香酸基のモル置換率を算出した。改質セルロースLの官能基のモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0098】
p−ジメチルアミノ安息香酸のモル置換率(%)=100×[添加した0.1M塩酸の液量(0.03L)×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.1M)×{抜き取った0.1M塩酸の液量(0.005L)−1.0gあたりの滴定量(L)}/抜き取った0.1M塩酸の液量(0.005L)]/[セルロース中の水酸基数(3)×測定に用いた改質セルロース重量(1.0g)−セルロース中の水酸基数(3)×p−ジメチルアミノ安息香酸基分子量(147g/mol)×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.1M)×添加した0.1M塩酸の液量(0.03L)×{抜き取った0.1M塩酸の液量(0.005L)−1.0gあたりの滴定量(L)}/抜き取った0.1M塩酸の液量(0.005L)]・・・式2
【0099】
(カルボキシメチルセルロースの作製)
クロロ酢酸2.0gをDMSO100mLに溶解し、セルロースA1.7gを浸して25℃で24時間反応させ、カルボキシメチルセルロース(以下、改質セルロースM)とした。カルボキシメチル基のモル置換率については、改質セルロースMに含まれるカルボキシ基の滴定から算出した。まず、改質セルロースM5.0gを1.0M塩酸30mLに添加し、30分間攪拌した。攪拌後、濾紙を用いて改質セルロースMのみをろ別した。ろ別した改質セルロースMを80℃常圧条件で6時間静置した後に重量を測定した。さらに80℃常圧条件で改質セルロースMを2時間静置した後に重量を測定し、2時間静置前後の重量変化が5%以内に収まるまで同条件で5回静置を繰り返して乾燥させた乾燥した改質セルロースM1.0gをイオン交換水20mLに対して添加した。得られた溶液に対して0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を0.1mL滴下した。滴下後10分間攪拌し、溶液のpHを測定した。0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液の滴下と、滴下後10分間の攪拌、pHの測定を同様に100回繰り返した。溶液のpH8.5を越えた際の水酸化ナトリウム滴下量を1.0gあたりの滴定量とした。1.0gあたりの滴定量と以下の式3を用いて改質セルロースM1.0gに含まれるカルボキシメチル基のモル置換率を算出した。改質セルロースMのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0100】
カルボキシメチル基のモル置換率(%)=100×セルロースの分子量(162g/mol)×1.0gあたりの滴定量(L)×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.1M)/[3×測定に用いた改質セルロース重量(1.0g)−3×{カルボキシメチル基分子量(65g/mol)×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.1M)×1.0gあたりの滴定量(L)}]・・・式3
【0101】
(モル置換率62%のテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースAの代わりに改質セルロースA’を用いた以外はp−安息香酸メチレン結合セルロースの作製と同様の操作を行うことで、モル置換率62%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテルを得た。TEPA2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、モル置換率62%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテル1.7gを25℃で6時間含浸、反応した。続いて不溶成分をろ別してイオン交換水で洗浄を行った。イオン交換水を150rpmで15分間遠心分離にかけることで除去し、モル置換率62%のTEPA結合セルロース(以下、改質セルロースN)を得た。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm
−1)の出現により確認した。改質セルロースNのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0102】
(モル置換率75%のテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースAの代わりにモル置換率62%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテルを用いた以外はp−安息香酸メチレン結合セルロースの作製と同様の操作を行うことで、モル置換率75%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテルを得た。TEPA2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、モル置換率75%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテル1.7gを25℃で6時間含浸、反応した。続いて不溶成分をろ別してイオン交換水で洗浄を行った。イオン交換水を150rpmで15分間遠心分離にかけることで除去し、モル置換率75%のTEPA結合セルロース(以下、改質セルロースO)を得た。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm
−1)の出現により確認した。改質セルロースOのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0103】
(モル置換率88%のテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースAの代わりにモル置換率75%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテルを用いた以外はp−安息香酸メチレン結合セルロースの作製と同様の操作を行うことで、モル置換率88%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテルを得た。TEPA2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、モル置換率88%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテル1.7gを25℃で6時間含浸、反応した。続いて不溶成分をろ別してイオン交換水で洗浄を行った。イオン交換水を150rpmで15分間遠心分離にかけることで除去し、モル置換率88%のTEPA結合セルロース(以下、改質セルロースP)を得た。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm
−1)の出現により確認した。改質セルロースPのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
【0104】
【表2】
【0105】
表2中、PEIはポリエチレンイミンを表す。
【0106】
(実施例1)
(1)インターロイキン−6の吸着量測定:
インターロイキン−6(以下IL−6)の吸着量測定を行い、改質セルロースA一枚当たりのインターロイキン−6吸着量を評価した。以下に測定方法を示す。改質セルロースAを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、サイトカインの一種であるIL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製した牛胎児血清(Fetal Bovine Serum、以下、FBS)を1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、以下の式4により改質セルロースA一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。結果を表3に示す。
【0107】
改質セルロースA一枚当たりのIL−6吸着量(pg/枚)={転倒混和前のIL−6濃度(pg/mL)−転倒混和後のIL−6濃度(pg/mL)}×液量(mL)÷(添加した改質セルロースAの枚数)・・・式4
【0108】
(2)インターロイキン−8の吸着量測定:
IL−6をインターロイキン−8(以下IL−8)に変更する以外、IL−6の吸着量測定と同様の操作を行い、式5を用いて改質セルロースA一枚当たりのIL−8吸着量を評価した。結果を表3に示す。
【0109】
改質セルロースA一枚当たりのIL−8吸着量(pg/枚)={転倒混和前のIL−8濃度(pg/mL)−転倒混和後のIL−8濃度(pg/mL)}×液量(mL)÷(添加した改質セルロースAの枚数)・・・式5
【0110】
(3)ハイモビリティーグループボックス−1の吸着量測定:
IL−6をハイモビリティーグループボックス−1(以下HMGB−1)に変更する点と、FBS中のHMGB−1濃度を100ng/mLになるよう調製した点以外、IL−6の吸着量測定と同様の操作を行い、式6を用いて改質セルロースA一枚当たりのHMGB−1吸着量を評価した。結果を表3に示す。
【0111】
改質セルロースA一枚当たりのHMGB−1吸着量(pg/枚)={転倒混和前のHMGB−1濃度(pg/mL)−転倒混和後のHMGB−1濃度(pg/mL)}×液量(mL)÷(添加した改質セルロースAの枚数)・・・式6
【0112】
(4)耐薬品性:
また、改質セルロースAの耐薬品性を確認するため、イオン交換水、1M水酸化ナトリウム水溶液、1M塩酸、ジメチルスルホキシド、アセトン、ジクロロメタン、トルエン及びヘキサン(以下、指定の溶媒)に改質セルロースAをそれぞれ含浸し、含浸前後の乾燥重量変化を測定した。以下に測定方法を示す。
【0113】
改質セルロースAを、80℃常圧条件で6時間静置した後に重量を測定した。さらに80℃常圧条件で改質セルロースAを2時間静置した後に重量を測定し、2時間静置前後の重量変化が5%以内に収まるまで同条件で静置を3回繰り返して乾燥させた。乾燥させた改質セルロースA1.0gを指定の溶媒50mLに添加し、40℃で20時間静置した。濾紙によって改質セルロースAをろ別した。ろ別した改質セルロースAはさらに1M塩酸50mLに添加して30分攪拌し、濾紙を用いてろ別した。次に、6M水酸化ナトリウム水溶液50mLに改質セルロースAを添加して30分攪拌し、濾紙を用いて同じくろ別した。得られた改質セルロースAをイオン交換水50mLに含浸、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5の範囲であることを確認した後、濾紙を用いたろ別により得られた改質セルロースAを前記と同様の方法で乾燥させた。その後、重量を測定し、含浸後重量とした。上記指定の溶媒8つ全てに対して重量を測定し、1つでも重量0.90g未満、又は1.1gを超える場合は、改質セルロースAに耐薬品性なしと、全ての溶媒に対して0.90g以上1.1g以下であった場合は耐薬品性ありとした。結果を表3に示す。
【0114】
(5)アシッドオレンジ7の吸着量測定:
粉末のアシッドオレンジ7を0.0875g、酢酸ナトリウム三水和物0.41g、酢酸0.96mL、イオン交換水24mLを混合し、さらにその溶液をイオン交換水で100倍に希釈することで、アシッドオレンジ7濃度が1.0×10
−4Mのアシッドオレンジ7緩衝溶液を調製した。次に、酢酸1.14mLとイオン交換水200mLを混合した溶液170mLと、酢酸ナトリウム三水和物1.36gと水100mLを混合した溶液30.6mLを混合した酢酸緩衝溶液を調製した。上記アシッドオレンジ7緩衝溶液をイオン交換水で2倍、4倍、8倍、16倍に希釈した溶液をそれぞれ調製し、紫外可視分光光度計を用いて、測定波長450nm、参照波長600nmとして溶液の吸光度を測定した。得られた吸光度と溶液中のアシッドオレンジ7濃度から、検量線を作成した。次に、直径6mmの円板状に切り抜いた改質セルロースA一枚を1.5mLの酢酸緩衝溶液に含浸し、20分間転倒混和した。混和後、溶液中の固体を濾紙でろ別し、付着している酢酸緩衝溶液を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の改質セルロースAを、1.0mLアシッドオレンジ7緩衝溶液を添加したポリプロピレン製容器に添加し、2時間転倒混和した。混和後、ピンセットで改質セルロースAのみを取り出した。改質セルロースA添加前後のアシッドオレンジ7緩衝溶液の吸光度を同様に測定し、検量線を用いてアシッドオレンジ7濃度を算出した。添加前後のアシッドオレンジ7濃度と添加した改質セルロースAから、改質セルロースA一枚当たりのアシッドオレンジ7吸着量を、以下の式7を用いて算出した。結果を表3に示す。
【0115】
改質セルロースA一枚あたりのアシッドオレンジ7吸着量(μmol/枚)={改質セルロースA添加前アシッドオレンジ7緩衝溶液中のアシッドオレンジ7濃度(M)−改質セルロースA添加後アシッドオレンジ7緩衝溶液中のアシッドオレンジ7濃度(M)}×ポリプロピレン製容器に添加したアシッドオレンジ7緩衝溶液量(1.0mL)×1000・・・式7
【0116】
(実施例2)
改質セルロースBを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースB一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースB一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースB一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースBの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0117】
(実施例3)
改質セルロースCを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースC一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースC一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースC一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースCの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0118】
(実施例4)
改質セルロースDを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースD一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースD一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースD一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースDの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0119】
(実施例5)
改質セルロースEを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースE一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースE一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースE一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースEの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0120】
(実施例6)
改質セルロースFを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースF一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースF一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースF一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースFの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0121】
(実施例7)
改質セルロースGを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースG一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースG一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースG一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースGの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0122】
(実施例8)
改質セルロースHを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースH一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースH一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースH一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースHの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0123】
(実施例9)
改質セルロースIを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースI一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースI一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースI一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースIの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0124】
(実施例10)
改質セルロースJを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースJ一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースJ一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースJ一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースJの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0125】
(実施例11)
改質セルロースKを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースK一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースK一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースK一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースKの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0126】
(実施例12)
改質セルロースNを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースN一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースN一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースN一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースNの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0127】
(実施例13)
改質セルロースOを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースO一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースO一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースO一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースOの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0128】
(実施例14)
改質セルロースPを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースP一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースP一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースP一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースPの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0129】
(比較例1)
改質セルロースA’を直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースA’一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースA’一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースA’一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースA’の耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0130】
(比較例2)
改質セルロースLの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。なお、改質セルロースLは耐薬品性がないため、IL−6、IL−8及びHMGB−1吸着量並びにアシッドオレンジ7吸着量を測定することはできなかった。結果を表3に示す。
【0131】
(比較例3)
改質セルロースMの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。なお、改質セルロースMは耐薬品性がないため、IL−6、IL−8及びHMGB−1吸着量並びにアシッドオレンジ7吸着量を測定することはできなかった。結果を表3に示す。
【0132】
【表3】
【0133】
表3中、「−」は耐薬品性がないため、測定が出来なかったことを意味する。
【0134】
表3に示すとおり、本発明の改質セルロースは、耐薬品性を有し、生体成分の吸着除去に適していることが明らかとなった。